JP4926594B2 - ポリ乳酸製熱収縮材の製造方法および該方法で製造されたポリ乳酸製熱収縮材 - Google Patents

ポリ乳酸製熱収縮材の製造方法および該方法で製造されたポリ乳酸製熱収縮材 Download PDF

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本発明は、生分解性を有するポリ乳酸製熱収縮材の製造方法および該方法で製造されたポリ乳酸製熱収縮材に関し、特に、内包した電線や様々な物を結束する目的で、あるいは内包物を外部の衝撃から保護する目的で使用される熱収縮チューブ、熱収縮フィルム、熱収縮シートなどの熱収縮材が利用される分野において、使用後の廃棄処分問題の解決を図るための生分解性製品あるいは部品として利用されるものである。
現在、多くのフィルムや容器に利用されている石油合成高分子材料は、加熱廃棄処理に伴う熱および排気ガスによる地球温暖化、さらに燃焼ガスおよび燃焼後の残留物中の毒性物質による食物や健康への悪影響、廃棄埋設処理地の確保など、その廃棄処理過程についてだけでも様々な社会問題が懸念されている。
このような石油合成高分子材料の廃棄処理の問題点を解決する材料として、デンプンやポリ乳酸に代表される生分解性高分子材料が注目されてきている。生分解性高分子材料は、石油合成高分子材料に比べて、燃焼に伴う熱量が少なく、かつ自然環境での分解・再合成のサイクルが保たれるので、生態系を含む地球環境に悪影響を与えない。生分解性高分子材料のなかでも、脂肪族ポリエステル系樹脂は強度や加工性の点で石油合成高分子材料に匹敵する特性を有し、近年特に注目を浴びている素材である。
脂肪族ポリエステル系樹脂のなかでも、主に植物から供給されるデンプンから製造されポリ乳酸は、近年の大量生産でコストダウンが図られてきており、他の生分解性高分子材料に比べて非常に安価になりつつある点から、現在その応用について多くの検討がなされている。
さらに、ポリ乳酸は、その特性の面から見ても汎用の石油合成高分子材料に匹敵する加工性、強度を有することから、石油合成高分子材料の代替材料にもっとも近い生分解性樹脂である。
しかしながら、ポリ乳酸はガラス転移温度付近で著しい特性の変化を示すという欠点を有している。つまり、ガラス転移温度の60℃以下では非常に硬くて実質的に伸びが殆どなく、変形や衝撃に対する吸収性に乏しくて脆く、ガラスのように割れやすいのに対し、ガラス転移温度の60℃以上では逆に形状が維持できないくらい軟らかくなる。このことが、ポリ乳酸製の樹脂製品の実用化を妨げる要因となっている。
このような著しい特性の変化は、ポリ乳酸の結晶構造に由来している。すなわち、溶融成形後の通常の冷却スピードでは、ポリ乳酸はほとんど結晶化せず、大部分は非結晶となる。ポリ乳酸は融点が160℃と高く、結晶部分は容易に融けないが、大部分を占める非結晶部分はガラス転移温度の60℃付近で拘束が解けて動き始める。そのため、ガラス転移温度の60℃付近で極端な特性変化を生じる。
この種のポリ乳酸を使用した生分解性熱収縮材として、本出願人は特開2005−125674号公報(特許文献1)を提供している。
特許文献1では、ポリ乳酸と低濃度のアリル基を有するモノマーの混合物を放射線の照射あるいは化学開始剤の混合により架橋し、架橋後に延伸させておき、加熱されると収縮する構成としている
特開2005−125674号公報
特許文献1で提供されるポリ乳酸製の生分解性熱収縮材は、熱収縮率は40%〜80%と良好であるが、ポリ乳酸のガラス転移温度である60℃以下、室温付近では硬く、形状を変化させることが困難であり、無理に曲げようとすると割れるおそれがある。熱収縮材は内包物の保護や結束を目的として使用される場合が多いため、このような特性であると使い勝手が余り良くない。
さらに、ポリ乳酸の前記物性は製造コストを下げることの妨げにもなっている。即ち、工業生産上、製造コストを下げるには、数100m〜数kmの長尺品としての製造を可能とすることが必要となる。しかし、ポリ乳酸製の生分解性熱収縮材は、前記のように、常温において硬いために、長尺品として製造することができない。これは、成形から放射線照射、膨張といった各工程間の運搬や保管時においてドラムロールに巻きつけたりして変形したりすることが困難であることによる。よって、熱収縮材には室温付近においてドラムロールに巻きつけることができる程度の柔軟性を備えていることが要望される。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、ガラス転移温度である60℃以下、室温付近でも柔軟性を備え、製造時には巻き取りが可能であり、かつ使用時には十分な熱収縮性能を備え、内包物の形状に合わせた変形に対する靭性を示すポリ乳酸熱収縮材製造方法および該方法で製造されたポリ乳酸製熱収縮材を提供することを課題としている。
