JP4939172B2 - 塑性加工用水溶性潤滑剤、塑性加工用金属材および金属加工品 - Google Patents

塑性加工用水溶性潤滑剤、塑性加工用金属材および金属加工品 Download PDF

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Description

本発明は、塑性加工用水溶性潤滑剤、塑性加工用金属材および金属加工品に関し、詳細には、皮膜中にリンを含有しなくとも、潤滑性、耐焼き付き性、および耐食性などの皮膜特性に優れた潤滑皮膜を形成することが可能な塑性加工用水溶性潤滑剤、並びにこのような潤滑皮膜を備えた塑性加工用金属材および金属加工品に関するものである。本発明の金属材は、例えば、引き抜き、プレス、鍛造、圧造などの塑性加工によって得られるボルト、ナット、ばねなどの機械部品、スチールコード、ビードワイヤー、PC(prestressed concrete)鋼線などの伸線加工品などの金属加工品を製造するのに好適に用いられる。
塑性加工用金属材は、用途に応じて、引き抜き、伸線、圧造、鍛造などの様々な塑性加工が施されるが、その際、加工工具(ダイス、プラグ、パンチなど)と被加工材(金属材)との間に高い圧力が加わり、相互間に滑りを伴って焼き付きが発生しやすくなる。そこで、被加工材表面の摩擦を軽減し、焼き付きを防止するため、金属材の表面には、通常、潤滑皮膜が形成されている。
潤滑皮膜として、代表的には、リン酸塩皮膜と石けん層とからなる複合皮膜(以下、「化成処理皮膜」と呼ぶ場合がある。)が挙げられる。この化成処理皮膜は、金属材にリン酸塩処理を行ってリン酸塩皮膜を形成した後、反応型石けん潤滑処理を行い、石けんの主成分であるステアリン酸ナトリウムとリン酸塩皮膜とを反応させ、密着性の良いステアリン酸亜鉛(金属石けん)とステアリン酸ナトリウム(湯浴石けん)とからなる石けん層を形成するなどして得られる。上記化成処理皮膜は、潤滑性および耐焼き付き性に優れており、耐錆性も良好なため、当該化成処理皮膜を備えた金属材は、例えば、冷間鍛造加工のような過酷な加工に好適に用いられる。
しかしながら、上記の金属材を用い、冷間伸線加工後に熱処理してボルトなどの最終製品を作製すると、熱処理の際、金属材中にリンが拡散(浸リン)し、遅れ破壊が発生するという問題がある。また、リン酸塩皮膜の形成には、煩雑な処理液の管理と多くの工程とを必要とするほか、処理液と被処理材(金属材)との化学反応によって大量のスラッジが発生し、その処理に多大な労力と費用とを要する。
そこで、リン酸塩皮膜を介在させることなしに、潤滑性及び耐焼き付き性に優れた潤滑皮膜を形成する方法が提案されている(例えば特許文献1〜4)。
特許文献1には、所定の水溶性無機塩(硫酸塩、硼酸塩など)と、固体潤滑剤[脂肪酸と金属との塩(金属石けん)、カルシウム化合物など]と、油成分と、界面活性剤と、水とからなり、固体潤滑剤および油成分が均一に分散および乳化した金属材の冷間塑性加工用水系潤滑剤が開示されている。
特許文献2には、アルカリ金属硫酸塩及びアルカリ金属ホウ酸塩を必須成分とし、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸のアルカリ土類金属塩、固体潤滑剤(例えば、メラミンとシアヌル酸の付加物など)および水溶性熱可塑性樹脂を含む潤滑剤組成物が開示されている。
特許文献3には、珪酸塩と、ポリカルボン酸塩(例えば、カルボン酸基を有する重合性モノマーの重合体とアルカリ成分との塩)と、水親和性ポリマー及び/又は水親和性有機ラメラ構造体と、モリブデン酸塩及び/又はタングステン酸塩とを含有する皮膜形成剤が開示されている。
特許文献4には、下地処理として、ステアリン酸塩ナトリウムと酸化カルシウムとを添加して得られる水溶液を被伸線材の表面に塗付した後、所定のステアリン酸塩などの金属石けんと、フッ素系樹脂及び/又は二硫化モリブデンを含有し、残部が水酸化カルシウムである粉末状の潤滑剤を用いて伸線法によって潤滑皮膜を形成する方法が記載されている。
一方、特許文献5および特許文献6には、水溶性金属塑性加工用の油剤について記載されている。このうち、特許文献5には、黒鉛などの従来油剤よりも作業環境などを改善し得る油剤として、例えば、ポリマレイン化イソブチレンを部分エステル化し、アンモニアで部分アミン塩とした高分子化合物が開示されている。また、特許文献6には、動植物油脂などの基油中に、特定のカチオン性乳化剤、ノニオン性高分子化合物、及び高級脂肪酸アルコールを含む冷間圧延油組成物が開示されており、これにより、圧延潤滑性や乳化安定性が高められる旨記載されている。
特開平10−8085号公報 特開平10−36876号公報 特開2002−363593号公報 特開2003−49188号公報 特開平10−46184号公報 特開平11−61167号公報
上記のように、これまでにも、リン酸塩皮膜を介在させることなしに、潤滑性および耐焼き付き性に優れた潤滑皮膜を形成する方法は種々提案されているが、更なる改善が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、皮膜中にリンを含有しなくても、リンを含有する化成処理皮膜と同程度またはそれ以上の潤滑性および耐焼き付き性を有しており、耐食性にも優れた潤滑皮膜を形成することが可能な塑性加工用水溶性潤滑剤、およびこのような潤滑皮膜を備えた塑性加工用金属材を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明の塑性加工用水溶性潤滑剤は、下記A〜Dの成分を、A+B+C+Dの合計量に対する質量比率で以下の範囲で含有するところに要旨を有している。
A成分:水溶性無機塩を10〜30%、
B成分:有機金属塩を5〜30%、
C成分:アルカリ土類金属塩を10〜84.5%、
D成分:固体分散剤として、α−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体と
N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンとの反応物を
0.5〜30%
