JP4923623B2 - 精錬用吹き込みランス設備及び溶銑の脱珪処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融金属中に酸素ガスまたは酸素ガスとともに精錬剤を吹き込む精錬用吹き込みランス設備、及び、この精錬用吹き込みランス設備を使用した溶銑の脱珪処理方法に関するものである。
近年、鋼材の高級化に伴う燐含有量低下対策或いは製鋼プロセスの合理化を目的として、溶銑の脱燐処理が、転炉または溶銑鍋若しくは混銑車(「トーピードカー」ともいう)などにおいて広く行われている。また、この脱燐処理を効率的に行うために、脱燐処理の前に予め溶銑中の珪素を除去する脱珪処理も行われている。溶銑中の燐及び珪素は酸化反応によって除去されるので、溶銑の脱燐処理及び脱珪処理は、溶銑に酸素ガスや酸化鉄などの酸素源を供給し、酸素源によって溶銑中の燐或いは珪素を酸化除去させている。その際に、反応効率を高める或いは生成するスラグの組成を調整するために、生石灰などのフラックスも添加されている。
溶銑の脱燐処理及び脱珪処理において溶銑に酸素ガスを供給する方法は、大きく分けて2種類に分類され、1つの方法は、溶銑とは非接触の上吹きランスなどから酸素ガスを溶銑浴面に向けて吹き付ける方法、所謂上吹きする方法(「上吹き送酸法」と呼ぶ)である。他の方法は、溶銑中に浸漬させた吹き込みランスや反応容器の底部などに設けた羽口から、溶銑中に酸素ガスを直接吹き込む方法(「吹き込み送酸法」と呼ぶ)である。それぞれの方法には、それぞれの特長があり、吹き込み送酸法の場合には、酸素ガスの添加効率が高い、攪拌力が向上するなどの利点がある一方、浸漬部の熱負荷が大きく、耐用回数が限られるなどの問題がある。これに対して、上吹き送酸法の場合には、上吹きランスへの熱負荷は無視でき、長期間にわたって使用できるという利点があるが、酸素ガスの添加効率が低い、攪拌力が得られないなどの問題がある。
酸素ガスを供給する際に、上吹き送酸法とするか、吹き込み送酸法とするかは、上記の特長を考慮して決められるが、例えば混銑車の場合のように、処理容器の形状から上吹き送酸法では反応効率が悪く、吹き込み送酸法を採用せざるを得ないこともある。混銑車の場合には、溶銑の収容量に対して開口部が少なく、上吹き送酸法では所望する反応効率が得られないからである。
吹き込み送酸法で使用する吹き込みランスは、前述したように浸漬部の損耗が激しいことから、これを改善する手段が提案されている。例えば、特許文献1には、溶融金属中に浸漬する先端部と、該先端部を保持するホルダー部とからなる吹き込みランスにおいて、前記先端部を単管構造とし、その全表面をカロライズ処理し、更にその外周を耐火物で被覆することにより、吹き込みランス先端部の溶損防止を図る技術が開示されている。特許文献2には、吹き込みランスを、外周に耐火物が被覆された2重管構造とし、内管からは精錬剤と酸素ガスを吹き込み、外管からは炭化水素系ガスを吹き込むことで、吹き込みランス先端部の溶損防止を図る技術が開示されている。特許文献2の技術は、炭化水素系ガスは加熱されると分解し、分解する際に吸熱するので、この吸熱を利用して吹き込みランス先端部を冷却するという技術である。また、特許文献3には、吹き込みランス先端部に水平部を設けることにより、ガス吹き込み時の反力を緩和し、浸漬部の振動を減じることで、つまり浸漬部に作用する応力を減じることで、吹き込みランスの延命を図る技術が開示されている。更に、特許文献4には、吹き込みランスを取巻く方向に設けたローラにより構成される上部固定装置と、開閉式挟持型の下部固定装置とを設けることにより、ガス吹き込み時の振動を少なくする技術が開示されている。
実開平6−6447号公報 特開昭58−221210号公報 特開昭54−23019号公報 特開昭60−234908号公報
