JP4908096B2 - 制御装置およびアクチュエータの制御装置 - Google Patents

制御装置およびアクチュエータの制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、制御装置およびアクチュエータの制御装置に関する。
この種、駆動系の一部をなすアクチュエータとしては、たとえば、ボール螺子ナットと、ボール螺子ナットに回転自在に螺合される螺子軸とで構成される送り螺子機構である伝達部材と、螺子軸に連結されるロータを有するモータとを備えて構成されているものが知られ、たとえば、被駆動部材が車両におけるバネ上部材あるいはバネ下部材である場合には、駆動系はサスペンション装置とされる。
以下、アクチュエータについて詳しく説明すると、この種、アクチュエータとしては、たとえば、車両のバネ上部材もしくはバネ下部材の一方に連結される筒と、筒内に固定されるボール螺子ナットと、ボール螺子ナットに回転自在に螺合される螺子軸と、螺子軸に連結されるロータを有するとともにバネ上部材もしくはバネ下部材の他方に連結されるモータとを備えて構成され、螺子軸の回転運動を螺子軸と螺子ナットと送り螺子機構によって螺子軸と筒との軸方向の相対移動に変換することで、モータの発生するトルクを上記相対移動の抑制もしくは助勢に利用することが可能なようになっている。
また、上記アクチュエータの制御装置は、モータをPWM(Pulse Width Modulation)制御して、アクチュエータが発生する荷重(ダンピングフォース)を可変にすることが可能である(たとえば、特許文献1参照)。
特開2003−343647号公報
ところで、上記アクチュエータにあっては、モータのロータは螺子軸に連結されるとともに、螺子軸は螺子ナットを介して回転自在に筒に連結される構成を採用していることから、ロータの機械的な共振周波数、すなわち、ロータの周方向振動における共振周波数は、下記の式(1)に示したように、ロータの慣性モーメントと、ロータに連結される部材の全体、この場合、主として螺子軸、トーションバーおよび筒の全体、における捩りバネ定数(周方向の捩り剛性)とによって決せられることになる。
Figure 0004908096
なお、式(1)中、fmはロータの機械的な共振周波数であり、Kはロータに連結される部材全体の捩りバネ定数、Iはロータの慣性モーメントをそれぞれ示している。
他方、モータをPWM制御する制御装置にあっては、モータの電気子の複数の巻線へ印加する電圧指令値に基づいて上記巻線に流れる電流を制御することになるが、巻線へは電源電圧以上の電圧を印加することができない。そのため、巻線へ印加すべき電圧指令値が電源電圧を超える場合には、電圧指令値は飽和状態となって、モータを正常には制御できない状態となる。
そして、このような状態においては、各巻線に流れる電流を制御することが困難であって、巻線に流れる電流が共振する現象が現れる。この巻線に流れる電流が共振する周波数、すなわち、モータの電気的な共振周波数は、下記の式(2)に示したように、アクチュエータのストローク速度に比例するロータの回転速度に応じて変化することになる。
Figure 0004908096
なお、式(2)中、feはモータの電気的な共振周波数であり、Rは巻線のレジスタンス、Lは巻線のインダクタンス、ωはロータの電気角速度をそれぞれ示している。
上記式(2)から理解できるように、モータの電気的な共振周波数は、ロータの回転速度の増加に伴って大きくなる性質を持っている。
したがって、従来のアクチュエータにあっては、上記したロータの機械的な共振周波数にロータの回転速度に応じて変化する電気的な共振周波数が近付くと発振するような振動モードとなり、結果、モータが発生するトルクのリップルが大きくなり、ストローク速度が安定せず振動的になってしまう。このような現象は、図8に示すように、特に、アクチュエータのストロークを助勢する側には現れずにストロークを抑制する場合にのみ現れ、モータの電気的な共振周波数がロータの回転速度(アクチュエータのストローク速度)の上昇によってロータの機械的な共振周波数の近傍にまで大きくなると上記振動モードが現れることになり、さらにロータの回転速度(アクチュエータのストローク速度)が上昇すると、モータの電気的な共振周波数はロータの機械的な共振周波数を乗り越えて図中右方にシフトしてロータの機械的な共振周波数から遠ざかることとなり、この振動モードは発現しなくなる。
そこで、本発明は、上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、モータにおけるロータの振動が励起される振動モードの発現を防止することが可能な制御装置およびアクチュエータの制御装置を提供することである。
上記した目的を達成するため、本発明の課題解決手段における制御装置は、モータによって駆動される被駆動部材とモータのロータとの間に介装される伝達部材を介して被駆動部材にモータの動力を伝達する駆動系におけるモータを制御する制御装置であって、所定の電気角速度を電圧指令値が飽和した状態で慣性モーメントとして作用するロータの周方向振動を励起する電気角速度の領域より小さい電気角速度とし、ロータの電気角速度が上記所定の電気角速度以上となる場合、電圧指令値をゼロとしてモータを制御する。
上記した目的を達成するため、本発明の課題解決手段におけるアクチュエータの制御装置は、直動部材と回転部材とを有し直動部材の直線運動を回転部材の回転運動に変換する運動変換機構と、回転部材に連結されるロータを有するモータとを備えたアクチュエータの制御装置であって、所定の電気角速度を電圧指令値が飽和した状態で慣性モーメントとして作用するロータの周方向振動を励起する電気角速度の領域より小さい電気角速度とし、ロータの電気角速度が上記所定の電気角速度以上となる場合、電圧指令値をゼロとしてモータを制御することを特徴とする。
