JP4904503B2 - コイル装置 - Google Patents

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Description

この発明は、シート状乃至薄板状のコイル装置に係り、特に、インダクタ、トランス、或いは非接触電力伝送器具等々として好適なコイル装置に関する。
発明者は、先に、特願2005−346039号により、インダクタ、トランス、或いは非接触電力伝送器具等々として好適なシート状乃至薄板状のコイル装置(面状インダクタ)を提案している(特許文献1参照)。
この面状インダクタによれば、コイル特性の制約を受けることなく任意の面積を有するものを容易に設計することができると共に、1対の装置を対向配置して非接触送電を行うに際しては、必要な電力に面積で対応することができ、しかも分離用の切断予定線を比較的自由に設計することが可能で設計自由度が高いといった様々な利点を得ることができた。
しかしながら、インダクタや非接触電力伝送用途に適したシート状乃至薄板状のコイル装置の実現にあたっては、送電効率、磁気的な不要輻射、発熱、及び製造コストなどにおいて尚も解決できぬ問題が残されていた。
WO 2007/063884国際公報パンフレット
上述のように、本発明者が先に提案した面状インダクタ装置にあっては、インダクタや非接触電力伝送用機器として好適なシート状乃至薄板状のコイル装置の実現にあたっては、なおも、送電効率、磁気的な不要輻射、発熱、及び製造コストなどの面において、解決すべき問題が残されていた。殊に、この種のシート状乃至薄板状のコイル装置にあっては、昨今携帯電話の非接触充電用途に供せられることから、携帯電話に組み込まれたデジタルテレビや近距離無線カード等の正常な動作を保証するためには、磁気的な不要輻射に関して極めて高い要求がせられている。
もちろん、携帯電話も家電製品である以上、その非接触充電にあたっては、その近辺におかれた他の金属や電子機器に対する影響、或いは自身の発熱による過熱に対しても、極めて強い要求がせられることは言うまでもない。
この発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、高い送電効率を保証することができると共に、磁気的な不要輻射が極めて少なく、また長時間の充電によっても過熱することがなく、さらに低コストに製作することが可能なシート状乃至薄板状のコイル装置を提供することにある。
上述の技術的課題は、以下の構成を有するシート状乃至薄板状のコイル装置により解決することができると考えられる。
すなわち、このコイル装置は、複数の扁平コイルと、それらの扁平コイルを平面的に整列配置した状態で担持する扁平コイル担持層と、扁平コイル担持層の一方の面側に設けられた第1の配線層と、扁平コイル担持層の他方の面側に設けられた第2の配線層とを有する。
各扁平コイルの巻き始め端は第1の配線層を介して共通接続され、また各扁平コイルの巻き終わり端は第2の配線層を介して共通接続されている。
それにより、第1の配線層と第2の配線層との間には、平面的に整列配置された複数の扁平コイルが電気的に並列接続された状態が出現する。
扁平コイルのそれぞれは、基本となる導体パターンを複数積層してなる積層型コイルとされ、各層の基本パターンは、互いに平行な2本の軸線の周りに、線状導体パターンが所定回数だけ渦巻状にかつ互いに逆方向へと巻回されてなる2個の渦巻状環を有する略S字状パターンとされる。
加えて、基本パターンを構成する2個の渦巻状環のそれぞれは、正三角形状とされ、最外周三角形の底辺を共有するようにして背中合わせに配置され、また基本パターンの全体は菱形状のS字形状を呈するものである。
このようなシート状乃至薄板状のコイル装置によれば、本出願人が先に特願2005−346039において提案した基本構造を有することに加え、基本パターンである略S字状パターンを構成する2個の渦巻状環のそれぞれは正三角形状とされ、最外周三角形の底辺を共有するようにして背中合わせに配置され、また基本パターンの全体は菱形状のS字形状を呈するものであるから、最もその重心に磁束を集中させ易い三角形を利用することに加えて、1個の基本パターンが時計回りの巻線と反時計回りの巻線とを兼ねることから、高周波電流による電磁変換の効率が良く、層間接続用のビアについても、2つの逆巻き巻線でS字状パターンを形成する場合に比べ、数が半減するなどにより、製造コストを低減させることもできる。