本発明者らは、前記した常温において硬い問題を解消して柔軟性を持たせるために、鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸に架橋性モノマーを配合すると共に、更に可塑剤を配合して混練して成形したのち、放射線照射などの方法を利用して分子を架橋したポリ乳酸を、加熱して延伸・膨張させることにより、ガラス転移温度以下、室温付近でも柔軟性を有するポリ乳酸製熱収縮材を製造することができることを見出した。
本発明のポリ乳酸製熱収縮材は、ポリ乳酸を架橋したのち、延伸・膨張などにより変形させたまま冷却し固めることにより得られるものである。使用時に再び加熱して架橋により記憶させた形状に復帰することで熱収縮材としての目的を達成することができる。そのため、ポリ乳酸が過度に架橋されている場合には、ポリ乳酸分子が拘束されることになり、延伸・膨張などによる変形量を大きくすることができないことになり、十分な熱収縮性能を有する熱収縮材を得ることができなくなる。
したがって、熱収縮材としての十分な熱収縮性能を得るには、ポリ乳酸分子の架橋を上限と下限とを有する一定範囲に設定する必要がある。この熱収縮性能が良好である架橋の最適範囲が、可塑剤を除いた成分のゲル分率が80質量%〜90質量%であることを本発明者らは見出した。
前記した知見に基づいて、第1の発明として、ポリ乳酸100質量部に、トリアリルイソシアヌレートからなる架橋性モノマーを1質量部以上4質量部以下、グリセロールトリアセテートからなる可塑剤10質量%以上20質量%以下の割合で配合して混練し
前記混練物から成形機を用いてチューブ、シートあるいはフィルムからなるポリ乳酸成形物を成形し、
前記ポリ乳酸成形物に電離性放射線を10kGy以上20kGy以下で照射して架橋し、可塑剤を除く成分のゲル分率が80質量%〜90質量%のポリ乳酸架橋物とし、
前記ポリ乳酸架橋物を160〜180℃で加熱して2〜5倍延伸させており、
使用時に前記延伸時の温度以上に加熱すると、延伸工程前の架橋により記憶させた形状に収縮できることを特徴とするポリ乳酸製熱収縮材の製造方法を提供している。
また、第2の発明として、前記製造方法で製造され、示差走査熱量計による−50℃から200℃までの熱量解析において30℃以上40℃以下にガラス転移温度のピークを示すポリ乳酸製熱収縮材を提供している
前記のように、本発明のポリ乳酸製熱収縮材では、可塑剤を除く成分のゲル分率が80質量%〜90質量%とされている。
可塑剤を除く成分のゲル分率とは、可塑剤を除いたポリ乳酸熱収縮材の乾燥質量に対する、架橋されているポリ乳酸の乾燥質量の割合を示す。該ゲル分率は下記の方法で測定している。
ポリ乳酸製熱収縮材の乾燥質量を正確に計ったのち、目空き200μmのメッシュのステンレス金網に包み、サンプル質量の100倍以上のクロロホルム中で48時間煮沸したのちに、クロロホルムに溶解したゾル分を除いて残ったゲル分を得る。50℃で24時間乾燥して、ゲル中のクロロホルムを除去し、サンプルの乾燥質量を測定する。得られた値をもとに下記式に基づき可塑剤を除く成分のゲル分率を算出する。
可塑剤を除く成分のゲル分率(%)={a/(b−c)}×100
なお、可塑剤の含有量は、各成分の配合比から算出している。
a;クロロホルム浸漬後のサンプルの乾燥質量
b;クロロホルム浸漬前のサンプルの乾燥質量
c:可塑剤の含有量
前記ゲル分率は低すぎると当然のことながら記憶形状すべきネットワークが形成されず収縮しない。
従来の石油合成樹脂の熱収縮材では収縮に必要なゲル分率が10〜30質量%であるのに対して、本発明では、ポリ乳酸を用いていると共に可塑剤を配合していることで、ゲル分率を80〜90質量%まで高めても熱収縮性を付与できるようにしている
本来、ポリ乳酸は放射線崩壊型の樹脂であるが、架橋されたポリ乳酸は部分的に分解されても一部分が架橋されたネットワークに接続していれば、見かけ上はゲル分率は下がらない。しかし、形状記憶という目的に鑑みれば、このような接続しているものの形状記憶には役立たないゲルの部分が多い構造よりも、架橋しているポリ乳酸分子が多くの点で繋がって網状に強い骨格をなし、かつ、加熱時に自由に動く非架橋の部分が多いほど、収縮力も変形量も高くなって高い収縮率になるといえる。
