本件発明
本発明は、マイクロ流体装置に関する技術分野と概略のタイトルの下で説明されているタイプのマイクロ流体装置である。本装置の特徴的な特性は、装置の少なくとも1つ、2つまたはこれ以上のマイクロチャンネル構造は、本明細書中で説明している少なくとも1つの機能ユニットA〜Fを備えている。
各ユニットについて、本発明の1つ以上の液体の分別部分を搬送および/または処理するための装置および/またはマイクロチャンネル構造および/または機能ユニットを使用する革新的な方法も存在する。分別部分の少なくとも1つは、準備、合成、検定的処理プロトコルの反応物を含んでいる。この反応物は、特徴付けされていない実体(分析対象物質)や、処理サンプル(分別部分)に含有された試薬であってもよい。このプロトコルは、化学、生物学、機械、その他の分野で一般的なものである。
様々な発明的ユニットにおけるマイクロ管IまたはIIのようなマイクロ管はマイクロチャンネル構造の一部であり、1つの入口端部と1つの出口端部を備えている。このような明記がない場合には、マイクロ管は、上述した反応物の1つ以上を含有した液体の1つ以上の分別部分の搬送に用いられる。液体搬送マイクロ管の入口端部と出口端部の間には、毛管弁または毛管通気孔の形態の毛管停止機能を設けることができるが、マイクロキャビティ(毛管弁または通気孔を画定するためのみに使用された場合は除く)や、他の液体搬送マイクロ管が関与した分岐はない。1つ以上の通気孔マイクロ管を液体搬送マイクロ管に接続できる。このような明記がない場合には、通気孔マイクロ管は、液体の搬送および/または処理中にマイクロチャンネル構造内で作られる過剰圧力または副圧力の均一化を目的とした空気/気体の搬送のみに使用される。通気孔マイクロ管の端部間には微キャビティ共振器を設けてもよい。
マイクロキャビティの液体排液部に直接接続しているマイクロ管の入口端部では、端部と出口が一致する。そのため、マイクロキャビティの液体出口に直接接続しているマイクロ管入口端部内またはこれに配置されている弁または通気孔は、液体出口内またはこれにも配置されている。同様に、これは、マイクロキャビティの液体入口に直接取り付けられたマイクロ管の出口端部にも当てはまる。
停止毛管弁の場合のこの位置は、表面メニスカス(meniscus)が停止する位置であると考えられる。
毛管弁のような非閉鎖弁も通気機能を備えている。
A. 駆動液体プラグを作成することで毛管弁からの下方搬送を支持するユニット
この機能用ニットは以下を備える。
a) 液体入口I(5)と液体出口I(6)を具備した上流マイクロキャビティI(4)、
b) 入口端部(16)と出口端部(18)を有するマイクロ管I(17)、および、
c) マイクロ管I(17)に関連した毛管弁I(24)。
上流マイクロキャビティ(4)は、これの内部に上方液位Iを画定する液体分別部分を保持するためのものである。この上方液位は、マイクロキャビティ(4)(一般に、液体入口I(5)の高さに配置されている)の最上部分の高さと等しいかこれよりも下、あるいは、液体出口I(6)の高さよりも上である。
このユニットを内蔵している装置(1)およびマイクロチャンネル構造(2)、さらにこのユニット自体は、回転軸(3)周囲で回転することで、上流マイクロキャビティ(4)内の液体を移動させて液体出口I(6)を介して排出させ、さらにマイクロ管I(17)を介して下流へ流すように設計されている。この搬送を行うのは、主に、回転、および/または回転中に個々のマイクロチャンネル構造内に生じた静水圧、および/または毛管力によって生じた遠心力である。搬送に十分な回転および/または静水圧がある場合、これは例えば非回転または低回転状態にある場合や、特に液体分別部分または少なくともこれの表面メニスカスが、回転軸(3)により接近した位置へ移動される、および/または、マイクロチャンネル構造(1)(ポート(9、51、52、53)=装置の構造の開口部)の液体流入ポート(9、51、52、53)から第1弁または通気孔(9のための15a、15b、24、25;5151のための54、57;52のための55;53のための56、58)にまで移動される場合には、自己吸引を生じさせるのに十分な毛管力を補助として使用することができる。
主な特徴的特性を以下に示す。
i) マイクロ管I(17)の液体出口I(6)と、したがってさらに入口端部(16)は、マイクロ管Iの出口端部(18)よりも回転軸(3)に接近する。
ii) 毛管弁I(24)は、a)液体出口I(6)、またはb)マイクロ管I(17)の入口端部と出口端部(それぞれ16、18)の間に配置される。
iii) 上流マイクロキャビティ(4)の液体出口(6)または弁I(24)と、マイクロ管I(17)の出口端部(18)の間の半径距離の差は、一般に、上方液位Iと液体出口I(6)または弁I(24)との間の半径距離の差と同様に、上流マイクロキャビティ(4)と液体出口I(6)または弁I(24)の最上部分(7)との間の半径距離の差の≧5%、例えば≧10%、≧50%、≧100%、≧200%、≧500%である。
上方液位Iは、マイクロキャビティ(4)の最上部分(7)の高さと常に等しい、またはこれよりも低い。
マイクロ管I(17)の、弁I(24)の下流にあたる部分は、マイクロ管I(17)の入口端部(16)(さらに弁I(24))から、マイクロ管(17)内の液体の表面(表面メニスカス)にまで、およびマイクロ管(17)の入口端部(16)の高さ以下にまで延びた連続的な液体プラグとしての液体搬送を支持できるように設計される。したがって、搬送開始時の上方液位Iは、最初は上流マイクロキャビティ(4)内を下方へ移動し、次に、マイクロ管I(17)の形状に応じてこれの上方/下方へ移動する裏面メニスカスと関連する。このプラグの最大高さは、マイクロ管I(17)の入口端部(16)および出口端部(18)の直径位置の差と等しいが、実際には、マイクロ管の相互寸法、液体の種類、流量などのような要素の数に依存する。メニスカスが弁I(24)と上流先端(22)(在る場合のみ)とを超えると、プラグが下方へ延び、回転速度が低下する。このタイプのプラグ搬送を得るための必須条項は次に示す要因の数に依存する:上流マイクロキャビティ・マイクロ管I・マイクロキャビティの液体出口の寸法・位置・形状;液体の表面張力;付加された遠心力、寸法を含む毛管弁の種類;上流マイクロキャビティおよびマイクロ管Iの内面の濡れ性など。様々な特徴の数値の最適な組み合わせについては、図面と、本明細書の他の部分とに示している。マイクロ管および/またはこれの出口端部(18)の拡張は、液体プラグの延長に反作用する。それぞれの特定のケースについて実験試験を行う必要がある。これについては実験部分を参照できる。
液体入口I(5)は、典型的には上流マイクロキャビティ(4)の頂部(7)に設けられ、さらに、上流方向において液体流入ポート(5)、即ち液体導入用装置の表面の開口部と連通する流入マイクロ管(8a)に直接接続されている。流入マイクロ管(8a)は、液体入口I(5)と同じ高さに溢出開口部(10)を設けていることが好ましい。溢出開口部(10)を設ける場合には、これが上流マイクロキャビティ(4)の頂部または最上部(7)を画定する。これについて以下に詳細に説明する。
一般に、液体入口I(5)は液体出口I(6)の高さよりも上の位置にある。そうでない場合には、ユニットは、上流マイクロキャビティが所望高さ(=上方液位I)まで充填された後、液体が液体入口Iから逆流することを防止するための適切な弁機能を含んでいる。
弁I(24)が受動弁のような非閉鎖弁である場合には、上流マイクロキャビティの液体出口I(6)内に固有の通気機能が設けられる。また、上流マイクロキャビティ内に1つ以上の通気機能を追加して、マイクロキャビティ内部における望ましくない気泡の形成を防止することもできる(図示はない)。こうした他の通気機能は、純粋ガス通気孔または追加の液体入口に関連していてもよい。これについては以下を参照できる。
液体出口I(6)からの排出を開始する液体の流れは、液体出口I(6)における遠心力に関連して様々な方向に向く。この流体方向は、(a)下流/外方成分(外方半径成分)、(b)上方/内方成分(内方半径成分)、(c)本質的に接線(水平)方向を備えていてもよい。そのため、液体出口I(6)における遠心力の方向に関連した流れの方向は、変形例(a)では遠心力と少なくとも部分的に同じ方向に向き(沿い)、変形例(b)では少なくとも部分的に遠心力と対向し、変形例(c)では遠心力に本質的に直交する。液体出口Iにおける遠心力の方向に対する角度は(α)で表され、これは変形例(a)では0°≦α≦90°、例えば0°≦α≦85°(遠心力に沿う)、変形例(b)では90°≦α≦180°、例えば95°≦α≦180°(遠心力に対抗する)、変形例(c)では80≦α≦100°、例えば85°≦α≦95°、特に90°(遠心力に直交する)であってもよい。
液体出口Iと液体出口Iおよび/または開口部の内壁との間の遠心力角度(α’)は、変形例(a)では0≦α’90°、例えば10°≦α’ ≦90°、変形例(b)では0≦α’≦90°、例えば10≦α’≦90°、変形例(c)では0°≦α’≦10°、例えば0°≦α’≦5°、特にα’=0°であってもよい。これらの間隔は、マイクロキャビティの内部から見られる角度に関連し、下方/上方と考慮される。
マイクロ管I(17)の、上流マイクロキャビティの液体出口I(6)と隣り合った部分は、この液体出口(6)を通る複数の主要方向から選択した方向を設けていてもよいが、2つの方向が同方向である必要はない。
マイクロ管I(17)は連続的に下方に向いていてよく、例えば、a)直線的に延びて、回転軸からマイクロ管I(17)の液体出口I/入口端部(6/16)までの直線(半径)と一致するか、この直線(半径)に対して角度をなす、b)曲線、例えば、伸開線内にあるような蛇行変形例または単曲線変形例を含む。あるいは、マイクロ管I(17)は、1つ以上の上向き区間(23a)と1つ以上の下向き区間(23b)を含んでいてよく、両区間の間には上方または下方屈曲("elbows")区間、および/または水平区間を設けていてもよい。
特定の変形例では、マイクロ管I(17)は1つの上方屈曲部を備えている。この上方屈曲部は、液体出口I(6)の高さと上流マイクロキャビティ(4)の上方部分(7)との間、典型的には液体出口I(6)と上方液位Iの間における中間高さに上方先端("elbows")(22)を有する。別の好ましい変形例では、上方先端(22)の高さは、上方液位Iよりも上またはこれと等しくてよく、例えば、上流マイクロキャビティ(4)の最上部(7)の高さよりも上、またはこれと等しくてもよい。この段落内の変形例における、入口端部(16)と上方先端(22)の間に在るマイクロ管I(17)の全部品は、一般には連続的に上方へ向かうマイクロ管区間(23a)として、液体出口I(6)の高さよりも上に位置していることが好ましい。同様に、上方先端(22)と出口端部(18)の間に位置するマイクロ管I(17)の部品(23b)は、連続的に下方へ向いていることが好ましい。
下向き区間、上向き区間、水平区間、上方屈曲部、下方屈曲部、その他は、ユニットB、Cで説明しているとおりのもの、および/または関連する使用態様についての説明したとおりのものであってもよい。
毛管弁I(22)は、a)マイクロ管I(17)の入口端部(16)(液体出口I(6)と一致する)、b)マイクロ管I(17)の入口端部(16)と出口端部(18)の間、c)マイクロ管I(17)の出口端部(18)に位置している。
弁I(24)は、上方先端(22)の前後のいずれに配置されていてもよい。マイクロ管I(17)が単一の下方区間である場合は、弁I(24)は、マイクロ管I(17)の入口端部(16)の高さ(液体出口I(6)の高さ)か、この高さの下に位置する。マイクロ管I(17)が上方先端(22)を設けた上方屈曲部である場合には、弁I(24)は、ユニットEでの説明にあるように、屈曲部の上方区間(23a)の最上部分に位置していることが好ましい。弁I(24)はまた、下方区間(23b)に配置してもよい。上方先端(22)が上方弁I(24)の高さよりも上、または、上流マイクロキャビティ(4)の最上部分(7)の高さよりも上に在る場合には、弁I(24)は、これら高さのうち関連するものの下に配置されるか、あるいは、ユニットの使用時に上流マイクロキャビティ(4)内の裏面メニスカス上に液体を追加することで十分な静水圧が作られることが好ましい。一般に、弁I(24)は、液体出口I(6)に関連した高さ、即ち、例えばマイクロ管I(17)の上方屈曲部(肘)の上方区間(23a)の一部としての、入口端部(16)(=液体出口I(6))と上方先端(22)との間の約25%以上の最上部分の高さに配置される。この間隔内における弁の好ましい関連位置はさらに高い、例えば入口端部(16)と上方先端(22)の間の50%以上または75%以上の最上部分にあることが好ましい。これについては、他の関連位置についても挙げているユニットB、C、EとユニットA〜C、Eの使用態様とをさらに参照できる。
ユニット内の毛管弁、例えば弁I(24)は、一般に、この分野で周知の原理に従った化学および/または幾何学的内面特徴の変化に基づく。この変化は、マイクロ管の断面寸法の急激な増加または減少(横方向の変化)、および/または、親水性マイクロ管の内面の非濡れ性の急激な上昇であってもよい。いずれの場合も、変化は流れの方向に向かう。この変化は一般には局所的(破壊)であり、例えば、親水性の流路に生じた非濡れ性/疎水性の表面破壊である。これについては「マイクロ流体装置の概略(General about Microfluidic Devices)」、さらにこれに参照されている背景技術および文献を参照できる。弁I(24)は、本明細書中の、ユニットC、Eの部分で定義しているフィンガ弁であることが好ましい。
マイクロ管内に弁Iが設けられており、特に弁Iがフィンガ弁である場合には、マイクロ管I(17)は、弁I(24)の上流に追加の毛管弁(25)を含むことができる。これについてはさらにユニットDを参照できる。ユニットEで説明するように上流マイクロキャビティが別個のマイクロキャビティである変形例では、このタイプの追加の弁(25)は、マイクロ管Iを通過して液***相から分離される材料によって弁I(24)が汚染されるおよび/または目詰まりを起こす危険を低減する。これについてはユニットD、Eを参照できる。
上流マイクロキャビティ(4)の断面範囲は、マイクロ管I(17)内においてよりも液体出口I(6)の上流における方が、因数≧1、例えば≧2、または≧5、または≧10を持って大きいことが好ましい。弁Iの上流におけるマイクロ管Iの断面範囲は弁の下流の断面範囲よりも、因数≧1、例えば≧2、または≧5、または≧10をもって大きいことが好ましい。このような間隔は、弁Iが、ユニットCで説明するフィンガ弁の形状をした毛管停止機能である場合には特に当てはまる。
特に、液体内のより高密度の材料を低密度の材料から分離するためにマイクロキャビティ(4)を使用する場合には、以降のユニットEで説明しているように、上流マイクロキャビティ(4)を液体出口I(6)によって下方部分(4b)と上方部分(4a)に分割することができる。典型的なケースでは、下方部分(4b)は、上流マイクロキャビティ(4)の総容量の≧10%、例えば≧25%、または≧50%、または≧70%、または≧80%を構成することができる。各部分の正確な相対容量は、液体出口から排出する位相の相対容量によって決定される。これについてはユニットEを参照できる。
