以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下においては、X−Yアドレス型の固体撮像装置の一例である、CMOS撮像素子をデバイスとして使用した場合を例に説明する。また、CMOS撮像素子は、全ての画素がNMOSよりなるものであるとして説明する。
ただしこれは一例であって、対象となるデバイスはMOS型の撮像デバイスに限らない。光や放射線などの外部から入力される電磁波に対して感応性をする単位構成要素をライン状もしくはマトリクス状に複数個配列してなる物理量分布検知用の半導体装置の全てに、後述する実施形態が同様に適用できる。
<固体撮像装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るCMOS固体撮像装置の概略構成図である。この固体撮像装置1は、たとえばカラー画像を撮像し得る電子スチルカメラやFA(Factory Automation)カメラとして適用されるようになっている。
固体撮像装置1は、入射光量に応じた信号を出力する図示しない検知部としての受光素子を含む単位画素が行および列の正方格子状に配列された(すなわち2次元マトリクス状の)撮像部を有し、各単位画素からの信号出力が電圧信号であって、CDS(Correlated Double Sampling ;相関2重サンプリング)処理機能部やその他の機能部が垂直列ごとに設けられたカラム型のものである。
すなわち、図1に示すように、固体撮像装置1は、複数の単位画素3(単位構成要素の一例)が行および列に(2次元行列状に)多数配列された撮像部(画素部)10、いわゆるエリアセンサと、撮像部10の外側に設けられた駆動制御部7と、各垂直列に配されたカラム信号処理部(図ではカラム回路と記す)22を有するカラム処理部20とを備えている。
駆動制御部7としては、たとえば水平走査部12と垂直走査部14とを備える。また、駆動制御部7の他の構成要素として、水平走査部12、垂直走査部14、あるいはカラム処理部20などの固体撮像装置1の各機能部に所定タイミングの制御パルスを供給する駆動信号操作部(読出アドレス制御装置の一例)16が設けられている。
これらの駆動制御部7の各要素は、撮像部10とともに、半導体集積回路製造技術と同様の技術を用いて単結晶シリコンなどの半導体領域に一体的に形成され、半導体システムの一例である固体撮像素子(撮像デバイス)として構成される。
図1では、簡単のため行および列の一部を省略して示しているが、現実には、撮像部10の各行や各列には、数十から数千の単位画素3が配置される。なお、図示を割愛するが、撮像部10には、各画素に所定のカラーコーディングを持つ色分離フィルタが形成される。また図示を割愛するが、撮像部10の各画素は、フォトダイオードなどの光電変換素子およびトランジスタ回路によって構成されている(後述する図2を参照)。
カラム処理部20と水平走査部12との間の信号経路上には、各垂直信号線18に対してドレイン端子が接続された図示しない負荷MOSトランジスタを含む負荷トランジスタ部が配され(後述する図2を参照)、各負荷MOSトランジスタを駆動制御する負荷制御部(負荷MOSコントローラ)が設けられている。
単位画素3は、垂直列選択のための垂直制御線15を介して垂直走査部14と、垂直信号線18を介してカラム処理部20と、それぞれ接続されている。水平走査部12や垂直走査部14は、たとえばシフトレジスタを有して構成され、駆動信号操作部16から与えられる駆動パルスに応答してシフト動作(走査)を開始するようになっている。垂直制御線15には、単位画素3を駆動するための種々のパルス信号が含まれる。
水平走査部12は、水平方向の読出列(水平方向のアドレス)を規定する(カラム処理部20内の個々のカラム信号処理部22を選択する)水平アドレス設定部12aと、水平アドレス設定部12aにて規定された読出アドレスに従って、カラム処理部20の各信号を水平信号線28に導く水平駆動部12bとを有する。水平アドレス設定部12aは、図示を割愛するが、シフトレジスタあるいはデコーダを有して構成されており、カラム信号処理部22からの画素情報を順に選択し、その選択した画素情報を水平信号線28に出力する選択手段としての機能を持つ。
垂直走査部14は、垂直方向の読出行(垂直方向のアドレス)や水平方向の読出列(水平方向のアドレス)を規定する(撮像部10の行を選択する)垂直アドレス設定部14aと、垂直アドレス設定部14aにて規定された読出アドレス上(水平行方向)の単位画素3に対する制御線にパルスを供給して駆動する垂直駆動部14bとを有する。
垂直アドレス設定部14aは、図示を割愛するが、信号を読み出す行の基本的な制御を行なう垂直シフトレジスタあるいはデコーダの他に、電子シャッタ用の行の制御を行なうシャッタシフトレジスタも有する。電子シャッタ用の駆動時には、垂直アドレス設定部14aは、通常動作時と同様に単位画素3の行選択をするが、通常通りに選択する読出行とでシャッタ行の間隔を調節することにより、光電変換素子への露光時間(蓄積時間)を調節する。
垂直シフトレジスタあるいはデコーダは、撮像部10から画素情報を読み出すに当たって各画素を行単位で選択するためのものであり、各行の垂直駆動部14bとともに信号出力行選択手段を構成する。シャッタシフトレジスタは、電子シャッタ動作を行なうに当たって各画素を行単位で選択するためのものであり、各行の垂直駆動部14bとともに電子シャッタ行選択手段を構成する。
駆動信号操作部16は、図示しないが、各部の動作に必要なクロックや所定タイミングのパルス信号を供給するタイミングジェネレータTG(読出アドレス制御装置の一例)の機能ブロックと、端子1aを介して入力クロックCLK0や動作モードなどを指令するデータを受け取り、また端子1bを介して固体撮像装置1の情報を含むデータDATAを出力する通信インタフェースの機能ブロックとを備える。また、水平アドレス信号を水平アドレス設定部12aへ、また垂直アドレス信号を垂直アドレス設定部14aへ出力し、各アドレス設定部12a,14aは、それを受けて対応する行もしくは列を選択する。
