JP4942475B2 - 既存柱の補強方法及び補強構造 - Google Patents
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Description
a、柱の周囲を鋼板や繊維で被覆する拘束補強法。
b、コンクリートを増し打ちして断面を大きくする断面増大法。
c、鋼板や形鋼を柱に添設してボルト,スタッド、グラウトにより一体化する鋼材一体化法。
d、袖壁を柱に隣接して増設する袖壁増設法。
d−1 柱2、梁3、下層階梁4およびスラブに孔を穿ってアンカー筋22を打ち込んで固定する工程。
d−2 縦横の鉄筋11、12を組立てた後、この鉄筋組の両側に型枠(図示省略)を建込む工程。
d−3 コンクリートを打設し、これを養生し、脱型する工程。
また、柱の中心から延びる方向に袖壁6を増設する場合、11、12を縦横とも表と裏の二重に配するため、アンカー筋の打設本数が多くなり、上記の騒音が長時間に亘り発生するという問題もある。
このためこの袖壁補強方法は、従来技術1に比べてさらに、穿孔のための騒音が長時間に亘り発生し、また、工期が長期化するという問題がある。
上記公報に開示された柱の補強方法は、寸法が大きく重量のある異種部材を使うことから、建物を使用しながら実際に施工することが難しい上に、工程が多いために短期間での施工は難しい。
さらに、縦リブは、既存柱の左右両側に当接されて柱の両サイドを挟み付けるから、鋼板の力を既存柱に伝達することができ、従来の通し鉄筋と同様、増設袖壁の既存柱への一体化に寄与することができる。
5は、図2、図3に示された、既存柱の一面に添設されてその左右両側に延在し、型枠または型枠兼用の構造材として袖壁の一面に固定された1枚の平板状の剛性を有する鋼板9が、既存柱の左右両側において、鉄筋コンクリート造の袖壁本体と一体化された、既存柱に増設された袖壁である。
この増設袖壁5の形態は、1枚の平板状の鋼板9の上下端部が、既存の柱2、梁3の左右両側においてたれ壁7と腰壁8の表裏面のいずれかに添設されているが、増設袖壁5の鉄筋コンクリート造の袖壁本体の上下端は、図1の破線で示す高さ位置にてたれ壁7下端と腰壁8上端と一体化されている。なお、場合によっては、鋼板を腰壁やたれ壁に樹脂などで接着してもよい。
また、建物がたれ壁7や腰壁8を有している場合、鋼板9の上下部をたれ壁7、腰壁8の側面に添設するか否かは、腰壁やたれ壁が柱に取り付いている位置に応じて決定される。すなわち、例えば既存柱の室内面とたれ壁、腰壁の室内面が面一の場合、鋼板をたれ壁、腰壁に添設すると、室内面積が減少するので極力避けるようにする。この場合は図1に符号6にて示すように、鋼板はたれ壁と腰壁の間に挟み込むようにするとよい。
また、補強耐力や変形性能を上げたい場合には、開口部を塞ぐ袖壁と一体的に腰壁やたれ壁に対して壁を増し打ちしてもよい。
本発明の実施の形態1について、図2を参照して詳細に説明する。
この図において、2は既存柱、13は既存柱主筋、14は既存柱帯筋であり、この既存柱2の左右両側に袖壁5を増設して柱を補強するものである。
この増設袖壁5の施工法について説明する。
既存柱2の表面に対応する部位を除く片面に、縦横方向に所定の間隔を置いてスタッド10を打設した剛性を有する1枚の鋼板9を既存柱2の正面か背面のいずれかの一面に沿って建て込み、既存柱2に固定する。
1枚の平板状の鋼板9を既存柱2に固定する方法としては、仮止めボルトで固定するだけでもよいが、エポキシ樹脂接着剤等を用いて接着するのが好ましい。
ほぼ片側の袖壁5の張出し長さの横筋11と、開口高さ又は内法階高の長さの縦筋12と、からなる壁筋を所定の間隔で先組みし、この先組みした壁筋11、12を、既存柱2の左右両側であって、前記1枚の平板状の鋼板9に隣接する位置にセットする。
なお、壁筋を先組みするための適切な場所が無ければ、現場で組んでも良い。
また、この実施の形態では、後に鉄筋コンクリートと一体化される1枚の平板状の鋼板9が壁筋11、12の代わりになるので、シングル配筋でよい。
さらに、鋼板を既存柱に固定する工程と、先組みした壁筋を所定位置にセットする工程は、必ずしもこの順番で実施する必要は無く、逆順で実施しても良い。
さらにまた、この実施の形態では、鋼板9を1枚の平板状のものとしているが、鋼板9を上下方向において分割して横方向に長い小面積のものとすることができ、鋼板9の搬入、据付け等の作業性を向上することができる。このときは、分割された横方向に長い複数の鋼板9を、既存柱2や梁3、4、腰壁8、たれ壁7等の既存水平部材の表面に仮止めボルトで固定するか、エポキシ樹脂接着剤等を用いて接着して、既存柱や既存水平部材に下から順に固定する。
そして、この施工法は基本的に、後述する実施の形態2、3の構造のものにも適用可能である。
しかしながら、建物躯体と増設袖壁の一体性を高め、確実なものとするため、増設袖壁5の鋼板を具備しない側の横筋11を、あと施工アンカーを用いた差し筋や柱を貫通する通し筋等により既存柱2に定着することは有効である。
