JP4903928B2 - 符号化励起を用いる三次元フロー・イメージング方法及び装置 - Google Patents
符号化励起を用いる三次元フロー・イメージング方法及び装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は一般的には、超音波イメージング・システムに関する。具体的には、本発明は、血流及び造影剤の三次元イメージング方法及び装置に関する。
【0002】
【発明の背景】
従来の超音波スキャナは、解剖学的構造の領域を通る薄いスライスを表すグレースケール(Bモード)画像を形成する。また、送信された超音波パルスと戻ってきた超音波パルスとの間のドップラー・シフトを検出することによって流れ情報を抽出することが出来る。従来の超音波システムは、流れを平均ドップラー・パワー(パワー・ドップラー・イメージング)又は平均速度(一般に「カラー・フロー・イメージング」と呼ばれる)のいずれかとして表示する。流れ画像はBモード画像とは別個に、或いはBモード画像上にオーバーレイ(overlay) として表示することが出来る。
【0003】
パワー・ドップラー・イメージング及びカラー・フロー(color flow)・イメージングで送信されるパルスは、典型的には、ドプラ感度を獲得するために、Bモード・パルスよりも狭帯域とされる。16回もの多数の送信から成るパケットについて動作するときには、高域通過型ウォール・フィルタ(wall filter) が先ず、より低速で運動する組織又は血管壁からのエコーを阻止して、信号のダイナミック・レンジを低下させる。パケット当たりのウォール・フィルタ出力サンプルの数は、(N−W+1)によって与えられる。ここで、Nはパケット・サイズであり、Wはウォール・フィルタの長さである。続いて、各々のウォール・フィルタ直交出力信号の大きさの自乗として瞬間ドプラ・パワーが算出され、また、すべての直交出力信号の平均から平均ドプラ・パワーが得られる。あるいは、ドプラ原理(位相変化)又は時間遅延に基づいて、ウォール・フィルタ直交出力信号から平均速度が算出される。カサイ(Kasai) の自己相関アルゴリズム又は時間領域相互相関アルゴリズムを用いて、平均流速を推定することができる。
【0004】
従来のカラー・フロー・イメージングは、極めて良好な流れ感度を有しているが、物理的な流れを視認する能力は、その限定されたダイナミック・レンジ(圧縮曲線に部分的に依存する)、限定された分解能(狭帯域のパルスに起因する)、限定されたフレーム・レート(大きなパケット・サイズに起因する)、及び軸方向のみの流れ感度(ドプラ効果への依存によって決定付けられる)によって制限される。加えて、従来のカラー・フロー・イメージングは、エイリアシング並びに色のにじみ(blooming及びbleeding)等のアーティファクトを生ずる。
【0005】
超音波プローブを被検体の所定の領域にわたって掃引して、スライスをメモリに記憶した場合、Bモード及び流れ情報の両方を含む三次元データ・ボリュームを取得することが可能である。このデータ・ボリュームは関心のある領域の三次元のビュー(view)を投影するために使用することが出来る。カラー・フロー及びパワー・ドップラー・データの(Bモードとは別個に又はそれと組み合わせた)三次元投影の品質は上記の理由による影響、すなわち、音波フレーム・レートの低下、ドップラー感度、流れ分解能の低下及び「フラッシュ(flash) 」ア−ティファクトの影響を受ける。そこで、ドップラー・フロー・イメージングに伴う欠点の影響を受けない三次元フロー・イメージングを実行する方法が要望されている。
【0006】
従来の超音波画像は、基本信号成分と高調波信号成分との組み合わせから形成されており、後者の信号成分は、組織、又は造影剤を含有する血流等の非線形媒体において発生されている。場合によっては、基本信号成分を抑制すると共に高調波信号成分を強調することにより超音波画像が改善されることがある。
【0007】
医用超音波用の造影剤が、従来はイメージングするが困難であった脈管構造を含む解剖学的構造の診断を支援するために開発された。造影剤は、典型的には直径が1μm〜10μmの範囲にあるマイクロバブル(microbubble) であり、血流に注入される。マイクロバブルの後方散乱信号は血球の後方散乱信号よりも遥かに大きいので、マイクロバブルは血流のイメージングを可能にするマーカとして用いられる。これらの造影剤からのエコーを更に分離するための1つの方法は、造影剤エコーの高(又は低)調波成分を用いるものであり、この成分は、造影剤が存在しない周囲組織の高調波成分よりも遥かに大きい。高(又は低)調波信号のフロー・イメージングは多くの場合、周波数f0 の狭帯域信号を送信して、周波数2f0 (2次高調波)又は周波数f0 /2(低調波)を中心とする帯域で受信し、続いて従来のカラー・フロー処理を行うことにより実現されている。このアプローチは、従来のカラー・フロー・システムのすべての制限、即ち、低分解能、低フレーム・レート及び軸方向のみの流れ感度を有する。
【0008】
医療診断用超音波イメージングにおいては、信号対ノイズ比(SNR)を最適化することもまた望ましい。増加したSNRを用いて、所与のイメージング周波数における増大した透過性を得ることができ、又はより高い周波数における超音波イメージングを支援することにより分解能を改善することができる。符号化励起(coded excitation)は、送信信号のピーク・パワーは増大させられないが、平均パワーは増大させ得るような状況での、信号対ノイズ比を高めるために用いられる周知のレーダ技術である。このような状況は、医用超音波イメージングにおいてもしばしば見られ、ここでは、システムの設計上の制約が、トランスデューサを駆動する信号のピーク振幅を規定する。この状況では、より長い信号を用いて、より高い平均パワー値を送達することができ、帰投した信号を整合(matched) フィルタと相関させることにより時間分解能が回復される。2進符号、即ち、+1、−1又は0という一連の数字としてディジタル式で容易に表現することのできる符号を用いるのが好ましい。2進符号はまた、所与のピーク振幅及びパルス持続時間について最大のエネルギを含むので好ましい。
【特許文献1】
米国発行特許第4276885号
【特許文献2】
米国発行特許第5329929号
【特許文献3】
日本公開特許平成05−228145号
【特許文献4】
米国発行特許第5456257号
【特許文献5】
米国発行特許第5632277号
【特許文献6】
米国発行特許第5706819号
【特許文献7】
米国発行特許第5724976号
【特許文献8】
日本公開特許平成08−182680号
【特許文献9】
米国発行特許第5833613号
【特許文献10】
米国発行特許第5934288号
【特許文献11】
米国発行特許第5938611号
【特許文献12】
米国発行特許第5961463号
【特許文献13】
米国発行特許第5964706号
【特許文献14】
日本公開特許平成11−309145号
【特許文献15】
米国発行特許第5980459号
【特許文献16】
日本公開特許平成11−342129号
【特許文献17】
米国発行特許第5984869号
【特許文献18】
日本公開特許2000−060855号
【特許文献19】
米国発行特許第6030344号
【特許文献20】
米国発行特許第6042545号
【特許文献21】
ヨーロッパ公開特許第770352号
【非特許文献1】
Torp et al., "Comparison Between Cross-Correlation and Auto-Correlation Technique in Color Flow Imaging," Proc. 1993 IEEE Ultrason. Symp., pp. 1039-1042.
【非特許文献2】
Thomas et al., "An improved Wall Filter for Flow Imaging of Low Velocity Flow," Porc. 1994 IEEE Ultrason. Symp., pp. 1701-1704.
【非特許文献3】
Hein et al., "Current Time-Domain Methods for Assessing Tissue Motion by Analysis from Reflected Ultrasound Echoes-A Review," IEEE Trans. Ultrason., Ferroelec., Frequ. Contr., vol. 40, No. 2, Mar. 1993, pp. 84-102. (19 pages)
【非特許文献4】
de Jong et al., "Characteristics of Contrast Agents and 2D Imaging," 1996 IEEE Ultrasonics Symposium, pp. 1449-1458.
【非特許文献5】
Ishihara et al., "Path Lines in Blood Flow Using High Speed Digital Subtraction Echography," Proc. 1992 IEEE Ultrason. Symp., pp. 1277-1280.
【非特許文献6】
Ishihara et al., "High-Speed Digital Subtraction Echography: etc.," Proc. 1990 IEEE Ultrason. Symp., pp. 1473-1476.
【非特許文献7】
de Jong et al., "Principles and Recent Developments in Ultrasound Contrast Agents," Ultrasonics, vol. 29, pp. 324-330 (1991).
【非特許文献8】
Newhouse et al., "Second Harmonic Doppler Ultrasonic Blood Perfusion Measurement," Proc. 1992 IEEE Ultrason. Symp., pp. 1175-1177.
【非特許文献9】
Burns et al., "Harmonic Power Mode Doppler Using Microbubble Contrast Agents: etc.," Proc. IEEE 1994 Ultrason. Symp., pp. 1547-1550.
【非特許文献10】
Averkiou et al., "A New Imaging Technique Based on the Nonlinear Properties of Tissue," Proc. 1997 IEEE Ultrason. Symp.
【非特許文献11】
Uhlendrf, "Physics of Ultrasound Contrast Imaging: etc.," IEEE Trans. Ultrason. Ferroele. & Freq. control, vol. 41, No. 1, pp. 70-79, Jan. (1994).
【非特許文献12】
Shahnazi et al., "Use of Contrast Agents in Ultrasound," Proc. 1994 Ultrason. Symp., pp. 85-87.