一般に、上流マイクロキャビティは液体出口I(6)の高さに向かって(または出力部(6)自体に向かって)先細りしているため、この高さにおける断面範囲は液体出口I(6)の上流における最大断面範囲よりも小さい。上流マイクロキャビティ(4)が上方部分と下方部分(4a、4b)に分離される場合、一般に、マイクロキャビティ(4)に狭窄部が設けられて上方部分(4a)と下方部分(4b)が画定される。この狭窄部は本質的には液体出口I(6)と同じ高さにあり、一般には、この高さに向かう上方および/または下方部分の先細りによって画定される。この変形例における先細り/狭窄は、液体出口I(6)における断面範囲が、上方および下方部分の一方または両方、好ましくは上方部分(4a)の最大断面範囲よりも小さいことを意味する。先細りは液体入口I(5)に向かっていてもよい。これに関するさらなる説明については以降およびユニットEの説明を参照できる。
下方部分(4b)(設けられている場合)は、この部分(4b)に入った液体によって押し出された空気を排出させるためだけの目的で周囲大気内に開口した1つ以上の出口(14)と連通している。このタイプの排出口のために装置表面に設けた開口部(ポート)(14)は、上流マイクロキャビティ(4)の液体出口(5)よりも高い位置、また一般には、同じマイクロキャビティの関連する流入ポート(9)よりも高い位置に配置されることが好ましい。関連する装置表面の開口部が上流マイクロキャビティの液体入口の高さよりも低い位置にある場合には、このタイプの出口(1つ以上)(14)に関連した毛管停止機能(下流端部)(15a)を設けることができる。上流マイクロキャビティ(4)の上方部分(4a)は容量測定マイクロキャビティとして使用することができる。これについては以降を参照できる。下方部分(4b)の通気機能に関連した毛管停止機能(15a)が液体出口I(6)よりも低い位置に配置されている場合、上述の容量測定の精密度が増す傾向にある。さらなる詳細についてはユニットDを参照できる。
下方部分(4b)(設けられている場合)は、液体出口Iから上方部分の内容物を排出して空にした後に下方部分から材料を排出するための別個の液体出口I’(図示せず)を設けていてもよい。この場合、液体出口I’ は液体出口Iよりも下に位置する。
下方部分(4b)用の出口に関連した毛管停止機能(15a)は、例えば毛管弁または毛管通気孔(好ましくはユニットCで説明したフィンガ通気孔)の形式の非閉鎖型であることが好ましい。これは、国際公開公報第02074438号(ジャイロスAB)の例えばユニット12と比較することができる。
上流マイクロキャビティ(4)の総容量は、最上部分(7)の高さ(一般には液体入口I(5))と、最下部分の高さ、一般には液体出口I(6)との間に保持できる最大液体容量である。
機能ユニットAはさらに、液体入口IIを設けた下流マイクロキャビティII(20)を備えており、液体入口IIはマイクロキャビティI(17)の出口端部と流体連通している。一般にマイクロキャビティ(20)は、例えば以下に示すような出口を1つ以上備えている:
a) 液体排出配列II。この配列は、マイクロキャビティII(20)の液体出口II(32)と、排出マイクロ管II(35)を備え、これの内部において、マイクロキャビティから排出される材料の搬送の制御を行う。および/または、
b) 1つ以上の通気機能。
配列IIの搬送制御機能は、微粒子材料、例えば圧縮多孔床の粒子がマイクロキャビティII(20)から逃げないように狭窄部(33)を液体出口II(32)に配置したり、および/または配列II内に液体流規制部を含める、および/または弁II、一般には毛管弁を含めることで達成される。弁IIは、マイクロ管II(35)内の、一般には液体出口II(32)に配置されている。多孔床(34)の形式の流れ規制部を、マイクロキャビティ内、好ましくはこれの出口端部に配置できる(国際公開公報第02075312号 ジャイロスAB)。流れ規制部はまた、マイクロ管II(35)の設計の、例えば長くおよび/または狭い(国際公開公報第03024598号 ジャイロスAB)といった固有のものであってもよいし、および/または、粗い内面、多孔性プラグ、支柱、その他のように、妨害された流れを支持する他の特徴を含めることによって設けられてもよい。下流マイクロキャビティ(20)はまた、1つ以上の通気機能と一致できる、あるいは一致できない1つ以上の追加の液体入口(51、52、53)を設けていてもよい。これら1つ、2つもしくはこれ以上の追加の入口のそれぞれは、流入配列の一部であっても、そうでなくてもよく、この流入配列は、マイクロチャンネル構造1つにつき独立しているか、もしくは複数のマイクロチャンネル構造に共通しており、また、以降のマイクロ流体装置の概略でさらに説明しているように、マイクロチャンネル構造1つにつき、容量測定マイクロキャビティを具備した容量確定ユニットを提供する。
液体出口II(32)は一般に下流マイクロキャビティ(20)の最下部分に配置されるが、最下部分と最上部分の間の中間の高さに配置して、下流マイクロキャビティを上方部分と下方部分に分割することもできる。この変形例では、下方部分は弁II’ を備えた別個の液体出口II’ を備えていてもよい。下流マイクロキャビティの液体入口、液体出口、弁、上方および下方部分、その他の設計は、上流マイクロキャビティについて上述したとおりであってもよい。
液体入口II(21)は、液体出口II(32)、II’(設けられている場合のみ)のいずれよりも回転軸(3)に接近している。
液体出口II(32)は、例えば以降のユニットFで定義しているように、検出ユニットと下流液体連通していてもよい。この液体出口の間には、上述で定義しているようなマイクロ管II(35)が設けられている。
上記の説明、マイクロ流体装置の概要、背景技術、これらの部分において参照した刊行物で述べているように、弁IIと、さらに、もしあれば弁II’とは受動弁であることが好ましい。これ以外のタイプの非閉鎖弁を使用することもできる。下流マイクロキャビティ(20)上の液体出口に関連したこれら弁のうち1つ以上は、ユニットCで説明したフィンガ弁であってもよい。
多孔床(34)の形式の流れ規制部は、一般に下流マイクロキャビティ(20)の液体出口(32)の最下部に関連している。このタイプのベッドは、一般に、ベッドを通過する液体分別部分内に存在している反応物または汚染物質と相互作用する固体相として使用される。一般に、ベッドは多孔性のモノリシックプラグ形式であるか、または多孔性または非多孔性粒子の圧迫床である。反応物および汚染物質との相互作用は、ベッドの固体相材料に固着した反応物を介して起こる。これ以外のタイプの流れ規制は、一般に、マイクロキャビティ(20)と、これに内設されている多孔床とを介して制御された流量が得られるように使用される。これにより、マイクロキャビティを通過する液体分別部分の流れ条件下で滞留時間を制御することが可能になり、したがって、マイクロキャビティ内(壁、多孔床、その他)に固着した反応物と、通過する反応物(国際公開公報第02075312号(ジャイロスAB)および国際公開公報第03024598号(ジャイロスAB))との間の接触時間を制御することも可能になる。「制御された滞留時間」という用語は、国際公開公報第02075312号および国際公開公報第03024598号で説明されているものと同じ意味で同時使用される、1つまたは2つのマイクロ構造(同一の装置)内の関連するマイクロキャビティについて、滞留時間が本質的に等しいことを含む。
マイクロ管I(17)の入口端部(16)と出口端部(18)の間の半径距離は以下の半径距離の差の≧100%、例えば≧200%、または≧500%、または1000%であることが好ましい:
a) 液体入口II(21)と、下流マイクロキャビティ(20)に関連した最下液体出口(32)または毛管弁または流れ規制部との間の半径距離の差。または、
b) 下流マイクロキャビティ内の上方液位と、下流マイクロキャビティ(20)に関連した最下液体排出弁(32)または毛管弁または流れ規制部との半径距離の差。
これは、マイクロ管I(17)の入口端部(16)と出口端部(18)の間の半径距離の差が、(a)または(b)で定義した、例えば≧25%または≧50%または≧75%といった≧10%の差よりも短くなることを除外しない。(b)の「上方液位」(=上方液位II)という用語は、所望の液体容量が上流マイクロキャビティ(4)から下流マイクロキャビティ(20)まで搬送された後の、下流マイクロキャビティ(20)内の液位を意味する。
下流マイクロキャビティ(20)の高さの半分以下の容量は、マイクロキャビティの総容量の≧50%、例えば≧60%、または≧75%であってもよい。
上流マイクロキャビティ(4)と同じ方法で、下流マイクロキャビティ(20)も狭窄および/または先細りしていてもよい。
両方のマイクロキャビティ(4、20)が先細りしている場合には、関連する流出部/入口の内壁のうち少なくとも1つ、2つまたはこれ以上が、先細りによって、搬送方向に対して鋭角(β<90°)を形成していることを意味する。この角度(β)は、例えば20〜40°、25〜35°のように10〜50°の間隔内にあることが好ましく、また、約30°が好ましい。これらの間隔は純粋な通気出口にも適用できる。液体出口と純粋な通気出口に関して言えば、マイクロキャビティを液体で充填する最中の気泡の形成が先細りによって阻止される。
マイクロキャビティ(4、20)が、入口/出口(5/6、32)に関連した狭窄部および/または先細りを有する場合には、マイクロキャビティまたはこれの上方部分(4a)および/または下方部分(4b)の最大断面範囲は、一般に、例えば≧1.25、または≧1.5、または≧3.0、または≧5.0といった因数>1に関連した出口/入口の高さにおける断面範囲よりも広い。
上流マイクロキャビティ(4)および/または下流マイクロキャビティ(20)の上方部分(設けられている場合のみ)は、例えば国際公開公報第02074438号または国際公開公報第03018198号(両方ともジャイロスAB)で略述されているタイプのような容量画定ユニットの一部であってもよい。
上流マイクロキャビティ(4)の場合には、前段落は、流入マイクロ管(8a)が、液体入口I(5)と同じ高さに溢出開口部(10)を有することを意味する。この溢出開口部(10)は、一般に、上流マイクロキャビティ(4)の液体出口(1つ以上 )に関連していてもよい弁(15a、15b、24、25)の上または下で終端した、下方に向かう溢出(11)マイクロ管と接続している。上流マイクロキャビティ(4)の最上部分は、溢出開口部(10)の高さで狭窄している、および/または、この高さに向かって先細りしている、即ち、同様に液体入口I(5)の高さにて、および/または、この高さに向かって先細りしていることが好ましい。これについてはさらに国際公開公報第02074438号、国際公開公報第02018198号(両方ともジャイロスAB)を参照できる。
下流マイクロキャビティ(20)はまた、容量画定機能(図示せず)備えていてもよい。これはマイクロキャビティが以下を有することを意味する:
a) 第1液体出口。これは溢出開口部であり、マイクロキャビティを上方部分と下方部分に分割する。第1液体出口はさらに第1出口と第1弁を設けている、第1出口は、溢出開口部に直接接続され、これの出口端部が下方に向かう溢出マイクロ管として設計されている。第1弁は、液体出口および/またはマイクロキャビティの下方部分の弁の高さよりも上または下にあってもよい。
b) 第2液体出口。これはi)マイクロキャビティの下方部分にあり、ii)マイクロチャンネル構造の下流部分と下流液体連通している第2排出マイクロ管の入口端部に接続しており、iii)第2液体出口および/または第2マイクロ管内にある第2弁と関連している。
この設計では、マイクロキャビティの下方部分は容量測定マイクロキャビティと関連し、第1液体出口は図中の液体出口II(32)と関連している。第2液体出口はこの図面の変形例には示されていない。第1および第2弁のような弁は一般に非閉鎖弁であり、例えば、本明細書の他の部分で考慮しているように設計されていることが好ましい毛管弁であってもよい。
狭窄部および先細りは、上流マイクロキャビティ内の関連部分について略述したとおりである。これについては上述と、さらにユニットEを参照できる。
この革新的な装置のマイクロチャンネル構造は、上流ユニットの下流マイクロキャビティが、最も近い下流ユニットの上流マイクロキャビティと液体連通できるように相互に連続結合した少なくとも2つのユニットを備えていてもよい。この連続結合したユニットは、上流ユニットの上流または下流マイクロキャビティにおいて、これに関連する下流ユニットのマイクロキャビティと同じ動作が行われない点で異なっていてもよい。上流ユニットの下流マイクロキャビティは、これに最も近い下流ユニットの上流マイクロキャビティと一致することができる。2つの連続ユニットの上流および下流マイクロキャビティが一致しない場合には、これらの間に他の機能ユニットを挿入することができる。
上流マイクロキャビティ(4)は以下を備えていてもよい:a)混合および/または希釈機能。この場合は、一般に、マイクロキャビティ上に2つまたはこれ以上の液体入口が設けられている。b)以降のユニットEで述べるように、高密度の材料からこれよりも密度の低い材料を分離する機能。c)細胞または細胞の一部、酵素反応、親和性反応、その他が関与する反応の中から選択された1つ以上の生化学反応を実行する機能。上流マイクロキャビティ(4)の機能は、下流マイクロキャビティ(20)と同じ機能(上述を参照)の中から選択でき、下流マイクロキャビティ(20)についてはこの逆が当てはまる。2つのマイクロキャビティの機能は、各内部で何が実行されるかによって異なる。上流マイクロキャビティ(4)は、下流マイクロキャビティ(20)について上述した流入配列の一部である1つ、2つ、3つ、またはこれ以上の入口を装備していてもよい。
マイクロキャビティが、上で挙げたタイプの反応を実行するように設計されている場合には、これらの反応は、溶解した反応物どうしの間、および/または、1つ以上の溶解した反応物と、これに関係するマイクロキャビティ内の固体相に関連した反応物/複数の反応物との間にある。上流マイクロキャビティが、上記およびユニットEで説明したような分離または分留機能を備えている場合には、下流マイクロキャビティに反応が生じる。この内容で使用している「溶解した反応物」という用語は、懸濁した反応物、例えば細胞あるいは細胞の一部、マイクロキャビティ内に保持された懸濁している微粒子固体相に固着した反応物、その他を含む。用語「保持された」とは、反応の最中、また、反応中に存在する液体を少なくとも部分的に除去した後に、マイクロキャビティ内に固体相が維持された状態を意味する。一般に、こうした固体相は、マイクロキャビティの下流端部、および/または、例えばマイクロ管I、II、II’のような排出マイクロ管内に配置された、内壁、例えば多孔性モノリスのような多孔床、粒子の充填ベッドである。多孔床が出口に関連している場合には、この出口に関連した別個の弁機能はない。マイクロキャビティ内で反応が生じる可能性は、同じマイクロキャビティまたは上流マイクロキャビティ(設けられている場合)内での事前段階における混合および/または希釈の実行と組み合わせられる。
ユニットAに関連した本発明の1つの態様はマイクロ流体装置の利用方法であり、この方法ではマイクロ構造は革新的なユニットAを備えている。この方法は以下のステップを備える。