なお、駆動信号操作部16は、撮像部10や水平走査部12など、他の機能要素とは独立して、別の半導体集積回路として提供されてもよい。この場合、撮像部10や水平走査部12などから成る撮像デバイスと駆動信号操作部16とにより、半導体システムの一例である撮像装置が構築される。この撮像装置は、周辺の信号処理回路や電源回路なども組み込まれた撮像モジュールとして提供されてもよい。
読出回路としてのカラム処理部20は、垂直列ごとにカラム信号処理部22を有して構成されており、1行分の画素の信号を受けて、その信号を処理する。それぞれのカラム信号処理部22は、一例として、信号転送スイッチと蓄積容量とが設けられる。また、カラム処理部20は、CDS(Correlated Double Sampling ;相関2重サンプリング)処理を利用したノイズ除去手段の機能を備えるようにしてもよく、駆動信号操作部16から与えられるサンプルパルスSHPとサンプルパルスSHDといった2つのサンプルパルスに基づいて、垂直信号線18を介して入力された電圧モードの画素情報に対して、画素リセット直後の信号レベル(ノイズレベル;0レベル)と真の信号レベルとの差分をとる処理を行なうことで、画素ごとの固定ばらつきによる固定パターンノイズ(FPN;Fixed Pattern Noise )やリセットノイズといわれるノイズ信号成分を取り除く。
なお、カラム処理部20には、CDS処理機能部の後段に、必要に応じて信号増幅機能を持つAGC(Auto Gain Control) 回路やADC(Analog Digital Converter)回路などをカラム(列)ごとすなわちカラム信号処理部22ごとに設けることも可能である。
カラム処理部20により処理された画素情報を示す電圧信号は、水平走査部12からの水平選択信号により駆動される図示しない水平選択スイッチを介して所定のタイミングで読み出されて水平信号線28に伝達されて、水平信号線28の後端に接続された出力回路29に入力される。
出力回路29は、撮像部10から水平信号線28を通して出力される各画素の信号を適当なゲインで増幅した後、撮像信号S0として図示しない外部回路に出力端子1cを介して供給する。この出力回路29は、たとえば、バッファリングだけする場合もあるし、その前に黒レベル調整、列ばらつき補正、信号増幅、色関係処理などを行なうこともある。
つまり、本実施形態のカラム型の固体撮像装置1においては、単位画素3からの出力信号(電圧信号)が、垂直信号線18→カラム処理部20→水平信号線28→出力回路29の順で出力される。その駆動は、1行分の画素出力信号は垂直信号線18を介してパラレルにカラム処理部20に送り、CDS処理後の信号は水平信号線28を介してシリアルに出力するようにする。
なお、垂直列や水平列ごとの駆動が可能である限り、それぞれのパルス信号を単位画素3に対して水平行方向および垂直列方向の何れに配するか、すなわちパルス信号を印加するための駆動クロック線の物理的な配線方法は自由である。
外部回路は、撮像部10や駆動制御部7などが同一の半導体領域に一体的に形成された固体撮像素子とは別の基板(プリント基板もしくは半導体基板)上に構成されており、各撮影モードに対応した回路構成が採られるようになっている。撮像部10や駆動制御部7などからなる固体撮像素子(半導体装置や物理情報取得装置の一例)と外部回路とによって、固体撮像装置1が構成されている。駆動制御部7を撮像部10やカラム処理部20と別体にして、撮像部10やカラム処理部20で固体撮像素子(半導体装置の一例)を構成し、この固体撮像素子(半導体装置の一例)と、別体の駆動制御部7とで、固体撮像装置(物理情報取得装置の一例)として構成するようにしてもよい。
たとえば、外部回路は、出力回路29から出力されたアナログの撮像信号S0をデジタルの撮像データD0に変換するA/D(Analog to Digital )変換部と、A/D変換部によりデジタル化された撮像データD0に基づいてデジタル信号処理を施すデジタル信号処理部(DSP;Digital Signal Processor)とを備える。
デジタル信号処理部は、たとえば、A/D変換部から出力されるデジタル信号を適当に増幅して出力するデジタルアンプ部の機能を持つ。また、たとえば色分離処理を施してR(赤),G(緑),B(青)の各画像を表す画像データRGBを生成し、この画像データRGBに対してその他の信号処理を施してモニタ出力用の画像データD2を生成する。また、デジタル信号処理部には、記録メディアに撮像データを保存するための信号圧縮処理などを行なう機能部が備えられる。
また外部回路は、デジタル信号処理部にてデジタル処理された画像データD2をアナログの画像信号S1に変換するD/A(Digital to Analog )変換部を備える。D/A変換部から出力された画像信号S1は、液晶モニタなどの表示デバイスに送られる。操作者は、この表示デバイスに表示されるメニューや画像を見ながら、撮像モードを切り替えるなどの各種の操作を行なうことが可能になる。
なお、上記では、固体撮像素子の後段の信号処理を担当する外部回路を固体撮像素子(チップ)外で行なう例を示したが、図中点線で示すように、チップ内部に、外部回路の全てもしくは一部(たとえばAGC部102やA/D変換部104やデジタルアンプ部など)の機能要素を、チップに内蔵するように構成し、出力端子1dから撮像データD0を出力するように構成してもよい。
このような構成の固体撮像装置1において、水平走査部12や垂直走査部14およびそれらを制御する駆動信号操作部16により、撮像部10の各画素を水平行単位で順に選択し、その選択した1つの水平行分の画素の情報を同時に読み出すタイプのCMOSイメージセンサが構成される。
<第1実施形態>
<単位画素の回路構成例>
図2は、本発明の第1実施形態を説明する図であって、単位画素3の一構成例の回路図である。図示するように、単位画素3は、寄生容量を持った拡散層を主要部に持つフローティングディフュージョン(FDA;Floating Diffusion)を電荷蓄積部として利用する構成を採りつつ、単位画素に4つのトランジスタ(TRansistor)を有する4トランジスタ型画素構成(以下4TR構成という)のものとなっている。
図示するように、単位画素3は、光を電荷に変換する光電変換機能とともに、その電荷を蓄積する電荷蓄積機能の各機能を兼ね備えた電荷生成部32と、電荷生成部32に対して、電荷転送部(電荷読出部/転送ゲート部/読出ゲート部)の一例である読出選択用トランジスタ34、リセットゲート部の一例であるリセットトランジスタ36、垂直選択用トランジスタ40、およびフローティングディフュージョン38の電位変化を検知する検知素子の一例であるソースフォロア構成の増幅用トランジスタ42を有する。