また、上記課題を解決することのできた本発明の塑性加工用金属材は、潤滑皮膜を表面に備えたことを特徴とする塑性加工用金属材であって、前記潤滑皮膜は、下記A〜Dの成分を、A+B+C+Dの合計量に対する質量比率で以下の範囲で含有するところに要旨を有している。
A成分:水溶性無機塩を10〜30%、
B成分:有機金属塩を5〜30%、
C成分:アルカリ土類金属塩を10〜84.5%、
D成分:固体分散剤として、α−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体と
N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンとの反応物を
0.5〜30%
本発明には、上記の塑性加工用金属材を塑性加工して得られる金属加工品も包含される。
本発明の塑性加工用水溶性潤滑剤は、上記のように構成されているため、当該潤滑剤を用いれば、金属材との密着性に優れ、潤滑性、耐焼き付き性および耐食性も良好な潤滑皮膜が得られる。そのため、本発明の潤滑剤は、特に、冷間鍛造加工や強伸線加工などの強加工用材料として好適に用いられる。また、このようにして得られる潤滑皮膜は、リンを含有していないため、浸リンによる遅れ破壊の発生もない。しかも、上記の潤滑皮膜は、本発明の潤滑剤を含む水系溶剤を金属材と短時間接触(浸漬、スプレー塗布など)するだけで容易に形成されるため、生産性などにも優れている。
本発明者は、化成処理皮膜と同等またはそれ以上の潤滑性および耐焼き付き性を有し、耐食性にも優れた非リン系潤滑皮膜を備えた塑性加工用金属材を提供するため、特に、金属材と潤滑皮膜との密着性向上という観点から、鋭意検討してきた。その結果、水溶性無機塩(A成分)、有機金属塩(B成分)、およびアルカリ土類金属塩(C成分)に、固体の分散剤として、α−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体と、N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンとの反応物(D成分)を含有し、且つ、これらの比率が適切に制御された塑性加工用水溶性潤滑剤を用いれば、所期の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
このように、本発明の潤滑剤は、上記A、B、Cの成分に、上記Dの固体分散剤を配合したところに特徴がある。以下に詳しく説明するように、上記D成分は種々の作用を有しており、主な作用として、潤滑剤を水系溶剤中に分散し得る分散作用のほか、造膜作用、濡れ向上作用なども挙げられる。本発明者の実験によれば、(ア)D成分による上記作用は、特に、A〜Cの成分中に所定量配合させることによって有効に発揮されること、(イ)A〜Dの成分を含む潤滑剤を用いれば、A〜Cの成分のみを含みD成分を含有しない潤滑剤を用いた場合に比べ、金属材との密着性が一層高められるため、潤滑皮膜の耐焼き付き性や潤滑性が一層向上することが明らかになった(後記する実施例を参照)。
なお、本発明を特徴付ける上記D成分は、前述した特許文献6にも開示されている。しかしながら、特許文献6は、水溶性金属塑性加工用油剤(エマルジョン圧延油)の技術に関するものであり、D成分をカチオン性乳化剤として使用している点で、皮膜潤滑剤の技術に関し、上記D成分を固体の分散剤として配合する本発明とは、技術分野およびD成分の添加目的(使用形態)が相違している。特許文献6では、主に、ノニオン性乳化剤を用いたときのプレートアウト量(圧延油が被圧延材表面に付着する量)の上昇やエマルジョンの安定性低下を防止する目的で、D成分を配合しており、上記A〜Cの成分中にD成分を配合するという本発明の構成要件は開示されていない。勿論、特許文献6には、皮膜潤滑剤の潤滑性や耐焼き付き性などを高める目的で、上記A〜Cの成分中にD成分を配合するという技術的思想も開示されていない。
また、特許文献5には、オレフィンーマレイン酸系重合体が開示されているが、本発明に用いられるD成分については、実質的に開示されていない。さらに、特許文献5には、上記A〜Cの成分中にD成分を配合するという本願発明の構成要件は開示されていないし、前述した本発明の技術的思想も開示されていない。
以下、本発明に係る塑性加工用水溶性潤滑剤の構成成分(A成分〜D成分)を詳しく説明する。本明細書において、「%」は質量%を意味する。
(1)A成分:水溶性無機塩を10〜30%
水溶性無機塩(A成分)は、金属材との密着性に優れた潤滑皮膜を得るための造膜剤(皮膜形成剤)として有用な成分である。本発明の潤滑剤は、造膜剤としてアルカリ土類金属塩(C成分)を含有しており、上記のA成分は、C成分との関係で言えば、造膜補助剤として位置づけられる。A成分は、金属材の塑性加工時の変形に追随しやすいため、A成分の添加により、塑性加工用工具と金属材との間の焼き付きが抑制され、キャリア性及び潤滑性が高められる。
本発明に用いられる水溶性無機塩は、塑性加工用潤滑剤のキャリアとして一般に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、硼酸塩、珪酸塩、モリブデン酸塩などが代表的に挙げられる。好ましい水溶性無機塩は、硼酸塩である。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の硼酸塩において、硼酸には、例えば、オルト硼酸、二硼酸、メタ硼酸、四硼酸、五硼酸、八硼酸などが挙げられる。硼酸塩としては、アルカリ金属塩(Li塩、Na塩、K塩など)、アルカリ土類金属塩(Mg塩、Ca塩など)などの金属塩のほか、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)、アンモニウム塩などの窒素含有塩も包含される。好ましい硼酸塩は、メタ硼酸塩、四硼酸塩などであり、例えば、メタ硼酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム(硼砂、ボラックスと呼ばれるNa245(OH)4・8H2Oなど)、四硼酸カリウム、四硼酸アンモニウムなどが代表的に挙げられる。
