以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[デジタル放送配信システムの全体構成]
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係るデジタル放送配信システムの構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るデジタル放送配信システムの全体構成を示す構成図である。
デジタル放送配信システムSは、地上デジタル放送のコンテンツを衛星デジタル放送の放送波によって配信するものである。図1に示すように、デジタル放送配信システムSは、送信システム1と、放送衛星2と、地上デジタル放送中継局4と、ワンセグ中継局5とを備え、受信システム3や、図示を省略した地上デジタル放送の固定受信機や携帯端末等に向け放送波を中継する。
送信システム1は、地上デジタル放送のコンテンツを衛星デジタル放送の放送波で送信する放送局側のシステムである。ここでは、送信システム1は、コンテンツ(MPEG2トランスポートストリーム;以下、MPEG2−TSという)を、地上デジタル放送の伝送方式であるISDB−T方式の伝送データとして生成した後、BSデジタル放送の伝送方式であるISDB−S方式の伝送データに変換し、BSデジタル放送の変調波として、放送衛星2に送信することとする。
放送衛星2は、送信システム1から送信される衛星デジタル放送の放送波(変調波)を受信し、地上に向けて再送信するものである。
受信システム3は、放送衛星2から送信される衛星デジタル放送の放送波を受信し、復調、復号を行うことで、映像、音声、データを表示するシステムである。例えば、受信システム3は、一般家庭に設置された受信アンテナ、BSデジタル放送受信機、表示装置(ハイビジョンモニタ等)によって、BSデジタル放送で放送されるコンテンツを視聴者に提示する。なお、放送衛星2からは、地上デジタル放送のコンテンツがBSデジタル放送の伝送方式で変調された変調波として送信されるため、受信システム3は、BSデジタル放送のコンテンツ以外にも、地上デジタル放送のコンテンツを、放送衛星2を介して受信し、視聴者に提示することができる。
地上デジタル放送中継局(地上デジタル放送中継装置)4は、放送衛星2から送信される衛星デジタル放送の放送波を受信し、地上デジタル放送の放送波として、一般家庭、あるいは、地上デジタル放送専用の中継局に向け中継するものである。ここでは、地上デジタル放送中継局4は、放送衛星2から送信されるBSデジタル放送の変調波を受信し、地上デジタル放送の伝送方式であるISDB−T方式の変調波に変換することで、地上デジタル放送を中継する。
ワンセグ中継局(特定セグメント連結中継装置)5は、放送衛星2から送信される衛星デジタル放送の1チャンネル以上の放送波を受信し、地上デジタル放送の1セグメント分のストリームデータ(ワンセグTS)を分離、多重化して、携帯端末等に向け中継するものである。
このように、デジタル放送配信システムSは、コンテンツを、地上デジタル放送の伝送方式(ISDB−T方式)の伝送データとした後、BSデジタル放送の伝送方式(ISDB−S方式)の伝送データに変換して、放送衛星2を介して送信する。これによって、地上デジタル放送難視聴地域においても、一般家庭(受信システム3)において、地上デジタル放送のコンテンツを視聴することができる。
また、デジタル放送配信システムSは、放送衛星2を介して送信されたBSデジタル放送の伝送方式(ISDB−S方式)の伝送データを、地上デジタル放送の伝送方式(ISDB−T方式)の伝送データに変換して中継する。これによって、地上デジタル放送難視聴地域においても、ワンセグを携帯端末で受信したり、12セグメントのハイビジョンサービスを地上デジタル放送の固定受信機や移動体端末で受信したり等、地上デジタル放送特有のサービスを利用することができる。
以下、送信システム1、地上デジタル放送中継局4、ワンセグ中継局5について、さらに詳細に説明を行う。
〔送信システムの構成〕
最初に、図2を参照(適宜図1参照)して、本発明の実施形態に係る送信システムの構成について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る送信システムの構成を示すブロック図である。ここでは、送信システム1は、再多重化器(REMUX)10,10,…と、T/S変換器11,11,…と、ISDB−S変調器12,12と、BS送信局13とを備えている。なお、ここでは、送信システム1は、2つのBSデジタル放送のチャンネルを利用して、6系統の地上デジタル放送信号を伝送することとする。
再多重化器(REMUX)10は、系統(例えば、放送事業者A,B,C,…)ごとに、図示を省略した複数のMPEG2多重器から出力されたストリームデータ(MPEG2−TS)を、再多重化するものである。ここでは、再多重化器10は、入力されたMPEG2−TSを多重化し、予め定められた伝送モードとガードインターバル比で決まる一定数の伝送トランスポートストリームパケット(伝送TSP)で構成される多重フレーム構造を有する1系統のISDB−T方式のTS(以下、ISDB−T−TS)に変換して、T/S変換器11に出力する。例えば、モード(伝送モード)が“3”、ガードインターバル比が“1/8”の場合、多重フレーム中の伝送TSPの数は“4608”である。
ここで、図8を参照(適宜図2参照)して、ISDB−T−TSについて詳細に説明を行う。図8は、ISDB−T−TSを構成する伝送TSPの内容を示すデータ構造図である。なお、図8(a)は、伝送TSPの一般的なデータ構造を示し、図8(b)は、ARIB STD−B31に記載されている放送TS(ISDB−T−TSの一例)の伝送TSPのデータ構造を示している。
図8(a)に示すように、ISDB−T−TSを構成する伝送TSPは、ヘッダ部Hが4バイト、アダプテーションフィールドおよびペイロード部Pが184バイト、ダミーバイトDが16バイトの計204バイトで構成されている。
