JP4912387B2 - 非線形光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、非線形光素子に関し、特に光通信システムにおいて用いられる波長変換機能を有する非線形光素子に関する。
現在の光ネットワークを活用し、通信容量を飛躍的に増大させる技術として波長分割多重(WDM,Wavelength Division Multiplexing)通信技術の研究開発が進展してきている。WDM通信において、波長の異なる複数の光信号を交換機で電気信号に変換せずに光のまま処理できれば、超高速の信号処理が可能となる。
これを実現する上で必要となる全光波長変換技術の研究も進展してきており、その代表的な方法として(1)半導体光増幅器の相互利得変調、相互位相変調を利用する方法、(2)非線形光学結晶の2次非線形効果である和周波、差周波発生を活用する方法が提案されている。後者の非線形光学結晶とは、入射光の電界Eに対して結晶の電気分極率Pが、P=ε0(χ(1)E+χ(2)2+χ(3)3+・・・)のように非線形応答を含む応答を示す結晶のことであり、中心対称性のないχ(2)成分の大きいLiNbO3などの結晶がよく使用される。ここで、ε0は真空中の誘電率である。特に和周波、差周波発生を高効率に行うため、非線形結晶中の伝播光の位相整合を有効に行うことができる周期分極反転構造を用いた擬似位相整合(QPM,Quasi-Phase Matching)法が提案されており、この周期分極反転構造を持つLiNbO3(QPM−LM)素子が開発されている。
上記の波長変換の特徴としては、(1)の方法では、変換先の波長に等しい波長の光(トリガー光)を外部から予め入力する必要があり、任意の波長の光を自在に発生することはできない。一方(2)の方法では、入力しない波長の光でも発生させることができ、トリガー光を発生するレーザ装置を不要とし、煩雑な装置構成も回避できる特長がある。
そこで、(2)の波長変換を取り上げ、光通信分野でよく使用されるカスケード型差周波発生を例にとって以下で説明を行う(図1参照)。図1に、WDM通信での波長変換の一例を説明する図を示す。信号光1は複数個の波長で構成されている。カスケード型波長変換においては、励起光2はSHG光3へ一旦変換され、SHG光3と信号光1が差周波発生を行い、変換光4が出力される。このため、変換光4と信号光1は、励起光2を中心にして対称に出力される。なお、ここでは、カスケード型差周波発生を例にとっているが、外部からSHG光3と同じ波長の励起光を独立に入射しても同様の差周波発生が行われる。
励起光2の波長を掃引すると、SHG光3の波長もシフトし、それに伴って変換光4の波長もシフトすると考えられるが、実際には信号光1とSHG光3および変換光4が以下に示されるような擬似位相整合条件(QPM条件)を満足するように波長のシフトを行わないと、変換光の効率が極度に低下してしまうという問題を生じる。
この問題を解決するために離散的ではあるが、QPM条件を満足し、波長シフトを実現できる多重周期QPM構造が提案されている(特許文献1および非特許文献1参照)。この構造により図2に示されるように変換効率を低下させずに変換光4の波長を離散的にシフトさせることができる。
以下に、この原理の簡単な説明とその際に生じる問題点について説明する。
図3に、QPM−LN素子を含む波長変換装置の構成を示す。この装置は、信号光l(波長λ1)と励起光2を合成する合波器5とQPM−LN素子6、および変換光4(波長λ2)と非変換光7を分離する分波器8から構成されている。非変換光7は、信号光1に加えて、QPM−LN素子6内で発生するSHG光(波長λ3)に完全に変換されずに残留した励起光2、および変換光4に完全に変換されずに残留したSHG光3のことを指す。WDM通信では、信号光1の波長は複数個あるが、それらのうちの代表する1つを波長λ1とする。信号光1に波長の分布がある場合でも、QPM条件は信号光波長に対しては大きなトレランスがあるため、WDM光を一括して変換できる。
図3に示すQPM−LN素子6には、信号光1とSHG光3および変換光4の電界強度を増大させるための光導波路9を設けている。光導波路9のないバルクのQPM−LN素子でも波長変換は実現されるが、電界強度が低下するため、変換効率が減少する。
