JP4917883B2 - 核酸の増幅および検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、核酸を増幅して分子標的とプローブ分子との間の特有の相互作用を検出する装置および方法に関する。
生物医学的検定は、知られている量および位置に存在する分子(分子プローブ)と、検出される未知の分子または検出される未知の複数の分子(分子標的分子)との間の相互作用の検出に基づくことが多い。現代の検定では、各種プローブで並列方式により試料が同時に分析され得るように、プローブは、担体、いわゆるマイクロアレイまたはチップ上に物質ライブラリの形で適切に配置されている(例えば、D.J.ロッカート、E.A.ウィンゼラー(D.J.Lockhart、E.A.Winzeler)「Genomics,gene expression and DNA arrays」Nature 2000年、405、827〜836ページを参照)。ここで、プローブは通常、例えば国際公開第00/12575号パンフレットで説明されているように(例えば、米国特許第5,412,087号明細書、国際公開第98/36827号パンフレットを参照)適当なマトリクス上に固定化されるか、またはマイクロアレイを作成するための所定の方法(例えば、米国特許5,143,854号明細書を参照)で合成により製造される。
プローブと標的分子との間の相互作用の検出は通常、以下のように実施される。1つまたは複数のプローブが所定の方法によりマイクロアレイの形で特定のマトリクスに固定された後、標的が溶液中のプローブと接触し、定められた条件下でインキュベートされる。インキュベートの結果、プローブと標的との間に特定の相互作用が発生する。ここで発生する結合は、標的分子と、標的分子に固有でないプローブとの結合よりも著しく安定している。特に結合されていない標的分子を除去するために、この系は、対応する溶液で洗浄または加熱される。
標的とそのプローブとの間の特定の相互作用の検出は、マーカーの種類によって通常は異なる各種方法を使用して実行可能であり、前記マーカーは、標的分子とマイクロアレイとの相互作用前、相互作用中、または相互作用後に標的分子に挿入されている。通常、このようなマーカーは蛍光基であり、したがって、特定の標的/プローブ相互作用は、高い局所分解能で蛍光光学的に読み出されることが可能であり、他の従来の検出方法、特に質量の影響を受けやすい方法と比較して労力が少ない(A.マーシャル、J.ホジスン(A.Marshall、J.Hodgson)「DNA chips:An array of possibilities」Nature Biotechnology 1998年、16、27〜31ページ、G.ラムゼイ(G.Ramsay)「DNA Chips:State of the art」Nature Biotechnology 1998年、16、40〜44ページ)。
マイクロアレイ上に固定化された物質ライブラリおよび標的分子の化学的性質に応じて、核酸と核酸との相互作用、タンパク質とタンパク質との相互作用、および核酸とタンパク質との相互作用が、この検定原理を用いて調査されることができる(調査については、F.ロットシュパイヒ、H.ゾルバス(F.Lottspeich、H.Zorbas)、1998年、Bioanalytik、Spektrum Akademischer Verlag、Heidelberg/Berlin、Germanyを参照)。
ここで、抗体ライブラリ、受容体ライブラリ、ペプチドライブラリ、および核酸ライブラリは物質ライブラリとして考えられ、これらはマイクロアレイまたはチップ上に固定化されることができる。
核酸ライブラリは特に最も重要な役割を果たす。これらは、デオキシリボ核酸(DNA)分子またはリボ核酸(RNA)分子が固定化されるマイクロアレイである。
例えば、DNAまたはRNA分子の形態で、且つ蛍光基によって標識されている標的分子をマイクロアレイの核酸に結合するための前提条件は、標的分子とプローブ分子との両方が1本鎖核酸の形態で存在することである。効率的かつ特有のハイブリッド形成は、このような分子間でしか発生し得ない。1本鎖核酸標的分子および核酸プローブ分子は通常、熱変性と、螺旋不安定分子の温度、イオン強度、および濃度のようなパラメータの最適な選択とを使用して得られる。したがって、ほぼ完全な相補性を有するプローブ、即ち互いに密接に対応する配列を有するプローブのみが標的配列と対をなすことが保証される(A.A.リーチ、T.シュヴァルツアッハー、D.ジャクソン、I.J.リーチ(A.A.Leitch、T.Schwarzacher、D.Jackson、I.J.Leitch)、1994年、In vitro Hybridisierung、Spektrum Akademischer Verlag、Heidelberg/Berlin/Oxford)。
生物学的検定方法でマイクロアレイを使用する典型的な例として、生物医学的診断における試料内の微生物の検出が挙げられる。ここで、リボソームRNA(rRNA)の遺伝子が遍在的に拡散されており、それぞれの種に特有の配列部分を有するという事実が利用される。前記種−特徴配列は、1本鎖DNAオリゴヌクレオチドの形でマイクロアレイ上に適切に配置される。調査される標的DNA分子は、まず調査される試料から分離され、マーカー、例えば蛍光マーカーに付着される。その後、標識された標的DNA分子が、マイクロアレイ上に適切に配置されたプローブとともに溶液中でインキュベートされ、対応する洗浄工程を用いて非特有の形で発生する相互作用が除去され、蛍光の光学的評価を用いて特有の相互作用が検出される。このような方法では、例えば1回の検定を用いて、同時に1つの試料中のさまざまな微生物を検出することが可能である。この検定方法では、検出可能な微生物の数は理論的に、マイクロアレイ上に適切に配置された特定のプローブの個数にのみ依存する。
市販されているものもあるが、固体表面上のマイクロアレイまたはプローブアレイを用いて分子相互作用を検出する各種方法および技術系を説明する。
分子相互作用を検出する古典系は、蛍光標識されてスペクトル的に励起された標的分子の蛍光強度の比較結果に基づく。蛍光とは、特定の波長の光により励起されたときに自ら光を放出する特定の分子の能力である。この場合、特性吸収および放出挙動が続いて生じる。分析では、例えば、標的分子とプローブ分子との間の分子間相互作用の効率が高まることで、官能化表面の標識された分子密度が増加するのと比例して、蛍光信号が増加すると仮定される。
特に、蛍光信号の定量的検出は、修正された蛍光顕微鏡検査法を用いて行われる。ここで、フィルタまたはダイクロイトを用いて、吸収波長を有する光が発光波長を有する光から分離され、対物鏡およびレンズのような光学素子を用いて、例えば2次元CCDアレイのような適当な検出器上に測定信号が結像される。一般に、分析はデジタル画像処理を用いて行われる。
これまでに知られている技術的解決法は、その光学的設備および使用される要素に関して異なる。このような設備の問題および制限は信号雑音(背景)から生じ、これは、使用される着色剤の漂白および急冷のような効果、媒体の自己蛍光、組立要素、および光学要素によって本質的に決定されるとともに、光学的設備内の分散、反射、および2次光源によって本質的に決定される。
その結果、プローブアレイの定性的および定量的比較用の高感度蛍光検出器の設備に対して高い技術的労力が必要となる。特に、中スループットおよび高スループットのスクリーニングでは、ある程度の自動化を示す特別に適合された検出システムが必要である。
分子アレイを読み出すように標準落射蛍光設備を最適化するCCD系の検出器が知られており、これは、分散および反射などの光学的効果の識別のための入射光または透過光を用いて、暗視野内で蛍光プローブの励起を行う(例えば、C.E.フーパーら(C.E.Hooper et al.)「Quantitative Photon Imaging in the Life Sciences Using Intensified CCD Cameras」Journal of Bioluminescence and Chemiluminescence(1990年)、S.337〜344ページを参照)。ここで、アレイの結像は、露光または高分解能光学系を用いるラスタライズによって行われる。マルチスペクトル光源の使用により、異なる励起フィルタ(組み合わせ)を用いて異なる蛍光プローブに比較的容易にアクセス可能である。しかし、アレイ上の照明均質性のような自己蛍光およびシステム関係の光学的効果が複雑な照明光学系およびフィルタシステムを必要とすることが欠点である。
さらに、蛍光信号の定量的検出方法は、共焦点蛍光顕微鏡検査に基づく。通常の共焦点配置では、対物レンズの焦点面内の物体が点光源により照射される。物体により反射された光は、ビームスプリッタを用いて点光源光検出器の方向に鏡映されて検出される。ここで、点光源、物体および点光源検出器は、正確な光学的共役面上に配置される。したがって、焦点面の外からの光は検出器に鮮明な焦点を結ばず、このような理由から記録すらされない。そのため、焦点面の上または下に配置されている物体部分が削除される。共焦点法の利点は、焦点面外の分散光の散乱部分がこのように排除されることにある。全体像は、物体を横切って当てる光点の操作を1段ずつ下げることにより生成される。これは走査法とも呼ばれる。その後、このラスタライズ方法で記録された画像データ記録が組み合わされて、2Dまたは3D画像が形成される。
顕微鏡下に配置された物体を横切って光線をラスタライズ方式で導くことが走査ユニットの仕事である。この目的に関して、主に以下の4つの可能性がある。
a)物体が可動テーブル上で静止レーザを横切る方向に移動する。ここで、レーザは不作動位置にある。
b)物体が移動可能であり、静止レーザを横切る方向に移動する。ここでも、レーザは不作動位置にある。
c)可動レーザビームが物体を横切る方向に移動する。ここで、物体は不作動位置にある。
d)レーザビームが一方の軸内で移動し、物体が他方の軸内で移動する。
共焦点走査系は、例えば米国特許第5,304,810号明細書に記載されているように、2つのピンホールを用いて、光軸に沿った蛍光信号を選択することに基づいている。このため、試料に対する調節の複雑度が高く、且つ効果的なオートフォーカスシステムがそれぞれ確立される。このようなシステムは、技術的実装に関して非常に複雑である。レーザ、ピンホール、例えばPMTのような状況に応じて冷却される検出器、アバランシェダイオードまたはCCD、複雑で非常に正確な機械式平行移動要素、および光学系などの必要な構成要素は最適な形で調整されなければならず、相当の労力を要する(例えば、米国特許第5,459,325号明細書、米国特許第5,192,980号明細書、米国特許第5,834,758号明細書を参照)。小型化の程度と価格は、構成要素の種類および機能によって制限される。
この時点では、プローブアレイに基づく分析は一般に、蛍光光学的に読み出される(例えば、A.マーシャル、J.ホッジソン(A.Marshall、J.Hodgson)「DNA Chips:An array of possibilities」Nature Biotechnology、16、1998年、27〜31ページ、G.ラムゼイ(G.Ramsay)「DNA Chips:State of the Art」Nature Biotechnology、16、1998年1月、40〜44ページを参照)。しかし、上述の検出装置および方法の欠点は高レベルの信号バックグラウンドであり、このため、正確さが制限され、部分的にかなりの技術的な労力が発生するとともに、検出方法に関連するコストも高くなることである。
流体室内に取り付けられるアレイフォーマットの低集積物質ライブラリの検出に適している各種系、特に共焦点系が知られている(例えば、米国特許第5,324,633号明細書、米国特許第6,027,880号明細書、米国特許第5,585,639号明細書、国際公開第00/12759号パンフレットを参照)。
上述の方法およびシステムは、特に分散、反射、および光学収差が中で発生することから、非常に限られた方法で特に流体システム内に取り付けられる高集積分子アレイの検出にのみ適合することが可能である。さらに、このような高集積アレイでは、空間的分解能に関して大きな需要があるが、しかし、現在まで技術的に実装可能でない。
そこで、プローブと標的との間の相互作用を非常に正確に、且つ比較的少ない技術的労力で定性的および/または定量的に検出可能である高集積アレイが必要である。
代替構成要素の選択の幅が広がって入手しやすくなれば、固形物に結合されている分析の蛍光偏光および時間分解蛍光法などの代替撮像技術の確立が促進される。しかし、特に高集積アレイに対するこのような解決法は、現在まで概念の形でしか存在していない。偏光方式で励起された蛍光プローブを用いて偏光軸をねじる効果を使用して、マイクロウェルフォーマットでの定量が行われる。さらに、高スループットを有する安価なシステム(HTSシステム)を、それに応じて修正されたポリマーフォイルを偏光フィルタとして用いて組み付ける提案がある(I.グリジンスキら(I.Gryczcynski et al.)「Polarisation sensing with visual detection」Anal.Chem.1999年、71、1241〜1251ページを参照)。しかし、現在利用可能な光量および検出器では、マイクロアレイの実装が困難になる。このような装置では、光源(例えば、レーザ、LED、高圧ランプ)、偏光フィルタ(場合によってはコーティングポリマー箔)、および検出器(CCD、CMOSカメラ)が必要になり、これまでに対応する解決方法は知られていない。
最近の開発では、ランタニドのような無機物質の蛍光(M.クイアトウスキら(M.Kwiatowski et al.)「Solid−phase synthesis of chelate−labelled oligonucleotides:application in triple−color ligase−mediated gene analysis」Nucleic Acids Research、1994年、22、13ページ)および量子ドット(M.P.ブルシェら(M.P.Bruchez et.al.)「Semiconductor nanocrystals as fluorescent biological labels」Science 1998年、281、2013ページ)を利用する。選択的定量化にナノ秒の範囲の蛍光プローブの特定の蛍光寿命を利用することは非常に複雑であり、この局所的に解決される用途の特異性にかかわらず商業利用されていない。ランタニドキレートのような数マイクロ秒の範囲内で長い放射時間を示す着色剤は、着色剤から移動相への転換を必要とし、これにより、局所的に解決される検出は可能でない。
受像管での使用から知られている微粒子の生物学的マーカーとしての使用(F.ファン・ド・レイケら(F.van de Rijke et al.)「Up−Converting Phosphors:A New Reporter Technology for Nucleic Acid Microarrays」European EC Meeting on Cytogenetics(2000年)Bari、Italy)は、特にデータ伝送の分野からの光源が励起(980nmダイオード・レーザ)に使用されることから、検出技術の設備の感度および小型化可能性に関して非常に有望である。しかし、アレイ上の標的/プローブ相互作用の検出については、この技術は今のところ市販されていない。検出器は、光放射用構成要素(例えば、レーザ、LED、高圧ランプ)、励起および検出光を変調して(例えば、チョッパー・ディスク、電子シャッター)時間遅延信号を検出する(例えば、CCD、CMOSカメラ)システムを備える。一般に、粒子と生物試料との親和性の低さが基本的な問題である。
金ビーズを用いて標識された試料の検出、および銀増幅を用いた視覚化のための光学的設備については、国際公開第00/72018号パンフレットに記載されている。しかし、記載されている装置は、静的測定の検出にのみ適している。静的測定では、標的とプローブアレイ上に適切に配置されたプローブとの相互作用に続いて、これらのアレイ要素上に析出が生じる反応が始まって相互作用が発生し、画像が記録されて灰色値の測定された濃度が割り当てられるが、これは析出形成の程度に依存する。
国際特許出願公開第02/02180号パンフレットでは、この静的測定方法によって非常に狭い濃度範囲内でのみ満足な値が得られ、したがって、析出形成の大部分が直線的に発生しないことから、相互作用の特異性の評価についても問題があることが記載されていた。特に、析出形成の時間依存挙動は、時間による析出形成の指数関数的増大とともに、その後の飽和レベルを含む。時間による析出形成の指数関数的増大の範囲内からのグレー値のみにより、結合されている標的の量との相関関係が得られるが、それぞれのプローブ標的相互作用に依存し、したがって、それぞれのアレイ要素について異なる一定時間後のアレイ要素上の析出形成とともに到達される飽和レベルは、析出形成反応の完了後の定量化とは反対である。反応速度が温度、光、塩濃度、pH、およびその他の要因に大きく依存することから、アレイ要素のいずれもが飽和レベルに到達しないという点を疑うことなく保証され得るように実験パラメータを計画することは不可能である。
したがって、1つの画像のみを記録する場合、即ち静的測定では、全てのアレイ要素上の析出形成反応が時間に対する析出形成の依存関係の指数関数的範囲内にあることが保証され得ない。したがって、析出反応が析出形成の指数関数的範囲内にまだあるアレイ要素の信号強度と比較して既に飽和レベルにあるこれらのアレイ要素から得られる信号強度、例えばグレー値が間違って表される。
上述の欠点を克服するために、プローブとプローブアレイ上の標的との分子間相互作用を用いて試料内の標的の定性的および/または定量的検出を行う方法が国際公開第02/02810号パンフレットに記載されており、アレイ要素での析出形成の時間依存挙動が信号強度の形で検出され、即ち動的測定が行われる。析出形成を時間の関数として記載する曲線関数に基づき、プローブとアレイ要素上の標的との間の相互作用を定量化する値、したがって結合されている標的の量が、各アレイ要素に割り当てられる。
そのような動的測定では、例えば特定の熱的条件の下で、または例えば記録時に特定の溶液が存在している場合のある手順の特定のフェーズにおいて、像系列を記録する必要がある。これは、特に遺伝子型特定の分野で使用する場合に、高集積アレイの個別の構成要素の複雑な連携を必要とする。
さらに、生物医学的診断における多くの検定において、まず検出に十分な量の標的分子が存在せず、したがって、まず実際の検定工程の前に試料から増幅されなければならないという問題が生じる。通常、DNA分子の増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により行われる。RNAの増幅については、RNA分子は逆転写を用いて相補DNA(cDNA)にそれぞれ転換されなければならない。その後、前記cDNAは、PCRを使用して増幅されることができる。PCRは標準の実験室方式である(例えば、サムブルークら(Sambrook et al.)(2001年)「Molecular Cloning:A laboratory manual」3rd edition、Cold Spring Harbor、N.Y.、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照)。
PCRを用いたDNAの増幅は比較的高速であり、小型化方式を用いて小さなセットアップ量で高い試料スループットが得られ、自動化により運転が効率化される。
しかし、単なる増幅を用いた核酸の特徴付けは不可能である。むしろ、増幅の後にPCR生成物の特徴付けのために、核酸配列決定、ハイブリッド形成、および/または電気泳動分離および単離法のような分析方法を使用することが必要である。
一般に、核酸の増幅およびその検出のための装置ならびに方法は、実験者による介入が可能な限り少なくて済むような方法で設計されなければならない。核酸の増幅およびその検出を可能にし、その過程で実験者が最低限介入するだけでよい方法の利点は明白である。一方で、汚染が避けられる。他方で、そのような方法の再現性は、それらの方法が自動化で使用可能なことから実質的に増大する。これは、さらに診断方法の承認を考慮する上でもきわめて重要である。
現在、核酸の増幅およびその検出のための方法は多数あり、まず標的物質がPCR増幅を用いて増幅され、続いてプローブアレイに対するハイブリッド形成を用いて、標的配列の識別または遺伝状態が決定される。一般に、ハイブリッド形成の範囲内で、定性的および定量的検出に十分な量を有するために、検出する核酸分子および/または標的分子の増幅が必要である。
ハイブリッド形成を用いた核酸のPCR増幅およびその検出は、複数の初歩的問題に制約される。同様に、これはハイブリッド形成を用いた核酸のPCR増幅および検出を組み合わせる方法に適用される。
PCRとハイブリッド形成とを組み合わせる方法で生じる問題のうちの1つは、標的分子の二重鎖に基づく。2本鎖テンプレート分子を仮定すると、古典的PCR増幅反応は通常、2本鎖DNA分子を形成する。これらは、前回の変性後のプローブアレイのプローブとのハイブリッドを形成することのみが可能である。ハイブリッド形成反応では、ハイブリッド形成による溶液中の2本鎖の超高速な形成が、プローブアレイの固定化されたプローブと競合する。ハイブリッド形成信号の強度、したがって、この方法の結果の定量的および定性的評価は、この競合反応により強く制限される。
さらに、本質的にハイブリッド形成反応に基づいて、及びハイブリッドを形成するプローブおよび標的に基づく問題がある。アレイハイブリッド形成反応の標的として使用されるPCR生成物の長さは通常、少なくとも約60塩基対である。これは、PCR反応に使用されるフォワードプライマーおよびリバースプライマーの長さの和に対応するとともに、PCRにより増幅されてアレイ上のプローブに対して相補性を示す領域に対応する。この長さの1本鎖分子は、非構造化形態の溶液中にはほとんど存在しない。つまり、この長さの1本鎖分子は直線状に伸張されているが、例えばヘアピンまたはその他の螺旋構造のような、ほぼ安定した2次構造を有する。これらの2次構造が、プローブに対して相補性を示す標的領域に影響を及ぼす場合、前記2次構造の形成は、プローブへの標的の効率的ハイブリッド形成を妨げる。したがって、2次構造の形成はまた、効率的なハイブリッド形成を抑制し、また妨げないとしても、この方法の結果の定量的および定性的評価を困難なものにする可能性もある。
そのため、さらに1つの反応室において、例えばハイブリッド形成反応のようなPCRおよび分析反応を実行することを可能にする装置が必要である。
例えば、蛍光標識プライマーの形で検出可能なマーカーが、ハイブリッド形成を用いてPCR増幅およびその検出を組み合わせた方法で検出する核酸分子または検出する標的分子内に挿入される場合、通常は、実際の検出前に洗浄工程が行われる。このような洗浄工程は、増幅生成物と比較して豊富に存在する非転換プライマーを除去するだけでなく、検出反応に関与しない、および/または特にマイクロアレイの核酸プローブとハイブリッドを形成しない蛍光マーカーを有するヌクレオチドを除去するために使用される。この方法で、これらの分子によって引き起こされる高レベルの信号バックグラウンドが低減される。しかし、このような追加手順工程は、検出方法を大幅に遅延させる。さらに、検出可能な信号は、マイクロアレイの核酸プローブと特にハイブリッドを形成する検出する核酸についても著しく低減される。後者の大部分は、ハイブリッド形成により結合されている標的と溶液中にある標的との間の平衡状態が洗浄工程の後にはもはや存在しなくなるという事実に基づく。アレイ上の核酸とハイブリッドを既に形成している核酸は、洗浄により結合部位から置換され、したがって溶液中の分子とともに洗い流される。要するに、溶液中の分子の洗浄工程またはすすぎ工程が、既にハイブリッド形成されている核酸の置換よりも高速に実行される場合にのみ、検出可能な信号が維持される。
したがって、プローブと標的との間の相互作用を非常に正確に、且つ比較的少ない技術的労力で定性的および/または定量的に検出可能である高集積アレイが必要である。
さらに、1つの反応室において、例えばハイブリッド形成反応のようなPCRおよび分析反応を行うことができる装置が必要である。
さらに、析出形成の時間依存挙動を検出することにより、例えば金ビーズで標識された試料の検出および銀増幅を使用した視覚化により、プローブと標的との間の定量的相互作用を高い精度で検出することができる高集積アレイが必要である。
したがって、本発明の基本的な問題は、特に検定システムを有する分析の互換性の欠如によって生じる上述の問題を克服することである。
特に、本発明の基本的な問題は、プローブアレイ上のプローブと標的との間の分子相互作用を非常に正確に、且つ高い感度により、更に使い易くてコスト効率の高い方法で、定性的および/または定量的に検出することができる方法および/または装置を提供することである。
さらに、本発明の基本的な問題は、実験者による介入を最低限にすることが可能な核酸の増幅、核酸の定性的および定量的検出を行うための方法および/または装置を提供することである。
さらに、本発明の基本的な問題は、検出される核酸とアレイ上の核酸プローブとの間のハイブリッド形成を損なうことなく、マイクロアレイ上の相互作用の検出において高い信号対雑音が保証される核酸の増幅、核酸の定性的および定量的検出を行うための方法および/または装置を提供することである。
さらに、本発明の基本的な問題は、検出の高い動的分解能が得られる、即ち強い信号間の弱いプローブ標的相互作用の検出が保証される装置を提供することである。
さらに、本発明の基本的な問題は、高いスループット率で核酸のほぼ同時の増幅および特徴付けを可能にする装置を提供することである。
本発明の基本的なこれらおよびその他の問題は、本願の中で特徴付けられる実施形態を提供することにより解決される。
具体的には、本発明の範囲内で提供される試料中の核酸の増幅、並びに定性的および定量的検出のための方法は、以下の工程を含む。
a)室担体とマイクロアレイとの間に形成される反応室に試料を挿入する工程であって、該マイクロアレイは、核酸プローブがアレイ要素上に固定化された基板を備えることと、
b)循環増幅反応方法を用いて反応室内で検出される核酸を増幅する工程と、
c)基板上で固定化された核酸とハイブリッドを形成しない分子を反応室から除去することなく、検出される核酸と基板上に固定化された核酸プローブとの間のハイブリッド形成を検出する工程。
検出は、循環増幅反応時に、即ち増幅反応の1つまたは複数のサイクルの過程で、および/または循環増幅反応の完了後に実行可能であることが好ましい。
核酸の増幅およびその検出のための本発明に係る方法は、実験者による介入が可能な限り少なくて済むように設計される。このため、汚染がそれにより回避されるという重要な利点がある。さらに、本発明に係る方法が外部介入を最小限に留めていることから自動化に対応可能であり、本発明に係る方法の再現性は従来の方法に比べて本質的に高められる。上述の利点は、診断方法の承認に関して重要な役割を果たす。
さらに本発明では、上述のような方法を用いて核酸の増幅、核酸の定性的および定量的検出を行う装置が提供され、該装置は以下の要素を備える。
a)温度制御および/または調整ユニット、