また、図8(b)に示す放送TSの伝送TSPは、ダミーバイトDの一部(8バイト分)に、各TSPの階層情報を含むISDB−T_informationと呼ばれる制御情報が付加されている。そして、ダミーバイトDの残りの部分(8バイト分)に、STL/TTL等の配信系で使用される誤り訂正符号のパリティが挿入される。なお、このパリティはオプションである。ただし、このダミーバイトDの部分は、後記するISDB−S変調器12において、外符号であるリードソロモン符号RS(204,188)のパリティに置き換えられるため、実際には伝送されない。
さらに、ISDB−T−TSは、再多重化器10より後段の処理部と一定クロック(OFDMのIFFT〔逆高速フーリエ変換〕クロックの4倍:512/63×4=32.5Mbps)でインタフェースすることが定められているため、適切なヌルパケット(無効階層)が追加されている。これによって、多重フレーム長とOFDM長とを一致させ、OFDM信号の同期からISDB−T−TSの同期を再生することが可能になっている。
また、ISDB−T方式の規格によれば、多重フレーム中の各階層のTSPの配置パターンは、予め定めたモデル受信機の動作を定義することで間接的に規定されている。これによって、受信側で複数の階層に分割されて伝送された伝送TSPから送信側と同一のISDB−T−TSを再生することが可能になっている。
ここで、図9を参照して、ISDB−T方式におけるTSPのパターン例について説明する。図9は、ISDB−T方式における多重フレーム中のTSPのパターン例を模式的に示した図である。図9中、“A”はA階層のTSP、“B”はB階層のTSP、“N”は無効階層のTSP(NULL〔ヌル〕パケット)をそれぞれ示している。この多重フレーム中のTSPのパターンは、伝送パラメータにより異なり、図9の例では、モード(伝送モード)が“3”、ガードインターバル比が“1/8”、階層数が“2”、A階層は変調方式がQPSKで内符号の符号化率が“2/3”、B階層は変調方式が64QAMで内符号の符号化率が“3/4”の場合の例を示している。
図9に示したTSPのパターン例では、左上から右方向に、行の最後に達したら次の行の先頭から右方向に順次TSPが配置された状態を示している。なお、ISDB−T方式においては、このパターンを4回繰り返し、全部で4608個のTSPで1つの多重フレームを構成している。なお、多重フレームの最後のヌルパケットは、多重フレームの先頭位置を示す情報等が付加されている情報パケットであるIIP(ISDB−T_information_Packet)に置き換えられている。ただし、このIIPは、必ずしも多重フレームの最後にある必要はなく、多重フレームの先頭位置を相対的に示す情報を有しているため、多重フレーム内のどこにあってもよい。このように、ISDB−T方式におけるTSPでは、一定クロックでインタフェースするために、多くのヌルパケット(無効階層“N”)が追加されている。
図2に戻って、送信システム1の構成について説明を続ける。
T/S変換器(地上/衛星放送信号変換装置)11は、再多重化器10で再多重化された再多重化TSであるISDB−T−TSを、BSデジタル放送の伝送方式であるISDB−S方式の信号(以下、T/S変換後TSという)に変換するものである。このT/S変換器11は、T/S変換後TSを、予め定められた系統のISDB−S変調器12に出力する。
ここで、図3を参照(適宜図2参照)して、T/S変換器11の構成について詳細に説明する。図3は、本発明の実施形態に係るT/S変換器の構成を示すブロック図である。図3に示すように、T/S変換器11は、IIP検出手段110と、無効階層除去手段111と、ヌルパケット書換手段112と、NIT付替手段113と、PCR再設定手段114とを備えている。
IIP検出手段(同期化手段)110は、再多重化器10で再多重化された再多重化TSであるISDB−T−TSから、多重フレームの先頭位置を検出することで、同期化処理を行うものである。ここでは、IIP検出手段110は、固有の識別子を有する情報パケット(IIP:ISDB−T_information_Packet)を検出し、このIIPに記述されている多重フレームの位置情報に基づいて、多重フレームの先頭位置を検出する。そして、IIP検出手段110は、多重フレームの先頭位置を示すフレーム同期信号を生成し、以降に示す各手段に出力する。
無効階層除去手段111は、フレーム同期信号に基づいて、あるいはダミーバイトD中のISDB−T_informationに基づいて、多重フレームごとに、ISDB−T−TSから無効階層のTSP(ヌルパケット)を除去するものである。例えば、図9で説明したように多重フレーム中にTSPが配置されていた場合、無効階層除去手段111は、“N”で示した無効階層を除去することで、図10に示したようなA階層とB階層とで構成されるTSPのパターンを生成する。ただし、無効階層にIIPが含まれている場合、無効階層除去手段111は、IIPを削除しないこととする。図10に示したTSPのパターン例では、左上から右方向に、行の最後に達したら次の行の先頭から右方向に順次TSPが配置された状態を示している。なお、このパターンを4回繰り返して1多重フレームとなる。また、多重フレーム中のいずれかの位置(通常は、最後)にIIPに相当するTSPが挿入されている。そして、無効階層除去手段111は、無効階層のTSP(ヌルパケット)を削除した多重フレームをヌルパケット書換手段112に出力する。
なお、IIPが多重フレームの最後のTSPとして固定的に運用されている場合は問題ないが、多重フレーム中のいずれかに配置され、相対位置によって多重フレームの先頭を示す場合、無効階層除去手段111は、無効階層を削除した分、IIPにおける多重フレームの相対位置を補正しておくこととする。これによって、受信側では、IIPにより、多重フレームの先頭を検出することが可能になる。
また、無効階層除去手段111は、無効階層を除去することで、多重フレーム当たりのTSP数が減少し、信号がバースト的になることから、レート変換を行い信号の連続化を行うことが望ましい。
