JP4939267B2 - 光学補償フィルム、及びその製造方法、並びにそれを用いた偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

光学補償フィルム、及びその製造方法、並びにそれを用いた偏光板、及び液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学補償フィルム、及びその製造方法、並びにそれを用いた偏光板、及び液晶表示装置、特にOCBモードの液晶表示装置に関する。
従来、種々のモードの液晶表示装置が提案されている。その一つとして、応答速度の速さに特長を持つOCBモード(あるいはベンドモード)に注目が集まっている。しかし、OCBモードで広い視角特性を得るのは難しく、光学補償フィルムを利用する必要がある。例えば、特許文献1には、OCBモードの液晶表示装置の黒表示時の視角方向に依存した色づきの軽減に寄与する光学補償フィルムとして、ハイブリット配向した円盤状化合物を含有する第1光学異方性層と、所定の光学特性を満足する第2光学異方性層及び第3光学異方性層とを少なくとも有する光学補償フィルムが提案されている。
特許文献1に提案されている光学補償フィルムは、第1、第2及び第3光学異方性層を含んでいるが、それぞれに要求される光学特性を満足する光学異方性層を、塗布等の簡易な方法で連続的に製造するのは困難であり、それぞれの光学異方性層を仮支持体上に一旦形成した後、転写等を行なったり、又は自己支持性のあるポリマーフィルムとして一旦作製した後、粘着剤層を介して貼り合せる等の工程が必要である。製造の際に、粘着剤層が必要になることや、塗布等による連続生産が不可であること等、薄型化の要請や、製造工程の簡略化の要請には合致しない面がある。
一方、簡易な工程で複数の位相差層を含む位相差フィルムを製造可能な方法として、特許文献2には、光学的異方性層上に、液晶性化合物と偏光紫外線光に反応するポリマーとを含む溶液を塗布する工程と、前記溶液を乾燥して位相差層の前駆層を形成する工程と、前記前駆層表面に偏光紫外線光を照射する工程とを含む位相差フィルムの製造方法が提案され、及び該方法を利用して、負のC−プレートと、ネマチック液晶からなるO−プレートとが積層された位相差フィルムが製造できたことが記載されている(特許文献2の実施例1)。
しかし、この方法では、偏光紫外線光に反応するポリマーという、特殊のポリマーを利用する必要があり、汎用性に欠ける面があり、又製造される位相差フィルムの用途も制限される。
また、特許文献3には、より薄く、且つより少ない工程で複屈折性フィルムを製造する方法として、配向処理された非液晶性ポリマー製複屈折層を、液晶化合物のための配向層として用いる製造方法が提案されている。
WO2006/095928A1公報 特開2004−264345号公報 特開2004−226945号公報
本発明は、液晶表示装置、特にOCBモードの液晶表示装置、の視野角の拡大及び視野角に依存した色味付きの軽減に寄与し、しかも簡易に且つ低コストで製造可能な光学補償フィルムを提供することを課題とする。
また、本発明は、かかる光学補償フィルムを利用した、良好な性能の偏光板及び液晶表示装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] nx>ny>nzを満たす第1の光学異方性層、
液晶配向能を有し、nx≧ny>nzを満たす第2の光学異方性層、及び
配向状態に固定化された液晶性化合物を含有する第3の光学異方性層、
をこの順に有する光学補償フィルム:
但し、nx、ny及びnzはそれぞれ、前記各光学異方性層における、フィルム面内の最大屈折率、該最大屈折率を与える方向に面内で直交する方向の屈折率、及びフィルム面の法線方向の屈折率を示す。
[2] 前記第1の光学異方性層の面内レターデーションReが、可視光域において逆分散波長依存性を示すことを特徴とする[1]の光学補償フィルム。
[3] 前記第2の光学異方性層の厚み方向のレターデーションRthが、可視光域において順分散波長依存性を示すことを特徴とする[1]又は[2]の光学補償フィルム。
[4] 前記第2の光学異方性層が、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドからなる群から選択される少なくとも一種のポリマー材料を含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの光学補償フィルム。
[5] 前記第2の光学異方性層が、重合度1000〜5000で、且つ鹸化度80%〜100%のポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールからなる群から選択される少なくとも一種のポリマー材料を含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの光学補償フィルム。
[6] 前記第2の光学異方性層が、延伸処理されていないことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの光学補償フィルム。
[7] 前記第1の光学異方性層が、セルロースアシレート及び下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする[1]〜[6]のいずれかの光学補償フィルム:
Figure 0004939267
式中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表し;A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表し;R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表し;Xは第14〜16族の非金属原子を表し(ただし、Xには水素原子又は置換基が結合してもよい);nは0〜2までのいずれかの整数を表す。
[8] 前記第1の光学異方性層が、セルロースアセテートプロピオネートを含有するフィルムを延伸して形成されたものであることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかの光学補償フィルム。
[9] 前記第3の光学異方性層に含有される液晶性化合物の少なくとも1種が、円盤状化合物であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかの光学補償フィルム。
[10] 第1の光学異方性層上に、ポリマー組成物を塗布し、第2の光学異方性層を形成する工程、及び第2の光学異方性層の表面に、液晶組成物を塗布し、該液晶組成物を第2の光学異方性層の表面上で配向させて、その配向状態を固定して第3の光学異方性層を形成する工程を含み、且つ前記第2の光学異方性層を延伸する工程を含まないことを特徴とする[1]〜[9]のいずれかの光学補償フィルムの製造方法。
[11] [1]〜[9]のいずれかの光学補償フィルムと、偏光膜とを少なくとも有する偏光板。
[12] [11]の偏光板を有する液晶表示装置。
[13] 前記液晶表示装置の液晶モードが、電界制御複屈折モードであることを特徴とする[12]の液晶表示装置。
[14] 前記液晶表示装置の液晶モードが、OCBモードであることを特徴とする[12]の液晶表示装置。
本発明によれば、液晶表示装置、特にOCBモードの液晶表示装置、の視野角の拡大及び視野角に依存した色味付きの軽減に寄与し、しかも簡易に且つ低コストで製造可能な光学補償フィルムを提供することができる。
また、本発明によれば、かかる光学補償フィルムを利用した、良好な性能の偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
発明の実施の形態
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(10)及び式(11)よりRthを算出することもできる。
Figure 0004939267
式中、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
また式中、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表し、dは膜厚(μm)を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
また、本明細書において、測定波長を特に付記しない場合は、波長550nmにおけるRe及びRthであるとする。
図1に本発明の光学補償フィルムの一例の断面模式図を示す。
図1に示す光学補償フィルムは、第1の光学異方性層10、第2の光学異方性層12、及び第3の光学異方性層14を有する。第1の光学異方性層10は、nx>ny>nzを満足する、光学的に二軸性の層であり、ポリマーフィルム等からなる。第2の光学異方性層12は、nx≧ny>nzを満足する、いわゆる負のC−プレートであるとともに、その液晶配向能を有し、第3の光学異方性層14を形成する際の配向膜としても機能する。従って、第2の光学異方性層は、従来、配向膜に利用されているポリイミドやポリビニルアルコール等の配向膜用ポリマー材料からなっているのが好ましい。第3の光学異方性層は、配向状態に固定化された液晶性化合物を含有する。例えば、液晶性化合物を第2の光学異方性層12の表面上でその配向能によって配向させ、その状態に固定化して形成された層である。
本実施の形態の光学補償フィルムは、電界制御複屈折モード、中でも、OCBモードの液晶表示装置の光学補償フィルムとして有用である。視野角に依存した色味付きをより改善するという観点では、第1の光学異方性層10は、その面内レターデーションReが、可視光域において逆分散波長依存性、即ち、長波長になる程Reが大きくなる性質、を示すのが好ましい。但し、OCBモードの液晶セルの光学補償能を損なわない範囲で、Reを適切に逆分散波長依存性とするためには、具体的には、第1の光学異方性層10は、下記式(I)及び(II)を満足しているのが好ましい。
(I): 1.0> Re(450nm)/Re(550nm)> 0.6
(II): 1.3> Re(630nm)/Re(550nm)> 1.0
同様の観点から、第2の光学異方性層12の厚み方向のレターデーションRthは、可視光域において順分散波長依存性、即ち、短波長になる程Rthが大きくなる性質、を示すのが好ましい。但し、OCBモードの液晶セルの光学補償能を損なわない範囲で、Rthを適切に順波長分散性とするためには、具体的には、第2の光学異方性層12は、下記式(III)及び(IV)を満足しているのが好ましい。
(III): 1.5> Rth(450nm)/Rth(550nm)≧ 1.0
(IV): 1.0≧ Rth(630nm)/Rth(550nm)> 0.8
以下、本発明の光学補償フィルムを構成する各光学異方性層の作製に用いられる材料及び方法について詳細に説明する。
[第1の光学異方性層]
本発明の光学補償フィルムは、nx>ny>nzを満たす第1の光学異方性層を有する。第1の光学異方性層は、ポリマーフィルムであるのが好ましい。第1の光学異方性層がポリマーフィルムであると、本発明の光学補償フィルムを偏光子と貼り合わせることができる。また、単独の部材として、例えば、光学補償フィルムとして液晶表示装置に組み込むことができる。前記ポリマーフィルムの材料としては、光学性能、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるポリマーが好ましいが、上述の条件を満たす範囲であればどのような材料を用いてもよい。例えば、側鎖に特殊な構造を有する変性ポリカーボネートや変性シクロオレフィンポリマーや、側鎖にアセチル基を有するセルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)等が、延伸等により上記Reの逆波長分散性を発現するものとして好ましく用いられる。
セルロースアシレートの代表例としては、トリアセチルセルロースが挙げられる。セルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、前記セルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
第1の光学異方性層用のセルロースアシレートフィルムのセルロースアシレートのアシル置換基は、例えばアセチル基単独からなるセルロースアシレートであっても、複数のアシル置換基を有するセルロースアシレートを含む組成物を用いても良い。かかるセルロースアシレートの好ましい例は、全アシル化度が2.3〜3.0であり、2.4〜2.95がより好ましく、2.5〜2.93がさらに好ましい。
上記セルロースアシレートのアシル置換基として、混合脂肪酸エステルも好ましく用いることができる。脂肪酸エステル残基において、脂肪族アシル基の炭素原子数が2〜20であることが好ましい。具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステアロイル等が挙げられ、好ましくはアセチル、プロピオニル及びブチリルである。中でも、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートの何れかを用いるのが好ましい。
前記セルロースアシレートは、脂肪酸アシル基と置換もしくは無置換の芳香族アシル基とを有する混合酸エステルであってもよい。
芳香族アシル基の置換度はセルロース脂肪酸モノエステルの場合、残存する水酸基に対して、好ましくは2.0以下、さらに好ましくは0.1〜2.0である。また、セルロース脂肪酸ジエステル(二酢酸セルロース)の場合、残存する水酸基に対して、好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.1〜1.0である。
前記セルロースアシレートは、350〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、370〜600の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明で用いられるセルロースアシレートは、70000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することがよりさらに好ましい。
前記セルロースアシレートは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。工業的に最も一般的な合成方法では、綿花リンタや木材パルプなどから得たセルロースをアセチル基及び他のアシル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)又はそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)を含む混合有機酸成分でエステル化してセルロースエステルを合成する。
前記セルロースアシレートフィルムは、溶液流延法、または溶融流延法により製造されるのが好ましい。溶液流延法を利用したセルロースアシレートフィルムの製造例については、 米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号及び同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号及び同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号及び同62−115035号等の記載を参考にすることができる。また、前記セルロースアシレートフィルムは、延伸処理を施すことによって、Re、Re逆波長分散性を発現する。延伸処理の方法及び条件については、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号 等に記載の例を参考にすることができる。