b)室担体とマイクロアレイとの間に形成される反応室であって、マイクロアレイは核酸プローブがアレイ要素上に固定化された基板を備え、反応室内の温度が前記温度制御および調整ユニットによって制御および/または調整可能であり、検出される核酸と基板上に固定化された核酸プローブとの間のハイブリッド形成が、基板上で固定化された核酸とハイブリッドを形成しない分子を反応室から除去することなく装置を用いて検出され得る。
好ましくは、本発明に係る装置の反応室は、室担体とマイクロアレイとの間の毛細管ギャップとして形成される。
本発明の他の態様では、問題は、少なくとも1つの温度制御および/または調整ユニットを備える核酸の増幅および検出装置、プローブ物質ライブラリが固定化されている検出領域を備える反応室、好ましくは検出領域上の析出形成の時間依存挙動を検出可能な光学系を提供することにより、本発明に従って解決される。
反応室内にチップが配置され、チップは検出領域を有する担体を備え、物質ライブラリはその上に固定化され、このチップにより、反応室内に非常に高いプローブ密度が提供され得ることが保証される。
温度制御および/または調整ユニットを用いた熱電制御および/または調整により、反応室内で調べられる試料の処理時と、ハイブリッド形成事象の検出時との両方で定義された温度を設定することができる。したがって、検出反応の制御および最適化が改善される。さらに、温度制御および/または調整ユニットによって定義された温度の設定により、複雑な反応、例えばPCRを用いた増幅反応を行うことができる。
本発明に係る装置はさらに、特に好ましくは集積光学系および/またはリーダーシステムによる分子間相互作用を手動操作でも検出することができることを特徴とする。これは、特に医療診断などの分野で好都合である。
本発明の一態様において、本発明に係る装置は、好ましくは集積光学系を含み、それにより、検出領域上の析出形成の時間依存挙動が検出可能であり、物質ライブラリに結合されている核酸の相対的定量的量の正確な検出が保証される。
一般に、本発明に係る装置では、ほとんど同時であり、且つ時間効率的であり、低い過失責任とともに核酸のマイクロチップを用いた特徴付けを示す処理および/または調整反応の実行が可能である。ここで、本発明により、処理および/または調整反応は、反応生成物がマイクロチップを用いた実験によって特徴付けられることができる反応を示すものと理解される。
閉じた反応室内の分子間相互作用を検出する本発明に係る装置は、好ましくは4つの主要な機能要素から構成される(図1を参照)。反応室の機械的、電気的、および流体的記録は、記録モジュール(1)で実行される。以下では、反応室はマイクロリアクタとも呼ばれる。反応結果を検出するために、光学系(2)が備えられる。反応結果から分析結果への処理は、コントローラ(3)で実行されることができる。任意で、分析結果が記憶され、および/または適当な接続要素(4)により処理される。
好都合な態様で本発明に係る装置の構成要素として使用され得る反応室は、国際特許出願公開第01/02094号パンフレットに詳しく記載されており、その内容は本願において明示的に参照される。
任意でバーコードを用いて識別され得る反応室が流体記録モジュール内に組み込まれ、1つまたは複数の反応液が充填されることができる。任意で反応室は更に電気接点を有し、それによって、例えば集積センサおよび/または加熱素子を用いて反応室内の反応の熱制御および/または調整が保証される。特に、このことは、例えば、対応して標識され、且つ物質ライブラリに結合されている標的分子における金属析出を用いて、DNAまたはRNAに対する熱の影響を受ける増幅反応、DNAまたはRNAのハイブリッド形式、または信号の増強のための反応を行うのに有利である。
反応溶液および/またはすすぎ溶液のような増幅および検出反応の実行に任意で必要な溶液が、適当な接続要素、例えばチャネルを介して反応室に挿入されることができる。反応の過程を監視するために、適当なコントローラが使用されることができる。
本発明の一態様では、光学系により、例えば2次元の電気的読出可能検出要素の形で実装されている適当な検出器上での増幅および/または検出反応の実行中または完了後の物質ライブラリの撮像が保証される。本発明に係る装置の一実施形態において、試料は、照明モジュールまたは光学系の光源を用いて照射され、出現する信号は、使用される標識に応じてフィルタ処理されて撮像される。
本発明の一態様において、光学系は更に、反応事象の動的な、即ちダイナミックな記録を保証する。特に、本発明に係る装置の光学系は、好ましくは、金標識付き標的分子と物質ライブラリとの間のハイブリッド形成信号を増強するための銀析出の時間依存挙動を記録するのに適している。本発明に係る装置の高集積装備により、反応の過程において複数の画像を転送し、適当なデータ処理モジュールまたはコントローラ内で処理することができる。
各アレイ要素上の析出形成の時間依存挙動により引き起こされる変化は、特に国際特許出願公開第02/02810号パンフレットに詳しく記載されているように、本発明に係る装置で評価されることができる。国際特許出願公開第02/02810号パンフレットの内容は本願で明確に参照される。
本発明に係る装置は更に、生データまたは分析結果を外部コンピュータまたはコンピュータネットワークに転送し、任意で存在する電子インターフェイスを介して、例えば前記データを記憶することを保証する。
本発明の他の態様では、分子プローブが所定の領域上に固定化される基板を含むマイクロアレイが提供される。ここで、基板は本質的にセラミック材料を含む。
最後に、他の態様は、基板の所定の領域上に分子プローブが固定化されているマイクロアレイを製造するためのセラミック材料から本質的に形成されている基板の使用に関係する。
さらに、以下の定義が特に本発明の説明のために使用される。
本発明の範囲内において、プローブ、プローブ分子、または分子プローブは、特定の特徴的結合挙動および/または特定の反応性による他の分子の検出に使用される分子を表すものと理解される。固体表面に結合可能で、且つ特異親和性を有する各種分子は、アレイ上に適切に配置されたプローブとして使用されることができる。好ましい実施形態において、これらはペプチド、タンパク質、核酸、および/またはそれらの類似物の群からの生重合体である。特に好ましくは、プローブは核酸および/または核酸類似物である。
特に、ハイブリッド形成方法で標的分子を検出するために使用され、且つ定義されるとともに周知の配列の核酸分子は、プローブと呼ばれる。DNA分子およびRNA分子の両方が、核酸として使用されることができる。例えば、核酸プローブまたはオリゴヌクレオチドプローブは、長さが10から100塩基、好ましくは15から50塩基、特に好ましくは20から30塩基のオリゴヌクレオチドとなることができる。通常、本発明に従って、これらのプローブは、1本鎖核酸分子または核酸類似物の分子、好ましくは標的分子の配列領域に相補的な少なくとも1つの配列領域を有する1本鎖DNA分子またはRNA分子である。検出方法および使用に応じて、これらのプローブは、固体担体基板上に例えばマイクロアレイの形で固定化されることができる。さらに、これらは、検出方法に応じて放射活性物質または非放射活性物質で標識されることができ、したがって、当技術分野で慣行の検出反応を用いて検出可能である。
本発明の範囲内において、標的または標的分子は、分子プローブを用いて検出される分子を表すものと理解される。本発明の好ましい実施形態において、検出される標的は核酸である。しかし、本発明に係るプローブアレイは、類似の方法でタンパク質/プローブ間相互作用、抗体/プローブ間相互作用などの検出に使用されることもできる。
本発明の範囲内において、標的がプローブアレイ上に適切に配置されたプローブに対するハイブリッド形成を用いて検出される核酸または核酸分子である場合、前記標的分子は通常、長さが40から10,000塩基、好ましくは60から2,000塩基、より好ましくは60から1,000塩基、特に好ましくは60から500塩基、最も好ましくは60から150塩基である配列を含む。状況に応じて、それらの配列は、プライマーの配列とともに、それらのプライマーによって定義されるテンプレートの配列領域を含む。特に、標的分子は1本鎖または2本鎖核酸分子であり、一方の鎖または両方の鎖が放射活性物質または非放射活性物質で標識され、これらは、当技術分野で慣行の検出方法を用いて検出可能である。
本発明によれば、標的配列は、プローブとのハイブリッド形成を用いて検出される標的の配列領域を表す。本発明により、前記状況はさらに、プローブにより取り扱われるその領域とも呼ばれる。
本発明の範囲内において、物質ライブラリは、複数の異なるプローブ分子、好ましくは少なくとも2から1,000,000個の異なる分子、特に好ましくは少なくとも10から10,000個の異なる分子、および最も好ましくは100から1,000までの範囲の異なる分子を表すものと理解される。特別な設計の場合、物質ライブラリはさらに、少なくとも50以下または少なくとも30,000個の異なる分子のみを含むことができる。好ましくは、物質ライブラリは、本発明に係る装置の反応室内の担体上にアレイの形で適切に配置される。
本発明の範囲内において、プローブアレイは、各プローブの位置が別々に定義されている担体上の分子プローブまたは物質ライブラリの配置を表すものと理解される。好ましくは、アレイは定義された部位および/または所定の領域、いわゆるアレイ要素を含み、該アレイ要素は、特に好ましくは特定のパターンで適切に配置され、各アレイ要素は通常ただ1つの化学種のプローブを含む。ここで、担体上の分子またはプローブの配置は、共有結合または非共有結合相互作用を用いて形成されることができる。配置内、即ちアレイ内の位置は通常、スポットと呼ばれる。したがって、プローブアレイは検出領域を形成する。
本発明の範囲内において、アレイ要素、所定の領域、スポット、またはアレイスポットは、表面上の分子プローブの堆積に関して決定される特定の領域を表すと理解され、占有されている全てのアレイ要素がプローブアレイである。
本発明の範囲内において、担体要素、担体、物質ライブラリ担体、または基板は、プローブアレイが配置される固形物を表すものと理解される。担体は通常、基板またはマトリクスとも呼ばれ、例えば物体担体またはウェハ若しくはセラミック材料にも関係する。
基板または検出領域上にアレイ配置で適切に配置された分子、または基板もしくは検出領域上にアレイ配置で適切に配置された物質ライブラリ、および担体または基板の全体も、「チップ」、「マイクロアレイ」、「DNAチップ」、「プローブアレイ」などとも呼ばれることが多い。
本発明の範囲内において、検出領域は、物質ライブラリが好ましくはアレイ配置で適切に配置される基板の領域を表すものと理解される。
本発明の範囲内において、室担体は、反応室の底を形成する固形物を表すものと理解される。好ましくは、室担体は、基板の反対側または物質ライブラリ担体の反対側に配置される。本発明に係る装置の代替実施形態において、室担体はまた、同時に基板および/または物質ライブラリ担体である。
本発明の範囲内において、室本体は、反応室を形成する固形物を表すものと理解される。通常、物質ライブラリ担体またはチップは室本体の一部であり、その場合、物質ライブラリ担体は、残りの室本体と異なる材料で構成される。
本発明の範囲内において、反応室または反応空間は、室担体とマイクロアレイとの間に形成された空間、および好ましくは毛細管ギャップの形で設計された空間を表すものと理解される。反応室または反応空間の底部は、アレイの底部または室担体の底部によってそれぞれ定義される。特に、室本体とマトリクスまたはマイクロアレイとの間の距離は、反応空間または反応室の厚さと呼ばれる。本発明の範囲内で、反応空間は通常、ごくわずかな厚さ、例えば最大で1cm、好ましくは最大で5mm、特に好ましくは最大で3mm、および最も好ましくは最大で1mmの厚さである。
本発明の範囲内において、毛細管ギャップは、室担体とマイクロアレイとの間に作用する毛管力を用いて満たされることができる反応空間を表すものと理解される。通常、毛細管ギャップはわずかな厚さ、例えば最大で1mm、好ましくは最大で750μm、および特に好ましくは最大で500μmの厚さである。本発明によれば、10から300μm、15μmから200μm、または25μmから150μmの範囲の厚さが毛細管ギャップの厚みとして好ましい。本発明の特別な実施形態では、毛細管ギャップの厚さは、50μm、60μm、70μm、80μm、または90μmである。本発明によれば、反応空間または反応室の厚さが2mmを超える場合、反応空間または反応室は、もはや毛細管ギャップと呼ばれない。
本発明の範囲内において、共焦点蛍光検出システムは、物体、即ちマイクロアレイが点光源を用いて対物レンズの焦点面内で照射される蛍光検出システムを表すものと理解される。ここで、点光源、物体、および点光源検出器は、光学的共役面上に正確に配置される。共焦点システムの実施例については、A.ディアスプロ(A.Diaspro)、Confocal and 2−photon−microscopy:Foundations、Applications and Advances、Wiley−Liss、2002年に記載されている。
本発明の範囲内において、反応室全体の全体積を撮像する蛍光光学系は、非共焦点蛍光検出システム、即ち点光源を用いた照明が物体、即ちマイクロアレイに制限されない蛍光検出システムを表すものと理解される。したがって、このような蛍光検出システムは焦点制限を有さない。
本発明の範囲内の従来のアレイまたはマイクロアレイは、例えば1mmから4mm×1mmから4mm、好ましくは2mm×2mmの好ましくは正方形領域上で、約50から10,000、好ましくは150から2,000の異なる化学種のプローブ分子を含む。本発明の範囲内の他の実施形態において、マイクロアレイは、数mmから数cm、好ましくは約1mmから10cm、特に好ましくは2mmから1cm、および最も好ましくは約4mmから6.25mmの領域上で、約50から約80,000、好ましくは約100から約65,000、特に好ましくは約1,000から約10,000個の異なる化学種のプローブ分子を含む。例えば、従来のマイクロアレイは、2mm×2mmの領域上で100から65,000個の異なる化学種のプローブ分子を有する。
本発明の範囲内において、マイクロウェルプレートは、複数の生物学的、化学的、および実験医学検定の自動実行を可能にする特定のラスタ内の反応容器のレ配置を表すものと理解される。
本発明の範囲内において、標識またはマーカーは、検出可能ユニット、例えば検出可能ユニットが結合可能な蛍光プローブまたはアンカー基を表すものと理解される。
本発明の範囲内において、試料または試料溶液は、増幅および/または検出される核酸分子とともに分析される液体である。
本発明の範囲内において、増殖反応または増幅反応は通常、10から50以上の増幅サイクル、好ましくは約20から40サイクル、特に好ましくは約30サイクルを含む。本発明の範囲内において、循環増幅反応は好ましくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。
本発明の範囲内において、増幅サイクルは循環増幅反応の単一増強工程を表す。PCRの増強工程はPCRサイクルとも呼ばれる。
本発明の範囲内において、増幅生成物は、循環増幅反応、好ましくはPCRを用いて増幅される核酸分子の増強または増殖もしくは増幅から得られる生成物を表す。PCRを用いて増幅される核酸分子はPCR生成物とも呼ばれる。
本発明の範囲内において、変性温度は、2本鎖DNAが増幅サイクル内で分離される温度を表すものと理解される。変性温度は通常、特にPCRにおいて90℃を越えており、好ましくは約95℃である。
本発明の範囲内において、アニーリング温度は、プライマーと検出される核酸とがハイブリッド形成する際の温度を表すものと理解される。アニーリング温度は通常、特にPCRにおいて55℃から65℃の範囲内にあり、好ましくは約60℃である。
本発明の範囲内において、鎖伸展温度または伸展温度は、モノマー成分の挿入によって核酸が合成される温度を表すものと理解される。伸展温度は通常、特にPCRにおいて約70℃から約75℃の範囲内にあり、好ましくは約72℃である。
本発明の範囲内において、オリゴヌクレオチドプライマーまたはプライマーは、循環増幅反応において検出されるDNAの相補鎖の合成が結合部位から始まり、標的DNAとも呼ばれる検出されるDNAを結合またはハイブリッドを形成するオリゴヌクレオチドを表す。特に、プライマーは、より長いDNAまたはRNA分子の一部と相補的であり、遊離3−OH基を3’末端に有する好ましくは約12から30個の塩基を含む短いDNAまたはRNAオリゴヌクレオチドを表す。前記遊離3’OH基に起因して、プライマーは、任意のDNAまたはRNAポリメラーゼの基材として作用することができ、ヌクレオチドを5’−3’方向でプライマーに合成することができる。ここで、新しく合成されたヌクレオチドの配列は、プライマーの遊離3’OH基の向こうにあるプライマーとハイブリッドを形成するテンプレートの配列によって予め決定される。従来のプライマーの長さは、ヌクレオチド12から50個分、好ましくは15から30個分である。
相補核酸鎖の合成のためにテンプレートとして作用する2本鎖核酸分子または核酸鎖は通常、テンプレートまたはテンプレート鎖と呼ばれる。
相補1本鎖核酸分子からの2本鎖核酸分子または2本鎖分子の形成は、ハイブリッド形成と呼ばれる。ここで、この関連性は、好ましくは常にAおよびTとGおよびCとの対として起こる。ハイブリッド形成の範囲内において、例えばDNA−DNA2本鎖、DNA−RNA2本鎖、またはRNA−RNA2本鎖が形成されることができる。ハイブリッド形成を用いて核酸類似物による2本鎖も形成可能であり、例えばDNA−PNA2本鎖、RNA−PNA2本鎖、DNA−LNA2本鎖、およびRNA−LNA2本鎖である。ハイブリッド形成の実験は通常、配列相補性、したがって2つの異なる核酸分子の識別を検出するために使用される。
本発明の範囲内において、処理は、精製、標識付け、増幅、ハイブリッド形成、および/または洗浄およびすすぎ工程とともに、さらに物質ライブラリを用いて標的を検出する際に実行される手順工程を表すものと理解される。
本発明の範囲内において、実質的にセラミック材料からなる基板または実質的にセラミック材料を含む基板は、少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、および特に好ましくは少なくとも90%のセラミック材料を含む基板を表すものと理解される。
本発明の範囲内において、実質的に酸化アルミニウムセラミック材料からなる基板または実質的に酸化アルミニウムセラミック材料を含む基板は、少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、および特に好ましくは少なくとも90%の酸化アルミニウムセラミック材料を含む基板を表すものと理解される。
本発明の範囲内において、アルミニウムセラミックは、実質的に酸化アルミニウムからなるセラミック材料を表すものと理解される。本発明の範囲内において、実質的に酸化アルミニウムからなるセラミック材料は、少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、および特に好ましくは少なくとも90%の酸化アルミニウムを含むセラミック材料を表すものと理解される。
したがって、本発明の第1の目的は、特に以下の要素を含み、且つ核酸を増幅および検出するための装置である。
a)温度制御および/または調整ユニットと、
b)化合物ライブラリが固定化される検出領域を有する担体を含む反応室であって、温度制御および調整ユニットを用いて反応室内の温度が制御および/または調整可能であることと、
c)検出領域上の析出形成の時間依存挙動を検出可能な光学系。
本発明のこの態様において、1つの装置内における温度制御および/または調整ユニット、温度調整可能な反応室、および析出形成を用いて信号増強反応の動的測定を可能にする光学系は、本発明に係る装置の1つの本質的な特徴である。
本発明のこの態様では、本発明に係る装置は、分子間相互作用の検出が集積光学系またはリーダーシステムによって手動操作でも可能であることを特徴とする。このことは、特に医療診断などの分野で好都合である。この実施形態において、物質ライブラリに結合された核酸の相対的定量的量を正確に判定することは、本発明に係る装置が集積光学系を備え、それにより検出領域上の析出形成の時間依存挙動が検出可能であるという事実により確実なものになる。
この光学系は、例えば2次元の電気的読出可能検出要素の形で実装されている適当な検出器上での増幅および/または検出反応の実行中または完了後の物質ライブラリの撮像を保証する。本発明に係る装置の一実施形態において、試料は、照明モジュールまたは光学系の光源を用いて照射され、出現する信号は、使用される標識に応じてフィルタ処理されて撮像される。
さらに、この光学系は、反応結果の動的な、即ちダイナミックな記録を保証する。特に、本発明に係る装置の光学系は、金標識付き標的分子と物質ライブラリとの間のハイブリッド形成信号を増強するため銀析出の時間依存挙動を記録するのに適している。本発明に係る装置の高集積装備は、反応の過程において複数の画像を転送し、適当なデータ処理モジュールまたはコントローラ内で処理することができる。
各アレイ要素上の析出形成の時間依存挙動から生じる変化は、特に国際特許出願公開第02/02810号パンフレットに詳しく記載されているように、本発明に係る装置で評価され得る。この結果、国際特許出願公開第02/02810号パンフレットの各内容も明確に参照される。
例えば、本発明に係る装置は、検出領域を有するチップを含む反応室の室本体が室担体に密閉する形で貼り付けられ、室担体と検出領域またはチップの基板との間に毛細管ギャップを有する試料空間が形成され、その温度は調整可能であり、且つその体積流量率は制御可能であるように実装されることができる。この種の構造により、特定の温度範囲内でのみ効率よく実行される反応の実行、およびマイクロチップを用いた実験による反応生成物の好ましくは同時検出が可能である。
したがって、本発明に係る装置は、例えばPCRを用いて核酸分子を増幅し、且つマイクロチップを用いた実験によりPCR生成物をほぼ同時に検出するために使用され得る。このような反応に対する試料液は、温度調整のための対応する手段により効率よく加熱または冷却されることができる。
本発明に係る装置はまた、逆転写酵素反応を実行し、それによってmRNAをcDNAに転写し、そのチップとのハイブリッド形成により反応生成物を特徴付けるために使用されることもできる。この方法では、いわゆる「遺伝子プロファイリング」を実行することができる。逆転写酵素およびハイブリッド形成の両方が室内で実行されることから、この方法は時間効率が高く、且つ低い過失責任を示す。
本発明に係る装置では、例えば所望の温度での制限酵素消化が更に反応室内で実行され、反応生成物をチップとのハイブリッド形成を用いて特徴付けることができる。酵素の変性は熱非活性化を用いて実行され得る。そのため、本発明に係る装置は、時間効率のよい制限酵素断片長多型マッピング(RFLPマッピング)が可能である。
さらに、本発明に係る装置では、例えばライゲーションも実行可能である。
本発明に係る装置では、核酸標的/核酸プローブ複合体の温度依存溶融挙動も更に調査可能である。
さらに、本発明に係る装置は、タンパク質の温度依存結合挙動を実行するために使用されることができる。この方法において、例えば長時間加熱した後も抗体がまだ各抗原と結合することが可能であるかを検査することができる。この場合、チップは核酸分子により官能化されないが、各タンパク質またはペプチドにより官能化されることが前提条件である。
反応室の室本体は、好ましくはガラス、合成材料および/または高品位の鋼鉄、アルミニウム、および真鍮などの金属から形成される。その製造に関しては、例えば射出成形に適した剛性材料が使用されることができる。特に、マイクロロン(macrolon)、ナイロン、PMMA、およびテフロンなどの剛性材料が考えられる。
また、物質ライブラリ担体と室担体との間の反応空間は、例えば注射器を用いて反応空間を満たす隔壁を用いて閉鎖されることができる。好ましい実施形態において、室本体は、ガラス、PMMA、ポリカーボネート、ポリスチレン、および/またはトパーズなどの光学的に透明な材料からなる。ここで、材料の選択は、装置の意図した使用に合わせて調整される。例えば、材料の選択時に装置が曝される温度が考慮されるべきである。例えば、装置がPCRの実行に使用される場合、例えば長時間にわたり95℃程度の温度でも安定している合成材料のみが使用される。
室担体は、好ましくはガラス、合成材料、シリコン、金属、および/またはセラミック材料からなる。例えば、室担体は、酸化アルミニウムセラミック、ナイロン、および/またはテフロンからなる。
一実施形態において、室担体は、ガラスおよび/または光学的に透明な合成材料、例えばPMMA、ポリカーボネート、ポリスチレン、またはアクリルなどの透明材料からなる。
好ましくは、室担体および/または基板は、本発明に係る装置に組み込まれる温度上昇用の手段で接続され、次いで、好ましくは熱伝導率が高い材料で構成される。このような熱伝導性材料は、反応空間の領域全体にわたって均一な温度プロファイルを保証するという大きな利点を有し、したがって、例えばPCRなどの温度依存反応は、反応室全体において均一に、且つ高い収率で、また制御可能な形でおよび/または調整可能な形で高い精度により実行されることができる。
したがって、好ましい実施形態において、室担体および/または基板は、熱伝導率が高い、好ましくは15から500Wm−1−1の範囲、特に好ましくは50から300Wm−1−1の範囲、最も好ましくは100から200Wm−1−1の範囲の熱伝導率を有する材料からなり、それらの材料は通常、光学的に透明ではない。適当な熱伝導材料の実施例として、シリコン、酸化アルミニウムセラミックなどのセラミック材料、および/または高品位の鋼鉄、アルミニウム、または真鍮などの金属が挙げられる。
特に好ましい実施形態において、基板は、例えばセラミック材料などの熱伝導率が高い材料からなる。この実施形態では、基板は温度上昇手段により接続され、それによって、反対側の室担体は、明確に熱伝導率を有さない材料、例えば、残りの室本体にも使用される材料などで形成されることができる。したがって、室担体および基板の両方が高価な材料で形成されている実施形態とは反対に、この実施形態では高価な構成要素が排除されている。
本発明に係る基板または装置の担体が実質的にセラミック材料からなる場合、酸化アルミニウムセラミックが好ましくは使用される。このような酸化アルミニウムセラミックの実施例として、京セラ(ドイツ、ノイス)(Kyocera(Neuss,Germany))のA−473、A−476、およびA−493が挙げられる。これらのセラミックは、各酸化アルミニウム含有量(A−473:93%、A−476:96%、およびA−493:99%)だけでなく、その表面の粗さも実質的に異なる。表面粗さが可能な限り低い酸化アルミニウムセラミックの使用が最も好ましい。
好ましくは、室担体および/または基板は、その逆側、即ち反応室から離れて面する側に、任意で小型化された温度センサおよび/または電極を備えるか、またはむしろ、この場所に加熱構造体を有し、試料液の焼き戻しとともに誘導電気浸透流を用いて試料液の混合を行うことができる。
温度センサは、例えばニッケル−クロム薄膜抵抗温度センサの形態で実装され得る。
電極は、例えば金−チタン電極の形態、特に4極の形態で実装され得る。