しかしながら、上記の従来技術には以下の問題点がある。即ち、溶融金属中に精錬剤とともに酸素ガスを吹き込むに当たり、特許文献2のように、浸漬部をカロライズパイプとしてその周囲を耐火物で被覆する技術においては、供給する酸素源としては酸化鉄が主体であり、酸素ガス比率、つまり総酸素ガス供給量(酸化鉄(酸素ガスに換算)+酸素ガス)に対する酸素ガス供給量の割合は、20〜30%が上限であり、酸素ガスのみの吹き込み、或いは酸素ガス流量を増加させる場合には、発熱が激しく単管構造では耐え切れない。また、酸素ガスのみの吹き込みの場合や酸素ガス流量を増加させる場合には、吹き込みランスの振動を抑える必要があるが、この点に関して何ら開示していない。
特許文献2に開示された方法では、炭素水素系ガスの分解吸熱により、吹き込みランス先端部においては冷却が行われ、耐火物の溶損による侵食は抑えられるが、ガスを吹き込むことによって吹き込みランスが振動し、この振動によって物理的にスポーリングが発生して耐火物が破壊されるという点に関しては、何ら対策が採られていない。
特許文献3では、吹き込みランス先端に水平部を設けることによりガス吹き込み時の反力を緩和し、浸漬部の応力を緩和する方法を開示しているが、ガス吹き込み量が大きい場合には浸漬部だけでなく吹き込みランス設備全体の振動も顕著になり、抜本的な解決にはならない。
また、特許文献4では、吹き込みランスを取巻く方向に設けたローラで構成される上部固定装置と、開閉式挟持型の下部固定装置とで振動を抑えようとしているが、垂直降下式の吹き込みランスでは効果が発揮できるが、傾斜して浸漬される吹き込みランスには開閉式挟持型の固定装置は適用が困難であり、振動を防止できない。また、吹き込みランスに付着するスラグなどにより、ローラ部や挟持部分の保守が困難となるという問題も発生する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶銑などの溶融金属中に酸素ガス或いは酸素ガスとともに精錬剤を吹き込むための精錬用吹き込みランス設備において、多量の酸素ガスのみの吹き込みであっても、従来に比べて多数回の使用が可能であり、製造コストの削減に寄与する精錬用吹き込みランス設備を提供するとともに、該精錬用吹き込みランス設備を使用した溶銑の脱珪処理方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る精錬用吹き込みランス設備は、外表面に不定形耐火物の被覆層が形成された、溶融金属の浴面に対して傾斜して浸漬される吹き込みランスと、該吹き込みランスを保持する保持部と、該保持部を昇降させる昇降装置とを備え、溶融金属中に酸素ガスまたは酸素ガスとともに精錬剤を吹き込むための精錬用吹き込みランス設備であって、前記吹き込みランスの先端部には、該吹き込みランス外径の0.5倍〜2.0倍相当の長さを有する水平部が備えられ、吹き込みランスの上端側には、鉄製羽根板の形成する平面と溶融金属浴面とのなす角度が吹き込みランスの溶融金属浴面に対する傾斜角度と同一である鉄製羽根板が備えられ、前記昇降装置には、前記鉄製羽根板を挟持して案内するための鉄製羽根板受が備えられており、前記鉄製羽根板が該鉄製羽根板受に案内されることによって前記吹き込みランスの鉛直方向の振動が抑制されることを特徴とするものである。
第2の発明に係る精錬用吹き込みランス設備は、第1の発明において、前記吹き込みランスは、内管及び外管からなる2重管構造であり、内管からは酸素ガスまたは酸素ガスとともに精錬剤が吹き込まれ、内管と外管との間隙からは炭化水素系ガスが吹き込まれることを特徴とするものである。
第3の発明に係る溶銑の脱珪処理方法は、第1または第2の発明に記載の精錬用吹き込みランス設備を用い、吹き込みランスを溶銑中に浸漬させ、該吹き込みランスの内管から溶銑中に酸素ガスを吹き込むとともに、内管と外管との間隙から炭化水素系ガスを吹き込んで溶銑中の珪素を酸化除去することを特徴とするものである。
