JP4908858B2 - 微細炭素繊維集合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コーティング材料等の電気特性、熱特性等の物理特性向上に適した添加剤として有用な微細炭素繊維集合体の製造方法、及びこの製造方法で得られた微細炭素繊維集合体を含有するコーティング材料に関する。
微細炭素繊維を製造する方法として、ベンゼン、トルエン又はキシレン等の炭素源となる炭化水素を気相中で熱分解する気相成長法が知られている。例えば、熱分解帯域に置かれた基板上に金属微粒子を散布し、そこから微細炭素繊維を成長させる基板法、浮遊する金属微粒子を触媒として微細炭素繊維を生成させる浮遊法などである。この気相成長法で得られる微細炭素繊維は、有機材料、無機材料及び金属材料等の母材の性能向上及び新規機能を発現させる添加物として期待されている。
しかし、この気相成長法により得られる微細炭素繊維は、非常に大きなアスペクト比を有し、また、微細炭素繊維同士の間にファンデルワールス力が働く。このため、製造された微細炭素繊維は、相互に密に絡み合った凝集状態で生成される(特許文献1及び特許文献2)。
例えば、基板法により得られる微細炭素繊維は、微細炭素繊維同士が互いに絡み合い粒状の凝集状態を形成している。また、浮遊法により得られる微細炭素繊維に関しても、絡み合いが生じる。凝集した微細炭素繊維を使用すると、樹脂等のマトリックス中において炭素繊維凝集体の分散が進まず、従来、凝集状態を形成した微細炭素繊維を細分化する方法が行われていた。
従来行われていた細分化方法としては、例えば特許文献1に示す振動ボールミルを使用して粉砕処理する手法、特許文献2に示すジェットミルにより粉砕する手法、特許文献3に示すボールミル、ロータースピードミル、カッティングミル、ホモジナイザー、振動ミル又はアトライタ等で機械的に粉砕する手法、並びに特許文献4に示す高速気流中衝撃処理装置を利用して高衝撃力を作用させて破断する手法などが挙げられる。
しかしながら、凝集した微細炭素繊維を粉砕して細分化する従来の手法には種々の問題点が存在する。例えば、圧壊に分類されるボールミルタイプの粉砕機では、粉砕メディアとして用いられる剛性ボールによって微細炭素繊維を押し潰し破壊しながら細分化が進行する為、微細炭素繊維自体の構造欠陥が生じ、このため、導電性等の物性が低下することとなる。また、セラミック球などの粉砕媒体を使用するとセラミック粉が発生し、このセラミック粉が不純物として細分化された微細炭素繊維に混入されることとなる。
また、ジェットミルで粉砕する場合には、微細炭素繊維の表面に存在する空気の層は、粉砕時、微細炭素繊維同士の衝突、又は、壁あるいは運動体との衝突において中間に存在して衝撃を抑え、粉砕効率の低下を招くという問題があった。
本発明の目的は、優れた電気特性、熱特性、機械特性を有する、円相当メディアン径(以下、メディアン径という)が30μm未満の微細炭素集合体の繊維集合体を得る微細炭素繊維集合体の製造方法を提供することである。また、本発明の目的はそのようにして得られた微細炭素繊維集合体を含有するコーティング材料を提供することである。
本発明は、(a)メディアン径が30μm以上の微細炭素繊維集合体と(b)その分散媒体(25℃で液体のもの)を含有する組成物を、加速し、乱流及び/又は衝突流を形成することで、組成物中に含まれる(a)成分にせん断力及び/又は衝撃を与えることにより、(a)成分を粉砕する工程(以下、本発明の粉砕工程という)を含む、メディアン径が30μm未満の微細炭素繊維集合体の製造方法であって、〔(a)成分を粉砕した後の微細炭素繊維集合体のID/IG〕/〔(a)成分を粉砕する前の微細炭素繊維集合体のID/IG〕(ID/IGはアルゴンレーザーの514nmにてラマン分光分析した測定値より算出)が0.7〜1.5である微細炭素繊維集合体の製造方法を提供するものである。
更に、本発明は、この製造方法で得られた微細炭素繊維集合体と有機バインダーを含有するコーティング材料を提供するものである。
本発明において、「微細炭素繊維集合体」とは外径が500nm以下の炭素繊維の集合体をいい、また、「メディアン径が30μm以上の微細炭素繊維集合体」は、例えば、微細炭素繊維集合体の合成後において得られる微細炭素繊維集合体であり、好ましくは、合成後に所定繊維集合体長とするために気流粉砕を施した後に得られた、メディアン径が30μm以上の微細炭素繊維集合体である。なお、特に限定されるものではないが、このメディアン径が30μm以上の微細炭素繊維集合体は、好ましくはメディアン径が30〜200μm、より好ましくは30〜100μm程度のものである。
ここでメディアン径とは、画像解析装置(例えば、シスメックス株式会社製FPIA3000)にて各微細炭素繊維集合体の輪郭内の面積を求め、各微細炭素繊維集合体の円相当径を計算し、個数基準でメディアン径として数値化したものである。