温度上昇手段は、好ましくは、毛細管ギャップ内の液体の高速加熱および冷却が可能なように選択されることができる。ここで、高速加熱および冷却は、温度上昇手段により0.2K/sから30K/sの範囲、好ましくは0.5K/sから15K/sの範囲、特に好ましくは2K/sから15K/sの範囲、および最も好ましくは8K/sから12K/sの範囲、または約10K/sの温度変化を媒介可能であることを表すものと理解される。好ましくは、1K/sから10K/sの温度変化も温度上昇手段により媒介されることができる。
例えば、ヒーターの形態の温度上昇手段もまた、例えばニッケル−クロム薄膜抵抗ヒーターの形態で実装されることができる。
温度センサ、温度上昇手段、ならびに電極の仕様および寸法の詳細については、国際特許出願公開第01/02094号パンフレットの内容を参照する。
チップまたは基板は、好ましくは、ボロフロートガラス、石英ガラス、単結晶CaF、サファイアディスク、トパーズ、PMMA、ポリカーボネート、および/またはポリスチレンからなる。材料の選択はまた、装置および/またはチップの意図した使用に合わせて調整される。例えば、チップがPCR生成物の特徴付けに使用される場合、95℃の温度に耐えられる材料のみが使用可能である。
好ましくは、チップは、核酸分子、特にDNAまたはRNA分子により官能化される。しかし、これらはまた、ペプチドおよび/またはタンパク質、例えば抗体、受容体分子、薬理活性ペプチド、および/またはホルモンなどにより官能化されることができる。
検出領域上の析出形成の時間依存挙動の検出が暗視野内で実行される場合、即ち検出領域の分散特性の変化が検出される場合、物質ライブラリ担体に好適な材料は、ガラス、特に好ましくはホウケイ酸ガラス、および例えばPMMA、ポリカーボネート、および/またはアクリルのような透明ポリマーなどの光学的に透明な材料であり、室担体に好適な材料は、ガラスおよび/または合成材料などの光学的に透明な材料、および特にシリコン、セラミック材料などの光学的に透明でない材料であり、反応室に好適な材料は、マクロロン、PMMA、ポリカーボネート、テフロンなどの合成材料、高品位の鋼鉄、アルミニウム、および/または真鍮などの金属、さらにはガラスである。本発明に係る装置の暗視野測定の実行において、室担体は、代替として光学的に透明な材料で構成されることができるが、物質ライブラリ担体は、光学的に透明でない材料からなる。
一実施形態において、本発明に係る装置はさらに、反応室に接続された少なくとも1つの流体容器、および任意で反応室への流体の装荷および除荷を制御するユニットを備える。本発明の範囲内において、流体は液体および気体を表すものと理解される。流体容器と反応室との接続は、例えば、国際特許出願公開第01/02094号パンフレットに記載されているように行われることができる。
他の実施形態において、本発明に係る装置は、光学系により記録される信号を処理するために光学系に接続されているユニットを備える。検出ユニットと処理ユニットとのこの結合により、反応結果の分析結果への変換が保証され、特に、本発明に係る装置を例えば医療診断における携帯型ユニットとして使用することができる。
好ましくは、装置は、さらに外部コンピュータ用のインターフェイスを備える。これにより、装置の外部で記憶するためにデータを転送することができる。
チップの検出領域上の析出形成の時間依存挙動を検出可能な光学系は、好ましくは2次元読取可能検出器を備える。好ましくは、検出器はカメラ、特にCCDまたはCMOSカメラまたは類似のカメラである。電気的画像変換器、例えばCCDまたはCMOSチップなどを備えるカメラを使用することにより、高い局所分解能が実現可能である。
本発明に係る装置の光学系で使用されるカメラは、照度が撮像される領域上に均一に分散され、且つ検出される信号が、利用可能な動力学の範囲内で適用される検出技術を用いて反射、伝送変調、分散、偏光変調などにより撮像可能であることを保証する。このような照明方法は、例えば国際特許出願公開第00/72018号パンフレットに記載されており、市販されている(例えば、暗視野照明についてはビジョン&コントロールGmbH社(Vision & Control GmbH )[ドイツ、ズール(Suhl)所在]およびLED円偏光についてはエドムント インダストリオプティクGmbH社(Edmund Industrieoptik GmbH)[ドイツ、カルルスルーエ(Karlsruhe)]。
検出する領域の高い局所分解能は、例えば独国特許出願公開第19914279号明細書で蛍光使用について説明されているように、例えばミラーアレイまたはLCD素子などの検出器上で撮像し、検出するパターンまたは定義される領域に応じて調整することでも達成可能である。反射または伝送変調の測定におけるそのような検出器の利点は、熱、電気、ならびに流体制御および/または調整の統合、光信号の処理の可能性、および関連するコンピュータ技術について要求される技術程度が低いことである。
通常、検出器はプローブアレイの領域全体を記録する。
また、走査型検出器は、チップの読み出しにも使用されることができる。走査型点光源および/または走査型検出器の使用において、本発明に係る装置は、光の方向設定用の可動光学構成要素および/または反応室の取り付け用の可動機械構成要素を備え、これにより、走査される個々の位置、即ち各測定点に対する各構成要素の方向決めが保証される。この実施形態において、画像記録は、各測定点からの画像の計算による再構成を用いて実行される。特に、この実施形態のカメラは可動ラインカメラである。
さらに、光学系は、好ましくは光源、特に好ましくはマルチスペクトルまたはコヒーレント光源を備える。本発明の範囲内における光源の実施例として、レーザ、発光ダイオード(LED)、および/または高圧ランプが挙げられる。光学系の光源は、好ましくは担体の均一照明を保証する。
点光源に加えて、照明アレイの形態の光源もまた、本発明に係る装置において使用されることができる。この実装において、担体の均一な照明は、例えばオーバーレイの結果均一な照明が得られる複数の散乱放射光源からなる光源により実現可能である。したがって、例えばマトリクスの形態で配向され、且つ広く分散されているLEDにより、試料からの短い距離で照明を均一なものにすることができる。
上記のように、本発明に係る装置は、検出領域を光源により1段ずつ走査可能であるように実装されることができる。検出領域を横切る光線のラスタのような方向というよりはむしろ走査方向が望ましい場合、本発明に係る装置の以下の実施形態が考えられる。
例えば、検出領域、したがって反応室は可動方式で実装されることができ、静止光源を横切る方向に移動可能である。光源がレーザの場合、ここでレーザは不作動位置にある。さらに、検出領域は不作動位置に配置されることができ、可動レーザビームは検出領域を横切ることができる。最後に、光源が一方の軸内で移動し、検出領域が他方の軸内で移動することもできる。
本発明に係る装置の他の有利な実施形態において、装置は、さらにレンズ、鏡、および/またはフィルタを備える。一方でフィルタを使用することにより均一な照明のスペクトル制限が可能であり、他方で異なる波長による試料の照明が可能である。他の変更形態において、本発明に係る装置はフィルタチェンジャを備える。前記フィルタチェンジャを使用することにより、光学フィルタが素早く交換され、したがって場合によっては、例えば不純物により生じる不正な情報が、明確に認識されて排除されることができる。
上記のように、検出領域が、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも60%、最も好ましくは少なくとも70%の照度均一さで均一に照射されることができるような光学系が好ましくは開発される。
本発明に係る装置の他の好ましい実施形態において、検出領域の透過特性の変更の時間依存挙動が検出可能であるような光学系が開発される。これは、例えば、反応室内の反対側に配置されている光源および検出器により保証され、反応室は、少なくとも光源から検出器に至る光学経路の領域内で光学的に透明である検出領域の担体を含む。
他の実施形態において、光学系は、検出領域の反射特性の変更の時間依存挙動が検出可能であるように配置される。反射率を測定するための好ましい実施形態において、表面鏡は担体要素の下側に配置される。この実施形態において、試料の反射がよくないという欠点は透過効果により埋め合わされ、照明光は、独立した鏡の形態、または試料担体の後側に塗布された層の形態で、試料の背後の鏡層を介して反射する。ここで、例えば平面型放射体は担体要素の反対側に配置されることができ、したがって、例えばCCDカメラのセンサに向けて配置されることができる。この方法では非常にコンパクトな配置が可能になる。さらに他の好ましい実施形態において、特に担体要素の反射率が測定される場合、装置は、さらに光源と担体要素との間に半透明鏡を備える。この実施形態において、光源の光は半透明鏡を通じて試料に到達し、像は、半透明鏡を通じて、且つ任意に光学読出システムを通じて反射してカメラ上に表示される。
本発明に係る装置の特に好ましい実施形態において、光学系は、検出領域の分散特性の変更の時間依存挙動が検出可能であるように配置される。ここで、光源および検出器は、好ましくは検出される領域の同一側に配置される。この実施形態において、光学系は、例えば好ましくは45°未満、特に好ましくは30°未満の特定の角度で試料および/またはチップが照射されるように配置される。照明角度は、局所分散中心がない、即ち検出領域上の析出形成前に入射した照射光が光学検出経路内に直接反射して入らず、したがって信号が検出不能であるように選択される。例えば析出の形成により局所分散中心が検出領域上に生じる場合、照射光の一部は光学検出経路に到達し、したがって、本発明に係る装置の光学系内に測定可能な信号が得られる。
特に好ましくは、反応室担体または物質ライブラリ担体は、検出領域の少なくともその領域内で、この実施形態において光学的に透明でない。好適な光学的に透明でない材料として、例えばシリコン、セラミック材料、または金属が挙げられる。光学的に透明でない反応室担体の使用により、担体材料の有利な物理的特性に起因して、反応室のより容易な、より正確な、且つより均一な温度制御が可能になり、PCRのように温度の影響を受ける反応の実行が成功することが保証される。
本発明に係る装置の更に好ましい実施形態において、光源の光励起経路は、平行光の領域が存在し、したがって干渉フィルタがその透過窓を動かさずに光学系内に挿入可能であるように設計される。
本発明に係る装置の更に好ましい実施形態において、光検出経路は、平行光の領域が存在し、したがって、干渉フィルタがその透過窓を動かさずに光学系内に挿入可能であるように設計される。
非平行光学経路において、干渉フィルタは、そのスペクトル選択性を強く変更する。この光学系が、平行光の領域の存在に起因して、スペクトル選択性を変えることなく本発明に係る装置内に干渉フィルタを挿入または配置することができる場合、本発明に係る装置はまた、蛍光色素で標識された物質の分子間相互作用の検出に適している。したがって、普遍的特性のCCDベースの反応および検出装置が実装されることができる。
蛍光標識の検出にも適している本発明に係る装置のこの実施形態において、例えばハロゲン照明、キセノン、白色光LEDなどの白色またはマルチスペクトル光を有する光学系は、例えば、光学的照明および検出経路内に2つのフィルタを備えるか、または例えばLEDもしくはレーザなどの単色光源を使用することにより、例えば光学的検出経路内に1つのフィルタを有することができる。
更に好ましい実施形態において、反応室は、データマトリックスを介して個別にマークされる。このため、本発明に係る装置の製造の際に、物質ライブラリ、検出反応の実行などに関する情報を含むデータレコードなどは、データベースに記憶される。したがって、このデータレコードは、特にアレイ上のプローブの配置に関する情報とともに、最も有益な方法で評価をどのように実施するかに関する情報をも含むことができる。データレコードまたはデータマトリクスは、さらに標的分子の増幅のために任意で実行されるPCRの温度−時間方式に関する情報も含むことができる。この方法で蓄積されたデータレコードは、好ましくはデータマトリクスの形態で担体に貼り付けられた番号を備える。データマトリクス内に登録されている番号を用いることにより、蓄積されたデータレコードは、次いで、物質ライブラリの読み出し時に任意でアクセスされることができる。最後に、データマトリクスは、流体容器を介して温度制御および/または調整ユニットおよび例えば反応室の装荷および除荷の制御などのその他のコントローラにより読み出され、したがって、増幅および検出反応の自動実行が保証され得る。
本発明の他の態様では、上述のような温度制御および/または調整ユニットとともに検出領域を有する担体を備える上述のような反応室も含む核酸の増幅および検出のための装置が提供され、そこでは、物質ライブラリが固定化され、温度制御および調整ユニットを用いて反応室内の温度を制御および/または調整することができる。
しかし、本発明のこの態様において、装置は、光学系の代わりに各アレイスポットで電気的接点を有する。これらの電気的接点は、例えば電極を介して接触可能である。例えば、物質ライブラリに結合された金標識付き標的の信号増強のためのアレイ要素上に金属析出を形成することに起因して、導体材料が、そのような結合が発生したそのアレイスポットのところで成長し、局所抵抗の変化が生じる。したがって、例えば伝導率、抵抗率、および透磁率などの特定の電気的パラメータの変調が、アレイスポットでの電気的接点を介して可能である。
好ましくは、本発明の他の態様において、本発明に係る装置の物質ライブラリ担体は、例えばバンプ、底部、および/またはスルーホールにより形成される3次元構造を有し、それによって、成長する導体材料の溶融の効果が、電気的接点での析出形成およびそれから生じる電気的パラメータの変更によりサポートされる。
光学的検出に基づく本発明に係る装置は、好ましくは、反応室内での溶液の交換用の流体ユニット、温度制御および/または調整ユニットとともに、動的測定に適している光学系を備える。装置関係について、上述のユニットは、任意で対応するインターフェイスの実装を用いて別に開発されることができる。
特に、マイクロアレイまたはチップ上に固定化された物質ライブラリは、抗体、受容タンパク質、または膜タンパク質ライブラリのようなタンパク質ライブラリ、受容体リガンドライブラリのようなペプチドライブラリ、薬理活性ペプチドのライブラリまたはペプチドホルモンのライブラリ、およびDNAまたはRNA分子ライブラリのような核酸ライブラリである。特に好ましいのは核酸ライブラリである。
上記のように、物質ライブラリは、特に好ましくは1cm当たり2から10,000個のアレイスポット密度、最も好ましくは1cm当たり50から5,000個のアレイスポット密度のマイクロアレイの形態で、好ましくは物質ライブラリ担体上、または検出領域上に固定化される。
上述の実施形態の全てにおいて、本発明に係る装置の反応室は、好ましくは毛細管ギャップの形態で開発される。毛細管ギャップは、好ましくは厚さが10μmから200μmの範囲内、特に好ましくは25μmから150μmの範囲内、最も好ましくは50μmから100μmの範囲内である。特別な実施形態において、毛細管ギャップの厚さは、60μm、70μm、80μm、または90μmである。
本発明に係る装置の代替実施形態において、反応空間または反応室は、例えば厚さが0.7mmから2.5mm、好ましくは1.0mmから2.0mm、特に好ましくは1.2mmから1.8mmである。特別な実施形態において、反応空間の厚さは1.5mmである。
さらに、本発明に係る装置の上述の実施形態の全てにおいて、分析する材料の事前増幅は必要ない。特に、本発明に係る装置または独国特許出願公開第10253966号明細書に記載されているような物質ライブラリ担体の存在下で、細菌、血液、またはその他の細胞から抽出された試料物質から、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を用いて特定の区画が増幅されて担体とハイブリッドを形成され得る。これは、実験費用の大幅削減を意味する。
したがって、本発明に係る装置は、PCRを用いて分析する標的分子の増幅と、標的分子および物質ライブラリ担体のハイブリッド形成を用いた検出との平行実行での使用に特に適している。ここで、検出される核酸は、まずPCRを用いて増幅され、好ましくは、PCRを用いて増幅される2つのテンプレート鎖のうちの1つの形成を抑制する好ましくは少なくとも1つのコンペティタが初めに反応に加えられる。特に、テンプレートに結合するためのテンプレートのPCR増幅に使用されるプライマーのうちの1つと競合し、且つ酵素的に伸展不可能なDNA分子がPCRに加えられる。PCRを用いて増幅された1本鎖核酸分子は、その後、相補的プローブとのハイブリッド形成を用いて検出される。また、検出される核酸は、まずPCRを用いて1本鎖余剰で増幅され、相補的プローブとのその後のハイブリッド形成を用いて検出されるが、そこで、DNA分子、またはテンプレートの2つの鎖のうちの1つにハイブリッド形成することが可能であるが、プローブハイブリッド形成を用いて検出される領域にはハイブリッド形成することができない核酸類似物の分子であり、且つ酵素的に伸展不可能なコンペティタが、初めにPCR反応に加えられる。
PCR反応内に存在する2つのテンプレート鎖のうちの1つのみの好ましい増幅を引き起こす全ての分子は、PCR内のコンペティタとして使用されることができる。本発明では、コンペティタは、タンパク質、ペプチド、DNAリガンド、挿入剤(intercalators)、核酸、またはその類似物であることができる。本発明では、配列特異性を有する1本鎖核酸を結合することが可能な、且つ上記で定義されている特性を有するタンパク質またはペプチドが、好ましくはコンペティタとして使用される。特に好ましくは、核酸分子および核酸類似分子が2次構造切断分子として使用される。
2つのテンプレート鎖のうちの1つの形成は、増幅時にPCRへのコンペティタの初期追加により実質的に抑制される。「実質的に抑制」とは、PCRの範囲内において、1本鎖余剰および一定量の他のテンプレート鎖が作成され、これは、ハイブリッド形成を用いて増幅された鎖を効率よく検出するのに十分であることを意味する。したがって、増幅は、2(n=サイクル数)の形態の指数関数的反応速度に従わず、むしろ<2の形態の減衰増幅反応速度に従う。
非増幅鎖に関してPCRを用いて得られる1本鎖余剰は、ファクタ1.1に対して1,000、好ましくはファクタ1.1に対して300、また好ましくはファクタ1.1に対して100、特に好ましくはファクタ1.5に対して100、また特に好ましくはファクタ1.5に対して50、とりわけ好ましくはファクタ1.5に対して20、最も好ましくはファクタ1.5に対して10を有する。
通常、コンペティタの機能は、2つのテンプレート鎖のうちの1つに選択的に結合すること、したがって、対応する相補鎖の増幅を抑制することである。したがって、コンペティタは、PCRで増幅される2つのテンプレート鎖のうちの1つに対する特異性を有する1本鎖DNAまたはRNA結合タンパク質であることができる。これらはまた、増幅される2つのテンプレート鎖のうちの1つの特定の領域にのみ配列特異的に結合するアプタマーであることができる。
核酸または核酸類似物は、好ましくは、本発明に係る方法においてコンペティタとして使用される。従来、核酸または核酸類似物は、プライマー結合部位についてPCRに使用されるプライマーのうちの1つと競合するか、または配列相補性に起因して検出されるテンプレート鎖の領域とハイブリッド形成することができることにより、PCRのコンペティタとして作用する。この領域は、プローブにより検出される配列ではない。このような核酸コンペティタは酵素的に伸展可能でない。
核酸類似物は、例えばいわゆるペプチド核酸(PNA)であることもできる。しかし、核酸類似物はまた、核酸分子であることもでき、ヌクレオチドは、リン酸結合の代わりにフォスフォチオエイト結合を介して互いに連結される。これらはまた、自然発生的糖成分リボースまたはデオキシリボースが、例えばアラビノースまたはトレハロースなどの代替糖で置き換えられた核酸類似物であることもできる。さらに、核酸誘導体は「ロックト核酸」(LNA)であることもできる。他の従来の核酸類似物は当業者に周知である。
DNAまたはRNA分子、特に好ましくはDNAもしくはRNAオリゴヌクレオチドまたはその類似物は、好ましくはコンペティタとして使用される。
コンペティタとして使用される核酸分子または核酸類似物の配列に応じて、PCR反応の範囲内における2つのテンプレート鎖のうちの1つの増幅を抑制することは、異なるメカニズムに基づく。DNA分子の例を用いて、このことについて以下に説明する。
例えば、DNA分子がコンペティタとして使用される場合、DNAコンペティタ分子と対応するテンプレート鎖との特定のハイブリッド形成が厳格な条件下で可能であるような形でPCRに使用されるプライマーのうちの1つの配列と少なくとも部分的に同じである配列を有することができる。本発明によれば、この場合における競合に使用されるDNA分子はDNAポリメラーゼを用いて伸展可能でなく、DNA分子は、テンプレートとの結合に関してPCR反応時に各プライマーと競合する。したがって、DNAコンペティタ分子とプライマーとの比に応じて、プライマーにより定義されるテンプレート鎖の増幅は、このテンプレート鎖の作成が著しく低減されるような形で抑制され得る。ここで、PCRは、使用されるコンペティタの量に関して予想される以上に高い指数関数的反応速度により進行する。このようにして、1本鎖余剰が一定量で現れ、これは、ハイブリッド形成を用いて増幅された標的分子を効率よく検出するのに十分である。
この実施形態において、競合に使用される核酸分子または核酸分子類似物は、酵素的に伸展可能であってはならない。「酵素的に伸展可能でない」とは、増幅に使用されるDNAまたはRNAポリメラーゼが核酸コンペティタをプライマーとして使用できない、即ちコンペティタにより定義される配列からテンプレート3’の対応する反対の鎖を合成することができないことを意味する。
上記の可能性のほかに、DNAコンペティタ分子はまた、プライマー配列のうちの1つによって扱われない、且つ酵素的に伸展可能でない検出されるテンプレート鎖の領域に対して相補的な配列を有することができる。PCRの範囲内において、DNAコンペティタ分子はその後、このテンプレート鎖とハイブリッドを形成し、それに応じてこの鎖の増幅を阻止する。
DNAコンペティタ分子または一般的に核酸コンペティタ分子の配列が対応して選択可能であることは当業者に周知である。核酸コンペティタ分子が、PCRに使用されるプライマーのうちの1つの配列に実質的に等しくないが、検出されるテンプレート鎖の他の領域に対して相補的である配列を有する場合、この配列は、ハイブリッド形成の範囲内においてプローブで検出されるテンプレート配列の領域内に入らないように選択される必要がある。このことは、PCRとハイブリッド形成反応との間の処理反応を有さないために必要である。検出される領域内に入る核酸分子がコンペティタとして使用された場合、プローブへの結合に関して1本鎖標的分子と競合するだろう。
このようなコンペティタは、好ましくは、プローブにより検出されたテンプレート配列の近くでハイブリッド形成する。ここで、「近く」という位置指定は、本発明において2次構造切断分子について与えられているのと同じように理解されるものである。しかし、本発明に係るコンペティタはまた、検出される配列のすぐ近くで、即ち検出される標的配列から厳密にヌクレオチド1個分の距離の範囲内でハイブリッド形成することができる。
酵素的に伸展可能でない核酸または核酸類似物が競合分子として使用される場合、それらは、DNAまたはRNAポリメラーゼにより酵素的に伸展可能でないようにその配列および構造に応じて選択される。好ましくは、核酸コンペティタの3’末端は、テンプレートに対する相補性を有さない、および/またはその3’末端で3−OH基の代わりに他の置換基を有するように設計される。
核酸コンペティタの3’末端がテンプレートとの相補性を有さない場合、核酸コンペティタがテンプレートのプライマー結合部位の1つに結合するか、またはPCRを用いて増幅されるテンプレートの配列の1つに結合するかに関係なく、核酸コンペティタは、その3’末端で塩基相補性を欠いていることに起因して、従来のDNAポリメラーゼによって伸展されることができない。DNAポリメラーゼによる核酸コンペティタのこの種の非伸展性は当業者に周知である。好ましくは、核酸コンペティタは、最後の4塩基、特に好ましくは最後の3塩基、とりわけ好ましくは最後の2塩基、最も好ましくは最後の塩基に関してその3’末端で標的配列に対して相補性を有さない。説明されている位置において、そのようなコンペティタはまた、ハイブリッド形成を許さない非自然的な塩基を有することができる。
酵素的に伸展可能でない核酸コンペティタが、酵素的に伸展可能でないようにそのバックボーンで、またはその3’末端で修飾されている場合、それらはまた、その標的配列に対する100%相補性を有することができる。
核酸コンペティタがその3’末端でOH基と異なる基を有する場合、それらの置換基は、好ましくはリン酸基、水素原子(ジデオキシヌクレオチド)、ビオチン基、またはアミノ基である。これらの基は、従来のポリメラーゼによって伸展されることができない。
テンプレートの結合について、PCRに使用される2つのプライマーのうちの1つと競合し、化学合成中にその3’末端でアミノ連鎖を備えるDNA分子がそのような方法でコンペティタとして使用されることが、特に好ましい。そのようなコンペティタは、その標的配列に対して100%の相補性を有することができる。
しかし、例えば、PNAのような核酸コンペティタは、阻害3’OH基または非相補塩基をその3’末端に有する必要はないが、それは、バックボーンがペプチド結合により修飾されているためにDNAポリメラーゼによって認識されず、したがって伸展されないからである。DNAポリメラーゼにより認識されないリン酸基の他の対応する修飾は、当業者に周知である。これに属しているのは、特に例えば2'−5'アミノ結合などのバックボーン修飾を有する核酸(チャンら(Chan et al.)(1999年)J.Chem.Soc.、Perkin Trans.1、315〜320ページ)、スルフィド結合(カワイら(Kawai et al.)(1993年)Nucleic Acids Res.、1(6)、1473〜1479ページ)、LNA(ソレンセンら(Sorensen et al.)(2002年)J.Am.Chem.Soc.、124(10)、2164〜2176ページ)、およびTNA(ショーニングら(Schoning et al.)(2000年)Science、290(5495)、1347〜1351ページ)である。
テンプレートの異なる領域(例えば、特にプライマー結合部位)とハイブリッドを形成するいくつかのコンペティタもまた、PCRで同時に使用されることができる。ハイブリッド形成の効率は、コンペティタが2次構造切断分子の特性を有する場合に、さらに高められることができる。
代替実施形態において、DNAコンペティタ分子はまた、プライマーの1つに相補的な配列を有することができる。次いで、対応するテンプレート鎖ともはやハイブリッドを形成しないように、およびそれに応じて他のプライマーによって定義されたテンプレート鎖のみが増幅されるべく、アンチセンスDNAコンペティタ分子とプライマーとの比に応じて、そのような例えばアンチセンスDNAコンペティタ分子が使用されて、PCR反応においてプライマーを滴定することができる。当業者は、本発明のこの実施形態において、核酸コンペティタが酵素的に伸展可能であるが、そうしなければならないわけではないことに気づいている。
