図1は、本発明の第1の実施形態を採用した画像形成装置を示している。同図において画像形成装置1は、装置本体の内部に感光体ドラム2を有しており、その周囲には感光体ドラム2の表面を帯電させる帯電ローラ3、一様に帯電された感光体ドラム2の表面にレーザ光線で静電潜像を形成する露光装置4、感光体ドラム2の表面に帯電したトナーを供給して静電潜像をトナー像に現像する現像装置6、転写ベルト5aを有し感光体ドラム2上に形成されたトナー像を記録紙9に転写させる転写装置5、トナー像転写後に感光体ドラム2上に残った残留トナーを除去するクリーニング装置7、感光体ドラム2上の残留電位を除去する除電装置8等が配設されている。
上述の構成において、帯電ローラ3によって表面を一様に帯電された感光体ドラム2は露光装置4によって静電潜像を形成され、現像装置6によって現像されてその表面にトナー像を形成される。このトナー像は、装置本体下部に設けられた給紙装置10よりレジストローラ対11を介して給送された記録紙9に転写装置5によって転写され、トナー像が転写された記録紙9は定着装置12に送られてトナー像を定着された後、排紙ローラ対13によって後工程に送られる。感光体ドラム2はクリーニング装置7によって残留トナーを除去された後、除電装置8によって除電されて次の画像形成プロセスに供される。転写装置5は、転写ベルト5a上に残留したトナーをベルトクリーニング装置5bによってクリーニングされる。
図2は、本発明の特徴部である現像装置6の概略図を示している。現像装置6は、ハウジング14の内部に現像剤担持体としての現像ローラ15、現像ローラ15に現像剤であるトナーを共有する現像剤供給部材としての供給ローラ16、トナーを撹拌するアジテータ17、現像ローラ15上のトナーを薄層化するドクターブレード20、ハウジング14の上部に設けられたトナーを収容する現像剤収容部18等を有している。現像剤収容部18の内部には、収容されたトナーを撹拌する撹拌子19が回転自在に設けられており、現像剤収容部18を構成するハウジング14の壁面14aには、現像剤収容部18内のトナーを落下排出させる排出口21が設けられている。
ここで現像装置6の内部では、現像剤収容部18より供給されたトナーは図3に示すように各回転体の回転方向に沿って流れる。またドクターブレード20によって掻き取られたトナーは、その近傍に回転体は存在しないものの上流側から押し出されることにより下流へと流れている。現像剤収容部18から供給されたトナーがこのような流れとなっていて、ドクターブレード20のニップ部においては特にトナーの凝集が発生し易くなっているため、上方からトナーに圧力がかかることは好ましくない。そこで本発明では、現像剤収容部18から供給されたトナーが下方へと圧力をかけないように、撹拌子19の回転軌跡Aの最下点位置よりずらした位置に排出口21を配置している。また、図4に示すようにドクターブレード20のニップ部は少なくとも圧を逃がしたいため、排出口21の位置は現像ローラ15及びドクターブレード20から離れる方向である、撹拌子19の回転軌跡Aの最下点位置を挟んで反対側に配置している。
上述の構成により、最も圧力をかけたくないドクターブレード20のニップ部近傍へのトナー排出を避け、トナーに圧力がかからないトナー補給を行うことができるので、空洞化現象の発生を防止して濃度低下及びかすれの発生を防止することができ、安定したトナー補給を行うことにより良好な現像動作を行うことができる。
また上述の構成では撹拌子19の回転方向について言及しなかったが、撹拌子19を図5に示すように時計回りに回転させると、排出口21の位置が撹拌子19の回転軌跡Aの最下点位置よりも撹拌子19の回転方向上流側に位置することとなり、排出口21より落下排出されるトナーに圧力が作用してしまう。そこで図6に示すように撹拌子19を反時計回りに回転させることにより、排出口21の位置が撹拌子19の回転軌跡Aの最下点位置よりも撹拌子19の回転方向下流側に位置することとなり、トナーに圧力が作用しない構成とすることができ、安定したトナー補給を行うことにより良好な現像動作を行うことができる。
図7は本発明の第2の実施形態を示している。この第2の実施形態は、第1の実施形態と比較すると板状の撹拌子19に代えて撹拌子22を用いる点においてのみ相違しており、他の構成は同一である。撹拌子22は、その両端部に円柱形状を呈する先端部材22aを有しており、各先端部材22aは複数のリブ22bによって回転中心と接続されている。
上述の構成によれば、撹拌子19を用いた場合に比して回転の接線方向に生じる搬送力を小さくすることができ、トナーに圧力が作用しない構成とすることにより安定したトナー補給を行うことで良好な現像動作を行うことができる。
第2の実施形態では円形状を有する先端部材22aを具備した撹拌子22を用いる構成としたが、撹拌子22に代えて、図8(a)に示すように回転方向下流側に円弧形状を有する先端部材23aを具備した撹拌子23、あるいは図8(b)に示すように回転方向下流側に楔形状を有する先端部材24aを具備した撹拌子24等を用いてもよい。なお撹拌子の先端形状はこれに限られず、回転の接線方向に生じる搬送力を小さくすることができる形状であればどのような形状でもよい。
図9は本発明の第3の実施形態を示している。この第3の実施形態は、第2の実施形態と比較するとハウジング14の壁面14a及び排出口21に代えて壁面14b及び排出口25を用いる点においてのみ相違しており、他の構成は同一である。壁面14bは現像剤収容部18内に収容された現像剤が落下する向きに傾斜して形成されており、壁面14bの端部はハウジング14より離隔していて排出口25が形成されている。
上述の構成によれば、現像剤収容部18内にトナーが滞留することを防止することができ、安定したトナー補給を行うことで良好な現像動作を行うことができると共に現像剤収容部18内のトナーを無駄なく消費することができる。
図10は、本発明の第4の実施形態を示している。この第4の実施形態では、図1に示した感光体ドラム2、帯電ローラ3、現像装置6、クリーニング装置7、除電装置8をプロセスカートリッジ26として一体的に構成し、このプロセスカートリッジ26を画像形成装置1の装置本体に対して着脱可能な構成としている。
上述の構成によれば、現像装置6内でのトナーの凝集が抑制され、像担持体2上のトナー層を安定化させることができる。また感光体ドラム2周辺の部材を一体化することにより画像形成装置1の小型化を図ることができると共に、プロセスカートリッジ26が画像形成装置1の装置本体に対して着脱可能であることからメンテナンス時あるいはトラブル発生時における作業性を大幅に向上することができる。
図11は、本発明の第5の実施形態を採用した画像形成装置27を示している。画像形成装置27は、装置本体28の内部にそれぞれ異なる色のトナー(イエロ、マゼンタ、シアン、ブラック)を内包したプロセスカートリッジ26を4個並列に有しており、その上部には各感光体ドラム2に露光を行う露光装置29が、その下部には各感光体ドラム2上に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルト30がそれぞれ設けられている。中間転写ベルト30は2個のローラ31,32間に掛け渡されており、中間転写ベルト30の内面側であって各感光体ドラム2と対向する位置には、各感光体ドラム2上のトナー像を中間転写ベルト30に転写させる図示しない1次転写ローラがそれぞれ設けられている。また中間転写ベルト30を介してローラ32と対向する位置には、中間転写ベルト30上に重ね合わせるように1次転写されたトナー像を用紙Pに一括して転写させる2次転写ローラ33が配設されている。
中間転写ベルト30の下方には用紙Pを分離給送する給紙部34が配設されている。給紙部34より給送された用紙Pは、ローラ32と2次転写ローラ33とのニップ部においてフルカラー画像を転写された後、その用紙搬送方向下流側に配設された定着装置34において画像を定着され、排出ローラ対35によって装置本体28の上部に設けられた排紙トレイ36上に排出される。
上述の構成とすることにより、画像形成装置27の小型化を図ることができると共に作業性を向上することができ、フルカラー画像を容易に得ることが可能となる。
上記各実施形態では、現像装置6がハウジング14と一体形成された現像剤収容部18を有する構成としたが、現像剤収容部18に代えて現像装置6に対して着脱自在な現像剤収容部を用いる構成としてもよい。この構成により、トナーを使い切ってもトナーカートリッジを交換するだけでよく、現像装置自体の交換期間を長くすることができランニングコストを低減することができる。
次に、本発明に適用可能なトナーについて説明する。通常、600dpi以上の微小ドットを再現するためには、トナーとして重量平均粒径(D4)が3〜8μmのものが好ましい。この範囲のトナーでは、微小な潜像ドットに対して十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れている。重量平均粒径が3μm未満では転写効率の低下やブレードクリーニング性の低下といった現象が発生し易く、重量平均粒径が8μmを超えると文字やラインの飛び散りを抑えることが困難となる。
また重量平均粒径と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は、1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(D4/D1)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示し、このような小粒径で粒径分布の狭いトナーではその帯電量分布が均一になり、地肌かぶれの少ない高品位な画像を得ることができ、静電転写方式においては転写率を高くすることができる。