本発明のアクチュエータの制御装置によれば、ロータの電気角速度の上昇によって、モータの電気的な共振周波数がロータの周方向振動における共振周波数に接近して振動モードを発現してしまうまえに、電圧指令値をゼロとして、該振動モードの発現を防止することが可能となる。
したがって、モータが発生するトルクのリップルが大きくなってモータの速度が安定せずに振動的になってしまう振動モードの発現が防止されることになる。
さらに、電気角速度が所定の電気角速度以上となると、電圧指令値をゼロとしてモータを制御するので、ロータの電気角速度の上昇に伴って回転角センサの回転角検出能力の限界および荒くなる演算周期によってモータの制御性の悪化し、モータのトルクリップルが大きくなってしまうような不具合が発現することがなく、アクチュエータに安定的な荷重を発生させることができる。
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。図1は、一実施の形態における駆動系の一部をなすアクチュエータの概念図である。図2は、アクチュエータの制御装置のシステム図である。図3は、PWM回路を示す図である。図4は、アクチュエータの内部構成を示すブロック線図である。図5は、電圧制限円とd相およびq相の電圧指令値との関係を示す図である。図6は、電圧指令値をゼロに設定するための処理手順の一例を示したフローチャートである。図7は、電気角速度をパラメータとした電圧指令値に乗算すべきゲインのマップである。
一実施の形態におけるアクチュエータは、図1に示すように、回転部材たる螺子軸1と直動部材たるボール螺子ナット2とを有してボール螺子ナット2の直線運動を螺子軸2の回転運動に変換する運動変換機構Hと、螺子軸1に連結されるロータRを有するモータMとを備えて構成されている。
詳しくは、螺子軸1は、ボール螺子ナット2に回転自在に螺合されるとともに、螺子軸1の図1中上端は、モータMのロータRに連結されている。したがって、螺子軸1とボール螺子ナット2が軸方向の直線相対運動を呈すると、回転部材である螺子軸1が回転運動を呈することになり、この螺子軸1の回転運動がモータMのロータRに伝達されることになり、運動変換機構Hは、この実施の形態の場合、送り螺子機構とされている。ここで、螺子軸1の回転速度を歯車機構等で構成される減速機を介して減速して上記螺子軸1の回転運動をロータRに伝達するようにしてもよい。
そして、図示しないが、ボール螺子ナット2は被駆動部材に連結され、この場合、被駆動部材は、モータMの駆動によって直動運動されることになる。したがって、本実施の形態においては、モータMの動力を図外の被駆動部材へ伝達する伝達部材は運動変換機構Hとされ、このアクチュエータと図示しない被駆動部材とで駆動系を構成している。
なお、上記螺子軸1とボール螺子ナット2が軸方向の直線相対運動を呈するときに、螺子軸1を回転不能として代わりにボール螺子ナット2を回転させるようにする場合には、このボール螺子ナット2の回転運動をモータMのロータRに伝達するようにしてもよい。また、伝達部材である運動変換機構Hは、上記したもの以外にも、ラックアンドピニオンのような機構とされてもよい。
そして、モータMは、この場合、筒状のフレーム10と、フレーム10の内周側に設けた電機子であるステータSと、フレーム10に回転自在に軸支されるロータRとを備え三相ブラシレスモータとして構成され、詳しくは、ステータSは、複数のティースを備えた環状のステータコア11と、各ティースに巻回されたU,V,W相の各相における巻線12とを備えており、他方のロータRは、螺子軸1の一端に連結されるシャフト13と、シャフト13の中間部外周に装着された駆動用磁石14とを備えている。
なお、駆動用磁石14は、駆動用磁石14を所定数の極数を実現できるようにブロック化してシャフト13の外周に接着されるか、環状に形成して分割着磁されてシャフト13の外周に嵌着される。
また、このモータMには、ロータRの回転角(電気角)θを検出するために、回転角センサ15が搭載されており、具体的にはたとえば、回転角センサ15は、シャフト13に設けたレゾルバコアとフレーム10に設けられるレゾルバコアに対向するレゾルバステータとを備え、さらに、電気角θから電気角速度ωを得られるようになっている。なお、電気角θから電気角速度ωを演算する演算部を別途設けるのであれば、回転角センサ15としては、他にも、光学式のエンコーダを採用してもよいし、ロータRにセンシング用磁石を設ける場合にはホール素子やMR素子等の磁気センサをフレーム10に設けるとした構成としてもよい。
上述のように、このアクチュエータにあっては、駆動源をモータMとしているので、モータMに電気エネルギを与えて駆動する場合には、螺子軸1を回転駆動させて螺子軸1とボール螺子ナット2とを積極的に相対直線運動させる、すなわち、ストロークさせることができ、アクチュエータとしての機能を発揮でき、図外のボール螺子ナット2に連結される被駆動部材を往復動させることができる。
また、モータMは、被駆動部材が外力によって強制的に動かされる場合には、螺子軸1から強制的に回転運動が入力され、誘導起電力や電源からの電力によって巻線12に電流が流れて磁界が形成されて電磁力が発生し、螺子軸1の回転運動を抑制するトルクを発生するので、螺子軸1とボール螺子ナット2の相対直線運動を抑制するように機能する。すなわち、この場合には、モータMが外部から入力される運動エネルギを回生して電気エネルギに変換して得られる電力によって、あるいは、この回生に加えて電源から供給される電力によって、発生するトルクで螺子軸1とボール螺子ナット2の相対直線運動を抑制することができる。
