JP4940618B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体装置に関する。
現在、多くの電子機器に用いられている薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor,TFT)を含む電界効果型トランジスタ(FET)は、例えば、シリコン半導体基板あるいはシリコン半導体層に形成されたチャネル形成領域及びソース/ドレイン領域(ソース/ドレイン電極)、シリコン半導体基板表面あるいはシリコン半導体層表面に形成されたSiO2から成るゲート絶縁層、並びに、ゲート絶縁層を介してチャネル形成領域に対向して設けられたゲート電極から構成されている。あるいは又、支持体上に形成されたゲート電極、ゲート電極上を含む支持体上に形成されたゲート絶縁層、並びに、ゲート絶縁層上に形成されたチャネル形成領域及びソース/ドレイン領域(ソース/ドレイン電極)から構成されている。そして、これらの構造を有する電界効果型トランジスタの作製には、非常に高価な半導体製造装置が使用されており、製造コストの低減が強く要望されている。
そこで、近年、スピンコート法、印刷法、スプレー法に例示される真空技術を用いない方法に基づき製造が可能な有機半導体材料を用いたFETの研究、開発に注目が集まっている。例えば、有機半導体材料であるペンタセンの薄膜を蒸着法によって成膜することにて得られたチャネル形成領域にあっては、移動度が1cm2・V-1・秒-1を超えるFETの作製が可能であることが知られている。従って、ペンタセンの各種誘導体を用いれば、真空技術を用いずとも、優れた特性を示すFETが製造可能であるとの期待が大きい。
しかしながら、多くの電子機器に組み込まれることが要求されるが故に、FETには一層の高速動作が望まれている。そこで、有機半導体材料を用いたFETにおける移動度を改善するために、種々の検討がなされている。
例えば、国際公開第2004/006337A1には、導体又は半導体から成る微粒子と、この微粒子と結合した有機半導体分子とによって導電路が形成され、この導電路の導電性が電界によって制御されるように構成された半導体装置が開示されている。そして、このような微粒子と有機半導体分子とが結合して成る導電路といった構造を採用することで、導電路内の電荷移動が有機半導体分子の主鎖に沿った分子の軸方向で支配的に起こり、導電路には分子間の電子移動が含まれないため、従来の有機半導体の低い移動度の原因であった分子間の電子移動によって移動度が制限されることがなくなる。
国際公開第2004/006337A1
上述の国際公開に開示された半導体装置は高速動作といった特性面では優れているが、ソース−ドレイン間のオフ電流を一層低減する必要がある。即ち、一層高いオン/オフ比を達成すべく要望が高い。このようなソース−ドレイン間のオフ電流は、ゲート電圧が印加されていない状態においても、微粒子間にトンネル電流が流れていることに起因していると考えられる。
従って、本発明の目的は、簡便な方法で製造が可能であり、しかも、高い移動度、一層高いオン/オフ比を実現し得る半導体装置を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の半導体装置は、
(A)導体から成る第1の微粒子、
(B)第2の微粒子、並びに、
(C)第1の微粒子及び第2の微粒子と結合したリンカー分子、
から形成された導電路を有し、
該導電路の導電性は、該導電路に加えられる電界によって制御されることを特徴とする。
本発明の半導体装置において、導体から成る第1の微粒子は、1次元的、2次元的、若しくは、3次元的的に配置されている。そして、第1の微粒子間には、少なくとも1つの第2の微粒子が存在し(即ち、第1の微粒子間には、1つの第2の微粒子が存在している場合もあるし、複数の第2の微粒子が存在している場合もある)、更には、第1の微粒子と第2の微粒子との間にはこれら両方の微粒子に結合したリンカー分子が存在し、これによって導電路が形成されている。即ち、例えば、
・・・第1の微粒子=リンカー分子=第2の微粒子=リンカー分子=第1の微粒子=リンカー分子=第2の微粒子=リンカー分子=第1の微粒子・・・
というネットワーク構造が形成されている。尚、記号「=」を、微粒子とリンカー分子とが結合している状態を示すために用いる。以下においても同様である。
本発明の半導体装置においては、導電路に加えられる電界によって、第2の微粒子及びリンカー分子が導電性を示す構成とすることができる。
そして、この場合、第2の微粒子は量子ドットとして振る舞うことが好ましく、更には、第2の微粒子は半導体から成ることが一層好ましく、具体的には、第2の微粒子は、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、ガリウム砒素(GaAs)、酸化チタン(TiO2)、又は、シリコン(Si)から成ることが望ましい。あるいは又、第2の微粒子の平均粒径は、1nm乃至10nmであることが好ましい。以下、便宜上、半導体微粒子から成る第2の微粒子を、第2の微粒子[半導体]と呼ぶ場合がある。
一般的に、半径Rの微粒子のエネルギー準位は、
E ∝ h2/mR2
と表現することができる。ここで、hはプランク定数、mは電子の有効質量である。この式から半導体のバンドギャップは、微粒子の半径Rに対して、R-2に比例して大きくなることがわかる(所謂、量子ドット効果であり、図15の(B)参照)。通常、バルクの半導体材料のバンドギャップの値は1eV程度以上あり、微粒子のギャップ値はそれよりも大きな値を有している。そして、この値は、室温の熱ゆらぎエネルギー(25ミリeV)と比較しても十分に大きい。このように、第2の微粒子[半導体]の粒径を制御、規定することによって、第2の微粒子[半導体]のバンドギャップの値を制御することができ、云い換えれば、第2の微粒子[半導体]は量子ドットとして振る舞う(即ち、量子ドット効果を有する)と云える。
あるいは又、この場合、第2の微粒子はクーロン・ブロッケード効果を有することが好ましく、更には、第2の微粒子は金属若しくは合金から成ることが一層好ましく、具体的には、第2の微粒子は、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、又は、鉄(Fe)から成り、あるいは、これらの金属から構成された合金から成ることが望ましい。あるいは又、第2の微粒子の平均粒径は2nm以下であることが望ましい。以下、便宜上、半導体微粒子から成る第2の微粒子を、第2の微粒子[導体]と呼ぶ場合がある。
例えば、直径Rが1nm程度の金(Au)のナノ粒子を考えると、エネルギーバンドは離散化され、
E ∝ h2/mR2
と表現することができ、その準位間隔が100ミリeV程度になる。但し、このとき、クーロン反発力による帯電効果Uは0.4eV程度以上あり(尚、U ∝ q2/εRであり、εは誘電率である)、第2の微粒子[導体]の性質を決めるのはクーロン・ブロッケード効果が主になっている。そして、この値は、室温の熱ゆらぎエネルギー(25ミリeV)と比較しても十分に大きい。
本発明の半導体装置において、導電路に電流が流れるためには、導電路内を電荷が移動する必要があるが、その際の電荷の移動は、第2の微粒子を経由する。導電路に電界が加わっていない状態にあっては、第2の微粒子が半導体微粒子から成る場合(即ち、第2の微粒子[半導体]である場合)、第2の微粒子[半導体]はバンドギャップを有し、これが伝導障壁となって、電子の移動を妨げる。つまり、導電路に電界が加わっていない状態にあっては、第2の微粒子[半導体]、更には、導電路には、電流は流れない。一方、導電路に所定の値以上の電界が加わった状態になると、第2の微粒子[半導体]のエネルギーバンドが上下し、第1の微粒子からリンカー分子を介して流れてくる伝導キャリアのエネルギーと一致したところで、第1の微粒子間の電子の移動が許され、導電路に電流が流れる。一方、第2の微粒子が金属微粒子から構成され、且つ、平均粒径が第1の微粒子よりも小さい金属微粒子である場合(第2の微粒子[導体]である場合)、導電路に電界が加わっていない状態にあっては、第2の微粒子[導体]は粒径が小さいので、非常に大きなクーロン相互作用を有し、それが伝導障壁(クーロン・ブロッケード効果)となって、電子の移動を妨げる。つまり、導電路に電界が加わっていない状態にあっては、第2の微粒子[導体]、更には、導電路には、電流は流れない。一方、導電路に所定の値以上の電界が加わった状態になると、第1の微粒子からリンカー分子を介して流れてくる伝導キャリアのエネルギーがクーロン障壁エネルギーと一致したところで、第2の微粒子[導体]を経由した第1の微粒子間の電子の移動が許され、導電路に電流が流れる。
以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明の半導体装置にあっては、リンカー分子は、有機半導体分子から成ることが好ましく、あるいは又、リンカー分子は、導電性を有する線状の分子から成ることが好ましい。
リンカー分子を有機半導体分子から構成する場合、有機半導体分子は、共役結合を有する有機半導体分子であって、分子の両端に、チオール基(−SH)、アミノ基(−NH2)、イソシアノ基(−NC)、シアノ基(−CN)、チオアセチル基(−SCOCH3)、又は、カルボキシ基(−COOH)を有する構成とすることができる。尚、有機半導体分子の両端に位置する官能基は異なっていてもよい。
具体的には、有機半導体分子として、例えば、構造式(1)の4,4’−ビフェニルジチオール(BPDT)、構造式(2)の4,4’−ジイソシアノビフェニル、構造式(3)の4,4’−ジイソシアノ−p−テルフェニル、及び構造式(4)の2,5−ビス(5’−チオアセチル−2’−チオフェニル)チオフェン、構造式(5)の4,4’−ジイソシアノフェニル、構造式(6)のベンジジン(ビフェニル−4,4'−ジアミン)、構造式(7)のTCNQ(テトラシアノキノジメタン)、構造式(8)のビフェニル−4,4'−ジカルボン酸、構造式(9)の1,4−ジ(4−チオフェニルアセチリニル)−2−エチルベンゼン、構造式(10)の1,4−ジ(4−イソシアノフェニルアセチリニル)−2−エチルベンゼン、あるいは、Bovine Serum Albumin、Horse Radish Peroxidase、antibody-antigen を例示することができる。これらは、いずれも、π共役系分子であって、少なくとも2箇所のそれぞれで、第1の微粒子及び第2の微粒子と化学的に結合する官能基を有していることが好ましい。
構造式(1):4,4’−ビフェニルジチオール
Figure 0004940618
構造式(2):4,4’−ジイソシアノビフェニル
Figure 0004940618
構造式(3):4,4’−ジイソシアノ−p−テルフェニル
Figure 0004940618
構造式(4):2,5−ビス(5’−チオアセチル−2’−チオフェニル)チオフェン
Figure 0004940618
構造式(5):4,4’−ジイソシアノフェニル
Figure 0004940618
構造式(6):ベンジジン(ビフェニル−4,4'−ジアミン)
Figure 0004940618
構造式(7):TCNQ(テトラシアノキノジメタン)
Figure 0004940618
構造式(8):ビフェニル−4,4'−ジカルボン酸
Figure 0004940618
構造式(9):1,4−ジ(4−チオフェニルアセチリニル)−2−エチルベンゼン
Figure 0004940618
構造式(10):1,4−ジ(4−イソシアノフェニルアセチリニル)−2−エチルベンゼン
Figure 0004940618
また、有機半導体分子として、構造式(11)で表されるデンドリマーも用いることができる。
構造式(11):デンドリマー
Figure 0004940618
上述したとおり、有機半導体分子が両端に有する官能基のそれぞれは、第1の微粒子及び第2の微粒子と化学的に結合していることが好ましい。そして、この場合、有機半導体分子が両端に有する官能基によって、第1の微粒子、有機半導体分子、第2の微粒子が化学的に結合することで、ネットワーク状の導電路が構築されていることが好ましく、更には、第1の微粒子、有機半導体分子、第2の微粒子の結合体の単一層によって導電路が構成されていることが好ましい。あるいは又、この場合、有機半導体分子が両端に有する官能基によって、第1の微粒子、有機半導体分子、第2の微粒子が3次元的に化学的に結合することで、ネットワーク状の導電路が構築されていることが好ましく、更には、第1の微粒子、有機半導体分子、第2の微粒子の結合体の積層構造によって導電路が構成されていることが好ましい。そして、このようにネットワーク状の導電路を構築することで、しかも、有機半導体分子に電界が加えられることによって、導電路内の電荷移動が、有機半導体分子の主鎖に沿った分子の軸方向で支配的に起こる構造となる結果、分子の軸方向の移動度、例えば非局在化したπ電子による高い移動度を最大限に利用することができ、先に述べたように、第2の微粒子を介した電荷の移動メカニズムと相まって、高い移動度を実現しつつ、高いオン/オフ比を有する半導体装置を実現することが可能となる。