本発明の範囲内において、核酸コンペティタについて取りあげられた場合、これは、各文脈から異なる意味が生じない限り核酸類似コンペティタを含む。核酸コンペティタは、可逆的に、または非可逆的にテンプレートの対応する鎖に結合することができる。この結合は、共有結合または非共有結合相互作用を用いて生じることができる。
好ましくは、核酸コンペティタの結合は非共有結合相互作用を介して生じ、可逆である。特に好ましいのは、テンプレートへの結合がワトソン−クリック塩基対合の形成を介して生じることである。
核酸コンペティタの配列は通常、検出されるテンプレート鎖の配列に適合する。しかし、アンチセンスプライマーの場合、これらは、その後テンプレート配列により定義され、且つ滴定されるプライマー配列に適合する。
核酸のPCR増幅は標準的な実験室方式であり、各種の変更および開発が可能であることは、当業者にはよく知られている。原理上、PCRは、2本鎖核酸テンプレート、通常は2本鎖DNA分子が、まず95℃の温度で5分間熱変性を受け、それによって、2つの鎖が互いに分離することを特徴とする。いわゆる(低い溶融温度を有するプライマーにより定められる)「アニーリング」温度まで冷却した後、反応液中に存在する「フォワード」および「リバース」プライマーが、自配列に相補的な各テンプレート鎖のそれらの部位に蓄積する。ここで、プライマーの「アニーリング」温度は、プライマーの長さおよび塩基構造に適合する。これは、理論的考察に基づいて計算されることができる。「アニーリング」温度の計算に関する情報は、例えばサムブルックら(Sambrook et al.)(上記参照)において見出される。
通常、40から75℃までの間、好ましくは45から72℃までの間、特に好ましくは50から72℃までの間の温度範囲で実行されるプライマーのアニーリング後に伸長工程が続き、デオキシリボヌクレオチドが、反応液中に存在するDNAポリメラーゼの活性によりプライマーの3’末端と連鎖される。ここで、挿入されたdNTPの同定は、プライマーとハイブリッド形成されたテンプレート鎖の配列に依存する。通常の熱安定DNAポリメラーゼが使用される場合、伸長工程は普通68から72℃の間で実行される。
対称的PCRにおいて、プライマー配列により定義された標的の核酸領域の指数関数的増大は、プライマーの変性、アニーリング、および伸長の記載されたサイクルを繰り返すことにより達成される。PCRの緩衝条件、使用可能なDNAポリメラーゼ、2本鎖DNAテンプレートの生成、プライマーの設計、アニーリング温度の選択、および古典的PCRの変更形態に関して、当業者は多数の文献を自由に使用できる。
また、例えばmRNAなどの1本鎖RNAがテンプレートとして使用されることができることも、当業者によく知られている。通常、これは逆転写を用いて2本鎖cDNAに予め転写されている。
好ましい実施形態において、熱安定DNA依存ポリメラーゼがポリメラーゼとして使用される。特に好ましい実施形態において、Taq−DNAポリメラーゼ(エペンドルフ社(Eppendorf)[ドイツ、ハンブルグ(Hamburg)所在]およびキアゲン社(Qiagen)[ドイツ、ヒルデン(Hilden)所在])、Pfu−DNAポリメラーゼ(ストラータジーン社(Stratagene)[米国、ラ ホーヤ(La Jolla)所在])、Tth−DNAポリメラーゼ(バイオジム エピセンター テクノル社(Biozym Epicenter Technol.)[米国、マディソン(Madison)所在])、Vent−DNAポリメラーゼ、DeepVent−DNAポリメラーゼ(ニューイングランド バイオラブズ社(New England Biolabs)[米国、ビバリー(Beverly)所在])、Expand−DNAポリメラーゼ(ローチ社(Roche)[ドイツ、マンハイム(Mannheim)所在])からなる群から選択された熱安定DNA依存DNAポリメラーゼが使用される。
特定の変更または進化的変更による自然発生的ポリメラーゼから最適化されたポリメラーゼの使用も好ましい。物質ライブラリ担体の存在下でPCRが行われる場合、エッペンドルフ社(Eppendorf)[ドイツ所在]によるTaqポリメラーゼまたはクロンテック社(Clontech)[米国カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto)所在]によるAdvantage cDNA Polymerase Mixの使用が特に好ましい。
本発明の他の態様において、以下の工程を含む核酸の検出方法が提供される。
a)上記のように本発明に係る装置を準備する工程、
b)検出される核酸と検出領域に固定化された物質ライブラリとを相互作用させる工程、および
c)前記相互作用を検出する工程。
検査される標的は、あらゆる種類の試料、好ましくは生物試料が入手可能である。
好ましくは、標的は、検出および定量化の前に本発明の方法により分離され、精製され、複写され、および/または増幅される。
通常、増幅は、上述のように従来のPCR法を用いて、または標的分子と物質ライブラリ担体とのハイブリッド形成によるPCRおよび検出を用いて分析される標的分子の増幅を並列実行する方法を用いて実行される。
他の実施形態では、増幅は、2工程の多重PCRとして実行される(国際公開第97/45559号パンフレットも参照)。第1工程において、多重PCRは、3’末端が遺伝子固有であり、且つ5’末端が普遍的領域である融合プライマーを用いて実行される。後者は、多重反応で使用される全てのフォワードプライマーおよびリバースプライマーにおいて同じである。この第1工程において、プライマー量は制限的である。これにより、全ての多重生成物は、サイクル数が全ての生成物についてプライマー制限に到達するのに十分であるとした場合に、一様なモルレベルが達成されるまで増幅されることができる。第2工程において、融合プライマーの5’領域と同じ普遍的プライマーが存在する。増幅は、所望量のDNAが得られるまで実行される。
本発明に係る方法において、検出は、好ましくは結合された標的が工程c)で検出される少なくとも1つの標識に連鎖されるような方法で実行される。
上記のように、標的またはプローブに結合されている標識は、好ましくは、検出可能ユニットまたはアンカー基を介して標的またはプローブに結合されている検出可能ユニットである。検出および/または標識付けの可能性に関して、本発明に係る方法は非常に柔軟性が高い。したがって、本発明に係る方法は、様々な物理的、化学的、または生化学的検出方法と親和性がある。唯一の前提条件は、検出されるユニットまたは構造が、プローブまたは標的、例えばオリゴヌクレオチドに直接結合可能であるか、および/またはオリゴヌクレオチドと結合可能なアンカー基を介して連鎖可能であるということである。
標識の検出は、蛍光、磁力、電荷、質量、親和性、酵素活性、反応性、金標識などに基づくことができる。したがって、標識は、例えば蛍光標識構造または成分の使用に基づくことができる。蛍光検出に関連して、標識は、合成中または合成後に標的またはプローブに結合可能な任意の着色剤であることができる。例として、Cy着色剤(アマーシャム ファーマシア バイオテク社(Amersham Pharmacia Biotech)[スエーデン、ウプサラ(Uppsala)所在])、アレクサ(Alexa)着色剤、テキサスレッド(Texas Red)、フルオレセイン、ローダミン(モレキュラー プローブ社(Molecular Probes)[米国オレゴン州ユージン(Eugene)所在])、サマリウムなどのランタニド、イッテルビウム、およびユウロピウム(イージー&ジー社(EG&G)[ドイツ、フライブルグ、ウォーレス(Wallac)所在])が挙げられる。
蛍光マーカーのほかに、ルミネセンスマーカー、金属マーカー、酵素マーカー、放射性マーカー、および/またはポリマーマーカーが、本発明の範囲内で標的またはプローブに結合される標識付けおよび/または検出ユニットとして使用されることができる。
同様に、標識されたレポーターとのハイブリッド形成(サンドイッチハイブリッド形成)を用いて検出されることができる標識(タグ)として核酸が使用されることができる。タグの検出にプライマー伸張、ライゲーション、およびRCAなどの様々な分子生物学的検出反応が使用される。
本発明に係る方法の代替実施形態において、検出可能ユニットは、アンカー基を介して標的またはプローブと結合される。好ましくは、使用されるアンカー基は、ビオチン、ジゴキシゲニンなどである。その後の反応において、アンカー基は、特異的結合成分、例えばストレプトアビジン複合体または抗体複合体とともに転換され、これらは、順に検出可能になるか、または検出可能反応を引き起こす。アンカー基を使用する場合、アンカー基の検出可能ユニットへの転換は、標的を含む試料を加える前、加えている間もしくは加えた後、または任意でプローブ内の選択的に開裂可能な結合の開裂の前、開裂中もしくは開裂後に実行されることができる。
本発明によれば、標識付けもまた、標識された分子とプローブ分子との相互作用を用いて実行されることができる。例えば、標識付けは、上記のように、標識されたオリゴヌクレオチドとオリゴヌクレオチドプローブまたはオリゴヌクレオチド標的とのハイブリッド形成を用いて実行されることができる。
本発明の範囲内における好適な他の標識付け方法および検出システムは、例えばロトシュパイヒおよびゾルバス(Lottspeich and Zorbas)、Bioanalytik、Spektrum Akademischer Verlag、Heidelberg、Berlin、1998年、23.3章および23.4章に記載されている。
本発明に係る方法の好ましい実施形態において、結果として析出が生じる特定の溶解度積を有する付加体が得られる検出方法が使用される。標識付けについては、特定の基板または抽出物が使用され、これらは難溶性の、且つ通常は着色された生成物に転換されることができる。この標識付け反応では、例えば基板の難溶性生成物への転換を触媒する酵素が使用されることができる。アレイ要素に析出を生じるのに好適な反応および析出の検出の可能性については、例えば国際特許出願公開第00/72018号パンフレットおよび国際特許出願公開第02/02810号パンフレットに記載されており、その内容は本願で明示的に参照される。
本発明に係る方法の特に好ましい実施形態において、結合された標的は、プローブ/標的相互作用が発生している場合、可溶性基板または抽出物の反応を触媒して難溶性析出物をアレイ要素に形成するか、またはプローブ/標的相互作用が発生している場合、可溶性基板または抽出物をアレイ要素で難溶性析出物に転換する結晶核として作用する標識を備えている。
このようにして、本発明に係る方法を使用することにより、様々なプローブ/標的相互作用の定性的および定量的分析を同時に実行することができ、その際に、サイズが1000μm以下、好ましくは100μm以下、特に好ましくは50μm以下の個々のアレイ要素が実装されることができる。
酵素標識を使用することは、免疫細胞化学およびマイクロウェルプレートに基づく免疫学的検査で知られている(E.リデルおよびI.ウィークス(E.Lidell and I.Weeks)、Antibody Technology、BIOS Scientific Publishers Limited、1995年を参照)。したがって、例えば酵素は、難溶性の通常は着色されている生成物への基板の転換を触媒する。
特に好ましくは、アレイ要素で析出形成が生じる反応は、酵素により触媒された難溶性生成物への可溶性基板または抽出物の転換である。特別な実施形態において、アレイ要素で析出形成が生じる反応は、ペルオキシダーゼにより触媒された3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンの酸化である。
ホースラディシュペルオキシダーゼは、好ましくは3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンの酸化に使用される。しかし、当業者は、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンの酸化に使用される他のペルオキシダーゼを知っている。
第1工程において、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンは、ペルオキシダーゼの触媒作用下で酸化されて青色着色ラジカルカチオンを形成すると推察される(例えば、ガラッチおよびプラクト(Gallati and Pracht)、J.Clin.Chem.Clin.Biochem.1985年、23、8、454ページを参照)。この青色着色ラジカルカチオンは、例えば硫酸デキストランなどの多価陰イオンを用いる錯体の形態で析出される。3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンのペルオキシダーゼ触媒酸化を用いる析出反応は、例えば欧州特許出願公開第0456782号明細書に記載されている。
完全であるとは主張しないが、下記表1は、標的とプローブとの間の相互作用が発生したアレイ要素で析出を生じさせるのに適していると思われる複数の反応の調査を示す。
Figure 0004917883
酵素または金、特にナノ結晶金による生物試料の標識付けは十分に記載されている(特にF.ロトシュパイヒおよびH.ゾルバス(F.Lottspeich and H.Zorbas)、Bioanalytik、Spektrum Akademischer Verlag、Heidelberg、Berlin、1998年、E.リデルおよびI.ウィークス(E.Lidell and I.Weeks)、Antibody Technology、BIOS Scientific Publishers Limited、1995年を参照)。
本発明に係る方法における不溶性析出物を介してプローブ/標的相互作用を検出する他の可能性については、Immunogold−Silver Staining,Principles,Methods and Applications,Hrsg.:M.A.Hayat,1995年,CRC Press;Eur J Immunogenet 1991年2月〜4月;18(1−2):33〜55ページ PCR増幅および固定化されたプローブを使用するHLA−DR、DQ、およびDPタイピング、アーリッヒH、ブガワンT、ベゴビッチAB、シャーフS、グリフィスR、サイキR、ヒグチR、ウォルシュPS(Erlich H,Bugawan T,Begovich AB,Scharf S,Griffith R,Saiki R,Higuchi R、Walsh PS)Department of Human Genetics、Cetus Corp.、Emeryville、California 94608;Mol Cell Probes 1993年6月;7(3):199〜207ページ リステリアモノサイトゲネスの特定の非放射性検出のための組み合わされた修飾逆ドットブロットおよびネストされたPCR分析、ブサットN(Bsat N)、Batt CA.Department of Food Science、Cornell University、Ithaca、NY 14853ページ.Immunogenetics 1990年;32(4):231〜41ページ Erratum in:Immunogenetics 1991年;34(6):413ページ 酵素的に増幅されたDNAおよび非放射性配列特異オリゴヌクレオチドプローブを使用した高速HLA−DPBタイピング、ブガワンTL、ベゴビッチAB、アーリッヒHA(Bugawan TL,Begovich AB,Erlich HA)、Department of Human Genetics,Cetus Corporation,Emeryville,CA 94608.Hum Immunol 1992年12月;35(4):215〜22ページ 非放射性逆ドットブロット方法による一般的なHLA−DRB1遺伝子オリゴタイピング、エリアオウJF、パルマードF、アビエンスO、エドゥアルドE、バラグアP、ニコラスJC、クロットJ(Eliaou JF,Palmade F,Avinens O,Edouard E,Ballaguer P,Nicolas JC,Clot J)、Laboratory of Immunology,Saint Eloi Hospital,CHU Montpellier,France.J Immunol Methods 1984年11月 30;74(2):353〜60ページ 免疫金および免疫金/銀染色法によるドットおよびブロットの免疫オーバーレイ分析における抗原抗体反応の感度の高いビジュアル化、モエレマンスM、ダヌエルG、ファン ダイクA、ランガンガーG、ドゥ メイJ(Moeremans M,Daneels G,Van Dijck A,Langanger G,De Mey J)、Histochemistry 1987年;86(6):609〜15ページ 非放射性in situハイブリッド形成法、反射コントラストおよび電子顕微鏡を使用した複数の免疫細胞化学的検出システム、クレメルAF、ヤンセン イン デ ワルN、ウィーガントJ、ダークスRW、ワイスビークP、ファン デル プロエグM、ランデジェントJE(Cremers AF,Jansen in de Wal N,Wiegant J,Dirks RW,Weisbeek P,van der Ploeg M,Landegent JE)に記載されている。
本発明の範囲内において、特に以下の変更が、本発明に係る方法における不溶性析出物を介したプローブ/標的相互作用の検出に関して考えられる。
本発明に係る方法の一実施形態において、標的は、可溶性基板または抽出物から不溶性生成物への転換を触媒する触媒、好ましくは酵素を備える。この場合、アレイ要素で析出形成が生じる反応は、標的の1つに結合された触媒、好ましくは酵素の存在下での可溶性基板または抽出物から不溶性生成物への転換である。好ましくは、酵素は、ホースラディシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびブドウ糖酸化酵素からなる群から選択される。可溶性基板または抽出物は、好ましくは3,3’−ジアミノベンジジン、4−クロロ−1−ナフトール、3−アミノ−9−エチルカルバゾール、p−フェニレンジアミン−HCl/ピロカテコール、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、ナフトール/ピロニン、ブロモ−クロロ−インドイル−リン酸塩、ニトロブルーテトラゾリウム、およびフェナジンメトサルフェートからなる群から選択される。例えば、無色の可溶性水素供与体、例えば3,3’−ジアミノベンジジンは、過酸化水素の存在下で不溶性着色生成物に転換される。酵素ホースラディシュペルオキシダーゼは、水を形成しながら水素イオンを供与体から過酸化水素に転移する。
不溶性析出物を介したプローブ/標的相互作用の検出の他の可能性については、特に国際公開第02/02810号パンフレットに記載されている。
本発明の好ましい実施形態において、アレイ要素で析出形成に至る反応は、金属析出の形成である。特に好ましくは、アレイ要素で析出形成に至る反応は、元素銀を形成する銀化合物、好ましくは硝酸銀、乳酸銀、酢酸銀、または酒石酸銀の化学的還元である。ホルムアルデヒドおよび/またはヒドロキノンが、好ましくは還元剤として使用される。
したがって、アレイ上の分子間相互作用の検出についての可能な他の方法は、金属標識の使用である。ここで、例えばコロイド金または定義された金の塊は、任意でストレプトアビジンのような特定の媒介分子を介して標的と結合される。金標識付けから生じる着色は、好ましくは例えば銀などの貴性の低い貴金属との後続の反応により増強され、標的と結合した金標識は、例えば銀イオンから銀析出物に還元する結晶核または触媒として作用する。金標識と結合されている標的は、以下では金接合体とも呼ばれる。
本発明に係る方法のこの実施形態において、プローブ/標的相互作用の相対的定量化も実行可能である。析出物の検出を用いたプローブアレイ上の結合標的の濃度の相対的定量化は、標的と結合されている標識の濃度を介して実行され、これは可溶性基板の反応を触媒し、プローブ/標的相互作用が発生しているアレイ要素上に難溶性析出物が形成されるか、またはそのような反応の結晶核として作用する。例えばナノ金で標識され、且つHPLCにより精製されているオリゴヌクレオチドプローブの場合、結合標的と金粒子との比は1:1である。本発明の他の実施形態において、この比は1よりも大きいか、またはその分数でもよい。
したがって、本発明に係る検出方法のこの実施形態において、検出は、プローブ/標的相互作用が発生したアレイ要素上で結合標的と結合されている標識の触媒作用により生じる析出物によって引き起こされる透過率の変化、反射、または分散を測定することにより実行される。
コロイド金または定義された金の塊が標的と結合する場合、光吸収が既にそれらの金属標識の存在下で引き起こされている。しかし、光吸収を高めるために、好ましくは、そのようなインタラクティブハイブリッド、即ち例えばコロイド金または定義された金の塊のような標識を備える標的の触媒作用によって非透明析出物が析出される。金接合体の場合、析出物としての銀の使用が特に好ましいことが判明している。
したがって、本発明に係る方法の更に好ましい実施形態において、アレイ要素での析出形成の時間依存挙動は、工程c)で信号強度の形で検出される。この方法により、結合される標的の相対的定量的量を正確に決定することが可能になる。このような手順は、国際特許出願公開第02/02810号パンフレットに詳細に記載されており、その内容は本願で明示的に参照される。
以下において、透過光の吸収を測定することによるプローブ/標的相互作用の定性的および/または定量的検出について、例を用いて説明する。当然のことながら、以下に記載されている手順は上記銀/金着色に制限されず、相応して全ての検出反応に適用可能であり、結合された標的は、可溶性基板または抽出物の反応を触媒してプローブ/標的相互作用が発生したアレイ要素上に難溶性析出物を形成するか、または可溶性基板をプローブ/標的相互作用が発生したアレイ要素上の難溶性析出物に転換する結晶核として作用する標識を備える。
最初に、標的分子は、例えばPCRを用いてビオチン化される。PCR生成物は、物質ライブラリ、例えばDNAライブラリに対してハイブリッド形成される。その後、ビオチン化されたハイブリッド、例えばDNAハイブリッドと反応するストレプタビジン官能化金ビーズが反応室に加えられる。例えば、金の触媒作用下でヒドロキノンにより硝酸銀を還元することによって、銀析出物が金ビーズに生成されることができ、これらは表面で特異的に結合される(特に国際公開第00/72018号パンフレット、独国特許出願公開第10033334.6号明細書、M.A.Hayat、Immunogold−Silver Staining、CRC Press、New York,1995年を参照)。
銀析出物による光吸収は、析出された銀の量によって異なる。したがって、析出物を通じて放射される光度は、ランバート−ビアの法則に類似の機能に応じて計算されることができる。
I=I exp(−ab) (I)
ここで、Iは吸収後の光度であり、Iは吸収前の光度であり、aは銀析出物による面積単位b当たりの陰影部分を乗じた吸収係数である。光度Iおよび時間tは測定量として利用可能である。これらの測定量は、物質ライブラリで担体要素を照射し、カメラを用いて透過光を記録することにより得られる。この記録は、銀析出が実行される間に定期的に繰り返される。個々のライブラリ領域(スポット)の明度値は記録毎に評価され、それにより、各スポットの光度Iが維持される。標準ソフトウェア、例えばIconoClust(登録商標)(ドイツ、Clondiag,Jena)所在)などにより、これらの明度値は自動的に計算可能である。測定曲線は、I/Iを時刻tについてプロットすることにより得られる。方程式(I)に対応するランバート−ビアの法則は、以下のようにして、この方法で得られた時間依存銀析出配列に結びつけられることができる。
1つの銀ビーズで隠される面積Fは、以下のとおりである。
F=π (II)
1つのスポットについての面積要素当たりの析出速度は一定と仮定され得ることから、銀ビーズの半径rも一定速度で成長する。
r=dr/dtt (III)
銀析出物による面積単位b当たりの陰影部分は、面積単位当たりの銀ビーズの個数N、銀ビーズ当たりの陰影面積F、および定数kに比例する。
b=Nk (III)
したがって、時刻tに依存する光度Iに対する関数は以下の式で計算される。
I=I exp(−a’) (IV)
ここで、a’は未知の複合銀吸収定数である。
銀析出反応毎に、個別の析出速度が仮定されなければならず、同様に、表面の不特定の反応についても仮定されなければならない。
I=I exp(−a’ ) (V)
ここで、a’は不特定の銀吸収定数である。
スポットi毎に、特定の析出反応および不特定の析出反応の両方が発生する。
=I0i (exp(−a’ )+exp(−a’ ))+O (VI)
ここで、Oは装置関連オフセット値である。
面積単位当たりの析出される金ビーズの個数は、一方で金ビーズで標識された標的の量に依存し、他方で標的、例えば標的DNAとプローブ、例えばスポットDNAとの結合強度に依存する。各アレイ要素上のプローブと相互作用する標的が試料上に存在しない場合、このアレイ要素またはスポットの表面上の金ビーズの析出は発生しない。プローブと標的との間の結合が弱い場合、このアレイ要素の表面にはごくわずかの金ビーズしか堆積しない。
b即ちa’は金ビーズ、即ち銀ビーズの個数Nに直接比例することから、a’は、標的DNAの濃度およびアレイ要素またはスポットiでの標的DNAの結合強度の測定である。
方程式(VI)を用いて非線形回帰を使用することにより、銀吸収定数a’は、得られた測定曲線から計算されることができる。定数a’の計算は、スポットでの標的DNAの結合強度および濃度に対する有意な測定量として使用されることができる。さらに、析出反応の時間定数τは、定数a’から次のように求められることができる。
τ=(1/a’0.5 (VII)
およびOは、回帰を用いて他のパラメータとして決定されることができる。DNAライブラリの照明の不均一は、光度Iを用いて補正されることができる。また、後の時点で時間依存配列について記録された全ての更なる画像の平坦視野補正は、時刻t=0でDNAライブラリ全体の画像を介して行われることができる。パラメータOを用いることにより、測定の妥当性を推定することができる。
指数関数を測定値に正しく適合させるには、非線形回帰アルゴリズム、例えばマルクワルト(Marquardt)(H.R.Schwarz,Numerische Mathematik,Teubner Verlag,Stuttgart,Germany,1998年)による非線形回帰が必要であることから、時間依存配列から測定値を決定するために、あまり正確ではないが、その代わりにより堅牢でより線形な方法に戻ることが有利である。この目的のために、時間値を平方して光度測定値の対数を取る。次に、この方法で得られた値を線形方程式に当てはめる。この方法で得られた回帰パラメータは、測定値として、および妥当性を検証するために使用されることができる。線形法を使用する場合、照明の不均一さは、Iを介してではそれ以上補正可能でないが、しかし、平坦視野補正の可能性はまだある。
評価の他の変更では、決定された期間後に測定値として個々のスポットのグレー値を直接使用する。しかし、この方法には、どの時点が評価に最適であるかを予め評価することができないという欠点、および測定値が低い統計的確度を示すという欠点がある。さらに、可能な照明不均一は、平坦視野補正を介してのみ実行されることができる。
