JP4936273B2 - 精製ライスワックスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コメヌカより抽出される粗ワックスの精製により精製ライスワックスを製造する方法に関する。詳しくは、本発明は、コメヌカより抽出される粗ワックス中の中性油、遊離脂肪酸等の固体脂を除去し、食品添加物としても使用できる高品質のライスワックスを得る方法に関する。
天然ワックスは、食品、医薬、化粧品などへの添加物として使用されている。天然ワックスとしては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、シュガーケンワックスなどがあるが、これらの植物ワックスはその原料の多くを輸入している。これに対して、ライスワックスは、原料の大部分を国産品で賄える点で有用な天然ワックスである。ライスワックスは、コメヌカから抽出されたコメヌカ油(コメ原油)の精製工程で副生する粗ワックスを精蝋(精製)することにより得られるものである。コメ原油中にはワックス分が2〜3%含まれており、コメヌカの有効利用の観点からもライスワックスの高品質化は重要である。
ライスワックスの原料となる粗ワックスはコメヌカ油の精製における脱ロウ工程で発生する。即ち、脱ロウ工程ではコメ原油又は遊離脂肪酸を取り除いたコメ原油を冷却してワックス分や固体脂を析出させた後、濾過により分取する。この固形部分が粗ワックスとなる。
この粗ワックス中にはワックス分(ハードワックス)が55〜65%程度、遊離脂肪酸が20〜30%程度、トリグリセリドが5〜15%程度含まれている。粗ワックス中の遊離脂肪酸やトリグリセリドからなるソフトワックスを除去するのが精蝋工程である。
従来の一般的な粗ライスワックス精蝋工程では、粗ワックスをイソプロピルアルコール、メチルエチルケトン等の比較的極性の大きい有機溶媒に添加し、70〜80℃前後まで加温して溶解させた後、温度を40℃前後まで徐々に下げていきワックスを結晶化させ、融点が40℃以下の固体脂と濾過分別する。
また、粗ワックスを1〜15%程度の水を含むイソプロピルアルコールに添加して、レジン性物質を水相に移行させた後に、イソプロピルアルコール相を冷却することにより目的とするハードワックスを析出させる方法が提案されている(特許文献1)。
これら再結晶化法を用いたライスワックスの精製方法では、目的ワックスの収率が35〜45%程度と比較的良好である。
しかし、目的とするハードワックスを溶媒に溶解させるこれらの方法では、メチルエチルケトンやイソプロピルアルコールのような溶媒を使用する必要があり、これらの溶媒は食品添加物として許可されていないため、得られる精製ワックスも食品添加物として使用することができない。
現在、食品添加物として制限なく使用できる溶媒はエタノールだけである。エタノールを用いて天然粗ワックスを精製する方法として、特許文献2は、天然粗ワックスに3〜30重量倍の溶媒(炭素数1〜4のアルコール、実施例ではエタノールを使用)を添加し、このワックスの融点±20℃の温度に加温してワックスを溶解し、次いで冷却することによりワックス固形分を析出させ、回収するワックスの精製方法を教えている。この方法は、天然粗ワックス中の不要成分である、グリセリド、遊離不飽和脂肪酸、遊離ステロールなどが結晶化し難いという性質を利用して、これら不要成分を溶剤中に溶解させたまま、ワックスを析出、分離する方法である。しかし、エタノールの極性がメチルエチルケトンやイソプロピルアルコールに比べて大きいため粗ワックスの溶解度が低い。このため、特許文献2の方法では、目的とするハードワックスの回収率が低いことから、再結晶操作を何度も繰り返す必要があり、効率が悪く、実用し難い。
また特許文献3は、植物から抽出される粗ワックスを融解し、このワックス中の遊離脂肪酸に2価金属化合物を作用させて金属石鹸を生成させ、この金属石鹸を樹脂分とともにエタノールで抽出及び除去することにより、ワックスを精製する方法を教えている。しかし、特許文献3の方法は、精製ワックス中に若干の金属化合物が混入してしまい、食品添加物や医薬品添加物として使用し難い。
特開2003-292987号(請求項1など) 特開平6-200289(請求項1、段落0007、段落0020、段落0024など) 特開平7-11285号(請求項1、段落0006、段落0009など)
