この発明は、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機に関する。
従来、遊技機の代表例として例えばスロットマシンがある。このスロットマシンは、例えば、当該スロットマシンの外殻を形成し遊技場(ホール)の遊技島に固定される筐体と、この筐体の正面視での左端側を開閉軸として筐体に対して開閉可能に支持される前面扉とを備えている。この筐体は、その前面側に、開口方向が斜め上方向である開口面を有しており、前面扉は筐体の開口面を閉じるためのものであり、前面扉がその左辺側の傾斜開閉軸で開閉するようになっている(例えば、特許文献1参照)。つまり、筐体の下面積(つまり、底面の前後幅)を大きくすることで、前面扉である。に対して最大に開放した状態で保持できるようになっている。また、前面扉を閉じた状態では、スロットマシンの前面側で遊技する遊技者から見れば、この前面扉の上部はその下部よりも遊技者から離れており、遊技者に圧迫感を与えないようになっているし、遊技者がやや見下ろす姿勢で遊技ができるようになっている。
特開2003−305154号公報(第6−8頁,第5,6図)
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来のスロットマシンでは、前述の前面扉(扉部材)の開閉部品として抜き差し蝶番などが用いられているが、近年では前面扉に大型液晶ユニットが搭載され、前面扉の重量が増してきていることから、前面扉が閉まるときに生じる衝撃力が増しており、前面扉が閉まるときの衝撃力で液晶ユニットのガラスパネルが割れたり、前面扉または筐体(本体部材)の開閉部品や係合部が破損したりするあるいはそのおそれがある等の問題がある。また、その逆に前面扉を開く場合には、この前面扉が勢いよく開いて最大開放位置に至ることがあり、その際の勢いで前面扉や筐体(例えば開閉部品や抜き差し蝶番など)が破損したりする等の問題もある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、扉部材を閉じる際の衝撃力によって扉部材や筐体が損傷することを低減できる遊技機を提供することを目的とする。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、
開口方向が斜め上方向である開口面を備えた本体部材と、前記本体部材の前記開口面を閉じるための扉部材とを備えた遊技機において、
前記扉部材を前記本体部材に対して片開き自在に開閉する片開き開閉機構を備え、
前記片開き開閉機構は、前記開口面を見た状態で前記本体部材での左側または右側に設けられた、前記扉部材を前記本体部材に対して片開き自在とするための第1開閉機構部と、前記第1開閉機構部よりも下方で間隔を空けた位置に設けられた、前記扉部材を前記本体部材に対して片開き自在とするための第2開閉機構部とを備え、
前記第1開閉機構部は、前記扉部材の開放に伴って当該扉部材の支軸側の上部を下部よりも大きく前記本体部材から離れさせるとともに、前記扉部材の開放に伴って前記扉部材の重心位置の移動方向を水平に近付かせる機構部を備えている
ことを特徴とする遊技機。
この発明に係る遊技機によれば、扉部材を閉じる際の衝撃力によって扉部材や筐体が損傷することを低減できる。
本明細書は、次のような遊技機に係る発明も開示している。
なお、本明細書で言う「扉部材の支軸側」とは、扉部材の両辺のうちで開閉軸に近い方の側を含む意味である。
(0A) 開口方向が斜め上方向である開口面を備えた本体部材と、前記本体部材の前記開口面を閉じるための扉部材とを備えた遊技機において、
前記扉部材を前記本体部材に対して片開き自在に開閉する片開き開閉機構を備え、
前記片開き開閉機構は、前記開口面を見た状態で前記本体部材での左側または右側に設けられた、前記扉部材を前記本体部材に対して片開き自在とするための第1開閉機構部と、前記第1開閉機構部よりも下方で間隔を空けた位置に設けられた、前記扉部材を前記本体部材に対して片開き自在とするための第2開閉機構部とを備え、
前記第1開閉機構部は、前記扉部材の開放に伴って当該扉部材の支軸側の上部を下部よりも大きく前記本体部材から離れさせる機構部を備えている
ことを特徴とする遊技機。
前記(0A)に記載の発明によれば、遊技機は本体部材と扉部材と片開き開閉機構とを備えている。本体部材は、開口方向が斜め上方向である開口面を備えている。扉部材は、本体部材の開口面を閉じるためのものである。片開き開閉機構は、第1開閉機構部と第2開閉機構部とを備える。第1開閉機構部は、扉部材を本体部材に対して片開き自在とするためのものであり、開口面を見た状態で本体部材での左側または右側に設けられている。第2開閉機構部は、扉部材を本体部材に対して片開き自在とするためのものであり、第1開閉機構部よりも下方で間隔を空けた位置に設けられている。第1開閉機構部に備えられた機構部は、扉部材の開放に伴って当該扉部材の支軸側の上部を下部よりも大きく本体部材から離れさせる。
まず、扉部材を閉じる際について言えば、従来例では、扉部材の上部がその下部よりも本体部材の方に傾いた傾斜姿勢のままで本体部材に対して閉じられるようになっており、扉部材の自重で閉まり易くなっているのみならず、この扉部材が勢いの付いた状態で閉じられる構成となっている。つまり、扉部材の重心位置は、閉じた状態から斜め上がりに片開きされるにつれて上がっていっており、この重心位置を上げた分の仕事量で勢いが付いて閉じられるので、その閉じた時の当該扉部材の蝶番への閉方向の衝撃力によって扉部材や本体部材が損傷することがある。これに対して、本発明では扉部材の片開き過程でのその重心位置の上がり勾配を従来よりも小さく(重心の変位角を小さく)しており、言い換えれば、扉部材の重心位置ができるだけ水平方向に移動するようにしており、扉部材の片開き時の重心位置上がり分を小さくできた分だけ扉部材の閉じる際の勢いを低減でき、従来例と比べて扉部材の自重による閉まり易さを低減でき、しかも扉部材を閉じるにつれて閉状態の傾斜姿勢に近づいていくため、従来のような傾斜姿勢のままで勢いがついて扉部材が閉まるということを低減でき、扉部材の閉時における第1,第2開閉機構部へのその閉方向の衝撃力を低減でき、扉部材や本体部材が損傷することを低減できる。