本発明では、上記した通り、前記第1の光学異方性層は、可視光域において、Reが逆分散波長依存性を示しているのが好ましい。かかる性質のポリマーフィルムを作製するためには、セルロースアセテートプロピオネートとセルロースアセテートとを含む組成物を溶融製膜法で製膜した後、延伸処理を施すのが好ましい。
また、セルロースアシレート(好ましくはセルロースアセテート)と、下記の式(I)で表されるRe発現剤とを含有する組成物を、溶液製膜法にて製膜し、所望により延伸処理して作製するのが好ましい。
(Re発現剤)
第1の光学異方性層としての条件を満足するセルロースアシレートフィルムを作製するために、セルロースアシレートフィルム中に、Re発現剤を添加するのが好ましい。ここで、「Re発現剤」とはフィルム面内の複屈折を発現する性質を有する化合物である。
第1の光学異方性層として利用するセルロースアシレートフィルムは、Re発現剤として、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を含有しているのが好ましい。
Figure 0004939267
式中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表し;A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表し;R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表し;Xは第14〜16族の非金属原子を表し(ただし、Xには水素原子又は置換基が結合してもよい);nは0〜2までのいずれかの整数を表す。
前記一般式(I)で表される化合物の中でも、Re発現剤としては、下記一般式(II)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004939267
一般式(II)中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表す。A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す。)、−S−及びCO−からなる群から選ばれる基を表す。R1、R2、R3、R4及びR5は各々独立に置換基を表す。nは0〜2の整数を表す。
一般式(I)又は(II)において、L1及びL2が表す二価の連結基としては、好ましくは下記の例が挙げられる。
Figure 0004939267
さらに好ましくは−O−、−COO−、−OCO−である。
一般式(I)又は(II)において、R1は置換基であり、複数存在する場合は同じでも異なっていてもよく、環を形成してもよい。置換基の例としては下記のものが適用できる。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換又は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換又は無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
1は好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、アミノ基であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基である。
2、R3は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは置換もしくは無置換のベンゼン環、置換もしくは無置換のシクロヘキサン環である。より好ましくは置換基を有するベンゼン環、置換基を有するシクロヘキサン環であり、さらに好ましくは4位に置換基を有するベンゼン環、4位に置換基を有するシクロヘキサン環である。
4、R5は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは、ハメットの置換基定数σp値が0より大きい電子吸引性の置換基であることが好ましく、σp値が0〜1.5の電子吸引性の置換基を有していることがさらに好ましい。このような置換基としてはトリフルオロメチル基、シアノ基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。また、R4とR5とが結合して環を形成してもよい。
なお、ハメットの置換基定数のσp、σmに関しては、例えば、稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応V」2605頁(丸善)、仲谷忠雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)、ケミカル レビュー,91巻,165〜195頁(1991年)等の成書に詳しく解説されている。
1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基)、−S−及びCO−からなる群から選ばれる基を表す。好ましくは−O−、−NR−(Rは置換基を表し、例としては上記R1の例が挙げられる)又はS−である。
Xは第14〜16族の非金属原子を表す。ただし、Xには水素原子又は置換基が結合してもよい。Xは=O、=S、=NR、=C(R)Rが好ましい(ここでRは置換基を表し、例としては上記R1の例が挙げられる)。
nは0〜2の整数を表し、好ましくは0、1である。
以下に、一般式(I)又は(II)で表される化合物の具体例を示すが、前記Re発現剤の例は以下の具体例に限定されるものではない。下記化合物に関しては、指定のない限り括弧( )内の数字にて例示化合物(X)と示す。
Figure 0004939267
Figure 0004939267
Figure 0004939267
Figure 0004939267
Figure 0004939267
Figure 0004939267
前記一般式(I)又は(II)で表される化合物の合成は、既知の方法を参照して行うことができる。例えば、例示化合物(1)は、下記スキームに従って合成することができる。
Figure 0004939267
前記スキーム中、化合物(1−A)から化合物(1−D)までの合成は、“Journal of Chemical Crystallography”(1997);27(9);p.515−526.に記載の方法を参照して行うことができる。
さらに、前記スキームに示したように、化合物(1−E)のテトラヒドロフラン溶液に、メタンスルホン酸クロライドを加え、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを滴下し攪拌した後、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを加え、化合物(1−D)のテトラヒドロフラン溶液を滴下し、その後、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)のテトラヒドロフラン溶液を滴下することで、例示化合物(1)を得ることができる。
また、特開2004−50516号公報の11〜14頁に記載の棒状芳香族化合物を、前記Re発現剤として用いてもよい。
また、Re発現剤として、一種の化合物を単独で、又は二種類以上の化合物を混合して用いることができる。Re発現剤として互いに異なる二種類以上の化合物を用いると、レターデーションの調整範囲が広がり、容易に所望の範囲に調整できるので好ましい。
前記Re発現剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がさらに好ましい。前記セルロースアシレートフィルムをソルベントキャスト法で作製する場合は、前記Re発現剤を、ドープ中に添加してもよい。添加はいずれのタイミングで行ってもよく、例えば、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶媒にRe発現剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加してもよいし、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
(Rth発現剤)
また、第1の光学異方性層としての条件を満足するセルロースアシレートフィルムを作製するために、セルロースアシレートフィルム中に、Rth発現剤を添加するのが好ましい。ここで、「Rth発現剤」とはフィルムの厚み方向に複屈折を発現する性質を有する化合物である。
前記Rth発現剤としては、250nm〜380nmの波長範囲に吸収極大を有する分極率異方性の大きい化合物が好ましい。前記Rth発現剤としては、下記一般式(I)で表される化合物を特に好ましく使用できる。
Figure 0004939267
式中、X1は、単結合、−NR4−、−O−又はS−であり;X2は、単結合、−NR5−、−O−又はS−であり;X3は、単結合、−NR6−、−O−又はS−である。また、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基又は複素環基であり;R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基である。
以下に前記一般式(I)で表される化合物の好ましい例(I−(1)〜IV−(10))を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 0004939267
Figure 0004939267
Figure 0004939267
Figure 0004939267
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Figure 0004939267
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Figure 0004939267
Figure 0004939267
Figure 0004939267
Figure 0004939267
前記Rth発現剤としては下記一般式(III)で表される化合物も好ましい。以下に一般式(III)の化合物に関して詳細に説明する
Figure 0004939267
一般式(III)中、R2、R4、R5はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R11、R13はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(III)中、R2、R4、R5はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。前記置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(III)におけるR2として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基であり、最も好ましくは水素原子である。
一般式(III)におけるR4として好ましくは、水素原子又は電子供与性基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、特に好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、最も好ましくは水素原子、メトキシ基である。
一般式(III)におけるR5として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。最も好ましくは水素原子である。
一般式(III)におけるR11、R13はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、R11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。ここでヘテロ原子とは水素原子、炭素原子以外の原子のことを表し、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン、ケイ素、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ホウ素などが挙げられる。
11、R13で表されるアルキル基としては、直鎖、分岐、又は環状であって、置換もしくは無置換のアルキル基を表し、好ましくは置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基(つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基。)、更に環構造が多いトリシクロ構造などが挙げられる。
11、R13で表されるアルキル基の好ましい例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、2−ヘキシルデシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−ヘキセニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等を挙げることができる。また、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル、ビシクロアルキル基としては、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イルなどを挙げることができる。
11として更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
13として特に好ましくは、炭素原子2個以上を含むアルキル基であり、より好ましくは炭素原子3個以上を含むアルキル基である。分岐又は環状構造をもったものは特に好ましく用いられる。
以下にR13で表されるアルキル基の具体例(O−1〜O−20)を挙げて説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。尚、下記具体例中、「#」は酸素原子側を意味する。
Figure 0004939267
一般式(III)におけるAr1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、繰り返し単位中のAr1は、すべて同一であっても異なっていてもよい。また、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表す。
一般式(III)中、Ar1で表されるアリーレン基として好ましくは炭素数6〜30のアリーレン基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。Ar1で表されるアリーレン基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニレン基、p−メチルフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
一般式(III)中、Ar2で表されるアリール基として好ましくは炭素数6〜30のアリール基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。Ar2で表されるアリール基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
一般式(III)中、Ar1、Ar2で表される芳香族ヘテロ環は、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環であることができ、好ましくは5〜6員環の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環である。また、可能な場合にはさらに置換基を有してもよい。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(III)中、Ar1、Ar2で表される芳香族ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、ピロロトリアゾール、ピラゾロトリアゾールなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましいものは、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾールである。