本発明によれば、微細炭素繊維集合体の導電性等の特徴的物性を著しく低下させることなく、粉砕された微細炭素繊維集合体を得ることができる。また、この製造方法で得られた微細炭素繊維集合体を導電コーティング材料の成分として使用すれば、塗膜中に微細炭素繊維集合体に起因する凝集体がなく、外観が良好な導電膜を得ることができる。
以下、本発明を実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明において、(a)メディアン径が30μm以上の微細炭素繊維集合体と(b)その分散媒体(25℃で液体)を含有する組成物を加速し、乱流及び/又は衝突流を形成することで、好ましくは剛性ビーズ等の分散メディア同士の衝突及び/又は摩擦によることなく、組成物中に含まれる(a)成分にせん断力及び/又は衝撃を与える方法として、例えば、つぎの方法を好ましく例示できる。
〔粉砕方法1〕
本発明の粉砕方法の一実施態様として、(a)成分と(b)成分の混合物を、回転する回転ロータと固定ステータとの間隙を通過させることにより、(a)成分と(b)成分の混合物にせん断力及び/又は衝撃を与える方法が挙げられる。このような方法においては、例えば、図5に示すように、比較的高速にて回転されるロータ1とステータ2との回転数の違いにより、ロータとステータの間のギャップ3において、高いせん断力と乱流エネルギーが与えられ、このギャップを通過する流体((a)成分と(b)成分を含有する組成物)中に含まれる(a)成分が粉砕されるものである。(a)成分はメディアン径が30μm未満に粉砕されるが、好ましくは30μm未満、より好ましくは20μm未満、最も好ましくは10μm未満に粉砕される。
この粉砕方法によれば、粉砕における微細炭素繊維集合体の損傷が少ないか、又は殆どないので、〔(a)成分を粉砕した後の微細炭素繊維集合体のI/I〕/〔(a)成分を粉砕する前の微細炭素繊維集合体のI/I〕が0.7〜1.5、好ましくは0.8〜1.4、より好ましくは0.9〜1.3の、(a)成分が粉砕された微細炭素繊維集合体を得ることができる。
このような方法を実施する装置としては、ロータ−ステータ式の高せん断インラインミキサーなどがあり、具体的には例えば、キャビトロン(商標名、(株)ユーロテック製)、マグネトロン(MAGNETRON、KINEMATIKA AG製)、YTRON-Z(YTRON製)、インラインミキサDR(IKA製)、インラインミキサDRS(IKA製)、インライン型ミキサー(SILVERSN製)などが例示される。
この場合において、(b)成分として使用される、メディアン径が30μm以上の微細炭素繊維集合体に対する分散媒体としては、微細炭素繊維集合体に対し安定で、粉砕処理温度、例えば25℃において液状のものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、アルコール類(多価アルコールを含む)、エーテル類、ケトン類、エステル類、芳香族溶媒、炭化水素溶媒、水あるいはこれらの混合物などを用いることが可能であるが、微細炭素繊維集合体に対して良好な分散特性を有し、かつ粉砕処理後において、容易に揮発、洗浄等によって除去可能なものが好ましく、低揮発性の水溶性媒体、例えば、炭素数1〜5の1価アルコールが好ましく、この中でも、エタノール、イソプロパノールが特に好ましい。
さらに、(a)成分と(b)成分を含有する組成物には、必要に応じて、(a)成分の分散剤を使用することが好ましい。このような分散剤として、例えばエチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体が使用される。
粉砕方法1に供される組成物中、(a)成分の含有量は、微細炭素繊維集合体の生産性、及び粉砕効率の観点より、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%である。また、この粉砕方法1に供される組成物の粘度としては、例えば、1〜10,000cps、より好ましくは1〜3,000cps程度であることが粉砕効率の上から望ましい。なお、この粘度は、粉砕処理温度における粘度が上記範囲にあれば良いが、一般的には常温(25℃±5℃)域における粘度である。
また、粉砕方法1に供される組成物中に、必要に応じて添加される分散剤の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%である。
なお、特に限定されるものではなく、使用する装置におけるロータとステータの形状、構成等によっても左右されるが、回転ローターの周速は例えば10〜50m/秒で運転され、また、ロータとステータとの間のキャップ間距離は、30μm〜0.5mm程度とされる。
また、粉砕方法1における回転ロータとステータの開口部頻度(チャンバーの圧縮〜開放の回数)は、好ましくは1〜5MHzである。
〔粉砕方法2〕