また、第1実施形態特有の構成として、単位画素3は、電荷生成部32で検知された信号電荷を電圧に変換する役割を持つ増幅用トランジスタ42の入力部には、負荷配線(ダミー配線)39が接続されている。特に第1実施形態においては、この負荷配線39が、他のノードとの回路的な接続の役割を持たず、フローティングディフュージョン38が形成されるリセットトランジスタ36のドレインと増幅用トランジスタ42の入力側を結ぶ配線にぶら下がった状態、つまり他のノードとの接続役割に寄与しない状態(無効状態)となっている。以下、このような状態を、ダミー配線あるいはフローティング配線の形態ともいう。
単位画素3を構成する増幅用トランジスタ42は各垂直信号線53(図1の垂直信号線18に相当)に接続されており、また垂直信号線53は垂直列ごとに定電流源Inをなす負荷MOSトランジスタ27のドレインに接続され、また各負荷MOSトランジスタ27のゲート端子には、一定バイアスとして、図示しない負荷制御部からの負荷制御信号Loadが共通に入力されており、信号読出し時には、各増幅用トランジスタ42に接続された負荷MOSトランジスタ27によって、予め決められた定電流を流し続けるようになっている。つまり、負荷MOSトランジスタ27は、そのゲートが一定電位でバイアスされ、選択行の増幅用トランジスタ42とソースフォロアを組むことで、垂直信号線53への信号出力をさせる。
横方向配線は同一行の画素について共通となっており、図示しない垂直走査部14の垂直駆動部14bによって駆動制御される。たとえば、垂直駆動部14b内には、転送駆動バッファ150、リセット駆動バッファ152、および選択駆動バッファ154が収容されている。
読出選択用トランジスタ34は、転送配線(読出選択線)55を介して転送駆動バッファ150により駆動されるようになっている。リセットトランジスタ36は、リセット配線56を介してリセット駆動バッファ152により駆動されるようになっている。垂直選択用トランジスタ40は、垂直選択線52を介して選択駆動バッファ154により駆動される。
また、単位画素3は、増幅用トランジスタ42や電荷蓄積部の機能を備えた電荷注入部の一例であるフローティングディフュージョン38からなるFDA(Floating Diffusion Amp)構成の画素信号生成部5を有するものとなっている。フローティングディフュージョン38は寄生容量を持った拡散層を主要部に持つ。
単位信号としての画素信号を生成する単位信号生成部の一例である画素信号生成部5におけるリセットトランジスタ36は、ソースがフローティングディフュージョン38に、ドレインが電源VDDにそれぞれ接続され、ゲート(リセットゲートRG)にはリセットパルスRSTがリセット駆動バッファ152から入力される。
ここで、この単位画素3は、増幅用トランジスタ42と直列に挿入された選択用トランジスタを含んで画素を選択する4TR構成の画素であるが、増幅用トランジスタ42と垂直選択用トランジスタ40のうち、垂直選択用トランジスタ40の方が垂直信号線53側にあるタイプである。
すなわち、増幅用トランジスタ42は、ドレインが電源VDD(たとえば2.5V)に、ソースが垂直選択用トランジスタ40のドレインにそれぞれ接続され、ゲートがフローティングディフュージョン38に接続されている。垂直選択用トランジスタ40は、ゲート(特に垂直選択ゲートSELVという)が垂直選択線52に接続され、ソースは画素線51を介して垂直信号線53に接続されている。垂直選択線52には、選択駆動バッファ154から垂直選択信号が印加される。
なお、図示を割愛するが、増幅用トランジスタ42と垂直選択用トランジスタ40のうち、増幅用トランジスタ42の方が垂直信号線53側にあるタイプのものとすることもできる。
<単位画素の駆動方法>
図3は、図2に示した単位画素3を駆動して画素信号(単位画素3から出力される単位信号)を取得する手法を説明するタイミングチャートである。図2に示した4TR構成では、リセットトランジスタ36は、フローティングディフュージョン38をリセットする。具体的には、フローティングディフュージョンの信号電荷(ここでは電子)を電源配線に捨てることによって、フローティングディフュージョン38をリセットする。
読出選択用トランジスタ(転送トランジスタ)34は、電荷生成部32にて生成された信号電荷を、電荷蓄積部の一例であるフローティングディフュージョン38に転送する。
フローティングディフュージョン38は単位信号生成部の一例である増幅用トランジスタ42のゲートに接続されているので、増幅用トランジスタ42はフローティングディフュージョン38の電位(以下FD電位ともいう)に対応した信号(この例では電圧信号)を、垂直選択用トランジスタ40がオンしているときに、画素線51を介して出力信号線の一例である垂直信号線53に出力する。すなわち、垂直信号線53には多数の画素が接続されているが、画素を選択するのには、選択画素のみ垂直選択用トランジスタ40をオンする。すると選択画素のみが垂直信号線53と接続され、垂直信号線53には選択画素の信号が出力される。
具体的には、図3のタイミングチャートに示すように、読出パルス(転送ゲートパルス)TRGがアクティブ(本例ではハイレベル)となり、読出選択用トランジスタ34を駆動し、電荷生成部32に入射した光が光電変換されて生成された信号電荷を、蓄積ノードとして機能するフローティングディフュージョン38に移送して読み出す。
ここで、電荷生成部32に入射した光が光電変換されて生成された信号電荷は、読出選択用トランジスタ34がオンするまで電荷生成部32に蓄積される。
水平走査線帰線期間にまず行なわれるのは、垂直選択パルスSELをアクティブ(本例ではハイレベル)にして垂直選択用トランジスタ40をオンさせ(t10)、増幅用トランジスタ42でフローティングディフュージョン38の電荷を検出できるように、読出し行の増幅用トランジスタ42の出力と垂直信号線53とを接続して、垂直信号線53、電流源In(負荷MOSトランジスタ27)、および増幅用トランジスタ42でソースフォロワ回路を構成する。垂直信号線53の電位は、フローティングディフュージョン38の電位変動に追従する。これにより、フローティングディフュージョン38の電荷量に対応する、増幅用トランジスタ42のゲート電位で決まる電位のみが垂直信号線53に伝達される。