この発明の好ましい実施の形態においては、菱形状のS字形状を呈する基本パターンは、隣接する最外周の導体辺同士が互いに平行となるようにして各層内に分散して整列配置され、かつ各層間においては対応する渦巻状環毎に軸心整合されている。
このような構成によれば、隣接する最外周の導体辺同士が互いに平行のまま分散配置されることから、基本パターン同士が隣接する部分において、電流ベクトルは全て同一方向へ向くこととなり、その結果、このような菱形状S字形状を呈する基本パターンを隣接して複数配置すると、例えば、基本パターンを3個並べて正六角形状を形成した場合、各基本パターンの2つの磁極と隣接するパターンの磁極とは全て等距離となり、その結果、それら等距離にある磁極同士で磁気的なプッシュブル動作が行われることから、全体として生ずる磁気的な不要輻射を極力軽減させることが確認された。
本発明の好ましい実施の形態においては、基本パターンを構成する2個の正三角形状渦巻環のそれぞれの各頂点は、頂角の二等分線に対して直角な線に沿ってカットされ、それにより正三角形状渦巻環の各角部の内角はすべて120度とされている。
このような構成によると、一般に、高周波(例えば、300KHz〜10MHz)に適用した場合、線状導体の折れ曲がり角度が90度以下であると局部的な大きな発熱が生ずるのに対し、本発明にあっては、各線状導体の折れ曲がり角度が120度に維持されるため、全体として線状導体の折れ曲がり角部における総発熱量を低減させ、伝送効率の向上と過熱の問題とを解決することができる。
以上説明した本発明のシート状乃至薄板状のコイル装置は、多層配線基板の製造技術を使用して製作することができる。このような多層配線基板の製造技術によれば、基本パターンを構成する線状導体の断面形状、同一面における隣接導体間距離、上下方向における導体間距離を精密に管理することができるため、導体間の寄生容量を均一化して、回路素子のバランスを良好なものとし、初期の電磁変換能力を発揮することができる。
また、上述のシート状乃至薄板状のコイル装置は、半導体集積回路の製造技術を使用しても製作することができる。このような半導体集積回路の製造技術を使用すれば、基本パターンそのものを半導体基板上に微細プロセスで作り込むことができるため、基本パターン間における電子の移動距離が短くなって、より一層高周波動作が容易となるほか、そもそも本発明のコイル装置はその上下面に配線層が存在するため、半導体基板内に組み込んだ場合にも、その構造から不要輻射が他の回路に影響を与えにくく、特に、アナログとデジタルの混在する集積回路にあっては、両者に与える影響が少ないという利点がある。
本発明によれば、電磁変換効率が高く、高周波特性に優れ、不要輻射が少なく、使用にあたって過熱することがなく、低コストに製作が可能なシート状乃至薄板状のコイル装置を提供することができる。
以下に、この発明に係るシート状乃至薄板状のコイル装置の好適な実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明に係るコイル装置(空芯)の構成を示す断面図が図1に示されている。このコイル装置は、多層配線基板の製造技術を使用して製作されている。
図から明らかなように、このコイル装置は、第1基板B1〜第6基板B6からなる6枚の配線基板(扁平コイル担持層)を積層して構成されている。L1は上側絶縁被覆、L2は上側電源層(第1配線層)、L3は下側電源層(第2配線層)、L4は下側絶縁被覆である。
上側電源配線層L2は、磁束透過孔H1,H2の部分を除き、いわゆる全面一様な導体面(ベタ導体)とされている。
第1基板B1〜第6基板B6からなる6枚の配線基板は、第1層巻線基板〜第6層巻線基板として機能するものであり、それらの基板上には扁平コイルとなる第1巻線パターン1P〜第6巻線パターン6Pが形成されている。