本発明は、溶媒としてエタノールを用いて効率的に高純度のライスワックスを製造することができる方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者らは研究を重ね、以下の知見を得た。
即ち、コメヌカから抽出される粗ワックスとエタノールとの混合物を49〜73℃程度の温度下で攪拌することにより、目的とするワックスはエタノールに溶解せずコロイド状になり、粗ワックスに含まれるソフトワックス成分(固体脂肪酸、油脂)などの夾雑物がエタノールに溶解する。従って、このコロイド含有液からコロイド粒子を回収することにより、高純度のライスワックスが高収率で得られる。
本発明は上記知見に基づき完成されたものであり、以下の精製ライスワックスの製造方法を提供する。
項1. コメヌカから抽出される粗ワックスとエタノールとの混合物を49〜73℃の温度下で攪拌することにより、ワックスを含むコロイド粒子と、ソフトワックスを含むエタノール画分とに分離する第1工程と、
49〜73℃の温度に維持されたコロイド含有液からワックスを含むコロイド粒子を回収する第2工程とを含む精製ライスワックスの製造方法。
項2. 第1工程において、重量比で、粗ワックス1に対してエタノールを7以上使用する項1に記載の方法。
項3. 第1工程において、コロイド粒子の平均粒子径が10〜30μmになるように攪拌する項1又は2に記載の方法。
項4. 第1工程において、攪拌を1000〜15000rpmの速度で1時間以上行う項1〜3のいずれかに記載の方法。
項5. 第1工程において、磨り潰された粗ワックスを用い、攪拌を100〜5000rpmの速度で1時間以上行う項1〜3のいずれかに記載の方法。
項6. 第2工程において、ろ過により、コロイド含有液からワックスを含むコロイド粒子を回収する項1〜5のいずれかに記載の方法。
項7. 49〜73℃の温度下でろ過を行う項6に記載の方法。
項8. 第2工程において、49〜73℃の温度に維持されたコロイド含有液からソフトワックスを含むエタノール画分を実質的に除去した後、ワックスを含むコロイド粒子をろ過することにより、コロイド粒子を回収する項6に記載の方法。
項9. 第2工程の後に、さらに、ワックスを含むコロイド粒子からエタノールを除去する工程を含む項1〜8のいずれかに記載の方法。
項10. 第2工程の後に、さらに、回収したコロイド粒子と過酸化水素とを90〜160℃で混合することにより、ワックスを脱色する工程を含む項1〜9のいずれかに記載の方法。
項11. 第1工程の前に、80〜95℃の温度で粗ワックスと温水とを混合した後、分離したガム質を除去することにより脱ガム粗ワックスを得る工程を含み、第1工程において、粗ワックスとして脱ガム粗ワックスを用いる項1〜9のいずれかに記載の方法。
項12. さらに、第2工程により得られるソフトワックスを含むエタノール画分を、-20〜40℃で静置し、生成するソフトワックスを含むコロイド粒子を回収する工程を含む項1〜11のいずれかに記載の方法。
項13. コメヌカから抽出される粗ワックスとエタノールとの混合物を49〜73℃の温度下で攪拌することにより、ワックスを含むコロイド粒子と、ソフトワックスを含むエタノール画分とに分離する第1工程と、
49〜73℃の温度に維持されたコロイド含有液からワックスを含むコロイド粒子を除去する第2工程と、
第2工程により得られるソフトワックスを含むエタノール画分を、-20〜40℃で静置し、生成するソフトワックスを含むコロイド粒子を回収する第3工程とを含むソフトワックスの製造方法。
本発明方法によれば、食品添加物として認められているエタノールを用いて、高い収率でライスワックスを精製することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の精製ライスワックスの製造方法は、コメヌカから抽出される粗ワックスとエタノールとの混合物を49〜73℃の温度下で攪拌することにより、ワックスを含むコロイド粒子と、ソフトワックスを含むエタノール画分とに分離する第1工程と、49〜73℃の温度に維持されたコロイド含有液からワックスを含むコロイド粒子を回収する第2工程とを含む方法である。
