JP4927261B2 - 化粧用粘着シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は化粧用粘着シートに関し、詳しくは額や眉間、目尻などに生じる皺部分に貼付して物理的に皺を伸ばすことによって、皮膚面のたるみを取り除き、皺を除去することを目的とする化粧用粘着シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
美容に関する関心は従来から絶えることがなく、女性にとっては永遠の課題でもある。その中でも、加齢に伴い顔面に生じる皺を除去する方法については、従来から多くの方法が提案されている。
【0003】
例えば、最も確実に皺を除去する方法としては、美容整形手術による物理的除去方法があり、皺が生じた部分を引っ張って強制的に皺を伸ばし、弛んだ皺を切除するという方法である。しかしながら、この方法は手術にて行うために、痛みを伴うと共に傷口が残ることもあり、また、施術費用も高いので、決して最良の方法とは云いがたいものである。
【0004】
また、美容院やエステティックサロンのような専門店で顔面マッサージを行う方法もある。この方法はマッサージによって顔面の皮膚の血行を良くし、新陳代謝を高めて皮膚の血行を良好にして弛みを少なくするものであって、一般的には皺の発生を抑制しようとするものであり、マッサージを用いて一旦生じた皺を除去するのは極めて困難なものである。
【0005】
さらに、近年では皮膚の弛みを少なくするために、ビタミンEなどの有効成分を含有させた栄養クリームを塗布し、リフトアップ効果を狙った製品も開発されている。これらの製品も弛みを防止することを主目的としているので、一旦生じた皺を除去することは困難である。
【0006】
また、皮膜形成性の化粧パッククリームや化粧パックシートによって、顔の汚れを除去したり、潤いを与える方法も美容法としては一般的であるが、これらの方法でも皺を除去することは困難である。
【0007】
上記の各方法においてクリームや乳液を用いた方法では、手指を汚す、塗布操作が煩わしい、などの問題がある。さらに、皮膜形成性の化粧パッククリームや化粧パックシートでは、クリームが乾燥して皮膜化するまで数分〜十数分間待つ必要があるので精神的な苦痛を伴い、パックシートを用いる場合には、皮膚面を予め水や化粧水で濡らすか、シートに水や化粧するを塗布して使用しなければならず、決して取扱性の良好なものとは云えない。
【0008】
また、これら顔用の美容製品は、決して皮膚面にダメージを与えるものであってはならず、製品化に当たっては、皮膚刺激性がないように細心の注意を払わなければならないのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、極めて簡単な操作で皮膚面に適用することができ、しかも皮膚刺激をほとんど生起することなく、物理的に皺を除去する方法を検討した結果、特定の粘着剤層を有する粘着シートを用いることによって、従来にない全く新しい皺除去シートが得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、可撓性を有するシート状基材の片面に粘着剤層が形成されてなる粘着シートであって、粘着剤層が(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分単量体とするアクリル系粘着剤、有機液状成分およびポリペプチドを含有すると共に、架橋処理が施されていることを特徴とする化粧用粘着シートを提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の化粧用粘着シートに用いるシート状基材は、粘着剤層を保持するための機能を有すると共に、皮膚面の曲面に適合するために適度な可撓性を有するものが用いられる。具体的には、酢酸セルロース、エチルセルロースなどのセルロース系フィルムや、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体などのポリオレフィン系フィルム、、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、サーリン、ポリテトラフルオロエチレンなどの単独フィルムやこれらの積層フィルム、各種金属箔、金属蒸着フィルムなどを用いることができる。また、これらの材料からなる繊維から作られた織布や不織布などの布帛、抄紙なども用いることができる。また、上記シート状基材のうち、柔軟性や肌触り性、透湿性などの点からは、紙基材や不織布などの多孔質構造を有する基材を用いることが好ましい。
