JP4913239B2 - 通気部材とこれを用いた通気筐体 - Google Patents

通気部材とこれを用いた通気筐体 Download PDF

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Description

本発明は、電装部品(代表的には、車両用電装部品)などの筐体に固定され、筐体の内部と外部との通気を確保するとともに、筐体の内部への異物の侵入を抑制する通気部材と、上記通気部材が固定された通気筐体とに関する。
従来、ランプ、圧力センサー、ECU(Electrical Control Unit)などの車両用電装部品や、携帯電話、カメラなどの電気製品の筐体に、筐体の内部と外部との通気を確保するとともに、筐体の内部への異物の侵入を抑制する通気部材が取り付けられている。このような通気部材を筐体に取り付けることによって、筐体の内部への水や塵芥などの侵入を防ぎながら、温度変化に伴う筐体内部の圧力変動を緩和したり、筐体の内部と外部との間で音を伝達したり、筐体の内部で発生したガスを外部に放出したりできる。
このような通気部材の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている通気部材101は、図14に示すように、端面に通気膜102が配置された筒状の支持体103と、通気膜102を覆うように支持体103に嵌装された有底の保護カバー104とを備えている。通気部材101は、筐体105の開口部106を覆うように筐体105に固定されており、通気膜102を気体が透過することにより、筐体105内外の通気が確保されている。保護カバー104は、異物の接触などによる通気膜102の破損を防止するために配置されている。
特開2001−143524号公報
しかし、従来の通気部材101では、通気膜102を介して、筐体105内外の気体同士が常に連通しているため、筐体105外部の水蒸気が筐体105内部に侵入し、筐体105の内面に水滴が生じる(筐体105の内面が曇る)ことがある。例えば、筐体が車両用電装部品の1種であるランプの場合、水滴(曇り)は、ランプから照射される光の光度を低下させる要因となる。このような曇りは、気温が低く、筐体外部の湿度が高い時(例えば、冬季の雨天時や降雪時)に、ランプを消灯することにより発生しやすいが、車両の安全性を向上させる観点からは、曇りが生じるまでの時間を長くできる通気部材が望まれる。また、曇った場合においても、ランプ点灯後などに、速やかに曇りを解消できる通気部材が望まれる。その他の筐体に用いる通気部材においても同様の特性が望まれている。
通気部材が備える通気膜の通気面積を小さくして、単位時間あたりに筐体内部へ侵入する水蒸気の量を低減させることにより、水滴の生成(曇りの発生)を遅らせることが可能であるが、この方法では、単位時間あたりに筐体外部へ放出される水蒸気の量も同時に低下するため、一度生成した水滴が消失する(曇りが解消する)までに長い時間を要する。また、曇りが発生した状態で、ランプなど、通電時に筐体内部が加熱される電装部品に通電すると、水滴が加熱されて水蒸気が発生するが、通気膜の通気面積が小さい通気部材では、生じた水蒸気を筐体外部へ放出するのに時間を要する。
そこで本発明は、従来にない構成を有する通気部材とすることによって、筐体内部に曇りが生じるまでの時間を長く保ちながらも、筐体内部が曇った場合に、生じた曇りを解消するまでの時間を短くできる通気部材と、上記通気部材を用いた通気筐体とを提供することを目的とする。
本発明の通気部材は、筐体の開口部に固定された状態で、前記開口部を通過する気体が透過する通気膜と、前記通気膜を支持する支持体と、前記通気膜の一部の領域における前記気体の透過に対する障害となるように配置された一方向弁とを備え、前記一方向弁の一部が、前記通気膜および前記支持体から選ばれる少なくとも1つに固定され、前記一方向弁が、前記通気膜の一部を被覆するように前記通気膜の表面に接して配置された膜状の弁であり、前記膜状の弁の端部の少なくとも一部が、前記通気膜を所定の一方向に透過する気体の圧力によって、前記表面から前記一方向に離間可能であり、前記離間に伴う、前記端部の当該少なくとも一部の変形が可逆的であり、前記端部の当該少なくとも一部が、前記表面から前記一方向に離間したときに、前記膜状の弁による前記気体の透過に対する障害が緩和され、前記通気膜が、フッ素樹脂の多孔膜および/またはポリオレフィンの多孔膜を含むことを特徴としている。
本発明の通気筐体は、上記本発明の通気部材が、筐体の開口部に固定されており、前記通気部材が備える膜状の弁の端部の少なくとも一部が通気膜の表面から離間する方向が、前記筐体の内部から外部へ気体が通過する方向であることを特徴としている。
本発明によれば、通気膜の一部の領域における気体の透過の障害となる一方向弁を用いて、筐体の内部から外部へ気体が移動する速度と、筐体の外部から内部へ気体が移動する速度とを制御することにより、筐体内部に曇りが生じるまでの時間を長く保ちながらも、筐体内部が曇った場合に、生じた曇りを解消するまでの時間を短くできる。
