JP4903985B2 - 骨成長促進化合物の制御放出ポリマー組成物 - Google Patents

骨成長促進化合物の制御放出ポリマー組成物 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
発明の分野
本発明は、骨成長促進化合物を制御放出するための改良された系、およびそれを形成するための流動性組成物に関する。本発明の流動性組成物は、熱可塑性ポリマー、骨成長促進化合物および有機溶剤を含む。この流動性組成物は、生分解性および/または生浸食性(bioerodible)の微孔質固体ポリマーマトリックスを形成できる。このマトリックスは、患者(ヒトおよび動物)において骨成長促進化合物を骨組織へ送達するためのインプラントとして有用である。
発明の背景
生分解性ポリマーは、多くの医療用途、特に薬物送達デバイスに有用である。用いられている生分解性ポリマーの多くは熱可塑性タイプのものである。熱可塑性樹脂からなるポリマーは一般に高い温度では液化または軟化し、冷却すると再凝固する。このタイプのポリマーは一般に体内へ挿入する前に、縫合糸、外科用クリップ、ステープル、インプラントなどとして使用するための目的構造体に成形される。体内へ挿入されると、これらのポリマーはそれらの形状を維持する。
薬物送達デバイス用としては、薬物を一般にポリマー組成物に取り込ませ、体外で目的形状に成形する。次いでこの固体インプラントを一般に切開によりヒト、動物、鳥類などの体内へ挿入する。あるいは、これらのポリマーから構成される小さな個別の粒子を注射器により体内へ注入することができる。しかし好ましくは、ある種のこれらのポリマーは流動性ポリマー組成物として注射器により注入できる。
生分解性の制御放出薬物送達系として用いられる流動性ポリマー組成物は、たとえば下記の特許文献に記載されている:
Figure 0004903985
これらの組成物は流動性の物理的状態で、一般に注射器により身体に投与される。体内に入ると、この組成物は固体に変換する。あるタイプのポリマー組成物は、有機溶剤に溶解または分散した非反応性熱可塑性ポリマーまたはコポリマーからなる。このポリマー溶液が体内に配置され、そこで溶剤が周囲の身体組織中へ散逸または拡散すると、ポリマーはゲル化し、または沈殿凝固する。in situで固体マトリックスを形成し、これにより目標期間にわたって医薬を持続放出するためのインプラントが形成される、改良されたポリマー組成物も特許文献に記載されている。
この技術を利用した市販製品の例は、2つの注射器混合系からなる歯肉下制御放出製剤ATRIDOX(商標)製品である。注射器Aには450mgのATRIGEL(登録商標)送達系が収容されている;これは、63.3%のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解した36.7%のポリ(DL−ラクチド)(PLA)からなる生分解性流動性ポリマー配合物である。注射器Bには、42.5mgのドキシサイクリンに相当する抗生物質ドキシサイクリンハイクレート(hyclate)が収容されている。
K.P.Andriano et al.,J.Biomed.Mater.Res.(Appl.Biomater.),53:36−43(2000)には、吸収性パテ様ポリマーマトリックスから送達される骨形態形成タンパク質の骨形成能に関する予備インビボ試験が示されている。R.L.Dunn et al.,Portland Bone Symposium 1999,Olegon Health Sciences University,p.522−528は、吸収性パテ様マトリックスから送達される骨形態形成タンパク質の骨誘導性を調べた。
特定の骨成長促進化合物、特に特定の小分子の放出速度を最適制御することは、流動性組成物を含めた(これに限定されない)持続放出インプラントに対する尽きることのない目標である。したがって、特に長期間にわたる持続放出を必要とする特定の骨成長促進化合物の送達速度をより容易に制御できる流動性組成物が求められている。
発明の概要
本発明の目的は、ポリマー分解速度に対して骨成長促進化合物の放出速度がバランスを保つ改良されたポリマー組成物を提供することである。本発明の他の目的は、in situでインプラントを形成し、これが目標部位での骨成長を遅滞させないほど十分に速やかに分解する、改良されたポリマー組成物を提供することである。
本発明は下記のものを提供する:
患者においてインプラントをin situ形成するのに適した、下記のものを含む医薬組成物:
(a)水性液体または体液に不溶性の、医薬的に許容できる生分解性、熱可塑性ポリマーまたはコポリマー;
(b)前記の熱可塑性ポリマーを可溶化し、in situで体液に分散性であり、水中での溶解度が高く、ポリマー系から周囲の組織液中へ散逸することができ、その際に熱可塑性ポリマーがインプラントを形成する、生体適合性有機溶剤;ならびに
(c)下記よりなる群から選択される療法有効量の化合物またはその医薬的に許容できる塩:
(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸;
7−[(4−ブチル−ベンジル)−メタンスルホニル−アミノ]−ヘプタン酸;および
7−{[2−(3,5−ジクロロ−フェノキシ)−エチル]−メタンスルホニル−アミノ}−ヘプタン酸。
より具体的には、本発明は組成物が局所投与部位またはその付近に制御放出インプラントを形成する前記組成物を提供する。本発明は、組成物が骨折、骨傷害もしくは骨欠損の部位またはその付近に制御放出インプラントを形成する前記組成物をも提供する。
より具体的には、本発明は化合物が(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸のナトリウム塩である前記組成物を提供する。本発明は、化合物が(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸の遊離酸である前記組成物をも提供する。
より具体的には、本発明は化合物の量が組成物の約5〜約50mgA/mlである前記組成物を提供する。さらに具体的には、本発明は化合物の量が組成物の約5、10または50mgA/mlである前記組成物を提供する。
より具体的には、本発明はポリマーがポリラクチド、ポリグリコリドおよびそのコポリマーよりなる群から選択される前記組成物を提供する。より具体的には、本発明はコポリマーが約0.20〜約0.40dl/gのインヘレント粘度を有する前記組成物を提供する。さらに具体的には、本発明はコポリマーが約0.20dl/gのインヘレント粘度を有する前記組成物を提供する。
より具体的には、本発明はコポリマーがポリ−乳酸−co−グリコール酸(PLGH)である前記組成物を提供する。さらに具体的には、本発明は乳酸とグリコール酸の比率が約1:約1である前記組成物を提供する。
