以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の情報処理装置の一実施形態としてのファクシミリ装置1の模式的な断面図である。ファクシミリ装置1は、自動原稿送り装置2と、スキャナ装置3と、レーザプリンタ4と、給紙トレイ部5と、無線タグリーダ15とを有する。ファクシミリ装置1によれば、自動原稿送り装置2に、読み取り対象の原稿Pがセットされ、ユーザにより図示しないスタートキーが押下されると、自動原稿送り装置2によって原稿Pが1ページずつ送られて、スキャナ装置3により読み取られ、その読み取りにより得られた原稿データが、ファクシミリ装置1から外部装置に対して送信される。
特に、本実施形態のファクシミリ装置1は、原稿Pに装着された無線タグを無線タグリーダ15により読み取ることにより、無線タグに書き込まれている識別情報を取得し、その識別情報に基づいて、原稿Pの原稿データに対して実行すべき処理内容を設定することにより、原稿データ毎に処理内容を設定する際における操作の煩雑性を軽減することができるものである。
スキャナ装置3は、ガラス板3aの直下に、ガラス板3aに当接させた原稿の画像面を読み取るためのライン型の密着型イメージセンサ3bが設けられて構成されている。このスキャナ装置3は、自動原稿送り装置2により送られる原稿Pの画像面を読み取ることにより、原稿データを取得する。スキャナ装置3により読み取られた原稿Pは、図示しない排紙部へ排紙される。
レーザプリンタ4は、イエローのトナーを収納したYステーション42、マゼンダのトナーを収納したMステーション43、シアンのトナーを収納したCステーション44およびブラックのトナーを収納したKステーション45を備えると共に、これら各ステーションのトナーを転写ドラム35に受け渡すための中間転写ベルト36や、定着用ローラ37を備え、給紙トレイ部5から給紙された記録用紙に、外部装置から受信したファクシミリデータに基づく画像を形成する。このレーザプリンタ4により画像が形成された記録用紙は、排紙スタッカ39へ排紙される。
無線タグリーダ15は、アンテナを介して無線タグと情報のやり取りを行うことにより、無線タグが記憶する情報を読み出すものである。本実施形態では、特に、自動原稿送り装置2の原稿載置部2aに原稿Pがセットされた状態で、その原稿Pに装着された無線タグとの間で通信を行い、それら原稿Pに装着された無線タグから情報を取得する。なお、複数ページの原稿Pが原稿載置部2aに積層されており、無線タグリーダ15の読み取り可能なエリア内に複数の無線タグが存在する場合であっても、無線タグリーダ15は、その複数の無線タグから一括して情報を読み出すことができる。
ここで、原稿Pは、任意の文字や画像を記録用紙に印刷し又は書き込むことにより作成されるが、その原稿Pの作成には、無線タグが予め付加された無線タグ付き記録用紙と、無線タグ無しの通常の記録用紙とが、ユーザの選択に応じて適宜使用され得る。本実施形態においては、無線タグ付きの記録用紙を使用する場合、原稿Pの印刷時に、ユーザによって指定された識別情報、もしくは印刷装置において自動的に生成される識別情報を原稿の無線タグに書き込むことができる。そのため、例えば、ある相手先に送信したい原稿データを作成し、その原稿データを印刷する場合に、無線タグ付きの記録用紙を使用し、識別情報を書き込む指定を行うことで、原稿の無線タグに固有の識別情報が書き込まれた印刷結果を取得することができる。送信する原稿が複数枚にわたる場合であれば、複数枚の原稿のうちの一枚目のみに無線タグ付きの記録用紙を使用して、その無線タグに識別情報を書き込む態様や、複数枚の原稿全てに無線タグ付きの記録用紙を使用して、同じ識別情報を書き込む態様などが考えられる。以下、このように作成された原稿Pが読み取り対象の原稿として扱われる。
なお、無線タグへの識別情報の書き込みは、印刷時に行われる方式に限らず、予め各記録用紙の無線タグに固有の識別情報が記憶されているものに対し、原稿データの印刷を行うことで、識別情報が付与された原稿を生成する方式であってもよい。
図2は、ファクシミリ装置1の電気的構成を示すブロック図である。ファクシミリ装置1には、上述したスキャナ装置3、レーザプリンタ4、無線タグリーダ15に加え、CPU11、ROM12、RAM13、フラッシュメモリ14、ネットワーク・コントロール・ユニット(以下、「NCU」と称する)19、モデム20、バッファ21、符号化部23、復号化部24、操作パネル26、アンプ27が備えられ、これらはバスライン25を介して接続されている。
ファクシミリ装置1のCPU11は、回線制御を行うNCU19を介して送受信される各種信号に従って、バスライン25により接続された装置各部を制御してファクシミリ送受信を実行するものである。ROM12は、このファクシミリ装置1で実行される制御プログラムを格納した書換不能なメモリである。図5から図7に示されるフローチャートのプログラムはROM12内に格納される。