導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子も、その両端に、チオール基(−SH)、アミノ基(−NH2)、イソシアノ基(−NC)、シアノ基(−CN)、チオアセチル基(−SCOCH3)、又は、カルボキシ基(−COOH)を有する構成とすることができる。尚、有機半導体分子の両端に位置する官能基は異なっていてもよい。
導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子が両端に有する官能基のそれぞれも、第1の微粒子及び第2の微粒子と化学的に結合していることが好ましい。そして、この場合、導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子が両端に有する官能基によって、第1の微粒子、導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子、第2の微粒子が化学的に結合することで、ネットワーク状の導電路が構築されていることが好ましく、更には、第1の微粒子、導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子、第2の微粒子の結合体の単一層によって導電路が構成されていることが好ましい。あるいは又、この場合、導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子が両端に有する官能基によって、第1の微粒子、導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子、第2の微粒子が3次元的に化学的に結合することで、ネットワーク状の導電路が構築されていることが好ましく、更には、第1の微粒子、導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子、第2の微粒子の結合体の積層構造によって導電路が構成されていることが好ましい。そして、このようにネットワーク状の導電路を構築することで、先に述べたように、電界に応じて、導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子に挟まれた第2の微粒子に電荷の流れが生じ、導電路内の電荷移動が実現する。
あるいは又、第1の微粒子に化学的に結合した第1のリンカー分子と、第2の微粒子に化学的に結合した第2のリンカー分子とが化学的に結合することによって、リンカー分子が構成されてもよい。尚、第1のリンカー分子の一端が有し、第1の微粒子に化学的に結合する官能基をXL1と呼び、第1のリンカー分子の他端が有し、第2のリンカー分子に化学的に結合する官能基をYL1と呼ぶ。また、第2のリンカー分子の一端が有し、第2の微粒子に化学的に結合する官能基をXL2と呼び、第2のリンカー分子の他端が有し、第1のリンカー分子に化学的に結合する官能基をYL2と呼ぶ。(第1のリンカー分子,XL1,YL1,第2のリンカー分子,XL2,YL2)の組合せとして、リンカー分子が有機半導体分子から構成される場合、以下のa群に挙げた分子とb群に挙げた分子との任意の組合せを挙げることができる。
Figure 0004940618
以上に説明したとおり、第1の微粒子、リンカー分子、第2の微粒子から構成された導電路におけるネットワーク構造として、以下の4つのケースを挙げることができる。
[1]・・・第1の微粒子=有機半導体分子から成るリンカー分子=第2の微粒子[半導体]=有機半導体分子から成るリンカー分子=第1の微粒子=有機半導体分子から成るリンカー分子=第2の微粒子[半導体]=有機半導体分子から成るリンカー分子=第1の微粒子・・・・・
[2]・・・第1の微粒子=有機半導体分子から成るリンカー分子=第2の微粒子[導体]=有機半導体分子から成るリンカー分子=第1の微粒子=有機半導体分子から成るリンカー分子=第2の微粒子[導体]=有機半導体分子から成るリンカー分子=第1の微粒子・・・・・・・
[3]・・・第1の微粒子=導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子=第2の微粒子[半導体]=導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子=第1の微粒子=導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子=第2の微粒子[半導体]=導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子=第1の微粒子・・・・・・・・・
[4]・・・第1の微粒子=導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子=第2の微粒子[導体]=導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子=第1の微粒子=導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子=第2の微粒子[導体]=導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子=第1の微粒子・・・・・・・・・・・
更には、以上の好ましい形態、構成を含む本発明の半導体装置にあっては、第1の微粒子の平均粒径は、2nm乃至10nmであることが好ましく、また、第1の微粒子は、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、又は、鉄(Fe)から成り、あるいは、これらの金属から構成された合金から成ることが望ましい。第1の微粒子の電気伝導度は、第1の微粒子を構成する金属あるいは合金がバルク状であるときの電気伝導度と同程度であることが望ましい。
リンカー分子と結合する前の第1の微粒子の表面は、絶縁性の第1の保護膜で覆われていることが好ましく、これによって、導電路の形成において第1の微粒子を含む溶液を用いる場合、第1の微粒子同士が溶媒中で凝集することが無くなるし、導電路内に存在する第1の微粒子間に、トンネル電流が所定の量以上、流れることが無くなる(図15の(A)の概念図参照)。第1の保護膜を構成する分子は第1の微粒子に対して結合しているが、その結合力の大小が、第1の保護膜によって被覆されている第1の微粒子(実際には、第1の保護膜によって被覆されている第1の微粒子の集合体あるいはクラスター)を製造する際の集合体(クラスター)の最終的な径分布に大きく影響する。第1の保護膜を構成する絶縁性の有機分子の一端には、第1の微粒子と化学的に反応(結合)する官能基(便宜上、官能基X1と呼ぶ)を有することが好ましい。例えば、官能基X1としてチオール基(−SH)を挙げることができ、このチオール基を末端に持つ分子の1つとしてアルカンチオール[例えば、ドデカンチオール(C1225SH)]を挙げることができる。ドデカンチオールのチオール基が金等の微粒子と結合すると、水素原子が離脱してC1225S−Auとなると考えられている。あるいは又、ネットワーク構造を構築する際にリンカー分子による置換が必要な場合は、第1の保護膜を構成する絶縁性の有機分子として、アルキルアミン分子[例えば、ドデシルアミン(C1225NH2)]を挙げることもできる。第1の保護膜を構成する絶縁性の有機分子の他端に有する官能基(便宜上、官能基Y1と呼ぶ)は、一端における官能基X1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
リンカー分子と結合する前の第2の微粒子の表面も、絶縁性の第2の保護膜で覆われていることが好ましく、これによって、導電路の形成において第2の微粒子を含む溶液を用いる場合、第2の微粒子同士が溶媒中で凝集することが無くなる。第2の保護膜を構成する絶縁性の有機分子の一端には、第2の微粒子と化学的に反応(結合)する官能基(便宜上、官能基X2と呼ぶ)を有することが好ましい。例えば、官能基X2としてチオール基(−SH)を挙げることができ、このチオール基を末端に持つ分子の1つとしてアルカンチオール[例えば、ドデカンジチオール(C122422)]を挙げることができる。ドデカンジチオールのチオール基が金等の微粒子と結合すると、水素原子が離脱してC12252−Au2となると考えられている。あるいは又、第2の保護膜を構成する絶縁性の有機分子として、アルキルアミン分子[例えば、アミノドデカンジチオール(C1224NH2SH)]を挙げることもできる。第2の保護膜を構成する絶縁性の有機分子の他端に有する官能基(便宜上、官能基Y2と呼ぶ)は、一端における官能基X2と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第1の微粒子、第2の微粒子の平均粒径をr1-AVE、r2-AVE、係る微粒子の粒径の標準偏差をσ1、σ2としたとき、σ1/r1-AVE≦0.5、σ2/r2-AVE≦0.5を満足することが好ましい。また、第1の微粒子、第2の微粒子の形状として球形を挙げることができるが、これに限るものではなく、例えば球形の他に、三角形、四面体、立方体、直方体、円錐、円柱等を挙げることができる。尚、微粒子の形状が球形以外の場合の微粒子の平均粒径は、球形以外の微粒子の測定された体積と同じ体積を有する球を想定し、係る球の直径の平均値を微粒子の平均粒径とすればよい。
本発明の半導体装置において、第1の微粒子は略規則性をもって配列していること、より具体的には、第1の微粒子の2次元規則配列を達成することが、半導体装置の性能向上のために好ましい。そして、第1の微粒子の2次元規則配列(第1の微粒子が、下地の表面と略平行な面内において2次元的に規則的に、且つ、充填状態にて配列されていること)を達成するために、サイズばらつきが少ない、粒径の揃った第1の微粒子を用いることが好ましく、これによって、第1の微粒子の2次元ネットワークを、広い範囲において、且つ、長距離秩序を有する形態で達成することができる。
更には、これに加えて、第1の微粒子を含む溶液(例えば、微粒子コロイド溶液)から成る薄膜を下地上に形成した後、薄膜に含まれる溶媒を蒸発させることが、第1の微粒子を最密充填にて配列させ得るといった観点から好ましい。そして、この場合、薄膜に含まれる溶媒を蒸発させる工程において、蒸発速度を制御しながら薄膜に含まれる溶媒を蒸発させることが望ましい。あるいは又、この場合、第1の微粒子を含む溶液から成る薄膜を形成する前に、下地の表面処理を行うことが望ましい。あるいは又、この場合、第1の微粒子を含む溶液から成る薄膜を形成する工程において、第1の微粒子を含む溶液と下地との間の濡れ性を制御することが望ましい。第1の微粒子を含む溶液から成る薄膜を形成する方法として、浸漬法;キャスティング法;スピンコート法;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法といった各種印刷法を例示することができる。
あるいは又、第1の微粒子を含む溶液に基づき薄膜を成膜した後、この薄膜を下地上に転写することが、第1の微粒子を最密充填にて配列させるといった観点から好ましい。より具体的には、水面に第1の微粒子を含む溶液に基づき薄膜を成膜した後、薄膜に含まれる溶媒を蒸発させることで形成した第1の微粒子を含む薄膜を、下地上に転写する工程から成ることが好ましく、更には、薄膜に含まれる溶媒を蒸発させる工程において、蒸発速度を制御しながら薄膜に含まれる溶媒を蒸発させることが、一層好ましい。
また、第1の微粒子を配列させた後、第2の微粒子及びリンカー分子を含む溶液(第2の微粒子とリンカー分子とは結合している)に浸漬する工程を少なくとも1回行うことによって、第1の微粒子、リンカー分子、第2の微粒子を結合させることが好ましい。即ち、例えば、第1の微粒子を、下地の表面と略平行な面内において2次元的に規則的に、且つ、充填状態にて配列させた後、第2の微粒子及びリンカー分子を含む溶液に浸漬すると、例えば、リンカー分子が、第1の微粒子の表面を被覆している第1の保護膜を構成する有機分子と置換される結果、第1の微粒子とリンカー分子との化学的な結合体が形成される。尚、1回の操作を行うことによって結合体の単一層を形成することができるし、2回以上、操作を繰り返すことで結合体の積層構造を形成することができる。