【非特許文献13】
Wang et al., "Contrast Medium Assisted Fluid/Flow Measurement," IEEE Trans. Ultrason. Ultrasonic. Ferroele. & Freq. control, vol. 42, No. 2, pp. 309-315, Mar. (1995). (7 pages)
【0009】
【発明の概要】
高分解能、高フレーム・レート、高SNR/ダイナミック・レンジ、及びすべての方向における流れ感度を有する、血流及び造影剤を三次元イメージングするための方法及び装置は、複雑な血行運動、狭窄症における残留内腔及び血栓運動の明瞭な視覚化を含めた臨床的な利益を提供する。高分解能は、広帯域パルスを用いることにより達成され、高フレーム・レートは、小さなパケット・サイズを用いることにより達成される。高SNR/ダイナミック・レンジは、符号化励起を用いることにより維持される。レンジ方向における流れ感度は最大となり、パルス間のRF無相関(decorrelation) から得られ、一方、レンジ交差方向の流れ感度は、一群の反射体(例えば、血液又は造影剤)がビーム・プロファイルを横断して流れるので、パルス間の振幅無相関から得られる。
【0010】
ここに開示した方法では、符号化された広帯域パルス(複数)から成る小さなパケットが、所与のパルス繰り返し間隔で1つの送信焦点位置へ送信される。この一連のファイアリングからの後方散乱した信号が、スロー・タイム(slow time) でフィルタ処理されて、送信経路に沿って位置する静止した反射体又は低速で運動する反射体からのエコーを除去する。パケット・サイズを小さく(6回以下のファイアリング)して高フレーム・レートを達成するが、SNRの低下という望ましくない副次的効果が伴う。好ましい実施例では、SNRは、符号化励起を用いることにより回復される。スロー・タイム・フィルタ処理は、好ましくは、高域通過FIR(有限インパルス応答)又はIIR(無限インパルス応答)ウォール・フィルタによって行われる。ウォール・フィルタは、流れの信号対クラッタ(clutter) 比を高め、信号対クラッタ比は、イメージングの前に患者に造影剤を投与することにより更に高めることができる。1つのスライスのフロー・イメージング・データが、一平面を横断して送信焦点位置を走査することにより取得される。
【0011】
上記の走査プロセスは多数の走査平面の各々について繰り返される。超音波プローブを走査する被検体に対して掃引、すなわち動かしながら、多数の走査平面の各々について画像フレームが取得される。プローブの掃引中に取得されるフロー・イメージング・データの多数の画像フレームは、三次元データ・ボリュームを形成する。様々なボリューム・レンダリング手法(例えば、最大又は平均ピクセル投影、合成あるいは表面)のいずれかを使用して、種々のイメージング平面上に投影画像を再構成することが出来る。具体的に述べると、ホスト・コンピュータがデータ・ボリューム内のピクセル・フロー・イメージング・データを複数の回転した画像平面上に投影する。各々の投影の結果生じる投影されたデータは次いで表示することが出来る。
【0012】
本発明の好ましい実施態様によれば、符号化された広帯域パルス(基本周波数を中心とする)系列が、特定の送信焦点位置へ多数回送信される。尚、各々の符号化系列は1回のファイアリングを構成する。受信時には、各回のファイアリングで取得された受信パルスが圧縮され、帯域通過フィルタ処理されて、例えば、基本周波数を中心とする圧縮されたパルスを分離(isolate) する。次いで、圧縮され分離された信号は、ウォール・フィルタを用いて各回のファイアリングに跨がって高域通過フィルタ処理される。ウォール・フィルタ処理された信号は、血液に造影剤を注入していない状態の血流をイメージングするために用いられる。
【0013】
本発明のもう1つの好ましい実施態様によれば、ガス充填マイクロバブルのような造影剤を血液に注入して、血流をイメージングするためのマーカとして利用する。上述の実施態様と同様に、符号化された広帯域パルス系列が、特定の送信焦点位置へ多数回送信される。送信された超音波パルスと伝播媒体、特に注入された造影剤との間の相互作用から、基本信号及び高(又は低)調波信号が発生される。受信時に、受信信号がデコード(復号)され、帯域通過フィルタ処理されて、基本信号を分離する。次いで、分離された基本信号は、ウォール・フィルタを用いて複数のファイアリングにわたって高域通過フィルタ処理される。
【0014】
このウォール・フィルタ処理の結果として、送信経路に沿って位置する静止していない組織又は流れの領域から反射された基本信号を抽出することができる。結果として得られる流れ信号は、通常のBモード・イメージング・データ・ベクトルにスーパインポーズ(重ね合わせ)する、即ち、Bモード・イメージング・データ・ベクトルと加算して、表示することができる。不要の静止した組織の信号に寄与した可能性のある基本周波数の受信エネルギは、ウォール・フィルタによって抑制される。
【0015】
本発明の更に別の好ましい実施態様によれば、解剖学的な標認点(ランドマーク)を提供するために、流れ画像を、基本信号成分又は高(若しくは低)調波信号成分のいずれかを検出することにより取得された静止組織(即ち、Bモード)画像と、加算によるか又はオーバーレイ(overlay) として組み合わせることができる。オーバーレイの利点は、流れ領域が明瞭に際立つようにカラーで実現し得ることにある。しかしながら、この方法は、より複雑な表示ハードウェアを要求すると共に、フロー・イメージングに用いられるものよりも多く追加のファイアリング(静止した組織を表現するイメージング・データを取得するため)を要求する。更に、フラッシュ(flash) アーティファクトが顕著になる。背景Bモード画像の加算による導入(コヒーレントでもインコヒーレントでも)によれば、フラッシュ・アーティファクトがより軽減する。ウォール・フィルタ・フィードスルー(feedthrough) 法を用いることにより、追加のファイアリングを行ってBモード画像を加えることもできるし(高調波Bモード画像の場合)、又は追加のファイアリングを行わないでBモード画像を加えることもできる(基本Bモード画像の場合)。フロー・モード及びBモードについて別個のファイアリングを用いるときには、ファイアリングをインタリーブさせて、表示の前にBモード信号から流れ信号を別個に閾値抽出してもよい。
【0016】
本発明の方法は、いくつかの観点で、従来のパワー・ドプラ・イメージングともカラー・フロー速度イメージングとも異なっている。例えば、本発明の方法は、ドプラ信号を抽出するのではなく、従って、広帯域パルスを用いることを可能にする。また、本発明の方法は、ベースバンド・データも要求しない(ベースバンド・データを用いることは可能)し、速度推定も要求しない。また更に、本発明の方法は、単一の出力サンプルを有するウォール・フィルタを使用して、その量を直接に(平均化することなく)表示する。これは従来のパワー・ドプラ・イメージングともカラー・フロー速度イメージングとも異なる。加えて、Bモード背景を提供する加算方法は、従来のオーバーレイ方法に比べて、より単純であり(より少ない表示ハードウェアしか要求されない)、より効率的であり(フィードスルー法は、基本Bモード画像を取得するために追加の送信を要求しない)、より効果的である(フラッシュ・アーティファクトがより軽減する)。
【0017】
【発明の好ましい実施の形態】
図1に従来の超音波イメージング・システムを示す。このシステムは、別々に駆動される複数のトランスデューサ素子12を有するトランスデューサ・アレイ10を含んでいる。各トランスデューサ素子は、送信器14によって発生されるパルス波形によって付勢されたとき、超音波エネルギのバースト(burst) を発生する。被検体から反射されてトランスデューサ・アレイ10に帰投した超音波エネルギは、受信用の各々のトランスデューサ素子12によってアナログの電気信号へ変換されて、1組の送受信(T/R)スイッチ18を介して受信器16に別々に印加される。送信器14及び受信器16は、ホスト・コンピュータ又はマスタ・コントローラ20の制御下で、操作者インタフェイス(図示されていない)を介して操作者によって供給される命令に応答して動作する。1回の完全な走査は、一連のエコーを取得することにより行われ、この取得時には、送信器14が瞬間的にオンにゲート制御されて各々のトランスデューサ素子12を付勢し、各々のトランスデューサ素子12によってその後に発生されたエコー信号が受信器16に印加される。受信器16は、アナログのエコー信号をディジタル信号へ変換し、各々のトランスデューサ素子から導き出されたそれぞれのディジタル信号を合計して単一のビーム加算された信号を発生し、この信号を用いて、表示サブシステム22によって表示される画像の1本の線を形成する。
【0018】
ホスト・コンピュータ20の指令下で、送信器14は、超音波エネルギが指向性を有する集束したビームとして送信されるようにトランスデューサ・アレイ10を駆動する。このことを達成するために、送信ビームフォーマ26によって多数のパルサ24に対してそれぞれの時間遅延が付与される。ホスト・コンピュータ20は、音波パルスが送信される条件を決定する。この情報によって、送信ビームフォーマ26は、パルサ24によって発生されるべき送信パルスの各々についてタイミング及び振幅を決定する。各々の送信パルスの振幅は、各々のパルサへの給電電圧を設定する高電圧コントローラ等のアポダイゼーション発生回路36によって発生される。次いで、パルサ24は、トランスデューサ・アレイ10の素子12の各々に対してT/Rスイッチ18を介して送信パルスを送る。T/Rスイッチ18は、トランスデューサ・アレイに存在している可能性のある高電圧から時間ゲイン補償(TGC)増幅器28を保護する。アポダイゼーション加重(重み付け)は、送信パワーとサイドローブ・レベルとの間の最適な兼ね合いを達成するように選択される。加重は、アポダイゼーション発生回路36によって発生される。アポダイゼーション発生回路36は、送信ビームフォーマ26から加重データを得てこのデータをパルサ24に印加する1組のディジタル・アナログ(digital-to-analog) 変換器を含み得る。送信集束時間遅延を従来の方式で適当に調節すると共に、送信アポダイゼーション加重を調節することにより、個々のトランスデューサ素子によって送信される多数の超音波を組み合わせて、指向性を有し且つ集束した送信ビームを形成することができる。アポダイゼーション加重及び送信集束時間遅延は、システム・プログラミング及び操作者の入力に基づいてホスト・コンピュータによって設定することができる。