RAM13は、ファクシミリ装置1の各動作の実行時に、各種のデータを一時的に記憶するためのメモリであり、識別情報メモリ131、参照識別情報メモリ132、原稿データメモリ133が設けられる。
識別情報メモリ131は、原稿載置部2aに載置された読み取り対象原稿Pの無線タグから取得された識別情報が格納されるメモリである。無線タグリーダ15は、読み取り対象原稿Pの全ページが原稿載置部2aにセットされているとき、原稿Pから識別情報を取得する。読み取り対象の原稿Pのうち、複数ページの無線タグから複数種類の識別情報が取得された場合は、その複数種類の識別情報の全てが、この識別情報メモリ131に格納される。
参照識別情報メモリ132は、無線タグリーダ15によって取得された識別情報に基づいて、原稿データに対して実行すべき処理内容が設定される場合、その処理内容の設定に用いられた識別情報を記憶するメモリである。なお、参照識別情報メモリ132に記憶される識別情報については、図3を参照して後に詳述する。
原稿データメモリ133は、スキャナ装置3により取得された原稿データが格納されるメモリである。この原稿データメモリ133に格納された原稿データがファクシミリデータとして、相手先の装置へ送信される。
フラッシュメモリ14は、書換可能な不揮発性のメモリであって、管理メモリ141を備える。管理メモリ141については、図4を参照して後述する。
モデム20は、ファクシミリデータを変調・復調して伝送すると共に伝送制御用の各種手順信号を送受信するものであり、バッファ21は、相手先の装置との間で送受信される符号化されたファクシミリデータを含むデータを一時的に格納するものである。
符号化部23はファクシミリデータの符号化を行うものである。復号化部24は、バッファ21に記憶された受信データを読み出して、これを復号化するものである。アンプ27にはスピーカ28が接続され、呼出音などをこのスピーカ28から出力するためのものである。
このように構成されたファクシミリ装置1は、NCU19を介して、電話回線31に接続されている。この電話回線31は、本ファクシミリ装置1の交換機29に接続され、この交換機29は電話回線32を介して、相手先装置側の交換機に接続され、更に電話回線を介して相手先装置に接続されている。
図3を参照して、参照識別情報メモリ132に記憶される識別情報について説明する。図3は、本実施形態のファクシミリ装置1における、読み取り対象原稿Pの一例を示す図である。なお、図3において、原稿を示す符号「P」は、原稿の各ページに付しているが、図3においては、各原稿Pの読み取り順序を分かりやすく図示するために、特にページ番号を示す数字を右下に付した符号「P1」、「P2」・・・を用いている。
図3に示すように、本実施形態のファクシミリ装置1のユーザは、例えば、所望の処理内容の設定に適した設定用ページP1を準備し、その設定用ページP1を、相手先に送信しようとする原稿P2〜P6の先頭に配置し、まとめて原稿載置部2aにセットする。
図3に示す例では、第1ページ目である設定用ページP1と第2ページ目である「送信書」P2のみ、無線タグ30が装着された無線タグ付き記録用紙が用いられている。よって、図3に示す1セットの原稿Pが原稿載置部2a(図1参照)にセットされる場合、原稿P1の無線タグ30と原稿P2の無線タグ30とからそれぞれ識別情報が読み出され、合計で2種類の識別情報が取得される。
ここでは、取得された2種類の識別情報のうち、先頭側に配置された設定用ページP1から取得された識別情報が後述する管理メモリ141に記憶されており、その記憶されている識別情報に基づいて、原稿P2〜P6に対する処理内容が設定される場合について説明する。この場合、参照識別情報メモリ132(図2参照)には、設定用ページP1から取得された識別情報が記憶されることとなる。
図4を参照して、管理メモリ141について説明する。図4(a)は、管理メモリ141の構成の一例を模式的に示す図である。
図4(a)に示すように、管理メモリ141は、管理番号1410と、識別情報1411と、その識別情報1411に対応する処理内容1412とが対応付けて登録されるメモリである。図4に示すように、処理内容1412は、タイマー送信であるかポーリング送信であるかを示す「種別」、原稿データの送信先のファクシミリ番号を示す「宛先情報」、タイマー送信である場合に設定される「発呼時刻」を含む。
本実施形態のファクシミリ装置1においては、原稿Pから複数種類の識別情報が取得された場合、その取得された複数種類の識別情報のうち、いずれかが管理メモリ141に登録されているかが判断され、管理メモリ141に登録されていると判断された識別情報に対応する処理内容1412が呼び出されて、操作パネル26に表示される。