本発明の通気部材の一例を模式的に示す断面図である。 図1Aに示す通気部材の平面図である。 図1Aおよび図1Bに示す通気部材における一方向弁の動作を説明するための模式図である。 本発明の通気部材の別の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の通気部材のまた別の一例を模式的に示す断面図である。 図4Aに示す通気部材の平面図である。 本発明の通気部材のさらにまた別の一例を示す模式図である。 本発明の通気部材の上記とは別の一例を模式的に示す断面図である。 図6Aに示す通気部材における弁が開いた状態を示す平面図である。 本発明の通気部材の上記とはまた別の一例を模式的に示す断面図である。 図7Aに示す通気部材の平面図である。 本発明の通気部材の上記とはさらにまた別の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の通気部材の上記とはさらにまた別の一例を模式的に示す断面図である。 図9Aに示す通気部材の平面図である。 本発明の通気部材の上記とはさらにまた別の一例を模式的に示す断面図である。 図10Aに示す通気部材の平面図である。 本発明の通気部材の筐体への固定方法の一例を説明するための模式断面図である。 本発明の通気部材の筐体への固定方法の別の一例を説明するための模式断面図である。 本発明の通気部材の上記とはさらにまた別の一例を模式的に示す断面図である。 従来の通気部材の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明において、同一の部材に同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
本発明の通気部材について説明する。
図1Aおよび図1Bに示す通気部材1は、通気膜2と、通気膜2を支持する支持体3とを備えている。支持体3は、筐体51の開口部52の中に挿入され、固定されている。通気部材1は、一方向弁として、通気膜2の一部を被覆するように通気膜2の表面に接して配置された膜状の弁4を備えている。通気膜2は、その外周端において、支持体3によって支持されており、膜状の弁4は、膜状の弁4における支持体3に接する外周端において、支持体3に固定されている。通気部材1は、通気膜2に対して膜状の弁4が筐体51の外部側に位置するように、筐体51に固定されており、膜状の弁4の内周端(図1Aおよび図1Bに示す端部B)は、筐体51の内部から外部へ向かう方向に通気膜2を透過する気体の圧力PAによって、上記方向へ、通気膜2の表面から離間できる。なお、図1Bは、図1Aに示す通気部材1をその上面から(即ち、図1Aにおける矢印Aの方向へ)見た図である。以降の図4Aおよび図4B、図6Aおよび図6B、図7Aおよび図7B、図9Aおよび図9B、ならびに、図10Aおよび図10Bの関係においても同様である。
通気部材1では、膜状の弁4は、通気膜2の領域αにおける気体の透過に対する障害となっている。ここで、圧力PAがある程度の値以上になると(即ち、圧力PAが閾値PT以上になると)、図2に示すように、膜状の弁4は、その内周端(端部B)が通気膜2の表面から離間することにより、筐体51の内部から外部へ気体が通気膜2を透過する方向に開く。膜状の弁4が開くと、領域αにおける上記障害が緩和される。膜状の弁4の端部Bの変形は可逆的であり、圧力PAが低減するか、筐体51の外部から内部へ向かう方向に通気膜2を透過する気体の圧力PBが膜状の弁4に加わることにより、膜状の弁4は、図1Aに示す状態に復帰する(膜状の弁4が閉じる)。
このような構成とすることにより、筐体51の外部から内部へ気体が導入される速さ(気体導入速度)を小さくしながらも、筐体51の内部から外部へ気体が放出される速さ(気体放出速度)を大きくすることができる。このため、筐体51内部に曇りが生じるまでの時間を長く保ちながらも、筐体51内部が曇った場合に、生じた曇りを解消するまでの時間を短くできる通気部材とすることができる。また、筐体51内部に曇りが生じるまでの時間を長く保ちながらも、筐体51内部の過度の圧力上昇を抑制できる通気部材とすることができる。
通気部材1における膜状の弁4の構造および構成は、
・通気膜2および支持体3から選ばれる少なくとも1つに、膜状の弁4の一部が固定されており、
・通気膜2を所定の一方向に透過する気体の圧力PAによって、膜状の弁4の端部の少なくとも一部が、通気膜2の表面から上記一方向へ離間可能であり、
・上記圧力PAが低減するか、あるいは、通気膜2を上記一方向とは逆の方向に透過する気体の圧力PBにより、膜状の弁4が離間前の状態に復帰できる(即ち、上記離間に伴う膜状の弁4の変形が可逆的である)限り、その形状を含めて特に限定されない。
例えば、図3に示す通気部材1における膜状の弁4は、図1Aおよび図1Bに示す例と同様に、支持体3に接する外周端において支持体3に固定されており、その内周端(図3に示す端部C)が圧力PAにより通気膜2の表面から離間可能である。
図4Aおよび図4Bに示す通気部材1における膜状の弁4は矩形状であり、支持体3に接する外周端の一部(図4Aおよび図4Bに示す端部D)において支持体3に固定されている。膜状の弁4の外周端における支持体3に固定されていない部分(図4Aおよび図4Bに示す端部E)が、圧力PAにより通気膜2の表面から離間可能である。