より具体的には、本発明はコポリマーがポリエチレングリコール(PEG)末端キャップ付きポリ−乳酸−co−グリコール酸(PLGH)である前記組成物を提供する。さらに具体的には、本発明はPLGHに対するPEGの重量%が約3〜約5%である前記組成物を提供する。
より具体的には、本発明は溶剤がN−メチル−2−ピロリドン(NMP)である前記組成物を提供する。さらに具体的には、本発明はコポリマーがポリ−乳酸−co−グリコール酸(PLGH)であり、かつ溶剤がN−メチル−2−ピロリドン(NMP)である前記組成物を提供する。本発明は、溶液中のPLGH対NMPの重量%がPLGH約30〜約60%対NMP約70〜約40%である前記組成物を提供する。さらに具体的には、本発明は溶液中のPLGH対NMPの重量%が下記のものから選択される前記組成物を提供する:PLGH約37%対NMP約63%;PLGH約45%対NMP約55%;PLGH約50%対NMP約50%;PLGH約55%対NMP約45%。最も好ましくは、本発明は溶液中のPLGH対NMPの重量%がPLGH約50%対NMP約50%である前記組成物を提供する。
さらに本発明は、患者の体内で生分解性インプラントをin situ形成するのに適した、下記のものを含む医療用キットを提供する:
A)下記よりなる群から選択される化合物またはその医薬的に許容できる塩を収容したデバイス:
(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸;
7−[(4−ブチル−ベンジル)−メタンスルホニル−アミノ]−ヘプタン酸;および
7−{[2−(3,5−ジクロロ−フェノキシ)−エチル]−メタンスルホニル−アミノ}−ヘプタン酸;
ならびに
B)水性液体または体液に不溶性である、生分解性、生体適合性の医薬的に許容できる熱可塑性ポリマー、およびin situで体液に分散性でありかつ水溶性の高い医薬的に許容できる溶剤の流動性組成物を収容したデバイス;流動性組成物中のポリマーおよび溶剤の濃度および配合は、流動性組成物が体液に接触した際にin situでインプラントを形成するのに有効なものである;
C)これらのデバイスは、化合物または流動性組成物の出口、化合物または流動性組成物を出口から駆出するためのエゼクター、および出口に取り付けた中空チューブを備え;混合物を収容したデバイスの内容物を患者の体内へ送達する直前に2つのデバイスの内容物を互いに混和する。
より具体的には、本発明はポリマーおよび溶剤の濃度および配合が患者の体内で間隙充填インプラントを形成するのに有効なものである前記の医療用キットを提供する。
より具体的には、本発明はポリマーがポリラクチドおよびそれとグリコリドのコポリマーよりなる群から選択される前記の医療用キットを提供する。さらに具体的には、本発明はコポリマーがポリ−乳酸−co−グリコール酸(PLGH)である前記の医療用キットを提供する。さらに具体的には、本発明は乳酸とグリコール酸の比率が約1:約1である前記の医療用キットを提供する。
より具体的には、本発明は溶剤がN−メチル−2−ピロリドン(NMP)である前記の医療用キットを提供する。より具体的には、本発明は化合物が凍結乾燥形態である前記の医療用キットを提供する。
本発明は、下記の工程を含む、生体内でインプラントをin situ形成する方法をも提供する:
(a)非反応性、水不溶性の生分解性ポリマーを、in situで体液に分散性である水溶性の高い生体適合性有機溶剤に溶解して、流動性組成物を調製し;
(b)有効量の化合物を流動性組成物に添加して、医薬組成物を調製し;
(c)医薬組成物を体内に配置し;そして
(d)溶剤を散逸させて固体またはゲル状のインプラントを生成させ、これがインプラントの生分解に伴って拡散、浸食、または拡散と浸食の組合わせにより化合物を放出し;
その際、化合物またはその医薬的に許容できる塩は
(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸;
7−[(4−ブチル−ベンジル)−メタンスルホニル−アミノ]−ヘプタン酸;および
7−{[2−(3,5−ジクロロ−フェノキシ)−エチル]−メタンスルホニル−アミノ}−ヘプタン酸
よりなる群から選択され;
ポリマーはポリラクチドおよびそれとグリコリドのコポリマーよりなる群から選択され;
溶剤はN−メチル−2−ピロリドン(NMP)である。
より具体的には、本発明はコポリマーがポリ−乳酸−co−グリコール酸(PLGH)である前記方法を提供する。より具体的には、本発明はさらに前記液体を注射器でin situ送達することを含む前記方法を提供する。より具体的には、本発明は体内で骨折、骨傷害もしくは骨欠損の部位またはその付近に制御放出インプラントを形成する前記方法を提供する。本発明は、前記方法により生成した生分解性の身体用薬物送達インプラントをも提供する。
さらに本発明は、下記に(1)および(2)と表示する成分の併用を処方した、哺乳動物において療法効果を達成するためのキットを提供する。各成分は、下記のものを合わせて含むキットの一部を形成する:
(1)第1単位剤形の、療法有効量の有効成分である(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸;7−[(4−ブチル−ベンジル)−メタンスルホニル−アミノ]−ヘプタン酸;もしくは7−{[2−(3,5−ジクロロ−フェノキシ)−エチル]−メタンスルホニル−アミノ}−ヘプタン酸またはその医薬的に許容できる塩;および医薬的に許容できるキャリヤーまたは希釈剤;
(2)第2単位剤形の、水性液体または体液に不溶性である、生分解性、生体適合性の医薬的に許容できる熱可塑性ポリマー、およびin situで体液に分散性である水溶性の高い医薬的に許容できる溶剤の流動性組成物;流動性組成物中のポリマーおよび溶剤の濃度および配合は、組成物が体液に接触した際にin situでインプラントを形成するのに有効なものである;ならびに
(3)目的とする療法効果を達成するように成分(1)および(2)を投与するための用法指示書。
より具体的には、本発明は有効成分が(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸のナトリウム塩である前記キットを提供する。より具体的には、本発明は有効成分が(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸の遊離酸である前記キットを提供する。
より具体的には、本発明はポリマーがポリラクチド、ポリグリコリドおよびそのコポリマーよりなる群から選択される前記キットを提供する。さらに具体的には、本発明はポリマーがポリラクチドおよびそれとグリコリドのコポリマーよりなる群から選択される前記キットを提供する。さらに具体的には、本発明はコポリマーがポリ−乳酸−co−グリコール酸(PLGH)である前記キットを提供する。さらに具体的には、本発明は乳酸とグリコール酸の比率が約1:約1である前記キットを提供する。