ここで、さらに、図11を参照して、無効階層除去手段111が、IIPを検出して、ISDB−T−TSから無効階層のTSP(ヌルパケット)を除去する仕組みについて説明する。図11は、無効階層のTSP(ヌルパケット)を除去する仕組みを模式的に示した図である。
ここでは、図11(a)に示したISDB−T−TS(再多重化TS)おいて、最も左のTSPが、IIPであったとする。また、IIPは、多重フレームの最後のTSPであるものとする。この場合、無効階層除去手段111は、IIPに続くTSPを多重フレームの先頭として認識し、当該多重フレーム内において、IIPを除いた無効階層のヌルパケットを除去することで、図11(b)に示す無効階層除去後のTSを生成する。さらに、無効階層除去手段111は、図11(c)に示すように、無効階層除去後のTSをレート変換することで、信号の連続化を行う。
図3に戻って、T/S変換器11の構成について説明を続ける。
ヌルパケット書換手段112は、無効階層が除去された多重フレーム内のヌルパケットのパケット内の所定位置の情報を、当該パケットが無効階層以外の階層のヌルパケットであることを示す識別情報に書き換えるものである。
一般に、無効階層以外の階層(A階層、B階層等)においてもヌルパケットが存在する場合がある。また、後記するISDB−S変調器12によって、同期調整のため、独自にヌルパケットが追加されることがある。そこで、ヌルパケット書換手段112は、これらのヌルパケットを区別するため、無効階層以外の階層のヌルパケットに識別情報を付加しておく。例えば、ヌルパケット書換手段112は、図12に示すように、無効階層以外の階層のヌルパケットのペイロード部P(通常、値はすべて“1”またはすべて“0”)に固有の識別ID(識別情報)を付加する。そして、ヌルパケット書換手段112は、識別情報を付加した後の信号をNIT付替手段113に出力する。
NIT付替手段(ネットワーク情報テーブル付替手段)113は、ISDB−T−TSに含まれている伝送制御信号のネットワーク情報テーブル(NIT:Network Information Table)において、ISDB−T方式に関連する識別子(地上分配システム記述子等)を、ISDB−S方式に関連する識別子(衛星分配システム記述子等)に付け替えるものである。これによって、ISDB−T−TSを、ISDB−S方式のTSPとして扱うことが可能になる。
PCR再設定手段114は、無効階層のTSPが除去されたことに伴い、放送番組の同期を図るための基準信号となるプログラム時刻基準値(PCR)を補正するため、PCRを設定し直すものである。
このように、T/S変換器11を構成することで、ISDB−T方式のTSが、ISDB−S方式のTS(以下、T/S変換後TS)に変換されたことになる。
現在、BSデジタル放送における1チャンネル当たりの伝送ビットレートは52.128Mbps(TSレート)である。ここで、ISDB−Tの伝送パラメータを以下の表1としたとき、T/S変換後TSの伝送ビットレートRは、以下の(1)式に示すように、17.268Mbpsとなる。
R=404Mbps/セグメント(64QAM)×12セグメント
+0.416Mbps/セグメント(QPSK)×1セグメント
=17.268Mbps …(1)式
したがって、T/S変換後TSであれば、1つのBSチャンネルで最大3系統のT/S変換後TSを伝送することが可能になり、地上デジタル放送信号を伝送するためのBSデジタル放送チャンネルの増加を抑えることができる。
図2に戻って、送信システム1の構成について説明を続ける。
ISDB−S変調器(変調器)12は、1系統以上のT/S変換器11から出力されたISDB−S方式のTS(T/S変換後TS)を入力し、搬送波を変調するものである。そして、このISDB−S変調器12で生成された変調波信号(ISDB−S変調波)は、BS送信局13に出力される。なお、このISDB−S変調器12は、BSデジタル放送において使用されている一般的な変調器を用いることができる。
例えば、BSデジタル放送において使用されている変調器では、入力された1系統以上のTSを1波(1トランスポンダ)当たり、48個のスロットに振り分けて伝送している。そこで、ISDB−S変調器12では、全伝送容量を3つに分割したT/S変換後TSを伝送することとする。したがって、1つのT/S変換後TSに対して16スロット(48/3)が割り当てられることになる。
なお、BSデジタル放送では、1スロット当たりの伝送ビットレートは1.086Mbpsであるため、16スロットでの伝送ビットレートは17.376Mbpsとなるのに対して、T/S変換後TSの伝送ビットレートは、(1)式で示したように、17.268Mbpsとわずかに低い。
この場合、ISDB−S変調器12は、T/S変換器11との間で同期接続を行うことができないため、非同期接続を行う。そして、ISDB−S変調器12は、T/S変換器11との間でレート調整を行うため、図示を省略したレート変換手段によってヌルパケットの追加によるスタッフィングを行う。
この場合であっても、図3で説明したT/S変換器11のヌルパケット書換手段112によって、無効階層以外の階層(A階層、B階層等)のヌルパケットには、識別情報が付加されているため、元から存在するヌルパケットと、ISDB−S変調器12が付加したヌルパケットとを識別することが可能になる。なお、このヌルパケットの識別は、地上デジタル放送中継局4およびワンセグ中継局5において行われるため、その詳細については後記することとする。
BS送信局(アップリンク装置)13は、1系統以上のISDB−S変調器12から出力される変調信号(ISDB−S変調波)を、放送波に変換して放送衛星2に送信する一般的なアップリンク装置である。このBS送信局13は、アップコンバータ(図示せず)によって、ISDB−S変調波の周波数を衛星放送の周波数に変換し、その変換された信号を、電力増幅器(図示せず)によって増幅することで、放送衛星2に送信する放送波として送信アンテナ13aから出力する。
