JP4924125B2 - 鋼矢板の矯正方法および鋼矢板用矯正装置 - Google Patents

鋼矢板の矯正方法および鋼矢板用矯正装置 Download PDF

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Description

本発明は、鋼矢板の矯正方法および鋼矢板用矯正装置に係り、特に、ハット形鋼矢板に対し、その曲がりおよび反りを好適に矯正し得る鋼矢板の矯正方法および鋼矢板用矯正装置に関する。
鋼矢板は主に土木用に用いられており、この種の鋼矢板としては、例えば図2に例示するハット形鋼矢板50のように、中央に左右に延びるウェブ部51を有し、その両端にはフランジ部52がそれぞれ上下方向の一方に向けて張り出して設けられることでハット(帽子)形状をなすものが知られている。そして、各フランジ部52には、その先端から左右それぞれに腕部54が張り出して設けられている。各腕部54は、その先端に継手部53がそれぞれ設けられ、継手部53を支持する継手支持部ともなっている。なお、両端の継手部53は、左右で一対をなしており、隣接する他のハット形鋼矢板の継手部53に互いに係合可能になっている。
ここで、一般的なハット形鋼矢板の製造工程について図3を参照して説明する。
同図に示すように、ハット形鋼矢板を製造する際は、まず、熱間圧延機でハット形鋼矢板に必要なハット形状の横断面形状に熱間圧延する(S101)。次いで、成形されたハット形鋼矢板を熱間鋸断機によって所定の製品長さに切断し(S102)、次いで、冷却床にて常温まで冷却する(S103)。
ところで、この種のハット形鋼矢板は、熱間圧延される時に、上下左右での圧下条件がアンバランスであったり、圧延終了時の断面内の温度偏差によって、例えば図4に示すように、その長手方向を基準として、同図(a)に示すような、左右方向に曲がる「曲がり」や、同図(b)に示すような、上下方向に曲がる「反り」などの形状不良が発生する。特に、ハット形状をなす鋼矢板では、製品端部での曲がりや反りが大きいという特徴がある。
そのため、一般的なハット形鋼矢板の製造工程では、上記冷却後、上下ロールを交互に配置したレベラー矯正機を用いて、上下方向での「反り」を矯正し(S104)、その後、検査床で寸法および形状等の検査を行っている(S105)。この検査の結果、上記の曲がりや反りなどが公差以上に大きかった場合には、さらにプレス工程に回し、プレス矯正が行われる(S106)。特に、長手方向の端部での反りについては、支持代の確保が難しいためレベラー矯正機による矯正が困難であり、通常、端部についてはレベラー矯正後にプレス矯正がなされる。
また、左右方向での「曲がり」についても、矯正荷重が比較的に大となることから、プレスによって矯正されることが多く、例えば特許文献1に記載の技術では、この種のプレス矯正方法が開示されている。同文献に開示されている矯正方法では、所定形状の治具を用いており、ハット形鋼矢板を所定のピッチで送りつつ曲がりの矯正を繰り返し行う。これにより、ハット形鋼矢板の幅を一定に保ちつつ、フランジ部の凹みを防止してハット形鋼矢板の曲がりの矯正を可能としている。
また、曲がりを矯正する別の方法として、例えば特許文献2では、曲がりが外曲がり(曲がりが発生している側)の腕部(継手支持部)を上下ロール(ローラ)で圧下して、長手方向に伸長させることで、曲がりを矯正する技術が開示されている。
特開平09−182916号公報 特開2005−279657号公報
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、プレス矯正に所定形状の治具を用いているので、その治具の形状を、製品毎の寸法に違いがあるハット形鋼矢板の形状に合わせて所定の形状に調整する必要がある。また、ハット形鋼矢板を所定のピッチで送りつつ曲がりの矯正を繰り返し行う必要があることから、曲がりを矯正するのに非常に手間が掛かってしまう。さらに、プレス矯正では、三点支持が必要であるが、ハット形鋼矢板の端部では支持代を十分に確保できないため、端部での曲がりの矯正が非常に困難である。
一方、特許文献2に開示された矯正方法は、上下ロールで圧下するので、製品端部までの曲がりを矯正可能な優れた矯正方法である。しかし、この矯正方法は、曲がりの矯正については好適であるものの、曲がりとともに「反り」が生じているハット形鋼矢板の矯正をどのようにするか、あるいは、曲がりを矯正することによって生じる「反り」をいかに矯正(抑制)するかという点については課題を残している。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、鋼矢板の曲がりおよび反りのいずれをも矯正可能な鋼矢板の矯正方法および鋼矢板用矯正装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明者らは、本発明に先立ち、まず、特許文献2に開示された矯正方法に基づいて、ハット形鋼矢板の曲がりの矯正実験を行った。図5にその実験に用いた曲がり矯正装置を示す。なお、上記説明したハット形鋼矢板と同様の構成については同一の符号を付して説明する。
同図に示すように、この曲がり矯正装置101は、左右の各腕部54の下側に、一対の圧下用下ロール103a、103bがそれぞれ配置され、各腕部54の上側に、各圧下用下ロール103a、103bに対向して一対の圧下用上ロール104a、104bがそれぞれ配置されている。そして、圧下用下ロール103a、103bは、ハット形鋼矢板50の左右の腕部54それぞれを下方から支持するとともに、左右のフランジ部52下部についてもその内側の斜面に沿って途中部分まで支持しており、一対の圧下用上ロール104a、104bは、圧下用下ロール103a、103bの上方から左右の腕部54それぞれを個別に圧下可能になっている。