前記のように、ゲル分率を80〜90質量%とすることで、ポリマー内に無数の三次元網目構造が生成し、ガラス転移温度以上でも変形しない耐熱性も付与することができる。 一方、加熱下での延伸時において、ポリ乳酸の融点以上の温度で加熱して延伸しているため、ポリ乳酸は非結晶部分と共に結晶部分も融けて延伸される。その形状のまま冷却されると非結晶部分と結晶部分が固まって延伸が維持されるが、モノマーによる強固な三次元網目構造が延伸による歪みを記憶している。その後、再び加熱するとガラス転移温度で非結晶部分が融けても結晶部分によって延伸は維持され、融点に達して結晶部分が融けて初めて三次元網目構造に蓄えられていた歪みが解放されて収縮して元の形状に回復する。
特許文献1において、可塑剤を含まない場合、ガラス転移温度以下においてポリ乳酸製熱収縮材の変形を行なうには、分子間の相互作用を低下させるため、未架橋のポリ乳酸成分が含まれていることが必要であった。そのため、特許文献1では可塑剤を含まない場合のゲル分率に評価される架橋の最適範囲は、ゲル分率で50〜70質量%とされるのが最適であるとしていた。
しかし、ポリ乳酸製熱収縮材中に10質量%以上20質量%以下の可塑剤を含有させると共に、ゲル分率を80〜90質量%となるようにポリ乳酸を架橋することにより、ガラス転移温度である60℃以下、さらに室温付近でも柔軟性を備えると共に、熱収縮性能にも優れたポリ乳酸製熱収縮材を作製することができることを本発明者らは見出した。
これは、可塑剤が未架橋のポリ乳酸成分の代わりに、分子間の相互作用を低下させたためであると推定される。すなわち、ポリ乳酸が熱収縮性を示すには、未架橋のポリ乳酸あるいは可塑剤のいずれにしても、架橋されていない成分を20〜40質量%含有することが必要であると認められる。
本発明において、前記可塑剤の配合量の下限を10質量%としているのは、10質量%よりも少ないと室温において十分な柔軟性が得られにくいため、好ましくないからである。逆に20質量%を上限としているのは、可塑剤の種類によっても異なるが、20質量%以上の可塑剤をポリ乳酸に混合することは困難であり、無理に混合しても徐々に可塑剤が析出してきて品質が安定しないため好ましくないからである。
このように、可塑剤を含有しない場合に比べて、可塑剤を含有させると共に、ゲル分率を向上させた十分な架橋を施すことにより、ガラス転移温度である60℃以下、室温付近でも柔軟性を備え、製造時には巻き取りが可能であり、かつ使用時には内包物の形状に合わせた変形に対する靭性のあるポリ乳酸製熱収縮材を作製することができる。
前記10〜20質量%配合する可塑剤としては、ポリ乳酸に混練可能であり、本発明の目的を達成できる可塑剤ならば制限は受けないが、効果が確実であり、ポリ乳酸同士の架橋を妨げない点で、本発明はグリセリン誘導体のグリセロールトリアセテートを用いている
削除
グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、グリセリントリアセテート、グリセリントリブチレート、グリセリントリプロピオネート、グリセリンエーテルアセテート、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンモノアセトモノモンタネートまたはポリグリセリン酢酸エステルなどを挙げることができるが、本発明では、グリセロールトリアセテート(市販例としては有機合成薬品工業(株)社製トリアセチン(商品名))を用いている
削除
本発明で用いるポリ乳酸としては、L−乳酸からなるポリ乳酸、D−乳酸からなるポリ乳酸、L−乳酸とD−乳酸の混合物を重合することにより得られるポリ乳酸、またはこれら2種以上の混合物が挙げられる。なお、ポリ乳酸を構成するモノマーであるL−乳酸またはD−乳酸は化学修飾されていても良い。
本発明で用いるポリ乳酸としては前記のようなホモポリマーが好ましいが、乳酸モノマーまたはラクチドとそれらと共重合可能な他の成分とが共重合されたポリ乳酸コポリマーを用いても良い。コポリマーを形成する前記「他の成分」としては、例えばグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、5−ヒドロキシ吉草酸もしくは6−ヒドロキシカプロン酸などに代表されるヒドロキシカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸もしくはイソフタル酸などに代表されるジカルボン酸;エチレングリコール、プロパンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、グリセリン、ソルビタンもしくはポリエチレングリコールなどに代表される多価アルコール;グリコリド、ε−カプロラクトンもしくはδ−ブチロラクトンに代表されるラクトン類等が挙げられる。