図4(b)は、処理内容1412を表示する処理内容表示画面260の一例を示す図である。図4(b)に示すように、処理内容表示画面には、管理メモリ141から読み出された処理内容としての「種別」、「宛先情報」および「発呼時刻」と、その処理内容に対応する管理番号と、その処理内容に対応する識別情報とを含む呼出情報261が表示される。この呼出情報261の表示により、ユーザは、管理メモリ141に登録された各識別情報に対応する処理内容を見直す機会が与えられる。なお、本実施形態では、原稿Pから取得された複数種類の識別情報のうち、2以上の識別情報が管理メモリ141に登録されている場合、その2以上の識別情報の各々について、対応する処理内容が操作パネル26に表示される。そして、ユーザによりいずれか1つの処理内容を選択させる。例えば、いずれかの処理内容を選択するように促すメッセージを表示させ、ユーザに選択させることにより、使用する処理内容を1つに特定することができる。
処理内容表示画面260における呼出情報261の下には、編集キー262および読み取り開始キー263が表示される。操作パネル26は、タッチパネルで構成されており、編集キー262および読み取り開始キー263をユーザがタッチすることにより、各キーに対応した指示を、ファクシミリ装置1に入力することができるように構成されている。
編集キー262は、ユーザによる編集指示を受け付けるためのキーである。編集キー262がユーザによってタッチされると、呼出情報261に含まれる処理内容がユーザからの指示に基づいて編集可能となり、例えば、発呼時刻の修正等が受け付けられる。すなわち、ユーザにとっては、管理メモリ141に登録された処理内容を必要に応じて編集することができる。
そして、ユーザは、編集作業を終了すると、読み取り開始キー263をタッチすることにより、読み取り開始指示を入力する。ファクシミリ装置1は、読み取り開始指示が入力されると、自動原稿送り装置2による原稿送りを開始し、原稿Pの読み取りを開始する。また、読み取り開始キー263がユーザによりタッチされたときに、処理内容表示画面に表示されていた処理内容が、読み取り開始後に取得した原稿データの各ページ、すなわち、原稿載置部2aにセットされていた原稿Pの全ページに共通の処理内容として設定される。
このように、ユーザにとっては、処理内容を視認した上で、読み取り開始指示を入力することで、その視認した処理内容を、読み取り対象の原稿の各ページの原稿データに共通に設定できるので、所望の処理内容を読み取り対象の原稿の原稿データに対して簡単に設定することができるという効果がある。
また、ユーザから読み取り開始指示が入力されてから、原稿Pの読み取りが開始されるので、仮に、原稿Pに割り当てられた識別情報に対応する処理内容が、ユーザの意に沿わないものであったとしても、ユーザは、読み取り開始前に気づき、設定用ページP1を差し替えるなど適切な処置を迅速にとることができる。
図5を参照して、上述したファクシミリ装置1で実行されるファクシミリ送信処理(S2)について説明する。図5は、ファクシミリ装置1のCPU11が実行するファクシミリ送信処理(S2)を示すフローチャートである。このファクシミリ送信処理(S2)は、原稿載置部2a(図1参照)に読み取り対象の原稿Pがセットされた場合に実行される処理であり、原稿Pの読み取り、その原稿の原稿データに対して実行すべき処理内容の設定、その設定された処理内容に基づく処理の実行を行う処理である。
まず、原稿載置部2a(図1参照)に読み取り対象原稿Pがセットされた状態で、原稿Pに装着された無線タグ30(図3参照)から、無線タグリーダ15により情報を読み出し、原稿Pに割り当てられる識別情報を取得する(S4)。次に、識別情報が取得されたか否かを判断し(S6)、S6の判断が否定される場合(S6:No)、無線タグ30を利用しない通常処理を実行し(S12)、処理を終了する。
一方、S6の判断が肯定される場合(S6:Yes)、原稿Pから取得された識別情報の種類数を判断する(S8)。具体的には、原稿Pから取得された識別情報が、2種類以上あるか否かを判断する。原稿Pから取得された識別情報が1種類である場合(S8:No)、処理内容をユーザに設定させるユーザ設定処理(S14)を実行する。なお、ユーザ設定処理(S14)については、図7を参照して後述する。
原稿から取得された識別情報が2種類以上ある場合(S8:Yes)、次に、取得された識別情報のうち、いずれかが管理メモリ141(図4(a)参照)に登録されているかを判断する(S10)。本実施形態においては、識別情報が2種類以上ある場合に、管理メモリ141にその識別情報と同じ識別情報が存在しているかを確認する点が特徴の一つになる。ここで、S10の判断が否定される場合(S10:No)、S14に移行し、ユーザ設定処理(S14)を実行するが、S10の判断が肯定される場合(S10:Yes)、自動設定処理(S16)を実行することにより、管理メモリ141に登録されていると判断された識別情報に対応する処理内容を管理メモリ141から読み出し、その処理内容に基づいて、原稿Pに対する処理内容を設定する。
