JP4914750B2 - 有害物質吸着体および有害物質吸着体の製造方法 - Google Patents

有害物質吸着体および有害物質吸着体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、タバコ、排ガスなどの人体有害物質を吸着する有害物質吸着体および有害物質吸着体の製造方法に関する。
人体に害を与える物質が存在し、その代表的な物質として環境ホルモンや発癌性の物質などがあげられる。特に、タバコには遺伝子を損傷するダイオキシンやベンゾピレンなどの発癌性物質が含まれており、その危険性は周知のことである。これら成分は極微量でも人体に悪影響を及ぼすため、フィルターで効果的に人体有害物質を吸着捕集することは重要な課題である。
従来、フィルターを構成する極細繊維のろ過機能と活性炭を利用した吸着機構とを有するダイオキシンの除去技術(特許文献1)がある。
近年では、二本鎖DNAの需要が増大しており、様々な技術が開発されている。例えば、二本鎖DNAを用いてダイオキシン類、発癌性物質等の有害物質を除去する技術として、DNAをアクリルアミドヒドロゲルに固定化した吸着体がある(特許文献2)。DNAは二重らせん構造をとっているため、塩基対間に平面構造を有した多環式環状化合物を挿入(インターカレーション)する。人体有害物質であるダイオキシン類は平面構造を有しているため、このインターカレーションにより、DNAの塩基対間に取り込まれ、人体有害物質を除去できる。
また、DNAを用いた繊維も開発されている(非特許文献1)。一般に、繊維への機能性成分の添加は、バインダーを用いた塗布若しくは繊維原料に練り込まれる方法が用いられる。
その他、天然物を用いた繊維として、デンプンを用いた極細繊維(特許文献3、特許文献4)や、ペプチドのナノファイバー(特許文献5)が提案されている。
特開2002−239347 特開2005−161104 特開2002−201556 特開2002−201531 特開2005−146462 Fang etal., J.Macromol. Sci.-Phys.,B36(2),169-173(1997)
しかしながら、特許文献1では、排水中のダイオキシンの除去を目的としているため、液体以外に存在する人体有害物質には適用されず、また特定の有害物質に限られてしまう。また、特許文献2においても、液体中の人体有害物質にのみ有効で、さらに接触面積が小さいためにカラムを要するので、汎用化が難しい。
非特許文献1には、DNAを用いた繊維が記載されているが、この繊維は人体有害物質を除去する目的のものではなく、DNAの含有量も低い。
特許文献3および特許文献4のデンプンを用いた極細繊維では、デンプン組成濃度、温度などで紡糸性が影響されており、DNA等のバイオマテリアルが容易に製造されるものではない。
特許文献5では、ペプチドのナノファイバーは、ペプチドの自己組織化作用による繊維状粒子であり、これもDNAを高配合した工業的繊維を得るに至っていない。
ところで、魚類の白子は一部飼料、肥料に用いられるほかはその殆どか廃棄処分されており、年間1万トン以上にもなるため、資源の有効活用が求められている。近年、健康志向の高まりから、機能性タンパク質は食品用途では広く用いられている。その中で、白子から抽出されるDNAについては、生体適合材料として医療、医薬素材に、担持・吸着性を利用した健康フィルター、電子部品などとしても活用が期待されている。しかしながら、このバイオマテリアルを成形材料として特に長繊維集合体として再構成することは、殆ど工業的確立に至っておらず、地球環境の面からも活用の拡大が求められている。
本発明の目的は、人体有害物質を良好に吸着できるとともに容易に製造できる有害物質吸着体および有害物質吸着体の製造方法を提供することである。
本発明の有害物質吸着体は、二本鎖DNAを含有する溶液から紡糸され前記二本鎖DNAを1%以上かつ60%以下含有する繊維を集合させてなり、有害物質を吸着する有害物質吸着体であって、前記有害物質は、前記二本鎖DNAの塩基対間に挿入される平面構造を有した多環式環状化合物であることを特徴とする。