上述したとおり、第1の微粒子は充填状態にて配列されていることが好ましく、第1の微粒子は最密充填状態にて配列されていることが一層好ましい。ここで、より具体的には、「第1の微粒子は充填状態にて配列されている」とは、例えば、第1の微粒子、リンカー分子、第2の微粒子から成る導電路が、例えば少なくともソース/ドレイン電極間に形成される程度に、第1の微粒子が配列している状態を云う。多少の空乏、格子の欠陥等があってもよいことは云うまでもない。「第1の微粒子が最密充填状態にて配列されている」とは、第1の微粒子を剛体とみなしたとき、その2次元平面、あるいは、3次元空間を物理的に占め得る最大の密度で規則的に配列している状態を云う。但し、ここでは、第1の微粒子間には第1の保護膜が存在するため、第1の微粒子同士は接触していない。隣り合う第1の微粒子間の表面間距離は、第1の保護膜の厚さ(第1の保護膜を構成する分子の長軸方向の長さ)の2倍、あるいは、それ以上である。
平滑な下地上での第1の微粒子自身による自己組織化現象を積極的に利用して、2次元規則配列化を達成させるためには、上述したとおり、微粒子コロイド溶液を下地上に滴下した際の微粒子コロイド溶液中に含まれる溶媒の蒸発条件、及び、第1の微粒子のサイズばらつきの度合いは、非常に重要な因子である。溶媒の蒸発速度が早すぎると、自己組織化による2次元規則配列化が達成される前に、第1の微粒子がその場に取り残されてしまい、下地上を自由に動けなくなってしまう。一方、第1の微粒子のサイズがまちまちだと、2次元配列に空隙ができ、最密充填にはならない。尚、「第1の微粒子を最密充填に並べること」と、「その並び方に秩序性を持たせること」は同じことではない。
第1の微粒子を金ナノ粒子から構成する場合を例にとり、以下、説明を行うが、第1の微粒子は金ナノ粒子に限定するものではない。
《第1の微粒子の下地への塗布》
金ナノ粒子の塗布法に関しては、金ナノ粒子を溶媒に分散させたコロイド溶液(以下、金ナノ粒子コロイド溶液と呼ぶ)を下地上に滴下して、溶媒が蒸発するときに、金ナノ粒子間に働く横毛管力による自己組織化現象を利用して2次元規則配列を達成する手法(キャスティング法)が古くから採られてきた。このキャスティング法は、プロセスが非常に簡便である反面、溶媒の蒸発速度が早すぎると、金ナノ粒子の自己組織化の速度を溶媒の蒸発速度が上回ってしまうため、金ナノ粒子がその場に取り残されてしまい、結果として金ナノ粒子の分布にムラができてしまうといった難点がある。
第1の微粒子を、下地の表面と略平行な面内において2次元的に規則的に、且つ、充填状態にて配列する工程(微粒子配列・充填工程)は、第1の微粒子を含む溶液から成る薄膜を下地上に形成した後(即ち、キャスティング法を実行した後)、薄膜に含まれる溶媒を蒸発させる工程から成り、薄膜に含まれる溶媒を蒸発させる工程においては、蒸発速度を制御しながら薄膜に含まれる溶媒を蒸発させる。また、第1の微粒子を含む溶液から成る薄膜を形成する前に、下地の表面処理を行う。更には、第1の微粒子を含む溶液から成る薄膜を形成する工程において、第1の微粒子を含む溶液と下地との間の濡れ性を制御する。
例えば、金ナノ粒子コロイド溶液に蒸気圧の低い有機物を混合することで、溶媒の蒸発速度を制御する(遅くする)(X. M. Lin, et al., J. Phys. Chem. B, 2001, 105, 3353 参照)。具体的には、例えば、アルキルアミン分子(例えば、ドデシルアミン)あるいはアルカンチオール分子(例えば、ドデカンチオール)から成る層によって表面が覆われた金ナノ粒子コロイド溶液(溶媒:トルエン)を用いる場合、ドデカンチオールのようなトルエンに溶解し、且つ、蒸発し難い有機物を金ナノ粒子コロイド溶液に混入させることにより、金ナノ粒子コロイド溶液における溶媒蒸発速度を遅くすることができる。
あるいは又、溶媒の蒸気を満たした閉空間(シャーレ等)内でキャスティング法を実行することで第1の微粒子を含む溶液から成る薄膜を下地上に形成した後(即ち、キャスティング法を実行した後)、薄膜に含まれる溶媒を蒸発させる。この工程において蒸発速度を制御しながら薄膜に含まれる溶媒を蒸発させることができるので、第1の微粒子を下地上に密に詰まった状態にて配置させることもできる。
あるいは又、場合によっては、単純なキャスティング法ではなく、リソグラフィ技術等によって下地表面に凹部を予め形成しておき、この凹部を含む下地表面に第1の微粒子を含む溶液を滴下させ、溶媒を蒸発させる方法、あるいは、下地表面に置かれたOリング等によって囲まれた下地表面部分に第1の微粒子を含む溶液を滴下させ、溶媒を蒸発させる方法を採用することもできる(N. D. Denkov, et al., Langmuir, 1992, 8, 3183 参照)。これらの方法を採用することで、一般的に見られる液滴の周辺部からの溶媒の蒸発とは異なり、中心部から溶媒の蒸発が始まる結果、均一なナノ粒子単層膜を形成することが可能となる。
あるいは又、微粒子配列・充填工程は、第1の微粒子を含む溶液に基づき薄膜を成膜した後、該薄膜を下地上に転写する工程、即ち、所謂LB(Langmuir-Blodgett)法に類似した方法から構成してもよい。即ち、親水性溶媒(例えば水)上に疎水性表面を有する第1の微粒子を単層で2次元規則配列を有するように浮かべ、あるいは、これとは逆に、疎水性溶媒上に親水性表面を有する第1の微粒子を含むを単層で2次元規則配列を有するように浮かべ、それをLB法のように下地上に転写する方法を採用してもよい(V. Santhanam, et al., Langmuir, 2003, 19, 7881 参照)。
一例として、平均粒径10nmの、疎水性表面を有する金ナノ粒子を用いて、LB法に類似した方法により、即ち、水面に金ナノ粒子を含む溶液に基づき薄膜を成膜した後、薄膜に含まれる溶媒(具体的にはトルエン)を蒸発させることで形成した金ナノ粒子薄膜を、下地上に転写した。このとき、蒸発速度を制御しながら薄膜に含まれる溶媒を蒸発させた。具体的には、蒸発速度の制御は、水を入れた容器にガラス板で蓋をしてガラス板の隙間から金ナノ粒子を含む溶液を滴下することにより行った。このとき、水面と蓋の距離が約5mmになるように水の量を調節した。25cm×15cmの大きさの容器を用いた場合、50マイクロリットルのナノ粒子溶液を滴下すると、薄膜に含まれる溶媒は30秒〜1分ほどの時間で蒸発した。
キャスティング法における溶媒蒸発の際に、より効果的に自己組織化を促進させる2つの手段を、以下、説明する。
[下地の表面処理]
第1の手段は、下地と第1の微粒子との相互作用を考慮した手段である。自己組織化によって第1の微粒子の2次元様の構造を形成させる際、第1の微粒子と下地との相互作用が重要となる。第1の微粒子の表面状態は、主にその表面を覆っている層を構成する分子の性質によって決定される。それ故、様々な層を有する第1の微粒子、例えば表面に疎水性を有する層(層を構成する分子が例えばアルキル基を有するもの)が形成された第1の微粒子を用い、あるいは、表面に親水性を有する層(層を構成する分子が、例えばカルボキシ基、アミノ基あるいは水酸基を有するもの)が形成された第1の微粒子を用い、更には、第1の微粒子を含む溶液から成る薄膜を形成する前に下地の表面処理を行うことで下地の表面状態を最適化し、第1の微粒子及び下地の振る舞いを変えることができ、キャスティング法の実行に最も適した条件を得ることが可能となる(T. Teranishi, et al., Adv. Mater., 2001, 13, 1699 参照)。ここで、SiO2から成る下地の表面を親水化処理する場合、プラズマアッシング処理や、ピランハ溶液処理、酸素プラズマ処理、UV−オゾン処理による水酸基の導入を挙げることができる。一方、SiO2から成る下地の表面を疎水化処理する場合、例えば、末端に疎水基を有する処理剤(例えば、ヘキサメチルジシラザン[(CH33SiNHSi(CH33]、オクタデシルトリクロロシラン[C1837SiCl3])による表面処理を行えばよい。


[第1の微粒子を含む溶液と下地との間の濡れ性の制御]
第2の手段は、第1の微粒子を含む溶液と下地との間の濡れ性を制御することである。下地に対して溶液中の溶媒の濡れ性が良ければ溶媒は下地上を広がり、濡れ性が悪ければ溶媒は集まる。一般的に溶媒が下地に対してより広い範囲に広がった方が、下地上に第1の微粒子を含む溶液から成る薄膜を形成した後、広い面積の薄膜の全体から溶媒が均一に蒸発する。濡れ性は、異なる溶媒を混合し、その混合比率を調整することにより、変化させることができ、これによって、下地上に第1の微粒子を並べるのに最も適した濡れ性を得ることが可能となる。例えば、SiO2から成る下地上に第1の微粒子のトルエン溶液をキャスティング法にて塗布し、第1の微粒子を含む溶液から成る薄膜を下地上に形成する場合、第1の微粒子のトルエン溶液にエタノールを或る程度混合したとき、溶液が最も下地上で広がる。
本発明にあっては、第1の微粒子が下地の表面と略平行な面内において2次元的に規則的に配列されている場合、より具体的には、このような2次元的に規則配列した層が、単層であっても、3次元的な最密充填状態で多層に存在していてもよい。「2次元的に規則的に配列されている」とは、少なくとも概ね第1の微粒子1層分の厚みの空間内に粒径の揃った第1の微粒子が充填状態で、好ましくは最密充填状態で、配列していることを意味する。尚、「下地の表面と略平行な面内」とは、下地の製造方法等によって下地の表面に微小凹凸が存在する場合、係る微小凹凸に対して実質的に平行であることを意味する。
あるいは又、下地の配列状態に基づき、第1の微粒子を略規則性をもって配列させることが好ましく、この場合、下地を微粒子から構成し、この下地を構成する微粒子(以下、下地構成微粒子と呼ぶ)を略規則性をもって配列させることが好ましい。下地構成微粒子を略規則性をもって配列させるための方法として、電着法、スピンコート法、キャスティング法、移流集積法(A. S. Dimitrov et al., Langmuir, 10, 432(1994)参照)、LB(Langmuir-Blodgett)法に類似した方法[親水性溶媒(例えば水)上に疎水性表面を有する下地構成微粒子を単層で2次元規則配列を有するように浮かべ、あるいは、これとは逆に、疎水性溶媒上に親水性表面を有する下地構成微粒子を単層で2次元規則配列を有するように浮かべ、それをLB法のように転写する方法(V. Santhanam, et al., Langmuir, 2003, 19, 7881 参照)]を挙げることができる。
ここで、下地構成微粒子が略規則性をもって配列されているとは、下地構成微粒子が、正三角形の頂点に位置するように密に配列され、あるいは又、正方形の頂点に位置するように密に配列されていることを意味する。下地構成微粒子の全てが規則性をもって配列されるとは限られないので、即ち、多少の空乏、格子の欠陥等があってもよいことは云うまでもないので、「略」規則性をもって配列されると表現している。
また、第1の微粒子が略規則性をもって配列されているとは、下地構成微粒子が正三角形の頂点に位置するように密に配列されている場合、この正三角形の中心を通る法線上に第1の微粒子が位置することを意味する。そして、この場合には、第1の微粒子は、第1の微粒子によって形成される正三角形の頂点に位置し、あるいは又、第1の微粒子によって形成される正六角形の頂点に位置する。一方、下地構成微粒子が正方形の頂点に位置するように密に配列されている場合、この正方形の中心を通る法線上に第1の微粒子が位置することを意味する。そして、この場合には、第1の微粒子は、第1の微粒子によって形成される正方形の頂点に位置する。第1の微粒子の全てが規則性をもって配列されるとは限られないので、即ち、多少の空乏、格子の欠陥等があってもよいことは云うまでもないので、「略」規則性をもって配列されると表現している。
このように、下地構成微粒子が略規則性をもって配列されて成る下地を、所謂テンプレートとして用いることで、第1の微粒子の2次元規則配列化を達成することができる。従って、第1の微粒子間の距離にバラツキが生じ難い。
以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明の半導体装置として、チャネル形成領域、ソース/ドレイン電極、ゲート絶縁層及びゲート電極を有する電界効果型トランジスタから成り、導電路によってチャネル形成領域が構成されており、導電路の導電性は、ゲート電極に印加される電圧によって生成された電界によって制御される構成を挙げることができる。
