JP4924817B2 - タンタル酸リチウム基板およびその製造方法 - Google Patents

タンタル酸リチウム基板およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、表面弾性波素子等に用いられるタンタル酸リチウム基板に係り、特に、基板の状態に加工されたタンタル酸リチウム単結晶の基板を還元処理してタンタル酸リチウム基板を得る際、処理バッチ間における体積抵抗率のばらつきが低減されたタンタル酸リチウム基板とその製造方法に関するものである。
タンタル酸リチウム(LT)単結晶は、主に携帯電話の信号ノイズ除去用の表面弾性波(SAW)フィルターに用いられる材料である。そして、LT単結晶は、産業的には、主にチョコラルスキー法で、通常、高融点のイリジウム若しくは白金−ロジウム坩堝を用い、TaとLiCOの混合粉を反応させてLT粉末とした仮焼粉を原料とし、窒素−酸素混合ガス雰囲気の電気炉中で育成され、電気炉内で所定の冷却速度で冷却された後、電気炉から取り出されて得られる(非特許文献1参照)。
育成されたLT単結晶は、無色透明若しくは透明感の高い淡黄色を呈している。育成後、結晶の熱応力による残留歪みを取り除くため、融点に近い均熱下で熱処理を行い、さらに単一分極とするためのポーリング処理、すなわち、LT単結晶を室温からキュリー温度以上の所定温度まで昇温し、結晶に電圧を印加し、電圧を印加したままキュリー温度以下の所定温度まで降温した後、電圧印加を停止して室温まで冷却する一連の処理を行う。ポーリング処理後、結晶の外形を整えるために外周研削されたLT単結晶(インゴット)は、スライス、ラップ、ポリッシュ工程等の機械加工を経て基板の状態に加工されLT基板となる。最終的に得られたLT基板はほぼ無色透明であり、体積抵抗率はおよそ1015 Ω・cm程度である。
ところで、このような従来法で得られたLT基板では、表面弾性波素子製造プロセスにおいて、LT単結晶の特性である焦電性のために、プロセスで受ける温度変化によって電荷が基板表面にチャージアップして発生するスパークにより、基板表面に形成したパターンが破壊され、更には基板の割れ等が発生し、素子製造プロセスでの歩留まり低下を引き起こす問題を有している。また、LT基板の高い光透過率は、デバイス製造プロセスの1つであるフォトリソグラフ工程で基板内を透過した光が基板裏面で反射されて表面に戻り、形成パターンの解像度を悪化させるという問題も生じさせている。
そこで、これらの問題を解決するため、特許文献1〜3においては、基板の状態に加工されたLT単結晶の基板をアルミニウム粉末若しくはアルミニウムと酸化アルミニウム混合粉末中において還元処理してLT基板とし、LT基板の吸収端(近紫外)から近赤外波長域における光吸収係数を高めると共に体積抵抗率を低下させ、焦電性による基板表面での電荷のチャージアップを抑制する技術(以下、焦電性抑制処理と略称する場合がある)が提案されている。
しかし、上記焦電性抑制処理を施した際、処理バッチ間における体積抵抗率のばらつきが大きいことや、上記処理を施してもLT基板の体積抵抗率が所望の値にまで下がらず、焦電性抑制効果が十分に発現されないことがあり、処理バッチ間における収率の変動が大きいといった問題が依然として存在した。
Albert A. Ballman:Journal of American Ceramic Society, Vol.48 (1965) 特開2005−119906号公報 特開2005−119907号公報 特開2005−119908号公報
本発明はこの様な問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、還元処理された際の処理バッチ間における体積抵抗率のばらつきが低減されたタンタル酸リチウム基板を提供し、かつ、再現性良く安定して所望の体積抵抗率を有するタンタル酸リチウム基板が得られるタンタル酸リチウム基板の製造方法を提供することにある。
そこで、上記課題を解決するため本発明者が鋭意研究を継続した結果、還元処理後におけるLT基板の体積抵抗率がLT基板に含まれるZr濃度に影響を受けていることを発見するに至り、LT基板に含まれているZr濃度を制御することにより所望の体積抵抗率を有するLT基板が再現性良く安定して得られることを見出すに至った。