【0012】
上記した本発明に用いるシート状基材は、プラスチックシートからなる基材の場合には、0.5〜500μm、好ましくは2〜300μm、特に好ましくは5〜150μmの厚みを有するものを採用することが好ましく、紙や不織布などの多孔質基材の場合には、1〜100g/m2 、好ましくは10〜90g/m2 、特に好ましくは15〜60g/m2 の目付量の基材を採用することが好ましい。
【0013】
本発明の化粧用粘着シートにおいて、上記シート状基材の片面に形成される粘着剤層は、皮膚面に簡単に密着して皮膚面を物理的に粘着固定すると共に、貼付中には皮膚刺激性がなく、また、皮膚面から剥離する際には皮膚面に痛みや角質損傷などを与えずに簡単に剥離できるような適度な皮膚接着性を有するものを用いる。
【0014】
具体的には、所謂、乾燥状態の粘着剤を用いるのではなく、有機液状成分を含有させて粘着剤層に適度な潤いと柔軟性を与え、さらに、架橋処理を施すことによって、内部凝集力を補強したものが用いられる。つまり、有機液状成分を含有させることにより、粘着剤層全体が柔軟になって、皮膚面に貼付した際の密着、固定性が向上する。しかも、有機液状成分を含有させているので、貼付している皮膚面に適度な潤い感を与えることができるのである。
【0015】
上記のような粘着剤層を形成するための粘着剤としては、有機液状成分と適度に相溶し、粘着剤層中に有機液状成分をブルーミングさせずに安定的に保持することができるものであれば、限定されるものではなく、粘着特性の調整のしやすさや有機液状成分との優れた相溶性の点から、本発明においては(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分単量体とするアクリル系粘着剤を用いる。
【0016】
このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分単量体とするアクリル系粘着剤のうち、粘着剤層の内部凝集力を向上させるために、側鎖にカルボキシル基を有する単量体との共重合体を用いることが好ましい。さらに、側鎖にカルボキシル基を有する単量体を共重合した粘着剤は、分子内に酸性基となるカルボキシル基を有するので、粘着剤層に適度な内部凝集力を付与し、皮膚面に接着した場合に優れた皮膚接着性を発揮するが、共重合量が多いと皮膚刺激性を発現する原因となる恐れがある。従って、このような場合には、カルボキシル基の一部もしくは全部を中和しておくことが好ましい。
【0017】
本発明において上記アクリル系粘着剤を調製するために用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が2〜18、好ましくは4〜15の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的には(メタ)アクリル酸のエチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、ドデシルエステル、ウンデシルエステル、トリデシルエステルなどを一種もしくは二種以上用いることができる。また、これらのエステルは直鎖状であっても、分岐鎖状でもよいものである。
【0018】
また、側鎖にカルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸などの単量体を用いることができ、こられのうち、皮膚接着力や凝集力の向上などの粘着特性を向上させるために、アクリル酸やメタクリル酸を用いることが好ましい。これらの単量体はアクリル系粘着剤を調製するための全単量体混合物中に3〜50重量%、好ましくは5〜40重量%配合することがよい。
【0019】
なお、本発明において用いられるアクリル系粘着剤には、上記単量体以外に、粘着特性を阻害しない範囲であれば、他の共重合体単量体を共重合させることができる。具体的には、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸などのスルホキシル基含有単量体、ヒドロキシエチル (メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有単量体、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル基含有単量体、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシ基含有単量体、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルピロリドンなどのビニル系単量体などを一種もしくは二種以上用いることができる。これらのうち、架橋処理の際の架橋点の調整や粘着特性の調整のしやすさの点から、カルボキシル基含有単量体やヒドロキシル基含有単量体、アルコキシル基やエーテル基を含有する単量体を用いることが好ましい。
