JP4927281B2 - 共通翻訳開始配列を用いるポリペプチドの産生方法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明の分野
本発明はポリペプチドを産生するための方法に関する。本発明はまた、ポリペプチドをコードする核酸配列と作用可能に連結した共通翻訳開始配列を含んで成る核酸コンストラクト、ベクター、及び宿主細胞、並びに単離された共通翻訳開始配列に関する。
【0002】
関連技術の説明
真菌宿主細胞、特に糸状菌細胞、例えばアスペルギルス(Aspergillus)における、異種タンパク質の組換え体産生は、商業的に適した量の当該タンパク質を産生するのに更に望ましい担体を提供しうる。
【0003】
異種タンパク質の組換え体産生は、当該タンパク質をコードするDNAが、宿主細胞にとって適当な、制御される遺伝子から切り出されたプロモーターの調節下に据えられた発現カセットを構築することによって達成される。当該発現カセットは、通常プラスミドを介した形質転換によって宿主細胞に導入される。異種タンパク質の産生は、引き続いて、発現カセットに含まれるプロモーターが適切に機能するのに必要な誘導条件の下、形質転換した宿主細胞を培養することによって達成される。
【0004】
タンパク質の組換え体産生の改良は、通常宿主細胞におけるタンパク質の発現を調節するのに適当な新規制御配列の利用可能性を必要とする。
【0005】
Kozak, 1981, Nucleic Acids Research 9: 5233-5252、において、高等真核生物における翻訳の開始のための、次の「共通」配列が提示された。
AaAccAUG
「共通Kozak」と称される、この配列において、最も高度に保存されたヌクレオチドは、プリンであるアデニン(A)及びグアニン(G)であり、これを大文字で上文に示した。突然変異的な解析によって、これらの2つの位置が最も強力に開始に影響を持つことを確認された(Kozak, 1987,m Molecular Cel Biology 7:3438-3445)。Kozakはまた、共通Kozakの上流の配列の変化が、翻訳に影響を及ぼしうることを決定した(Kozak, 1986, Proceedings of the National Academy of Science USA 83: 2850-2854)。
【0006】
本発明の目的は、共通翻訳開始配列を用いる、真菌宿主細胞においてポリペプチドを産生するための改良方法を提供することである。
【0007】
本発明の要約
本発明は、ポリペプチドを産生するための方法であって、(a)当該ポリペプチドの産生を誘導する培地中で、当該ポリペプチドをコードする第1核酸配列と、これに作用可能に連結した、当該第1核酸配列とは異種の共通翻訳開始配列を含んで成る第2核酸配列を含んで成る真菌宿主細胞を培養し(ここで、共通翻訳開始配列の3’末端は、第1核酸配列の開始コドンのすぐ上流にあり、そして共通翻訳開始配列は、5’−NYCNNBCACC−3’(配列番号1)を含んで成り、ここで、Nはアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、及びチミン(T)から成る群から選択されるヌクレオチドであり;Yはシトシン(C)、又はチミン(T);そしてBはアデニン(A)、シトシン(C)、及びチミン(T)から成る群から選択されるヌクレオチド、である)、そして(b)培養液から当該ポリペプチドを単離すること、を含んで成る方法に関する。
【0008】
本発明はまた、単離した共通翻訳開始配列、並びにポリペプチドをコードする核酸配列と作用可能に連結した、1又は複数の共通翻訳開始配列を含んで成るコンストラクト、ベクター、及び真菌宿主細胞に関する。
【0009】
本発明の詳細な説明
本発明は、ポリペプチドを産生する方法であって、
(a)当該ポリペプチドの産生を誘導する培地中で、当該ポリペプチドをコードする第1核酸配列と、これに作用可能に連結した、当該第1核酸配列とは異種の共通翻訳開始配列を含んで成る第2核酸配列を含んで成る真菌宿主細胞を培養し、(b)培養液から当該ポリペプチドを単離すること、を含んで成る方法に関する。
【0010】
本発明の産生方法において、当該細胞は、当業界で知られている方法を用いて、当該ポリペプチドの産生に適した栄養培地において培養される。例えば、前記細胞は適当な培地中で、且つ当該ポリペプチドを発現させ、そして/あるいは単離する条件下で行われる、研究又は工業用の発酵槽における振盪フラスコ培養、小規模又は大規模な発酵(連続、バッチ、フェドバッチ、又は固体発酵を含む)によって培養されうる。前記培養は炭素及び窒素源並びに無機塩を含んで成る適当な栄養培地において、当業界で知られている方法を用いて起こる。適当な培地は商業的な業者から入手可能であり、又は公開されている組成(例えば、American Type Culture Collectionのカタログ)に従い調製されうる。当該ポリペプチドが栄養培地中に分泌される場合、当該ポリペプチドは培地から直接回収されうる。当該ポリペプチドが栄養培地中に分泌されない場合、当該ポリペプチドは細胞可溶化物から回収されうる。
【0011】
当該ポリペプチドは、当該ポリペプチドに特異的な当業界で知られている方法を用いて検出されうる。これらの検出法は特異的抗体の使用、酵素生成物の形成、又は酵素基質の消失を含みうる。
【0012】
本発明の方法において、同一の産生条件下で培養した場合、真菌細胞は、ポリペプチドをコードする核酸と作用可能に連結した非共通翻訳開始配列を含む真菌細胞と比較して、好ましくは少なくとも約25%以上、より好ましくは少なくとも約50%以上、より好ましくは少なくとも約75%以上、より好ましくは少なくとも約100%以上、さらにより好ましくは少なくとも約200%以上、最も好ましくは少なくとも約300%以上、さらに最も好ましくは少なくとも約400%以上産生する。
【0013】
生じた当該ポリペプチドは、当業界で知られている方法によって単離されうる。例えば、当該ポリペプチドは、限定しないが遠心、濾過、抽出、スプレー乾燥、蒸発又は沈澱を含む常用の方法によって栄養培地から単離されうる。
【0014】
当該ポリペプチドは、続いて限定しないがクロマトグラフィー(例えばイオン交換、親和性、疎水性、等電点及びサイズ排除)、電気泳動的方法(例えば、調製用等電点電気泳動)、溶解度の差(例えば、硫酸アンモニウム沈澱)、SDS−PAGE、又は抽出(例えば、Protein Purification, J.-C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989を参照のこと)を含む当業界で知られている様々な方法によって精製されうる。
【0015】
共通翻訳開始配列
用語「翻訳開始配列」は、ポリペプチドをコードする核酸配列のオープンリーディングフレームの開始コドン又は出発コドンのすぐ上流に位置する10個のヌクレオチドとして定義される。開始コドンはアミノ酸のメチオニンをコードする、いわゆる「出発」コドンである。開始コドンは典型的にATGであるが、任意な機能的開始コドン、例えばGTGであってもよい。RNAにおいて、ウラシル(U)が、デオキシヌクレオチドであるチミン(T)の代わりとなることは、当業界で周知である。
【0016】
用語「共通翻訳開始配列」は、ポリペプチドをコードする次の配列:
5’−NYCNNBCACC−3’(ここで、N=A、G、C、又はT;Y=C、又はT、;そしてB=A、C、又はT、である。配列番号1)
を有する核酸配列のオープンリーディングフレームの開始コドン又は出発コドンのすぐ上流に位置する10個のヌクレオチドとして定義される
【0017】
本発明はまた、その様な単離共通翻訳開始配列に関する。好ましい態様において、共通翻訳開始配列は、核酸配列5’−GTCCTTCACC−3’(配列番号2)、又は配列番号2の共通翻訳開始配列と同程度の生物活性を有するその亜配列を有する。別の好ましい態様において、共通翻訳開始配列は、核酸配列5’−GTCCTCCACC−3’(配列番号3)、又は配列番号3の共通翻訳開始配列と同程度の生物活性を有するその亜配列を有する。別の好ましい態様において、共通翻訳開始配列は、核酸配列5’−GTCCTACACC−3’(配列番号4)、又は配列番号4の共通翻訳開始配列と同程度の生物活性を有するその亜配列を有する。
【0018】
用語「作用可能に連結」は、調節配列、例えば共通翻訳開始配列が、コード配列によってコードされるポリペプチドの産生を管理する様な、当該コード配列に関連する位置に適当に配置されている配置として本明細書で定義される。
【0019】
用語「コード配列」は、適当な調節配列の制御下に据えられた場合、mRNAに転写され、そしてポリペプチドに翻訳される配列である。当該コード配列の境界は、前記mRNAの5′末端側のオープンリーディングフレームのちょうど上流に位置するATG開始コドンと、前記mRNAの3′末端側のオープンリーディングフレームのちょうど下流に位置する転写終結因子配列とによって通常決定される。コード配列は、限定しないがゲノムDNA、cDNA、RNA、半合成、合成、組換え核酸配列を含むことがある。
【0020】
本発明の方法において、共通翻訳開始配列は、注目のポリペプチドをコードする核酸配列とは異種のものであるが、当該共通翻訳開始配列又は核酸配列は、真菌宿主細胞にとって天然のものであってもよい。
【0021】
核酸配列をコードするポリペプチド
当該核酸配列によってコードされるポリペプチドは、注目の宿主細胞にとって天然又は異種のものであると思われる。
【0022】
用語「ポリペプチド」は、コードされた生成物の具体的な長さを言及することを本明細書で意味しておらず、そしてそれ故にペプチド、オリゴペプチド、及びタンパク質を包含する。用語「異種ポリペプチド」は、真菌細胞にとって天然でないポリペプチド、修飾が天然配列を変化させるために行われた天然ポリペプチド、又は発現が組換えDNA技術による真菌細胞の操作の結果として定量的に変化した天然ポリペプチドとして本明細書で定義する。例えば、天然ポリペプチドは当該ポリペプチドの発現を増強し、シグナルペプチドの使用によって注目の天然ポリペプチドの細胞の外側への輸送促進し、そして当該細胞によって通常産生するポリペプチドをコードする遺伝子のコピー数を増大せしめる、本発明の共通翻訳開始配列の制御下に当該ポリペプチドをコードする遺伝子を配置することによって、組換え的に産生され得る。当該真菌細胞は、前記ポリペプチドをコードする核酸の1又は複数のコピーを含みうる。
【0023】
好ましくは、前記の当該ポリペプチドはホルモン、又はその変異体、酵素、受容体若しくはその一部、抗体若しくはその一部、又はレポーターである。好ましい態様において、当該ポリペプチドは細胞外に分泌される。更に好ましい態様において、当該ポリペプチドは酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、脱離酵素、異性化酵素、又は連結酵素である。より更に好ましい態様において、当該ポリペプチドはアミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、アルファーガラクトシダーゼ、ベーターガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、アルファーグルコシダーゼ、ベーターグルコシダーゼ、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、ムタナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペルオキシダーゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ又はキシラナーゼである。
【0024】
注目のポリペプチドをコードする核酸配列は、いずれかの原核細胞、真核細胞又は他の供給源から獲得されうる。本発明の目的のために、用語「獲得」は与えられた供給源と関連して本明細書で使用する場合、前記ポリペプチドが前記供給源によって又は前記供給源由来の遺伝子が挿入された細胞によって産生することを意味するはずである。
【0025】
注目のポリペプチドをコードする核酸配列を単離又はクローン化するために使用する技術は当業界で知られており、そしてゲノムDNAからの単離、cDNAからの調製、又はそれらの組み合わせを含む。その様なゲノムDNAからの核酸配列のクローニングは、例えば公知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いることによってもたらされることがある。例えば、Innis et al., 1990, PCR Protocols : A Guide to Methods and Application, Academic Press, New Yorkを参照のこと。前記のクローニング方法は、前記ポリペプチドをコードする核酸配列を含んで成る所望の核酸フラグメントの切除及び単離、前記フラグメントのベクター分子への挿入、前記核酸配列の複数のコピー又はクローンが置換されるであろう突然変異真菌細胞への組換えベクターの組み込みを含みうる。前記核酸配列は、ゲノム、cDNA、RNA、半合成、合成起源、又はそれらのいずれかの組み合わせであってもよい。
