JP4940720B2 - 路面反力推定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モータを用いて車両の転舵輪を転舵する操舵装置において路面反力を推定する路面反力推定装置に関する。
この方法は、パワーステアリング装置やステアバイワイヤシステムなどの、車両の操舵装置に有用なものである。
上記の路面反力推定装置において外乱オブザーバを用いれば、転舵モータに伝達される路面反力Fr と転舵モータのトルクリップルなどの脈動Frip と転舵モータが受ける摩擦力Ffricの和として、転舵モータに作用する外乱dr の推定値drEを求めることができ、よって、所望の路面反力の推定値FrEは、この外乱の推定値drEを用いて以下の様に表すことができる。
rE = drE −Frip −Ffric …(1)
例えば下記の非特許文献1には、モータに作用する外乱dr の推定値drEから電流検出誤差に起因する脈動Frip を、トルクリプルオブザーバを用いて除去する微小振動抑制制御技法が開示されている。この従来技術では、外乱(dr )を交流成分と直流成分とに分けて考え、その外乱の交流成分と直流成分とをそれぞれ独立に推定しているが、この従来技術に従えば、推定する外乱の交流成分の周波数をモータの電気角速度の定数倍に設定することによって、電流検出誤差に起因する脈動を含まない外乱の値を推定することができる。
また、モータが減速機などから受ける摩擦力Ffricを外乱推定値drEから除去することによって高精度に路面反力Fr を推定する従来技法としては、例えば、下記の特許文献1や特許文献2に記載の従来技術がある。これらの従来技術では、外乱推定値(drE)の履歴に基づき、前回の制御周期における路面反力推定値(FrE)と今回の制御周期における外乱推定値(drE)から、今回の制御周期における路面反力推定値(FrE)を一意に決定する推定処理方式が採用されている。
花本、外3名、「周期性外乱を有するブラシレスDCモータの微小振動抑制制御」、平成9年電気学会論文集D編、117巻3号、p.335〜341 特開平10−264057 特開2003−127888
オブザーバを用いて推定処理を実行する場合、一般に、推定されるべき実際の値に対する推定値の追従性を高く設定すると、その際の推定精度が低くなってしまうことがある。例えば、モータの脈動の変化が激しい場合には、脈動の変化の速さよりも推定誤差の収束の速さの方が十分に大きくなければ、脈動の推定値を実際の値に対して十分に追従させることができなくなる。しかし、推定誤差の収束の速さを非常に大きくすると、推定値に対するノイズの影響が無視できなくなってしまう。即ち、オブザーバを用いた推定処理においては、推定値の追従性と推定精度との間にトレードオフ関係が存在し得る。
非特許文献1に記載の従来技術では、脈動を推定するオブザーバの追従性を確保するために、ブラシレスDCモータの電気角速度が大きな場合には、オブザーバの固有値の実部も大きく設定される。これは、脈動の変化の速さが電気角速度に比例するためであるが、この様なオブザーバの設定に従えば、オブザーバの追従性を高く確保することはできても、上記のトレードオフ関係によって、特に電気角速度が大きい時に脈動の推定値がノイズの影響を受け易くなってしまう。したがって、上記の従来技術では、必ずしも精度良く脈動を除去することはできない。
また、特許文献1や特許文献2に記載の従来技術によれば、外乱推定値の履歴のみに基づいて、減速機などから受ける摩擦力を外乱推定値から除去するので、路面反力(=外乱推定値−摩擦力)を正確に推定できない場合がある。この様な問題は、例えば減速機などの機械系から転舵モータが受ける摩擦力の変化は実際には複雑なヒステリシス特性を示すので、外乱推定値の履歴だけからではこれらの変化を正確には求めることができないために生じる。
このため、特許文献1や特許文献2に記載の従来技術によれば、生じた推定誤差がその後も保持され続ける結果、路面反力の推定値に大きな零点誤差(オフセット)が生じてしまうことがあった。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、転舵輪に係わる外乱オブザーバを有する路面反力推定装置において、路面反力の推定精度を従来よりも高くすることである。