QPM−LN素子を含む波長変換装置では、信号光1の波長をλ1、QPM−LN素子6内で発生するSHG光の波長をλ3とすると、以下の関係式を満たす波長λ2の変換光4を出力することができる。
Figure 0004912387
QPM−LM素子6の2次非線形定数がd(z)のように光の伝播方向zの関数として変調されている場合、変換光5のパワーは
Figure 0004912387
という量に比例する。ここにjは虚数単位、Lは全素子長、Δβは位相不整合量で
Figure 0004912387
と定義される。ここにni(i=1,2,3)は、波長λi(i=1,2,3)に対する屈折率である。関数d(z)が周期Λ0の一様周期の関数である場合、フーリエ係数dmを用いてd(z)は
Figure 0004912387
と展開される(m:整数)。これを用いて変換光4への変換効率ηを計算すると
Figure 0004912387
という結果が得られる。ここに、η0はΔβ=2πm/Λ0で実現される変換効率の極大値である。このη0は、1/m2に比例するため、η0が最大となるようにm=1とおき、Λ0がΔβ=2π/Λ0の下で、Λ0を最適設計する必要がある。
一方、多重周期QPM−LN素子では、関数d(z)内にΛ0と異なる周期Λphを持つ位相項φ(z)を導入してd(z)に変調を加え、位相整合条件をΔβ=2π/Λ0+2πl/Λph(l:整数)と変化させることができる。これにより離散的ではあるが、より広い波長範囲で位相整合を実現できる(特許文献1および非特許文献1参照)。
また、所与の整数値lにおける変換効率ηの取り得る値を変換効率η(l)と表記することにする。この変換効率η(l)がN本のlに対して一定で、SHG光のスペクトルも平坦になれば、波長シフト後の変換光の出力も一定となるため、WDM通信での波長変換では重要な条件となる。
変換効率η(l)がlによって変動しないようにするためには、次式
Figure 0004912387
のδを最小にするように位相関数φ(z)がφ(z)=φ(z+Λph)の条件を満たしつつ、φ(z)の形状を変化させる。これによりN本の変換効率η(l)がηnorm/Nに極めて近い値に揃ったSHG光のスペクトルを得ることができる。ここにηnormは、周期Λ0の一様周期の場合に実現される変換効率である。
特許第3971660号明細書 M.Asobe, O.Tadanaga, H.Miyazawa, Y.Nishida, and H.Suzuki, "Multiple quasi-phase-matched device using continuous phase modulation of χ(2) grating and its application to variable wavelength converslon", IEEE Journal of Quantum Electronics, 2005, Vol.41, pp.1540-1547
しかしながら、上記の多重周期QPM−LN素子を用いた波長変換は、QPM条件の位相整合曲線において、図4に示されるようにSHG光のピーク間の波長でもある程度の変換効率が得られてしまうという課題があった。すなわち、このピーク間の裾野の変換効率のためにWDM通信では、信号光の他のチャンネル成分(○印)と変換光の成分(●印)の間で和周波発生(SFG)が起こり、ピーク間にSFG光を発生してしまう。このSFG光を中心として信号光波長が変換光波長域に変換されるため、クロストーク光として変換光へ重畳されてしまうといった課題があった。
WDM通信において、ある変換光成分に別の信号光成分が重畳されてクロストークとなると、SN比が劣化するため、WDM信号を分波器で一波ずつに分離して各々を別の配信先に伝送した際、信号の符号誤りを引き起こす。