これとは逆に、扉部材を開く場合には、第1開閉機構部の機構部により、扉部材の開放に伴って当該扉部材の上部がその下部よりも本体部材から離れていく。すなわち、扉部材を傾斜姿勢から鉛直姿勢に向かうように起立させていくことができる。従来例では、傾斜軸が固定のままで扉部材が本体部材に対して片開きとされており、扉部材を片開き方向に90°を超えて開く場合には、この扉部材が勢いの付いた状態で片開き方向に90°を超えた最大開放状態となり、その全開時の当該扉部材の蝶番への開放方向の衝撃力によって扉部材や本体部材が損傷することがある。これに対して、本発明では扉部材の片開き過程でのその重心位置の上がり勾配を従来よりも小さく(重心の変位角を小さく)しており、言い換えれば、扉部材の重心位置ができるだけ水平方向に移動するようにしており、扉部材の片開き時の重心位置上がり分を小さくできた分だけ扉部材の勢いを低減でき、扉部材の勢いが付くのを抑制して最大開放状態(片開き方向に90°を超えた状態)とすることができ、扉部材の全開時における第1,第2開閉機構部へのその開放方向の衝撃力を低減でき、扉部材や本体部材が損傷することを低減できる。
したがって、扉部材を開閉する際の衝撃力を減らすことができ、扉部材を開閉する際の衝撃力によって扉部材や本体部材が損傷することを低減できる。
(0B) 側面視で上側よりも下側の方が長く、かつ、上側よりも下側の方が前面側に張り出した本体部材と、前記本体部材の前面側に設けられた開口面を閉じるための扉部材とを備えた遊技機において、
前記扉部材を前記本体部材に対して片開き自在に開閉する片開き開閉機構を備え、
前記片開き開閉機構は、前記開口面を見た状態で前記本体部材での左側または右側に設けられた、前記扉部材を前記本体部材に対して片開き自在とするための第1開閉機構部と、前記第1開閉機構部よりも下方で間隔を空けた位置に設けられた、前記扉部材を前記本体部材に対して片開き自在とするための第2開閉機構部とを備え、
前記第1開閉機構部は、前記扉部材の開放に伴って当該扉部材の支軸側の上部を下部よりも大きく前記本体部材から離れさせる機構部を備えている
ことを特徴とする遊技機。
前記(0B)に記載の発明によれば、前述の請求項1と同様の効果を有する。
(1) 前記(0A)及び(0B)に記載の遊技機において、
前記第2開閉機構部は、前記扉部材または前記本体部材の一方に取り付けられた軸部材と、前記扉部材または前記本体部材のその他方に設けられた、前記軸部材が挿入された状態でその軸心方向を変位可能に支持する支持部と、を備えている
ことを特徴とする遊技機。
前記(1)に記載の発明によれば、第2開閉機構部は軸部材と支持部とを備えている。軸部材は、扉部材または本体部材の一方に取り付けられている。支持部は、扉部材または本体部材の他方に設けられており、軸部材が挿入された状態でその軸心方向を変位可能に支持する。したがって、扉部材の開閉に伴う当該扉部材の開閉軸方向の変位に対応することができる。
(2) 前記(0A)及び(0B)に記載の遊技機において、
前記第1開閉機構部は第1リンク機構部であり、
前記第2開閉機構部は、前記扉部材の開放に伴って当該扉部材を前記本体部材から離れさせる第2リンク機構部を備え、
前記第1リンク機構部は、前記扉部材の開放に伴って当該扉部材の支軸側の上部を下部よりも大きく前記本体部材から離れさせるものである
ことを特徴とする遊技機。
前記(2)に記載の発明によれば、第1リンク機構部は、扉部材の開放に伴って当該扉部材の支軸側の上部を下部よりも大きく本体部材から離れさせるものである。つまり、第2開閉機構部の第2リンク機構部も、扉部材の開放に伴って当該扉部材を本体部材から離れさせるものであるが、第1リンク機構部と比べて、扉部材の本体部材に対する離間距離は小さくなっている。すなわち、上方位置の第1リンク機構部による扉部材の本体部材に対する離間距離の方が、下方位置の第2リンク機構部による扉部材の本体部材に対する離間距離よりも大きくなっている。したがって、このような離間距離の異なる第1,第2開閉機構部によっても、扉部材の片開き過程でのその重心位置の上がり勾配を従来よりも小さく(重心の変位角を小さく)でき、扉部材の片開き時の重心位置上がり分を小さくできた分だけ扉部材の閉じる際の勢いを低減でき、従来例と比べて扉部材の自重による閉まり易さを低減でき、しかも扉部材を閉じるにつれて閉状態の傾斜姿勢に近づいていくため、従来のような傾斜姿勢のままで勢いがついて扉部材が閉まるということを低減でき、扉部材の閉時における第1,第2開閉機構部へのその閉方向の衝撃力を低減でき、扉部材や本体部材が損傷することを低減できる。また、扉部材を開く場合についてもこれと同様であり、扉部材の勢いが付くのを抑制して最大開放状態(片開き方向に90°を超えた状態)とすることができ、扉部材の全開時における第1,第2開閉機構部へのその開放方向の衝撃力を低減でき、扉部材や本体部材が損傷することを低減できる。
(3) 前記(0A)ないし(1)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記リンク機構部は、前記扉部材を開いた状態において当該扉部材が鉛直方向または略鉛直方向に起立した起立姿勢となるように、前記扉部材を前記本体部材から離れさせるものである
ことを特徴とする遊技機。
前記(3)に記載の発明によれば、リンク機構部は、扉部材を開いた状態においてこの扉部材が鉛直方向または略鉛直方向に起立した起立姿勢となるように、扉部材を本体部材から離れさせるので、扉部材の閉状態での傾斜姿勢から開状態での鉛直姿勢(または略鉛直姿勢)に起立され、扉部材の勢いが付くのを抑制して最大開放状態とすることができ、扉部材の全開時における第1,第2開閉機構部へのその開放方向の衝撃力を低減でき、扉部材や本体部材が損傷することを低減できる。また、これとは逆に閉じる際について言えば、扉部材が開放された状態では、鉛直姿勢(または略鉛直姿勢)となっており、従来例と比べて扉部材の自重による閉まり易さを低減でき、しかも扉部材を閉じるにつれて閉状態の傾斜姿勢に近づいていくため、従来のような傾斜姿勢のままで勢いがついて扉部材が閉まるということを低減でき、扉部材の閉時における第1,第2開閉機構部へのその閉方向の衝撃力を低減でき、扉部材や本体部材が損傷することを低減できる。したがって、扉部材を開閉する際の衝撃力を減らすことができ、扉部材を開閉する際の衝撃力によって扉部材や本体部材が損傷することを低減できる。