この矯正実験では、上記曲がり矯正装置101を用いて、ハット形鋼矢板50の一方の腕部54に対し、圧下矯正を行い、その矯正による形状の変化を調査した。ここで、同矯正実験に用いるハット形鋼矢板50は、矯正前後の変化を調査するために、曲がりおよび反りのほとんど無いものを使用した。なお、ハット形鋼矢板50には、その長手方向の製品長10m、有効幅W=900mm、有効高さH=230mm、ウェブの厚さT1=10.8mm、フランジ厚さT2=8mm、および腕部の厚さT3=10.0mmのものを用いた(図2参照)。
この矯正実験による、腕部54から継手部53の曲がりおよび反り形状の変化の一例を図6に示す。なお、同図(a)は、圧下側と、その反対側の圧下を行わなかった側である保持側それぞれの継手部53について、ハット形鋼矢板50を上方から見たときの曲がりの形状を示している。また、同図(b)は、ハット形鋼矢板50を真横から見たときの圧下側および保持側それぞれの継手部53の反りの形状を示している。
同図(a)から分かるように、この矯正実験後は、圧下側の継手部53は内側(ウエブ側)に内曲がりし、保持側の継手部53は外側(ウエブとは反対側)に外曲がりしている。したがって、実際の矯正においては、外曲がりしている側の腕部54を圧下することで、その曲がりの矯正が可能なことが確認された。また、特に圧下側の継手部53については、その長手方向両端部での曲がりの変化が大きいことも確認された。
これに対し、矯正実験後の反りの形状については、同図(b)から分かるように、圧下側の継手部53は全体として下反り形態となり、保持側の継手部53は全体として上反り形態となるという現象が生じることが確認された。特に、圧下側の長手方向両端部での下反りが大きいことも確認された。この結果から、この曲がり矯正装置101による圧下での曲がり矯正後には、さらに、反りを矯正する必要があることが判明した。
そこで、この反りを矯正するために、図7に模式を示すように、反りを矯正するための反り矯正装置201を製作した。なお、同図(a)は反り矯正装置201の正面図、また、同図(b)はその側面図である。
この反り矯正装置201は、同図(a)に示すように、ハット形鋼矢板50の各腕部54の上側に一対の押圧用上ロール202a、202bをそれぞれ有している。そして、これら一対の押圧用上ロール202a、202bは、同図(b)に示すように、ハット形鋼矢板50の搬送方向に離間して同じ構成のものが二対配置されている。さらに、各腕部54の下側には、同図(a)に示すように、一対の押圧用下ロール203a、203bがそれぞれ配置され、これら一対の押圧用下ロール203a、203bは、同図(b)に示すように、ハット形鋼矢板50の搬送方向に離間して同じ構成のものが三対配置されている。
そして、これら五対の押圧用ロールは、同図(b)に示すように、上側の押圧用上ロール202a、202bと下側の押圧用下ロール203a、203bとが、ハット形鋼矢板50の搬送方向で相互に前後しており、上下で交互に配置されている。そして、これら交互に配置された五対の押圧用ロールは、腕部54をその上下方向から互い違いに押圧して腕部54から継手部53に掛けての反りを矯正可能になっている。この反り矯正装置201を用いてハット形鋼矢板50の反り矯正実験を行った結果、上記曲がり矯正装置101での曲がり矯正後に生じた腕部54等の反りを矯正できることが確認できた(第一の知見とよぶ)。
ところで、通常の熱間圧延されているハット形鋼矢板の形状を調べると、その多くが、長手方向両端部については、外曲がり且つ上反り形状であることが判明した。図8に端部形状の模式を示す。同図が通常の熱間圧延で製造されたときの典型的な外曲がり且つ上反りの形態であり、(a)は外曲がりの状態を示す平面図、(b)は上反りの状態を示す側面図である。これに対し、図9は内曲がり且つ下反りの形態であり、(a)は内曲がりの状態を、(b)は下反りの状態を示している。
ここで、上記曲がり矯正装置101を用いて、両腕部54の端部近傍のみを左右共、同時に圧下して矯正した場合の形状の変化について調査した。なお、同矯正実験に用いるハット形鋼矢板50についても、上記同様に、矯正前後の変化を調査するために、曲がりおよび反りのほとんど無いものを使用した。その結果、矯正前に対して矯正後は、図9に示す内曲がり且つ下反りの形態に変化することが判明した。この知見から図8に示すような外曲がり且つ上反りの形態に対しては、両腕部を左右同時に圧下して矯正することにより、その曲がりおよび反りのいずれをも同時に矯正可能であることをも見いだした(第二の知見とよぶ)。
本発明は、上述の知見を基にさらに検討を加えてなされたものである。
すなわち、本発明のうち第一の発明は、左右に延びるウェブ部と、そのウェブ部両端から上下方向の一方に向けてそれぞれ張り出すフランジ部と、各フランジ部の先端から左右それぞれに張り出す腕部と、各腕部の先端にそれぞれ設けられる継手部と、を有する鋼矢板を矯正する方法であって、前記鋼矢板の左右方向での曲がりを矯正する曲がり矯正工程と、前記鋼矢板の上下方向での反りを矯正する反り矯正工程とを含み、前記曲がり矯正工程は、前記腕部のうち少なくとも外曲がりである腕部に対し、当該腕部を上下で対向する一組の圧下ロールで圧下し、前記反り矯正工程は、前記一組の圧下ロールよりも下流側に且つ搬送方向に上下で交互に配置された3個以上の押圧ロールで前記腕部を押圧することを特徴としている。
