JP4898358B2 - 蒸留方法及び蒸留装置 - Google Patents

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本発明は、蒸留方法に関し、より詳細には、焼酎、ウイスキー、ブランデー等の蒸留酒の蒸留に適する蒸留方法及び蒸留装置に関する。
蒸留酒を製造するためのもろみ等の蒸留方法として、原料を蒸留装置に連続的に供給し、留出液と蒸留装置の塔底液(缶出液)とを連続的に取り出す「連続蒸留」と、1回の蒸留毎に原料を蒸留装置に張り込んで蒸留を行う「回分蒸留」とがある。また、分離能の点から、還流によって高度な分離を行う「精留」と、還流を行わない「単式蒸留」とがあり、本格焼酎、ウイスキー、ブランデー等の製造には通常、単式蒸留装置が使用され、一部に回分精留機が使用されている。蒸留方法の相違により、酒税法では連続蒸留法により製造された焼酎を「連続式蒸留しょうちゅう」、連続蒸留法以外の方法で製造された焼酎を「単式蒸留しょうちゅう」と定義し、「単式蒸留しょうちゅう」の内、一定の条件を満たしたものを「本格しょうちゅう」と称している。
従来の「単式蒸留しょうちゅう」の製造方法は、図5に示すように、蒸留部(A)と冷却部(B)とを有する蒸留装置(100)を用いて、前記蒸留部(A)にもろみ等の仕込み液を張り込み、加熱装置で加熱して蒸気を発生させ、該蒸気をわたり(16)を経て冷却部(B)に導入し、ここで冷却水と熱交換して蒸気を凝縮し、得られた凝縮液を留出液タンク(21)に回収するものである。なお、留出液タンク(21)の留出液は、含まれるアルコール、酸、他の成分の配合量によってその風味が変化する。
このような単式蒸留方法で本格焼酎を製造する場合、発酵の終了したもろみを常圧で蒸留すると蒸留末期に留出液に焦げ臭が現れ、その後徐々に強くなる場合がある。その香の特徴は「末垂れ臭」、「後留臭」等と呼ばれ、常圧蒸留法において蒸留末期に生じる欠点とされている。また、蒸留末期になると酸の濃度も高くなり、留出液の味は重くなる。現在、焦げ臭を有する物質として、フルフラール、オキシメチルフルフラール、メチルフルフラールなどのフルフラール類が知られており、焼酎ではオキシメチルフルフラールが主成分であり、蒸留の際にもろみ中の炭水化物の加熱分解により生成すると考えられている。
このようなフルフラールの発生を防ぎ、風味の良い焼酎を製造する方法として、焼酎原料(もろみ)を瞬間的に加熱し、瞬間的に蒸発することを特徴とする焼酎の製造方法がある(特許文献1)。特許文献1記載の発明は、従来の製造方法では加熱時間が長く、品質低下成分であるフルフラールの発生を招くため、もろみを瞬間加熱及び瞬間蒸発し、この蒸発成分を蒸留して焼酎の成分として必要なものを抽出する、というものである。連続式の瞬間加熱式の蒸発器を使用して、真空度を700Torr以下から100Torr以上、加熱温度を183℃以下から100℃以上とした条件で、もろみ中のアルコール分を蒸発させると、糖類等の熱分解を防ぐとともに、品質低下成分であるフルフラールの発生が低減され、風味の良い良好な焼酎が出来る、という。
特開平8−84581号公報
しかしながら、特許文献1に記載される瞬間加熱及び瞬間蒸発方法では、加熱した原料を噴霧させると瞬時に蒸発するため、連続蒸留装置で用いることはできても、回分蒸留では一度に全量の原料を噴霧することができないため実施することができない。
また、焼酎、ウイスキー、ブランデーなどの嗜好品は、その風味を調整できればより需要者の嗜好に適合する製品を製造することができる。