さらに、素子の性能向上の一つとして出力を増大させることは必須であるが、励起光の出力を増大させるか、または導波路径を小さくしてパワー密度を上昇させるなどの方法で、これに対処すると前述のピーク間に存在する余分な光成分も増大し、クロストークも増加してしまう。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、カスケード型差周波発生において波長変換を行う際、変換光に重畳される余分な信号光の成分を大幅に低減し、出力が増大してもクロストークが最小限に抑制できる非線形光素子を提供することにある。
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、2次非線形定数の符号が光の進行方向に対して周期的に反転した基本周期Λ0の周期構造を有する非線形光学媒質を有し、且つ、前記周期構造の位相変化を与える関数が周期Λphごとに繰り返されている非線形光素子であって、次式
Figure 0004912387
を満たす3波長λ1、λ2、λ3のうちの1波長または2波長を持つ光を入力し、前記3波長の何れかで、且つ、入力波長と異なる波長へ変換された光を出力する非線形光素子において、前記非線形光素子の周期構造は、前記非線形光素子の隣り合った符号の異なる2次非線形定数を有する2つの領域を1つの分極反転ペアとしたときの、前記分極反転ペアの一方の符号の領域長と両方の符号の領域を含む分極反転ペア長の比であるデューティ比を、前記非線形光素子の全てのペアのデューティ比を表す制御関数であって、前記非線形光素子の両端の前記ペアから中心の前記ペアに向かってデューティ比が双曲正接型関数的に増大する制御関数と、前記3波長λ1、λ2、λ3の媒質中の屈折率をそれぞれn1、n2、n3として、次式
Figure 0004912387
で与えられる位相不整合量Δβが2π/Λ0+2πl/Λph(l:整数)に一致する時に発生する複数の変換効率のピークが同じ値となるように最適化された前記周期構造の位相変化を与える関数とに基づき設定されたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の非線形光素子において、前記非線形光素子の全長をLとし、光の進行方向をz方向とするとき、前記制御関数であるf(z)は、パラメータaを用いて次式
Figure 0004912387
で与えられる双曲正接型関数であることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の非線形光素子において、前記非線形光素子の全長をLとし、光の進行方向をz方向とするとき、前記制御関数であるf′(z)は、パラメータaを用いて次式
Figure 0004912387
で与えられる双曲正接型関数であることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、2次非線形定数の符号が光の進行方向に対して周期的に反転した基本周期Λ0の周期構造を有する非線形光学媒質を有し、且つ、前記周期構造の位相変化を与える関数が周期Λphごとに繰り返されている非線形光素子であって、次式
Figure 0004912387
を満たす3波長λ1、λ2、λ3のうちの1波長または2波長を持つ光を入力し、前記3波長の何れかで、且つ、入力波長と異なる波長へ変換された光を出力する非線形光素子において、前記非線形光素子の周期構造は、前記非線形光素子全体の2次非線形定数の平均的分布を表す制御関数であって、前記非線形光素子の両端付近において2次非線形定数の一方の符号を持つ複数の領域のうち、一部の領域の符号を選択的に反転させ、前記非線形光素子の中心に近づくにつれて符号反転の頻度を低減するような双曲正接型関数である制御関数と、前記3波長λ1、λ2、λ3の媒質の屈折率をそれぞれn1、n2、n3として、次式
Figure 0004912387
で与えられる位相不整合量Δβが、2π/Λ0+2πl/Λph(l:整数)に一致する時に発生する複数の変換効率のピークが同じ値となるように最適化された前記周期構造の位相変化を与える関数とに基づき設定されたことを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の非線形光素子において、前記非線形光素子の全長をLとし、光の進行方向をz方向とするとき、前記制御関数であるf(z)は、パラメータaを用いて次式
Figure 0004912387