本発明の他の態様は、試料中の核酸を増幅するとともに、核酸の定性的および定量的検出を行う方法に関し、この方法は、
a)室担体とマイクロアレイとの間に形成される反応室に試料を挿入する工程であって、マイクロアレイは核酸プローブがアレイ要素上に固定化される基板を備えることと、
b)循環増幅反応を用いて反応室内で検出される核酸を増幅する工程と、
c)基板上で固定化された核酸プローブとハイブリッドを形成しない分子を反応室から除去することなく、検出される核酸と、基板上に固定化された核酸プローブとの間のハイブリッド形成を検出する工程とを備える。
本発明のこの態様において、検出される核酸と、マイクロアレイの基板上に固定化される核酸との間のハイブリッド形成の検出が、基板上に固定化された核酸とハイブリッドを形成しない分子を反応室から除去することなく実行されることは、本発明に係る方法の好ましい実施形態の本質的特徴である。このような分子は、例えば増幅反応時に転換されていない検出可能なマーカーを備えるプライマー、または相補核酸プローブが前記核酸と特異的にハイブリッド形成するアレイ上に存在しない検出可能なマーカーを備えるヌクレオチドまたは核酸分子であることができる。即ち、核酸標的と核酸プローブとの間の相互作用および/またはハイブリッド形成の検出は、ハイブリッド形成後に洗浄またはすすぎ工程を必要とすることなく実行可能である。
本発明のこの態様では、本発明に係る方法において、好ましくは基板上に固定化された核酸とハイブリッドを形成しない分子を除去するための洗浄工程が実行されないが、標的核酸と基板上に固定化された核酸プローブとの間の特定のハイブリッド形成の正確で敏感な検出は、除去されていない前記分子により引き起こされる溶液のバックグラウンドにかかわらず保証されることが意外にも明らかにされた。
したがって、本発明のこの態様において、本発明に係る方法により、反応室内で核酸の増幅ならびに定性的および定量的検出が可能であり、好ましくは試料または反応液の交換を必要とせずに、循環増幅反応の完了直後に分子間相互作用またはハイブリッド形成の検出が実行可能である。さらに、本発明に係る方法はまた、増幅におけるハイブリッド形成事象の循環検出、即ち循環増幅反応におけるハイブリッド形成の検出を保証する。最後に、本発明に係る方法を用いて、増幅生成物を増幅反応中だけでなく増幅反応の完了後にも定量化することができる。
したがって、本発明に係る方法の好ましい実施形態において、検出は、循環増幅反応の実行中または循環増幅反応の完了後に実行される。好ましくは、検出は各増幅サイクルで増幅反応中に実行される。また、検出は、2番目のサイクル毎に、もしくは3番目のサイクル毎に、または他の間隔で任意に決定されることができる。
好ましくは、循環増幅反応はPCRである。PCRでは通常、各PCRサイクルに対する3つの温度が生じる。好ましくは、ハイブリッド形成された核酸は、最高温度、つまり変性温度でマイクロアレイから脱離する。変性温度の好ましい値は95℃である。したがって、0値、厳密に言えば各PCRサイクルで検出される核酸に対する基準値として使用される測定値は、この変性温度で決定されることができる。
PCRサイクルにおいて、例えば約60℃のアニーリング温度後の温度では、検出される核酸とマイクロアレイの基板上に固定化された核酸との間のハイブリッド形成が容易になる。したがって、本発明に係る方法の一実施形態において、PCRサイクルで存在するオリゴヌクレオチドの検出はアニーリング温度で実行される。
本発明に係る方法の感度を高めるために、好ましくはさらに、検出が増幅サイクルのアニーリング温度以下の温度で実行されるように、温度をアニーリング温度以下に下げるとよい。例えば、検出は25℃から50℃の範囲、好ましくは30℃から40℃の範囲の温度で実行されることができる。
本発明に係る方法の更なる代替実施形態において、その後のハイブリッド形成温度を上昇させるために、検出される核酸と、マイクロアレイの基板上に固定化された核酸との間のハイブリッド形成が、まず低い温度で実行される。このような実施形態には、相互作用の特異性を失うことなく50℃よりも低い温度でのハイブリッド形成に比べてハイブリッド形成時間が短縮されるという利点がある。
変性温度で決定された0値または基準値を、アニーリング温度またはそれ以下の温度で決定された測定値から差し引くと、変動およびドリフトが排除された外乱のない測定結果が得られる。
本発明の範囲内において、プローブと標的分子との間の相互作用の検出は通常、以下のように実行される。1つまたは複数のプローブを所定の方法によりマイクロアレイの形態で特定のマトリクスに固定化する工程後、標的が溶液中のプローブと接触し、定められた条件下でインキュベートされる。インキュベートの結果、プローブと標的との間に特定の相互作用またはハイブリッド形成が発生する。ここで発生する結合は、標的分子と該標的分子に固有ではないプローブとの結合よりも著しく安定している。
標的とそのプローブとの間の特定の相互作用の検出は、標的分子とマイクロアレイとの相互作用前、相互作用中、または相互作用後に標的分子に挿入されたマーカーの種類によって通常は異なる様々な方法を用いて実行されることができる。通常、このようなマーカーは蛍光基であり、したがって、特定の標的/プローブ相互作用は蛍光光学的に読み出されることが可能であり、局所分解能が高く、且つ他の従来の検出方法と比較して、特に質量の影響を受けやすいと比較して労力が少ない(例えばA.マーシャル、J.ホジスン(A.Marshall、J.Hodgson)「DNA chips:An array of possibilities」Nature Biotechnology 1998年、16、27〜31ページ、G.ラムゼイ(G.Ramsay)「DNA Chips:State of the art」Nature Biotechnology 1998年、16、40〜44ページを参照)。
マイクロアレイ上に固定化された物質ライブラリおよび標的分子の化学的性質に応じて、核酸と核酸との相互作用、タンパク質とタンパク質との相互作用、および核酸とタンパク質との相互作用が、この検定原理を用いて調査されることができる(調査については、F.ロットシュパイヒ、H.ゾルバス(F.Lottspeich、H.Zorbas)、1998年、Bioanalytik、Spektrum Akademischer Verlag、Heidelberg/Berlinを参照)。
ここで、抗体ライブラリ、受容体ライブラリ、ペプチドライブラリ、および核酸ライブラリが物質ライブラリとして使用されることができ、これらはマイクロアレイまたはチップ上に固定化される。
核酸ライブラリは、特に最も重要な役割を果たす。これらは、デオキシリボ核酸(DNA)分子またはリボ核酸(RNA)分子が固定化されるマイクロアレイである。
好ましくは、検出される核酸は検出可能なマーカーを備える。特に好ましくは、検出可能なマーカーは蛍光マーカーである。アレイの核酸プローブとハイブリッドを形成しない溶液中の分子の信号、即ちバックグラウンドは、本発明に係る方法において特に毛細管ギャップの形態で、特に狭い反応室を使用することにより、核酸プローブとハイブリッドを形成する核酸の信号と比較して低く保たれることができる。反応室が好ましくは毛細管ギャップの形態で十分な狭さとなるように設計されている場合、プローブおよび標的の特異結合により引き起こされる標的分子の濃縮により、例えば反応室の容積全体を撮像する蛍光光学系を用いてマイクロアレイ上の信号が撮像されることもできる。
したがって、本発明に係る方法の好ましい実施形態において、試料は、室担体とマイクロアレイとの間で毛細管ギャップの形態で設計されている反応室内に挿入される。好ましくは、毛細管ギャップの厚さは10μmから200μm、特に好ましくは25μmから150μm、最も好ましくは50μmから100μmの範囲である。特別な実施形態において、毛細管ギャップの厚さは60μm、70μm、80μm、または90μmである。
代替実施形態において、本発明に係る方法は、例えば厚さが0.7mmから2.5mm、好ましくは1.0mmから2.0mm、特に好ましくは0.8mmから1.8mmである反応空間または反応室内で実行される。特別な実施形態において、反応空間の厚さは、1.1mmである。
驚いたことに、本発明に係る方法では、除去されていない可能性のある溶液中の標識されている分子により引き起こされるバックグラウンドにもかかわらず、正確で感度のよい検出を可能にする信号対雑音比が得られることが示された。以下の仮説は、それに束縛されることを意図することなく仮定される。溶液中で検出される核酸の濃度が上昇すると、チップまたはマイクロアレイの表面が飽和される。これは、相応して検出される信号の飽和に影響を及ぼす。特に、毛細管ギャップの形態で設計されている反応室を使用して、バックグラウンドに対する増幅生成物の合理的な検出を例えば厚さ200μm以下の反応室で実行され得るということは、反応室の厚さに対する溶液中の標的分子の濃度の依存関係に起因する。そのような狭い反応室を使用することにより、核酸プローブと標的核酸との間のハイブリッド形成後に洗浄またはすすぎ工程を行うことなく、単純な検出手法を使用することができる。さらに、例えば動的実験がプローブ/標的複合体の溶融挙動の調査またはリアルタイムでの検出の実行で要求されるように、動的実験も容易に実行される。
その単純な構造に起因して、例えば白色光源、LED、有機LED(OLED)などを用いて、例えばCCD、CMOS、JFIT、または走査型PMT、さらには波長選択平面または点走査照明に基づく結像検出システムを備える落射蛍光技術設備は、特に毛細管ギャップの形態で設計されている反応室を使用することにより、ハイブリッド形成の検出に特に適している。それに加えて、焦点選択検出方法はまた、例えば全反射または導波管の使用に基づく試料基板内の励起光(TIRF)の消衰減結合に基づく方法を基にした深さ選択照明の使用に基づく例えば共焦点手法または方法のような本発明に係る方法で使用されることができる。このような焦点選択方法は、特に感度を上げるために、液体中に存在する蛍光分子により引き起こされたバックグラウンド信号をさらに除外する場合、即ちハイブリッド形成しない場合に好ましい。
したがって、非常に狭い反応空間または反応室を、特に毛細管ギャップの形態で使用する場合、平面上で蛍光信号を測定することについて記載されている撮像蛍光検出のための全ての従来の装置および/または方法を使用することができる。
これに対する実施例はCCDベースの検出器であり、これは、分散および反射などの光学的効果を識別するために、入射光または透過光を用いて暗視野内で蛍光プローブの励起を行う(例えば、C.E.フーパーら(C.E.Hooper et al.)「Quantitative Photone Imaging in the Life Sciences Using Intensified CCD Cameras,Journal of Bioluminescence and Chemoluminescence(1990年),337〜344ページを参照)。本発明に係る方法で使用されることができる蛍光検出システムの更なる代替実施形態は、例えば国際公開第00/12759号パンフレット、国際公開第00/25113号パンフレット、および国際公開第96/27025号パンフレットに記載されているような白色光設備、例えば米国特許第5,324,633号明細書、米国特許第6,027,880号明細書、米国特許第5,585,639号明細書、および国際公開第00/12759号パンフレットに記載されているような共焦点システム、例えば米国特許第5,760,950号明細書に記載されているような共焦点結像の場合のニプコーディスクに基づく共焦点励起システム、例えば国際公開第98/57151号パンフレットに記載されているような構造化励起分布に基づくシステム、例えば国際公開第99/27140号パンフレットに記載されているような微小光学系を使用する高集積蛍光検出システム、および例えば国際公開第00/12759号パンフレットに記載されているようなレーザ走査システムである。このような従来の蛍光検出システムを使用する蛍光検出法の一般的な経過は、例えば米国特許第5,324,633号明細書に記載されている。
循環増幅反応時に標的核酸と基板上に固定化された核酸との間のハイブリッド形成を検出することにより、プローブアレイまたはマイクロアレイ上の信号増大を連続的に検出することができる。本発明に係る方法の他の実施形態において、試料中で検出される核酸の初期濃度は、検出される核酸と検出可能な基板上に固定化された核酸プローブとの間にハイブリッド形成を行わせるために必要な増幅サイクルの個数との相関を用いて決定される。
図9は、試料中の標的分子の初期濃度を変化させることで、標的の指数関数的増幅の経過を示している。従来の蛍光検出を使用して本発明に係る方法を実行する際、典型的な検出限界は、1pMから10pMまでの範囲の標的濃度である。図9は、この範囲が、様々な数の増幅サイクル後に試料中で検出される核酸の初期濃度に依存して到達することを示している。したがって、この検出限界に到達するために必要な増幅サイクルの数から、試料中で検出される核酸の初期濃度が決定されることができる。
本発明に係る方法の特に好ましい実施形態において、試料は、知られている濃度のマイクロアレイの核酸プローブと相互作用するか、またはハイブリッドを形成する核酸を含む。本発明の範囲内において、知られている濃度のこのような核酸は、コントロール核酸またはコントロールとも呼ばれる。
図10は、増幅サイクルの数および溶液中の標的核酸の初期濃度に依存するハイブリッド形成信号の発生を指数関数的増幅の結果として示している。図10から、標的量の定量化は、知られている濃度の対応するコントロール核酸も試料中に存在して、対応する較正が実行される場合に特に、検出限界に到達する時点を単に決定することにより可能であることも分かる。
調査される標的は、あらゆる種類の試料、好ましくは生物試料内に存在することができる。
好ましくは、標的は検出および定量化の前に分離され、精製され、複写され、および/または増幅される。
通常、増幅は、上記のように従来のPCR法を用いるか、または標的分子と物質ライブラリ担体とのハイブリッド形成によるPCRおよび検出を使用して分析される標的分子の増幅を並列実行する方法を用いて実行される。
他の実施形態において、増幅は、2工程の多重PCRとして実行される(国際公開第97/45559号パンフレットも参照)。第1工程において、多重PCRは、3’末端が遺伝子固有であり、且つ5’末端が普遍的領域である融合プライマーを用いて実行される。後者は、多重反応で使用される全てのフォワードプライマーおよびリバースプライマーにおいて同じである。この第1工程において、プライマー量は制限的である。これにより、全ての多重生成物は、サイクル数が全ての生成物についてプライマー制限に到達するのに十分である場合に、一様なモルレベルが達成されるまで増幅されることができる。第2工程において、融合プライマーの5’領域と同じ普遍的プライマーが存在する。増幅は、所望量のDNAが得られるまで実行される。
本発明に係る方法において、検出は、好ましくは結合された標的が工程c)で検出される少なくとも1つの標識を備えるように実行される。
上記のように、標的またはプローブに結合されている標識は、好ましくは検出可能ユニットまたはアンカー基を介して標的またはプローブに結合されている検出可能ユニットである。検出および/または標識付けの可能性に関して、本発明に係る方法は非常に柔軟性が高い。そのため、本発明に係る方法は、様々な物理的、化学的、または生化学的検出方法と親和性がある。唯一の前提条件は、検出されるユニットまたは構造が、プローブまたは標的、例えばオリゴヌクレオチドに直接結合可能であるか、および/またはオリゴヌクレオチドと結合可能なアンカー基を介して連鎖可能であることである。
標識の検出は、蛍光、磁力、電荷、質量、親和性、酵素活性、反応性、金標識などに基づくことができる。したがって、標識は、例えば蛍光標識構造または成分を使用に基づくことができる。蛍光検出に関連して、標識は、合成中または合成後に標的またはプローブに結合可能な任意の着色剤であることができる。例として、Cy着色剤(アマーシャム ファーマシア バイオテク社(Amersham Pharmacia Biotech)[スエーデン、ウプサラ(Uppsala)所在])、アレクサ(Alexa)着色剤、テキサスレッド(Texas Red)、フルオレセイン、ローダミン(モレキュラー プローブ社(Molecular Probes)[米国オレゴン州ユージン(Eugene)所在])、サマリウムなどのランタニド、イッテルビウム、およびユウロピウム(イージー&ジー社(EG&G)[ドイツ、フライブルグ、ウォーレス(Wallac)所在])が挙げられる。
蛍光マーカーのほかに、ルミネセンスマーカー、金属マーカー、酵素マーカー、放射性マーカー、および/またはポリマーマーカーが、本発明の範囲内で標的またはプローブに結合される標識付けおよび/または検出ユニットとして使用されることができる。
同様に、標識されたレポーターとのハイブリッド形成を用いて検出されることができる標識(タグ)として核酸が使用されることができる。これは、「サンドイッチハイブリッド形成」を意味する。タグの検出にプライマー伸張、ライゲーション、およびRCAなどの様々な分子生物学的検出反応が使用される。
本発明に係る方法の代替実施形態において、検出可能ユニットは、アンカー基を介して標的またはプローブと結合される。好ましくは、使用されるアンカー基は、ビオチン、ジゴキシゲニンなどである。その後の反応において、アンカー基は、特異的結合成分、例えばストレプトアビジン複合体または抗体複合体とともに転換され、これらは、順に検出可能になるか、または検出可能反応を引き起こす。アンカー基を使用する場合、アンカー基の検出可能ユニットへの転換は、標的を含む試料を加える前、加えている間もしくは加えた後、または任意でプローブ内の選択的に開裂可能な結合の開裂の前、開裂中もしくは開裂後に実行されることができる。
本発明によれば、標識付けもまた、標識された分子とプローブ分子との相互作用を用いて実行されることができる。例えば、標識付けは、上記のように、標識されたオリゴヌクレオチドとオリゴヌクレオチドプローブまたはオリゴヌクレオチド標的とのハイブリッド形成を用いて実行されることができる。
本発明の範囲内における好適な他の標識付け方法および検出システムは、例えばロトシュパイヒおよびゾルバス(Lottspeich and Zorbas)、Bioanalytik、Spektrum Akademischer Verlag、Heidelberg、Berlin、1998年、23.3章および23.4章に記載されている。
本発明に係る方法の好ましい実施形態において、結果として析出が生じる特定の溶解度積を有する付加体が得られる検出方法が使用される。標識付けについては、特定の基板または抽出物が使用され、これらは難溶性の、且つ通常は着色された生成物に転換されることができる。この標識付け反応では、例えば基板の難溶性生成物への転換を触媒する酵素が使用されることができる。アレイ要素に析出を生じるのに好適な反応および析出の検出の可能性については、例えば国際特許出願公開第00/72018号パンフレットおよび国際特許出願公開第02/02810号パンフレットに記載されており、その内容は本願で明示的に参照される。
本発明に係る方法の特に好ましい実施形態において、結合された標的は、プローブ/標的相互作用が発生している場合、可溶性基板または抽出物の反応を触媒して難溶性析出物をアレイ要素に形成するか、またはプローブ/標的相互作用が発生している場合、可溶性基板または抽出物をアレイ要素で難溶性析出物に転換する結晶核として作用する標識を備えている。
このようにして、本発明に係る方法を使用することにより、様々なプローブ/標的相互作用の定性的および定量的分析を同時に実行することができ、その際に、サイズが1000μm以下、好ましくは100μm以下、特に好ましくは50μm以下の個々のアレイ要素が実装されることができる。
酵素標識を使用することは、免疫細胞化学およびマイクロウェルプレートに基づく免疫学的検査で知られている(E.リデルおよびI.ウィークス(E.Lidell and I.Weeks)、Antibody Technology、BIOS Scientific Publishers Limited、1995年を参照)。したがって、例えば酵素は、難溶性の通常は着色されている生成物への基板の転換を触媒する。
特に好ましくは、アレイ要素で析出形成が生じる反応は、酵素により触媒された難溶性生成物への可溶性基板または抽出物の転換である。特別な実施形態において、アレイ要素で析出形成が生じる反応は、ペルオキシダーゼにより触媒された3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンの酸化である。
ホースラディシュペルオキシダーゼは、好ましくは3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンの酸化に使用される。しかし、当業者は、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンの酸化に使用される他のペルオキシダーゼを知っている。
第1工程において、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンは、ペルオキシダーゼの触媒作用下で酸化されて青色着色ラジカルカチオンを形成すると推察される(例えば、ガラッチおよびプラクト(Gallati and Pracht)、J.Clin.Chem.Clin.Biochem.1985年、23、8、454ページを参照)。この青色着色ラジカルカチオンは、例えば硫酸デキストランなどの多価陰イオンを用いる錯体の形態で析出される。3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンのペルオキシダーゼ触媒酸化を用いる析出反応は、例えば欧州特許出願公開第0456782号明細書に記載されている。
完全であるとは主張しないが、前記表1は、標的とプローブとの間の相互作用が発生したアレイ要素で析出を生じさせるのに適していると思われる複数の反応の調査を示す。
酵素または金、特にナノ結晶金による生物試料の標識付けは十分に記載されている(特にF.ロトシュパイヒおよびH.ゾルバス(F.Lottspeich and H.Zorbas)、Bioanalytik、Spektrum Akademischer Verlag、Heidelberg、Berlin、1998年、E.リデルおよびI.ウィークス(E.Lidell and I.Weeks)、Antibody Technology、BIOS Scientific Publishers Limited、1995年を参照)。
本発明に係る方法における不溶性析出物を介してプローブ/標的相互作用を検出する他の可能性については、Immunogold−Silver Staining,Principles,Methods and Applications,Hrsg.:M.A.Hayat,1995年,CRC Press;Eur J Immunogenet 1991年2月〜4月;18(1−2):33〜55ページ PCR増幅および固定化されたプローブを使用するHLA−DR、DQ、およびDPタイピング。アーリッヒH、ブガワンT、ベゴビッチAB、シャーフS、グリフィスR、サイキR、ヒグチR、ウォルシュPS(Erlich H,Bugawan T,Begovich AB,Scharf S,Griffith R,Saiki R,Higuchi R、Walsh PS)Department of Human Genetics、Cetus Corp.、Emeryville、California 94608;Mol Cell Probes 1993年6月;7(3):199〜207ページ リステリアモノサイトゲネスの特定の非放射性検出のための組み合わされた修飾逆ドットブロットおよびネストされたPCR分析、ブサットN(Bsat N)、Batt CA.Department of Food Science、Cornell University、Ithaca、NY 14853ページ.Immunogenetics 1990年;32(4):231〜41ページ Erratum in:Immunogenetics 1991年;34(6):413ページ 酵素的に増幅されたDNAおよび非放射性配列特異オリゴヌクレオチドプローブを使用した高速HLA−DPBタイピング、ブガワンTL、ベゴビッチAB、アーリッヒHA(Bugawan TL,Begovich AB,Erlich HA)、Department of Human Genetics,Cetus Corporation,Emeryville,CA 94608.Hum Immunol 1992年12月;35(4):215〜22ページ 非放射性逆ドットブロット方法による一般的なHLA−DRB1遺伝子オリゴタイピング、エリアオウJF、パルマードF、アビエンスO、エドゥアルドE、バラグアP、ニコラスJC、クロットJ(Eliaou JF,Palmade F,Avinens O,Edouard E,Ballaguer P,Nicolas JC,Clot J)、Laboratory of Immunology,Saint Eloi Hospital,CHU Montpellier,France.J Immunol Methods 1984年11月 30;74(2):353〜60ページ 免疫金および免疫金/銀染色法によるドットおよびブロットの免疫オーバーレイ分析における抗原抗体反応の感度の高いビジュアル化、モエレマンスM、ダヌエルG、ファン・ダイクA、ランガンガーG、ドゥ メイJ(Moeremans M,Daneels G,Van Dijck A,Langanger G,De Mey J)、Histochemistry 1987年;86(6):609〜15ページ 非放射性in situハイブリッド形成法、反射コントラストおよび電子顕微鏡を使用した複数の免疫細胞化学的検出システム、クレメルAF、ヤンセン イン デ ワルN、ウィーガントJ、ダークスRW、ワイスビークP、ファン デル プロエグM、ランデジェントJE(Cremers AF,Jansen in de Wal N,Wiegant J,Dirks RW,Weisbeek P,van der Ploeg M,Landegent JE)に記載されている。
本発明の範囲内において、特に以下の変更が、本発明に係る方法における不溶性析出物を介したプローブ/標的相互作用の検出に関して考えられる。
本発明に係る方法の一実施形態において、標的は、可溶性基板または抽出物から不溶性生成物への転換を触媒する触媒、好ましくは酵素を備える。この場合、アレイ要素で析出形成が生じる反応は、標的の1つに結合された触媒、好ましくは酵素の存在下での可溶性基板または抽出物から不溶性生成物への転換である。好ましくは、酵素は、ホースラディシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびブドウ糖酸化酵素からなる群から選択される。可溶性基板または抽出物は、好ましくは3,3’−ジアミノベンジジン、4−クロロ−1−ナフトール、3−アミノ−9−エチルカルバゾール、p−フェニレンジアミン−HCl/ピロカテコール、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、ナフトール/ピロニン、ブロモ−クロロ−インドイル−リン酸塩、ニトロブルーテトラゾリウム、およびフェナジンメトサルフェートからなる群から選択される。例えば、無色の可溶性水素供与体、例えば3,3’−ジアミノベンジジンは、過酸化水素の存在下で不溶性着色生成物に転換される。酵素ホースラディシュペルオキシダーゼは、水を形成しながら水素イオンを供与体から過酸化水素に転移する。