本発明では、人体有害物質がDNAの2重らせん構造の間にある塩基対間にインターカレーションする性質を利用して、人体有害物質を吸着捕集する。
この発明によれば、二本鎖DNAを含有する溶液から紡糸された繊維に二本鎖DNAが1%以上配合されているので、人体有害物質が塩基対間に取り込まれる量も増え、人体有害物質の吸着捕集性能に優れている。これに対して、RNA、例えば、ヌクレオチドや、ポリヌクレオチドでは二本鎖を有さないので、有害物質の吸着性能がない。
そして、二本鎖を有するDNAでも、1%未満の含有量であると、人体有害物質が塩基対間に取り込まれる量が十分ではない。また、二本鎖DNAの含有量が60%を超えると、紡糸することが困難である。人体有害物質を除去するには二本鎖DNAの含有量が高いほうがよいが、繊維が脆くなるため、実用性が制限されてしまう。
したがって、二本鎖DNAにより吸着捕集性能に優れるとともに、DNAは廃棄処理されていた白子を有効活用でき、また、皮膚に触れる繊維素材としても皮膚治癒能力があるので、効果的である。
そして、本発明の有害物質吸着体では、前記繊維を集合させてなることを特徴とする。
この構成の発明では、前述の効果を奏することができる繊維集合体を提供することができる。
さらに、本発明の有害物質吸着体は、有害物質を吸着することを特徴とする。
この構成の発明では、前述の効果を奏することができる有害物質吸着体を提供することができる。
そして、本発明では、前記有害物質は、ダイオキシン類であることが好ましい。
有害物質が平面構造を有したダイオキシン類である場合、塩基対間にインターカレーションして、DNAに取り込まれるので、良好に有害物質を吸着できる。
本発明の有害物質吸着体の製造方法は、前記DNAの溶液を帯電させて紡糸する静電紡糸法で製造したことを特徴とする。
この発明によれば、静電紡糸法は常温で紡糸できるため、DNAの熱分解が抑えられ、また、媒体が水であっても紡糸できるため、安全な製品を製造できる。この方法では、電荷の高まりが糸の細化を促進し、細化に伴い溶媒の揮散が進むため、DNAを高配合した極細繊維を得ることができる。
そして、本発明では、前記溶液は、抽出乾燥した水溶性のDNAおよびタンパク質結合の非水溶性DNAを微粉したものを溶媒に分散させ二重らせんが保持された二本鎖DNAを含有することが好ましい。
抽出乾燥した水溶性のDNAおよびタンパク質結合の非水溶性DNAを微粉したものを溶媒に分散させ二重らせんが保持された二本鎖DNAを含有する溶液を防止することで、二本鎖DNAの二重らせんが保持されるので、有害物質の吸着能力を良好に維持できる。
本発明の有害物質吸着体の製造方法では、前記DNAの溶液を溶解液浸漬槽の内部に収納し、この溶解液浸漬槽中に設置された電圧印加ロールを用いて繊維を紡糸する構成が好ましい。
この発明によれば、電圧印加ロールを用いているので、液層に浸かったロール表面の溶液が静電引力で自発的に牽引されることで紡糸がなされる。したがって、同じ静電紡糸法でもノズルを使用している場合に比べて、凝集によるノズル詰まりや、液塊などによる外観不良や繊維同士の反発による開繊ムラの問題を解決できる。そして、二本鎖DNA繊維の生産性を低下させることなく良品を得ることができる。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
[繊維、繊維集合体、繊維吸着体]
本実施形態にかかる繊維は二本鎖DNAを含有するものであり、この繊維を集合させて繊維集合体が構成される。この繊維集合体は、有害物質を吸着する繊維吸着体として使用されるものであり、例えば、タバコ、排気ガスなどの人体有害物質の吸着捕集フィルターとして利用される。
<DNAについて>
DNAは生物細胞中に存在し、生物の遺伝情報を保存している高分子化合物である。アデニン、チミン、グアニンおよびシトシンの4種の塩基を構成要素とし、二重らせん構造を有する二本のポリヌクレオチド鎖からなる。この二本鎖では、構造的相補性を有する平面的な塩基同士が、らせんの軸に対して垂直にらせんの中央部に向かって突出し合い水素結合で結合している。このような構造のため、DNAは、塩基対間に平面構造を有した多環式環状化合物を挿入(インターカレーション)する特徴を有する。