i) マイクロ流体装置(1)を提供するステップ。この装置には、上で定義したとおりのユニットAを備えたマイクロチャンネル構造(2)が内蔵されており、上記ユニットの上流マイクロキャビティは上方液位Iまで液体で充填されている。即ち、マイクロ管I(17)の上方液体レベルでは裏面メニスカスによって、弁I(24)では正面メニスカスによって充填されている。
ii) 回転軸(3)の周囲で装置(1)を或る回転速度で回転させることで、正面メニスカスを、弁I(24)を通過できるように移動させるステップ。
iii) 正面メニスカスがマイクロ管I(17)の出口端部(18)に向かって下流へ移動する状態で、液体プラグが弁I(24)からマイクロ管I(17)内に連続して延びることができるように回転速度を調整し、これにより、裏面メニスカスがマイクロ管I(17)内に移り、可能であればこの内部を通ることができるようにして、マイクロ管I(17)の出口端部を介して液体を上流マイクロキャビティ(4)から排出することにより、マイクロキャビティ(4)を液体入口I(5)まで空にするステップ。
マイクロキャビティ(4)が下方第1部分(4b)を有する場合には、マイクロキャビティ内の液体出口(6)の高さに新たなメニスカスが作成される。マイクロ管Iが、上方液体レベルIよりも上にある上方先端(22)を備え、弁I(24)が上方先端(即ち、上方液位Iの下)の上流に位置決めされている場合には、連続「(ii)と(iii)」は以下のステップを備える:
(ii.a) 装置を回転させることで正面メニスカスを弁I(24)へと移動し、正面メニスカスに弁を通過させるステップ。
(ii.b) 正面および裏面メニスカスが同じ高さに並ぶように、回転によって液体を平衡状態に保つステップ。
(ii.c) 正面メニスカスにて毛管力が遠心力よりも大きくなるように、可能であれば必要に応じて回転を停止して、正面メニスカスが裏面メニスカスの高さ以下になるまで上方先端(22)への毛管液搬送を可能にすることにより回転速度を調整するステップ。
(iii’) マイクロ管I(17)の出口端部(18)から液体を排出することで、上流マイクロキャビティ(4)を液体出口I(6)の高さにまで空にするステップ。
ステップ(ii.b)の最中、回転速度が、制限するものが主にマイクロ流体装置の材料の性質だけの状態で大きく増加する。これにより、上流マイクロキャビティ内で、より軽量の材料から上方および下方位相までの低密度の材料の非常に効率的な遠心力ベースの分留が達成される。あるいはステップ(iii)、(iii’)は、必ずしも弁Iから液体プラグが連続して形成される必要のない液体搬送を備えていてもよい。
1つ以上のステップにおいて、駆動プラグの高さ(正面メニスカスと裏面メニスカスの間)が延びる際に、回転速度/遠心力が連続低下、または低下する。これにより、化流マイクロキャビティ(20)の液体出口II(32)からの望ましくないおよび/または未制御の液体搬送の危険が低下する。この危険は、下流マイクロキャビティ(20)へ搬送された液体により生じた液位/静水圧の増加によって生じる。理想的なケースでは、ユニットAの回転速度と設計は相互に適合され、搬送の後半の少なくとも一部の実行中に、下流マイクロキャビティ内の液体の高さが、上流マイクロキャビティ(4)およびマイクロ管I(18)内の駆動液位の合計よりも、例えば≦0.75、≦0.5、≦0.25、≦0.1というように因子F≦1で低くなる。理想的なケースでは、搬送時全体にかけてこの条件が満たされることが望ましい。この実行ステップ(iii)および/または(iii’)の方法は次の場合に支持される:
a) 上流マイクロキャビティ(4)の高さが下流マイクロキャビティ(20)の高さよりも、例えば≧1.5、≧3、≧5、≧10というように因子F’≧1で高くなる場合。
b) 下流マイクロキャビティ(20)の例えば高さ60%未満の最大断面範囲が、上流マイクロキャビティ(4)の最大断面範囲よりも大きい場合。
c) 下流マイクロキャビティの容量が上流マイクロキャビティ(4)の容量よりも、例えば≧1.5、≧2、≧5といったように因子F”≧1で大きい場合。
これにより、上流マイクロキャビティ(4)の高さは、最上部(7)の高さと、例えば液体出口I(6)のような毛管弁を備えた最下液体出口の高さとの間にあると考えられる。これに従えば、下流マイクロキャビティ(20)の高さは、液体入口II(21)の高さと、例えば液体出口II(32)のような毛管弁を備えた最下液体出口との間にあると考えられる。これは、上流マイクロキャビティの高さが下流マイクロキャビティの高さ未満であってもよい場合、F’<1、例えば≦0.75、≦0.50、≦0.25である場合を除外しない。先の説明のいずれかの部分、およびユニットB、C、Dの部分で説明したように、マイクロ管I内に上方先端がある場合には、ユニットAのこの部分の本発明の態様も支持される。
異なるステップで必要とされる実回転速度(回転プログラム)は複雑な形で多数の因子によって異なり、また、一般に実処理プロトコルが実施される前に決定される。ステップ(iii)および(iii’)の場合は、比較的高い回転速度でステップを開始し、次に或るステップで、回転速度を因子≧0.10、例えば≧0.20またはこれ以上にて低減させ、その後、数ステップかけて、または連続的により滑らかに低減させることで、回転速度を連続的に低減することが常に有利である。回転速度の連続的な低減は、ユニットが、上述した毛管弁が関連した下流マイクロキャビティ(20)を備えている場合に特に有利である。
上流マイクロキャビティ(4)またはこれの上流部分(4b)は、上流マイクロキャビティの液体入口I(5)の高さにおいて結合した溢出マイクロ管(11)を有する容量画定ユニットの容量測定マイクロキャビティであってもよい。このケースでは、ステップ(i)は以下を備える:
a) 上流マイクロキャビティ(4)内に過剰な液体を提供する。マイクロキャビティ(4a〜4b)が満たされて、過剰液体が溢出マイクロ管(11)内に配置され、これの内部の溢出弁(15b)へ落ちて流入マイクロ管(8a)へ移動するステップ。
b) 液体が上流マイクロキャビティ内に残っている間に、液体を溢出マイクロ管(11)および排出マイクロ管(8a)へ強制的に移動させ、溢出弁(15b)から排出させる速度にて、装置を回転軸周囲で回転させるステップ。
この回転速度は、弁I(24)(さらに、設けられている場合には弁I’(25))から液体を排出させるのに必要な速度よりも低い。これは、溢出マイクロ管(11)内の弁(15b)が、上流マイクロキャビティに関連した他の液体排出弁(24、さらに、設けられている場合には25)よりも弱く設計されているためである。これについては、例えば国際公開公報第02075312号、国際公開公報第02075775号、国際公開公報第04083108号(全てジャイロスAB)その他を参照できる。これはまた、ステップ(ii.b)後の背面メニスカスが上流マイクロキャビティ(4)の液体流入/排出開口部(5、10)よりも下にあってもよいことを意味する。
上述した、液体出口I(5)が上流マイクロキャビティ(4)を上方部分(4a)と下方部分(4b)に分割するユニットAの変形例を、このユニットを含んでいる装置を回転軸周囲で回転させて、より高密度の材料とより低密度の材料(軽量な材料)を含有した液体を、より軽量の材料を含有した上方位相と、より高密度の材料を含有した下方位相とに分離するために使用することも可能である。実際の2つの位相への分離は、上述のステップ(ii.b)の最中に回転によって最も効率的に実行される。ステップ(ii.b)とは即ち、マイクロ管I(17)が、上流マイクロキャビティ(4)内の上方液位Iよりも上(図示せず)にあり、弁I(24)が先端の上流と上方液位Iの下とに配置された上方先端(22)を備えている状態である。ユニットAの他の変形例では、2つの位相への実際の分離はステップ(i)と(ii)の間において、液体を弁I(24)を通過させるのに必要な回転速度よりも低いが、ステップ(i)で使用される回転速度よりも高い速度で、また多くの場合、ステップ(iii)で使用されるものよりも高い回転速度で装置を回転させることで実行される。この方法変形例では、マイクロ管I(17)は、上方液位Iよりも下の上方先端(22)を有し、この先端(22)の上流、および上方液位Iよりも下の高さに弁I(24)が配置されていることが好ましい。この段落で説明している遠心分離は、(1)溶解した反応物を、微粒子携帯の懸濁した固体相に固着した反応物によって反応させることで反応混合物と、(2)細胞培養浮遊物、細胞ホモジェネート、全血、その他といった細胞または細胞の一部を含有したサンプル。これについては、ユニットEの説明および使用も参照できる。
B. 上向きマイクロ管内の毛管弁を具備した機能ユニット
このユニットは、入口端部(16)および出口端部(18)と、さらに両端部の間の毛管弁Iとを設けた液体搬送マイクロ管I(17)を備えている。
特徴的な特性は、マイクロ管I(17)が、これの一部または全長にかけて延びた、上向き区間(23a)を備えていることである。好ましい変形例では、毛管弁I(24)はこの上向き区間(23a)内にある。
この革新的なマイクロ管は、マイクロ流体装置(1)内のマイクロチャンネル構造(2)の一部である。この装置、マイクロチャンネル構造、ユニットは、回転軸(3)周囲で回転することで、例えば、弁I(24)の上流側に隣接した液体分別部分を、弁を通過し、さらに、弁I(24)の下流にあたる構造物の部分内へ搬送され、ここで処理されるように移動させる力、例えば遠心力および/または静水圧を作成できるように設計されている。例えば非回転状況または低速度回転状況時に、また特に液体分別部分あるいはこれの表面メニスカスを下方高さから上方高さへ、および/またはマイクロチャンネル構造の液体流入ポート(ポート=装置表面に設けた開口部)から第1弁位置へ搬送するために、自己吸引形態の毛管力を搬送の補助として用いることができる。またこのユニットをマイクロ流体装置内に設けて、上述した以外の力が、弁Iを介した液体の搬送、および/または、マイクロチャンネル構造の異なる部品内あるいは部品間での液体の搬送に利用されるようにしてもよい。このような上述以外の力には地球の重力などがある。
マイクロ管I(17)の入口端部(16)は出口端部(18)よりも高い位置にあり、いくつかの変形例では、より高い位置にある出口端部とより低い位置にある入口端部とが逆であってもよい場合を除外していない。
マイクロ管I(17)は連続的に上方に向いているか、あるいは、連続的に上方または下向き互い違いの2つまたはこれ以上の区間を含んでいてもよい。入口端部(16)および/または出口端部(18)は、上向き区間、下向き区間、水平区間の一部であってもよい。用語「水平」は、区間全体が一定の高さにあることを意味し、遠心分離機ベースのシステムの場合には、これは、セクションの中心を通る半径に対して接線/直交方向に向いた直線を含んだ、本質的に一定の半径距離(弧状)にあることを意味する。水平区間の角度長さが在る場合には、弧度≦π/20、≦π/40、≦π/80となる。「連続的に上向き」、「連続的に下向き」は、区間が「水平な」伸張(=区間の一部)を設けていてもよいことを含む。水平区間は上方区間と下方区間の間に在る。隣り合った上方および下向き区間(23a、23b)の間には、恐らくは上方先端(22)または下方先端と共に上方または下方屈曲部(「肘」)をそれぞれ形成する水平区間が設けられている。好ましい変形例では、マイクロ管I(24)は上方屈曲部の形状をしており、この上方屈曲部は、出口端部(18)の上または下の高さに入口端部(16)を設け、これら端部の一方または両方における水平区間と共に形成されている。
ユニットBの毛管弁Iと他の毛管弁は、ユニットAのものと同タイプのものであってもよい。これについてはユニットA、マイクロ流体装置の概要、背景技術、さらに本明細書中のこれらの部分で引用した刊行物を参照できる。好ましい実施形態では、毛管弁IはユニットCで定義したフィンガ弁である。
毛管弁I(24)は、上方区間(23a)の上方または(もしあれば)水平伸張部分の中、および/または、入口端部(16)と同じまたはこれよりも高い位置に配置されていることが好ましい。この上方区間(23a)は、上方先端を設けた上方屈曲部と、マイクロ管I(17)の入口端部(16)よりも低い位置にある出口端部(18)との一部であってもよい。マイクロ管I(17)が下向き区間を含んでいる、例えば入口端部(16)よりも低い高さに出口I(18)を含んでいる場合には、毛管弁I(24)を下向き区間内の、入口端部(16)の高さよりも上または下に配置することができる。
また、毛管弁I(24)がマイクロ管(17)内に位置している場合には、マイクロ管I(17)は、マイクロ管I(17)の入口端部(16)に1つ以上の追加の毛管弁、例えば弁(25)を備えていてもよい。これについてはユニットD、さらにユニットA、ユニットCも参照できる。
マイクロ管(17)の入口端部(16)は、以下に示す上流マイクロキャビティI(4)に接続することができる:
a) 例えばユニットA、ユニットEで説明したタイプの分離マイクロキャビティ。
b) 測定された分別部分の下流搬送を制御するために使用される、液体出口に関連した弁Iに対応している弁を設けた、例えばユニットA、国際公開公報第02074438号(ジャイロスAB)で説明されているタイプの容量測定マイクロキャビティ(4a)。
c) 混合および/または反応マイクロキャビティといった液体保持マイクロキャビティ。こうした液体保持マイクロキャビティは、例えば国際公開公報第2003018198号(ジャイロスAB)、国際公開公報第2005094976号(ジャイロスAB)、PCT/SE2005/001887、さらに、Gyros Patent ABの名義で2005年12月12日に提出された、タイトル「マイクロ流体検定およびマイクロ流体装置(Microfluidic Assays and Microfluidic Devices)」のUS SN 11/?????で提案されているタイプのものであり、1つ、2つまたはこれ以上の入口が、流入機能と、マイクロキャビティと、液体出口に設けた弁(弁Iに関連)との間の弁の有無に関係なく機能するタイプのものである。
d) 国際公開公報第02075312号で説明されているタイプの反応マイクロキャビティ。このタイプは、それぞれが弁と関連していてもいなくてもよい1つ以上の液体入口と、マイクロキャビティおよび/または液体入口内の弁を通る液体の流れを制御する流れ規制部に関連している液体出口とを有する。
e) その他。
一般的な保持マイクロキャビティについては、例えば国際公開公報第03018198号(ジャイロスAB)に説明されている。流れ規制手段は、狭く比較的長い排出マイクロ管、多孔床、反応マイクロキャビティ内の膜、その他を含んでいる。これについては、国際公開公報第02075312号(ジャイロスAB)と、国際公開公報第03024598号(ジャイロスAB)を参照できる。毛管弁は、例えば本明細書に記載の革新的なタイプのフィンガ弁や、反応マイクロキャビティ、分離マイクロキャビティ、混合マイクロキャビティの排出機能に好ましい。
あるいはマイクロ管I(17)の入口端部(16)は、a)液体搬送を目的とする他のマイクロ管の2つまたはこれ以上の入口端部および/または出口端部を備えた、分岐型マイクロ管の一部であるか、または、b)マイクロチャンネル構造の液体流入ポート(即ち、ユニットを含む機械構造を含んだ装置の表面の開口部)に直接または間接的に接続していてもよい。