で与えられる双曲正接型関数であることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の非線形光素子において、前記非線形光素子の全長をLとし、光の進行方向をz方向とするとき、前記制御関数であるf′(z)は、パラメータaを用いて次式
Figure 0004912387
で与えられる双曲正接型関数であることを特徴とする。
さらに、請求項7に記載の発明は、請求項3又は6に記載の非線形光素子において、前記パラメータaは前記ピーク間に生じるリップル値を最小化するように設定されたことを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れか1項に記載の非線形光素子において、前記非線形光学媒質としてLiNbO3、KNbO3、LiTaO3、KTiOPO4、LiNbXTa1-X3(0≦x≦1)、およびそれらにMg、Zn、In、Scから選ばれた少なくとも一種類の元素を添加した材料を使用することを特徴とする。
本発明によれば、カスケード型差周波発生において波長変換を行う際、変換光に重畳される余分な信号光の成分を大幅に低減し、出力が増大してもクロストークが最小限に抑制することが可能になる。
(実施形態1)
図5に、本発明の一実施形態に係る非線形光素子であるデューティ比の制御された多重周期QPM−LN素子10を備えた波長変換装置の構成を示す。波長変換装置11は、多重周期QPM−LN素子10へ入力する信号光1の発生装置、および励起光2の発生装置を含む。
波長変換装置11では、複数個の光源12から出力されたレーザ光がそれぞれ異なる波長を有しており、それらは変調器13で波長毎に異なる信号が重畳される。その後、合波器5で合波され、光ファイバ14を介して信号光1として多重周期QPM−LM素子10内の光導波路9に送信される。一方、波長可変光源15から発生した励起光2は、非線形光学効果を増強するため、光増幅器16を通過させてパワー増大後、光カプラ17で信号光1と合波し、光導波路9に入力される。信号光1と励起光2とが光導波路9に入力されると、光導波路9内で波長変換を生じ、波長フィルタ18を通して所望の変換光4が取り出される。
次に多重周期QPM−LN素子10の構造について詳しく述べる。多重周期QPM−LN素子10において、ある方向に向いた分極のドメインとそれと隣り合った反対向きの分極のドメインを1つのペアとして考え、各ペアの長さをDとする。ペアの長さDとペア内の一方向の分極のドメインの占有領域Δとの比Δ/D(これをデューティ比という)を全てのペアに対して所与の関数f(z)で制御することを考える。すなわち、Δ/D=f(z)と置き、Δ/Dをzの関数として変化させる(図6参照)。ここに、zは光の進行方向に沿って素子の一端(z=0)から計った距離であり、素子の全長をLとすると他端はz=Lである。
関数f(z)が0≦z≦Lにおいてf(z)=1/2のような一定値を取る場合、z=0とz=Lにおいてf(z)の変化が急峻になる。このような急峻な変化は、図4に示すようなSHG光3のピーク間でのリップル(即ち、○成分と●成分のSFGによるリップル)の発生原因となるため、f(z)をz=0とz=Lの近傍で緩やかに変化させるような関数を使用することにより、ピーク間でのリップル発生を低減する。
使用する関数としては、比較のための原型の関数(a)、f(z)=1/2(0≦z≦L)として、ガウス型関数(b)、放物線型関数(c)、正弦波型関数(d)、および双曲正接型関数(e)を用い、SHG光3のスペクトルを解析した。この解析での重要な点は、様々な関数形のf(z)を使用し、且つ、SHG光3のピーク値η(l)(l=1,2,・・・,N(N=5))が平坦になるように次式
Figure 0004912387
のδを最小にするように位相関数φ(z)の最適化を行っていることにある。
図7(a)〜(e)に、上記関数(a)〜(e)の場合に平坦化されたスペクトルの結果を示す。図7(b)〜(e)を比べると、図7(b)は各ピークの周囲に図7(c)〜(e)よりも高い値を有しており、図7(c)、(d)は図7(e)よりもピーク間の中央よりに高い値、すなわちリップルを有している。すなわち、次式