粗ワックス
コメヌカから抽出される粗ワックスには、通常、目的とするワックス(ハードワックス)の他に、固体脂肪酸、トリグリセリド、ステロールなどのソフトワックス成分が含まれている。
コメヌカ粗ワックスの製造方法は特に限定されないが、例えば、コメヌカから抽出したコメ原油をヘキサンのような有機溶媒に加熱により溶解し、0〜20℃程度の温度に冷却することにより固形分として得ることができる。
コメ原油は、水和脱ガム(リン酸脱ガム含む)により、レジン性物質、リン脂質のようなガム質を分離、除去したものを用いることにより、着色が一層少ない精製ワックスが得られる。
また、脱ガムしたコメ原油から得られた粗ワックス、又は脱ガムしていないコメ原油から得られた粗ワックスのいずれを原料として用いる場合も、第1工程の前に、粗ワックスを脱ガムすることが好ましく、これによっても得られる精製ワックスの着色が一層抑えられる。
粗ワックスの従来の脱ガム工程では、メチルエチルケトンのような有機溶媒に粗ワックスを溶解させたものに水を添加して攪拌し、有機溶媒相からワックスを回収していた。本発明方法では、コメヌカから抽出される粗ワックスを用い、水のみを用いて脱ガムを行うことができる。この場合の本発明方法は、第1工程の前に、80〜95℃程度の温度で粗ワックスと温水とを混合した後、分離したガム質を除去することにより脱ガム粗ワックスを得る工程を含む。
詳述すれば、脱ガムは、80〜90℃程度に加熱溶解した粗ワックス100重量部に対して、1〜4重量部程度の温水(80〜95℃程度)を添加し、この混合物を80〜95℃程度に保持しつつ、粗ワックスに加熱溶解したリン脂質等のガム質が水分で膨潤するまで攪拌する。通常15分間〜1時間程度攪拌すればよい。これにより、ガム質が水和し沈殿する。次いで、80〜90℃程度の温度で2500〜3000rpm程度で5〜10分間程度遠心し、上層を回収すればよい。回収した粗ワックス相を80〜120℃程度で10〜30分間程度真空脱水することにより脱ガム粗ワックスが得られる。
また、このような脱ガムに加えて、又は脱ガムを行わずに、アルカリ脱酸法や蒸留脱酸法などの方法で脂肪酸を分離、除去したコメ原油を得ることもできる。
第1工程
粗ワックスとエタノールとの使用比率は、重量比で、粗ワックス1に対してエタノール7以上が好ましく、8以上とするのがより好ましい。エタノールの使用量の上限は特にないが、余りに多量に使用してもそれ以上の効果は得られないため、容量比で、粗ワックス1に対して10程度もあれば十分である。上記の比率でエタノールを使用することにより、粗ワックス中のソフトワックスを十分に溶解させることができる。
溶媒としてエタノールに若干の水を加えてもよく、これにより粗ワックス中に含まれるリン脂質のような水溶性の不純物をエタノール水中に移行させることができる。水は、エタノールに対して10重量%以下の範囲で使用することができる。
攪拌時の温度は、49〜73℃程度とするが、55〜70℃程度が好ましく、58〜68℃程度がより好ましい。上記温度範囲であれば、十分にソフトワックスを溶解させることができるとともに、目的のハードワックス成分がエタノールに実質的に溶解しない。なお、第1工程においてエタノール中にハードワックス成分が溶解すると、第2工程において、例えばろ過時にハードワックスが析出し目詰まりしてろ過が困難になるとともに、得られる精製ワックスにろ液に由来するソフトワックス成分が混入してその品質が低下する。
攪拌は、得られるコロイド粒子の平均粒径が10〜30μm程度になるまで行うことが好ましく、15〜25μm程度になるまで行うことがより好ましい。上記平均粒径の範囲であれば、コロイド粒子に含まれるワックスの純度が実用上十分に高くなるとともに、コロイド粒子を容易に回収できる。本発明において、平均粒径はレーザ回折散乱法又はコールターカウンターにより測定した値である。
攪拌は、原料として塊状の粗ワックスとエタノールとの混合物を使用する場合は、ホモジナイザーを用いて、速度1000〜15,000rpm程度で1時間以上行うことが好ましく、2000〜5000rpm程度で1時間以上行うことがより好ましい。攪拌時間の上限は特に限定されないが、通常2時間も行えば十分である。これにより、高純度のワックスを含みかつ容易に回収できる上記平均粒径のコロイド粒子が形成される。
