JP4925520B2 - 複合構造物形成用ノズル、複合構造物形成装置および複合構造物形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、脆性材料、金属材料あるいは有機化合物の微粒子を基板に高速で衝突させて基板上にこれらの構造物を形成するノズル、このノズルを組み込んだ構造物形成装置および構造物の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
超微粒子材料をノズルから基材に向けて吹き付け堆積物を作製する方法としては、従来ガスデポジション法(加集誠一郎:金属 1989年1月号)などが提案されている。これは金属やセラミックス等の超微粒子をガス攪拌にてエアロゾル化し、微小なノズルを通して加速せしめ、基材表面に超微粒子の圧粉体層を形成させ、これを加熱して焼成させることにより被膜を形成する方法である。
【0003】
一方で基材上に脆性材料の薄膜若しくは厚膜などの構造物を形成する方法として、例えば本発明者らが提案した特開2000―212766公報に記載されているような脆性材料超微粒子を用いた方法がある。
これは粒径が10nm〜5μmの超微粒子(前記先行技術と異なり加熱蒸発させて得たものではない)に、イオンビーム、原子ビーム、分子ビームあるいは低温プラズマなどを照射することにより、超微粒子を溶融せしめることなく活性化し、この状態のまま基板に吹き付けることで、超微粒子相互の結合を促進するようにしたものである。緻密で良好な膜物性を持ち、基材への良好な密着性を有する堆積物を形成することを特徴とした製膜法である。
【0004】
また、特開平10−202171号公報には、ノズルと基板との間に所定の開口パターンを有するマスクを設け、前記マスクの開口を通して超微粒子材料を前記基板上に噴射し堆積させて微細形状の造形物を形成する方法が開示されている。この方法においては、ノズル、基板及びマスクは独立して駆動が可能であり、それぞれが相対的に移動することを特徴としている。この方法によって肩だれが少なく微細かつ高精度な形状の造形物を作製することが可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような微粒子を加速してノズルから噴射させて基板に衝突させる手法の場合、微粒子の速度はノズルの内壁に近い領域、すなわち微粒子流束の外周領域では流束の中心領域に比べて遅く、そのためこの領域の微粒子の圧粉体からなる堆積物や構造物は密度が上がらなかったり、機械的強度が小さくなるなどの問題点があった。
【0006】
特開平10−202171号公報に記載のように独立して駆動が可能であるマスクを用いる場合においては、ノズルとマスクの位置を相対的に変化させるため、やはり操作中微粒子流束の外周領域を常時除去するには不十分であり、従って堆積物中に強度の弱い構造を部分的に内包するという障害があった。
【0007】
【課題を解決しようとする手段】
すなわち本発明では上記課題を解決すべく、微粒子を基材に向けて噴射させて前記基材表面に前記微粒子の構成材料からなる構造物を形成させる複合構造物形成用ノズルを、ノズル本体と、微粒子を導入するための導入部と、微粒子を噴射させるための開口部と、前記ノズル本体に固着されるとともに該開口部より下流側に延びる変向板を備えたものとし、この変向板は前記開口部より噴射した微粒子流束のうちの速度の遅い成分を基材に到達させない
ための変向板とを具備し、前記変向板は、前記ノズルと前記基材との相対位置が変化する際に、微粒子流束のうち、外周部に当たる中央部よりも速度が遅い流束成分が前記基材に衝突して前記構造物を形成することがないよう、前記ノズルの開口部と前記変向板との相対的な位置が変化しない構成とした。
【0008】
また、本発明では微粒子をノズルから基材に向けて高速で噴射させて基材表面に微粒子の構成材料からなる構造物を形成させる構造物作製装置を、微粒子を含むエアロゾルを発生するエアロゾル発生器と、基材に向けて前記エアロゾルを噴出するノズルと、このノズルに前記エアロゾル発生器で発生したエアロゾルを供給する搬送手段と、前記ノズルまたは基材を相対移動せしめる移動手段とを備え