より具体的には、本発明は溶剤がN−メチル−2−ピロリドン(NMP)である前記キットを提供する。本発明は、化合物が凍結乾燥形態である前記キットをも提供する。
本発明は、特定の骨成長促進化合物のためのポリマー系、そのようなポリマー系およびそのようなポリマー系の前駆体である流動性組成物を用いる療法処置方法に関する。
本発明は、局所注射部位(たとえば骨折部位、骨欠損部位または骨傷害部位)において生分解性の固体状またはゲル状インプラントを形成することにより持続放出を行う流動性組成物を提供する。より具体的には、本発明は、好ましくは注射できる徐放性の生分解性ポリマーベース送達系中において骨成長促進化合物を送達するための組成物および方法を提供する。
本発明のポリマー系は、生体適合性、生分解性の熱可塑性ポリマーおよび骨成長促進化合物の、微孔質固体状またはゲル状のマトリックスである。本発明の系は、マトリックスからの骨成長促進化合物放出の速度および程度を最適に制御できる。本発明の流動性組成物は、有機溶剤、生体適合性、生分解性の熱可塑性ポリマー、および骨成長促進化合物を含有する。
このポリマー系は、流動性組成物を2種類のゲル化媒体のいずれかに適用することにより形成される:a)体内にある体液、およびb)体外にある水性媒質。適用後、流動性組成物はゲル化または凝固してポリマー系を形成する。流動性組成物を体内へ直接投与すると、in situでポリマー系が形成される。流動性組成物を水性媒質に外部添加すると、体外でポリマー系が形成される。次いで、体外で形成された埋込み可能な固体ポリマー系を外科的に体内へ配置できる。すべての態様および用途において、ポリマー系は水、水溶液および体液に実質的に不溶性である。
ポリマー系が形成されるプロセスは、一部はその速度および放出制御の発現に関与する。流動性組成物と体液が体内でin situにおいて相互作用し、組成物が凝固またはゲル化して少なくとも一部はポリマー系になることにより、後記のパラメーターおよび成分の変更の関数として、目標とする制御放出プロフィールが生じる。流動性組成物を経由せずにこれらの成分を単に組み合わせても、本発明の制御放出プロフィールは発現しないであろう。流動性組成物に体液がin situで接触すると、有機溶剤が周囲の媒質(体液)中へ拡散し、ポリマーが凝固またはゲル化して、固体またはゲル状のマトリックス(ポリマー系)が形成される。体液は親油性成分を含有し、流動性組成物の周囲を動的に流動するので、有機溶剤が高い溶解度から不溶までの範囲の水溶解度をもつ場合、凝固またはゲル化が起きる。
本発明組成物が体内に配置されると、骨折、骨欠損または骨傷害の部位に局所的に保持される。生じたポリマー系は、組成物が配置された骨折、骨欠損または骨傷害の形状に適合できる。
本発明のパラメーターおよび条件に従えば、ポリマー系はインビボで骨成長促進化合物の持続放出を制御できる。特に、本発明のポリマー系からの骨成長促進化合物の放出の速度および程度は、狭い範囲の速度および量で制御される。この制御は下記を変更することにより達成できる:(a)ポリマーのタイプおよび分子量、(b)ポリマーの濃度、(c)骨成長促進化合物の濃度、および(d)骨成長促進化合物の形態。好ましくは、本発明によるポリマー系からの骨成長促進化合物の放出の速度および程度は、下記を変更することにより達成できる:(1)ポリマー(1種類以上)のタイプおよび分子量、ならびに/あるいは(2)ポリマーの濃度。
より好ましくは、制御はポリマーの分子量を変更することにより達成される。好ましい態様において、放出速度はポリマーの分子量が低下するのに伴って増大する。
本発明方法は、ポリマー系からのin situ制御された骨成長促進化合物放出の療法効果に基づく。流動性組成物の埋込みは、療法処置を必要とする患者の体内の骨折、骨欠損もしくは骨傷害の部位またはその付近に行われる。たとえばそれを骨折部内へ埋込むと、骨折の形状に順応および適合する。好ましくは、それを骨折、骨欠損もしくは骨傷害の部位またはその付近の軟組織、たとえば筋肉または脂肪内へ埋込む。本発明組成物は、流動性組成物を適用するための任意の適切な方法で、たとえば注射器、注射針、カニューレまたはカテーテルによりインプラント部位へ投与できる。インプラントとして予備成形したポリマー系は、既知の外科的手法で挿入できる。
発明の詳細な説明
本発明は、骨成長促進化合物の制御放出のためのポリマー系、そのような系を生成するための流動性組成物、およびそのような系を療法処置に使用する方法に関する。本発明のポリマー系は、インビボでの骨成長促進化合物の放出量および放出速度を制御するために操作できるという点で有利である。
本発明は、局所注射部位(たとえば骨折部位、骨欠損部位または骨傷害部位)において生分解性の固体状またはゲル状のデポー、マトリックスまたはインプラントを形成することにより持続放出を行う注射用流動性組成物を提供する。
より具体的には、本発明は徐放性の生分解性ポリマーベース送達系中において骨成長促進化合物を送達するための組成物および方法を提供する。
このポリマーベースの送達系は、有機溶剤中の生分解性、熱可塑性ポリマー溶液または分散液に溶解または分散した骨成長促進化合物を含有する。流動性組成物を注射すると、有機溶剤が注射部位から拡散してポリマーを析出またはゲル化させ;これにより化合物を持続放出デポー内に捕獲する。その後、化合物はポリマーマトリックスからの拡散またはそれの浸食により放出される。ポリマーマトリックスは加水分解により徐々に浸食され、最終的に投与部位から消失する。ポリマーの分子量および濃度により、化合物のインビボ放出およびマトリックスの分解速度を制御できる。
本発明のポリマーベースの送達系は、バースト放出が最小または少ない状態において骨成長促進化合物をインビボで長期間持続放出する。これは、その必要がある患者において骨成長を促進するのに効果的である。化合物のバースト放出が大きいと、化合物の局所作用(たとえば刺激)のため局所耐容性が低下し、効果を得るために使用できる化合物量が低くなるであろう。本発明組成物の利点は、それらが初期バースト放出を最小限に抑え、または減少させ、なおかつ1回の局所注射で有効濃度の化合物を長期間送達することである。
ポリマー系は、流動性組成物がゲル化媒質と接触して組成物が凝固またはゲル化し、固体微孔質ポリマーマトリックスまたはゲル状ポリマーマトリックスになることにより生成する。流動性組成物は、熱可塑性ポリマーまたはコポリマーを適切な溶剤と共に含有する。マトリックスのボディーを形成するポリマーまたはコポリマーは、水および体液に実質的に不溶性であり、好ましくは本質的に完全に不溶性である。マトリックスボディーが不溶性であるため、これが骨成長促進化合物の制御放出のための唯一の部位として機能できる。これらのポリマーまたはコポリマーは、動物、たとえば哺乳動物の体内で生体適合性かつ生分解性および/または生浸食性でもある。生分解であるため患者はポリマーマトリックスを代謝でき、したがってそれを取り出すためにさらに外科処置する必要なしに患者が排出できる。流動性組成物およびポリマー系は生体適合性であるので、体内への挿入プロセスおよびポリマー系の存在によりインプラント部位に実質的な組織刺激または壊死が起きることはない。本発明の組成物は、流動性組成物として身体組織、たとえば骨欠損もしくは骨折の部位またはその付近の軟組織内へ直接投与され、そこでポリマー系のインプラントがin situ形成される。