また、粗ワックスを磨り潰して用いる場合は、攪拌を好ましくは100〜5000rpm程度で1時間以上、より好ましくは500〜2000rpm程度で1時間以上行えば、上記平均粒径のコロイド粒子が得られる。この場合は、ホモジナイザーの他、ポリトロンのような一般的な攪拌機を用いることができる。
攪拌後に得られるコロイド含有液を静置することにより、固層と液層とに分別してもよい。分別時も液温は49〜73℃に保てばよい。
第2工程
第2工程においては、第1工程で得られたコロイド分散液からコロイド粒子を回収する。このとき、49〜73℃程度に保たれたコロイド分散液からコロイド粒子を回収する。
回収は、例えば、コロイド分散液をろ紙などを用いてろ過することにより行うことができる。このとき、コロイド分散液の分散媒であるソフトワックスを含むエタノールを吸引、デカンテーション等によりほぼ除去した後、ワックスを含むコロイド粒子をろ過により回収することにより、コロイド粒子とエタノールろ液とを効率良く分離することができ、その結果、最終生成物であるワックスにろ液に由来するソフトワックス成分が混入するのが抑えられる。
コロイド粒子の回収をろ過のみによって行う場合は、例えばロートを49〜73℃に保つことにより、この温度範囲でろ過を行う。また、ろ過に先立ちソフトワックスを含むエタノール分を実質的に除去しておく場合は、コロイド分散液を49〜73℃程度に保った状態でエタノール分をほぼ除去すればよく、その後のろ過温度は限定されない。
その他、コロイド分散液を静置し、又は500〜3000rpm程度の低速度で遠心処理することにより、コロイド粒子を沈降させ、上清であるエタノール溶液をデカンテーションにより除去することもできる。この操作を、49〜73℃程度の温度下で行う。
精製ワックスは用途に応じて水素添加することができる。
脱溶媒工程
得られるコロイド粒子にはエタノールが含まれているため、これを除去することが好ましい。エタノールを除去する方法は特に限定されないが、自然乾燥、減圧下での乾燥などの方法を採用できる。乾燥は、コロイド粒子のまま行うこともできるが、80〜100℃程度に加熱してコロイド粒子中のワックスを溶解した状態で行えば、効率的にエタノールを除去することができる。
これにより、高純度のワックスが得られる。この精製ワックスには、固体脂肪酸や油脂、ステロールのようないわゆるソフトワックス、リン脂質などの不要成分が実質的に含まれていない。また、エタノールを用いて精製されたものであるため、食品添加物として許可されていないメチルエチルケトンやイソプロパノールのような溶媒も含まれていない。
脱色工程
ライスワックスは茶色ないしは黒色に着色している。このため、コロイド粒子中のワックス、又は脱溶媒工程を経たワックスを脱色することが好ましい。脱色工程は、第2工程後に行えばよい。また脱色工程は、脱溶媒を行う場合はその前後のいずれであってもよいが、脱溶媒工程の後に行うのが効率的である。脱色方法は特に限定されず、ワックスの脱色方法として公知の方法を採用できる。例えば、過酸化水素、亜塩素酸ソーダのような酸化系脱色剤で処理する方法が挙げられる。また、上記酸素系脱色剤と活性白土、活性炭、又は吸着樹脂等を併用して処理することもできる。
中でも、安全性、及び脱色性能の点で、過酸化水素が好ましい。この場合、ワックス100重量部に対して、過酸化水素水溶液を過酸化水素に換算して9〜16重量部添加することによりワックスを脱色することができる。なお、脱色は、90〜160℃程度の温度下で行うことにより効率的にワックスが脱色される。特に、本発明方法によれば、140〜160℃程度の比較的高温でも、着色(色戻り)することなく脱色できる。過酸化水素水溶液の添加速度は、精製ライスワックスの100重量部に対して、過酸化水素にして0.1〜1重量部程度、特に0.2〜0.5重量部程度とするのが好ましい。また、過酸化水素水溶液の添加は間欠的に行うことが好ましい。
漂白剤の除去は、温度110〜140℃程度、圧力266〜666Pa程度の条件下で、水蒸気を吹き込むことにより行える。水蒸気吹き込み量は、脱色後のワックスを含む溶液に対して水換算重量で2〜4重量%程度とするのが好ましい。