前記変向板は、前記ノズルと前記基材との相対位置が変化する際に、微粒子流束のうち、外周部に当たる中央部よりも速度が遅い流束成分が前記基材に衝突して前記構造物を形成することがないよう、前記ノズルの開口部と前記変向板との相対的な位置が変化しない構成とした。
【0009】
また、本発明では微粒子をノズルから基材に向けて高速で噴射させて基材表面に微粒子の構成材料からなる構造物を形成させる構造物作製方法において、微粒子をガス中に分散させてエアロゾルを生成する工程と、該エアロゾルを前記ノズルから基材に向けて噴射する工程と、前記ノズルと前記基材との相対位置を変化させることで、微粒子層を複数積層させて前記基材上に前記ノズルの開口面積よりも大きい面積を有する構造物を形成する工程と、を備え、前記噴射工程において、少なくとも基材表面上に最初に微粒子層を形成する場合には、前記ノズルから噴射される微粒子流束のうちの外周部にあたる中央部よりも速度の遅い流束成分が基材へ到達することを阻止することで、前記最初の微粒子層を、前記基材への到達を阻止された速度の遅い流束成分以外の微粒子流束の、基材への選択的な衝突によって構造物を形成するようにした。
【0010】
これらの装置および方法により、ノズルから噴射される微粒子のうち、速度の低い微粒子のみを選択的に除去することで、機械的強度および基材との密着性が低い構造物が形成されると言う不具合を解消することが可能となった。更に、構造物の外周部に見られた肩だれを除くことも可能になる。
【0011】
特にこの変向板の採用は、微粒子として脆性材料微粒子を使用するにおいて、基板をXおよびY方向に操作させてノズル開口に比して大面積の構造物を形成させるような場合に、微粒子流束の外周領域の微粒子がまだ構造物が形成されていない基板表面に、流束の外周領域であるがゆえに最初に到達して密着性が低いアンカー層を形成し、これが基板操作とともに継続的に大面積にわたって形成され、この上に構造物が形成されることによって構造物全体の密着性が低くなるという大きな問題に対して顕著に改善ができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
微粒子(粒径数nm〜数十μm)を搬送ガスを用いて高速で基板に衝突させる手法はガスデポジション法と呼ばれており、金属や半導体、セラミックスの微粒子を含むエアロゾルをノズルより高速噴出させて高速で基板に吹き付け、微粒子の組成をもつ圧粉体(粒子間において化学結合を有さず、で圧力によって押し固められた状態)などの堆積層を形成させる構造物形成法である。そのうち、本発明においては特に脆性材料を含有する構造物を基板上にダイレクトで形成させる方法を微粒子ビーム堆積法(Fine particles beam deposition method)と呼ぶこととする。
【0013】
以下に微粒子ビーム堆積法の原理、及び作用について説明する。
セラミックスは自由電子をほとんど持たない共有結合性あるいはイオン結合性が強い原子結合状態にある。それゆえ硬度は高いが衝撃に弱い。従ってこれらの脆性材料に機械的衝撃力を印加した場合、例えば結晶同士の界面などの劈開面にそって結晶格子のずれを生じたり、あるいは破砕されたりなどする。これらの現象が起こると、ずれ面や破面にはもともと内部に存在し、別の原子と結合していた原子が剥き出しの状態となり、すなわち新生面が形成される。この新生面の原子一層の部分は、もともと安定した原子結合状態から外力により強制的に不安定な表面状態に晒される。すなわち表面エネルギーが高い状態となる。この活性面が隣接した脆性材料表面や同じく隣接した脆性材料の新生面あるいは基板表面と接合して安定状態に移行する。外部からの連続した機械的衝撃力の付加は、この現象を継続的に発生させ、微粒子の変形、破砕などの繰り返しにより接合の進展、それによって形成された構造物の緻密化が行われる。このようにして脆性材料の構造物が形成される。また構造物と基材との界面には、微粒子が衝突する衝撃を受けて微細な凹凸が形成される。こうして構造物が食い込んだアンカー層が形成されることにより、構造物と基材の間に非常に大きな密着力が生み出される。