図5に示す通気部材1における膜状の弁4はディスク状であり、ピンなどの固定部材21によって通気膜2に固定されている。膜状の弁4の外周端(図5に示す端部F)が、圧力PAにより通気膜2の表面から離間可能である。
図1A、図1Bおよび図3に示す通気部材1は、膜状の弁4に囲まれた開口部が通気膜2の表面に形成されるように、膜状の弁4が配置された通気部材1である、ともいえる。このような開口部が形成された通気部材1は、膜状の弁4の面積を大きくできるため、気体導入速度に対する気体放出速度の比A(比A=気体放出速度/気体導入速度)をより大きくすることができる。また、膜状の弁4の外周端において支持体3に固定できるため、膜状の弁4の耐久性を向上できる。
膜状の弁4が通気膜2の表面から離間する圧力PAの閾値PTは、膜状の弁4の厚さ、面積、形状および/または固定方法などを調整または選択することにより、制御できる。膜状の弁4が離間前の状態に復帰するPAまたはPBの値についても同様である。膜状の弁4の厚さは、通常、1μm〜100μmの範囲であり、2μm〜50μmの範囲が好ましい。これらの範囲であれば、膜状の弁4の動作性を良好に保つことができる。なお、閾値PTは特定の一点だけではなく、所定の幅を有する値であってもよい。
膜状の弁4を、通気膜2および支持体3から選ばれる少なくとも1つに固定する方法は特に限定されず、加熱溶着、超音波溶着、接着剤による接着などの手法を用いて固定すればよい。図5に示すように、固定部材21を用いて固定することもできる。膜状の弁4は、通気膜2および/または支持体3に直接固定されていてもよいし、他の部材を介して固定されていてもよい。膜状の弁4の耐久性に優れることから、図1Aおよび図1Bに示すように、その外周端における支持体3に接する部分において、通気膜2および/または支持体3に固定されていることが好ましい。
膜状の弁4は、実質的に気体を透過しない(気体非透過性の)弁であってもよいし、膜状の弁4における通気膜2に接する領域Aが気体透過性を有する弁であってもよい。ただし、領域Aが気体透過性を有する場合、膜状の弁4が通気膜2の領域αにおける気体の透過に対する障害となるためには、領域Aの通気度が通気膜2の通気度よりも小さい必要がある。気体導入速度に対する気体放出速度の比Aをより大きくするためには、膜状の弁4が気体非透過性の弁であることが好ましい。
なお、本明細書における通気度とは、「気体透過性を有する膜の両面に所定の差圧を印加したときに、上記膜の単位面積および単位時間あたりに、上記膜を透過する気体の体積」により示される量のことである。同様の通気度は、「上記膜を所定の面速で気体が透過する際に生じる圧力損失」により示すこともできる。これらの通気度は、JIS L 1096(1999)の規定に基づくフラジール通気度の測定方法を応用して測定できる。
膜状の弁4が気体非透過性の弁である場合、膜状の弁4が開いているときの通気膜2の通気面積X(図1Aに示す例では、通気膜2の領域α+βを反映した面積)を、膜状の弁4が閉じているときの通気面積Y(図1Aに示す例では、通気膜2の領域βを反映した面積:通気膜2の表面における開口部13の面積ともいえる)よりも大きくできる。即ち、膜状の弁4が気体非透過性の弁である場合、通気部材1は、筐体51の内部から外部へ気体が移動する際の通気膜2の通気面積と、筐体51の外部から内部へ気体が移動する際の通気膜2の通気面積とを制御することにより、筐体内部に曇りが生じるまでの時間を長く保ちながらも、筐体内部が曇った場合に、生じた曇りを解消するまでの時間を短くできる通気部材であるともいえる。
通気面積Yに対する通気面積Xの比B(比B=通気面積X/通気面積Y)は特に限定されないが、曇りが生じるまでの時間と、生じた曇りを解消するまでの時間とのバランスを良好に保つ観点から、上記比Bは、3以上が好ましく、5以上がより好ましい。上記比Bの上限は特に限定されないが、例えば、30程度の値である。
膜状の弁4の材料には、樹脂や金属を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエチレンなどのポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル類、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂類、ポリイミド、ポリアミドなどを用いればよく、金属としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレスなどを用いればよい。
気体非透過性の弁とするためには、例えば、上記材料を膜状とし、所定の形状に加工して用いればよい。
上記領域Aが気体透過性を有する弁とするためには、例えば、上記材料の織布、不織布、ネット、多孔質体および発泡体など、無数の空孔が形成された膜を形成し、所定の形状に加工して用いればよい。この場合、上記領域Aの通気度は、その平均孔径および/または空孔率を調整することにより制御できる。また、上記材料を、1つまたは複数の貫通孔が形成された膜とし、所定の形状に加工して用いてもよい。この場合、上記領域Aの通気度は、領域Aの面積に対する貫通孔の開口部の面積の割合を調整することにより制御できる。