硼酸塩は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の珪酸塩としては、式xMI 2O・ySiO2(式中、x、yは自然数を示し、MIはアルカリ金属を示す)で表される塩の他、珪酸を構成する水素原子の一部又は全部がアルカリ成分に置き換わったものなどが挙げられる。珪酸には、オルト珪酸(H4SiO4)の他、メタ珪酸(H2SiO3)、メタ二珪酸(H2Si25)、メタ三珪酸(H4Si38)、メタ四珪酸(H6Si411)なども含まれる。また、アルカリ成分としては、アルカリ金属(Li、Na、Kなど)、アルカリ土類金属(Mg、Caなど)などが挙げられる。好ましいアルカリ成分は、Na、K、Caなどである。好ましい珪酸塩として、珪酸アルカリ金属塩(珪酸カリウム、珪酸ナトリウムなど)、メタ珪酸アルカリ金属塩(メタ珪酸ナトリウムなど)、珪酸アルカリ土類金属塩(珪酸カルシウムなど)、水ガラス[例えば、式Na2O・nSiO2(式中、nは2〜4の整数を示す)で表される化合物など]などが挙げられる。
珪酸塩は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
モリブデン酸塩は、防錆剤としても有用である。上記のモリブデン酸塩において、モリブデン酸には、オルトモリブデン酸、メタモリブデン酸、パラモリブデン酸などが含まれる。モリブデン酸塩としては、例えば、アルカリ金属塩(Li塩、Na塩、K塩など)、アルカリ土類金属塩(Mg塩、Ca塩など)、アミン塩(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン塩など)などが挙げられる。好ましいモリブデン酸塩は、メタモリブデン酸ナトリウムである。
A〜D成分の合計量に占める上記A成分の比率は、10〜30%である。A成分の比率が10%未満の場合、造膜剤としての作用が有効に発揮されず、一方、30%を超えると摩擦係数が高くなり、加工時の抵抗が大きくなって、逆に皮膜が剥離するようになる。A成分の比率は、15〜25%の範囲内であることが好ましく、20〜23%の範囲内であることがより好ましい。
(2)B成分:有機金属塩を5〜30%
有機金属塩(B成分)は、潤滑剤として有用な成分であり、これにより、潤滑性が高められる。
本発明に用いられる有機金属塩は、塑性加工用潤滑剤の潤滑剤として一般に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、脂肪酸と金属との塩などが代表的に挙げられる。「脂肪酸」には、飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸の両方が含まれる。飽和脂肪酸としては、例えば、酢酸(C=2)、プロピオン酸(C=3)、酪酸(C=4)、吉草酸(C=5)などの低級飽和脂肪酸;パルミチン酸(C=16)、ステアリン酸(C=18)、アラキジン酸(C=20)、ペヘン酸(C=22)、リグノセリン酸(C=24)、セロチン酸(C=26)、モンタン酸(C=28)などの炭素数16以上の高級飽和脂肪酸が挙げられる。また、椰子油脂肪酸も包含される。好ましい飽和脂肪酸は高級飽和脂肪酸であり、パルミチン酸、ステアリン酸がより好ましい。不飽和脂肪酸としては、例えば、炭素数16以上の高級不飽和脂肪酸が挙げられ、パルミトオレイン酸(C=16)、オレイン酸(C=18)、パクセル酸(C=18)、リノール酸(C=18)、リノレン酸(C=18)、アラキドン酸(C=20)、ネルボン酸(C=22)などが例示される。好ましい不飽和脂肪酸は、アラキドン酸、オレイン酸である。また、脂肪酸と金属との塩における「金属塩」としては、例えば、アルカリ金属塩(Li塩、Na塩、K塩など)、アルカリ土類金属塩(Mg塩、Ca塩、Sr塩、Ba塩など)、アルミニウム塩、遷移金属塩(Cu塩、Zn塩、Ag塩、Ta塩、Ni塩、Co塩、Pb塩、Mn塩など)が挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても構わない。
A〜D成分の合計量に占める上記B成分の比率は、5〜30%である。B成分の比率が5%未満の場合、摩擦係数が高くなると共に撥水性が低下する。一方、B成分の比率が30%を超えると、皮膜の密着性が低下する。B成分の比率は、10〜25%の範囲内であることが好ましく、19〜22%の範囲内であることがより好ましい。
(3)C成分:アルカリ土類金属塩を10〜84.5%
アルカリ土類金属塩(C成分)は、造膜剤および分散剤として有用な成分である。C成分の添加により、皮膜の造膜性が高められるだけでなく、潤滑性や耐焼き付き性も向上するが、これは、金型やダイスなどの加工工具と金属材(被加工材料)との接触部(金属間接触)が約150〜400℃程度に上昇してもC成分は溶解せず、加工工具と金属材との接触を防止する役割を有するためと考えられる。
本発明に用いられるアルカリ土類金属塩は、塑性加工用潤滑剤の潤滑剤および造膜剤として一般に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、水酸化カルシウム、硫酸カルシウムなどのCa塩;水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどのMg塩、水酸化バリウムなどのBa塩などが挙げられる。好ましいアルカリ土類金属塩はCa塩であり、例えば、水酸化カルシウムなどが挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても構わない。
A〜D成分の合計量に占める上記C成分の比率は、10〜84.5%である。C成分の比率が10%未満の場合、所定の膜厚を確保することが困難になり、一方、C成分の比率が84.5%を超えると皮膜の密着性が低下する。C成分の比率は、40〜60%の範囲内であることが好ましく、45〜50%の範囲内であることがより好ましい。
(4)D成分:固体分散剤として、α−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体と、N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンとの反応物を0.5〜30%
D成分は、本発明を特徴付ける成分であり、分散剤、造膜剤、濡れ向上剤などとして有用である。