【0014】
構造物が形成されるか否か、また構造物の強度やアンカー層による基材と構造物との密着強度を語る場合、微粒子の速度の最適化は大きな要因であり、速度の小さい粒子の衝突は、構造物を脆弱にし、かつ密着性を低下させる原因となり好ましくない。これにはノズルの形状に由来する微粒子流束外周部の速度の低い微粒子の存在が大きな要因としてあった。
【0015】
以下に、微粒子ビーム堆積法の一適用例について図に基づき説明する。
遊星ミルにより歪付与を行なった平均粒径0.4μmの酸化アルミニウム微粒子粉体を予め準備して、これを用いて微粒子ビーム堆積法により鉄基板上に構造物を形成させた。図1に使用した微粒子ビーム堆積装置の装置図を示す。
図1では、微粒子ビーム堆積装置10は、窒素ガスボンベ101が、搬送管102を介してエアロゾル発生器103に接続され、その下流側に解砕器104が、さらに下流側に分級器105が設置されている。これらに通じている搬送管102の先に構造物作製室106内に設置されたノズルが配置される。構造物作製室106は真空ポンプ109に接続されている。エアロゾル発生器103は酸化アルミニウム微粒子を内蔵している。
【0016】
以上の構成からなる微粒子ビーム堆積装置10の作用を次に述べる。予め図示しない歪付与装置である遊星ミルにて粉砕することにより、内部ひずみを与えられた酸化アルミニウム微粒子を準備し、これをエアロゾル発生器103内に充填する。窒素ガスボンベ101より搬送管102を通じて混合粉末を装填したエアロゾル発生器103内に窒素ガスを導入し、エアロゾル発生器103を作動させて酸化アルミニウム微粒子を含むエアロゾルを発生させる。エアロゾル中の微粒子は凝集しており、おおよそ100μmの二次粒子を形成しているが、これを搬送管102を通じて解砕器104に導入して一次粒子を多く含むエアロゾルに変換する。その後分級器105に導入して、解砕器104では解砕しきれずにエアロゾル中にまだ存在している粗大な二次粒子を除去してさらに一次粒子リッチなエアロゾルに変換し、導出する。その後構造物作製室106内に設置されたノズルから高速で基板107に向けて微粒子ビームとして噴射させつつ、基板107をXYステージ108により揺動させて、基板107上の一定面積の上に厚膜構造物を形成させた。この際、XYステージ108はプログラムによって運転される。また、構造物作製室106は真空ポンプ109により数kPaの減圧環境下に置かれる。
【0017】
次に、微粒子ビーム堆積法に関して本発明に係る具体的な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
(実施例1)
本発明で用いるノズル30は、図2に示すようにノズル本体301とその上部の10mm×0.4mmの面積を有する開口部302とその上方約10mmほどのところに配置された変向板303とで構成されている。変向板303のスリット幅はノズル開口の長手方向の幅に対して同じか若しくはそれ以下である。
【0018】
以下に上記ノズルを用いて30mm×30mmの面積を有する構造物を作製する場合の一例を図3と共に説明する。前述の従来例同様、基板107はXYステージ109に制御されて、Y軸方向に30mm移動し、次に図示したX軸の矢印方向にピッチ幅5mmを移動した後、先ほど移動した方向とは逆にY軸方向に30mm移動する。以上のプログラム運転を繰り返すことによって微粒子衝突箇所501を開始地点402から矢印403に従って変化させ所望の面積401を確保した。
【0019】
次に本実施例の作用を説明する。