そこで、本発明は、焦げ臭原因物質であるフルフラールの発生を防止し、また酸の濃度も低く、風味のよい蒸留酒を製造する蒸留方法および蒸留装置を提供することを目的とする。
本発明者は、焼酎、ウイスキー、ブランディーなどの蒸留酒の製造に際し、フルフラールの発生を防止するため仕込み液の加熱時間を短縮する方法について詳細に検討した結果、蒸留装置内で蒸気が冷却して生じる凝縮液を仕込み液に混入させることなく別個に回収すれば仕込み液の加熱時間を短縮でき、フルフラールの発生を減少できること、回収した凝縮液を加熱してもフルフラールは発生しないため、これを蒸留すれば収量を低減することなくフルフラールの発生を低減して蒸留しうること、前記凝縮液は揮発酸等の高沸点成分の濃度が低いため、これを蒸留すると、酸度の低い蒸留物を回収できることなどを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明の蒸留装置は、蒸留酒、特に焼酎の製造に好適な蒸留装置であって、蒸留部に仕込み部と凝縮液貯留部とを有し、蒸留塔を2基設ける場合と比較して熱効率に優れ、かつ簡便にフルフラールを低減することができる。
本発明の蒸留装置は、蒸留部に仕込み部と凝縮液貯留部とを有し、凝縮液貯留部に貯留される凝縮液を蒸留すると揮発酸等の高沸点成分の濃度が低減しているため、仕込み液の蒸留物より酸度の低い蒸留酒を製造することができる。
本発明の第一は、蒸留部と、前記蒸留部で発生した蒸気を冷却するための冷却部とを有する蒸留装置であって、前記蒸留部は、蒸留部の内部を隔壁で仕切って形成された仕込み液の仕込み部と、前記仕込み部以外の部分であって前記冷却部と連通する凝縮液貯留部とからなり、前記仕込み部の上端には、前記仕込み液の加熱により発生する蒸気を凝縮液貯留部に導入する連通部が形成され、前記凝縮液貯留部は、前記蒸気が導入されおよび凝縮されてなる凝縮液を貯留するものであり、かつ前記連通部の上端部は、前記凝縮液貯留部内の蒸気および/または凝縮液を前記仕込み部に逆流させない逆流防止機構が配設されることを特徴とする、蒸留装置である。
前記逆流防止機構は、逆流防止弁または、前記連通部の上端部に載置された釣鐘型蓋部であってもよい。
前記仕込み部には、仕込み液を加熱する加熱装置が設けられ、前記凝縮液貯留部には、前記凝縮液を加熱する加熱装置が設けられ、かつ前記蒸留部から留出した蒸気を前記冷却部に導入して生じた凝縮液の一部または全部を前記凝縮液貯留部に還流する還流装置が配設されていてもよい。以下、本発明の好適な実施態様を示す図を参照して、本発明を説明する。
(I)蒸留装置
本発明の蒸留装置(100)は、図1に示すように、蒸留部(A)と冷却部(B)とを有し、前記蒸留部(A)は、仕込み液(3)の仕込み部(A1)と前記仕込み部(A1)と連通する凝縮液貯留部(A2)とを有し、かつ前記蒸留部(A)には、前記凝縮液貯留部(A2)で発生した凝縮液を前記仕込み部(A1)に逆流させない逆流防止機構として、蓋部(8)を有する。なお、仕込み部(A1)または凝縮液貯留部(A2)で発生した蒸気が冷却部(B)に移行部位である「わたり(16)」は、蒸留部(A)の一部であり、凝縮液貯留部(A2)の一部を構成するものとする。
(1)仕込み部と凝縮液貯留部
本発明において、上記仕込み部(A1)と凝縮液貯留部(A2)とは、蒸留部(A)の内部を隔壁などで仕切って形成することができ、その際、仕込み液(3)から発生した蒸気が前記凝縮液貯留部(A2)へ導入できるように少なくとも一部に連通部(C)が設けられる。例えば、図1に示すように、蒸留部(A)の内部に筒状の仕切りを設けてその内側を仕込み部(A1)としその外周を凝縮液貯留部(A2)としてもよく、図2、図3に示すように、蒸留部(A)を上下二段に分割し、下部を仕込み部(A1)、上部を凝縮液貯留部(A2)としてもよい。