それらの巻線パターン1P〜6Pの一例が、図中上部空白に単位パターンPとして描かれている。図から明らかなように、この単位パターンPは、線状導体をコイル軸線の周りに内側から外側へと反時計回りに巻回してなる第1部分P1と、同線状導体をコイル軸線の周りに外側から内側へと時計回りに巻回してなる第2部分P2とを有する。第1部分P1及び第2部分P2の巻回環形状は略正三角形状とされ、それらの正三角形は底辺を共有しかつ互いに背中合わせとなるように配置され、全体として菱形形状を呈するように構成されている。
第1層巻線パターン1P〜第6層巻線パターン6Pは、奇数パターンと偶数パターンとで上下層間で流れる電流の向きが同一となるように、僅かに形状を異ならせて形成されている。
上から順に接続関係を説明すると、上側電源層L2はビアV1を介して第1巻線パターン1Pの第1部分P−1へと接続される。第1層巻線パターン1Pの第2部分P−2の内周端はビアV2を介して第2層巻線パターン2Pの第2部分P−2へと接続される。
以下同様にして、各層巻線パターンは、第1部分P1と第2部分P2とに交互に位置を変え、ビアV3〜V6を介してそれぞれ下層の巻線パターンへと接続される。
最後に、第6層巻線パターン6Pの第1部分P−は、ビアV7を介して下側電源層L3へと接続される。これにより、上側電源層L2と下側電源層L3との間には、6個のS字状単位パターンPが直列に接続される。そして、各層の単位パターンPは、図から明らかなように、S字状を有するため、第1部分P−1の内周端から入力された電流は、第1部分P−1の内周端から外周へと反時計回りに流れて、正三角形の底辺部分に至り、その後第2部分P−2の外周から内周へと時計回りに流れる。これにより各層の単位巻線パターンPにおいては、第1部分P1と第2部分P2との間で逆方向へ磁束が生ずることとなり、いわゆる磁気的なプッシュブル動作が、各巻線パターン1P〜6P毎に行われ、全体として、第1部分P1と第2部分P2とのそれぞれにおいて磁束が逆方向へと加算され、効率よく磁気エネルギの蓄えと放出とが繰り返されることとなる。
本発明に係るコイル装置(空芯)における各配線基板B1〜B6の平面図が図2〜図9に示されている。すなわち、本発明に係るコイル装置(空芯)における上側電源層(L2)の平面図が図2に示されている。なお、周囲を取り囲む正方形状は、基板の外周輪郭である。
同図に示されるように、基板の中央部ほぼ全体には正六角形状の素材露出領域103が存在し、これを取り巻くようにして導体被領域101が存在する。導体被着領域101から素材露出領域103のほぼ中央へ向けて3本のリードパターン102が延びており、それぞれの先端にはビアV1が設けられている。このビV1は、上側電源層(L2)と第1層巻線パターン1Pとを繋ぐものである。また、基板輪郭内の右上には、電源VDDを最下層の基板へ連通させるためのスルーホールTHが形成されている。
本発明に係るコイル装置(空芯)における第1層巻線パターンを構成する基板(B1)の平面図が図3に示されている。
同図に示されるように、基板B1の中央部には、3個の単位パターン1PA,1PB,1PCを最外周の導体同士が互いが平行となるように密に組み合わせてなる正六角形状の導体パターンが存在する。
それら3つの単位パターン1PA,1PB,1PCのそれぞれは、第1部分1PA−1,1PB−1,1PC−1と第2部分1PA−2,1PB−2,1PC−2とを有する。
第1部分1PA−1,1PB−1,1PC−1の内周端は、ビアV1を介して上側電源層(L2)から給電される。第2部分1PA−2,1PB−2,1PC−2の内周端は、ビアV2を介して第2層巻線パターン2Pへと接続される。
図から明らかなように、単位パターンの第1部分1PA−1,1PB−1,1PC−1の渦巻形状は、内周側から外周側へと反時計回りに巻回する正三角形状とされており、第2部分1PA−2,1PB−2,1PC−2の渦巻形状は、外周から内周へ向けて時計回りに巻回する正三角形状とされている。
換言すれば、各単位パターン1PA,1PB,1PCを構成する第1部分1PA−1,1PB−1,1PC−1と第2部分1PA−2,1PB−2,1PC−2とは、底辺を共有しかつ互いに背中合わせとなるように配置された2個の三角形で構成され、全体として菱形形状を呈するものとなる。