ノズル本体301の開口部302からは従来と同様にして速度の速い微粒子404と速度の遅い微粒子405が噴射され、前述の通り速度の遅い微粒子405は放射状に広がるが、ノズル開口部302の長手方向の両側から噴射された速度の遅い微粒子405は変向板に衝突して変向するため、基板107には到達しない。従って、速度の速い微粒子404のみが基板上にアンカー層を形成するため、均一・均質かつ密着強度の良好な構造物502を得ることが可能となった。
【0020】
更には、構造物502の外周部の断面形状は肩だれが少なく、所望の寸法どおりの構造物が得られた。
【0021】
ここで、厳密には開口部302の短辺方向の両側からも速度の遅い微粒子が噴射されており、この領域の微粒子も変向板によって基板に到達しないようにすることが最も望ましいものの、ノズルの短辺方向が0.4mmと非常に狭くなっておりこのため微粒子流束の速度の遅い成分の領域は極めて少なく、またノズル/基板の相対変位がノズル長辺方向に対しては比較的高速で操作することを受けて、短辺方向の遅い微粒子を除く場合と除かない場合での形成された構造物の密着強度には違いがあらわれなかった。従ってこのようなスリット形状のノズルを用いる場合においては、工業利用上は長辺方向の速度の遅い成分のみに対処した変向板を採用することは有意義である。
【0022】
また、ノズル開口部の形状は四角形でも良いし、円形でも良い。固定された変向板の開口の形状もそれに対応させれば良いし、若しくは微細パターンを有する形状にしても良い。密着強度、硬度などの良好な構造物を得たい場合には、速度の速い微粒子流束404に対して、少なくとも5分の1以下の速度のものを除去することが望ましく、そのように変向板のサイズを決定させればよい。
【0023】
微粒子流束は、場合によっては噴射後に広がりをもつため、変向板のサイズは必ずしもノズル開口の大きさよりも小さくなければならないというわけではない。構造物が形成される適当な微粒子の速度範囲は50〜450m/sである。上記速度は微粒子が有する内部歪と密接な関連を有する。即ち、内部歪があれば50m/sでも構造物を形成できるが、内部歪がないと圧粉体になる。内部歪が小さいと上記の速度は150m/s以上が好ましい。
【0024】
ここで、内部歪と形成される膜厚との関係を速度を一定(250m/s)として実験した。その結果を図4に示す。実験は、純度99.6%の酸化アルミニウム微粒子に遊星ミルを用いて粉砕処理を行い、微粒子のキャラクタリゼーションを変化させた後、超微粒子ビーム堆積法によりアルミニウム基板上に構造物を形成した。微粒子の内部歪はX線回折により測定し、歪量は同微粒子に熱エージングを施して内部歪を除去したものを0%として基準にした。
また、図4中のポイントA,B,Cにおける微粒子のSEM写真(日立製インレンズSEM S−5000)を図5、図6及び図7に示す。
【0025】
図4から1μmの膜厚を得るには0.01〜2.50%の内部歪があれば十分であることが分るが、安定した膜厚を得るには0.1〜2.0%の内部歪が好ましい。クラックと内部歪との関係は、内部歪がない場合には図5に示すようにクラックは発生しないが、内部歪が一定値以上、本件の場合には2.0%以上となると完全にクラックが形成されてしまい、さらには脱落した断片が表面に付着して図6に示すような再凝集状態となってしまう。
【0026】
このように微粒子に歪を与える粉砕処理は、微粒子にかかる粉砕のための衝撃を大きく与えることのできる粉砕手段を用いるのが好ましい。微粒子に比較的一様に大きな歪を付与することができるからである。このような粉砕手段としては、セラミックスの粉砕処理によく用いられるボールミルに比べて大きな重力加速度を与えることの出来る振動ミルやアトライタ、遊星ミルを用いるのが好ましく、とりわけボールミルに比べて格段に大きな重力加速度を与えることの出来る遊星ミルを用いることが最も好ましい。微粒子の状態に着目すれば、クラックは内部歪をキャンセルするものであるので、最も好ましいのは、クラックが生じる直前まで内部歪が高まっている微粒子ということになる。図7に示す状態は若干のクラックが生じているが、十分に内部歪が残されている。
【0027】