本発明において、仕込み部(A1)に対する凝縮液貯留部(A2)の容積は、仕込み部(A1)の容積を100とすれば、凝縮液貯留部(A2)の容積は、180〜350、より好ましくは200〜320である。また、仕込み部(A1)の蒸気は、図2または図3に示すように、蒸気通路(6)を経て凝縮液貯留部(A2)に導入されるように構成してもよい。この際、蒸気通路(6)の上端部が、凝縮液貯留部(A2)との連通部(C)となる。蒸気通路(6)は一つに限定されず、複数設けてもよく、その断面積の合計は、蒸気通路(6)以外の仕込み部断面積の5〜25%、好ましくは10〜15%である。5%を下回ると、仕込み部の圧力が上昇する場合があり、25%を超えると、凝縮液貯留部(A2)の有効な底面積が少なく、凝縮液の貯留に十分でない場合がある。ただし、図2に示すように、凝縮液貯留部(A2)の凝縮液の貯留限界は、蒸気通路(6)の高さに依存するため、1または複数の蒸気通路(6)の最も低い位置までの凝縮液貯留部(A2)の容積が、前記仕込み部(A1)の容積の80〜120%となるように、蒸気通路の高さ及び容積を調整することが好ましい。なお、図13、図14に示すように、蒸気通路(6)が、蓋部と共に凝縮液中に配設される形式の場合には、これに限定されるものではない。
本発明では、仕込み部(A1)には仕込み液(3)を加熱する加熱装置(11)を設け、凝縮液貯留部(A2)には凝縮液を加熱する加熱装置(13)が設けられる。なお、図1〜3に示すように仕込み液(3)を冷却するために仕込み部(A1)に冷却管(10)を、凝縮液貯留部(A2)には、凝縮液の蒸留を促進するための副加熱装置(14)を設けてもよい。このような冷却管(10)や副加熱装置(14)の配設によって、仕込み部(A1)における仕込み液や凝縮液貯留部(A2)における凝縮液の加熱温度を迅速に調整することができる。なお、加熱装置(11、13)や副加熱装置(14)としては、特に制限はなく、もろみの蒸留に適するものを適宜選択して使用することができる。例えば、焼酎用蒸留機におけるもろみの加熱方法として、スチームを直接もろみ中に吹き込む形式(直接加熱式)と、蛇管やジェケット内にスチームを通して加熱する形式(間接加熱方式)などがある。直接加熱方式によればスチームがもろみ中に吹き込まれるため、仕込み液(3)量が増加するが、間接加熱方式では、蒸留が進行した場合に仕込み液(3)が減少するため粘度が上昇し、焦げ付く場合がある。芋焼酎などの粘度の高いもろみの場合には、直接加熱方式と間接加熱方式とを併用することが好ましく、仕込み液(3)の性状によって適宜選択することができる。従って、加熱装置(11、13)および副加熱装置(14)はいずれが直接加熱式または間接加熱方式であってもよく、その他の方法で加熱するものであってもよい。このような加熱装置や副加熱装置は、1に限定されず、複数配設されていてもよい。なお、本発明では、凝縮液貯留部(A2)内の凝縮液を蒸留するための加熱装置が仕込み部(A1)に配置されていてもよい。例えば、図13、図14に示すように、蒸気通路(6)の下部に設けたスチーム注入器(12)によって加温されたスチームを導入し、凝縮液(5)を加熱し、蒸発させることができる。なお、図示しないが、仕込み部(A1)または凝縮液貯留部(A2)を加熱するための加熱ジャケットを併用してもよい。
(2)逆流防止機構と蒸気導入機構