本発明の好ましい実施形態において、アレイ要素で析出形成に至る反応は、金属析出の形成である。特に好ましくは、アレイ要素で析出形成に至る反応は、元素銀を形成する銀化合物、好ましくは硝酸銀、乳酸銀、酢酸銀、または酒石酸銀の化学的還元である。ホルムアルデヒドおよび/またはヒドロキノンは、好ましくは還元剤として使用される。
したがって、アレイ上の分子間相互作用の検出についての可能な他の方法は、金属標識の使用である。ここで、例えばコロイド金または定義された金の塊は、任意でストレプトアビジンのような特定の媒介分子を介して標的と結合される。金標識付けから生じる着色は、好ましくは例えば銀などの貴性の低い貴金属との後続の反応により増強され、標的と結合した金標識は、例えば銀イオンから銀析出物に還元する結晶核または触媒として作用する。金標識と結合されている標的は、以下では金接合体とも呼ばれる。
不溶性析出物を介したプローブ/標的相互作用の検出の他の可能性については、特に国際公開第02/02810号パンフレットに記載されている。
本発明に係る方法のこの実施形態において、プローブ/標的相互作用の相対的定量化も実行可能である。析出物の検出を用いたプローブアレイ上の結合標的の濃度の相対的定量化は、標的と結合されている標識の濃度を介して実行され、これは可溶性基板の反応を触媒し、プローブ/標的相互作用が発生しているアレイ要素上に難溶性析出物が形成されるか、またはそのような反応の結晶核として作用する。例えばナノ金で標識され、且つHPLCにより精製されているオリゴヌクレオチドプローブの場合、結合標的と金粒子との比は1:1である。本発明の他の実施形態において、この比は1よりも大きいか、またはその分数でもよい。
したがって、本発明に係る検出方法のこの実施形態において、検出は、プローブ/標的相互作用が発生したアレイ要素上で結合標的と結合されている標識の触媒作用により生じる析出物によって引き起こされる透過率の変化、反射、または分散を測定することにより実行される。
コロイド金または定義された金の塊が標的と結合する場合、光吸収が既にそれらの金属標識の存在下で引き起こされている。しかし、光吸収を高めるために、好ましくは、そのようなインタラクティブハイブリッド、即ち例えばコロイド金または定義された金の塊のような標識を備える標的の触媒作用によって非透明析出物が析出される。金接合体の場合、析出物としての銀の使用が特に好ましいことが判明している。
したがって、本発明に係る方法の更に好ましい実施形態において、アレイ要素での析出形成の時間依存挙動は、工程c)で信号強度の形で検出される。この方法により、結合される標的の相対的定量的量を正確に決定することが可能になる。このような手順は、国際特許出願公開第02/02810号パンフレットに詳細に記載されており、その内容は本願で明示的に参照される。
本発明のこの態様において、透過光の吸収を測定することによるプローブ/標的相互作用の定性的および/または定量的検出は、検出領域上の析出形成の時間依存挙動の検出に使用可能な光学系を備える本発明に係る装置を使用して、本発明に係る方法の上記実施例と類似の方法で実行されることができる。
例えば、DNAまたはRNA分子の形態で、且つ蛍光基によって標識されている標的分子をマイクロアレイの核酸に結合するための前提条件は、標的分子とプローブ分子との両方が1本鎖核酸の形態で存在することである。効率的かつ特有のハイブリッド形成は、このような分子間でしか発生し得ない。1本鎖核酸標的分子および核酸プローブ分子は通常、熱変性と、螺旋不安定分子の温度、イオン強度、および濃度のようなパラメータの最適な選択とを使用して得られる。したがって、ほぼ完全な相補性を有するプローブ、即ち互いに厳密に対応する配列を有するプローブのみが標的配列と対をなすことが保証される(A.A.リーチ、T.シュヴァルツアッハー、D.ジャクソン、I.J.リーチ(A.A.Leitch、T.Schwarzacher、D.Jackson、I.J.Leitch)、1994年、In vitro Hybridisierung、Spektrum Akademischer Verlag、Heidelberg/Berlin/Oxford)。
他の好ましい実施形態において、検出される核酸は、まずPCRを用いて増幅される場合、PCRを用いて増幅される複数のテンプレート鎖のうちの1つの形成を抑制する少なくとも1つのコンペティタが初めに反応に加えられる。PCRでは、特に、テンプレートに結合するためのテンプレートのPCR増幅に使用されるプライマーのうちの1つと競合し、且つ酵素的に伸展不可能なDNA分子が加えられる。PCRを用いて増幅された1本鎖核酸分子は、その後、相補的プローブとのハイブリッド形成を用いて検出される。また、検出される核酸は、まずPCRを用いて1本鎖余剰で増幅され、相補的プローブとのその後のハイブリッド形成を用いて検出されるが、そこで、DNA分子、またはテンプレートの2つの鎖のうちの1つにハイブリッド形成することが可能であるが、プローブハイブリッド形成を用いて検出される領域にはハイブリッド形成することができない核酸類似物の分子であり、且つ酵素的に伸展不可能なコンペティタが、初めにPCR反応に加えられる。
PCR反応内に存在する2つのテンプレート鎖のうちの1つのみの好ましい増幅を引き起こす全ての分子は、PCR内のコンペティタとして使用されることができる。本発明では、コンペティタは、タンパク質、ペプチド、DNAリガンド、挿入剤(intercalators)、核酸、またはその類似物であることができる。本発明では、配列特異性を有する1本鎖核酸を結合することが可能な、且つ上記で定義されている特性を有するタンパク質またはペプチドが、好ましくはコンペティタとして使用される。特に好ましくは、核酸分子および核酸類似分子が2次構造切断分子として使用される。
2つのテンプレート鎖のうちの1つの形成は、増幅時にPCRへのコンペティタの初期追加により実質的に抑制される。「実質的に抑制」とは、PCRの範囲内において、1本鎖余剰および一定量の他のテンプレート鎖が作成され、これは、ハイブリッド形成を用いて増幅された鎖を効率よく検出するのに十分であることを意味する。したがって、増幅は、2(n=サイクル数)の形態の指数関数的反応速度に従わず、むしろ<2の形態の減衰増幅反応速度に従う。
非増幅鎖に関してPCRを用いて得られる1本鎖余剰は、ファクタ1.1に対して1,000、好ましくはファクタ1.1に対して300、また好ましくはファクタ1.1に対して100、特に好ましくはファクタ1.5に対して100、また特に好ましくはファクタ1.5に対して50、とりわけ好ましくはファクタ1.5に対して20、最も好ましくはファクタ1.5に対して10を有する。
通常、コンペティタの機能は、2つのテンプレート鎖のうちの1つに選択的に結合すること、したがって、対応する相補鎖の増幅を抑制することである。したがって、コンペティタは、PCRで増幅される2つのテンプレート鎖のうちの1つ対する特異性を持つ1本鎖DNAまたはRNA結合タンパク質であることができる。これらはまた、増幅される2つのテンプレート鎖のうちの1つの特定の領域にのみ配列特異的に結合するアプタマーであることができる。
核酸または核酸類似物は、好ましくは、本発明に係る方法においてコンペティタとして使用される。従来、核酸または核酸類似物は、プライマー結合部位についてPCRに使用されるプライマーのうちの1つと競合するか、または配列相補性に起因して検出されるテンプレート鎖の領域とハイブリッド形成することができることにより、PCRのコンペティタとして作用する。この領域は、プローブにより検出される配列ではない。このような核酸コンペティタは酵素的に伸展可能でない。
核酸類似物は、例えばいわゆるペプチド核酸(PNA)であることもできる。しかし、核酸類似物はまた、核酸分子であることもでき、ヌクレオチドは、リン酸結合の代わりにフォスフォチオエイト結合を介して互いに連結される。これらはまた、自然発生的糖成分リボースまたはデオキシリボースが、例えばアラビノースまたはトレハロースなどの代替糖で置き換えられた核酸類似物であることもできる。さらに、核酸誘導体は「ロックト核酸」(LNA)であることもできる。他の従来の核酸類似物は当業者に周知である。
DNAまたはRNA分子は、特に好ましくはDNAもしくはRNAオリゴヌクレオチドまたはその類似物は、好ましくはコンペティタとして使用される。
コンペティタとして使用される核酸分子または核酸類似物の配列に応じて、PCR反応の範囲内における2つのテンプレート鎖のうちの1つの増幅を抑制することは、異なるメカニズムに基づく。DNA分子の例を用いて、このことについて以下に説明する。
例えば、DNA分子がコンペティタとして使用される場合、DNAコンペティタ分子と対応するテンプレート鎖との特定のハイブリッド形成が厳格な条件下で可能であるような形でPCRに使用されるプライマーのうちの1つの配列と少なくとも部分的に同じである配列を有することができる。本発明によれば、この場合における競合に使用されるDNA分子はDNAポリメラーゼを用いて伸展可能でなく、DNA分子は、テンプレートとの結合に関してPCR反応時に各プライマーと競合する。したがって、DNAコンペティタ分子とプライマーとの比に応じて、プライマーにより定義されるテンプレート鎖の増幅は、このテンプレート鎖の作成が著しく低減されるような形で抑制され得る。ここで、PCRは、使用されるコンペティタの量に関して予想される以上に高い指数関数的反応速度により進行する。このようにして、1本鎖余剰が一定量で現れ、これは、ハイブリッド形成を用いて増幅された標的分子を効率よく検出するのに十分である。
この実施形態において、競合に使用される核酸分子または核酸分子類似物は、酵素的に伸展可能であってはならない。「酵素的に伸展可能でない」とは、増幅に使用されるDNAまたはRNAポリメラーゼが核酸コンペティタをプライマーとして使用できない、即ちコンペティタにより定義される配列からテンプレート3’の対応する反対の鎖を構成することができないことを意味する。
上記の可能性のほかに、DNAコンペティタ分子はまた、プライマー配列のうちの1つによって扱われない、且つ酵素的に伸展可能でない検出されるテンプレート鎖の領域に対して相補的な配列を有することができる。PCRの範囲内において、DNAコンペティタ分子はその後、このテンプレート鎖とハイブリッドを形成し、それに応じてこの鎖の増幅を阻止する。
DNAコンペティタ分子または一般的に核酸コンペティタ分子の配列が対応して選択可能であることは当業者に周知である。核酸コンペティタ分子が、PCRに使用されるプライマーのうちの1つの配列に実質的に等しくないが、検出されるテンプレート鎖の他の領域に対し相補的である配列を有する場合、この配列は、ハイブリッド形成の範囲内においてプローブで検出されるテンプレート配列の領域内に入らないように選択される必要がある。このことは、PCRとハイブリッド形成反応との間の処理反応が生じないために必要である。検出される領域内に入る核酸分子がコンペティタとして使用された場合、プローブへの結合に関して1本鎖標的分子と競合するだあろう。
このようなコンペティタは、好ましくは、プローブにより検出されたテンプレート配列の近くでハイブリッド形成する。ここで、「近く」という位置指定は、本発明において2次構造切断分子について与えられているのと同じように理解されるものである。しかし、本発明に係るコンペティタはまた、検出される配列のすぐ近くで、即ち検出される標的配列から厳密にヌクレオチド1個分の距離の範囲内でハイブリッド形成することができる。
酵素的に伸展可能でない核酸または核酸類似物が競合分子として使用される場合、それらは、DNAまたはRNAポリメラーゼにより酵素的に伸展可能でないようにその配列および構造に応じて選択される。好ましくは、核酸コンペティタの3’末端は、テンプレートに対する相補性を有さない、および/またはその3’末端で3−OH基の代わりに他の置換基を有するように設計される。
核酸コンペティタの3’末端がテンプレートとの相補性を有さない場合、核酸コンペティタがテンプレートのプライマー結合部位の1つに結合するか、またはPCRを用いて増幅されるテンプレートの配列の1つに結合するかに関係なく、核酸コンペティタは、その3’末端で塩基相補性を欠いていることに起因して、従来のDNAポリメラーゼによって伸展されることができない。DNAポリメラーゼによる核酸コンペティタのこの種の非伸展性は当業者に周知である。好ましくは、核酸コンペティタは、最後の4塩基、特に好ましくは最後の3塩基、とりわけ好ましくは最後の2塩基、最も好ましくは最後の塩基に関してその3’末端で標的配列に対し相補性を有さない。説明されている位置において、そのようなコンペティタはまた、ハイブリッド形成を許さない非自然的な塩基を有することができる。
酵素的に伸展可能でない核酸コンペティタが、酵素的に伸展可能でないようにそのバックボーンで、またはその3’末端で修飾されている場合、それらはまた、その標的配列に対する100%相補性を有することができる。
核酸コンペティタがその3’末端でOH基と異なる基を有する場合、それらの置換基は、好ましくはリン酸基、水素原子(ジデオキシヌクレオチド)、ビオチン基、またはアミノ基である。これらの基は、従来のポリメラーゼによって伸展されることができない。
テンプレートの結合について、PCRに使用される2つのプライマーのうちの1つと競合し、化学合成中にその3’末端でアミノ連鎖を備えるDNA分子がそのような方法でコンペティタとして使用されることが、特に好ましい。そのようなコンペティタは、その標的配列に対して100%の相補性を有することができる。
しかし、例えば、PNAのような核酸類似コンペティタは、阻害3’OH基または非相補塩基をその3’末端に有する必要はないが、それは、バックボーンがペプチド結合により修飾されているためにDNAポリメラーゼにより認識されず、したがって伸展されないからである。DNAポリメラーゼにより認識されないリン酸基の他の対応する修飾は、当業者に周知である。これに属しているのは、特に例えば2'−5'アミノ結合などのバックボーン修飾を有する核酸(チャンら(Chan et al.)(1999年)J.Chem.Soc.、Perkin Trans.1、315〜320ページ)、スルフィド結合(カワイら(Kawai et al.)(1993年)Nucleic Acids Res.、1(6)、1473〜1479ページ)、LNA(ソレンセンら(Sorensen et al.)(2002年)J.Am.Chem.Soc.、124(10)、2164〜2176ページ)、およびTNA(ショーニングら(Schoning et al.)(2000年)Science、290(5495)、1347〜1351ページ)である。
テンプレートの異なる領域(例えば、特にプライマー結合部位)とハイブリッドを形成するいくつかのコンペティタもまた、PCRで同時に使用されることができる。ハイブリッド形成の効率は、コンペティタが2次構造切断分子の特性を有する場合に、さらに高められることができる。
代替実施形態において、DNAコンペティタ分子はまた、プライマーの1つに相補的な配列を有することができる。次いで、対応するテンプレート鎖ともはやハイブリッドを形成しないように、およびそれに応じて他のプライマーによって定義されたテンプレート鎖のみが増幅されるべく、アンチセンスDNAコンペティタ分子とプライマーとの比に応じて、そのような例えばアンチセンスDNAコンペティタ分子が使用されて、PCR反応においてプライマーを滴定することができる。当業者は、本発明のこの実施形態において、核酸コンペティタが酵素的に伸展可能であるが、そうしなければならないわけではないことに気づいている。
本発明の範囲内において、核酸コンペティタについて取りあげられた場合、これは、各文脈から異なる意味が生じない限り核酸類似コンペティタを含む。核酸コンペティタは、可逆的に、または非可逆的にテンプレートの対応する鎖に結合することができる。この結合は、共有結合または非共有結合相互作用を用いて生じることができる。
好ましくは、核酸コンペティタの結合は非共有結合相互作用を介して生じ、可逆である。特に好ましいのは、テンプレートへの結合がワトソン−クリック塩基対合の形成を介して生じることである。
核酸コンペティタの配列は通常、検出されるテンプレート鎖の配列に適合する。しかし、アンチセンスプライマーの場合、これらは、その後テンプレート配列により定義され、且つ滴定されるプライマー配列に適合する。
核酸のPCR増幅は標準的な実験室方式であり、各種の変更および開発が可能であることは、当業者にはよく知られている。原理上、PCRは、2本鎖核酸テンプレート、通常は2本鎖DNA分子が、まず95℃の温度で5分間熱変性を受け、それによって、2つの鎖が互いに分離することを特徴とする。いわゆる(低い溶融温度を有するプライマーにより定められる)「アニーリング」温度まで冷却した後、反応液中に存在するフォワードおよびリバースプライマーが、自配列に相補的な各テンプレート鎖のそれらの部位に蓄積する。ここで、プライマーの「アニーリング」温度は、プライマーの長さおよび塩基構造に適合する。これは、理論的考察に基づいて計算されることができる。「アニーリング」温度の計算に関する情報は、例えばサムブルックら(Sambrook et al.)(上記参照)において見出される。
通常、40から75℃までの間、好ましくは45から72℃までの間、特に好ましくは50から72℃までの間の温度範囲で実行されるプライマーのアニーリング後に伸長工程が続き、デオキシリボヌクレオチドが、反応液中に存在するDNAポリメラーゼの活性によりプライマーの3’末端と連鎖される。ここで、挿入されたdNTPの同定は、プライマーとハイブリッド形成されたテンプレート鎖の配列に依存する。通常の熱安定DNAポリメラーゼが使用される場合、伸長工程は普通68から72℃の間で実行される。
対称的PCRにおいて、プライマー配列により定義された標的の核酸領域の指数関数的増大は、プライマーの変性、アニーリング、および伸長の説明されたサイクルを繰り返すことにより達成される。PCRの緩衝条件、使用可能なDNAポリメラーゼ、2本鎖DNAテンプレートの生成、プライマーの設計、アニーリング温度の選択、および古典的PCRの変更形態に関して、当業者は多数の文献を自由に使える。
また、例えばmRNAなどの1本鎖RNAがテンプレートとして使用されることができることも、当業者によく知られている。通常、これは逆転写を用いて2本鎖cDNAに予め転写されている。
好ましい実施形態において、熱安定DNA依存ポリメラーゼがポリメラーゼとして使用される。特に好ましい実施形態において、Taq−DNAポリメラーゼ(エペンドルフ社(Eppendorf)[ドイツ、ハンブルグ(Hamburg)所在]およびキアゲン社(Qiagen)[ドイツ、ヒルデン(Hilden)所在])、Pfu−DNAポリメラーゼ(ストラータジーン社(Stratagene)[米国、ラ・ホーヤ(La Jolla)所在])、Tth−DNAポリメラーゼ(バイオジム・エピセンター・テクノル社(Biozym Epicenter Technol.)[米国、マディソン(Madison)所在])、Vent−DNAポリメラーゼ、DeepVent−DNAポリメラーゼ(ニューイングランド・バイオラブズ社(New England Biolabs)[米国、ビバリー(Beverly)所在])、Expand−DNAポリメラーゼ(ローチ社(Roche)[ドイツ、マンハイム(Mannheim)所在])からなる群から選択された熱安定DNA依存DNAポリメラーゼが使用される。
特定の変更または進化的変更により自然発生的ポリメラーゼから最適化されたポリメラーゼの使用も好ましい。物質ライブラリ担体の存在下でPCRが行われる場合、エッペンドルフ社(Eppendorf)[ドイツ所在]によるTaqポリメラーゼまたはクロンテック社(Clontech)[米国カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto)所在]によるAdvantage cDNA Polymerase Mixの使用が特に好ましい。
本発明の他の態様では、上記のように、本発明に係る方法を用いて核酸の増幅を行い、且つ核酸の定性的および定量的検出を行うための装置が提供される。
本発明のこの態様において、装置は、温度制御および/または調整ユニットを備え、反応室は室担体とマイクロアレイとの間に形成され、マイクロアレイは核酸プローブがアレイ要素上に固定化された基板を備え、反応室内の温度は、温度制御および調整ユニットを用いて制御および/または調整されることができる。各核酸間のハイブリッド形成を検出することができ、基板上に固定化された核酸プローブを、基板上で固定化された核酸とハイブリッドを形成しない分子を反応室から除去することなく、装置を用いて検出することができるような装置が開発される。
反応室内にはチップまたはマイクロアレイが配置され、チップまたはマイクロアレイは検出領域を有する担体を備え、物質ライブラリはその上に固定化され、このチップまたはマイクロアレイにより、反応室内に非常に高いプローブ密度が提供され得ることが保証される。
この態様において、本発明に係る装置の反応室は、好ましくは毛細管ギャップの形態で開発される。毛細管ギャップの厚さは、好ましくは10μmから200μmの範囲内、特に好ましくは25μmから150μmの範囲内、最も好ましくは50μmから100μmの範囲内である。特別な実施形態において、毛細管ギャップの厚さは、60μm、70μm、80μm、または90μmである。
本発明に係る装置の代替実施形態において、反応空間または反応室の厚さは、例えば0.7mmから2.5mm、好ましくは1.0mmから2.0mm、特に好ましくは0.8mmから1.8mmである。特別な実施形態において、反応空間の厚さは1.1mmである。
温度制御および/または調整ユニットを用いた熱電制御および/または調整により、反応室内で調べられる試料の処理時と、ハイブリッド形成事象の検出時との両方で定義された温度を設定することができる。したがって、検出反応の制御および最適化が改善される。さらに、温度制御および/または調整ユニットによって定義された温度の設定により、複雑な反応、例えばPCRを使用した増幅反応を行うことができる。
概して、本発明に係る装置により、ほとんど同時であり、時間効率的であり、且つ低い過失責任とともにマイクロチップを用いた核酸の特徴付けを示す処理および/または調整反応を実行することができる。ここで、本発明に従って、処理および/または調整反応は、マイクロチップを用いた実験により反応生成物が特徴付けられることができる反応を示すものと理解される。
閉じた反応室内の分子間相互作用を検出する本発明に係る装置は、好ましくは4つの主要な機能要素からなる(図1を参照)。反応室の機械的、電気的、および流体的記録は記録モジュール(1)で実行される。以下において、反応室はマイクロリアクタとも呼ばれる。反応結果を検出するために、光学系(2)が備えられる。反応結果から分析結果への処理はコントローラ(3)で実行され得る。任意で、分析結果が記憶され、および/または適当な接続要素(4)により処理される。
好都合な形態で本発明に係る装置の構成要素として使用され得る反応室は、国際特許出願公開第01/02094号パンフレットに詳しく記載されており、その内容は本願において明示的に参照される。
任意でバーコードを用いて識別され得る反応室が流体記録モジュール内に組み込まれ、1つまたは複数の反応液を充填されることができる。任意で反応室は更に電気接点を有し、それによって、例えば集積センサおよび/または加熱素子を用いて反応室内の反応の熱制御および/または調整が保証される。特に、このことは、例えば、対応して標識され、且つ物質ライブラリに結合されている標的分子における金属析出を用いて、DNAまたはRNAに対する熱の影響を受ける増幅反応、または信号の増強のための反応を行うのに有利である。
反応溶液および/またはすすぎ溶液のような増幅および検出反応の実行に任意で必要な溶液が、適当な接続要素、例えばチャネルを介して反応室に挿入されることができる。反応の過程を監視するために、適当なコントローラが使用されることができる。
本発明に係る装置は、生データまたは分析結果を外部コンピュータまたはコンピュータネットワークに転送し、任意で存在する電子インターフェイスを介して、例えば前記データを記憶することを更に保証する。
好ましくは、装置は、検出システム、特に光学系、特に好ましくは蛍光光学系を備える。
更に好ましい実施形態において、蛍光光学系は、反応室の容積全体を撮像するシステムである。共焦点蛍光システムまたは消衰場励起を用いて検出を行うシステム(例えばBiosensors and Bioelectronics、18(2003年)489〜497ページを参照)と比較して、このようなシステムは操作が簡単で、且つコスト効率が高いという利点を有する。
反応室の容積全体を撮像する蛍光光学系の実施例として、例えば白色光源、LED、有機LED(OLED)などを用いて、例えば、CCD、CMOS、JFIT、または走査型PMT、さらには波長選択平面または点走査照明に基づく結像検出システムを備える落射蛍光技術設備が挙げられる。
それに加えて、焦点選択検出方法はまた、例えば全反射または導波管の使用に基づく試料基板内の励起光(TIRF)の消衰減結合に基づく方法を基にした深さ選択照明の使用に基づく、例えば共焦点手法または方法のような本発明に係る方法で使用されることができる。このような焦点選択方法は、特に感度を上げるために、液体中に存在する蛍光分子により引き起こされたバックグラウンド信号をさらに除外する場合、即ちハイブリッド形成しない場合に好ましい。
したがって、非常に狭い反応空間または反応室を、特に毛細管ギャップの形態で使用する場合、平面上で蛍光信号を測定することについて説明されている撮像蛍光検出のための全ての従来の装置および/または方法を使用することができる。
本発明に係る装置の他の好ましい実施形態において、核酸の増幅および検出装置は、光学系、好ましくは蛍光光学系、または検出領域の透過特性の変更の時間依存挙動が検出可能なように開発された光学系を備える。
本発明のこの態様において、本発明に係る装置は、分子間相互作用の検出が集積光学系またはリーダーシステムにより手動操作でも可能であることを特徴とする。これは、特に、医療診断などの分野で好都合である。この実施形態において、物質ライブラリに結合された核酸の相対的定量的量を正確に判定することは、本発明に係る装置が集積光学系を備え、それにより検出領域上の析出形成の時間依存挙動が検出可能であるという事実により確実なものになる。
この光学系は、例えば2次元の電気的読出可能検出要素の形で実装されている適当な検出器上での増幅および/または検出反応の実行中または完了後の物質ライブラリの撮像を保証する。本発明に係る装置の一実施形態において、試料は、照明モジュールまたは光学系の光源を用いて照射され、出現する信号は、使用される標識に応じてフィルタ処理されて撮像される。
さらに、この光学系は、反応結果の動的な、即ちダイナミックな記録を保証する。特に、本発明に係る装置の光学系は、金標識付き標的分子と物質ライブラリとの間のハイブリッド形成信号を増強するため銀析出の時間依存挙動を記録するのに適している。本発明に係る装置の高集積装備は、反応の過程において複数の画像を転送し、適当なデータ処理モジュールまたはコントローラ内で処理することが可能である。
各アレイ要素上の析出形成の時間依存挙動から生じる変化は、特に国際特許出願公開第02/02810号パンフレットに詳しく記載されているように、本発明に係る装置で評価され得る。国際特許出願公開第02/02810号パンフレットの各内容も明確に参照される。