本発明の粉砕方法の他の一実施態様として、(a)成分と(b)成分を含有する組成物同士を対向衝突させる方法が挙げられる。例えば、当該組成物を加圧した後、チャンバー内で2つに分け、図6に示すように対向するノズル4,4へと導いて加速後、噴出させ、チャンバー中央部5にて対向衝突させて、(a)成分を粉砕後、導出ライン6によって排出することによって行われる。
(a)成分はメディアン径が30μm未満に粉砕されるが、好ましくは30μm未満、より好ましくは20μm未満、最も好ましくは10μm未満に粉砕される。
この粉砕方法によれば、粉砕における微細炭素繊維集合体の損傷が少ないか、又は殆どないので、〔(a)成分を粉砕した後の微細炭素繊維集合体のI/I〕/〔(a)成分を粉砕する前の微細炭素繊維集合体のI/I〕が0.7〜1.5、好ましくは0.8〜1.4、より好ましくは0.9〜1.3の、(a)成分が粉砕された微細炭素繊維集合体を得ることができる。
このような方法を実施する装置としては、高圧にて対向流を衝突させる湿式ジェットミル、具体的には、例えば、アルティマイザー(商標名、(株)スギノマシン製)、ナノマイザー(商標名、吉田興業(株))、マイクロフルイダイザー(商標名、みづほ工業(株))が例示される。この場合において、(b)成分として使用される、メディアン径が30μm以上の微細炭素繊維集合体の分散媒体及び分散剤、並びに粉砕方法2に供される組成物中のそれぞれの含有量、組成物の粘度等は粉砕方法1に記載したものと同様のものとすることができる。
また、湿式ジェットミルにおけるノズル4,4の圧力は例えば50〜250MPa、(a)成分と(b)成分を含有する組成物の流速は300〜900m/秒程度で運転される。
〔(a)成分として好ましいもの〕
外径が500nm以下の炭素繊維集合体であれば、本発明の製造方法の(a)成分として使用され得る。この中でも、微細炭素繊維集合体は、樹脂等のマトリックス中に添加したとき、その添加量が少なくても十分な電気的特性、機械的特性、熱的特性等を発揮させるために、可能な限り微細炭素繊維を用い、さらにこれら炭素繊維が一本一本ばらばらなることなく互いに強固に結合し、疎な構造で樹脂中に保持される構造を有する炭素繊維構造体の集合体であることが好ましく、また炭素繊維自体の一本一本が極力欠陥の少ない炭素繊維構造体の集合体であることが好ましい。
すなわち、本発明の粉砕方法1又は2に供される微細炭素繊維集合体として、外径15〜100nmの炭素繊維から構成される3次元ネットワーク状の構造を有する炭素繊維構造体の集合体であって、前記3次元ネットワーク状炭素繊維構造体は、前記炭素繊維が複数延出する態様で、当該炭素繊維を互いに結合する粒状部を有しており、かつ当該粒状部は前記炭素繊維の成長過程において形成されてなるものであることが好ましい。
このような炭素繊維構造体は、例えば、図3に示すSEM写真または図4(a)および(b)に示すTEM写真に見られるように、外径15〜100nmの炭素繊維構造体から構成される3次元ネットワーク状の炭素繊維構造体であって、前記炭素繊維構造体は、前記炭素繊維が複数延出する態様で、当該炭素繊維を互いに結合する粒状部を有するものである。
炭素繊維構造体を構成する炭素繊維の外径を、好ましくは15〜100nmの範囲のものとするのは、外径がこの範囲にある炭素繊維を、樹脂等のマトリックスへ改質剤、添加剤として使用た場合、高い導電性が得られるためである。この外径範囲のもので、筒状のグラフェンシートが軸直角方向に積層したもの、すなわち多層であるものは、曲がりにくく、弾性、すなわち変形後も元の形状に戻ろうとする性質が付与されるため、炭素繊維構造体が一旦圧縮された後においても、樹脂等のマトリックスに配された後において、疎な構造を採りやすくなる。
なお、2400℃以上でアニール処理すると、積層したグラフェンシートの面間隔が狭まり真密度が1.89g/cm3から2.1g/cm3に増加するとともに、炭素繊維の軸直交断面が多角形状となる。この構造の炭素繊維は、積層方向および炭素繊維を構成する筒状のグラフェンシートの面方向の両方において緻密で欠陥の少ないものとなるため、曲げ剛性(EI)が向上する。
加えて、該微細炭素繊維は、その外径が軸方向に沿って変化するものであることが望ましい。このように炭素繊維の外径が軸方向に沿って一定でなく、変化するものであると、樹脂等のマトリックス中において当該炭素繊維に一種のアンカー効果が生じるものと思われ、マトリックス中における移動が生じにくく分散安定性が高まるものとなる。