【0026】
本発明の方法において、当該ポリペプチドは更に、別のポリペプチドが前記ポリペプチド又はそのフラグメントのN末端又はC末端で融合されている融合又は混成ポリペプチドを含むことがある。融合ポリペプチドは、あるポリペプチドをコードする核酸配列(又はその一部)を、別のポリペプチドをコードする核酸配列(又はその一部)に融合することによって産生する。融合ポリペプチドを産生するための技術は当業界で知られており、そして前記ポリペプチドをコードするコード配列がインフレームにあり、そして融合ポリペプチドの発現が同一のプロモーター及びターミネーターの支配下にある様にそれらを連結することを含む。前記混成ポリペプチドは、1又は複数のものが突然変異真菌細胞にとって異種であってもよい、少なくとも2つの異なるポリペプチドから獲得される部分的又は完全なポリペプチドの組み合わせを含んで成ってもよい。
【0027】
核酸コンストラクト
本発明はまた、本発明の共通翻訳開始配列と作用可能に連結したポリペプチドをコードする核酸配列及び、適当な宿主細胞における、当該調節配列と適合性のある条件下での前記コード配列の発現を指示する1又は複数の調節配列を含んで成る核酸コンストラクトに関する。発現は、限定しないが転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾、及び分泌を含む前記ポリペプチドの産生に関与するいずれかの段階を含むと理解されるだろう。
【0028】
「核酸コンストラクト」は、一本鎖又は二本鎖のいずれかの、天然の遺伝子から単離した又は他の方法で天然に存在しないであろう方法で組み合わされ、そして並列した核酸のセグメントを含む様に修飾した核酸分子として定義される。核酸コンストラクトの用語は、前記核酸コンストラクトがコード配列の発現に必要な全ての調節配列を含む場合に、発現カセットの用語と同義である。
【0029】
ポリペプチドをコードする単離された核酸配列は、当該ポリペプチドの発現のために提供される様々な方法で更に操作され得る。核酸配列の、ベクター内へのその挿入前の操作は、発現ベクターに依存して所望とされるか、又は必要とされ得る。組換えDNA技術を利用する核酸配列を修飾する技術は当業界で周知である。
【0030】
本発明の方法において、当該核酸配列は1又は複数の天然調節配列を含んで成ることがあり、あるいは1又は複数の天然調節配列は宿主細胞におけるコード配列の発現を向上せしめるために、当該核酸配列とは異種の1又は複数の調節配列で置換されることもある。
【0031】
用語「調節配列」は、本発明のポリペプチドの発現に必要又は有利な全ての要素を含むと本明細書で定義する。各調節配列は、前記ポリペプチドをコードする核酸配列にとって天然又は外来であってもよい。前記調節配列は、限定しないがリーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、本発明の共通翻訳開始配列、シグナルペプチド配列、及び転写終結因子を含む。最低限、前記調節配列はプロモーター、並びに転写及び翻訳停止シグナルを含む。前記調節配列は、当該ポリペプチドをコードする核酸配列のコード領域と、前記調節配列とのライゲーションを容易にする特異的な制限部位を導入するためのリンカーと一緒に提供されうる。
【0032】
前記調節配列は適当なプロモーター配列、前記核酸配列の発現のために宿主細胞によって認識される核酸配列であってもよい。前記プロモーター配列は、当該ポリペプチドの発現を媒介する転写調節配列を含む。前記プロモーターは、変異の、短かくなった、及び混成のプロモーターを含む、選択した宿主細胞において転写活性を示すいずれかの核酸配列であってもよく、そして宿主細胞にとって同種又は異種のいずれかである細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から獲得されうる。
【0033】
糸状菌宿主細胞における、本発明の核酸コンストラクトの転写を指示するのに適当なプロモーターの例は、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)のタカアミラーゼ、リゾムコール・ミエーイ(Rhizomucor miehei)のアスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)の中性アルファーアミラーゼ、アスペルギルス・ニガーの酸安定アルファーアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー若しくはアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)のグルコアミラーゼ(glaA)、リゾムコール・ミエーイのリパーゼ、アスペルギルス・オリザエのアルカリ性プロテアーゼ、アスペルギルス・オリザエのトリオースリン酸イソメラーゼ、アスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)のアセトアミダーゼ、アスペルギルス・オリザエのアセトアミダーゼ(amdS)、フサリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)のアミログルコシダーゼ、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のトリプシン様プロテアーゼ(WO96/00787)から獲得されるプロモーター、及びNA2−tpi(アスペルキルス・ニガーの中性アルファアミラーゼ及びアスペルギルス・オリザエのトリオースリン酸イソメラーゼをコードする遺伝子由来の混成プロモーター)、並びにそれらの変異の、短かくなった、及び混成のプロモーターである。
【0034】
酵母宿主において、有用なプロモーターは、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ(ENO-1)遺伝子、サッカロミセス・セレビシエ・ガラクトキナーゼ遺伝子(GAL1)、サッカロミセス・セレビシエ・アルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(ADH2/GAP)、及びサッカロミセス・セレビシエ 3-ホスホグリセレートキナーゼ遺伝子から得られる。酵母宿主細胞のための他の有用なプロモーターは、Romanos et al., 1992, Yeast、8:423-488に記載されている
【0035】
前記調節配列は、転写を終結するために宿主細胞によって認識される配列である、適当な転写終結配列であってもよい。前記終結配列は当該ポリペプチドをコードする核酸配列の3′末端に作用可能に連結する。選択した宿主細胞において機能的であるいずれかの終結因子が本発明で使用されうる。
【0036】
糸状菌宿主細胞にとって好ましい終結因子は、アスペルギルス・オリザエのタカアミラーゼ、アスペルギルス・ニガーのグルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニジュランスのアントラニル酸塩合成酵素、アスペルギルス・ニガーのアルファーグルコシダーゼ、及びフサリウム・オキシスポラムのトリプシン様プロテアーゼをコードする遺伝子から獲得される。
【0037】
酵母宿主細胞のための好ましい終結因子は、サッカロミセス・セレビシエ・エノラーゼ、サッカロミセス・セレビシエ・シトクロムC(CYC1)、又はサッカロミセス・セレビシエ・グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼについての遺伝子から獲得される。酵母宿主細胞のために有用な他の終結因子は、前述のRomanos et al.,1992に記されている。
【0038】
前記調節配列は更に、適当なリーダー配列、前記宿主細胞による翻訳にとって重要なmRNAの非翻訳領域であってもよい。前記リーダー配列は、当該ポリペプチドをコードする核酸配列の5′末端に作用可能に連結する。選択した宿主細胞において機能的ないずれかのリーダー配列が、本発明において使用され得る。
【0039】
糸状菌宿主細胞にとって好ましいリーダーは、アスペルギルス・オリザエのタカアミラーゼ及びアスペルギルス・オリザエのトリオースリン酸イソメラーゼをコードする遺伝子から獲得される。
【0040】
酵母宿主細胞にとって適当なリーダーは、サッカロミセス・セレビシエ・エノラーゼ(ENO-1)遺伝子、サッカロミセス・セレビシエの3-ホスホグリセレートキナーゼ遺伝子、サッカロミセス・セレビシエのα-因子、及びサッカロミセス・セレビシエのアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(ADH2/GAP)から獲得される。
【0041】
前記調節配列は更に、ポリアデニル化配列、前記核酸配列の3′末端に作用可能に連結し、そして転写されるときに、転写されるmRNAにポリアデノシン残基を加えるためのシグナルとして宿主細胞によって認識される配列であってもよい。選択した宿主細胞において機能的ないずれかのポリアデニル化配列が、本発明において使用され得る。
【0042】
好ましいポリアデニル化配列は、アスペルギルス・オリザエのタカアミラーゼ、アスペルギルス・ニガーのグルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニジュランスのアントラニル酸塩合成酵素、フサリウム・オキシスポラムのトリプシン様プロテアーゼ、及びアスペルギルス・ニガーのアルファーグルコシダーゼから獲得される。
【0043】
酵母宿主細胞にとって有用なポリアデニル化配列は、Guo and Sherman, 1995, Molecular Cellular Biology、15:5983-5990(1995に記載されている。
【0044】
前記調節配列は更に、当該ポリペプチドのアミノ末端に連結したアミノ酸配列をコードし、そしてコードされたポリペプチドを細胞の分泌経路に向かわせるシグナルペプチドのコード領域であってもよい。前記核酸配列のコード配列の5′末端は、本質的に翻訳の読み枠において分泌されるポリペプチドをコードするコード領域のセグメントと天然において連結する、シグナルペプチドのコード領域を含みうる。あるいは、前記コード配列の5′末端は、前記コード配列に対して外来であるシグナルペプチドのコード領域を含みうる。前記の外来のシグナルペプチドのコード領域は、前記コード配列がシグナルペプチドのコード領域を天然に含まない場合に必要だろう。あるいは、前記の外来のシグナルペプチドのコード領域は、前記ポリペプチドの分泌を増強するために、天然のシグナルペプチドのコード領域を置換する。しかし、発現した当該ポリペプチドを、選択した宿主細胞の分泌経路に向かわせる、いずれかのシグナルペプチドのコード領域が、本発明において使用されうる。
【0045】
糸状菌宿主細胞にとって有効なシグナルペプチドのコード領域は、アスペルギルス・オリザエのタカアミラーゼ、アスペルギルス・ニガーの中性アミラーゼ、リゾムコール・ミエーイのアスパラギン酸プロテイナーゼ、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)のセルラーゼ及びフミコラ・ラヌギノサのセルラーゼをコードする遺伝子から獲得されるシグナルペプチドのコード領域である。
【0046】
酵母宿主細胞のための有用なシグナルペプチドは、サッカロミセス・セレビシエのα−因子及びサッカロミセス・セレビシエのインベルターゼのための遺伝子から得られる。他の有用なシグナルペプチドのコード領域は、前述のRomanos et al., 1992に記載されている。
【0047】
前記調節配列は更に、ポリペプチドのアミノ末端に位置するアミノ酸配列をコードするプロペプチドのコード領域であってもよい。生じたポリペプチドは、プロ酵素又はプロポリペプチド(あるいはいくつかの場合においてチモーゲン)として知られている。プロポリペプチドは通常不活性であり、そして前記プロポリペプチド由来のプロペプチドの触媒的又は自己触媒的な開裂によって、成熟な活性ポリペプチドに変換されうる。前記プロペプチドのコード領域は、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)のアルカリプロテアーゼ(aprE)、バチルス・サブチリスの中性プロテアーゼ(nprT)、サッカロミセス・セレビシエのα-因子、リゾムコール・ミエーイのアスパラギン酸プロテイナーゼ及びマイセリオフソラ・サーモフィラ(Myceliophthola thermophila)のラッカーゼをコードする遺伝子から獲得されうる(WO95/33836)。
【0048】