その結果、それら3つの菱形形状を有する単位パターン1PA,1PB,1PCが、最外周の辺が互いに平行となるように密に組み合わされて正六角形が出来上がると、後に詳細に説明するように、単位パターン同士で隣接する導体辺同士は電流の向きが全て同一となると共に、第1部分P−1及び第2部分P−2の中心に位置するN極とS極(図23参照)とは、隣接極間の距離が均等となり、磁束はこの六角形の輪郭から外部へと漏洩しにくくなる。
その結果、このような3個の菱形形状を組み合わせてなる正六角形状の巻線パターンによれば、正三角形の各辺を流れる電流によって、対応する磁極に効率よく磁束を集中させながらも、それら生ずる磁束が正六角形を有する導体パターンの外部へとは漏れにくく、しかも各単位パターン1PA,1PB,1PCを構成する2つの部分(P−1,P−2)は同一形状で対称的なものとなるため、磁気バランスが最適となることから、良好な効率を得ることができる(図23参照)
本発明に係るコイル装置(空芯)における第2層巻線パターンを構成する基板(B2)の平面図が図4に示されている。同図において、2PA,2PB,2PCは第1,第2,第3の単位パターン、2PA−1,2PB−1,2PC−1は、第1〜第3の単位パターンにおける第1部分、2PA−2,2PB−2,2PC−2は、第1〜第3の単位パターンにおける第2部分、THはスルーホール、121は素材露出領域、V2は第1層巻線パターンへ通ずるビア、V3は第3層巻線パターンへ通ずるビアである。
本発明に係るコイル装置(空芯)における第3層巻線パターンを構成する基板(B3)の平面図が図5に示されている。図において、3PA,3PB,3PCは第1,第2,第3の単位パターン、3PA−1,3PB−1,3PC−1は第1,第2,第3の単位パターンの第1部分、3PA−2,3PB−2,3PC−2は第1,第2,第3の単位パターンの第2部分、131は素材露出領域、V3は第2層巻線パターンへ通ずるビア、V4は第4層巻線パターンへ通ずるビアである。
本発明に係るコイル装置(空芯)における第4層巻線パターンを構成する基板(B4)の平面図が図6に示されている。
図において、4PA,4PB,4PCは、第1,第2,第3の単位パターン、4PA−1,4PB−1,4PC−1は、第1,第2,第3の単位パターンの第1部分、4PA−2,4PB−2,4PC−2は、第1,第2,第3の単位パターンの第2部分、141は素材露出領域、V4は第3層巻線パターンへ通ずるビア、V5は第5層巻線パターンへ通ずるビアである。
本発明に係るコイル装置(空芯)における第5層巻線パターンを構成する基板(B5)の平面図が図7に示されている。
図において、PA,5PB,5PCは、第1,第2,第3の単位パターン、5PA−1,5PB−1,5PC−1は、第1,第2,第3の単位パターンの第1部分、5PA−2,5PB−2,5PC−2は、第1,第2,第3の単位パターンの第2部分、V5は第4層巻線パターンへと通ずるビア、V6は第6層巻線パターンへと通ずるビア、151は素材露出領域である。
本発明に係るコイル装置(空芯)における第6層巻線パターンを構成する基板(B6)の平面図が図8に示されている。
図において、6PA,6PB,6PCは、第1,第2,第3の単位パターン、6PA−1,6PB−1,6PC−1は、第1,第2,第3の単位パターンの第1部分、6PA−2,6PB−2,6PC−2は、第1,第2,第3の単位パターンの第3部分、V6は第5層巻線パターンへと通ずるビア、V7は下側電源層へと通ずるビア、161は素材露出領域である。
本発明に係るコイル装置(空芯)における下側電源層(L3)を構成する基板(L3)の面図が図9に示されている。
図において、171は導体被着領域、172は素材露出領域、173はGND端子、THはスルーホール、174はリードパターン、V7は第6層巻線パターンへ通ずるビアである。
以上説明したように、図1〜図9に示されるコイル装置(空芯)によれば、第1部分P1を構成する正三角形と第2部分P2を構成する正三角形とでは、両者の底辺を共有部分M(図1参照)とするため、図1の断面図から明らかなように、両三角形の底辺が別々に存在する場合のように、異なる方向へ流れる電流によって磁界を打ち消されることがなく、これも本実施例コイル装置の効率向上させることに寄与する。つまり、共有部分M(M1〜M6)を流れる電流は、第1部分P−1の中心部分における磁束を一定の方向へ加算させ、他方第2部分P−2の中央部分を貫く磁束を減少させるといったプッシュブル動作に直接的に寄与することとなる。