ここで、本発明の半導体装置の具体的な構造として、
(A)支持体上に形成されたソース/ドレイン電極、
(B)ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間に位置する支持体の部分の上に形成されたチャネル形成領域、
(C)全面に形成されたゲート絶縁層、並びに、
(D)ゲート絶縁層上に、チャネル形成領域と対向して形成されたゲート電極、
を挙げることができる。
あるいは又、本発明の半導体装置の具体的な構造として、
(A)支持体上に形成されたゲート電極、
(B)ゲート電極及び支持体上に形成されたゲート絶縁層、
(C)ゲート絶縁層上に形成されたソース/ドレイン電極、並びに、
(D)ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間に位置するゲート絶縁層の部分の上に、ゲート電極と対向して形成されたチャネル形成領域、
を挙げることができる。
本発明の半導体装置にあっては、支持体として、各種ガラス基板や、表面に絶縁層が形成された各種ガラス基板、石英基板、表面に絶縁層が形成された石英基板、表面に絶縁層が形成されたシリコン基板を挙げることができるし、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)に例示される有機ポリマー(高分子材料から構成された可撓性を有するプラスチック・フィルムやプラスチック・シート、プラスチック基板といった高分子材料の形態を有する)を挙げることができ、あるいは又、雲母を挙げることができる。このような可撓性を有する高分子材料から構成された支持体を使用すれば、例えば曲面形状を有する電子機器への半導体装置の組込みあるいは一体化が可能となる。あるいは又、支持体として、表面に、酸化ケイ素系材料(例えば、SiOXやスピンオンガラス(SOG));窒化ケイ素(SiNY);酸化アルミニウム(Al23);金属酸化物高誘電絶縁膜が形成された材料を挙げることもできる。更には、その他、導電性基板(金等の金属、高配向性グラファイトから成る基板)を挙げることができる。
ゲート絶縁層を構成する材料として、酸化ケイ素(SiOX)、窒化ケイ素(SiNY)、SiOX/SiNY、SiON、SiOX/SiON、酸化アルミニウム(Al23)等の高絶縁性金属酸化物、高絶縁性金属窒化物、あるいは、これらの微粒子といった無機系絶縁材料;ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)やポリビニルフェノール(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスチレン等、あるいは、これらの微粒子といった有機系絶縁材料;N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(AEAPTMS)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)等のシラノール誘導体(シランカップリング剤);オクタデカンチオール、ドデシルイソシアネイト等の、金属から成る第1の微粒子と結合可能な官能基を一端に有する直鎖炭化水素類、あるいは、両端に官能基を有し、且つ、少なくとも一端はチャネル形成領域を構成する材料と結合可能な官能基である直鎖炭化水素類を挙げることができるし、これらの組み合わせを用いることもできる。更には、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SOG(スピンオングラス)、低誘電率SiO2系材料(例えば、ポリアリールエーテル、シクロパーフルオロカーボンポリマー及びベンゾシクロブテン、環状フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボン、有機SOG)といった酸化ケイ素系材料を例示することもできる。
ゲート絶縁層の形成方法として、ゲート絶縁層を構成する材料にも依るが、物理的気相成長法(PVD法);MOCVD法を含む各種の化学的気相成長法(CVD法);スピンコート法;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法といった各種印刷法;エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、スリットオリフィスコーター法、カレンダーコーター法、浸漬法といった各種コーティング法;スタンプ法;キャスティング法;ゾル−ゲル法;電着法;シャドウマスク法;及び、スプレー法の内のいずれかを挙げることができる。あるいは又、ゲート絶縁層は、ゲート電極の表面を酸化あるいは窒化することによって形成することができるし、ゲート電極の表面に酸化膜や窒化膜を成膜することで得ることもできる。ゲート電極の表面を酸化する方法として、ゲート電極を構成する材料にも依るが、O2プラズマを用いた酸化法、陽極酸化法を例示することができる。また、ゲート電極の表面を窒化する方法として、ゲート電極を構成する材料にも依るが、N2プラズマを用いた窒化法を例示することができる。あるいは又、例えば、Au電極に対しては、一端をメルカプト基で修飾された直鎖状炭化水素のように、ゲート電極と化学的に結合を形成し得る官能基を有する絶縁性分子によって、浸漬法等の方法で自己組織的にゲート電極表面を被覆することで、ゲート電極の表面に絶縁膜を形成することもできる。
本発明の半導体装置において、ゲート電極やソース/ドレイン電極、各種の配線を構成する材料として、白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、銅(Cu)、チタン(Ti)、インジウム(In)、錫(Sn)等の金属、あるいは、これらの金属元素を含む合金、これらの金属から成る導電性粒子、これらの金属を含む合金の導電性粒子、不純物を含有したポリシリコン等の導電性物質を挙げることができるし、これらの元素を含む層の積層構造とすることもできる。更には、ゲート電極やソース/ドレイン電極、各種の配線を構成する材料として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸[PEDOT/PSS]といった有機材料(導電性高分子)を挙げることもできる。
ゲート電極やソース/ドレイン電極、配線の形成方法として、これらを構成する材料にも依るが、PVD法;MOCVD法を含む各種のCVD法;スピンコート法;上述した各種印刷法;上述した各種コーティング法;スタンプ法;キャスティング法;ゾル−ゲル法;電着法;シャドウマスク法;リフトオフ法;電解メッキ法や無電解メッキ法あるいはこれらの組合せといったメッキ法;及び、スプレー法の内のいずれかと、必要に応じてパターニング技術との組合せを挙げることができる。尚、物理的気相成長法(PVD法)として、(a)電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着等の各種真空蒸着法、(b)プラズマ蒸着法、(c)2極スパッタリング法、直流スパッタリング法、直流マグネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、バイアススパッタリング法等の各種スパッタリング法、(d)DC(direct current)法、RF法、多陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法を挙げることができる。
本発明の半導体装置を、ディスプレイ装置や各種の電子機器に適用、使用する場合、支持体に多数の半導体装置を集積したモノリシック集積回路としてもよいし、各半導体装置を切断して個別化し、ディスクリート部品として使用してもよい。また、半導体装置を樹脂にて封止してもよい。
本発明の半導体装置にあっては、導電路は、例えば、・・・第1の微粒子=リンカー分子=第2の微粒子=リンカー分子=第1の微粒子=リンカー分子=第2の微粒子=リンカー分子=第1の微粒子・・・というネットワーク構造から構成されている。そして、導電路の導電性は、導電路を構成する第2の微粒子及びリンカー分子に加えられる電界によって制御される。即ち、第2の微粒子及びリンカー分子に電界が加えられていない状態にあっては、第2の微粒子及びリンカー分子は電流を流さない。一方、第2の微粒子及びリンカー分子に電界が加えられている状態にあっては、第2の微粒子及びリンカー分子は電流を流す。従って、・・・微粒子=リンカー分子=微粒子=リンカー分子=微粒子=リンカー分子=微粒子=リンカー分子=微粒子・・・というネットワーク構造から構成されている導電路よりも、高いオン/オフ比を実現し得る半導体装置を提供することができる。
また、第1の微粒子と第2の微粒子とがリンカー分子を介して結びついて導電路が形成されているので、ネットワーク状の導電路を、同様に、簡便なプロセスで形成することができる。そして、導電路には分子間の電子移動が含まれないため、従来の有機半導体材料を用いた半導体装置における低い移動度の原因であった分子間の電子移動によって移動度が制限されることがない。また、導電路は、常圧下で200゜C以下の低温プロセスで一層毎に形成することが可能であるが故に、所望の厚さを有する導電路を容易に形成でき、低コストで半導体装置を作製できる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の半導体装置に関し、より具体的には、薄膜トランジスタ(TFT)に関する。
実施例1の半導体装置は、図1、図2に概念図を示すように、導体から成る第1の微粒子10、第2の微粒子20、並びに、第1の微粒子10及び第2の微粒子20と結合したリンカー分子30から形成された導電路1を有する。そして、導電路1の導電性は、導電路1を構成する第2の微粒子20及びリンカー分子30に加えられる電界によって制御される。ここで、導電路1に加えられる電界によって、第2の微粒子20及びリンカー分子30は導電性を示す。
より具体的には、実施例1の半導体装置は、図7の(C)、あるいは、図8の(C)に模式的な一部断面図を示すように、
(A)支持体50上に形成されたソース/ドレイン電極54、
(B)ソース/ドレイン電極54とソース/ドレイン電極54との間に位置する支持体50の部分の上に形成されたチャネル形成領域53、
(C)全面に形成されたゲート絶縁層52、並びに、
(D)ゲート絶縁層52上に、チャネル形成領域53と対向して形成されたゲート電極51、
から成る。
あるいは又、実施例1の半導体装置は、図9の(C)、あるいは、図10の(B)に模式的な一部断面図を示すように、
(A)支持体50上に形成されたゲート電極51、
(B)ゲート電極51及び支持体50上に形成されたゲート絶縁層152、
(C)ゲート絶縁層152上に形成されたソース/ドレイン電極54、並びに、
(D)ソース/ドレイン電極54とソース/ドレイン電極54との間に位置するゲート絶縁層152の部分の上に、ゲート電極51と対向して形成されたチャネル形成領域53、
から成る。
そして、導電路1によってチャネル形成領域53が構成されており、導電路1の導電性は、ゲート電極51に印加される電圧によって生成された電界によって制御される。
具体的には、実施例1において、第2の微粒子20は量子ドットとして振る舞い、第2の微粒子20は半導体、より具体的には、セレン化カドミウム(CdSe)から成る。また、第2の微粒子[半導体]20の平均粒径は約3nmである。一方、リンカー分子30は導電性を有する線状の分子から成る。即ち、リンカー分子30は、非常に短い分子長(長さ0.5nm以下)を有し、トンネル電流が十分大きく、伝導ワイヤとして機能する。
更には、第1の微粒子10は、平均粒径約10nmの金ナノ粒子から成る。第1の微粒子10は、第1の保護膜11で被覆されている。第1の保護膜11の一端には、第1の微粒子と結合する官能基X1が存在する。また、第1の保護膜11の他端には、官能基Y1が存在する。
第1の微粒子10、第1の保護膜11、第2の微粒子[半導体]20、リンカー分子30の諸元を、以下の表1に纏めた。尚、リンカー分子30は、第2の微粒子[半導体]20の保護膜としても機能する。
[表1]
Figure 0004940618
ここで、第1の保護膜11の一端が有する官能基X1と第1の微粒子10との結合よりも、リンカー分子30の一端が有する官能基XLと第1の微粒子10の結合の方が強い、官能基X1と官能基XLとの組合せを選択する。これによって、リンカー分子30は、第1の微粒子10と確実に結合することができる。尚、リンカー分子30の他端が有する官能基YLと第2の微粒子[半導体]20とが結合している。そして、第2の微粒子[半導体]20と結合したリンカー分子30を第1の微粒子10に固定化することで、第1の微粒子10と第2の微粒子[半導体]20とはリンカー分子30によって、一種、架橋された状態となり、