シグナルペプチド及びプロペプチド領域、その両方がポリペプチドのアミノ末端に存在する場合、前記プロペプチド領域は前記ポリペプチドのアミノ末端の次に位置し、そして前記シグナルペプチド領域は前記プロペプチド領域のアミノ末端の次に位置する。
【0049】
宿主細胞の増殖に関係するポリペプチドの発現の制御を行う制御配列を付加することが望ましいであろう。制御系の例は、制御化合物の存在を含む、化学的又は物理的刺激に応じて切り替わりうる遺伝子の発現をもたらすものである。原核の系における制御系は、lac、tac、及びtrpオペレーター系を含む。酵母においては、ADH2系又はGAL1系が使用され得る。糸状菌においては、タカアルファーアミラーゼのプロモーター、アスペルギルス・ニガーのグルコアミラーゼのプロモーター、及びアスペルギルス・オリザエのグルコアミラーゼのプロモーターが制御配列として使用されうる。制御配列の他の例は、遺伝子増幅を可能にするものを含む。真核の系においては、これらはメトトレキセートの存在下で増幅されるジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、及び重金属で増幅されるメタロチオネイン遺伝子を含む。これらの場合において、当該ポリペプチドをコードする核酸配列は制御配列と作用可能に連結するだろう。
【0050】
本発明はまた、宿主細胞にとって内因性のポリペプチドをコードする遺伝子の発現を変化させるための核酸コンストラクトに関する。当該コンストラクトは、内因性遺伝子の発現を変化させるのに必要な最小数の成分を含み得る。1つの態様において、核酸コンストラクトは、好ましくは、(a)ターゲッティング配列、(b)本発明の共通翻訳開始配列、(c)エキソン、及び(d)スプライス供与部位を含む。核酸コンストラクトの細胞への導入時には、当該コンストラクトは、内因性遺伝子部位で細胞ゲノム内への相同的組換えにより挿入する。ターゲッティング配列は、因子(b)〜(d)が作用可能に内因性遺伝子と連結されるように、内因性遺伝子への因子(a)〜(d)の組込みを指示する。別の態様において、核酸コンストラクトは、(a)ターゲッティング配列、(b)本発明の共通翻訳開始配列、(c)エキソン、(d)スプライス供与部位、(e)イントロン、及び(f)スプライス受容部位を含むが、この場合、ターゲッティング配列は、因子(b)〜(f)が作用可能的に内因性遺伝子と連結されるように、因子(a)〜(f)の組込みを指示する。しかしながら、当該コンストラクトは、選択マーカーのような追加の成分を含み得る。
【0051】
両態様において、これらの成分の導入は、内因性遺伝子の発現が変化する、新規の転写単位の生成をもたらす。本質的に、新規の転写単位は、ターゲッティングしたコンストラクトにより導入された配列と内因性遺伝子との融合生成物である。内因性遺伝子が変化する態様において、前記遺伝子は活性化される。この態様において、相同組換えは、親細胞の内因性遺伝子に通常付随する制御領域を、対応する親細胞において明らかとなっているものより高いレベルで遺伝子を発現させる制御配列の挿入を介して、置換し、破壊し、又は無能にするために使用される。活性化された遺伝子は、当業界で周知の方法(例えば、米国特許第5,641,670号を参照のこと)を用いて、コンストラクト内への増幅可能な選択性マーカー遺伝子の含入により更に増幅され得る。内因性遺伝子が変化する別の態様において、前記遺伝子の発現は低下する。
【0052】
ターゲッティング配列は、内因性遺伝子内、当該遺伝子の直前、上流遺伝子内、又は上流遺伝子内の、又は内因性遺伝子の下流、及びそれから離れた位置に存在し得る。1又は複数のターゲッティング遺伝子が用いられる。例えば環状プラスミド又はDNAフラングメントは、好ましくは単一のターゲッティング配列を用いるが、一方直鎖状プラスミド又はDNAフラングメントは、好ましくは2つのターゲッティング配列を用いる。
【0053】
当該コンストラクトは更に、内因性遺伝子の1又は複数のエキソンを含む。エキソンは、RNAにコピーされ、そして成熟mRNA分子内に存在すると、その結果、当該エキソン配列が内因性遺伝子のコード領域と読み枠が一致する様なDNA配列と定義される。エキソンは、1又は複数のアミノ酸をコードする、そして/あるいは部分的にアミノ酸をコードするDNAを任意に含む。あるいは、エキソンは、5’非コード領域に対応するDNAを含む。1又は複数の外因性エキソンが、1又は複数のアミノ酸及び/又はアミノ酸の一部をコードする場合、核酸コンストラクトは、転写及びスプライシング時に、読み枠が内因性遺伝子のコード領域と一致し、その結果二次エキソンに由来するmRNAの部分の適切な読み枠が変化しないように設計される。
【0054】
当該コンストラクトのスプライス供与部位は、一方のエキソンのスプライシングを他方のエキソンに指示する。典型的には、一次エキソンは二次エキソンの5’側にあり、そしてその3’側で一次エキソンと隣接するスプライス供与部位は、二次エキソンの5’側で二次エキソンと隣接するスプライス受容部位を認識する。スプライス受容部位は、スプライス供与部位と同様、一方のエキソンのスプライシングを他方のエキソンに指示する配列である。スプライス供与部位とともに作用する場合、スプライシング装置はスプライス受容部位を用いてイントロンの除去を実行する。
【0055】
本発明は更に、ポリペプチドを産生する方法であって、
(a)本発明の共通翻訳開始配列、エキソン、及び/又は当該ポリペプチドをコードする内因性の核酸配列の二次エキソンを作用可能に連結したスプライス供与部位、を含んで成る新規転写単位が組み込まれた相同組換え細胞を、当該ポリペプチドの産生を誘導する培地中で培養し、(b)培養液から当該ポリペプチドを単離すること、を含んで成る方法に関する。当該方法は、遺伝子活性化技術の使用、例えば米国特許第5,641,670号に記載されているものに基づいている。
【0056】
発現ベクター
本発明はまた、本発明の共通翻訳開始配列、ポリペプチドをコードする核酸配列、並びに転写終結シグナル及び翻訳終結シグナルを含んで成る組換え発現ベクターに関する。上述した様々な核酸及び調節配列は、1又は複数の簡便な制限部位を、その様な部位で当該ポリペプチドをコードする核酸配列の挿入又は置換をせしめる様に含みうる組換え発現ベクターを産生するために一緒に連結しうる。あるいは、当該ポリペプチドをコードする核酸配列は、共通翻訳開始配列又は配列を含んで成る核酸コンストラクトを発現に適したベクターに挿入することによって発現しうる。前記発現ベクターの作製において、コード配列は、コード配列が、本発明の共通翻訳開始配列及び発現に適した1又は複数の調節配列と作用可能に連結する様に前記ベクター内に配置される。
【0057】
組換え発現ベクターは、組換えDNA法に簡便にかけることができ、そして当該核酸配列の発現をもたらすことができるいずれかの発現ベクター(例えば、プラスミド又はウイルス)であってもよい。前記ベクターの選択は、典型的に前記ベクターが導入され得る宿主細胞と、前記ベクターとの適合性に依存するだろう。前記ベクターは直鎖状又は閉環状プラスミドであってもよい。
【0058】
前記ベクターは自己複製ベクター、すなわち染色体外の実在物として存在し、染色体の複製に非依存的なベクター、例えばプラスミド、染色体外因子、ミニ染色体、又は人工染色体であってもよい。前記ベクターは自己複製を保証するいずれかの手段を含んでもよい。あるいは、前記ベクターは、宿主細胞に導入される場合に、ゲノムに組み込まれ、そしてそれが組み込まれた染色体と一緒に複製されるものであってもよい。更に、宿主細胞のゲノムに導入され得る全DNAを一緒に含む単一のベクター若しくはプラスミド又は2又はそれ以上のベクター若しくはプラスミド、あるいはトランスポゾンが使用され得る。
【0059】
本発明のベクターは、好ましくは形質転換した細胞の容易な選択を可能にする1又は複数の選択マーカーを含む。選択マーカーは生物致死又はウイルス耐性、重金属耐性、栄養要求株に対する原栄養性などを提供する遺伝子生成物である。酵母宿主細胞に適当なマーカーは、ADE2,HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、及びURA3である。糸状菌宿主細胞における使用のための選択マーカーは、限定しないがamdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hygB(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸還元酵素)、pyrG(オロチジン−5′−リン酸デカルボキシラーゼ)、sC(硫酸アデニルトランスフェラーゼ)、及びtrpC(アントラニル酸合成酵素)、並びにそれらと等しいものを含む群から選択されうる。アスペルギルス細胞における使用にとって好ましいのは、アスペルギルス・ニジュランス又はアスペルギルス・オリザエのamdS及びpyrG遺伝子並びにストレプトマイセス・ハイグロスコピカスのbar遺伝子である。
【0060】
本発明のベクターは、好ましくは前記ベクターの宿主細胞への安定な組み込み又はゲノムから独立した、細胞におけるベクターの自律複製を可能にする因子を含む。
【0061】
宿主細胞のゲノムへの組み込みのために、前記ベクターは当該ポリペプチドをコードする核酸配列又は相同若しくは非相同組換えによる前記ゲノムへの前記ベクターの安定な組み込みのための、前記ベクターのいずれかの他の因子に依存することがある。あるいは、前記ベクターは宿主細胞のゲノムへの相同組換えによる組み込みを指示するための追加の核酸配列を含みうる。前記の追加の核酸配列は染色体において正確な位置で前記ベクターを前記ゲノムに組み込むことを可能にする。正確な位置での組み込みの見込みを増大させるために、組み込み因子は、好ましくは相同組換えの可能性を増強するために相当する標的配列と高度に相同性の、十分な数の核酸、例えば100〜1,500塩基対、好ましくは400〜1,500塩基対、及び最も好ましくは800〜1,500塩基対を含むべきである。前記組み込み因子は宿主細胞のゲノムの標的配列と相同性があるいずれかの配列であってもよい。更に、前記組み込み因子は核酸配列をコードしていなくても、又はコードしていてもよい。一方、前記ベクターは非相同組換えによって宿主細胞のゲノムに組み込まれてもよい。
【0062】
自律複製のために、前記ベクターは更に、問題の宿主細胞において自律的に複製することを前記ベクターに可能にさせる複製起点を含んで成ることがある。酵母宿主細胞で用いるための複製起点の例は、2μの複製起点、ARS1、ARS4、ARS1とCEN3の組合せ、ならびにARS4とCEN6の組合せである。複製起点は、宿主細胞中でその機能を温度感受性にする突然変異を有するものであってもよい(例えば、Ehrlich 、1978、「Proceedings of the NationalAcademy of Sciences USA」75:1433 を参照のこと)。
【0063】
ポリペプチドをコードする核酸配列の1以上コピーが、宿主細胞に挿入して、遺伝子産物の産生を増大せしめるために挿入されうる。当該核酸配列のコピー数の増大は、当該配列の少なくとも1つの追加のコピーを宿主細胞ゲノムに組込むことにより、又は増幅可能な選択マーカー遺伝子を当該核酸配列に含めることにより得られるが、この場合、選択マーカー遺伝子の増幅コピーを含む細胞と、それによる核酸配列の追加のコピーが、適切な選択可能な作用物質の存在下で細胞を培養することにより選択され得る。
【0064】
本発明の組換え発現ベクターを構築するために前記の因子をライゲーションするために用いられる手法は、当業者にとって周知である(例えば、Sambrook et al., 1989(前記)を参照のこと)。
【0065】
宿主細胞
本発明は更に、ポリペプチドをコードする核酸配列と作用可能に連結した本発明の共通翻訳開始配列であって、当該ポリペプチドの組換え体生成において有利に用いられるものを含んで成る組換え宿主細胞に関する。ポリペプチドをコードする核酸配列と作用可能に連結した本発明の共通翻訳開始配列を含んで成るベクターが宿主細胞内に導入されると、その結果当該ベクターは、上述のように染色体組込み物として、又は自己複製染色体外ベクターとして保持される。「宿主細胞」という用語は、複製中に生じた変異のために親細胞と同一でない親細胞の任意の子孫を含む。宿主細胞の選択は、当該ポリペプチドをコードする遺伝子及びその起源に大いに依存している。
【0066】
当該宿主細胞は、本発明において有用な、任意の真菌細胞である。「真菌」とは、本明細書中で用いる場合には、子嚢菌門、担子菌門、ツボカビ門及び接合菌門(Hawksworth et al., Ainsworth and Bisby's Dictionary of The Fungi 8th eddition, 1995, CAB International, University Press, Cambridge, UK による定義)、並びに卵菌門( Hawksworth et al., 1995(前記)p171に引用)、そしてすべての糸状胞子真菌(Hawksworth et al., 1995(前記))を含む。