リ乳酸に配合する前記架橋性モノマーとしては、例えば、アクリル系もしくはメタクリル系の架橋性モノマー、アリル系架橋性モノマー等が挙げられ、電離性放射線の照射により架橋できるモノマーであれば特に制限を受けずに用いることができる。
アクリル系もしくはメタクリル系の架橋性モノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
アリル系架橋性モノマーとしては、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルシアヌレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、ジアクリルクロレンテート、アリルアセテート、アリルベンゾエート、アリルジプロピルイソシアヌレート、アリルオクチルオキサレート、アリルプロピルフタレート、ブチルアリルマレート、ジアリルアジペート、ジアリルカーボネート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルフマレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルマロネート、ジアリルオキサレート、ジアリルフタレート、ジアリルプロピルイソシアヌレート、ジアリルセバセート、ジアリルサクシネート、ジアリルテレフタレート、ジアリルタトレート、ジメチルアリルフタレート、エチルアリルマレート、メチルアリルフマレート、メチルメタアリルマレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
橋性モノマーとしては、比較的低濃度で高い架橋度を得ることができることからアリル系モノマーが好適で、なかでもトリアリルイソシアヌレートはポリ乳酸に対する架橋効果が高いために、前記のように本発明で用いている
リアリルイソシアヌレートの市販例としては、日本化成工業(株)製TAIC(商品名,登録商標)が挙げられる。
前記したように、本発明においては、可塑剤がグリセリン誘導体であるグリセロールトリアセテートを用い、架橋性モノマーとしてアリル系モノマーのトリアリルイソシアヌレートを用いている。
前記架橋性モノマーはポリ乳酸100質量部に対して1質量部以上配合されていれば架橋が認められる。
一方、架橋性モノマーの配合量がポリ乳酸100質量部に対して4質量部を超えると、ポリ乳酸に確実に全量を均一に混合するのが困難になり、実質的に架橋効果に顕著な差が出ないことによる。
前記ポリ乳酸組成物には、ポリ乳酸、架橋性モノマー、可塑剤以外に、本発明の目的に反しない限り、他の成分を配合しても良い。
例えば、ポリ乳酸以外の生分解性樹脂を配合しても良い。ポリ乳酸以外の生分解性樹脂としては、ラクトン樹脂、脂肪族ポリエステルもしくはポリビニルアルコール等の合成生分解性樹脂、またはポリヒドロキシブチレート・バリレート等の天然直鎖状ポリエステル系樹脂等の天然生分解性樹脂を挙げることができる。
また、生分解性を有する合成高分子あるいは/および天然高分子を、溶融特性を損なわない範囲で混合してもよい。生分解性を有する合成高分子としては、酢酸セルロース、セルロースブチレート、セルロースプロピオネート、硝酸セルロース、硫酸セルロース、セルロースアセテートブチレートもしくは硝酸酢酸セルロース等のセルロースエステル、またはポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸もしくはポリロイシン等のポリペプチドが挙げられる。天然高分子としては、例えば澱粉として、トウモロコシ澱粉、コムギ澱粉もしくはコメ澱粉などの生澱粉、または酢酸エステル化澱粉、メチルエーテル化澱粉もしくはアミロース等の加工澱粉が挙げられる。
さらに、前記ポリ乳酸組成物には、生分解性樹脂以外の樹脂成分、硬化性オリゴマー、各種安定剤、難燃剤、帯電防止剤、防カビ剤もしくは粘性付与剤等の添加剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉末、タルク、マイカもしくはシリカ等の無機・有機充填材、染料もしくは顔料等の着色剤等を加えることもできる。