なお、自動設定処理(S16)により実行される設定手順が、特許請求の範囲に記載の第1の設定手順に相当し、ユーザ設定処理により実行される設定手順が、特許請求の範囲に記載の第2の設定手順に相当する。
このように、ファクシミリ送信処理(S2)によれば、原稿Pから取得される識別情報の種類数に応じて、原稿Pに関する処理内容が異なる手順で設定される。よって、原稿データ送信の際における設定操作の煩雑性を軽減させることができる。即ち、セットされた原稿Pから取得された識別情報が2種類以上であれば、その識別情報が管理メモリ141に既に存在しているかの確認を行い、存在している場合には自動設定処理に移行する。一方、原稿Pから取得された識別情報が2種類以上ではない(1以下の場合)場合には、直ちにユーザ設定処理に移行する。よって、まとめてセットされる原稿Pから取得される識別情報の種類数に応じて、その後に原稿Pに対して実行する設定処理の手順を適宜異ならせることができる。つまり、必要な識別情報を備えた原稿を組み合わせて、読み取り対象の原稿としてセットするだけで、そのセットされた原稿に付与されている識別情報の種類数に応じて、セットされた原稿の原稿データに適した手順で設定処理が行われる。これにより、原稿データに対して実行すべき処理内容を設定する際における操作の煩雑性を軽減することができる。
図6を参照して、自動設定処理(S16)について説明する。図6は、自動設定処理を示すフローチャートである。まず、管理メモリ141に登録済みの識別情報であると判断された全ての識別情報に対応した処理内容を管理メモリ141から読み出し、処理内容表示画面(図4(b)参照)に表示する(S702)。そして、表示された処理内容からユーザにより、いずれか1つが選択されると、その選択された処理内容以外の処理内容を、画面から消去すると共に、ユーザにより選択された処理内容に対応する識別情報を参照識別情報メモリ132(図2参照)に記憶する(S704)。例えば図3に示したように、読み取り対象原稿Pの先頭に、無線タグ30付きの設定用ページP1が配置され、その後に原稿P2〜P6が続けて配置される場合、原稿P2(FAX送信書)にも無線タグ30が存在しているため、これらの2つの無線タグ30から識別情報が読み出されるとする。その場合、設定用ページP1から読み出された識別情報は管理メモリ141に登録済みの識別情報であると判断され、その識別情報に対応した処理内容が管理メモリ141から読みだされ、S702において表示される。さらに、S704において、参照識別情報メモリ132に記憶される。
次に、処理内容表示画面に表示された処理内容を、ユーザからの指示に基づいて編集する(S706)。そして、読み取り指示が入力されたか否かを判断し(S708)、S708の判断が否定される場合(S708:No)、S706に戻る。なお、S706において、ユーザにより処理内容の編集指示がない場合であっても、読取開始指示は受付可能である。
一方、S708の判断が肯定されると(S708:Yes)、すなわち、読み取り指示が入力されると、その読み取り指示入力時に処理内容表示画面に表示されていた処理内容を原稿Pに関する処理内容として設定する(S709)。
次に、自動原稿送り装置2により原稿Pを1ページ送り(S710)、その1ページの原稿Pに割り当てられた識別情報が、参照識別情報メモリ132(図2参照)に記憶された識別情報と一致するか否かを判断する(S712)。
なお、1ページの原稿Pに割り当てられた識別情報は、以下のようにして検知することができる。まず、スキャナ装置3(図1ページにより、1ページの原稿Pが読み取られ、その原稿Pが無線タグリーダ15による読み取り可能エリア外にある排紙部(図示せず)まで送られると、無線タグリーダ15により、原稿載置部2aに載置された原稿Pから再度、識別情報を取得する。識別情報メモリ131(図2参照)には、原稿Pの読み取り開始前に取得された識別情報の全てが記憶されているから、その記憶された識別情報と、今回取得された識別情報とを比較することにより、原稿Pに割り当てられていた識別情報を検知することができる。
S712の判断が肯定される場合(S712:Yes)、原稿データを原稿データメモリ133(図2参照)に保存せず(S714)、S718の処理に移行する。