【0067】
好ましい態様において、真菌宿主細胞は酵母細胞である。「酵母」とは、本明細書中で用いる場合には、子嚢胞子形成酵母(エンドミケス目)、担子菌形成酵母、及び不完全真菌(Blastomycetes)に属する酵母が含まれる。酵母の分類は将来、変わり得るため、本発明の目的のためには、酵母は、Biology and Activities of Yeast(Skinner, F.A., Passmore, S.M.and Davenport, R.R. eds, Soc. App. Bacteriol. Symposium Series No.9, 1980)に記載されたように定義する。
【0068】
更に好ましい態様において、酵母宿主細胞は、カンジダ属(Candida)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)、ピキア属(Pichia)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)又はヤローウィア属(Yarrowia)の細胞である。
【0069】
最も好ましい態様において、酵母宿主細胞はサッカロミセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ジアスタチクス(Saccharomyces diastaticus )、サッカロミセス・ドウグラシイ(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensis )又はサッカロミセス・オビホルミス(Saccharomyces oviformis)細胞である。別の最も好ましい態様において、酵母宿主細胞は、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)細胞である。別の最も好ましい態様において、酵母宿主細胞はヤローウイア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)細胞である。
【0070】
別の更に好ましい態様において、真菌宿主細胞は糸状真菌細胞である。「糸状真菌」は、真菌門及び卵菌門のすべての糸状形態を含む(Hawksworth et al.,、1995(前記)により定義)。糸状真菌は、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナン及びその他の複合多糖で構成される菌糸体壁を特徴とする。植物性成長は菌糸伸張により、そして炭素異化作用は無条件に好気性である。これに対して、酵母、例えばビール酵母、例えばサッカロミセス・セレビシエによる植物性成長は、単細胞性葉状体の出芽によるもので、炭素異化は発酵であってもよい。
【0071】
更に好ましい態様において、糸状真菌宿主細胞は、限定しないが、アクレモニウム属(Acremonium)、アスペルギルス属、フサリウム属、フミコラ属、ムコール属、マオセリオフソラ属、ニューロスポラ(Neurospora)属、ペニシリウム(Penillium)属、チエラビア属(Thielavia)、トリポクラジウム属(Tolypocladium)又はトリコデルマ属(Trichoderma)の種の細胞である。
【0072】
最も好ましい態様において、糸状真菌宿主細胞は、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori )、アスペルギルス・フォエチズス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ジャポニクス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)、フサリウム・バクトリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フサリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フサリウム・クルックウェレンセ(Fusarium crookwellense)、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum )、フサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フサリウム・グラミヌム(Fusarium graminum )、フサリウム・ヘテロスポルム(Fusarium heterosporum )、フサリウム・ネグンジ(Fusarium negundi)、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、フサリウム・レティキュラツム(Fusarium reticulatum)、フサリウム・ロゼウム(Fusarium roseum )、フサリウム・ザムブチヌム(Fusarium sambucinum )、フサリウム・ザルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フサリウム・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides )、フザリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum )、フサリウム・トルロスム(Fusarium torulosum)、フサリウム・トリコセキオイデス(Fusarium trichothecioides )、フサリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens )、フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa )、ムコル・ミエヘイ(Mucor miehei)、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、アカパンカビ属(Neurospora)クラッサ(crassa)、ペニシリウム属パープロゲヌム(purpurogenum)、トリコデルマ・ハージアヌム(Trichoderma harzianum )、トリコデルマ・コニンギー(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアツム(Trichoderma longibrachiatum )、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)又はトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)細胞である。
【0073】
更に最も好ましい態様において、フサリウム・ベネナツム細胞はフサリウム・ベネナツムA3/5であり、これはフサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)として最初に寄託され、そして最近、Yoder and Christianson, 1998, Fungal Genetics and Biology 23:62-80 and O'Donnell et al., 1998, Fungal Genetics and Biology 23: 57-67によってフザリウム・ベネナツムとして;現在知られている種名にも関わらず、分類学的にフサリウム・ベネナツムと同等のものとして分類されている。別の好ましい態様において、フサリウム・ベネナツム細胞はWO97/26330に開示されているように、フサリウム・ベネナツムA3/5又はフサリウム・ベネナツムATCC 20334の形態的突然変異体である。
【0074】
真菌細胞は、本質的に知られている、プロトプラスト形成、プロトプラストの形質変換、及び細胞壁の再生を含んで成る工程により形質変換され得る。アスペルギルス宿主細胞の形質変換に適した手法は、欧州特許第238023号、及びYelton et al., 1984, Proceedings of the National Academy of Science USA」 81:1470-1474 に記載されている。フサリウム種の形質変換に適した方法は、Malardier et al., 1989, Gene 78:147-156及びWO96/00787に記載されている。酵母は、Becker and Guarente, In Abelson, J.N. and Simon, M.I.editors, Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology, Methods in Enzymology」Volume 194, pp 182-187, Academic Press, Inc., New York; Ito et al.,1983, Journal of Bacteriology 」153:163;and Hinnen et al., 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75:1920 に記載された方法を用いて形質変換しされ得る。
【0075】
本発明は更に、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない以下の例によって説明される。
【0076】

緩衝液及び基質として使用した化学薬品は、少なくとも試薬用の市販の製品である。
【0077】
培地及び溶液
pH6.5のMY25培地は、1L当たり25gのマルトース、2.0gのMgSO4 ・7H2 O、10gのKH2 PO4 、2.0gのクエン酸、10gの酵母抽出物、2.0gのK2 SO4 、2.0gの尿素、1.0mlのCaCl2 ・2H2 O(100g/lの保存溶液)、及び0.5mlの微量金属溶液から構成した。MY25マイクロタイター培地は、490mlのガラス蒸留水及び500mlの2×MY塩で1:100に希釈した。培養物は34℃で生育した。
【0078】
2×MY塩のpH6.5の溶液は、1L当たり4gのMgSO4 ・7H2 O、4gのK2 SO4 、20gのKH2 PO4 、4gのクエン酸、1mlの微量金属溶液、及び2mlのCaCl2 ・2H2 O(100g/lの保存溶液)から構成した。
【0079】
最小培地形質転換プレートは、1L当たり6gのNaNO3 、0.52gのKCl、1.52gのKH2 PO4 、1mlの微量金属溶液、10gのグルコース、500mgのMgSO4 ・7H2 O、342.3gのスクロース、及び20gのノーブルアガー(pH6.5)から構成した。最小培地のトランスファープレート(pH6.5)は、1L当たり6gのNaNO3 、0.52gのKCl、1.52gのKH2 PO4 、1mlの微量元素、1gのグルコース、500mgのMgSO4 ・7H2 O及び20gのノーブルアガーから構成した。
【0080】
フルオロアセトアミドを有する酢酸培地は、1L当たり12.77gの酢酸ナトリウム、2gの塩化ナトリウム、500gのMgSO4 ・7H2 O、3gのKH2 PO4 、300mgの尿素、微量の硫酸第一鉄及び硫酸亜鉛、342.3gのスクロース、2gのフルオロアセトアミド及び12gの、pH6.1のノーブルアガーから構成した。
【0081】
最小培地は、1L当たり6gのNaNO3 、0.52gのKCl、1.52gのKH2 PO4 、1mlの微量金属、10gのグルコース、500mgのMgSO4 ・7H2 O、342.3gのスクロース、及び20gの、pH6.5のノーブルアガーから構成した。トランスファープレートは上述のものと同一であるが、スクロースは除いてある。
【0082】
微量金属溶液(1000×)は、1L当たり22gのZnSO4 ・7H2 O、11gのH3 PO3 、5gのMnCl2 ・4H2 O、5gのFeSO4 ・7H2 O、1.6gのCoCl2 ・5H2 O、1.6gの(NH4)6 Mo724、及び50gのNa4 EDTAから構成した。
【0083】
塩素酸塩プレートは、470mMの塩酸塩及び唯一の窒素源としての10mMのグルタミン酸塩を添加した最小培地から構成した。
【0084】
COVEプレートは、1L当たり343.3gのスクロース、20mlのCOVE塩溶液、10mlの1Mアセトアミド、10mlの3M CsCl、及び25gのノーブルアガーから構成した。COVE塩(50×)溶液は、1L当たり26gのKCl、26gのMgSO4 ・7H2 O、76gのKH2 PO4 、及び50mlのCOVE微量金属溶液から構成した。COVE微量金属溶液は、1L当たり0.04gのNaB47 ・10H2 O、0.040gのCuSO4 ・5H2 O、0.70gのFeSO4 ・H2 O、0.80gのNa2 MoO2 ・2H2 O、及び10gのZnSO4 から構成した。
【0085】