以下に微粒子ビーム堆積法の比較例について添付図面を基に説明する。
(比較例)
比較例の微粒子ビーム堆積法に用いるノズルの概略図を図8に示す。ノズル201の上部には10mm×0.4mmの面積の開口部が設けられている。
【0028】
大面積の構造物を作製する場合、ノズルと基板を相対的に2次元で移動させることが必須となり、薄膜を幾重にも重ねていくことになる。図9に30mm×30mmの面積を有する構造物作製プログラムの一例を示す。ただし、図示したノズルは簡略化のため長手方向の断面図で示している。
基板107はXYステージ109に制御されて、Y軸方向に30mm移動し、次に図示したX軸の矢印方向にピッチ幅5mmを移動した後、先ほど移動した方向とは逆にY軸方向に30mm移動する。以上のプログラム運転を繰り返すことによって微粒子衝突箇所408を開始地点402から矢印403に従って変化させ所望の面積401を確保した。
【0029】
以下に比較例の作用を説明する。
ノズル201の開口部202の中心部からは速度の速い微粒子流束404が、開口部202の長辺方向の両側からは速度の遅い微粒子流束405が噴射される。ノズル/基板位置の相対変位により第一層目には、速度の速い微粒子流束404が主立ってアンカー層を形成した堆積層406と、速度の遅い微粒子405のみによってアンカー層を形成した堆積層407が形成される。二層目以上の堆積層は双方の流束の微粒子が散在して不均一に積層した状態となった。
【0030】
ノズルから微粒子が噴射される際の微粒子流束の速度分布はおおよそ図10に示す601で与えられる。噴射される微粒子流束において、ノズル内壁の影響を受けてノズル中心から外側へ向かうに従い含まれる微粒子の速度の低下が見られる。また構造物作製室の真空度が低いため、図に示すように微粒子流束は噴射後ノズル開口面積以上に広がっていく現象も見られている。流束の外周部の微粒子は従って運動エネルギーが小さく、衝突後の基板に対するアンカー効果も小さくなり、基板に対する密着強度が低下する。得られた構造物の中心部602(406と同じ)の密着強度は1112kgf/cm2であったのに対して、外周部603(407と同じ)の密着強度は457kgf/cm2まで低下した。また、速度の遅い微粒子407が積層して堆積物中に散在することにより、堆積物の耐摩耗性や硬度も低下した。また流束の広がりは構造物の外周部での肩だれをひきおこす。
【0031】
【本発明の効果】
以上のように、本発明にかかる前記ノズルを用いることで、ノズルから噴射される速度の遅い微粒子を排除でき、基板との密着強度が高く、その他機械強度にも優れた大面積の構造物を作製することが可能である。
特に、ノズル本体に変向板が固着されているので、基材表面に大面積の構造物を形成すべくノズルが移動しても、確実に速度の遅い微粒子が基材表面に到達することを防止でき、一定以上の速度の微粒子のみを基材表面に打ち付けることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製膜中の微粒子ビーム堆積装置の構造物作製室内概略図
【図2】本発明の微粒子ビーム堆積法に用いるノズルの概略図
【図3】実施例での大面積構造物作製例を示す図
【図4】脆性材料微粒子の内部歪と膜厚との関係を示すグラフ
【図5】図4のポイントAにおける微粒子のSEM写真
【図6】図4のポイントBにおける微粒子のSEM写真
【図7】図4のポイントCにおける微粒子のSEM写真
【図8】従来の微粒子ビーム堆積法に用いるノズルの概略図
【図9】従来技術での大面積構造物作製例を示す図
【図10】微粒子ビーム速度分布を示す図
【符号の簡単な説明】