第一の発明によれば、腕部のうち少なくとも曲がりの方向が外曲がりである腕部に対し、一組の圧下ロールで圧下しているので、その曲がりを矯正することができる。そして、反り矯正工程では、さらに一組の圧下ロールよりも下流側に且つ上下で交互に配置された3個以上の押圧ロールで前記腕部を押圧しているので、上記第一の知見により、曲がり矯正工程で生じる反りを矯正することができる。
ここで、第一の発明に係る鋼矢板の矯正方法において、前記曲がり矯正工程での圧下の程度に応じて、前記反り矯正工程での押圧ロールによる押圧の程度を調整することは好ましい。このような構成であれば、例えば鋼矢板の曲がりの状態とその曲がりの状態に応じた圧下量との相関について予め試験ないしシミュレーションを行って、曲がり矯正工程での圧下量に応じた反りの程度を求め、その圧下量に応じた反りを矯正するのに必要な押圧ロールによる押圧の程度を予めテーブルデータとして取得しておき、そのテーブルデータを適宜参照すれば、圧下の程度に応じた最適な押圧ロールによる押圧の程度を選択することができる。したがって、鋼矢板の曲がりおよび反りのいずれをも所望の公差内に納めるように矯正する上でより好適である。
また、本発明のうち第二の発明は、左右に延びるウェブ部と、そのウェブ部両端から上下方向の一方に向けてそれぞれ張り出すフランジ部と、各フランジ部の先端から左右それぞれに張り出す腕部と、各腕部の先端にそれぞれ設けられる継手部と、を有する鋼矢板を矯正する方法であって、前記鋼矢板の矯正すべき形態を判定する矯正形態判定工程と、その鋼矢板の左右方向での曲がり、および上下方向での反りを矯正する矯正工程とを含んでおり、前記矯正形態判定工程では、前記鋼矢板の長手方向での端部に前記曲がりおよび反りが生じているか否かを判定し、前記矯正工程では、前記鋼矢板の長手方向での端部の曲がりが外曲がり且つ反りが上反りであるとの判定がされた腕部に、当該腕部を上下で対向する一組の圧下ロールで圧下することを特徴としている。
第二の発明によれば、矯正形態判定工程で鋼矢板の腕部の端部に外曲がり且つ上反りが生じているものを判定し、矯正工程では、その腕部を上下で対向する一組の圧下ロールで圧下しているので、上記第二の知見により、その曲がりおよび反りを同時に矯正することができる。
また、本発明のうち第三の発明は、左右に延びるウェブ部と、そのウェブ部両端から上下方向の一方に向けてそれぞれ張り出すフランジ部と、各フランジ部の先端から左右それぞれに張り出す腕部と、各腕部の先端にそれぞれ設けられる継手部と、を有する鋼矢板を矯正するために用いられる矯正装置であって、前記鋼矢板の左右方向での曲がりを矯正する曲がり矯正手段と、前記鋼矢板の上下方向での反りを矯正する反り矯正手段とを備え、前記曲がり矯正手段は、前記鋼矢板の腕部を上下から挟持して圧下可能な一組の圧下ロールを有し、前記反り矯正手段は、前記曲がり矯正手段よりも下流側に配置されるとともに、前記腕部を押圧可能に搬送方向に上下で交互に並ぶ3個以上の押圧ロールを有することを特徴としている。
第三の発明によれば、上記第一ないし第二の発明に係る鋼矢板の矯正方法に好適な矯正装置を提供することができる。すなわち、この第三の発明に係る鋼矢板用矯正装置によれば、曲がり矯正手段として一組の圧下ロールを有するので、例えば腕部のうち外曲がりである腕部を圧下可能である。したがって、その曲がりを矯正することができる。そして、反り矯正手段として、曲がり矯正手段よりも下流側に3個以上の押圧ロールを有するので、例えば前記曲がりを矯正した腕部をさらに押圧可能である。したがって、上記第一の知見により、曲がりを矯正する際に生じる反りを矯正することができる。
ここで、第三の発明に係るハット形鋼矢板用矯正装置において、前記曲がり矯正手段を構成する一組の圧下ロールの一方は、前記反り矯正手段を構成する3個以上の押圧ロールのうちの最も上流側に位置する押圧ロールを兼ねて構成されていることは好ましい。このような構成であれば、第三の発明に係るハット形鋼矢板用矯正装置を構成するロールの一つを省略できるので、構造を単純にし得て装置のコストを抑えることができる。
上述のように、本発明によれば、鋼矢板の曲がりおよび反りのいずれをも矯正可能な鋼矢板の矯正方法および鋼矢板用矯正装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、上記図2ないし図8を参照して例示したものと同様の構成については同一の符号を付して説明する。
図1は、本発明に係る鋼矢板用矯正装置および鋼矢板の矯正方法の一実施形態を説明するための概略構成図であり、同図(a)はその矯正装置の正面図(同図(b)でのA矢視)、また、同図(b)はその矯正装置の側面図、また、同図(c)は同図(b)でのB−B断面図である。なお、同図(b)では一部の構成を除き各ロールおよび鋼矢板のみを図示している。
図1に示すように、この鋼矢板用矯正装置1(以下、単に「矯正装置」ともいう)で矯正する鋼矢板はハット形鋼矢板であり、このハット形鋼矢板50は、中央に左右に延びるウェブ部51を有し、その両端にはフランジ部52がそれぞれ上下方向の一方(同図での下方)に向けて張り出して設けられることでハット(帽子)形状をなしている。なお、ハット形鋼矢板50は、不図示のテーブルロール等によって搬送されて矯正装置1の所定の位置に挿入可能になっている。
ここで、この矯正装置1は、ハット形鋼矢板50の左右方向での曲がりを矯正する曲がり矯正手段と、ハット形鋼矢板50の上下方向での反りを矯正する反り矯正手段と、矯正装置1の所定の位置に挿入されたハット形鋼矢板50の各部分の位置を検出可能な位置検出手段と、を備えて構成されている。