COVEオーバーレイは、1L当たり0.52gのKCl、0.52gのMgSO4 ・7H2 O、1.52gのKH2 PO4 、1mlの微量金属、0.8Mスクロースから構成し、そして1%の低溶解アガーは、それらを形質転換プレート上に施すために使用した。YEG培地は、1L当たり5gの酵母抽出物及び20gのデキストロースから構成した。
【0086】
例1:pBANe8の構築
pBANe8は、以下の通りにTAKA/NA2−tpiリーダーハイブリッドプロモーター、PacI及びSwaI部位によって区切られたフミコラ・ラヌギノサ由来のリパーゼ遺伝子、AMGターミネーター、並びに選択マーカーとしての完全長のアスペルギルス・ニジュランスのamdS遺伝子を含む様に構築された。
【0087】
PCRは、以下のプライマー1及び2を用いてpToC90(Christensen et al., 1988, Biotechnology 6: 1419-1422)の完全長amdS遺伝子に隣接するNsiI部位を挿入し、そして以下のプライマー3及び4を用いてpJaL292(図1)のNA2−tpiリーダーハイブリッドプロモーターの5′末端にEcoRI部位を、そして3′末端にSwaI部位を挿入するために利用した。前記プライマーは、Applied Biosystems Model 394 DNA/RNA Synthesizer (Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA )を用いて、取扱い説明書に従い合成した。
【表1】
Figure 0004927281
【0088】
増幅反応液(100μl)は、鋳型として約0.2μgのpToC90又はpJaL292のいずれかを用いて調製した。各反応液は、以下の成分:0.2μgのプラスミドDNA、48.4pmolの上流プライマー、48.4pmolの下流プライマー、1mMの各dATP,dCTP,dGTP、及びdTTP、1×Taq DNAポリメラーゼ緩衝液、並びに2.5UのTaq DNAポリメラーゼ(Perkin-Elmer Corp., Branchburg, NJ)を含む。反応液は、Ericomp TwinBlock (商標)System(Ericonp, Inc., San Diego, CA)において、以下の通りにプログラムされてインキュベートされた:95℃で5分間1サイクル、95℃で1分間、55℃で1分間、そして72℃で2分間を各30サイクル。
【0089】
PCR産物を1%アガロースゲル上で電気泳動にかけ、2.7kbのamdSフラグメント及び0.6kbのNA2−tpiフラグメントの存在を確認した。
【0090】
PCR産物は、引き続いて、TAクローニングキット(Invitrogen, San Diego, CA )を取扱い説明書に従い用いてpCRII内にサブクローニングした。次に、形質転換体が、QIAwell−8プラスミドキット(Qiagen, Inc., Chatsworth, CA)を取扱い説明書に従い用いて、形質転換体からプラスミドDNAを抽出し、そしてNsiI又はEcoRI/SwaIのいずれかでプラスミドを制限消化することによって、続いてNsiI amdSフラグメント及びSwaI/EcoRI NA2−tpiフラグメントに関する、それぞれ2.7kb及び0.6kbの正確なサイズのフラグメントの存在を確認するためのアガロース電気泳動によってスクリーニングした。PCR産物を確認するために、当該産物は、M13下流(−48)及びM13上流(−20)プライマー(New England Biolabs, Beverly, MA)並びに配列決定されるDNAに独特なプライマーを用いる、ダイターミネーター化学(Giesecke et al., 1992, Journal of Virol. Methods 38: 47-60)によるプライマーウォーキングを用いて、両方の鎖に対して、Applied Biosystems Model 373A Automated DNA Sequencer (Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)によって配列決定された。正確な形質転換体に由来するプラスミドは、引き続き、設計したプラスミドの制限酵素で消化され、1%アガロースゲルで分離され、そしてFMC SpinBindキット(FMC, Rockland, ME )を取扱い説明書に従い用いて精製した。
【0091】
pKS6(図2)は、TAKAアミラーゼプロモーター、ポリリンカー、AMGターミネーター、及びアスペルギルス・ニジュランスのpyrG遺伝子を含んでおり、TAKAアミラーゼプロモーター部分を除去するためにEcoRI及びSwaIで消化された。この領域は、pBANe13(図3)を産生するために、NA2−tpi PCR産物で置換された。
【0092】
pBANe13は、アスペルギルス・ニジュランスのpyrG遺伝子を除去するためにNsiIで消化された。この領域は、続いてpBANe6(図4)を産生するために、上述した完全長のamdS遺伝子のPCR産物で置換された。
【0093】
PCRは、以下のプライマー5及び6を用いて、pMHan37(図5)の、完全長のフミコラ・ラヌギノサのリパーゼ遺伝子上にSwaI及びPacI隣接部位を挿入するために使用した。プライマー5及び6は上述の通りに合成した。
【表2】
Figure 0004927281
【0094】
増幅反応液(100μl)は以下の成分:100ngのpMHan37、48.4pmolのプライマー5、48.4pmolのプライマー6、1mMの各dATP,dCTP,dGTP、及びdTTP、1×Taq DNAポリメラーゼ緩衝液、並びに2.5UのTaq DNAポリメラーゼを含む。反応液は以下の通りにプログラムされたEricomp TwinBlock (商標)System内でインキュベートされた:95℃で5分間1サイクル、続いて95℃で1分間、55℃で1分間、そして72℃で2分間をそれぞれ30サイクル。2μlの反応液を1%アガロースゲル上での電気泳動にかけ、約900bpのリパーゼ遺伝子産物の増幅を確認した。
【0095】
PCRで増幅したリパーゼ遺伝子産物は引き続いて、TAクローニングキットを用いてpCRII内にサブクローニングされた。形質転換体は、QIAwell−8プラスミドキットを用いて形質転換体から抽出し、プラスミドDNAをSwaI/PacIで制限消化し、そしてPCR産物を確認するために上述の方法に従い当該DNAを配列決定することによってスクリーニングされた。
【0096】
当該リパーゼ遺伝子は、SwaI及びPacIで消化することによってpCRIIプラスミドから切り出され、そして次に、pBANe8(図6)を産生するために、SwaI/PacIで消化したpBANe6内にサブクローニングされた。
【0097】
例2:pBANe15の構築
プラスミドpBANe15は、アスペルギルス・ニジュランスのamdS遺伝子、及びアスペルギルス・オリザエのアルファアミラーゼプロモーターとアスペルギルス・ニガーのグルコアミラーゼターミネーターとの間にポリリンカー部位を含む様に構築された。
【0098】
PCRは、Applied Biosystems Model 394 DNA/RNA Synthesizerを取扱い説明書に従い用いることによって合成した以下のプライマー7及び8を用いて、完全長のamdS遺伝子の両末端にNsiI部位を挿入するために使用された。
【表3】
Figure 0004927281
【0099】
増幅反応液(100μl)は、鋳型として約0.2μgのpToC90(Christenfen et al., 1998, Biotechnology 6:1419-1422)を用いて調製した。各反応液は、以下の成分:0.2μgのpToC90、48.4pmolのプライマー7、48.4pmolのプライマー8、1mMの各dATP,dCTP,dGTP、及びdTTP、1×Taqポリメラーゼ緩衝液、並びに2.5UのTaqポリメラーゼ(Perkin-Elmer Corp., Branchburg, NJ)を含む。反応液は、Ericomp TwinBlock (商標)Systemにおいて、以下の通りにプログラムされてインキュベートされた:95℃で5分間1サイクル、95℃で1分間、55℃で1分間、そして72℃で2分間を各30サイクル。
【0100】
PCR産物は、引き続いて、TAクローニングキットを取扱い説明書に従い用いてpCRII内にサブクローニングした。次に、形質転換体が、QIAwell−8プラスミドキット(Qiagen, Inc., Chatsworth, CA)を取扱い説明書に従い用いて、形質転換体からプラスミドDNAを抽出し、そして正確なサイズのフラグメントの存在を確認するためにNsiIでプラスミドDNAを制限消化し、そしてPCR産物を確認するために例1に記載の方法に従いDNAを配列決定することによってスクリーニグした。正確な形質転換体に由来するブラスミドは、引き続き、NsiIで消化され、1%アガロースゲルで分離され、そしてFMC SpinBindキットを取扱い説明書に従い用いて精製した。
【0101】
pKS6は、アスペルギルス・ニジュランスのpyrG遺伝子を除去するためにNsiIで消化され、pBANe15(図7)を産生するために、上述した完全長のamdS遺伝子のNsiIフラグメントで置換された。
【0102】
例3:pDBEL1及びその変異体の構築
プラスミドpBANe8及びpBANe15をそれぞれPacI及びSwaIで消化した。消化後、25μlの各反応液は、40mMのTris−酢酸−1mM EDTA二ナトリウム(TAE)緩衝液を用いて、1%のアガロースゲル上での電気泳動にかけられた。適切なサイズのフラグメント(6904bpのpBANe15フラグメント及び908bpのリパーゼフラグメント)をゲルから切り出し、そしてQiagen Gel Extraction キット(Qiagen, Inc., Chatsworth, CA)を、取扱い説明書に従い用いて精製した。これらのフラグメントは、アスペルギルス・ニジュランスのamdS遺伝子、pBANe15由来のアスペルギルス・オリザエのアルファアミラーゼプロモーター及びアスペルギルス・ニガーのグルコアミラーゼターミネーター、並びにpBANe8由来のフミコラ・ラヌギノサのリパーゼ遺伝子を含む、pDBEL1(図8)を産生するために、T4 DNAリガーゼで共にライゲーションされた。pDBEL1におけるフミコラ・ラヌギノサのリパーゼ遺伝子の上流にある翻訳開始領域のヌクレオチド配列は、−3位にAのヌクレオチドを含む、CATTTAAAGATG(配列番号13)であることが決定された。
【0103】
フミコラ・ラヌギノサのリパーゼ遺伝子の上流の−3位は、Stratagene QuikChange (商標)Site-Directed Mutagenesis キット(Stratagene Cloning Systems, La Jolla, CA)を、取扱い説明書に従い用いて、そして以下に列記したプライマーを用いて変化させた。pDBEL1の3つの変異体は、−3位のヌクレオチドのみが異なる様に産生された。
【表4】
Figure 0004927281
【0104】
プライマー9及び10はpDBEL1Tを産生するために、プライマー11及び12はpDBEL1Cを産生するために、そしてプライマー13及び14はpDBEL1Gを産生するために使用した。各反応液は、以下の成分:100ngのpDBEL1、50pmolの上流プライマー、50pmolの下流プライマー、200μMの各dATP,dCTP,dGTP、及びdTTP、1×Taq DNAポリメラーゼ緩衝液(Invitrogen, San Diego, CA )、並びに2.5ユニットのTaq DNAポリメラーゼ(Perkin-Elmer Corp., Branchburg, NJ)を含む。反応液は以下の通りにプログラムされたPerkin-Elmer Model 9600 Thermocycler内でインキュベートされた:95℃で30秒間1サイクル、引き続いて95℃で30秒間、55℃で1分間、そして68℃で14秒間12サイクル。PCR反応液は、非変異型の親DNAを消化するために10ユニットのDpnIで処理した。当該反応液は、続いて、Stratagene QuikChange (商標)Site-Directed Mutagenesis キットのプロトコールに従い、E.コリのXL1−Blueのスーパーコンピテント細胞を形質転換させるために使用された。
【0105】
pDBEL1変異体(pDBEL1T,pDBEL1C,pDBEL1G)のヌクレオチド配列は、蛍光標識したヌクレオチドによるTaqポリメラーゼサイクル配列決定を用いて決定された。配列決定反応は、Applied Biosystems Automatic DNA Sequencer Model 377のversion 3.0上での電気泳動にかけられた。使用した配列決定プライマーを以下に列記する。
【表5】
Figure 0004927281
【0106】
pDBEL1変異体のヌクレオチド配列は以下の通りである:
【表6】
Figure 0004927281
【0107】