したがって、この駆動系では、モータMをアクチュエータとしてもジェネレータとしても機能させ得るので、上記螺子軸1とボール螺子ナット2の相対直線運動を抑制することもできる。
そして、上記モータMの巻線12に流れる電流を制御するために、具体的には、U,V,W相の巻線12は、制御装置20に接続され、このモータMは、制御装置20によって駆動制御される。
この制御装置20は、図2に示すように、基本的には、電気角速度ωおよび図外の被駆動部材の制御を司る図示しない上位の制御装置から入力されるトルク指令に基づいて各電流目標値id*,iq*を演算する電流目標値演算部26と、上記巻線12の三相のうち二相に流れる電流をdq変換してd相電流値およびq相電流値を演算する二相電流演算部21と、各電流目標値id*,iq*と上記d相およびq相の電流値id,iqとに基づいてd相電圧指令値Vdおよびq相電圧指令値Vqを演算する比例積分制御部22と、上記d相電圧指令値Vdおよびq相電圧指令値VqをU,V,Wの各相の電圧指令値Vu,Vv,Vwに変換する三相変換演算部23と、モータMのU,V,Wのうち二相iu,ivに流れる電流値を検出する電流検出器24と、モータ駆動回路としてのPWM回路25とを備えて構成されている。
そして、この制御装置20は、電流目標値演算部26によって決定されるd相およびq相の各電流目標値id*,iq*と、二相電流演算部21の演算結果として得られるd相およびq相の電流値id,iqとのそれぞれの偏差εd,εqに基づいてモータMを比例積分制御する。なお、偏差を微分して得られる要素を追加して比例微分積分制御を行うようにしてもよい。
ここで、電流目標値演算部26は、上位の車両制御装置から出力されるトルク指令およびロータRの電気角速度ωに基づいてd相およびq相の電流目標値id*,iq*を所定の制御則に則って上記比例積分制御部22に出力するものであるが、この場合、電流目標値演算部26への出力としては、トルク指令としてではなくても、アクチュエータが発生すべき力指令の状態で出力し、電流目標値演算部26でその分の換算を行うようにしてもよい。また、制御装置20の電流目標値演算部26で被駆動部材の制御に必要な信号、たとえば、加速度や速度や変位を取り込み、この電流目標値演算部26で上位の制御装置と同様の演算を行うようにしてもよいことは勿論である。
なお、上位の制御装置における被駆動部材の制御に必要となるアクチュエータの伸縮量、ストローク速度や伸縮加速度等については、回転角センサ15から得られる電気角θと螺子軸1のピッチ、減速比から演算すればよく、別途センサを設ける必要は無い。
そして、この電流目標値演算部26は、基本的には、d相電流目標値を0としてq相電流目標値を演算するようになっているが、ロータの電気角速度ωが大きい場合に、d相電流目標値をマイナスの値に誘導して弱め界磁制御をするようにしてもよいことは無論である。
また、電流検出器24としては、ホール素子や巻線等を用いた非接触型や、三相の巻線12のいずれか二つに直列介装した抵抗の電圧降下から電流値を得る電流検出器を用いればよい。
なお、上記電流検出器24は、U,V,W相のうち二相に流れる電流値を検出すればよく、これは、二相の電流値が分かればロータRの電気角θから後述する下記式(3)を用いてd相およびq相の電流値に変換可能であるからである。
さらに、PWM回路25は、図3に示すように、電源Eと、モータMにおける三相各相の巻線12に電流供給を行う6つのスイッチング素子41と、各スイッチング素子41にPWMパルス信号を与えるマルチバイブレータ等の図示しないパルス発生器とを備えて構成されており、このPWM回路25は、比例積分制御部21が出力する各電圧指令値に基づいて所定のPWMデューティ比で上記各相に電流供給を行う。なお、電源Eについては、車両に搭載されるバッテリとしておけばよい。
そして、二相電流演算部21は、電気角θを用いて、以下の式(3)に示したように、上記各電流値iv,iuをd相およびq相の電流値id,iqへ変換する演算を行い、この変換されたd相およびq相の電流値id,iqを比例積分制御部22へ出力する。
Figure 0004908096
比例積分制御部22は、各電流目標値id*,iq*とd相およびq相における電流値id,iqの各偏差εd,εqを算出し、算出された偏差εd,εqを積分して得られた積分値に所定の積分ゲインを乗じ、さらには、各偏差εd,εqに所定の比例ゲインを乗算し、積分ゲイン乗算後の値と比例ゲイン乗算後の値を加算して、各電圧指令値Vd,Vqを出力する。
そして、さらに、d相電圧指令値Vdおよびq相電圧指令値Vqは、上記したようにU,V,Wの各相の電圧指令値に変換する三相変換演算部23に入力され、この三相変換演算部23は、下記式(4)の演算によって、上記d相電圧指令値Vdおよびq相電圧指令値Vqを実際のU,V,W各相の電圧指令値Vu,Vv,Vwへ変換し、この変換された電圧指令値Vu,Vv,VwをPWM回路25に出力する。
Figure 0004908096
また、このモータ制御装置は、リミッタ27を備えており、このリミッタ27は、三相変換演算部23が出力する上記各電圧指令値Vu,Vv,Vwのうち、PWM開度が全開、すなわち、PWMデューティ比が最大値以上となる場合に、PWMデューティ比を最大値とする値に電圧指令値Vu,Vv,Vwを制限する。