本発明では、連通部(C)を経て、仕込み部(A1)で発生した蒸気が凝縮液貯留部(A2)に導入される。この蒸気は、凝縮液貯留部(A2)を経て冷却部(B)に移行するが、その一部は、凝縮液貯留部(A2)の内壁に接触し、凝縮液となって凝縮液貯留部(A2)の壁面を降下する。凝縮液が、前記仕込み部(A1)の仕込み液(3)へ混入すると、仕込み液量の増加によって仕込み部(A1)での加熱時間が延長され、フルフラールが発生する場合がある。また、凝縮液貯留部(A2)内の蒸気が仕込み部(A1)に逆流した場合にも仕込み部(A1)の仕込み液(3)量が増加する。従って、本発明では、凝縮液や蒸気の前記仕込み部(A1)への逆流を防止するため、前記蒸留部(A)の前記連通部の上端部に凝縮液および/または蒸気の逆流防止機構を配設する。
(2−1)蓋部(浅型)
このような逆流防止機構としては、図1に示すように、連通部の上端部に設けた蓋部(8)がある。仕込み部(A1)に設けた加熱装置(11)によって仕込み液(3)を加熱し蒸気を発生させると、蒸気圧によって該蓋部(8)を上方に持ち上げ、蒸気が仕込み部(A1)から凝縮液貯留部(A2)に移行する。一方、仕込み部(A1)での加熱を停止すれば蒸気圧の発生が停止し、蓋部(8)の重量によって蓋部が仕込み部(A1)上部と液密になり、凝縮液貯留部(A2)で発生した凝縮液や蒸気の逆流を防止することができる。なお、このような蓋部(8)は、仕込み部(A1)や凝縮液貯留部(A2)での蒸気圧、温度、蒸留物に対する耐性を有するものであれば、SUS、アルミニウムなどの金属のほか、ガラス、合成樹脂などで調製することができる。また、蒸留部(A)を構成する部材と同一または異なる部材によって調製してもよい。図1の蓋部(8)は、上面(8a)と側面(8b)とから構成されるものであり、従って、側面(8b)の短い浅型蓋部(8)であるが、逆流防止機構としては、例えば、上面(8a)のみで構成したものを連通部(C)の上部にヒンジなどで一部を固定して「弁」を構成したものでもよい。
(2−2)釣鐘型蓋部
他の逆流防止機構として、例えば図2に示す釣鐘型蓋部(7)を使用することもできる。図2に記載される蒸留装置(100)は、蒸気通路(6)を有するものであり、前記釣鐘型蓋部(7)は、蒸気通路(6)の上部に載置されている。この蓋部(7)は、図1の蓋部(8)よりもその側面(7b)が長く、凝縮液貯留部(A2)の底部に貯留する凝縮液中に側面(7b)端部が到達する。このため、仕込み部(A1)で発生した蒸気は、蒸気通路(6)に流入後、蒸気通路(6)と前記側面(7b)とによって構成される間隙を経て凝縮液貯留部(A2)の底部に貯留される凝縮液(5)中に導入される。このように、仕込み部(A1)からの蒸気を凝縮液貯留部(A2)の凝縮液に導入して凝縮液として確保すると、蒸気の逆流を容易に防止することができる。
また、前記釣鐘型蓋部(7)の前記側面(7b)には、フロート(9)が配設されていてもよい。フロート(9)を介して釣鐘型蓋部(7)が凝縮液中で浮遊すれば、凝縮液の液面高さに応じて釣鐘型蓋部(7)が浮遊し、仕込み部(A1)から凝縮液貯留部(A2)へ導入される蒸気の蒸気圧を一定に調整することができる。
なお、該釣鐘型蓋部(7)は、蒸気の逆流を防止することは可能であるが、蒸気通路(6)と前記側面(7b)とによって構成される間隙から凝縮液が仕込み部(A1)に逆流する可能性がある。このため、凝縮液貯留部(A2)内の凝縮液量に応じて、例えば、図2に示すように、蒸気通路(6)の下部に設けたスチーム注入器(12)からスチームを導入するなどの装置を併用することで、蒸気のみならず凝縮液の逆流を防止することができる。
(2−3)