ここで、図13を参照(適宜図2参照)して、送信システム1において行われるTSのデータの変化について説明する。図13(a)は、A階層として配置されるMPEG2−TS(A階層MPEG2−TS)のTSP列を模式的に示している。また、図13(b)は、B階層として配置されるMPEG2−TS(B階層MPEG2−TS)のTSP列を模式的に示している。図13の(a)、(b)に示すように、A階層MPEG2−TSやB階層MPEG2−TSには、それぞれヌルパケット(Null(A)、Null(B))が含まれている。このA階層MPEG2−TSやB階層MPEG2−TSが、再多重化器10に入力される。
そして、再多重化器10は、A階層MPEG2−TSおよびB階層MPEG2−TSを再多重化し、後段において一定クロックでインタフェースを行うため、図13(c)に示すように、適切なヌルパケット(無効階層)を追加することで、ISDB−T−TS(再多重化後TS)を生成する。その後、T/S変換器11は、ISDB−T−TSに対して、無効階層の除去等の処理を行うことで、図13(d)に示すT/S変換後TSを生成する。
また、ISDB−S変調器12は、T/S変換後TSを変調する際に、レート調整を行うため、図13(e)に示すように、T/S変換後TSにISDB−S変調器12内でヌルパケット(Null(S))を挿入する。
このように、送信システム1においては、レート変調後のTSにおいて、A階層やB階層のヌルパケットや、レート調整用のヌルパケットが存在する。しかし、ヌルパケット書換手段112において、A階層やB階層のヌルパケットには、固有に識別情報が付加されているため、受信側において、レート調整用のヌルパケットを除去することが可能になる。
以上説明したように、送信システム1を構成することで、送信システム1は、地上デジタル放送で放送されるコンテンツを、衛星(BS)デジタル放送の放送波で放送衛星2に送信することができる。また、送信システム1は、コンテンツを伝送する信号の形式を、地上デジタル放送の信号形式からBSデジタル放送の信号形式に変換するため、受信側では、逆変換を行うことで、地上デジタル放送の信号形式に戻すことができる。これによって、衛星デジタル放送でコンテンツを配信する場合であっても、受信側において、地上デジタル放送のサービスを利用することができる。
〔地上デジタル放送中継局の構成〕
次に、図4を参照(適宜図1参照)して、本発明の実施形態に係る地上デジタル放送中継局の構成について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る地上デジタル放送中継局の構成を示すブロック図である。ここでは、地上デジタル放送中継局4は、受信アンテナ40と、低雑音増幅器(LNA)41と、ダウンコンバータ(D/C)42と、分配器43と、ISDB−S復調器44,44,…と、T/S逆変換器45,45,…と、ISDB−T変調器46,46,…と、送信機(TX)47,47,…と、合成器48と、送信アンテナ49とを備えている。
受信アンテナ40は、放送衛星2から送信される衛星(BS)デジタル放送の放送波(変調波)を受信するものである。この受信アンテナ40で受信された変調波は、低雑音増幅器(LNA)41に出力される。なお、この受信アンテナ40は、中継局の設備として設置するものであるため、一般家庭用のアンテナに比べて口径を大きく、ゲインの高いパラボラアンテナを用いることができる。
低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier〔受信装置〕)41は、受信アンテナ40で受信した信号を増幅するものである。
ダウンコンバータ(D/C:Down Converter〔受信装置〕)42は、低雑音増幅器41で増幅された信号を、IF帯の周波数の信号に周波数変換するものである。
分配器(受信装置)43は、ダウンコンバータ42によって、周波数変換されたIF信号を、1系統以上のISDB−S復調器44,44,…(本実施例では、最大6系統)に分配するものである。
ISDB−S復調器(受信装置)44は、分配器43から分配されたBSデジタル放送のIF信号を復調するものである。このISDB−S復調器44は、チャンネルごとに複数存在し、TMCC等の制御信号で通知される変調方式に基づき、また、予め割り当てられているチャンネルの変調波を復調する。そして、ISDB−S復調器44は、復調した信号の中のあらかじめ指定されたTS(送信システム1では1チャンネル当たり3系統のTSが多重、変調、送信されている)をT/S逆変換器45に出力する。なお、このISDB−S復調器44において復調された信号は、図2で説明したT/S変換器11が生成したISDB−S方式の信号(T/S変換後TS)と同じものである。
T/S逆変換器(衛星/地上放送信号変換装置)45は、ISDB−S復調器44で復調され、出力されたT/S変換後TSを、地上デジタル放送の伝送方式であるISDB−T方式の信号(ISDB−T−TS)に変換するものである。すなわち、T/S逆変換器45は、図2で説明したT/S変換器11の逆変換を行うことで、T/S変換後TSをISDB−T−TSに変換する。このT/S逆変換器45で変換され、出力されたISDB−T−TSは、ISDB−T変調器46に出力される。
ここで、図5を参照(適宜図4参照)して、T/S逆変換器45の構成について説明する。図5は、本発明の実施形態に係るT/S逆変換器の構成を示すブロック図である。図5に示すように、T/S逆変換器45は、ID無しヌルパケット除去手段450と、ID付きヌルパケット書換手段451と、IIP検出手段452と、多重フレームパターン記憶手段453と、無効階層挿入手段454と、制御情報付加手段455と、NIT付替手段456と、PCR再設定手段457とを備えている。