【0019】
超音波エネルギの各々のバーストは、各々の送信ビームに沿った相次ぐレンジ(距離)に位置する物体から反射される。結果として得られるエコー信号は、各々のトランスデューサ素子12によって別々に感知され、特定の時間点におけるエコー信号の大きさのサンプルが、特定のレンジにおいて生じた反射の量を表わす。反射点と各々のトランスデューサ素子12との間の伝播経路に差があるので、エコー信号は同時に検出されるわけではなく、また、各エコー信号の振幅は等しくならない。受信器16は、各々の受信チャネルに設けられているそれぞれのTGC増幅器28を介して別個のエコー信号を増幅する。TGCは、ゲインを深さの関数として増大させる又は減少させることにより行われる。TGC増幅器によって提供される増幅の量は、TGC回路(図示されていない)によって制御され、TGC回路は、ホスト・コンピュータ、及びポテンシオメータの手動操作によって設定される。次いで、増幅されたエコー信号は、受信ビームフォーマ30へ供給される。
【0020】
ホスト・コンピュータ20の指令下で、受信ビームフォーマ30は、送信されたビームの方向を追尾する。受信ビームフォーマ30は、各々の増幅されたエコー信号に対して適正な時間遅延及び受信アポダイゼーション加重を付与し、これらの信号を加算して、特定の送信方向における特定のレンジに位置する点から反射した全超音波エネルギを正確に表わすエコー信号を形成する。受信集束時間遅延は、専用のハードウェアを用いて実時間で算出されるか、又はルックアップ・テーブルから読み込まれる。受信チャネルはまた、受信されたパルスをフィルタ処理するための回路構成要素を有している。受信アポダイゼーション加重及び受信集束時間遅延は、システム・プログラミング及び操作者の入力に基づいてホスト・コンピュータによって設定され得る。
【0021】
次いで、時間遅延された受信信号は加算されて信号プロセッサ又は検出器32へ供給され、信号プロセッサ又は検出器32は、加算された受信信号を表示データへ変換する。典型的なグレースケール表示では、表示データは、エッジ強調及び対数圧縮等の何らかの追加処理を施された信号の包絡線となる。RFデータの場合には、低域通過フィルタを用いて包絡線を検出することができ、ベースバンド・データの場合には、(I2 +Q2 )1/2 を表わす信号を発生する包絡線検出器を用いて包絡線を検出することができる。尚、ここで、Iはベースバンドデータの同相信号成分であり、Qは直交信号成分である。
【0022】
スキャン・コンバータ34が、検出器32から表示データを受け取って、このデータを表示に望ましい画像へ変換する。具体的には、スキャン・コンバータ34は、音波画像データを、極座標(R×θ)のセクタ型フォーマット又はデカルト座標のリニア・アレイ型フォーマットから、ビデオ・レートの適当に拡縮(scaling) されたデカルト座標の表示ピクセル・データへ変換する。次いで、走査変換(スキャン・コンバート)された音波データは、表示サブシステム22によって表示するように供給され、表示サブシステム22は、信号の包絡線の時間変換する振幅をグレースケールとして画像化する。各々の送信ビーム毎に、それぞれの走査線が表示される。
【0023】
図2は、本発明の好ましい一実施例による超音波フロー・イメージング・システムを示す。送信開口にある各々のトランスデューサ素子は、メモリ38から各々のパルサへ同じ送信系列をN回供給することにより、同じ符号化波形を用いてN回(ここで、Nは好ましくは、6又はこれよりも小さい)パルスが供給される。パルサ24は、発生される超音波エネルギが各回の送信ファイアリングについてビームとして方向制御すなわちステアリング(steering)されるように、トランスデューサ・アレイ10の素子12を駆動する。このことを達成するために、メモリ38からの送信系列に応答してパルサによって発生されるそれぞれのパルス波形に対して、送信集束時間遅延36が付与される。送信集束時間遅延を従来の方式で適当に調節することにより、超音波ビームを所望の送信焦点位置に集束させることができる。N個のパルスが、所定のパルス繰り返し間隔(PRI)でこの送信焦点位置に送信される。送信系列は、システム・プログラミング及び操作者の入力に基づいてホスト・コンピュータによって供給される。
【0024】
単一回送信の符号化励起の基本的な概念は、長さPの送信バースト(基本系列)に基づいて、特殊に設計された符号系列を変調させることを含んでいる。n個のバーストから成る符号化されたパルス系列はしばしば、nチップの符号と呼ばれる。符号化されたパルス系列は、長さn×Pを有しており、流れる血液への呼び掛けを行うためにより大きな音波投与量又はより短い基本系列を用いることを可能にする。復号用(即ち、圧縮)フィルタの出力信号は、元の送信バースト長Pに等しい又はこれに近い長さを有する圧縮された信号パルスであるが、この信号パルスの振幅は、n倍長い符号化されたパルス系列によって発生されたものとなる。この符号化手法は、フレーム・レートに悪影響を及ぼすことがなく、また、高速又は適応的回転による不適切な復号の機会が遥かに少なくなっている。
【0025】
単一の符号化された波形が送信され、そして受信された波形は、復号用フィルタのインパルス応答と畳み込みされて、波形エネルギを小さな時間間隔に圧縮する。復号用フィルタは、整合フィルタであってもよいし(ここでのフィルタ係数は、送信符号と同じものとなる)、又は不整合フィルタであってもよい。不整合フィルタは、フィルタ出力信号(符号系列を入力信号とする)と、クロネッカのデルタ関数との間の自乗和誤差を最小化するように設計される。好ましい単一回送信の符号には、バーカー(Barker)符号、及び長さ8の符号[1,1,1,−1,1,−1,−1,1]等の非バーカー型符号がある。この符号が図3に示す長さ16の不整合フィルタと畳み込みされると、出力信号は図4に示すようになる。
【0026】
各回の送信毎に、トランスデューサ素子12からのエコー信号は、受信ビームフォーマのそれぞれの受信チャネル40へ供給される。ホスト・コンピュータ20(図1)の指令下で、受信ビームフォーマは、送信されたビームの方向を追尾する。受信ビームフォーマは、受信されたエコー信号に対して適正な受信集束時間遅延42を付与し、これらのエコー信号を加算して、送信ビームに沿った特定の位置から反射した全超音波エネルギを正確に表わす合成エコー信号を提供する。時間遅延された受信信号は、特定の送信焦点位置に集束したN回の送信ファイアリングの各々について、受信加算器44において加算される。
【0027】
相次ぐ送信ファイアリングについて加算された受信信号は、フィルタ46へ供給され、フィルタ46は、復号、帯域通過フィルタ処理及びウォール・フィルタ処理の各作用を実行する。このことは、システム・プログラミング及び操作者の入力に基づくホスト・コンピュータによるフィルタ係数の適正な選択によって達成される。フィルタ46は、N回の送信ファイアリングに跨がるフィルタ処理を行い、フィルタ処理後の信号を検出器32へ供給し、検出器32は、ファイアリングからファイアリングにかけてフィルタ処理された信号の包絡線を形成する。後処理(エッジ強調及び対数圧縮を含む)並びに走査変換の後に、表示サブシステム22(図1)によって1本の走査線が表示される。この手順は、各々の送信焦点位置について(各々のビーム角度毎に1つの送信焦点位置が存在する場合)、又は各々のベクトルについて(各々のビーム角度毎に多数の送信焦点位置が存在する場合)、それぞれの走査線が表示されるように繰り返される。
【0028】
本発明の好ましい実施例によれば、フィルタ46は、受信加算器44の出力に結合された入力を有するFIRフィルタ48と、入力がFIRフィルタ48に結合され且つ出力が検出器32に結合されたベクトル加算器50とを含んでいる。FIRフィルタは、各回の送信ファイアリングについて、M個のフィルタ係数から成るそれぞれのフィルタ係数組を受け取るためのM個のフィルタ・タップを有する。n回目の送信ファイアリングについてのフィルタ係数は、an c1 ,an c2 ,...,an cM であり、ここで、an はn回目の送信ファイアリングについてのスカラ加重であり、n=1,2,...,Nであり、c1 ,c2 ,...,cM は、FIRフィルタ48が受信パルスを圧縮すると共に所望の基本周波数帯域の大部分を通過させるように選択された1組のフィルタ係数である。具体的には、フィルタ係数c1 ,c2 ,...,cM は、通過させるべき周波数帯域の関数である第1のフィルタ係数の組b1 ,b2 ,...,bP を、整合フィルタ又は不整合フィルタのいずれかの係数である第2のフィルタ係数の組d1 ,d2 ,...,dQ と畳み込みすることにより得られる。尚、ここで、M=(P+Q−1)である。スカラ加重a1 ,a2 ,...,aN は、所定の閾値よりも大きい速度で運動している反射体からの信号を選択的に通過させるスロー・タイムの「ウォール(wall)」フィルタを形成し、即ち、スロー・タイムのフィルタ係数は、より低速での運動に対応する低い周波数を阻止するように選択されている。N回の送信ファイアリングについての相次ぐFIRフィルタ出力信号は、ベクトル加算器50においてコヒーレントに累算される。これは、単一の出力信号サンプルを有するウォール・フィルタと等価である。次いで、ベクトル加算器の出力信号は、公知のやり方で、包絡線検出、後処理、走査変換及び表示を経る。
【0029】