また、水平走査線帰線期間の開始とともに、電荷生成部32に信号電荷Qsig が蓄積された状態で、最初に画素信号生成部5を基準電圧にリセットする、つまりリセットゲートパルスRGをアクティブ(本例ではハイレベル)にして(t11)、リセットトランジスタ36をオンさせることで、フローティングディフュージョン38に蓄積された暗電流積分値を排出させる。これによって、フローティングディフュージョン38は、電源電圧値(Vdd)に設定される。なお、リセットゲートパルスRGをインアクティブ(本例ではローレベル)にすると(t12)、カップリングにより、フローティングディフュージョン38の電位が若干落ちる。
このとき、駆動信号操作部16からサンプルパルスSHPが出力されて、カラム処理部20内のCDS機能部をなすシフトトランジスタのゲートに供給され、各シフトトランジスタがオンする。すなわち、駆動信号操作部16からクランプパルスSHDが供給され、カラム処理部20内のCDS機能部をなすクランプトランジスタのゲートに供給されて、各クランプトランジスタがオンし、リセットレベルSrst が検出される(t14)。
次に、電荷生成部32についての読出選択用トランジスタ34を駆動して、電荷生成部32から信号電荷Qsig に応じた信号成分Soを読み出す。すなわち、転送ゲートパルスTRGをハイレベルにして(t16)、読出選択用トランジスタ34をオンさせ、電荷生成部32に蓄積されていた信号電荷Qsig をフローティングディフュージョン38に移送する。このフローティングディフュージョン38に移送された信号電荷Qsig の電荷量は、増幅用トランジスタ42によって検出され、その電荷量に応じた電位が発生されて垂直信号線53に伝達される。
この後、駆動信号操作部16からクランプパルスSHDを供給して(t18)、クランプトランジスタをオンさせて、電荷生成部32が検知した信号電荷Qsig に応じた画素信号レベルSsig を検出する。
ここで、カラム処理部20では、リセットレベルSrst と画素信号レベルSsig との差分をとることで、オフセット成分が取り除かれ、真の信号成分Soを検知できる。画素ごとの固定パターンノイズの除去を行なうことができる。
信号電荷の転送が終わり、十分時間が経った後は、垂直選択パルスSELをインアクティブ(本例ではローレベル)にする(t20)。
<画素の製法およびFD近傍の断面構造例>
図4は、図2に示した単位画素3におけるフローティングディフュージョン近傍の断面構造例を示す図である。図4では、リセットトランジスタ36、フローティングディフュージョン38、および増幅用トランジスタ42部分の断面を示している。
図2に示した単位画素3の構造の作製に当たっては、n型Si半導体に酸化膜のマスクをリソグラフィ技術によってパターニングする。さらに上から熱拡散技術を用いて III族元素をドーピングする。この場合、ドーピングの深さは時間で制御される。
たとえば、n型Si半導体基板500に、イオン注入(不純物拡散)を行なうことで、リセットトランジスタ36や増幅用トランジスタ42用の各ソースおよびドレインをなす拡散層(イオン注入領域)532a,532b,532c,532dを形成する。
また、ゲート酸化膜(Gate Ox.)520を絶縁膜として形成した後、リソグラフィおよびドライエッチング技術でリセットトランジスタ36や増幅用トランジスタ42用の各ゲート配線530a,530bのパターニングを行なう。また、STI(Shallow Trench Isolation;シャロートレンチアイソレーション)のトレンチ埋込膜からなる素子分離領域514を作製する。
なお、上述した不純物のドーピングおよび熱拡散は、ゲート配線形成前後に、目的に応じて形成させる。その後、酸化シリコン(SiO2)膜などの層間膜540,542および表面の保護膜544を形成する。
また、メタル配線などによる電気的な接続孔550,552および配線金属膜560,562でなるメタル配線を層間膜540,542に形成し、さらにパッシベーション膜すなわち保護膜544を成膜して、半導体LSIを伴ったセンサを形成する。
ここで、接続孔552および配線金属膜562形成時には、同時に、たとえばポリシリコン(Poly Si)膜などの負荷配線39用の金属配線膜564を形成する。この金属配線膜564は、電荷蓄積部としてのフローティングディフュージョン38における容量を調整するための容量調整電極部材として機能する。
図4に示すように、保護膜542とは異なる層である保護膜544内(層間膜542上)に形成される金属配線膜564は、先ず接続孔552bを介して層間膜542内(層間膜540上)に設けられるリセットトランジスタ36のドレインと増幅用トランジスタ42のゲートとを接続する配線金属膜560bと接続される。
一方、配線金属膜560bは、電荷生成部32と画素信号生成部5、特にリセットトランジスタ36のドレインをなす拡散層532bと増幅用トランジスタ42のゲート電極530bとの接続に専ら寄与する電極部材として機能する。この配線金属膜560bは、接続孔550bを介して拡散層532bと、また接続孔550cを介してゲート電極530bと接続される。
従来技術の項にて述べた図18に示す構成との相違は、この保護膜544内(層間膜542上)に形成される金属配線膜564にある。 ただし、層間膜542内(層間膜540上)に形成される配線金属膜560bが、接続孔550b,550cと同様に、リセットトランジスタ36のドレインと増幅用トランジスタ42のゲート間、すなわちフローティングディフュージョン38の拡散層と増幅用トランジスタ42のゲート間を接続するものであったのに対し、この金属配線膜564は、ノード間の接続には用いられず、単に増幅用トランジスタ42のゲート側における配線容量を増やすために接続されているものである。
画素が縮小化すると、フローティングディフュージョン38の容量が小さくなり、変換効率が大きくなる傾向となり、ソースフォロアの非線形領域を使用してしまうようになる。この変換効率の問題を避けるには、何らかの方法により、フローティングディフュージョン38の変換効率([V/e−]=V/Q)を、後段の動作レンジに合わせて調節する必要がある。