ID無しヌルパケット除去手段450は、T/S変換後TSから、識別IDが付加されていないヌルパケットを除去するものである。すなわち、ID無しヌルパケット除去手段450は、ISDB−S変調器12(図2参照)によって、レート調整のために付加されたヌルパケットを除去する。なお、ID無しヌルパケット除去手段450は、ヌルパケットを除去するとともに、レート変換を行うことで、信号の連続化を行うことが望ましい。
ID付きヌルパケット書換手段451は、識別IDが付加されていないヌルパケットが除去されたT/S変換後TSにおいて、識別IDが付加されているヌルパケットから識別IDを元の情報に書き換えるものである。
例えば、図12で説明したように、ペイロード部分に固有の識別ID(識別情報)が付加されている場合、ID付きヌルパケット書換手段451は、当該ペイロード部分に“1”または“0”を書き込むことで識別IDを削除する。そして、ID付きヌルパケット書換手段451は、識別IDを削除した後のT/S変換後TSをIIP検出手段452および無効階層挿入手段454に出力する。
なお、ID付きヌルパケット書換手段451は、必ずしも必要な構成ではないが、地上デジタル放送用測定器の中に、ヌルパケットのペイロード部分がオール“1”またはオール“0”であることを利用して、伝送系で発生したビット誤りの誤り率を測定する装置があることから、ペイロード部分を“1”または“0”に書き換えることが好ましい。
IIP検出手段(同期化手段)452は、ID付きヌルパケット書換手段451から出力されたT/S変換後TSにおいて、多重フレームの先頭位置を検出することで、同期化処理を行うものである。ここでは、IIP検出手段452は、固有の識別子を有するIIPを検出し、このIIPに記述されている多重フレームの位置情報に基づいて、多重フレームの先頭位置を検出する。そして、IIP検出手段452は、多重フレームごとにフレーム同期信号を生成し、以降で説明する各手段に出力する。
多重フレームパターン記憶手段453は、ISDB−T方式における多重フレームの階層パターンを記憶しておくものであって、一般的な半導体メモリ等である。この多重フレームパターン記憶手段453には、例えば、図9に示したTSPのパターンを記憶しておく。なお、このパターンの記憶の仕方は特に限定するものではないが、例えば、「“B”12回、“N”8回、…」等、各階層とその連続回数とを送出順に記憶しておく。また、ここでは、多重フレームのパターンを記憶しておくこととしたが、多重フレームパターン発生手段を備え、多重フレームのパターンを順次発生させることとしてもよい。
無効階層挿入手段454は、T/S変換後TSの多重フレームごとに、無効階層のTSP(ヌルパケット)を挿入するものである。ここでは、無効階層挿入手段454は、多重フレームごとに、多重フレームパターン記憶手段453に記憶されている多重フレームの階層パターンを参照して、無効階層のヌルパケットを挿入する。例えば、無効階層挿入手段454は、多重フレームの先頭からB階層が12個連続した場合、その後に無効階層を8個挿入する。これによって、T/S変換後TSは、ISDB−T方式の伝送ビットレートにレート変換されることになる。そして、無効階層挿入手段454は、無効階層のTSPを挿入した後の信号を制御情報付加手段455に出力する。
制御情報付加手段455は、無効階層挿入手段454より出力された無効階層挿入後の信号のTSP(全ての階層のTSP)のダミーバイト部に、階層に関する情報を含んだ制御情報(ISDB−T_information)を付加するものである。これによって、新たに付加されたヌルパケットは、無効階層のパケットであることが設定されたことになる。そして、制御情報付加手段455は、所定のパケット制御情報を付加したう信号を、NIT付替手段456に出力する。
NIT付替手段(ネットワーク情報テーブル付替手段)456は、T/S変換後TSに含まれている伝送制御信号のネットワーク情報テーブル(NIT)において、ISDB−S方式に関連する識別子(衛星分配システム記述子等)を、ISDB−T方式に関連する識別子(地上分配システム記述子等)に付け替えるものである。これによって、T/S変換後TSを元のISDB−T方式のTSとして認識されることになる。このNITが付替えられえたTSは、PCR再設定手段457に出力される。
PCR再設定手段457は、T/S逆変換器45に入力されたTSに無効階層のTSPが挿入されたことに伴い、放送番組の同期を図るための基準信号となるプログラム時刻基準値(PCR)を補正するため、PCRを設定し直すものである。
このように、T/S逆変換器45を構成することで、ISDB−S方式のTS(T/S変換後TS)が、ISDB−T方式のTS(ISDB−T−TS)に逆変換されたことになる。
図4に戻って、地上デジタル放送中継局4の構成について説明を続ける。
ISDB−T変調器46は、T/S逆変換器45から出力されたISDB−T方式の信号であるISDB−T−TSを入力してISDB−T方式の変調波を生成するものである。そして、ISDB−T変調器46は、生成したISDB−T方式の変調波(ISDB−T変調波)を送信機47に出力する。
送信機(TX:送信装置)47は、ISDB−T変調器46で変調されたIF帯のISDB−T変調波を、UHF帯のチャンネルの周波数に周波数変換し、所定の電力に増幅して、合成器48に出力する。
合成器(送信装置)48は、1系統以上の送信機47から送信されたUHF帯のISDB−T変調波を合成し、送信アンテナ49に出力するものである。
送信アンテナ49は、合成器48から出力されたUHF帯の合成信号を電波として送信するものである。この送信アンテナ49から送信されたUHF帯の合成信号は、地上デジタル放送の放送波として、一般家庭、あるいは、地上デジタル放送専用の中継局に送られる。
このように、地上デジタル放送中継局4を構成することで、地上デジタル放送中継局4は、BSデジタル放送の放送波で放送された地上デジタル放送のコンテンツを、地上デジタル放送の信号形式に戻して再送信することができる。これによって、地上デジタル放送難視聴地域においても、地上デジタル放送のサービスを提供することができる。