(4) 前記(2)に記載の遊技機において、
前記第1,第2リンク機構部は、前記扉部材を開いた状態において当該扉部材が鉛直方向または略鉛直方向に起立した起立姿勢となるように、前記扉部材の支軸側の上部を下部よりも大きく前記本体部材から離れさせるものである
ことを特徴とする遊技機。
前記(4)に記載の発明によれば、第1,第2リンク機構部は、扉部材を開いた状態においてこの扉部材が鉛直方向または略鉛直方向に起立した起立姿勢となるように、扉部材の支軸側の上部を下部よりも大きく本体部材から離れさせるので、扉部材の閉状態での傾斜姿勢から開状態での鉛直姿勢(または略鉛直姿勢)に起立され、扉部材の片開き過程でのその重心位置の上がり勾配を従来よりも小さく(重心の変位角を小さく)でき、扉部材の片開き時の重心位置上がり分を小さくできた分だけ扉部材の閉じる際の勢いを低減でき、従来例と比べて扉部材の自重による閉まり易さを低減でき、しかも扉部材を閉じるにつれて閉状態の傾斜姿勢に近づいていくため、従来のような傾斜姿勢のままで勢いがついて扉部材が閉まるということを低減でき、扉部材の閉時における第1,第2開閉機構部へのその閉方向の衝撃力を低減でき、扉部材や本体部材が損傷することを低減できる。また、扉部材を開く場合についてもこれと同様であり、扉部材の勢いが付くのを抑制して最大開放状態(片開き方向に90°を超えた状態)とすることができ、扉部材の全開時における第1,第2開閉機構部へのその開放方向の衝撃力を低減でき、扉部材や本体部材が損傷することを低減できる。
(5) 前記(0A)ないし(4)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記機構部は、前記扉部材の開閉に伴って上下方向に回動自在としている
ことを特徴とする遊技機。
前記(5)に記載の発明によれば、機構部は、扉部材の開閉に伴って上下方向に回動自在となっているので、扉部材の閉状態での傾斜姿勢から開状態でのそれよりも起立した起立姿勢への変位に伴う機構部の上下動を許容することができ、扉部材の開閉の際に当該機構部の姿勢を上下方向に適宜に回動させることができ、機構部に無理な力がかからないようにできる。
(6) 前記(5)に記載の遊技機において、
前記機構部は、前記扉部材の開閉に伴って上下方向に回動自在となるように前記本体部材に軸支された回動ベース部と、前記回動ベース部に設けられた基体部と、前記扉部材の開放によって前記本体部材の前記開口面から一部が突き出た進出状態と、前記扉部材の閉鎖によって前記基体部の方に戻った後退状態とに変位可能でその所定箇所が前記扉部材に取り付けられた進退変位部と、を備えている
ことを特徴とする遊技機。
前記(6)に記載の発明によれば、機構部は回動ベース部と基体部と進退部とを備えている。回動ベース部は、扉部材の開閉に伴って上下方向に回動自在となるように本体部材に軸支されている。基体部は、回動ベース部に設けられている。進退変位部は、扉部材の開放によって本体部材の開口面から一部が突き出た進出状態と、扉部材の閉鎖によって基体部の方に戻った後退状態とに変位可能でその所定箇所が扉部材に取り付けられている。したがって、扉部材の閉状態での傾斜姿勢から開状態でのそれよりも起立した起立姿勢への変位に伴う機構部の上下動を許容することができ、扉部材の開閉の際に当該機構部の姿勢を上下方向に適宜に回動させることができ、機構部に無理な力がかからないようにできる。また、進退変位部の進出状態により扉部材を、傾斜姿勢よりも起立させた起立姿勢にすることができ、進退変位部の後退状態により扉部材を傾斜姿勢で本体部材の開口面を閉じた状態とすることができる。
(7) 前記(0A)ないし(5)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機。
前記(7)に記載の遊技機によれば、扉部材を開閉する際の衝撃力によって扉部材や筐体が損傷することを低減できるスロットマシンを提供できる。なお、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技用媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
以下、遊技機の一例としてスロットマシンの各種の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明を弾球遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)、特に、第1種パチンコ遊技機や第3種パチンコ遊技機(権利物とも呼ばれる)、コイン遊技機等の他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
図1は、実施例1のスロットマシン10の前面扉を閉じた状態の斜視図であり、図2は実施例1のスロットマシン10の前面扉を開いた状態の斜視図である。本実施例のスロットマシン10は、図1,図2に示すように、前面扉12がその左側に本体11に対して開閉自在に取り付けられ、前面扉12を閉じた状態で施錠装置20により前面扉12と本体11とを施錠可能である。また、図2に示すように、前面扉12の正面視でその右側で上下2箇所に係止爪190が設けられている。この2個の係止爪190が本体11の対応する箇所に係止することで前面扉12が閉じられた状態を維持するようになっている。
本体11は、図2に示すように、開口方向が斜め上方向である開口面11aを前面側に備えた筐体であり、その内部に、後述する主制御装置70や左回胴L、中回胴M、右回胴Rや電源ボックス85などの各種装置が収納されている。前面扉12は、図1,図2に示すように、その前面側に次に説明する各種ランプなどを備え、本体11の開口面11aを閉じるための部材である。