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、本発明の第1の手段は、転舵モータを用いて車両の転舵輪を転舵する操舵装置において路面反力を推定する路面反力推定装置において、転舵モータの角速度関連値と相電流に基づいて、転舵モータに作用する外乱を推定する外乱オブザーバと、転舵モータの角速度関連値に基づいて、転舵モータの電気角の回転周波数を決定し、その回転周波数の自然数倍の周波数をノッチ周波数として可変設定されるノッチフィルタを用いて、外乱の推定値が有する脈動を除去する脈動除去手段とを備えることである。
ただし、上記の角速度関連値としては、上記の転舵モータの角速度の定数倍の数値を持てば任意の変数パラメータを用いることができ、例えば、転舵輪の向きを駆動制御する転舵軸のスライド速度(動作速度)などを用いても良い。
また、上記のノッチフィルタの段数は任意でよく、上記の自然数も1以上の任意の値を取ることができる。
また、上記の転舵モータの相数は任意で良い。
なお、以下では、上記のノッチ周波数の2π〔radian〕倍をノッチ角速度と言うことがある。
また、本発明の第2の手段は、上記の第1の手段において、回転周波数の自然数倍の周波数が定められた下限値より小さい場合には、ノッチ周波数は、その下限値に設定されることである。
ただし、この下限値としては、脈動の除去処理作用に関して特に問題が生じない範囲内において、適当に大きな値を設定すれば良い。
また、本発明の第3の手段は、転舵モータを用いて車両の転舵輪を転舵する操舵装置において路面反力を推定する路面反力推定装置において、転舵モータの角速度関連値と相電流に基づいて、転舵モータに作用する外乱を推定する外乱オブザーバと、外乱の推定値と転舵モータの角速度関連値の履歴に基づいて外乱の推定値が有する零点誤差を除去するオフセット除去手段とを設けることである。
ただし、上記の角速度関連値とは、転舵モータの角速度の定数倍の数値のことであり、例えば、転舵輪の向きを駆動制御する転舵軸のスライド速度(動作速度)などを適用しても良い。
また、上記の転舵モータの相数は任意で良い。
また、本発明の第4の手段は、上記の第1または第2の手段において、上記の外乱の推定値と転舵モータの角速度関連値の履歴に基づいて、外乱の推定値が有する零点誤差を除去するオフセット除去手段を設けることである。
また、本発明の第5の手段は、上記の第3または第4の手段のオフセット除去手段において、転舵モータに係わる機械系から転舵モータが受ける摩擦力が、静止摩擦力であるか動摩擦力であるかを判定する判定手段を設け、上記の零点誤差が除去された外乱の推定値を算出するための複数の演算式の中から、上記の判定手段の判定結果に基づいて、用いるべき最適な演算式を択一的に選択することである。
ただし、ここで言う機械系とは、転舵モータに対して機械的な摩擦力を及ぼす、例えば減速機などのことである。
また、本発明の第6の手段は、上記の第5の手段のオフセット除去手段において、以下の5つの条件a〜eのうちの、条件a,b,dが同時にそれぞれ成立する時、または条件a,c,eが同時にそれぞれ成立する時に、上記の摩擦力が静止摩擦力から動摩擦力に変化したと判定することである。
(条件a)前回の制御周期において摩擦力が静止摩擦力であると判定された。
(条件b)今回の制御周期における外乱の推定値が、前回の制御周期における零点誤差が除去された外乱推定値と動摩擦力との和よりも大きい。
(条件c)今回の制御周期における外乱の推定値が、前回の制御周期における零点誤差が除去された外乱推定値と動摩擦力との和よりも小さい。
(条件d)今回の制御周期における角速度関連値が所定の閾値ε1(≧0)よりも大きい。
(条件e)今回の制御周期における角速度関連値が所定の閾値ε2(≦0)よりも小さい。
ただし、上記の動摩擦力の値は、転舵輪、転舵軸、転舵モータ、減速機などの実際に用いる装置を使った実験を通して、好適または最適な形のものを経験的に決定することができる。
なお、上記の閾値ε1や閾値ε2は、上記の角速度関連値の測定誤差が0に近づく時に0に近づく安全定数であって、理論的には0でよい。また、特に、この閾値ε1を0に設定する場合には、条件bが成り立てば条件dも必然的に満たされるため、この場合、条件bの判定処理を実行していれば条件dの判定処理は省略することができる。同様に、上記の閾値ε2を0に設定する場合には、条件cが成り立てば条件eも必然的に満たされるため、この場合、条件cの判定処理を実行していれば条件eの判定処理は省略することができる。