ユニットA、Eで述べているように、さらに、マイクロ管I(17)がマイクロキャビティII(20)の液体流入機能の一部であるという条件付きで前出の段落での上流マイクロキャビティ(4)で述べているように、マイクロ管I(17)の出口端部(18)は、反応マイクロキャビティ、分離マイクロキャビティ、容量画定ユニット/容量測定マイクロキャビティ、その他であってもよい下流マイクロキャビティII(20)に直接接続していてもよい。
あるいはマイクロ管I(17)の出口端部(18)は、a)液体搬送を目的とした他のマイクロ管の2つまたはこれ以上の入口端部および/または出口端部を備えた分岐型マイクロ管の一部であるか、または、b)マイクロチャンネル構造液体排出ポート(即ち、ユニットを含む機械構造を含んだ装置の表面の開口部)に直接または間接的に接続していてもよい。
ユニットBに関する1つの革新的な態様は、このユニットを備え、マイクロ流体装置内に設けられているマイクロチャンネル構造内で液体を搬送する方法である。この方法は次のステップを備えている:
i) ユニットBを備えたマイクロチャンネル構造(2)が内蔵されているマイクロ流体装置を提供するステップ。ユニットBは、マイクロ管I(17)の入口端部(16)に接続した上流マイクロキャビティ(4)と、マイクロ管I(17)内の毛管弁I(24)の上流に位置した0、1つ、2つまたはこれ以上の毛管弁と、マイクロ管I(17)内の毛管弁における液体の分別部分の正面メニスカスと、一般に弁I(24)よりも上に位置している入口端部(16)の上流に配置された裏面メニスカスとを設けている。
ii) 液体分別部分に駆動力を付加し、毛管弁I(24)にて正面メニスカスを停止させることで、正面メニスカスを、毛管弁I(24)の上流にあるマイクロ管I(17)の毛管弁にかけて連続的に移動させるステップ。このステップは、マイクロ管I(17)内の毛管弁I(24)の上流に1つ以上の毛管弁が設けられている場合のみ実行されるという条件が付く。
iii)
a) 上流毛管弁I(24)内に毛管弁がない(即ち、毛管弁Iがマイクロ管I内の第1毛管弁である)場合にはステップ(i)の後に、
b) マイクロ管I内に上記1つ以上の毛管弁が設けられている場合にはステップ(ii)の後に、
正面メニスカスを毛管弁にかけて移動させる際に分別部分に十分な駆動力を付加することで、正面メニスカスを毛管弁I(24)にかけて移動させるステップ。
iv) 分別部分に十分な駆動力を付加して、これを少なくとも毛管弁Iへ運ぶことにより、分別部分の少なくとも一部を、マイクロ管I(17)の、毛管弁I(24)の下流に当たる部分、また一般にマイクロ管I(17)の出口端部(18)の下流にあたる部分へ移動させるステップ。
ステップ(i)の背面メニスカスは、概して、正面メニスカスと同じ分別部分のメニスカスである。背面メニスカスは、一般に上流マイクロキャビティ(4)(設けられている場合)内に在る。最も一般的な変形例では、マイクロ管I(17)内の毛管弁I(24)の上流に毛管弁はない。こうした毛管弁(1つ以上)がある場合には、これらの1つがマイクロ管I(17)の入口端部(16)に配置されていることが好ましい。
好ましい変形例はさらに、ステップ(1)で提供されたマイクロ管装置(1)が回転軸(3)周囲で回転され、これにより、回転中に構造内で作られた静水圧と組み合わさった遠心力が、正面メニスカスを押圧してマイクロ管I(17)内の毛管弁(1つ以上)にかけて移動させ、弁(ステップ(ii))間における、および毛管弁I(24)(ステップiv)後の下流搬送を可能にする駆動力を作り出せることを包括する。静水圧との組み合わせは、例えばマイクロ管I(17)の入口端部(16)を包括する、上向き区間(23a)に配置された弁(1つ以上)にとって重要である。1つの弁を通過した後、次の毛管弁に到達するために、あるいは、ステップ(iv)にあるようにマイクロ管I(17)内の最後の毛管弁を通過した後の下流搬送を行うために、毛管力を遠心力の代替物および/または補助として使用することが可能である。後者の下流搬送は、上向き区間(23a)が、初期の背面メニスカスよりも上、あるいは、例えば上流マイクロキャビティ(4)の最上部分(7)というように上流マイクロキャビティ(4)内の上方液体レベルIよりも上に位置した上方先端(22)を有する上向き屈曲部の一部である場合には特に適合する。これについてはユニットAを参照できる。
方法態様の特定の変形例では、マイクロ管I(17)は上向き屈曲部と、この屈曲部の上向き区間(23a)内の弁I(24)とを有する。そのため、正面メニスカスによって弁I(24)から下向き区間内へ連続した液体プラグを形成することが有利である。この下向き区間は、例えば、上流マイクロキャビティ(4)内の背面メニスカスの高さよりも下、および/または、屈曲部の最上部分(22)の上方液位Iよりも下、および/または、マイクロ管Iの入口端部(16)の高さよりも下(=上流マイクロ管(4)の液体出口(6))である。この液体プラグが搬送を補助することで、正面メニスカスがマイクロ管I(17)の最上高さ/上方先端(22)を通過した後に回転速度を低減することができる。詳細についてはユニットAを参照できる。
ユニットC。毛管停止機能(フィンガ弁、フィンガ通気部など)
このユニットは、入口端部(16)と出口端部(18)と毛管停止機能とを設けたマイクロ管I(17)を備えている。マイクロ管I(17)は、これの設計と、マイクロチャンネル構造内における位置とに応じて、液体搬送用マイクロ管または通気用マイクロ管として使用できる。
マイクロ管I(17)の分割部分(46)は、幾何表面特徴の急激な変化を含んでいることにより毛管停止機能(24)を画定する。この変化には、断面寸法の急激な変化(横方向の変化。図示せず)、および/または化学表面特徴における濡れ性の急激な増加がある。この変化および/または増加は、分割部分)46)がマイクロ管I全体またはこれの一部を包括する特定の長さを有しているという意味で、一般にマイクロチャンネル表面の局所(44aまたは44b)で生じる。そのため、この分割部分内には、マイクロ管Iの端部が全く包括されない、または一端または両端が包括される。これは、非濡れ特徴の増加の場合には、背景技術、マイクロ流体装置の概略、本明細書中のこれらの部分で参照した刊行物に記載されているように、マイクロ管の内壁の少なくとも1つ、2つまたはこれ以上がこのタイプの変化を備えていることを意味する。
マイクロ管I(17)の入口端部(16)は、出口端部(18)よりも高い位置にあり、これは、いくつかの変形例において、より高い位置の出口端部(18)とより低い位置の入口端部(16)が逆であってもよい場合を除外しない。
このユニットの毛管停止機能の主な用途は次の2つである:a)気体/空気の流入および排出のみを目的とした通気部、b)マイクロ管を通って搬送された液体の停止/流動弁。用途(a)は、出口端部(18)が空気/気体のみと接触する一方で、マイクロ管Iの入口端部(16)が液体と接触することを意図したものである。用途(b)は、両端部が液体と連続的および/または随伴的に接触することを意図している。
特徴的特性として、分割部分の少なくとも1部が2つまたはこれ以上のマイクロチャンネル(フィンガ)(42)に分割されており、したがって、本発明による毛管停止機能(24)がフィンガ弁またはフィンガ通気部であることが挙げられる。表面特徴の変化によって画定された内面範囲がマイクロチャンネル(42)内に位置しているか、または、マイクロチャンネル(42)の入口(45)および/または出口(43)に隣接している、あるいはこれらを被覆している。幾何表面特徴の急激な変化には、例えば、マイクロチャンネル(42)の入口端部(45)または出口端部(43)によって画定された横断面寸法の急激な変化が含まれる。非濡れ性(44a)が増加した内面範囲は、マイクロチャンネル(42)の入口端部(45)および/または出口端部(43)にて開始および/または終端していてよく、および/または、完全にマイクロチャンネル内に含まれている、および/またはマイクロチャンネル(42)の入口端部(45)と出口端部(43)の一方(44b)または両方を被覆していてもよい。またこの非濡れ性が増加した範囲は、例えば、マイクロチャンネルの入口端部に1つの副範囲、出口端部に別の1つの副範囲というように、同一の停止機能に関連した2つまたはこれ以上の副範囲に細分することができる。マイクロチャンネルのこうした2つの副範囲の間の内面は一般に濡れ可能である。入口(45)のみまたは出口のみに隣接する、またはこれを被覆し、対向する両端は、親水性に維持することで利点が得られることが多い(以下を参照)。
上記の革新的な毛管停止機能(24)で定義した分割部分(46)は以下において延びている:
a) マイクロチャンネル(42)の上流端部(45)の最上流部分と、非濡れ性表面範囲(44aまたは44b)の上流端部(47)との間。
b) マイクロチャンネル(42)の下流端部(43)の最下流部分と、非濡れ性表面範囲(44aまたは44b)の下流端部(48)との間。
一般に、マイクロチャンネル(42)の数は2本、3本、4本、5本、6本またはこれ以上であり、上方制限部は15個、20個、30個、40個またはこれ以上である。本発明による毛管停止機能内のマイクロチャンネルのうち少なくとも2つは、以下の意味において機能的に等しい:a)機能が純粋に換気のみである場合には、いずれのマイクロチャンネルからも液体が通過しない、b)機能が停止/流動弁である場合には、平行した(実際には、使用時にマイクロチャンネル間を前進するのに許容される時間変化は0秒から最大で15秒であるため本質的に平行している)マイクロチャンネルのうち少なくとも2本、例えば全てを液体が通過できる。これには、それぞれのマイクロチャンネル(42)が、本質的に、長さ、湾曲、さらに奥行・幅・範囲などの断面寸法、縦方向への変化その他から選択した特徴の1つ以上に関連して同形状でなければならないことが含まれる。したがって、フィンガタイプの毛管停止機能のマイクロチャンネル(42)は、従来の多孔性プラグ、床、膜、フィルタのように方向のスペクトルおよび交差を持ったランダムな孔でないという意味において明確であり十分に画定されている。
変化した表面特徴の範囲は、例えば、マイクロ管Iの入口端部(16)の開始時、これの前後、および/または、出口端部(18)の終了時、これの前後に、マイクロ管I(17)を部分的または完全に被覆することができる。
マイクロチャンネル(42)の長さ、奥行、幅は、とりわけ弁または通気である停止機能、マイクロチャンネルの前および/または後のマイクロ管の断面寸法の大きさおよび形状、それぞれのマイクロチャンネルの断面寸法、マイクロチャンネルの前または後の望ましい流量、遠心分離機ベースの装置の回転速度を含む望ましい駆動力、装置上の位置、製造技術などに依存する。
それぞれのマイクロチャンネル(42)の長さは、2本またはこれ以上、例えば全部について異なっていても等しくてもよい。マイクロチャンネルの典型的な長さは≧0.1であり、例えば≧0.5、≧0.75、≧1、≧3、≧5、≧10であってよく、および/または、マイクロチャンネルの幅および奥行の最も長いものの≦102倍、≦103倍、≦104倍、≦105倍である。マイクロチャンネルの長さに沿って幅と奥行が変化する場合には、最も長い幅および奥行を比較する。絶対値において、典型的な長さは≧5μmの間隔内、例えば≧10μm、≧50μm、≧100μm、≧500μm、≧1000μm、≧3000μm、および/または、≦50000μmの間隔内、例えば≦25000μm、≦10000μm、≦5000μm、≦1000μmであってもよい。
奥行および/または幅は、2本またはこれ以上、例えば全部のマイクロチャンネル(42)について異なっていても等しくてもよい。絶対値において、典型的な奥行および/または幅は≧1μmであり、例えば≧5μm、≧10μm、≧20μm、≧50μmであってよく、および/または、≦500μmであり、例えば≦200μm、≦100μm、≦50μm、≦20μmであってもよい。
マイクロチャンネル(42)がマイクロ管Iよりも短い場合には、上流端部(45)および/または下流端部(43)におけるマイクロチャンネル(42)のオープンな断面範囲(Asum)の合計は、分割部分の直前および/または直後のマイクロ管(42)のオープンな断面範囲(Abefore、Aafter)と等しい、またはこれよりも大きいあるいは小さい。一般に、Asum/Abefore(および/またはAsum/Aafter)の比率は≧1の間隔内にあり、例えば≧2、≧5、≧10であってよく、および/または≦1の間隔内にあり、例えば≦0.5、≦0.2、≦0.1であってもよい。特定の位置において奥行および/または幅が異なる場合には、この間隔はその位置における最大奥行と最大幅を参照する。台形または三角形の断面と比較する。
ユニットCの弁の変形例では、ユニットA、B、Eで記載しているように、マイクロ管I(17)の入口端部(16)および/または出口端部(18)は分岐部の一部であるか、またはマイクロキャビティに接続している。あるいは、入口端部(16)を、同一のマイクロ管の、排出ポートと類似した流入ポートおよび出口端部に直接または間接的に接続してもよい。原則的には、本明細書の他の部分で参照したとおりの任意の機能の組み合わせは、本発明によるフィンガ弁を適切な適合後に備えたマイクロ管Iに関連していてもよい。
ユニットCの通気部の変形例では(図示せず)、マイクロ管Iの入口端部は、液体を収容するマイクロキャビティ、または液体の搬送に使用するマイクロ管に直接結合している。これにより、マイクロ管Iの出口端部が、恐らくは1またはこれ以上の空気/気体マイクロ管を介して、および/または、同じマイクロチャンネル構造の他の部分、あるいは同一のマイクロ流体装置上の他のマイクロチャンネル構造の部分により、周囲の空気と直接または間接的に連通できるようになる。この他の部分も、空気/気体用のマイクロキャビティ/マイクロ管として考慮される。革新的なフィンガ通気機能は、マイクロ管Iの入口端部に配置されることが好ましく、またあるいは、マイクロ管Iは、上記位置に配置された追加の毛管停止機能を備えている。この追加の毛管停止機能はフィンガ換気部であっても、そうでなくてもよい。
マイクロ管I(17)はフィンガ機能(24)の下流または上流に位置していてよく、このフィンガ機能(24)は、この機能の反対側においてよりも断面範囲が大きいまたは小さい区間を有しており、また、フィンガ機能の上流よりも下流においてこの断面範囲が小さいことが好ましい。これは、フィンガ機能がフィンガ弁である場合に特に当てはまる。これについてはユニットAと比較できる。
マイクロ管I(17)は、1つ以上の追加の毛管弁を含んでいてもよい。これら追加の弁のうち1つ(25)は、本明細書の他の革新的なユニット(特にユニットD)について説明したように、フィンガ弁(24)の上流に配置されることが好ましく、さらに入口端部(16)に位置することが好ましい。これら追加の弁のうち1つは、背景技術、マイクロ流体装置の概要、本明細書中の他の部分で参照している刊行物に記載されているタイプのフィンガ弁あるいは毛管弁であってもよい。
革新的なフィンガ弁が以下のとおりである場合には、興味深いフィンガ弁を達成できる:
a) マイクロ管I(17)の出口端部(16)に、典型的にはマイクロ管Iの入口端部(16)から出口端部(18)へ延びた形で配置されている(区間(46)=マイクロ管(17))場合。