一般式(III)中、L1、L2はそれぞれ独立に単結合、又は2価の連結基を表す。L1、L2は、同じであってもよく異なっていてもよい。また、繰り返し単位中のL2は、すべて同一であっても異なっていてもよい。
前記二価の連結基として好ましいものは、−O−、−NR―(Rは水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基又はアリール基をあらわす)、−CO−、−SO2−、−S−、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基及びこれらの二価の基を2つ以上組み合わせて得られる基であり、その内より好ましいものは−O−、−NR−、−CO−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CONR−、−NRCO−、−COO−、及びOCO−、アルキニレン基である。Rは好ましくは水素原子を表す。
本発明における一般式(III)で表される化合物において、Ar1はL1及びL2と結合するが、Ar1がフェニレン基である場合、L1-Ar1−L2、及びL2-Ar1−L2は互いにパラ位(1,4−位)の関係にあることが特に好ましい。
一般式(III)中、nは3以上の整数を表し、好ましくは3〜7であり、より好ましくは3〜6であり、さらに好ましくは3〜5である。
前記一般式(III)で表される化合物としては、下記一般式(IV)及び(V)で表される化合物を特に好ましく用いることができる。
Figure 0004939267
一般式(IV)中、R2、R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11、R13は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(IV)中、R2、R5、R11、R13は一般式(III)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。また、L1、L2、Ar1、Ar2についても一般式(III)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。
Figure 0004939267
一般式(V)中、R2、R5はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R11、R13、R14はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(V)中、R2、R5、R11、R13は一般式(III)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。また、L1、L2、Ar1、Ar2は一般式(III)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(V)において、R14は水素原子又はアルキル基を表し、アルキル基としてはR11、R13の好ましい例として示したアルキル基が好ましく用いられる。前記R14として好ましくは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。R11とR14とは同一であってもよいし異なっていてもよいが、ともにメチル基であることが特に好ましい。
また、前記一般式(V)で表される化合物としては、一般式(V―A)もしくは一般式(V−B)で表される化合物も好ましい。
Figure 0004939267
一般式(V−A)中、R2、R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11、R13は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(V―A)中、R2、R5、R11、R13、L1、L2、Ar1、nは一般式(III)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
Figure 0004939267
一般式(V−B)中、R2、R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11、R13、R14は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL1、Ar2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(V―B)中、R2、R5、R11、R13、R14、L1、L2、Ar1、nは一般式(III)及び(V)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
以下に前述の置換基Tについて説明する。
置換基Tとして好ましくはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換又は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、
シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、
スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換又は無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(V−A)で表される化合物として好ましいものは、R11がいずれもメチル基であり、R2、R5がいずれも水素原子であり、R13が炭素原子3個以上をもつアルキル基であり、L1が、単結合、−O−、−CO−、−NR−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CONR−、−NRCO−、−COO−、及びOCO−、アルキニレン基(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表す。好ましくは水素原子である。)であり、L2が−O−又はNR−(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表す。好ましくは水素原子である。)であり、Ar1がアリーレン基であり、nが3〜6であるものを挙げることができる。
以下に一般式(V−A)及び(V−B)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 0004939267
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Figure 0004939267
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Figure 0004939267
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一般式(III)で表される化合物はまず置換安息香酸を合成した後に、この置換安息香酸とフェノール誘導体もしくはアニリン誘導体との一般的なエステル反応もしくはアミド化反応によって合成でき、エステル結合、アミド結合形成反応であればどのような反応を用いてもよい。例えば、置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノール誘導体もしくはアニリン誘導体と縮合する方法、縮合剤あるいは触媒を用いて置換安息香酸とフェノール誘導体もしくはアニリン誘導体を脱水縮合する方法などが挙げられる。
一般式(III)で表される化合物の製造方法としては、製造プロセス等を考慮すると置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノール誘導体もしくはアニリン誘導体と縮合する方法が好ましい。
一般式(III)で表される化合物の製造方法においては、反応溶媒として、炭化水素系溶媒(好ましくはトルエン、キシレンが挙げられる。)、エーテル系溶媒(好ましくはジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる)、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを用いることができる。これらの溶媒は単独でも数種を混合して用いてもよく、前記溶媒として好ましくはトルエン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドである。
反応温度としては、好ましくは0〜150℃、より好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜90℃であり、特に好ましくは20℃〜90℃である。
また、本反応には塩基を用いないのが好ましい。塩基を用いる場合には有機塩基、無機塩基のどちらでもよく、好ましくは有機塩基であり、ピリジン、3級アルキルアミン(好ましくはトリエチルアミン、エチルジイソプルピルアミンなどが挙げられる)である。
一般式(V−A)及び(V−B)で表される化合物は、公知の方法で合成することができ、例えば、n=4である化合物の場合、下記構造Aを有する原料化合物と水酸基、アミノ基等の反応性部位を有する誘導体との反応により得られた下記中間体B 2分子を、下記化合物C 1分子により連結することによって得ることができる。ただし、一般式(V−A)及び(V−B)で表される化合物の合成法はこの例に限定されない。
Figure 0004939267
式中、Aは水酸基、ハロゲン原子等の反応性基を表し、R11、R2、R13、及びR5は先に記載した通りであり、R4は水素原子もしくは前述のOR14で表される置換基である。
Figure 0004939267
式中、A’はカルボキシル基等の反応性基を表し、R11、R2、R13、R4、R5、Ar1、及びL1は先に記載した通りである。
Figure 0004939267
式中、B及びB’は水酸基、アミノ基等の反応性基を表し、Ar2及びL2は先に記載したAr1、L1と同義である。
上記一般式(I)、(III)〜(V)で表される本発明におけるRth発現剤のセルロースアシレート100質量部に対する含有量は0.1〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がさらに好ましく、3〜15質量%がよりさらに好ましい。
前記セルロースアシレートフィルムをソルベントキャスト法により製造する場合は、前記Rth発現剤をドープ中に添加してもよい。前記Rth発現剤を添加するタイミングについて特に制限はなく、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶媒にRth発現剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
前記Rth発現剤として、前記一般式(I)、(III)〜(V)で表される化合物の一種を単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いることができる。また、本発明においては、一般式(I)、(III)〜(V)で表されるRth発現剤の併用も好ましい。
前記第1の光学異方性層として使用されるセルロースアシレートフィルムは、紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤は、Rth発現剤としても機能し得る。前記紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。前記第2の光学異方性層として用いるセルロースアシレートフィルムには、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明に有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(何れもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を好ましく使用できる。
Rth発現剤のセルロースアシレート100質量部に対する含有量は0.1〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がさらに好ましく、3〜15質量%がよりさらに好ましい。
なお、前記セルロースアシレートフィルムをソルベントキャスト法により製造する場合は、前記Rth発現剤をドープ中に添加してもよい。前記Rth発現剤を添加するタイミングについて特に制限はなく、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶媒にRth発現剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
(可塑剤)
前記第1の光学異方性層として用いられるセルロースアシレートフィルム中には、トリフェニルホスフェート、ビフェニルホスフェート等の可塑剤を添加してもよい。
前記第1の光学異方性層として用いるポリマーフィルムの厚みについては特に制限されないが、一般的には、40〜120μmであるのが好ましく、60〜100μmであるのがより好ましい。
[第2の光学異方性層]
本発明の光学補償フィルムは、液晶配向能を有し、nx≧ny>nzを満たす第2の光学異方性層を有する。第2の光学異方性層は、ポリマー組成物を用いて、塗布法によって形成した層であるのが好ましい。前記ポリマー組成物中には、塗布によって、光学異方性を発現し得るとともに、液晶配向能を発現し得る(但し、ラビング処理等の後処理によって発現するものも含む)ポリマーを一種又は二種以上含有する。前記第2の光学異方性層の形成に用いられるポリマーについては特に制限はないが、塗布により光学異方性のポリマー層を形成可能であるという観点から、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、セルロースエステル(例、セルローストリアセーテート、セルロースジアセテート)、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、およびポリアリールエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料が好ましい。中でも、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドからなる群から選択されるポリマーが好ましい。また、後述する所定の重合度及び鹸化度のポリビニルアルコールも好ましい。所定のポリビニルアルコール及びポリイミドを用いて、塗布によってポリマー層を形成すると、ポリマー層にはRthが発現されるとともに、そのRthが順分散波長依存性を示し、第2の光学異方性層として好ましい光学特性を示す。
(ポリイミド)
前記第2の光学異方性層の形成に用いるポリイミドについては特に制限はない。種々の公知のポリイミドから選択することができる。好ましいポリイミドの例としては、特開2004−226945号公報の[0011]〜[0034]に記載のポリイミドが挙げられる。より具体的には、面内配向性が高く、有機溶剤に可溶なポリイミドが好ましい。具体的には、例えば、特表2000−511296号公報に開示された、9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合生成物を含み、下記式(1)に示す繰り返し単位を1つ以上含むポリマーが使用できる。
Figure 0004939267