膜状の弁4が気体非透過性の弁である場合、通気膜2の通気面積Xは特に限定されないが、筐体51内部の曇りをより速やかに解消させ、筐体51内部における過度の圧力上昇を抑制する観点からは、例えば、10mm2〜3000mm2の範囲であればよい。通気膜2の通気面積Yも特に限定されないが、筐体51内部に曇りが発生するまでの時間をより長くする観点からは、例えば、0.5mm2〜1000mm2の範囲であればよい。
通気膜2の材料や構造は、必要な気体透過量が確保できる限り特に限定されず、例えば、織布や不織布、ネット、多孔質体、発泡体を含む通気膜とすればよい。なかでも、撥水性(防水性)や耐熱性、耐薬品性などの観点から、フッ素樹脂の多孔質体および/またはポリオレフィンの多孔質体を含む通気膜が好ましい。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)などを用いればよい。なかでも、小さい通気面積で通気性が維持でき、筐体51内部への水や塵芥などの異物の侵入を抑制する機能が高いPTFE多孔質体を用いることが好ましい。ポリオレフィンとしては、超高分子量ポリエチレンなどを用いればよい。
通気膜2に、フッ素樹脂の多孔質体および/またはポリオレフィン樹脂の多孔質体を用いる場合、防水性の観点から、多孔質体の平均孔径が0.01μm〜10μm程度の範囲であることが好ましい。このような多孔質体は、延伸法や抽出法など、一般的な多孔質体形成法によって得ることができる。通気膜2の厚さは、通常、1μm〜300μmの範囲であり、2μm〜100μmの範囲が好ましい。
通気膜2の通気度は特に限定されないが、排気時に、筐体51内部の曇りをより速やかに解消させ、筐体51内部における過度の圧力上昇を抑制する観点からは、通気膜2を気体が面速5.3cm/secで透過する際の圧力損失にして、例えば、1Pa〜1000Paの範囲であればよく、5Pa〜500Paの範囲が好ましい。液体の水が通気膜2に接触する可能性がある場合には、通気膜2の防水性を示す指標である耐水圧(通気膜2を液体の水が透過する圧力)が、2kPa〜1000kPaの範囲であることが好ましく、3kPa〜500kPaの範囲であることがより好ましい。
通気膜2は、図1Aおよび図1Bに示すように、その外周端が支持体3により支持されていることが好ましい。膜状の弁4の支持体3および/または通気膜2への固定がより容易となる。
本発明の通気部材1が備える通気膜2の層数は一層に限られず、任意に設定すればよい。
本発明の通気部材1では、通気膜2に補強層が積層されていてもよく、補強層の積層によって通気膜2の強度を向上でき、その効果は、通気膜2の厚さが小さいときほど大きくなる。通気膜2に積層する補強層の層数は、任意に設定すればよい。
補強層の材料や構造などは特に限定されないが、通気膜よりも通気性に優れることが好ましい。補強層には、例えば、樹脂や金属などからなる、織布、不織布、メッシュ、ネット、スポンジ、フォーム、発泡体、多孔質体などを用いればよい。樹脂としては、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン類、PETやPBTなどのポリエステル類、ポリアミド、芳香族ポリアミド、アクリル、ポリイミド、および、これらの複合材料を用いればよい。
補強層の厚さは、通常、0.05mm〜0.4mmの範囲であり、所定の形状への加工性をより良好にする観点からは、0.05mm〜0.4mmの範囲が好ましい。補強層の通気度は、補強層を気体が面速5.3cm/secで透過する際の圧力損失にして、例えば、0.5Pa〜150Paの範囲であればよく、0.5Pa〜70Paの範囲が好ましい。
補強層は、通気膜2と接合されていてもよく、接合は、接着剤ラミネート、熱ラミネート、加熱溶着、超音波溶着などの手法により行えばよい。
通気膜2に、撥水処理、撥油処理などの撥液処理がなされていてもよい。撥液処理は、例えば、表面張力の小さい物質を通気膜に塗布し、乾燥させた後にキュアすることにより行えばよい。撥液処理に用いる撥液剤には、例えば、パーフルオロアルキル基を有する高分子材料を含む溶液を用いればよい。通気膜への撥液剤の塗布は、一般的な手法である含浸法やスプレー法を用いればよい。
支持体3の材料には、成型性の観点から、熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、例えば、オレフィン系、スチレン系、ウレタン系、エステル系、アミド系、塩ビ系などの各種の熱可塑性エラストマー、または、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリアクリル、ポリフェニレンサルフィドなどの各種の熱可塑性樹脂、あるいは、これらの複合材を用いればよい。
支持体3によって支持される各部材は、例えば、加熱溶着、超音波溶着、接着剤による接着などの手法を用いて、支持体3に固定すればよい。なかでも、加熱溶着または超音波溶着の手法が簡便で好ましい。補強層を積層した通気膜2を支持体3に固定する場合、補強層と通気膜2とを積層した後に、支持体3に固定することにより、通気膜2へのダメージを最小限に抑制できる。
図1Aに示す通気部材1では、通気膜2は支持体3によって直接支持されているが、通気膜2と支持体3との間に他の部材が配置されていてもよい。この場合、通気膜2は、間に配置された部材を介して、支持体3によって支持されていることになる。