【0020】
また、上記のように側鎖にカルボキシル基を有する単量体を用いた場合には、カルボキシル基による酸性を中和する目的で、アンモニアや、トリエタノールアミンなどのアミン類、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物を所定量配合してカルボキシル基の一部もしくは全部を中和処理することが好ましい。
【0021】
さらに、上記本発明における粘着剤層には、有機液状成分としてエステル化物を用いることが好ましい。エステル化物はアクリル系共重合体との相溶性が良好であり、粘着剤層に柔らかくし皮膚面に対してソフトに接触して密着性が向上するので、本発明の代表的用途である顔面の皺伸ばし用途には最適である。
【0022】
上記エステル化物としては、代表的には炭素数8〜20の一塩基酸または多塩基酸と炭素数14〜20の分岐アルコールとのエステル化物、および/または炭素数14〜20の不飽和脂肪酸または不飽和分岐酸と4価以下のアルコールとのエステル化物が用いられる
【0023】
前者のエステル化物としての炭素数8〜20の一塩基酸または多塩基酸と炭素数14〜20の分岐アルコールとのエステル化物は、粘着剤層に均一に溶解して粘着剤層が皮膚面へ密着する濡れ性を向上させる成分である。炭素数が上記範囲外であると、該エステル化物による上記作用が充分に発揮しにくくなるだけでなく、アクリル系共重合体との相溶性が悪くなり、ブルーミング現象を生じることがある。
【0024】
このような前者のエステル化物としては、具体的にはラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸オクチルドデシル、アジピン酸ジイソステアリル、セバシン酸ジイソセチル、トリメリット酸トリオレイル、トリメリット酸トリイソセチルなどを一種もしくは二種以上配合することができる。
【0025】
また、後者のエステル化物としての炭素数14〜20の不飽和脂肪酸または不飽和分岐酸と4価以下のアルコールとのエステル化物は、粘着剤層に均一に溶解して皮膚面に対する粘着剤層の密着性を向上させる成分である。炭素数が上記範囲外であると、該エステル化物による上記作用が充分に発揮しにくくなるだけでなく、アクリル系共重合体との相溶性が悪くなり、ブルーミング現象を生じる場合がある。
【0026】
このような後者のエステル化物としては、具体的には、ミリストレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸などの不飽和脂肪酸または不飽和分岐酸に、エチレングリコールやプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタンなどの4価以下のアルコールとからなるエステル化物を一種もしくは二種以上配合することができる。
【0027】
上記二種類のエステル化物はそれぞれ単独もしくは組み合わせて、後述する架橋処理が施されたアクリル系共重合体に配合した場合、その配合量はアクリル系共重合体100重量部に対して、エステル化物の総量が30〜100重量部、好ましくは30〜80重量部の範囲になるように調製する。エステル化物の配合量が30重量%に満たない場合には、皮膚面に対する粘着剤層の濡れ性が不充分になる恐れがあり、また、100重量部を超える配合量では、エステル化物が粘着剤層からブルーミングして皮膚面を汚染する場合がある。
【0028】
なお、上記エステル化物は不飽和結合を有するので、大気中の酸素によって酸化劣化して物性変化を起こし、所望の特性を発揮しない恐れがあり、このような場合には自体公知の酸化防止剤を粘着剤層中に配合しておくことが好ましい。
【0029】
また、本発明においては前記した粘着剤層中にポリペプチドを含有させる。ポリペプチドは貼付する皮膚面を保湿するために重要な作用を有するものであり、貼付した皮膚面に充分な潤いを与えると共に、皺伸ばし作用を助長する働きをすると考えられる。
【0030】