また、本発明の第7の手段は、上記の第5または第6の手段のオフセット除去手段において、摩擦力が静止摩擦力であると判定される期間中の、零点誤差が除去された外乱推定値として、摩擦力が動摩擦力であると最後に判定された制御周期において算出された、零点誤差が除去された外乱推定値を継続的に採用することである。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
本発明の第1の手段によれば、電流検出誤差に起因する脈動がノッチフィルタによって除去されるため、上記の外乱オブザーバにおいては、それらの脈動を推定したり除去したりする必要がない。このため、本発明における外乱オブザーバでは、転舵モータの電気角速度とは無関係に、ノイズの影響を受け難い構成を採用することができる。即ち、外乱の推定誤差の収束の速さを転舵モータの電気角速度の上昇に応じて速くする必要がない。
したがって、本発明の第1の手段によれば、外乱の推定値がノイズの影響を受け難くすることができ、かつ、脈動項も効果的に除去されるので、路面反力を高精度に推定することができる。
また、本発明の第2の手段によれば、ノッチ周波数が所定の閾値を下回ることがなくなるため、転舵モータの角速度が大きい場合の脈動除去処理性能を十分に確保しつつ、転舵モータの角速度が小さい場合の当該フィルタリング処理の過渡応答性の劣化現象を効果的かつ未然に防止することができる。
即ち、ノッチ周波数が低過ぎると転舵モータの角速度が小さい場合に、当該フィルタリング処理の過渡応答性の劣化現象を招くが、本発明の第2の手段によれば、上記の閾値設定により転舵モータの角速度が小さい場合には、当該フィルタリング処理が事実上省略されるため、その様な過渡応答性の劣化現象が生じる恐れも必然的に払拭される。また、この様な場合には、脈動の影響は小さいので事実上無視することができ、よって当該フィルタリング処理の省略も許される。
また、上記の本発明の第3または第4の手段によれば、摩擦力の除去処理において、転舵モータの角速度関連値の履歴を利用することができ、これによって、ヒステリシス特性に応じた推定処理が実現できるので、機械系から受ける摩擦力に起因するオフセット誤差が小さい路面反力推定装置を構成することが可能となる。
より具体的には、例えば、本発明の第5の手段によれば、上記の判定手段の判定結果に基づいて、用いるべき最適な演算式が択一的に選択されるので、各摩擦の状態に個別に応じた適切な演算式を複数用意することによって、零点誤差を的確に除去することができる。したがって、本発明の第5の手段によれば、路面反力推定値の零点誤差が摩擦力の変化によって拡大することを効果的に防止することができる。
また、本発明の第6の手段によれば、転舵モータの角速度関連値を用いて、上記の摩擦力が静止摩擦力から動摩擦力に変化するタイミングを従来よりも的確に判定することができるため、摩擦力の変化に起因して路面反力推定値のオフセット誤差が拡大することを効果的に抑制することができる。
また、静止摩擦力は、転舵モータの回転方向と外乱推定値だけでは一意に定まらないが、上記の本発明の第7の手段を用いれば、静止摩擦力が作用し始めるその直前と直後とにおいて路面反力は変化しないと仮定されて、推定処理がそのまま継続される。このため、本発明の第7の手段によれば、路面反力推定値のオフセット誤差が拡大することを効果的に抑制することができる。
なお、本発明を実施する際には、上記のオフセット除去手段と脈動除去手段の両方を併用して路面反力を推定することがより望ましいが、特にその場合には、外乱オブザーバから得られた外乱の推定値に対して、上記の脈動除去手段を上記のオフセット除去手段よりも先に作用させることがより望ましい。この場合、上記のオフセット除去手段では、脈動が効果的に除去された外乱の推定値が処理できるので、これにより、そのオフセット除去処理中において判定誤りが生じる恐れをより確実に排除することができる。
また、上記のオフセット除去手段では、以下の設計ガイドライン(1)〜(5)にしたがって、所望のオフセット除去処理を構成すると良い。
(1)転舵モータの角速度関連値と外乱推定値の履歴に基づいて摩擦力を除去する。
(2)静止摩擦が作用している時は、前時刻(前制御周期)でのオフセットが除去された外乱推定値をそのまま維持する。
(3)動摩擦が作用している時は、現時刻の角速度関連値の符号と現時刻の外乱推定値に基づいて摩擦力を除去する。