例えば図3に示したように、読み取り対象原稿Pの先頭に、設定用ページP1が配置され、設定用ページP1から読み出された識別情報に基づいて原稿P2〜P6に対する処理内容が決定される場合、設定用ページP1から読み出された識別情報が、参照識別情報メモリ132に記憶される。よって、設定用ページP1の読み込みが行われるときには、その設定用ページP1に割り当てられた識別情報が、参照識別情報メモリ132に記憶される識別情報と一致すると判断され、設定用ページP1の原稿データが保存されない。その結果、設定用ページP1については原稿データの送信が禁止される。
このようにすれば、すでに管理メモリ131に登録されている処理内容と同じ処理内容を設定するためにセットされた原稿P(図3の例では、設定用ページP1)については、新たに送信しようとする原稿と区別され、その原稿データが送信されないので、送信先の相手にとっては不要な原稿データまで送信してしまうという不都合が抑制される。
一方、S712の判断が否定される場合(S712:No)、送信すべき原稿データとみなし、その原稿データを原稿データメモリ133(図2参照)に保存し(S716)、原稿載置部2aに次の原稿があるか否かを判断する(S718)。S718の判断が肯定される場合(S718:Yes)、S710に戻り処理を繰り返す。
このようにして処理を繰り返す内に、原稿Pの全ページの読み取りが終了し、S718の判断が否定されると(S718:No)、原稿データメモリに保存された原稿データに対し、S709の処理で設定された処理内容を、タイマー送信管理メモリまたはポーリング送信管理メモリに設定する(S720)。具体的には、例えば、設定された処理内容の種別が、「タイマー送信」である場合、設定された処理内容に含まれる「宛先情報」を送信先のファクシミリ番号として設定し、且つ、設定された処理内容に含まれる「発呼時刻」で示される日時に発呼が実行されるよう、保存された原稿データの保存先と共に、タイマー送信を管理しているタイマー送信管理メモリ(図示せず)に対して設定を行う。また、例えば、設定された処理内容の種別が、「ポーリング送信」である場合、原稿データメモリに保存されたデータの送信が、送信宛先側の操作を契機として実行されるように、保存された原稿データの保存先と共に、ポーリング送信を管理しているポーリング送信管理メモリ(図示せず)に対して設定を行う。「タイマー送信」、「ポーリング送信」ともに、設定が行われても直ちに動作が実行されるものではないため、S720の設定後は、待機中に移行することになる。
このように、自動設定処理(S16)によれば、管理メモリ141に予め登録された処理内容に基づいて、新たにセットした原稿Pに対して適切な処理内容が簡単に設定される。また、原稿の各ページに共通の処理内容が設定されるので、例えば、所望の処理内容に対応する識別情報が割り当てられた設定用ページP1を、他の原稿と共に配置することで、その所望の処理内容に基づいて、原稿の各ページに共通した処理内容を、簡単に設定することができる。また、例えば、同一の設定用ページP1を繰り返し用いることにより、同じ処理内容を何度でも自動で設定することができる。また、使用方法が簡単でユーザにとって覚えやすい。
図7は、ユーザ設定処理(S14)を示すフローチャートである。このユーザ設定処理は、原稿Pから取得された識別情報が1種類であった場合に実行される処理である。
まず、ユーザ指示を受け付け、そのユーザ指示により指定される処理内容を設定する(S802)。次に、図示しないスタートキーを押下することにより、読み取り開始指示が入力されたかを判断する(S804)。S804の判断が否定される間(S804:No)、処理を待機する。
一方、S804の判断が肯定されると(S804:Yes)、次に、原稿載置部2aにセットされた原稿を全て読み込み、原稿データメモリ133(図2参照)に保存する(S806)。原稿Pから取得された識別情報が1種類だった場合は、S802の処理で設定された処理内容を、その取得された識別情報と対応付けて管理メモリ141に新規登録する(S808)。なお、原稿Pから識別情報が取得されなかった場合は、S808の処理をスキップする。
そして、原稿データメモリに保存されたデータに対し、S802の処理で設定された処理内容を実行する(S810)。実行の具体的な内容については、自動設定処理の場合と同様である。
ユーザ設定処理(S14)によれば、原稿Pから読み取られた識別情報が1つである場合、または識別情報が1つも読み取られなかった場合には、ユーザ指示の受付が直ちに開始され、ユーザの所望に応じた適切な処理内容が、読み取り対象の原稿の原稿データに対して設定される。