前記式(1)中、R3〜R6は、水素、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC110アルキル基で置換されたフェニル基、およびC110アルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。好ましくは、R3〜R6は、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC110アルキル基で置換されたフェニル基、およびC110アルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。
前記式(1)中、Zは、例えば、C620の4価芳香族基であり、好ましくは、ピロメリット基、多環式芳香族基、多環式芳香族基の誘導体、または、下記式(2)で表される基である。
Figure 0004939267
前記式(2)中、Z'は、例えば、共有結合、C(R72基、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(C252基、または、NR8基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。また、wは、1から10までの整数を表す。R7は、それぞれ独立に、水素またはC(R93である。R8は、水素、炭素原子数1〜約20のアルキル基、またはC620アリール基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。R9は、それぞれ独立に、水素、フッ素、または塩素である。
前記多環式芳香族基としては、例えば、ナフタレン、フルオレン、ベンゾフルオレンまたはアントラセンから誘導される4価の基があげられる。また、前記多環式芳香族基の置換誘導体としては、例えば、C110のアルキル基、そのフッ素化誘導体、およびFやCl等のハロゲンからなる群から選択される少なくとも一つの基で置換された前記多環式芳香族基があげられる。
この他にも、例えば、特表平8−511812号公報に記載された、繰り返し単位が下記一般式(3)または(4)で示されるホモポリマーや、繰り返し単位が下記一般式(5)で示されるポリイミド等があげられる。なお、下記式(5)のポリイミドは、下記式(3)のホモポリマーの好ましい形態である。
Figure 0004939267
前記一般式(3)〜(5)中、GおよびG'は、例えば、共有結合、CH2基、C(CH32基、C(CF32基、C(CX32基(ここで、Xは、ハロゲンである。)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(CH2CH32基、および、N(CH3)基からなる群から、それぞれ独立して選択される基を表し、それぞれ同一でも異なってもよい。
前記式(3)および式(5)中、Lは、置換基であり、dおよびeは、その置換数を表す。Lは、例えば、ハロゲン、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、または、置換フェニル基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C1-3アルキル基、およびC1-3ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基があげられる。また、前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素があげられる。dは、0から2までの整数であり、eは、0から3までの整数である。
前記式(3)〜(5)中、Qは置換基であり、fはその置換数を表す。Qとしては、例えば、水素、ハロゲン、アルキル基、置換アルキル基、ニトロ基、シアノ基、チオアルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、アルキルエステル基、および置換アルキルエステル基からなる群から選択される原子または基であって、Qが複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素があげられる。前記置換アルキル基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基があげられる。また前記置換アリール基としては、例えば、ハロゲン化アリール基があげられる。fは、0から4までの整数であり、gおよびhは、それぞれ0から3および1から3までの整数である。また、gおよびhは、1より大きいことが好ましい。
前記式(4)中、R10およびR11は、水素、ハロゲン、フェニル基、置換フェニル基、アルキル基、および置換アルキル基からなる群から、それぞれ独立に選択される基である。その中でも、R10およびR11は、それぞれ独立に、ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
前記式(5)中、M1およびM2は、同一であるかまたは異なり、例えば、ハロゲン、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、または、置換フェニル基である。前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素があげられる。また、前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C1-3アルキル基、およびC1-3ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基があげられる。
前記式(3)に示すポリイミドの具体例としては、例えば、下記式(6)で表されるもの等があげられる。
Figure 0004939267
さらに、前記ポリイミドとしては、例えば、前述のような骨格(繰り返し単位)以外の酸二無水物やジアミンを、適宜共重合させたコポリマーがあげられる。
前記酸二無水物としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物があげられる。前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリト酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物、2,2'−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等があげられる。
前記ピロメリト酸二無水物としては、例えば、ピロメリト酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリト酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリト酸二無水物等があげられる。前記ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記ナフタレンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,3,6,7−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロ−ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記2,2'−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,2'−ジブロモ−4,4',5,5'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2'−ジクロロ−4,4',5,5'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4',5,5'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等があげられる。
また、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物のその他の例としては、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4'−オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4'−[4,4'−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)]ビス(フタル酸無水物)、N,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物等があげられる。
これらの中でも、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、2,2'−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましく、より好ましくは、2,2'−ビス(トリハロメチル)−4,4',5,5'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、さらに好ましくは、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4',5,5'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
前記ジアミンとしては、例えば、芳香族ジアミンがあげられ、具体例としては、ベンゼンジアミン、ジアミノベンゾフェノン、ナフタレンジアミン、複素環式芳香族ジアミン、およびその他の芳香族ジアミンがあげられる。
前記ベンゼンジアミンとしては、例えば、o−、m−およびp−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、1,4−ジアミノ−2−フェニルベンゼンおよび1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼンのようなベンゼンジアミンから成る群から選択されるジアミン等があげられる。前記ジアミノベンゾフェノンの例としては、2,2'−ジアミノベンゾフェノン、および3,3'−ジアミノベンゾフェノン等があげられる。前記ナフタレンジアミンとしては、例えば、1,8−ジアミノナフタレン、および1,5−ジアミノナフタレン等があげられる。前記複素環式芳香族ジアミンの例としては、2,6−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、および2,4−ジアミノ−S−トリアジン等があげられる。
また、前記芳香族ジアミンとしては、これらの他に、4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−(9−フルオレニリデン)−ジアニリン、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、2,2'−ジクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2',5,5'−テトラクロロベンジジン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン等があげられる。
中でも、前記ポリイミドとしては、2、2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物と、2、2’−ビス(トリフルオロメチル)−4、4’−ジアミノビフェニルとから合成されたポリイミドが好ましい。
前記ポリマーの分子量は、特に制限されないが、例えば、重量平均分子量(Mw)が1,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは2,000〜500,000の範囲である。なお、重量平均分子量は、ポリエチレンオキサイドを標準試料とし、ジメチルホルムアミド溶媒を使用してゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した値である。
(ポリビニルアルコール)
前記第2の光学異方性層の形成用ポリマー材料が、ポリビニルアルコールであるのも好ましい。ポリビニルアルコール中の水酸基は、一部が変性されていてもよい(以下、「ポリビニルアルコール」という場合は、「変性ポリビニルアルコール」も含む意味で用いる)。また、第2の光学異方性層の形成に用いるポリビニルアルコールは、平均重合度が1000〜5000であるのが好ましい。平均重合度は、1200〜5000であるのがより好ましく、1700〜5000であるのがさらに好ましい。
また、ポリビニルアルコールの鹸化度は、が、80〜100%であるのが好ましく、95〜100%であるのがより好ましい。
市販のポリビニルアルコールを用いてもよい。重合度が前記範囲である未変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、クラレ社製のPVA117、PVA124、PVA135、PVA217、及び日本酢ビポバール社製の、JF17、JP25、JP18等が市販品としてあり、いずれも使用することができる。
また、前記ポリビニルアルコールはとともに、他の高分子を用いてもよい。添加可能な、ポリビニルアルコール以外の高分子の例としては、例えば特開平8−338913号公報の段落番号[0022]記載のメタクリレート系重合体、スチレン系重合体、ポリオレフィン、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート、ゼラチン、シランカップリング剤等が含まれる。
また、変性ポリビニルアルコールを用いてもよい。変性ポリビニルアルコールの変性基は、側鎖のOH基への修飾による変性、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、不飽和結合を有するもの((メタ)アクリル酸クロライド、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等を側鎖のOH基と反応させて得られる)、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
また、所望により架橋性官能基を有するポリマーを添加してもよい。前記架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報の段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
ポリビニルアルコーをは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。
上記架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。2種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[0024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
上記架橋剤の添加量は、前記ポリビニルアルコールに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。
(第2の光学異方性層の形成)
前記第2の光学異方性層の形成に用いられる、ポリマー組成物を、塗布液として調製してもよい。塗布液は、液晶材料又はポリマー材料を、溶媒に溶解及び/又は分散させて調製することができる。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
前記第2の光学異方性層の形成に利用される塗布方法について特に制限されず、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)を利用できる。中でも、ワイヤーバーコーティング法を利用して塗布するのが好ましい。また、前記第2の光学異方性層の形成にはダイコーティング法も好ましく用いられ、特に、スライドコーター又はスロットダイコーターを利用した塗布方法も好ましく用いることができる。