”患者”という用語は、動物、たとえばヒト、愛玩動物、たとえばイヌ、ネコおよびウマ、ならびに家畜、たとえばウシ、ブタおよびヒツジを意味する。特に好ましい患者は雌雄両方の哺乳動物であり、ヒトがさらに好ましい。
本発明の骨成長促進化合物は下記のものである:
(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸;それの遊離酸およびそれの医薬的に許容できる塩類、たとえばナトリウム塩を含む。この化合物およびその医薬的に許容できる塩類は、国際特許出願公開WO99/19300(本明細書に援用する)に記載された合成法に従って製造できる;
7−[(4−ブチル−ベンジル)−メタンスルホニル−アミノ]−ヘプタン酸およびそれの医薬的に許容できる塩類。この化合物およびその医薬的に許容できる塩類は、国際特許出願公開WO98/28264(本明細書に援用する)に記載された合成法に従って製造できる;
7−{[2−(3,5−ジクロロ−フェノキシ)−エチル]−メタンスルホニル−アミノ}−ヘプタン酸酸およびそれの医薬的に許容できる塩類。この化合物およびその医薬的に許容できる塩類は、国際特許出願公開WO98/28264(本明細書に援用する)に記載された合成法に従って製造できる。
前記3種類の化合物は骨細胞および骨組織の成長および生存を促進し、あるいは骨細胞および骨組織ならびに骨髄などの機能活性を増強することができる。
制御放出ポリマー系の固体マトリックスに取り込ませるのに適した熱可塑性ポリマーは固体であり、医療用として適合し、かつ細胞の作用および/または体液の作用により生分解可能である。適切な熱可塑性ポリマーの例には、ジオールとジカルボン酸の、またはヒドロキシカルボン酸のポリエステル、たとえばポリラクチド、ポリグリコリドおよびそのコポリマーが含まれる。より好ましくは、ポリマーはコポリマー、ポリ−乳酸−co−グリコール酸(略号PLGH)であり、加水分解されると乳酸およびグリコール酸を生成する。さらにポリエチレングリコール(PEG)を付加してPEG末端キャップ付きPLGHを形成することにより、このコポリマーのバースト放出を最小限に抑えることができる。
本発明に使用するための好ましい物質は、ポリラクチド、ポリグリコリドおよびそのコポリマーである。これらのポリマーをポリマー系に有利に使用できる理由の一部は、それらが卓越した生体適合性を示すからである。それらは組織刺激、炎症、壊死または毒性をほとんど(示すとしても)示さない。水の存在下で、これらのポリマーはそれぞれ乳酸およびグリコール酸を生成し、それらは身体によって容易に代謝される。生成するポリマーの分解を促進するために、ポリラクチドにグリコリドモノマーを取り込ませることもできる。これらのポリマーも本発明のポリマー系に有利に使用できる。それらは、ポリマー系からの骨成長促進化合物の放出速度を効果的に制御するからであり、かつ骨成長促進化合物を骨折、骨欠損または骨傷害の部位に局所保持するからである。これらのポリマーは、骨折、骨欠損または骨傷害の部位における骨成長を遅滞させないのに十分なほど速やかに、骨折、骨欠損または骨傷害の部位から分解除去されるという理由からも好ましい。
組成物の有機溶剤中における熱可塑性ポリマーの溶解度または混和性は、ポリマーの結晶化度、親水性、水素結合形成能および分子量などの要因に応じて異なるであろう。したがって、目標とする混和性、および取り込ませた骨成長促進化合物について目標とする放出速度が達成されるように、溶剤中のポリマーの分子量および濃度を調整する。
本発明の実施によれば、熱可塑性ポリマー、溶剤および骨成長促進化合物の流動性組成物は安定な流動性物質である。本発明においては、有機溶剤中における骨成長促進化合物の均質な溶液が得られることが好ましい。熱可塑性ポリマーは、有機溶剤に実質的に可溶性である。流動性組成物を体内に配置すると、溶剤が散逸し、ポリマーが凝固またはゲル化して、骨成長促進化合物を固体またはゲル状のポリマーマトリックス内に保有するポリマー系が形成される。
本発明を特定の作用機序に限定するつもりはないが、流動性組成物を中間体として使用する限り、本発明に用いるポリマーの分子量が骨成長促進化合物の放出速度および骨折、骨欠損または骨傷害の部位からのポリマーの分解速度に明らかに影響を与えることが見いだされた。
本発明に使用するのに好ましいあるポリマーにおいては、骨成長促進化合物の有効持続放出のために、ポリマーまたはコポリマーの分子量を約0.2〜約0.4のインヘレント粘度(I.V.;dl/g)に調整する。取り込まれた骨成長促進化合物の一般的な放出速度は約0.2のI.V.(約8,000〜約16,000の分子量)または約0.3のI.V.(約23,000〜約45,000の分子量)において生じるが、組成物の個々の成分に応じて異なる可能性がある。大部分の系について、骨成長促進化合物の有効持続放出のためにはポリマーの分子量を約0.2のI.V.に調整することが好ましい。分子量測定の単位はダルトンである。
ポリ(DL−ラクチド)またはラクチド−co−グリコリドポリマー系について、望ましい分子量範囲は約0.2〜約0.4のI.V.であり、約0.2のI.V.が最も好ましい。ポリマーの分子量は多様な方法のいずれかにより変更できる。選択される方法は一般にポリマー組成物のタイプにより決定される。本発明に用いるのに好ましいポリマーは市販されている。
本発明に用いるのにきわめて好ましい熱可塑性ポリマーは下記のものである:乳酸とグリコール酸の比率1:1および約0.2dl/gのインヘレント粘度をもつPLGHコポリマー(ベーリンガー・インゲルハイムからコポリマーRESOMER(登録商標)RG502Hとして市販)(約12,000の分子量);乳酸とグリコール酸の比率1:1および約0.3dl/gのインヘレント粘度をもつPLGHコポリマー(ベーリンガー・インゲルハイムからコポリマーRESOMER(登録商標)RG503Hとして市販)(約37,000の分子量);乳酸とグリコール酸の比率1:1および約0.4dl/gのインヘレント粘度をもつPLGHコポリマー(ベーリンガー・インゲルハイムからコポリマーRESOMER(登録商標)RG504Hとして市販)(約47,000の分子量);ならびに乳酸とグリコール酸の比率1:1および約0.79dl/gのインヘレント粘度をもつ、ポリエチレングリコール(PEG)末端キャップ付きPLGHコポリマー(ベーリンガー・インゲルハイムからPLG−PEGとして市販)(約52,000の分子量)。