人体有害物質であるダイオキシン類は平面構造を有しているので、塩基対間にインターカレーションして、DNAに取り込まれる。本発明は、DNAのこのような性質を用いたものである。
<DNAの精製>
本実施形態に用いられるDNAは、天然物由来のDNAであればいずれであっても構わないが、海産物の廃材として扱われる魚類の白子を原料として得られることが好ましい。
DNAは白子から皮、筋、血管等を除去し、精製して油分を除くことで得られ、二本鎖DNAの精製は、従来の方法(梅原泰男、“DNAの単離技術−新機能材料としてのDNA大量分離精製技術の開発−”(高分子52巻3月号(2003年)P.130〜133、特開2005−245394)により得ることができる。
白子は、プロタミン等のタンパク質と共に、多量の二本鎖DNAを含んでおり、非常に栄養価の高い食材である一方、加工の困難さ、保存可能期間の短さ等からその利用分野は限られており、大部分は廃棄処分されている。従って、魚類の白子は、二本鎖DNAの安価な大量生産のための原料として有効利用できる。
<DNA溶液の調整>
本実施形態では、抽出乾固した水溶性のDNAおよびタンパク質結合の非水溶性DNAを微粉砕したものを水に分散させ、水スラリーとしても用いることができる。この場合、いずれも二本鎖DNAの二重らせんが保持されるので、人体有害物質の吸着能力を維持できる。
本実施形態では、必要に応じてバインダー、溶媒で希釈したDNA溶液を調整できる。
ここで用いられるバインダーは公知のものが使用可能で、ポリウレタン、シリコーン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリプロリレンオキサイド、ポリエチレンイミド、ポリアニリン、ポリエチレンサルファイド、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリビニルアルコール、ポリエテイレンテルフタレート、ポリエチレンオキサイド、コラーゲン、ポリ乳酸、ポリグルタミン酸、ヒアルロン酸など、それらの共重合体および架橋体も含め、溶媒に溶解可能なポリマーが挙げられる。また、デンプン、カゼイン、ゼラチン、セリシン、フィブロイン、キチン、キトサンなどの天然高分子、オルガノシリカやオルガノチタンなどのゾル溶液が挙げられる。
また、DNAを分散、溶解せしめる媒体には、通常、水が用いられるが、それ以外にも前記構成成分を溶解しうるものが適宜選択される。例えば、酸、アルカリ、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、エーテル、トルエン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム等が挙げられる。エタノール、ケトン類は凝集が生じやすく、紡糸が困難になる場合があるが、溶媒は二本鎖DNAを分散、溶解すればよく、紡糸性をみてこれらを2種類以上の混合溶媒として使用することができる。
媒体に対して、構成成分の固形分量は0.1〜20%が好ましく、実質的には1〜10%が紡糸しやすい。必要に応じて、界面活性剤、金属塩、増粘剤、色剤、各種安定剤が適宜使用できる。構成成分の固形分量が0.1%より少ないと、糸状に紡糸できない、または生産性が悪い。20%を超えると粘度が高くなり、紡糸できない。
紡糸された繊維のDNA含有量は、1%以上であることが好ましく、10%以上がより好ましい。このうち実質的に二重らせん構造を取りうるDNAは3%以上含まれていることが好ましい。
以上の割合は、目的に応じたバインダーとの兼ね合いになるが、DNA含有量が1%未満では性能が悪く、人体有害物質が塩基対間に取り込まれる量が十分ではない。また、紡糸のしやすさという点からDNA含有量は60%以下であることが好ましい。
[繊維の製造装置]