そして、このような炭素繊維構造体においては、このような所定外径を有する微細炭素繊維が3次元ネットワーク状に存在するが、これら炭素繊維は、当該炭素繊維の成長過程において形成された粒状部において互いに結合され、該粒状部から前記炭素繊維が複数延出する形状を呈しているものである。このように、微細炭素繊維同士が単に絡合しているものではなく、粒状部において相互に強固に結合されているものであることから、樹脂等のマトリックス中に配した場合に当該構造体が炭素繊維単体として分散されることなく、嵩高な構造体のままマトリックス中に分散配合さることができる。また、このような炭素繊維構造体においては、当該炭素繊維の成長過程において形成された粒状部によって炭素繊維同士が互いに結合されていることから、その構造体自体の電気的特性等も非常に優れたものであり、例えば、一定圧縮密度において測定した電気抵抗値は、微細炭素繊維の単なる絡合体、あるいは微細炭素繊維同士の接合点を当該炭素繊維合成後に炭素質物質ないしその炭化物によって付着させてなる構造体等の値と比較して、非常に低い値を示し、マトリックス中に分散配合された場合に、良好な導電パスを形成ることができる。
さらに、特に限定されるわけではないが、この粒状部の粒径は、図2に示すように、前記微細炭素繊維の外径よりも大きいことが望ましい。このように炭素繊維相互の結合点である粒状部の粒径が十分に大きなものであると、当該粒状部より延出する炭素繊維に対して高い結合力がもたらされ、樹脂等のマトリックス中に当該炭素繊維構造体の集合体である微細炭素繊維集合体を配した場合に、ある程度のせん力を加えても、3次元ネットワーク構造を保持したままマトリックス中に分散させることができる。なお、本明細書でいう「粒状部の粒径」とは、炭素繊維相互の結合点である粒状部を1つの粒子とみなして測定した値である。
さらに、(a)成分として使用される微細炭素繊維集合体における炭素繊維構造体は、3次元ネットワーク状に存在する炭素繊維が粒状部において互いに結合され、該粒状部から前記炭素繊維が複数延出する形状を呈しており、このため当該構造体は炭素繊維が疎に存在した嵩高な構造を有するが、具体的には、例えば、(a)成分の嵩密度が0.0001〜0.05g/cm3、より好ましくは0.001〜0.02g/cm3であることが望ましい。嵩密度が0.05g/cm3以下の場合、少量添加によって、樹脂等のマトリックスの物性を改善することができるため好ましい。
また、(a)成分として使用される微細炭素繊維集合体における炭素繊維構造体は、3次元ネットワーク状に存在する炭素繊維がその成長過程において形成された粒状部において互いに結合されていることから、上記ように構造体自体の電気的特性等も非常に優れたものであるが、例えば、一定圧縮密度0.8g/cm3において測定した粉体抵抗値が、0.02Ω・cm以下、より望ましくは、0.001〜0.010Ω・cmであることが好ましい。粉体抵抗値が0.02Ω・cm以下の場合、樹脂等のマトリックスに配合された際に、良好な導電パスを形成することができるため好ましい。
さらに、(a)成分の酸化温度は、750℃以上であることが好ましい。前記ように炭素繊維構造体において欠陥が少なく、かつ炭素繊維が所期の外形を有するものであることから、このような高い熱安定性を有するものとなる。
また、(a)成分として使用される微細炭素繊維集合体は、高い強度および導電性を有する上から、炭素繊維を構成するグラフェンシート中における欠陥が少ないことが望ましく、具体的には、例えば、ラマン分光分析法で測定されるID/IG比が、0.2以下、より好ましくは0.1以下であることが望ましい。ここで、ラマン分光分析では、大きな単結晶の黒鉛では1580cm-1付近のピーク(Gバンド)しか現れない。結晶が有限の微小サイズであることや格子欠陥により、1360cm-1付近にピーク(Dバンド)が出現する。このため、DバンドとGバンドの強度比(R=I1360/I1580=ID/IG)が上記ように所定値以下であると、グラフェンシート中における欠陥量が少ないことが認められるためである。
上記ような所期の形状を有する炭素繊維構造体の集合体である微細炭素繊維集合体((a)成分)は、特に限定されるものではないが、例えば、次のようにして調製することができる。
基本的には、遷移金属超微粒子を触媒として炭化水素等の有機化合物をCVD法で化学熱分解して炭素繊維集合体(以下、中間体という)を得、これをさらに高温熱処理(アニール)する。
原料有機化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素、一酸化炭素(CO)、エタノール等のアルコール類などが使用できる。特に限定されるわけではないが、本発明に係る微細炭素繊維集合体を得る上においては、炭素源として、分解温度の異なる少なくとも2つ以上の炭素化合物を用いることが好ましい。なお、本明細書において述べる「少なくとも2つ以上の炭素化合物」とは、必ずしも原料有機化合物として2種以上のものを使用するというものではなく、原料有機化合物としては1種のものを使用した場合であっても、微細炭素繊維集合体の合成反応過程において、例えば、トルエンやキシレンの水素脱アルキル化(hydrodealkylation)などのような反応を生じて、その後の熱分解反応系においては分解温度の異なる2つ以上の炭素化合物となっているような態様も含むものである。雰囲気ガスには、アルゴン、ヘリウム、キセノン等の不活性ガスや水素を用いることができる。