具体的には、D成分は、主に、水酸化カルシウムなどのC成分の分散性を一層高め、金属材との密着性の更なる向上に大きく寄与する成分である。後記する実施例に示すように、A〜Dの成分すべてを含有する潤滑皮膜は、D成分を含有しない潤滑皮膜に比べ、金属材との密着性が一層向上し、耐焼き付き性なども改善される。
本発明において、D成分に着目した理由は、以下のとおりである。
従来、例えば、硼酸塩などのA成分を主成分とする潤滑皮膜では、皮膜の硬度が高いため、金属材の塑性加工時の変形に追随し難く、塑性加工用工具と金属材との間の焼き付きが見られていた。特に、高度の塑性加工が要求される場合、焼き付きが顕著に見られ、問題になっていた。そこで、塑性加工時の変形に追随し易く、耐焼き付き性に優れた成分を探求するため、無機成分、有機成分の両方について検討をした。その結果、無機成分を用いた場合は、塑性加工度が高くなったり皮膜の膜厚が厚くなると亀裂が発生し易くなるのに対し、有機成分を用いた場合は、このような問題がないことから、有機成分に絞って更に検討を行なった。その結果、上記D成分を用いれば、所期の目的が達成されることを見出し、D成分を採用することにした。
D成分は、水系溶剤に溶解すると適度な粘性を有し、熱的に安定なポリマー骨格を有する為、金属材との密着性に極めて優れている。本発明のように、D成分を固体の潤滑剤として使用すると、前述した特許文献6のようにエマルジョンとして使用した場合に比べ、耐焼き付き性や皮膜密着性などが向上するようになる。
D成分は、α−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体と、N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンとの反応物であり、例えば、上記の付加物が挙げられる。D成分の数平均分子量は、10,000〜50,000程度、炭素数は22〜50程度の範囲内であり、好ましい数平均分子量は12,000〜35,000、好ましい炭素数は20〜30程度である。D成分の数平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法を用い、ポリスチレン換算によって求めたものである。
D成分を構成するα−オレフィンとしては、炭素数が6〜35程度の直鎖状または分岐状のものが用いられる。好ましくは、炭素数が8〜28程度の直鎖状または分岐状のα−オレフィンであり、例えば、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。
また、N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンは、下式(1)で表される化合物であり、式中、nは1〜10の整数、R1またはR2は同一または異なって、炭素数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキルである。好ましくは、nは1〜4の整数、R1またはR2は同一または異なって、炭素数1〜3の直鎖状または分岐状のアルキル基である。好ましいN,N−ジアルキルアミノアルキルアミンは、例えば、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノヘキシルアミン、ジエチルアミノプロピルアミンなどである。
Figure 0004939172
A〜D成分の合計量に占める上記D成分の比率は、0.5〜30%である。D成分の比率が0.5%未満の場合、造膜作用が低下し、所定の膜厚を確保することが困難になり、一方、D成分の比率が30%を超えると、摩擦係数が高くなり、加工時の抵抗が大きくなって、逆に皮膜が剥離するようになる。D成分の比率は、5〜20%の範囲内であることが好ましく、15〜18%の範囲内であることがより好ましい。
D成分は、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、α−オレフィンと無水マレイン酸の共重合物であるポリマレイン化オレフィンを、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの無極性溶媒中に溶解する。次に、N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンを添加し、加熱してアミド化する。その後、NaOHを滴下して部分ナトリウム塩とし、用いた溶媒を留去する。
本発明の潤滑剤は、有効成分として、基本的に上記A〜Dの成分を含有しているが、本発明の作用を損なわない範囲で、潤滑剤中に通常含まれる他の成分を含有してもよく、これらも、本発明の範囲内に包含される。また、本発明の潤滑剤には、上記の有効成分(A〜Dの成分、更には必要に応じて、他の成分も含む)と水系溶剤(特に、水)との混合物(水系潤滑剤)も包含される。後記するように、潤滑皮膜は、上記の有効成分を水系溶剤と混合した混合液(水系潤滑剤)に金属材を接触して形成されるためである。水系潤滑剤は、潤滑皮膜の製造に好適に用いられる。
本発明の潤滑剤に含まれ得る他の成分として、例えば、以下の成分が挙げられる。
(界面活性剤)
界面活性剤は、潤滑皮膜の作成過程で、必要に応じて添加される成分である。後に詳しく説明するように、上記潤滑皮膜は、前述した成分を含有する水溶液中に金属材を浸漬して形成される(浸漬法)が、ステアリン酸塩などのような水に殆ど溶解しない皮膜密着性向上成分を用いる場合は、界面活性剤を添加して分散性(塗布性)を高めることが好ましい。また、界面活性剤は、金属材の表面に吸着して防錆作用も有するため、耐食性も高められる。
潤滑剤に含まれる界面活性剤の含有量は、潤滑剤を構成する成分や使用する界面活性剤の種類などによっても相違するが、おおむね、0.1〜1%の範囲内であることが好ましい。界面活性剤の含有量が0.1%未満では耐食性および分散性が不足し、一方、1%を超えて添加しても、これらの作用は飽和し、コストが上昇するだけである。