・・・第1の微粒子=リンカー分子=第2の微粒子[半導体]=リンカー分子=第1の微粒子=リンカー分子=第2の微粒子[半導体]=リンカー分子=第1の微粒子・・・
といったネットワーク構造を得ることができる。
ところで、第1の微粒子10と第1の微粒子10との間には第1の保護膜11が存在し、第1の保護膜11の厚さは、第1の保護膜11を構成する分子の分子長の2倍程度以上(4nm程度以上)であり、第1の微粒子10と第1の微粒子10との間に第1の保護膜11を介して流れるトンネル電流の値は非常に小さい。一方、第1の微粒子10と第2の微粒子[半導体]20との間において、障壁となるリンカー分子30の分子長は0.5nm程度しかなく、十分なトンネル電流を流すことができる。
しかも、第2の微粒子[半導体]20は、平均粒径約3nmのCdSeナノ粒子から成るので、バンドギャップを有し、これが伝導障壁となって、電子の移動を妨げる。つまり、導電路1(チャネル形成領域53)に電界が加わっていない状態にあっては、第2の微粒子[半導体]20、更には、導電路1(チャネル形成領域53)には、電流は流れない。一方、導電路1に所定の値以上の電界が加わった状態になると、即ち、ゲート電極51に或るゲート電圧が印加されると、第2の微粒子[半導体]20のエネルギーバンドが上下し、第1の微粒子10の伝導バンドと一致したところで、第1の微粒子10間の電子の移動が許され、導電路1(チャネル形成領域53)に電流が流れる。
実施例1における導電路1の形成方法の概要を、以下、図3の(A)〜(C)を参照して説明する。また、半導体装置の詳細、及び、その製造方法に関しては、実施例5〜実施例8にて説明する。
[工程−100]
先ず、絶縁材料であるSiOXから成る下地構成微粒子42が略規則性をもって配列された下地層41を形成する。具体的には、シリカ(SiO2)ナノ粒子のコロイド溶液(溶媒:シクロヘキサン)を基体40の全面を覆うように滴下し、スピンコーターによって過剰の溶液及びナノ粒子を除去するといったスピンコート法に基づき、下地層41を形成することができる(図3の(A)参照)。尚、こうして得られた下地構成微粒子42が略規則性をもって配列された状態を、例えば、模式的に図11の(A)に示すが、下地構成微粒子42は、正三角形の頂点に位置するように密に、接触状態にて配列されている。
[工程−110]
次いで、下地層41の上に、導体から成る第1の微粒子10を配列させる(図3の(B)参照)。
実施例1にあっては、予め作製しておいた金ナノ粒子を改良することで得た均一な粒径を有する金ナノ粒子を用いている。即ち、実施例1においては、Leff らが提案した方法(ドデシルアミン(C1225NH2)を被覆層とする金ナノ粒子の作製法。D. V. Leff, et al., Langmuir, 1996, 12, 4723 参照)を採用する。そして、作製した金ナノ粒子コロイド溶液に対して、Lin らの提案している方法(X. M. Lin, et al., J. Nanoparticle Res., 2000, 2, 157 参照)を改良した方法を適用することにより金ナノ粒子の粒径の均一化を行う。
具体的には、以下の調製方法にて金ナノ粒子を得る。即ち、四塩化金酸(HAuCl4・3H2O)をイオン交換水に溶解する。次いで、この溶液を激しく攪拌しながら、トルエンに溶解した臭化テトラオクチルアンモニウム(N(C8174Br)をこの溶液中に添加する。次いで、トルエンに溶解したドデシルアミン(C1225NH2)をこの混合物中に加える。その後、激しく攪拌しているこの混合物中に、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)をイオン交換水に溶解した溶液を滴下する。そして、12時間攪拌を続けた後、静置後、水層を分液漏斗で除去する。次いで、この溶液にトルエンとドデシルアミンを加えて、130゜Cで1時間、加熱還流する。その後、室温まで静置した後、エバポレーターで液量を減量し、次いで、エタノールを加えて、冷凍庫内で12時間静置する。そして、沈澱した金ナノ粒子を濾過により分離し、エタノールで洗浄後、トルエンに溶解する。尚、ドデシルアミンから成る被覆層によって表面が被覆された金ナノ粒子を0.05重量%分散させた金ナノ粒子コロイド溶液(溶媒:トルエン)とする。
そして、こうして得られた第1の微粒子10を含む溶液から成る薄膜を、下地層41の上にキャスティング法にて形成した後、溶液に含まれる溶媒を蒸発させる。これによって、下地層41の微粒子配列状態に基づき、第1の微粒子10を略規則性をもって配列させることができる(図12の(A)あるいは図13の(A)参照)。
[工程−120]
次いで、第2の微粒子[半導体]20に結合したリンカー分子30を第1の微粒子10に結合させる(図3の(C)参照)。そのために、先ず、リンカー分子30の他端が有する官能基YL(アミノ基)と結合した第2の微粒子[半導体]20を含む溶液を調製する。
そして、係る溶液中に、第1の微粒子10が略規則性をもって配列された基体40の全体を浸漬した後、洗浄して溶液を置換し、その後、溶媒を蒸発させる。このとき、第1の保護膜11を構成する分子の一部が、リンカー分子30によって置換され、リンカー分子30が、その一端にある官能基XL(チオール基,−SH)によって金ナノ粒子から成る第1の微粒子10の表面に化学的に結合する。1個の第1の微粒子10の表面には、多数のリンカー分子30が第1の微粒子10を包み込むように結合する。こうして、
・・・第1の微粒子10=リンカー分子30=第2の微粒子[半導体]20=リンカー分子30=第1の微粒子10=リンカー分子30=第2の微粒子[半導体]20=リンカー分子30=第1の微粒子10・・・
といったネットワーク構造を得ることができる(図12の(B)あるいは図13の(B)参照)。尚、図12の(B)、図13の(B)あるいは図14の(B)において、第1の微粒子10と第1の微粒子10との間に存在するリンカー分子、第2の微粒子、リンカー分子を線分で示す。図3の(C)に示す状態にあっては、第1の微粒子10、リンカー分子30、第2の微粒子[半導体]20の結合体の単一層によって導電路1が構築されている。
[工程−130]
次に、必要に応じて、[工程−120]を所望の回数だけ繰り返す。こうして、第1の微粒子10、リンカー分子30、第2の微粒子[半導体]20とが3次元的に化学的に結合することで、ネットワーク状の導電路1が構築される。
実施例2は、実施例1の変形である。実施例1にあっては、第2の微粒子[半導体]20は量子ドットとして振る舞い、第2の微粒子20は半導体から成る構成とした。一方、実施例2にあっては、第1の微粒子10、リンカー分子30、第2の微粒子120から形成された導電路の概念図を図4に示すように、第2の微粒子120は、クーロン・ブロッケード効果を有し、第2の微粒子120は金属、より具体的には、金(Au)ナノ粒子から成る。第2の微粒子[導体]120の平均粒径は約2nmである。リンカー分子30は、実施例1と同様に導電性を有する線状の分子から成る。即ち、リンカー分子30は、非常に短い分子長(長さ0.5nm以下)を有し、トンネル電流が十分大きく、伝導ワイヤとして機能する。
第1の微粒子10、第1の保護膜11、第2の微粒子[導体]120、リンカー分子30の諸元を、上記の表1に纏めた。尚、リンカー分子30は、第2の微粒子[導体]120の保護膜としても機能する。
尚、実施例1と同様に、第1の保護膜11の一端が有する官能基X1と第1の微粒子10との結合よりも、リンカー分子30の一端が有する官能基XLと第1の微粒子10の結合の方が強い、官能基X1と官能基XLとの組合せを選択する。これによって、リンカー分子30は、第1の微粒子10と確実に結合することができる。尚、リンカー分子30の他端が有する官能基YLと第2の微粒子[導体]120とが結合している。そして、第2の微粒子[導体]120と結合したリンカー分子30を第1の微粒子10に固定化することで、第1の微粒子10と第2の微粒子[導体]120とはリンカー分子30によって、一種、架橋された状態となり、
・・・第1の微粒子10=リンカー分子30=第2の微粒子[導体]120=リンカー分子30=第1の微粒子10=リンカー分子30=第2の微粒子[導体]120=リンカー分子30=第1の微粒子10・・・
といったネットワーク構造を得ることができる。
ところで、第1の微粒子10と第1の微粒子10との間には第1の保護膜11が存在し、第1の保護膜11の厚さは、第1の保護膜11を構成する分子の分子長の2倍程度以上(3nm程度以上)であり、第1の微粒子10と第1の微粒子10との間に第1の保護膜11を介して流れるトンネル電流の値は非常に小さい。一方、第1の微粒子10と第2の微粒子[導体]120との間において、障壁となるリンカー分子30の分子長は0.5nm程度しかなく、十分なトンネル電流を流すことができる。
しかも、第2の微粒子[導体]120は、平均粒径約2nmの金ナノ粒子から成る。導電路1(チャネル形成領域53)に電界が加わっていない状態にあっては、第2の微粒子[導体]120は粒径が小さいので、非常に大きなクーロン相互作用を有し、それが伝導障壁(クーロン・ブロッケード効果)となって、電子の移動を妨げる。つまり、導電路1(チャネル形成領域53)に電界が加わっていない状態にあっては、第2の微粒子[導体]120、更には、導電路1(チャネル形成領域53)には、電流は流れない。一方、導電路1に所定の値以上の電界が加わった状態になると、即ち、ゲート電極51に或るゲート電圧が印加されると、第1の微粒子10内の電荷のエネルギーがクーロン障壁を越えるようになり、リンカー分子30、及び、第2の微粒子[導体]120を経由した第1の微粒子10間の電子の移動が許され、導電路1(チャネル形成領域53)に電流が流れる。
実施例2における導電路の形成方法の概要は以下のとおりである。尚、半導体装置の詳細、及び、その製造方法に関しては、実施例5〜実施例8にて説明する。
[工程−200]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様にして、下地層41を形成した後、実施例1の[工程−110]と同様にして、下地層41の上に、導体から成る第1の微粒子10を配列させる。
[工程−210]
次いで、第2の微粒子[導体]120に結合したリンカー分子30を第1の微粒子10に結合させる。そのために、先ず、リンカー分子30の他端が有する官能基YL(チオール基)と結合した第2の微粒子[導体]120を含む溶液を調製する。
そして、係る溶液中に、第1の微粒子10が略規則性をもって配列された基体40の全体を浸漬した後、洗浄して溶液を置換し、その後、溶媒を蒸発させる。このとき、第1の保護膜11を構成する分子の一部が、リンカー分子30によって置換され、リンカー分子30が、その一端にある官能基XL(チオール基,−SH)によって金ナノ粒子から成る第1の微粒子10の表面に化学的に結合する。1個の第1の微粒子10の表面には、多数のリンカー分子30が第1の微粒子10を包み込むように結合する。こうして、
・・・第1の微粒子10=リンカー分子30=第2の微粒子[導体]120=リンカー分子30=第1の微粒子10=リンカー分子30=第2の微粒子[導体]120=リンカー分子30=第1の微粒子10・・・
といったネットワーク構造を得ることができる。
[工程−220]
次に、必要に応じて、[工程−210]を所望の回数だけ繰り返す。こうして、第1の微粒子10、リンカー分子30、第2の微粒子[導体]120とが3次元的に化学的に結合することで、ネットワーク状の導電路1が構築される。
実施例3も、実施例1の変形である。実施例1にあっては、導電性を有する線状の分子から成るリンカー分子30を用いた。一方、実施例3にあっては、第1の微粒子10、リンカー分子130、第2の微粒子20から形成された導電路の概念図を図5に示すように、リンカー分子130は、有機半導体分子から成る。具体的には、リンカー分子130は、限定するものではないが、第1の微粒子10に結合した第1のリンカー分子と、第2の微粒子[半導体]20に結合した第2のリンカー分子とが結合して成る。
第1のリンカー分子が一端に有する官能基XL1(チオール基)は、第1の微粒子10に結合しており、第2のリンカー分子が一端に有する官能基XL2(アミノ基)は、第2の微粒子[半導体]20に結合している。また、反応前の第1のリンカー分子が他端に有する官能基YL1は[−Sn(CH33]であり、反応前の第2のリンカー分子が他端に有する官能基YL2は[−Br]であり、パラジウム触媒の存在下(Stille coupling)で、官能基YL1と官能基YL2との反応によって、第1のリンカー分子と第2のリンカー分子とが化学的に結合して、リンカー分子130となる。尚、官能基YL1と官能基YL2とが反応するとき、第1のリンカー分子と第1の微粒子10との結合、第2のリンカー分子と第2の微粒子[半導体]20との結合に変化は生じない。