本発明によれば、吹き込みランスの先端部に吹き込みランス外径の0.5倍〜2.0倍相当の長さを有する水平部を設けるとともに、鉄製羽根板と鉄製羽根板受とを組み合せた振動防止機能を設けているので、酸素ガス吹き込み時の吹き込みランスの振動が抑制され、振動に起因して吹き込みランスに作用する応力が緩和されて、吹き込みランスの浸漬部におけるスポーリングや、非浸漬部における亀裂が防止され、吹き込みランスの耐用性を従来に比べて大幅に向上させることができる。その結果、精錬反応に使用する酸素ガスを、高効率で且つ撹拌力を向上可能な方法で長期間にわたって同一の吹き込みランスで添加可能となる。特に、溶銑の脱珪処理で本発明の精錬用吹き込みランス設備を使用することにより、脱珪反応による発熱を有効利用することが可能となる。
以下、本発明を具体的に説明する。
混銑車に収容された溶銑に吹き込みランスを浸漬させ、この吹き込みランスから酸素ガスを溶銑に吹き込んで行う溶銑の脱珪処理において、吹き込みランスの長寿命化について研究・検討を行った。
その結果、吹き込みランスの外面が金属のままでは溶銑による溶損を抑えることができないことが分かった。また、特許文献1のように外表面をカロライズ処理しても、その効果は少ないことが分かった。即ち、吹き込みランスの耐用性を向上させるためには、少なくとも溶銑中に浸漬させる部位の外表面には、耐火物の被覆層を形成させる必要のあることが分かった。
また、溶銑への浸漬部が単管構造では、耐火物を被覆したとしても耐用性に乏しく、従って、少なくとも2重管構造とし、冷却用の炭化水素系ガスを内管と外管との間隙に流すことが好ましいことが分かった。これは、炭化水素系ガスが分解する際の吸熱反応により、少なくとも吹き込みランスの先端部は冷却され、これにより、先端部の溶損が抑制されることが確認されたからである。
しかしながら、これらの対策のみでは目的とする耐用性は得られず、そこで、使用済みの吹き込みランスを調査し、長寿命化を阻害している原因を調査した。調査結果から、吹き込みランス浸漬部の損耗形態は、溶銑及びスラグによる溶損と、物理的に破壊するスポーリングの2種理の損網形態が観察されたが、脱珪反応の酸素源として酸素ガスのみを使用した場合のように、酸素ガス供給量を増加した場合には、吹き込みランスの振動が激しくなり、後者のスポーリングによる損耗が著しいことが確認された。また、吹き込みランスの振動により、吹き込みランスの浸漬部のみならず、非浸漬部における耐火物被覆層の割れや脱落、更には、ランス昇降装置の亀裂発生なども発生し、これらにより寿命を迎えるケースや設備破壊に至るケースもあった。
この知見から、吹き込みランスの耐用性を向上させるためには、吹き込みランスのみならず、吹き込みランスを保持する保持部、及び該保持部を昇降させる昇降装置を含めた精錬用吹き込みランス設備全体の振動を防止する必要のあることが分かった。
そこで、精錬用吹き込みランス設備全体の振動を防止するための振動防止対策を検討した。種々の試作・検討をした結果、吹き込みランスの上端部側に鉛直方向の振動を防止するための振動防止冶具を設置すればよいことが分かった。
以下、添付図面を参照して振動防止冶具を備えた本発明に係る精錬用吹き込みランス設備を説明する。図1は、本発明に係る精錬用吹き込みランス設備を用いて混銑車に収容された溶銑を脱硫処理している概略図であり、図2は、図1のX−X’矢視による概略断面図、図3は、図2のY−Y’矢視による概略図である。
図1に示すように、本発明に係る精錬用吹き込みランス設備1は、溶銑14の浴面に対して傾斜して浸漬される吹き込みランス4と、この吹き込みランス4を保持する保持部3と、この保持部3を昇降させる昇降装置2とで構成されている。即ち、昇降装置2の作動により、吹き込みランス4が混銑車13に収容された溶銑14に浸漬するようになっている。吹き込みランス4の先端部には水平方向に向いた水平部8が設置され、また、吹き込みランス4の外周には不定形耐火物からなる耐火物被覆層7が形成されている。