さらに、リミッタ28およびリミッタ29が設けられて、リミッタ28は、電流目標値演算部26が演算した各電流目標値id*,iq*の上限を制限し、リミッタ29は、比例積分制御部22が演算したd相電圧指令値Vdおよびq相電圧指令値Vqの上限を制限している。なお、リミッタ28は、後述するd相およびq相の電圧指令値Vd,Vqが飽和する状況時に比例積分制御部22における偏差εd,εqが増大してしまうことを防止して積分飽和をあらかじめ防止するために設けられており、リミッタ29は、d相およびq相の電圧指令値Vd,Vqが実現不能な値となることを防止するものである。
ここで、上記したアクチュエータの内部構成をブロック線図で示すと、図4に示す通り、破線で囲まれた部分がモータMの内部構成を示しており、d相およびq相における電圧に対してモータMがトルクを出力する。他方、一点差線で囲まれた部分はロータRの回転運動がアクチュエータのストロークに変換される機械的部分、すなわち、ロータR、運動変換機構Hの構成を示しており、モータMが出力するトルクの入力に対しアクチュエータはストロークすることとなる。
なお、図4中、1/sは、ラプラス演算子で記述した積分記号であり、Cμは、ボール螺子ナット2と螺子軸1との間の摩擦やモータMのロータR部分の摩擦によって生じるロータRの回転を抑制する力をモータMの機械角速度から演算するための減衰係数であり、PPは、モータMの電気角速度ωを機械角速度から演算するためのモータMの極対数であり、Ktは、q軸電流からモータMの発生トルクを演算するためのトルク定数であり、Iは、ロータRの慣性モーメントであり、Kは、ロータRに連結される部材全体の捩りバネ定数であり、Lは、d相およびq相の各巻線のインダクタンスであり、Rは、d相およびq相の各巻線のレジスタンスである。
この図4から理解できるように、d相とq相に印加される電圧は、それぞれのインダクタンスLによって他方の相へ干渉し、また、q相はロータRの電気角速度ωによって誘起される誘導起電力の影響を受ける。
また、ロータRは、本実施の形態においては、螺子軸1が周方向の捩りに対するバネ要素として機能することから、式(1)で示される共振周波数fmで共振することになる。
そして、駆動系における機械部分の共振は、極対数ppを介してdq各相の干渉パスに影響し、また、誘導起電力としてq相に影響する。そうすると、dq座標の電気回路では、機械部分の共振と同じ振動数の波形が生じ、このときの、q相電流iqの位相が機械部分の捩りバネ要素が発生するトルクと同位相であると、振動を励磁して、モータMの制動力が低下し、不安定な振動モードを引き起こし、逆に、q相電流iqの位相が機械部分の捩りバネ要素が発生するトルクと逆位相であると、振動を減衰することになる。
次に、図5に示す、d相およびq相の電圧指令値Vd,Vqの合成ベクトルの長さが、dq座標における電源Eの電圧相当である飽和電圧を半径に持つ円(電圧制限円)を超えるようになると、d相およびq相の電圧指令値Vd,Vqの合成ベクトルは電圧制限円で制限され、d相およびq相の電圧指令値Vd,Vqは上記電圧制限円上の略一定値のオフセットされた電圧指令値となる。
そして、図4に示す、アクチュエータの内部構成が線形なシステムであれば、d相およびq相の電圧指令値Vd,Vqがオフセットされても、システムへの入力が変化しただけであり安定性に変化が無いが、アクチュエータの内部構成はdq各相の干渉パスに正弦波同士が乗算される非線形なシステムであるので、d相およびq相の電圧指令値Vd,Vqがオフセットされると、それに応じてdq各相の干渉成分に機械部分の共振周波数fmと同一周波数を持つ成分が大きく現れたり、機械部分の共振周波数fmの二倍の周波数成分が大きく現れたりすることになる。詳しくは、正弦波同士を乗算すると、位相をずらしても必ず正弦波の周波数の2倍の周波数成分が現れること、および、オフセットを加えると基本成分を持つ信号が発生することに起因する。
このため、dq各相の電圧指令値Vd,Vqの合成ベクトルのq軸に対する角度に応じて、dq各相の干渉成分に現れる機械部分の共振周波数fmと同一周波数を持つ成分の増幅度が変化し、モータMの電気的な共振周波数feとロータRの周方向振動における共振周波数fmとが接近すると、互いの振動を励起して発振を引き起こすような振動モードが発現してしまう場合がある。
そして、巻線12に流れる電流が共振する共振周波数であるモータMの電気的な共振周波数feは、上記の式(2)に示したように、アクチュエータの構造上、電気角速度ωに比例するアクチュエータのストローク速度、すなわち、アクチュエータの伸縮速度に依存して変化する。すなわち、ストローク速度が増加することに伴って、モータMの電気的な共振周波数feも増大することになるので、上記モータMの電気的な共振周波数feとロータRの周方向振動における共振周波数fmとが接近する場合があることは、容易に理解できよう。
また、上記振動モードは、上述の通り、d相およびq相の電圧指令値Vd,Vqが飽和する状態でモータMをd相およびq相の電圧指令値Vd,Vq通りに制御しようとすると発現される。逆に、パッシブな状態では、機械部分は共振しても摩擦等による減衰があるので、振動的ではあるが安定な系であり、dq各相の干渉に依存する振動モードも機械部分との連成が無ければ安定であるので、これらを接続しても安定のままとなる。
換言すれば、モータMのロータRが強制的に回転させられて、U,V,Wの各相巻線12に誘導起電力のみが生じる状態(パッシブな状態)、すなわち、U,V,Wの各相巻線12の端子間電圧の変化が誘導起電力のみに起因して生じる状態となる場合には、上記振動モードは発現しないのである。