次に、本発明の一実施形態にかかる繊維の製造装置を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる繊維の製造装置の概略を示す斜視図であり、図2は、図1の概略断面図を示す。
図1および図2において、繊維の製造装置は静電紡糸装置であって、DNA溶液を収納した溶解液浸漬槽10の中に電圧印加ロール20が設置されている。
電圧印加ロール20は溶解液浸漬槽10中で回転可能に支持され、少なくとも周面部は金属製である。溶解液浸漬槽10には高電圧発生装置21が接続されており、この電源21から電圧が加えられ、DNA溶液はプラスに帯電し、電圧印加ロール20で電荷が集中するようになっている。電圧印加ロール20は図示しない回転駆動機構と連結されている。
電圧印加ロール20と対向する位置に集積コンベア30が集積面30Aを電圧印加ロール20側に向けて配置されている。また、集積コンベア30を挟んで電圧印加ロール20と対向する位置には金属製ブロック31が配置され、この金属製ブロック31は高電圧発生装置21に接続され、マイナスに帯電している。
集積コンベア30は導電性のある素材、例えば、アルミニウム等から形成された帯状部材、または金属製ブロック31の導電性を妨げない紙もしくは合成繊維から成る不織布であり、図示しない繰り出しロールから繰り出されるとともに図示しない巻き取りロールで巻き取られる構成である。
金属製ブロック31の集積コンベア30の流れ方向の前後にはガイドロール32がそれぞれ配置されている。
電圧印加ロール20と集積コンベア30の集積面30Aとの距離は、溶媒が気化するように、糸の堆積状態をみながら自由に選択すればよく、特に限定するものではない。印加電圧は、溶液の性状、堆積量によって変えればよく、電圧が高いほど多量の繊維が得やすい。従って、電圧印加ロール20と金属製ブロック31が電極となって、その間に静電場が形成され、電圧印加ロール20に付着したDNA溶液がロール表面から金属製ブロック31に向かって糸状に引き出され、集積面30Aに堆積する。
[繊維の製造方法]
次に、繊維の製造方法にかかる実施形態を説明する。本実施形態の繊維の製造方法は図1および図2で示される静電紡糸装置を用いた静電紡糸法である。
まず、溶解液浸漬槽10の内部にDNA溶液を収納しておき、集積コンベア30を駆動する。集積コンベア30には高電圧発生装置21に接続された金属製ブロック31が近接配置されているため、この状態で、高電圧をかけると、溶液表面に電荷が誘発、蓄積される。この静電引力はDNA溶液の表面張力に対抗する。電場力が臨海値を超えると、静電引力が表面張力を超え、荷電した溶液のジェットが噴射される。噴射されたジェットは体積に対して表面積が大きいため、溶媒が効率よく蒸発し、また体積の減少により電荷密度が高くなるため、さらに細いジェットになる。溶液のジェット噴射により金属製ブロック31側に自発的に牽引されることで紡糸がなされる。
紡糸されたDNAの繊維は集積コンベア30の集積面30Aに堆積されるが、集積コンベア30は巻き取られるため、集積面30Aに堆積されたDNAの繊維はコンベアの長さ方向に亘って所定厚さとなる。集積されたDNAの繊維は図示しない装置によって集積コンベア30から剥離される。
[実施形態の効果]
従って、本実施形態によれば次の作用効果を奏することができる。
(1)繊維には、二本鎖DNAが1%以上かつ60%以下含有されている。したがって、二本鎖DNAが高配合であるので人体有害物質の吸着捕集性能に優れている。また、DNAとして、廃棄処理されていた白子を有効活用することができ、容易に繊維を製造することができる。
(2)本実施形態では、繊維の製造方法を静電紡糸法とした。静電紡糸法は常温で紡糸できるため、DNAの熱分解が抑えられ、媒体が水であっても紡糸できるため、安全な製品を製造できる。