前記本発明のポリ乳酸製収縮材の製造方法を詳述すると、前記ポリ乳酸組成物を作製する工程では、ポリ乳酸、架橋性モノマー、可塑剤を、例えばバンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなど公知の方法で混ぜ合わせる。
具体的には、ポリ乳酸の融点以上の温度に加熱し軟化させた状態、あるいはクロロホルムやクレゾール等の溶媒中に溶解または分散した状態とし、そこに可塑剤および所望により他の成分を投入し、均一に混練している。
混練時間は可塑剤や架橋性モノマーの種類や混練時の温度によって適宜選択すればよい。また、混合順序も特に問わず、全ての成分を一度に混ぜ合わせても良いし、一部を予め混ぜ合わせ、得られた混練物に他の成分を混合しても良い。
ついで、再びポリ乳酸組成物を加熱して軟化させて、チューブ、シートあるいはフィルムからなる所望の形状に成形する。これは、加熱して軟化した状態、あるいは溶媒に溶解した状態のまま続けて成形を行ってもよいし、一旦冷却あるいは溶媒を乾燥除去してから再び加熱軟化させて所望の形状に成形してもよい。
前記ポリ乳酸成形物は公知の方法で製造することができる。例えば上述したポリ乳酸、架橋性モノマー、可塑剤および所望により他の成分を含む組成物を、例えば押出成形機、圧縮成形機、真空成形機、ブロー成形機、Tダイ型成形機、射出成形機またはインフレーション成形機等の公知の成形機を用いて、所望の形状に成形することによりポリ乳酸成形物を得ることができる。
ついで、前記ポリ乳酸成形物を架橋している。架橋方法として電離性放射線を照射する方法を用いている。
前記電離性放射線としてはγ線、エックス線、β線またはα線などが使用できるが、工業的生産にはコバルト−60によるγ線照射や、電子線加速器による電子線照射が好ましい。
電離性放射線の照射は空気を除いた不活性雰囲気下や真空下で行うのが好ましい。電離性放射線の照射によって生成した活性種が空気中の酸素と結合して失活すると架橋効率が低下するためである。
前記電離性放射線の照射量は10kGy以上20kGy以下としている。
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本発明のポリ乳酸製熱収縮材は、延伸・膨張の工程において軟化点あるいは融点以上に加熱して十分に柔軟になった状態で変形させ、その変形した状態で冷却する。例えば、シート状の成形品では、加熱したローラーに沿わせた後に回転速度の速いローラーに移して延伸し、その後で、冷却ローラーに移して延伸した状態で冷却している。
また、チューブ状の場合には、チューブが加熱炉内を通った後に低気圧に保った容器内を通るようにして外側に膨張させて、その後に冷却する方法で変形させる。
前記のように、架橋したポリ乳酸成形体を160℃〜180℃で加熱して、延伸している。前記加熱温度は、架橋されたポリ乳酸の非結晶が動き出す温度(ガラス転移温度)が60℃弱、結晶も解ける融点が150〜160℃であることに起因している。
ガラス転移温度以上融点までの範囲(60〜150℃)で延伸すると、ガラス転移温度で非結晶がとけて変形するので、60℃で熱収縮が発生するが、結晶部分は収縮しないため、熱収縮率は大きくならない。よって、熱収縮率を大きくするためには、結晶部分も解ける10℃〜180℃で延伸させておき、160℃以上の160℃〜180℃で収縮させることにより、熱収縮率を40〜80%と大きくすることができる
上記加熱条件下で、延伸倍率を2〜5倍としている。これは、ポリ乳酸類の生分解性熱収縮材では、熱収縮率を40〜80%としていることに対応している。
なお、熱収縮率は、延伸倍率にかかわらず、140℃までの温度では5%以下であり、150℃で40%前後である。しかし、160℃以上に加熱すると、65〜70%となるため、延伸倍率は2倍以上3倍以下、より好ましくは2.5倍以下としている。延伸は1軸、2軸、多軸のいずれでも良く、ロール法、テンター法、チューブ法等の方法で延伸している。
よって、延伸時の温度を160〜180℃とすれば、160℃以上の加熱で収縮し、強固な三次元網目構造より熱収縮率を40〜80%と飛躍的に高めることができる。