b) 非濡れ性範囲(43a)がマイクロチャンネル(42)の上流端部(47)に隣接している、あるいはこれを被覆しているが、同一のマイクロチャンネルの下流端部(48)には隣接しても、被覆してもおらず、また、マイクロチャンネルの下流端部が、マイクロ管I/マイクロチャンネルのこの端部からマイクロチャンネル内部を選択的に湿らすことができる手段と流体連通している場合。
特に好ましい(a)の変形例では、弁I(=区間)とマイクロ管Iが一致し、また、弁I/マイクロ管Iの入口端部が上流マイクロキャビティに直接取り付けられており、弁I/マイクロ管Iの出口端部が下流マイクロキャビティに直接取り付けられている。これらマイクロキャビティの両方を、ユニットAの上流マイクロキャビティ(4)および下流マイクロキャビティ(20)について概略したとおりに選択することができる。これについては上述を参照できる。
上述の変形例(b)で、用語「選択的に濡らす手段」とは:a)マイクロ管Iの出口端部と流体連通している濡れ入口を有する下流マイクロキャビティを含み、さらに、b)マイクロ管Iの出口端部が、内部においてマイクロチャンネルの下流端部に別個に提供することができるマイクロ管の端部を備えた分岐部分の一部であることを含む。このタイプの湿れ手段を介して液体を提供する場合、液体は親水性のマイクロチャンネル内の非濡れ部分にまで吸引される。このタイプの弁の場合、液体圧力が増加することによって、液体がこの弁を下流方向へ突破でき、さらに、反応マイクロキャビティ、混合室、さらにこれ以外の圧力下で液体を保持する保持マイクロキャビティの出口端部内で使用するように適合できることが予想される。多様なマイクロキャビティについてはマイクロ流体装置の概略を参照できる。
ユニットCのマイクロ管I(17)は、ユニットBの部分で説明した1つ以上の上方区間(23a)を設けていてよく、これら上方区間の少なくとも1つにはフィンガ弁(24)が内蔵されていることが好ましい。上方区間(23a)は、本明細書の他の部分で説明したように、上方屈曲部の一部であってもよい。マイクロ管Iは、ユニットA〜Bで説明したように、これ以外の形状であってもよい。
ユニットCに関連した本発明の1つの態様は、このユニットを備えたマイクロチャンネル構造が内蔵されたマイクロ流体装置を利用する方法である。この方法は、液体をユニットCの毛管停止機能にかけて搬送する方法である。この方法は以下のステップを備える:
i) マイクロチャンネル構造が内蔵されたマイクロ流体装置を提供するステップ。このマイクロチャンネル構造はユニットCを備え、ユニットCは、上で定義したとおり、毛管停止機能(24)の上流位置における液体の分別部分の正面メニスカスと、入口端部(16)の上流、および毛管停止機能(24)の高さよりも上に位置した裏面メニスカスとを設けている。
ii) 駆動力を付加して正面メニスカスを以下のとおり移動させるステップ:
a) 機能が弁である場合には、恐らくはまず停止機能において正面メニスカスを停止し、その後移動を再開させることで、毛管停止機能へ、またこれにかけて移動させるステップ。
b) 機能が通気部である場合はこの機能へ移動させるステップ。
ステップ(i)では、裏面メニスカスは表面メニスカスと同一の分別部分のメニスカスである。また一般に、裏面メニスカスは上流マイクロキャビティ(4)(設けられている場合)内に存在する。
ステップ(i)、(ii)での駆動力は、分別部分の裏面メニスカスに印加された空気/気体の過剰圧力または静水圧、あるいは遠心力などであってもよい。毛管停止機能(24)への搬送/移動にも毛管力を利用できる。毛管停止機能(24)を通過するには駆動力を活発に増加させる必要があり、これは、この場合適切でない毛管力を除外した、初期移動の時と同じ複数の力から駆動力を選択できることを意味している。装置が遠心力を利用すするように設計されている場合には、回転を増加することが好ましい。ステップ(ii)の後、ステップ(ii)以外の駆動力、または力の組み合わせを使用して、分別部分またはこれの一部をさらに下流のマイクロチャンネル構造内へ移動させることができる。遠心力は例えば、毛管力および/または静水圧で代用および/または補助することが可能である。フィンガ弁がユニットA〜Fのいずれかに結合している、またはこれの一部である場合には、ステップ(i)、(ii)は関連する方法のステップの要求に適合される。
ユニットD 保護された毛管弁ユニット
このユニットは、入口端部(16)と出口端部(18)を設けた液体搬送マイクロ管(17)を備え、また毛管弁I(24)を備えている。
マイクロ管が1つ以上の追加の毛管弁(25)を備えていることが特徴特性である。毛管弁I(24)は典型的にはユニットCで定義されたフィンガ弁であり、弁Iの上流に1つ以上の追加の弁が配置されていることが好ましい。また、追加の毛管弁はフィンガ弁であるか、あるいは本明細書中の他の部分、背景技術、マイクロ流体装置の概要、これらの部分で参照した刊行物において他のユニットに関連して述べたタイプの弁であってもよい。追加の弁(25)のうち1つは、マイクロ管I(17)の入口端部(16)に配置されることが好ましい。この場合には、次に弁I(24)をマイクロ管内に配置するという条件が付く。
革新的なマイクロ管I(17)は、ユニットA〜C、E〜Fで説明したものと同じタイプのマイクロ流体装置内に設けられたマイクロチャンネル構造の一部である。
マイクロ管I(17)の入口端部(16)は典型的には出口端部(18)よりも上に位置しており、この場合、いくつかの変形例では、より高い位置にある出口端部(18)とより低い位置にある入口端部(16)が逆になっていてもよいことを除外しない。
ユニットB、Cで説明したように、マイクロ管I(17)は、1つ以上の上方区間(23a)、および/または1つ以上の下方区間(23b)、および/または1つ以上の水平区間、1つ以上の上方屈曲部、1つ以上の下方屈曲部、上方先端(1つ以上)(22)などを含んでいてもよい。これらの部分の内部、最も一般的には上方屈曲部の上方または下方区間内に、例えばフィンガ弁の形状をした毛管弁Iを、各特定のケース望ましい機能毎に相当の注意をもって設けてもよい。詳細についてはユニットB、Cを参照できる。
ユニットDでは、マイクロ管(17)の入口端部(16)または出口端部(18)は、ユニットA、B、C、Eで説明しているように、分岐部の一部であるか、またはマイクロキャビティに接続している。マイクロ管Iの入口端部(16)は、流入ポートおよび出口端部(18)、排出ポートに直接または間接的に接続していてもよい。原則的に、適切な適合が行われる場合には、参照した機能の任意の組み合わせはユニットDのマイクロ管Iに関連していてもよい。
ユニットDの1つの本発明による態様は、ユニットDを備えたマイクロチャンネル構造内で液体を搬送する方法である。この方法は、ユニットB、Cが上述したとおりの2つまたはこれ以上の毛管弁を備えている場合には、これらのユニットにも適用できる。この方法は以下のステップを備える:
i) ユニットDを含むマイクロチャンネル構造を含んだマイクロ流体部を提供するステップ;
ii) 毛管弁の最上流に隣接した液体分別部分(=弁1、弁1における正面メニスカス)を提供するステップ;
iii) 駆動力を増加することにより、また、恐らくはメニスカスが弁1を通過した後に駆動力を低減することで、次の毛管弁(弁2)でメニスカスを停止させることにより、弁1にかけて分別部分またはこれの一部(正面メニスカス)を移動させるステップ;
iv) 駆動力を増加することにより、また、恐らくはメニスカスが弁2を通過した後に駆動力を低減することで、次の毛管弁(弁3)(設けられている場合)でメニスカスを停止させることにより、弁2にかけてメニスカスを移動させるステップ;
v) メニスカスがマイクロ管Iの全ての毛管弁を通過するまでステップ(iii)、(iv)を繰り返すステップ;
vi) メニスカスをマイクロ管Iの出口端部を通って移動させるステップ。
またこの方法では、背面メニスカスが、ユニットB、Cの方法態様について説明したとおりに配置される。
マイクロ管(自己吸引型)の親水性により、メニスカスがそれぞれの毛管弁を通過した後に駆動力が低減される。即ち、弁どうしの間の毛管搬送(通過)に部分的または全体的に依存することができる。
好ましい変形例では、装置は、これの回転によって得た遠心力を使用するように適合されている。駆動力を増加させることは回転の増加を意味する。本明細書で説明しているユニットDを他の任意のユニットに組み込んだ変形例では、上述の方法を、これらユニットの方法に適合することが可能である。
本明細書の他のユニットについての部分で説明しているように、マイクロ管I(17)は最大で2つの毛管弁(25、24)を備えており、このうち最も上流にあるもの(25)が毛管非フィンガ弁で、入口端部(16)に配置されていることが好ましく、次の弁(24)は毛管フィンガ弁であることが好ましい。
好ましい変形例では、マイクロ管I(17)の入口端部(16)が、マイクロ管Iと搬送経路の間の交差部分を画定しており、この搬送経路内では、毛管弁の効率を低下させる可能性のある材料を含有し、第1毛管弁の下流に位置している液体が搬送され、マイクロ管の入口端部をバイパスすることで経路の下流部分へ流れられるようになる。これらの下流部分は、マイクロ管I内に分岐している経路の下流部分とは一致しない。これについてはユニットA〜Eの変形例についての説明を参照できる。これらの説明では、恐らく設けられている上流マイクロキャビティ(4)が下方部分(4b)を有し、この下方部分(4b)が、例えば目詰まりや吸収によって毛管弁に害を及ぼす可能性のある材料を搬送する搬送経路の下流部分に関連している。害を及ぼす材料の典型的なものは、本発明による問題解決の部分と、特定のユニットの部分において説明されている。
ユニットE 一般に微粒子材料を含有した位相から一般に液***相である上方位相を分離するユニット
このユニットは以下を備えている:
d) 液体入口I(5)と液体出口I(6)を設けた分離マイクロキャビティ(4)。液体入口I(5)は液体出口I(6)よりも高い位置にある。
e) 液体出口I(6)に直接接続した入口端部(16)と、これ(および液体出口I)よりも低い位置にある出口端部(18)とを有する液体搬送マイクロ管I(17)。
分離マイクロキャビティはユニットA内の上流マイクロキャビティに関連している。液体出口I(6)は、分離マイクロキャビティ(4)の最下部分(8)の高さと頂部(7)(最上部分)の高さの間の中間に配置されており、マイクロキャビティ(4)の下方部分(4b)と上方部分(4a)を画定している。
分離マイクロキャビティ(4)は所定の液体容量を保持することができ、これにより、内部に上方液位Iが画定される。この上方液位はマイクロキャビティの最上部分(7)の高さと等しいかこれよりも低く、また、液体出口I(6)の高さよりも高い。
このユニットが一部をなすマイクロチャンネル構造を含んだマイクロ流体装置は、回転軸周囲で回転することで、高密度の材料と軽量の材料を含有した液体を上方位相と下方位相に分離し、液体出口I(6)とマイクロ管I(17)を介してこの上方位相をマイクロチャンネル構造の下方部分へ排出するように設計されている。下流部分への排出には、回転によって作られた遠心力、および/または回転中にマイクロチャンネル構造内に蓄積した静水圧、および/または毛管力を利用する。例えば動電力といったこれ以外の力を、上で挙げたばかりの力の1つ以上と組み合わせて使用することも可能である。これについてはさらに「マイクロ流体装置の概要」を参照できる。
このユニットの特徴特性は以下のとおりである。
a) マイクロ管I(17)は弁I(24)、好ましくは毛管弁Iに関連している。
b) 液体出口I(6)を通る流れの方向は上方に向いている。および/または、
c) 液体出口I(6)は、分離マイクロキャビティ(4)の内壁の下方向きの屈曲部内に配置されている。および/または
d) マイクロ管I(17)の入口端部(16)と隣り合っているマイクロ管部分は上方に向いている。
弁I(24)はマイクロ管Iの流入または出口端部(16または18)内部、またはこの位置に配置でき、現在のところ、殆どの変形例で、ユニットCで説明したタイプのフィンガ弁が好ましいと見られている。多くの変形例において、マイクロ管Iの断面寸法は、例えば≧2、≧5、≧10といった因数≧1をもって、弁Iの場合下流よりも上流において大きい。これは、弁Iがフィンガ弁であり、および/または、使用時にマイクロ管内に液体駆動高さ/プラグの産物が形成される場合には特に当てはまる。これについてはユニットA〜Cを参照できる。
マイクロ管I(17)は、入口端部(16)(液体出口I(6))、またはマイクロ管の内部のいずれかに配置されていることが好ましい上方先端(22)を典型的に有する(上方先端=上向きの肘)。この上方先端(22)は、分離マイクロキャビティ(4)の液体出口I(6)と同じ高さにあってよく、この場合、好ましい変形例ではマイクロ管Iは第1の短い水平区間を設け、次に、出口端部(18)へ下方に向かう下向き区間を設けている。あるいは、上方先端(22)は液体出口I(6)よりも上に位置していてよく、例えば分離マイクロキャビティ(4)の上方液位Iより上、さらには分離マイクロキャビティ(4)の頂部(7)よりも上にあってもよい。これら後者の変形例では、上方先端(22)は、上向き区間(23a)から開始し、区間どうしの間の継手部分が上方先端(22)を画定している下向き区間(23b)へと続くマイクロ管I(17)の変形例に含まれる。このタイプの上方先端では、上向き区間と下向き区間の間に水平区間を備えていてもよい。この段落で説明した変形例では、弁I(24)は上方先端(22)、また可能であればこれの上流(即ち、上流区間(23a)内)、また上方液位Iの上下、例えば、入口端部(16)と上方先端(22)の間の高さの25%以上の位置に配置されている。上流区間(23a)内における弁の好ましい相対位置はこれよりもさらに高い、例えば入口端部(16)と上方先端(22)の間の高さの約50%以上または75%以上であることが好ましい。
最も好ましい実施形態のうちの1つでは、弁I(24)は上向き区間(23a)内の、上方液位Iと上方先端(22)の高さよりも下の位置に配置されている。マイクロキャビティ(4)を所定の液体容量で充填することで、背面メニスカスが上方液位Iに配置され、正面メニスカスがマイクロ管(17)内の第1弁(これは例えば、本明細書中で説明したこれ以外の弁が存在していない場合には弁I(24))に配置される。これに続く装置の回転によって、背面メニスカスと正面メニスカスが、弁I(24)よりも上の同じ高さに平衡維持される。回転毛管力を遅速化させると、正面メニスカスが上方先端(22)へ移動し、その後、高速度を再開すると、分離マイクロキャビティ(4)の上方部分(4a)の内容物が液体出口I(6)の高さにまで迅速に排出されて空になる。ユニットAでは、正面メニスカスが下方へ移動して連続した液体プラグが維持される場合には、上方部分を空にしている最中に回転速度を低減できる。これには、分離マイクロキャビティ(4)とマイクロ管I(17)の寸法、形状、内部容量などが正確に相互適合していることが好ましいことが含まれる。これについては、ユニットA〜Cの説明と、他の相対位置が挙げられている関連した方法態様も参照できる。
弁I(24)はまた、上方先端の下流に配置してもよい。