(3)本実施形態では、DNAの溶液が浸される溶解液浸漬槽10と、溶解液浸漬槽10の中に配置された電圧印加ロール20と、この電圧印加ロール20を介して生じる静電引力で紡糸されるとともに紡糸された繊維が集積される集積コンベア30とを備えて繊維の製造装置を構成した。つまり、本実施形態では、電圧印加ロール20を用いて紡糸しているから、同じ静電紡糸法でもノズルを使用している場合に比べて、DNAの凝集によるノズル詰まりや、液塊などによる外観不良や繊維同士の反発による開繊ムラがなく、二本鎖DNA繊維の生産性を低下させることなく良品を得ることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、二本鎖DNAを分解せず、極細繊維を得られる静電紡糸法を用いたが、これら目的を達成できるのであれば、静電紡糸法に限らず、他の紡糸方法であってもよい。
また、前記実施形態では、静電紡糸装置の静電場は、電圧印加ロール20と金属製ブロック31とで一対の電極を形成しているが、本発明ではこれを増やして、複数の電極間、溶解液浸漬槽で形成するものでもよい。この場合、複数の電圧印加ロール20は、異なる電圧値であってもよい。
以下、本発明の効果を実施例及び比較例により確認する。なお、本発明はその要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
<DNA抽出、DNAパウダー調製>
凍結した鮭の白子250gを解凍したものと、1%ドデシル硫酸ナトリウムの冷水水溶液3Lをミキサーで攪拌し粉砕した後、2mol/Lの塩化ナトリウム水溶液を500ml加えてさらに軽く攪拌した。100℃で約5分湯煎し、タンパク質を変性硬化させ、冷ましたものをガーゼでろ過を行った。ろ液を氷浴で冷やし、3倍量の冷エタノールを滴下し、繊維状になったDNAを回収した。エタノールを気化させ、DNA乾固物を得た。このDNA乾固物は所定の溶媒、濃度で溶解し、二本鎖DNA溶液とした。
一方、ろ過物はタンパク質が結合した非水溶性二本鎖DNAとして、水洗、乾固した物をスリット径φ1mmのハンマーミルで素粉砕した後、ジェットミルで微粉砕して平均粒径6μmの非水溶性DNAパウダーを得た。このパウダーを図3に示す。図3は非水溶性DNAパウダーを走査型電子顕微鏡で見た図であり、この図から非水溶性DNAパウダーの平均粒径が6μm程度であることがわかる。この非水溶性DNAパウダー10%を水に分散させ、その分散液を、スギノマシン製アルティマイザーHJP−25005を用いて150MPa×2回処理し、非水溶性二本鎖DNAスラリー溶液を作製した。
[実施例1]
ケン価度88mol%の4%水溶液の20℃での粘度が23mPa・sのポリビニルアルコール(クラレ社製PV−217PVA)をバインダーとし、前述の二本鎖DNA溶液を用いて、水/PVA/DNA=90/9.9/0.1%のDNA水溶液を作製した。得られた溶液を後述の方法で紡糸し、DNA1.0%含有PVA繊維を得た。
[実施例2]
実施例1と同様のPVAと前述の二本鎖DNA溶液を用い、紡糸性を付与するために少量のリン酸を添加し、水/PVA/DNA/リン酸=90.5/8.3/1.1/0.1%のDNA水溶液を作製し、実施例1と同様に紡糸した。DNA11.7%含有PVA繊維を得た。
[実施例3]
実施例1と同様のPVAと前述の二本鎖DNA溶液を用いて、45%エタノール水/PVA/DNA=94.0/3.9/2.1%のDNA水溶液を作製し、実施例1と同様に紡糸した。DNA35.0%含有PVA繊維を得た。
[実施例4]
実施例1と同様のPVAを用い、前述の非水溶性二本鎖DNAスラリー溶液を用いて、45%エタノール水/PVA/DNA=91.7/3.7/4.6%のDNA水溶液を作製し、実施例1と同様に紡糸した。DNA55.4%含有PVA繊維を得た。
[比較例1]
実施例1と類似するが、水/PVA/DNA=90/9.95/0.05%のDNA水溶液を用い、同様の処理を行い、DNA0.5%含有PVA繊維を得た。
[比較例2]
実施例2のDNA水溶液にデオキシリボヌクレアーゼI(DNaseI)を添加し、40℃で2時間放置した。これを実施例2と同様に処理を行い、DNA11.7%含有PVA繊維を得た。
[比較例3]
バインダーは使用せず、45%エタノール水/DNA=90/10%のDNA水溶液を用いた。後述の方法で紡糸し、DNA100%含有繊維を得た。