前記第2の光学異方性層は、第1の光学異方性層であるポリマーフィルムの表面に塗布によって形成した後、乾燥して形成するのが好ましい。第2の光学異方性層を形成した後は、ラビング布で塗布膜を擦るラビング処理を施すのが好ましい。延伸処理を施して配向性を付与することもできるが、工程が煩雑になり、生産性が悪くなるため、好ましくない。ラビング処理であれば、次工程で前記第3の光学異方性層を形成する際、オンラインで行うことができ、生産性に影響しないので好ましい。
前記第2の光学異方性層の表面には、液晶配向能の付加のために、又は液晶配向能の向上のために、配向処理が施されていてもよい。配向処理としては、ラビング処理が好ましい。ラビング処理はLCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いてラビングを行うことにより実施される。
前記第2の光学異方性層の厚みについては特に制限されず、第2の光学異方性層に要求される光学特性を満足する様に、その厚みを決定することができる。その好ましい範囲は、材料によって異なり、例えば、ポリイミドを用いて第2の光学異方性層を形成する場合は、その厚みは、0.5〜10μmであるのが好ましく、2〜8μmであるのがより好ましく、また、ポリビニルアルコールを用いて形成する場合は、その厚みは、 1〜30μmであるのが好ましく、5〜20μmであるのがより好ましい。
[第3の光学異方性層]
本発明の光学補償フィルムは、配向状態に固定化された液晶性化合物を含有する第3の光学異方性層を有する。第3の光学異方性層は、ハイブリッド配向状態に固定された円盤状(以下、「ディスコティック」という場合がある)化合物を含有しているのが好ましい。なお、最終的に光学異方性層に含まれる化合物は、もはや液晶性を示す必要はなく、例えば、光学異方性層の作製に低分子液晶性化合物を用いた場合、光学異方性層を形成される過程で、該化合物が架橋され液晶性を示さなくなった態様であってもよい。
(円盤状液晶性化合物)
円盤状液晶性化合物の例には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体およびJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
前記円盤状液晶性化合物には、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基または置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造の、液晶性を示す化合物も含まれる。分子または分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。
上記した様に、液晶性化合物から光学異方性層を形成した場合、最終的に光学異方性層に含まれる化合物は、もはや液晶性を示す必要はない。例えば、低分子の円盤状液晶性化合物が熱または光で反応する基を有しており、熱または光によって該基が反応して、重合または架橋し、高分子量化することによって光学異方性層が形成される場合などは、光学異方性層中に含まれる化合物は、もはや液晶性を失っていてもよい。円盤状液晶性化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、円盤状液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
円盤状液晶性化合物を重合により固定するためには、円盤状液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有する円盤状液晶性化合物は、下記式(IV)で表わされる化合物であることが好ましい。
式(IV)
D(−L−Q)n1
式(IV)中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Qは重合性基であり、n1は4〜12の整数である。
円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、LQ(またはQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。
Figure 0004939267
Figure 0004939267
Figure 0004939267
Figure 0004939267
式(IV)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリ−レン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリ−レン基、−CO−、−NH−、−O−およびS−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることがより好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリ−レン基、−CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることがさらに好ましい。前記アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。前記アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。前記アリ−レン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基、ARはアリ−レン基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基およびアリ−レン基は、置換基(例えば、アルキル基)を有していてもよい。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
式(IV)の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定することができる。重合性基(Q)は、不飽和重合性基またはエポキシ基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることがよりさらに好ましい。
式(IV)において、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
また、前記第3の光学異方性層の形成には、下記一般式(DI)で表される円盤状液晶化合物を用いてもよい。下記式(DI)化合物は、高い複屈折性を示すので好ましい。
Figure 0004939267
一般式(DI)中、Y11、Y12、Y13は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。L1、L2、L3は、それぞれ独立に単結合又は2価の連結基を表す。H1、H2、H3はそれぞれ独立に、下記一般式(DI−A)又は下記一般式(DI−B)を表す。R1、R2、R3は、それぞれ独立に下記一般式(DI−R)を表す。
一般式(DI)中、Y11、Y12及びY13はそれぞれ独立に、メチン又は窒素原子を表す。Y11、Y12及びY13がそれぞれメチンの場合、メチンが有する水素原子は置換基によって置換されていてもよい。メチンが有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子及びシアノ基を挙げることができる。これらの中では、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基がより好ましく、炭素原子数(置換基が有する炭素原子数をいう、以下、ディスコティック液晶化合物が有していてもよい置換基について同じ)1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数2〜12アルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜12アシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基がさらに好ましい。
11、Y12、Y13は、すべてメチンであることが好ましく、またメチンは無置換であることが好ましい。
一般式(DI)中、L1、L2及びL3はそれぞれ独立に、単結合又は2価の連結基である。前記2価の連結基は、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−、−C≡C−、2価の環状基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数が1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることがより好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
1、L2、L3で表される2価の環状基は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましく、6員環であることがさらに好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環及びナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環及びピリミジン環が含まれる。環状基は、芳香族環及び複素環を含んでいるのが好ましい。
前記2価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル基及びナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。
1、L2又はL3で表される前記2価の環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数が1〜16のアルコキシ基、炭素原子数が2〜16のアシル基、炭素原子数が1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数が2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数が2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数が2〜16のアシルアミノ基が含まれる。
1、L2及びL3としては、単結合、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−2価の環状基−、*−O−CO−2価の環状基−、*−CO−O−2価の環状基−、*−CH=CH−2価の環状基−、*−C≡C−2価の環状基−、*−2価の環状基−O−CO−、*−2価の環状基−CO−O−、*−2価の環状基−CH=CH−又は*−2価の環状基−C≡C−が好ましい。特に、単結合、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−CH=CH−2価の環状基−又は*−C≡C−2価の環状基−がより好ましく、単結合がさらに好ましい。ここで、*は一般式(I)中のY11、Y12及びY13を含む6員環に結合する位置を表す。
一般式(DI)中、H1、H2及びH3はそれぞれ独立に、下記一般式(DI−A)もしくは下記一般式(DI−B)を表す。
Figure 0004939267
一般式(DI−A)中、YA1及びYA2はそれぞれ独立に、メチン又は窒素原子を表す。YA1及びYA2は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、双方が窒素原子であることがより好ましい。XAは酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表す。XAは、酸素原子であることが好ましい。*はL1〜L3と結合する位置を表し、**はR1〜R3と結合する位置を表す。
Figure 0004939267
一般式(DI−B)中、YB1及びYB2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。YB1及びYB2は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、双方が窒素原子であることがより好ましい。XBは酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表す。XBは、酸素原子であることが好ましい。*はL1〜L3と結合する位置を表し、**はR1〜R3と結合する位置を表す。
1、R2、R3は、それぞれ独立に下記一般式(DI−R)を表す。
一般式(DI−R)
*−(−L21−F1n1−L22−L23−Q1
一般式(DI−R)中、*は一般式(DI)中のH1、H2又はH3に結合する位置を表す。F1は少なくとも1種類の環状構造を有する2価の連結基を表す。L21は単結合又は2価の連結基を表す。L21が2価の連結基の場合、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−、−C≡C−、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数が1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることがより好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
21は単結合、**−O−CO−、**−CO−O−、**−CH=CH−又は**−C≡C−(ここで、**は一般式(DI−R)中のL21の左側を表す)が好ましい。特に、単結合が好ましい。
一般式(DI−R)中のF1は少なくとも1種類の環状構造を有する2価の環状連結基を表す。環状構造は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましく、6員環であることがさらに好ましい。環状構造は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環及びピリミジン環が含まれる。
1のうち、ベンゼン環を有するものとしては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有するものとしては、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン−1,6−ジイル基、ナフタレン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイルナフタレン−2,7−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有するものとしては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有するものとしてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有するものとしては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。F1は、特に、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレンナフタレン−2,6−ジイル基及び1,4−シクロへキシレン基が好ましい。
1は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数1〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。該置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲン原子で置換されたアルキル基がより好ましく、特に、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基が好ましい。