本発明に用いられる界面活性剤としては、陽イオン、陰イオン、非イオンの各種界面活性剤が挙げられる。陽イオン系界面活性剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩化ベンザルコニウムなどが挙げられ、陰イオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなどが挙げられ、非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェノール類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などが挙げられる。
(固体潤滑剤)
潤滑皮膜の摩擦係数を低減して潤滑性を更に高めるため、潤滑剤は固体潤滑剤を含有してもよい。固体潤滑剤の種類は特に限定されず、例えば、パラフィンワックス、二硫化モリブデン、黒鉛、窒化硼素、雲母、フッ化黒鉛、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンなどが挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。潤滑剤中に含まれる固体潤滑剤の量は、おおむね、0.1〜5%の範囲内であることが好ましい。
(防錆剤)
潤滑皮膜中には、耐食性を更に高める目的で、防錆剤を含有してもよい。防錆剤の種類は、特に限定されず、潤滑皮膜に通常含まれるものを用いることができるが、例えば、アルケニルコハク酸アミン塩、バナジン酸塩、ポリアクリル酸、シリカ、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。潤滑剤中に含まれる防錆剤の量は、おおむね、0.1〜5%の範囲内であることが好ましい。
(硫酸塩)
硫酸塩は、キャリア性及び皮膜強度の向上に寄与し、金属材と加工用工具との焼き付き低減化に有用な成分である。特に、硫酸塩は、変形度の高い塑性加工を行う金属材に皮膜を形成する場合に極めて有用である。硫酸塩としては、例えば、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。好ましい硫酸塩は、アルカリ金属硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなど)である。潤滑剤中に含まれる硫酸塩の量は、おおむね、5〜10%の範囲内であることが好ましい。
次に、本発明の潤滑剤を用いて潤滑皮膜を形成する方法を説明する。
潤滑皮膜は、前述した有効成分と水系溶剤との混合液(調製液、処理液)を金属材と接触させ、必要に応じて乾燥することによって得られる(乾式法)。接触方法は、特に限定されず、塑性加工用潤滑剤を用いて潤滑皮膜を得るのに通常用いられる方法を適宜採用することができる。例えば、上記の混合液に金属材を浸漬して乾燥する方法、金属材に上記混合液を塗布(スプレーによる塗布など)する方法などが挙げられる。
ここで、本発明に用いられる乾式法について説明する。水系潤滑剤を用いて潤滑皮膜を形成する方法は、湿式法と乾式法とに大別される。湿式法は、鉱油や動植物油などを基油とする潤滑剤を用いる場合に適用されるものであり、当該潤滑剤を金属材(加工材料)に直接流しかけて液状皮膜を形成する方法である。この方法は、主に、比較的加工度が低い材料を得る場合に汎用されている。これに対し、乾式法は、潤滑剤中に金属材を浸漬処理などした後、必要に応じて、乾燥工程で水分を蒸発させて固体皮膜を形成する方法である。本発明の方法は、後者の乾式法を採用している点で、前者の湿式法を採用する特許文献6の技術と相違している。
本発明法によれば、付着ムラなどの、乾式法による問題点を回避できる。すなわち、水系潤滑剤を用いる乾式法では、通常、金属材を一度に大量に浸漬処理し、その後強制乾燥することによって皮膜を形成しているが、その場合、金属材の部分的な接触による付着ムラが発生することが多く、引抜き加工時に焼き付きが起こりやすくなるなどの問題があった。本発明によれば、上記A〜C成分にD成分を組合わせた構成からなる潤滑剤を用いているため、金属材との密着性が格段に向上され、前述した付着ムラに起因する焼き付き低下などの問題は解消される。
以下では、乾式法の代表例である浸漬工程を経て潤滑皮膜を形成する方法について詳しく説明する。
まず、前述したA〜D成分、更には、必要に応じて他の成分を水系溶剤と混合した混合液を用意する。
本発明に用いられる水系溶剤としては、水のほか、水と水溶性溶剤との混合物が挙げられる。水溶性溶剤としては、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコール類;アセトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;アセトニトリルなどのニトリル類が例示される。好ましい水系溶剤は、水である。
水系溶剤と混合したときの潤滑剤の濃度は、おおむね、好ましくは5%以上、より好ましくは7%以上、更に好ましくは10%以上である。潤滑剤の濃度が薄すぎると、皮膜の生成が不均一になる場合がある。一方、潤滑剤の濃度の上限は、潤滑剤が水系溶剤に溶解可能である限り特に限定されないが、おおむね、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下である。ただし、潤滑剤の濃度が濃すぎると、皮膜の密着性が低下する場合があるため、上記観点を考慮すれば、潤滑剤の濃度は、おおむね、好ましくは50%以下であり、より好ましくは45%以下である。
次に、上記の混合液中に金属材を浸漬する。具体的な浸漬条件は、特に限定されないが、おおむね、約30〜80℃(より好ましくは40〜70℃)の温度で約5秒間以上(より好ましくは10秒間以上)行うことが好ましい。浸漬温度が上記範囲を下回ると、夏期などの高温環境下で浸漬温度を厳密に管理することが必要となって不便であり、一方、上記範囲を超えると、混合液の蒸発が多くなり、潤滑剤の濃度が変動しやすくなる。また、浸漬時間が上記範囲を下回ると密着性が低下する。なお、浸漬時間の上限は特に限定されないが、約15分間を超えて浸漬しても密着性改善作用は得られない。
浸漬後、必要に応じて乾燥してもよく、これにより、所望の潤滑皮膜が得られる。