また、2種類以上の識別情報が取得されたが(図5におけるS8の判断が肯定されたが)、いずれも管理メモリ141に登録されていないために(図5におけるS10の判断が否定される場合)、このファクシミリ送信処理(S2)が実行される場合、その登録されていないと判断された識別情報は、新たな原稿Pの原稿データに対する識別情報と見なされる。そして、ユーザにより指定された処理内容が、原稿Pから取得された識別情報と対応付けて管理メモリ141に登録されるので、次回以降、原稿の読み取りが行われる際には、新たに登録された識別情報が割り当てられた原稿Pを、さらに他の読み取り対象の原稿と共にセットすることにより、新たに登録された識別情報を利用して、ユーザ指示により指定された処理内容と同一の処理内容を、再度、他の原稿の原稿データに対しても簡単に設定することができる。
例えば、フロントページのみ、無線タグ付き記録用紙が用いられている場合、原稿Pから読み取られる識別情報は1種類であるため、ユーザ指示に基づいて処理内容が設定されると、そのフロントページに割り当てられた識別情報と、ユーザ指示に基づいて設定された処理内容とが対応付けて管理メモリ141に登録されるので、次回以降は、そのフロントページを他の原稿Pの設定用ページとして用いることができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば上述の実施形態では、取得された識別情報が2種類以上の場合のみ、管理メモリ141にその識別情報が存在しているかを確認し、存在していればその識別情報に基づく処理内容の設定を新たな原稿の原稿データに対しても適用していたが、取得された識別情報の種類数が1種類でも、その識別情報に基づいて、同じ処理内容を新たな原稿の原稿データに設定するように構成されても良い。
図8は、変形例のファクシミリ送信処理(S902)を示すフローチャートである。ファクシミリ装置1が、図5に示す実施形態のファクシミリ送信処理(S2)に代えて、図8に示す変形例ファクシミリ送信処理(S902)を実行するように構成されても良い。なお、図8に示すファクシミリ送信処理(S902)において、図5に示すファクシミリ処理(S2)と同一のステップについては、同一の符号を付して説明を省略する。
変形例のファクシミリ送信処理(S902)では、原稿Pから識別情報が取得された場合(S6:Yes)、次に、取得された識別情報のうち、いずれかが管理メモリ141(図4(a)参照)に登録されているかを判断する(S908)。つまり、取得された識別情報の種類数に関係なく、識別情報が管理メモリ141に登録されているかの確認を行う。
S908の判断が否定される場合(S908:No)、上述したユーザ設定処理(S14)を実行し、処理を終了する。一方、S908の判断が肯定される場合(S908:Yes)、次に取得された識別情報が2種類以上あるか否かを判断する(S910)。S910の判断が肯定される場合(S910:Yes)、上述した自動設定処理(S16)を実行し、処理を終了する。
一方、S910の判断が否定される場合(S910:No)、すなわち、取得された識別情報が1種類である場合、S908の判断において、管理メモリに登録済みの識別情報であると判断された識別情報を、参照識別情報メモリ132(図2参照)に記憶する(S912)。
次に、参照識別情報メモリ132に記憶した識別情報に対応する処理内容を、管理メモリ141(図4(a)参照)から読み出し、処理内容表示画面(図4(b)参照)に表示する(S914)。次に、その処理内容表示画面に表示された処理内容を、ユーザからの指示に基づいて編集する(S916)。そして、読み取り指示が入力されたか否かを判断し(S918)、S918の判断が否定される場合(S918:No)、S916に戻る。ここにおいても、ユーザによる編集指示がない場合であっても、読み取り指示が受付可能である。
一方、S918の判断が肯定されると(S918:Yes)、すなわち、読み取り指示が入力されると、その読み取り指示入力時に処理内容表示画面に表示されていた処理内容を原稿Pに関する処理内容として設定する(S919)。
次に、自動原稿送り装置2により原稿Pを1ページ送り(S920)、その1ページの原稿に無線タグが装着されているか否かを判断する(S922)。S922の判断が否定される場合(S922:No)、S930の処理に移行する。
一方、S922の判断が肯定される場合(S922:Yes)、その1ページの原稿Pが、識別情報が割り当てられた原稿か否かを判断する(S924)。S924の判断が肯定される場合(S924:Yes)、原稿データを原稿データメモリ133(図2参照)に保存せず(S936)、S930の処理に移行する。すなわち、上記と同様に、処理内容の設定用に用いられたページの原稿データの送信を禁止する。
一方、S924の判断が否定される場合(S924:No)、すなわち、原稿Pに無線タグが装着され、且つその無線タグに識別情報が書き込まれていない場合、新たに識別情報を生成し(S926)、図示しない無線タグライタにより、その識別情報を、原稿Pに装着された無線タグに書き込む(S926)。そして、無線タグに書き込まれた識別番号と、S919の処理で設定した処理内用途を対応付けて管理メモリ141に登録し(S928)、S930の処理に移行する。