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。コールターカウンタ法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンタTA−IIやコールターマルチサイザII(何れもコールター社製)が挙げられる。以下に測定方法について述べる。
先ず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで電解液としては1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここでさらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置によりアパーチャとして100μmアパーチャを用いてトナー粒子またはトナーの重量及び個数を測定し、重量分布と個数分布とを算出する。得られた分布からトナーの重量平均粒径及び個数平均粒径を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満、2.52〜3.17μm未満、3.17〜4.00μm未満、4.00〜5.04μm未満、5.04〜6.35μm未満、6.35〜8.00μm未満、8.00〜10.08μm未満、10.08〜12.70μm未満、12.70〜16.00μm未満、16.00〜20.20μm未満、20.20〜25.40μm未満、25.40〜32.00μm未満、32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上ないし40.30μm未満の粒子を対象とする。
トナーの形状係数SF1は100〜180、形状係数SF2は100〜180の範囲にあることが好ましい。形状係数SF1はトナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの2乗を図形面積AREAで除して100π/4を乗じた値である。
SF1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)・・・式(1)
SF1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF1の値が大きくなるほど不定形となる。
形状係数SF2はトナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの2乗を図形面積AREAで除して100/4πを乗じた値である。
SF2={(PERI)2/AREA}×(100/4π)・・・式(2)
SF2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著となる。
形状係数の測定は、具体的には走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮影し、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析し計算した。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと像担持体との接触状態が点接触となるため、トナー同士の吸着力が弱くなり従って流動性が高くなり、またトナーと像担持体との吸着力も弱くなって転写率が高くなる。形状係数SF1、SF2の何れかが180を超えると、転写率が低下するために好ましくない。
画像形成装置1に好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマとポリエステルと着色剤と離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/または伸長反応させて得られるトナーである。以下に、このトナーの構成材料及び製造方法について説明する。
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)及び3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としてはアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等)、アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等)、脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)、上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物、上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等)、3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)、上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)及び3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独及び(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸等)、芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)等が挙げられる。なお多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧しながら生成する水を留去して水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となり易く、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーとの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし酸価が30を超えると耐電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。また重量平均分子量は1万〜40万であり、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では耐オフセット性が悪化するため好ましくなく、重量平均分子量が40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)を得て、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/または伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等)、脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等)、芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等)、芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等)、イソシアネート類、前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体あるいはオキシムあるいはカプロラクタム等でブロックしたもの、及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]との当量比[NCO]/[OH]が通常は5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化し、[NCO]のモル比が1未満の場合にはウレア変性ポリエステルを用いる際にそのエステル中のウレア含量が低くなり耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%であり、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では耐ホットオフセット性が悪化すると共に耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利となり、また40wt%を超えると低温定着性が悪化する。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は通常1個以上であり、好ましくは平均1.5〜3個、さらに好ましくは平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満ではウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