n1は0〜4整数を表す。n1としては、1〜3の整数が好ましく、1又は2が好ましい。なお、n1が0の場合は、式(DI−R)中のL22が直接、前記一般式(D1)中のH1〜H3と結合する。n1が2以上の場合、それぞれの−L21−F1は同一でも異なっていてもよい。
22は、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−S−、−NH−、−SO2−、−CH2−、−CH=CH−又は−C≡C−を表す。好ましくは、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CH2−、−CH=CH−又は−C≡C−であり、より好ましくは、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−又は−CH2−である。
ここで、上記のうち水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。他の置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が含まれる。特に、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましい。
23は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−及び−C≡C−並びにこれらの2個以上を連結して形成される基から選択される2価の連結基である。ここで、−NH−、−CH2−、−CH=CH−の水素原子は、他の置換基に置き換えられていてもよい。他の置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が含まれる。特に、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましい。これらの置換基に置き換えられることにより、前記一般式(DI)で表される化合物の溶媒に対する溶解性を向上させることができ、容易に、塗布液として本発明の組成物を調製することができる。
23は、−O−、−C(=O)−、−CH2−、−CH=CH−及び−C≡C−並びにこれらの組み合わせからなる群から選ばれる連結基であることが好ましい。L23は、炭素原子を1〜20個含有することが好ましく、炭素原子を2〜14個を含有することがより好ましい。さらに、L23は−CH2−を1〜16個含有することが好ましく、−CH2−を2〜12個含有することがより好ましい。
1は重合性基又は水素原子である。一般式(DI)で表される化合物を、光学補償フィルムのような位相差の大きさが熱により変化しないことを必要とする光学フィルム等の作製に用いる場合には、Q1は重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)又は縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応又は縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
Figure 0004939267
Figure 0004939267
さらに、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基又は開環重合性基が好ましい。
重合性エチレン性不飽和基の例としては、下記の式(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
Figure 0004939267
式(M−3)、式(M−4)中、Rは水素原子又はアルキル基を表す。Rとしては、水素原子又はメチル基が好ましい。上記(M−1)〜(M−6)の中でも、(M−1)又は(M−2)が好ましく、(M−1)がより好ましい。
開環重合性基として好ましいのは、環状エーテル基であり、中でもエポキシ基又はオキセタニル基がより好ましく、エポキシ基が最も好ましい。
また、本発明では、円盤状液晶化合物として下記一般式(DII)で表される化合物又は下記一般式(DIII)で表される化合物を用いることも好ましい。
Figure 0004939267
(一般式(DII)中、Y31、Y32、Y33はそれぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。R31、R32、R33はそれぞれ独立に下記一般式(DII−R)で表される。)
一般式(DII)中、Y31、Y32、Y33はそれぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。Y31、Y32及びY33は各々、一般式(DI)中のY11、Y12及びY13の定義とそれぞれ同一であり、好ましい範囲も同義である。
31、R32、R33はそれぞれ独立に一般式(DII−R)で表される。
Figure 0004939267
一般式(DII−R)中、A31、A32は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。A31及びA32としては、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、双方が窒素原子であることがより好ましい。
3は酸素原子、硫黄原子、メチレン、又はイミノを表す。X3としては、酸素原子であることが好ましい。
一般式(DII−R)中、F2は6員環状構造を有する2価の環状連結基を表す。F2に含まれる6員環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。F2に含まれる6員環は、芳香族環、脂肪族環及び複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環及びフェナントレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環及びピリミジン環が含まれる。
2価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基及び1,3−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン−1,6−ジイル基、ナフタレン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基及びナフタレン−2,7−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。2価の環状基としては、特に、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基及び1,4−シクロへキシレン基が好ましい。
2は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。2価の環状基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基が好ましく、さらに、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲン原子で置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がより好ましい。
n3は、1〜3整数を表す。n3としては、1又は2が好ましい。n3が2以上の場合、それぞれのF2は同一でも異なっていてもよい。
31は−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−S−、−NH−、−SO2−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、を表し、上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。L31の好ましい範囲は、一般式(DI−R)中のL22と同一である。
32は−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−ならびにこれらの2個以上を連結して形成される基から選択される2価の連結基を表し、上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。L32の好ましい範囲は、一般式(DI−R)中のL23と同一である。
3は重合性基又は水素原子を表し、好ましい範囲は、一般式(DI−R)中のQ1と同一である。
次に、一般式(DIII)で表される化合物の詳細を記す。
Figure 0004939267
一般式(DIII)中、Y41、Y42及びY43は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し、Y41、Y42及びY43がそれぞれメチンの場合、メチンが有する水素原子は、置換基によって置換されていてもよい。メチンが有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子及びシアノ基を好ましい例として挙げることができる。これらの置換基の中では、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基がさらに好ましく、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜12のアシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基が特に好ましい。
41、Y42及びY43は、いずれもメチンであることがより好ましく、メチンは無置換であることがより好ましい。
41、R42及びR43は、それぞれ独立に下記一般式(DIII−A)、又は下記一般式(DIII−B)、又は下記一般式(DIII−C)を表す。
波長分散性の小さい位相差板等を作製する場合は、R41、R42及びR43は、それぞれ、一般式(DIII−A)又は一般式(DIII−C)で表されるものが好ましく、一般式(DIII−A)で表されるものがより好ましい。
Figure 0004939267
一般式(DIII−A)中、A41、A42、A43、A44、A45、A46は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。A41及びA42は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、双方が窒素原子であることがより好ましい。A43、A44、A45及びA46は、少なくとも3つがメチンであることが好ましく、全てメチンであることがより好ましい。A43、A44、A45及びA46がそれぞれメチンの場合、メチンが有する水素原子は置換基によって置換されていてもよい。メチンが有する置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
41は、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
Figure 0004939267
一般式(DIII−B)中、A51、A52、A53、A54、A55及びA56はそれぞれ独立に、メチン又は窒素原子を表す。A51及びA52は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、双方が窒素原子であることがより好ましい。A53、A54、A55及びA56は、少なくとも3つがメチンであることが好ましく、全てメチンであることがより好ましい。A53、A54、A55及びA56がそれぞれメチンの場合、メチンが有する水素原子は置換基によって置換されていてもよい。メチンが有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲン原子で置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
52は、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
Figure 0004939267
一般式(DIII−C)中、A61、A62、A63、A64、A65及びA66はそれぞれ独立に、メチン又は窒素原子を表す。A61及びA62は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、双方が窒素原子であることがより好ましい。A63、A64、A65及びA66は、少なくとも3つがメチンであることが好ましく、全てメチンであることがより好ましい。A63、A64、A65及びA36がそれぞれメチンの場合、該メチンが有する水素原子は置換基によって置換されていてもよい。メチンが有していてもよい置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
63は、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
一般式(DIII−A)中のL41、一般式(DIII−B)中のL51、一般式(DIII−C)中のL61はそれぞれ独立して、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−S−、−NH−、−SO2−、−CH2−、−CH=CH−又は−C≡C−を表す。好ましくは、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−であり、より好ましくは、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−又は−CH2−である。上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。
このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
一般式(DIII−A)中のL42、一般式(DIII−B)中のL52、一般式(DIII−C)中のL62はそれぞれ独立して、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−及び−C≡C−ならびにこれらの2個以上を連結して形成される基から選択される2価の連結基を表す。ここで、−NH−、−CH2−、−CH=CH−の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
42、L52及びL62はそれぞれ独立して、−O−、−C(=O)−、−CH2−、−CH=CH−及び−C≡C−ならびにこれらの2個以上を連結して形成される基から選択される2価の連結基であることが好ましい。L42、L52、L62はそれぞれ独立して、炭素原子を1〜20個含有することが好ましく、炭素原子を2〜14個含有することがより好ましい。さらに、L42、L52、L62はそれぞれ独立して、−CH2−を1〜16個含有することが好ましく、−CH2−を2〜12個含有することがさらに好ましい。
一般式(DIII−A)中のQ4、一般式(DIII−B)中のQ5及び一般式(DIII−C)中のQ6は、それぞれ独立して、重合性基又は水素原子を表す。これらの好ましい範囲は、一般式(DI−R)中のQ1と同一である。
以下に、一般式(DI)、一般式(DII)及び一般式(DIII)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004939267
Figure 0004939267
Figure 0004939267
Figure 0004939267
以下一般式(DIII)で表される化合物を示す。
Figure 0004939267
本発明に用いられる上記一般式(DI)、一般式(DII)及び一般式(DIII)で表される化合物の合成は、既知の方法を適用して合成することができる。