Figure 0004912387
で与えられる双曲正接型関数(e)の場合に最も良好な結果が得られた。以下、この双曲正接型関数(e)の場合について詳細な解析を行う。ここで、aは無次元量のパラメータであり、以下では、アポダイズ・パラメータと呼ぶ。図8に、アポダイズ・パラメータaを変化させていった場合の関数f(z)の変化の様子を示す。
図9(a)に、双曲正接型関数(e)の場合にSHG光のピーク間のリップル値がアポダイズ・パラメータの関数として変化する様子を示す。図9(a)では、リップル値はピーク値で規格化されている。図9(a)は、アポダイズ・パラメータaが小さくなるにつれて、リップル値が低減されることを示している。双曲正接型関数(e)は、a→∞とすると原型(a)に関数形f(z)が一致するため、図9のアポダイズ・パラメータaが大きい部分(a>>1)と小さい部分を比較すると、原型(a)と比べた場合のリップル値の低減率を得ることができる。図9(a)に示すように、アポダイズ・パラメータaが1近傍で、原型(a)と比較してリップル値が約15dB低減される。
図9(b)に、同時にQPMピーク波長におけるSHG光3への変換効率を解析した結果を示す。変換効率は、アポダイズ・パラメータaが小さくなるに従って低下する。これは図8に示した双曲正接型関数f(z)が、アポダイズ・パラメータaが減少するにつれて振幅が小さくなり、上向き(または下向き)分極を持つ実効的な2次非線形定数値が小さくなってQPM効果も弱まるからである。
このように、アポダイズ・パラメータaを小さくすると、リップル値が低減される一方で、変換効率も低下するという問題が生じる。
次に、このジレンマを解決するために、双曲正接型関数f(z)の振幅を制御し、振幅の最大値が常に一定(=1/2)であるような補正関数f′(z)を採用する。図10に、この補正関数f′(z)関数を示す。ここで、補正関数f′(z)は次式
Figure 0004912387
で与えられる。
図11に、補正関数f′(z)を使用した場合の変換効率を示す。変換効率は、アポダイズ・パラメータaが減少するにつれて低下するが、有限値に収束し、それ以上低下しない。これはアポダイズ・パラメータaが減少するにつれて補正関数f′(z)が三角形に漸近していき、仮にa=0となっても補正関数f′(z)は有限の半値幅を持ち、上向き(または下向き)分極を持つ2次非線形定数の分布も実効的に有限の領域に留まるからである。
次に図12に、補正関数f′(z)を使用した場合のリップル値を示す。リップル値は、アポダイズ・パラメータaが減少するにつれて低下する傾向を示すが、a=0.85付近で下限値をとった後、増加する。これは補正により理想的な関数形状からの変形が大きくなったためである。最適値(a=0.85)でのリップル値は、原型関数(a)の場合と比較して約10dB低減できる。実際の素子設計でもこの最適値を使用した。
このように本発明は、変換効率とリップル値とをバランスすることができる。発明の効果は、上向き(または下向き)分極を持つ2次非線形定数の分布が、素子両端から中心へ向かって徐々に増大し、中心で最大となるような関数に従い、関数形としては式(2)または式(3)の場合に有効に発揮される。
(実施形態2)
分極反転ペアのデューティ比を制御する実施形態1と同様に変換効率とリップル値とをバランスさせる効果を有する、多重周期QPM−LN素子10の周期構造の別の設定方法について説明する。
すなわち、各ペアのデューティ比は固定しておき、その代わり、上向き(あるいは下向き)の分極のドメインを素子の両端付近で反対方向に多数反転させ、その近傍の2次非線形定数値を実効的に低減し、素子の中心付近では反転の頻度を低減し、2次非線形定数値を大きくして、且つ、2次非線形定数の分布が式(2)または式(3)に従うような方法をとってもよい。
図13(a)に、本発明の実施形態2に係る多重周期QPM−LN素子の構造を示す。図13(a)(1)に示すように、デューティ比が固定(Δ/D=1/2)された多重周期QPM−LN素子において、左端から点線で示すような一定の長さの区間に区切り、図13(a)(2)のように、左端の区間では分極ドメインが多数反転し、中心部へ進むに従って徐々に反転頻度が減少していき、中心部を過ぎると反転頻度が再度増加し、右端の区間で多数のドメイン反転が生じるようにする。