チップの検出領域上の析出形成の時間依存挙動を検出可能な光学系は、好ましくは2次元読取可能検出器を備える。好ましくは、検出器はカメラ、特にCCDまたはCMOSカメラまたは類似のカメラである。電気的画像変換器、例えばCCDまたはCMOSチップなどを備えるカメラを使用することにより、高い局所分解能を実現可能である。
本発明に係る装置の光学系で使用されるカメラは、照度が撮像される領域上に均一に分散され、且つ検出される信号が、利用可能な動力学の範囲内で適用される検出技術を用いて反射、伝送変調、分散、偏光変調などにより撮像可能であることを保証する。このような照明方法は、例えば国際特許出願公開第00/72018号パンフレットに記載されており、市販されている(例えば、暗視野照明についてはビジョン&コントロールGmbH社(Vision & Control GmbH )[ドイツ、ズール(Suhl)所在]およびLED円偏光についてはエドムント インダストリオプティクGmbH社(Edmund Industrieoptik GmbH)[ドイツ、カルルスルーエ(Karlsruhe))。
検出する領域の高い局所分解能は、例えば独国特許出願公開第19914279号明細書で蛍光使用について説明されているように、例えばミラーアレイまたはLCD素子などの検出器上で撮像し、検出するパターンまたは定義される領域に応じて調整することでも達成可能である。反射または伝送変調の測定におけるそのような検出器の利点は、熱、電気、ならびに流体制御および/または調整の統合、光信号の処理の可能性、および関連するコンピュータ技術について要求される技術程度が低いことである。
通常、検出器はプローブアレイの領域全体を記録する。
また、走査型検出器は、チップの読み出しにも使用されることができる。走査型点光源および/または走査型検出器の使用において、本発明に係る装置は、光の方向設定用の可動光学構成要素および/または反応室の取り付け用の可動機械構成要素を備え、これにより、走査される個々の位置、即ち各測定点に対する各構成要素の方向決めが保証される。この実施形態において、画像記録は、各測定点からの画像の計算による再構成を使って実行される。特に、この実施形態のカメラは可動ラインカメラである。
さらに、光学系は、好ましくは光源、特に好ましくはマルチスペクトルまたはコヒーレント光源を備える。本発明の範囲内における光源の実施例として、レーザ、発光ダイオード(LED)、および/または高圧ランプが挙げられる。光学系の光源は、好ましくは担体の均一照明を保証する。
点光源に加えて、照明アレイの形態の光源もまた、本発明に係る装置において使用されることができる。この実装において、担体の均一な照明は、例えばオーバーレイの結果均一な照明が得られる複数の散乱放射光源からなる光源により実現可能である。したがって、例えばマトリクスの形態で配向され、且つ広く分散されているLEDにより、試料からの短い距離で照明を均一なものにすることができる。
上記のように、本発明に係る装置は、検出領域を光源により1段ずつ走査可能であるように実装されることができる。検出領域を横切る光線のラスタのような方向または走査方向が望ましい場合、本発明に係る装置の以下の実施形態が考えられる。
例えば、検出領域および/または反応室は可動方式で実装さえることができ、静止光源を横切る方向に移動可能である。光源がレーザの場合、レーザは不作動位置にある。さらに、検出領域は不作動位置に配置されることができ、可動レーザビームは、検出領域を横切ることができる。最後に、光源が一方の軸内で移動し、検出領域が他方の軸内で移動することもできる。
本発明に係る装置の他の有利な実施形態において、装置は、さらにレンズ、鏡、および/またはフィルタを備える。一方でフィルタを使用することにより均一な照明のスペクトル制限が可能であり、他方で異なる波長による試料の照明が可能である。他の変更形態において、本発明に係る装置はフィルタチェンジャを備える。前記フィルタチェンジャを使用することにより、光学フィルタを素早く交換され、したがって場合によっては、例えば不純物により生じる不正な情報が、明確に認識されて排除されることができる。
上記のように、検出領域が、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも60%、最も好ましくは少なくとも70%の照度均一さで均一に照射されることができるような光学系が好ましくは開発される。
本発明に係る装置の他の好ましい実施形態において、検出領域の透過特性の変更の時間依存挙動が検出可能であるような光学系が開発される。これは、例えば、反応室内の反対側に配置されている光源および検出器により保証され、反応室は、少なくとも光源から検出器に至る光学経路の領域内で光学的透明である検出領域の担体を含む。
他の実施形態において、光学系は、検出領域の反射特性の変更の時間依存挙動が検出可能であるように配置される。反射率を測定するための好ましい実施形態において、表面鏡は担体要素の下側に追加される。この実施形態において、試料の反射がよくないという欠点は透過効果により埋め合わされ、照明光は、独立した鏡の形態、または試料担体の後側に塗布された層の形態で、試料の背後の鏡層を介して反射する。
ここで、例えば平面型放射体は担体要素の反対側に配置されることができ、したがって、例えばCCDカメラのセンサに向けて配置されることができる。この方法では非常にコンパクトな配置が可能になる。さらに他の好ましい実施形態において、特に担体要素の反射率が測定される場合、装置は、さらに光源と担体要素との間に半透明鏡を備える。この実施形態において、光源の光は半透明鏡を通じて試料に到達し、像は、半透明鏡を通じて、且つ任意で光学読出システムを通じて反射してカメラ上で撮像される。
本発明に係る装置の特に好ましい実施形態において、光学系は、検出領域の分散特性の変更の時間依存挙動が検出可能であるように配置される。ここで、光源および検出器は、好ましくは検出される領域の同じ側に配置される。この実施形態において、光学系は、例えば好ましくは45°未満、特に好ましくは30°未満の特定の角度で試料および/またはチップが照射されるように配置される。照明角度は、局所分散中心がない、即ち検出領域上の析出形成前の入射した照射光が光学検出経路内に直接反射して入らず、したがって信号が検出不能であるように選択される。例えば析出の形成により局所分散中心が検出領域上に生じる場合、照射光の一部は光学検出経路に到達し、したがって、本発明に係る装置の光学系内に測定可能な信号が得られる。
特に好ましくは、反応室担体または物質ライブラリ担体は、検出領域の少なくともその領域内で、この実施形態において光学的に透明でない。好適な光学的に透明でない材料として、例えばシリコン、セラミック材料、または金属が挙げられる。光学的に透明でない反応室担体の使用により、担体材料の有利な物理的特性に起因して、反応室のより容易な、より正確な、且つより均一な温度制御が可能になり、PCRのように温度の影響を受ける反応の実行が成功することが保証される。
本発明に係る装置の更に好ましい実施形態において、光源の光励起経路は、平行光の領域が存在し、したがって干渉フィルタをその透過窓を動かさずに光学系内に挿入可能であるように設計される。
本発明に係る装置の更に好ましい実施形態において、光検出経路は、平行光の領域が存在し、したがって、干渉フィルタがその透過窓を動かさずに光学系内に挿入可能であるように設計される。
非平行光学経路において、干渉フィルタは、そのスペクトル選択性を強く変更する。この光学系が、平行光の領域が存在に起因して、スペクトル選択性を変えることなく本発明に係る装置内に干渉フィルタを挿入または配置することができる場合、本発明に係る装置はまた、蛍光色素で標識された物質の分子間相互作用の検出に適している。したがって、普遍的特性のCCDベースの反応および検出装置が実装されることができる。
蛍光標識の検出にも適している本発明に係る装置のこの実施形態において、例えばハロゲン照明、キセノン、白色光LEDなどの白色またはマルチスペクトル光を有する光学系は、例えば、光学的照明および検出経路内に2つのフィルタを備えるか、または例えばLEDもしくはレーザなどの単色光源を使用することにより、例えば光学的検出経路内に1つのフィルタを有することができる。
例えば、本発明のこの態様に係る装置は、検出領域を有するチップを含む反応室の室本体が室担体に密閉する形で貼り付けられ、室担体と検出領域またはむしろチップの基板との間に毛細管ギャップを有する試料空間が形成され、その温度が調整可能であり、且つその体積流量率が制御可能であるように実装されることができる。この種の構造により、特定の温度範囲内でのみ効率よく実行される反応の実行、およびマイクロチップを用いた実験による反応生成物の好ましくは同時検出が可能である。
したがって、本発明に係る装置は、例えばPCRを用いて核酸分子を増幅し、且つマイクロチップを用いた実験によりPCR生成物をほぼ同時に検出するために使用され得る。このような反応に対する試料液は、温度調整のための対応する手段により効率よく加熱または冷却されることができる。
本発明に係る装置はまた、逆転写酵素反応を実行し、それによってmRNAをcDNAに転写し、そのチップとのハイブリッド形成により反応生成物を特徴付けるために使用されることもできる。この方法では、いわゆる「遺伝子プロファイリング」を実行することができる。逆転写酵素およびハイブリッド形成の両方が室内で実行されることから、この方法は時間効率が高く、且つ低い過失責任を示す。
本発明に係る装置では、例えば所望の温度での制限酵素消化が更に反応室内で実行され、反応生成物をチップとのハイブリッド形成を用いて特徴付けることができる。酵素の変性は熱非活性化を用いて実行され得る。そのため、本発明に係る装置は、時間効率のよい制限酵素断片長多型マッピング(RFLPマッピング)が可能である。
さらに、本発明に係る装置では、例えばライゲーションも実行可能である。
本発明に係る装置では、核酸標的/核酸プローブ複合体の温度依存溶融挙動も更に調査可能である。
さらに、本発明に係る装置は、タンパク質の温度依存結合挙動を実行するために使用されることができる。この方法において、例えば長時間加熱した後も抗体がまだ各抗原と結合することが可能であるかを検査することができる。この場合、チップは核酸分子により官能化されないが、各タンパク質またはペプチドにより官能化されることが前提条件である。
反応室の室本体は、好ましくはガラス、合成材料および/または高品位の鋼鉄、アルミニウム、および真鍮などの金属から形成される。その製造に関しては、例えば射出成形に適した剛性材料が使用されることができる。特に、マイクロロン(macrolon)、ナイロン、PMMA、およびテフロンなどの剛性材料が考えられる。また、物質ライブラリ担体と室担体との間の反応空間は、例えば注射器を用いて反応空間を満たす隔壁を用いて閉鎖されることができる。好ましい実施形態において、室本体は、ガラス、PMMA、ポリカーボネート、ポリスチレン、および/またはトパーズなどの光学的に透明な材料からなる。ここで、材料の選択は、装置の意図した使用に合わせて調整される。例えば、材料の選択時に装置が曝される温度が考慮されるべきである。例えば、装置がPCRの実行に使用される場合、例えば長時間にわたり95℃程度の温度でも安定している合成材料のみが使用されることができる。
室担体は、好ましくはガラス、合成材料、シリコン、金属、および/またはセラミック材料からなる。例えば、室担体は、酸化アルミニウムセラミック、ナイロン、および/またはテフロンからなる。
一実施形態において、室担体は、ガラスおよび/または光学的に透明な合成材料、例えばPMMA、ポリカーボネート、ポリスチレン、またはアクリルなどの透明材料からなる。
好ましくは、室担体および/または基板は、本発明に係る装置に組み込まれる温度上昇用の手段で接続され、次いで、好ましくは熱伝導率が高い材料で構成される。このような熱伝導性材料は、反応空間の領域全体にわたって均一な温度プロファイルを保証するという大きな利点を有し、したがって、例えばPCRなどの温度依存反応は、反応室全体において均一に、且つ高い収率で、また制御可能な形でおよび/または調整可能な形で高い精度により実行されることができる。
したがって、好ましい実施形態において、室担体および/または基板は、熱伝導率の高い、好ましくは15から500Wm−1−1の範囲、特に好ましくは50から300Wm−1−1の範囲、最も好ましくは100から200Wm−1−1の範囲の熱伝導率を有する材料からなり、それらの材料は通常、光学的に透明ではない。適当な熱伝導材料の実施例として、シリコン、酸化アルミニウムセラミックなどのセラミック材料、高品位の鋼鉄、アルミニウム、または真鍮などの金属が挙げられる。
特に好ましい実施形態において、基板は、例えばセラミック材料などの熱伝導率が高い材料からなる。この実施形態では、基板は温度上昇手段により接続され、それによって、反対側の室担体は、明確に熱伝導率を有さない材料、例えば、残りの室本体にも使用される材料などで形成されることができる。したがって、室担体および基板の両方が高価な材料で形成されている実施形態とは反対に、この実施形態では高価な構成要素が排除されている。
本発明に係る基板または装置の担体が実質的にセラミック材料からなる場合、酸化アルミニウムセラミックが好ましくは使用される。このような酸化アルミニウムセラミックの実施例として、京セラ(ドイツ、ノイス)(Kyocera(Neuss,Germany))のA−473、A−476、およびA−493が挙げられる。これらのセラミックは、各酸化アルミニウム含有量(A−473:93%、A−476:96%、およびA−493:99%)だけでなく、その表面の粗さも実質的に異なる。表面粗さが可能な限り低い酸化アルミニウムセラミックの使用が最も好ましい。
好ましくは、室担体および/または基板は、その逆側、即ち反応室から離れて面する側に、任意で小型化された温度センサおよび/または電極を備えるか、またはむしろ、この場所に加熱構造体を有し、試料液の焼き戻しとともに誘導電気浸透流を用いて試料液の混合を行うことができる。
温度センサは、例えばニッケル−クロム薄膜抵抗温度センサの形で実装され得る。
電極は、例えば金−チタン電極の形態、特に4極の形態で実装され得る。
温度上昇手段は、好ましくは、毛細管ギャップ内の液体の高速加熱および冷却が可能なように選択されることができる。ここで、高速加熱および冷却は、温度上昇手段により0.2K/sから30K/sの範囲、好ましくは0.3K/sから15K/sの範囲、特に好ましくは0.5K/sから12K/sの範囲、および最も好ましくは2K/sから10K/sの範囲の温度変化を媒介可能であることを表すものと理解される。好ましくは、5K/sから11K/sの温度変化も温度上昇手段により媒介されることができる。
例えば、ヒーターの形態の温度上昇手段もまた、例えばニッケル−クロム薄膜抵抗ヒーターの形態で実装されることができる。
温度センサ、温度上昇手段、ならびに電極の仕様および寸法の詳細については、国際特許出願公開第01/02094号パンフレットの内容を参照する。
チップ、厳密にいえば基板は、好ましくは、ボロフロートガラス、石英ガラス、単結晶CaF、サファイアディスク、トパーズ、PMMA、ポリカーボネート、および/またはポリスチレンからなる。材料の選択はまた、装置および/またはチップの意図した使用に合わせて調整される。例えば、チップがPCR生成物の特徴付けに使用される場合、95℃の温度に耐えられる材料のみが使用可能である。
好ましくは、チップは、核酸分子、特にDNAまたはRNA分子により官能化される。しかし、これらはまた、ペプチドおよび/またはタンパク質、例えば抗体、受容体分子、薬理活性ペプチド、および/またはホルモンなどにより官能化されることができる。
検出領域上の析出形成の時間依存挙動の検出が暗視野内で実行される場合、即ち検出領域の分散特性の変化が検出された場合、物質ライブラリ担体に好適な材料は、ガラス、特に好ましくはホウケイ酸ガラス、および例えばPMMA、ポリカーボネート、および/またはアクリルのような透明ポリマーなどの光学的に透明な材料であり、室担体に好適な材料は、ガラスおよび/または合成材料などの光学的に透明な材料、および特にシリコン、セラミック材料などの光学的に透明でない材料であり、反応室に好適な材料は、マクロロン、PMMA、ポリカーボネート、テフロンなどの合成材料、高品位の鋼鉄、アルミニウム、および/または真鍮などの金属、さらにはガラスである。本発明に係る装置の暗視野測定の実行において、室担体は、代替として光学的透明材料で構成されることができるが、物質ライブラリ担体は、光学的に透明でない材料からなる。
一実施形態において、本発明に係る装置はさらに、反応室に接続された少なくとも1つの流体容器、および任意で反応室への流体の装荷および除荷を制御するユニットを備える。本発明の範囲内において、流体は液体および気体を表すものと理解される。流体容器と反応室との接続は、例えば、国際特許出願公開第01/02094号パンフレットに記載されているように行われることができる。
他の実施形態において、本発明に係る装置は、光学系により記録される信号を処理するために光学系に接続されているユニットを備える。検出ユニットと処理ユニットとのこの結合により、反応結果の分析結果への変換が保証され、特に、本発明に係る装置を例えば医療診断における携帯型ユニットとして使用することができる。
好ましくは、装置は、さらに外部コンピュータ用のインターフェイスを備える。これにより、装置の外部で記憶するためにデータを転送することができる。
更に好ましい実施形態において、反応室は、データマトリックスを介して個別にマークされる。このため、本発明に係る装置の製造の際に、物質ライブラリ、検出反応の実行などに関する情報を含むデータレコードは、データベースに記憶される。したがって、このデータレコードは、特にアレイ上のプローブの配置に関する情報とともに、最も有益な方法で評価をどのように実施するかに関する情報をも含むことができる。データレコードまたはデータマトリクスは、さらに標的分子の増幅のために任意で実行されるPCRの温度−時間方式に関する情報も含むことができる。この方法で蓄積されたデータレコードは、好ましくはデータマトリクスの形態で担体に貼り付けられた番号を備える。データマトリクス内に登録されている番号を用いることにより、蓄積されたデータレコードは、次いで、物質ライブラリの読み出し時に任意でアクセスされることができる。最後に、データマトリクスは、流体容器を介して温度制御および/または調整ユニットおよび例えば反応室の装荷および除荷の制御などのその他のコントローラにより読み出され、したがって、増幅および検出反応の自動実行が保証され得る。
本発明の他の態様では、上述のような温度制御および/または調整ユニットとともに検出領域を有する担体を備える上述のような反応室も含む核酸の増幅および検出のための装置が提供され、そこでは、物質ライブラリが固定化され、温度制御および/または調整ユニットを用いて反応室内の温度を制御および/または調整することができる。
しかし、本発明のこの態様において、装置は、光学系の代わりに各アレイスポットで電気的接点を有する。これらの電気的接点は、例えば電極を介して接触可能である。例えば、物質ライブラリに結合された金標識付き標的の信号増強のためのアレイ要素上に金属析出を形成することに起因して、導体材料が、そのような結合が発生したそのアレイスポットのところでエピタキシーによって成長し、局所抵抗の変化が生じる。したがって、例えば伝導率、抵抗率、および透磁率などの特定の電気的パラメータの変調が、アレイスポットでの電気的接点を介して可能である。
好ましくは、本発明の他の態様において、本発明に係る装置の物質ライブラリ担体は、例えばバンプ、底部、および/またはスルーホールにより形成される3次元構造を有し、それにより、エピタキシーによって成長する導体材料の溶融の効果が、電気的接点での析出形成およびそれから生じる電気的パラメータの変更によりサポートされる。
光学的検出に基づく本発明に係る装置は、好ましくは、反応室内での溶液の交換用の流体ユニット、温度制御および/または調整ユニットとともに、動的測定に適している光学系を備える。装置関係について、上述のユニットは、任意で対応するインターフェイスの実装を用いて別に開発されることができる。
特に、マイクロアレイまたはチップ上に固定化された物質ライブラリは、抗体、受容タンパク質、または膜タンパク質ライブラリのようなタンパク質ライブラリ、受容体リガンドライブラリのようなペプチドライブラリ、薬理活性ペプチドのライブラリまたはペプチドホルモンのライブラリ、およびDNAまたはRNA分子ライブラリのような核酸ライブラリである。特に好ましいのは核酸ライブラリである。
上記のように、物質ライブラリは、特に好ましくは1cm当たり2から10,000個のアレイスポット密度、最も好ましくは1cm当たり50から5,000個のアレイスポット密度のマイクロアレイの形態で、好ましくは物質ライブラリ担体上、または検出領域上に固定化される。
さらに、本発明に係る装置の上述の実施形態の全てにおいて、分析される材料が予め増幅される必要はない。特に、本発明に係る装置または独国特許出願第10253966号明細書に記載されているような物質ライブラリ担体の存在下で、細菌、血液、または他の細胞から抽出された試料物質から、特定の区画がPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を用いて増幅され、且つ担体とハイブリッドを形成することができる。これは、実験費用の大幅削減を意味する。
したがって、本発明に係る装置は、PCRを用いて分析する標的分子の増幅と、標的分子および物質ライブラリ担体のハイブリッド形成を用いた検出との平行実行で使用に特に適している。
本発明の他の独立の態様において、分子プローブが所定の領域上に固定化される基板または担体を備えるマイクロアレイが提供され、基板または担体は、本質的にセラミック材料を備える。
本発明の範囲内において、担体要素、担体、物質ライブラリ担体、または基板は、プローブアレイが配置される固形物を表すものと理解される。
基板または検出領域上のアレイ配置で適切に配置された分子、または基板もしくは検出領域上のアレイ配置で適切に配置された物質ライブラリ、および担体または基板の全体も、マイクロアレイまたはプローブアレイとも呼ばれることが多い。
特に、本発明に係る基板上に固定化された物質ライブラリは、抗体、受容タンパク質、または膜タンパク質ライブラリのようなタンパク質ライブラリ、受容体リガンドライブラリのようなペプチドライブラリ、薬理活性ペプチドのライブラリまたはペプチドホルモンのライブラリ、およびDNAまたはRNA分子ライブラリのような核酸ライブラリである。特に好ましいのは核酸ライブラリである。
上記のように、物質ライブラリは、特に好ましくは1cm当たり2から10,000個のアレイスポットまたはアレイ要素の密度、最も好ましくは1cm当たり50から5,000個のアレイスポットまたはアレイ要素の密度のマイクロアレイの形態で、好ましくは物質ライブラリ担体上、または検出領域上に固定化される。
好ましくは、本質的にセラミック材料からなる基板は、そのような基板が高い熱伝導性を示し、したがって例えばPCRのような温度依存反応を実行する際に、物質ライブラリが配列される基板によって通常は片側に制限される反応空間の領域全体を均一な温度プロファイルが覆うことを保証するという重要な利点を有する。そのため、温度依存反応は、高い収率で、および/または高精度の調整を伴って実行されることができる。ここで、マイクロアレイの基板は、本発明に係る装置に関して既に記載されているように、好ましくは温度を上昇させるための手段と接続される。
したがって、本発明に係るマイクロアレイの基板は、好ましくは本質的に熱伝導率が高い、好ましくは15から500Wm−1−1の範囲、特に好ましくは50から300Wm−1−1の範囲、最も好ましくは100から200Wm−1−1の範囲の熱伝導率を有するセラミック材料からなる。
本発明の範囲内において、セラミック材料は、特にほとんど湿っている微粒子状の成形粘土を例えば1000から1,500℃の温度で焼きなまし、または焼成することにより製造されている材料である。
好ましくは、セラミック材料は1つの成分、即ち1種のセラミック材料を含む。しかし、代替実施形態において、例えば、ラミネートとして使用可能なセラミック材料のブレンドも考えられる。
好ましくは、基板は、本質的に1つまたは複数の酸化アルミニウムセラミックを含む。特に好ましい実施形態において、基板は少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99.5%の1つまたは複数の酸化アルミニウムセラミックを含む。このような酸化アルミニウムセラミックの実施例として、京セラ(ドイツ、ノイス)(Kyocera(Neuss,Germany))のA−473、A−476、およびA−493が挙げられる。
さらに好ましくは、基板の表面粗さは0.04μmから0.12μm、好ましくは0.06μmから0.1μm、特に好ましくは約0.08μmである。
さらに、マイクロアレイが取り付けられた装置の構成に応じて、同様に使用される検出方法に応じて、基板が光学的に透明であることが好ましい場合がある。
一方、基板の透明性は、材料に関係なくそれに応じた薄さを有する基板を用いて保証されることができる。
他方、ガラスセラミックのような光学的に透明な材料が使用されることができる。ガラスと結晶相との間の屈折率に関して示す差があまり大きくないガラスセラミックの使用が好ましい。光学的透明材料の一実施例としては、Ceran(登録商標)(ドイツ、ショット(Schott)所在)が挙げられる。リチウム−ケイ酸アルミニウムガラスセラミックも使用可能である。
更に好ましい実施形態において、分子プローブは、ポリマーリンカー、例えば修飾されたシラン層を介して基板表面上に固定化される。このようなポリマーリンカーは、基板表面の誘導体合成に、したがって分子プローブの固定化に使用されることができる。プローブの共有結合の場合、エポキシドまたはアルデヒドのような反応性官能基を使用して官能化され、および/または修飾されたポリマー、例えばシランが使用される。さらに、当業者はまた、イソチオシアン酸塩、スクシニミド、およびイミドエステルを用いた表面の活性化に精通している。このため、アミノ官能化表面は多くの場合、それに応じて誘導体化される。さらに、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドなどのカップリング試薬の添加は、分子プローブの対応する固定化を保証することができる。
特に、分子プローブは、抗体、タンパク質受容体、ペプチド、および核酸から選択される。
マイクロアレイの配置については、本発明に係る装置に関する上述の説明を参照する。
本発明の他の態様において、本質的にセラミック材料からなる基板の表面の所定の領域に分子プローブを固定化する工程を含む方法が、上記のように、本発明に係るマイクロアレイを製造するために提供される。
好ましくは、基板は、本質的に酸化アルミニウムセラミックからなる。
マイクロアレイを製造するための本発明に係る方法の更に好ましい実施形態において、基板表面はポリマーリンカーにより被覆され、分子プローブは、ポリマーリンカーを介して基板表面上に固定化される。特に好ましくは、ポリマーリンカーは修飾されたシラン層である。
本発明に係るマイクロアレイは、該マイクロアレイ上での標的分子と分子プローブとの間の分子間相互作用を用いて試料中の標的分子の定性的および/または定量的検出を行う任意の方法で使用されることができる。特に、本発明に係るアレイは、細胞の遺伝型および/または生理学的状態を調べるために使用される。