〔ワンセグ中継局の構成〕
次に、図6を参照(適宜図1参照)して、本発明の実施形態に係るワンセグ中継局の構成について説明する。図6は、本発明の実施形態に係るワンセグ中継局の構成を示すブロック図である。ここでは、ワンセグ中継局5は、受信アンテナ50と、低雑音増幅器(LNA)51と、ダウンコンバータ(D/C)52と、分配器53と、ISDB−S復調器54,54,…と、ワンセグ分離器55,55,…と、ワンセグ連結再送信装置56と、送信機(TX)57と、送信アンテナ58とを備えている。
受信アンテナ50は、放送衛星2から送信される衛星(BS)デジタル放送の放送波(変調波)を受信するものである。この受信アンテナ50で受信された変調波は、低雑音増幅器(LNA)51に出力される。なお、この受信アンテナ50は、中継局の設備として設置するものであるため、一般家庭用のアンテナに比べて口径が大きく、ゲインの高いパラボラアンテナを用いることができる。
低雑音増幅器(LNA〔受信装置〕)51は、受信アンテナ50で受信した信号を増幅するものである。
ダウンコンバータ(D/C〔受信装置〕)52は、低雑音増幅器51で増幅された信号を、IF帯の周波数の信号に周波数変換するものである。
分配器(受信装置)53は、ダウンコンバータ52によって、周波数変換されたIF信号を、1系統以上のISDB−S復調器54,54,…に分配するものである。
ISDB−S復調器(受信装置)54は、分配器53から分配されたBSデジタル放送のIF信号を復調するものである。このISDB−S復調器54は、チャンネルごとに複数存在し、TMCC等の制御信号で通知される変調方式に基づき、また、予め割り当てられているチャンネルの変調波を復調する。そして、ISDB−S復調器54は、復調した信号の中の予め指定されたTS(送信システム1では1チャンネル当たり3系統のTSが多重、変調、送信されている)をワンセグ分離器55に出力する。なお、このISDB−S復調器54において復調された信号は、図2で説明したT/S変換器11が生成したISDB−S方式の信号(T/S変換後TS)と同じものである。
ワンセグ分離器(衛星/地上放送信号変換抽出装置)55は、ISDB−S復調器54で復調され、出力されたT/S変換後TSから特定のセグメントを分離するものである。ここでは、ワンセグ分離器55は、T/S変換後TSから、A階層のTSPのみを抽出することで、ISDB−T方式における1セグ放送分のTSを分離抽出する。
ここで、図7を参照(適宜図6参照)して、ワンセグ分離器55の構成について説明する。図7は、本発明の実施形態に係るワンセグ分離器の構成を示すブロック図である。図7に示すように、ワンセグ分離器55は、ID無しヌルパケット除去手段450と、ID付きヌルパケット書換手段451と、IIP検出手段452と、多重フレームパターン記憶手段453と、NIT付替手段456と、PCR再設定手段457と、A階層分離抽出手段550とを備えている。なお、A階層分離抽出手段550以外の構成については、図5で説明したT/S逆変換器45と同一の構成であるため、同一の符号を付し、説明を省略する。
A階層分離抽出手段(特定階層分離抽出手段)550は、T/S変換後TSの多重フレームごとに、特定の階層のTSPを分離抽出するものである。ここでは、A階層分離抽出手段550は、多重フレームごとに、多重フレームパターン記憶手段453に記憶されている多重フレームの階層パターンを参照して、A階層のTSPおよび多重フレームの先頭位置に関する情報が付加されたIIPのみを分離抽出する。この時、ワンセグ分離器55から出力されるTSがワンセグ放送TSの場合、一定レート(ワンセグ放送TSの場合、512/63/4=2.032Mbpsが使用される)に調整するために無効階層のTSP(ヌルパケット)が付加される。さらに、この場合は、通常のISDB−T−TSと同様に各伝送TSPが属する階層の情報を、ダミーバイト内に付加して出力する(制御情報付加手段455の機能がA階層分離抽出手段550に含まれている)。そして、A階層分離抽出手段550からのTSPをNIT付替手段456に出力する。
このように、ワンセグ分離器55を構成することで、ISDB−S方式のTS(T/S変換後TS)から、ISDB−T方式のワンセグ放送に使用されるTS(例えばワンセグ放送TSであるが、それに限定されない)を分離、生成することができる。
図6に戻って、ワンセグ中継局5の構成について説明を続ける。
ワンセグ連結再送信装置(セグメント連結再送信装置)56は、ワンセグ分離器55で分離、生成されたワンセグ放送TSで変調された1セグメントを周波数領域で連結した後にOFDM変調して、再送信するものである。ここでは、ワンセグ連結再送信装置56は、TS再多重部560と、OFDM変調器561とを備えている。
TS再多重部560は、各系統のワンセグ分離器55から出力されるワンセグTSを同期化し、セグメントごとの割り当てを行うことで再多重するものである。この再多重化されたTSは、OFDM変調器561に出力される。また、このとき、TS再多重部560は、どのセグメントにどのワンセグTSを割り当てたかを示す割り当て情報をOFDM変調器561に出力する。なお、ワンセグ分離器55から出力されるワンセグTSの信号数が、ISDB−T方式で規定されているセグメント数(13)に満たない場合、TS再多重部560は、ワンセグ分離器55からのワンセグTSの割り当てを行わなかったセグメントに、衛星デジタル放送波として放送されていない独自のコンテンツをワンセグTSとして割り当て、多重化し、地域限定のサービスに供してもよい。
OFDM変調器561は、TS再多重部560から出力される割り当て情報に基づいて、多重化されたワンセグTSをセグメントに割り当て、ISDB−T方式に適合するように伝送路符号化およびOFDM変調し、ワンセグ連結再送信波として出力するものである。具体的に、OFDM変調器561は、割り当て情報に基づいて、ワンセグTSをセグメントに割り当て、誤り訂正符号、各種インタリーブ処理、パイロットキャリアや制御データ等の付加等を行った後に得られたOFDMのキャリアシンボルデータをIFFTして時間領域のOFDM信号に変換し、ガードインターバルを付加した後にIF帯に周波数変換して出力する。