フィルタ係数an c1 ,an c2 ,...,an cM は、各回の送信ファイアリングについて、ホスト・コンピュータによってフィルタ係数メモリ52からフィルタ48へ供給される。例えば、1回目の送信ファイアリングについては、フィルタ係数の組a1 c1 ,a1 c2 ,...,a1 cM がFIRフィルタ48へ供給され、2回目の送信ファイアリングについては、フィルタ係数の組a2 c1 ,a2 c2 ,...,a2 cM がFIRフィルタへ供給され、以下同様に続く。フィルタ係数は、診断用途に応じてプログラム可能である。異なる複数の組のフィルタ係数をホスト・コンピュータのメモリ内のルックアップ・テーブルに記憶することができ、所望の係数の組をシステム操作者が選択し得るようにすることができる。送信ファイアリングの数N=2であるような用途の場合には、フィルタ係数の組の対がメモリに記憶され、選択された対の一方の組のフィルタ係数が、1回目の送信ファイアリングの前にFIRフィルタへ転送され、この選択された対の他方の組のフィルタ係数が、1回目の送信ファイアリングの後に且つ2回目の送信ファイアリングの前にFIRフィルタへ転送される。同様に、送信ファイアリングの数N=3であるような用途の場合には、1回目乃至3回目のファイアリングから得られる受信信号をフィルタ処理するのに用いるように、2つ又は3つの組のフィルタ係数がメモリに記憶される。送信ファイアリングの数N>3であるような用途についても同様の手順を踏む。
【0030】
焦点位置当たりN回の送信の各回の間の時間間隔は、利用者が制御可能であって、「スロー・タイム」・フィルタの遮断周波数を決定する。特定の焦点位置へのN回の送信の各回の間の間隔をより長くすると、低速の流れに対するより高い感度を有するより低い遮断周波数が得られる。
【0031】
流れ画像は、最大流れコントラストについてそれ自体によって表示されることもできるし、又はBモード背景画像と加算することもできる。従来のBモード画像に流れ画像を重ね合わせると、医療診断時に診断者が既知の解剖学的な標認点に対する血液の流れを観測することが可能になる。流れ画像及びBモード画像のこの加算において見られるフラッシュ・アーティファクトは、従来のカラー・フロー・イメージングにおいて見られるものよりも軽減している。
【0032】
好ましい一実施例では、基本周波数帯域から導き出されるBモード画像が流れ画像と加算される。このことは、基本Bモード信号成分がウォール・フィルタを通過する又はフィードスルーするように「スロー・タイム」・フィルタの加重のうち1つに摂動を与えることにより達成される。例えば、1回目の送信ファイアリングについて(又は他の任意の送信ファイアリングについて)の加重a1 に、図5に示すように量αだけ摂動を加えることができる。Bモード・フィードスルーによって、流れ画像を従来のBモード画像に重ね合わせて表示することが可能になる。代替的には、流れ画像を従来のBモード画像にカラーで重ね合わせて表示することもできる。このフィードスルー手法は、追加のファイアリングを行わずにBモード背景画像を得る一つの方法である。Bモード背景画像を得るその他の方法には、Bモード画像について特定的にパルスを送信するもの(この方法はROIに要求される)、及びすべての物体が静止している場合でもウォール・フィルタの出力信号がゼロになることがないように、1つのパケット内で互いに僅かに異なるパルスを送信するものがある。
【0033】
代替的な好ましい実施例では、背景Bモード画像はまた、高(又は低)調波画像であってもよく、こうすると、フロー・イメージングを隠蔽する可能性のある残響及び平面外音響「ノイズ」のようないくつかの画像アーティファクトを一掃し易くなる。このことは、いくつかの方法のいずれか1つを用いて達成することができる。
【0034】
高調波Bモード背景画像を形成する好ましい一実施例では、符号化されていない追加のパルスをf0 (通常、トランスデューサのより低い周波数帯域のエッジ)において送信し、エコーは、周波数2f0 (2次高調波)又は周波数f0 /2(低調波)を中心とする帯域通過フィルタ(図2に示すFIRフィルタ48に組み込まれている)によってフィルタ処理する。この符号化されていない送信に続いて、少なくとも2回の前述のような符号化された送信を行う。これらの送信のすべてについての受信信号が、ウォール・フィルタによってスロー・タイムでフィルタ処理される。1回の符号化されていない送信に続いて2回の符号化された送信を行う場合には、ウォール・フィルタのスカラ加重は、[a0 ,a1 ,a2 ]=[1,1,−1]となる。符号化された送信及び符号化されていない送信を送信する順序は、符号化されていない送信が中盤又は終盤に位置するように変更することもできる。このような構成は、1つの流れ画像ベクトルを他の流れ画像ベクトルから減算しながら高調波Bモード背景画像ベクトルを通過させる効果を有している。
【0035】
高調波Bモード背景画像を形成するもう1つの好ましい実施例では、符号化されていない偶数個のパルスを連続して送信し、これに続いて少なくとも2つの符号化されているパルスを送信する。送信パケット内の符号化されていないパルスを1つ置きに負とすることができ、負とされた符号化されていないパルスからのエコーが、正の符号化されていないパルスからのエコーに加えられて、基本信号を打ち消すと共に高調波信号を残す。続いて、検出の前(コヒーレント)又は検出の後(インコヒーレント)のいずれかに、高調波信号を流れ信号に加える。例えば、送信パケットを、第1の符号化されていないパルスが正の極性を有し、第2の符号化されていないパルスが負の極性を有しているような2つの符号化されていないパルスと、少なくとも2つの符号化されたパルスとから構成することができる。次いで、これらの送信のすべてについて、受信信号がウォール・フィルタによってスロー・タイムでフィルタ処理される。反対の極性を有する2回の符号化されていない送信に続いて2回の符号化されている送信が行われる場合には、ウォール・フィルタのスカラ加重は[a0 ,a1 ,a2 ,a3 ]=[1,1,1,−1]となる。符号化された送信と符号化されていない送信が送信される順序は、順列式で交換(permutate) することができる。この構成は、1つの流れ画像ベクトルを他の流れ画像ベクトルから減算しながら高調波Bモード背景画像ベクトルをウォール・フィルタに通過させる効果を有している。
【0036】
本発明の代替的な好ましい実施例では、2回送信の符号化励起、例えば、ゴレイ(Golay) 符号対を用いてSNRが回復される。具体的には、各々のビーム上で連続して同じ焦点位置にゴレイ式で符号化された1対の基本系列を送信し、次いで、ビーム加算されたデータを復号することによりSNRが高められる。ゴレイ式で符号化された1対の基本系列は、オーバサンプリングの後に基本系列をゴレイ符号対で畳み込むことにより形成される。ゴレイ符号対は、2つの系列の自己相関の和がクロネッカのデルタ関数となるという性質を有する1対の2進(+1,−1)系列である。オーバサンプリングされたゴレイ系列は、各々の+1と−1との間にゼロを挟んだゴレイ系列であり、ゼロの数は、基本系列の長さから1をマイナスしたものよりも大きいか又はこれと等しい。ゴレイ符号は、レンジ・サイドローブを有さない。各回のファイアリング毎に、送信時に用いられたゴレイ式で符号化された基本系列に対応するオーバサンプリングされたゴレイ系列を用いて復号が行われる。ゴレイ対に従って極性符号化された2つのパルスの系列を送信することにより、受信されるビーム加算信号の各々の対応するオーバサンプリングされたゴレイ系列との相関、及びこれらの相関の加算によって、SNRの増大が可能になり、画像の分解能又はコントラストに劣化をもたらすことは実質的にない。実用的には、符号の歪みに起因してレンジ・サイドローブは生ずるが、ノイズ・フロアよりも低い傾向にあり、画質に悪影響を及ぼすことはない。ゴレイ対の2つの系列の送信の間に生ずる組織の運動もまた、符号の歪みをもたらし、レンジ・サイドローブを増大させる。第1の系列からのエコーが完全に受信されたら直ちに第2の系列を送信することにより、2回の送信の間の時間間隔を最小化することができる。各送信の間の間隔を最小化すると、動きに誘起される符号の歪みが最小化される。
【0037】
図2に示す超音波イメージング・システムは、相補的な符号処理を採用している。従って、N個の送信パルス(例えば、各々のパルスをトーン・バーストとする)から成るパケットを送信する代わりに、2N個の送信パルスから成るパケットを送信し、相次ぐ送信パルスが相補的な(例えば、ゴレイ式の)符号対のそれぞれの符号によって交互に符号化されて、交互式で符号化されたパルス系列A及びBを形成するようにする。例えば、M個の送信パルスから成る系列を第1のM桁の送信符号で符号化すると共に、M個の送信パルスから成るもう1つの系列を第2のM桁の送信符号で符号化することにより、符号化されたパルス系列Aを形成することができ、ここで、第1及び第2の送信符号は相補的であるものとする。各回の送信ファイアリング毎に、このファイアリングについての送信符号に等しい受信符号を復号用フィルタにロードして、受信された信号をフィルタ処理することにより、自己相関が行われる。次いで、ウォール・フィルタを用いて、例えば、各奇数番号の対の送信のスカラ加重が各偶数番号の対の送信のスカラ加重に対して負になるようにして自己相関後の各系列を加算する。図6に示す好ましい実施例によれば、ビームフォーマ54内に設けられている送信器(図示されていない)が、相補的に符号化されたパルス系列A及びBから成るパケットを、交互の順、即ちABAB...の順でファイアリングする。このパケットから得られる受信信号は、次のように表わすことができる。
【0038】
A1B1A2B2A3B3...ANBN
ここで、Ai は、符号Aのi番目のファイアリングについての受信信号であり、Bi は、符号Aの相補符号である符号Bのi番目のファイアリングについての受信信号であり、2Nがパケット内のファイアリングの数である。これらの受信信号は、フィルタ48によって圧縮され帯域通過フィルタ処理される。RF(無線周波数)のビームフォーマ出力信号の場合には、復調器56が圧縮されたRF信号をそのI成分及びQ成分へ変換し、これらのI成分及びQ成分をコーナ・ターナ(Corner Turner) メモリ58にロードする。ファイアリングに跨がって各々のダウン・レンジ位置に対して、即ち、「スロー・タイム」で、(1,1,−1,−1)のウォール・フィルタ60が適用され、各々のレンジ点をフィルタ処理して、次のようなそれぞれの差信号を発生する。
【0039】
(A1+B1)−(A2+B2)
(B1+A2)−(B2+A3)
(A2+B2)−(A3+B3)
(B2+A3)−(B3+A4)
......