他の逆流防止機構として、図13に示す蓋部(63)がある。低い蒸気通路(6)の上端に上面のみの蓋部(63)を設けたものであるが、凝縮液(5)中に没しても蓋部(63)が浮き上がらないような重さに調整され、または、その一部が蒸気通路(6)に固定されている。この蓋部(63)は、仕込み部(A1)で発生する蒸気を凝縮液貯留部(A2)に導入できるが、凝縮液の圧力によって仕込み部(A1)への逆流を防止できるため、「弁型蓋部」と称する。この弁型蓋部(63)は、凝縮液(5)の逆流を防止すると共に、仕込み部(A1)で発生した蒸気を凝縮液(5)中に導入し、バブリングさせる作用も有する。
なお、該弁型蓋部(63)は、蒸気の逆流を防止することは可能であるが、蓋部が上面のみで構成されるため、蓋部(63)と蒸気通路(6)との間隙から凝縮液が仕込み部(A1)に逆流する可能性がある。
また、弁型蓋部としては、図14に示すような浅型の弁型蓋部(60)であってもよい。図13に示す蓋部(63)と同様に、低い蒸気通路(6)の上端に浅型の蓋部を設けたものであり、凝縮液(5)中に没しても蓋部(60)が浮き上がらないような重さに調整され、または、図14に示すように、弱いバネ(61)などで蒸気通路(6)に固定される。この蓋部も、仕込み部(A1)で発生する蒸気を凝縮液貯留部(A2)に導入できるが、凝縮液の圧力によって仕込み部(A1)への逆流を防止できる。すなわち、弁型蓋部(60)は、仕込み部(A1)で蒸気が発生する場合は、蒸気を蒸気通路(6)から凝縮液貯留部(A2)内の凝縮液へ吹きこむが、仕込み部(A1)の温度が低下し、仕込み部(A1)の圧力が低下した場合には、仕込み部(A1)上部に密着し、凝縮液(5)を仕込み部(A1)に逆流させることがない。この弁型蓋部(60)によれば、凝縮液と蒸気の双方の逆流を防止することができる。
なお、液密を確保するため、蓋部(60、63)と蒸気通路(6)との接触部にエラストマーなどのパッキン材などを使用してもよい。
(2−4)逆流防止弁
他の逆流防止機構として、図12に示す逆流防止弁がある。本発明では、特に蒸気通路(6)の形状に制限はなく、例えば、連通部(C)を構成する蒸気通路(6)の頂部が凝縮液(5)に向かってU字型に変形する場合であってもよい。この場合、蒸気通路(6)の出口が凝縮液(5)に挿入され、かつ該出口に上記した弁型蓋部(60,63)などが図12に示すように配設されると、凝縮液および蒸気の逆流を防止することができる。
(2−5)蒸気導入機構
本発明の蒸留装置では、前記蒸留部(A)、特に仕込み部(A1)に、スチーム注入器(12)などの蒸気導入機構を設けることが好ましい。仕込み部(A1)に設けたスチーム注入器(12)などの蒸気導入機構によってスチームを導入すれば、凝縮液(5)を加熱し、蒸留することができる。仕込み部(A1)で発生する蒸気が複数の成分を含有する場合には、蒸気圧によって各成分の凝縮液(5)中への溶解度が相違するため、蒸気導入機構によって、蒸気を凝縮液に導入し、これによって凝縮液の組成を変化させることができるからである。このような蒸気導入機構としては、例えば前記したスチーム注入器(12)があり、本願発明における「仕込み部で発生した蒸気を前記凝縮液貯留部の凝縮液(5)に導入する蒸気導入機構」となる。