なお、以上説明した実施形態においては、第1部分P−1及び第2部分P−2は磁性材よりなるコアの存在しない、いわゆる空芯コアとしたが、第1部分P−1及び第2部分P−2の中央に磁性コアを貫通させた有芯コイルとしても良いことは勿論である。
このような有芯コアによる実施形態が、図10〜図18に示されている。それらの図において、K1は第1部分P−1の軸心を貫く筒状コア、K2は第2部分P−2の軸心を貫く筒状コアである。これらのコアK1,K2の断面形状は、それぞれ正三角形状とされている。正確には、正三角形状ではあっても、3つの頂点のそれぞれは、各頂角の二等分線に垂直な直線に沿ってカットされており、その結果、全体として異形六角形状を呈することとなる。後述するように、この異形六角形状としたのは、これを取り巻く巻線パターンの内角が120度となることと関係している。
なお、図11〜図18に示される巻線パターンの詳細については、筒状コアK1,K2を貫通させるためのコア貫通孔104,112,122,132,142,152,162,17を有することを除き、先の実施例と同一であるから重複説明は省略する。
次に、図19〜図24を参照しながら、以上の実施形態のコイル装置に適用された設計ルールについて詳細に説明する。
高周波電流による発熱対策の説明図が図19に示されている。同図に示されるように、単位パターンを構成する第1部分又は第2部分を構成する正三角形は、例えば3つの頂点P,Q,Rにそれぞれ示されるように、それぞれの頂角の二等分線と直交する直線Xに沿ってカットされる。その結果、渦巻状に巻回された線状導体の角部の内角は、全て120度とされ、高周波電流が巻線パターンを流れる際の発熱が極力抑制される。
各斜辺の線間隔及び各角の辺の線間隔の設計値が図20に示されている。同図に示されるように、各斜辺同士の線間隔をaとした場合、各角の辺の線間隔は2aとされる。このような構成によれば、各層巻線パターンは上下間で整然と重ね合わせされ、しかも線状導体の折れ曲がり角度は全て120度に統一されるため、全体の発熱を効率よく軽減することができる。
基本パターンの第1部分の各分の寸法の設計値が図21に示されている。当然のことながら、正三角形であるから、3つの辺A,B,Cの長さは等しくbとされ、3つの頂角をカットして生ずる線分Wの長さはa、1つの角部における線分の長さWはa2とされる。このような設計ルールに従うことによって、最適な導体間隔並びに発熱軽減を実現することができる。
単位パターン間で隣接する線状導体を流れる電流ベクトルの説明図が図22に示されている。先に説明したように、全体として菱形形状を有する3個の単位パターンを組み合わせて正六角形状を作り出すと、隣接する単位パターン間における導体を流れる電流の向きが等しくなる。このことから、磁界はバランスよく足し合わされ、電磁変換効率は良好なものとなる。
3個の単位パターンを組み合わせ、全体として六角形状としたときの磁束の流れを示す説明図が図23に示されている。同図に示されるように、図23の電流の向きからも明らかなように、単位パターンを構成する3組の磁極(N1,S1),(N2,S2),(N3,S3)は互いに均等な距離となり、それらの単位パターンの電源端子間に並列に接続されるため、それぞれの磁極から発生する磁界は隣接する磁極へと流れ込み、六角形の輪郭から外部へとは極力漏洩が抑制される。このことから、図23に示される正六角形状の巻線パターンを有するコイル装置によれば、例えば、携帯電話の底や蓋に埋め込んだ場合にも、隣接電子回路への影響が極めて低減され、実際、携帯電話に組み込んだ場合にも、デジタルテレビの視聴や近距離データ通信カードの使用に支障がないことが確認された。