そこで、本実施の形態においては、上記振動モードの発現を防止するべく、比例積分制御部22と三相変換演算部23との間に、ロータRの電気角速度ωが所定の電気角速度α以上となるとd相およびq相の電圧指令値Vd,Vqにゼロの値のゲインを乗ずるゲイン乗算部30を介装してある。このゲイン乗算部30は、回転角センサ15が出力する電気角速度ωをモニタしており、電気角速度ωが所定の電気角速度α以上となると、ゲインをゼロに設定して、d相およびq相の電圧指令値Vd,Vqにゼロの値のゲインを乗算し、ゲイン乗算後のd相およびq相の電圧指令値Vd,Vqを三相変換演算部23に出力する。
そして、電気角速度ωが所定の電気角速度α以上である場合、三相変換演算部23は、ゼロの値をとるd相およびq相の電圧指令値Vd,Vqから電圧指令値Vu,Vv,Vwをゼロとして出力することになり、結果、PWM回路25は、ONデューティとOFFデューティの全体に対するONデューティの割合を示すPWMデューティを50%としてスイッチング素子41を駆動し、巻線12には、ロータRが外力によって強制的に回転させられるときに生じる誘導起電力に起因する電流が流れるのみとなる。詳しくは、PWMデューティを50%とすると、スイッチング素子41の図3中上方側もしくは下方側の三つがON状態となることを意味しており、電源Eのパスを通らなくても、図3中上方側もしくは下方側のラインで各相の巻線12が導通されることになるのでモータMの各相の巻線12を短絡してパッシブな状態に維持することができる。また、実際には、PWM駆動する際にはデッドタイムがあるが、このときは、昇圧チョッパの特性で、電源Eの電圧を乗り越えて、電源Eを経由して電流が回ることになる。
なお、PWMデューティが50%というのは、1サイクルあたりのデッドタイムを除いた時間に対するオン時間の割合が50%である場合が含まれる。
そして、所定の電気角速度αは、この場合、電圧指令値Vd,Vqが飽和した状態でロータRの周方向振動を励起する電気角速度ωの領域、すなわち、振動モードを発現してしまうような電気角速度ωより小さい電気角速度とされ、具体的には、その電気角速度αにおけるモータMの電気的な共振周波数feが少なくともロータRの周方向振動における共振周波数fmより小さくなるように設定される。
このようにすることで、ロータRの電気角速度ωの上昇によって、モータMの電気的な共振周波数feがロータRの周方向振動における共振周波数fmに接近して振動モードを発現してしまうまえに、d相およびq相の電圧指令値Vd,Vqをゼロとして、該振動モードの発現を防止することが可能となる。
なお、ゲイン乗算部30は、本実施の形態においては、d相およびq相の電圧指令値Vd,Vqをゼロとするよう構成されているが、三相変換演算部23が演算したU,V,Wの各相の電圧指令値Vu,Vv,Vwをゼロとするよう、三相変換演算部23の後ろに設けるようにしてもよい。
したがって、アクチュエータの伸縮時のストローク速度が、ロータRの電気角速度ωが所定の電気角速度α未満となるようなストローク速度である場合、モータMの電気的な共振周波数feは、ロータRの周方向振動における共振周波数fmより小さく、このような状態では、通常通りの制御(電流目標値演算部26が演算した各電流目標値id*,iq*に基く制御)が行われても上記振動モードが発現することはなく、他方、アクチュエータの伸縮時のストローク速度が、ロータRの電気角速度ωが所定の電気角速度α以上となるようなストローク速度に達しても、モータMが発生するトルクのリップルが大きくなってアクチュエータのストローク速度が安定せずに振動的になってしまう振動モードの発現が防止されることになる。
さらに、ロータRの電気角速度ωが大きくなると、回転角センサ15の回転角検出能力の限界および演算周期が荒くなるので、必然的にモータMの制御性が悪くなり、モータMのトルクリップルが大きくなってしまう現象が発現されるようになるが、上記したように、電気角速度ωが所定の電気角速度α以上となると、電圧指令値Vd,Vq(Vu,Vu,Vw)をゼロとしてモータMを制御するので、上記した不具合が発現することがなく、アクチュエータに安定的な荷重を発生させることができる。
また、アクチュエータをサスペンションとして利用する場合、つまり、駆動系における被駆動部材をバネ下部材として、アクチュエータにおけるモータMをバネ上部材に連結する場合、あるいは、駆動系における被駆動部材をバネ上部材として、アクチュエータにおけるモータMをバネ下部材に連結する場合、振動モードが発現されると、バネ上部材にも振動モードによる振動が伝達されるが、上記の如く設定されれば、振動モードの発現が防止され、バネ上部材へ不快な振動が伝達されてしまうことを回避することができる。
なお、上述したように、ロータRの電気角速度ωの増加に伴って増大するモータMの電気的な共振周波数feがロータRの周方向振動における共振周波数fmの近傍となる時に振動モードが発現することから、所定の電気角速度αは、ロータRの周方向振動における共振周波数fmに応じて決することができる。
ロータRの周方向振動における共振周波数fmは、この場合、モータMのロータRの慣性モーメントIと上記ロータRに連結されてロータRと図外の被駆動部材との間に介装される螺子軸1の全体の捩りバネ定数Kとから式(1)を利用して、求めることができる。なお、駆動系の伝達部材に上記運動変換機構Hとは異なる構成を採用する場合には、伝達部材の全体の捩りバネ定数(周方向の捩り剛性)を逆算することになる。
