JP4919298B2 - 高送り加工用刃先交換式回転工具 - Google Patents

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Description

本願発明は、工具突き出し量の長い高送り加工に適した構造のインサートを装着した刃先交換式切削工具に関する。
刃先交換式切削工具に関する技術が、特許文献1から3に開示されている。特許文献1は、直線状の主切刃のホーニング幅と角度を変化させて耐欠損性を改善する技術を開示している。特許文献2は、高送り切削加工に適した刃先交換式切削工具が開示されている。特許文献3は、平坦なランドを設けた刃先交換式切削工具が開示されている。
特開2002−46002号公報 特許第3317490号公報 特開2008−207273号公報
本願発明は、切削用インサートの主切刃の耐欠損性を維持しながら切削抵抗の低抵抗化を可能とし、特に工具突き出し量が200mmを超えるような長い場合における高送り加工に好適なインサートを装着した刃先交換式回転工具を提供することである。
本願発明は、着脱可能なインサートを用いた高送り用刃先交換式回転工具において、該インサートはすくい面と逃げ面との稜線部を切刃とし、該切刃は、コーナー刃と該コーナー刃を挟んで主切刃と外周刃とを備え、該主切刃における回転工具最下点と該主切刃と該コーナー刃との繋ぎ部を結んだ線分が工具回転軸の垂線となす角度(度)をθとしたとき、5≦θ≦30であり、該主切刃は該線分に対して工具回転軸と垂直な方向に凸形状であり、該すくい面には該主切刃に対して略垂直な方向で内向きに該主切刃の稜線部からネガホーニング、フラットランド、ブレーカ溝を有し、該最下点における該ネガホーニングの幅(mm)をH1、該フラットランドの幅(mm)をF1、該繋ぎ部における該ネガホーニングの幅(mm)をH2、該フラットランドの幅(mm)をF2、としたとき、ネガホーニング幅とフラットランド幅とが該最下点から該繋ぎ部に向かって漸次増加し、0.03≦H1≦0.1、0.15≦H1/H2≦0.5、0.03≦F1≦0.1、0.15≦F1/F2≦0.5、であることを特徴とする高送り加工用刃先交換式回転工具である。上記の構成を採用することによって、切削用インサートの主切刃の耐欠損性を維持しながら切削抵抗の低抵抗化を可能とし、特に工具突き出し量が200mmを超えるような長い場合における高送り加工に好適なインサートを装着した刃先交換式回転工具を提供することができる。
本願発明の高送り加工用刃先交換式回転工具は、少なくとも該インサート上面の該主切刃の近傍には、該主切刃の接線に対して略直交する方向に縦長に形成された複数のU字溝を有し、また該U字溝どうしの間にはすくい面を有することが好ましい。また、該繋ぎ部における該U字溝どうしの間のすくい面の幅(mm)をRW、該U字溝の横幅(mm)をUW、縦方向長さ(mm)をUH、該主切刃の稜線部から該U字溝端までの長さ(mm)をUL、としたとき、0.3≦RW≦0.35、1.5≦RW/UW≦2.0、UH≧1、0.45≦UL≦0.8、であることが好ましい。
本願発明は、インサートの主切刃の耐欠損性を維持しながら切削抵抗の低抵抗化を可能とし、特に工具突き出し量が200mmを超えるような長い場合における高送り加工に好適なインサートを装着した刃先交換式回転工具を提供することができた。
本願発明の高送り加工用刃先交換式回転工具の概略について、図を用いて説明する。まず、図1は本願発明の回転工具本体1とインサート2の装着の様子を説明する図を示す。図1に示すように、インサート2は中央部に設けた取付け孔3を介して、クランプねじ4により回転工具本体1に装着される。図2はインサート2を回転工具本体1に装着したときの図を示す。図2において、本願発明の切刃は、コーナー刃5を挟むように主切刃6と外周刃7が形成されている。インサートを回転工具本体に装着したとき、主切刃は最下点8を有する。外周刃は工具回転軸に対して外側に位置し、他方、取付け穴に関して外周刃と対称な面は、回転工具本体に装着したときの拘束面になる。