すなわち、請求項1に係る発明は、
体積抵抗率が1010Ω・cm未満に制御されたタンタル酸リチウム基板であって、タンタル酸リチウム基板中のZr濃度が100ppm以下であることを特徴とし、
請求項2に係る発明は、
体積抵抗率が1013Ω・cm以下に制御されたタンタル酸リチウム基板であって、タンタル酸リチウム基板中のZr濃度が30ppm以下であることを特徴とするものである。
次に、請求項3に係る発明は、
基板の状態に加工されたタンタル酸リチウム単結晶の基板を還元処理して体積抵抗率が1010Ω・cm未満に制御されたタンタル酸リチウム基板を製造する方法を前提とし、
Zr濃度が500ppm以下の原料融液を用いて育成されたタンタル酸リチウム単結晶から作製されたタンタル酸リチウム単結晶の基板を用いること特徴とし、
請求項4に係る発明は、
基板の状態に加工されたタンタル酸リチウム単結晶の基板を還元処理して体積抵抗率が1013Ω・cm以下に制御されたタンタル酸リチウム基板を製造する方法を前提とし、
Zr濃度が150ppm以下の原料融液を用いて育成されたタンタル酸リチウム単結晶から作製されたタンタル酸リチウム単結晶の基板を用いることを特徴とし、
また、請求項5に係る発明は、
請求項3または請求項4に記載の発明に係るタンタル酸リチウム基板の製造方法を前提とし、
上記還元処理が、基板の状態に加工されたタンタル酸リチウム単結晶の基板をAl粉末若しくはAlとAlの混合粉末に埋め込んで行う還元処理であることを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明に係るタンタル酸リチウム基板によれば、
基板中に含まれるZr濃度が100ppm以下であるため、還元処理後における体積抵抗率が再現性よく安定して1010Ω・cm未満に制御されており、
また、請求項2に記載の発明に係るタンタル酸リチウム基板によれば、
基板中に含まれるZr濃度が30ppm以下であるため、還元処理後における体積抵抗率が再現性よく安定して1013Ω・cm以下に制御されている。
次に、請求項3、5に記載の発明に係るタンタル酸リチウム基板の製造方法によれば、
Zr濃度が500ppm以下の原料融液を用いて育成されたタンタル酸リチウム単結晶から作製されたタンタル酸リチウム単結晶の基板を用いるため、還元処理により再現性よく安定して体積抵抗率が1010Ω・cm未満に制御されたタンタル酸リチウム基板を製造することが可能となり、
また、請求項4、5に記載の発明に係るタンタル酸リチウム基板の製造方法によれば、
Zr濃度が150ppm以下の原料融液を用いて育成されたタンタル酸リチウム単結晶から作製されたタンタル酸リチウム単結晶の基板を用いるため、還元処理により再現性よく安定して体積抵抗率が1013Ω・cm以下に制御されたタンタル酸リチウム基板を製造することが可能となる。
以下、本発明を具体的に説明する。
LTの融点は1650℃と高温なため、原料融液からチョコラルスキー法によりLT単結晶を育成する場合、単結晶育成に用いる電気炉中ではジルコニア(ZrO)を主成分としたジルコニア耐火物が主に用いられている。
ところで、ジルコニアはその融点が2677℃とLTの融点よりも1000℃以上高く、高温度領域で使用することに適した材料ではあるが、1170℃付近で正方晶系から単斜晶系に相転移する際に大きな体積変化を伴うため亀裂を生じてしまう。上記ジルコニア耐火物として、亀裂を抑制するためにCaO、Y等を安定化剤として添加したものが販売されているが、抑制効果は十分ではなく、1回の使用で亀裂が発生し、5〜10数回程度の使用で割れてしまうという問題がある。
そして、上記ジルコニア耐火物2は、図2に示すように坩堝1の周囲や上方に設置されているため、上記亀裂や割れが発生すると原料融液8内に破片が混入し、原料融液8を汚染してしまう。このような汚染された原料融液8から育成された結晶中にはZrが取り込まれる。ここで、LT単結晶育成におけるZrの実効偏析係数(=結晶中Zr濃度/融液中Zr濃度)は、育成条件に依存するが0.1〜0.2である。