このようなポリペプチドとしては、ペプチド結合を有するものであればポリアミノ酸やタンパク質など特に限定されるものではないが、保湿効果を充分に発揮させるためにはコラーゲンタンパク質を用いることが好ましい。また、コラーゲンタンパク質は、その構造状の特徴から、イオン結合や水素結合、ファン・デル・ワールス力によって皮膚面に収着して保湿効果を発揮するのであるが、耐熱性に乏しく、加熱すると変性してゼラチンに分解することが知られている。
【0031】
一般に、粘着シートの製造工程で粘着剤溶液の塗布、乾燥を行う工程があり、加熱操作が必要となるので、コラーゲンタンパク質を配合していると、ゼラチンに分解し、特に、粘着剤層の表層部に存在していたコラーゲンタンパク質がゼラチン化して粘着力の低下を引き起こすようになる。このように本発明の化粧用粘着シートが加熱製造もしくは加熱保存される可能性のある場合には、コラーゲンタンパク質を加水分解して、重量平均分子量を400〜4000、好ましくは500〜2000程度になるように分子鎖を分断したものを用いることが好ましい。このように加水分解されたコラーゲンタンパク質は、コラーゲンタンパク質が本来有する保湿機能を低下させずに、耐熱性を付加することができ、皮膚接着力の低下を招くことがないのである。
【0032】
上記したポリペプチドは粘着剤層の主構成成分であるアクリル系粘着剤100重量部当たり、0.1〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部の範囲で含有させる。ポリペプチドの含有量が0.1重量部に満たない場合には、充分な保湿性を皮膚面に与えることができず、所望する効果を発揮できない恐れがある。一方ポリペプチドの含有量が30重量部を超えると、ポリペプチドと共に含有させている有機液状成分が粘着剤層中から押し出されるようにして滲出し、皮膚接着性の低下を招く恐れが生じる。
【0033】
上記ポリペプチドは粘着剤層中に均一に混合、分散されなければならないが、上記したアクリル系粘着剤は一般的に疎水性が高いので、親水性物質であるポリペプチドはそのままでは均一に混合、分散しがたい。そこで、本発明では前記したように、カルボキシル基を中和する際に用いる中和剤を水溶液の状態でアクリル系粘着剤溶液中に添加し、必要に応じて水を追加添加してポリペプチドを溶解混合することが好ましい。
【0034】
なお、ポリペプチドの添加に際しても、そのまま添加するのではなく、水溶液の状態で添加することによって、混合、分散性が向上するので好ましい。このように粘着剤層を形成する場合、アクリル系粘着剤溶液に水を混合して含水粘着剤溶液を調製し、最終的に乾燥させて無水状態の粘着剤層を形成するのである。含水粘着剤溶液中の含水量としては、0.1〜50重量%、好ましくは1〜50重量%の範囲に調整することが、ポリペプチドの溶解性や均一な粘着剤溶液の調製のために好ましいものである。
【0035】
本発明における粘着剤層には、上記したように有機液状成分およびポリペプチドを必須成分として含有させるが、粘着剤層が可塑化されて内部凝集力が低下しすぎることがあるので、架橋処理を施して粘着剤層に適度な保形性を付与することが重要である。
【0036】
粘着剤層を架橋する方法としては、有機過酸化物やイソシアネート化合物、有機金属塩、金属アルコラート化合物、、金属キレート化合物、エポキシ系化合物、一級アミノ系化合物などの架橋剤を用いた化学的架橋や、電離性放射線を照射してなる物理的架橋を行うことができるが、架橋度合いの調整のし易さや配合しやすさ、ポットライフの点から、有機過酸化物、多官能性イソシアネート化合物、エポキシ系化合物、金属キレート化合物や金属アルコラート化合物を用いた化学的架橋処理を施すことが好ましい。これらのうち、特に好ましくは多官能性イソシアネート化合物やエポキシ系化合物である。
【0037】
上記のようにして粘着剤層を架橋処理することによって、粘着剤層中のアクリル系共重合体は溶剤に対して不溶化される。粘着剤層に適度な内部凝集力を付与するには、アクリル系共重合体の15〜80重量%、好ましくは35〜65重量%を不溶化するように架橋処理することによって、前述した有機液状成分を比較的多量に含有させても、凝集力の低下を生じず、適度な皮膚接着性を維持できるのである。
【0038】
本発明の化粧用粘着シートは、上記の構成からなるものであるが、必要に応じて粘着剤層中に、粘着付与剤や充填剤、顔料、染料などの着色剤、酸化防止剤などの添加剤を適宜配合することができる。
【0039】