(AN-1+BN-1)−(AN+BN)
(括弧は数式をより明瞭にするために挿入されている。)このように、隣接した相補的な符号系列が共に加算され、得られた和がウォール・フィルタ処理される。ウォール・フィルタの出力信号は、検出器32によって包絡線検出され、スキャン・コンバータ34によって走査変換され、ビデオ・プロセッサ62によってカラー・マッピングされ、表示モニタ64上に表示される。ウォール・フィルタ69は一般的には、(N−W+1)個の信号サンプルが発生することを可能にしており、ここで、Nはパケット・サイズであり、Wはウォール・フィルタの長さである。図2に示す実現形態でのウォール・フィルタは、N=Wに相当する。広帯域パルス及び小さなパケット・サイズを用いることに加え、より多い数の有効表示ビットを提供するように圧縮曲線及び表示マップを選択する。ベクトル密度を増大させて、分解能を増大させる。流れ画像は、Bモード画像上へのカラー・オーバーレイ(ビデオ・プロセッサ62にロードされた選択可能なカラー・マップによって)として表示される。
【0040】
図6の実施例では、各回の送信ファイアリング毎に2つの符号化されたパルス系列が要求されているとしても、符号化されたパルス系列を互い違いに組み合わせること(staggering)により、パケット内のファイアリングの総数は、流れ検出器へ供給される点の数は同じであるので追加のウォール・フィルタ・タップの数だけしか増大させずに済み、2倍ずつ増大するわけではない。このようにして、比較的短いウォール・フィルタを用いることによりフレーム・レートを十分に高く維持することができる。この実現形態はまた、±PRF/2という元来の速度ダイナミック・レンジを維持する。ここで、PRFは、個々の符号化されたパルス系列A又はBがファイアリングされる周波数であり、相補的な符号化されたパルス系列の対がファイアリングされる周波数ではない。
【0041】
単一回送信の符号を用いるときには、本発明は、少なくとも2回の符号の送信を要求し、得られるエコーは、ウォール・フィルタによって「スロー・タイム」でフィルタ処理される。対照的に、ゴレイ符号を用いると、異なる時刻における2つのデータ点の取得には、ゴレイ符号対の各々のゴレイ符号毎に2回ずつ、4回の送信が必要である。従って、2回送信の符号を用いると、少なくとも4回の符号化された送信が必要になる。ウォール・フィルタ処理時に、ゴレイ符号対の両方のゴレイ符号のエコーに対して同じ組のスカラ加重が適用される。追加の符号化されていない送信をパケット内に含めて、前述と同様に、高調波Bモード背景画像を取得することもできる。
【0042】
図2に基づく実施例では、復号用フィルタ、帯域通過フィルタ及びウォール・フィルタが、適当なフィルタ係数の供給を動的に受ける1つのFIRフィルタ及びベクトル加算器として組み合わされている。代替的には、別個のフィルタを用いることもできる。図6に示す実施例では、復号用フィルタ及び帯域通過フィルタが1つのFIRフィルタとして組み合わされているが、ウォール・フィルタは別れている。また、図2に示す実施例も図6に示す実施例も、単一回送信又は多数回送信の符号化励起のいずれとも共に用いられ得ることを理解されたい。
【0043】
図2及び図6の実現形態の両方について、並列の受信ハードウェアを用いることによりフレーム・レートを高めることができ、並列の受信ハードウェアを用いることにより単一の送信ベクトルから1つよりも多い受信ベクトルを同時に処理することができる。パケット・サイズ、パルス繰り返し間隔(PRI)及び関心領域(ROI)は、利用者が制御することができる。PRIは、ウォール・フィルタの遮断周波数を決定し、PRIがより大きければ、低速の流れに対するより高い感度を有するより低い遮断周波数が得られる。流れ画像を形成するのに用いられるものと別個のファイアリングから背景Bモード画像が形成される(即ち、フィードスルーを用いない)ときには、別個のBモード・ファイアリングを流れファイアリングとインタリーブしてフレーム・レートを高めることができ、流れ画像は、Bモード画像から別個に閾値抽出することができる。
【0044】
好ましい実施例では、超音波ビームの走査方向は、血流方向と反対になるようにし、これにより、見かけの流れ感度をより大きくすることができ(血管のエッジまでのより一様な充填(fill-out))、分解能をより高めることができる(より小さな散乱体寸法)。走査方向は、利用者の制御によって、電子的に変更することもできるし、又はプローブを手動で転回することにより変更することもできる。
【0045】
流れコントラスト(即ち、背景からの鮮明性)を大幅に増大させる1つの方法に、基本モードにおいて造影剤を利用するものがある。造影剤は典型的には、直径が0.1ミクロンと10ミクロンとの間にある気体を封入したマイクロバブルである。注射を通じて体内に導入されると、造影剤は、血流及び灌流の高反射性マーカとして作用する。マイクロバブルに入射した超音波エネルギは、入射(基本)周波数及び共鳴(高調波及び低調波)周波数で強く反射するので、基本波によるイメージング手法及び高調波によるイメージング手法の両方を用いて造影剤をイメージングする。好ましい方法は、造影剤エコー内の基本周波数を用いて、高調波周波数は用いない。同一のパルスの多数回のファイアリングを特定の送信焦点位置へ相次いで送信する。詳しく述べると、各々の送信焦点位置へ、基本周波数f0 を中心とするN個の符号化されたパルスが送信される。受信時には、基本周波数を中心とするFIRフィルタが受信したパルスを圧縮し、所望の基本成分を実質的に分離する。続いて、ウォール・フィルタが、N回の送信にわたって基本流れ信号を抽出する。このプロセスは、走査平面内の多数の送信焦点位置について繰り返され、また多数の走査平面の各々について繰り返される。各々の走査平面は、超音波プローブを(手で又はプローブ位置決め装置によって)走査している被検体(オブジェクト・ボリューム)にわたって掃引、すなわち被検体に対して動かしているときに、相次いで取得される。各々の走査平面からのデータは画像フレームを表示するように処理される。
【0046】
図7に示されているように、システムの制御は、ホスト・コンピュータ20に集中されている。ホスト・コンピュータ20は、オペレータ・インタフェイス90(例えば、キーボード及びトラックボール)を介してオペレータの入力を受け取り、且つ様々なサブシステムを制御する。スキャン・コンバータ34は、音響ライン・メモリ68及びXY表示メモリ70を含んでいる。音響ライン・メモリ68に極座標(R−θ)セクタ・フォーマットで記憶されているBモード・フロー・イメージング・データは、適当にスケーリングされたデカルト座標強度データへ変換され、このデータはXY表示メモリ70に記憶される。XY表示メモリ70からの各々の画像フレームは、ビデオ・プロセッサ62へ送られる。グレー・マッピングの前に、ビデオ・プロセッサ62内のBモード・フロー・イメージング・データのフレームは、先入れ先出し方式でシネ・メモリ66に記憶される。記憶は、連続的であってもよいし、或いは外部のトリガ事象の結果として行ってもよい。シネ・メモリ66は、使用者に対して実時間で表示される画像データを絶えず取得しながらバックグラウンドで動作している循環画像バッファのようなものである。使用者が(オペレータ・インタフェイス90上の適当なデバイスを介して)システムをフリーズさせると、使用者は、シネ・メモリ内に過去に取得されている画像データを見ることが出来る。
【0047】
イメージングを行う際、長い一系列の最新の画像がシネ・メモリ66に記憶されて、連続的に更新される。システムによっては、R−θ音響画像を保存するように設計されており、他のシステムではXYビデオ画像を記憶するように設計されている。シネ・メモリ66に記憶されている画像ループはトラックボール(インタフェイス90)を介して表示モニタ上で再生することができ、また画像ループの一部分をハードディスク記憶装置のために選択することができる。
【0048】
シネ・メモリ66に記憶されている選択された画像系列は、三次元再構成のためにホスト・コンピュータ20へ転送される。プローブの掃引中に取得されるフロー・イメージング・データの多数のフレームは、三次元データ・ボリュームを形成する。ホスト・コンピュータ20はシネ・メモリ66からデータ・ボリュームを検索し、様々なボリューム・レンダリング手法(例えば、最大又は平均ピクセル投影、合成あるいは表面)のいずれかを使用して、種々のイメージング平面上に投影画像を再構成する。各々の投影の結果生じる投影されたデータは次いでシネ・メモリの別の部分又はスキャン・コンバータのメモリに書き戻され、そこからビデオ・プロセッサ62を介して表示モニタ64へ送られる。
【0049】
ホスト・コンピュータ20は、中央処理装置(CPU)72及びランダム・アクセス・メモリ74を含んでいる。CPU72は、取得されたフロー・イメージング・データ・ボリュームを、異なる角度で取った多数の3次元投影画像へ変換するのに用いられるルーチンを記憶するメモリを有している。CPU72は、システム制御バス76を介して、XY表示メモリ70とビデオ・プロセッサ62とシネ・メモリ66とCPU自身との間のデータの流れを制御する。イメージング・データの各々のフレームは、被検体についての多数の走査又はスライスの1つを表していて、音響ライン・メモリ68、XY表示メモリ70及びビデオプロセッサ62に順次記憶される。グレー・マッピングの前に、Bモード・フロー・イメージング・データのフレームがビデオ・プロセッサ62からシネ・メモリ66へ送られる。走査されるオブジェクト・ボリュームを表す一重なりのフレームが、シネ・メモリ66に記憶されて、ソース・データ・ボリュームを形成する。ソース・データ・ボリュームが取得された後、CPU72は、ソース・データ・ボリュームを通る任意のスライスと共に、データの三次元投影を構成することができる。
【0050】
従来のシステムは、任意の超音波画像上に図形記号を重ね合わせる(スーパーインポーズする)性能を有している。画像フレーム上への図形(graphics)の重ね合わせはビデオ・プロセッサ62において行われ、ビデオ・プロセッサ62は、XY表示メモリ70から超音波画像フレームを受け取り、また図形表示メモリ78から図形データを受け取る。図形データは、図形プロセッサ80によって処理されて図形表示メモリ78へ入力される。図形プロセッサ80は、ホスト・コンピュータ20によって他のサブシステムと同期させられている。