また、増設袖壁5の外端部の縦筋12については、あと施工アンカーを用いた差し筋を梁の上下面に打設したり、梁、腰壁、垂れ壁等の既存水平部材の側面に短いダボ筋を打って、増設袖壁を既存水平部材に定着することは、増設袖壁5が鋼板を備えない側に凸状に湾曲することを防止するのに有効である。
これらの増設袖壁を既存躯体に定着する工法及び構築された補強構造は、後述する実施の形態2や実施の形態3においても有効である。
また、増設袖壁5の厚さは、通常柱幅の1/4程度とし、最低でも15cmとする。
梁下やスラブ下に隙間が残れば、後からグラウトを注入することが望ましい。
コンクリートや合成樹脂の養生・成形期間が経過した後に、鋼板を除いて木製型枠だけを脱型し、鋼板9はそのまま放置する。
このような構造をとるときは、増設袖壁が鋼板を備えない側に凸状に湾曲することを防止し、建物躯体と増設袖壁の一体性を高めるため、上記したように増設袖壁5の外端部においてアンカーすることが有効である。
この実施の形態を図3に示す。この図において、図2と重複する図面符号については説明を省略し、特徴的なものについてのみ説明する。
16は既存柱2を水平方向に貫通する通し鉄筋、17は縦リブ、18は横リブである。
縦リブ17は、山形鋼材から構成され、一方の片が平板状の鋼板9に溶接固定され、他方の片には所定の間隔にてダボ打設用孔(図示省略)が形成されている。1枚の平板状の鋼板9は、既存柱2の両側面にダボにより固定される。
なお、この実施の形態において、鋼板9を横方向に長い小面積のものに分割するときは、両辺に所定間隔でダボ打設用及びボルト挿通用の孔を穿設した縦リブ17を既存柱2にダボ筋にて固定し、分割した鋼板の上記挿通孔に対応するボルト挿通孔を通じてボルト接合して、鋼板9を既存柱2に固定してもよい。
増設袖壁5の厚みは、上記実施の形態1のものと比べて薄くしてある。
その反面、鉄筋コンクリート造の袖壁本体の壁筋は、鋼板9を備えない側において既存柱2を貫通し、上下方向に所定間隔に配された横方向通し筋16のみから構成している。
この横リブ18の立設数は、上記横方向通し鉄筋16の配置本数に限定されず、対応する高さ位置の間にも増設することがある。
そして、この縦リブ17は、増設袖壁5の壁厚の約1/2程度の高さを有しており、既存柱2の両側に当接されて柱の両サイドを挟み付けるから、鋼板5の力を柱2に伝達することができ、上記通し鉄筋16と同様、増設袖壁5の既存柱2への一体化に寄与するものである。
この実施の形態は、既存柱2の3面に壁が設けられているとき、その柱を補強するために増設する袖壁6に適用されたものであり、すなわち、壁が付設された既存柱の両側に前記壁と直交する面に袖壁が増設された補強構造に係る。
図4を参照して、19は壁20を間に挟んで既存柱2に添設され、柱の両側に延在する左右2枚の独立した鋼板であり、21はこれら独立した左右2枚の鋼板19、19を上記壁20を貫通して接続する、例えば断面矩形のフラットな接続鋼である。
なお、接続鋼21の断面形状は、壁20を貫通しうるものであればどのようなものでもよい。
接続フラット鋼21は、既存柱2の柱せいの2倍程度の幅を有し適宜高さと厚みを有する平鋼板で、柱の上下方向に所定の間隔で配設され、壁を間に置いて既存柱に添設された2枚の鋼板19、19と溶接にて固着されている。
図4から明らかなように、増設袖壁6の袖壁本体には、鉄筋が配されていない。袖壁本体の引張強度を高めるため、その材料は、圧縮強度が例えば100Mpaを超えるような高強度コンクリートや、鋼製又は合成樹脂製のファイバーが混入されたファイバーセメントや、例えばエポキシ樹脂ポリマー等の引張強度が大きい合成樹脂や合成樹脂を混入したセメント系材料を用いることが望ましい。
また、場合によっては、段落0015において述べた、増設袖壁を既存躯体に定着する工法及び構築された補強構造は、この実施の形態においても有効である。
2 既存柱2
3 梁3
4 下層階梁4
5 増設袖壁5
6 増設袖壁6
7 たれ壁7
8 腰壁8
9 鋼板9
10 スタッド10
11 袖壁横筋11
12 袖壁縦筋12
13 既存柱主筋13
14 既存柱帯筋14
15 L型鉄骨15
16 通し鉄筋16
17 縦リブ17
18 横リブ18
19 壁を介して既存柱に添設された2枚の鋼板19
20 既存壁20
21 接続フラット鋼21
22 アンカー鉄筋22
23 割裂防止筋23
24 通し鉄筋24
27 増し打ちコンクリート27
28 平面コ字形鋼板28
29 炭素繊維接続材29
30 接合溝30
Claims (1)
- 既存柱の左右両側に袖壁が増設された補強構造であって、
袖壁本体側にスタッドが打ち込まれるとともに既存柱幅で平行する2本の縦リブを備え、該縦リブが前記既存柱の両側面に当接して前記既存柱の正背いずれかの一面に固定されてその左右両側に延在する1枚のまたは上下方向に分割された平板状の鋼板と、
該鋼板を脱型しない型枠としてコンクリートが打設されて前記既存柱の左右両側の前記鋼板を備えない側において壁筋がシングル配筋された鉄筋コンクリート造の前記袖壁本体とが、
前記既存柱を介して一体化されている既存柱の補強構造。
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