ポリマーの分子量と粘度を適切に選択することにより、ポリマー系から本発明の骨成長促進化合物が放出される程度および速度を、きわめて速いものからきわめて遅いものまで変更できる。本発明によれば、たとえば骨成長促進化合物(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩の放出速度を低下させて、約7日以内にこの化合物を実質的に完全に放出させることができる。本発明に従ってより高い粘度のポリマーを使用すると、この期間を約14日に延長できる。目標とする骨成長促進化合物放出速度は、処置される動物種および処置される個々の状態など、幾つかの要因に依存するであろう。
系中のポリマーの濃度を変更して、取り込ませた骨成長促進化合物の放出速度を調整することもできる。ポリマー濃度が低いほど骨成長促進化合物はより速やかに放出されることが見いだされた。この効果を他の方法と併用して、取り込ませた骨成長促進化合物の放出を目標に応じてより効果的に制御できる。たとえばポリマー濃度および所望により骨成長促進化合物濃度の調整により、広範な放出速度を得ることができる。
本発明の熱可塑性組成物中に用いる溶剤は、好ましくは医薬的に許容でき、生体適合性であり、in situで体液中へ散逸し、このため水中で高い溶解度から不溶までの範囲の溶解度をもつと分類できる。好ましくは、それらは注入および埋込みの部位において組織刺激または壊死を起こすことが比較的少ない(示すとしても)。好ましくは、溶剤は少なくとも最小限の水溶解度をもつ。有機溶剤が水不溶性であるか、または水中での溶解度が最小である場合、溶剤は流動性ポリマー組成物から徐々に分散するであろう。その結果、インプラントはその寿命期間中、異なる量の残留溶剤を含有することになるであろう。特に好ましくは、有機溶剤は中等度ないし高度の水溶解度をもち、したがってポリマー組成物から体液中へ容易に分散するであろう。最も好ましくは、固体インプラントが速やかに形成されるように、溶剤はポリマー組成物から速やかに分散する。溶剤の分散に伴って熱可塑性ポリマーが凝固またはゲル化して固体ポリマー系になる。好ましくは、熱可塑性ポリマーの凝固に伴って、溶剤の分散によりポリマー系内にポアが形成される。その結果、熱可塑性ポリマー、溶剤および骨成長促進化合物を含有する流動性組成物は多孔質固体ポリマー系を形成するであろう。溶剤がわずかに水溶性であるか、または水不溶性である場合も、溶剤分散の結果、固体多孔質インプラントが形成され、あるいは若干の溶剤がインプラントに保持されると、ほとんどまたは全くポアをもたないゲル状インプラントが形成される可能性がある。
適切な溶剤には、前記の基準に適合する液体有機化合物が含まれる。本発明に用いるのに好ましい溶剤は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)である。その理由の少なくとも一部は、それの溶媒和能およびそれの生体適合性である。
本発明の熱可塑性ポリマーの流動性組成物に用いる溶剤は、ポリマーと溶剤の適合性および適切な溶解度が得られるように選択される。分子量の低い熱可塑性ポリマーほど、普通は高分子量ポリマーより容易に溶剤に溶解する。その結果、各種溶剤に溶解した熱可塑性ポリマーの濃度はポリマーのタイプおよびそれの分子量に応じて異なる。逆に、分子量の高い熱可塑性ポリマーほど、きわめて低い分子量の熱可塑性ポリマーより速やかに凝固、ゲル化または固化する傾向がある。さらに、分子量の高いポリマーほど、低分子量材料より高い溶液粘度を生じる傾向がある。したがって、有利な放出速度のほか、有利な注入効率を得るためには、溶剤中のポリマーの分子量および濃度を制御する。
流動性組成物からポリマー系が形成されると、骨成長促進化合物はポリマーマトリックス内に取り込まれた状態になる。流動性組成物を挿入してin situでポリマー系が形成された後、骨成長促進化合物は拡散機序およびポリマー分解機序によりマトリックスから隣接する組織または体液中へ放出されるであろう。これらの機序を操作することにより、制御された速度での周囲への骨成長促進化合物の放出に影響を与えることもできる。たとえば、有効量および/または持続量の骨成長促進化合物がマトリックスから放出された後にポリマーマトリックスが分解するように配合できる。したがって、マトリックスからの骨成長促進化合物の放出は、たとえば特に、水中での骨成長促進化合物の溶解度、マトリックス内での骨成長促進化合物の分布、またはポリマーマトリックスのサイズ、形状、多孔度、溶解度および生分解性により変更できる。目標とする放出期間および速度が得られるようにポリマー分子量を変更することにより、マトリックスからの骨成長促進化合物の放出をその固有の速度に関して制御する。
本発明のポリマー系は、目的とする生物学的効果、生理学的効果および/または療法効果を得るのに有効な量の骨成長促進化合物を含有するように配合される。より具体的には、本発明のポリマー系は、骨細胞および骨組織の成長および生存を促進し、ならびに/あるいは骨細胞および骨組織ならびに骨髄などの機能活性を増強するのに有効な量の骨成長促進化合物を含有するように配合される。
本発明のポリマー組成物に取り込ませる骨成長促進化合物の”療法有効量”は、目標とする放出プロフィール、目的とする生物学的効果を得るのに必要な骨成長促進化合物の濃度、ならびに目的処置のために骨成長促進化合物が放出される必要のある期間など、多様な要因に依存する。最終的には、この量はそれぞれヒトまたは動物患者の医師または獣医により決定される。彼らは、その患者に処置を施すのに適した骨成長促進化合物の種類および量を処方する際に、その経験と知識を利用するであろう。一般に、ポリマー溶液に取り込ませる骨成長促進化合物の量には決定的な上限はない。唯一の制限は、有利な適用のための物理的制限である。すなわち骨成長促進化合物は、溶液または分散液の粘度が高すぎて注入できないほど高い濃度で存在すべきでない。ポリマー系に取り込ませる骨成長促進化合物の下限は、一般に骨成長促進化合物の活性および目標とする処置期間にのみ依存する。
好ましくは、骨成長処置のための本発明の骨成長促進化合物の療法有効量は、約0.001〜約100mg/kg/日であり、特に好ましい量は約0.01〜約10mg/kg/日である。
本発明の流動性組成物の投与は、最終的には医師または適宜、獣医など、患者を担当する保健専門家の知識およびプロトコルに従って行われるであろう。具体的な組成物の選択は処置すべき状態に依存し、その選択は担当する保健専門家により行われるであろう。たとえば骨などの硬組織については、骨成長促進化合物を含有する生分解性ポリマーは新たな骨細胞の成長を支持する。これらの新たな骨細胞は最終的には、分解するポリマーにとって代わる。