これにより、淡黄色の着色の少ない高純度のライスワックスが得られる。
ソフトワックス成分の回収・エタノールの再利用
なお、目的ワックスを含むコロイド粒子を除去したエタノール溶液を減圧蒸留することにより、ソフトワックス成分を分別することができる。また、目的ワックスを含むコロイド粒子を除去したエタノール溶液を、-20〜40℃で静置すれば、ソフトワックスを含むコロイド粒子が生成するため、これを回収すればよい。ソフトワックスは食品添加物又は化粧品原料、医薬品原料などに利用できる。また、不純物が除去されたエタノールは、ワックス精製に再利用することができる。
以下、本発明を実施例、及び試験例を示してより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
粗ワックスをガラスビーカーに取り、ガラス棒で粘土状になるまですり潰した。 300ml容量の三口フラスコに、1:10の比率(重量比)になるように、すり潰した粗ワックス20gとエタノール(和光純薬99.5%)200gとを加えた。
次いで、湯浴上で50℃まで加熱した後、同温度下で100rpmの回転数で1時間攪拌した。攪拌終了後、同温度を保ったまま5分間静置して液層と固層とに分離させた。
50℃の温度下で、生じた液層をデカンテーションした後、ろ過により固層を目的ワックスとして回収した。ろ過はリボンヒーターを巻いたブフナ・ロートを規定の温度に保温して行った。
実施例2
攪拌・静置温度を60℃とし、ろ過温度を60℃とした他は、実施例1と同様にしてワックスを得た。
実施例3
攪拌・静置温度を60℃とし、60℃で液層をデカンテーションした後、ろ過温度を25℃(常温)とした他は、実施例1と同様にしてワックスを得た。
比較例1
攪拌・静置温度を45℃とし、ろ過温度を50℃とした他は、実施例1と同様にしてワックスを得た。
比較例2
攪拌・静置温度を75℃とし、ろ過温度を50℃とした他は、実施例1と同様にしてワックスを得た。
実施例4
攪拌・静置温度を60℃とし、ろ過温度を45℃とした他は、実施例1と同様にしてワックスを得た。
実施例5
攪拌・静置温度を60℃とし、ろ過温度を75℃とした他は、実施例1と同様にしてワックスを得た。
実施例6
攪拌後の分散液をデカンテーションせずにろ過した。その他は、実施例1と同様にしてワックスを得た。
実施例7
攪拌後の分散液をデカンテーションせずにろ過した。その他は、実施例2と同様にしてワックスを得た。
比較例3
攪拌後の分散液をデカンテーションせずにろ過した。その他は、実施例3と同様にしてワックスを得た。
比較例4
攪拌後の分散液をデカンテーションせずにろ過した。その他は、比較例1と同様にしてワックスを得た。
比較例5
攪拌後の分散液をデカンテーションせずにろ過した。その他は、比較例2と同様にしてワックスを得た。
比較例6
攪拌後の分散液をデカンテーションせずにろ過した。その他は、比較例3と同様にしてワックスを得た。
比較例7
攪拌後の分散液をデカンテーションせずにろ過した。その他は、比較例4と同様にしてワックスを得た。
<融点測定>
上記の各実施例、及び各比較例で得られた各ワックスについて、融点を測定した。即ち、カバーグラスに試料を乗せ、軽く押しつぶすように2枚目のカバーグラスを上から被せて、微量融点測定器(型番BY−1)(矢沢科学)を用いて融点を測定した。結果を以下の表1に示す。
Figure 0004936273
Figure 0004936273
表1及び表2から明らかなように、コロイド粒子とエタノール画分とを分別する工程を49〜73℃で行い、コロイド粒子の回収を49〜73℃のコロイド含有液から行った実施例1〜3、6、7では、得られたワックスの融点が高く、ソフトワックス成分の混入が少ない高純度のものであることが分かる。また、実施例3では、49〜73℃の範囲のコロイド含有液からデカンテーションによりエタノール画分を除去したため、その後のろ過は25℃という低い温度で行っても高純度のワックスが得られた。
一方、攪拌・分別温度が低すぎる比較例1、攪拌・分別温度が高すぎる比較例2では、得られたワックスの融点が低く、ソフトワックス成分の混入量が比較的多いことが分かる。
また、コロイド粒子の回収に当たり、デカンテーションを49〜73℃のコロイド含有液から行った実施例4、5は、その後のろ過温度が49℃〜73℃の範囲から外れていても、高純度のワックスが得られた。