送信機(TX:送信装置)57は、ワンセグ連結再送信装置56から出力されたIF帯のワンセグ連結再送信波を、UHF帯のチャンネルの周波数に周波数変換し、所定の電力に増幅し、送信アンテナ58に出力するものである。
送信アンテナ58は、送信機57から出力された信号をUHF帯の電波として送信するものである。この送信アンテナ58から送信されたUHF帯の信号は、地上デジタル放送におけるワンセグ連結再送信波として、携帯端末や移動体等の端末で受信される。
このように、ワンセグ中継局5を構成することで、ワンセグ中継局5は、BSデジタル放送の放送波で放送された地上デジタル放送のコンテンツを、地上デジタル放送の信号形式に戻して、ワンセグ放送のみを分離抽出して再送信することができる。これによって、地上デジタル放送難視聴地域においても、地上デジタル放送のワンセグサービスを提供することができる。
[デジタル放送配信システムの動作]
次に、本発明の実施形態に係るデジタル放送配信システムの動作について説明する。ここでは、送信システム1、地上デジタル放送中継局4およびワンセグ中継局5のぞれぞれの動作について説明することとする。
〔送信システムの動作〕
最初に、図14を参照(構成については、適宜図2、図3参照)して、送信システム1の動作について説明する。図14は、本発明の実施形態に係る送信システムの動作を示すフローチャートである。
まず、送信システム1は、再多重化器(REMUX)10によって、MPEG2多重器(図示せず)から出力されたストリームデータ(MPEG2−TS)を再多重化し、ISDB−T方式のTSを生成する(ステップS10)。
そして、送信システム1は、T/S変換器11によって、再多重化TSであるISDB−T−TSを、BSデジタル放送の伝送方式であるISDB−S方式の信号(T/S変換後TS)に変換する。
具体的には、送信システム1は、T/S変換器11のIIP検出手段110によって、ISDB−T−TSから、固有の識別子を有するIIP(ISDB−T_information_Packet)を検出し、このIIPに記述されている情報に基づいて、多重フレームの先頭位置を検出することで、多重フレームの同期信号を生成する(ステップS11)。そして、送信システム1は、T/S変換器11の無効階層除去手段111によって、多重フレームごとに、ISDB−T−TSから無効階層のTSP(ヌルパケット)を除去する(ステップS12)。
さらに、送信システム1は、T/S変換器11のヌルパケット書換手段112によって、無効階層以外の階層(A階層、B階層)のヌルパケットに識別IDを付加する(ステップS13)。そして、送信システム1は、T/S変換器11のNIT付替手段113によって、ISDB−T−TSに含まれている伝送制御信号のネットワーク情報テーブル(NIT)において、ISDB−T方式に関連する識別子を、ISDB−S方式に関連する識別子に付け替える(ステップS14)。
そして、送信システム1は、T/S変換器11のPCR再設定手段114によって、PCRを再設定する(ステップS15)。
ここまでの動作によって、ISDB−T方式のTS(ISDB−T−TS)が、ISDB−S方式の信号(T/S変換後TS)に変換されたことになる。
その後、送信システム1は、ISDB−S変調器12によって、1系統以上のT/S変換器11から出力されたISDB−S方式のTS(T/S変換後TS)で搬送波を変調し(ステップS16)、BS送信局13によって、その変調された変調波(ISDB−S変調波)を、放送波に変換して放送衛星2に送信する(ステップS17)。
以上の動作によって、送信システム1は、コンテンツ(MPEG2−TS)を、受信側でISDB−T方式のTSに逆変換可能な形式で、衛星デジタル放送の放送波として送信することができる。
〔地上デジタル放送中継局の動作〕
次に、図15を参照(構成については、適宜図4、図5参照)して、地上デジタル放送中継局4の動作について説明する。図15は、本発明の実施形態に係る地上デジタル放送中継局の動作を示すフローチャートである。
まず、地上デジタル放送中継局4は、受信アンテナ40によって、放送衛星2から送信される衛星デジタル放送の放送波を受信し、低雑音増幅器(LNA)41によって、信号を増幅後、ダウンコンバータ(D/C)42によって、IF帯のIF信号に周波数変換する(ステップS20)。
その後、地上デジタル放送中継局4は、分配器43によって、周波数変換されたIF信号を分配する(ステップS21)。そして、地上デジタル放送中継局4は、分配されたIF信号をそれぞれのISDB−S復調器44に入力して、復調し、ISDB−S方式の予め定められたTSを出力する(ステップS22)。
そして、地上デジタル放送中継局4は、T/S逆変換器45によって、ステップS22で復調され出力されたISDB−S方式のTS(T/S変換後TS)を、地上デジタル放送の方式であるISDB−T方式の信号(ISDB−T−TS)に変換する。
具体的には、地上デジタル放送中継局4は、T/S逆変換器45のID無しヌルパケット除去手段450によって、T/S逆変換器45に入力されたT/S変換後TSから、識別IDが付加されていないヌルパケットを除去する(ステップS23)。
そして、地上デジタル放送中継局4は、T/S逆変換器45のID付きヌルパケット書換手段451によって、識別IDが付加されているヌルパケットにおいて、識別IDを削除し、オール“0”またはオール“1”に書き換える(ステップS24)。
そして、地上デジタル放送中継局4は、T/S逆変換器45のIIP検出手段452によって、ISDB−T−TSから、固有の識別子を有するIIP(ISDB−T_information_Packet)を検出し、このIIPに記述されている多重フレームの先頭位置に関する情報に基づいて、多重フレームの先頭位置を検出することで、多重フレームの同期信号を生成する(ステップS25)。