フローティングディフュージョン38の容量成分は、たとえば、拡散容量や、ゲートとのオーバーラップ容量、あるいは配線容量などから決定されるので、これらの何れかに対して操作を加えることで、容量成分を調整できる。
第1実施形態の構成においては、金属配線膜564も増幅用トランジスタ42のゲートにぶら下がった状態のフローティング配線として接続されているので、フローティングディフュージョン38の容量成分に寄与する。
フローティングディフュージョン38の変換効率はFD容量に反比例するが、本実施形態の構成では、金属配線膜564を付加したことで、フローティングディフュージョン38の面積が金属配線膜564を利用することで調整できる。これによって、FD容量を大きくすることで、変換効率を小さくすることができる。よって、単位画素3を構成する画素信号生成部5の信号変換特性を線形領域に設定でき、画素信号のレベルを、後段に接続される回路の動作レンジに合わせることができる。
すなわち、配線の持つ容量(配線間容量など)は、通常非常に小さいが、フローティングディフュージョン38の容量自体が、数[fF]と非常に小さいオーダーであるため、層間膜542内(層間膜540上)に形成される配線金属膜560bに接続する金属配線膜564の面積(幅や長さ)を変えることにより、たとえば10〜20[%]程度、フローティングディフュージョン38の容量を大きくすることができる。
これにより、フローティングディフュージョン38部での変換効率([V/e−])を容易に落とすことができ、画素信号の出力範囲をソースフォロアの線形性がある領域内に納めることができる。すなわち、後段の動作レンジに合わせてFD変換効率を調節することができる。
また、この仕組みは、増幅用トランジスタ42のゲート側で、フローティングディフュージョン38の容量を変えて変換効率を変えることにより、単位画素3内で感度をアナログ的に補正するものであり、階調が損なわれることなく自然な画像を得ることもできる。
また、容量調整電極部材として機能する金属配線膜564を、接続用電極部材として機能する配線金属膜560bは異なる層に形成することで、配線金属膜560bやその他の接続配線の伏線に影響を受けることなく(すなわちレイアウト的制限が少ない)、配線金属膜560bの面積を調整でき、後述する第2実施形態の構成よりも容量調整の自由度が高い。
<第2実施形態>
<単位画素の回路構成例>
図5は、本発明の第2実施形態を説明する図であって、単位画素3の一構成例の回路図である。また、図6は、図5に示した単位画素3におけるフローティングディフュージョン近傍の断面構造例を示す図である。
この第2実施形態の構成は、負荷配線39が、他のノードとの回路的な接続の役割をも持つようにした点に特徴を有する。すなわち、回路構成上は、図5に示すように、リセットトランジスタ36のドレインと増幅用トランジスタ42のゲートとが直接に接続されているのではなく、負荷配線39の一部(図中の39a部分)を接続配線として利用して接続している。
また、素子の断面構造としては、図6に示すように、保護膜544内(層間膜542上)に形成される金属配線膜564は、先ず接続孔552cを介して層間膜542内(層間膜540上)に設けられる配線金属膜560cと接続され、さらに接続孔550bを介してリセットトランジスタ36のドレインをなす拡散層532bと接続される。また、接続孔552dを介して層間膜542内(層間膜540上)に設けられる配線金属膜560dと接続され、さらに接続孔550cを介して増幅用トランジスタ42のゲート電極530bと接続される。
このような第2実施形態の構成においては、金属配線膜564の一部(図中の564aの部分)は、ノード間の接続に利用されるが、他の一部(図中の564b,564cの部分)は、増幅用トランジスタ42のゲート側における配線容量を増やすために設けられているものである。
このように、金属配線膜564を、電荷生成部32と画素信号生成部5との接続に専ら寄与する電極部材としての金属配線膜564aと、その接続に実質的に寄与しない容量調整電極部材としての金属配線膜564b,564cとで、同一の層内に構成することで、リセットトランジスタ36のドレインと増幅用トランジスタ42のゲートを層間膜542内(層間膜540上)だけで直接に接続できない場合に、第1実施形態と同様の効果を享受できるようになる。
よって、第1実施形態の構成と同様に、金属配線膜564を付加したことで、FD容量を大きくすることで変換効率を小さくすることができ、画素信号の出力範囲をソースフォロアの線形性がある領域内に納める、すなわち、後段の動作レンジに合わせてFD変換効率を調節することができる。
なお、第1および第2実施形態においては、フローティングディフュージョン38の面積を調整するに際して、フローティングディフュージョン38に寄与する配線の電極面積を調整する一例を示したが、その他の手法によって、電極面積を調整することもできる。たとえば、層間膜542内に設けた配線金属膜560bの長さを調整することでも実現できる。
配線長の調整は、配線ルートの調整(たとえば直線状やジグザグ状と、その形状の違い)で実現できる。あるいは、層間膜542内に設けた配線金属膜560bの幅を調整することでも実現できる。もちろん、配線長と配線幅の双方を調整することで、フローティングディフュージョン38の面積を調整することもできる。配線長と配線幅の少なくとも一方を調整すればよく、何れを対象として調整するかは、デバイスの構成のし易さから決めるのがよい。
なお、配線幅を調整する手法の場合、一見すると、配線金属膜560bは、接続用電極部材のみで構成されていると思われるが、最短ルートで電気信号が伝達されると考えれば、接続点間を結ぶ中央線上の部分(たとえばデバイス形成における最少線幅相当部分)が検知部と単位信号生成部との接続に専ら寄与する接続用電極部材として機能し、その周辺部分が接続に実質的に寄与しない容量調整電極部材として機能すると考えてよい。
また、フローティングディフュージョン38に寄与する配線の電極面積を調整する手法に代えて、フローティングディフュージョン38の形成に寄与する主要部である拡散層532bの面積を調整することでも、FD容量を調整し変換効率を調整することで、信号変換特性を線形領域に設定することができる。この手法は、新たな電極(金属配線膜564)の形成が不要であり、FD容量を変えて変換効率を調整する手法として容易な方法であると考えられる。