図13(b)に、本発明の実施形態2に係る多重周期QPM−LN素子のSHG位相整合曲線のスペクトル図を示す。このスペクトル図は、多重周期QPM−LN素子の2次非線形定数の分布が式(3)に従うようにドメイン反転を行い、アボダイズパラメータとしてa=0.85と設定した多重周期QPM−LN素子に基づき算出したものである。ピーク間のリップルが充分に低減されていることが確認できる。
尚、多重周期QPM−LN素子10の非線形光学材料としては、LiNbO3、KNbO3、LiTaO3、KTiOPO4、LiNbXTa1-X3(0≦x≦1)、およびそれらにMg、Zn、In、Scから選ばれた少なくとも一種類の元素を添加した材料が好ましい。Mg、Zn、In、Scは、光損傷耐性を向上させるために添加されている。上記の非線形光学材料を用いることにより、常温でも自発分極があり、分極方位と反対方向に電界を加えて分極を容易に反転できるという高い制御性が得られるため、本発明のような複雑な周期分極反転構造の作成に適している。また、複雑な周期分極反転構造が設計通りに正確に作製できるので、歩留まりの高い素子生産が可能となる。
従来のカスケード型差周波発生の波長変換において、励起光と変換光の波長が固定されている場合の波長変換を示した図である。 従来の多重周期QPM−LN素子を用いて励起光の波長を可変化し、変換光の波長も可変となった場合の波長変換を説明した図である。 従来の多重周期QPM−LN素子を有する波長変換装置を説明する図である。 従来の多重周期QPM−LN素子を用いて波長変換を行う場合の問題点を説明した図である。 本発明の非線形光素子が用いられる波長変換装置を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る非線形光素子であるデューティ比の制御された多重周期QPM−LN素子でデューティ比の制御方法を説明した図である。 本発明の非線形光素子である多重周期QPM−LN素子の周期構造をデューティ比の制御関数として(a)が原型の関数を用い、(b)がガウス型関数を用い、(c)が放物線型関数を用い、(d)が正弦波型関数を用い、(e)が双曲正接型関数を用いて設定した場合のSHG光のスペクトルを示す図である。 本発明の非線形光素子である多重周期QPM−LN素子において、デューティ比の制御関数として使用する双曲正接型関数(式(2))を示す図である。 本発明の非線形光素子である多重周期QPM−LN素子を用いて励起光をSHG光に変換した際に発生する(a)がリップル値と(b)が変換効率を示す図である。 本発明の非線形光素子である多重周期QPM−LN素子において、デューティ比の制御関数(式(2))を補正した関数(式(3))を示す図である。 本発明の非線形光素子である多重周期QPM−LN素子の制御に補正した関数(式(3))を用いた場合の変換効率を表した図である。 本発明の非線形光素子である多重周期QPM−LN素子の制御に補正した関数(式(3))を用いた場合のリップル値を示す図である。 (a)は、本発明の実施形態2に係る多重周期QPM−LN素子の構造を示す図であり、(b)は、本発明の実施形態2に係る多重周期QPM−LN素子のSHG位相整合曲線のスペクトル図である。
符号の説明
1 信号光
2 励起光
3 SHG光
4 変換光
5 合波器
6 QPM−LM素子
7 非変換光
8 分波器
9 光導波路
10 多重周期QPM−LM素子
11 波長変換装置
12 光源
13 変調器
14 光ファイバ
15 波長可変光源
16 光増幅器
17 光カプラ
18 波長フィルタ

Claims (8)

  1. 2次非線形定数の符号が光の進行方向に対して周期的に反転した基本周期Λ0の周期構造を有する非線形光学媒質を有し、且つ、前記周期構造の位相変化を与える関数が周期Λphごとに繰り返されている非線形光素子であって、次式
    Figure 0004912387
    を満たす3波長λ1、λ2、λ3のうちの1波長または2波長を持つ光を入力し、前記3波長の何れかで、且つ、入力波長と異なる波長へ変換された光を出力する非線形光素子において、