ポリエステルプレポリマ(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及びB1〜B5Bのアミノ基をブロックしたもの(B6)等が挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等)、脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等)、及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)等が挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン等が挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物等が挙げられる。これらアミン類(B)のうち、好ましいものはB1及びB1と少量のB2の混合物である。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]が、通常は1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が1/2未満あるいは2を超える場合には、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり耐ホットオフセット性が悪化する。またウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法等により製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)をテトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等公知のエステル化触媒の存在下で150〜280℃に加熱し、必要により減圧しながら生成する水を留去して水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃の雰囲気下でこれに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)を得る。さらにこのポリエステルプレポリマ(A)にアミン類(B)を0〜140℃の雰囲気下で反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
多価イソシアネート(PIC)を反応させる際及びポリエステルプレポリマ(A)とアミン類(B)とを反応させる際には、必要により溶剤を用いることができる。このとき使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)及びエーテル類(テトラヒドロフラン等)等のイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
ポリエステルプレポリマ(A)とアミン類(B)との架橋及び/または伸長反応には、必要により反応停止剤を用いて得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)等が挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常は1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。重量平均分子量が1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合には特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得易い数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は通常で2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。数平均分子量が2万を超えると、低温定着性及びフルカラー画像形成装置に用いた場合の光沢性がそれぞれ悪化する。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性及びフルカラー画像形成装置に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。なお未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでもよい。未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくともそれぞれの一部が相溶していることが低温定着性及び耐ホットオフセット性をそれぞれ向上する面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常は20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化すると共に耐熱保存性と低温定着性とを両立させる面で不利となる。未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダ樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常は45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。ガラス転移点が45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。またウレア変性ポリエステルは得られるトナー母体粒子の表面に存在し易いため、公知のポリエステル系トナーと比較してガラス転移点が低くとも耐熱保存性が良好である傾向を示す。
着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えばカーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエロS、ハンザイエロ(10G,5G,G)、カドミウムイエロ、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロ、オイルイエロ、ハンザイエロ(GR,A,RN,R)、ピグメントイエロL、ベンジジンイエロ(G,GR)、パーマネントイエロ(NCG)、バルカンファストイエロ(5G,R)、タートラジンレーキ、キノリンイエロレーキ、アンスラザンイエロBGL、イソインドリノンイエロ、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R,F4R,FRL,FRLL,F4RH)ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーンミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロムバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS,BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用可能である。着色剤の含有量はトナーに対して通常は1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造またはマスターバッチと共に混練されるバインダ樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用することが可能である。
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、及びサリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土ヶ谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージNEG VP2036、コピーチャージNX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。これらのうち特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダ樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるものであり一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダ樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲で用いられる。より好ましくは0.2〜5重量部の範囲が望ましい。10重量部を超えるとトナーの帯電性が大きくなりすぎて荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大して現像剤の流動性低下並びに画像濃度の低下を招く。
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダ樹脂と分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対して効果を示す。このようなワックス成分としては、ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。またこれら天然ワックスの他、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪族アミド、及び低分子量の結晶性高分子樹脂であるポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えばn−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等の、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。荷電制御剤及び離型剤は、マスターバッチ及びバインダ樹脂と共に溶融混練することも可能であり、もちろん有機溶剤に溶解あるいは分散する際に加えてもよい。