例4:アスペルギルス・オリザエのBANe3の構築
アスペルギルス・オリザエのHowB711を、25mlの0.5%酵母抽出物−2%グルコース(YEG)培地中で24時間、37℃及び250rpm で生育した。続いて、菌糸をMiracloth (Calibiochem, La Jolla, CA)を介する濾過によって回収し、そして蒸留水で3回洗浄した。過剰な水は菌糸調製物から排出し、続いてこれを液体窒素中で凍結させた。凍結した菌糸体調製物を、乳針及び乳棒で細かい粉末にすりつぶし、そして当該粉末を、20mlの10mM Tris−1mM EDTA(TE)緩衝液及び5mlの20%w/vドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む使い捨てのプラスチック製遠心管に加えた。混合物は、混合を確かなものにするために、おだやかに複数回反転させられ、そして等量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1 v/v/v)で抽出された。酢酸ナトリウム(3M溶液)を、最終濃度が0.3Mになる様に抽出試料に加え、引き続いて2.5倍量の氷冷エタノールをDNA沈澱させるために加えた。管を15,000×gで30分間遠心し、DNAをペレット化させた。DNAのペレットを30分間風乾させ、その後0.5mlのTE緩衝液中で再懸濁された。DNアーゼを含まないリボヌクレアーゼAを、濃度が1ml当たり100μgになるまで再懸濁したDNAのペレットに加え、そして次に混合物を37℃で30分間インキュベートした。プロテイナーゼK(200μg/ml)を加え、そして管を更に1時間インキュベートした。最後に、試料はフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコールで2回抽出され、そしてDNAをエタノールで沈澱させた。沈澱したDNAを70%エタノールで洗浄し、減圧下で乾燥させ、TE緩衝液中で再懸濁し、そして4℃で保存した。
【0108】
amdS遺伝子は、以下に示すプライマー15及び16を用いて、上述の様に単離した、アスペルギルス・オリザエのHowB711のゲノムDNAからPCR増幅した。当該プライマーは、Gomi et al. (1991, Gene 108: 91-98)に報告されているアスペルギルス・オリザエのamdS遺伝子に基づいている。反応液は以下の成分:200ngのゲノムDNA、50pmolの上流プライマー、50pmolの下流プライマー、200μMの各dATP,dCTP,dGTP、及びdTTP、1×Taq DNAポリメラーゼ緩衝液(Invitrogen, San Diego, CA )、並びに2.5ユニットのTaq DNAポリメラーゼ(Perkin-Elmer Corp., Branchburg, NJ)を含む。反応液は、以下の通りにプログラムされたEricomp TwinBlock (商標)System内でインキュベートされた:95℃で5分間1サイクル、引き続いて95℃で1分間、55℃で1分間、そして72℃で1.5分間30サイクル。
【表7】
Figure 0004927281
【0109】
10μlの反応液を、TAE緩衝液を用いて、1%アガロースゲル上での電気泳動にかけた結果、これは2660bpの産物を生成していた。この2660bpのフラグメントをpCRII内にサブクローニングし、そしてTAクローニングキットを用いて、取扱い説明書に従い、One Shot Cells(E.コリTOP10のコンピテント細胞)を形質転換せしめた。当該ヌクレオチド配列は、Applied Biosystems Automatic DNA Sequencer (Model 373A, version 1.2.0 )を用いるM13下流(−48)及びM13上流(−20)プライマーの蛍光標識ヌクレオチドによる、Taq DNAポリメラーゼサイクル配列決定を用いて、PCR産物がamdSであることを確認するために決定された。
【0110】
pUC4Lは、pUC4K(Pharmacia, Uppsala, Sweden)をPstIで消化し、そして消化されたプラスミドをウシアルカリホスファターゼで処理することによって構築された。消化したプラスミドは、TAE緩衝液を用いる1%アガロースゲル上での電気泳動にかけられ、そして3.9kbのバンドがゲルから切り出された。切り出したDNAは、Prep−a−Geneキット(BioRad, Hercules, CA)を用いて精製した。以下の自己相補的オリゴヌクレオチドが、pUC4K−PstI内のリンカーを作製するために使用された。
【表8】
Figure 0004927281
【0111】
前記オリゴヌクレオチドを1.0mMのATPの存在下で、標準的な条件のもとT4キナーゼで処理し、68℃で30分間加熱し、そして30分間、ゆっくりと室温にまで冷却することによってアニーリングさせた。アニーリングしたプライマー及び消化したpUC4Kを共にライゲーションさせ、そしてE.コリのDH5αを形質転換させるために使用した。コロニーは、DNAを単離し、そしてXbaIによって、そして更にStuIとScaIによってDNAを制限消化することによってスクリーニングした。pUC4Lは、Wizard Midiprepキット(Promega, Madison, WI)を用いて単離した。
【0112】
pUC−4AN.pyrG1&2(図9)は、EcoRVでpUC4Lを消化し、そして消化したプラスミドをウシアルカリホスファターゼで処理することによって構築した。消化され、そしてリン酸化されたpUC4Lは、約3.9kbのフラグメントを単離するために、TAE緩衝液による1%アガロースゲルを用いる電気泳動にかけられた。3.9kbのEcoRVフラグメントを切り出し、そしてBioRadのPrep−A−Geneキットを用いてゲル精製した。精製したEcoRVフラグメントは、pPYRG1(Fungal Genetics Stock Center, Kansas City, KS )由来のアスペルギルス・ニジュランスpyrG遺伝子を含む約1.6kbのフラグメントとライゲーションされた。pPYRG1は、ScaI及びNdeIで消化され、そして次に、末端を埋めるためにdNTPの存在下、クレノーフラグメントで処理された。当該フラグメントは、TAE緩衝液を用いる1%アガロースゲル上での電気泳動にかけられ、そして1.6kbのアスペルギルス・ニジュランスのpyrGフラグメントを含むバンドを切り出した。pyrGフラグメントは、BioRadのPrep−A−Geneキットを用いて精製した。
【0113】
pUC4LとpyrGフラグメントのライゲーションは、E.コリのDH5αを形質転換するために使用された。形質転換体は、プローブとして、pJeRS4(米国特許第5,861,280号)から1.7kbのフラグメントとして得られた、アスペルギルス・オリザエのpyrG遺伝子を用いるハイブリダイゼーションによってスクリーニングされた。4つのポジティブなコロニーが同定され、そして更に、アスペルギルス・ニジュランスのpyrg1遺伝子の存在を確認するために、XbaIで制限消化することによって解析された。
【0114】
アスペルギルス・オリザエのamdS位の破壊のためのカセットを得るために、amdS遺伝子内の800bpのNsiIフラグメントを欠失させ、そして以下の様にアスペルギルス・ニジュランスのpyrG遺伝子によって置換した。amdS遺伝子は、EcoRIで消化することによってpCRIIベクターから切り出され、そして引き続きpBANe11(図10)を産生するために、pUC118内にサブクローニングされた。
【0115】
pUC4−AN.pyrG1&2はNsiIで消化され、そしてpyrG遺伝子を含む1.6kbのフラグメントが、TAE緩衝液を用いる1%アガロースゲルでの電気泳動によって単離され、そして次にFMC SpinBindキットを用いて精製された。精製したフラグメントはエタノール沈澱され、そして30μlのTE中で再懸濁された。amdS遺伝子を破壊するために、pBANe11は800bpのフラグメントを切り出すためにNsiIで消化され、そして1.6kbのアスペルギルス・ニジュランスのpyrG遺伝子は、pBANe12(図11)を産生するために挿入された。pBANe12はEcoRIで消化することによって直線化され、そしてフラグメントはFMC SpinBindキットを用いて精製された。この直鎖性フラグメントは、アスペルギルス・オリザエのHowB425を形質転換するために使用された。
【0116】
アスペルギルス・オリザエのHowB425は、130rpm で振盪しながら、150mlのYEG培地中で34℃で16〜18時間生育された。菌糸は、0.2μmのフィルターを介して、約10mlのものがフィルター上に残るまで濾過することによって回収し、約50mlの1M MgSO4 ・7H2 O(0.2μmのフィルターを濾過したもの)を用いて洗浄し、そして次に滅菌したスパチュラで回収し、そして125mlのアーレンマイヤー(Ehrlemmeyer)フラスコ中に据えた。当該菌糸は、引き続き20mlの1M MgSO4 ・7H2 O中の5mg/mlのNOVOZYM 234(商標)(Novo Nordisk A/S, Bagsvaerd, Denmark)を用いて再懸濁された。懸濁液は、プロトプラストを産生するために、80rpm でおだやかに振盪しながら約30分間34℃でインキュベートされた。
【0117】
125mlのアーレンマイヤーフラスコ中の中身を、引き続き滅菌したMiraclothを介して、30mlのポリプロピレン遠心管中に濾過し、そしてMiraclothを20mlの2Mソルビトールで洗浄した。管にキャップをし、おだやかに混合し、そしてプロトプラストを回収するために、スインギングバケットSorval RT6000ローター内で、3000×gで15分間遠心した。上清を回収し、そしてプロトプラストを1mlの1Mソルビトール中で再懸濁した。1Mのソルビトールで体積を30μlに増やし、そして2000×gで10分間遠心した。洗浄は、STC(1.2Mソルビトール−10mM Tris−10mM CaCl2 ・2H2 O、pH7.5)を用いて繰り返した。プロトプラストは、STC中で、1ml当たり2×107 の終濃度に再懸濁された。
【0118】
アスペルギルス・オリザエのHowB425の形質転換は、1ml当たり2×107 個のプロトプラストの濃度のプロトプラストで行った。100μlのプロトプラストを、pBANe12由来の5μgのEcoRIフラグメントと一緒に、氷の上に30分間据えた。1mlのSPTC(40%ポリエチレングリコール4000−0.05M CaCl2 −0.8Mソルビトール−0.05M Tris、pH8.0)を加え、そしてプロトプラストを37℃で20分間インキュベートした。5mlのSTCが、フルオロアセトアミドを有する最小培地又は酢酸塩培地上のいずれかに、それぞれ3mlプレーティングする前に各形質転換物に加えられた。プレートは、37℃で5〜7日間インキュベートされた。コロニーは、滅菌つまようじを用いて、同一の培地のプレートに突きさされた。コロニーは、胞子をストリーキングし、そして単離したコロニーを突きさすことによって精製した。47個及び65個の形質転換体が、それぞれ最小培地又は酢酸塩培地上で得られた。コロニーは、胞子の精製のために、最初に生育した同一の型の培地にトランスファーされた。
【0119】
推定上の形質転換体の胞子は、25mlのYEG培地中で一晩、37℃で生育された。菌糸はMiraclothを介して濾過され、そして蒸留水で3回すすがれた。過剰な水分を除き、そして菌糸を液体窒素中で凍結し、そして乳針及び乳棒を用いて、細かい粉末にすりつぶされた。Purgene DNA Isolation キット(Gentra Systems Inc., Minneapolis MN )は、各形質転換体からゲノムDNAを単離するために使用した。31個の形質転換体が、上述の方法と同一の方法を用いて、上文に示したプライマー15及び16を用いるPCRによってスクリーニングされたが、但し、反応物は95℃で5分間1サイクル、続いて94℃で1分間、55℃で1分間、そして72℃で2分間、それぞれ25サイクルでインキュベートされた。形質転換していないコントロールは、2.66kbのバンドを産生した。前記形質転換体のうちの3つが、amdSの破壊に関して、予想されたサイズ(3370bp)のPCR産物を与えた。
【0120】
3つの推定されるΔamdS菌株は、amdS位が破壊されたことを確認するために、サザンブロットによって解析された。
【0121】