一方、上記焦電性抑制処理(還元処理)によるLT基板の変化は体積抵抗率の低下に現れる。通常のLT基板の体積抵抗率は上述したように1015Ω・cm程度若しくはこれ以上と非常に高抵抗率で絶縁体であるが、焦電性抑制処理(還元処理)を施すことによってLT基板の抵抗率は1013Ω・cm以下と電気伝導性が高くなる。これは、上記焦電性抑制処理(還元処理)によりLT基板中に酸素空孔が導入されると、チャージバランスをとる必要から一部のTaイオンの価数が5+から4+に変わることで、キャリアである電子がTa5+イオンとTa4+イオンの間を移動するために生じると考えられる。
しかし、1ppm〜1000ppm範囲の様々なZr濃度を有するLT単結晶の基板を用いて、本発明者が、先に示した特許文献1〜3に記載されている焦電性抑制処理(還元処理)の実験を試みたところ、体積抵抗率10〜1010Ω・cm未満のLT基板を得るにはLT単結晶中のZr濃度が100ppm以下、体積抵抗率1010〜1013Ω・cmのLT基板を得るにはLT単結晶中のZr濃度が30ppm以下であることが必要で、これ等Zr濃度の条件を満たさない場合に所望の体積抵抗率を有するLT基板が再現性よく安定して得られないことが判明した。
そして、LT単結晶が上記Zr濃度の条件を満たさない場合に所望の体積抵抗率を有するLT基板が再現性よく安定して得られない原因について検討した結果、LT単結晶中に取り込まれたZrが、バンドギャップ内に不純物準位を形成し、電子をトラップすることが考えられた。すなわち、Zr濃度が高いLT単結晶の基板を用いて上記焦電性抑制処理(還元処理)を行い、結晶中の酸素空孔を増加させて電気伝導度を高めるキャリアである電子(自由電子)を増やそうとした場合、生じた自由電子の一部がZrによる不純物準位にトラップされてしまうため結晶中の自由電子を増やすことができず、この結果、LT基板の体積抵抗率を所望の値まで低下させられないためと考えられる。
このような場合、還元処理条件を強く設定し、LT基板中における酸素空孔濃度をZrの不純物準位によるトラップが無視できる程度まで高くすることにより、LT基板の体積抵抗率を所望の値まで下げることは可能である。しかし、通常の基板と較べて、結晶中の酸素空孔濃度を非常に高くする必要があるため、LT基板の機械的強度が低下し割れ易くなる弊害を生ずる。
ところで、体積抵抗率が1010Ω・cm未満である低抵抗のLT基板の製造条件は、体積抵抗率が1010Ω・cm以上のLT基板の製造条件と較べて還元処理により酸素空孔が高い濃度でLT基板中に導入されるため、結晶中における自由電子の密度は高い。従って、LT基板中のZr濃度による体積抵抗率への影響は、体積抵抗率が1010Ω・cm以上のLT基板と較べて少ないと考えられる。反対に、体積抵抗率が1010Ω・cm以上のLT基板においては、体積抵抗率が1010Ω・cm未満のLT基板と較べて還元処理によって増加する自由電子の密度が低いため、結晶中におけるZrによってトラップされる電子の割合は高く、Zr濃度に非常に敏感となる。これらのことから、基板の機械的強度に影響を与えることなく所望の体積抵抗率を有するLT基板を製造するには、少なくとも基板中のZr濃度を100ppm以下にする必要があり、特に、自由電子濃度のより高精度な制御が必要となる体積抵抗率1010〜1013Ω・cmのLT基板を製造するには、基板中のZr濃度を30ppm以下にする必要がある。尚、Zr濃度が30ppm以下であれば、当然のことながら10〜1010Ω・cmの体積抵抗率を有するLT基板は問題なく製造することができる。
ここで、単結晶育成用坩堝1の周囲や上方に設けられるジルコニア耐火物2は上述したように熱サイクルに弱く、亀裂や割れによって生じる破片が原料融液8内に混入して原料融液8を汚染してしまうため、Zr濃度の低い高純度LT単結晶を得るには原料融液8内への上記破片の混入を避けることが必要となる。このため、本発明においては、原料融液8の上方に設けられるジルコニア耐火物2の上記原料融液8と対向する面に、図1に示すようにPt、Ir、Mo、Wから選ばれた高融点金属板9を設置して、ジルコニア耐火物2の破片が原料融液8に混入しないような構成を採っている。このような構成を採用することにより、原料融液8へのZr汚染が防止されるため、焦電性抑制処理に適した高純度LT単結晶を育成することが可能となる。
次に、本発明の実施例について詳細に説明する。