さらに、運動変換機構Hにおける回転部材の慣性モーメントがロータRの回転モーメントの値に対して無視できないほど大きい場合には、もっと厳密にアクチュエータの機械的な共振周波数fmを求めるようにしてもよい。すなわち、慣性モーメントIの値にモータMのロータRの慣性モーメント以外にも運動変換機構Hの回転部材の慣性モーメントを加味するようにしてもよい。
他方、所定の電気角速度αにおけるモータMの電気的な共振周波数feに対して、ロータRの周方向振動における共振周波数fmは、fe<fmの関係となるように設定されればよいから、上記した共振周波数fmとモータMの巻線12のレジスタンスRとインダクタンスLから所定の電気角速度αの上限を一義的に求めることが可能である。
また、アクチュエータのストローク速度とモータMのロータRの回転速度との関係は、運動変換機構Hの直動部材であるボール螺子ナット2と回転部材である螺子軸1の直線相対変位に対する螺子軸1のボール螺子ナット2に対する相対回転数により設定される。そして、ロータRの回転速度とロータRの電気角速度ωとの関係は、極対数によって決せられることになる。
したがって、モータMが所定の電気角速度αで回転しているときのアクチュエータのストローク速度を得ることができる。
以上のようにして、所定の電気角速度αの上限を求めることができるが、ロータRの周方向振動における共振周波数fmは、本実施の形態の場合、螺子軸1にボール螺子ナット2が螺合する位置は、アクチュエータのストロークの変位に応じて変化することになる。
そして、螺子軸1の捩りバネ定数は、図1中ボール螺子ナット2が螺子軸1の最下端で螺合しているときに、ボール螺子ナット2とロータRとの間の距離が長くなり、この状態で一番小さな値をとることになる。
すなわち、アクチュエータが最伸長状態となったときに、螺子軸1の捩りバネ定数が小さくなることになることから、この状態におけるロータRとバネ上部材もしくはバネ下部材との間に介装される部材全体の捩りバネ定数を基準としてロータRの周方向振動における共振周波数fmを設定し、この共振周波数fmを基準として、所定の電気角速度αの上限を決定するようにしておけば、アクチュエータのストロークの全体渡り、上記振動モードの発現を防止しえることになる。
なお、ボール螺子ナット2を回転部材とした場合にあっても同様で、アクチュエータが最伸長状態となる場合には螺子軸1の捩りバネ定数が一番小さくなるので、上記したところと同様にロータRの周方向振動における共振周波数fmを設定するようにしておくとよい。
ここで、所定の電気角速度αは、アクチュエータのストローク速度に比例し、また、上記ロータRの周方向振動における共振周波数fmの値によって、その上限が決定されるのが、この所定の電気角速度αの値が大きければ大きいほど、ストローク速度に対する通常制御領域、すなわち、電流目標値演算部26が演算した各電流目標値id*,iq*に基づく制御を行ってストローク速度に対してゲイン乗算部30によってモータMに出力させるトルク指令としてのq相電圧指令値Vqが強制的にゼロとされずに制御できる領域は大きくなる。
そして、通常制御時のモータMの出力トルクは、モータMのロータRが強制的に回転させられて、U,V,Wの各相巻線12に誘導起電力のみが生じる状態でモータMが出力するトルクよりも大きいので、通常制御時にはアクチュエータ全体として大きな荷重を出力することができる。
このアクチュエータの発生荷重の観点からすれば、所定の電気角速度αは、可能な限り大きく設定することが望ましい。しかしながら、所定の電気角速度αを大きく設定すると言うことは、ロータRの周方向振動における共振周波数fmを大きく設定することが必要となる。
そして、上記したロータRの周方向振動における共振周波数fmを大きく設定するには、ロータRとバネ上部材もしくはバネ下部材との間に介装される部材の全体、この場合、ロータRに対して周方向のバネ要素として機能する螺子軸1の捩りバネ定数(周方向の捩り剛性)Kを大きく設定しなければならない。
アクチュエータは、ロータRや螺子軸1といった回転する多くの部材を備えており、その慣性質量も大きく高周波振動の入力に対して慣性モーメントが大きくなること、および、フリクションの影響もあって、バネ下部材側の振動をバネ上部材に伝達しやすくなるという特性があり、ロータRとバネ上部材もしくはバネ下部材との間に介装される部材の全体の捩りバネ定数を大きく設定しすぎると、上記振動を伝達しやすい特性によって車両における乗心地を却って阻害してしまうことになる。
なお、上記した所定のストローク速度は、たとえば、アクチュエータを車両のバネ上部材とバネ下部材との間に介装して、アクチュエータでバネ上部材の姿勢制御や振動を抑制するサスペンションとして使用する場合には、所定の電気角速度αとなるときのアクチュエータのストローク速度を、具体的には、1m/sに設定すると、車両の乗心地を重視すべきストローク速度の領域では、上記振動モードの発現を防止することができるとともに、ロータRとバネ上部材もしくはバネ下部材との間に介装される部材の全体、この場合、ロータRに対して周方向のバネ要素として機能する螺子軸1の全体における捩りバネ定数(周方向の捩り剛性)を必要以上に大きく設定しなければならない事態を回避できる。
また、上述のようにアクチュエータをサスペンションとして利用する場合、ロータRとバネ上部材もしくはバネ下部材との間に介装される部材の全体の捩りバネ定数を大きく設定しすぎると、上記振動を伝達しやすい特性によって車両における乗心地を却って阻害してしまうことになるが、上記したように、所定の電気角速度αとなるストローク速度を1m/s程度に設定しておくことによって、バネ要素として機能するロータRとバネ上部材もしくはバネ下部材との間に介装される部材の全体の捩りバネ定数を必要以上に大きく設定しなければならない事態を回避できることから、車両における乗心地の向上と振動モードの発現を防止することの両方を高度に満足させることが可能となる。