また、本発明の化粧用粘着シートは、三角形状や正方形状、長方形状、台形状などの形状を基本にして、額や眉間、目尻などの貼付すべき皮膚面の形状に合わせて適宜変形させて打ち抜き、シート状にすることができる。また、一枚ずつを打ち抜くこともできるが、長尺状のシートとしてミシン目を設けることで、必要な大きさや長さに応じて一枚ずつのシートに切り取って使用できるようにしておくことができる。
【0040】
なお、本発明の化粧用粘着シートにおける粘着剤層には、その露出表面に表面にシリコーン処理やフッ素処理などの剥離処理を施したセパレータにて被覆、仮着して、使用するまで粘着剤層の汚染を防止することができる。また、一枚のセパレータ上に複数枚のシートを併着しておくこともできることは云うまでもない。
【0041】
【発明の効果】
本発明の化粧用粘着シートは、以上のような構成からなるので、額や眉間、目尻などの皺のある皮膚面に貼付しておくだけで、皮膚刺激をほとんど起こすことなく、簡単に皮膚面へ潤いを与えることができ、しかも繰り返し使用することによって、徐々に物理的な作用が働き、皺の除去に効果を発揮するようになる。また、特定のゲル状粘着剤を用いているので、皮膚面に対して極めてソフトに貼着しており、剥離に際しても皮膚の角質層にダメージを与えることがないのである。
【0042】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。なお、以下の文中で「部」とあるのは「重量部」を意味し、「%」とあるのは「重量%」を意味する。
【0043】
実施例1
2−エチルヘキシルアクリレート95部、アクリル酸5部からなる単量体混合物を、酢酸エチルを重合溶媒として溶液重合を行い、アクリル系共重合体を調製した。
【0044】
得られたアクリル系共重合体溶液の固形分100部に、25%アンモニア水を10部添加し、トリオレイン酸ソルビタン50部、加水分解コラーゲンタンパク質(成和化成社製、商品名W−42CP、重量平均分子量1000)0.5部、架橋剤としてのトリグリシジルイソシアヌレート(日産化学社製、商品名TEPIC−G)0.15部を配合して、さらに水を添加して含水率15%の粘着剤溶液を調製した。(アクリル系共重合体の中和度50%)
【0045】
次いで、得られた含水粘着剤溶液を、片面にシリコーン処理を施したセパレータの処理面に、乾燥後の厚みが45μmとなるように塗布し、130℃で5分間乾燥して酢酸エチルおよび水を除去して、粘着剤層を形成した。
【0046】
次に、得られた粘着剤層の表面に、ポリエステル製の不織布(目付量25g/m2 )を貼り合わせて粘着シートを作製し、60℃で3日間加温して熟成し、本発明の化粧用粘着シートを作製した。
【0047】
比較例1
実施例1において、加水分解コラーゲンタンパク質を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして化粧用粘着シートを作製した。
【0048】
比較例2
実施例1において、架橋剤を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして化粧用粘着シートを作製した。
【0049】
比較例3
実施例1において、トリオレイン酸ソルビタンを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、化粧用粘着シートを作製した。
【0050】
実施例2
2−エチルヘキシルアクリレート95部、アクリル酸5部からなる単量体混合物を、酢酸エチルを重合溶媒として溶液重合を行い、アクリル系共重合体を調製した。
【0051】
得られたアクリル系共重合体溶液の固形分100部に、25%アンモニア水を20部添加し、トリオレイン酸ソルビタン50部、加水分解コラーゲンタンパク質(成和化成社製、商品名W−NE、重量平均分子量700)0.5部、架橋剤としてのトリグリシジルイソシアヌレート(日産化学社製、商品名TEPIC−G)0.2部を配合して、さらに水を添加して含水率30%の粘着剤溶液を調製した。(アクリル系共重合体の中和度100%)
【0052】
次いで、得られた含水粘着剤溶液を、片面にシリコーン処理を施したセパレータの処理面に、乾燥後の厚みが60μmとなるように塗布し、130℃で5分間乾燥して酢酸エチルおよび水を除去して、粘着剤層を形成した。
【0053】
次に、得られた粘着剤層の表面に、ポリエステルフィルム(厚さ100μm)を貼り合わせて粘着シートを作製し、60℃で3日間加温して熟成し、本発明の化粧用粘着シートを作製した。
【0054】
実施例3
実施例1におけるトリオレイン酸ソルビタン50部を、ミリスチン酸オクチルドデシル80部に代えた以外は、実施例1と同様にして本発明の化粧用粘着シートを作製した。