支持体3の形状は、通気部材1として用いることができる限り、特に限定されない。支持体3は、例えば、射出成型や押出成型などの一般的な成型手法を用いて形成できる。
図6Aおよび図6Bに、本発明の通気部材1の上記とは別の一例を示す。図6Aおよび図6Bに示す通気部材1は、通気膜2と、通気膜2を支持する支持体3とを備えている。支持体3は筐体51の開口部52の中に挿入され、固定されている。一方向弁8は、その端部の一部(図6Aに示す端部Gおよび端部G’)が通気膜2に対して離間した状態にあるように、支持層9を介して通気膜2に固定されており、端部Gおよび端部G’は互いに当接している。換言すれば、一方向弁8は、通気膜2に対して離間した状態にある端部として、互いに当接した一対の端部を有しているといえる。通気部材1は、一方向弁8における支持層9に接する部分に対して、その端部GおよびG’が筐体51の外部側に位置するように筐体51に固定されており、端部GおよびG’は、筐体51の内部から外部へ向かう方向に通気膜2を透過する気体の圧力PAによって、上記方向へ変形可能である。図6Aに示す一方向弁8では、上記変形によって、スリット状の開口部13が形成される(図6B参照:図6Bでは、説明を分かりやすくするために、開口部13が形成された状態を示す)。
図6Aおよび図6Bに示す通気部材1では、一方向弁8は、通気膜2の領域αにおける気体の透過の障害となっている。ここで圧力PAが閾値PT以上になると、スリット状の開口部13が形成されることにより、筐体51の内部から外部へ気体が通気膜2を透過する方向に一方向弁8が開く。一方向弁8が開くと、領域αにおける上記障害が緩和される。一方向弁8の端部GおよびG’の変形は可逆的であり、圧力PAが低減するか、筐体51の外部から内部へ向かう方向に通気膜2を透過する気体の圧力PBが一方向弁8に加わることにより、一方向弁は図6Aに示す状態に復帰する(一方向弁8が閉じる)。
即ち、このような構成とすることによっても、図1Aおよび図1Bに示す通気部材1と同様の効果を得ることができる。
通気部材1における一方向弁8の構造および構成は、
・通気膜2および支持体3から選ばれる少なくとも1つに、一方向弁8の一部が固定されており、
・通気膜2を所定の一方向に透過する気体の圧力PAによって、通気膜2から離間した状態にある端部が上記一方向へ変形可能であり、
・上記圧力PAが低減するか、あるいは、通気膜2を上記一方向とは逆の方向に透過する気体の圧力PBにより、一方向弁8が離間前の状態に復帰できる(即ち、一方向弁8の変形が可逆的である)限り、その形状を含めて特に限定されない。
例えば、通気膜2に対して離間した状態にあるように配置され、上記圧力PAによって所定の一方向に変形可能である端部を1つだけ有する一方向弁8であってもよいし、2以上の当該端部を有しているが、当該端部が互いに離間した状態にある一方向弁8であってもよい。一方向弁8が互いに当接した状態にある2以上の当該端部を有する場合、一方向弁8の動作性に優れることから、図6Aに示すように、一対の当該端部を有する一方向弁8であることが好ましい。
一方向弁8は、弾性体からなることが好ましい。このような弁は、様々な弁形状への加工が容易であり、閾値PTの値の設定が容易であるなどの利点を有している。また、弾性体からなる一方向弁8では、その形状を調整することにより、定常状態時に力を加えることなく一方向弁8を閉じた状態に保持できるため、定常状態時における筐体51内部への水蒸気の侵入を抑制できる。弾性体としては、例えば、ゴム、エラストマー、熱可塑性樹脂などを用いればよい。
図6Aおよび図6Bに示す通気部材1では、一方向弁8が開いているときの通気膜2の通気面積X(図6Aに示す通気膜2の領域α+βを反映した面積)を、一方向弁8が閉じているときの通気面積Y(図6Aに示す通気膜2の領域βを反映した面積)よりも大きくできる。即ち、図6Aおよび図6Bに示す通気部材1は、筐体51の内部から外部へ気体が移動する際の通気膜2の通気面積と、筐体51の外部から内部へ気体が移動する際の通気膜2の通気面積とを制御することにより、筐体内部に曇りが生じるまでの時間を長く保ちながらも、筐体内部が曇った場合に、生じた曇りを解消するまでの時間を短くできる通気部材であるともいえる。
通気面積Yに対する通気面積Xの比Bは、図6Aおよび図6Bに示す通気部材1の説明において上述した値と同様であればよい。
一方向弁8が変形する閾値PTは、一方向弁8の材質、大きさ、および/または、形状などを調整または選択することにより、制御できる。一方向弁8が変形前の状態に復帰するPAまたはPBの値についても同様である。なお、閾値PTは特定の一点だけではなく、所定の幅を有する値であってもよい。
一方向弁8を、通気膜2および支持体3から選ばれる少なくとも1つに固定する方法は特に限定されず、加熱溶着、超音波溶着、接着剤による接着などの手法を用いて固定すればよい。図6Aに示すように、一方向弁8を、支持層9などの他の部材を介して固定してもよい。支持層9には、支持体3と同様の材料を用いればよく、その構造および構成は特に限定されない。