16個の単位パターンを組み合わせて六角形状とした例の説明図が図24に示されている。同図に示されるように、以上説明した菱形状単位パターンを3個組み合わせてなる単位六角形パターンは、それらを隣接して複数整然と組み合わせることによって、任意の大きさの面状コイルを実現することができる。従って、このような面状コイルを適当な大きさに設定することによって、携帯電話の非接触充電のみならず、マウスパッドによるコードレスマウスの充電、その他任意の携帯型電子機器に対する効率のよい充電を行うことが可能となる。殊に、繰り返し説明したように、本発明に係るコイル装置は、効率が良いことに加えて、磁気的な不要輻射、機器の過熱等々が極めて少ないため、昨今普及しつつある携帯電話に組み込んでも、デジタルテレビの視聴や近距離データ通信カードの動作に悪影響を与えることがなく、そのことから、この種の非接触電力伝送に実用化に資するものである。
最後に、インダクタンスの周波数特性を比較して示す図が図25に示されている。図において、符号201に示される曲線は、筒型コイル、符号202に示される曲線はフラットコイル、符号203に示される曲線は本発明に係るシートコイル、符号204に示される曲線は筒型S字コイルによる周波数特性が示されている。
ここで、符号201で示される筒型コイルとは、直径12mm、線径0.7mmの導線による36ターンコイルである。符号202に示されるフラットコイルとは、直径35mm、線径0.8×0.4mmのリボン線による渦巻状の24ターンコイル、符号203に示されるシートコイルとは、本発明の提案のコイルであって、正三角形8ターンコイルをS字接続したS字コイルを直列8接続のコイルユニットを3組並列接続したフラットコイルである。符号204に示される筒型S字コイルとは、直径12mm、線径0.7mmの導線による18S字ターンのコイルである。
グラフから明らかなように、それら他のコイルと比較して、本発明によるシートコイル203によれば、12.8KHz以上の領域において、周波数に依存しない安定なインダクタンス値が得られることが確認された。特に、昨今、非接触伝送への使用が期待されているフラットコイル202に比べ、本発明に係るシートコイルによれば、ほぼ25.5KHzより高い領域において、はるかに高いインダクタンス値を得ることができることが確認された。
なお、符号203に示されるシートコイルの曲線において、約25.6KHzのピークは、回路的な共振点を選択することによって、任意に移動させることができる。そのため、本発明のシートコイルによれば、伝送効率が高いこと、不要輻射が少ないこと、発熱しにくいこと、などなどに加えて、面積当たりの送電量が極めて大きく、また高周波域において安定かつ高いインダクタンス値を得ることができ、この種のコイルに要求される高周波特性を十分に満足することができる。
換言すれば、本発明のシートコイルによれば、単位体積当たりのインダクタンスが大きいということも言える。従って、将来的な展望としては、以上説明したシートコイルは、携帯電話のメイン基板そのものに組み込むこともできる。これにより、事実上携帯電話の回路基板上における実装面積を消費しないという利点もある。
本発明によれば、送電効率が良好で、磁気的な不要輻射が少なく、発熱が少なく、高周波域における高いインダクタンスを安定に得ることができ、低コストに製作可能なコイル装置を提供することができる。
本発明に係るコイル装置(空芯)の構成を示す断面図である。 本発明に係るコイル装置(空芯)における上側電源層(L2)の平面図である。 本発明に係るコイル装置(空芯)における第1層巻線パターンを構成する基板(B1)の平面図である。 本発明に係るコイル装置(空芯)における第2層巻線パターンを構成する基板(B2)の平面図である。 本発明に係るコイル装置(空芯)における第3層巻線パターンを構成する基板(B3)の平面図である。 本発明に係るコイル装置(空芯)における第4層巻線パターンを構成する基板(B4)の平面図である。 本発明に係るコイル装置(空芯)における第5層巻線パターンを構成する基板(B5)の平面図である。 本発明に係るコイル装置(空芯)における第6層巻線パターンを構成する基板(B6)の平面図である。 本発明に係るコイル装置(空芯)における下側電源層(GND)を構成する基板(L3)の下面図である。 本発明に係るコイル装置(有芯)の構成を示す断面図である。 本発明に係るコイル装置(有芯)における上側電源層(VDD)を構成する基板(L2)の平面図である。 