たとえば好ましい形の骨成長促進化合物(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸はそのナトリウム塩の凍結乾燥品(lyophile)であり、投与前にNMP中のPLGH溶液により再構成される。1つの注射器(注射器A)に入れた凍結乾燥化合物および第2注射器(注射器B)に入れたNMP中のPLGH溶液からなる投与形態は、A/B再構成系として知られる。両注射器の内容物を、骨折部位またはその付近に投与送達する直前に互いに混合する。再構成の後、内容物を送達のために投与用の目盛付き注射器に移す。投与剤形は溶液であり、化合物がたとえば5および50mgA/ml(mgA/mlはナトリウム塩形の前記化合物の遊離酸当量を表わす)の目標濃度でPLGHと共にNMP中に分散している。剤形は、局所投与用の非経口(たとえば皮下、筋肉内または骨髄内)持続放出注射液である。徐放性ポリマーマトリックス中のこの化合物(デポー注射)は、骨折もしくは骨欠損もしくは骨傷害の部位またはその付近に投与するために設計され、静脈内投与のためのものではない。剤形に適切な保存期間安定性を付与するために、好ましくはナトリウム塩形の前記化合物を用いた前記の2注射器系(A/B)を使用できる。好ましくは遊離酸形の前記化合物を用いた単相配合物は、好ましい別形態の配合物である。化合物およびポリマーの安定性に基づけば、安定な無菌製剤を製造するためには前記化合物の無菌濾過およびポリマー溶液の照射が好ましい。1態様においては、一方のパウチには凍結乾燥形の化合物を装填した注射器を入れ、他方のパウチにはポリマー溶液を装填した注射器を入れた、個別のアルミニウムパウチとして前記剤形を製造し、出荷することができる。医薬組成物およびキットを製造するための本発明の骨成長促進化合物の送達容器、凍結乾燥のシステムおよび方法は、国際特許出願公開WO01/73363(2001年10月4日)に記載されており、これを本明細書に援用する。
実施例
以下の実施例を本発明の代表例として提示する。本明細書の開示内容および特許請求の範囲の記載からみてこれらおよび他の均等な態様が明らかであるので、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものとみなすべきではない。
実施例A
濃度5および50mgA/mlの剤形を得るために、それぞれ下記の凍結乾燥品とポリマーの注射器の組合わせA)およびB)を用いた:
A)5mgA/ml(再構成状態で)の(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩製剤:
薬物注射器A:4mgAのナトリウム塩凍結乾燥品を1.25mlの目盛なしオス(male)注射器内に収容;および
ビヒクル注射器B:0.8mlの50%RG502H/50%NMP溶液を1.25mlの目盛なしメス(female)注射器内に収容;
B)50mgA/ml(再構成状態で)の(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩製剤:
薬物注射器A:40mgAのナトリウム塩凍結乾燥品を1.25mlの目盛なしオス(太)注射器内に収容;および
ビヒクル注射器B:0.8mlの50%RG502H/50%NMP溶液を1.25mlの目盛なしメス(細)注射器内に収容。
mgAはナトリウム塩形の前記化合物の遊離酸当量を表わす;
これらの実施例中で用いる%は、指示した成分の重量基準による;
RG502Hは乳酸とグリコール酸の比率1:1および0.2dl/gのインヘレント粘度をもつPLGHコポリマーであり、ベーリンガー・インゲルハイムなどからコポリマーRESOMER(登録商標)RG502Hとして市販されている。
実施例1
5mgA/mlの(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩を含む50%RG502H/50%NMP、混合A/B(ポリマー溶液はオートクレーブ処理、化合物は凍結乾燥)。
実施例2
10mgA/mlの(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩を含む50%RG502H/50%NMP、混合A/B(ポリマー溶液は照射、化合物は凍結乾燥)。
実施例3
50mgA/mlの(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩を含む50%RG502H/50%NMP、混合A/B(ポリマー溶液は照射、化合物は凍結乾燥)。
実施例4
50mgA/mlの(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩を含む47%RG502H/3%PLG−PEG/50%NMP、単相。
実施例5
50mgA/mlの(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩を含む47%RG503H/3%PLG−PEG/50%NMP、単相。
実施例6
50mgA/mlの(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩を含む45%RG504H/55%NMP、単相。
実施例7
50mgA/mlの(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩を含む37%RG503H/63%NMP、混合A/B(ポリマー溶液はオートクレーブ処理、化合物は凍結乾燥)。
実施例8
50mgA/mlの(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩を含む37%RG503H/63%NMP、混合A/B(ポリマー溶液は照射、化合物は凍結乾燥)。
実施例9
5mgA/mlの(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩を含む50%RG502H/50%NMP、単相。
制御放出製剤中における被験化合物の評価
I.ラット大腿横骨折モデル
3〜4月齢の雄Sprague−Dawleyラットを用いた。動物を、それぞれ100および10mg/kgのケタミン(ketamine)およびキシラジン(xylazine)で麻酔した。各ラットの右後脚を剃毛し、清浄にした。膝蓋骨のすぐ側部に1cmの切開を行い、大腿顆を露出させた。大腿顆間部分を通してキルシュナー(Kirschner)鋼線(直径0.045”)を骨髄内管中へ導入し、内部安定化に用いた。筋切開部をVicryl(登録商標)で閉じ、皮膚をステンレス鋼製創傷クリップで閉じた。この固定大腿の中央骨幹を、落下重りで駆動する3点曲げ装置により骨折させた。麻酔から醒めた後、ラットを全体重負荷および無制限な活動が可能な状態にしておいた。外科処置後の種々の日に、被験薬剤を骨折部位への経皮注射により投与した。動物を処置後の種々の日に殺し、分析のために大腿骨を採集した。ラジオグラフィー、組織形態計測および生体力学的検査により骨折治癒を評価した(たとえばF.Bonnarens and T.A.Einhorn,”実験動物の骨における標準閉鎖骨折の形成”,Journal of Orthopaedic Research 2:97−101(1984)参照)。