インサートは、工具回転軸方向に対して所定の角度に傾けた状態で装着され、バックテーパがついた状態になっている。本願発明の刃先交換式切削工具は、切込深さap値を主切刃の範囲内で設定する為、たとえ垂直の立壁を加工したとしても外周刃は切削には関与せず、切刃としての役割はしないため切削抵抗が発生しない。図3は、図2に示すインサート2を拡大した図である。図3に示すインサート2は、本願発明の第1の実施形態である。図3に示すように、本願発明の刃先交換式切削工具に装着されたインサートの主切刃の最下点8とし、主切刃とコーナー刃との繋ぎ部9とし、最下点8と繋ぎ部9とを結んだ線分が工具回転軸に垂直な直線となす角度(度)をθとしたとき、5≦θ≦30である。更に該主切刃は該線分に対して工具回転軸と垂直な方向に凸形状である。主切刃の形状は曲線状、円弧状、若しくはこれらと直線の組み合わせにより形成されてもよい。本願発明のインサートのサイズは、内接円の直径が6mm〜16mm、最下点8、交点10、繋ぎ部9の3点を結んだ円弧の半径Rは、6mmから20mmとするのが好ましい。ここで、該交点10とは、該線分の垂直2等分線と主切刃との交点であり、該交点10は最下点8と繋ぎ部9とを結んだ線分に対して工具回転軸と垂直な方向に外側となっている。図4に本願発明のインサートの斜視図を示す。インサートは略四角形状をなし、工具本体の着座面と接する底面11、この底面と対向するすくい面12、底面とすくい面との間に形成された逃げ面13を備えている。そして、すくい面と逃げ面とがなす稜線部には切刃が形成され、インサート中央部に設けた取付け孔に対して対称な位置にも同様に切刃が形成されている。
図5は図4に示すインサートの主切刃における最下点8付近のA−A線の断面図であり、ネガホーニング幅がH1、フラットランドの幅がF1であることを示す。図6は図4に示す主切刃とコーナー刃との繋ぎ部9付近のB−B線の断面図であり、ネガホーニング幅がH2、フラットランドの幅がF2であることを示す。高送り加工用の刃先交換式切削工具には、主切刃のすくい面側には、主切刃の耐欠損性を向上させ、特にコーナー刃近傍の外周側における耐欠損性の向上を目的にネガホーニング及びフラットランドを設けて切刃強度の強化を図っている。しかし、ネガホーニング及びフラットランドは、その幅が広いと耐欠損性は向上する反面、切削抵抗が増大して切削に使用する工作機械、例えば、マシニングセンターなどの工作機械への負荷が大きくなり、高能率な高送り加工が出来なくなる。また、突き出し量が200mmを超えるような長い場合、又は、工具径に対して4倍以上の突き出し量を有する工具には、ビビリ振動が大きくなり切刃の欠損が発生し易い状態となり、被削材の加工面粗さの劣化も生じる。一方、ネガホーニング及びフラットランドは、その幅が小さいと切削抵抗は小さくなるが切刃強度の強化が不十分となり切刃が欠損し易くなる。従って、ネガホーニング幅及びフラットランド幅の設定は、被削材の剛性が弱く、切削中にビビリ振動などが発生し易くなる突き出し量が200mmを超えるような長い場合、又は、工具径に対して4倍以上の突き出し量を有する工具にはネガホーニング幅及びフラットランド幅を小さく設定し、強断続切削になって切刃の欠損が発生し易いときには逆に大きく設定する。ネガホーニングの角度α(度)は、5≦α≦30に設定することが好ましく、α値は、該最下点8から該繋ぎ部9の間で変化させても良い。更に、すくい面にブレーカ溝を設けることで、切削抵抗の低減化が可能となる。ブレーカ溝のすくい角β(度)は、β≦20、より好ましくは10≦β≦20にすることが好ましい。