さらに、本発明に係るマイクロアレイは、特に本発明に係る上述の方法で、核酸を増幅および/または検出するために使用されることができる。
本発明の他の態様は、基板が本質的にセラミック材料を備え、分子プローブが所定の領域上に固定化されており、且つマイクロアレイを製造するための基板の使用に関する。本発明のこの態様において、セラミック材料は、本発明に係るマイクロアレイの説明の範囲内で上記のように実装されることができる。
当然のことながら、本発明の特定の態様について説明されている実施形態はまた、そこで明示的に参照されていないとしても、本発明の対応する他の態様の可能な代替である。
以下において、本発明の特に好ましい実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る装置の好ましい構成の概略を示す。検出領域上に配置された物質ライブラリ(5)を有する反応室(6)またはマイクロリアクタ(6)が装置内に適当に取り付けられている。反応室(6)は、温度処理ユニット(1.1)および流体処理ユニット(1.2)と電気的に、および流体的に接続されており、反応室(6)と流体処理ユニット(1.2)の容器との間の液体または気体の温度および/または交換の制御および/または調整を行うことができる。反応室(6)は、例えばバーコードリーダーなどの識別システム(2.5)を用いて、プロセスコントローラ(3)で定められた処理過程に割り当てられる。したがって、各パラメータを検定の処理のために処理ユニット(1.1)および(1.2)に転送することができる。検定固有の要件に応じて、流体処理および/または熱処理の最中またはその後に、プロセスコントローラ(3)を用いて光学系が活性化され、好ましくは動的な光学検出工程が実行されることができる。
図1に示される実施形態において、検出は、好ましくは少なくとも30%の強度分散均一さの光学照明システム(2.3)を用いて試料上で照射されることができ、且つ光学検出システム(2.2)を用いて例えばカメラなどの適当な検出器(2.1)上で撮像されることができる光源(2.4)を用いる透過光システム内の試料領域の透過特性の変化を検出することにより実行される。この方法で生成された画像は、検出システム内で、またはプロセスコントローラ(3)内で2値化され、後から分析されることもできる。また、生成された画像は、データインターフェイス(4)を介して外部コンピュータまたはコンピュータネットワークに転送されることもできる。
これらの構成要素はモジュール式構造であることから、異なる温度、流体方向、および検出パラメータを使って異なる検定を処理することができる。データインターフェイス(4)を介して外部データベースと接続することにより、新しい工程管理パラメータプロトコルを随時行うことができる。特に医療診断の分野における特定の検定が外部データ接続なしで実行される場合、インターフェイス(4)はユーザからアクセス不能であることが好ましく、それにより、必要な全ての工程管理プロトコルとともに必要な分析がプロセスコントローラ(3)内に実装される。
図2に示される本発明に係る装置の代替実施形態において、工程管理は外部コンピュータを介して実行されることができる。本発明に係る装置の個別の技術ユニットまたはモジュールへのデータの流れの分配は、インターフェイス(4)を介して行われることができる。この実施形態において、検出領域を下および上から対角線上で照射するために使用可能な任意で異なる照明システム(2.3)および(2.4)が更に示されている。したがって、この実施形態において、識別用検出器(2.5)、例えばデータマトリクスリーダーを用いて決定されるチップの種類に応じて、異なる検出方法が行われることができる。この実施形態において、例えば入射光内の暗視野で誘起され得る光透過特性の変化および分散特性の変化の時間依存挙動が検出されることができる。
本発明の他の実施形態において、本発明に係る装置は流体処理ユニットを有していない(図3を参照)。この実施形態は、処理中に特定の検定で液体を交換する必要がない場合、且つ反応室(6)を外部手動または自動充填ステーション内の本発明に係る装置内に挿入する前に反応空間の充填が実行可能である場合に有利である。
以下の実施例は本発明を説明する目的に使用されており、制限するものと解釈すべきではない。
以下の実施例では、本発明に係る装置を用いて行われる検出方法を本質的に取り扱う。熱パラメータの制御および液体の交換は、当業者に周知であり、且つ市販されているモジュールを用いて技術的に行われ得る。技術的手段において、特にTTLレベルなどの小電流接続を用いるとともに、記載されている転送プロトコルを用いて行われ得る特に活性化およびデータ転送が本願で特に注目されている。
実施例1:反応速度論的に進行する信号増強反応の光学検出
この実施例の以下の変更において、反応速度論的に進行する信号増強反応の光学検出は、特に透過、反射、分散、回折、および干渉の特定の光学パラメータの変調を記録することにより実行される。
例えば、固体表面または合成試料分子上に固定化された試料分子との特異的ハイブリッド形成後に金粒子により標識された標的分子での銀析出反応時の銀の蓄積はエピタキシャル層を成長させ、これにより、システム全体の光学特性が著しく変化する。金標識された標的分子の信号増強は、例えば国際特許出願公開第02/02810号パンフレットに詳しく記載されており、その内容は本願において明示的に参照される。
a)透過
透過特性の変化の検出は、図1に示されているように透過光配置で実行される。ここで、光源(2.4)は、白色光源、例えばハロゲンランプ、白色LED、または狭帯域光源、例えばLED、レーザーダイオード、有機LEDとして実装される。レンズ、鏡、およびフィルタからなる光学系(2.3)は、検出される基板領域の一様な照射が少なくとも70%の照度均一さで実行されるように実装される。
基板領域は、レンズ、鏡、およびフィルタからなる他の光学系(2.2)を用いて検出器上に結像される。検出器は、2次元CCD、CMOSカメラまたは可動ラインカメラであることができる。
透過特性の変化は系列の形態で記録され、透過率の減少を表す曲線が異なる位置で比較される。各アレイスポットでの透過率の変化の増大に応じて、国際特許出願公開第02/02810号パンフレットに記載されているように、標的濃度の定量的測定が可能である。
反応室は、検出に使用される波長のために透明な基板で形成される。例えば、可視波長範囲の使用の場合には反応室がガラスで形成され、赤外線範囲内の光の使用の場合にはシリコンで形成される。
b)反射
この実施例において、反射特性の変化の検出は、図4に示されているように入射光配置で実行される。ここで、光学系(2.3)は、検出される基板表面の一様な照射が少なくとも70%の照度均一さで保証されるように実装される。基板表面は、光学系(2.2)を用いて検出器で結像される。検出器は、2次元CCD、CMOSカメラまたは可動ラインカメラである。
反射特性の変化は系列の形態で記録され、反射の増大を表す曲線は、各アレイスポットでの反射変化の増大に応じて異なる位置で比較され、国際特許出願公開第02/02810号パンフレットに記載されているように、標的濃度の定量的測定が可能である。局所反射率は標的分子での銀粒子の濃縮の場合に増大することから、計算は透過率の変化の検出の計算と逆に実行される。
反応室は、検出に使用される波長のために透明な基板で形成される。例えば、可視波長範囲の光の使用の場合には反応室がガラスで形成され、赤外線範囲内の光の使用の場合にはシリコンで形成される。
c)分散
この実施例において、分散特性の変化の検出は、図5に示されているように暗視野配置で実行される。レンズ、鏡、およびフィルタからなる光学系(2.3)は、検出される基板表面の一様な照射が少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%の照度均一さで実行されるように実装される。基板領域は、光学系(2.2)を用いて検出器上に結像される。検出器は、2次元カメラ(例えばCCD、CMOS)または可動ラインカメラであることができる。
分散特性の変化は系列の形態で記録され、分散の増大を表す曲線が異なる位置で比較される。各アレイ・スポットでの反射率の変化の増大に応じて、国際特許出願公開第02/02810号パンフレットに記載されているように、標的濃度の定量的測定が可能である。局所分散中心の個数、即ち分散は標的分子での銀粒子の濃縮の場合に増大することから、計算は透過率の変化の検出の計算と逆に実行される。
相応して分類される試料領域の増大を評価する際、ハイブリッド形成された標的分子の正確な定性的および定量的検出は、好ましくは反応室内の均一な温度分布で実行される。
図6は、DNAベースの物質ライブラリ上で特異的に金標識された標的分子のハイブリッド形成後の銀エピタキシ反応の検出のための典型的な画像系列を示す。
反応室は、検出に使用される波長のために透明な基板で形成される。例えば、可視波長範囲の光の使用の場合には反応室がガラスで形成され、赤外線範囲内の光の使用の場合にはシリコンで形成される。
実施例2:反応速度論的に進行する信号増強反応の電気的検出
この実施例の以下の変更において、反応速度論的に進行する信号増強反応の電気的検出は、特に伝導率、抵抗の変化、および透磁率の特定の電気的パラメータの変調を記録することにより実行される。
例えば、固体表面または合成試料分子上に固定化された試料分子との特異的ハイブリッド形成後に金粒子により標識された標的分子での銀析出反応時の銀の蓄積はエピタキシャル層を成長させ、これにより、システム全体の光学特性が著しく変化する。金標識された標的分子の信号増強は、例えば国際特許出願公開第02/02810号パンフレットに詳しく記載されており、その内容は本願において明示的に参照される。
本発明のこの実施例で記載されている装置において、個々のアレイスポットは電気的に接触され、そこで発生する信号は、並列に配置された測定装置へ消散される。
各アレイスポットでの抵抗の変化を測定するために、図7に示されているように、電極を介してアレイスポットが電気的に接触されている。局所抵抗の変化は、エピタキシャル成長導体、例えば銀などとの融合によって測定される。検出領域上の3次元構造、例えばバンプ、底部、およびスルーホールは、融合作用とそこから生じる抵抗の変化とを支える。
図8は、1つの特定の3次元アレイスポットで前記抵抗の変化を測定するための配置の概略を示す。
実施例3:狭い反応室内での核酸の増幅および検出
溶液中の信号を表面上または表面内の信号と比較して低く保持することが可能な方法の1つは、特に狭い反応室を使用することである。プローブおよび標的の特異的な結合により引き起こされるアレイ表面上の標的分子の濃縮は、反応室がそれ相応に狭い設計であれば、容積全体を照射する、および/または撮像する従来の蛍光光学系を用いてもプローブアレイ上で信号を撮像することを容易にする。
図11は、層の厚さおよび/または室の厚さと、スポットの真上の上澄み中に置かれている蛍光マーカーで標識された分子の数との相関関係を示す。
8ビットの分解能を有する検出器、例えば落射蛍光顕微鏡(ドイツ、イエナ、ツアイス(Zeiss,Jena))を使用すると、本発明の範囲内で使用されるマイクロアレイが以下の表に示されているような信号発生特性を示すことが分かっている。
Figure 0004917883
飽和表面の場合、標準サイズのスポットまたはアレイ要素上に存在する結合分子の個数は、1つの分子に必要な10nmの空間に対応する約109個と仮定される。
蛍光標識された標的(Cy3)を含む溶液を、厚さが100μmの反応室および適当なプローブアレイを有する本発明に係る装置に満たした。標的濃度は10nMであり、0.1%のSDSを含む2×SSPEを適当な緩衝として使用した。30℃で5分間のインキュベート後、蛍光像を記録した。ここで、落射蛍光顕微鏡(ドイツ、イエナ、ツアイス(Zeiss,Jena))、即ちPCO−CCDカメラを備え、蛍光励起用の水銀灯が有するAxioscopeを使用した。温度を、5℃から95℃まで1段ずつ連続して上昇させた。1段上げる毎に、5分間のインキュベート期間を置いて画像を記録した。ソフトウェアIconoclust(登録商標)(クロンディアグ(Clondiag))を用いて画像データを評価した。
温度依存効果を引いた後のデータが図12に例示されている。図12は、異なるプローブのそれぞれに対する1つの特性溶融曲線を示す。さらに、温度依存性の2本鎖解離の特異的な工程および各配列が明らかになる。
実施例4:ハイブリッド形成事象の循環検出を用いた増幅反応時の核酸の検出
本発明に係る装置における増幅は、好ましくはPCRなどの指数関数的増幅手法を用いて実行されることから、試料に含まれる標的の量を定量化してプローブアレイ上の信号増大の連続検出を容易にする必要がある。
実施例3に記載されているのと同じ分析を実行した。
2つの異なる希釈液内の大腸菌からのゲノムDNAを、増幅される標的材料として使用した。特定数のサイクル数後、実施例3に記載されている方法で画像を記録した。ソフトウェアIconoclust(登録商標)(イエナ、クロンディアグ(Clondiag))を用いてこれらの画像を分析した。
これらの結果を図10に示す。使用された2つの異なる希釈液中の増幅の時間的遅延が全く明らかである。同様に、一致および不一致の信号の差も全く明らかである。
実施例5:セラミック表面上の有機分子の酵素的析出法を用いたハイブリッド形成および該ハイブリッド形成後の検出
血栓症の発生に対する危険要因として識別されたヒトゲノムの少なくとも6個の遺伝子の突然変異については、文献中に記載されている。
オーガム ディアグノスティックス社(Ogham Diagnostics)[ドイツ、ミュンスター(Munster)所在]は、ヒトDNA内の血栓症関係の突然変異を検出するための診断分析を開発した。この検定に使用されるオリゴヌクレオチドプローブモデルシステムを用いて、ハイブリッド形成の主な検出を行うとともに、セラミック表面上の有機着色剤の酵素的析出を用いてその後の検出を行った。
a)プローブアレイの準備
この実施例において、アレイの準備とハイブリッド形成とに使用されたオリゴヌクレオチドは全て、親切にもオーガム ディアグノスティックス社(Ogham Diagnostics)[ドイツ、ミュンスター(Munster)所在]によって提供された。
25個のオリゴヌクレオチド(プローブ)を、定められた位置、いわゆるアレイ要素に配置し、MicroGrid−II−arrayer(バイオロボティックス社(BioRobotics))を用いて、75mm×25mmの物体支持サイズを有するエポキシド化されたセラミック表面(A−493、KYOCERAファインセラミックスGmbH(KYOCERA Fineceramics GmbH)[ドイツ、ノイス(Neuss)所在])上に共有結合で固定化した。プローブを対に分け、いずれの場合も、第1のプローブは野生型を表し、第2のプローブは突然変異を表す。さらに、このアレイはマーク(mark)およびコントロールプローブを備えていた。
物質担体の表面上の1つの特定の完全な(長方形)プローブアレイは、全体で10×10=100の配置済みプローブおよび12個のマークからなっていた。ここで、25個の各オリゴヌクレオチドプローブを、4回繰り返してプローブアレイ上に配置した。このアレイ配置を図13に示す。プローブは0.18mmの距離のところにあり、プローブアレイ全体が2.16mm×1.8mmの面積を覆っていた。
いずれの場合も、プローブを、0.1Mのリン酸緩衝液/2.2%の硫酸ナトリウムの10μMのオリゴヌクレオチド溶液からの物質担体上に配置した。その後、30分間60℃の温度で焼くことにより、セラミック表面上でプローブをエポキシド基と共有結合させた。次いで、マルチセクション洗浄工程を以下の順序で行った。
・ 600mlのHO バイデスト(bidest)+600μlのトライトン(Triton)×100で5分間
・ 600mlのHO バイデスト+60μlのHCL(konz.)で2×2分間
・ 100mMのKCl溶液中で30分間
・ HO bidest中で1分間のすすぎ
・ 圧縮空気を用いた乾燥
b)ArrayTube(登録商標)(クロンディアグ(Clondiag))によるプローブアレイのハイブリッド形成および接合
6個の異なるオリゴヌクレオチドの混合の形態で、オーガム社(Ogham)によってハイブリッド形成用に提供されたオリゴヌクレオチドを、6×SSPE緩衝液(NaOHでpH7.4に調整された1l HO バイデスト中52.59g NaCl、8.28g NaHPO×HO、2.22g EDTA×2HO)/0,005%のトライトン中で、最終濃度100pMおよび最終容積50μlに溶解させた。
プローブアレイをHybri−slip(Z36.590−4、ドイツ、タウフキルヒエン、シグマ(Sigma,Taufkirchen)所在)で被覆し、約20μlの容積を有する反応空間を前記プローブアレイ上に形成した。
ハイブリッド形成溶液の変性(5分間、95℃)後、その溶液をプローブアレイ上の反応空間内に満たし、その後、軽く揺すりながらプローブアレイを60分間、50℃でインキュベートした。
次いで、セラミック表面からHybri−slipを撤去した。その後、2×SSC/0.01%トライトンおよび2×SSCの室温で5分間の2回の洗浄工程を行った。次いで、200μlの調合された阻害溶液(6×SSPE/0,005%トライトン中の粉乳、オーガム社(Ogham、ドイツ、ミュンスター(Munster)))をプローブアレイに接触させ、プローブアレイをガラスカバーで覆った後に室温で10分間インキュベートした。その後、ガラスカバーを取り外し、500μlの調合された接合溶液(ストレプタビジン−ポリHRP、N200、Pierce、希釈は6×SSPE/0,005% Tritonで1:10,000)で阻害溶液をすすいだ。再び、200μlの接合溶液をプローブアレイに接触させ、プローブアレイを再びガラスカバーで覆い、室温で15分間インキュベートした。この期間の後、ガラスカバーを取り外し、いずれの場合も軽く揺すりながらプローブアレイをSSC/0.01%Triton、2×SSCおよび0.2×SSCにおいて室温で5分間洗浄した後、空気を吹き付けて乾燥させた。
c)酵素的析出、検出、および評価
ハイブリッド形成を検出するため、100μlのHRP基質溶液(TrueBlue、71−00−64、KPL、米国ゲーサーズバーグ(Gaithersburg)所在、HRP=ホースラディシュペルオキシダーゼ)をプローブアレイに接触させ、プローブアレイをガラスカバーで覆いった後に室温で5分間インキュベートした。その後、ガラスカバーを慎重に取り外し、アレイをバイデストですすぎ、空気を吹き付けて乾燥させた。
検出は、顕微鏡(Axioskop2、ドイツ、イエナ、ツアイス(Zeiss,Jena)所在)を用いて透過光中で行った。着色されたアレイの写真を図14に示す。
記録された画像を、画像評価ソフトウェアIconoClust(登録商標)(クロンディアグ(Clondiag))を用いて評価した。バックグラウンドを調整した結果を図15に示す。使用された6個のオリゴヌクレオチドの全ての特異的なハイブリッド形成を正常に検出することができた。
核酸の増幅および検出を行うための本発明に係る処理および検出装置の概略図。 外部プロセスコントローラと、チップの個性に応じた可変選択可能検出システムとを有する核酸の増幅および検出を行うための本発明に係る処理および検出装置の概略図。 流体処理ユニットを有さない核酸の増幅および検出を行うための本発明に係る処理および検出装置の概略図。 本発明に係る装置の入射光配置。 本発明に係る装置の暗視野配置。 金標識された標的分子と、物質ライブラリの形態で検出領域上に固定化されたプローブ分子とのハイブリッド形成において、銀粒子のエピタキシャル成長を説明する画像系列の表示。 プローブ分子で覆われた1つの特定の平面アレイスポットでの銀析出の反応速度の電気的検出を用いて核酸の増幅および検出を行うための本発明に係る処理および検出装置の概略図。 プローブ分子で覆われ、且つスルーホールを有する1つの特定のアレイスポットでの銀析出の反応速度の電気的検出を用いて核酸の増幅および検出を行うための本発明に係る処理および検出装置の概略図。 試料中の検出される核酸の初期濃度が異なる標的の指数関数的増幅の処理。示されているのは、異なる初期濃度の増幅反応のサイクル数に対するハイブリッド形成された標的核酸の濃度の依存関係である。 指数関数的増幅の結果として、増幅サイクルの数および溶液中の標的核酸の初期濃度に依存する8ビット検出器を使用したハイブリッド形成信号の発生(実施例4を参照)。 室の厚さと、スポットの真上の上澄み中に置かれている蛍光マーカーで標識された分子の数との相関関係の表示。直線は、室の厚さを乗じて容積10,000μm(スポットまたはアレイ要素の面積に対応する)について計算された溶液中の標的分子の異なる濃度(pM単位)を示す。 温度および各系列に依存する異なるプローブおよび2本鎖解離の特定の過程に対する特性溶融曲線(実施例3を参照)。 実施例5で使用されるアレイ上のプローブの配置の概略図。ここで、1つのボックスは4つの冗長プローブを示す。 有機分子の酵素的析出を用いたハイブリッド形成および検出後のセラミック表面上のプローブアレイ(実施例5を参照)。このアレイの配置は図13に示されている。 有機分子の酵素的析出を用いた後の検出を有するセラミック表面上のプローブアレイに対するオリゴヌクレオチド混合物のハイブリッド形成の結果(実施例5を参照)。 本発明に係る装置、いわゆる分析プロセッサ内で定義された温度方向に関する本発明に係るセラミック基板の実施形態の表示。
セラミック基板および分析プロセッサは以下の仕様を有する。
寸法:12.0mm×12.4mm×0.635mm
支持材:セラミック担体
センサ/ヒーター構造:pt薄膜構造
不動態化:ガラス不動態化処理
接続:Ptペースト、スクリーン印刷
センサ:Pt100、Kl.A;TK=3850ppm/K
ヒーター:125Ω±8Ω
同様に、タイプPt1000、Pt10,000などのセンサが考えられる。
図16に示される分析プロセッサの概略図。 本発明に係る装置の好ましい実施形態の概略図。 本発明に係る装置の好ましい実施形態の概略図。 本発明に係る装置の好ましい実施形態の概略図。 本発明に係る装置の好ましい実施形態の概略図。 本発明に係る装置の好ましい実施形態の概略図。 本発明に係る装置の好ましい実施形態の概略図。 本発明に係る装置の好ましい実施形態の概略図。
符号の説明
1 カートリッジ
101 上部担体要素
102 下部担体要素
103 キャッチ/スライドを留める凹部
104 窓
105 冷却剤用媒体接続
106 スナップ式留め具
108 ドエルピン穴
403 加熱素子の接点
120 媒体接続側
109 反射防止構造
600 データマトリクス
117 冷却ダクト出口
118 カウンタベアリング
400 集積ヒーター/センサ基板を備えるグラウンド素子
401 集積ヒーター/センサ基板の担体
402 光学的に透明な凹部
403 ヒーター/センサ基板の接点
404 ヒーター/センサ基板の接点
300 密封、弾性、繰り返し穴開け可能な中間要素
301 反応室を定義する300内の閉鎖凹部
302 膨張バンド
304 調整ラグ
200 カバー要素
202 被覆担体要素
201 物質ライブラリまたはチップベアリング物質ライブラリ
500 コアアセンブリ、室、反応室または試料室
105 冷却ダクト
109 スナップ式留め具
110 スナップ式留め具
111 ヒーター/センサ基板の接点の凹部(403)
112 冷却剤入口
116 冷却剤出口
117 冷却剤入口
115 圧入
1000 コネクタ
1100 スライド
1103 案内用キャッチ
1001 ドエルピン穴
1002 取り付け穴
1206 電気ケーブル
1207 電源
1202 充填ホース
1210 半径方向棒
1211 ねじ山
1212 減衰
1204 冷却剤ホース
1205 冷却剤接続
1300 冷却ダクト
1201 中空針を突き刺す
2000 手動充填ステーション
2106 クイック−レリーズコネクタ
2401 使い捨て注射器
2404 中空針
2403 中空針を通気する
2402 中空針の先端
2403 中空針の先端
2100 手動充填ステーションの基本体
2200 手動充填ステーションのカバー
2101 凹型グリップ
2102 凹型グリップ

Claims (11)

  1. 試料中の核酸の増幅、定性的検出および定量的検出を行う方法であって、
    a)室担体とマイクロアレイとの間に形成された反応室内に該試料を配置する工程であって、該マイクロアレイは、核酸プローブがアレイ素子上に固定化された基板を備えることと、
    b)循環増幅反応を用いて該反応室内で検出される核酸を増幅する工程と、
    c)該検出される核酸が検出可能マーカーで標識され、該基板上に固定化された核酸プローブとハイブリッドを形成しない分子を該反応室から除去することなく、室担体とマイクロアレイとの間の500μm未満の距離で、該検出される核酸と該基板上に固定化された該核酸プローブとの間のハイブリッド形成を検出する工程とを備える方法。
  2. 前記反応室が前記室担体と前記マイクロアレイとの間の毛細管ギャップであり、毛細管ギャップの厚さが50μm〜100μmの範囲内である請求項1に記載の方法。
  3. 前記検出が、前記循環増幅反応の実行中および/または前記循環増幅反応の完了後に行われる請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記検出される核酸が、蛍光マーカーで標識される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記蛍光マーカーの検出が、前記反応室の全容積を撮像する蛍光光学系を用いて行われる請求項4に記載の方法。
  6. 前記試料中で検出される核酸の初期濃度が、検出される前記核酸と検出可能な前記基板上に固定化された核酸プローブとの間にハイブリッドを形成させるために必要な増幅サイクル数との相関関係を用いて決定される請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記試料が、周知の濃度の、前記マイクロアレイの核酸プローブとハイブリッドを形成する核酸を含む請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記検出される核酸の増幅がPCRを用いて行われる請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記基板がセラミック材料からなる請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記基板が、酸化アルミニウムセラミックからなる請求項9に記載の方法。
  11. 装置の使用方法であって、該装置が、
    a)温度制御および/または調整ユニットと、
    b)室担体とマイクロアレイとの間に形成される反応室とを備え、該マイクロアレイは、核酸プローブがアレイ素子上に固定化された基板を備え、反応室内の温度が、該温度制御および調整ユニットを用いて制御および/または調整されることができ、
    前記装置が、PCRの実行、および/またはマイクロアレイベースの検定を行うために、基板上に固定化された核酸プローブとハイブリッドを形成しない分子を反応室から除去することなく、室担体とマイクロアレイとの距離が200μm未満である状態で核酸の検出が行われるように構成される、装置の使用方法。
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