また、弁I(24)が毛管フィンガ弁、あるいは目詰まりし易いか、使用の液体によって害を受けやすいタイプの弁である場合には特に、マイクロ管I(17)は 弁I(24)の上流に配置された弁(25)を追加で含んでいてもよい。この追加の弁は、マイクロ管I(17)の入口端部(16)に配置され、使用の液体による害を受け難い弁として選択されることが好ましい。この変形例はまた、マイクロ管I(17)が下向き屈曲部や、弁I(24)の上流の位置において微粒子材料および液体の収集を促進する他の形状を含んでいる場合にも有効である。
マイクロ管Iの別形状と、これの内部における弁の位置とについてはユニットA〜Dを参照できる。
ユニット内の毛管弁、例えば弁I(24)は、一般に、この分野で周知の原理に従ったユニットの疎水性流れ経路内における化学的および/または幾何学的な内面特徴変化に基づく。この変化は、マイクロ管の断面寸法内における急激な増加(横方向への変化)、および/または、マイクロ管の内面の非濡れ性の急激な増加であってよく、いずれの場合も変化は流れの方向に起こる。またこの変化は一般に局所的(破壊)であり、例えば、親水性である流れ経路における非濡れ性/疎水性の表面の破壊である。非濡れ性の内面は表面を粗くする、および/またはフッ化炭化水素基を露出させることができる。これについてはさらに、背景技術、マイクロ流体装置の概略、これらのタイトルの下で参照した刊行物を参照できる。
液体出口I(6)から排出され始めた液体の流れは、液体出口I(6)における遠心力に関連して様々な方向に向かう。この流れの方向は、(a)上向き/内方成分(内方半径成分)を備える、または(b)本質的に接線方向(水平方向)にあってもよい。したがって、液体出口I(6)における遠心力の方向に対する流れの方向は、代替形(a)では少なくとも部分的に遠心力に対向する方向、代替形(b)では遠心力と本質的に直交する方向であってもよい。これは、液体出口Iにおける遠心力の方向に対する角度(α)として表され、代替形(a)では例えば95°≦α≦265°のように、90°≦α≦270°であってよく(対抗)、また、代替形(b)では例えば90°≦α≦95°のように90°≦α≦100°であってよく、および/または、265°≦α≦270°のように、260°≦α≦270°(直交)であってもよい。
液体出口I(6)における遠心力と液体出口I(6)周囲の内壁との間の角度(α’)は、代替形(a)では、例えば−90°≦α’≦−5および/または5°≦α’≦90°のように、−90°≦α’≦0°および/または0°≦α’≦90°であってよく、代替形(b)では、例えば−5°≦α’≦5°のように−10°≦α’≦10°であってよく、または特にα’=0°であってもよい。代替形(b)における内壁の方向および/または関連する開口部の方向は、本質的に遠心力の方向と一致する。
マイクロ管I(17)の、分離マイクロキャビティ(4)の液体出口I(6)と隣り合っている部分は、この液体出口内における主な流れ方向の中から選択した方向と対抗する方向を有することが好ましいが、これら2つの流れは同じ方向でなくてもよい。
上のユニットAで説明したように、液体出口I(6)は、分離マイクロキャビティ(4)を下方部分(4b)と上方部分(4a)に分離する。典型的なケースでは、下方部分(4b)は、分離マイクロキャビティ(4)の総容量の≧10%、例えば≧25%、≧50%、≧70%、≧80%を構成する。これら部分の正確な相対容量は、装置回転によりこれら部分が形成された後に得られた位相の相対容量によって決定される。多くの場合、下方部分(4b)が少なくとも下方位相と同じ位相を有するべきであることが重要である。そのため、液体出口I(6)から排出される位相の下方面は、液位をこの下方面と液体出口I(6)の間に維持することで、この出口よりも低い位置になければならず、≧10μm、≧50μm、≧100μm、≧200μmとなる。
分離マイクロキャビティ(4)は、入口(5)および/または出口(6)の高さ、またはこの入口および出口自体に向かって先細りしていてもよい。先細りとは、対象の出口/入口における少なくとも1つ、2つまたはこれ以上の内壁が、先細り部を通る主な流れの方向と共に、または、回転軸から対象の出口へ向かう直線(半径)と共に鋭角(β<90°)を形成することを意味する。この角度(β)は、好ましくは10〜60°の間隔内、より好ましくは25〜35°といった20〜40°の間隔内にあり、また、約30°を選択することが好ましい。これらの間隔は純粋な通気出口にも適用できる。先細りは、液体出口と純粋な通気出口に関連して、マイクロキャビティを液体で充填する最中に気泡の形成を阻止する。
分離マイクロキャビティ(4)は液体出口(6)の高さにおいて狭窄していてもよい。この狭窄は、先の段落で説明した先細りによって画定できる。
狭窄および/または先細りとは、マイクロキャビティの、またはこれの上方および/下方部分の最大断面範囲が、対象の出口/入口の高さにおける断面範囲よりも、因数>1、例えば≧1.25、≧1.5、≧3.0、≧5.0をもって大きいことを意味する。
好ましい設計では、上流マイクロキャビティ内の断面範囲は、マイクロ管I(17)においてよりも液体出口I(6)の上流において、例えば因数≧1、例えば≧2、≧5、≧10をもってより大きい。
先細りと狭窄についてはユニットAでさらに詳細に説明している。
分離マイクロキャビティ(4)の下方部分(4b)は、この部分に入ってきた液体によって押し出された空気を排気するためだけに周囲の空気内に開口した1つ以上の出口(14)に連通している。装置表面に設けられた実際のこのタイプの排出用開口部(14)(通気排出ポート)は、好ましくは液体入口I(5)よりも上に配置されており、さらに、この排出用開口部に関連している、最初に液体を導入するために装置表面に設けられた実際の流入開口部(9)(液体流流入ポート)よりも上に配置されている。装置表面に設けた関連する通気排出開口部(14)が上流マイクロキャビティ(4)の液体入口(4)よりも低い位置にある場合には、上記タイプの出口(1つ以上)に関連して毛管停止機能(15a)(下流端部)を設けることができる。これによって、分離マイクロキャビティ(4)は、U字型または下向きの屈曲マイクロキャビティを形成できるようになる。マイクロキャビティの下流部分(4b)に複数の通気排出開口部(14)がある場合には、この部分(4b)を2つまたはこれ以上のフィンガに分割できる(フィンガマイクロキャビティ)。
液体入口I(5)の高さに例えば溢出開口部(10)を設けている場合には、上流マイクロキャビティ(4)の上方部分(4b)を容量測定マイクロキャビティとして使用できる。これについては以下を参照できる。この測定は、液体出口I(5)よりも下に、説明したタイプの通気排出機能(14)に関連した毛管停止機能(15a)を設けている場合には、精密度が増すようである。毛管停止機能(15a)は、ユニットCで説明したフィンガ通気部であることが好ましい。これについてのさらなる説明はユニットAを参照できる。
下方部分(4b)には、上方部分が液体出口I(図示せず)を介して空にされた後に、下方部分から材料を排出するための液体出口I’を有する。このケースでは、液体出口I’は液体出口Iよりも下にある。
分離マイクロキャビティ(4)の上方部分(4b)は容量画定ユニットの一部であってもよい。この容量画定ユニットは、例えば、ユニットAの上流および下流マイクロキャビティについて略述した、あるいは、国際公開公報第02074438号、国際公開公報第03018198号(両方共ジャイロスAB)で説明されているタイプのものであってもよい。これは、簡潔には、液体入口I(5)が、これと同じ高さに溢出開口部(10)を設けた流入マイクロ管I(8a)に接続していることを意味する。溢出開口部(10)は下方に向いた溢出マイクロ管(11)に接続しており、この溢出マイクロ管(11)は、流入マイクロ管から追加され余分となった液体を、装置を適切に回転させることで選択的に廃棄することができる。
また上方部分(4b)は、ユニットAで示した1つ以上の追加の液体入口を含んでいてもよい。
マイクロ管I(17)の出口端部(18)は、ユニットAで示したタイプおよび機能の下流マイクロキャビティ(20)に直接接続することができる。
液体入口、出口、通気部、弁などと、これらの位置とを含む、マイクロ管I(17)と分離マイクロキャビティ(4)の相対寸法を、ユニットAで略述したように、マイクロ管I内に駆動プラグ高さを作成するように好ましく適合することができる。
ユニットEの本発明による態様はマイクロ流体方法をさらに備えており、この方法は、より高密度、および低密度の材料を含有した液体の分別部分を、低密度の上方位相と高密度の下方位相に遠心分留し、その後、分離の実行中に、上方搬送の少なくとも一部を同じマイクロチャンネル構造の下流部分へ搬送する。この方法は原則的にユニットAで説明した方法の変形例であり、十分に回転させることで、分離後には原則的に下方位相のみに見られるようになる材料でマイクロ管Iを汚染することなく、上流マイクロキャビティ内の液体を高密度の下方位相と低密度の上方位相に遠心分留できるようにする。ユニットDのこの方法態様は、下流へ搬送された上方分別部分を、例えば希釈のための混合、別の分別部分を含有した反応物との混合によりさらに処理するステップと、酵素検定プロトコル、親和性検定プロトコルなどのような検定プロトコルに含まれる生物反応を実行するステップとを含んでいる。これらの検定プロトコルには、異酵素検定プロトコル、サンドイッチ検定のような同種非競合検定プロトコル、異種競合検定プロトコルなど、また関連する同種反応および検定プロトコルが関係していてもよい。これらの検定プロトコルを実行することで、サンプル中の特徴付けされていない実体の特徴付け、例えば分析対象物質の総量の量的または質的決定を行うことができる。
F. 検出ユニット
ユニットFは、検出マイクロキャビティ(49)が内蔵されたマイクロチャンネル構造の一部である。検出マイクロキャビティの上流方向には、液体(35)を検出マイクロキャビティ(49)へ搬送するための流入マイクロ管(搬送マイクロ管)が取り付けられている。検出マイクロキャビティは、検出マイクロキャビティ(49)の上流にある検出マイクロキャビティ内または反応マイクロキャビティ(20)内で起こった反応結果の検出に使用される。マイクロキャビティ間での、およびこれを介した液体の搬送には遠心力を使用している。この特徴特性では、検出マイクロキャビティ(49)は検出マイクロ管を備えており、検出マイクロ管は入口部分(36)、出口部分(32)、さらにこれらの間の上向きまたは下向き蛇行部(39)を設けている。
図4に蛇行マイクロ管(39)を示す。蛇行マイクロ管は複数の連続リターン(r1、r2、r3、r4、r5、r6、r7、r8...)を備えており、さらに、蛇行部分に沿って隣接した2つの連続リターン(r1、r2;r2、r3;r3、r4;r4、r5...)の間に中間区間(r1−2、r2−3、r3−4、r4−5、r5−6、r6−7、r7−8)を備えている。リターンと中間区間の縦位置は蛇行部分の縦方向(蛇行部分の主流方向)に向かって増加し、一方、リターンの横位置は緯度方向中心周囲で交互に配置されており、これは2つまたはこれ以上の連続リターンを備えた蛇行部の全体または一部において共通している。2つおきの中間区間内における流れ方向(=区間の方向)(r1−2、r3−4、r5−6、r7−8、...またはr2−3、r4−5、r6−7、r8−9...)は左方向または右方向のいずれかであり、一方、連続した2つの中間区間の各対(r1−2、r2−3;r2−3、r3−4;r3−4、r4−5;...)では、第1区間内における流れの方向は左方向または右方向であり、第2区間内における流れの方向はこれと反対(中間区間の交互の横方向)である。右左は蛇行部の主方向に対するものである。
遠心力ベースのシステムにおいて、下向きおよび上向きの蛇行部とは、蛇行部を通る流れの主方向が、遠心力に向かう成分または遠心力に沿った成分のそれぞれを含んでいることを意味する。換言すれば、第1リターンは下向き蛇行部の最終リターンよりも高い位置にあり、上向き蛇行部の場合はこの反対となる。好ましいケースでは、下向きおよび上向き蛇行部は垂直であってよく、これは、蛇行部の主方向(縦方向)が遠心力の方向と一致することを意味する。上向きの垂直蛇行部を図示した図4を参照できる。
優先権日付において、典型的な蛇行部は、上向き蛇行部の場合には145°≦γ≦225°の間隔にある角度γを遠心力と共に形成し、下向きの蛇行の場合には−45°≦γ≦45°の間隔にある角度γを形成する主流方向を設けている。垂直上向き蛇行部と垂直下向き蛇行部(γはそれぞれ180°、0°)に関連し、主に上向き蛇行部が好ましいが、これは上向き蛇行部が小型のマイクロチャンネル構造を容易に製造し易いためである。これについては図2、図4を比較できる。
好ましい変形例では、蛇行部は2つ、3つ、4つ、5つまたはこれ以上のリターンを備えている。リターンの上限は異なっていてもよいが、典型的には≦50、例えば≦25または≦10である。
革新的な蛇行部の典型的な変形例では、それぞれの中間区間は伸張部を含み、この伸張部は別の区間の対応する伸張部と平行している。好ましい変形例ではこの平行関係は2つの区間ごとに生じており、さらに、図4に示すように各区間に平行関係が生じることが絶対的に好ましい。
上向き方向の蛇行部では、連続リターン(r1、r2、r3、r4、r5、r6、r7、r8...)の2つ毎のリターン(r1、r3、r5、r7、...またはr2、r4、r6、r8...)、例えば各連続リターン(r1、r2、r3、r4、r5、r6、r7、r8...)の高さ位置(=縦位置)は、流れ方向に従って増加している。下向き方向の蛇行部では、高さ位置は、リターンの対応する組み合わせの流れ方向に従って減少している。これらのうち最も単純な変形例では、蛇行部に沿った増加/減少は、連続リターンの任意の対(r1、r2;r2、r3;r3、r4;r4、r5...)における第1リターンと第2リターンの間、あるいは、連続リターンの任意の3つ組(r1、r2、r3;r2、r3、r4;r3、r4、r5...)における第1リターンと第3リターンの間で一定である。
検出マイクロキャビティ(49)は、2つまたはこれ以上の直列結合した同形状または異なる形状の、2つまたはこれ以上の蛇行部(図示せず)であってもよい。したがって、検出マイクロ管は3つ、4つまたはこれ以上の蛇行部を備えていてよく、この場合、これら蛇行部の上流蛇行部の下流端部は、これに最も近い下流蛇行部の上流端部と液体連通した状態にある。この液体連通は、結合マイクロ管部分を介している。隣り合った2つの蛇行部の縦方向は、例えば一方は下向きで他方は上向きというように異なっているか、あるいはこの反対であってもよい。このタイプの検出マイクロキャビティの場合、1つ、2つまたはこれ以上、あるいは全ての追加の蛇行部は典型的に下向きまたは上向きである。
検出マイクロキャビティ(49)は、反応結果を表す信号を検出できるセンサ(図示せず)と関連しているか、あるいは関連することが可能である。このセンサは、例えば蛍光法や化学発光法(生化学発光法、熱量測定法、比濁法、吸光度、その他を含む)のような分光法、熱量測定法、伝導測定法その他に基づいていてもよい。一般に、利用する感知原理は、検出マイクロ管の内壁と検出マイクロキャビティにおける装置外面との間の材料と適合する。これは、例えば、検出マイクロキャビティに関連した検出器(センサ)が信号を検出ために、透明または半透明な材料で構成することで得られる。したがって、この材料は、熱、および/またはUV範囲、IR範囲、および/または可視範囲内の放射線のために透明または半透明であってもよい。また、多くの場合、材料はプラスチック材料であってもよい。