まず、曲がり矯正手段について説明する。
曲がり矯正手段は、同図(b)に示すように、ハット形鋼矢板50の腕部54を上下から挟持して圧下可能な一組の圧下ロール3、4を有して構成されている。
これら一組の圧下ロール3、4は、同図(a)に示すように、各腕部54の下側に配置された左右一対の圧下用下ロール3a、3bと、腕部54の上側に、各圧下用下ロール3a、3bそれぞれに対向して配置された一対の圧下用上ロール4a、4bとを備えて構成されている。左右の圧下用下ロール3a、3bは、下ロール支軸2に対し同軸に設けられ、その両側に所定の距離だけ離間して配置されている。圧下用下ロール3a、3bは、ハット形鋼矢板50の左右の腕部54それぞれを下方から支持するとともに、左右のフランジ部52下部についてもその内側の斜面に沿って途中部分まで支持している。そして、下ロール支軸2の両端はそれぞれ下ロールチョック5によって回転可能に支持されている。さらに、下ロール支軸2の一方の端部2a(同図での右側)は、当該一方の下ロールチョック5の反対側に突出しており、その突出した端部2aは減速機7を介して駆動モータ6の出力軸6aに接続されている。
一方、圧下用上ロール4a、4bは、圧下用上ロール4a、4bそれぞれを個別に支持する支軸である上ロール支軸14の先端部に設けられており、各上ロール支軸14は、上ロールチョック8によって軸回りに回転可能にそれぞれ支持されている。そして、各上ロールチョック8は、油圧シリンダ9a、9bを介して上部に設けられたハウジング15にそれぞれ取り付けられており、各油圧シリンダ9a、9bに供給する圧油を調整し、また、各油圧シリンダ9a、9bを個別に駆動することにより、左右の腕部54それぞれの圧下の圧力およびその圧下量の設定を左右個別に行えるようになっている。なお、左右の圧下用上ロール4a、4bは、上記駆動モータ6等の回転駆動部を有しておらず、ハット形鋼矢板50が搬送される動きにつれて回転するようになっている。
次に、反り矯正手段について説明する。
反り矯正手段は、同図(b)に示すように、上記の曲がり矯正手段を構成する一組の圧下ロール3、4よりも下流側に配置されるとともに、腕部54を押圧可能に、その上下で搬送方向に前後して、交互に並ぶ3個以上(この例では4個)の押圧ロール10、11、12、13を有して構成されている。
これら複数の押圧ロール10、11、12、13は、同図(c)に示すように、上下のロールが搬送方向で交互に配置されている点以外は、曲がり矯正手段の一組の圧下ロール3、4の構成と同様である。つまり、腕部54の下側に配置された押圧ロール11、13は、左右一対の押圧用下ロール11a、11b、および押圧用下ロール13a、13bをそれぞれ備えて構成されており、また、腕部54の上側に配置された押圧ロール10、12は、左右一対の押圧用上ロール10a、10b、および押圧用上ロール12a、12bをそれぞれ備えて構成されている。そして、押圧ロール11、13は、上記同様に、減速機7を介して駆動モータ6で個別に駆動可能になっており、押圧ロール10、12についても、上記同様に、各油圧シリンダ9a、9bを個別に駆動することにより、それぞれの押圧の圧力およびその押圧量の設定を左右個別に行えるようになっている。なお、この反り矯正手段での反り矯正においては、押圧用下ロール11、13に対して押圧用上ロール10、12のロール周面の位置を、腕部54の厚みを考慮した上で相対的に下方に設定するようにしている(本実施形態では、腕部54に反りが無い、つまり真っ直ぐな状態のときに、腕部54の上面に触れるロール位置のときの圧下量(ないし押圧量)を0mmと定義する)。
次に、位置検出手段について説明する。
位置検出手段は、所定の位置に挿入されたハット形鋼矢板50の上下方向での位置を検出可能な上下位置検出手段である複数の位置センサ22と、所定の位置に挿入されたハット形鋼矢板50の左右方向での位置を検出可能な左右位置検出手段である複数の変位センサ24と、を備えて構成されている。
位置センサ22は、同図(b)に示すように、上述の各油圧シリンダ9a、9bに、ハット形鋼矢板50との対向方向での移動量を検出可能にそれぞれ装着されている。そして、各位置センサ22で検出された対向方向での移動量が上下位置の情報として、信号線を介して制御部20に送られるようになっている。
また、変位センサ24は、同図(a)に示すように、両継手部53に対し、その左右で対向する位置にそれぞれ設置されており、これら複数の変位センサ24は、基準となる位置に対する継手部53の左右方向での位置を検出可能になっており、各変位センサ24で検出された左右位置の情報についても、制御部20に信号線を介して送られるようになっている。
そして、制御部20は、例えばマイクロプロセッシングユニット(MPU)等から構成され、ROMの所定領域に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って、ハット形鋼矢板の曲がりおよび反りの矯正に係る処理を実行するとともに、矯正装置1全体の運転状態を監視しつつこれを制御可能になっている。
ここで、この曲がりおよび反りの矯正に係る処理は、ハット形鋼矢板の矯正すべき形態を判定するための矯正形態判定処理と、その曲がりおよび反りを矯正するために必要な矯正処理とを含むものであり、矯正形態判定処理は、上記各油圧シリンダ9a、9b毎に設けられた位置センサ22で検出された上下位置の情報、並びに各変位センサ24で検出された左右位置の情報に基づいて、ハット形鋼矢板50の曲がりおよび反りの状態を判定するようになっている。また、矯正処理は、矯正形態判定処理で曲がりおよび反りの状態が判定されたハット形鋼矢板50に対し、予め設定されているデータテーブルを参照し、当該判定されたハット形鋼矢板50のもつ曲がりおよび反りの矯正に好適な圧下ないし押圧の条件を設定し、その設定された条件で各油圧シリンダ9a、9bを制御することで、曲がりおよび反りを所定の公差内に納めるように矯正可能になっている。