故意にZrをドープしたZr濃度が500ppmであるコングルエント組成の原料を用いて、チョコラルスキー法により、直径4インチで直胴部の結晶長さが約60mmのLT単結晶育成を行った。育成雰囲気は、酸素濃度約3%の窒素−酸素混合ガスである。
得られたLT単結晶中のZr濃度は、LT単結晶の種結晶側の先端部で94ppm、種結晶と反対側の底部で100ppmであった。
次に、上記LT単結晶から切り出された100枚のLT単結晶の基板を用いて、AlとAlの混合粉末中で、2×10Ω・cmの体積抵抗率を目標として焦電性抑制処理(還元処理)を行った。処理条件は、混合粉末中のAlとAlの重量比を1:1、雰囲気を500Torrの窒素ガス雰囲気とし、熱処理温度を550℃、熱処理時間を20時間とした。
得られたLT基板の体積抵抗率の平均値は2×10Ω・cm、分散σは9×10Ω・cmであり、σ/平均値=4.5%と非常にシャープな分布であり、基板間のばらつきが小さい良好な結果であった。
故意にZrをドープしたZr濃度が150ppmの原料を用いた以外は実施例1と同様にしてLT単結晶の育成を行った。得られたLT単結晶のZr濃度は、LT単結晶の種結晶側の先端部で28ppm、種結晶と反対側の底部で30ppmであった。
上記LT単結晶から切り出された100枚のLT単結晶の基板を用いて実施例1と同様の焦電性抑制処理(還元処理)を行ったところ、得られたLT基板の体積抵抗率の平均値は2×10Ω・cm、分散σは7×10Ω・cmであり、σ/平均値=3.5%と非常にシャープな分布であり、基板間のばらつきが小さい良好な結果であった。
実施例2と同様の条件で作製された100枚のLT単結晶の基板を用い、1×1010Ω・cmの体積抵抗率を目標として焦電性抑制処理(還元処理)を行った。処理条件は、混合粉末中のAlとAlの重量比を1:9、雰囲気を500Torrの窒素ガス雰囲気とし、熱処理温度を550℃、熱処理時間を20時間とした。
得られたLT基板の体積抵抗率の平均値は1×1010Ω・cm、分散σは4×10Ω・cmであり、σ/平均値=4%と非常にシャープな分布であり、基板間のばらつきが小さい良好な結果であった。
[比較例1]
故意にZrをドープしたZr濃度が700ppmの原料を用いた以外は実施例1と同様にしてLT単結晶の育成を行った。得られたLT単結晶中のZr濃度は、LT単結晶の種結晶側の先端部で131ppm、種結晶と反対側の底部で140ppmであった。
上記LT単結晶から切り出された100枚のLT単結晶の基板を用いて実施例1と同様の焦電性抑制処理(還元処理)を行ったところ、得られたLT基板の体積抵抗率の平均値は2×1010Ω・cm、分散σは5×10Ω・cmであり、σ/平均値=25%とばらつきが大きく、体積抵抗率は所望の値(実施例1と同一の2×10Ω・cm)を得ることができなかった。
[比較例2]
故意にZrをドープしたZr濃度が250ppmの原料を用いた以外は実施例1と同様にしてLT単結晶の育成を行った。得られたLT単結晶中のZr濃度は、LT単結晶の種結晶側の先端部で47ppm、種結晶と反対側の底部で50ppmであった。
上記LT単結晶から切り出された100枚のLT単結晶の基板を用いて実施例3と同様の焦電性抑制処理(還元処理)を行ったところ、得られたLT基板の体積抵抗率の平均値は2×1013Ω・cm、分散σは7×1012Ω・cmであり、σ/平均値=35%とばらつきが大きく、体積抵抗率は所望の値(実施例3と同一の1×1010Ω・cm)を得ることができなかった。
図1に示すようにジルコニア耐火物2の原料融液8と対向する面にPtから成る金属板9が設置された構成の電気炉で、チョコラルスキー法により、直径4インチで直胴部の結晶長さが約60mmのLT単結晶育成を連続して10回行った。
育成原料には、純度が99.99%のTaとLiCOの混合粉を反応させてLT粉末とした仮焼粉を用いたが、仮焼粉中のZr濃度は、検出下限である1ppm以下であった。尚、育成に際し、坩堝1内の原料は、直前に育成した結晶重量分を補充することとして、原料の総入れ替えは行わなかった。
得られたLT単結晶中のZr濃度は、育成されたLT単結晶10本全てにおいて、LT単結晶の種結晶側の先端部、種結晶と反対側の底部共に1ppm以下であった。