吹き込みランス4が所定の位置まで浸漬したときの、保持部3と吹き込みランス4との継目の直下位置に相当する部位の昇降装置2に、振動防止冶具9が設置されており、吹き込みランス4の耐火物被覆層7の形成されていない部位が振動防止冶具9に支持されている。図中の符号12はガイドロールであり、ガイドロール12は複数個設けられており、吹き込みランス4はガイドロール12にも案内されるようになっている。
この振動防止冶具9を、図2及び図3を参照して説明する。吹き込みランス4にはその下面側に鉄製羽根板10が取り付けられている。符号10Aは鉄製羽根板10の補強材であり、補強材10Aによって吹き込みランス4と鉄製羽根板10とが強固に固定・接続されている。鉄製羽根板10の左右には、鉛直方向と平行に配置された部材11Aと、部材11Aに取り付けられた一対の部材11Bとで構成される鉄製羽根板受11が設置されている。対向する一対の部材11Bは間隙を設けてあり、この間隙に鉄製羽根板10が挿入されるようになっている。つまり、鉄製羽根板受11は、左右から鉄製羽根板10を挟持して案内するようになっている。この場合、鉄製羽根板10の形成する平面が吹き込みランス4の浸漬方向と平行で且つ鉄製羽根板10の形成する平面と溶銑浴面とのなす角度が吹き込みランス4の溶融金属浴面に対する傾斜角度と同一になっている。
このように、鉄製羽根板10が鉄製羽根板受11で案内されることにより、吹き込みランス4の鉛直方向の振動が抑制されるようになっている。尚、振動防止冶具9は、鉄製羽根板10及び鉄製羽根板受11で構成されている。
この構成の精錬用吹き込みランス設備1を用いることで、ガス反力による吹き込みランス4の鉛直方向の振動が抑制されて、吹き込みランス4の非浸漬部における耐火物被覆層7の亀裂、脱落、及び、昇降装置2における亀裂が解消された。
しかしながら、吹き込みランス4の浸漬部のスポーリングは依然発生した。そこで次に、吹き込みランス4の浸漬部のスポーリング対策として、吹き込みランス4の先端部の水平部8の長さを変更する実験を行った。試験は、前述した図1に示すように、混銑車13に収容された溶銑を脱珪処理する際に使用する吹き込みランス4で行った。図4に試験で使用した吹き込みランスの概略断面図を示す。
図4において、吹き込みランス4は、内管5及び外管6からなる2重管構造であり、外管6の外周に耐火物被覆層7が形成されている。内管5の内部から酸素ガスを流し、内管5と外管6との間隙から炭化水素系ガスを流し、溶銑の脱珪処理を実施した。試験では、水平部8の長さ(L)を、吹き込みランス4の外径(D)に対して0倍〜3倍の長さで変化させた。ここで、水平部8の長さ(L)は、内管5の軸心線の長さで表している。
試験では、混銑車13に収容された約300トンの溶銑14に内管5から30Nm3 /minの流量で酸素ガスを吹き込み、また、内管5と外管6との間隙から2〜5Nm3/minの流量でプロパンガスを吹き込み、脱珪処理した。内管5及び外管6はステンレス鋼鋼管を使用した。耐火物被覆層7としては、Al23−20質量%SiO2 キャスタブルを使用し、耐火物被覆層7の厚みは35mmとした。
この脱珪処理における試験条件を表1に、また、水平部8の長さ(L)を変化させたときの浸漬部の損耗状況を表2示す。
Figure 0004923623
Figure 0004923623