前面扉12には、図1に示すように、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ13と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり遊技者に遊技状態を報知したりするスピーカ14,14と、各種表示内容を表示する液晶ディスプレイ15と、左回胴Lと中回胴Mと右回胴Rとをそれぞれ透視可能な遊技パネル30と、略中段付近にて各種ボタン51,53〜56,61〜63やスタートレバー52やメダル投入口57が設けられた操作部50と、機種名や遊技に関わるキャラクタなどが表示された下段プレート16と、メダル払出口17から払い出された遊技用媒体としてのメダルを受けるメダル受け皿18とが装着されている。
また、スロットマシン10の内部には、図2に示すように、オンされるとスロットマシン10の各部に電源を供給する電源スイッチ81や、スロットマシン10をリセットするときに操作するリセットスイッチ82や、図示しない設定キーを挿入することにより、スロットマシン10の設定状態を変更可能にする設定キー挿入孔83などを備えている電源ボックス85と、溢れるメダルの外部への誘導口89を有し投入されたメダルを貯留する補助タンク87とこの補助タンク87内のメダルを払出用通路92に通じる開口93を介してメダル払出口17へ払い出す払出装置88とから構成されているホッパ86や、CPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており処理プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAMや入出力処理回路がバスによって接続されている主制御装置70や、CPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており主制御装置70からの出力信号による液晶ディスプレイ15の表示内容の制御を行う表示用制御装置94が装着されている。なお、上述した本体11が本発明における本体部材に相当し、上述した前面扉12が本発明における扉部材に相当する。
遊技パネル30は、図1に示すように、左回胴L、中回胴M、右回胴Rの停止中または回転中の様子を外部に露出する露出窓31L,31M,31Rを備え、露出窓31Lの左側に配設された5つのベットランプ32,33,33,34,34と、この露出窓31L,31M,31Rの下側に配設されている、スロットマシン内部に貯留されている枚数を表示するものであるクレジット枚数表示部35と、ビックボーナス時にあと何回JAC(ジャック)インできるかとかJACゲーム時にあと何回JAC図柄成立が残っているかといった回数を表示するものであるゲーム数表示部36と、有効ライン上に同じ図柄が揃って入賞したときに払い出された枚数を表示するものである払出枚数表示部37とを備えている。
操作部50は、図1に示すように、前面扉12の前面部に設けられたクレジットボタン51と、スタートレバー52と、左回胴用ストップボタン53と、中回胴用ストップボタン54と、右回胴用ストップボタン55と、返却ボタン56と、前面扉12の水平段部に設けられたメダル投入口57と、1枚ベットボタン61と、2枚ベットボタン62と、マックスベットボタン63とを備えている。
スロットマシン10は、図2に示すように、本体11に対して前面扉12を開閉自在(例えば片開き自在)とする開閉機構部材100を備えている。本実施例1では、開閉機構部材100は、前面扉12の正面視で当該前面扉12の縦方向の一辺側(本実施例では左辺側)に設けられている。
具体的には、開閉機構部材100は、図2に示すように、正面視した状態での前面扉12の左辺側(正面視した状態での本体11の左辺側とも言える)に、その辺方向(つまり左辺長さ方向)に沿って複数個(本実施例では2個)間隔を空けて設けられている。つまり、前面扉12の左辺上部側に第1開閉機構部材110が、前面扉12の左辺下部側に第2開閉機構部材160がそれぞれ設けられている。
ここで、開閉機構部材100の構造などについて図3〜図5も用いて以下に説明する。図3は、前面扉12を開いた状態のスロットマシン10の右側面図である。図4は、前面扉12を開いた状態のスロットマシン10の正面図である。図5は、前面扉12を開いた状態のスロットマシン10の平面図である。
開閉機構部材100は、図2,図3に示すように、本体11の開口面11aを見た状態でこの本体11での左側(例えば左端)に設けられた、前面扉12を本体11に対して片開き自在とするための第1開閉機構部材110と、この第1開閉機構部材110よりも下方で間隔を空けた位置に設けられた、前面扉12を本体11に対して片開き自在とするための第2開閉機構部材160とを備えている。以下に、第1開閉機構部材110と第2開閉機構部材160とについて説明する。
第1開閉機構部材110は、前面扉12の開放に伴って当該前面扉12の支軸側(開閉軸J1の側)の上部を下部よりも大きく本体11から離れさせるリンク機構部120を備えている。言い換えれば、第1開閉機構部材110のリンク機構部120は、前面扉12の開放に伴って当該前面扉12を第2開閉機構部材160よりも大きく本体11から離れさせるようにしている。
図1に示すように、前面扉12を本体11の開口面11aを閉じた状態では、図2,図3に一点鎖線で示す傾斜した開閉軸J1を基準に開き始めるが、前面扉12の開放に伴ってこの前面扉12の左端上側箇所(前面扉12の第1開閉機構部材110のある側の箇所)がその下側箇所(前面扉12の第2開閉機構部材160のある側の箇所)に比べて本体11の前方の方に大きく離れていく(図5では長さLeだけ離れていることがわかる)。つまり、前面扉12の開放に伴って、図2,図3に一点鎖線で示す傾斜した開閉軸J1が徐々に起立していき、二点鎖線で示す鉛直方向に起立した開閉軸J1に変移する。
なお、前面扉12は、図1に示すように本体11に閉じた状態を0°(開き角が0°)とすると、図4,図5に示すように、最大に開放した状態が90°(開き角が90°)を越えた状態となっている。
リンク機構部120は、前面扉12を開いた状態において当該前面扉12が鉛直方向に起立した起立姿勢となるように、前面扉12を本体11から離れさせるものである。また、リンク機構部120は、前面扉12の開閉に伴って上下方向に回動自在となっている。