また、このようなスチーム注入器(12)によって、前記仕込み部(A1)で発生した蒸気を前記凝縮液貯留部(A1)の凝縮液に導入することができる。例えば、図2の釣鐘型蓋部(7)からスチーム注入器(12)によってスチームを導入すると、仕込み部(A1)内の圧力を高め、仕込み部(A1)への凝縮液(5)の逆流を防止することができる。このため、前記スチーム注入器(12)は、本発明における逆流防止機構となりうる。また、前記した釣鐘型蓋部(7)も逆流防止機構と同時に蒸気導入機構となりうる。凝縮液に仕込み部(A1)で発生した蒸気またはスチームを導入して加熱・蒸発させる際に、釣鐘型蓋部(7)が蒸気通路(6)の上部に載置されると、仕込み部(A1)で発生した蒸気が、蒸気通路(6)と前記側面(7b)とによって構成される間隙を経て、凝縮液貯留部(A2)の底部に貯留する凝縮液(5)中に導入されるからである。
更に、前記した図12に示す、U字型に変形する蒸気通路(6)も、これによって仕込み部(A1)からの蒸気を凝縮液(5)に導入することができる点で、逆流防止機構であると同時に蒸気導入機構となる。従って、本発明では、その機能を有するものであれば、逆流防止機構、蒸気導入機構、蒸気導入機構などは、それぞれ別体として存在する必要はなく、一の部材が他の部材の機能を兼ね備え、またはそれらが一体として構成されていてもよい。
(3)還流装置
蒸留部(A)には、前記冷却部(B)に導入した凝縮液の一部を前記凝縮液貯留部(A2)に還流する還流装置が配設されることが好ましい。前記したように、凝縮液貯留部(A2)内の凝縮液量によって蒸留液の組成を調整することができるが、前記還流装置を配設することで、簡便に凝縮液量を調整することができるからである。
このような還流装置を配設した蒸留装置(100)を図2〜図4、図13、図14に示す。凝縮液排出口(15)を有する還流管の内径、長さなどは特に制限なく、冷却部(B)から凝縮液貯留部(A2)に凝縮液が還流しうる、適度な傾斜を有すればよい。また、前記還流装置には、凝縮液を凝縮液貯留部(A2)に還流するためのコック(20)、系外に回収するためのコック(19)が備えられている。
(4)バブリング型蒸留装置
本発明の蒸留装置(100)の好ましい態様の一例を、図2を参照して説明する。なお、図2の蒸留装置は、仕込み部(A1)で発生した蒸気を釣鐘型蓋部を介して凝縮液貯留部(A2)の凝縮液にバブリングできるため、本願明細書ではこれを「バブリング型蒸留装置」と称する。
本発明で使用する蒸留装置は、蒸留部(A)には仕込み部(A1)と、その上段に凝縮液貯留部(A2)とが配設され、仕込み部(A1)で発生した蒸気を凝縮液貯留部(A2)より上方に導く1個または複数個の蒸気通路(6)とが備えられている。仕込み部(A1)容量は、予定仕込み液容積の少なくとも150%以上、より好ましくは180〜220%である。150%以上としたのは、仕込み部(A1)で仕込み液が沸騰する場合の泡立ちおよび加熱するために吹き込むスチームの凝縮による増加を考慮したものである。また、仕込み部(A1)の底部には原料液を加熱する加熱装置(11)と冷却管(10)とが導入され、前記仕込み部(A1)に張り込み予定仕込み液の液面上の空間部に、スチーム注入器(12)が備えられている。該スチーム注入器(12)からスチームを発生させ、凝縮液貯留部(A2)の凝縮液に導入することができる。なお、前記冷却管(10)は、仕込み部(A1)の蒸留が終了直後に冷水を通して仕込み部(A1)残留液を冷却するために使用するが、冷水に代えてスチームを通せば加熱にも使用できる。凝縮液貯留部(A2)容積は、仕込み部(A1)の容積を100とすれば、凝縮液貯留部(A2)の容積は、180〜350、より好ましくは200〜320である。180以上としたのは、蒸留部(A)および凝縮液貯留部(A2)内の蒸気の凝縮および還流装置による還流によって凝縮液貯留部(A2)液量が徐々に増加することを考慮したものである。なお、凝縮液貯留部(A2)の底部には凝縮液貯留部(A2)の加熱装置(13)が配置されている。凝縮液貯留部(A2)の凝縮液が増えすぎた場合等は、前記加熱装置(13)により加熱して液量を調整することができる。また、冷却部(B)には、凝縮液が凝縮液貯留部(A2)に還流される還流装置が配備されており、凝縮液の還流量によって、凝縮液貯留部(A2)内の凝縮液量を調整することができる。