    前記非線形光素子の周期構造は、
    前記非線形光素子の隣り合った符号の異なる2次非線形定数を有する2つの領域を1つの分極反転ペアとしたときの、前記分極反転ペアの一方の符号の領域長と両方の符号の領域を含む分極反転ペア長の比であるデューティ比を、前記非線形光素子の全てのペアのデューティ比を表す制御関数であって、前記非線形光素子の両端の前記ペアから中心の前記ペアに向かってデューティ比が双曲正接型関数的に増大する制御関数と、
    前記3波長λ1、λ2、λ3の媒質中の屈折率をそれぞれn1、n2、n3として、次式
    Figure 0004912387
    で与えられる位相不整合量Δβが2π/Λ0+2πl/Λph(l:整数)に一致する時に発生する複数の変換効率のピークが同じ値となるように最適化された前記周期構造の位相変化を与える関数と
    に基づき設定されたことを特徴とする非線形光素子。
  2. 前記非線形光素子の全長をLとし、光の進行方向をz方向とするとき、前記制御関数であるf(z)は、パラメータaを用いて次式
    Figure 0004912387
    で与えられる双曲正接型関数であることを特徴とする請求項1に記載の非線形光素子。
  3. 前記非線形光素子の全長をLとし、光の進行方向をz方向とするとき、前記制御関数であるf′(z)は、パラメータaを用いて次式
    Figure 0004912387
    で与えられる双曲正接型関数であることを特徴とする請求項1に記載の非線形光素子。
  4. 2次非線形定数の符号が光の進行方向に対して周期的に反転した基本周期Λ0の周期構造を有する非線形光学媒質を有し、且つ、前記周期構造の位相変化を与える関数が周期Λphごとに繰り返されている非線形光素子であって、次式
    Figure 0004912387
    を満たす3波長λ1、λ2、λ3のうちの1波長または2波長を持つ光を入力し、前記3波長の何れかで、且つ、入力波長と異なる波長へ変換された光を出力する非線形光素子において、
    前記非線形光素子の周期構造は、
    前記非線形光素子全体の2次非線形定数の平均的分布を表す制御関数であって、前記非線形光素子の両端付近において2次非線形定数の一方の符号を持つ複数の領域のうち、一部の領域の符号を選択的に反転させ、前記非線形光素子の中心に近づくにつれて符号反転の頻度を低減するような双曲正接型関数である制御関数と、
    前記3波長λ1、λ2、λ3の媒質の屈折率をそれぞれn1、n2、n3として、次式
    Figure 0004912387
    で与えられる位相不整合量Δβが、2π/Λ0+2πl/Λph(l:整数)に一致する時に発生する複数の変換効率のピークが同じ値となるように最適化された前記周期構造の位相変化を与える関数と
    に基づき設定されたことを特徴とする非線形光素子。
  5. 前記非線形光素子の全長をLとし、光の進行方向をz方向とするとき、前記制御関数であるf(z)は、パラメータaを用いて次式
    Figure 0004912387
    で与えられる双曲正接型関数であることを特徴とする請求項4に記載の非線形光素子。
  6. 前記非線形光素子の全長をLとし、光の進行方向をz方向とするとき、前記制御関数であるf′(z)は、パラメータaを用いて次式
    Figure 0004912387
    で与えられる双曲正接型関数であることを特徴とする請求項4に記載の非線形光素子。
  7. 前記パラメータaは前記ピーク間に生じるリップル値を最小化するように設定されたことを特徴とする請求項3又は6に記載の非線形光素子。
  8. 前記非線形光学媒質としてLiNbO3、KNbO3、LiTaO3、KTiOPO4、LiNbXTa1-X3(0≦x≦1)、およびそれらにMg、Zn、In、Scから選ばれた少なくとも一種類の元素を添加した材料を使用することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の非線形光素子。
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