また、触媒としては、鉄、コバルト、モリブデンなどの遷移金属あるいはフェロセン、酢酸金属塩などの遷移金属化合物と硫黄あるいはチオフェン、硫化鉄などの硫黄化合物の混合物を使用する。
第一中間体の合成は、通常行われている炭化水素等のCVD法を用い、原料となる炭化水素および触媒の混合液を蒸発させ、水素ガス等をキャリアガスとして反応炉内に導入し、800〜1300℃の温度で熱分解する。これにより、外径が15〜100nmの炭素繊維相互が、前記触媒の粒子を核として成長した粒状体によって結合した疎な三次元構造を有する炭素繊維構造体(第一中間体)が複数集まった数cmから数十cmの大きさの集合体を合成する。
原料となる炭化水素の熱分解反応は、主として触媒粒子ないしこれを核として成長した粒状体表面において生じ、分解によって生じた炭素の再結晶化が当該触媒粒子ないし粒状体より一定方向に進むことで、微細炭素状に成長する。しかしながら、本発明に係る炭素繊維構造体の集合体を得る上においては、このような熱分解速度と成長速度とのバランスを意図的に変化させる、例えば上記ように炭素源として分解温度の異なる少なくとも2つ以上の炭素化合物を用いることで、一次元的方向にのみ炭素物質を成長させることなく、粒状体を中心として三次元的に炭素物質を成長させる。もちろん、このような三次元的な炭素繊維の成長は、熱分解速度と成長速度とのバランスにのみ依存するものではなく、触媒粒子の結晶面選択性、反応炉内における滞留時間、炉内温度分布等によっても影響を受け、また、前記熱分解反応と成長速度とのバランスは、上記ような炭素源の種類のみならず、反応温度およびガス温度等によっても影響受けるが、概して、上記ような熱分解速度よりも成長速度の方が速いと、炭素物質は繊維状に成長し、一方、成長速度よりも熱分解速度の方が速いと、炭素物質は触媒粒子の周面方向に成長する。従って、熱分解速度と成長速度とのバランスを意図的に変化させることで、上記ような炭素物質の成長方向を一定方向とすることなく、制御下に多方向として、本発明に係るような三次元構造を形成することができるものである。なお、生成する中間体において、繊維相互が粒状体により結合された前記ような三次元構造を容易に形成する上では、触媒等の組成、反応炉内における滞留時間、反応温度、およびガス温度等を最適化することが望ましい。
触媒および炭化水素の混合ガスを800〜1300℃の範囲の一定温度で加熱生成して得られた第一中間体は、炭素原子からなるパッチ状のシート片を貼り合わせたような(生焼け状態の、不完全な)構造を有し、ラマン分光分析をすると、Dバンドが非常に大きく、欠陥が多い。また、生成した第一中間体は、未反応原料、非繊維状炭化物、タール分および触媒金属を含んでいる。
従って、このような第一中間体からこれら残留物を除去し、欠陥が少ない所期の微細炭素繊維集合体を得るために、適切な方法で2400〜3000℃の高温熱処理する。
すなわち、例えば、この第一中間体を800〜1200℃で加熱して未反応原料やタール分などの揮発分を除去して得られた第二中間体を2400〜3000℃の高温でアニール処理することによって所期の構造体を調製し、同時に微細炭素繊維集合体に含まれる触媒金属を蒸発させて除去する。なお、この際、物質構造を保護するために不活性ガス雰囲気中に還元ガスや微量の一酸化炭素ガスを添加してもよい。
前記第二中間体を2400〜3000℃の範囲の温度でアニール処理すると、炭素原子からなるパッチ状のシート片は、それぞれ結合して複数のグラフェンシート状の層を形成する(アニール品という)。
なお本発明において、上記ような粉砕方法1又は2に代表される粉砕工程に供される(a)成分としては、第一中間体を使用しても良いし、第二中間体を使用しても良いし、アニール品を使用しても良い。
通常、気流粉砕した後のものが(a)成分として使用される。
なお、本発明において、各物性値は次のようにして測定される。
<嵩密度の測定>
内径70mmで分散板付透明円筒に1g粉体を充填し、圧力0.1Ma、容量1.3リットルの空気を分散板下部から送り粉体を吹出し、自然沈降させる。5回吹出した時点で沈降後の粉体層の高さを測定する。このとき測定箇所は6箇所とることとし、6箇所の平均を求めた後、嵩密度を算出する。所の平均を求めた後、嵩密度を算出する。
<円相当メディアン径>
炭素繊維集合体をイソプロピルアルコールに懸濁し、シスメックス株式会社製FPIA3000(フロー式粒子像分析装置)にて測定し、装置付属の解析ソフトを用い、粒子の輪郭から面積を求め円相当径に換算し、個数基準のメディアン径を求めた。
<ラマン分光分析>
堀場ジョバンイボン製LabRam800を用い、アルゴンレーザーの514nmの波長を用いて測定する。
<酸化温度>
マックスサイエンス製TG−DTAを用い、空気を0.1リットル/分の流速で流通させながら、10℃/分の速度で昇温し、燃焼挙動を測定した。DTAの発熱ピークトップの温度を酸化温度として求める。