なお、運動変換機構Hの直動部材を螺子軸1とし、回転部材をボール螺子ナット2とする場合には、螺子軸1を直接にバネ上部材あるいはバネ下部材に連結するようにしておけばよいので、ロータRとバネ上部材あるいはバネ下部材との間に介装されてバネ要素として機能するのは主として螺子軸1ということになる。
つづき、制御装置20の具体的な構成について説明すると、上記した制御装置20のPWM回路25以外の各部は、ハードウェア構成としては、具体的にはたとえば、電流検出器24、回転角センサ15が出力する各信号を増幅するためのアンプと、アナログ信号をデジタル信号に変換する変換器と、CPU(Central Prossesing Unit)、ROM(Read Only Memory)等の記憶装置、RAM(Random Access Memory)、水晶発振子及びこれらを連絡するバスラインとを備えた図示しない周知のコンピュータシステムとされればよく、また、PWM回路25に電圧指令値Vu,Vv,Vwを出力することができるようになっていればよい。なお、このハードウェアとして制御装置20のPWM回路25以外の各部は、この駆動系が搭載される機器のコントローラに統合されてもよい。
そして、この場合、上記電流目標値演算部26におけるd相およびq相における電流目標値id*,iq*の演算のための通常制御を行うための処理手順と上述した所定の電気角速度α以上となる場合のd相およびq相の電圧指令値Vd,Vqをゼロに設定するための処理手順は、プログラムとしてROMや他の記憶装置に予め格納されている。
以下、制御装置20における所定の電気角速度α以上となる場合のd相およびq相の電圧指令値Vd,Vqをゼロに設定するための処理手順を図6に示したフローチャートに即して具体的に説明する。
ステップF1では、制御装置20は、ロータRの電気角速度ωを読み込んで、この電気角速度ωが所定の電気角速度α以上であるか否かを判断する。
そして、電気角速度ωが所定の電気角速度α未満である場合、本処理手順を終了し、他方、電気角速度ωが所定の電気角速度α以上である場合、ステップF2へ移行する。
つづき、ステップF2では、電気角速度ωをパラメータとしたd相およびq相の電圧指令値Vd,Vqに乗算すべきゲインのマップから、d相およびq相の電圧指令値Vd,Vqに乗算すべきゲインを設定する。このゲインの設定は、上述したゲイン乗算部30によって行われることになる。
なお、上記マップは、具体的には、図7に示すように、ゲインは、電気角速度ωをパラメータとして、1からゼロまで変化するようになっており、ロータRの電気角速度ωが所定の電気角速度αをとる場合には、上記ゲインはゼロをとるようになっているが、ロータの電気角速度ωが所定の電気角速度αより小さい或る電気角速度β以上となると電気角速度ωの増加に対してゲインが減少するようになっている。
詳しくは、ゲインは、電気角速度ωが或る電気角速度βとなるまでは、1の値をとり、電気角速度βから所定の電気角速度αまでは、電気角速度ωの増加に伴って減少して、電気角速度ωが所定の電気角速度αになるとゼロとなる。
そして、電気角速度ωと上記マップからゲインが選択されると、ステップF3に移行して、選択されたゲインをd相およびq相の電圧指令値Vd,Vqにそれぞれ乗算して、最終的なd相およびq相の電圧指令値Vd,Vqを演算する。
したがって、この制御装置20によれば、ロータRの電気角速度ωが電気角速度β以上であって所定の電気角速度α未満では、電気角速度ωの上昇に伴ってゲインが減少し、通常出力されるべきd相およびq相の電圧指令値Vd,Vqは減少し、徐々に、通常制御(電流目標値演算部26が演算した各電流目標値id*,iq*に基づく制御)がフェードアウトしていくことになる。なお、電気角速度βは、電気角速度αより小さい値であればよいが、d相およびq相の電圧指令値Vd,Vqの電気角速度ωに対する変動が大きすぎて上記フェードアウトの効果が失われない程度に電気角速度αよりある程度の差をもって設定されるとよい。
さらに、ロータRの電気角速度ωが上昇して所定の電気角速度α以上となると、ゲインがゼロとなり、モータMの電気的な共振周波数feがロータRの周方向振動における共振周波数fmに接近して振動モードを発現してしまう前に、モータMをU,V,Wの各相巻線12の端子間電圧の変化が誘導起電力のみに起因して生じる状態に制御することになる。
このように、本実施の形態における制御装置20にあっては、通常制御を突然に打ち切って、モータMをU,V,Wの各相巻線12の端子間電圧の変化が誘導起電力のみに起因して生じる状態に制御するようにすることがなく、通常制御をフェードアウトさせているので、通常制御打ち切り時にモータMの発生するトルクの変動が大きくなってしまうことがなく、アクチュエータの発生荷重に大きな変動が生じてしまうことが防止される。
すなわち、本制御装置20にあっては、通常制御打ち切り時にあっても、アクチュエータの発生荷重に大きな変動を生じさせないので、ストローク速度の変化を急激なものとすることがなく、アクチュエータがサスペンションとして利用される場合にあっては、車両搭乗者に違和感や不快感を与えることがなく、車両における乗り心地をより一層向上させることができる。