表2に示すように、水平部8の長さ(L)を、吹き込みランス4の外径(D)の0.5倍〜2.0倍相当の長さとすることで、1チャージ当たりの損耗速度は15mm(以下、「mm/ch」と記す)以下であった。これに対して、水平部8を設置しない場合や水平部8の長さ(L)が吹き込みランス4の外径(D)の0.3倍の場合には、損耗速度は270mm/ch以上となった。この場合には、水平部8を設けることによる振動抑制の効果が発揮されず、スポーリングが依然として発生した。一方、水平部8の長さ(L)が吹き込みランス4の外径(D)の2.5倍以上の場合には、損耗速度が250mm/ch以上となった。この場合は、吹き込みランス4の非浸漬部の割れがネックとなった。
これらの結果から、水平部8の長さ(L)は、吹き込みランス4の外径(D)の0.5倍〜2.0倍相当の長さが最適であり、このようにすることで、吹き込みランス4の耐用性が向上することが分かった。
このように、振動防止冶具9を設置するとともに、水平部8の長さ(L)を適正値に調整することにより、酸素ガス吹き込み時の振動が抑制され、吹き込みランス4の浸漬部のスポーリング、及び、吹き込みランス4の非浸漬部や昇降装置2での亀裂を克服でき、安定的な酸素ガス吹き込みが可能となることが分かった。
本発明はこれらの試験結果に基づくものであり、発明に係る精錬用吹き込みランス設備1は、外表面に不定形耐火物の被覆層7が形成された、溶融金属の浴面に対して傾斜して浸漬される吹き込みランス4と、吹き込みランス4を保持する保持部3と、保持部3を昇降させる昇降装置2とを備え、溶融金属中に酸素ガスまたは酸素ガスとともに精錬剤を吹き込むための精錬用吹き込みランス設備1であって、吹き込みランス4の先端部には、吹き込みランス外径の0.5倍〜2.0倍相当の長さを有する水平部8が備えられ、吹き込みランス4の上端部には、鉄製羽根板10の形成する平面が吹き込みランス4の浸漬方向と平行で且つ鉄製羽根板10の形成する平面と溶融金属浴面とのなす角度が吹き込みランス4の溶融金属浴面に対する傾斜角度と同一である鉄製羽根板10が備えられ、昇降装置2には、鉄製羽根板10を挟持して案内するための鉄製羽根板受11が備えられており、鉄製羽根板10が鉄製羽根板受11に案内されることによって吹き込みランス4の鉛直方向の振動が抑制されることを特徴とする。
本発明に係る精錬用吹き込みランス設備1は、溶融金属中に酸素ガスまたは酸素ガスとともに精錬剤を供給して行う精錬であるならばどのような精錬であっても適用可能であるが、特に、溶銑の脱珪処理における酸素ガス供給手段として適用することが最適である。本発明を適用することにより、脱珪処理において熱余裕の創出が可能となり、その結果、鉄スクラップ溶解のための熱として使用可能となるからである。ここで、精錬剤とは、酸素源となる酸化鉄や生石灰などのフラックスのことである。
本発明に係る精錬用吹き込みランス設備1を用いて溶銑14の脱珪処理を行う場合、上記の試験と同一方法で、つまり内管5から酸素ガスを吹き込み、内管5と外管6との間隙から炭化水素系ガスを吹き込んで脱珪処理を行うが、その際に、炭化水素系ガスに不活性ガスを混合使用してもよい。また、非浸漬型の上吹きランスによる酸素ガス添加などの他の酸素ガス供給手段を併用しても構わない。また、内管5及び外管6はステンレス鋼鋼管である必要はなく、炭素鋼鋼管であっても問題ない。
本発明に係る精錬用吹き込みランス設備1により、転炉底吹き羽口のような設備を用いることなく、長期間に亘って1つの吹き込みランス4から酸素ガスを溶銑中に吹き込むことが可能となる。また、酸素ガスを吹き込むことにより、熱余裕の創出が可能となる。その結果、鉄スクラップ溶解のための熱として使用可能となり、鉄鋼材料製造時のCO2 発生量の低減に寄与する。また吹き込みランス4の寿命が延びることで、ランス交換作業の頻度軽減、更に、常に浸漬深さを大きく確保できるといった利点がある。
前述した図1に示す精錬用吹き込みランス設備、及び、前述した図4に示す吹き込みランスを用いて、混銑車に収容された溶銑の脱珪処理を実施した。吹き込みランス先端部の水平部の長さ(L)は外径(D)の1.0倍とした。内管から酸素ガスを吹き込みながら、内管と外管との間隙からプロパンガスを吹き込んで、合計39チャージの脱珪処理を実施した(本発明例)。