II.ラット大腿横骨折モデルにおける試験プロトコルおよび結果
3〜4月齢の雄Sprague−Dawleyラットに右大腿骨折を起こさせた。対照群のラットには各ビヒクルを注射した。処置群のラットには、外科処置直後に骨折部位への経皮注射により、1回量の被験化合物を本発明の制御放出製剤中において投与した。薬物濃度は50mg/ml、注射容量は300ul、総投与量は15mg/ラットであった。動物を21日目に殺し、ラジオグラフィー評価用に大腿骨を採集した。ラジオグラフィーにより評価すると、被験化合物で処置した大腿骨にはビヒクルで処置したものより大きくかつ緻密な仮骨があった。このデータは、被験化合物が仮骨形成を刺激したことを示し、骨折治癒に有効である可能性を示す。
以下は、ラット大腿横骨折モデルにおいて陽性結果を示したポリマー配合物の若干例である:
50mgA/mlの(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩を含む50%RG502H/50%NMP、混合A/B(ポリマー溶液は照射、化合物は凍結乾燥品);
50mgA/mlの(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩を含む47%RG502H/3%PLG−PEG/50%NMP、単相;
50mgA/mlの(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩を含む47%RG503H/3%PLG−PEG/50%NMP、単相。
mgAはナトリウム塩形の前記化合物の遊離酸当量を表わす;
RG502Hは乳酸とグリコール酸の比率1:1および0.2dl/gのインヘレント粘度をもつPLGHコポリマーであり、ベーリンガー・インゲルハイムなどからコポリマーRESOMER(登録商標)RG502Hとして市販されている;
RG503Hは乳酸とグリコール酸の比率1:1および0.3dl/gのインヘレント粘度をもつPLGHコポリマーであり、ベーリンガー・インゲルハイムなどからコポリマーRESOMER(登録商標)RG503Hとして市販されている。
III.ラット骨膜注射モデル
3週齢の雄Sprague−Dawleyラットを用いた。ラットをヒュームフード内にある伝導チャンバー内でイソフルラン(isoflurane)吸入(2〜3分間)により麻酔した。各ラットの右後脚を剃毛し、清浄にした。予め被験溶液を装填したハミルトン(Hamilton)注射器付きの25G注射針を局所注射に用いた。種々の日に、5〜10ul容量の溶液を大腿の前中央骨幹領域の骨膜下に注射した。15日目にラットを殺し、分析用に大腿骨を採集した(たとえばM.E.Joyce,A.B.Roberts,M.B.Sporn and M.Bolander,”トランスフォーミング増殖因子−βならびにラット大腿における軟骨形成および骨形成の開始”,The Journal of Cell Biology 110:2195−2207(1990)参照)。
IV.ラット骨膜注射モデルにおける試験プロトコルおよび結果
1日目に、雄Sprague−Dawleyラットの右大腿に、ビヒクル、またはポリマー配合物中の被験化合物を1回注射した。被験化合物は(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩であった。15日目にすべてのラットを殺し、分析用に大腿骨を採集した。ラジオグラフィーおよび二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)により骨膜骨誘導を評価した。ラジオグラフィーは、被験化合物で処置した右大腿の前面位置に骨新生を示した。DEXAにより評価した大腿の注射領域(大腿骨の小転子と中央骨幹の間の領域)の骨無機質含量(BMC)は、ビヒクルで処置したラットと比較して被験化合物で処置したラットにおいて有意に増加していた(下記の表Aに挙げたこれらの配合物の若干例を参照)。
Figure 0004903985
分節欠損モデル
尺骨分節欠損モデルを用いて、PLGH配合物(50%50:50PLGH(RG502H Grade)/50%NMP))中の被験化合物((3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩)1回投与の効果を調べた。プロトコルを下記のように改変した:全身麻酔下の動物を用い、前脚を無菌的に予備処理し、布で覆った。約10cmの長さの横切開を行い、尺骨を骨膜外に露出させた。骨膜を切断し、切開部の近位および遠位部分へ移動させた。次いで振子鋸(pendular saw)を用いて中央尺骨に1.5cmの分節欠損を形成した。橈骨および残留骨間膜は無傷のままにした。欠損部位を食塩水で洗浄して骨屑を除去した。次いでこの部位に、前記の徐放性マトリックス配合物中の被験化合物を充填した。これらのイヌを下記の群に分けた。
Figure 0004903985
外科処置直後およびその後試験終了まで2週毎に、前脚のラジオグラフを得た。ラジオグラフを0〜6の尺度で等級分けした(表2)。
Figure 0004903985
B、CおよびD群のイヌにおいて、徐放性マトリックス配合物中の被験化合物の1回投与で完全な再架橋が誘導されることが認められた。新生骨は、24週目までに反対側の骨と同一の形状およびサイズに再生した。ビヒクルで処理した尺骨は、ラジオグラフィーにより評価して24週後ですら全く治癒を示さなかった。
イヌを50mg/mlの被験化合物10mg(最終容量0.2ml)または10mg/mlの配合物1mlのいずれで処置した場合も、同様な結果が得られた(CおよびD群)。ビヒクル処置対照では全く治癒しなかったのと比較して、全体として70〜75%の処置動物が治癒した(表3)。
Figure 0004903985
被験化合物(50mg/ml)を、前記モデルにおいて50%50:50PLGH(RG503H Grade)/50%NMP含有配合物中で試験した場合、良好に作動しなかった。若干のイヌにおいて癒合が得られたが、RG502H GradeのPLGHを含有する配合物で処置したイヌと比較して遅延した。
イヌ脛骨切断モデル
普通の骨折治癒は通常は生物学的に最適な治癒プロセスを示すので、迅速治癒する治癒促進を前臨床モデルで検出するのは困難かつ厄介である。被験化合物(PLGH配合物(50%50:50PLGH(RG502H Grade)/50%NMP)中の(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩)を、迅速治癒するイヌ骨切断モデルにおいて試験して、治癒促進に与える影響を判定した。ヒトは骨折の治癒が遅い傾向があるので、このモデルにおける治癒増強は、ヒトの普通骨折の治癒に被験化合物を使用できる可能性を支持する。