詳しくは、ハット形鋼矢板50が、テーブルロール等によって搬送されて上記矯正装置1の所定の位置に挿入されると、制御部20では、曲がりおよび反りの矯正に係る処理のうち、上記矯正形態判定処理が実行されるようになっている。
矯正形態判定処理では、まず、複数の変位センサ24によって、基準となる位置に対する継手部53の左右位置が検出され、その検出された左右位置の情報が制御部20に送られる。さらに、ハット形鋼矢板50が所定位置に搬送された後に、各油圧シリンダ9a、9bが低圧で予備的に駆動され、ハット形鋼矢板50の左右の腕部54に対し、圧下用および押圧用の各上ロール4、10、12が当接する位置までそれぞれ移動する。なお、このときの圧油の力は、矯正のための圧下ないし押圧を行わない程度の弱い力にそれぞれ設定されている。これにより、各上ロール4、10、12がハット形鋼矢板50に当接した上下方向での位置が特定され、これに応じて各油圧シリンダ9a、9bの位置センサ7がその上下方向での位置をそれぞれ検出し、検出された上下位置の情報が制御部20に送られるようになっている。
次いで、矯正形態判定処理では、上記の複数のセンサからの上下位置の情報および左右位置の情報に基づいて、相互の関係からハット形鋼矢板50の始めの状態での曲がりおよび反りの状態を判定する。この判定は、予め上下位置の情報および左右位置の情報と曲がりおよび反りの状態との相関が設定されている矯正形態判定用のデータテーブルを参照し、各センサで検出された上下位置の情報および左右位置の情報に応じて曲がりおよび反りの状態を判定するようになっている(矯正形態判定工程)。なお、ハット形鋼矢板50の上下位置の情報および左右位置の情報と曲がりおよび反りの状態との相関については、予め試験ないしシミュレーションを行って求めてあり、これを上記矯正形態判定用のテーブルデータとして制御部20内のROMの所定領域に格納している。
次いで、制御部20では、矯正処理が実行される。
矯正処理は、上述した矯正形態判定処理で判定した当該ハット形鋼矢板50のもつ曲がりおよび反りの矯正に好適な圧下ないし押圧の条件を矯正処理用のデータテーブルから選定し、その選定された条件で各油圧シリンダ9a、9bの圧下量ないし押圧量を制御する処理が実行され、これにより、曲がりおよび反りを所定の公差内に納めた所望の矯正が可能になっている(矯正工程)。なお、ハット形鋼矢板50の曲がりの状態とその曲がりの状態に応じた圧下量との相関等についても、上記矯正形態判定用のテーブルデータ同様に、予め試験ないしシミュレーションを行って設定されている。例えば、曲がり矯正工程での圧下量に応じた反りの程度を求めており、その圧下量に応じた反りを矯正するのに必要な押圧ロールによる押圧の程度を予め矯正処理用のテーブルデータとして取得して、制御部20内のROMの所定領域に格納している。
ここで、この矯正処理は、ハット形鋼矢板50の左右方向での曲がりを矯正する曲がり矯正処理と、ハット形鋼矢板50の上下方向での反りを矯正する反り矯正処理とを含むものであり、曲がり矯正処理は、腕部54のうち少なくとも外曲がりである腕部54に対し、この腕部54を上下で対向する一組の圧下ロール3、4で圧下する(曲がり矯正工程)。そして、反り矯正処理は、曲がり矯正処理がなされた後に、一組の圧下ロール3、4よりも下流側に且つ搬送方向に上下で交互に配置された複数の押圧ロール10、11、12、13で腕部54を押圧するようになっている(反り矯正工程)。
より詳しくは、例えば、ハット形鋼矢板50のもつ曲がりおよび反りの状態が、例えば搬送方向に対して右方向(端部が右向き)に曲がっている場合、曲がり矯正処理では、右側の圧下用上ロール4bで右の腕部54を圧下し、長手方向に延伸させつつハット形鋼矢板50を順次搬送することで、曲がりを長手方向で連続的に矯正するような処理が実行される。このとき、左側の圧下用上ロール4aについては、圧下する必要は無いが、ハット形鋼矢板50の左右方向でのずれを防止するために、左側の腕部54の厚みを減少させない程度の軽荷重で保持するように制御している。
そして、その後の反り矯正処理では、右の腕部54を、まず、圧下用下ロール3、押圧用上ロール10、押圧用下ロール11の3つのロールによって、腕部54を上反り方向に曲げるように反り矯正するための荷重が加えられ、次いで、押圧用上ロール10、押圧用下ロール11、押圧用上ロール12、の3つのロールによって、腕部54を下反り方向に曲げ戻すように反り矯正するための荷重が加えられる。最後に、もう一度、押圧用下ロール11、押圧用上ロール12、押圧用下ロール13の3つのロールによって、腕部54の反りを解消するように反り矯正するための荷重が加えられる。このように、この反り矯正処理では、腕部54の曲げ−曲げ戻しを繰り返し、その曲げ量を漸減させることで、効率よく腕部54の反りの矯正をすることができるようになっている。
さらに、この矯正処理では、ハット形鋼矢板50の腕部54のうち、ハット形鋼矢板50の長手方向での端部の曲がりが外曲がり且つ反りが上反りであるとの判定が前記矯正形態判定工程でなされた腕部54については、当該腕部54を上記一組の圧下ロール3、4で圧下するようになっている。