図7は本願発明の切削工具の主切刃部分における切屑厚みのを説明するための模式図である。本願発明は、工具回転軸方向下側に凸形状となっている円弧状の主切刃によって生成される切屑厚みは、主切刃の長さ方向の全てに渡って一定の厚みではない。例えば、主切刃の半径Rが15mmの場合、高送り加工の切削条件として、切込深さap値が1.5mm、1刃の送り量fz値が1.5mmで加工したときの切屑厚みT2は、約0.6mm、最下点8付近での切屑厚みT1は、約0.06mmとなる。即ち、T1値はT2値の約1/10まで薄くなる。これより、本願発明は、切屑厚みが厚くなるコーナー刃近傍の箇所と、切屑厚みが最も薄くなる最下点8付近とでは、夫々切刃の部位により適切なネガホーニング幅及びフラットランド幅を設けることにより、切削抵抗を低減し、同時に耐欠損性を改善した刃先交換式切削工具を実現することができる。上記の通り、切削抵抗を低減させる為には、切屑厚みが最も薄くなる最下点8のH1値、F1値を小さくすることである。このとき、H1値、F1値を小さくしても、切屑厚みは薄いことから、耐欠損性が大幅に損なわれることは無い。他方、切屑厚みが最大となるコーナー刃近傍の外周側の箇所では、ネガホーニング幅及びフラットランド幅を大きくすることによって耐欠損性を向上させなければならない。ここでインサートの主切刃におけるコーナー刃近傍の外周側では、耐欠損性を優先して改善する。本願発明は、ネガホーニング幅及びフラットランド幅が主切刃の最下点8のH1値、F1値を最小とし、主切刃とコーナー刃との繋ぎ部9のH2値、F2値を最大として、回転工具最下点8から該繋ぎ部9に向かって漸次増加させることにより、主切刃の耐欠損性と低抵抗化の両立を可能としている。これに対して、従来の高送り加工用工具におけるインサートのネガホーニング幅は略0.2mmの一定幅、フラットランド幅も一定幅が施されているため、工具最下点付近はネガホーニングの中で切削が行われていることになり、切れ味が悪く、大きな切削抵抗を示していた。
本願発明のインサートにおいて、まず主切刃のH1値(mm)は、0.03≦H1≦0.1とする必要がある。その理由は、加工時のfz値と最下点8付近の切屑厚みを割り出し、その値を元にH1値を設定したとき、H1値が0.03mm未満では耐欠損性が著しく低下してしまうからである。これは、刃先強度が不足する為、切屑厚みの影響よりも、切削時にインサートの最下点と被削材が接触するときの衝撃で欠損が発生する為である。一方、H1値が0.1mmを超えて大きいと切削抵抗が増大して不都合となってしまう。次に、H2値(mm)は、H1値を設定の後、H1値とH2値との比、H1/H2値が0.15〜0.5となるように設定する必要がある。こうすることで、主切刃の耐欠損性と切削抵抗のバランスが最も良く、また、耐欠損性を損なうことなく10%以上の切削抵抗の低減が可能である。但し、H2値は、切刃の耐欠損性や切削抵抗増大に配慮して、0.1〜0.5mmの範囲内で設定することが好ましい。こうすることで、H1値を最下点付近の切屑厚みT1よりも約30%広い幅としても、ネガホーニング幅の中で切削している範囲が少ない為、10%以上の切削抵抗の低減が可能である。
次に、本願発明のインサートにおいて、主切刃のF1値(mm)は、0.03≦F1≦0.1とする必要がある。その理由は、F1値が0.03mm未満では切刃強度の強化に有効ではなくなり耐欠損性が低下するからである。刃先強度が不足すると、切削時にインサートの最下点と被削材が接触するときの衝撃で欠損が発生する。一方、F1値が0.1mmを超えて大きいと切削抵抗が増大する不都合が生じる。次に、F2値(mm)は、F1値を設定の後、F1/F2値が0.15〜0.5となるように設定する必要がある。こうすることで、主切刃のすくい面における摩耗の進行を遅延させることに効果的となる。F2値が広い程、すくい面の特にコーナー刃近傍の外周側における摩耗を遅延させる効果があり、耐欠損性が向上するのである。但し、F2値は、切刃の耐欠損性や切削抵抗増大に配慮して、0.1〜0.5mmの範囲内で設定することが好ましい。F2値が過度に広い場合は、切屑の排出性が損なわれて切削抵抗が増大する。切屑をブレーカ溝へと誘導する流れが阻害される不都合が生じるためである。