ここで、リンク機構部120の構成について、図6〜図10を用いてもう少し詳細に説明する。
図6(a)は第1開閉機構部材110での進退変位部150の進出状態を示す斜視図であり、図6(b)は第1開閉機構部材110での進退変位部150の後退状態を示す斜視図である。図7(a)は進退変位部150が進出状態の第1開閉機構部材110の分解斜視図であり、図7(b)は進退変位部150が後退状態の第1開閉機構部材110の分解斜視図である。図8(a)〜(c)は第1開閉機構部材110での進退変位部150の変位を示す平面図である。図9(a)は前面扉12を開いた状態の第2開閉機構部材160を示す斜視図であり、図9(b)は前面扉12を閉じた状態の第2開閉機構部材160を示す斜視図であり、図9(c)は前面扉12の開閉に伴って変位する、第2開閉機構部材160での支持部を示す図である。図10(a)は第1開閉機構部材110の回動ベース部130の回動状態を示す斜視図であり、図10(b)はその図10(a)の正面図である。
リンク機構部120は、図6〜図8に示すように、前面扉12の開閉に伴って上下方向に回動自在となるように本体11に軸支された回動ベース部130と、この回動ベース部130に設けられた基体部140と、前面扉12の開放によって本体11の開口面11aから一部が突き出た進出状態と、前面扉12の閉鎖によって基体部140の方に戻った後退状態とに変位可能でその所定箇所が前面扉12に取り付けられた進退変位部150とを備えている。
本体11は、図2に示すように、その左内壁面に、縦長板状のプレート部材96が取り付けられている。このプレート部材96は、図7に示すように、その上部の所定箇所に、回動保持ピン131が挿入される回動用貫通孔97が形成されている。
回動ベース部130は、図7に示すように、後述する基体部140が取り付けられる面を見た(取付面視)状態で略四角形状であり、その正面視(本体11を正面視した状態)で中央部分が両端よりも本体11の方に突出した段差形状となっている。また、回動ベース部130は、図7に示すように、取付面視で、所定箇所(例えば、中央箇所)に、回動保持ピン131が挿入される回動用貫通孔133が形成され、かつ、四隅に基体部140との取り付けのためのネジ用貫通孔135がそれぞれ形成されている。
また、図7に示すように、回動保持ピン131を、プレート部材96の回動用貫通孔97と回動ベース部130の回動用貫通孔133とに挿入して取り付けることで、図10に示すように、回動ベース部130がプレート部材96に対して回動保持されている。
基体部140は、図7,図8に示すように、回動ベース部130に取り付けられる取付板部141と、この取付板部141での回動ベース部130と対向する面とは反対側の面に設けられた略長方体形状の支持枠部143とを備えている。この支持枠部143は、図7,図8に示すように、取付面視(つまり、本体11の左内壁面を見た状態)で略中央箇所に第1軸支部145を備え、取付面視でその先端側(本体11の前方側の先端)に第2軸支部147を備えている。
進退変位部150は、図7,図8に示すように、支持枠部143の第1軸支部145に基端側が回動可能に軸支された第1アーム151と、支持枠部143の第2軸支部147に基端側が回動可能に軸支された第2アーム153と、第1アーム151の先端側および第2アーム153の中間端側を回動可能に軸支する進退枠部155と、この進退枠部155の先端側に回動可能に軸支された、前面扉12に取り付けられる取付ベース157とを備えている。
なお、取付ベース157は、図2に示すように、前面扉12の裏面側に取り付けられた台部材(例えば、平面視でコノ字形状とした金属製の)部材に取り付けられているが、前面扉12の裏面側に直接に取付ベース157を取り付けるようにしてもよい。
図7,図8に示すように、進退枠部155は、平面視でその基端側の箇所に、第1アーム151の先端側を回動可能に軸支する第1軸支孔155aが形成され、平面視で中間箇所に、第2アーム153の中間端側を回動可能に軸支する第2軸支孔155bが形成され、平面視で先端側に、取付ベース157の軸孔157aに挿入される突出ピン155cが形成され、断面視で基体部140側に開口した略コノ字形状となっており、第2アーム153を突き出させて逃がすための切欠き部156を備えている。
また、進退枠部155は基体部140側に開口した略コノ字形状とすることにより、図6に示すように前面扉12を閉じた状態としてときに、その略コノ字形状の内部に基体部140を入れた状態となる。つまり、コンパクトに収納された格好となり、省スペース化が図られている。
第2アーム153は、図7,図8に示すように、その先端側に第3アーム159が回動可能に取り付けられている。具体的には、第2アーム153は、第3アーム159の基端側のピン159aが挿入される挿入孔153aを備え、第3アーム159は、その先端側が取付ベース157に回動可能に取り付けられている。
取付ベース157は、その四隅に、前面扉12との取り付けのためのネジ用貫通孔157bがそれぞれ形成されている。
前面扉12が開かれた状態では、図7(a),図8(a)に示すように、取付ベース157が本体11の略左側に向いている。また、前面扉12が閉じられた状態では、図7(b),図8(c)に示すように、取付ベース157が本体11の前方に向いている。
続いて、第2開閉機構部材160について説明する。
第2開閉機構部材160は、図9に示すように、本体11に取り付けられたプレート部材96の下部側に設けられた軸部161と、前面扉12に設けられた、軸部161が挿入された状態でその軸心方向を変位可能に支持する支持片163とを備えている。
支持片163は、略L字状部材となっており、その上面側には、軸部161が挿入される長孔164が形成されている。なお、本実施例1では、支持片163は折り曲げ加工して略L字形状としている。
この長孔164は、傾斜姿勢で本体11に閉じられた前面扉12を開放していくにつれてこの前面扉12を鉛直方向に起立していくことを許容する形状となっている。