上記では、金属材と、潤滑剤と水系液剤との混合物とを接触させる工程(皮膜形成工程)を詳しく説明したが、当該皮膜形成工程の前工程において、金属材表面を清浄化処理する目的で、清浄化工程を行なってもよい。清浄化処理としては、例えば、脱スケール処理、脱脂処理などが挙げられる。脱スケール処理は、慣用の方法を適用でき、例えば、機械的脱スケール法(ショットブラストなどのブラスト法、ベンディングなど)、化学的脱スケール法(酸洗など)が挙げられる。好ましい脱スケール法は、機械的脱スケール法である。機械的脱スケール法によれば、バッチ処理ではなくインライン処理によって脱スケールできるため、物理的に短時間で皮膜を形成する本発明に適している。
このようにして得られる潤滑皮膜は、使用した潤滑剤の組成に応じた成分を含有している。具体的には、上記A〜D成分を、A+B+C+Dの合計量に対する質量比率で、A成分:10〜30%、B成分:5〜30%、C成分:10〜84.5%、D成分:0.5〜30%含有している。潤滑剤に含まれる有効成分として、上記A〜D成分以外の他の成分を含有する場合、潤滑皮膜には、潤滑剤中に含まれる他の成分の濃度に応じたものが含まれるようになる。
潤滑皮膜の付着量は、おおむね、2〜40g/m2以上の範囲内であることが好ましい。付着量が2g/m2未満では、連続伸線を多く行なうことが困難であり、一方、付着量が40g/m2を超えても、潤滑皮膜による上記作用が飽和し、コストの上昇を招くだけで経済的に無駄だからである。潤滑皮膜の付着量は、おおむね、4g/m2以上20g/m2以下の範囲内であることがより好ましい。
なお、上記の潤滑皮膜は、金属材の上に、下地層を介さずに直接形成しても優れた特性を発揮する(後記する実施例を参照)が、金属材との密着性を更に高め、上記特性を一層改善する目的で、汎用の下地層(シリカ含有層)を介しても良い。
また、上記潤滑皮膜の上には、防錆性などを付与する目的で、シリカなどを含有する他の皮膜が被覆されていてもよい。これらの他の皮膜は、単層で形成されていてもよいし、二層以上が積層されていてもよい。
本発明の金属材は、上記の潤滑皮膜を表面に有しており、塑性加工用(詳細は後述する)に用いられる。
本発明に用いられる金属材の組成は、塑性加工に用いられるものであれば特に限定されない。例えば、鋼材(鉄鋼、ステンレス鋼、クロム鋼、モリブデン鋼、チタン鋼など)、非鉄金属材(アルミ材、チタン材、銅材など)の種々の金属材が用いられる。好ましい金属材は、鋼材である。
上記金属材の形態は、塑性加工するための金属材である限り特に限定されず、例えば、線材又は棒材、前記線材又は棒材を切断した切断材(ブランク材)、鋼板などの種々の金属材が使用できる。好ましい金属材は、線材、棒材、ブランク材などである。線材又は棒材としては、例えば、ボルト、ナット、ばね、PC(prestressed concrete)鋼、スチールコード、ビードワイヤーなどを製造するための線材又は棒材が挙げられる。ブランク材としては、前方又は後方押出部品を製造するためのブランク材が挙げられる。
本発明には、上記の潤滑皮膜を備えた金属材を塑性加工して得られる金属加工品も包含される。上記金属加工品としては、例えば、ボルト、ナット、ばね、PC鋼、スチールコード、ビードワイヤー、前方又は後方押出部品、圧延鋼板などが挙げられる。
本明細書において、「塑性加工」には、引抜又は伸線加工、圧造又は鍛造加工、圧延加工などが含まれる。圧造または鍛造には、例えば、冷間圧造や温間圧造なども包含される。
塑性加工の種類は、金属材の用途に応じて適宜選択することができる。なお、金属材の用途によっては、複数の塑性加工を行う場合がある。例えば、ボルト、ナットなどを製造する場合には、引抜加工した後、圧造を行う。前方又は後方押出部品を製造する場合には、線材又は棒材を引抜加工し、切断した後で、鍛造する。スチールコード、ビードワイヤーなどを製造する場合には、一次伸線、二次伸線などのように複数の段階に分けて伸線加工を行う。複数の塑性加工を行う場合、少なくとも一つの塑性加工の前に、前述した潤滑皮膜形成工程を施してもよいし、あるいは、それぞれの塑性加工の前に前述した潤滑皮膜形成工程を施してもよい。
金属加工品表面の皮膜付着量は、前述した金属材表面の皮膜付着量と同程度であってもよいが、通常、金属材表面の付着量よりも小さく、例えば、好ましくは2g/m2以上40g/m2以下(より好ましくは3g/m2以上30g/m2以下、更に好ましくは4g/m2以上20g/m2以下)である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1
(供試材の作製)
金属材として、鋼種SCM440を熱間圧延して得られた熱間圧延線材(直径10.3mm)を、760℃で球状化焼鈍した後、酸洗(20%硫酸、75℃の酸洗液中に13分間浸漬後、15%塩酸、30℃の酸洗液中に13.5分間浸漬)して脱スケールし、水洗したものを用意した。
一方、皮膜処理液として、表1に示すNo.1〜10の潤滑剤を水に5倍希釈した混合液を用意した。
表1中、A〜E成分の詳細は以下のとおりである。
A:メタ硼酸ナトリウム
B:ステアリン酸亜鉛
C:水酸化カルシウム
D1:1−ドデセン/無水マレイン酸共重合体(数平均分子量28,000)のジメチルアミノプロピルアミン付加物・部分ナトリウム塩
D2:1−エイコセン/無水マレイン酸共重合体(数平均分子量16,000)のジエチルアミノヘキシルアミン付加物・部分ナトリウム塩
E1:界面活性剤としてスルホン酸ナトリウム
E2:防錆剤としてドデセニルコハク酸アミン塩
上記のD1成分およびD2成分の構造は以下に示すとおりであり、これらは、以下のようにして製造した。
Figure 0004939172
Figure 0004939172
まず、α−オレフィン(D1では1−ドデセン、D2では1−エイコセン)と無水マレイン酸の共重合物であるポリマレイン化オレフィンを、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの無極性溶媒中に溶解した。次に、N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンを添加し、約80〜130℃で5時間反応させてアミド化した後、40%NaOH(NaOH1モル)を滴下して部分ナトリウム塩とし、溶媒を留去した。
上記の皮膜処理液中に上記の金属材を10秒間浸漬し、乾燥することによって表2に示す種々の潤滑皮膜を備えたNo.1〜10の供試材を得た。