〔コーティング材料〕
本発明のコーティング材料は、上記製造方法によって得られた解砕ないし粉砕された微細炭素繊維集合体と有機バインダー成分を含有するものであるが、本発明において用いられる有機バインダーとしては、常温(25℃±5℃)で液状のものであっても、固体状のものであってもよく、その用途に応じて、公知の各種のものを用いることができる。
具体的には、例えば、溶剤系塗料用や油性印刷インクに通常使用されているアクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ガムロジン、ライムロジン等のロジン系樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂等のロジン変性樹脂、石油樹脂等を用いることができる。また、水系塗料用や水性インク用としては、水溶性アクリル樹脂、水溶性スチレン−マレイン酸樹脂、水溶性アルキッド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性ウレタンエマルジョン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステル樹脂等を用いることができる。
また、本発明に係る導電性コーティング材料中には、上記ような有機バインダー成分および炭素繊維集合体の他、必要に応じて、溶剤、油脂、消泡剤、染料および顔料ないし体質顔料等の着色剤、乾燥促進剤、界面活性剤、硬化促進剤、助剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種安定剤等の添加剤が配合され得る。
溶剤としては、溶剤系塗料ないしインク用に通常使用されている大豆油、トルエン、キシレン、シンナー、ブチルアセテート、メチルアセテート、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶剤、ミネラルスピリット等の石油系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、脂肪族炭化水素等を用いることができる。
また水系塗料用溶剤としては、水系塗料ないしインク用に通常使用されている、水と、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコールエーテル系溶剤、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン付加重合体、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン等の水溶性有機溶剤とを混合して使用することができる。
油脂としては、あまに油、きり油、オイチシカ油、サフラワー油等の乾性油を加工したボイル油を用いることができる。
消泡剤、着色剤、乾燥促進剤、界面活性剤、硬化促進剤、助剤界可塑剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種安定剤等等としても、従来、これらの導電性コーティング材料において、用いられている公知の各種のものを用いることができる。
本発明のコーティング材料は、前記のような有機バインダー成分と共に、前述の微細炭素繊維集合体を含有する。微細炭素繊維集合体の含有量は、コーティング材料の用途や有機バインダー成分の種類等によって異なるが、好ましくはコーティング材中0.01〜50質量%である
本発明のコーティング材料の調製方法としては、湿式あるいは乾式の各種の混合方法を用いることができる。また、得られる導電性コーティング材料の品質安定性をさらに向上させるために、遠心処理やフィルター処理を施し、粗大粒子を除去する工程を設けても良い。
以下、本発明を実施例に基づき、より具体的に説明する。
(合成例1)
CVD法によって、トルエンを原料として微細炭素繊維構造体の集合体を合成した。
触媒としてフェロセン及びチオフェンの混合物を使用し、水素ガスの還元雰囲気で行った。トルエン、触媒を水素ガスとともに380℃に加熱し、生成炉に供給し、1300℃で熱分解して、微細炭素繊維構造体(第一中間体)の集合体を得た。この第一中間体をトルエン中に分散して電子顕微鏡用試料調製後に観察したSEMおよびTEM写真を図1及び2に示す。
合成された第一中間体を窒素中で900℃で焼成して、タールなど分離し、第二中間体を得た。
さらにこの第二中間体をアルゴン中で2600℃で高温熱処理し、得られた炭素繊維構造体の集合体を気流粉砕機にて粉砕し、炭素繊維構造体の集合体(アニール品)を得た。得られた炭素繊維構造体の集合体をトルエン中に超音波で分散して電子顕微鏡用試料調製後に観察したSEMおよびTEM写真を図3、4に示す。
(実施例1)