すなわち、図8(a)に示したように、この種のハット形鋼矢板においては、その長手方向での先後端部は、左右の腕部がその端部において局部的に外曲がりし、且つ上反りの場合が多い。そこで、この矯正装置1では、このような外曲がり且つ上反り形態の場合には、左右の圧下ロール3、4で両方の腕部54を同時に圧下することによって、ハット形鋼矢板50の端部での曲がりと反りとを同時に矯正するように制御しているのである。
詳しくは、矯正形態判定処理において、ハット形鋼矢板50の長手方向での端部に曲がりおよび反りが生じているか否かを判定した際に、図8(a)に示すような外曲がり且つ上反りが生じているとの判定がされたときには、続く矯正処理で、当該腕部54を上下で対向する一組の圧下ロール3、4で圧下する。これにより、上述の第二の知見により、その曲がりおよび反りを同時に矯正することを可能としている。この外曲がり且つ上反り形態の矯正処理は、特に、端部での曲がりおよび反りが共に生じている場合に有効である。
さらに、この外曲がり且つ上反り形態の矯正処理では、上記のような端部の矯正を実行した後、さらに、ハット形鋼矢板50の両端部間に位置する定常部に対する別個の矯正を行うようになっている。つまり、ハット形鋼矢板50の定常部は、その形態が、両端部での曲がりおよび反りの形態とは異なるので、端部を矯正した後に、油圧シリンダのストロークを別途に調整してから、定常部の曲がりの矯正を続けて行うようにしている。なお、ハット形鋼矢板50の曲がり量や曲がりの形態によっては、1パスでは曲がりを矯正しきれない場合もあるが、このような場合には、複数パスでの圧下矯正を行う。
次に、上記矯正装置1を用いたハット形鋼矢板の矯正方法およびその作用・効果について説明する。
上述したように、この矯正装置1は、ハット形鋼矢板50の左右方向での曲がりを矯正する曲がり矯正手段と、ハット形鋼矢板50の上下方向での反りを矯正する反り矯正手段とを備えており、曲がり矯正手段は、ハット形鋼矢板50の腕部54を上下から挟持して圧下可能な一組の圧下ロール3、4を有し、反り矯正手段は、曲がり矯正手段の圧下ロール3、4よりも下流側に配置されるとともに、腕部54を押圧可能に搬送方向に上下で交互に並ぶ3個以上の押圧ロール10、11、12、13を有している。そして、この矯正装置1を用いたハット形鋼矢板の矯正方法は、ハット形鋼矢板50の左右方向での曲がりを矯正する曲がり矯正工程と、ハット形鋼矢板50の上下方向での反りを矯正する反り矯正工程とを含み、曲がり矯正工程は、腕部54のうち少なくとも曲がりの方向が外曲がりである腕部54に対し、一組の圧下ロール3、4で圧下しているので、その曲がりを矯正することができる。このとき、ハット形鋼矢板50の腕部54には、腕部54を圧下することによって、上記知見で説明したように、上下方向での反りが生じるものの、この矯正装置1によれば、一組の圧下ロール3、4よりも下流側に且つ上下で交互に配置された3個以上の押圧ロール10、11、12、13を有し、これを用いたハット形鋼矢板の矯正方法によれば、その3個以上の押圧ロール10、11、12、13で腕部54を押圧しているので、上記第一の知見により、曲がり矯正工程で生じた反りについても矯正することができる。
ここで、この矯正装置1によれば、上述の反り矯正処理では、腕部54を、圧下用下ロール3、押圧用上ロール10、押圧用下ロール11の3つのロールによって、腕部54を上反り方向に曲げるように反り矯正するための荷重が加えられる。つまり、この矯正装置1は、前記曲がり矯正手段を構成する一組の圧下ロールの一方である圧下用下ロール3は、反り矯正手段を構成する3個以上の押圧ロールのうちの最も上流側に位置する押圧ロールを兼ねているので、矯正装置1を構成するロールの一つを省略できる。そのため、構造を単純にし得て装置のコストを抑えることができる。
そして、この矯正装置1でのハット形鋼矢板50の矯正処理では、ハット形鋼矢板50の曲がりの状態とその曲がりの状態に応じた圧下量との相関について予め試験ないしシミュレーションを行い、曲がり矯正工程での圧下量に応じた反りの程度を求めており、その圧下量に応じた反りを矯正するのに必要な押圧ロールによる押圧の程度を予めテーブルデータとして取得しており、そのテーブルデータを参照して、圧下の程度に応じた最適な押圧ロールによる押圧の程度を選択して適宜の制御を可能としている。すなわち、このハット形鋼矢板の矯正方法では、曲がり矯正工程での圧下ロール3、4の圧下の程度に応じて、反り矯正工程での押圧ロール10、11、12、13による押圧の程度を調整可能なので、ハット形鋼矢板50の曲がりおよび反りのいずれをも所望の公差内に納めるように矯正する上でより好適である。
さらに、この矯正装置1およびハット形鋼矢板の矯正方法によれば、ハット形鋼矢板50の矯正すべき形態を判定する矯正形態判定工程と、そのハット形鋼矢板50の左右方向での曲がり、および上下方向での反りを矯正する矯正工程とを含んでおり、矯正形態判定工程では、ハット形鋼矢板50の長手方向での端部に曲がりおよび反りが生じているか否かを判定し、矯正工程では、ハット形鋼矢板50の長手方向での端部の曲がりが外曲がり且つ反りが上反りであるとの判定がされた腕部54に、その腕部54を上下で対向する一組の圧下ロール3、4で圧下しているので、上記第二の知見により、その曲がりおよび反りを同時に矯正することができる。
このように、この矯正装置1およびこれを用いたハット形鋼矢板の矯正方法によれば、ハット形鋼矢板50の曲がりおよび反りのいずれをも矯正可能であり、特に、油圧シリンダのストロークを適宜変更することで、ハット形鋼矢板50の曲がりおよび反りの形態に応じて、長手方向での左右の圧下を適宜に選択するとともに、圧下量を適宜変更することができるので、ハット形鋼矢板50の曲がりおよび反りの矯正の処理を好適に行うことができる。