より簡易に熱収縮チューブを得るには、例えば、融点を超える200℃の恒温槽内に入れて加熱した後に、チューブの内径よりも小さい径から内径よりも大きい径に直径が変化する金属棒をチューブ温度が冷める前にチューブに挿入して径を広げ、挿入状態で冷却すればよい。
このようにして得られる前記ポリ乳酸製熱収縮材は、示差走査熱量計による−50℃から200℃までの熱量解析において、30℃以上40℃以下にガラス転移温度のピークを示すものとしている。本発明のポリ乳酸製熱収縮材はポリ乳酸のガラス転移温度である60℃における熱収縮を発生せず、ガラス転移温度のピークが30〜40℃にシフトする。そのため、ポリ乳酸のガラス転移温度である60℃および室温付近における物性の急激な変化を発生させず、常温で適度の柔軟性を保持する。
なお、示差走査熱量計による熱量解析は実施形態に記載の方法で測定している。
また、本発明のポリ乳酸製熱収縮材は、前記のように、その熱収縮率を、160℃以上では40%以上80%以下の範囲としている。熱収縮率とは下記のように定義される。
シートの場合
(長さ)熱収縮率(%)=(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/(収縮前の長さ)×100
チューブの場合
(内径)熱収縮率(%)=(収縮前の内径−収縮後の内径)/(収縮前の内径)×100
本発明のポリ乳酸製熱収縮材は、ポリ乳酸分子の架橋を80〜90質量%の一定範囲に設定すると共にグリセリン誘導体のグリセロールトリアセテートからなる可塑剤を10〜20質量%配合していることにより、製品として十分な熱収縮性を得ることができる。かつ、ガラス転移温度である60℃以下、室温付近でも柔軟性を備えるため、使用時には内包物の形状に合わせた変形に対する靭性を有する。さらに、柔軟であることから製造時には巻き取りが可能であるため、長尺品としての製造が可能となり、製造コストの低減を図ることができる。
このように、本発明は生分解性というポリ乳酸の長所を維持したまま、ガラス転移温度以下において硬くて脆いという欠点を改良するものである。生分解性樹脂本来の目的である石油由来の汎用プラスチックの代替となる可能性を大幅に向上させるものである。
本発明のポリ乳酸製熱収縮材は生分解性を有していることから、自然界において生態系に及ぼす影響が極めて少なく、従来のプラスチックが有していた廃棄処理に関わる諸問題を解決できる。しかも、本発明のポリ乳酸製熱収縮材は、他の生分解性樹脂にはないポリ乳酸特有の透明性を維持したまま、優れた形状復元性を有することから、光ファイバーや光ディスクなどの光学製品への応用が期待できる。また、生体への影響がない点から、生体内外に利用される注射器やカテーテルなどの医療用器具への適用が可能な材料である。
以下に、本発明のポリ乳酸製熱収縮材の実施形態について説明する。
本発明のポリ乳酸製熱収縮材は、ポリ乳酸と架橋性モノマーと可塑剤を含むポリ乳酸組成物からなり、前記ポリ乳酸組成物中に前記可塑剤が10質量%以上20質量%以下の割合で配合され、前記可塑剤を除く成分のゲル分率が80〜90質量%とされている。
前記ポリ乳酸製熱収縮材は以下の方法で製造している。
まず、ポリ乳酸を加熱により軟化させるか、あるいはクロロホルムやクレゾール等のポリ乳酸が溶解しうる溶媒中にポリ乳酸を溶解または分散させる。本実施形態では溶媒を用いず、ポリ乳酸を加熱により軟化させている。
ついで、架橋性モノマー、可塑剤を添加している。
架橋性モノマーとしてはトリアリルイソシアヌレートを、ポリ乳酸100質量部に対して1質量部以上4質量部以下添加している。可塑剤としては、グリセリン誘導体であるグリセロールトリアセテートを、ポリ乳酸組成物の配合量が10質量%以上20質量%以下となるように添加している。
添加後、架橋性モノマーおよび可塑剤が均一になるように撹拌混合する。ついで、溶媒を用いた場合には、さらに溶媒を乾燥除去しても良い。
ついで、前記ポリ乳酸組成物を加熱して軟化させて、チューブ、シート、フィルム等の所望の形状に成形している。これは、一旦冷却あるいは溶媒を乾燥除去してから再び加熱軟化させて所望の形状に成形してもよい。
前記ポリ乳酸組成物の成形は、例えば押出成形機、圧縮成形機、真空成形機、ブロー成形機、Tダイ型成形機、射出成形機またはインフレーション成形機等の公知の成形機を用いて行なうことができる。
ついで、得られたポリ乳酸成形物に電離性放射線を照射し、ポリ乳酸を架橋させ、ポリ乳酸架橋物を得ている。
電離性放射線は、電子線加速器による電子線照射とし、本実施形態では放射線照射量は10kGy以上0kGy以下としている。その結果、得られるポリ乳酸架橋物のゲル分率は、80〜90質量%となっている。