合成例1にて得られた微細炭素繊維構造体の集合体(アニール品)1.5質量部、エチレンオキシド・プロピレンブロック共重合体0.03質量部、イソプロピルアルコール100質量部を含む組成物について、キャビトロン(商標名、(株)ユーロテック製)CD1010型にて微細炭素繊維構造体の集合体を粉砕した(前記粉砕方法1)。周速を40m/秒(11,200rpm)、流速20Kg/分、回転ロータとステータとの間は距離は4mm、パス回数を30とした。
得られた組成物からイソピロピルアルコールとエチレンオキシド・プロピレンブロック共重合体を除去して得られた微細炭素繊維構造体の集合体の物性値を表1に示した。メディアン径が比較例1と比べて小さいことから、微細炭素繊維構造体の集合体は粉砕されており、酸化温度及びI/I値が比較例1と同じ程度であることから、本発明の所望の粉砕が行なわれていることを確認した。
(実施例2)
合成例1にて得られた微細炭素繊維構造体の集合体(アニール品)1.5質量部、エチレンオキシド・プロピレンブロック共重合体0.03質量部、イソプロピルアルコール100質量部を含む組成物について、アルティマイザー(商標名、(株)スギノマシン製)HJP−25080型にて凝集体を粉砕した(前記粉砕方法2)。ノズルの圧力を150MPa、流速を520m/秒、パス回数を5とした。
得られた組成物からイソプロピルアルコールを除去して得られた微細炭素繊維構造体の集合体の物性値を表1に示した。メディアン径が比較例1と比べて小さいことから、微細炭素繊維集合体は粉砕されており、酸化開始温度及びI/I値が比較例1と同じ程度であることから、本発明の所望の粉砕が行なわれていることを確認した。
(比較例1)
合成例1にて得られた微細炭素繊維構造体の集合体(アニール品)の物性値を表1に示した。
(比較例2)
合成例1にて得られた微細炭素繊維構造体の集合体(アニール品)1.5質量部、エチレンオキシド・プロピレンブロック共重合体0.03質量部、イソプロピルアルコール100質量部を含む組成物について、ウルトラアペックスミル(商標名、寿工業(株)製)UAM05型(ビーズミル、ビーズ径0.1mm)にて微細炭素繊維構造体の集合体を粉砕した。周速を10m/秒(2940rpm)、パス回数を7とした。
得られた組成物からイソプロピルアルコールを除去して得られた炭素繊維構造体の集合体の物性値を表1に示した。メディアン径が比較例1と比べて小さいことから、微細炭素繊維構造体の集合体は粉砕されているが、比較例1と比べて酸化温度が低下し、I/I値が大きくなっていることから、この粉砕方法において微細炭素繊維構造体の集合体が損傷を受けていることが分かった。
(比較例3)
合成例1にて得られた微細炭素繊維構造体の集合体(アニール品)1.5質量部、エチレンオキシド・プロピレンブロック共重合体0.02質量部、イソプロピルアルコール100質量部を含む組成物について、OBミル(商標名、ターボ工業(株)製)OB0.5型(ビーズミル、ビーズ径0.8mm)にて微細炭素繊維構造体の集合体を粉砕した。周速を23m/秒(2800rpm)、パス回数を9とした。以下、実施例1と同様の操作を行い、得られた微細炭素繊維構造体の集合体の物性値を表1に示した。メディアン径が比較例1と比べて小さいことから、微細炭素繊維構造体の集合体は粉砕されているが、比較例1と比べて酸化温度が低下し、I/I値が大きくなっていることから、この粉砕方法において微細炭素繊維構造体の集合体が損傷を受けていることが分かった。
(実施例3)
実施例1で得られた微細炭素繊維構造体の集合体の含有量が1質量%となるように、微細炭素繊維構造体の集合体を、エポキシ樹脂(アデカレジン EP4100E、エポキシ当量190、旭電化工業(株)製)、硬化剤(アデカハードナーEH3636−AS、旭電化工業(株)製)に配合し、10分混練し、コーティング材料を調製した。
このコーティング材料を200μmのギャップでドクターブレードを用いて製膜した。170℃で30分硬化後、塗膜の中の微細炭素繊維構造体の集合体に起因する凝集体を目視観察した。炭素繊維構造体の集合体に起因する凝集体は殆ど観察されなかった。
(実施例4)
実施例2で得られた微細炭素繊維構造体の集合体の含有量が1質量%となるように、炭素繊維構造体の集合体を、エポキシ樹脂(アデカレジンEP4100E、エポキシ当量190、旭電化工業(株)製)、硬化剤(アデカハードナーEH3636−AS、旭電化工業(株)製)に配合し、10分混練し、コーティング材料を調製した。
このコーティング材料を200μmのギャップでドクターブレードを用いて製膜した。170℃で30分硬化後、塗膜の中の微細炭素繊維構造体の集合体に起因する凝集体を目視観察した。炭素繊維構造体の集合体に起因する凝集体は殆ど観察されなかった。
(比較例4)
比較例1で得られた微細炭素繊維構造体の集合体の含有量が1質量%となるように、微細炭素繊維構造体の集合体を、エポキシ樹脂(アデカレジンEP4100E、エポキシ当量190、旭電化工業(株)製)、硬化剤(アデカハードナーEH3636−AS、旭電化工業(株)製)に配合し、10分混練し、コーティング材料を調製した。
