JP4901446B2 - エレベータ制御システム - Google Patents

Description

本発明は、エレベータの速度を検出するエレベータ制御システムに関する。

従来、特開２００６−４４８９４号公報（特許文献１）に示されるように、エレベータの巻上機に取り付けられ、エレベータ制御装置における速度あるいは位置制御用の信号を出力するエンコーダとは独立に調速機（ガバナ）に取り付けられるエンコーダの出力信号により、乗りかごの速度を監視する速度監視制御装置を設け、乗りかごの位置に応じて調速機の過速度検出レベルを変化させて、乗りかごの速度が過速度レベルに達した時に強制的にかごを減速停止させる技術が知られている。

特開２００６−４４８９４号公報

速度監視制御装置の故障を検知するために、調速機に取り付けられるエンコーダが出力するパルス信号によって検出した速度情報をエレベータ制御装置へ送信する場合、パラレル通信回路のように多数の信号線が必要になるか、あるいはシリアル通信のように通信処理のためのプログラムが必要になり、制御システムの回路構成が複雑になるという問題が有る。

本発明は、上記問題点を考慮してなされたものであり、比較的簡単な構成によって速度監視制御装置の故障を検出できるエレベータ制御システムを提供する。

上記目的を達成するため、本発明は、エレベータ速度を検出する第１及び第２の速度検出器と、前記第１の速度検出器の出力信号に基づいてエレベータの速度を演算する速度監視制御装置と、前記第２の速度検出器の出力信号に基づいてエレベータの速度を演算するエレベータ制御装置とを備えるエレベータ制御システムにおいて、前記速度監視制御装置は、演算されたエレベータの速度が、定格速度以下の第１の速度に達したときに第１速度検出状態信号を、定格速度以下でかつ前記第１の速度よりも大きな第２の速度に達したときに第２速度検出状態信号を、出力（オン）し、前記エレベータ制御装置は、演算したエレベータの速度が前記第１の速度に到達する時と前記第１速度検出状態信号が出力される時とのタイミングのずれ、あるいは演算したエレベータの速度が前記第２の速度に到達する時と前記第２速度検出状態信号が出力される時とのタイミングのずれ、に基づいて前記速度監視制御装置の異常を検出するものである。

上記手段によれば、第１の速度および第２の速度に達したときに速度監視制御装置から出力される速度情報信号に基づいて速度監視制御装置の異常を検出する。すなわち、より少ない信号で異常を検出できるので、比較的簡単な構成によって速度監視制御装置の故障を検出できる。

以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。

図１は本発明の一実施形態であるエレベータ制御システムを示す。

エレベータの速度を監視する速度監視制御装置は、速度検出器であるロータリエンコーダ１（以下、ＲＥ１と記す）とＲＥ１の出力信号を処理するマイクロコンピュータ２（以下、マイコン２と記す）から構成される。ここで、ＲＥ１は、図示しない調速機(ガバナ)に取り付けられ、ガバナプーリの回転に応じてパルス信号を出力する。速度監視制御装置は、ＲＥ１のパルス信号をマイコン２で演算処理することによって乗りかごの走行速度を求め、その走行速度が所定の速度に到達した時に速度情報信号を出力する。本実施形態において、速度情報信号は、走行速度がエレベータの定格速度の１０％以上である時に出力される１０％速度検出状態信号５、並びに９０％以上である時に出力される９０％速度検出状態信号６である。

速度検出状態信号５，６はエレベータ制御装置用のマイクロコンピュータ４（以下、マイコン４と記す）に入力される。ここで、マイコン４は、エレベータ巻上機のモータ軸に取り付けられるロータリエンコーダ３（以下、ＲＥ３と記す）がモータの回転すなわちモータに取り付けられるシーブの回転に応じて出力するパルス信号を演算処理して、乗りかごの速度を求める。この速度と速度検出状態信号５，６とをマイコン４により比較して、エレベータ制御装置はＲＥ１またはマイコン２の異常を検出する。

なお、エレベータ制御装置は、マイコン４によって演算された乗りかごの速度に基づいて巻上機を駆動制御することにより、乗りかごの速度あるいは位置を制御する。乗りかごとカウンタウェイトはロープに接続され、ロープは巻上機のシーブに巻き掛けられる。巻上機のモータによりシーブが回転すると、ロープが駆動され、乗りかごとカウンタウェイトが昇降路内を昇降する。

図２は、正常動作時の各信号の状態を示す。ＲＥ１及びマイコン２による乗りかご速度の演算が正常に動作している場合は、ＲＥ３及びマイコン４によって検出される乗りかご速度が定格速度の１０％および９０％に到達した時に速度検出状態信号５，６がオンする。