そして、地上デジタル放送中継局4は、T/S逆変換器45の無効階層挿入手段454によって、多重フレームごとに、多重フレームパターン記憶手段453に記憶されている多重フレームの階層パターンを参照して、無効階層のTSP(ヌルパケット)を挿入する(ステップS26)。
さらに、地上デジタル放送中継局4は、T/S逆変換器45の制御情報付加手段455によって、全ての階層のTSPのダミーバイト部に、階層に関する情報を含んだ制御情報(ISDB−T_information)を付加する(ステップS27)。
そして、地上デジタル放送中継局4は、T/S逆変換器45のNIT付替手段456によって、T/S変換後TSに含まれている伝送制御信号のネットワーク情報テーブル(NIT)において、ISDB−S方式に関連する識別子を、ISDB−T方式に関連する識別子に付け替える(ステップS28)。
そして、地上デジタル放送中継局4は、T/S逆変換器45のPCR再設定手段457によって、PCRを再設定する(ステップS29)。
ここまでの動作によって、ISDB−S方式のTS(T/S変換後TS)が、ISDB−T方式の信号(ISDB−T−TS)に変換されたことになる。
その後、地上デジタル放送中継局4は、ISDB−T変調器46によって、T/S逆変換器45から出力されたISDB−T方式のTS(ISDB−T−TS)で変調されたISDB−T変調波を生成する(ステップS30)。そして、地上デジタル放送中継局4は、送信機(TX)47によって、ISDB−T変調波を、UHF帯に周波数変換、電力増幅し、合成器48を介して、送信アンテナ49より送信する(ステップS31)。
以上の動作によって、地上デジタル放送中継局4は、衛星デジタル放送の放送波として受信したISDB−S方式のTSを、地上デジタル放送のISDB−T方式のTSに変換し、さらにISDB−T方式の変調波に変換して、地上デジタル放送の放送波を再送信することができる。
〔ワンセグ中継局の動作〕
次に、図16を参照(構成については、適宜図6、図7参照)して、ワンセグ中継局5の動作について説明する。図16は、本発明の実施形態に係るワンセグ中継局の動作を示すフローチャートである。
まず、ワンセグ中継局5は、受信アンテナ50によって、放送衛星2から送信される衛星デジタル放送の放送波を受信し、低雑音増幅器(LNA)51によって、信号を増幅後、ダウンコンバータ(D/C)52によって、IF帯のIF信号に周波数変換する(ステップS40)。
その後、ワンセグ中継局5は、分配器53によって、周波数変換されたIF信号を分配する(ステップS41)。そして、ワンセグ中継局5は、分配したIF信号をそれぞれISDB−S復調器54に入力し、復調して、ISDB−S方式のTSを得る(ステップS42)。
そして、ワンセグ中継局5は、ワンセグ分離器55によって、ステップS42で得られたISDB−S方式のTS(T/S変換後TS)から特定のセグメントのTSP(A階層のTSP)を分離して出力する。
具体的には、ワンセグ中継局5は、ワンセグ分離器55のID無しヌルパケット除去手段450によって、ワンセグ分離器55に入力したT/S変換後TSから、識別IDが付加されていないヌルパケットを除去する(ステップS43)。そして、ワンセグ中継局5は、ワンセグ分離器55のID付きヌルパケット書換手段451によって、識別IDが付加されているヌルパケットにおいて、識別IDを削除し全て“0”または“1”に書き換える(ステップS44)。
そして、ワンセグ中継局5は、ワンセグ分離器55のIIP検出手段452によって、ISDB−T−TSから、固有の識別子を有するIIP(ISDB−T_information_Packet)を検出し、このIIPに記述されている多重フレームの先頭位置に関する情報に基づいて、多重フレームの先頭位置を検出することで、多重フレームの同期信号を生成する(ステップS45)。
そして、ワンセグ中継局5は、ワンセグ分離器55のA階層分離抽出手段550によって、多重フレームごとに、特定の階層(A階層)のTSPを分離(必要に応じて、レート調整のための無効階層の伝送TSPを付加する)、同期化のための多重フレームの先頭位置に関する情報を付加した伝送TSPを多重して、出力する(ステップS46)。
さらに、ワンセグ中継局5は、ワンセグ分離器55のNIT付替手段456によって、T/S変換後TSに含まれている伝送制御信号のネットワーク情報テーブル(NIT)において、ISDB−S方式に関連する識別子を、ISDB−T方式に関連する識別子に付け替える(ステップS47)。そして、ワンセグ中継局5は、ワンセグ分離器55のPCR再設定手段457によって、PCRを再設定する(ステップS48)。
ここまでの動作によって、ISDB−S方式のTS(T/S変換後TS)から、1つのセグメントのみに割り当てられいるTS(ワンセグTS)が分離、生成されたことになる。
その後、ワンセグ中継局5は、ワンセグ連結再送信装置56のTS再多重部560によって、TS再多重部560に入力した複数のワンセグTSを同期化し、各セグメントへ割り当てを行うとともにこれらをこれらを再多重する(ステップS49)。そして、ワンセグ中継局5は、OFDM変調器561によって、TS再多重部560からの割り当て情報に基づき、再多重化された各ワンセグTSをそれぞれのセグメントに割り当て、各ワンセグTSで変調された各セグメントを周波数領域で連結した後に時間領域のOFDM信号に変換して出力する(ステップS50)。
そして、ワンセグ中継局5は、送信機(TX)57によって、ワンセグ連結再送信信号(OFDM信号)を、UHF帯の周波数に周波数変換し、電力増幅し、送信アンテナ58を介して送信する(ステップS51)。
以上の動作によって、ワンセグ中継局5は、衛星デジタル放送の放送波として受信し、復調して得られた複数のT/S変換後のTSから、特定のセグメント(A階層)の伝送TSPで構成される複数のTSを抽出し、それらのTSで変調された1セグを周波数領域で連結したワンセグ連結再送信信号を送信することができる。