通気部材1における通気膜2および一方向弁8の層数および個数、ならびに、通気膜2と一方向弁8との位置関係は、任意に設定すればよい。図6Aおよび図6Bに示すように、通気膜2よりも筐体51の外部側に一方向弁8を配置すれば、一方向弁8は、通気膜2の一部を保護する保護カバーとしての役割も担う。
本発明の通気部材1は、通気膜2よりも通気度が小さい多孔体をさらに備えており、通気膜2が、一方向弁(例えば、膜状の弁4および一方向弁8)が配置された第1の領域と、多孔体が配置された第2の領域とを有していてもよい。図7Aおよび図7Bに、このような通気部材1の一例を示す。
図7Aおよび図7Bに示す通気部材1は、通気膜2よりも通気度が小さく、通気膜2の表面に接して配置された多孔体5をさらに備えている。通気膜2は、膜状の弁4が配置された領域γと、多孔体5が配置された領域δとを有している。多孔体5は、複数の貫通孔6を有する膜である。多孔体5は、通気膜2の開口部に配置されているともいえる。このような構成とすることにより、多孔体5が配置されていない場合に比べて、気体導入速度をより低減できる(気体導入速度に対する気体放出速度の比Aをより大きくできる)。
気体導入速度を低減すると、筐体内部に生じた曇りを解消できるまでの時間を保持したまま、筐体内部に曇りが生じるまでの時間をより長くすることができるが、例えば、図1Aおよび図1Bに示すように、多孔体5が配置されていない通気部材1の場合、気体導入速度を低減しようとすると、膜状の弁4の内周端(端部B)長を短くする必要があり、端部Bが通気膜2の表面から離間することが困難になることがある。これに対して、図7Aおよび図7Bに示す通気部材1では、上記内周端の長さを短くすることなく、即ち、膜状の弁4の動作性を保持したまま、気体導入速度をより低減できる。
多孔体5の構造および構成は、必要な通気度が実現できる限り特に限定されず、図7Bに示すように、1つまたは複数の貫通孔6が形成された多孔体5であってもよいし、織布、不織布、ネット、発泡体および多孔質体など、無数の空孔が形成された多孔体5であってもよい。多孔体5の通気度は、通気膜2の通気度に対して、例えば、1%〜100%程度の範囲であればよく、5%〜50%の範囲が好ましい。
多孔体5の通気度は、貫通孔6が形成された多孔体5の場合、貫通孔6の数や、多孔体5の表面の面積に対する貫通孔6の開口部の面積の割合を調整することにより制御できる。上記割合は、1%〜50%程度であればよく、2%〜30%の範囲が好ましい。無数の空孔が形成された多孔体5の場合、多孔体5の通気度は、その平均孔径および/または空孔率を調整することにより制御できる。
多孔体5に用いる材料は特に限定されないが、通気膜2に用いる材料と同様であってもよいし、最も簡便な例としては、粘着テープを準備し、上記テープに1つまたは複数の貫通孔6を形成して多孔体5としてもよい。多孔体5に粘着テープを用いた場合、多孔体5と通気膜2との接着性が良好であり、貫通孔6をポンチなどにより簡単に形成できるため、通気部材1の生産性に優れている。粘着テープの種類は、特に限定されず、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイミド、フッ素樹脂などの基材に、ゴム系、アクリル系、シリコーン系などの粘着材が塗布された粘着テープであればよい。
多孔体5の形状、および、多孔体5を配置する際の膜状の弁4の形状は自由に設定することができ、図7Aおよび図7Bに示すように、通気膜2の表面において膜状の弁4を補完する形状を有する多孔体5であってもよいし、図8に示すように、通気膜2の主面に垂直な方向に、膜状の弁4と多孔体5とが一部積層されていてもよい(図8に示す通気部材1では、膜状の弁4の端部Hが通気膜2の表面から離間することにより、膜状の弁4が開く)。図9Aおよび図9Bに示すように、通気膜2の表面において、膜状の弁4と多孔体5との間に空隙が存在していてもよい。
本発明の通気部材1では、通気膜2における一方向弁が配置されていない領域の通気性を制限する部材として、多孔体5に代わり、あるいは、多孔体5とともに、気体を実質的に透過しない部材7がさらに配置されていてもよい(図10Aおよび図10B)。部材7は、多孔体5と同様に配置されていればよいが、一方向弁(図10Aに示す例では、膜状の弁4)が閉じているときにも通気膜2を気体が透過できるためには、一方向弁と部材7との間に空隙が存在し、通気膜2の表面の少なくとも一部が筐体51外部の環境に通じている必要がある。このような通気部材1では、多孔体5を配置した場合と同様の効果を得ることができる。
筐体51の開口部52への通気部材1の固定方法は特に限定されず、一般的な固定方法を応用すればよい。図1Aに示すように、開口部52に挿入して通気部材1を固定してもよいし、図11に示すように、開口部52を覆うように通気部材1を固定してもよい。開口部52に挿入して通気部材1を固定する場合、開口部52の内径よりも、支持体3の外径が若干大きいことが好ましく、開口部52を覆うように通気部材1を固定する場合、開口部52の外径よりも、支持体3の内径が若干小さいことが好ましい。図12に示すように、通気部材1と筐体51とを、接着によって固定することもできる。図12に示す例では、筐体51の開口部52を覆うように、通気部材1の底面(図12におけるL)と筐体51の表面とが接着されている。