したがって、本実施例1では、支持片163に長孔164を形成しているが、長孔に限らず、円弧状の長孔やすり鉢状の孔など、傾斜姿勢で本体11に閉じられた前面扉12を開放していくにつれてこの前面扉12を鉛直方向に起立していくことを許容する種々の形状を採用することができる。
なお、上述した開閉機構部材100が本発明における片開き開閉機構に相当し、上述した第1開閉機構部材110が本発明における第1開閉機構部に相当し、上述したリンク機構部120が本発明における機構部に相当し、上述した第2開閉機構部材160が本発明における第2開閉機構部に相当し、上述した軸部161が本発明における軸部材に相当し、上述した支持片163が本発明における支持部に相当する。
ここで、前面扉12の開放動作と、その際の第1開閉機構部材110および第2開閉機構部材160の変移について説明する。
図1に示すように、前面扉12を閉じた状態では、開閉機構部材100の開閉軸J1は図1に二点鎖線で示すように傾斜した状態となっている。このとき、第1開閉機構部材110は、図6(b),図8(c)に示すように、進退変位部150が後退状態となっており、第2開閉機構部材160は、図9(b)に示すように、支持片163の前面扉12への取り付け面を正面に向けた姿勢で、かつ、長孔164のうちの折り曲げ側に近い箇所に軸部161が位置して軸支されている。
次に、前面扉12を開いていくと、図8(b)に示すように、第1開閉機構部材110の進退変位部150が図8(c)での後退状態から、図8(a)の進出状態に向かっていくように変移していき、第2開閉機構部材160の支持片163が前面扉12への取り付け面を正面に向けた姿勢から左側に向けた姿勢に変移しつつ、かつ、長孔164のうちの折り曲げ側に近い箇所から遠い箇所に向かうように軸部161が位置して軸支されている。
そして、前面扉12が完全に開かれた状態となると(図2〜図5参照)、図8(a)に示すように、第1開閉機構部材110の進退変位部150が進出状態となり、第2開閉機構部材160の支持片163が前面扉12への取り付け面を左側に向けた姿勢で、かつ、長孔164のうちの折り曲げ側から遠い箇所に軸部161が位置して軸支されている。
つまり、図1に示すように、前面扉12を本体11の開口面11aを閉じた状態では、図2,図3に一点鎖線で示す傾斜した開閉軸J1を基準に開き始めるが、前面扉12の開放に伴ってこの前面扉12の左端上側箇所(前面扉12の第1開閉機構部材110のある側の箇所)がその下側箇所(前面扉12の第2開閉機構部材160のある側の箇所)に比べて本体11の前方の方に大きく離れていく(図5では長さLeだけ離れていることがわかる)。すなわち、前面扉12の開放に伴って、図2,図3に一点鎖線で示す傾斜した開閉軸J1が徐々に起立していき、二点鎖線で示す鉛直方向に起立した開閉軸J1に変移する。
上述したように、本実施例1のパチンコ機10によれば、開口方向が斜め上方向である開口面11aを備えた本体11と、この本体11の開口面11aを閉じるための前面扉12とを備え、この前面扉12を本体11に対して片開き自在に開閉する開閉機構部材100を備え、この開閉機構部材100は、開口面11aを見た状態で本体11での左側に設けられた、前面扉12を本体11に対して片開き自在とするための第1開閉機構部材110と、この第1開閉機構部材110よりも下方で間隔を空けた位置に設けられた、前面扉12を本体11に対して片開き自在とするための第2開閉機構部材160とを備え、第1開閉機構部材110は、前面扉12の開放に伴って当該前面扉12の支軸側の上部を下部よりも大きく本体11から離れさせるリンク機構部120を備えているので、前面扉12を閉じる際について言えば、従来例では、扉部材の上部がその下部よりも本体部材の方に傾いた傾斜姿勢のままで本体部材に対して閉じられるようになっており、扉部材の自重で閉まり易くなっているのみならず、この扉部材が勢いの付いた状態で閉じられる構成となっている。つまり、扉部材の重心位置は、閉じた状態から斜め上がりに片開きされるにつれて上がっていっており、この重心位置を上げた分の仕事量で勢いが付いて閉じられるので、その閉じた時の当該扉部材の蝶番への閉方向の衝撃力によって扉部材や本体部材が損傷することがある。これに対して、本実施例では前面扉12の片開き過程でのその重心位置の上がり勾配を従来よりも小さく(重心の変位角を小さく)しており、言い換えれば、前面扉12の重心位置ができるだけ水平方向に移動するようにしており、前面扉12の片開き時の重心位置上がり分を小さくできた分だけ前面扉12の閉じる際の勢いを低減でき、従来例と比べて前面扉12の自重による閉まり易さを低減でき、しかも前面扉12を閉じるにつれて閉状態の傾斜姿勢に近づいていくため、従来のような傾斜姿勢のままで勢いがついて前面扉12が閉まるということを低減でき、前面扉12の閉時における第1,第2開閉機構部材110,160へのその閉方向の衝撃力を低減でき、前面扉12や本体11が損傷することを低減できる。
これとは逆に、前面扉12を開く場合には、第1開閉機構部の機構部により、前面扉12の開放に伴って当該前面扉12の上部がその下部よりも本体11から離れていく。すなわち、前面扉12を傾斜姿勢から鉛直姿勢に向かうように起立させていくことができる。従来例では、傾斜軸が固定のままで扉部材が本体部材に対して片開きとされており、扉部材を片開き方向に90°を超えて開く場合には、この扉部材が勢いの付いた状態で片開き方向に90°を超えた最大開放状態となり、その全開時の当該扉部材の蝶番への開放方向の衝撃力によって扉部材や本体部材が損傷することがある。これに対して、本実施例では前面扉12の片開き過程でのその重心位置の上がり勾配を従来よりも小さく(重心の変位角を小さく)しており、言い換えれば、前面扉12の重心位置ができるだけ水平方向に移動するようにしており、前面扉12の片開き時の重心位置上がり分を小さくできた分だけ前面扉12の勢いを低減でき、前面扉12の勢いが付くのを抑制して最大開放状態(片開き方向に90°を超えた状態)とすることができ、前面扉12の全開時における第1,第2開閉機構部材110,160へのその開放方向の衝撃力を低減でき、前面扉12や本体11が損傷することを低減できる。
したがって、前面扉12を開閉する際の衝撃力を減らすことができ、前面扉12を開閉する際の衝撃力によって前面扉12や本体11が損傷することを低減できる。