[比較例4]
実施例3で得られた溶液をφ0.5のシリンジに注入した。
<静電紡糸>
実施例1〜4および比較例1〜4の溶液を図1および図2の静電紡糸装置を用い、電圧60〜78kV、電極間距離100〜140mmで液体表面に電荷が蓄積され、液体の表面張力以上に電荷が高まるとシリンダー表面から糸が噴出(ジェット)した。ジェットは溶媒の揮発、電荷密度の増加、溶液糸の細化を繰り返して、集積コンベアに堆積する。なお、集積コンベアのライン速度は8〜20cm/分で、ポリプロピレン(PP)製不織布に正味目付け0.5〜4.0g/mで100〜500nmの極細繊維を堆積させ、吸着評価用の綿を得た(図4参照)。
また、比較例4では、ノズルを用いた静電紡糸装置で紡糸を行った。
<人体有害物質の吸着捕集評価>
人体有害物質の吸着捕集評価としてダイオキシンと同様に芳香族平面構造を有するアクリジンオレンジをモデル化合物に用いた。アクリジンオレンジはDNA研究に用いる蛍光指示薬である。DNAをオレンジ色に染色し、紫外線で蛍光を発する作用があることから、アクリジンオレンジがDNAに取り込まれれば、アクリジンオレンジ溶液の退色を生ずることになる。アクリジンオレンジ5μM/mlの水溶液に得られた綿を浸漬し、24時間放置。浸漬後の溶液をUV−VIS分光光度計で480nmの吸光度を測定し、浸漬前の吸光度に対する減少の有無を評価した。
実施例1〜4では、紡糸性が良好で、アクリジンオレンジの吸光度に変化がみられた(表1中○または△で示す)。すなわち、得られた繊維に含まれるDNAはアクリジンオレンジ吸着捕集能力を有し、DNAが分解されていないことがわかる。また、得られた繊維のDNA含有量から、DNAが高配合の繊維を得ることができた。
一方、比較例1ではDNAの含有量が非常に少なく、また比較例2ではDNAを酵素分解するDNaseIを使用しているためDNAが分解され、アクリジンオレンジの吸光度に変化が見られなかった(表1中×で示した)。また、比較例3では、バインダーがないため紡糸できなかった。
比較例4は、ノズルを用いた静電紡糸装置を用いたので、詰まりを生じた。
本発明は、タバコ、排気ガスなどの人体有害物質の吸着捕集フィルターに利用できる。
本発明の一実施形態にかかる繊維の製造方法に用いられる製造装置の概略を示す斜視図。 図1の断面図。 非水溶性DNAパウダーを走査型電子顕微鏡で見た図。 紡糸後の綿を走査型電子顕微鏡で見た図。
符号の説明
10…溶解液浸漬槽
20…電圧印加ロール
30…集積コンベア
30A…集積面

Claims (5)

  1. 二本鎖DNAを含有する溶液から紡糸され前記二本鎖DNAを1%以上かつ60%以下含有する繊維を集合させてなり、有害物質を吸着する有害物質吸着体であって、
    前記有害物質は、前記二本鎖DNAの塩基対間に挿入される平面構造を有した多環式環状化合物である
    ことを特徴とする有害物質吸着体。
  2. 請求項1に記載の有害物質吸着体であって、
    前記有害物質は、ダイオキシン類である
    ことを特徴とする有害物質吸着体。
  3. 請求項1または請求項2に記載の有害物質吸着体の繊維を紡糸する有害物質吸着体の製造方法であって、
    前記DNAの溶液を帯電させて紡糸する静電紡糸法で製造した
    ことを特徴とする有害物質吸着体の製造方法。
  4. 請求項3に記載の有害物質吸着体の製造方法であって、
    前記溶液は、抽出乾燥した水溶性のDNAおよびタンパク質結合の非水溶性DNAを微粉したものを溶媒に分散させ二重らせんが保持された二本鎖DNAを含有するものである
    ことを特徴とする有害物質吸着体の製造方法。
  5. 請求項3または請求項4に記載の有害物質吸着体の製造方法において、
    前記DNAの溶液を溶解液浸漬槽の内部に収納し、この溶解液浸漬槽中に設置された電圧印加ロールを用いて繊維を紡糸する
    ことを特徴とする有害物質吸着体の製造方法。
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