<FD配線のレイアウト手法>
図7〜図10は、FD容量を変えて変換効率を調整するに際して、フローティングディフュージョン38の容量形成に寄与する電極部材の配線形態を調整する手法を説明する図である。ここで、図7は、比較例としてのFD配線の通常のレイアウト例を示す図であり、図8〜図10は、上記第1および第2実施形態に用いて好適なFD配線のレイアウト手法を示す図である。
通常の配線形態においては、図7に示すように、光を電荷に変換する光電変換機能や電荷蓄積機能を備えた電荷生成部32(光電変換領域)や、読出選択用トランジスタ34、リセットトランジスタ36、垂直選択用トランジスタ40、あるいは増幅用トランジスタ42(転送ゲート)をなす活性化領域(たとえば32a,38a)が設けられている。
そして、読出選択用トランジスタ34、リセットトランジスタ36、垂直選択用トランジスタ40、および増幅用トランジスタ42(転送ゲート)をなす各性化領域上にポリシリコンなどで各ゲート配線(転送ゲート34G,リセットゲート36G,選択ゲート40G,増幅ゲート42G)がパターニングされている。また、選択ゲート40Gの後段(図中右側)には、電荷生成部32の一辺に沿って画素信号を出力するための垂直信号線53をなす金属配線53Mがパターニングされている。各ゲート用の電極は、コンタクトを介して下層との電気的な接続が取られるようになっている。
ここで、フローティングディフュージョン(FD)38を形成する活性化領域38aは、所定の配線層にて、金属配線(FD配線38FD)を介して増幅ゲート203と接続されている。通常、FD配線38FDは、プロセス的に限定される最小線幅を使用する。また、周辺部材との関係を考慮しつつ、できるだけ短いルートで接続するようにレイアウトする。このようなレイアウト形態を、“実質的な最短ルートを形成するレイアウト”と称する。図7に示すレイアウト例では、3つの直線を直角に結んで接続するようにしている。
一方、上記第1および第2実施形態を実現するに当たってのFD配線38FDのレイアウト手法としては、たとえば図8に示す第1例のように、FD配線38FDを通常のレイアウト(すなわち“実質的な最短ルートを形成するレイアウト”)とは異なる伏線形態(パターニング)でレイアウトする手法を採ることで、信号変換特性が線形領域に収まるように、配線長や配線幅(つまり電極面積)を調整してFD部の容量を調整することができる。
図8に示すパターニングの例では、直角部分を斜め配線で接続する、すなわち通常とは異なる曲げ方に変更してパターニングしているので、図7に示した通常のレイアウトよりも配線長は短くなるから、図7に示した通常のレイアウトよりも余分な容量を付けるには、斜め配線部分の電極幅を、最少線幅でパターニングされている直角配線部分よりも広く(太く)すればよい。
また、図9に示す第2例のように、ノード間(本例ではフローティングディフュージョン(FD)38を形成する活性化領域38aと増幅ゲート203の間)の接続役割をなす通常のFD配線38FD以外に、FD配線38FDが形成されている層と同一の配線層内にて、余分な金属配線(付加配線38ad)をFD配線38FDに接続する手法を採用しても、信号変換特性が線形領域に収まるように、FD部の電極面積を調整してFD部の容量を調整することができる。
この手法は、図6において、ノード間の接続に利用される金属配線膜564aの部分以外に、金属配線膜564b,564cを付加配線として設ける手法と同じ考え方である。この付加配線は、通常の最小線幅とは異なる線幅を用いてパターニングする(実際には最小線幅よりも太くする)ことができる。
あるいは、図10に示す第3例のように、全体としては図7に示したと同様の通常の配線ルートではある、すなわち全体的には他のノードとの接続役割をなす電極部材として構成しているが、FD配線38FDの一部あるいは全部(つまり少なくとも一部)の配線を、通常の最小線幅とは異なる線幅を用いてパターニングする(実際には最小線幅よりも太くする)手法を採用しても、信号変換特性が線形領域に収まるように、FD部の電極面積を調整してFD部の容量を調整することができる。
<第3実施形態>
図11は、本発明の第3実施形態を説明する図であって、ソースフォロワ回路(A)と、その小信号等価回路(B)を示す図である。なお、この図11では、垂直選択用トランジスタ40を省略して示している。
この第3実施形態は、単位画素3内の増幅用トランジスタ42のゲート長を変えることによって、増幅用トランジスタ42と負荷MOSトランジスタ27によって構成されるソースフォロワのゲインGainを変化させて、感度を画素内でアナログ的に補正するようにした点に特徴を有する。
増幅用トランジスタ42の相互コンダクタンスをgm 、ドレインコンダクタンスをgd 、負荷MOSトランジスタ27のドレインコンダクタンスをgdLとすると、ソースフォロワのゲインGainは式(1)で表される。式(1)から、増幅用トランジスタ42の相互コンダクタンスgm が大きいほどゲインGainは大きくなることが分かる。
ここで、相互コンダクタンスgm は、式(2)に示すように、増幅用トランジスタ42のゲート幅Wとゲート長Lの比(W/L)に比例する。このため、増幅用トランジスタ42のゲート長Lが短いほど、相互コンダクタンスgm は大きくなり、ソースフォロワのゲインGainも大きくなる。
すなわち、増幅用トランジスタ42のゲート長Lを波長に応じて変えることによって、波長ごとにソースフォロワのゲインGainを変える、つまり、波長に応じて光量変化に対する信号変換能力が異なるように調整することができる。
固体撮像装置1において、一般的に、すべての画素で感度が一定ということはなく、光電変換素子の波長依存性や、カラーフィルタの特性の違いによって、画素ごとに感度が異なる。このことにより、単位画素3からの信号を読み出した際に、ソースフォロアの線形性のない領域を使用してしまう虞れがある。
しかしながら、上述したように増幅用トランジスタ42のゲート長Lを変えることによって、増幅用トランジスタ42の感度を調整することができる。全ての画素で、ソースフォロアの線形性のない領域を使用しないようにすることができる。