また、第2開閉機構部材160は、本体11に取り付けられた軸部161と、前面扉12に設けられた、軸部161が挿入された状態でその軸心方向を変位可能に支持する支持片163とを備えているので、前面扉12の開閉に伴う当該前面扉12の開閉軸方向の変位に対応することができる。
また、リンク機構部120は、前面扉12を開いた状態において当該前面扉12が鉛直方向に起立した起立姿勢となるように、前面扉12を本体11から離れさせるものであるので、前面扉12の閉状態での傾斜姿勢から開状態での鉛直姿勢に起立され、前面扉12の勢いが付くのを抑制して最大開放状態とすることができ、前面扉12の全開時における第1,第2開閉機構部材110,160へのその開放方向の衝撃力を低減でき、前面扉12や本体11が損傷することを低減できる。また、これとは逆に閉じる際について言えば、前面扉12が開放された状態では、鉛直姿勢となっており、従来例と比べて扉部材の自重による閉まり易さを低減でき、しかも扉部材を閉じるにつれて閉状態の傾斜姿勢に近づいていくため、従来のような傾斜姿勢のままで勢いがついて扉部材が閉まるということを低減でき、前面扉12の閉時における第1,第2開閉機構部材110,160へのその閉方向の衝撃力を低減でき、前面扉12や本体11が損傷することを低減できる。したがって、前面扉12を開閉する際の衝撃力を減らすことができ、前面扉12を開閉する際の衝撃力によって前面扉12や本体11が損傷することを低減できる。
また、リンク機構部120は、前面扉12の開閉に伴って上下方向に回動自在となっているので、前面扉12の閉状態での傾斜姿勢から開状態でのそれよりも起立した起立姿勢への変位に伴うリンク機構部120の上下動を許容することができ、前面扉12の開閉の際に当該リンク機構部120の姿勢を上下方向に適宜に回動させることができ、リンク機構部120に無理な力がかからないようにできる。
また、リンク機構部120は、前面扉12の開閉に伴って上下方向に回動自在となるように本体11に軸支された回動ベース部130と、この回動ベース部130に設けられた基体部140と、前面扉12の開放によって本体11の開口面11aから一部が突き出た進出状態と、前面扉12の閉鎖によって基体部140の方に戻った後退状態とに変位可能でその所定箇所が前面扉12に取り付けられた進退変位部150と、を備えているので、前面扉12の閉状態での傾斜姿勢から開状態でのそれよりも起立した起立姿勢への変位に伴うリンク機構部120の上下動を許容することができ、前面扉12の開閉の際に当該リンク機構部120の姿勢を上下方向に適宜に回動させることができ、リンク機構部120に無理な力がかからないようにできる。また、進退変位部150の進出状態により前面扉12を、傾斜姿勢よりも起立させた起立姿勢にすることができ、進退変位部150の後退状態により前面扉12を傾斜姿勢で本体11の開口面11aを閉じた状態とすることができる。
また、図2に示すように、前面扉12の下側の係止爪190(2個の係止爪190であればさらによい)と、第1開閉機構部材110とにより、前面扉12が本体11に留められているので、前面扉12が本体11に対してその前後方向にがたつくようなことがない。
次に、実施例2のパチンコ機10について図11〜図15を用いて説明する。図11は、実施例2のスロットマシン10の前面扉を開いた状態の斜視図である。図12は、実施例2の前面扉12を開いた状態のスロットマシン10の右側面図である。図13は、実施例2の前面扉12を開いた状態のスロットマシン10の正面図である。図14は、実施例2の前面扉12を開いた状態のスロットマシン10の平面図である。図15(a)は、実施例2の第2開閉機構部材170を分解斜視図であり、図15(b)は前面扉12を開いた状態の第2開閉機構部材170を示す斜視図であり、図15(c)は前面扉12を閉じた状態の第2開閉機構部材170を示す斜視図である。
実施例2では、前述した実施例1とは別の第2開閉機構部材170を採用している点が、前述の実施例1とは異なっている。以下に、実施例2の第2開閉機構部材170について説明する。
なお、第1開閉機構部材110については、前述の実施例1と同様であるので、この実施例2での第1開閉機構部材110の説明を省略する。
第2開閉機構部材170は、図15に示すように、前面扉12に取り付けられた取付部材171の下部側にネジ止めされるL字板部材173の底板173aに設けられた軸部175と、本体11に設けられた、軸部175が挿入された状態でその軸心方向を変位可能に支持する支持部材177とを備えている。
支持部材177は、先端側が本体11の左側に曲がった曲がり板部であり、その先端側に軸部175が挿入される挿入孔177aが形成され、基端側を高さ方向に折り曲げた取付板部177bを備えたものとしている。この取付板部177bには、本体11の左内壁面に回動自在に取り付けるための貫通孔177cを備えている。
本実施例2では、支持部材177の取付板部177bに貫通孔177cを形成しており、傾斜姿勢で本体11に閉じられた前面扉12を開放していくにつれてこの前面扉12を鉛直方向に起立していくことを許容するように、支持部材177の取付板部177bが回動するようになっている。
なお、本実施例2では、支持部材177の取付板部177bが本体11に対して貫通孔177cを軸心として回動可能としているが、その回動可能構成に替えて、支持部材177の先端側の挿入孔177aをすり鉢状の孔とすることで、傾斜姿勢で本体11に閉じられた前面扉12を開放していくにつれてこの前面扉12を鉛直方向に起立していくことを許容するようにしてもよい。
上述したように、本実施例2のスロットマシン10によれば、第2開閉機構部材170は、前面扉12に取り付けられた取付部材171の下部側にネジ止めされるL字板部材173の底板173aに設けられた軸部175と、本体11に設けられた、軸部175が挿入された状態でその軸心方向を変位可能に支持する支持部材177とを備え、この支持部材177は、先端側が本体11の左側に曲がった曲がり板部であり、その先端側に軸部175が挿入される挿入孔177aが形成され、基端側を高さ方向に折り曲げた取付板部177bを備えたものとし、この取付板部177bは、本体11の左内壁面に回動自在に取り付けるための貫通孔177cを備えているので、前面扉12の開閉に伴う当該前面扉12の開閉軸方向の変位に対応することができる。