10本のLT単結晶から切り出された計1000枚のLT単結晶の基板を用いて、実施例3と同様の焦電性抑制処理(還元処理)を行ったところ、得られたLT基板の体積抵抗率の平均値は1.1×1010Ω・cm、分散σは3.8×10Ω・cmであり、σ/平均値=3.5%と非常にシャープな分布であり、基板間のばらつきが小さい良好な結果であった。
[比較例3]
図2に示す構成の従来例に係る電気炉を用いて、実施例4と同様にLT単結晶の育成を連続して10回行った。
得られたLT単結晶中のZr濃度は、1本目のLT単結晶ではLT単結晶の種結晶側の先端部で2ppm、種結晶と反対側の底部で3ppmであった。
その後、LT単結晶7本目までは、育成回数を重ねる毎にZr濃度は徐々に増えていき、7本目のLT単結晶中のZr濃度は、先端部で14ppm、底部で17ppmとなった。しかし、8本目のLT単結晶中のZr濃度は、先端部で119ppm、底部で135ppmと急激に増加した。9本目のLT単結晶中のZr濃度は、先端部で89ppm、底部で104ppmと8本目と比較すると下がったものの、10本目のLT単結晶では、先端部で192ppm、底部で244ppmと大きく増加した。
尚、ジルコニア耐火物2の状態は、1本目のLT単結晶育成から亀裂が生じ始め、育成回数を重ねる毎に亀裂の長さ、幅が広がって行った。
そして、10本のLT単結晶から切り出された計1000枚のLT単結晶の基板を用いて、実施例3と同様の焦電性抑制処理(還元処理)を行ったところ、1本目から7本目までのLT単結晶から得られたLT基板の体積抵抗率の平均値は1.3×1010Ω・cm、分散σは5.8×10Ω・cmであり、σ/平均値=4.5%と、ほぼ狙い通りの結果であった。
しかし、8本目のLT単結晶から得られたLT基板の体積抵抗率の平均値は1.3×1012Ω・cm、9本目のLT単結晶から得られたLT基板の体積抵抗率の平均値は9.3×1011Ω・cm、10本目のLT単結晶から得られたLT基板の体積抵抗率の平均値は3.2×1012Ω・cmとなり、実施例3と同様の結果を得ることはできなかった。
本発明によれば、還元処理された際の処理バッチ間における体積抵抗率のばらつきが低減されたタンタル酸リチウム基板を再現性良く安定して提供できるため、表面弾性波素子用の基板に適用される産業上の利用可能性を有している。
本発明で適用した電気炉の断面図。 従来例に係る電気炉の断面図。
符号の説明
1 坩堝
2 ジルコニア耐火物
3 リッド
4 アフターヒーター
5 アルミナ耐火物
6 シード棒
7 LT単結晶
8 原料融液
9 金属板

Claims (5)

  1. 体積抵抗率が1010Ω・cm未満に制御されたタンタル酸リチウム基板であって、タンタル酸リチウム基板中のZr濃度が100ppm以下であることを特徴とするタンタル酸リチウム基板。
  2. 体積抵抗率が1013Ω・cm以下に制御されたタンタル酸リチウム基板であって、タンタル酸リチウム基板中のZr濃度が30ppm以下であることを特徴とするタンタル酸リチウム基板。
  3. 基板の状態に加工されたタンタル酸リチウム単結晶の基板を還元処理して体積抵抗率が1010Ω・cm未満に制御されたタンタル酸リチウム基板を製造する方法において、
    Zr濃度が500ppm以下の原料融液を用いて育成されたタンタル酸リチウム単結晶から作製されたタンタル酸リチウム単結晶の基板を用いること特徴とするタンタル酸リチウム基板の製造方法。
  4. 基板の状態に加工されたタンタル酸リチウム単結晶の基板を還元処理して体積抵抗率が1013Ω・cm以下に制御されたタンタル酸リチウム基板を製造する方法において、
    Zr濃度が150ppm以下の原料融液を用いて育成されたタンタル酸リチウム単結晶から作製されたタンタル酸リチウム単結晶の基板を用いることを特徴とするタンタル酸リチウム基板の製造方法。
  5. 上記還元処理が、基板の状態に加工されたタンタル酸リチウム単結晶の基板をAl粉末若しくはAlとAlの混合粉末に埋め込んで行う還元処理であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法。
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