また、コロイド粒子の回収を25℃でのろ過により行った比較例3は、得られたワックスの純度が非常に低かった。
また、分別温度又は回収温度が49〜73℃の範囲を外れる比較例4〜7では、純度の低いワックスが得られた。
以上の結果、本発明方法は、高純度のワックスを高回収率で得られる実用的な方法であることが分かる。
本発明方法により得られる精製ライスワックスは、食品添加物して許可されていない溶媒を含まないため、ガム、アメのような菓子、果物等のコーティング剤、食品の賦形剤、パン、菓子などの焼き型の離型剤、化粧品賦形剤、医薬品賦形剤などとして好適に使用できる。

Claims (13)

  1. コメヌカから抽出される粗ワックスとエタノールとの混合物を49〜73℃の温度下で攪拌することにより、ワックスを含むコロイド粒子と、ソフトワックスを含むエタノール画分とに分離する第1工程と、
    49〜73℃の温度に維持されたコロイド含有液からワックスを含むコロイド粒子を回収する第2工程とを含む精製ライスワックスの製造方法。
  2. 第1工程において、重量比で、粗ワックス1に対してエタノールを7以上使用する請求項1に記載の方法。
  3. 第1工程において、コロイド粒子の平均粒子径が10〜30μmになるように攪拌する請求項1又は2に記載の方法。
  4. 第1工程において、攪拌を1000〜15000rpmの速度で1時間以上行う請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 第1工程において、磨り潰された粗ワックスを用い、攪拌を100〜5000rpmの速度で1時間以上行う請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  6. 第2工程において、ろ過により、コロイド含有液からワックスを含むコロイド粒子を回収する請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 49〜73℃の温度下でろ過を行う請求項6に記載の方法。
  8. 第2工程において、49〜73℃の温度に維持されたコロイド含有液からソフトワックスを含むエタノール画分を実質的に除去した後、ワックスを含むコロイド粒子をろ過することにより、コロイド粒子を回収する請求項6に記載の方法。
  9. 第2工程の後に、さらに、ワックスを含むコロイド粒子からエタノールを除去する工程を含む請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 第2工程の後に、さらに、回収したコロイド粒子と過酸化水素とを90〜160℃で混合することにより、ワックスを脱色する工程を含む請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 第1工程の前に、80〜95℃の温度で粗ワックスと温水とを混合した後、分離したガム質を除去することにより脱ガム粗ワックスを得る工程を含み、第1工程において、粗ワックスとして脱ガム粗ワックスを用いる請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  12. さらに、第2工程により得られるソフトワックスを含むエタノール画分を、-20〜40℃で静置し、生成するソフトワックスを含むコロイド粒子を回収する工程を含む請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. コメヌカから抽出される粗ワックスとエタノールとの混合物を49〜73℃の温度下で攪拌することにより、ワックスを含むコロイド粒子と、ソフトワックスを含むエタノール画分とに分離する第1工程と、
    49〜73℃の温度に維持されたコロイド含有液からワックスを含むコロイド粒子を除去する第2工程と、
    第2工程により得られるソフトワックスを含むエタノール画分を、-20〜40℃で静置し、生成するソフトワックスを含むコロイド粒子を回収する第3工程とを含むソフトワックスの製造方法。

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