本願発明の切削工具は、高送り加工において切削時に生成される切屑が主切刃に対して略直交する方向に排出される。そこで図3に示すように、インサートのすくい面の、少なくともコーナー刃近傍の外周側には、略円弧状の主切刃の接線に対して略直交する方向に縦長に形成された複数のU字溝16を設けることが好ましい。U字溝どうしの間にはすくい面18を有する。切屑がこのすくい面18に沿って通過し、すくい面と切屑との接触面積が減少して摩擦力が減少し、また摩擦による温度上昇も緩和される。このことによって、低抵抗化を図り、摩耗の進行も遅延させることが可能となり好ましい。特に主切刃におけるコーナー刃近傍の外周側には、ネガホーニング幅、フラットランド幅を共に幅広く設定して切削抵抗は高くなる傾向にあることから、このすくい面の部位にU字溝を設けることは好ましい。ここで隣り合うU字溝の間に設けたすくい面部分の断面形状は、緩やかな丘形状をなしており、この丘形状部分が切屑と接触する面となる。主切刃にかかる負荷は、工具外周側となる繋ぎ部近傍になる程大きくなることから、先の改善では、H2値をH1値よりも大きく設定して切刃強度を改善した。ここで、繋ぎ部近傍とは、主切刃と該線分の垂直2等分線との該交点10から該繋ぎ部9までの範囲のことである。切刃強度を改善では、切削抵抗の低減化対策は施されなかったが、ここでU字溝の配置により低減化対策を施すことができるため、好ましい。工具外周側のすくい面にU字溝を設けて、切削抵抗の低減化を図ることができる。これは、切屑とすくい面との接触面積を少なくできるからである。特に工具突き出し量が200mmを超えるような長い場合における高送り加工に好適なインサートは、切削抵抗の低抵抗化を図ることが好ましいのである。
また、図8は図4に示すインサートにおけるホーニング部のC−C線の断面図を示す。図8に示すように、繋ぎ部近傍におけるU字溝の横幅(mm)をUW、該U字溝どうしの間の該すくい面の幅(mm)をRWとしたとき、0.3≦RW≦0.35、1.5≦RW/UW≦2.0、であることが好ましい。繋ぎ部近傍の工具外周側のすくい面におけるUW値、RW値を上記の範囲に設定することにより、工具外周側のすくい面摩耗の進行に悪影響を及ぼさない範囲で切削抵抗の低抵抗化を図ることができる。RW値が0.3未満、或いはRW/UW値が1.5未満では、切屑との接触面積が減少して切削抵抗の低減化をもたらすが、その反面、すくい面の摩耗の進行が顕著となり、切刃の耐欠損性を劣化させることになる。一方、RW値が0.35を超えて長く、或いはRW/UW値が2.0を超えて大きいときは、すくい面の摩耗の進行が抑制され、切刃の耐欠損性を維持することができるが、切屑との接触面積の低減化が不十分のため切削抵抗の低減化を得ることができない。
U字溝のUH値は、UH≧1であることが好ましい。この理由は、UH値が1未満ではU字溝が短すぎて切屑接触面積の低減が十分でないため、切削抵抗の低抵抗化に有効とはならないからである。ここでUH値の上限値はすくい面の形態によって決定されるため、特に定めない。
UL値は、0.45≦UL≦0.8であることが好ましい。この理由は、切屑がすくい面と接触する領域を配慮し、U字溝がすくい面摩耗の進行に悪影響を及ぼさない範囲で切削抵抗の低抵抗化を図ることができるからである。UL値が0.45未満では、U字溝の開始位置が切刃に近すぎるため、すくい面の摩耗進行が早くなり、耐欠損性を劣化させてしまう。一方、ULが0.8を超えて長いときは、切削抵抗の低抵抗化に有効とはならないのである。
また、U字溝のピッチ(mm)をUPとしたとき、UP値が回転工具最下点から繋ぎ部に向かって漸次増加するように変化させることによって、切削時の低抵抗化と耐欠損性とのバランスが好適となる。しかも、UP値が回転工具最下点から繋ぎ部に向かって漸次増加するように変化すれば、工具外周側のU字溝数を工具最下点と比較して少なくすることになり、工具外周側のすくい面摩耗の進行を遅延させることにも有効であり、切削抵抗の低減化と切刃の耐欠損性のバランスがとれるのである。逆に、繋ぎ部近傍のUP値を比較的幅狭く設定すると、U字溝の存在密度が大きくなってすくい面の面積が減少する。すると切屑との接触面積がより小さくなり切削抵抗の低減化が図れるものの、すくい面の摩耗が進行してしまい、切刃の耐欠損性を損なうことになってしまう。一方、すくい面における回転工具最下点近傍のUP値を小さく設定することは、U字溝の存在密度を大きくして更に切削抵抗の低減化に有効となる。最下点近傍では切屑厚さも薄く、すくい面の摩耗の進行が遅いため、UP値を小さく設定することの方が有効である。