また、被駆動部材は、モータMによって駆動されるものであればよく、たとえば、電気自動車における車輪や、電動パワーステアリングにおける車輪とされてもよい。そして、被駆動部材が電気自動車における車輪である場合、伝達部材をモータMのロータRと車輪とを接続するシャフトとすればよく、駆動系が電動パワーステアリングである場合、伝達部材をラックアンドピニオンか、あるいは、ロータRに連結されるボール螺子ナットと、車輪側に接続される螺子軸とで構成すればよい。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
一実施の形態におけるアクチュエータの概念図である。 アクチュエータの制御装置のシステム図である。 PWM回路を示す図である。 アクチュエータの内部構成を示すブロック線図である。 電圧制限円とd相およびq相の電圧指令値との関係を示す図である。 電圧指令値をゼロに設定するための処理手順の一例を示したフローチャートである。 電気角速度をパラメータとした電圧指令値に乗算すべきゲインのマップである。 従来のアクチュエータにおけるストローク速度に対する発生荷重(ダンピングフォース)を示した図である。
符号の説明
1 回転部材たる螺子軸
2 直動部材たるボール螺子ナット
10 フレーム
11 ステータコア
12 巻線
13 シャフト
14 駆動用磁石
15 回転角センサ
20 制御装置
21 二相電流演算部
22 比例積分制御部
23 三相変換演算部
24 電流検出器
25 PWM回路
26 電流目標値演算部
27,28,29 リミッタ
30 ゲイン乗算部
E 電源
H 運動変換機構
M モータ
R ロータ
S ステータ

Claims (11)

  1. モータによって駆動される被駆動部材とモータのロータとの間に介装される伝達部材を介して被駆動部材にモータの動力を伝達する駆動系におけるモータを制御する制御装置において、所定の電気角速度を電圧指令値が飽和した状態で慣性モーメントとして作用するロータの周方向振動を励起する電気角速度の領域より小さい電気角速度とし、ロータの電気角速度が上記所定の電気角速度以上となる場合、電圧指令値をゼロとしてモータを制御することを特徴とする制御装置。
  2. モータに流れる電流とロータの電気角とからdq変換を用いてd相およびq相の電流値を求め、d相電圧指令値およびq相電圧指令値に基づいてモータを制御するとともに、ロータの電気角速度が上記所定の電気角速度以上となる場合、d相およびq相の電圧指令値をゼロとしてモータを制御することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
  3. ロータの電気角速度が上記所定の電気角速度より小さい或る電気角速度以上となると電気角速度の増加に対して減少するゲインを乗じて電圧指令値を減少させてモータを制御することを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
  4. モータをPWM制御し、電圧指令値がゼロとなるとPWMデューティ比を50%としてモータを制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
  5. 上記所定の電気角速度は、その電気角速度におけるモータの電気的な共振周波数が少なくともロータの周方向振動における共振周波数より小さくなるように設定されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
  6. 直動部材と回転部材とを有し直動部材の直線運動を回転部材の回転運動に変換する運動変換機構と、回転部材に連結されるロータを有するモータとを備えたアクチュエータの制御装置において、所定の電気角速度を電圧指令値が飽和した状態で慣性モーメントとして作用するロータの周方向振動を励起する電気角速度の領域より小さい電気角速度とし、ロータの電気角速度が上記所定の電気角速度以上となる場合、電圧指令値をゼロとしてモータを制御することを特徴とするアクチュエータの制御装置。
  7. モータに流れる電流とロータの電気角とからdq変換を用いてd相およびq相の電流値を求め、d相電圧指令値およびq相電圧指令値に基づいてモータを制御するとともに、ロータの電気角速度が上記所定の電気角速度以上となる場合、d相およびq相の電圧指令値をゼロとしてモータを制御することを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータの制御装置。
  8. ロータの電気角速度が上記所定の電気角速度より小さい或る電気角速度以上となると電気角速度の増加に対して減少するゲインを乗じて電圧指令値を減少させてモータを制御することを特徴とする請求項6または7に記載のアクチュエータの制御装置。
  9. モータをPWM制御し、電圧指令値がゼロとなるとPWMデューティ比を50%としてモータを制御することを特徴とする請求項6から8のいずれかに一項に記載のアクチュエータの制御装置。
  10. 上記所定の電気角速度は、その電気角速度におけるモータの電気的な共振周波数が少なくともロータの周方向振動における共振周波数より小さくなるように設定されることを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載のアクチュエータの制御装置。
  11. アクチュエータは、ストローク速度が1m/s以上とならなければロータの電気角速度が上記所定の電気角速度以上とならないように設定されてなることを特徴とする請求項6から10のいずれか一項に記載のアクチュエータの制御装置。
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