JP4899250B2 - 電池 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は液口栓や排気栓の栓部材およびまたは温度センサー、液面センサー等のセンサー類を装着した電池に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
自動車用鉛蓄電池は通常６セルが直列接続されて１２Ｖ電池を構成している。そしてそれぞれのセルには電解液を注入する孔が設けられている。この孔はセル内の電解液面が低下したときに液を補充するためにも使用される。通常の電池使用時にこの孔には液口栓やこれに排気機能を兼ね備えた排気栓が装着されている。また、一部の電池には電解液面高さ、電解液比重、温度や電極の電位等、電池内部の状態を検出するためのセンサー類が装着されているものがある。このような液口栓、排気栓およびその他のセンサー（以下、装着部材と云う）はゴムパッキング等のシール材を介してねじの螺合により前記孔に装着されている。従って前記孔は装着部材の装着孔の機能を果している。そして、この装着孔は極板群を収容する電槽に接合される蓋に設けられているのが普通である。
【０００３】
蓋にねじを設ける必要があることから、蓋の成形に用いる金型にはこのねじを形成するねじを設け、蓋を金型から抜き取る際にはこのねじを回転させて蓋から抜き取る必要がある。このようなことから金型が複雑になるとともに、蓋を金型から抜き取る時間が必要であり、結果として電池の価格を低減するには不都合なものであった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記したような装着部材を装着するねじ部を蓋等の電池容器に設けた電池において、この蓋の成形に用いる金型を単純なものとし、さらには成形に要する時間を短縮することにより電池の低価格化を実現することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するために本発明の請求項１に記載の発明は、液口栓、排気栓を含む栓部材および／または液面センサー、電解液比重センサー、温度センサー、電極の電位センサーを含む電池内の状態を検出するための検出部材からなる装着部材と、この装着部材を装着するための装着孔を電池外装に備えた電池において、前記装着部材の外周には外周ねじ部を設け、前記装着孔の内周には内周ねじ部を設けてこれら外周ねじ部と内周ねじ部とを螺合して前記装着部材を前記装着孔に固定する構成であって、前記外周ねじ部の螺旋は１周り以上の螺旋とし、前記内周ねじ部の螺旋は１周り未満の螺旋としたことを特徴とする電池を示すものである。
【０００６】
本発明の請求項２に記載の発明は、請求項１に記載の構成を有する電池において、前記装着部材が装着孔に装着された状態で、前記装着部材の天面と前記装着孔の外縁とは同一平面を構成し、前記装着部材の天面には鍔部が設けられ、前記装着部材が前記装着孔に装着された状態では外周ねじ部と内周ねじ部の螺合位置よりも電池内側に設けられた外周ねじ部のねじ山数とピッチとの積を前記鍔部の厚みより大きく構成した電池を示すものである。
【０００７】
本発明の請求項３に記載の発明は、請求項２に記載の構成を有する電池において、鍔部と装着孔との間に弾性を備えたパッキングを設けた電池を示すものである。
【０００８】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【０００９】
図１（ａ）は本発明の一実施例の電池の装着部材である液口栓の上面図、図１（ｂ）は同側面図、図１（ｃ）は液口栓を装着する前段階の装着孔である液口の要部を示す断面図、図２は図１に示した本発明の一実施例の電池において、液口栓を液口に装着した状態を示す要部断面図である。
【００１０】
極板群（図示せず）を収納する電槽１の開口部に蓋２が接合されている。電槽１は例えば隔壁によって複数のセル室に区画されている。セル室に対応して蓋２には液口栓３を装着するための液口４が設けられている。この液口４は請求項において特定した装着孔の一形態である。液口４の内部には内周ねじ部４ａが設けられている。
【００１１】
本発明においてはこの内周ねじ部４ａの螺旋４ｂは液口４の内周の１周り未満の環状として設けるものである。このような構成によれば内周ねじ部４ａに対応する金型を抜き型時に回転させる必要がないので、金型の構造を簡便にできるとともに、抜き型を離脱して成形するのに要する時間も短縮することができる。特に自動車用鉛蓄電池のように複数の液口が設けられている場合にはこのような効果を顕著に奏することができる。さらに液口栓３の外周には内周ねじ部４ａに対応する外周ねじ部３ａが形成されている。この外周ねじ部３ａを構成する螺旋３ｂは液口栓３の外周に１周り以上の螺旋として設ける。外周ねじ部３ａを成形する金型は単純な２分割された金型でよく、外周ねじ部３ａを成形する場合に金型を回転させる必要は全くない。また外周ねじ部３ａの全周で螺合できるよう、少なくとも外周ねじ部３ａ、螺旋３ｂを複数周の環状として形成することが好ましい。