推定上のΔamdS菌株由来の2μgのゲノムDNAは、制限酵素SalI,EcoRI,NotI,BamHI、及びHindIII のそれぞれについて、10μlの1×緩衝液を用いて、37℃で24時間消化された。消化したDNAは、0.6%のアガロースゲル(Seakem Gold, FMC, Rockland, ME)とTAE緩衝液を用いる電気泳動にかけられた。ゲルを変性させ、中和させ、そして20×SSC中に各段階につき30分間浸された。消化したDNAは、Nytran膜(Schleicher & Schuell, Keene, NH )上にSchleicher & Schuell Turbo Blotter (Keene, NH)を用いて16時間トランスファーされた。膜を2×SSC中ですすぎ、そしてUV Stratalinker 2400 (Stratagene Cloning Systems, La Jolla, CA)を用いてUV Stratalinkeされた。Genius System (Boehringer Mannheim, Indianapolis, IN)が膜をプローブするために使用された。膜は、20mlのEasy Hybを用いて、42℃で1時間プレハイブリダイズされた。amdSプローブは、pBANe11 DNA、オリゴヌクレオチド1及び2、5UのTaq DNAポリメラーゼ、並びにBoehringer Mannheim Dig DNA ラベルミックス(Boehringer Mannheim, Indianapolis, IN )を用いてDIG標識された。当該プローブを定量し、そして変性させた後に1ng/mlで加えた。膜は42℃で一晩プローブされた。プローブを除き、そして膜を2×SSC;0.1% SDS中で室温で15分間、2回、そして0.1×SSC;0.1% SDS中で65℃で15分間、2回洗浄した。DIG標識ヌクレオチドの検出は、Lumi−Phos 530を用いる、Boehringer Mannheim によって提供されるプロトコールに従うことによって行われた。膜は、15分間フィルムに暴露された。
【0122】
サザン解析は、菌株のうちの2つ、アスペルギルス・オリザエのBANe1及びBANe2が、2つの隣接領域及び縦列反復配列が、当該DNAをBamHI及びHindIII で消化したときに3500bpの位置で観察された。アスペルギルス・オリザエのBANe3は、破壊カセットの1つのコピーがamdS位に組込まれた、きれいな破壊であると思われる。アスペルギルス・オリザエのBANe3は、BamHIで消化した場合、わずかに2つの、5.2kbの予想されるバンドを有しており、そしてHindIII で消化した場合、6kb及び3.8kbのものを有していた。
【0123】
例5:アスペルギルス・オリザエのBANe3の形質転換
アスペルギルス・オリザエのBANe3は、160rpm で振盪しながら、100mlのYEG培地中で、34℃で16〜18時間生育された。菌糸は、0.2μmのフィルターを介して、当該フィルター上に約10mlのものが残るまで濾過することによって回収され、約20mlの1M MgSO4 ・7H2 O(0.2μMのフィルターを濾過したもの)で洗浄され、そして更に滅菌したループで回収され、そして125mlのアーレンマイヤーフラスコ中に据えられた。続いて、菌糸は15mlの1M MgSO4 ・7H2 O中の75mgのNOVOZYM 234(商標)(Novo Nordisk A/S, Bagsvaerd, Denmark)を用いて再懸濁された。懸濁液は、プロトプラストを産生させるために、50rpm でおだやかに振盪しながら、37℃で約1時間インキュベートされた。
【0124】
125mlのアーレンマイヤーフラスコの中身は、引き続いてMiraclothを介して30mlのCorex遠心管中に濾過され、6mlの0.6Mソルビトール−100mM Tris、pH7.0に上乗せされ、そしてプロトプラストを回収するために、スインギングバケットローター内で15分間、3500×gで遠心された。プロトプラストは、パスツールピペットを用いて緩衝液の界面から回収された。プロトプラストは、引き続いて2倍量のSTC(1.2Mソルビトール−10mM Tris−10mM CaCl・2H2 O、pH7.5)で洗浄され、そして3500×gで5分間遠心された。プロトプラストは、10mlのSTC中で2回洗浄され、そして前文の通りに遠心された。プロトプラストは、STC中で終濃度が1ml当たり1.7×107 個のプロトプラストとなる様に再懸濁された。
【0125】
amdS選別のための、アスペルギルス・オリザエBANe3の形質転換は、1ml当たり1.7×107 個のプロトプラスト濃度でプロトプラストを用いて行われた。10μgのDNA(pDBEL1、pDBEL1T、pDBEL1C、又はpDBEL1G)は、100μlのプロトプラスト、続いて250μlのPEG溶液(60%PEG4000−10mM CaCl2 )に加えられた。混合物を37℃で30分間放置した。4mlのSTCが続いて加えられ、そして混合物が、amdSを選択するCOVEプレート上にプレーティングされた。形質転換体は、胞子をストリーキングし、そして37℃でインキュベートしたCOVEプレートから単離したコロニーを突きさすことによって精製された。
【0126】
例6:リパーゼ産生のための形質転換体の解析
例5で得られたアスペルギルス・オリザエBANe3は、リパーゼの発現のためにアッセイされた。マイクロタイターアッセイのために、MY25倍Aは、49%のガラス蒸留水及び50%の2×MY塩を用いて100倍に希釈された。体積が1.25mlの、1/100の強度のYM25培地が、24穴細胞培養プレートの穴に加えられた。当該穴は、各形質転換体由来の10μlの胞子で接種され、そして当該プレートは100rpm で振盪しながら34℃でインキュベートされた。各形質転換体を3つの穴に接種した。形質転換しなかったアスペルギルス・オリザエBANe3は、3つの穴に接種するために使用した。
【0127】
100μlの試料が、24穴細胞培養プレートの各穴から3日目及び5日目に回収された。各試料を、200μlの4mM CaCl2 −100mM MOPS、pH7.5(MC緩衝液)中の100mMアルファオレフィンスルホン酸塩(AOS)洗剤で希釈し、そして20μlの一定分量を96穴プレートの穴に分配し、続けて200μlの希釈した基質を分配した。リパーゼアッセイの基質は、p−ニトロフェニル酪酸塩の保存基質(21μlのp−ニトロフェニル酪酸塩/ml DMSO)を使用直前にMC緩衝液中で1:50に希釈することによって調製した。標準リパーゼ(LIPOLASE(商標)、Novo Nordisk A/S, Bagsvaerd, Denmark)は、0.02%のAOS洗剤を含む40LU/mlのMC緩衝液を含む様に調製された。標準リパーゼは、使用するまで4℃で保存した。標準リパーゼは、使用直前にMC緩衝液中で1/40に希釈された。プレートリーダーを用いて、405nmの吸光度が、約1分間隔で集められた2つの読み込みの差異として記録された。リパーゼユニット/ml(LU/ml)は、リパーゼの標準と比較して算出された。リパーゼアッセイの結果は、pDBEL1で得られたリパーゼアッセイと比較して表1に示した。
【表9】
Figure 0004927281
【0128】
表1に示した様に、リパーゼの発現は、フミコラ・ラヌギノサのリパーゼ遺伝子が−3位にプリンを含んでいたときに最も高く、中でも−3位がAのヌクレオチドを含んでいたときに最も高かった。−3位がピリミジンを含んでいたとき、リパーゼの発現は有意に低下し、中でも−3位がTのヌクレオチドを含んでいたときに最も発現が低かった。
【0129】
例7:pJaL485及びその変異体の構築
pJaL485(図12)は、短くなったniaD遺伝子及び、フミコラ・ラヌギノサのリパーゼ遺伝子が、NA2プロモーターとアスペルギルス・ニガーのAMGターミネーターとの間に挟まれた発現カセットを含む様に構築された。
【0130】
アスペルギルス・オリザエのniaD遺伝子(Unkles et al., 1989, Molecular General Genetics 218 : 99-104)をコードするプラスミドpSTA14はHindIII で消化され、そして5136bpのフラグメントを精製し、そしてHindIII で消化したpUC19内にクローニングし、プラスミドpToC108を生成せしめた。プラスミドpToC108をBglII−SalIで消化し、そして3700bpのフラグメントを精製し、そしてBglII−SalIで消化したpUC19内にクローニングし、プラスミドpJaL410を生成せしめた。このプラスミドは、85個のN末端のアミノ酸が除去された、短くなったnia遺伝子をコードする。
【0131】
プラスミドpJaL410はSacI−PstIで消化され、そしてクレノー及びdNTPで処理され、そして6018bpのフラグメントを精製し、そして再びライゲーションしてプラスミドpJaL420を生成せしめた。pJaL420のBamHI部位は、Chameleon Donble-Stranded Site-Directed Mutagenesis キット(Stratagene Cloning Systems, La Jolla, CA)を、取扱い説明書に従い用いることによってサイレントな突然変異を作り出すことによって除去し、pJaL423を与えた。BamHI部位は、BamHI部位のTを、以下のプライマーを用いてCに変えることによって破壊した。
【表10】
Figure 0004927281
【0132】
破壊したBamHI部位周辺の配列決定は、更に下流に、niaD遺伝子内にフレームシフト及びSmaI部位の作製をもたらした、複数の予想されていない変化が存在していることを明らかにした。このフレームシフトを修復するために、pJaL423内の291bpのAccI−DraIフラグメントが、pJaL475を与えるためにpJaL420由来の対応するフラグメントと交換された。
【0133】
短くなったniaD遺伝子をコードする、pJaL475由来の3381bpのHindIII フラグメントが、プラスミドpJaL211のHindIII 部位内にクローニングされ、プラスミドpJaL479が生成した。2位にあるHindIII は、HindIII による部分消化、続くクレノー及びdNTPによる処理によって破壊された。8586bpのフラグメントを精製し、そして再びライゲーションしてプラスミドpJaL485(図12)を生成せしめた。
【0134】
pJaL485におけるフミコラ・ラヌギノサのリパーゼ遺伝子の上流にあるヌクレオチド配列は、−3位にAのヌクレオチドを含む、GGGATCCACCATG(配列番号29)である。
【0135】
pJaL485の6個の変異体は、Stratagene QuikChange (商標)Site-Directed Mutagenesis キットを、取扱い説明書に従い用い、そして以下に列記するプライマーを用いて、フミコラ・ラヌギノサのリパーゼ遺伝子の上流のヌクレオチド配列を変化させることによって産生した。
【表11】
Figure 0004927281
【0136】
プライマー17及び18は、フミコラ・ラヌギノサのリパーゼ遺伝子の−1位においてのみpJaL485と異なるpDBEL2−1Tを構築するために使用された。pJaL485はこの位置にCのヌクレオチドを含むが、pDBEL2−1TはTのヌクレオチドを含む。
【0137】
プライマー19及び20は、フミコラ・ラヌギノサのリパーゼ遺伝子の−2位においてのみpJaL485と異なるpDBEL2−2Tを構築するために使用された。pJaL485はこの位置にCのヌクレオチドを含むが、pDBEL2−2TはTのヌクレオチドを含む。
【0138】
プライマー21及び22は、フミコラ・ラヌギノサのリパーゼ遺伝子の−3位においてのみpJaL485と異なるpDBEL2−3Tを構築するために使用された。pJaL485はこの位置にAのヌクレオチドを含むが、pDBEL2−3TはTのヌクレオチドを含む。
【0139】
プライマー23及び24は、フミコラ・ラヌギノサのリパーゼ遺伝子の−4位においてのみpJaL485と異なるpDBEL2−4Tを構築するために使用された。pJaL485はこの位置にCのヌクレオチドを含むが、pDBEL2−4TはTのヌクレオチドを含む。
【0140】
プライマー25及び26は、フミコラ・ラヌギノサのリパーゼ遺伝子の−4位から−1位においてのみpJaL485と異なるpDBEL2−1−4Tを構築するために使用された。pJaL485はこれらの位置にヌクレオチドCACCを含むが、pDBEL2−1−4TはヌクレオチドTTTTを含む。
【0141】
プライマー27及び28は、フミコラ・ラヌギノサのリパーゼ遺伝子の−9位から−7位及び−5位においてのみpJaL485と異なるpDBEL3を構築するために使用された。pJaL485は−5位にCのヌクレオチド、そして−9位から−7位にヌクレオチドGGAを含むが、pDBEL3は−9位にヌクレオチドTCC、そして−5位にTのヌクレオチドを含む。
【0142】
PCR反応物は、以下の通りにプログラムしたPerkin Elmer 9600 Thermocycler内でインキュベートされた:95℃で30秒間1サイクル、続いて95℃で30秒間、55℃で1分間、そして68℃で14分間をそれぞれ12サイクル。PCR反応物は、10ユニットのDpnIを用いて、変異していない親DNAを消化すべく処理された。消化した反応物は、Stratagene QuikChange (商標)Site-Directed Mutagenesis キットのプロトコールに従い、E.コリのXL1−Blueスーパーコンピテント細胞を形質転換させるために使用された。