本発明の通気部材1を筐体51に固定する際には、通気部材1が備える一方向弁(例えば、膜状の弁4および一方向弁8)の端部の少なくとも一部が変形する方向(一方向弁が開く方向)と、筐体51の内部から外部へ気体が通過する方向とを一致させる必要がある。
本発明の通気部材1は、図13に示すように、通気膜2を覆う有底の保護カバー11をさらに備えていてもよい。図13に示す保護カバー11は、通気膜2と保護カバー11との間に空間が存在し、外部環境から各通気膜への通気経路が確保されるように、支持体3によって支持されている。このような通気部材では、保護カバー11によって、飛び石、塵芥、水などの外部からの異物が通気膜に接触し難くなるため、通気膜2の破損などを防止できる。
保護カバー11の形状、および、支持体3による保護カバー11の支持方法は特に限定されない。図13に示す通気部材1では、支持体3に形成された凸部12によって、保護カバー11が支持されるとともに、外部環境と通気膜2とを結ぶ通気経路が確保されている。
本発明の通気部材1の構造および構成は、上述した例に限定されず、例えば、膜状の弁4と一方向弁8とをともに備える通気部材1であってもよいし、上述した部材以外の任意の部材を備えていてもよい。
次に、本発明の通気筐体について説明する。
本発明の通気筐体は、本発明の通気部材1が、筐体の開口部に固定されていることを特徴としている。このため、筐体内部に曇りが生じるまでの時間が長いながらも、筐体内部が曇った場合に、生じた曇りを解消するまでの時間が短い通気筐体とすることができる。
本発明の通気部材を固定した通気筐体の種類は、特に限定されない。例えば、ヘッドランプ、リアランプ、フォグランプ、ターンランプ、バックランプ、モーターケース、圧力センサー、圧力スイッチ、ECUなどの電装部品、携帯電話、カメラ、電気カミソリ、電動歯ブラシ、ランプなどの電気製品の筐体などが挙げられる。なかでも、通気筐体が車両用ランプなどの車両用電装部品である場合に、得られる効果が大きい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
本実施例では、図7Aおよび図7B、あるいは、図9Aおよび図9Bに示すような、通気膜2、気体非透過性を有する膜状の弁4および多孔体5を備える通気部材を7種類作製し、各通気部材サンプルを筐体に固定した後、筐体内部に曇りが発生するまでの時間と、発生した曇りが解消されるまでの時間とを評価した。各々のサンプル間では、膜状の弁4の形状およびサイズは一定とし、多孔体5の径と、貫通孔6の開口部の面積とを変化させることにより、膜状の弁4が開いているときの通気膜2の通気面積Xと、膜状の弁4が閉じているときの通気膜2の通気面積Yとを変化させた。
各通気部材サンプルの作製方法を示す。
まず、PTFEファインパウダー100重量部と、液状潤滑剤である流動パラフィン30重量部とを混練して得たペーストを予備成形した後に、ペースト押出法により丸棒状に成形してPTFE成形体を得た。次に、得られた成形体を圧延し、成形体に含まれる流動パラフィンをノルマルデカンを用いて抽出除去し、厚さ0.2mmのPTFE圧延シートを得た。次に、得られた圧延シートをその長さ方向に延伸した(延伸温度300℃、倍率20倍)後に、さらにその幅方向に延伸して(延伸温度100℃、倍率30倍)、PTFE多孔質体(厚さ5μm、耐水圧5kPa、透過気体の面速5.3cm/secにおける圧力損失が40Pa)を形成した。このようにして作製したPTFE多孔質体を、直径10mmφの円形状に打ち抜き、通気膜2とした。
次に、通気膜2とは別に、膜状の弁4を以下のようにして形成した。まず、PTFEディスパージョン(固形分60重量%、PTFE平均粒径0.3μmm、23℃における表面張力31.5mN/m、粘度25mPa・sec)をディッピング法によりアルミ箔に含浸させ、80℃で3分間および380℃で2分間の乾燥工程を3回繰り返した後、アルミ箔から剥離し、PTFE膜を得た。このようにして作製したPTFE膜を、外径10mmφ、内径5mmφのドーナツ状に打ち抜き、膜状の弁4とした。
このようにして作製した通気膜2および弁4を、PBTからなる支持体3に、市販の瞬間接着剤を用いて接着し、固定した後に、通気膜2の表面に、ポンチにより複数の貫通孔6を形成した粘着テープ(基材:厚さ25μmのPET、粘着材:シリコーン系粘着材(東レダウコーニングシリコーン社製、SH4280)を多孔体5としてさらに貼付し、図7Aおよび図7Bに示すような通気部材1(サンプル1)を作製した。サンプル1における通気膜2の通気面積Yは0.02cm2であり、通気面積Xは0.6cm2であった。
実施例サンプルであるサンプル2〜5は、サンプル1と同様に作製した。ただし、多孔体5の径と、貫通孔6の開口部の面積を変化させることにより、通気膜2の通気面積Xおよび/または通気面積Yを変化させた(以下の表1参照)。
比較例であるサンプルAは、通気膜2および膜状の弁4を支持体3に固定した後に、膜状の弁4全体を通気膜2にさらに接着した以外は、サンプル1と同様にして作製した。サンプルAでは、弁4が通気膜2から離れることができないため、サンプルAにおける通気膜2の通気面積は常に0.02cm2となる。
別の比較例であるサンプルBは、膜状の弁4および多孔体5を配置することなく、上記のようにして作製した通気膜2のみを支持体3に固定して作製した。サンプルBにおける通気膜2の通気面積は、常に0.6cm2となる。