【００１２】
液口栓３と液口４との間から電池内部の電解液が流出しないように、弾性を備えたパッキング５が設けられている。このパッキング５は常に厚み方向に圧縮されることによって、液口栓３と液口４との間の液密性が保持されている。電池を長期間使用した場合、電解液面の低下により液口から精製水を補給する必要があるが、その際には液口栓３は一旦取り外され、精製水を補給後、再度液口栓３が液口４に装着される。長期間使用されたパッキング５は厚み方向に圧縮されて厚みが減少しているので螺旋３ｂを下方、すなわち電池の内部方向に向かって設ける必要がある。
【００１３】
さらに、液口４に装着された状態での液口栓３の天面３ｃを蓋２の天面２ａと一致させた構成とし、液口栓３の天面３ｃに＋もしくは−のねじ溝６を図１（ａ）に示すように形成し、このねじ溝６にコイン状部材を挿入して液口栓３を回転させて液口４に液口栓３を装着したり脱離する。液口栓３の天面３ｃに液口栓３を保持する指つまみ部が形成されていないので蓋２から液口栓３を取り外す作業が非常に困難である。本発明の好ましい構成においては液口栓３の天面３ｃに鍔部３ｄを設け、液口栓３を蓋２から脱離する過程において、図３に示すように外周ねじ部３ａと内周ねじ部４ａの螺合が解除された時点で液口栓３の鍔部３ｄが蓋２の天面２ａよりも上方に位置するように構成する。すなわち、液口栓３が液口４に装着された状態において外周ねじ部３ａと内周ねじ部４ａとの螺合部の下端よりも鍔部３ｄの厚み寸法以上の長さで外周ねじ部３ａを下方向に構成する。このような構成によれば、図３に示したように液口栓３の脱離過程において外周ねじ部３ａと内周ねじ部４ａとの螺合が解除された時点で液口４と鍔部３ｄとの間に図３に示すように空間７が形成されるので、この空間７にドライバー等の治具を挿入して液口栓３を押し上げることにより、液口４から容易に液口栓３を取り外すことができる。また、パッキング５は円環形状を有しており鍔部３ｄは下面と液口４の周囲面４ｃとの間に装着されている。
【００１４】
なお、液口栓に替えてセル内の電解液比重センサーや温度センサー等の各種センサーを装着した装着部材としても本発明を勿論適用することができる。
【００１５】
【発明の効果】
前記したように本発明の構成によれば液口栓等の装着部材を装着するねじ部を蓋等の電池容器に設けた電池において、この蓋の成形に用いる金型を単純なものとし、さらには成形に要する時間を短縮することにより電池の低価格化を実現することができるとともに、この装着部材の着脱性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の電池を示す破截断面図
【図２】本発明の電池を示す破截断面図
【図３】本発明の電池において装着部材を脱離する過程を示す図
【符号の説明】
１ 電槽
２ 蓋
２ａ 蓋２の天面
３ 液口栓（装着部材）
３ａ 外周ねじ部
３ｂ 外周ねじ部３ａの螺旋
３ｃ 液口栓３の天面
３ｄ 鍔部
４ 液口（装着孔）
４ａ 内周ねじ部
４ｂ 内周ねじ部４ａの螺旋
４ｃ 周囲面
５ パッキング
６ ねじ溝
７ 空間

Claims (3)

1. 液口栓、排気栓を含む栓部材および／または液面センサー、電解液比重センサー、温度センサー、電極の電位センサーを含む電池内の状態を検出するための検出部材からなる装着部材と、この装着部材を装着するための装着孔を電池外装に備えた電池において、前記装着部材の外周には外周ねじ部を設け、前記装着孔の内周には内周ねじ部を設けてこれら外周ねじ部と内周ねじ部とを螺合して前記装着部材を前記装着孔に固定する構成であって、前記外周ねじ部の螺旋は１周り以上の螺旋とし、前記内周ねじ部の螺旋は１周り未満の螺旋としたことを特徴とする電池。
2. 前記装着部材が装着孔に装着された状態で、前記装着部材の天面と前記装着孔の外縁とは同一平面を構成し、前記装着部材の天面には鍔部が設けられ、前記装着部材が前記装着孔に装着された状態では外周ねじ部と内周ねじ部の螺合位置よりも電池内側に設けられた外周ねじ部のねじ山数とピッチとの積を前記鍔部の厚みより大きく構成したことを特徴とする請求項１に記載の電池。
3. 前記鍔部と前記装着孔との間に弾性を備えたパッキングを設けたことを特徴とする請求項２に記載の電池。

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