また、この仕組みは、増幅用トランジスタ42のゲート側で、ゲート長Lを変えることにより、単位画素3内で感度をアナログ的に補正するものであり、階調が損なわれることなく自然な画像を得ることもできる。
なお、ここでは、ゲート長Lを変えることによって、感度を補正する仕組みを説明したが、式(2)から分かるように、増幅用トランジスタ42のゲート幅Wを調整することでソースフォロワのゲインGainを変えることができ、たとえばゲート幅Wが広いほど、相互コンダクタンスgm は大きくなり、ソースフォロワのゲインGainも大きくなる。
もちろん、ゲート長Lとゲート幅Wの双方を調整することで、ソースフォロワのゲインGainを変えることもできる。ゲート長Lとゲート幅Wの少なくとも一方を調整すればよく、何れを対象として調整するかは、デバイスの構成のし易さから決めるのがよい。たとえば、デバイス設計に当たっては、ゲート幅Wを変えると他の部分のレイアウトも変更する必要が生じるケースがある。このような場合には、ゲート長Lの変更で対処するのが好ましい。
<第4実施形態>
図12は、本発明の第4実施形態を説明する図であって、図2に示した単位画素3におけるフローティングディフュージョン近傍の断面構造例を示す図である。図12では、リセットトランジスタ36、フローティングディフュージョン38、および増幅用トランジスタ42部分の断面を示している。
この第4実施形態は、FD容量を調整することでFD変換効率を変化させる構成を利用する点で第1あるいは第2実施形態と同様であるが、その調整手法に違いがある。具体的には、フローティングディフュージョン38の面積を金属配線膜564を利用して調整するのではなく、フローティングディフュージョン38の不純物濃度を変えることで、実現する点に特徴を有する。
図12に示した単位画素3におけるフローティングディフュージョン38近傍の断面構造から分かるように、フローティングディフュージョン38の容量成分は、拡散容量、ゲートとのオーバーラップ容量、配線容量などから決定される。フォトダイオードなどの光電変換素子に蓄積された信号電荷Qが転送ゲートである読出選択用トランジスタ34によってフローティングディフュージョン38に転送されると、その信号電荷Qに応じた信号電圧Vに変換され、増幅用トランジスタ42のゲートに入力され、負荷MOSトランジスタ27とのソースフォロワ回路によって出力される。
フローティングディフュージョン38における変換効率(V/Q)は、Q=CVの関係式からフローティングディフュージョン38の容量Cに反比例する。つまりフローティングディフュージョン38の容量Cが小さいほど変換効率は大きくなり、同じ信号電荷量に対してより大きな信号電圧が得られる。
フローティングディフュージョン38の容量Cによって変換効率を変えることができるので、画素ごとにフローティングディフュージョン38の不純物濃度を調整することによって、画素ごとの感度を補正することができる。
よって、図12に示すように、フローティングディフュージョン38を構成する構成部材(特に拡散層532b)について、不純物の拡散濃度を、画素ごとに調整してFD容量を大きくすることで、第1あるいは第2実施形態の構成と同様にFD変換効率を小さくすることができ、画素信号の出力範囲をソースフォロアの線形性がある領域内に納める、すなわち、後段の動作レンジに合わせてFD変換効率を調節することができる。
また、この仕組みも、増幅用トランジスタ42のゲート側で、フローティングディフュージョン38の容量を変えて変換効率を変えることにより、単位画素3内で感度をアナログ的に補正するものであり、階調が損なわれることなく自然な画像を得ることもできる。
<第5実施形態>
図13および図14は、本発明の第5実施形態を説明する、センサ入射光量に対する出力の様子を示す図である。ここで図13は、撮像部10における中央部と周辺部(隅画素)の光量に対する出力の様子を説明する図である。また、図14は、第5実施形態を適用した後における撮像部10における中央部と周辺部(隅画素)の光量に対する出力の様子を説明する図である。
この第5実施形態は、第1〜第4実施形態で説明した構成を利用することで、単位構成要素である単位画素3の信号変換能力を、撮像エリア内の画素位置(すなわち場所)ごとに調整・設定し、これによって、入射される物理量の場所依存性に応じて信号変換能力を調整するようにした点に特徴を有する。
具体的事例として、ここでは、第1あるいは第2実施形態で説明した、FD容量を調整する構成を利用して、物理量の場所依存性の一例である光学的シェーディングを抑えるようにする。すなわち、従来技術の項で述べた、画素部中央から周辺部に遠ざかっていくに従って感度が下がっていく光学シェーディングに対し、第1あるいは第2実施形態で説明したフローティングディフュージョン38の拡散層に接続する第2の金属配線としての金属配線膜564の面積を光学シェーディングに応じて調整してFD変換効率を画素位置ごとに変えることにより、撮像エリア(撮像部10)全体の感度を揃え、これにより、光学シェーディングを抑えるようにする。
たとえば、図13に示すように、中央部の画素に対し、隅の画素では、光の蹴られが大きいため、受光部に当たる光量が減り、光学的な感度低下が起こる。これに対し、第1あるいは第2実施形態で説明したように、フローティングディフュージョン38部に金属配線膜564を接続して配線容量を増やす。
このとき、変換効率を下げる保護膜544内(層間膜542上)の金属配線膜564の面積を、撮像部10における中央部(アレイ中央部)から周辺部(アレイ周辺部)に向かって減らしていくことにより、図14に示すように、FD変換効率を、アレイ周辺で上げることができる。
なお、図14では、周辺画素のFD変換効率を、アレイ中央部の倍にする例で示している。この場合、センサ入射光に対する感度が、アレイ中央部とアレイ周辺部とで一様になっている。このようにフローティングディフュージョン38部の容量を金属配線膜564を利用して、その面積を変えて調整することにより、一様に白いものを撮像した際に、周辺が暗くなる現象を抑えることができる。