上記蒸気通路(6)の上部は釣鐘型蓋部(7)で覆われるが、前記釣鐘型蓋部(7)にはフロート(9)が設けられており、凝縮液中を上下に移動することができる。凝縮液貯留部(A2)内に凝縮液が増えた場合にフロート(9)により前記釣鐘型蓋部(7)が浮上し、釣鐘型蓋部(7)の側面(7b)下端が液面から一定の深さを保つことができ、仕込み部(A1)の圧力を一定に保ちながら凝縮液貯留部(A2)の凝縮液の全部に対してバブリングしつつ蒸気を導入することができる。なお、フロート(9)を取り付けず、適当な深さに固定してもよい。釣鐘型蓋部(7)の高さを適当な高さに固定すると、凝縮液貯留部(A2)内の凝縮液が所定の高さに溜まってからバブリングが開始される。
なお、図2,4,13,14に示す蒸留装置もバブリング型蒸留装置である。
(5)非バブリング型蒸留装置
本発明の蒸留装置(100)の好ましい他の態様の一例を、図3を参照して説明する。なお、図3の蒸留装置は、仕込み部(A1)の蒸気が凝縮液貯留部(A2)の凝縮液にバブリングされずに冷却部(B)に移行するため、本願明細書では、これを「非バブリング型蒸留装置」と称する。
図2に示す蒸留装置との相違は、蒸気通路(6)の上端に、逆流防止機構として軽くて浅い蓋部(8)が配設され、仕込み部にスチーム注入器(12)が配設されていない点である。浅型蓋部(8)を軽い材質で作ると、仕込み部(A1)で蒸気が発生しているときは、浅型蓋部(8)は蒸気圧で持ち上がり、蒸気は浅型蓋部(8)の下端から凝縮液貯留部(A2)内にストレートに流入し、更に、冷却部(B)に移行できる。なお、仕込み部(A1)における蒸気の発生が停止され、内部が陰圧になると、浅型蓋部(8)は蒸気通路(6)上端に密着するため蒸気を逆流させることがなく、すなわち、蒸気の逆流を防止することができる。
なお、仕込み部(A1)上部にコック(25)を有する外気導入用管(17)を設け、仕込み部(A1)の加熱終了後、コック(25)を開いて外部と連通すれば、仕込み部(A1)内は大気圧に等しくなり、凝縮液貯留部(A2)からの逆流を防止することができる。
(6)回分精留機
更に、本発明の他の態様の一例を、図4を参照して説明する。
図4の蒸留装置と図3に示す蒸留装置との相違は、蒸留部(A)に、前記凝縮液貯留部と連通する棚段または充填物を配設した棚段部(A3)を有する点である。最下段(1段目)は仕込み部(A1)、その上部(2段目)に凝縮液貯留部(A2)があり、1段目から2段目へ連通する蒸気通路(6)には、フロート付き釣鐘型蓋部(7)が設けられ、その他、冷却管(10)及び加熱装置(11)が配設される。3段目より上に棚段(49、50、51)が設けられ、それぞれの棚段には液量を一定に保つためのダウンカマ(52、53、54)が設けられている。さらに還流装置により塔頂から出る蒸気を冷却機(B)により冷却して得た凝縮液の一部が最上段に還流される。棚段は種々の形式が使用可能であるが、精留塔に広く用いられている多孔板トレイを好適に使用することができる。なお、多孔板トレイは還流がなければ蒸気は多孔板を通り抜けるので精留効果は低く、還流を行えば精留効果が高くなるから多様な蒸留酒製造に対応できる。この蒸留装置において、還流装置は、冷却部(B)から凝縮液貯留部(A2)に凝縮液を還流させる構造でも、図4に示すように、棚段部(A3)に還流させる構造であってもよい。また、仕込み部(A1)からの蒸気を凝縮液貯留部(A2)に導入するための蒸気通路(6)が配置され、その上部は釣鐘型蓋部(7)で覆われている。