また、U字溝の深さをdとしたとき、d値は1mmより深くなるとインサートの強度が不足し、特に高送り加工に於いては切刃に大きな負荷がかかり破損し易くなる為、d値は1mm以下に設定するのが好ましい。また、刃先強度を維持するため、d値は最下点から繋ぎ部に向かって漸次減少することが好ましい。また、本願発明の第2の形態として、図9に略3角形をした3箇所の主切刃を設けたものを示す。これらについても、本願発明と同様な効果を得ることができる。
本願発明による切削抵抗低減と耐欠損性の効果を確認するため、以下に示す切削の試験条件により評価を行った。本発明例1のインサートは、粉末冶金の技術を用いて作成したWC基超硬合金製のインサートを使用した。インサートのサイズは、内接円の直径が14mm、厚みが5.56mm、主切刃の半径R値が15mmとした。本発明例1のインサートにおけるネガホーニング付与、該U字溝の付与は、プレス金型の形状設定時に行ない、金型プレス機でインサートの成形体を作成した。他の本発明例2〜17、比較例18〜22及び従来例23についても、成形用金型の形状設定の変更によってネガホーニング幅、フラットランド幅やU字溝の形状を変化させたが、それ以外は本発明例1と同様な方法で作成した。このとき、本発明例1〜17と比較例19から22のH2値は全て0.2mm、F2値は全て0.2mmで同じ値に設定した。また何れも、ネガホーニングの角度α(度)は20度、ブレーカ溝のすくい角β(度)は12度、d値は1mm以下とした。但し、従来例23のインサートは、主切刃全体に渡ってネガホーニング幅が0.2mmで一定幅のものを使用した。上記の値であれば、刃先強度は十分確保されていると考えたからである。
本発明例1のインサートを工具径63mmの切削工具本体に1個装着した1枚刃で切削抵抗測定の評価を行った。切削抵抗の評価は、被削材として平坦な加工面のS50C材を使用して10分間の切削を行ない、切削抵抗値が従来例23と比較して10%以上低下したものを、効果ありと判断した。
次に、被削材として、図10に示す径6mmの孔が多数形成されたS50C材を使用し、強断続切削による高送りの平面削り加工を60分間行ない、耐欠損性の評価を行なった。この耐欠損性の評価試験では、インサートを5個用い、切削工具本体に1個装着した1枚刃で60分間の切削を5回行なって評価した。評価は、60分間の切削において切刃の欠損の有無を評価した。本発明例2から17、比較例18から22、従来例23のインサートについても本発明例1と同様に評価した。結果は、60分間の切削で5個中全てが欠損すること無く加工が可能であったものは○印、5個中1個でも欠損が発生したものは×印で示した。本発明例1から17、比較例18から22、従来例23のH1値、H1/H2値、F1値、F1/F2値、すくい面のU字溝の条件、評価結果を表1に示す。
(試験条件)
加工方法:平面削り、乾式切削加工
切削速度Vc:120m/分
回転数n:606min−1
1刃当りの送り量fz:1.5mm/刃
軸方向切込み量ap:1.5mm
径方向切込み量ae:40mm
工具突出し長さ:250mm
Figure 0004919298
表1に示す評価結果より、まず切削抵抗測定の試験では従来例23のインサートを用いてfz値が1.5mm/刃の高送り加工を行った場合、ネガホーニング幅を0.2mmに一定にした従来例23の10分間の切削を行なった時点での切削抵抗値は3777Nであった。この値を基準にして、10%以上の切削抵抗低減化の有効性について、本発明例1から17、比較例18から22を評価した。その結果、本発明例1から17、比較例18から20は、目標である10%以上の切削抵抗の低減化を達成した。本発明例1から17は、工具突出し長さが250mmと長い条件であるにも拘らず、ビビリ振動の発生も無く加工出来た。切削抵抗が低減出来たことにより工作機械への負担が軽減され、切削送り量を更に上げて加工することが可能となった。特に、H1値は工具最下点付近の切屑厚み以下にすることが好ましい。