次に、S930の処理では、取得した原稿データを原稿データメモリ133(図2参照)に保存し(S930)、原稿載置部2aに次の原稿があるか否かを判断する(S932)。S932の判断が肯定される場合(S932:Yes)、S920に戻り処理を繰り返す。
このようにして処理を繰り返す内に、原稿Pの全ページの読み取りが終了し、S932の判断が否定されると(S932:No)、原稿データメモリに保存された原稿データに対し、S919の処理で設定された処理内容を、タイマー送信管理メモリ(図示せず)またはポーリング送信管理メモリ(図示せず)に設定する(S934)。
変形例のファクシミリ送信処理(S902)によれば、上述した実施形態のファクシミリ送信処理(S2)と同様の効果が得られる上、原稿から得られた識別情報の種類数が1種類であっても、その1種類の識別情報に対応した処理内容を利用して、新たな原稿の原稿データに対して同じ処理内容が設定される。さらに、新たな原稿の無線タグに識別情報が書き込まれていない場合には、新たに作成した識別情報が書き込まれるので、その新たに生成された識別情報が無線タグに書き込まれた原稿を、次回以降の送信において利用することにより、S919の処理において設定された処理内容と同一の処理内容を、他の原稿の原稿データに対しても簡単に設定することができる。
なお、図9に示す変形例では、新たな原稿の無線タグに識別情報が存在しない場合、S926のステップにおいて、原稿の各ページに、個別に識別情報を作成して無線タグに書き込んでいたが、識別情報を1種類のみ作成し、その1種類の識別情報を新たな原稿の各ページの無線タグに書き込んでも良い。この場合、S928における、管理メモリ141への登録も一度でよいことになる。
また、上記の実施形態の自動設定処理(S16)では、管理メモリ141に登録されていないと判断された識別情報は利用されていなかったが、管理メモリ141に登録されていないと判断された識別情報に、新たに処理内容を対応付けて登録するように構成しても良い。
図9は、変形例の自動設定処理(S100)を示すフローチャートである。この変形例の自動設定処理(S100)において、図6を参照して説明した自動設定処理(S16)と同一の処理については同一の符号を付し、または図示を省略する。また、図6に示す自動設定処理(S16)と同一の処理については説明を省略しまたは簡略化する。
図9に示すように、変形例の自動設定処理(S100)では、S710において読み込んだ1ページの原稿Pに割り当てられた識別情報が、参照識別情報メモリ132(図2参照)に記憶された識別情報と一致するか否かが判断され(S712)、肯定される場合は、実施形態の自動設定処理(S16)と同じ処理が実行される。
一方、S712の判断が否定される場合(S712:No)、本変形例の自動設定処理(S100)では、次に、その原稿に識別情報が割り当てられているか否かを判断する(S722)。S722の判断が否定される場合(S722:No)、S716の処理に移行し、実施形態の自動設定処理(S16)と同じ処理が実行される。
一方、S722の判断が肯定される場合(S722:Yes)、すなわち、原稿Pに識別情報が割り当てられている場合、その割り当てられている識別情報を、原稿Pの原稿データに対して実行する処理内容として設定された内容と対応付けて、管理メモリ141に登録し(S724)、S716の処理に移行する。
図10は、変形例の自動設定処理において、識別情報が新たに登録された管理メモリ141の一例を示す図である。図10に示すように、例えば、設定用ページに割り当てられた識別情報「BRO0001」が予め管理メモリ141に登録されていた場合、その識別情報「BRO0001」に基づいて、新たな原稿データに対する処理内容が決定される。そして、その管理メモリ141に登録されていると判断された識別情報以外の識別情報(例えば「BRO0004」)が原稿Pから取得された場合は、その識別情報が、決定された処理内容と対応付けて新たに登録される。その結果、図10に示すように、新たに管理No.4として「BRO004」の識別情報に対応する原稿データの処理内容が登録される。なお、S718の処理において、次の原稿があると判断された場合、S710に戻り、次の原稿が読み込まれるが、この原稿に対しても識別情報があるとS722で判断された場合でも、その識別情報が先の原稿に付与されていた識別情報と同じであれば、一連の原稿であるとみなし、S724の管理メモリへの登録は行わず、原稿データの保存のみを実行する(S716)。また、S710で新たに読み込まれた原稿に付与されていた識別情報が、さらに別の識別情報であれば、その原稿に対しても、S724の処理を実行するように構成してもよい。