このように作製した実施例サンプル1〜5および比較例サンプルA〜Bを筐体に固定し、筐体内部に曇りが発生するまでの時間と、発生した曇りが解消されるまでの時間とを評価した。以下に各時間の評価方法を示す。
まず、筐体として、アクリルからなる立方体状の透明容器(一辺15cm)を準備し、準備した筐体に、直径10mmφの開口部を一つ設けた。その後、この筐体を、40℃の乾燥槽内で24時間保持し、筐体内部を完全に乾燥させた。次に、筐体を乾燥雰囲気下に保持したまま、上記のようにして作製した各通気部材サンプルを、両面テープを用い、図11に示すように筐体の開口部に接着、固定した。
次に、通気部材を固定した筐体を、温度25℃、相対湿度(RH)65%の恒温恒湿槽に収容した。収容後、3時間、6時間および12時間のタイミングで恒温恒湿槽から取り出し、筐体における通気部材を固定した面とは反対側の面を、5℃に保持した水槽に5分間水没させて、筐体内部に曇りが生じるかどうかを確認した。内部に曇りが発生した筐体については、その後、温度40℃、相対湿度(RH)65%の雰囲気下に置き、筐体内部の曇りが解消されるまでの時間を測定した。
評価結果を以下の表1に示す。
Figure 0004913239
表1に示すように、サンプル1〜5では、サンプルAおよびBに比べて、筐体内部に曇りが生じるまでの時間を長く保ちながらも、筐体内部に生じた曇りを解消するまでの時間を短くすることができた。
本発明によれば、筐体内部に曇りが生じるまでの時間を長く保ちながらも、筐体内部が曇った場合に、生じた曇りを解消するまでの時間を短くできる通気部材と、それを用いた通気筐体とを提供できる。
本発明の通気部材は、様々な筐体に、特に限定なく用いることができる。本発明の通気部材を用いた通気筐体として、例えば、ヘッドランプ、リアランプ、フォグランプ、ターンランプ、バックランプなどの車両用ランプ:モーターケース、圧力センサー、圧力スイッチ、ECUなどの車両用電装部品:携帯電話、カメラ、電気カミソリ、電動歯ブラシ、屋内用ランプ、屋外用ランプなどの電気製品などが挙げられる。
1 通気部材
2 通気膜
3 支持体
4 膜状の弁
5 多孔体
6 貫通孔
7 (気体を実質的に透過しない)部材
8 一方向弁
9 支持層
11 保護カバー
12 凸部
13 開口部
21 固定部材
101 通気部材
102 通気膜
103 支持体
104 保護カバー
105 筐体
106 開口部

Claims (8)

  1. 筐体の開口部に固定された状態で、前記開口部を通過する気体が透過する通気膜と、
    前記通気膜を支持する支持体と、
    前記通気膜の一部の領域における前記気体の透過に対する障害となるように配置された一方向弁とを備え、
    前記一方向弁の一部が、前記通気膜および前記支持体から選ばれる少なくとも1つに固定され、
    前記一方向弁が、前記通気膜の一部を被覆するように前記通気膜の表面に接して配置された膜状の弁であり、
    前記膜状の弁の端部の少なくとも一部が、前記通気膜を所定の一方向に透過する気体の圧力によって、前記表面から前記一方向に離間可能であり、
    前記離間に伴う、前記端部の当該少なくとも一部の変形が可逆的であり、
    前記端部の当該少なくとも一部が、前記表面から前記一方向に離間したときに、前記膜状の弁による前記気体の透過に対する障害が緩和され、
    前記通気膜が、フッ素樹脂の多孔膜および/またはポリオレフィンの多孔膜を含むことを特徴とする通気部材。
  2. 前記通気膜は、前記通気膜の外周端において、前記支持体に支持され、
    前記膜状の弁は、前記膜状の弁における前記支持体に接する外周端において、前記支持体および前記通気膜から選ばれる少なくとも1つに固定され、
    前記膜状の弁の内周端が、前記一方向に透過する気体の圧力によって前記表面から離間可能である請求項1に記載の通気部材。
  3. 前記膜状の弁に囲まれた開口部が前記通気膜の表面に形成されるように、前記膜状の弁が配置されている請求項2に記載の通気部材。
  4. 前記内周端が前記通気膜の表面に接している状態で、前記内周端の端面同士が互いに離間している請求項2に記載の通気部材。
  5. 前記膜状の弁が、実質的に気体を透過しない請求項1に記載の通気部材。
  6. 前記膜状の弁の端部の前記少なくとも一部が前記通気膜の表面に接しているときの前記通気膜の通気面積Yに対する、当該少なくとも一部が前記通気膜の表面から離間しているときの前記通気膜の通気面積Xの比X/Yが、3以上である請求項5に記載の通気部材。
  7. 前記通気膜がフッ素樹脂の多孔膜を含み、
    前記フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレンである請求項1に記載の通気部材。
  8. 請求項1に記載の通気部材が、筐体の開口部に固定されており、
    前記通気部材が備える膜状の弁の端部の少なくとも一部が通気膜の表面から離間する方向が、前記筐体の内部から外部へ気体が通過する方向であることを特徴とする通気筐体。
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