本発明に係るコイル装置(有芯)における第1層巻線パターンを構成する基板(B1)の平面図である。 本発明に係るコイル装置(有芯)における第2層巻線パターンを構成する基板(B2)の平面図である。 本発明に係るコイル装置(有芯)における第3層巻線パターンを構成する基板(B3)の平面図である。 本発明に係るコイル装置(有芯)における第4層巻線パターンを構成する基板(B4)の平面図である。 本発明に係るコイル装置(有芯)における第5層巻線パターンを構成する基板(B5)の平面図である。 本発明に係るコイル装置(有芯)における第6層巻線パターンを構成する基板(B6)の平面図である。 本発明に係るコイル装置(有芯)における下側電源層(L3)の平面図である。 高周波電流による発熱対策の説明図である。 斜辺の線間隔及び各角の辺の線間角の設計値である。 基本パターンの第1部分の各部の寸法の設計値である。 単位パターン間で隣接する線状導体を流れる電流ベクトルの説明図である。 3個の単位パターンを組み合わせ、全体として六角形状としたときの磁束の流れを示す説明図である。 16個の単位パターンを組み合わせて六角形状とした例の説明図である。 インダクタンスの周波数特性を比較して示す図である。
符号の説明
101,172 導体被着領域
102,702 リードパターン
103,111,121,131,141,151,161,171 素材露出領域
104,112,122,132,142,152,162,172 コア貫通孔
173 GND端子
P 単位パターン
P−1 第1部分
P−2 第2部分
PA,PB,PC 単位パターン
PA−1,PB−1,PC−1 単位パターンの第1部分
PA−2,PB−2,PC−2 単位パターンの第2部分
1P〜6P 巻線パターン
B1〜B6 巻線基
L1 上側絶縁被膜
L2 上側電源(VDD)層
L3 下側電源(GND)層
L4 下側絶縁被膜
v1〜v7 ビア
TH,H スルーホール
1M,5M,6M 共有部分
V1〜V7 ビア
H1,H2 磁束透過孔
K1,K2 筒状コア

Claims (5)

  1. 複数の扁平コイルと、
    それらの扁平コイルを平面的に整列配置した状態で担持する扁平コイル担持層と、
    扁平コイル担持層の一方の面側に設けられた第1の配線層と、扁平コイル担持層の他方の面側に設けられた第2の配線層とを有し、かつ
    各扁平コイルの巻き始め端は第1の配線層を介して共通接続され、また各扁平コイルの巻き終わり端は第2の配線層を介して共通接続されており、
    それにより、第1の配線層と第2の配線層との間に、平面的に整列配置された複数の扁平コイルが電気的に並列接続された状態が出現するようにしたシート状乃至薄板状のコイル装置であって、
    扁平コイルのそれぞれは、
    基本となる導体パターンを複数積層してなる積層型コイルとされ、
    各層の基本パターンは、互いに平行な2本の軸線の周りに、線状導体パターンが所定回数だけ渦巻状にかつ互いに逆方向へと巻回されてなる2個の渦巻状環を有する略S字状パターンとされ、
    基本パターンを構成する2個の渦巻状環のそれぞれは正三角形状とされ、最外周三角形の底辺を共有するようにして背中合わせに配置され、基本パターンの全体は菱形状のS字形状を呈することを特徴とするコイル装置。
  2. 菱形状のS字形状を呈する基本パターンは、隣接する最外周の導体辺同士が互いに平行となるようにして各層内に分散して整列配置され、かつ各層間においては対応する渦巻状環毎に軸心整合されることを特徴とする請求項1に記載のコイル装置。
  3. 基本パターンを構成する2個の正三角形状渦巻環のそれぞれの各頂点は、頂角の二等分線に対して直角な線に沿ってカットされ、それにより正三角形状渦巻環の各角部の内角は120度とされていることを特徴とする請求項2に記載のコイル装置。
  4. 多層配線基板の製造技術を使用して製作される、ことを特徴とする請求項1に記載のコイル装置。
  5. 半導体集積回路の製造技術を使用して製作される、ことを特徴とする請求項1に記載のコイル装置。
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