第2の微粒子は、実施例1と同様に、量子ドットとして振る舞い、第2の微粒子20は半導体、より具体的には、セレン化カドミウム(CdSe)から成る。また、第2の微粒子[半導体]20の平均粒径は約3nmである。
第1の微粒子10、第1の保護膜11、第2の微粒子[半導体]20、第2の保護膜21、第1のリンカー分子、第2のリンカー分子の諸元を、表2に纏めた。
[表2]
Figure 0004940618
上述したように、官能基YL1と官能基YL2との反応によって、第1のリンカー分子と第2のリンカー分子とが化学的に結合して、リンカー分子130となり、第1の微粒子10と第2の微粒子[半導体]20とはリンカー分子130によって、一種、架橋された状態となり、
・・・第1の微粒子10=リンカー分子130=第2の微粒子[半導体]20=リンカー分子130=第1の微粒子10=リンカー分子130=第2の微粒子[半導体]20=リンカー分子130=第1の微粒子10・・・
といったネットワーク構造を得ることができる。
ところで、第1の微粒子10と第1の微粒子10との間は、リンカー分子130(π共役系分子)で直接架橋されておらず、第1の微粒子10と第1の微粒子10との間には第1の保護膜11が存在し、第1の保護膜11の厚さは、第1の保護膜11を構成する分子の分子長の2倍程度以上であり、第1の微粒子10と第1の微粒子10との間に第1の保護膜11を介して流れるトンネル電流の値は非常に小さい。一方、第1の微粒子10と第2の微粒子[半導体]20との間は、リンカー分子130(π共役系分子)で直接架橋されているため、有機半導体分子から成るリンカー分子130に電界が加わると、リンカー分子130内に電流が流れる。
しかも、第2の微粒子[半導体]20は、実施例1と同様に、平均粒径約3nmのCdSeナノ粒子から成るので、バンドギャップを有し、これが伝導障壁となって、電子の移動を妨げる。つまり、導電路1(チャネル形成領域53)に電界が加わっていない状態にあっては、第2の微粒子[半導体]20、更には、導電路1(チャネル形成領域53)には、電流は流れない。一方、導電路1に所定の値以上の電界が加わった状態になると、即ち、ゲート電極51に或るゲート電圧が印加されると、第2の微粒子[半導体]20のエネルギーバンドが上下し、第1の微粒子10の伝導バンドと一致したところで、第1の微粒子10間の電子の移動が許され、導電路1(チャネル形成領域53)に電流が流れる。
実施例3においても、基本的には、実施例1の[工程−100]〜[工程−130]と同様の工程を実行する。但し、第2の微粒子を含んだ溶媒にパラジウム触媒を同様に含ませておく。そうすることで、第1の微粒子10の保護膜分子(第1のリンカー分子に相当する)と第2の微粒子の保護膜分子(第2のリンカー分子に相当する)とが反応し、1つリンカー分子(リンカー分子130)が形成される。
実施例4も、実施例1の変形であり、実施例2と実施例3の組合せに関する。実施例4にあっては、第1の微粒子10、リンカー分子130、第2の微粒子120から形成された導電路の概念図を図6に示すように、実施例2と同様に、第2の微粒子120は、クーロン・ブロッケード効果を有し、第2の微粒子120は金属、より具体的には、金(Au)ナノ粒子から成る。また、第2の微粒子[導体]120の平均粒径は約2nmである。また、リンカー分子130は、実施例3と同様に、有機半導体分子から成る。具体的には、リンカー分子130は、限定するものではないが、第1の微粒子10に結合した第1のリンカー分子と、第2の微粒子[導体]120に結合した第2のリンカー分子とが結合して成る。
第1の微粒子10、第1の保護膜11、第2の微粒子[導体]120、第2の保護膜21、第1のリンカー分子、第2のリンカー分子の諸元を、上記の表2に纏めた。
第1のリンカー分子が一端に有する官能基XL1(チオール基)は、第1の微粒子10に結合しており、第2のリンカー分子が一端に有する官能基XL2(チオール基)は、第2の微粒子[導体]120に結合している。また、反応前の第1のリンカー分子が他端に有する官能基YL1は[−Sn(CH33]であり、反応前の第2のリンカー分子が他端に有する官能基YL2は[−Br]であり、パラジウム触媒の存在下(Stille coupling)で、官能基YL1と官能基YL2との反応によって、第1のリンカー分子と第2のリンカー分子とが化学的に結合して、リンカー分子130となる。尚、官能基YL1と官能基YL2とが反応するとき、第1のリンカー分子と第1の微粒子10との結合、第2のリンカー分子と第2の微粒子[導体]120との結合に変化は生じない。
第2の微粒子[導体]120は、実施例2と同様に、平均粒径は約2nmの金(Au)ナノ粒子から成り、クーロン・ブロッケード効果を有する。
上述したように、官能基YL1と官能基YL2との反応によって、第1のリンカー分子と第2のリンカー分子とが化学的に結合して、リンカー分子130となり、第1の微粒子10と第2の微粒子[導体]120とはリンカー分子130によって、一種、架橋された状態となり、
・・・第1の微粒子10=リンカー分子130=第2の微粒子[導体]120=リンカー分子130=第1の微粒子10=リンカー分子130=第2の微粒子[導体]120=リンカー分子130=第1の微粒子10・・・
といったネットワーク構造を得ることができる。
ところで、第1の微粒子10と第1の微粒子10との間は、リンカー分子130(π共役系分子)で直接架橋されておらず、第1の微粒子10と第1の微粒子10との間には第1の保護膜11が存在し、第1の保護膜11の厚さは、第1の保護膜11を構成する分子の分子長の2倍程度以上であり、第1の微粒子10と第1の微粒子10との間に第1の保護膜11を介して流れるトンネル電流の値は非常に小さい。一方、第1の微粒子10と第2の微粒子[導体]120との間は、リンカー分子130(π共役系分子)で直接架橋されているため、有機半導体分子から成るリンカー分子130に電界が加わると、リンカー分子130内に電流が流れる。
しかも、第2の微粒子[導体]120は、平均粒径約2nmの金ナノ粒子から成る。導電路1(チャネル形成領域53)に電界が加わっていない状態にあっては、第2の微粒子[導体]120は粒径が小さいので、非常に大きなクーロン相互作用を有し、それが伝導障壁(クーロン・ブロッケード効果)となって、電子の移動を妨げる。つまり、導電路1(チャネル形成領域53)に電界が加わっていない状態にあっては、第2の微粒子[導体]120、更には、導電路1(チャネル形成領域53)には、電流は流れない。一方、導電路1に所定の値以上の電界が加わった状態になると、即ち、ゲート電極51に或るゲート電圧が印加されると、第1の微粒子10内の電荷のエネルギーがクーロン障壁を越えるようになり、リンカー分子30、及び、第2の微粒子[導体]120を経由した第1の微粒子10間の電子の移動が許され、導電路1(チャネル形成領域53)に電流が流れる。
実施例4においても、基本的には、実施例1の[工程−100]〜[工程−130]と同様の工程を実行する。但し、第2の微粒子を含んだ溶媒にパラジウム触媒を同様に含ませておく。そうすることで、第1の微粒子10の保護膜分子(第1のリンカー分子に相当する)と第2の微粒子の保護膜分子(第2のリンカー分子に相当する)とが反応し、1つリンカー分子(リンカー分子130)が形成される。
実施例5は、実施例1〜実施例4の変形である。実施例5における半導体装置は、トップゲート/ボトムコンタクト型TFTである。即ち、実施例5の半導体装置は、図7の(C)に模式的な一部断面図で示すように、
(A)支持体50の上に形成されたソース/ドレイン電極54、
(B)ソース/ドレイン電極54とソース/ドレイン電極54との間に位置する支持体50の部分の上に形成されたチャネル形成領域53、
(C)全面に(より具体的には、ソース/ドレイン電極54の上及びチャネル形成領域53の上に)形成されたゲート絶縁層52、並びに、
(D)ゲート絶縁層52の上に、チャネル形成領域53と対向して形成されたゲート電極51、
から成る。
そして、必須ではないが、ソース/ドレイン電極54とソース/ドレイン電極54との間に位置する支持体50の部分とチャネル形成領域53との間には、下地層41が形成されており、下地層41は、電気的絶縁材料から成る下地構成微粒子42が略規則性をもって配列されて成る。尚、図面においては、下地構成微粒子42から成る層の1層によって下地層41が構成されているように図示しているが、下地層41は下地構成微粒子42から成る層が積層された構造を有していてもよい。後述する実施例6においても同様である。
ここで、下地構成微粒子42は、例えば、正三角形の頂点に位置するように密に配列されている。従って、この正三角形の中心を通る法線上に第1の微粒子10が位置している。そして、第1の微粒子10は、第1の微粒子10によって形成される正三角形の頂点に位置し(図12の(B)参照)、あるいは又、第1の微粒子10によって形成される正六角形の頂点に位置する(図13の(B)参照)。尚、後述する実施例6〜実施例8においても同様である。図12の(B)に示す状態、及び、図13の(B)に示す状態をそれぞれ得るための、下地構成微粒子42の平均粒径、第1の微粒子10の平均粒径、第1の保護膜11の長軸方向の長さを、それぞれ、以下の表3及び表4に例示する。
[表3]
下地構成微粒子42の平均粒径 :20nm
第1の微粒子10の平均粒径 :10nm
第1の保護膜11の長軸方向の長さ: 2nm
[表4]
下地構成微粒子42の平均粒径 :20nm
第1の微粒子10の平均粒径 :10nm
第1の保護膜11の長軸方向の長さ: 2nm
実施例5、あるいは、後述する実施例6〜実施例8においては、第1の微粒子10、リンカー分子30,130、第2の微粒子20,120とが化学的に(交互に)結合することで、あるいは、3次元的に化学的に(交互に)結合することで、ネットワーク状の導電路1が構築されている(実施例1〜実施例4参照)。そして、第1の微粒子10、リンカー分子30,130、第2の微粒子20,120との結合体の単一層によって導電路1が構成され、あるいは又、第1の微粒子10、リンカー分子30,130、第2の微粒子20,120との結合体の積層構造によって導電路1が構成されている。
第1の微粒子10を下地層41(あるいは、後述するゲート絶縁層152)の上に、下地層41(あるいは、後述するゲート絶縁層152)の表面と略平行な面内において2次元的に規則的に配列させた後、第2の微粒子及びリンカー分子を含む溶液に浸漬する工程を1回行うことによって、第1の微粒子10、リンカー分子30,130、第2の微粒子20,120との結合体の単一層を形成することができ、2回以上行うことによって、第1の微粒子10、リンカー分子30,130、第2の微粒子20,120との結合体から成る層が積層され、結合体の積層構造を得ることができる。あるいは又、第1の微粒子10を下地層41(あるいは、後述するゲート絶縁層152)の上に、下地層41(あるいは、後述するゲート絶縁層152)の表面と略平行な面内において2次元的に規則的に配列させる工程を複数回、繰り返すことによって、第1の微粒子10を3次元的に規則的に配列させた後、第2の微粒子及びリンカー分子を含む溶液に浸漬する工程を少なくとも1回行うことによって、第1の微粒子10、リンカー分子30,130、第2の微粒子20,120との結合体から成る層が積層された結合体の積層構造を得ることができる。
即ち、チャネル形成領域53の形成工程においては、第1の微粒子10の層を1層形成した後に、第1の微粒子10に第2の微粒子及びリンカー分子を含む溶液に浸漬し、第1の微粒子10、リンカー分子30,130、第2の微粒子20,120との結合体を形成させることにより、結合体の層が1層分形成される。このように、結合体の1層ずつの形成によってチャネル形成領域53を形成することができるので、この工程を何回繰り返すかで、所望の厚さを有するチャネル形成領域53を形成することができる。そして、こうして得られたチャネル形成領域53は、第1の微粒子10、リンカー分子30,130、第2の微粒子20,120とがネットワーク状に結合された結合体から構成され、ゲート電極51に印加されるゲート電圧によってキャリア移動が制御される。