なお、容量を小さくして変換効率を高くすることにより、撮像部10の周辺部における単位画素3から出力される画素信号の飽和出力レベルが、中央部における単位画素3から出力される画素信号の飽和出力レベルの倍になってしまう。このままでは、中央部が飽和するような全体として高レベルの被写体を撮像したときには、中央部よりも周辺部の方がより白い画像になり不自然になってしまう。
このため、撮像部10の周辺部における単位画素3から出力される画素信号に関しては、中央部における画素信号の飽和出力レベルより大きい部分を有効な信号部分としては使用せずに、中央部における画素信号の飽和出力レベルを代わりに使用するようにする。こうすることで、周辺部の過度な出力レベルを中央部と同様の飽和出力レベルでクリップでき、中央部が飽和するような全体として高レベルの被写体を撮像したときでも、生成される画像の全体を均一な白にできる。
なお、第5実施形態においては、フローティングディフュージョン38の面積を光学シェーディングに応じて調整するに際して、フローティングディフュージョン38に寄与する配線の電極面積を光学シェーディングを相殺する方向で調整する一例を示したが、その他の手法によって、光学シェーディングに応じて光学シェーディングを相殺する方向に電極面積を調整することもできる。
たとえば、層間膜542内に設けた配線金属膜560bの長さを調整することでも実現できる。配線長の調整は、配線ルートの調整(たとえば直線状やジグザグ状と、その形状の違い)で実現できる。あるいは、層間膜542内に設けた配線金属膜560bの幅を調整することでも実現できる。もちろん、配線長と配線幅の双方を調整することで、フローティングディフュージョン38の面積を調整することもできる。配線長と配線幅の少なくとも一方を調整すればよく、何れを対象として調整するかは、デバイスの構成のし易さから決めるのがよい。
<FD面積の調整概念図>
図15は、フローティングディフュージョン38の面積を光学シェーディングに応じて調整する際の考え方を説明する概念図であって、センサ中心部からの距離に対する入射光とフローティングディフュージョン38に接続する負荷配線39(ダミー配線)をなす金属配線膜564の面積の関係を示す図である。
元々のフローティングディフュージョン38にぶら下がっている容量があるため、撮像部10の周辺部(センサ端)の感度(光学的+電気的)を中心部と揃えるためには、ダミー配線をなす金属配線膜564により形成される容量の差を、より大きく付ける必要がある。ただし、レイアウト的制約がある場合には、その範囲内で行なわなければならない。
<FD面積の調整例>
図16は、フローティングディフュージョン38の面積を光学シェーディングに応じて調整する具体的事例を説明する図であって、センサそれぞれの箇所におけるフローティングディフュージョン38に接続する金属配線膜564のイメージ図である。
光学的に最も感度の高い撮像部10の中心部に対しての距離が離れるに従い、ダミー配線をなす金属配線膜564の面積を減らすのがよい。図では、電極面積を、4段階で設定しているが、さらに多段階とすればより好ましい。
これによって、金属配線膜564により形成される容量を中心部から離れるに従って小さくすることで変換効率を高くでき、逆に中心部に近づくに従って容量を大きくすることで変換効率を低くできる。よって、光学的シェーディングと逆相の補正をかける、つまり金属配線膜564の電極面積を光学シェーディングを相殺する方向で調整することができる。ただし、レイアウト的制限や使いたいフローティングディフュージョン38の容量レンジなどから、補正するための面積は制限を受ける。
なお、図では、光学シェーディングに応じて、電極面積を、多段階(図では4段階)で設定する事例を示しているが、光学シェーディングを少しでも抑制できればよく、極端なケースでは、中央部側は広い電極、周辺部は狭い電極、の2段階で設定してもよい。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、上記実施形態では、単位構成要素の信号変換特性を線形領域に設定する具体的な手法として、配線を接続してその配線幅や長さを調整して電荷蓄積部の容量を調整することや、電荷蓄積部への不純物濃度を調整する、拡散層の面積を調整する、または半導体素子のゲート長やゲート幅を調整することを示したが、検知部に入射される物理量(たとえば光量)に対して操作を加える手法でない限り、その他の手法をも採用し得る。
要するに、単位構成要素内において、その単位構成要素を構成する種々の部材に対して積極的に操作を加えることで、単位構成要素の信号変換特性を線形領域に設定するものであれば、どのような手法を採用してもよい。上記実施形態で説明した手法はその一例に過ぎないからである。
また、上記実施形態の説明では、単位構成要素内における特に画素信号生成部を構成する種々の部材に対して積極的に操作を加えることで、電荷生成部が生成した物理量(光)の変化に応じた信号電荷に対する、画素信号生成部5から出力される画素信号の信号変換能力を調整して、これによって、単位構成要素の信号変換特性を線形領域に設定する事例を説明したが、操作対象は、単位画素3内のものであれば、何れのものでもよい。
検知部に入射される物理量(たとえば光量)に対して操作を加える手法でない限り何れの操作手法も採用でき、画素信号生成部5の構成部材に限定されず、たとえば、電荷生成部32に対して所定の操作を加えることで実現してもよい。何故なら、検知部に入射される物理量変化が同一であっても、その検知部において検知される検知情報の大きさが異なるようにすることで、単位信号生成部の変換効率が同一であっても、単位信号生成部すなわち単位構成要素のそれぞれから出力される単位信号の大きさを、ソースフォロアの線形性のある領域に設定できるからである。
1…固体撮像装置、5…画素信号生成部、3…単位画素、7…駆動制御部、10…撮像部、12…水平走査部、14…垂直走査部、15…垂直制御線、16…駆動信号操作部、18…垂直信号線、20…カラム処理部、22…カラム信号処理部、27…負荷MOSトランジスタ、28…水平信号線、29…出力回路、32…電荷生成部、34…読出選択用トランジスタ、36…リセットトランジスタ、38…フローティングディフュージョン、39…負荷配線、40…垂直選択用トランジスタ、42…増幅用トランジスタ、532…拡散層、540,542…層間膜、544…保護膜、550,552…接続孔、564…金属配線膜