【0051】
3次元画像を形成するために、CPU72は、シネ・メモリ66から検索されるソース・データ・ボリュームをイメージング平面データ・セットへ変換することができる。このような相次ぐ変換は、例えば+90°から−90°にわたる角度の範囲内で、例えば10°の間隔の角度増分で行われる最大値投影、最小値投影、合成投影、表面投影又は平均投影等の様々な投影手法を含み得る。投影後の画像内の各々のピクセルは、所与の画像平面への投影によって導出される変換後のデータを含む。
【0052】
フリー・ハンド式の3次元超音波走査では、トランスデューサ・アレイ(1D乃至1.5D)を仰角方向に平行移動させて、関心のある解剖学的構造を通る実質的に平行な画像平面の組を取得する。これらの画像は、シネ・メモリに記憶され、システム・コンピュータによって3次元再構成のために後で検索することができる。画像フレーム間の間隔が既知であれば、平面外の寸法と走査平面の寸法とを正確な縦横比(アスペクト比)にして、3次元ボリュームを再構成することができる。しかしながら、スライス間の間隔の推定値が良好でないと、3次元物体の幾何形状にかなりの歪みが生じ得る。
【0053】
従来の超音波スキャナは、Bモード・フロー・イメージング・データを連続的にシネ・メモリ内に収集する。フリー・ハンド式走査法又は何らかの種類の機械的プローブ移動器のいずれかを用いて、プローブで解剖学的構造のある区域の全体を掃引すると、3次元データ・ボリュームがシネ・メモリに記憶される。プローブが移動した距離は、いくつかの手法によって決定することができる。使用者が、掃引された距離の推定値を供給することができる。プローブがプローブ移動器によって一定の速度で移動される場合、距離は容易に決定することができる。代替的には、プローブに位置センサを取り付けて、各々のスライスの位置を決定することもできる。解剖学的構造上に又はデータの内部に付されるマーカもまた、必要とされる位置情報を提供することができよう。更に他の方法としては、相次ぐ画像フレーム間でのスペックル無相関度から直接的に走査平面の変位を推定するものがある。
【0054】
図8を参照して説明すると、超音波プローブ10により被検体のある区域を(手動又はプローブ移動器のいずれかによって)掃引し(矢印82はリニア掃引を示す)、スライス間の間隔が既知であり、且つスライス84がメモリに記憶された場合、3次元データ・ボリューム86を取得することができる。このデータ・ボリュームを(例えば、イメージング平面への投影を用いて)処理することにより、関心のある区域の3次元ビュー(像)を形成することができる。加えて、データに対してフォーマットを設定し直すことにより、任意の角度での個別のスライス84を生成することができ(図9を参照)、これにより、使用者は検査中の解剖学的構造がいかなるものであれ、所望の正確なビューを得ることが可能になる。2次元データの3次元投影を生成するアルゴリズムは周知であり、データのフォーマットを設定し直してデータ・セットを通る任意のスライスを生成する手法も周知である。ここで生ずる問題点は、観測者にとって2次元スライスを3次元の解剖学的構造に容易に関連付け易くなるように情報を表示するにはどのようにしたらよいかということである。
【0055】
図10及び図11は、取得及び表示の手順の流れ図を示す。使用者は、関心区域を超音波プローブで掃引することにより開始する(工程100)。例えば、掃引は、直線動又は揺動を行うフリー・ハンド式掃引によって得ることができる。一旦、データが取得されたら、使用者は、オペレータ・インタフェイス90(図7)上のフリーズ・キーを押すことによりシネ・メモリを「フリーズ」させ(工程102)、トラックボールを動かすことにより、データ・ボリュームのZ寸法に含まれるべきシネ・メモリ・フレーム(スライス)の範囲を選択する(工程104)。図12に示すように、トラックボールを動かすと、Z寸法選択用ゲージ152が表示画面150上に現れる。次いで、トラックボールを用いて、ゲージ152に対するインジケータ154の位置を制御する。インジケータは、所望の左端の点に動かすことができ、次いで、オペレータ・インタフェイス上の所定のキーを押すことにより、この左端の点をロックする。次いで、インジケータを所望の右端の点まで動かすことができ、次いで、同じ所定のキーを押すことにより、この右端の点をロックする。これにより、データ・ボリュームに含まれるべきスライスが設定される。次いで、オペレータは、インタフェイス上の適当なキーを押すことにより、特定の所望の「3Dモード」に入る(工程106)。
【0056】
3Dモードに入ると、オペレータは先ず、データ・ボリューム内のROIのXY寸法及び位置を選択しなければならない(工程108)。この工程は、3Dモード・キーが押されるのに応答して表示画面150上の既定の位置に現れる関心領域ボックス156(図12に示す)を操作することにより行われる。関心領域ボックス156は、セクタ走査画像158上に現れているイメージングされた構造160を包含するように、X及びY方向においてサイズを定めると共に平行移動することができる。関心領域ボックス156は、トラックボールを動かすことにより平行移動され、オペレータ・インタフェイスに組み込まれている四方向首振り(rocker)スイッチを操作することによりサイズが定められる。例えば、首振りスイッチは、スイッチを下に動かすと関心領域のサイズがY寸法について増大し、スイッチを上に動かすとサイズがY寸法について減少し、スイッチを右に動かすとサイズがX寸法について増大し、スイッチを左に動かすとサイズがX寸法について減少するようにプログラムされている。
【0057】
ROIが画定された後に、オペレータは、所望の3次元投影の種類(最小、最大又は平均ピクセル投影、表面、合成等)及び所望の表示モードを選択し(図10及び図11の工程110)、オペレータ・インタフェイス上のレンダリング・キーを押す。次いで、画定されたROIがシネ・メモリ66(図7参照)からホスト・コンピュータ20によって検索される。ホスト・コンピュータは、重複したフレームについて検索されたデータを走査し、これらのデータを廃棄する(工程112)。次いで、ホスト・コンピュータは、このデータ・セットについてスライス間の間隔を算出する(工程114)。(スライス間の間隔は、データ・ボリュームの長さの全体にわたって一定であるものと仮定する。)例えば、スライス間の間隔は、1998年3月20日に出願された米国特許出願第09/045,780号に開示されている適応スペックル相関法を用いて算出することができる。
【0058】
スライス間の間隔が算出された後に、システムは、「ボリューム回転」モードに入る。このモードは、3Dモードに含まれている3つの下位モードの1つである。図7を参照して述べると、「ボリューム回転」モードでは、色付き(例えば、緑)の配向ボックスを表す信号が、図形プロセッサ80によって発生され、図形表示メモリ78においてXYフォーマットに整形された後に、ビデオ・プロセッサ62へ送られる。ビデオ・プロセッサは、緑の配向ボックスが表示画面上に表示されるようにする(工程116)。同時に、ホスト・コンピュータは、算出されたスライス間の間隔に基づいて、画定されたデータ・ボリュームの選択された最大分解能ピクセル投影を実行する(工程118)。投影後の3次元画像は、XY表示メモリ70へ送られ、次いで、ビデオ・プロセッサ62へ送られる。投影後の3次元画像はまた、シネ・メモリ66によって取得される。ビデオ・プロセッサ62は、投影後の3次元画像が、配向ボックスと共に表示画面に表示されるようにする。配向ボックス及び初期投影は両方とも、Z軸が画面の奥へ向かい、Y軸が垂直に向き、X軸が水平に向くようにして配置方向が定められている。即ち、配向ボックスは、選択された関心領域のX及びY寸法に比例したX及びY寸法を有する矩形として現れる。データ・スライスは、Z軸に沿って取得されている。これは、ゼロ角度の投影であると定義される。
【0059】
「ボリューム回転」モードでは、オペレータは、トラックボールを用いて、X軸及びY軸の周りに配向ボックスを回転させることができる。Z軸の周りでの回転は、オペレータ・インタフェイス上の独立した回転ノブを用いて行われる。配向ボックスは「実時間」でトラックボール及び回転ノブの動きに従い、これにより使用者は所望通りにボックスの配置方向を定めることができる。各々の軸についての回転位置は、表示パネルに示される。投影後の画像の実時間回転を実現するために、システムはトラックボールが動いているかどうか判定する(工程120)。トラックボールが動いていれば、配向ボックスはトラックボールに従い、そしてデシメーション・レンダリング(decimated rendering) が実時間で実行される(工程122)。トラックボールの動きが止まっている場合には(工程124)、最大分解能ピクセル投影が再び作成されて表示される。
【0060】
図13は、配向ボックス162によって指示される任意の角度での例示的な投影164を示している。配向ボックスは、下方前方左側の角にマーカ166を有しており、ボックスの後方の角は、使用者がボックスの前後を識別し易くするように破線になっている。視覚化の助けとして、ボックス168が投影164に重ね描きされており、ボックス168は、配向ボックス162と整合しており、且つボックスがデータ・ボリュームの「奥」に向かうにつれて暗く見えるように深さに陰影が付けられる。使用者は、トラックボール及び回転ノブを用いて、所望の回数だけ配向ボックス162を再配置すると共に再投影することができる。加えて、オペレータ・インタフェイス上の特別のキーを用いてプラス90°又はマイナス90°の回転を行うことができる。
【0061】
フロー・イメージング・データ・ボリュームのレンダリングは、各々のボクセルが投影マトリクスに従ってデータ空間から画像空間へ写像(マッピング)されるようなオブジェクト順次(object-order)ボリューム視覚化手法を利用して達成される。このレンダリング方法の目標は、アーティファクトを最小限に抑えながら、3次元データから2次元画像を効率的に生成することにある。