(4)転舵モータに作用する摩擦力が、静止摩擦から動摩擦に変わったかは、現時刻の角速度関連値の符号と現時刻の外乱推定値と前時刻のオフセットが除去された外乱推定値に基づいて判定する。
(5)転舵モータに作用する摩擦力が、動摩擦から静止摩擦に変わったかは、角速度関連値の符号変化に基づいて判定する。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。
図1に本実施例1のステアバイワイヤシステムの論理的な構成図を示す。このステアバイワイヤシステムは、運転者が操作するハンドル1を有する操舵機構(1〜7)と、転舵輪13を転舵する転舵機構(8〜13)と、これらの連動動作を電気的に実現する制御装置1000等から構成されている。
より具体的には、操舵機構のトルクセンサ2は運転者がハンドル1に及ぼす操舵トルクTh を検出し、回転角センサ5は反力モータ4の回転角Θh を検出し、電流センサ6はモータ駆動回路7から反力モータ4に給電される電流Ih を検出する。ただし、反力モータ4とハンドル1とは減速機3によって連動されており、よって反力モータ4の回転角Θh はハンドル1の回転角に比例する。そして、これらの検出値は、A/D変換装置を備えた制御装置1000に入力される。
一方、転舵機構の転舵モータ10は、3相のブラシレスDCモータであり、その回転角Θr は、回転角センサ11によって検出される。また、モータ駆動回路8から転舵モータ10に給電される各相電流Iv ,Iu は、電流センサ9で検出され、これらの検出値も、A/D変換装置を備えた制御装置1000に入力される。
図2に上記の制御装置1000の制御ブロックダイヤグラムを示す。
上記の転舵モータ10は、U相電流Iu とV相電流Iv を電流センサ9で検出することにより、物理的には3相制御されるが、UVW/dq変換処理部1800、電流制御部1600、及びdq/UVW変換処理部1900などを用いて、論理的にはdq座標空間で電流制御される。
路面反力推定部100は、本発明の路面反力推定装置に相当する部分であり、転舵速度演算部から入力される転舵軸12のその軸方向へのスライド速度(以下、転舵速度vr と言う)と、UVW/dq変換処理部1800から出力されるq軸電流Iq とに基づいて、所望の路面反力推定値FrEを算出する。
図3に、この路面反力推定部100の制御ブロックダイヤグラムを示す。この路面反力推定部100は、外乱推定部(外乱オブザーバ110)と脈動除去部120とオフセット除去部130から構成されている。
以下、これらの各部の構成と動作をそれぞれ順に説明する。
まず最初に、図4の外乱オブザーバ110(外乱推定手段)では、例えば本図4や前記の式(1)に示した様に、転舵モータ10に作用する外乱dr を路面反力Fr と電流検出誤差に起因する脈動力Frip と減速機の摩擦による摩擦力Ffricの和と見なし、その推定値である外乱推定値drE転舵速度vr とq軸電流Iq に基づいて算出している。
ただし、ここでsは複素周波数であり、Ktrは転舵モータ10のトルク定数、Gr はそのゲイン、Mr は転舵モータ10の慣性係数である。また、ローパスフィルタ111のフィルタ特性は、パラメータωorとパラメータξorのチューニングによって最適に決定することができる。
また、図3の外乱推定値drE′は、上記の外乱オブザーバ110の出力値である外乱推定値drEに対して、以下の様なフィルタリング処理を施すことによって得られる値である。即ち、図3の脈動除去部120では、伝達関数が次式(数1)で定義されるノッチフィルタFn (s,ωn )を用いて、外乱推定値drEから脈動力Frip を除去する。ただし、ここでsは複素周波数であり、ξ1 ,ξ2 はフィルタ特性を決定する正のパラメータである。
Figure 0004940720
例えば、このノッチフィルタFn (s,ωn )を2段階に用いて、以下の様な直列2段のノッチフィルタを構成することができる。
(1段目)
ωn =Ω1=max(C,ωe ) (Cは所定の定数)
(2段目)
ωn =Ω2=max(C,2ωe
ここで、ωe (≡αvr ;αは比例定数)と2ωe (=2αvr )を用いるのは、通常のブラシレスDCモータにおいては、前記の非特許文献1にも記載されている様に、その電気角速度ωe の1倍及び2倍の脈動が支配的になっていることが多いからである。