更に、参考のため、リン酸亜鉛と石けん層とからなる化成処理皮膜を備えたNo.11の供試材(直径10.3mm)を作製した。具体的には、上記と同様にして得られた金属材を、リン酸亜鉛化成処理剤(日本パーカライジング(株)製「パルボンド421X」)を150g/L含む水溶液(80℃)中に10分間浸漬した後、水洗し、リン酸亜鉛皮膜を形成した。次いで、石けん潤滑剤(日本パーカライジング(株)製「パルーブ235」)を70g/L含む処理液(80℃)中に5分間浸漬し、石けん処理を行った。
このようにして得られた供試材を用い、前述した方法によって潤滑皮膜の組成および含有量を測定すると共に、下記の試験を行った。
(バウデン試験)
バウデン試験は、潤滑皮膜の耐焼き付き性および皮膜密着性を評価するために行なわれる試験である。図1を参照しながら、バウデン試験の概要を説明する。ここでは、神鋼造機社製のバウデン試験機を用いた。
バウデン試験は、図に示すように、試験片の長手方向を摺動方向とし、鋼球により荷重を付与した状態で往復摺動試験を行なったとき、摩擦係数μが0.10に増加するまでの往復摺動回数[ネジレ(歪)]を測定するものである。摺動回数が多いほど、耐焼き付き性および皮膜密着性に優れていることを意味している。
試験条件の詳細は以下のとおりである。
試験片の形状:0.8mm×80mm×100mm
試験片の温度:200℃
荷重 :3kgf
滑り速度 :3.66mm/sec
鋼球 :SUJ−2、直径φ3/16インチ
摺動長さ :50mm
本実施例では、往復摺動回数nが300以上のものを「耐焼き付き性および皮膜密着性に優れる」と評価した。
(ボール通し試験)
ボール通し試験は、潤滑皮膜の耐焼き付き性および皮膜強度を評価するために行なわれる試験である。前述したバウデン試験も、皮膜の耐焼き付き性を評価している点でボール通し試験と一致するが、バウデン試験は、主に皮膜密着性との関係で耐焼き付き性を評価している点で、主に、皮膜強度との関係で耐焼き付き性を評価するボール通し試験とは、厳密には相違している。本実施例では、耐焼き付き性を評価するため、これら両方の試験を実施しており、いずれの試験結果についても良好なものを、「耐焼き付き性に優れる」と総合評価している。
図2を参照しながら、ボール通し試験の概要を説明する。ここでは、コマツ社製110Tクランクプレス試験機を用いた。
ボール通し試験は、図2に示すように、ダイ4に設置された供試材3(外径20mm)に、供試材3の内径よりも大きい径を有するボール5をパンチ2で貫通させたとき、焼き付きが生じない最大の減面率に基づいて耐焼き付き性を評価するものである。減面率は、表3に示すように、ボールの直径と供試材の内径との組合わせによって変化させている。減面率が大きいほど、耐焼き付き性に優れていることを意味する。減面率は、試験前後における供試材断面積の減少率によって表され、具体的には、下式に基づいて算出される。
減面率(%)=[(A−B)/(A)]×100
A:試験前の供試材の断面積
B:試験後の供試材の断面積
ここでは、減面率が7%以上のものを「耐焼き付き性および皮膜強度に優れる」と評価した。
これらの結果を表2に併記する。
また、図3にバウデン試験の結果を示す。詳細には、図3A〜図3Kに、No.1〜No.11における摺動回数と摩擦係数の関係を示している。
Figure 0004939172
Figure 0004939172
Figure 0004939172
表2より、以下のように考察することができる。
No.1〜6は、本発明の要件を満足する潤滑剤を用いて潤滑皮膜を形成した例であり、バウデン試験およびボール通し試験の結果は、いずれも良好であり、従来例のNo.11に比べて耐焼き付き性に優れている。
詳細には、No.1に対し、No.2〜No.6は以下の点で相違しているが、いずれも、本発明の要件を満足しているため、所望の特性が発揮されている。
No.2:No.1において、D成分の種類のみを変えた例
No.3:No.1において、D成分の量を3/5に低減した例
No.4:No.1において、D成分の量を1/5に低減した例
No.5:No.1において、A〜D成分の量を1/2に低減した例
(A〜D成分の比率は変化せず)
No.6:No.2において、A〜D成分の量を1/2に低減した例
(A〜D成分の比率は変化せず)
これに対し、本発明の要件のいずれかを満足しない下記の例は、以下の不具合を有している。
No.7は、A〜C成分のみを含有し本発明を特徴付けるD成分を含有しない例であり、D成分を含有するNo.1に比べ、ボール通し試験の結果は同等である(いずれも、減面率8%)が、バウデン試験の結果は著しく低下した。
No.8は、D成分を含有せず、且つ、No.1におけるA成分の量を1/2に低減した例であり、No.1に比べ、ボール通し試験の結果は同等である(いずれも、減面率8%)が、バウデン試験の結果は著しく低下した。
No.9は、A成分およびD成分を含有しない例であり、A成分およびD成分を含有するNo.1に比べ、ボール通し試験およびバウデン試験の両方の結果が著しく低下した。
No.10は、A成分およびD成分を含有せず、且つ、No.1のB、C、E1、およびE2の各成分の量を1.5倍に増量して皮膜付着量をNo.1とほぼ同量にした(No.10は7.1g/m、No.1は8.2g/m)例であり、No.1に比べ、ボール通し試験およびバウデン試験の両方の結果が著しく低下した。
これらの結果より、耐焼き付き性に優れ、皮膜密着性および強度も高められた潤滑皮膜を得るためには、A〜D成分を含み、これらの比率が本発明で規定する範囲内に制御された潤滑剤の使用が重要であることが確認された。
なお、本発明による優れた効果は、上記のように潤滑剤を構成する成分を適切に制御したことに起因するものであって、潤滑皮膜の付着量に基づくものではないことを、念のため考察する。
例えば、No.1(A〜D成分を含有)とNo.10(B、C成分のみ、A、D成分なし)を対比すると、両者の皮膜付着量は、おおむね、8.2g/m(No.1)および7.1g/m(No.10)と同程度であり、B成分/C成分の比率も同じにした例であるが、前述したように、No.1に比べ、No.10の皮膜特性は著しく低下している。