【0062】
データ・ボリュームは、X軸、Y軸及びZ軸にそれぞれ沿ったNx ×Ny ×Nz のデータ・サンプルから成っており、各データ・サンプルはボクセルとして知られている。このデータ座標系では、ボクセルは、データ・ボリュームの中心を原点として、各々の軸に沿って1単位ずつ等間隔に離隔しているものと仮定されている。実際のデータ・ボリューム内のボクセルは、等間隔になっていない可能性があるので、データ・サンプルの縦横(アスペクト)比を扱うスケーリング行列[SA ]を用いる。次いで、データ・サンプルをX軸、Y軸及びZ軸の周りに所望の角度だけ回転させて、正射影変換を用いて画像平面へ投影することができる。この処理は以下のように書くことができる。
【0063】
[xd ,yd ,zd ][SA ][R]=[xi ,yi ,zi ]
ここで、[xd ,yd ,zd ]はデータ・ボリューム内のボクセルの座標であり、[R]は所望の回転行列であり、[xi ,yi ,zi ]は画像空間ピクセルを表す。投影変換[SA ][R]は、Z3 をR3 へ写像する(ここで、R空間内の座標は実数であり、Z空間内の座標は整数である。)。z成分は廃棄され、切り捨て演算(floor operation 、即ち実数を整数に丸める)を適用してR2 をZ2 へ変換する。この投影変換を行うと、ボクセル・データは、選択された投影法に従って処理される。例えば、最大ピクセル投影法が用いられているならば、各々の画像空間ピクセルは、上述の投影変換によって各画像空間ピクセルへ写像されているボクセル・データ・セットの最大値のみを記憶する。この処理を図14に示す。同図には、最初はボクセル・データ170が示されており、縦横スケーリングを乗算した後はボクセル・データ172になり、さらに所望の角度だけ回転させるとボクセル・データ174になり、画像平面へ投影してボクセル・データ176になることが示されている。
【0064】
図14に示すプロセスを用いると、隣接するデータ・サンプルは、画像平面上の隣接するピクセルに必ずしも投影されるとは限らないので、投影後の画像に空白のスポット又は「穴(hole)」が空く。これらの穴を除去するために、投影に2つの更なるスケーリング工程を導入すると、以下の式が得られる。
【0065】
[xd ,yd ,zd ][SA ][R][SH ][SH -1 ]=[xi ,yi ,zi ]
次いで、この投影処理は、2つの工程に分解される。
【0066】
[xd ,yd ,zd ][SA ][R][SH ]=[xt ,yt ,zt ]
[xt ′,yt ′][SH -1 ]=[xi ,yi ]
第1の工程では、Z3 のデータ座標[xd ,yd ,zd ]は、R3 の中間座標[xt ,yt ,zt ]へ写像される。z成分は廃棄され、切り捨て演算を用いてZ2 における[xt ′,yt ′]を得る。第2の工程では、2次元画像空間内で逆スケーリング演算を行う。
【0067】
画像から穴を除去するために、スケーリング行列[SH ]は、隣接するデータ・サンプル(データ空間内でX軸、Y軸及びZ軸に沿って最大で1サンプル分ずつ離隔しているもの)が隣接するピクセルへ写像されることを保証するものでなければならない。画像の穴に寄与している要因には2つのものがある。第1の要因は、縦横比を扱うサンプル点のスケーリングに起因するものであり、第2の要因は、データ・サンプルの回転に起因するものである。スケーリング行列[SH ]は、画像のX軸及びY軸に沿ってスケーリングを行うことにより、穴を除去する。
【0068】
縦横比を扱うスケーリング・ファクタは、以下の式を用いて算出される。
【0069】
Xas=1.0/‖[1,0,0][R-1][SA -1 ]‖
Yas=1.0/‖[0,1,0][R-1][SA -1 ]‖
Zas=1.0
これらのスケーリング・ファクタを用いて中間スケーリング行列[SH ′]を定義し、この中間スケーリング行列[SH ′]を用いて回転スケーリング・ファクタを算出する。
【0070】
回転を補正するスケーリング・ファクタは、立体の4つの対角ベクトルV={[1,1,1],[−1,1,1],[−1,1,−1,],[1,1,−1]}の各々を画像平面に投影し、X次元及びY次元に沿った最大離隔距離を独立に算出することにより決定される。
【0071】
【数1】
【0072】
[SH ]を算出するのに用いられる最終的なスケーリング・ファクタは、縦横スケーリング・ファクタと回転スケーリング・ファクタとの積である。
【0073】
Xs =XasXrs
Ys =YasYrs
Zs =1.0
これらのスケーリング・ファクタの組合せを用いて、データ空間内でX軸、Y軸及びZ軸に沿って1単位ずつ離隔している各ボクセルが、画像平面上でX軸及びY軸に沿って最大で1単位ずつ離隔しているピクセルへ確実に写像されるようにする。
【0074】
超音波イメージング・システムのオペレータが、データ・ボリュームを通る2次元スライスを現在のX,Y,Z回転配置方向で見たいという場合には、オペレータは「表示モード」キーを押し(図10及び図11の工程128)、「ボリューム回転」モードから「切断平面」(フォーマット設定し直し)モードに切り換える。図15を参照して説明すると、配向ボックス162の色が変わり(例えば、緑から白へ)、色付き(例えば、緑)の多角形178が配向ボックス内のデータ・ボリュームの中央に現れる(工程130)。緑の色は、ボックス内のこの部分を動かすことができることを示している。次いで、システムは、データ・セットの中央を通る2次元スライスの現在の配置方向における初期表現180を作成する(工程132)。
【0075】
このスライス180の形状は、配向ボックス162内の緑の多角形178の形状と整合する。次いで、オペレータは、トラックボールを用いて、データ・セットを通してスクロールすることができる。トラックボールが動いているとシステムが判定した場合(工程134)、このデータ・セットの相次ぐ2次元スライスが、選択された配置方向及び位置で実時間で表示される。トラックボールが動いていない場合(工程134)に「表示モード」キーが押されていれば(工程136)、システムは「切断平面」モードを出て、「切断平面回転」モードに入る。
【0076】
「切断平面回転」モードでは、配向ボックス内の緑の多角形が移動し(工程138)、データ・ボリューム内でのスライスの位置を視覚的に指示すると共に、表示パネルが更新されて、スライスの位置を全ボリュームの百分率として示す(即ち、50%はデータ・ボリュームの中央に相当する)。データ・ボリュームを通るスライスの位置を指示する緑の多角形が白に変わり、配向ボックスが緑に変わって、スライスがこの時点で固定され、且つデータ・ボリュームをスライスに対して回転させ得ることを示す。次いで、システムは、フォーマット設定し直されたスライスを前述の方式で表示する(工程140)。使用者はこの時点で、トラックボールを動かすことにより、配向ボックスを新たなX,Y,Z配置方向に定めることができる(工程142)。その際、使用者がトラックボールを動かすにつれて、配向ボックスはトラックボールの動きに追従し、白の多角形の形状が変化して、スライスの形状を示す。配置方向が設定されたとき、使用者は「計算」キーを押し(工程144)、システムが、配向ボックスに対する多角形の角度によって指示される角度で捉えた新たな2次元スライスを表示するようにする。「表示モード」キーが押されていなければ(工程146)、オペレータは、データ・ボリュームの配置方向を再設定することができる。「表示モード」キーが押されていれば、システムは「ボリューム回転」モードへ戻る。
【0077】
2次元データの3次元投影を生成するアルゴリズムは周知であり、データをフォーマット設定し直してデータ・セットを通る任意のスライスを生成する手法も周知である。図7に示されているように、投影後又はフォーマット設定し直し後のデータは、ホスト・コンピュータによってXY表示メモリ70に出力される。次いで、投影後又はフォーマット設定し直し後のデータの画像フレームは、ビデオ・プロセッサ62へ送られ、シネ・メモリ66によって取得される。ビデオ・プロセッサは、配向ボックス及び他の図形記号を投影後のフォーマット設定し直されたデータの画像フレームに重ね合わせて、表示モニタに出力する。
【0078】
Bモード・フィードスルー・パラメータを調節することにより、使用者が二次元及び三次元投影で画像化された流れに対して通常のBモード背景画像の変化量を見ることができるようにしてもよい。造影剤は表示画像内の流れ情報を強調するために被検体に注入することができる。
【0079】
以上、本発明の好ましい特徴を例示し説明してきたが、当業者には様々な修正及び変更が考えられよう。例えば、本発明は二相符号を使用することに制限されず、多相符号もまた使用することができる。従って、特許請求の範囲は本発明の真の精神に含まれるこのようなすべての修正及び変更を包含するものであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の超音波イメージング・システムの様々なサブシステムを全体的に示すブロック図である。
【図2】本発明の好ましい一実施例による超音波イメージング・システムを示すブロック図である。
【図3】本発明の好ましい実施例の一例による非バーカー型の単一回送信の符号化励起[1,1,1,−1,−1,1,−1,1]と共に用いるのに適した16タップの不整合フィルタのフィルタ係数を示すグラフである。
【図4】図5に示す16タップの不整合フィルタのフィルタ係数が符号[1,1,1,−1,−1,1,−1,1]と畳み込みされたときに、該フィルタよって発生される復号後の信号を示すグラフである。
【図5】本発明の好ましい実施例によるBモード信号のフィードスルーによる「スロー・タイム」のウォール・フィルタ処理を示す流れ図である。
【図6】本発明のもう1つの好ましい実施例による超音波イメージング・システムを示すブロック図である。
【図7】本発明の好ましい実施例によるピクセル強度データの相次ぐ三次元投影を含んでいるフレームを再構成する手段を示すブロック図である。
【図8】超音波プローブの走査平面に垂直な方向に超音波プローブをリニア走査することにより取得されるデータ・ボリュームを示す線図である。