また、上記のmax関数は、2つの引数の中から小さくない方を選択する関数であるが、この様な下限値Cをノッチ角速度ωn に対して設けるのは、ノッチ周波数ωn が小さ過ぎるとフィルタ出力drE′の過渡応答が遅くなり好ましくないからである。逆に、電気角速度ωe が小さい時にはモータに生じる脈動力Frip も小さいので、その場合には特にフィルタリングを実行する必要も無いからだと言うこともできる。
以上のフィルタリング処理(脈動除去部120)により、前記式(1)の脈動項Frip が排除されるので、上記の外乱推定値(フィルタ出力drE′)は、次式(2)に示す様に、路面反力の推定値FrEと、転舵モータ10に作用する摩擦力Ffricとの和で表すことができる。
(外乱推定値drE′)
rE′= FrE + Ffric …(2)
図4に外乱オブザーバ110の制御ブロックダイヤグラムを例示する。本図4のオフセット除去部130は、上記の脈動除去部120から出力される外乱推定値drE′から、転舵モータ10に作用する摩擦力Ffricを除去することによって、式(2)中の所望の路面反力推定値FrEを得るためのものである。そして、この摩擦力の除去処理においては、転舵モータ10に動摩擦力が作用している時に現われる、路面反力推定値FrEと外乱推定値drE′との間の関係(図5のグラフ)を利用する。
(FrEとdrE′の関係)
即ち、動摩擦が作用している時は、
r >0ならば、drE′=f1(FrE) 、
r <0ならば、drE′=f2(FrE) …(3)
例えば、本図5のグラフにおける関数f1 は、FrE≧0においてdrE′=FrE+d0 (d0 は正の定数)なる形をしており、また、FrE<0においてはdrE′=aFrE+d0 (0<a<1)なる形をしている。また、関数f2 は、この関数f1 を原点周りに180°回転させた点対称形を有している。
このグラフを用いて、上記のオフセット除去部130をソフトウェアで実現するための制御処理手順を図6に例示する。オフセット除去部130の制御処理手順では、その処理の初期状態として、制御変数kの初期値を0、M(0)=0(:静止摩擦作用中)、vr (0)=0、及びFrE(0)=0を仮定する。ただし、ここで、上記の制御変数kは、この処理の制御周期の幅に離散化された時刻を示す。
まず、この手順の最初のステップ205では、制御変数kの値を1増加させる。次のステップ210では、現時刻(今回の制御周期)の転舵軸の速度vr (k)の符号を判定する。その結果、vr (k)>0ならばステップ220へ、そうでなければステップ230に処理を移す。
次に、ステップ220やステップ230では、次式(4)に示す様に、図5の関数f1 ,f2 の逆関数f1 -1,f2 -1を用いて、今回の路面反力推定FrE(k)の値を暫定する。
(FrE(k)の暫定)
rE(k)=f1 -1(drE′(k)) (ステップ220),
rE(k)=f2 -1(drE′(k)) (ステップ230) …(4)
次に、ステップ225やステップ235では、次式(5)に示す様に、図5の関数f1 ,f2 を用いて、前回の制御周期で静止摩擦力が作用していた場合に実行すべきその後の処理(ステップ250)の準備として、路面反力推定FrE(k−1)の関数値f0 を求める。この関数値f0 は、次式(5)や図5などからも分かる様に、前述の(条件b)や(条件c)における「前回の制御周期における零点誤差が除去された外乱推定値と動摩擦力との和」に相当する数値を持つ。
(関数値f0
0 =f1 (FrE(k−1)) (ステップ225),
0 =f2 (FrE(k−1)) (ステップ235), …(5)
次に、ステップ240では、前回の制御周期における摩擦力の種類を判定し、M(k−1)=0(:静止摩擦)の場合にはステップ250へ、M(k−1)=1(:動摩擦)の場合にはステップ260に処理を移す。
次に、ステップ250では、外乱推定値drE′と関数値f0 との差D(=drE′(k)−f0 )を求める。一方、ステップ260では、その代わりに、この変数Dに前回の転舵軸の速度vr (k−1)を代入する。
次に、ステップ270では、今回の転舵軸の速度vr (k)と変数Dとの積の符号を判定し、それが正ならばステップ290に、そうでなければステップ280に処理を移す。ただし、ここでは、積vr (k)・Dの符号だけが判定できれば十分であるから、必ずしも積vr (k)・Dの値そのものを求める必要はない。なお、ここでは、前述の閾値ε1やε2が何れも0であることを仮定しているので、転舵モータ10の角速度関連値vr (k)の絶対値の閾値ε1やε2に対する大小判定は行っていない。