トナー粒子の流動性や現像性及び帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の1次粒子径は5×10―3〜2μmであることが好ましく、特に5×10―3〜0.5μmであることが好ましい。またBET法による比表面積は20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合はトナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、珪藻土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、等が挙げられる。中でも流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用することが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10―2μm以下のものを使用して撹拌混合を行った場合、トナーとの静電力及びファンデルワールス力が格段に向上することにより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の撹拌混合によってもトナーから流動性付与剤が離脱することなく、いわゆるホタル等が発生しない良好な品質の画像を得ることができ、さらに転写残トナーの低減を図ることができる。
酸化チタン微粒子は、環境安定性及び画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることから、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性を得ることができ、すなわち繰り返しの画像形成を行っても安定した品質の画像を得ることができる。
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは好ましい製造方法を示すが、これに限られるものではない。
先ず、着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ、離型剤を有機溶媒中に分散させてトナー材料液を作成する。有機溶媒は、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から沸点が100℃未満の揮発性であることが好ましい。具体的にはトルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。特にトルエン、キシレン等の芳香族系溶媒及び塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量はポリエステルプレポリマ100重量部に対して通常は0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
次に、トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下で水系媒体中に乳化させる。水系媒体は水単独でもよく、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)等の有機溶媒を含むものであってもよい。トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く所定の粒径のトナー粒子を得ることができず、2000重量部を超えると経済的でない。
水系媒体中の分散を良好とするため、界面活性剤あるいは樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等のアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
またフルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を上げることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及びその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF―102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられ、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF―132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このためトナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲となるように加えられることが好ましい。例えばポリメタクリル酸メチル微粒子1μm及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン−アクリロニトリル)微粒子1μm等が挙げられ、商品名ではPB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等が挙げられる。またリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
上述した樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させてもよい。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸または無水マレイン酸等の酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β―ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の含窒素化合物、またはその複素環を有するもの等のホモポリマまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類等が使用可能である。
分散の方法は特に限定されないが、低速剪断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波式等の公知の方法が適用可能である。中でも分散体の粒径を2〜20μmとするため高速剪断式が好ましい。高速剪断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定しないが、通常は1000〜3000r.p.m、好ましくは5000〜20000r.p.mである。分散時間も特に限定はないが、バッチ方式の場合は通常0.1〜5分である。分散時の温度は通常0〜150℃(加圧下)であり、好ましくは40〜98℃である。
次に、乳化液の作成と同時にアミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)との反応を行わせる。この反応は分子鎖の架橋及び/または伸長を伴う。反応時間はポリエステルプレポリマ(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常は10分〜40時間であり、好ましくは2〜24時間である。反応温度は通常は0〜150℃であり、好ましくは40〜98℃である。また必要に応じて公知の触媒を使用することができ、触媒の具体例としてはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート等が挙げられる。
反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄及び乾燥をこないトナー母体粒子を得る。有機溶媒を除去するためには系全体を徐々に層流の撹拌状態で昇温し、一定の温度域で強い撹拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作成できる。また分散安定剤としてリン酸カルシウム等の酸、アルカリに溶解可能なものを用いた場合には、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水で洗浄する等の方法によってトナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去できる。その他、酵素による分解等の方法によっても除去が可能である。
上述の工程により得られたトナー母体粒子に荷電制御剤を打ち込み、次いでシリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させてトナーを得る。荷電制御剤の打ち込み及び無機微粒子の外添は、ミキサ等を用いた公知の方法によって行われる。これにより小粒径であって粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに有機溶媒を除去する工程で強い撹拌を与えることにより真球形状からラグビーボール形状の間でトナー形状を制御することができ、さらに表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干し形状の間で制御することが可能となる。
上述した各実施形態では、画像形成装置1として電子写真複写装置を用いた例を示したが、本発明が適用可能な画像形成装置としてはこれに限られず、本発明をプリンタ、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に適用することももちろん可能である。