【図9】図8に示すデータ・ボリュームをフォーマット設定し直すことにより得られる任意角度における個々のスライスを示す線図である。
【図10】フロー・イメージング・データを取得し表示する手順を示す流れ図である。
【図11】フロー・イメージング・データを取得し表示する手順を示す流れ図である。
【図12】使用者が画定した関心ボリュームを指示する図形と共にセクタ走査方式の超音波画像の表示を示す線図である。
【図13】データ・ボリュームの配置方向を表示する図形と共に任意の角度で形成された投影後の超音波画像の表示を示す線図である。
【図14】本発明の好ましい実施態様で有利に使用される投影変換手順を示す線図である。
【図15】データ・ボリュームに対するスライスの位置及び配置方向を表す図形と共に2次元スライスの表示を示す線図である。
Claims (10)
- 多数のトランスデューサ素子を有し、電気的な起動に応答して基本周波数を中心とする波動エネルギを送信すると共に、帰投した波動エネルギを電気信号へ変換するトランスデューサ・アレイと、
前記トランスデューサ・アレイに結合された送信器であって、複数の前記トランスデューサ素子を起動し、多数の走査平面の各々における多数の送信焦点位置の各々について合焦するように 、第1及び第2の送信事象時に送信符号に従って符号化した波動エネルギを送信するようにプログラムされた送信器と、
前記多数の走査平面の各々における多数の走査線の各々について、前記第1及び第2の送信事象に続いて、前記複数のトランスデューサ素子がそれぞれ発生する電気信号から第1及び第2の受信信号をそれぞれ形成するようにプログラムされている受信器と、
第1組と第2組のフィルタ係数を有して、前記第1及び第2の受信信号のそれぞれの第1及び第2の基本信号成分を圧縮して帯域通過させると共に、所定の閾値を上回る速度で運動する波動エネルギ反射体に対応する周波数成分を選択的に通過させるようにプログラムされたウォール・フィルタであって、前記多数の走査平面の各々における多数の走査線の各々について、前記圧縮され帯域通過させた前記第1及び第2の基本信号成分と、前記選択的に通過させた前記周波数成分から少なくとも部分的に流れ信号を導き出して形成するウォール・フィルタと、
前記多数の走査平面の各々についてそれぞれの流れ信号の組をデータ・ボリュームとして記憶して形成するメモリと、
前記データ・ボリュームに投影変換を適用することによって、イメージング平面上に制御可能な配置方向を有するように、前記データ・ボリュームの三次元投影を表すイメージング・データを作成するべくプログラムされたコンピュータと、
前記三次元投影の関数である画像を表示するサブシステムと、
を備え、
前記第2組のフィルタ係数のうち少なくとも1つの係数以外のすべての係数が、前記第1組のフィルタ係数の負値であり、前記第2組フィルタ係数のうちの前記少なくとも1つの係数が、Bモード基本信号フィードスルーを可能にするように摂動を加えられているイメージング・システム。 - 前記第2組のフィルタ係数は、前記第1組を成すフィルタ係数の負値であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
- 前記送信器は、複数の前記トランスデューサ素子を、第3の送信事象時に、符号化されていないが各々の送信焦点位置について合焦された波動エネルギを送信するように起動するべく更にプログラムされており、
前記受信器は、前記走査線の各々について前記第3の送信事象に続いて前記複数のトランスデューサ素子により発生される電気信号から第3の受信信号を形成するように更にプログラムされており、
前記ウォール・フィルタは、前記多数の走査平面の各々における多数の走査線の各々について前記圧縮され帯域通過させた前記第1及び第2の基本信号成分並びに前記選択的に通過させた前記周波数成分と加算するために、前記第3の受信信号の高調波信号成分を帯域通過させる第3組のフィルタ係数と共に更にプログラムされていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。 - 前記送信器は、第3及び第4の送信事象時に、符号化されていないが各々の送信焦点位置について合焦された夫々の波動エネルギを、前記第3の送信事象の間の前記符号化されていない合焦化波動エネルギが、前記第4の送信事象の間の前記符号化されていない合焦化波動エネルギに対して反対の極性を有して送信されるように、複数の前記トランスデューサ素子を起動するべく更にプログラムされており、
前記受信器は、前記走査線の各々について前記第3及び第4の送信事象に続いて前記複数のトランスデューサ素子により発生される電気信号から第3及び第4の受信信号をそれぞれ形成するように更にプログラムされており、
前記ウォール・フィルタは、第3及び第4組を成すフィルタ係数をによって、前記第3及び第4の受信信号のそれぞれの基本信号成分を実質的に打ち消しつつ、前記多数の走査平面の各々における多数の走査線の各々について、前記第3及び第4の受信信号のそれぞれの高調波信号成分を帯域通過させて、これに、前記圧縮され帯域通過させられた前記第1及び第2の基本信号成分並びに前記選択的に通過させられた周波数成分を加算するように、更にプログラムされていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。 - 前記トランスデューサ素子は、電気的起動に応答して超音波を送信すると共に、帰投した超音波を電気信号へ変換する圧電素子を含んでいる請求項1に記載のシステム。
- 多数のトランスデューサ素子を有し、電気的な起動に応答して基本周波数を中心とする波動エネルギを送信すると共に、帰投した波動エネルギを電気信号へ変換するトランスデューサ・アレイと、
該トランスデューサ・アレイに結合された送信器であって、多数の走査平面の各々における多数の送信焦点位置の各々について合焦化され、第1及び第3の送信事象時にゴレイ符号対の第1のゴレイ符号で符号化された合焦化波動エネルギを送信し、第2及び第4の送信事象時に、前記ゴレイ符号対の第2のゴレイ符号で符号化された合焦化波動エネルギを送信するべく、複数の前記トランスデューサ素子を起動するようにプログラムされた送信器と、
前記多数の走査平面の各々における多数の走査線の各々について、前記第1乃至第4の送信事象に続いて前記複数のトランスデューサ素子によりそれぞれ発生される電気信号から第1乃至第4の受信信号をそれぞれ形成するようにプログラムされている受信器と、
前記第1乃至第4の受信信号の第1乃至第4の基本信号成分をそれぞれ復号して帯域通過させると共に、所定の閾値を上回る速度で運動する波動エネルギ反射体に対応する周波数成分を選択的に通過させるように、第1乃至第4組のフィルタ係数でプログラムされたウォール・フィルタであって、前記多数の走査平面の各々における多数の走査線の各々について前記復号され帯域通過させた第1乃至第4の基本信号成分並びに前記選択的に通過させた周波数から少なくとも部分的に導き出される流れ信号を形成するウォール・フィルタと、
前記多数の走査平面の各々についてそれぞれの流れ信号の組をデータ・ボリュームとして記憶して形成するメモリと、
前記データ・ボリュームに投影変換を適用することによってイメージング平面上に制御可能な配置方向を有するように、前記データ・ボリュームの三次元投影を表すイメージング・データを作成べくプログラムされたコンピュータと、
前記三次元投影の関数である画像を表示するサブシステムと、
を備え、
前記第3組を成すフィルタ係数は、前記第1組を成すフィルタ係数の負値であり、前記第4組のフィルタ係数は、前記第2組のフィルタ係数の負値であり、少なくとも1対の前記フィルタ係数が、Bモード基本信号フィードスルーを可能にするように摂動を加えられているイメージング・システム。 - 前記第3組のフィルタ係数は、前記第1組のフィルタ係数の負値であり、前記第4組のフィルタ係数は、前記第2組のフィルタ係数の負値である請求項6に記載のシステム。
- 前記送信器は、第5の送信事象時に、符号化されていないが前記送信焦点位置の各々について合焦化した波動エネルギを送信するように複数の前記トランスデューサ素子を起動するように更にプログラムされており、
前記受信器は、前記走査線の各々について、前記第5の送信事象に続いて前記複数のトランスデューサ素子により発生される電気信号から第5の受信信号を形成するように更にプログラムされており、
前記ウォール・フィルタは、前記多数の走査平面の各々における多数の走査線の各々について、前記第5の受信信号の高調波信号成分を帯域通過させ、これと前記復号され帯域通過させた第1乃至第4の基本信号成分並びに前記選択的に通過させた周波数とを加算させるために、第5組のフィルタ係数で更にプログラムされていることを特徴とする請求項6に記載のシステム。 - 前記送信器は、前記送信焦点位置の各々について第5及び第6の送信事象時に符号化されていない集束した波動エネルギを送信するように複数の前記トランスデューサ素子を起動するように更にプログラムされており、
前記第5の送信事象の前記符号化されていない集束した波動エネルギは、前記第6の送信事象の前記符号化されていない集束した波動エネルギに対して反対の極性を有しており、前記受信器は、前記走査線の各々について前記第5及び第6の送信事象に続いて前記複数のトランスデューサ素子により発生される電気信号から第5及び第6の受信信号をそれぞれ形成するように更にプログラムされており、
前記ウォール・フィルタは、前記第5及び第6の受信信号のそれぞれの基本信号成分を実質的に打ち消しながら、前記多数の走査平面の各々における多数の走査線の各々について、前記第5及び第6の受信信号のそれぞれの高調波信号成分を帯域通過させて、これと前記復号され帯域通過させた第1乃至第4の基本信号成分並びに前記選択的に通過させた周波数とを加算させるために、第5及び第6組のフィルタ係数で更にプログラムされていることを特徴とする請求項6に記載のシステム。 - 前記トランスデューサ素子は、電気的起動に応答して超音波を送信すると共に、帰投した超音波を電気信号へ変換する圧電素子を含んでいる請求項6に記載のシステム。
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