次に、実施例について説明する。
本実施例では、上記説明した矯正装置1およびこれを用いたハット形鋼矢板の矯正方法によって、図2に示したハット形鋼矢板50の曲がりおよび反りの矯正を行った。なお、ハット形鋼矢板50は、上記同様、製品長10m、有効幅W=900mm、有効高さH=230mm、ウェブの厚さT1=10.8mm、フランジ厚さT2=8mm、および腕部の厚さT3=10.0mmのものを用いた。
(実施例1)
まず、曲がりの形態として、ハット形鋼矢板50の全長10mに亘ってほぼ一定な右方向の曲がりであり、図4(a)で定義する継手部53の曲がり量δが20mm/10m程度であるハット形鋼矢板50について矯正を行った。なお、図4(b)で定義する矯正前の反り量Sは両継手部ともにほぼ0mm/10mであった。
この実施例1では、右側の腕部54の圧下による曲がり矯正を、リバースの計3パスに分けて行い、3パス目に圧下ロール3、4の下流側に配置した押圧ロール10、11、12、13によって腕部54の反りを矯正した。圧下による曲がり矯正時の矯正荷重は、各パスとも294kNを目安とし、圧下を行わない保持側(この例では左側)の荷重は各パスとも49kNを目安に設定した。また、反り矯正用上ロールの圧下量は、反り矯正用の押圧ロール10が1.0mm、押圧ロール12が0.3mmとした(以下、適合例1という)。なお、反り矯正のための押圧量(圧下量)は、上述のように、腕部54に反りが無い、真っ直ぐな状態のときに、腕部54の上面に触れるロール位置のとき、押圧量(圧下量)を0mmと定義する。
また、比較例として、右側の腕部54に対し圧下による曲がり矯正を同様の条件にて行い、曲がり矯正後の反り矯正を一切行わない場合についても実施した。そして、上記適合例1および比較例のそれぞれについて、矯正後の継手部53での曲がり量δ、および反り量Sを調べた。その結果を表1に示す。
Figure 0004924125
表1から分かるように、比較例では、継手部53の曲がりは、右曲がりが3mmであり、これは公差の範囲内の10mm以内に納めることができたが、反りについては、右側の継手部53の反り量が−15mm、また左側の継手部53の反り量が+12mm(なお、符号+は上反り、符号−は下反りを表わす)と大きく、これはハット形鋼矢板50の10m長さでの曲がり・反りの公差の範囲内である10mmを超えてしまい、公差範囲を外れてしまった。
これに対し、適合例1では、継手部53の曲がり量は右曲がりが5mm、右側の継手部53の反り量が−2mm、左側の継手部の反り量が+1mmであり、曲がり量および反り量ともに、公差範囲である10mm以内に納めることができた。
(実施例2)
次に、ハット形鋼矢板50の両端部が両継手部53(腕部54)側ともに外曲がり且つ上反りの状態であり、両端部を除く定常部がほぼ真直であるハット形鋼矢板50について、上記矯正装置1を用いて矯正を行った(以下、適合例2という)。
矯正前の端部での曲がりおよび反り量は、図8(a)で定義する端部曲がり量δ2が、両端部ともに5mm、端部反り量S2が両端部ともに5mm程度であった。この適合例2においては、ハット形鋼矢板50の端部から先後端それぞれ長手方向1.5mの範囲についてのみ、左右両腕部54とも矯正荷重196kNで3パスの一組の圧下ロール3、4での矯正を行った。なお、一組の圧下ロール3、4の下流側に配置した押圧ロール10、11、12、13については、本実施例2では使用していない。
矯正後の端部の曲がり量、および反り量について調べた結果を表2に示す。
Figure 0004924125
表2から分かるように、ハット形鋼矢板50のうち長手方向での端部に曲がりおよび反りが共に生じているものでは、圧下ロール3、4での矯正によって、端部の曲がりおよび反りを同時に効率よく矯正可能であることが確認された。
なお、本実施例2では、端部の曲がり量が、左右でほぼ等しい場合の例について示したが、端部の曲がり量が左右で異なる場合には、その曲がり具合に応じて、左右の腕部54をそれぞれ圧下する一対の圧下用上ロール4a、4bの矯正荷重の割合を左右で異ならせることで調整して、公差範囲内に矯正可能であることを確認した。
また、上記実施例では、実施例1、2ともに3パスの圧下矯正を行ったが、曲がりおよび反りの大きさに応じて圧下設定を調整することによって、1パスでの矯正でも曲がりおよび反りの矯正が可能なことも確認した。
以上説明したように、上記矯正装置1およびこれを用いた鋼矢板の矯正方法によれば、ハット形鋼矢板50の曲がりおよび反りのいずれをも矯正可能である。
なお、本発明に係る鋼矢板の矯正方法および鋼矢板用矯正装置は、上記実施形態ないし実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能であることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、図1に示す矯正装置1は、押圧ロール10、11、12、13は上下に2本ずつ、つまり、上側に二本の押圧用上ロール10、12と、下側に二本の押圧用下ロール11、13とが配置されている例で説明したが、これに限定されず、押圧ロールは、少なくとも上下で交互に3個以上の押圧ロールがあれば、一組の圧下ロール3、4を含めて腕部54の反り方向が上下のどちらの場合でも3点曲げが可能となるので、腕部54の上方向への反り、および下方向への反りの双方を矯正することができる。