放射線照射量は、電離性放射線照射後に得られるポリ乳酸架橋物のゲル分率が可塑剤を除いて80〜90質量%になることを目安に選択している。
得られたポリ乳酸架橋物を、160〜180℃に加熱させて、2〜5倍延伸させて所望の形に変形させる。なお、延伸に代えて膨張してもよい。
この状態のままガラス転移温度以下に冷却し固めて、本発明のポリ乳酸製熱収縮材を製造している。冷却は放冷により徐々に冷却しても良いが、本実施形態では水冷などにより急冷している。
前記製造方法で得られたポリ乳酸製熱収縮材は、使用時に再び前記延伸時の加熱温度以上に加熱すると、架橋により記憶させた形状に収縮させることができる。
本発明のポリ乳酸製熱収縮材は、可塑剤を10〜20質量%含有させて分子間の相互作用を低下させることにより、ポリ乳酸が過度に架橋するのを防ぐことができるため、延伸・膨張などによる変形量を大きくすることができ、大きな熱収縮性能を備えることができる。
また、前記のように可塑剤を除くゲル分率を80〜90質量%の架橋構造としているため、延伸工程で最大5倍程度まで延伸させることができる一方、融点以上の加熱時に架橋の網目による形状記憶で40〜80%程度収縮させることができる。かつ、融点以上まで加熱されない限り、架橋構造によるネットワークにより形状変形が発生するのを抑止でき、耐熱性を高めることができる。
また、このようにして得られる前記ポリ乳酸製熱収縮材の示差走査熱量計による−50℃から200℃までの熱量解析を行なうと、30℃以上40℃以下の温度領域にガラス転移温度のピークが出現する。熱量解析は、装置として島津製作所(株)製の示差走査熱量計を用い、昇温速度10℃/分、キャリアガスN、アルミニウム製試料容器を用い、試料量10mgで測定している。
削除
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみに限定されるものではない。
(実施例1)
ポリ乳酸を、池貝鉄工(株)製PCM30型押出機を用いてシリンダ温度180℃で溶融押出する際に、ペレットの供給部に、架橋性モノマーと可塑剤をペリスタポンプにて定速滴下してポリ乳酸に添加した。ポリ乳酸として、ペレット状の三井化学(株)製ポリ乳酸レイシア(LACEA)H−440(商品名)、架橋性モノマーとしてはアリル系モノマーである日本化成工業(株)製TAIC(商品名)、可塑剤としてはグリセリン誘導体であるグリセロールトリアセテート(有機合成薬品工業(株)製トリアセチン)を使用した。
その際、架橋性モノマーはポリ乳酸90質量部に対して3質量部となるように、可塑剤はポリ乳酸組成物全体の10質量%になるように、架橋性モノマー液の添加する速度と押出機の速度の比率を調整した。押出品は水冷したのち、ペレタイザーにてペレット化し、ポリ乳酸、架橋性モノマー、可塑剤のペレット状の混練物を得た。
この混練物を、三葉製作所製50mm押出機「SB−50−72」にて、シリンダ温度180℃、ダイス/コアピン径=15mm/13mmでチューブ状に押出したあと水冷して急冷し、内径/外径=10mm/12mmのチューブを作製した。このチューブを、電子加速器(加速電圧2MeV、電流量1mA)により電子線照射した。電子線の照射量は下記の表1に示すように5kGy,10kGy,20kGy,30kGy,40kGyとし、10〜20kGyの照射量を実施例1の照射量とした
(実施例2)
架橋性モノマーの量をポリ乳酸85質量部に対して3質量部、可塑剤の量をポリ乳酸組成物全体の15質量%になるようにしたこと以外は、実施例1と同様にした。
(実施例3)
架橋性モノマーの量をポリ乳酸80質量部に対して3質量部、可塑剤の量をポリ乳酸組成物全体の20質量%になるようにしたこと以外は、実施例1と同様にした。
(比較例1〜3)
電子線の照射を行なわず、照射量を0kGyとしたこと以外は実施例1〜3と同様にして、比較例1〜3とした。
(比較例4)
ポリ乳酸97質量部に対して架橋性モノマー3質量部とし、可塑剤を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にした。
(比較例5)
可塑剤としてトリアセチンの代わりにジカルボン酸系の可塑剤である大八化学製DAIFFATY−101(商品名)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例5とした。
(実施例および比較例の評価)