10…微粒子ビーム堆積装置、101…ガスボンベ、102…搬送管、103…エアロゾル発生器、104…解砕器、105…分級器、106…構造物作製室、107…基板、108…XYステージ、109…真空ポンプ、201…従来型ノズル、202…ノズル開口部、30…ノズル、301…ノズル本体、302ノズル開口部、303…変向板、401…構造物の作製予定面積、402…製膜開始地点、403…基板/ノズルの相対的な移動方向、404…速度の速い微粒子、405…ノズル開口の長編方向の外周から噴射された速度の遅い微粒子、406…速度の速い微粒子404がアンカー層を形成した堆積層、407…速度の遅い微粒子405がアンカー層を形成した堆積層、408…微粒子衝突箇所、501…速度の速い微粒子404の衝突箇所、502…構造物、601…微粒子の速度分布、602…構造物中心部、603…構造物外周部。

Claims (8)

  1. 微粒子を基材に向けて噴射させて前記基材表面に前記微粒子の構成材料からなる構造物を形成させる複合構造物形成用ノズルにおいて、前記ノズルは、ノズル本体と、微粒子を導入するための導入部と、微粒子を噴射させるための開口部と、該開口部より下流側に設けられ、前記開口部より噴射した微粒子流束のうちの外周部にあたる中央部よりも速度の遅い流束成分を前記基材に到達させないようにするための変向板とを具備し、前記変向板は、前記ノズルと前記基材との相対位置が変化する際に、微粒子流束のうち、外周部に当たる中央部よりも速度が遅い流束成分が前記基材に衝突して前記構造物を形成することがないよう、前記ノズルの開口部と前記変向板との相対的な位置が変化しないように構成されていることを特徴とする複合構造物形成用ノズル。
  2. 前記微粒子は、脆性材料の微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の複合構造物形成用ノズル。
  3. 前記開口部はスリット状であり、その長手方向の外縁部に変向板が固定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合構造物形成用ノズル。
  4. 微粒子を含むエアロゾルを発生するエアロゾル発生器と、基材に向けて前記エアロゾルを噴出するノズルと、このノズルに前記エアロゾル発生器で発生したエアロゾルを供給する搬送手段と、前記ノズルを基材に対して相対的に移動せしめる移動手段とを備えた複合構造物形成装置において、前記ノズルは噴射した微粒子流束のうちの速度の遅い成分を前記基材に到達させないための変向板を備えており、前記変向板は、前記ノズルと前記基材との相対位置が変化する際に、微粒子流束のうち、外周部に当たる中央部よりも速度が遅い流束成分が前記基材に衝突して前記構造物を形成することがないよう、前記ノズルの開口部と前記変向板との相対的な位置が変化しないように構成されることを特徴とする複合構造物形成装置。
  5. 前記微粒子は、脆性材料の微粒子であることを特徴とする請求項4に記載の構造物作製装置。
  6. 前記開口部はスリット状であり、
    前記ノズルにおいて、前記スリット状の開口部の長手方向の外縁部に対応する位置に変向板が固定されていることを特徴とする請求項4又は請求項のいずれかに記載の構造物作製装置。
  7. 微粒子をノズルから基材に向けて噴射させて前記基材表面に前記微粒子の構成材料からなる構造物を形成させる構造物作製方法であって、
    微粒子をガス中に分散させてエアロゾルを生成する工程と、
    該エアロゾルを前記ノズルから基材に向けて噴射する工程と、
    前記ノズルと前記基材との相対位置を変化させることで、微粒子層を複数積層させて前記基材上に前記ノズルの開口面積よりも大きい面積を有する構造物を形成する工程と、を備え、
    前記噴射工程において、少なくとも基材表面上に最初に微粒子層を形成する場合には、前記ノズルから噴射される微粒子流束のうちの外周部にあたる中央部よりも速度の遅い流束成分が基材へ到達することを阻止することで、前記最初の微粒子層を、前記基材への到達を阻止された速度の遅い流束成分以外の微粒子流束の、基材への選択的な衝突によって構成することを特徴とした構造物形成方法。
  8. 前記微粒子は、脆性材料の微粒子であることを特徴とする請求項に記載の構造物形成方法。
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