12±3kg、14月齢の雌ビーグル犬を試験に用いた。イヌをそれぞれ3〜4匹の4群に分けた。
Figure 0004903985
全身麻酔下の動物を用い、後脚を無菌的に予備処理し、布で覆った。約4cmの長さの横切開を行った。イヌ脛骨の遠位部分にギグリー線鋸(Gigli saw)で骨切断を行った。AO板を用いて欠損部を安定化した。腓骨および残留骨間膜は無傷のままにし、欠損部位を食塩水で洗浄して骨屑を除去した。次いでこの部位に、前記のキャリヤーを充填した。外科処置後、動物に全体重負荷活動を行わせ、水および飼料を任意に摂取させた。外科処置直後およびその後試験終了まで2週毎に、後脚のラジオグラフを得た。ラジオグラフを0〜6の尺度で等級分けした。
Figure 0004903985
AおよびB群では、4匹のイヌのいずれも8週の時間枠内で欠損領域が再架橋しなかった。試験終了にこの時点を選んだのは、処置群の動物との相異を得るためであった。C群では、4匹中4匹の動物が8週の期間内に有意の再架橋を示した。D群では1匹の動物がノンレスポンダーであったが、他の3匹は有意の治癒を示した(表5)。

Claims (15)

  1. 患者においてインプラントをin situ形成するのに適した、下記のものを含む医薬組成物:
    (a)水性液体または体液に不溶性の、医薬的に許容できる生分解性、熱可塑性ポリマーまたはコポリマー;
    (b)前記の熱可塑性ポリマーを可溶化し、in situで体液に分散性であり、水中での溶解度が高く、ポリマー系から周囲の組織液中へ散逸することができ、その際に熱可塑性ポリマーがインプラントを形成する、生体適合性有機溶剤;ならびに
    (c)下記よりなる群から選択される療法有効量の化合物またはその医薬的に許容できる塩:
    (3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸;
    7−[(4−ブチル−ベンジル)−メタンスルホニル−アミノ]−ヘプタン酸;および
    7−{[2−(3,5−ジクロロ−フェノキシ)−エチル]−メタンスルホニル−アミノ}−ヘプタン酸。
  2. 化合物が(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸のナトリウム塩または(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸の遊離酸である、請求項1に記載の組成物。
  3. 化合物が(3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸ナトリウム塩の凍結乾燥品である、請求項2に記載の組成物。
  4. 化合物の量が組成物の5〜50mgA/mlである、請求項2に記載の組成物。
  5. 化合物の量が組成物の、10または50mgA/mlである、請求項4に記載の組成物。
  6. ポリマーがポリラクチド、ポリグリコリドおよびそのコポリマーよりなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
  7. コポリマーが0.20〜0.40dl/gのインヘレント粘度を有する、請求項6に記載の組成物。
  8. コポリマーがポリ−乳酸−co−グリコール酸(PLGH)である、請求項6に記載の組成物。
  9. 乳酸とグリコール酸の比率が1:1である、請求項8に記載の組成物。
  10. 溶剤がN−メチル−2−ピロリドン(NMP)である、請求項1、2または3に記載の組成物。
  11. コポリマーがポリ−乳酸−co−グリコール酸(PLGH)であり、かつ溶剤がN−メチル−2−ピロリドン(NMP)である、請求項1、2または3に記載の組成物。
  12. 溶液中のPLGH対NMPの重量%が、PLGH30〜60%対NMP70〜40%である、請求項11に記載の組成物。
  13. 溶液中のPLGH対NMPの重量%が、PLGH50%対NMP50%である、請求項12に記載の組成物。
  14. 患者の体内で生分解性インプラントをin situ形成するのに適した、下記のものを含む医療用キット:
    A)下記よりなる群から選択される化合物またはその医薬的に許容できる塩を収容したデバイス:
    (3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸;
    7−[(4−ブチル−ベンジル)−メタンスルホニル−アミノ]−ヘプタン酸;および
    7−{[2−(3,5−ジクロロ−フェノキシ)−エチル]−メタンスルホニル−アミノ}−ヘプタン酸;
    ならびに
    B)水性液体または体液に不溶性である、生分解性、生体適合性の医薬的に許容できる熱可塑性ポリマー、およびin situで体液に分散性でありかつ水溶性の高い医薬的に許容できる溶剤の流動性組成物を収容したデバイス;流動性組成物中のポリマーおよび溶剤の濃度および配合は、流動性組成物が体液に接触した際にin situでインプラントを形成するのに有効なものである;
    C)これらのデバイスは、化合物または流動性組成物の出口、化合物または流動性組成物を出口から駆出するためのエゼクター、および出口に取り付けた中空チューブを備え;混合物を収容したデバイスの内容物を患者の体内へ送達する直前に2つのデバイスの内容物を互いに混和する。
  15. 下記の工程を含む、ヒトを除く生体内でインプラントをin situ形成する方法:
    (a)非反応性、水不溶性の生分解性ポリマーを、in situで体液に分散性である水溶性の高い生体適合性有機溶剤に溶解して、流動性組成物を調製し;
    (b)有効量の化合物を流動性組成物に添加して、医薬組成物を調製し;
    (c)医薬組成物を体内に配置し;そして
    (d)溶剤を散逸させて固体またはゲル状のインプラントを生成させ、これがインプラントの生分解に伴って拡散、浸食、または拡散と浸食の組合わせにより化合物を放出し;
    その際、化合物またはその医薬的に許容できる塩は
    (3−(((4−t−ブチル−ベンジル)−(ピリジン−3−スルホニル)−アミノ)−メチル)−フェノキシ)−酢酸;
    7−[(4−ブチル−ベンジル)−メタンスルホニル−アミノ]−ヘプタン酸;および
    7−{[2−(3,5−ジクロロ−フェノキシ)−エチル]−メタンスルホニル−アミノ}−ヘプタン酸
    よりなる群から選択され;
    ポリマーはポリラクチドおよびそれとグリコリドのコポリマーよりなる群から選択され;
    溶剤はN−メチル−2−ピロリドン(NMP)である。
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