チャネル形成領域53は、実施例1、実施例2、実施例3あるいは実施例4にて説明した導電路1から構成されている。そして、下地層41の微粒子配列状態に基づき、第1の微粒子10が略規則性をもって配列されている。尚、図面においては、第1の微粒子10から成る層の1層によってチャネル形成領域53が構成されているように図示しているが、チャネル形成領域53は第1の微粒子10から成る層が積層された構造を有していてもよい。後述する実施例6〜実施例8においても同様である。
即ち、チャネル形成領域53は、結合体の単一層としてもよいし、2層以上、10層程度の結合体の積層構造としてもよい。1層の厚さは、第1の微粒子10の粒径と概ね同じである。第1の微粒子10を平均粒径約10nmの金(Au)から構成し、10層の結合体の積層構造とする場合、チャネル形成領域53の厚さはおおよそ100nmとなる。尚、結合体の1層ずつを独立して形成することによってチャネル形成領域53を得ることができるので、各結合体毎、又は、結合体の積層構造毎に、第1の微粒子10を構成する材料や第1の微粒子10の平均粒径、第2の微粒子20,120、リンカー分子30,130を変えて、チャネル形成領域53の特性を制御してもよい。
以上に説明した事項は、基本的に、後述する実施例6〜実施例8にも当てはまる。
ここで、実施例5〜実施例6において、ゲート絶縁層52はSiO2から成り、実施例5〜実施例8において、ゲート電極51及びソース/ドレイン電極54は、銅微粒子から成り、あるいは金薄膜から成り、支持体50は、表面に絶縁膜(図示せず)が形成されたガラス基板から成る。
以下、支持体等の模式的な一部端面図である図7の(A)〜(C)を参照して、実施例5の半導体装置(電界効果型トランジスタ)の製造方法を説明するが、実施例5の半導体装置の製造方法は、基本的には、以下の方法から構成されている。即ち、
ソース/ドレイン電極を支持体上に形成し、
ソース/ドレイン電極の間の支持体上にチャネル形成領域を形成し、
次いで、ソース/ドレイン電極及びチャネル形成領域上にゲート絶縁層を形成した後、
ゲート絶縁層上にゲート電極を形成する、
各工程から成る。そして、実施例5にあっては、第1の微粒子を、支持体の表面と略平行な面内において2次元的に規則的に、且つ、充填状態にて配列する。
[工程−500]
先ず、銅微粒子が含まれた銅ペーストをスクリーン印刷法にて支持体50上に印刷し、焼成することで、ソース/ドレイン電極54を形成することができる(図7の(A)参照)。
[工程−510]
その後、少なくとも、ソース/ドレイン電極54とソース/ドレイン電極54との間に位置する支持体50の部分の上に(実施例5においては、ソース/ドレイン電極54とソース/ドレイン電極54との間の支持体50の部分の上に)、電気的絶縁材料であるSiOXから成る下地構成微粒子42が略規則性をもって配列された下地層41を形成する。具体的には、シリカ(SiO2)ナノ粒子のコロイド溶液(溶媒:シクロヘキサン)を支持体50の全面を覆うように滴下し、スピンコーターによって過剰の溶液及びナノ粒子を除去するといったスピンコート法に基づき、下地層41を形成することができる。
[工程−520]
次に、下地層41の上に、実施例1、実施例2、実施例3あるいは実施例4にて説明した方法に基づき、導電路1を有するチャネル形成領域53を形成する(図7の(B)参照)。尚、図7〜図10にあっては、第1の微粒子、リンカー分子、第2の微粒子として、代表して、第1の微粒子10、リンカー分子30、第2の微粒子20を図示した。
[工程−530]
その後、全面に(より具体的には、ソース/ドレイン電極54の上、及び、チャネル形成領域53の上)にゲート絶縁層52を形成する。具体的には、SiO2から成るゲート絶縁層52を、スパッタリング法に基づき全面に形成する。
[工程−540]
次いで、銅微粒子が含まれた銅ペーストをスクリーン印刷法にてゲート絶縁層52の上に印刷し、焼成することで、ゲート電極51を形成することができる(図7の(C)参照)。
[工程−550]
最後に、全面にパッシベーション膜である絶縁層(図示せず)を形成し、ソース/ドレイン電極54の上方の絶縁層に開口部を形成し、開口部内を含む全面に配線材料層を形成した後、配線材料層をパターニングすることによって、ソース/ドレイン電極54に接続された配線(図示せず)が絶縁層上に形成された実施例5の電界効果型トランジスタを完成させることができる。
以上に説明したとおり、実施例5の半導体装置、あるいは、後述する実施例6〜実施例8の半導体装置におけるチャネル形成領域に、実施例1〜実施例4にて説明した導電路の構成、構造を適用することができる。
尚、場合によっては、[工程−510]におけるソース/ドレイン電極54上の下地層41の除去、[工程−520]におけるソース/ドレイン電極54上の導電路1の除去は不要であり、ソース/ドレイン電極54上に、下地層41、及び、チャネル形成領域53の延在部を残しておいてもよい。
実施例6も、実施例1〜実施例4の変形である。実施例6における半導体装置は、トップゲート/トップコンタクト型TFTである。即ち、実施例6の半導体装置は、図8の(C)に模式的な一部断面図で示すように、
(A)支持体50の上に形成されたチャネル形成領域53、
(B)支持体50の上に形成されたチャネル形成領域53の延在部53A上に設けられたソース/ドレイン電極54、
(C)全面に(より具体的には、ソース/ドレイン電極54の上及びチャネル形成領域53の上に)形成されたゲート絶縁層52、並びに、
(D)ゲート絶縁層52の上に、チャネル形成領域53と対向して形成されたゲート電極51、
から成る。
そして、少なくとも、ソース/ドレイン電極54とソース/ドレイン電極54との間に位置する支持体50の部分とチャネル形成領域53との間に(実施例6においては、より具体的には全面に)下地層41が形成されており、下地層41は、電気的絶縁材料(具体的には、SiOX微粒子,シリカ微粒子)から成る下地構成微粒子42が略規則性をもって配列されて成る。実施例6にあっては、ソース/ドレイン電極54と支持体50との間にも、下地構成微粒子42から成る下地層41、及び、チャネル形成領域53の延在部53Aが形成されている。
実施例6におけるチャネル形成領域53は、実施例5にて説明したチャネル形成領域53と同様の構成、構造を有する。更には、実施例5と同様に、下地層41の微粒子配列状態に基づき、第1の微粒子10が略規則性をもって配列されている。また、実施例6の電界効果型トランジスタを構成する材料は、実施例5の電界効果型トランジスタを構成する材料と同じとすることができるので、詳細な説明は省略する。
以下、支持体等の模式的な一部端面図である図8の(A)〜(C)を参照して、実施例6の半導体装置(電界効果型トランジスタ)の製造方法を説明するが、実施例6の半導体装置の製造方法は、以下の方法から構成されている。即ち、
支持体上にチャネル形成領域を構成するチャネル形成領域構成層を形成した後、
チャネル形成領域構成層上に、チャネル形成領域を挟むようにソース/ドレイン電極を形成し、次いで、
ソース/ドレイン電極及びチャネル形成領域上にゲート絶縁層を形成した後、
ゲート絶縁層上にゲート電極を形成する、
各工程から成る。そして、実施例6にあっても、第1の微粒子を、支持体の表面と略平行な面内において2次元的に規則的に、且つ、充填状態にて配列する。
[工程−600]
先ず、実施例5の[工程−510]と同様にして、支持体50上に、電気的絶縁材料であるSiOXから成る下地構成微粒子42が略規則性をもって配列された下地層41を形成する。
[工程−610]
その後、実施例5の[工程−520]と同様にして、下地層41の上に、実施例1、実施例2、実施例3あるいは実施例4にて説明した方法に基づき、導電路1を有するチャネル形成領域53、及び、その延在部53Aを形成する(図8の(A)参照)。
[工程−620]
次いで、実施例5の[工程−500]と同様にして、ソース/ドレイン電極54を形成し(図8の(B)参照)、実施例5の[工程−530]と同様にして、全面にゲート絶縁層52を形成し、更には、実施例5の[工程−540]と同様にして、ゲート電極51の形成を行い(図8の(C)参照)、更には、実施例5の[工程−550]と同様にして、実施例6の半導体装置を完成させる。
実施例7も、実施例1〜実施例4の変形である。実施例7における半導体装置は、ボトムゲート/ボトムコンタクト型TFTである。即ち、実施例7の半導体装置は、図9の(C)に模式的な一部断面図で示すように、
(A)支持体50の上に形成されたゲート電極51、
(B)ゲート電極51の上及び支持体50の上に形成されたゲート絶縁層152、
(C)ゲート絶縁層152の上に形成されたソース/ドレイン電極54、並びに、
(D)ソース/ドレイン電極54とソース/ドレイン電極54との間に位置するゲート絶縁層152の部分の上に、ゲート電極51と対向して形成されたチャネル形成領域53、
から成る。
そして、ゲート絶縁層152は、基体40に相当し、具体的には、電気的絶縁材料(具体的には、SiOX微粒子,シリカ微粒子)から成るゲート絶縁層構成微粒子152Bが略規則性をもって配列されて成る微粒子層152Cを備えている。尚、ゲート絶縁層152は、微粒子層152Cと膜状の層(SiO2から成る下層ゲート絶縁膜152A)の2層構成である。図面においては、ゲート絶縁層構成微粒子152Bから成る層の1層によって微粒子層152Cが構成されているように図示しているが、微粒子層152Cはゲート絶縁層構成微粒子152Bから成る層が積層された構造を有していてもよく、寧ろ、微粒子層152Cはゲート絶縁層構成微粒子152Bから成る層が積層された構造を有することが好ましい。後述する実施例8においても同様である。
以下、図9の(A)〜(D)を参照して、実施例7の半導体装置(電界効果型トランジスタ)の製造方法の概要を説明するが、実施例7の半導体装置の製造方法は、以下の方法から構成されている。即ち、
支持体上にゲート電極を形成した後、
全面にゲート絶縁層を形成し、次いで、
ゲート絶縁層上にソース/ドレイン電極を形成した後、
ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間のゲート絶縁層の部分にチャネル形成領域を形成する、
各工程から成る。そして、実施例7にあっては、第1の微粒子を、ゲート絶縁層の表面と略平行な面内において2次元的に規則的に、且つ、充填状態にて配列する。
[工程−700]
先ず、支持体50上にゲート電極51を形成する。具体的には、表面に形成されたSiO2から成る絶縁膜を備えたガラス基板から成る支持体50の上に、ゲート電極51を形成すべき部分が除去されたレジスト層(図示せず)を、リソグラフィ技術に基づき形成する。その後、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ゲート電極51としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法にて全面に成膜し、その後、レジスト層を除去する。こうして、所謂リフトオフ法に基づき、ゲート電極51を得ることができる。
[工程−710]
次に、ゲート電極51を含む支持体50上にゲート絶縁層152を形成する(図9の(A)参照)。具体的には、実施例5の[工程−530]と同様にして、SiO2から成る下層ゲート絶縁膜152Aをスパッタリング法に基づきゲート電極51及び支持体50上に形成した後、実施例5の[工程−510]と同様にして、ゲート電極51の上及び支持体50の上に、SiO2から成るゲート絶縁層構成微粒子152Bから成る微粒子層152Cを形成する。
[工程−720]
次に、ゲート絶縁層152の上に金(Au)層から成るソース/ドレイン電極54を形成する(図9の(B)参照)。具体的には、ゲート絶縁層152上に、ソース/ドレイン電極54を形成すべき部分が除去されたレジスト層をリソグラフィ技術に基づき形成する。そして、[工程−700]と同様にして、レジスト層及びゲート絶縁層152上に、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極54としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法にて成膜し、その後、レジスト層を除去する。こうして、所謂リフトオフ法に基づき、ソース/ドレイン電極54を得ることができる。
[工程−730]
その後、実施例5の[工程−520]と同様にして、微粒子層152Cの上に、実施例1、実施例2、実施例3あるいは実施例4にて説明した方法に基づき、導電路1を有するチャネル形成領域53を形成する(図9の(C)参照)。