図３は、異常動作時（速度ゲイン高）における各信号の状態を示す。ＲＥ１及びマイコン２による速度検出の異常により速度ゲインが高くなった場合は、９０％速度検出状態信号６が、ＲＥ３及びマイコン４で検出した乗りかごの速度信号が定格速度の９０％に到達する前にオンする。これにより、マイコン４は、ＲＥ１やマイコン２の故障を含む速度監視制御装置の異常を検出する。

図４は、異常動作時（速度ゲイン低）における各信号の状態を示す。ＲＥ１及びマイコン２による速度検出の異常により速度ゲインが低くなった場合は、１０％速度検出状態信号５が、ＲＥ３及びマイコン４で検出した速度信号が定格速度の１０％よりに到達した後にオンする。これにより、マイコン４は速度監視制御装置の異常を検出する。

また、９０％速度検出状態信号６のみで異常を検出することも可能ではあるが、エレベータの仕様により定格速度に達しない運転を行うことがある。この場合、正常運転時においても乗りかごの走行速度が定格速度の９０％まで達しないため、９０％速度検出状態信号６のみでは異常を検出することができない。よって速度が低い時でも検出を可能とするため、１０％速度検出状態信号５が必要になる。

図５は、定格速度に達しない低速度運転状態における各信号の状態を示す。短階床運転や低速運転等でＲＥ１とＲＥ３の両方の速度検出が定格速度に達していない状態において、ＲＥ１及びマイコン２による速度検出の異常により速度ゲインに変化が起きた場合は、ＲＥ１及びマイコン２における１０％速度検出状態信号５がオンするタイミングが、ＲＥ３及びマイコン４で検出した速度信号が定格速度の１０％に到達する時とは一致しなくなる。これよりエレベータの定格速度に達しない低速運転状態であっても、ＲＥ１とマイコン２の速度検出の異常を検出することができる。

上記のように、ＲＥ１及びマイコン２を含む速度監視制御装置の異常時は、ＲＥ１及びマイコン２による速度検出状態信号５及び６と、エレベータ制御装置のＲＥ３とマイコン４によって検出される乗りかごの速度信号のタイミングのずれ７，８を検出することで、ＲＥ１及びマイコン２の故障など速度監視制御装置の異常を検知することができる。なお、異常を検知した時、エレベータ制御装置は、乗りかごの停止指令を作成したり、エレベータ管理者用端末や管理センターに異常検出信号を発信したりする。

上記の実施形態によれば、速度検出状態信号５及び６という２点の速度状態信号（例えば２ビット信号）により速度監視制御装置の異常を検知することができる。また、速度監視制御装置とエレベータ制御装置間の通信処理のためのプログラムが不要になるかあるいは削減できる。従って、エレベータ制御システムの構成が比較的簡単になる。このため、エレベータ制御システムの部品点数を減らし安価となりかつ故障検出回路自体の信頼性が向上する。

本発明の一実施形態であるエレベータ制御システムを示す。 正常動作時の各信号の状態を示す。 異常動作時（速度ゲイン高）における各信号の状態を示す。 異常動作時（速度ゲイン低）における各信号の状態を示す。 定格速度に達しない低速度運転状態における各信号の状態を示す。

符号の説明

１，３ ロータリエンコーダ
２，４ マイクロコンピュータ
５ １０％速度検出状態信号
６ ９０％速度検出状態信号

Claims (3)

1. エレベータ速度を検出する第１及び第２の速度検出器と、前記第１の速度検出器の出力信号に基づいてエレベータの速度を演算する速度監視制御装置と、前記第２の速度検出器の出力信号に基づいてエレベータの速度を演算するエレベータ制御装置とを備えるエレベータ制御システムにおいて、
   前記速度監視制御装置は、演算されたエレベータの速度が、定格速度以下の第１の速度に達したときに第１速度検出状態信号を、定格速度以下でかつ前記第１の速度よりも大きな第２の速度に達したときに第２速度検出状態信号を、出力し、
   前記エレベータ制御装置は、演算したエレベータの速度が前記第１の速度に到達する時と前記第１速度検出状態信号が出力される時とのタイミングのずれ、あるいは演算したエレベータの速度が前記第２の速度に到達する時と前記第２速度検出状態信号が出力される時とのタイミングのずれ、に基づいて前記速度監視制御装置の異常を検出することを特徴とするエレベータ制御システム。
2. 請求項１において、前記第１の速度は前記定格速度の略１０％であり、前記第２の速度は前記定格速度の略９０％であることを特徴とするエレベータ制御システム。
3. 請求項１において、前記第１の速度または前記第２の速度がエレベータの低速運転速度以下であることを特徴とするエレベータ制御システム。

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