また、本発明例1から17の中で比較すると、本発明例1、2、4から17はすくい面に複数のU字溝を設けたため、16.6%以上の切削抵抗低減を達成できた。しかし本発明例3は、U字溝を設けなかったため、切削抵抗低減率は14%に留まった。U字溝を設けることは、切削抵抗低減にとって有効であった。本発明例1、4から6の4種を用いて、RW値の比較をした。本発明例4はRW値が0.25のため切削抵抗低減率は20.6%と最も良好であったが、すくい面の観察において4種の中でも、摩耗進行が最も進んでいた。本発明例6はRW値が0.4のため摩耗進行は少なかったが、切削抵抗低減率は17.9%に留まった。本発明例1、5はRW値が0.3から0.35のため、摩耗進行が抑えられつつ高い切削抵抗低減率が得られ、両者のバランスが良好であった。本発明例1、7から9の4種を用いて、RW/UW値の比較をした。本発明例7はRW/UW値が1.0のため切削抵抗低減率は20.3%となったが、すくい面の摩耗進行が観察された。本発明例9はRW/UW値が2.5のため摩耗進行は少なかったが、切削抵抗低減率は16.6%に留まった。本発明例1、8はRW/UW値が1.5から2のため、摩耗進行が抑えられつつ高い切削抵抗低減率が得られ、両者のバランスが良好であった。本発明例1、10から12の4種を用いて、UH値の比較をした。本発明例10はUH値が0.5のため切削抵抗低減率は18.3%に留まったが、本発明例1、11、12はUH値が1.0以上であったため切削抵抗低減率は19.1%以上となり、優れていた。本発明例1、13から15の4種を用いて、UL値の比較をした。4種とも、同一の切削抵抗の低減率を示したが、本発明例13から本発明例1、14、15へとUL値の小さい順により大きなすくい面の摩耗進行が観察された。本発明例1、16、17の3種を用いて、H1値、H1/H2値を同じ条件のとして、F1値、F1/F2値を変化させたときの切削抵抗を比較した。フラットランド幅が広くなるに従って切削抵抗は増大した。特に、本発明例1、16との差は25Nであった。また、本発明例2、16を用いて、F1値、F1/F2値を同じ条件のとして、H1値、H1/H2値を変化させたときの切削抵抗を比較すると、両者の差は30Nであった。従って、切削抵抗の低減化には、ネガホーニング幅の影響の方が大きいと考えられる。
一方、比較例21、22は、夫々H1/H2値が0.6、0.75、F1/F2値が0.6、0.75と大きく、工具の最下点近傍ではネガホーニング幅の中で切削している範囲が長い為、目標とした切削抵抗10%低減は達成出来なかった。更に、比較例21、22は切削中にビビリ振動が発生した。特に、工具突出し長さが250mmと長い条件の場合にはビビリ振動の発生が顕著となり、主切刃に欠損を誘発した。更に機械の主軸を傷めてしまう為、試験に使用した主軸出力が15kWのBT50主軸の工作機械では、高能率な高送り加工が出来なかった。
次に、主切刃の耐欠損性の評価では、切削時間60分まで加工するまでの間、夫々の欠損の有無を確認した。試験の結果を表1に併記した。表1より、本発明例1から17と比較例21、22は、60分間の切削で5個中全てが欠損すること無く加工することが可能であったたため○印で示した。しかし、比較例18は5個中5個全てが60分間加工出来ずに折損が発生した。各インサートの切削時間は、37分、40分、50分、43分、49分であった。同様に、比較例19は5個中4個が、また比較例20は5個中2個が60分間加工出来ずに欠損が発生した。5個中1個でも欠損が発生したものは、×印で示した。試験後に切刃の観察を行なった所、欠損が発生した場所は、主切刃の最下点付近であったことから、欠損の原因は、最下点のネガホーニング幅、フラットランド幅が共に小さいことにより、刃先強度が不足している為であると考えた。このことより、耐欠損性を維持するためには、H1値、F1値は0.03mm以上が必要である。特に、最下点付近の切屑厚みは約0.06mmとなることから、H1値は切屑厚みの約半分以上あれば耐欠損性が確保出来る。以上の試験結果により、切削抵抗と耐欠損性との2項目の総合評価において本発明例1から17は良好な結果を示し、耐欠損性を損なうこと無く切削抵抗の低減化を可能した。