このようにすれば、次回以降、原稿の読み取りが行われる際には、新たに登録された識別情報(図10に示す例では「BRO0004」が割り当てられた原稿P)を、次の読み取り対象の原稿に付加することにより、その識別情報を利用して次の読み取り対象の原稿に対する処理内容を設定することができる。すなわち、識別情報が管理メモリ141に登録されていない原稿Pであっても、管理メモリ141に登録済みの識別情報が割り当てられた設定用の原稿Pと共に一度でも送信されることにより、以降は、設定用原稿Pとして用いることができるようになるのである。
また、上記実施形態の自動設定処理(S16)では、管理メモリ141に登録されていると判断された識別情報が複数ある場合、その複数の識別情報に対応した複数の処理内容を操作パネル26に表示し、ユーザにいずれかを選ばせることとしていた。これに代えて、取得された複数種類の識別情報のうち、送信順序において最も先頭側の原稿Pから得られた識別情報に対応した処理内容のみを、操作パネル26に表示するように構成されても良い。このようにすれば、ユーザは、送信したいと思う原稿Pの先頭に、設定用ページを配置するだけで良く、操作方法を簡単に覚えることができる。
また、上記実施形態では、処理内容として、種別、宛先情報、発呼時刻が含まれていたが、これらのうち、いずれか1つを含むものであっても良いし、読み取りの解像度や濃さなど、他の設定を処理内容として含むものであっても良い。また、例えば、ポーリング送信の機密性を高めるために、送信側装置においてパスワードを設定する場合には、そのパスワードが処理内容に含まれていても良い。
また、上記実施形態では、タイマー送信またはポーリング送信に関する処理内容が設定されるものとして説明したが、これらの送信処理以外の送信処理についても本発明を適用することができる。さらに、本発明はファクシミリ送信処理以外の各種処理にも適用可能である。
例えば、コピー機において、コピー設定の履歴が登録される履歴登録手段が設けられている場合には、コピー元原稿から取得した識別情報が、履歴登録手段に登録されているかを判断し、履歴登録手段に登録済みである場合には、その識別情報に対応したコピー設定(例えば、セット数、解像度、カラー/モノクロ、2in1)を読み出して設定し、その設定したコピー設定で、読み取り対象の原稿のコピー処理を実行するように構成されていても良い。
また、同様に、ファクシミリ装置において、ファクシミリ送受信の履歴情報が登録される履歴登録手段が設けられている場合には、送信対象原稿から取得した識別情報に基づいて履歴情報を読み出し、その履歴情報を用いて、ファクシミリ送信に関する処理内容が設定されるように構成しても良い。
また、上記実施形態では、管理メモリ141がファクシミリ装置1内蔵のフラッシュメモリ14に設けられるものとして説明したが、外部記憶装置や、着脱可能なメモリカードに管理メモリ141が設けられていても良い。
また、上記実施形態では、設定用ページの原稿P1と、実際に送信したい原稿P2〜P6とをまとめてセットするものとして説明したが、例えば、設定用ページの原稿のみを最初に読み取らせ、所定の操作の後に、実際に送信したい原稿をセットするように構成されても良い。すなわち、設定用原稿は、必ずしも送信する原稿と一緒にセットされなくてもよい。
また、上記実施形態では、原稿Pから取得された複数種類の識別情報のうち、2以上の識別情報が管理メモリ141に登録されている場合、その2以上の識別情報から、ユーザによりいずれか1つの処理内容を選択させることとしていたが、これに代えて、2以上の識別情報が管理メモリ141に登録されている場合には、その2以上の識別情報のうち、先頭側に配置された設定用ページP1から取得された識別情報を使用するように予め処理が定められていてもよい。
また、上記実施形態では、タイマー送信、ポーリング送信専用の管理メモリ(図示せず)が設けられるものとして説明したが、これに代えて、本実施形態で説明した管理メモリ141が、タイマー送信用管理メモリおよびポーリング送信用の管理メモリとして利用されても良い。その場合、例えば、管理メモリ141において処理内容に対応付けられた管理番号(または識別情報)を、RAM13の原稿データメモリ133に格納された原稿データに関連づけ、記憶しておく。この場合、原稿データに管理番号(または識別情報)を関連づけ、記憶する処理が、特許請求の範囲に記載の「設定手段」に相当する。
このようにすれば、例えば、タイマー送信で設定されている「発呼時刻」になった場合には、管理メモリ141の内容に基づき、「発呼時刻」に対応する管理番号が参照され、さらに、その管理番号(識別情報)に対応する原稿データが原稿データメモリ133から読み出される。そして、「宛先情報」に基づいて原稿データが送信される。