本発明では、液晶化合物として、上記一般式(DI)、一般式(DII)及び一般式(DIII)で表される化合物の1種のみを使用してよいし、2種以上を使用してもよい。前記一般式(DI)〜(DIII)で表される化合物は、その配向により複屈折性を発現した際に、複屈折性の波長分散性が低いという特徴がある。従って、例えば、該化合物を用いて光学異方性膜等を製造する場合に、可視光域の中間波長であるG光について、その光学特性を最適化すれば、R光及びB光についても、ほぼ同様に最適化された光学特性となるので、かかる液晶化合物を用いることで、可視光全域にわたって所望の光学特性を示す光学異方性層を容易に製造できる。
円盤状化合物の円盤状ネマチック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。
本発明において、前記第3の光学異方性層中、前記液晶化合物の分子は、ハイブリッド配向状態に固定されているのが好ましい。ハイブリッド配向では、チルト角、例えば、層面と円盤状液晶性分子の円盤面方向のなす角が、層の厚さ方向に変化している。平均チルト角、最低チルト角(第2の光学異方性層との界面又は空気界面におけるチルト角)、及び最高チルト角(空気界面又は第2の光学異方性層との界面におけるチルト角)は、光学補償の対象となる液晶セルの光学特性や、組み合わされる他の光学異方性層の光学特性に応じて、決定することができる。
また、前記第3の光学異方性層中の液晶分子の分子対称軸の配向平均方向についても、光学補償の対象となる液晶セルの光学特性や、組み合わされる他の光学異方性層の光学特性に応じて、決定することができる。OCBモードの液晶セルの光学補償に用いる場合は、第3の光学異方性層中の液晶分子の分子対称軸の配向平均方向は、第1の光学異方性層の面内の遅相軸との交差角(同一面に投影した軸の交差角)が略45度であるのが好ましい。なお、本明細書において、「略45°」とは、45°±5°の範囲の角度をいい、好ましくは42〜48°であり、より好ましくは43〜47°である。前記第1の光学異方性層が、長手方向に延伸されたポリマーフィルムである場合は、前記第3の光学異方性層中の液晶化合物の分子対称軸の平均方向は、第1の光学異方性層の長手方向(すなわち、支持体の進相軸方向)に対して43°〜47°であることが好ましい。
前記第3の光学異方性層中の液晶分子の分子対称軸の方向は、前記第2の光学異方性層の表面に施されるラビング処理のラビング方向によって調整することができる。
(その他の添加剤)
前記第3の光学異方性層の形成には、液晶化合物と、所望により添加される添加剤とを含有する液晶組成物から形成することができる。前記所望により添加される添加剤としては、液晶組成物の硬化に寄与する重合開始剤及び重合性モノマー等の重合系、及び所望の配向状態を形成するのに寄与する配向調整剤、及び液晶組成物の塗布性の改善に寄与する界面活性剤等が挙げられる。中でも、硬化に寄与する重合系の添加剤(ラジカル重合系が好ましい)、及び塗布性の改善に寄与し、且つ配向調整能も有するフッ素系ポリマーを添加するのが好ましい。また、円盤状化合物を用いる場合には、円盤状化合物とある程度の相溶性を有し、円盤状化合物に傾斜角の変化を与えられるポリマー、具体的には、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロ−スおよびセルロースアセテートブチレ−ト等のセルロースアシレート系ポリマーを添加するのが好ましい。また、前記一般式(DI)で表される円盤状液晶性化合物をハイブリッド配向させる場合は、1,3,5−トリアジン化合物系の配向制御剤を添加するのが好ましい。
これらの添加剤の添加量は、液晶性化合物に対して、1〜50質量%の範囲にあることが好ましく、5〜30質量%の範囲にあることがより好ましい。
(第3の光学異方性層の形成)
前記第3の光学異方性層は、前記第2の光学異方性層の表面に、液晶組成物の塗布液を塗布し、第2の光学異方性層上で液晶を配向させ、その配向状態に固定して形成することができる。前記塗布液が重合系添加剤を含有する場合は、光照射及び/又は熱を供与して重合により硬化することができる。中でも、紫外線照射によって硬化させるのが好ましい。塗布液の調製に用いる溶剤については特に制限されない。上記第2の光学異方性層を形成するのに用いられるポリマー溶液の調製に用いられる溶剤の例と同様である。また、塗布方法についても、上記第2の光学異方性層の形成に利用される塗布方法と同様である。
前記第3の光学異方性層の光学特性は、光学補償の対象となる液晶セルのモードや光学特性、及び組み合わされる他の光学異方性層の光学特性に応じて決定することができる。OCBモードの液晶セルの光学補償に用いる場合は、面内レターデーションReは3〜300nmであるのが好ましく、5〜200nmであるのがより好ましく、10〜100nmであるのがさらに好ましい。前記第3の光学異方性層の厚さ方向のレターデーションRthについては、20〜400nmであるのが好ましく、50〜200nmであるのがより好ましい。また、前記光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがより好ましく、1〜10μmであることがさらに好ましい。
本発明の光学補償フィルムは、そのまま単独の部材として、液晶表示装置に用いることができる。また、偏光膜と貼り合わせ、偏光板の一部材として液晶表示装置に用いることもできる。以下、本発明の光学補償フィルムを有する偏光板について説明する。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光膜と、本発明の光学補償フィルムとを少なくとも有する。前記光学補償フィルムを、直接偏光膜の表面に貼り合せ、偏光膜の保護フィルムとして利用してもよい。かかる態様では、第1の光学異方性層には、ポリマーフィルムを用い、該ポリマーフィルムの裏面(第2の光学異方性層が形成されていない側の面)を、偏光膜の表面に貼り合せるのが好ましい。また、偏光膜の他方の面にも、セルロースアシレートフィルム等の保護フィルムが貼り合せられているのが好ましい。
(偏光膜)
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があり、本発明にはいずれを使用してもよい。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
(保護フィルム)
他方の表面に貼合される保護フィルムは、透明なポリマーフィルムが用いることが好ましい。透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。保護フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム、及びポリオレフィンを含むポリオレフィンフィルムが好ましい。セルロースアシレートフィルムの中でも、セルローストリアセテートフィルムが好ましい。また、ポリオレフィンフィルムの中でも、環状ポリオレフィンを含むポリノルボルネンフィルムが好ましい。
保護フィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
[液晶表示装置]
本発明の光学補償フィルム及び偏光板は、種々のモードの液晶表示装置に用いることができる。また、透過型、反射型、及び半透過型のいずれの液晶表示装置にも用いることができる。中でも、電界制御複屈折モードの液晶表示装置に用いるのに適していて、さらに、OCBモードの液晶表示装置に用いるのにより適している。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
<光学補償フィルム1の作製>
<<光学異方性層A−1の作製>>
下表に記載の各成分を混合して、セルロースアシレートを調製した。これを真空排気付き2軸混練押出し機を用い、スクリュー回転数300rpm、混練時間40秒間、押出し量200kg/hrでダイから押出し60℃の水中で固化した後、裁断し直径2mm、長さ3mmの円柱状のペレットを得た。その後、前記ペレットを用い(参考文献特開2007―2216中の実施例1)に記載と同様の手法で溶融製膜し、140μmのフィルムを得た。このフィルムを下表の条件で延伸し、膜厚80μmの光学異方性層A−1とした。
Figure 0004939267
<<光学異方性層B−1の作製>>
2、2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物と、2、2’−ビス(トリフルオロメチル)−4、4’−ジアミノビフェニルとから合成された重量平均分子量(Mw)120,000のポリイミドを、シクロヘキサノンに溶解して15重量%のポリイミド溶液を調製した。
調製したポリイミド溶液を前記光学異方性層A−1上に塗工した。この塗工膜を100℃で10分乾燥させ、膜厚2.5μmの光学異方性層B−1を形成し、光学異方性層A−1/B−1積層体を作製した。
前記で作製した光学異方性層A−1/B−1積層体の光学異方性層B−1表面に、速度20m/分で搬送し、長手方向に対して45°にラビング処理されるようにラビングロール(300mm直径)を設定し、750rpmで回転させて、配向膜設置表面にラビング処理を施した。
<<光学異方性層C−1の作製>>
下記の組成の光学異方性層C−1の作製用塗布液を調製した。
Figure 0004939267
Figure 0004939267
Figure 0004939267
Figure 0004939267
この塗布液を、#2.0のワイヤーバーで、前記光学異方性層B−1のラビング処理面に塗布した。その後、相対速度が概ねゼロの無風状態で5秒間、塗布溶剤を乾燥させた後に、120℃の恒温槽中で90秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物をハイブリッド配向させた。次に、膜面温度80℃で120W/cmメタルハライド紫外線ランプを用いて、200mJ/cm2の照射量の紫外線を照射し、ディスコティック液晶化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。
得られた光学異方性層の、波長550nmで測定したReレターデーション値は51nmであった。膜厚は1.3μmであった。このようにして光学異方性層C−1を形成し、光学異方性層A−1/B−1/C−1積層体からなる光学補償フィルム1を作製した。
<<光学異方性層の評価>>
上記光学異方性層A−1、B−1、C−1の各層について、KOBRA 21ADHを用いて、波長450nm、550nm、630nmの光で、Re(450)、Re(550)、Re(630)、Rth(450)、Rth(550)、Rth(630)、を測定し、各特性値を算出した(結果を表1に示す)。なお、B−1、C−1については、ガラス板上に粘着層を介して転写して測定した。
<偏光板1の作製>
まず、延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
その後、光学補償フィルム1の光学異方性層A−1の裏面を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、前記偏光膜の一方の面に貼り付け、前記偏光膜の他方の面には、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、鹸化処理を行った市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)を貼り付けた。このようにして、実施例1に基づく偏光板1を作製した。
<OCBモード液晶表示装置1の作製>
OCBモード液晶セルを使用した23インチの液晶表示装置(ナナオ製)に設けられている一対の偏光板(上側偏光板、及び下側偏光板)を剥がし、代わりに作製した偏光板1を光学補償フィルム1が液晶セル側となるように粘着剤を介して観察者側及びバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。このとき、観察者側の偏光板(上側偏光板)の透過軸と、バックライト側の偏光板(下側偏光板)の透過軸とが直交するように各偏光板を配置した。液晶セルの配向膜のラビング方向と光学補償フィルムのラビング方向は、逆平行になるように配置した。
<OCBモード液晶表示装置1の評価>
次に、常温常湿(25℃60%RH)の部屋で1週間放置した前記液晶表示装置を測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で色味、コントラスト比(白表示時の透過率/黒表示時の透過率)を評価した。また、前記液晶表示装置を、常温常湿(25℃10%RH)の部屋で1週間放置した後に、同様の測定を行った。評価結果を表1に示す。
なお、表1においてΔCu’v’は、画面表面の法線方向を基準に極角60°、液晶表示画面の方位角方向0〜360°において、黒表示時に正面に対してu’v’空間(CIELAB空間における色座標)で最も距離の離れた地点のu’v’からu’v’(正面)を差し引いた値の絶対値を示す。
また、コントラストはコントラスト比(白表示時の透過率/黒表示時の透過率)から算出した値である。
評価基準を以下に示す。
[ΔCu’v’の評価基準]
◎ ΔCu’v’が、0.02未満
〇 ΔCu’v’が、0.02以上0.04未満
△ ΔCu’v’が、0.04以上0.06未満
× ΔCu’v’が、0.06以上
[コントラスト視野角(コントラスト比が10以上で黒側の階調反転のない極角範囲)の評価基準]
◎ 上下左右で極角80°以上
〇 上下左右の内、3方向で極角80°以上
△ 上下左右の内、2方向で極角80°以上
× 上下左右の内、3方向で極角80°以下
<製造適性の評価>
次に、以下の判断基準にて本実施例、後述する実施例及び比較例について、製造適性を評価した。なお、「工程」とは、送り出しから巻取りまでのラインを1回通る度に1工程とカウントする。従って、例えば延伸工程が支持体の流延機のライン中に組み込まれている場合には、併せて1工程となるが、塗布層の塗工後に、オフライン延伸機にて別途延伸が必要となる場合には、延伸だけで1工程とカウントする。
○ 工程が3以下(例:(i)支持体流延+延伸、(ii)塗布層塗工、(iii)ラビング+塗布層塗工)
△ 工程が4(例:(i)支持体流延、(ii)塗布層塗工、(iii)延伸、(iv)ラビング+塗布層塗工)
× 工程が5以上(例:(i)支持体流延+延伸、(ii)塗布層塗工、(iii)転写、(iv)塗布層塗工、(v)ラビング+塗布層塗工)
(実施例2)
<光学補償フィルム2の作製>
実施例1と同様にして、光学異方性層A−1を作製した。
<<光学異方性層B−2の作製>>
この片面に1.0Nの水酸化カリウム溶液(溶媒:水/イソプロピルアルコール/プロピレングリコール=69.2質量部/15質量部/15.8質量部)を10mL/m2塗布し、約40℃の状態で30秒間保持した後、アルカリ液を掻き取り、純水で水洗し、エアーナイフで水滴を削除し、その後、100℃で15秒間乾燥して、片面を鹸化処理した。
この鹸化面に、重合度2400のポリビニルアルコール7.5重量%水溶液(ポリビニルアルコール:クラレポバールPVA124(クラレ(株)製)、溶媒:純水)を190cc/mのウエット塗布量でスライドコーターで20m/分の塗布速度にて塗布し、120℃の乾燥風にて4分間乾燥して、膜厚11μmの光学異方性層B−2を形成した。
<<光学異方性層C−2の作製>>
光学異方性層C−1に用いた塗布組成物中のトルエンをメチルエチルケトンに置き換えた以外は、実施例1と同様にして光学異方性層C−2用の塗布組成物を調製した。
光学異方性層B−2表面をラビングし、そのラビング処理面に、光学異方性層C−2用の塗布組成物を塗布した以外は、実施例1と同様にして光学異方性層C−2を形成した。このようにして光学異方性層A−1/B−2/C−2積層体からなる光学補償フィルム2を作製した。
光学特性を実施例1と同様に評価した(結果を表1中に示す)。
<偏光板2及び液晶表示装置の作製>