このコーティング材料を200μmのギャップでドクターブレードを用いて製膜した。170℃で30分硬化後、塗膜の中の炭素繊維凝集体を目視観察した。微細炭素繊維構造体の集合体に起因する多数の凝集体が観察された。
合成例1において得られた炭素繊維構造体の中間体のSEM写真である。 合成例1において得られた炭素繊維構造体の中間体のTEM写真である。 合成例1において得られた炭素繊維構造体のSEM写真である。 (a)(b)は、それぞれ合成例1において得られた炭素繊維構造体のTEM写真である。 本発明の好ましい一実施形態において用いられる粉砕装置の原理を示す概略図である。 本発明の好ましい別の一実施形態において用いられる粉砕装置の原理を示す概略図である。
符号の説明
1 ロータ
2 ステータ
3 ギャップ
4 ノズル
5 チャンバ中央部

Claims (15)

  1. (a)円相当メディアン径(以下、メディアン径という)が30μm以上の微細炭素繊維集合体と(b)その分散媒体(25℃で液体)を含有する組成物を、加速し、乱流及び/又は衝突流を形成することで、組成物中に含まれる(a)成分にせん断力及び/又は衝撃を与えることにより、(a)成分を粉砕する工程を含む、メディアン径が30μm未満の微細炭素体繊維集合体の製造方法であって、〔(a)成分を粉砕した後の微細炭素繊維集合体のID/IG〕/〔(a)成分を粉砕する前の微細炭素繊維集合体のID/IG〕(ID/IGはアルゴンレーザーの514nmにてラマン分光分析した測定値より算出)が0.7〜1.5である微細炭素繊維集合体の製造方法。
  2. せん断力及び/又は衝撃を与える方法が、(a)成分と(b)成分を含有する組成物を、回転する回転ロータと固定ステータとの間隙を通過させることにより、(a)成分と(b)成分を含有する組成物にせん断力及び/又は衝撃を与える方法である請求項1に記載の微細炭素繊維集合体の製造方法。
  3. せん断力及び/又は衝撃を与える方法が、(a)成分と(b)成分を含有する組成物同士を対向衝突させる方法である、請求項1に記載の微細炭素繊維集合体の製造方法。
  4. (b)成分が炭素数1〜5のアルコールである請求項1〜3のいずれかに記載の微細炭素繊維集合体の製造方法。
  5. (a)成分が、外径15〜100nmの炭素繊維から構成される3次元ネットワーク状の炭素繊維構造体の集合体であって、前記炭素繊維構造体は、前記炭素繊維が複数延出する態様で、当該炭素繊維を互いに結合する粒状部を有しており、かつ当該粒状部は前記炭素繊維の成長過程において形成されてなる炭素繊維構造体である、請求項1〜4のいずれかに記載の微細炭素繊維集合体の製造方法。
  6. (a)成分の嵩密度が、0.0001〜0.05g/cm3である請求項1〜5のいずれかにに記載の微細炭素繊維集合体の製造方法。
  7. (a)成分のラマン分光分析法で測定されるID/IGが、0.2以下である請求項1〜6のいずれかに記載の微細炭素繊維集合体の製造方法。
  8. (a)成分の空気中での酸化温度が750℃以上である請求項1〜7のいずれかに記載の微細炭素繊維集合体の製造方法。
  9. (a)成分を構成する炭素繊維構造体における炭素繊維の結合箇所において、前記粒状部の粒径が、前記炭素繊維の外径よりも大きいものである、請求項5〜8のいずれかに記載の微細炭素繊維集合体の製造方法。
  10. (a)成分が、炭素源として、分解温度の異なる少なくとも2つ以上の炭素化合物を用いて、生成されたものである請求項1〜9のいずれかに記載の微細炭素繊維集合体の製造方法。
  11. (a)成分が、触媒及び炭化水素の混合ガスを800〜1300℃で加熱して得られたメディアン径が30μm以上の微細炭素繊維集合体である請求項1〜10のいずれかに記載の微細炭素繊維集合体の製造方法。
  12. (a)成分が、触媒及び炭化水素の混合ガスを800〜1300℃で加熱して得られた微細炭素繊維集合体を、さらに2400〜3000℃でアニールして得られたメディアン径が30μm以上の微細炭素繊維集合体である請求項1〜11のいずれかに記載の炭素繊維集合体の製造方法。
  13. (a)成分が、触媒及び炭化水素の混合ガスを800〜1300℃で加熱して得られた微細炭素繊維集合体を、さらに2400〜3000℃でアニールし、更に気流粉砕して得られたメディアン径が30μm以上の微細炭素繊維集合体である請求項1〜12のいずれかに記載の炭素繊維集合体の製造方法。
  14. (a)成分が、更に分散剤を含有するものである請求項1〜13のいずれかに記載の微細炭素繊維集合体の製造方法。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の製造方法で得られた微細炭素繊維集合体と有機バインダーを含有するコーティング材料。
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