次に、実施例3のパチンコ機10について図16〜図19を用いて説明する。図16は、実施例3のスロットマシン10の前面扉を開いた状態の斜視図である。図17は、実施例3の前面扉12を開いた状態のスロットマシン10の右側面図である。図18は、実施例3の前面扉12を開いた状態のスロットマシン10の正面図である。図19は、実施例3の前面扉12を開いた状態のスロットマシン10の平面図である。
実施例3では、前述した実施例1,2の第1開閉機構部材110を小型化したものを、第2開閉機構部材180として採用している点が、前述の実施例1,2とは異なっている。以下に、実施例3の第2開閉機構部材180について説明する。
なお、第1開閉機構部材110については、前述の実施例1,2と同様であるので、この実施例2での第1開閉機構部材110の説明を省略する。
実施例3の第2開閉機構部材180は、図16〜図19に示すように、第1開閉機構部材110を小型化したものとしている。言い換えれば、リンク機構部120は第1リンク機構部であり、第2開閉機構部材180は、前面扉12の開放に伴って当該前面扉12を本体11から離れさせる第2リンク機構部であり、第1リンク機構部は、前面扉12の開放に伴って当該前面扉12を第2リンク機構部よりも大きく本体11から離れさせるものである。
上述したように、本実施例3のスロットマシン10によれば、第2開閉機構部材180として、第1開閉機構部材110を小型化したものを採用しているので、前面扉12の開閉に伴う当該前面扉12の開閉軸方向の変位に対応することができる。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した各実施例では、開閉機構部材100は、前面扉12の左側に設けられているが、右側に設けるようにし、右側に片開き可能な構成としてもよい。
(2)上述した各実施例では、リンク機構部120は前面扉12を開いた状態において当該前面扉12が鉛直方向に起立した起立姿勢となるように、前面扉12を本体11から離れさせるものとしているが、略鉛直方向に起立した起立姿勢となるようにしてもよい。
(3)上述した実施例1では、本体11に取り付けられたプレート部材96に軸部161を設け、前面扉12に支持片163を設けた構成を例示して説明したが、それとは逆に、本体11に取り付けられたプレート部材96に支持片163を設け、前面扉12に軸部161を設けた構成を採用してもよい。
(4)本発明を各種(例えば第一種、第三種など)の遊技機に実施してもよいし、上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される。)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞されることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。また、球が所定の入賞口に入ることで特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。さらに、パチンコ機以外にも、アレンジボール型パチンコ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機等の各種遊技機として実施するようにしてもよい。
なお、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の遊技球の投入後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受け皿に多量の球が払い出されるものである。
以上のように、この発明は、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機に適している。
実施例1のスロットマシンの前面扉を閉じた状態の斜視図である。
実施例1のスロットマシンの前面扉を開いた状態の斜視図である。
前面扉を開いた状態のスロットマシンの右側面図である。
前面扉を開いた状態のスロットマシンの正面図である。
前面扉を開いた状態のスロットマシンの平面図である。
(a)は第1開閉機構部材での進退変位部の進出状態を示す斜視図であり、(b)は第1開閉機構部材での進退変位部の後退状態を示す斜視図である。
(a)は進退変位部が進出状態の第1開閉機構部材の分解斜視図であり、(b)は進退変位部が後退状態の第1開閉機構部材の分解斜視図である。
(a)〜(c)は第1開閉機構部材での進退変位部の変位を示す平面図である。
(a)は前面扉を開いた状態の第2開閉機構部材を示す斜視図であり、(b)は前面扉を閉じた状態の第2開閉機構部材を示す斜視図であり、(c)は前面扉の開閉に伴って変位する、第2開閉機構部材での支持部を示す図である。
(a)は第1開閉機構部材の回動ベース部の回動状態を示す斜視図であり、(b)はその(a)の正面図である。
実施例2のスロットマシンの前面扉を開いた状態の斜視図である。
実施例2の前面扉を開いた状態のスロットマシンの右側面図である。
実施例2の前面扉を開いた状態のスロットマシンの正面図である。
実施例2の前面扉を開いた状態のスロットマシンの平面図である。
(a)は実施例2の第2開閉機構部材を分解斜視図であり、(b)は前面扉を開いた状態の第2開閉機構部材を示す斜視図であり、(c)は前面扉を閉じた状態の第2開閉機構部材を示す斜視図である。
実施例3のスロットマシンの前面扉を開いた状態の斜視図である。
実施例3の前面扉を開いた状態のスロットマシンの右側面図である。
実施例3の前面扉を開いた状態のスロットマシンの正面図である。
実施例3の前面扉を開いた状態のスロットマシンの平面図である。
11 …本体(本体部材)
11a…開口面
12 …前面扉(扉部材)
100 …開閉機構部材(片開き開閉機構)
110 …第1開閉機構部材(第1開閉機構部)
120 …リンク機構部(機構部)
160 …第2開閉機構部材(第2開閉機構部)