次に、ステップ280やステップ290では、今回の摩擦力の種別を記憶する。例えば、ステップ280では、現時刻の摩擦力は静止摩擦力であるので、配列Mのk番目の要素変数M(k)に0を格納する。また、その次のステップ285では、前回の路面反力推定値FrE(k−1)の値を今回の路面反力推定値FrE(k)の値として採用する。
そして、以上の処理手順に従えば、以下の処理結果を得ることができる。
(1)前時刻k−1に静止摩擦が作用していた場合(M(k−1)=0の時)
a)drE′(k)> f1(FrE(k−1)) 、かつ、vr (k)>0の時
ステップ270により転舵モータに働く摩擦力が静止摩擦力から動摩擦力に変わったと判定され、次式の出力結果を得る。
rE(k) =f1 -1(drE′(k))
b)drE′(k)< f2 (FrE(k−1)) 、かつ、vr (k)<0の時
ステップ270により転舵モータに働く摩擦力が静止摩擦力から動摩擦力に変わったと判定され、次式の出力結果を得る。
rE(k) =f2 -1(drE′(k))
c)その他の場合
ステップ270により転舵モータに静止摩擦が作用していると判定され、ステップ285の作用により次式の出力結果を得る。
rE(k)=FrE(k−1)
(2)前時刻k−1に動摩擦が作用していた場合(M(k−1)=1の時)
a)vr (k−1)>0、かつ、vr (k)>0の時
ステップ270により転舵モータに動摩擦が作用していると判定され、次式の出力結果を得る。
rE(k) =f1 -1(drE′(k))
b)vr (k−1)<0、かつ、vr (k)<0の時
ステップ270により転舵モータに動摩擦が作用していると判定され、次式の出力結果を得る。
rE(k) =f2 -1(drE′(k))
c)その他の場合
ステップ270により転舵モータに働く摩擦力が動摩擦力から静止摩擦力に変わったと判定され、ステップ285の作用により次式の出力結果を得る。
rE(k)=FrE(k−1)
以上のように路面反力を推定することによって、電流検出誤差に起因する脈動が小さい路面反力推定値を算定することができ、かつ、減速機の摩擦に起因するオフセット誤差が小さい路面反力推定値を得ることができる。
図7に、制御装置1000の反力モータ制御部の制御ブロックダイヤグラムを例示する。目標トルク演算部1100では、上記の通りに算出された路面反力推定値FrEに基づいて、例えばマップなどのテーブル情報を用いて操舵トルクの目標値Th * を決定する。
トルク制御部1200は、検出された操舵トルクTh と上記の目標値Th * に基づいて、反力モータが出力すべきトルクの目標値uh * を算出する。この目標値uh * は、例えば本図7に例示する様な比例制御などによって求めることができる。
また、電流制御部1300では、反力モータに給電されている電流Ih と上記の目標値uh * を用いた比例積分制御によって、モータ駆動回路7が出力すべき目標電圧Vh * を算出する。
上記の路面反力推定値FrEは、例えばこの様に、反力モータの出力を路面反力に応じて最適に制御する場合に有効に利用することができる。
なお、転舵モータ10は、前述の通り論理的にはdq座標空間で電流制御されるが、この電流制御についても、周知のPDI制御やPI制御などを用いて、例えば図2や図8に例示する様に構成することができる。
〔その他の変形例〕
本発明の実施形態は、上記の形態に限定されるものではなく、その他にも以下に例示される様な変形を行っても良い。この様な変形や応用によっても、本発明の作用に基づいて本発明の効果を得ることができる。
(変形例1)
例えば、上記の実施例1では、転舵モータ10に3相のブラシレスDCモータを使用したが、本発明の脈動除去手段(例:図3の脈動除去部120)を当該装置100に備えない場合には、転舵モータ10は、必ずしもブラシレスDCモータである必要はない。即ち、転舵モータに例えばブラシ付きのDCモータなどを使用した場合にも、本発明のオフセット除去手段(例:図6のオフセット除去部130)の作用により、上記と同様のオフセット除去効果を得ることができる。
なお、上記の実施例では、ステアバイワイヤシステムに本願発明を適用する例を示したが、本発明は、ステアバイワイヤシステムにその用途が限定されるものではなく、車両のパワーステアリング装置やオートクルーズシステムなどにも利用することができる。