【0143】
pJaL485変異体(pDBEL2−1T、pDBEL2−2T、pDBEL2−3T、pDBEL2−4T、pDBEL2−1−4T、及びpDBEL3)のヌクレオチド配列は、蛍光標識したヌクレオチドによるTaq DNAポリメラーゼサイクル配列決定を用いて決定された。配列決定反応物は、Applied Biosystems Automatic DNA Sequencer (Model 377, version 3.0) 上での電気泳動にかけられた。上文で列記した配列決定プライマー(971308及び971309)は、pJaL485変異体の配列決定に使用した。
【0144】
例8:アスペルギルス・オリザエJaL294の構築
定義したアスペルギルス・オリザエniaD変異体の構築のために、置換プラスミドpJaL448(図13)が、niaD遺伝子のC末端部分をアスペルギルス・オリザエのpyrG遺伝子で置換することによって構築した。
【0145】
プラスミドpJaL410(例7に記載したコンストラクト)をKpnIで消化し、そして4307bpのフラグメントを精製し、そして再ライゲーションしてプラスミドpJaL419を生成せしめた。アスペルギルス・オリザエのpyrG遺伝子をコードするプラスミドpJeRS4(米国特許第5,861,280号)をKpnIで消化し、そして1515bpのフラグメントを精製し、そしてKpnIで消化したpJaL419とライゲーションしてpJaL448(図3)を生成せしめた。
【0146】
プラスミドpJaL448は、アスペルギルス・オリザエのpyrG遺伝子(pJeRS4由来の1515bpのKpnIフラグメント)がniaDタンパク質のアミノ酸85〜276をコードする782bpのBglII−KpnIフラグメント及びniaDターミネーターを含む841bpのKpnI−HindIII フラグメントと隣接している二重交差(double cross−over)プラスミドである。
【0147】
アスペルギルス・オリザエJaL250のプロトプラストは、例5に記載したものと同じプロトコールを用いて調製した。pJaL448はXhoIで直鎖化され、そしてアスペルギルス・オリザエJaL250(アスペルギルス・オリザエJaL228のpyrG誘導体)のプロトプラストを形質転換させた。塩素酸塩耐性選択のためのアスペルギルス・オリザエJaL250の形質転換は、1ml当たり1.7×107 個のプロトプラストの濃度のプロトプラストで行った。10μgの直鎖化したpJaL448を100μlのプロトプラストに加えた。250μlの体積のPEG溶液(60%PEG4000−10mM CaCl2 )をその次に加え、そして混合物を37℃で30分間放置した。4mlのSTCを続いて加え、そして混合物を塩酸塩耐性について選択する最小培地プレート上にプレーティングした。当該プレートを5〜7日間37℃でインキュベートした。塩酸塩耐性形質転換体(45個のうち9個)を単離し、そして更に唯一の窒素源としてグルタミン酸塩を有する塩酸塩含有最小培地上で精製した。これらの9個の変異体の、唯一の窒素源としての硝酸塩及び亜硝酸塩上で生育する能力が評価された。3つのものが硝酸還元酵素の構造変異体(niaD)を示す表現型を有しており、すなわち、それらは硝酸塩と共に生育することはできなかったが、唯一の窒素源としての亜硝酸塩上で生育した。
【0148】
pJaL410由来の2kbのKpnIフラグメント又は3.7kbのHindIII フラグメントのいずれかをプローブとした、3つの変異体菌株由来のBamHI、KpnI、及びHindIII で消化したゲノムDNAのサザン解析は、アスペルギルス・オリザエJaL294と表される、わずかに1つの形質転換体が、図2に示した様なniaD位における予想された遺伝子の置換を有していることを証明した。
【0149】
例9:アスペルギルス・オリザエJaL294の形質転換
アスペルギルス・オリザエJaL294のプロトプラストは、例5に記載したものと同じプロトコールを用いて調製した。
【0150】
niaDの選択のためのアスペルギルス・オリザエJaL294の形質転換は、1mL当たり1.7×107 個のプロトプラストの濃度のプロトプラストで行った。10μgのDNA(pDBEL2−1T、pDBEL2−2T、pDBEL2−3T、pDBEL2−4T、pDBEL2−1−4T、pDBEL3、又はpJaL485)を100μlのプロトプラストに加えた。250μlの体積のPEG溶液(60%PEG4000−10mM CaCl2 )をその次に加え、そして混合物を37℃で30分間放置した。4mlのSTCを続いて加え、そして混合物を、niaDを選択するための最小培地プレート上にプレーティングした。プレートを5〜7日間、37℃でインキュベートした。形質転換体は、胞子をストリーキングし、そして37℃でインキュベートした最小培地プレートから単離したコロニーを突きさすことによって精製した。
【0151】
例10:アスペルギルス・オリザエJaL294における組込みイベントの特徴づけ
ゲノムDNAは、以下の手順に従い、全てのアスペルギルス・オリザエJaL294から単離した。各形質転換体は、小さいペトリ皿(60×15mm)中の5mlのYEG培地で、24時間37℃で生育した。続いて、菌糸をWhatman filter paper No.1(Whatman, Springfield Mill, England)を介する濾過によって各培養物から回収し、そして1.7mlの遠心管に移した。菌糸調製物を液体窒素中で凍結させ、そして SpeedVac(Savant Instrument, Inc., Farmingdale, NY)内で1.5時間乾燥させた。凍結した菌糸調製物を滅菌つまようじで細かい粉末にすりつぶした。Qiagen DNeasy キット(QIAGEN, Inc., Valencia, CA)が、凍結した菌糸からゲノムDNAを抽出するために、取扱い説明書に従い使用された。
【0152】
ゲノムDNAをPstIで消化し、そして次にサザンハイブリダイゼーションが、上記のSambrook et al., 1989 に記載の手順に従い、形質転換体内に組込まれたプラスミドの単一コピーが存在しているか否かを決定するために使用された。更に、ゲノムDNAを、形質転換していないアスペルギルス・オリザエJaL294から抽出した。消化物のブロットには、pJaL485から得た0.834kbのniaDフラグメントをプローブとして用いた。当該フラグメントは、Boehringer MannheimのPCR DIG Probe Synthesisキット(Boehringer Mannheim, Indianapolis, IN)を、取扱い説明書に従って用いて、ジオキシゲニンで標識された。当該ブロットを2時間プレハイブリダイズし、そして50℃で、DIG Easy Hyb中で一晩ハイブリダイズした。当該ブロットを洗浄し、そして製造者によって推奨されている通りに処理された。
【0153】
サザンブロットは、pJaL485が8.5kbのバンドを含み、そして形質転換していないアスペルギルス・オリザエJaL294が、niaDのフラグメントをプローブとして用いたときに5.7kbのバンドを含むことを証明した。前記プラスミドの単一コピーが組込まれた形質転換体は、11.7kb及び2.6kbのバンドを含むはずである。前記プラスミドの複数のコピーが組込まれた形質転換体は、同一の11.7kb及び2.6kbのバンド、並びに8.5kbの第3のバンドを含むはずである。前記プラスミドDNAの単一コピーを組込んだそれらの形質転換体を、続いて振盪フラスコ中で生育し、そして次にリパーゼ発現についてアッセイした。
【0154】
例11:振盪フラスコ中の形質転換体の解析
アスペルギルス・オリザエの形質転換体は、125mlのポリプロピレン振盪フラスコ中の、pH6.5の25mlのMY25培地に、170mlの胞子懸濁液(0.01%Tween80+最小培地プレート由来の胞子)を接種し、そして225rpm で振盪フラスコを34℃でインキュベートすることによって培養した。試料を3日目及び5日目に採集し、そして例5に記載の様にリパーゼ活性を測定した。
【0155】
表2は、pJaL485及び全てのその変異体に関する−9位から+3位までのヌクレオチド配列を示す。得られた結果は、pJaL485で得られたリパーゼ活性と比較して以下の表3に示す。
【表12】
Figure 0004927281
【表13】
Figure 0004927281
【0156】
表3に示す様に、−1、−2、又は−4位のヌクレオチドがTのヌクレオチドに変化した場合(pDBEL2−1、pDBEL2−2、及びpDBEL2−4)、野生型プラスミド(pJaL485)と比較して、リパーゼの発現の有意な変化は見られなかった。−3位のヌクレオチドが、Aのヌクレオチド(pJaL485)からTのヌクレオチド(pDBEL2−3)に変化した場合、リパーゼ発現の有意な低下が見られた。しかしながら、−4位から−1位のヌクレオチド全てがTのヌクレオチドに変化した場合(pDBEL2−1−4)、わずかに1つのヌクレオチドが任意の位置で変化したときに見られるもの以上に、リパーゼの発現における低下が存在していた。pDBEL3は、−9から−1位において、アスペルギルスの共通配列を含んでいた。このことは、リパーゼ発現の有意な増大をもたらした。
【0157】
本明細書に記載され、そして特許請求される発明が、本明細書で開示した特定の態様によって範囲が限定されるべきでないのは、これらの態様が本発明の複数の観点の例示を意図しているためである。事実、本明細書で示し、そして説明したものに加えて、本発明の種々の変更が、当業者にとって前述の説明から明らかであるだろう。その様な変更はまた、特許請求の範囲にあることが意図されている。抵触している場合、限定を含む本発明の開示は調整され得る。
【0158】
様々な引用文献を列記しており、これらの開示は、引用によってそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はpJaL292の制限地図を示す。
【図2】 図2はpKS6の制限地図を示す。
【図3】 図3はpBANe13の制限地図を示す。
【図4】 図4はpBANe6の制限地図を示す。
【図5】 図5はpMHan37の制限地図を示す。
【図6】 図6はpBANe8の制限地図を示す。
【図7】 図7はpBANe15の制限地図を示す。
【図8】 図8はp DBEL1の制限地図を示す。
【図9】 図9はp4-AN.pyrG1&2の制限地図を示す。
【図10】 図10はpBANe11の制限地図を示す。
【図11】 図11はpBANe12の制限地図を示す。
【図12】 図12はpJaL485の制限地図を示す。
【図13】 図13はpJaL448の制限地図を示す。

Claims (9)

  1. ポリペプチドの産生方法であって:
    (a)当該ポリペプチドの産生を誘導する培地中で、当該ポリペプチドをコードする第1核酸配列と、これに作用可能に連結した、当該第1核酸配列とは異種の共通翻訳開始配列を含んで成る第2核酸配列を含んで成る糸状菌宿主細胞を培養し(ここで、共通翻訳開始配列の3’末端は、第1核酸配列の開始コドンのすぐ上流にあり、そして共通翻訳開始配列は、配列番号2の核酸配列から成る)、そして
    (b)培養液から当該ポリペプチドを単離すること、
    を含んで成る方法。
  2. 第1核酸配列が前記糸状菌宿主細胞に対して異種のポリペプチドをコードする、請求項に記載の方法。
  3. 前記ポリペプチドがホルモン、ホルモン変異体、酵素、受容体又はその一部、抗体又はその一部、あるいはレポーターである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記酵素が酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、脱離酵素、異性化酵素、又は連結酵素である、請求項に記載の方法。
  5. 前記糸状菌宿主細胞が、同一の産生条件下で培養されたとき、前記ポリペプチドをコードする核酸配列と作用可能に連結した非共通翻訳開始配列を含む真菌細胞と比較して、少なくとも約25%以上のポリペプチドを産生する、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  6. 配列番号2の核酸配列から成る単離された共通翻訳開始配列の核酸
  7. 請求項に記載の核酸と作用可能に連結したポリペプチドをコードする核酸から成る核酸コンストラクト。
  8. 請求項に記載の核酸コンストラクトを含んで成る組換え発現ベクター。
  9. 請求項に記載の核酸コンストラクトを含んで成る組換え宿主細胞。
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