同様に、No.5(A〜D成分を含有)とNo.9(B、C成分のみ、A、D成分なし)を対比すると、両者の皮膜付着量は、おおむね、2.8g/m(No.5)および3.1g/m(No.9)と同程度であり、B成分/C成分の比率も同じにした例であるが、No.5に比べ、No.9の皮膜特性は著しく低下している。
上記より、本発明による優れた効果は、上記のように潤滑剤を構成する成分を適切に制御したことに基づくことが実証された。
実施例2
本実施例では、前述した表2のNo.1(本発明例)、No.10(比較例)およびNo.11(従来例)を用い、以下のようにして、順次伸線加工を行った後の潤滑性および耐食性を評価した。
実施例1の方法によって得られた供試材(φ10.3mm)を用い、φ9.5mm(1パス)→φ8.3mm(2パス)→φ7.45mm(3パス)→φ6.3mm(4パス)→φ5.6mm(5パス)→φ4.9mm(6パス)→φ4.2mm(7パス)→φ3.6mm(8パス)→φ3.2mm(9パス)→φ2.8mm(10パス)→φ2.5mm(11パス)→φ2.2mm(12パス)→φ1.96mm(13パス)の順に、繰り返し伸線を行なった。詳細には、単釜伸線機を用い、伸線速度を50m/minに調整して行なった。
(潤滑性の評価)
上記のように伸線を行なったときの各伸線材の伸線荷重(引き抜き荷重)をそれぞれ測定すると共に、表面状態(表面肌)を観察した。具体的には、表4に示す減面率で繰り返し試験を行い、ロードセルによる荷重測定によって伸線荷重を測定した。なお、伸線は、表面に焼き付きが発生した時点で終了した。
ここでは、伸線荷重が2kN以下であり、且つ、表面に焼き付けが発生せずに10パス以上伸線できたものを「潤滑性に優れる」と評価した。
(耐食性の評価)
耐食性は、皮膜処理後の各供試材を、温度40℃、湿度90%の恒温恒湿試験器(タバイエスペックPL−3SP)内に2週間放置した後、線材側面の表面(32.3cm2)に発生した錆の面積率を目視で観察し、評価した。
ここでは、錆の面積率が0%のものを「耐食性に優れる」と評価した。
表4に伸線荷重の測定結果を、表5に耐食性の結果を、それぞれ、示す。
Figure 0004939172
Figure 0004939172
表2のNo.1(本発明例)を用いると、表4に示すように、φ1.96mm(13パス)まで伸線しても焼き付きは見られず、各伸線時の伸線荷重も小さい。また、錆の面積率は0%であり、従来例のNo.11(錆の面積率0%)と同程度の優れた耐食性を有している。
これに対し、表2のNo.10(比較例)およびNo.11(従来例)を用いたときは、表4に示すように、いずれも、φ2.8mmで焼き付きが発生した。また、No.10は、No.1に比べ、各伸線時の伸線荷重も大きくなったほか、錆の面積率が90%と、耐食性が著しく低下した。
図1は、本実施例に用いたバウデン試験の概要を示す模式図である。 図2は、本実施例に用いたボール通し試験の概要を示す模式図である。 図3Aは、実施例1のNo.1におけるバウデン試験の結果を示す図である。 図3Bは、実施例1のNo.2におけるバウデン試験の結果を示す図である。 図3Cは、実施例1のNo.3におけるバウデン試験の結果を示す図である。 図3Dは、実施例1のNo.4におけるバウデン試験の結果を示す図である。 図3Eは、実施例1のNo.5におけるバウデン試験の結果を示す図である。 図3Fは、実施例1のNo.6におけるバウデン試験の結果を示す図である。 図3Gは、実施例1のNo.7におけるバウデン試験の結果を示す図である。 図3Hは、実施例1のNo.8におけるバウデン試験の結果を示す図である。 図3Iは、実施例1のNo.9におけるバウデン試験の結果を示す図である。 図3Jは、実施例1のNo.10におけるバウデン試験の結果を示す図である。 図3Kは、実施例1のNo.11におけるバウデン試験の結果を示す図である。
符号の説明
1 ロードセル
2 パンチ
3 供試材
4 ダイ
5 ボール

Claims (3)

  1. 下記A〜Dの成分を、A+B+C+Dの合計量に対する質量比率で以下の範囲で含有することを特徴とする冷間塑性加工用水溶性潤滑剤。
    A成分:硼酸塩、珪酸塩、およびモリブデン酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種を10〜30%、
    B成分:脂肪酸と金属との塩を5〜30%、
    C成分:水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および水酸化バリウムよりなる群から選択される少なくとも一種を10〜84.5%、
    D成分:固体分散剤として、数平均分子量が10,000〜50,000の、
    α−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体と
    N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンとの反応物を0.5〜30%
  2. 潤滑皮膜を表面に備えたことを特徴とする冷間塑性加工用金属材であって、
    前記潤滑皮膜は、下記A〜Dの成分を、A+B+C+Dの合計量に対する質量比率で以下の範囲で含有することを特徴とする冷間塑性加工用金属材。
    A成分:硼酸塩、珪酸塩、およびモリブデン酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種を10〜30%、
    B成分:脂肪酸と金属との塩を5〜30%、
    C成分:水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および水酸化バリウムよりなる群から選択される少なくとも一種を10〜84.5%、
    D成分:固体分散剤として、数平均分子量が10,000〜50,000の、
    α−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体と
    N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンとの反応物を0.5〜30%
  3. 請求項2に記載の冷間塑性加工用金属材を塑性加工して得られる金属加工品。
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