実施例1のステアバイワイヤシステムの論理的な構成図。 制御装置1000の制御ブロックダイヤグラム。 路面反力推定部100の制御ブロックダイヤグラム。 外乱オブザーバ110の制御ブロックダイヤグラム。 路面反力推定値FrEと外乱推定値drE′との関係を示すグラフ。 オフセット除去部130を実現する制御処理手順を例示するフローチャート。 制御装置1000の反力モータ制御部の制御ブロックダイヤグラム。 制御装置1000の転舵モータ制御部の制御ブロックダイヤグラム。
10 : 転舵モータ
100 : 路面反力推定装置
110 : 外乱オブザーバ
120 : 脈動除去部
130 : オフセット除去部
1000 : 制御装置

Claims (7)

  1. 転舵モータを用いて車両の転舵輪を転舵する操舵装置において路面反力を推定する路面反力推定装置において、
    前記転舵モータの角速度関連値と相電流に基づいて、前記転舵モータに作用する外乱を推定する外乱オブザーバと、
    前記転舵モータの前記角速度関連値に基づいて、前記転舵モータの電気角の回転周波数を決定し、その回転周波数の自然数倍の周波数をノッチ周波数として可変設定されるノッチフィルタを用いて、前記外乱の推定値が有する脈動を除去する脈動除去手段とを有する
    ことを特徴とする路面反力推定装置。
  2. 前記回転周波数の自然数倍の周波数が定められた下限値より小さい場合には、前記ノッチ周波数は、その下限値に設定されることを特徴とする請求項1に記載の路面反力推定装置。
  3. 転舵モータを用いて車両の転舵輪を転舵する操舵装置において路面反力を推定する路面反力推定装置において、
    前記転舵モータの角速度関連値と相電流に基づいて、
    前記転舵モータに作用する外乱を推定する外乱オブザーバと、
    前記外乱の推定値と前記転舵モータの角速度関連値の履歴に基づいて、
    前記外乱の推定値が有する零点誤差を除去するオフセット除去手段と
    を有する
    ことを特徴とする路面反力推定装置。
  4. 前記外乱の推定値と前記転舵モータの角速度関連値の履歴に基づいて、
    前記外乱の推定値が有する零点誤差を除去するオフセット除去手段と
    を有する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の路面反力推定装置。
  5. 前記オフセット除去手段は、
    前記転舵モータに係わる機械系から前記転舵モータが受ける摩擦力が、静止摩擦力であるか動摩擦力であるかを判定する判定手段を有し、
    前記零点誤差が除去された前記外乱の推定値を算出するための複数の演算式の中から、前記判定手段の判定結果に基づいて、用いるべき最適な演算式を択一的に選択する
    ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の路面反力推定装置。
  6. 前回の制御周期において前記摩擦力が静止摩擦力であると判定された場合に、
    前記オフセット除去手段は、
    もし、今回の制御周期における前記外乱の推定値が、前回の制御周期における前記零点誤差が除去された外乱推定値と動摩擦力との和よりも大きく、かつ、今回の制御周期における前記角速度関連値が所定の閾値ε1(≧0)よりも大きければ、或いは、
    もし、今回の制御周期における前記外乱の推定値が、前回の制御周期における前記零点誤差が除去された外乱推定値と動摩擦力との和よりも小さく、かつ、今回の制御周期における前記角速度関連値が所定の閾値ε2(≦0)よりも小さければ、
    前記摩擦力が静止摩擦力から動摩擦力に変化したと判定する
    ことを特徴とする請求項5に記載の路面反力推定装置。
  7. 前記オフセット除去手段は、
    前記摩擦力が静止摩擦力であると判定される期間中の、前記零点誤差が除去された外乱推定値として、前記摩擦力が動摩擦力であると最後に判定された制御周期において算出された、前記零点誤差が除去された外乱推定値を継続的に採用する
    ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の路面反力推定装置。
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