【0055】
実施例4
実施例1において調製したアクリル系共重合体を、イソノニルアクリレート93部、アクリル酸7部を共重合して得られるアクリル系共重合体に代えた以外は、実施例1と同様にして本発明の化粧用粘着シートを作製した。
【0056】
上記各実施例および比較例にて得られた化粧用粘着シートについて、アクリル系重合体の不溶化率(ゲル分率)、皮膚接着力、皮膚刺激性、糊残り、保湿性、皺除去性(つっぱり感)を、以下の方法によって評価し、その結果を表1にまとめた。
【0057】
<不溶化率>
各実施例および比較例にて作製した粘着シートから、粘着剤層を約1gサンプリングし、正確にその重量(W0 )を測定した。次いで、各サンプルを酢酸エチル中に4日間浸漬し、酢酸エチル可溶分を抽出した。残渣としての不溶分(ゲル分)を濾別、乾燥してその重量(W1 )を測定した。不溶化率(ゲル分率)の算出は、以下の式によって行った。
【0058】
【数1】
【0059】
<皮膚接着力>
各実施例および比較例にて作製した粘着シートを、幅19mmに裁断し、エタノールで拭ったボランティアの額部に貼付し、1時間経過後に、90度方向に速度300mm/分の速さで剥離し、その際の接着力を測定した。
【0060】
<皮膚刺激性>
上記皮膚接着力試験において1時間貼付後、剥離した際に、以下の判定基準によって、皮膚刺激性を評価した。
〇:僅かに痛みを感じるか、もしくは苦痛に感じない程度の刺激がある。
△:やや苦痛に感じる痛みがある。
×:苦痛に感じる痛みがある。
××:非常に強い痛みを感じる。
【0061】
<糊残り>
上記皮膚接着力試験において1時間貼付後、剥離した際に、以下の判定基準によって、貼付した皮膚面への糊残りを評価した。
〇:糊残りが全くない。
△:端部に糊残りを生じる。
×:1/3以上の面積に糊残りを生じる。
【0062】
<保湿性>
上記皮膚接着力試験において1時間貼付して剥離したのちの保湿感を際に、以下の判定基準によって評価した。
なお、市販の化粧パック用クリームを用い、上記試験と同様にボランティアの額部に塗布したものを対照例とした。
判定基準は以下の通りである。
○:清涼感がある。
△:僅かに清涼感がある。
×:ほとんど清涼感がない。
××:清涼感を感じず、皮膚面がべとつく。
【0063】
<皺除去性(つっぱり感)>
上記皮膚接着力試験において、1時間貼付して剥離した後、1時間経過後の貼付部位のつっぱり感を、以下の判定基準によって評価した。なお、対照例として市販の化粧パック用クリームを用いて、上記試験と同様にボランティアの額部に塗布した。
○:つっぱり感がある。
△:僅かにつっぱり感がある。
×:ほとんどつっぱり感を感じない。
【0064】
【表1】
Claims (6)
- 可撓性を有するシート状基材の片面に粘着剤層が形成されてなる粘着シートであって、粘着剤層が(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分単量体とするアクリル系粘着剤、有機液状成分およびポリペプチドを含有し、
前記アクリル系粘着剤が、側鎖にカルボキシル基を有する単量体を含む単量体混合物を共重合してなり、カルボキシル基の一部もしくは全部が中和されている粘着剤であり、
前記有機液状成分が、炭素数8〜20の一塩基酸または多塩基酸と炭素数14〜20の分岐アルコールとのエステル化物、および/または炭素数14〜20の不飽和脂肪酸または不飽和分岐酸と4価以下のアルコールとのエステル化物であると共に、架橋処理が施されていることを特徴とする化粧用粘着シート。 - シート状基材が、紙基材もしくは不織布である請求項1記載の化粧用粘着シート。
- アクリル系共重合体の15〜80重量%が不溶化されている請求項1記載の化粧用粘着シート。
- ポリペプチドが加水分解されたコラーゲンタンパク質である請求項1記載の化粧用粘着シート。
- 加水分解されたコラーゲンタンパク質の重量平均分子量が400〜4000である請求項4記載の化粧用粘着シート。
- 貼付する被着面が皺部分であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の化粧用粘着シート。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2001016828A JP4927261B2 (ja) | 2001-01-25 | 2001-01-25 | 化粧用粘着シート |
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