以上の実施例および比較例で得られたチューブについて、以下の方法で評価を行なった。
(押出チューブの曲げ可能径評価)
押出・水冷後のチューブをロールに巻き取る際に、チューブの変形および割れがなく巻き取れるロールの直径を計測した。
(熱膨張性評価)
前記実施例および比較例のチューブを200℃の恒温槽にチューブを5分入れて加熱した後に、外径20mmの金属棒を挿入して試料の内径を2倍に膨張させた状態で冷却し、ポリ乳酸製熱収縮材となる熱膨張チューブを作製した。
この熱膨張チューブの作製時において、チューブが溶解したり、裂けたりすることがなく熱膨張させることができるかを観察した。
(復元率の評価)
前記熱膨張チューブが熱収縮により熱膨張前の内径に戻るかを評価するため、復元率の評価を行なった。
復元率は、前記熱膨張性評価において熱膨張が可能であったものについて、ドライヤーで加熱してチューブを収縮させて内径を測定し、下記の式から算出した。
復元率(%)={(B−C)/(B−A)}×100
A:膨張前の内径、B:熱収縮前の内径、C:熱収縮後の内径
なお、ゲル分率の評価は前述した通りである。
製造条件の違い(可塑剤の種類および配合量、電子線照射量)と押出チューブの曲げ可能径、熱膨張性、熱収縮率の評価結果を表1にまとめた。また、各試料の可塑剤を除いた成分のゲル分率と電子線照射の関係を図1のグラフに示した。
Figure 0004926594
(実施例および比較例の評価結果)
実施例1〜3のチューブは、図1に示すように電子線照射量100kGyの範囲においてゲル分率が80〜90質量%であり、ポリ乳酸が十分に架橋されていた。また、いずれのチューブも、押出後1m以下の小さな直径のロールに巻きとることができ、かつ、加熱により100%形状の復元が可能であり、熱収縮性能にも優れたものであった。熱収縮加工後は径が広く、膜厚が薄くなったため、多少つぶれやすくはなったが、径方向に圧縮すると弾力もあって柔軟な印象を得た。
電離性放射線を照射しなかった比較例1〜3は熱膨張評価の際に200℃の恒温槽内でチューブが溶解し、チューブを膨張させることができなかったため、熱膨張チューブを作製できなかった。また、図1に示すようにゲル分率も0%に近く、ポリ乳酸がほとんど架橋されなかった。
また、可塑剤を配合しなかった比較例4では、図1に示すようにいずれの電子線照射量の条件においても70質量%以上100質量%以下のゲル分率となり、ポリ乳酸は十分に架橋していた。しかし、電子線照射量5kGyのチューブが膨張可能で100%の熱収縮率が得られた以外は金属棒を挿入するとチューブが裂けて膨張させることができなかった。さらに、直径10mよりも小さいロールには巻き取ることができず、常温において硬く、柔軟性に欠けるものであった。
また、可塑剤としてDAIFFATY−101を用いた比較例5では、図1に示すようにゲル分率が70質量%よりも小さく、ポリ乳酸の架橋が不十分であった。また、熱膨張評価の際に200℃の恒温槽内でチューブが溶解し、チューブを膨張させることができなかった。
このように、比較例1〜5のチューブが常温における柔軟性と熱収縮性能を両立できなかったのに対し、実施例1〜3のチューブはポリ乳酸の架橋が十分になされており、常温における柔軟性と熱収縮性能を兼ね備えていた。
各試料の可塑剤を除いた成分のゲル分率と電子線照射の関係を表すグラフである。

Claims (2)

  1. ポリ乳酸100質量部に、トリアリルイソシアヌレートからなる架橋性モノマーを1質量部以上4質量部以下、グリセロールトリアセテートからなる可塑剤10質量%以上20質量%以下の割合で配合して混練し
    前記混練物から成形機を用いてチューブ、シートあるいはフィルムからなるポリ乳酸成形物を成形し、
    前記ポリ乳酸成形物に電離性放射線を10kGy以上20kGy以下で照射して架橋し、可塑剤を除く成分のゲル分率が80質量%〜90質量%以下のポリ乳酸架橋物とし、
    前記ポリ乳酸架橋物を160〜180℃で加熱して2〜5倍延伸させており、
    使用時に前記延伸時の温度以上に加熱すると、延伸工程前の架橋により記憶させた形状に収縮できることを特徴とするポリ乳酸製熱収縮材の製造方法
  2. 請求項1に記載の製造方法で製造され、示差走査熱量計による−50℃から200℃までの熱量解析において30℃以上40℃以下にガラス転移温度のピークを示すポリ乳酸製熱収縮材。
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