検出マイクロキャビティ(49)の上流、また、検出マイクロキャブティ(49)と反応マイクロキャビティ(20)の間の、例えば検出マイクロキャビティ内の測定によって反応が監視される部分に、正確な処理を行い、および/または検出マイクロキャビティに入る前の液体を搬送するための様々な機能を設けることができる。したがって、a)検出マイクロキャビティに危害を及ぼす可能性のある液体分別部分が検出マイクロキャビティを通過することを防止するルーティング機能、b)液体から妨害物質を中和させる試薬を備えた反応室、b)停止/流動弁、c)反応マイクロキャビティを通過する液体の流れを妨げる流れ規制機能であってもよい。こうした多様な機能はこの分野で周知の機能であり、また、本明細書中でも説明または参照している。革新的なユニットにおける停止/流動弁の主な機能と、流れ規制機能とは、反応物間の適切な反応、および/または、マイクロチャンネル構造の上流部分と検出マイクロキャビティの間の搬送を含む他の処置間の適切な反応を安定させるためのものである。好ましい弁は、毛管弁のような非閉鎖弁である。流れ規制機能には、反応マイクロキャビティ内に配置された多孔床、膜、その他が含まれる。さらに、反応マイクロキャビティの下流にある狭くおよび/または長いマイクロ管も十分な流れ規制として機能する。流れ規制機能の内面は、多孔床と類似の方法で、所望の反応物(1つ以上)内で使用する1つ以上の不動化した反応物に対して固体相として機能することができる。この所望の反応物には、例えば、規制マイクロ管または多孔床の内面、膜、プラグ、その他がある。上で参照したタイプの固体相は、反応マイクロキャビティ(20)の一部であることが好ましい。
毛管弁のような非閉鎖弁については、背景技術、マイクロ流体装置の概略、本明細書のこれらの部分で参照した刊行物の下で説明している。とりわけ、国際公開公報第02075312号(ジャイロスAB)、国際公開公報第03024598号(ジャイロスAB)には、様々な流れ規制手段または機能が挙げられている。
検出マイクロキャビティの上流にあるマイクロキャビティ(20)は、様々な幾何学的形状をしていてもよい。断面寸法が変化しない、あるいは拡大部分(マイクロキャビティ)を設けた非分岐型のマイクロ管であってもよい。これは混合マイクロキャビティ、反応マイクロキャビティ、その他であってよく、あるいは、希釈を含む、マイクロキャビティ内の同量または異なる容量の2種またはこれ以上の液体分別部分の混合を行うための1つ、2つまたはこれ以上の液体入口を含んでいてもよい。少なくとも1つの分別部分は、反応/検出マイクロキャビティ(20/49)内で起こる反応(1つ以上)に使用される1つ以上の反応物を含有している。上流において、マイクロキャビティ(20)の各液体入口は、入口ポートを備えた容量画定ユニットを、恐らくは入口配列内の1つ以上のマイクロ管用の容量画定ユニットを間に挟んで、液体入口配列に直接または間接的に結合している。例えば、国際公開公報第02074438号(ジャイロスAB)、国際公開公報第03018198号(ジャイロスAB)を参照できる。
ユニットFは、マイクロ流体装置のマイクロチャンネル構造に見られ、回転軸周囲で回転して遠心力を作り出す。この遠心力は、液体をマイクロチャンネル構造の上流部分から検出キャビティ内を通って移動させる際に補助となる。この搬送は、主に、回転よって作り出された遠心力、および/または、回転中にマイクロチャンネル構造内に蓄積した静水圧、および/または毛管力(自己吸引)によって起こる。これについてはマイクロ流体装置の概略を参照できる。
ユニットFの本発明による部分はさらに、検出マイクロキャビティ(49)内、および/または、同一のマイクロチャンネル構造(2)内の検出マイクロキャビティの上流にある反応マイクロキャビティ(20)内で生じた反応の結果を溶液内で検出する方法を備えている。この方法は、
a) ユニットFを装備したマイクロチャンネル構造を備えたマイクロ流体装置を提供するステップを備え、
b) 検出に必要な液体Iを検出マイクロキャビティ内へ搬送するステップをさらに備え、この搬送には、搬送に使用する遠心力を作り出すための装置の回転が含まれ、
c) 検出マイクロキャビティ内で上記結果を検出するステップをさらに備える。
好ましい変形例では、反応は処理プロトコルの一部であり、検出マイクロキャビティの蛇行部は、ステップ(iii)以前に液体IIを収容している。ステップ(iii)では、液体Iが液体IIに交換されるが、一般にこれらは相互に混合することはない。
マイクロ流体装置の概略
マイクロ流体装置は、1つ、2つまたはこれ以上のマイクロチャンネル構造を備えた装置であり、これの内部において、例えば分析対象物質、試薬、生成物、サンプル、緩衝剤および/またはその他を含む多様な反応物を含有した、μl範囲内、一般にはナノリットル(nl)範囲内の1つ以上の液体分別部分の処理を行う。各マイクロチャンネル構造は、マイクロ流体装置内で行われるべき実験を実行するのに必要な機能を全て備えている。μl範囲内の液体分別部分の容量は≦1000μlであり、例えば≦100μlまたは≦10μlであってよく、5000nlの上端を設けたnl範囲を含んでいる。この上端は、多くの場合、≦1000nlの容量、例えば≦500nl、≦100nlに関連している。nl範囲はピコリットル(pl)範囲を含む。マイクロチャンネル構造は、断面寸法が≦103μm、好ましくは≦5×102μm、例えば≦102μmである、1つ以上のキャビティおよび/またはキャビティを備えている。
そのため、マイクロチャンネル構造は、以下から選択した1つ、2つ、3つまたはこれ以上の機能部分を備えていてもよい:
a) 例えば1つ以上の入口ポート/入口開口部を、可能であれば容量測定マイクロキャビティと共に備えた入口配列、
b) 液体搬送用のマイクロ管、
c) 反応マイクロキャビティ/ユニット、
d) 例えば本明細書中の他の部分で説明したマイクロキャビティを備える混合ユニット、
e) 液体から微粒子物質を分離させるマイクロキャビティ用のユニット、
f) 例えば毛管電気泳動法、クロマトグラフィ、その他によって、サンプル中の溶解、分散/懸濁した成分を互いに分離させるユニット、
g) 検出マイクロキャビティ/ユニット、
h) 廃棄物用コンデュイット/マイクロキャビティ/ユニット、
i) 弁、
j) 周囲の空気内に開口した換気部、
k) 抗ウィッキング機能
l) 液体誘導機能、その他。
1つの機能部分は、以下のような2つまたはこれ以上の機能性を設けることができる:
1. 反応マイクロキャビティおよび検出マイクロキャビティが一致する。
2. 容量測定機能は1つ以上の弁機能、測定マイクロキャビティ、および/または抗ウィッキング機能を備えていてもよい。
3. 反応マイクロキャビティは、1つ以上の弁機能、および/または抗ウィッキング機能を備えていてもよい。
4. 非濡れ表面破壊に基づく受動弁機能(毛管弁)は抗ウィッキング機能などを備えていてもよい。
本明細書中で説明した上流および下流マイクロキャビティのようなマイクロキャビティは、反応マイクロキャビティ、分離マイクロキャビティ、容量マイクロキャビティ、混合マイクロキャビティ、また例えば、流通を制御する流れ規制手段に関連した流通マイクロキャビティ、あるいはこれ以外の、上で挙げた間隔内から選択した容量を有する保持液体マイクロキャビティなどを含む。マイクロチャンネル構造内で濃縮を実施する前の分析対象物質、希釈液、洗浄液を含有した液体サンプルにはこれよりも大きな容量、例えば≧5μl、≧10μlのように≧1μlであるが、しかし例えば≦100μl、≦50μl、≦25μlのように≦1000μlが考えられる。そのため、これらの範囲を満たすより大容量のマイクロキャビティは、マイクロチャンネル構造の上流部分に配置され、一般に容量測定マイクロキャビティ、分析対象物質を含有したサンプルから微粒子を除去(分離)する分離マイクロキャビティ、分析対象物質を含有したサンプルを希釈液で希釈したり、試薬と混合するための混合マイクロキャビティ、希釈液収容および/または測定マイクロキャビティ、洗浄液収容および/または測定マイクロキャビティ、その他となる。試薬を含有したサンプルまたは液体分別部分の保持を目的としたマイクロキャビティは一般に容量が小さく、≦5μl、≦1μl、0.5μl、0.1μl、即ちnl範囲内である。
革新的なユニットの部分、背景技術、本明細書のこの部分、国際公開公報第03018198号(ジャイロスAB)(保持マイクロキャビティ)などにおいて説明したマイクロキャビティは、原則的には、マイクロ管I(17)の入口端部(16)または出口端部(18)と直接または間接的に流体連通した革新的なマイクロ流体装置のマイクロチャンネル構造/ユニット内に設けられている。
以下の出願では、ジャイロスAB/アメルシャム・ファーマシア・バイオテックABによってマイクロ流体装置内の多種の機能ユニットが説明されている:国際公開公報第9955827号、国際公開公報第9958245号、国際公開公報第02074438号、国際公開公報第0275312号、国際公開公報第03018198号、国際公開公報第03024598号など。さらに、以下の出願では、ティーカン/ガメラバイオサイエンスによって同様の機能ユニットが説明されている:国際公開公報第0187487号、国際公開公報第0187486号、国際公開公報第0079285号、国際公開公報第0078455号、国際公開公報第0069560号、国際公開公報第9807019号、国際公開公報第9853311号。
入口配列は、入口ポートと少なくとも1つの容量測定マイクロキャビティを備えている。マイクロチャンネル構造1つにつき別個の入口配列を1つ設けてもよい。また、装置の全てまたはサブセットのマイクロチャンネル構造に共通した入口配列を設けることもできる。この後者の配列は、共通の入口ポートと分配マニホルドを備えており、分配マニホルドは、サブセットの各マイクロチャンネル構造1つに付き容量測定マイクロキャビティを1つ設けている。これについては、例えば国際公開公報第02074438号(ジャイロスAB)、国際公開公報第03018198号(ジャイロスAB)、国際公開公報第03083108号(ジャイロスAB)、国際公開公報第2005094976号(ジャイロスAB)などを参照できる。容量測定マイクロキャビティは、例えば混合マイクロキャビティ、反応マイクロキャビティ、分離マイクロキャビティなどのような、関連するマイクロチャンネル構造の下流部分と連通している。共通の入口配列および/または共通の分配マニホルドによって結合されたマイクロチャンネル構造は、装置のマイクロチャンネル構造のサブセット/サブグループを画定する。
いくつかの入口配列は、容量画定能力を設けず、入口ポートから分注された液体分別部分を初期収容するためのみに使用されるマイクロキャビティを含んでいる。
上述した入口配列内のマイクロキャビティはU字型であり、また、回転軸から外方に向き、弁機能、一般には毛管弁に関連した液体出口を装備した下方部分を設けていてもよい。液体出口は、分注された分別部分を、入口配列が関連しているマイクロチャンネル構造の下流部分へ搬送するために使用できる。これについては例えば国際公開公報第0146465号(ジャイロスAB)を参照できる。
マイクロキャビティ、例えば容量測定マイクロキャビティ、混合マイクロキャビティ、反応マイクロキャビティなどは、対象のマイクロキャビティから排出された液体からの流れの逸脱を制御する弁または流れ規制手段を有する。弁はこの位置においては受動であり、例えば、親水性表面と疎水性表面の間の境界(疎水性表面破壊)(国際公開公報第99058245号(アメルシャム・ファーマシア・バイオテックAB(Amersham Pharmacia Biotech AB)))のような、出口端部における化学表面特徴、および/または幾何学的/物理的表面特徴(国際公開公報第98007019号(ガメラ))の変化を利用する。疎水性表面破壊に基づいた好ましい弁については、国際公開公報第02074438号(ジャイロスAB)、国際公開公報第04103890号(ジャイロスAB)、国際公開公報第04103891号(ジャイロスAB)も参照できる。流れ規制手段は多孔床、膜、その他の形態、あるいは、比較的長く狭いマイクロ管(規制マイクロ管)の形態であってもよい。これについては例えば国際公開公報第02075312号(ジャイロスAB)、国際公開公報第03024598号を参照できる。
また、国際公開公報第02075775号(ジャイロスAB)、国際公開公報第02075776号(ジャイロスAB)も参照できる。
マイクロ流体装置はまた、異なるマイクロチャンネル構造を接続する、上記以外の共通のマイクロチャンネル/マイクロ管を備えていてもよい。入口ポート、出口ポート、通気部、その他といった様々な部品を含んだ共通のチャンネル/コンデュイットは、これらが共通する各機械構造の一部として考慮される。
各マイクロチャンネル構造は、液体用の少なくとも1つの入口開口部と、過剰な空気、および恐らくはさらに過剰な液体を排出するための少なくとも1つの出口開口部を設けている。
マイクロチャンネル構造/装置の数は一般に≧10、例えば≧25、≧90、≧180、≧270、≧360である。装置上のマイクロ機械構造の少なくとも1つ、好ましくは2つまたはこれ以上、例えば全てまたはサブセットは、本明細書中の少なくとも1つの革新的ユニットを含んでいる。
マイクロ機械構造のサブグループは、例えば4〜25個のマイクロチャンネル構造に共通する共通入口配列のような共通の機能によって結合したマイクロチャンネル構造を備えている。こうしたサブグループの全てのマイクロチャンネル構造は、本質的に、本発明による(ユニットA〜Fより選択された)同一のユニット(1つ以上)を含んでいる。こうしたサブグループ内のマイクロチャンネル構造は一般に機能的に同等である。即ち、これらは、少なくとも発生する革新的ユニット(1つ以上)に関連して時間的に平行な方法で使用される。
異なる原理を利用して、マイクロ流体装置/マイクロチャンネル構造内の、上述した1つ以上の機能部分の間で液体を搬送することもできる。
例えば以降の段落で説明するようにディスクを回転させて発生した惰性力を利用することができる。これ以外の有効な力には動電力、また、毛管力や静水圧などのような非動電力がある。
マイクロ流体装置は一般にディスク形状をしている。好ましい形状は、ディスク平面に対して垂直、またはこれと一致する対称的(Cn)な軸を設けている。前者のケースでは、nは整数≧2、3、4、5であり、好ましくは∞(C∞)である。後者のケースでは、nは2である。換言すれば、ディスクは四角形や、これ以外の多角形といった矩形であってもよい。また、ディスクは円形であってもよい。適切なディスク形状が選択されると、次に、例えば、ディスク平面に対して垂直または平行な回転軸の周囲で装置を回転させて発生させた遠心力を用いて、液体の流れを駆動する。この内容で用いている平行には、回転軸がディスク平面と一致することも含まれる。優先日において最も明白である変形例では、回転軸が上述の対称軸と一致する。国際公開公報第04050247号(ジャイロスAB)には、回転軸がディスク平面に対して垂直でない好ましい変形例が挙げられている。
好ましい遠心力ベースの変形例では、各マイクロチャンネル構造は、回転軸に関連して下流区間よりも短い半径距離にある上流区間を備えている。この回転軸周囲で装置を回転させることで、液体が、例えばユニットA〜Eのマイクロ管Iを介して上流区間から下流区間へ、あるいはユニットFの蛇行部内へ搬送される。