図1は、本願発明の高送り用刃先交換式回転工具の斜視図を示す。 図2は、本願発明の高送り用刃先交換式回転工具の図を示す。 図3は、図2のインサート部分の拡大図を示す。 図4は、本願発明におけるインサートの第1の実施形態を示す。 図5は、図4に示すA−A線の断面図を示す。 図6は、図4に示すB−B線の断面図を示す。 図7は、本願発明の切削工具における主切刃部分の拡大図を示す。 図8は、図4に示すC−C線の断面図を示す。 図9は、本願発明におけるインサートの第2の実施形態を示す。 図10は、孔が多数形成された被削材を示す。
符号の説明
1:回転工具本体
2:インサート
3:インサート取付け孔
4:クランプねじ
5:コーナー刃
6:主切刃
7:外周刃
8:主切刃の最下点
9:主切刃とコーナー刃との繋ぎ部
10:最下点8と繋ぎ部9とを結んだ線分の垂直2等分線と主切刃との交点
11:インサート底面
12:すくい面
13:逃げ面
14:切込み深さapにおける主切刃上の点
15:ネガホーニング
16:U字溝
17:フラットランド
18:U字溝どうしの間のすくい面
H1:ネガホーニング幅
H2:ネガホーニング幅
F1:フラットランド幅
F2:フラットランド幅
UP:U字溝のピッチ
UW:U字溝の横幅
UH:U字溝の縦方向長さ
UL:主切刃の稜線部からU字溝端までの長さ
RW:U字溝どうしの間のすくい面の幅
R:主切刃の半径
T1:切屑厚み
T2:切屑厚み

Claims (3)

  1. 着脱可能なインサートを用いた高送り用刃先交換式回転工具において、該インサートはすくい面と逃げ面との稜線部を切刃とし、該切刃は、コーナー刃と該コーナー刃を挟んで主切刃と外周刃とを備え、該主切刃における回転工具最下点と該主切刃と該コーナー刃との繋ぎ部を結んだ線分が工具回転軸の垂線となす角度(度)をθとしたとき、5≦θ≦30であり、該主切刃は該線分に対して工具回転軸と垂直な方向に凸形状であり、該すくい面には該主切刃に対して略垂直な方向で内向きに該主切刃の稜線部からネガホーニング、フラットランド、ブレーカ溝を有し、該最下点における該ネガホーニングの幅(mm)をH1、該フラットランドの幅(mm)をF1、該繋ぎ部における該ネガホーニングの幅(mm)をH2、該フラットランドの幅(mm)をF2、としたとき、ネガホーニング幅とフラットランド幅とが該最下点から該繋ぎ部に向かって漸次増加し、0.03≦H1≦0.1、0.15≦H1/H2≦0.5、0.03≦F1≦0.1、0.15≦F1/F2≦0.5、であることを特徴とする高送り加工用刃先交換式回転工具。
  2. 請求項1に記載の高送り用刃先交換式回転工具において、該ブレーカ溝には、該主切刃に対して略垂直な方向で内向き方向に縦長に形成された複数のU字溝を有し、該U字溝どうしの間にはすくい面を有することを特徴とする高送り加工用刃先交換式回転工具。
  3. 請求項2に記載の高送り用刃先交換式回転工具において、該繋ぎ部における該U字溝どうしの間の該すくい面の幅(mm)をRW、該U字溝の横幅(mm)をUW、縦方向長さ(mm)をUH、該主切刃の稜線部から該U字溝端までの長さ(mm)をUL、としたとき、0.3≦RW≦0.35、1.5≦RW/UW≦2.0、UH≧1、0.45≦UL≦0.80、であることを特徴とする高送り加工用刃先交換式回転工具。
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