また、比較のために、吹き込みランス先端部の水平部の長さ(L)を外径(D)の0.3倍とした脱珪処理も合計32チャージ実施した(比較例1)。比較例1は、水平部の長さ(L)を変更した以外は、本発明例と同一の条件で実施した。更に、振動防止冶具を設置せず、外管から窒素ガスを吹き込んだ脱珪処理も合計31チャージ実施した(比較例2)。比較例2では、その他の条件は本発明例と同一とした。また更に、酸素源として酸素ガスを使用せずに、窒素ガスを搬送用ガスとして酸化鉄(鉄鉱石)を内管から吹き込み、内管と外管との間隙からは窒素ガスを吹き込んだ脱珪処理も合計33チャージ実施した(比較例3)。酸化鉄中の酸素量は、化学分析値に基づいて酸化鉄1kgが酸素ガス0.15Nm3 に相当するとし、送酸速度が一定になるように調整した。
本発明例、比較例1、比較例2及び比較例3において、吹き込みランスの寿命及び溶銑温度について比較評価した。表3に試験条件及び試験結果を示す。
Figure 0004923623
本発明例では、ランス寿命は1本のランス当たり平均で6.5チャージ(以下、「ch/本」と記す)であったが、比較例1では2.0ch/本、比較例2では1.5ch/本、比較例3では5.5ch/本であり、本発明例の優位性が確認できた。また、酸素ガスを酸素源として使用することで、脱珪処理において、溶銑中の珪素0.01質量%が酸化除去されることにより約3℃の溶銑温度上昇が認められた。酸素源として酸化鉄を使用した比較例3では、使用する酸化鉄の顕熱に熱が奪われ、溶銑温度は上昇せず、逆に低下することが確認された。
本発明に係る精錬用吹き込みランス設備を用いて混銑車に収容された溶銑を脱硫処理している概略図である。 図1のX−X’矢視による概略断面図である。 図2のY−Y’矢視による概略図である。 本発明で使用する吹き込みランスの概略断面図である。
符号の説明
1 精錬用吹き込みランス設備
2 昇降装置
3 保持部
4 吹き込みランス
5 内管
6 外管
7 耐火物被覆層
8 水平部
9 振動防止冶具
10 鉄製羽根板
11 鉄製羽根板受
12 ガイドロール
13 混銑車
14 溶銑

Claims (3)

  1. 外表面に不定形耐火物の被覆層が形成された、溶融金属の浴面に対して傾斜して浸漬される吹き込みランスと、該吹き込みランスを保持する保持部と、該保持部を昇降させる昇降装置とを備え、溶融金属中に酸素ガスまたは酸素ガスとともに精錬剤を吹き込むための精錬用吹き込みランス設備であって、前記吹き込みランスの先端部には、該吹き込みランス外径の0.5倍〜2.0倍相当の長さを有する水平部が備えられ、吹き込みランスの上端側には、鉄製羽根板の形成する平面と溶融金属浴面とのなす角度が吹き込みランスの溶融金属浴面に対する傾斜角度と同一である鉄製羽根板が備えられ、前記昇降装置には、前記鉄製羽根板を挟持して案内するための鉄製羽根板受が備えられており、前記鉄製羽根板が該鉄製羽根板受に案内されることによって前記吹き込みランスの鉛直方向の振動が抑制されることを特徴とする精錬用吹き込みランス設備。
  2. 前記吹き込みランスは、内管及び外管からなる2重管構造であり、内管からは酸素ガスまたは酸素ガスとともに精錬剤が吹き込まれ、内管と外管との間隙からは炭化水素系ガスが吹き込まれることを特徴とする、請求項1に記載の精錬用吹き込みランス設備。
  3. 請求項1または請求項2に記載の精錬用吹き込みランス設備を用い、吹き込みランスを溶銑中に浸漬させ、該吹き込みランスの内管から溶銑中に酸素ガスを吹き込むとともに、内管と外管との間隙から炭化水素系ガスを吹き込んで溶銑中の珪素を酸化除去することを特徴とする、溶銑の脱珪処理方法。
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