また、例えば上記実施形態では、押圧用上ロール10、12が油圧シリンダによって上下方向に移動可能であり、押圧用下ロールが固定されている例で説明したが、これに限定されず、反り矯正においては、上下の押圧用ロールの対向方向での相対位置を変更できればよいので、例えば押圧用上ロールを固定し、押圧用下ロールを上下方向に移動可能に構成してもよい。
また、上記実施形態では、矯正装置1に組み込まれた位置センサ22、変位センサ24を用いて、鋼矢板50の曲がり、反りを計測しているが、曲がり、反りの測定手段はこれに限るものでなく、矯正前の曲がり、反り形態がわかればよいので、矯正装置1の上流側に別途、曲がり反り測定装置を設置しておくようにすることも可能である。
本発明の一実施形態の矯正装置および矯正方法を説明するための図であり、同図(a)はその矯正装置の正面図(同図(b)でのA矢視)、また、同図(b)はその側面図、また、同図(c)は同図(b)でのB−B断面図である。 本発明の矯正装置および矯正方法に適用される、ハット形鋼矢板の一例を説明する斜視図である。 従来、一般的に行われているハット形鋼矢板の製造工程を説明するための図である。 本発明に適用されるハット形鋼矢板の曲がりおよび反りの状態を説明する図であり、同図(a)は曲がりを示しており、また、同図(b)は反りを示している。 実験に用いた曲がり矯正装置を説明する図である。 実験結果の一例を示すグラフであり、同図(a)は継手部の曲がりを示しており、また、同図(b)は継手部の反りを示している。 実験に用いた反り矯正装置を説明する図であり、同図(a)はその正面図、また、同図(b)はその側面図である。 本発明に適用されるハット形鋼矢板の端部での外曲がり且つ上反りの状態を説明する図であり、同図(a)は外曲がりの状態を示す平面図、同図(b)は上反りの状態を示す側面図である。 本発明に適用されるハット形鋼矢板の端部での内曲がり且つ下反りの状態を説明する図であり、同図(a)は内曲がりの状態を示す平面図、同図(b)は下反りの状態を示す側面図である。
符号の説明
1 矯正装置
2 下ロール支軸
3 圧下用下ロール(圧下ロール)
4 圧下用上ロール(圧下ロール)
5 下ロールチョック
6 駆動モータ
7 減速機
8 上ロールチョック
9 油圧シリンダ
10、12 押圧用上ロール(押圧ロール)
11、13 押圧用下ロール(押圧ロール)
14 上ロール支軸
15 ハウジング
20 制御部
22 位置センサ
24 変位センサ
50 ハット形鋼矢板
51 ウェブ部
52 フランジ部
53 継手部
54 腕部
δ 曲がり量
S 反り量

Claims (5)

  1. 左右に延びるウェブ部と、そのウェブ部両端から上下方向の一方に向けてそれぞれ張り出すフランジ部と、各フランジ部の先端から左右それぞれに張り出す腕部と、各腕部の先端にそれぞれ設けられる継手部と、を有する鋼矢板を矯正する方法であって、
    前記鋼矢板の左右方向での曲がりを矯正する曲がり矯正工程と、前記鋼矢板の上下方向での反りを矯正する反り矯正工程とを含み、
    前記曲がり矯正工程は、前記腕部のうち少なくとも外曲がりである腕部に対し、当該腕部を上下で対向する一組の圧下ロールで圧下し、
    前記反り矯正工程は、前記一組の圧下ロールよりも下流側に且つ搬送方向に上下で交互に配置された3個以上の押圧ロールで前記腕部を押圧することを特徴とする鋼矢板の矯正方法。
  2. 前記曲がり矯正工程での圧下の程度に応じて、前記反り矯正工程での押圧ロールによる押圧の程度を調整することを特徴とする請求項1に記載の鋼矢板の矯正方法。
  3. 左右に延びるウェブ部と、そのウェブ部両端から上下方向の一方に向けてそれぞれ張り出すフランジ部と、各フランジ部の先端から左右それぞれに張り出す腕部と、各腕部の先端にそれぞれ設けられる継手部と、を有する鋼矢板を矯正する方法であって、
    前記鋼矢板の矯正すべき形態を判定する矯正形態判定工程と、その鋼矢板の左右方向での曲がり、および上下方向での反りを矯正する矯正工程とを含んでおり、
    前記矯正形態判定工程では、前記鋼矢板の長手方向での端部に前記曲がりおよび反りが生じているか否かを判定し、
    前記矯正工程では、前記鋼矢板の長手方向での端部の曲がりが外曲がり且つ反りが上反りであるとの判定がされた腕部に、当該腕部を上下で対向する一組の圧下ロールで圧下することを特徴とする鋼矢板の矯正方法。
  4. 左右に延びるウェブ部と、そのウェブ部両端から上下方向の一方に向けてそれぞれ張り出すフランジ部と、各フランジ部の先端から左右それぞれに張り出す腕部と、各腕部の先端にそれぞれ設けられる継手部と、を有する鋼矢板を矯正するために用いられる矯正装置であって、
    前記鋼矢板の左右方向での曲がりを矯正する曲がり矯正手段と、前記鋼矢板の上下方向での反りを矯正する反り矯正手段とを備え、
    前記曲がり矯正手段は、前記鋼矢板の腕部を上下から挟持して圧下可能な一組の圧下ロールを有し、
    前記反り矯正手段は、前記曲がり矯正手段の一組の圧下ロールよりも下流側に配置されるとともに、前記腕部を押圧可能に搬送方向に上下で交互に並ぶ3個以上の押圧ロールを有することを特徴とする鋼矢板用矯正装置。
  5. 前記曲がり矯正手段を構成する一組の圧下ロールの一方は、前記反り矯正手段を構成する3個以上の押圧ロールのうちの最も上流側に位置する押圧ロールを兼ねて構成されていることを特徴とする請求項4に記載の鋼矢板用矯正装置。
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