好ましい装置は、従来のCDと類似したサイズと形状のディスク状であり、例えばサイズは、従来のCD半径(約12cm)の10〜300%であるCD半径に関連している。ディスクの上方および/下方側部は平坦または非平坦であってもよい。
マイクロチャンネル構造、またはこれの部品、例えばユニットA〜Eのマイクロ管IやユニットFの蛇行部は、ユニットA〜Eのマイクロ管Iの少なくとも一部、またはユニットFの蛇行部の少なくとも一部を画定する露出したマイクロ構造を呈した本質的に平坦な基板表面と、これとは別の、マイクロ管Iの残りの部分や蛇行部の残りの部分を呈した本質的に平坦な基板表面とによって製造されることが好ましい。被覆された形態のマイクロ管またはこれの一部、あるいは被覆された形態の蛇行部分またはこれの一部は、2つの基板表面を並列させて所望の構造を画定することで得られる。これについては例えば、国際公開公報第91016966号(ファーマシア・バイオテックAB(Pharmacia Biotech AB))、国際公開公報第01054810号(ジャイロスAB)、国際公開公報第4050247号(ジャイロスAB)、国際公開公報第03055790号(ジャイロスAB)などを比較できる。両基板とも、例えばプラスチック重合体材料のようなプラスチック材料で製造することが好ましい。
内面のファウリング性および疎水性は、用途に応じてバランスを保つ必要がある。これについては、例えば国際公開公報第0147637号(ジャイロスAB)、国際公開公報第03086960号(ジャイロスAB)を参照できる。
内壁に関連した「濡れ性」、「非濡れ性」という用語は、内壁の内面に≦90°または≧90°の水接触角度をそれぞれ有したものを考慮する。異なる機能部分間での液体の効率的な搬送を促進するために、それぞれの部分の内面が、好ましくは接触角≦60°、例えば≦50°、≦40°、≦30°、≦20°を伴った濡れ性である必要がある。これらの濡れ性値は、マイクロ管少なくとも1つ、2つ、3つ、4つの内壁に適用される。例えば本質的に非濡れ性であるために、1つ以上の内壁の水接触角度がこれよりも大きい場合には、別の内壁(1つ以上)のこれよりも小さい水接触角度によって補正できる。特に入口配列における濡れ性は、内面が乾燥した状態において液体がキャビティ内に入り始めると、水性液体が毛管作用(自己吸引)によって目的のマイクロキャビティ/マイクロ管を充填できるように適合されるべきである。マイクロチャンネル構造内の親水性の内面は、親水性の内面における1つ以上の局所的な疎水性表面破壊を、例えば受動弁、抗ウィッキング機能、周囲の空気に開口した通気部としての通気限定機能、その他の一部として備えていてもよい。好ましい疎水性表面破壊については、国際公開公報第99058245号(ジャイロスAB)、国際公開公報第02074438号(ジャイロスAB)、国際公開公報第04103890号(ジャイロスAB)、国際公開公報第04103891号(ジャイロスAB)を参照できる。
革新的なマイクロ流体装置、マイクロチャンネル構造およびユニットで処理した液体は一般に水性であり、1つ2つまたはこれ以上の水混和性または水非混和性の有機溶液を含有していてもよい水混和性溶液と混合した水を含有している。上記有機溶液には、低級アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、その他、エチレングリコール、グリコール、その他の液体ポリアルコールなど)、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アクリロニトリル、ダイオキシン、さらに、ジオキサンやジメトキシエチレンのような低級アクリルポリエステルなどが含まれる。プラスチック材料を被処理液体混合する際には、装置が被処理液体によって溶解、変形、あるいは破壊しないよう相当に注意する。
革新的なユニット、マイクロチャンネル構造、マイクロ流体装置は、生命科学を用いた検定、例えば免疫検定や核酸検定などのような受容体リガンド検定、酵素検定、細胞ベースの検定などに使用できる。こうしたタイプの検定の典型的な変形例が国際公開公報第9955827号、国際公開公報第0040750号、国際公開公報第02075312号、国際公開公報第03093802号、国際公開公報第2004083108号、国際公開公報第2004083109号、国際公開公報第2004106926号、国際公開公報第2006009506号、PCT/SE2005/001887(2006年12月12日付けのUS SN11「マイクロ流体検定およびマイクロ流体装置」に関連)、PCT/SE2006/000071、PCT/SE2006/000072など(全てジャイロスAB/Gyros Patent AB)に説明されている。これらの全体は参照により本明細書に組み込まれる。
実験部分
使用される装置
図面は、ユニットA〜Fの機能を全て備えたマイクロチャンネル構造を図示している。この構造は、全血からプラズマを収集するために使用されてきた。
図1に示す装置(1)の正常なサイズは、直径12cmの従来のCDと同じである。図1中のサイズから、マイクロチャンネル構造の各部分の幅は、直径が12cmであるということを念頭におけば算出することができる。各部分の奥行は概して100μmであるが、特定の位置ではこれよりも狭いこともあり得る(例えば、packed微粒子の床(列)(33)、弁I(24)内のマイクロチャンネル(42))の形態をした、固***相を保持するための二重奥行/バリア)。装置(1)は、27のマイクロチャンネル構造(2)を有する。この装置は、装置の中心(3)を通る回転軸の周囲で回転するようになっている。
この構造は、液体入口I(5)と液体出口I(6)を設けた上流マイクロキャビティI(4a+b)を備えている。液体入口I(5)は上流マイクロキャビティの頂部(7)にあり、液体出口I(6)は、上流マイクロキャビティの頂部(7)と底部(8)の間の中間位置にあり、上流マイクロキャビティを上方部分(4a)と下方部分(4b)に分割している。流入マイクロ管(8a)は、上流マイクロキャビティの頂部(7)における液体入口I(5)に接続している。流入マイクロ管(8a)は、上流マイクロキャビティ(4a+b)の頂部(7)の高さより上にある入口ポート(9)(=装置の表面に設けた開口部)から開始している。流入マイクロ管(8a)の、液体入口I(5)と同じ高さには、溢出開口部(10)が設けられている。溢出開口部(10)は、追加された余分な液体(溢出開口部よりも上に位置する液体)を溢出マイクロキャビティ(11a)内へ流下させる下向きの溢出マイクロ管(11)に接続している。溢出マイクロキャビティ(11a)は、装置(1)の表面に通気部(13)を設けている。上流マイクロキャビティ(4a+b)の下方/下流部分(4b)は、液体出口I(6)の高さよりも下において2つのU字型フィンガマイクロ導管(4b)に分割されている。各フィンガマイクロ管の下向き部分は、上方に屈曲(12)するまで狭く/先細り(角度β)している。各上向き部分(12)は、装置(1)表面の、液体入口I(5)の高さよりも上にあたる部分に設けた通気開口部(14)にて終端している。U字型で先細りしたフィンガマイクロ管の設計により、上流マイクロキャビティ(4a+b)の充填中における気泡の封じ込めが減少すると考えられる。非濡れ性表面範囲(15a)(例えば、フィンガ通気ユニットC)の形状をした弁/通気孔をフィンガマイクロ管内に配置することで、液体が装置(1)の表面に設けた通気開口部(13、14)から漏出する危険を最小化することができる。これらの弁/通気孔を液体出口I(6)の高さよりも下に配置すると、上流マイクロキャビティ(4a+b)の上方部分(4b)で実施される容量測定の制御度が高まる傾向にある。さらに、通気開口部(13、14)も入口ポート(9)と溢出開口部(10)液体入口I(5)よりも下に配置することができる。非濡れ性表面範囲(15b)(弁)も、これと類似の理由で、溢出マイクロ管(11)よりも下、例えば溢出マイクロキャビティ(11a)との接続部分に配置できる。
上流マイクロキャビティの液体出口I(6)はマイクロ管(17)の入口端部(16)に接続している。このマイクロ管は、入口端部(16)よりもずっと高い位置(液体出口I(6)の高さ)にある出口端部(18)にて終端している。図示の構造では、この出口端部(18)は、下流マイクロキャビティII(20)の液体流入機能(19)にて開始し、同じ下流マイクロキャビティII(20)の液体入口II(21)にて終端する流路が関係した分岐または交差の一部である。マイクロ管I(17)の入口端部(16)は、出口端部(18)よりも高い位置にあり、上方先端(22)を設けた上向き屈曲部を有する。マイクロ管I(17)の上向き区間(23a)内には、図3に示したタイプのフィンガ弁(ユニットC)であることが好ましい毛管弁(24)が設けられている。装置の製造中に、マイクロ管I(17)内、特にこれの上向き区間(23a)内で毛管弁I(24)の位置を変えると、突破に必要な回転速度を簡単に変更することができる。毛管弁I(24)の下流に毛管弁I’(25)をさらに追加することで(非濡れ性表面破壊として)、本明細書中で述べた利点が得られる。上流マイクロキャビティ(4a+b)の頂部(7)の高さよりも上に上方先端(22)を配置し、頂部(7)の高さよりも下に毛管弁I(24)を配置すると、本明細書中の他の部分で述べたように、低密度の材料から高密度の材料を分離させ、それぞれを下方および上方位相に分ける利点が得られる。
下流マイクロキャビティII(20)は、図示にあるように、液体入口II(21)の他にも多数の液体入口II’、II’’、II’’’(25a、26、27)を設けることができる。これらのいくつかは(25a、27)、溢出マイクロキャビティ(30、31)にて終端する溢出マイクロ管(28、29)を含んだ容量画定ユニットを設けていてもよい。下流マイクロキャビティの液体出口II(32)に関連し、毛管弁を設けるか、または図示の構造の場合には、マイクロキャビティ(20)からの材料の排出を制御する手段を設けることができる。そのため、マイクロキャビティ(20)の下方部分を狭窄するバリア(33)を設け、粒子をこのバリア(33)に対して充填床(34)として微粒子固***相の形態で収集することができる。
下流マイクロキャビティII(20)の下流には、本発明のユニットF用に画定されたとおりの、検出マイクロキャビティへ続く搬送マイクロ管(35)を設けていてもよい。即ち、検出マイクロキャビティは入口部分(36)、出口部分(37)、蛇行部を画定するマイクロ管(39)を備えている。図に示すように、蛇行部は垂直上向き方向(40)、即ち蛇行部の縦方向に向いていてよく、また、蛇行部内の中間流れ方向は、実際には、蛇行部内の液体を上流へ移動させるために付加した遠心力(41)とは完全に反対の方向に向かう。蛇行部は、多数の連続リターン(r1、r2、r3、r4、r5、r6、r7、r8...)を有する。隣接したリターンの各対(r1、r2;r2、r3;r3、r4;r4、r5...)内には中間区間(r1−2、r2−3、r3−4、r4−5、r5−6、r6−7、r7−8...)が存在し、好ましい変形例では、これは、例えば各区間毎(r1−2、r2−3、r3−4、r4−5...)のように2区間毎(r1−2、r3−4、...)に類似性を示す。
この装置は底部基板に蓋を取り付けて製造されており、この場合、マイクロチャンネル構造は射出成形によって複製されている(国際公開公報第01054810号(ジャイロスAB)。蓋を取り付ける前に、表面にプラズマ処理を施し(国際公開公報第0056808号(ジャイロスAB))、局所的に非濡れ性表面範囲を導入している(国際公開公報第99058245号、国際公開公報第04103891号(ジャイロスAB)。その後、内面を非イオン性の親水性ポリマーでコーティングしている(国際公開公報第01047637号(ジャイロスAB))。
変形例A
分離マイクロキャビティ(4a+b)(ユニットE)を含んだマイクロチャンネル構造(2)を使用して、全血を無細胞系プラズマに分離する。全血を入口ポート(9)から、構造内の、溢出開口部(10)よりも上の高さにまで充填する。分離後に、プラズマが、フィンガ弁(24)(ユニットA〜C)が内蔵されたマイクロ管I(17)を通って列(34)にまで搬送される。マイクロ管I(17)の内部では、非濡れ性表面(44)がフィンガ弁(24)のマイクロチャンネル(42)を完全に被覆している。分離マイクロキャビティ(4a+b)の充填中に、血液の正面メニスカスが弁I(24)の下流端部にて停止する。
血液を分離するには、次の回転シーケンスを用いる:(i)1000rpm、30秒間、(ii)1500rpm、180秒間、(iii)4000rpm、4秒間、(iv)2000rpm、10秒間。
ステップ(i)、(ii)はプラズマから赤血球と白血球を分離するために用いる。この場合、第1ステップはさらに、溢出マイクロ管(11)を作動させることで血液容量の画定を行う。ステップ(iii)は、マイクロ管I(17)内で、プラズマの無い細胞を毛管弁(24)を通って上方先端(22)、さらに下流マイクロキャビティ(反応マイクロキャビティ)(20)、列(34)へと搬送するために用い、最終ステップ(iv)は、上流マイクロキャビティ(4a+b)の上方部分(プラズマ室)(4b)を空にするために用いる。次に、細胞の無いプラズマをさらに処理するために列を通って回転させる。
変形例B
局所的な非濡れ性表面範囲(44b)を下方端部(45)にかけて、あるいはフィンガ/マイクロチャンネル(42)内に配置した場合、フィンガの上方端部(43)は完全に親水性のまま保たれ、液体の表面が弁の局所的な非濡れ性表面範囲を通過すると、毛管搬送され易くなる。この非濡れ性の位置決めにより、実際の(2相への)分離ステップの最中に、より高速の回転速度と重力が可能となるため、分離の効率性が向上する。例えば以下が可能になる:(i)2000rpm、10秒間、(ii)4000rpm、50秒間、(iii)9000rpm、15秒間、(iv)0rpm、15秒間、(v)2000rpm、10秒間。回転速度2000〜9000rpmを用いて、血液をプラズマ部分と細胞部分に分離する。回転速度9000rpmで、プラズマが弁(24)の親水性バリアを破壊する。しかし、プラズマは、回転速度がゼロに低減され、毛管力が排水チャンネル(マイクロ管I(17)の下流/下方区間)内に到着するまでは排水チャンネル内に入らない。その後、回転速度を2000rpmにまで上昇すると、排水チャンネルを満たしていた液体が駆動プラグを形成し、プラズマ室を空にする上で補助となる。
概説
本発明の特定の革新的態様は、添付の請求の範囲にてより詳細に定義されている。本発明とこれの利点について詳細に説明したが、添付の請求の範囲によって定義された本発明の精神および範囲から逸脱しない限り、様々な変更、代用、代替が可能であることが理解されるべきである。さらに、本願の範囲は、本明細書中で説明した処理、機械、製造、組成物、手段、方法、ステップの特定の実施形態に限定されるものではない。当業者が本発明の開示から容易に理解するように、ここで説明した関連の実施形態と実質的に同一の機能を実行できる、あるいは実質的に同一の結果を達成できる、既存の、または後に開発される処理、機械、製造、組成物、手段、方法、ステップを、本発明に従って利用することが可能である。したがって、添付の請求の範囲は、これの範囲内に処理、機械、製造、組成物、手段、方法、ステップを含むものとする。