光学補償フィルム1の代わりに光学補償フィルム2を用いた以外は、実施例1と同様にして、一対の偏光板2を作製した。一対の偏光板1の代わりに、この一対の偏光板2を用いた以外は、実施例1と同様にしてOCBモードの液晶表示装置を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1中に示す。
(実施例3)
<光学補償フィルム3の作製>
<<光学異方性層A−2の作製>>
下表に記載の各成分を混合して、セルロースアシレート溶液を調製した。このセルロースアシレート溶液を、金属支持体上に流延し、得られたウェブを支持体から剥離し、その後、下表に記載の条件で延伸した。なお、下表中、MD方向とは、搬送方向を意味する。延伸後、乾燥して、膜厚85μmの光学異方性層A−2を作製した。
Figure 0004939267
Figure 0004939267
Figure 0004939267
このようにして作製した光学異方性層A−2上に、実施例1と同様にして、光学異方性層B−1、C−1を作製した。このようにして光学異方性層A−2/B−1/C−1積層体からなる光学補償フィルム3を作製した。光学特性を実施例1と同様に評価した(結果を表1中に示す)。実施例1と同様にして、
<偏光板3及び液晶表示装置の作製>
光学補償フィルム1に代えて光学補償フィルム3を用いた以外は、実施例1と同様にして一対の偏光板3を作製した。一対の偏光板1に代えてこの一対の偏光板3を用いた以外は、実施例1と同様にして、OCBモード液晶表示装置を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1中に示す。
(実施例4)
<光学補償フィルム4の作製>
実施例3と同様にして、光学異方性層A−2を作製した。
更に、実施例2と同様にして、光学異方性層A−2表面を鹸化処理し、光学異方性層B−2、C−2を積層した。このようにして光学異方性層A−2/B−2/C−2積層体からなる光学補償フィルム4を作製した。光学特性を実施例1と同様に評価した(結果を表1中に示す)。
<偏光板4及び液晶表示装置の作製>
光学補償フィルム1を光学補償フィルム4に代えた以外は、実施例1と同様にして、一対の偏光板4を作製した。一対の偏光板1をこの一対の偏光板4に代えた以外は、実施例1と同様にして、OCBモード液晶表示装置を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1中に示す。
(実施例5)
<光学補償フィルム5の作製>
<<光学異方性層C−2の作製>>
実施例1と同様にして、光学異方性層A−1/B−1積層体を作製し、光学異方性層B−1表面に、ラビング処理を施した。
<<光学異方性層C−2の作製>>
下記の組成の光学異方性層C−2作製用塗布液を調製した。
Figure 0004939267
Figure 0004939267
Figure 0004939267
光学異方性層B−1の配向処理面に、上記塗布液を#2.0のワイヤーバーで塗布した以外は、実施例1と同様にして、光学異方性層C−2を形成した。得られた光学異方性層の、波長550nmで測定したReレターデーション値は30nmであった。厚みは0.8μmであった。
このようにして光学異方性層A−1/B−1/C−2積層体からなる光学補償フィルム5を作製した。光学特性を実施例1と同様に評価した(結果を表1中に示す)。
<偏光板5及び液晶表示装置の作製>
光学補償フィルム1を光学補償フィルム5に代えた以外は、実施例1と同様にして、一対の偏光板5を作製した。一対の偏光板1を一対の偏光板5に代えた以外は、実施例1と同様にして、OCBモード液晶表示装置を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1中に示す。
(比較例1)
<光学補償フィルム6の作製>
<<光学異方性層A+Bの作製>>
厚さ約80μmのトリアセチルセルロース(TAC)基材状に、ポリイミドの15重量%溶液を塗布、130℃で1分間加熱乾燥し、負の一軸性C−plate位相差特性を示す厚さ約9μmの光学的異方性層を形成し、これを自由端一軸延伸により150℃で10%延伸して、光学異方性層A+Bを作製した。なお、この光学異方性層A+Bは、OCBモードの液晶表示装置に対して、光学異方性層A−1とB−1との積層体と同じ光学補償効果を持つ光学特性を示した。
光学異方性層A+Bのポリイミド層表面を、実施例1と同様にラビングし、更に実施例1と同様にして、光学異方性層C−1を形成した。このようにして、光学異方性層A+B/C−1積層体からなる光学補償フィルム6を作製した。光学特性を実施例1と同様に評価した(結果を表1中に示す)。
<偏光板6及び液晶表示装置の作製>
光学補償フィルム1を光学補償フィルム6に代えた以外は、実施例1と同様にして、一対の偏光板6を作製した。一対の偏光板1をこの一対の偏光板6に代えた以外は、実施例1と同様にして、OCBモード液晶表示装置を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1中に示す。
(比較例2)
<光学補償フィルム7の作製>
<<光学異方性層A−3の作製>>
ビスフェノールAタイプのポリカーボネート(帝人化成(株)製C1400)を塩化メチレンに溶解させ、固形分濃度18重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液から溶液流延法により支持体上にフィルム流状物を作製した。これを支持体から剥離し、Tg−20℃まで徐々に昇温することにより乾燥し、フィルムを得た。次にこのフィルムを230℃にて1.6倍に1軸延伸した。得られたフィルムの特性値は膜厚35μm、Re=32nm、Rth=16nmであった。また、Re(450)/Re(550)=0.82、Re(650)/Re(550)=1.07であった。
<<光学異方性層B−3の作製>>
フジタック(富士フイルム(株)製)上に、下記の組成の塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥して、配向膜を作製した。
Figure 0004939267
Figure 0004939267
上記長尺の支持対上に形成した未ラビングの配向膜上に、#3のワイヤーバーで下記の組成の光学異方性層B−3用塗布組成物を500m連続塗布した。
(光学異方性層B−3用塗布組成物)
下記ディスコティック液晶化合物(3) 32.6質量%
上記空気界面配向制御剤(1) 0.15質量%
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 3.2質量%
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.4質量%
光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製) 1.1質量%
メチルエチルケトン 62.0質量%
Figure 0004939267
上記塗布液が塗布された後、続いて130℃の乾燥ゾーンで2分間加熱乾燥され、円盤状液晶性化合物を配向させた。次に、UV照射ゾーンにて80℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、4秒間UV照射し円盤状液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷し、巻き取りを行った。作製した光学異方性層は、光学的に負の屈折率異方性を示し、膜厚2.38μm、波長550nmにおいてRe=0nm、Rth=150nmであった。また、Rth(450)/Rth(550)=1.21、Re(650)/Re(550)=0.92であった。光学異方性層の円盤状液晶性化合物は±1°の範囲で水平配向していた。このようにして形成した光学異方性層B−3を、粘着層を介して光学異方性層A−3に転写して、光学異方性層A−3/B−3積層体を作製した。
<<光学異方性層C−3の作製>>
前記の変性ポリビニルアルコール20重量部、グルタルアルデヒド(架橋剤)重量部を水360重量部、メタノール120重量部に溶解し、塗布液を調整した。前記光学異方性層A−3/B−3積層体の光学異方性層A−3表面側に、塗布液を#16のワイヤーバーコーターで塗布し、60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥して配向膜を作製した。次に、作製した配向膜に、フィルムの流延方向と平行方向)に対して45°の方向にラビング処理を実施した
前記のディスコティック液晶化合物(1)90重量部、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)10重量部、メラミンホルムアルデヒド/アクリル酸コポリマー(アルドリッチ試薬)0.6重量部、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)3.0重量部及び光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.0重量部を、メチルエチルケトンに溶解して、固形分濃度が38重量%の塗布液を調製した。
配向膜の上に、塗布液を#3のワイヤーバーで塗布した。これを120℃の恒温槽中で3分間加熱し、円盤状液晶性化合物を配向させ、紫外線を照射し、円盤状液晶性化合物を重合させ、配向状態を固定した。作製した光学異方性層の厚さは、1.5μmであった。Re(550)は30nmであった。このようにして光学異方性層C−3を形成し、光学異方性層B−3/A−3/C−3積層体からなる、光学補償フィルム7を作製した。光学特性を実施例1と同様に評価した(結果を表1中に示す)。
<偏光板7及び液晶表示装置の作製>
光学補償フィルム1を光学補償フィルム7に代えた以外は、実施例1と同様にして、一対の偏光板7を作製した。一対の偏光板1をこの一対の偏光板7に代えた以外は、実施例1と同様にしてOCBモード液晶表示装置を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1中に示す。
(比較例3)
<光学補償フィルム8の作製>
<<光学異方性層A−4の作製>>
室温において、平均酢化度59.7%のセルロースアセテート120重量部、トリフェニルホスフェート9.36重量部、ビフェニルジフェニルホスフェート4.68重量部、下記のレターデーション上昇剤.20重量部、メチレンクロライド704重量部、及びメタノール61.2重量部を混合して、溶液(ドープ)を調製した。
Figure 0004939267
得られたドープを、ガラス板上に流延し、室温で1分間乾燥後、45℃で5分間乾燥させた。乾燥後の溶剤残留量は30重量%であった。セルロースアセテートフィルムをガラス板から剥離し、100℃で20分間、130℃で10分間乾燥した。フィルムを適当な大きさに切断した後、130℃で流延方向と平行な方向に1.45倍に延伸した。延伸方向と垂直な方向は、自由に収縮できるようにした。延伸後、室温まで冷却した後、延伸フィルムを取り出した。以上のようにして、光学異方性層A−4を作製した。
延伸後の溶剤残留量は0.2重量%であった。得られたフィルムの厚さは、60μmであった。得られたセルロースアセテートフィルムの特性値は、Re=82nm、Rth=88nmであった。また、Re(450)/Re(550)=0.87、Re(650)/Re(550)=1.06であった。
<<光学異方性層B−4の作製>>
光学異方性層A−4上に、比較例2と同様の方法で膜厚を1.35μmにし、光学特性がRe=0、Rth=85nmである光学異方性層B−4を作製し、更にその上に比較例2と同様に光学異方性層C−3を形成した。このようにして、光学異方性層A−4/B−4/C−3積層体からなる、光学補償フィルム8を作製した。光学特性を実施例1と同様に評価した(結果を表1中に示す)。
<偏光板8及び液晶表示装置の作製>
光学補償フィルム1を光学補償フィルム8に代えた以外は、実施例1と同様にして一対の偏光板8を作製した。一対の偏光板1をこの一対の偏光板8に代えた以外は、実施例1と同様にしてOCBモード液晶表示装置を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1中に示す。
Figure 0004939267
上記表1に示す結果から、実施例1〜5の光学補償フィルムを備えたOCB液晶表示装置は、広い視野角で高いコントラストの画像を表示可能であり、及び視野角に依存して生じる色味つきが軽減されていることが確認できた。しかも、実施例1〜5の光学補償フィルムは、いずれも製造適性が良好であった。
本発明の光学補償フィルムの一例の断面概略図である。
符号の説明
10 第1の光学異方性層
12 第2の光学異方性層
14 第3の光学異方性層

Claims (11)

  1. nx>ny>nzを満たし、セルロースアセテートプロピオネートを含有するフィルムを延伸して形成された単層の第1の光学異方性層、
    液晶配向能を有し、nx≧ny>nzを満たし、厚みが11〜20μmであるポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールからなる群から選択される少なくとも一種のポリマー材料を含む第2の光学異方性層、及び
    配向状態に固定化された液晶性化合物を含有する第3の光学異方性層、
    をこの順に有する光学補償フィルム:
    但し、nx、ny及びnzはそれぞれ、前記各光学異方性層における、フィルム面内の最大屈折率、該最大屈折率を与える方向に面内で直交する方向の屈折率、及びフィルム面の法線方向の屈折率を示す。
  2. 前記第1の光学異方性層の面内レターデーションReが、可視光域において逆分散波長依存性を示すことを特徴とする請求項1に記載の光学補償フィルム。
  3. 前記第2の光学異方性層の厚み方向のレターデーションRthが、可視光域において順分散波長依存性を示すことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学補償フィルム。
  4. 前記第2の光学異方性層が、重合度1000〜5000で、且つ鹸化度80%〜100%のポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールからなる群から選択される少なくとも一種のポリマー材料を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学補償フィルム。
  5. 前記第2の光学異方性層が、延伸処理されていないことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光学補償フィルム。
  6. 前記第3の光学異方性層に含有される液晶性化合物の少なくとも1種が、円盤状化合物であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光学補償フィルム。
  7. 第1の光学異方性層上に、ポリマー組成物を塗布し、第2の光学異方性層を形成する工程、及び第2の光学異方性層の表面に、液晶組成物を塗布し、該液晶組成物を第2の光学異方性層の表面上で配向させて、その配向状態を固定して第3の光学異方性層を形成する工程を含み、且つ前記第2の光学異方性層を延伸する工程を含まないことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の光学補償フィルムと、偏光膜とを少なくとも有する偏光板。
  9. 請求項に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
  10. 前記液晶表示装置の液晶モードが、電界制御複屈折モードであることを特徴とする請求項に記載の液晶表示装置。
  11. 前記液晶表示装置の液晶モードが、OCBモードであることを特徴とする請求項に記載の液晶表示装置。
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