ゲート絶縁層構成微粒子152Bが略規則性をもって配列された状態を、模式的に図11の(A)に示すが、ゲート絶縁層構成微粒子152Bは、例えば、正三角形の頂点に位置するように密に、接触状態にて配列されている。ここで、ゲート絶縁層構成微粒子152Bが正三角形の頂点に位置するように密に配列されているので、この正三角形の中心を通る法線上に第1の微粒子10が位置している。そして、第1の微粒子10は、第1の微粒子10によって形成される正三角形の頂点に位置し(図12の(B)参照)、あるいは又、第1の微粒子10によって形成される正六角形の頂点に位置する(図13の(B)参照)。尚、後述する実施例8においても同様である。図12の(B)に示す状態、及び、図13の(B)に示す状態をそれぞれ得るための、ゲート絶縁層構成微粒子152Bの平均粒径、第1の微粒子10の平均粒径、有機半導体分子22の長軸方向の長さは、それぞれ、表3及び表4に例示したと同様とすればよい。尚、表3及び表4における「下地構成微粒子42の平均粒径」を「ゲート絶縁層構成微粒子152Bの平均粒径」と読み替えればよい。
[工程−740]
最後に、全面にパッシベーション膜である絶縁層(図示せず)を形成し、ソース/ドレイン電極54の上方の絶縁層に開口部を形成し、開口部内を含む全面に配線材料層を形成した後、配線材料層をパターニングすることによって、ソース/ドレイン電極54に接続された配線(図示せず)が絶縁層上に形成された実施例7の半導体装置(電界効果型トランジスタ)を完成させることができる。
実施例8も、実施例1〜実施例4の変形である。実施例8における半導体装置は、ボトムゲート/トップコンタクト型TFTである。即ち、実施例8の半導体装置は、図10の(B)に模式的な一部断面図で示すように、
(A)支持体50の上に形成されたゲート電極51、
(B)ゲート電極51の上及び支持体50の上に形成されたゲート絶縁層152、
(C)ゲート絶縁層152の部分の上に、ゲート電極51と対向して形成されたチャネル形成領域53、並びに、
(D)チャネル形成領域53の延在部53A上に形成されたソース/ドレイン電極54、
から成る。
そして、実施例7と同様に、ゲート絶縁層152は、電気的絶縁材料(具体的には、SiOX微粒子,シリカ微粒子)から成るゲート絶縁層構成微粒子152Bが略規則性をもって配列された微粒子層152Cを備えている。尚、ゲート絶縁層152は、実施例7と同様に、微粒子層152Cと膜状の層(SiO2から成る下層ゲート絶縁膜152A)の2層構成である。
以下、支持体等の模式的な一部端面図である図10の(A)及び(B)を参照して、実施例8の半導体装置(電界効果型トランジスタ)の製造方法を説明するが、実施例8の半導体装置の製造方法は、以下の方法から構成されている。即ち、
支持体上にゲート電極を形成した後、
全面にゲート絶縁層を形成し、次いで、
ゲート絶縁層上にチャネル形成領域及びその延在部を形成した後、
チャネル形成領域の延在部上にソース/ドレイン電極を形成する、
各工程から成る。そして、実施例8にあっても、第1の微粒子を、ゲート絶縁層の表面と略平行な面内において2次元的に規則的に、且つ、充填状態にて配列する。
[工程−800]
先ず、支持体50上に、実施例7の[工程−700]と同様にしてゲート電極51を形成した後、実施例7の[工程−710]と同様にして、ゲート電極51の上及び支持体50の上に、ゲート絶縁層152(下層ゲート絶縁膜152A、並びに、SiO2から成るゲート絶縁層構成微粒子152Bから成る微粒子層152Cから構成されている)を形成する。その後、実施例5の[工程−520]と同様にして、ゲート絶縁層152の上に、実施例1、実施例2、実施例3あるいは実施例4にて説明した方法に基づき、導電路1を有するチャネル形成領域53を形成する(図10の(A)参照)。
[工程−810]
その後、実施例7の[工程−720]と同様にして、ゲート絶縁層152の上にソース/ドレイン電極54を形成する(図10の(B)参照)。
[工程−820]
最後に、全面にパッシベーション膜である絶縁層(図示せず)を形成し、ソース/ドレイン電極54の上方の絶縁層に開口部を形成し、開口部内を含む全面に配線材料層を形成した後、配線材料層をパターニングすることによって、ソース/ドレイン電極54に接続された配線(図示せず)が絶縁層上に形成された実施例8の半導体装置(電界効果型トランジスタ)を完成させることができる。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。半導体装置(電界効果型トランジスタ)の構造や構成、製造条件、具体的な製造方法は例示であり、適宜変更することができる。本発明によって得られた半導体装置を、ディスプレイ装置や各種の電子機器に適用、使用する場合、支持体に多数のTFTを集積したモノリシック集積回路としてもよいし、各TFTを切断して個別化し、ディスクリート部品として使用してもよい。第1の微粒子10は、金(Au)に限定するものではなく、他の金属(例えば、銀や白金)、あるいは、半導体としての硫化カドミウム、セレン化カドミウム、又は、シリコンから構成することもできる。
下地構成微粒子42やゲート絶縁層構成微粒子152Bの表面の性状に依存して、下地構成微粒子やゲート絶縁層構成微粒子を、図11の(B)に示すように、正方形の頂点に位置するように密に、接触状態にて配列させることもできる。そして、この場合には、図14の(A)及び(B)に示すように、この正方形の中心を通る法線上に第1の微粒子が位置し、第1の微粒子は、第1の微粒子によって形成される正方形の頂点に位置する。
実施例5、実施例6においては、電気的絶縁材料から成る下地構成微粒子42が略規則性をもって配列されて成る下地層41を形成したが、この下地層の形成は必須ではなく、第1の微粒子10を、直接、支持体50の上に配列させてもよい。また、実施例7、実施例8においては、ゲート絶縁層152を微粒子層152Cと下層ゲート絶縁膜152Aの2層構成としたが、このような構成は必須ではなく、ゲート絶縁層152を微粒子層152Cのみから構成することもできるし、ゲート絶縁層152を下層ゲート絶縁膜152Aのみから構成することもできる。
図1は、第1の微粒子、リンカー分子、第2の微粒子から形成された導電路の概念図である。 図2は、実施例1における、第1の微粒子、リンカー分子、第2の微粒子から形成された導電路の概念図である。 図3は、第1の微粒子、リンカー分子、第2の微粒子から形成された導電路の形成方法を説明するための支持体等の模式的な一部断面図である。 図4は、実施例2における、第1の微粒子、リンカー分子、第2の微粒子から形成された導電路の概念図である。 図5は、実施例3における、第1の微粒子、リンカー分子、第2の微粒子から形成された導電路の概念図である。 図6は、実施例4における、第1の微粒子、リンカー分子、第2の微粒子から形成された導電路の概念図である。 図7は、実施例5における半導体装置の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部断面図である。 図8は、実施例6における半導体装置の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部断面図である。 図9は、実施例7における半導体装置の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部断面図である。 図10は、実施例8における半導体装置の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部断面図である。 図11の(A)及び(B)は、第1の微粒子あるいは、下地構成微粒子が略規則性をもって配列された状態を模式的に示す図である。 図12の(A)及び(B)は、第1の微粒子、あるいは、第2の微粒子とリンカー分子とが略規則性をもって配列された状態を模式的に示す図である。 図13の(A)及び(B)は、第1の微粒子、あるいは、第2の微粒子とリンカー分子とが略規則性をもって配列された状態を模式的に示す図である。 図14の(A)及び(B)は、第1の微粒子、あるいは、第2の微粒子とリンカー分子とが略規則性をもって配列された状態を模式的に示す図である。 図15(A)は、リンカー分子と結合する前の第1の微粒子の表面が絶縁性の第1の保護膜で覆われていることによって、導電路内に存在する第1の微粒子間に、トンネル電流が所定の量以上、流れることが無くなることを説明する概念図であり、図15の(B)は、バルクの半導体材料及びナノサイズの微粒子のバンドギャップを示す図である。
符号の説明
1・・・導電路、10・・・第1の微粒子、20・・・第2の微粒子、30・・・リンカー分子、41・・・下地層、40・・・基体、42・・・下地構成微粒子、50・・・支持体、51・・・ゲート電極、52,152・・・ゲート絶縁層、152A・・・下層ゲート絶縁膜、152B・・・ゲート絶縁層構成微粒子、152C・・・微粒子層、53・・・チャネル形成領域、53A・・・チャネル形成領域の延在部、54・・・ソース/ドレイン電極

Claims (15)

  1. (A)導体から成る第1の微粒子、
    (B)第2の微粒子、並びに、
    (C)第1の微粒子及び第2の微粒子と結合したリンカー分子、
    から形成された導電路を有し、
    該導電路の導電性は、該導電路を構成する第2の微粒子及びリンカー分子に加えられる電界によって制御されることを特徴とする半導体装置。
  2. 導電路に加えられる電界によって、第2の微粒子及びリンカー分子は導電性を示すことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 第2の微粒子は、量子ドットとして振る舞うことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
  4. 第2の微粒子は、半導体から成ることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
  5. 第2の微粒子は、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、テルル化カドミウム、ガリウム砒素、酸化チタン、又は、シリコンから成ることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
  6. 第2の微粒子の平均粒径は、1nm乃至10nmであることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
  7. 第2の微粒子は、クーロン・ブロッケード効果を有することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
  8. 第2の微粒子は、金属若しくは合金から成ることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
  9. 第2の微粒子は、金、銀、白金、銅、アルミニウム、パラジウム、クロム、ニッケル、又は、鉄から成り、あるいは、これらの金属から構成された合金から成ることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
  10. 第2の微粒子の平均粒径は、2nm以下であることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
  11. リンカー分子は、有機半導体分子から成ることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
  12. リンカー分子は、導電性を有する線状の分子から成ることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
  13. 第1の微粒子の平均粒径は、2nm乃至10nmであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  14. 第1の微粒子は、金、銀、白金、銅、アルミニウム、パラジウム、クロム、ニッケル、又は、鉄から成り、あるいは、これらの金属から構成された合金から成ることを特徴とする請求項13に記載の半導体装置。
  15. チャネル形成領域、ソース/ドレイン電極、ゲート絶縁層及びゲート電極を有する電界効果型トランジスタから成り、
    導電路によってチャネル形成領域が構成されており、
    導電路の導電性は、ゲート電極に印加される電圧によって生成された電界によって制御されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
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