なお、本発明は、原料を張り込む仕込み部(A1)では極力凝縮をおさえて短時間に蒸留し、発生した凝縮液を仕込み部(A1)には混入させず、凝縮液貯留部(A2)に流入させて別途蒸留するものであれば、上記以外に様々な形態が可能であり、これらの装置は、連続式のほか、単式蒸留装置及び回分精留機に利用することができる。
(II)蒸留方法
本発明の第二は、上記蒸留装置を用いた蒸留方法であって、前記仕込み部の仕込み液を加熱して発生した蒸気を前記逆流防止機構を経て前記凝縮液貯留部に導入する工程と、前記凝縮液貯留部の蒸気を前記冷却部に導入し、前記冷却部を冷却して生じた凝縮液の一部または全部を前記凝縮液貯留部に還流し、かつ前記凝縮液の残部を留出液として得る工程と、前記凝縮液貯留部で発生および貯留する蒸気の凝縮液を加熱し、発生した蒸気を前記冷却部に導入して留出液を得る工程とを含む、蒸留方法である。本発明の蒸留方法は、連続式で行ってもよく、回分式で行うこともできる。凝縮液貯留部(A2)内で発生した蒸気の凝縮液を該貯留部において貯留することで、仕込み部(A1)への凝縮液の逆流を防止し、仕込み液量の増加を防止して加熱時間を短縮し、フルフラールの発生を防止することができる。
(1)非バブリング型蒸留方法
仕込み部(A1)からの蒸気を、凝縮液貯留部(A2)の凝縮液(5)にバブリングさせず、凝縮液貯留部(A2)の一部を構成するわたり(16)を経由して冷却部(B)にそのまま移行させるため、本願明細書では、この蒸留方法を「非バブリング型蒸留方法」と称する。
本発明の非バブリング型蒸留方法を図1を用いて説明する。なお、該装置は、仕込み部(A1)の外周に凝縮液貯留部(A2)が配設された蒸留装置(100)である。
蒸留装置(100)内に仕込み部(A1)を設け、凝縮液貯留部(A2)との連通部(C)の上を浅型蓋部(8)で覆い、仕込み部(A1)内にもろみ等を仕込み加熱装置(11)により仕込み液(3)を加熱すると、発生した蒸気は前記連通部(C)を覆った蓋部(8)を上方向へ蒸気圧で押し開け、次いで、前記蓋部(8)の側方を通って凝縮液貯留部(A2)にストレートに導入される。凝縮液貯留部(A2)内で、前記蒸気はさらに上昇し、わたり(16)をへて冷却部(B)に至り、冷却および凝縮し、留出液タンク(21)に導入される。一方、凝縮液貯留部(A2)の蒸気の一部は、凝縮液貯留部(A2)の内壁で冷却および凝縮され、内壁を流下し、凝縮液貯留部(A2)の底部に貯留する。
本発明において、原料供給口(図示せず)から、仕込み液を連続的に供給し、かつ凝縮液貯留部(A2)の凝縮液を加熱装置(13)で加熱し、凝縮液を蒸留する場合には、上記方法によって連続的に蒸留を行うことができる。
一方、該装置を用いて回分式で蒸留する場合には、加熱装置(11)などにより仕込み液(3)を加熱し、蒸留の進行により仕込み部(A1)で発生する蒸気のアルコール濃度が予め定めた値、例えば10%(v/v)以下になったとき、または仕込み部(A1)の仕込み液(3)のアルコール分が予め定めた値、例えば1%(v/v)以下になったときに仕込み部(A1)液の加熱を停止する。仕込み部(A1)から一旦留出したフルフラールは蒸発しやすく製品に移行しやすいので、仕込み部(A1)の加熱停止時期は重要である。仕込み部(A1)で発生する蒸気を採取し、アルコール濃度を分析して決定することが確実であるが、仕込み部(A1)の残留液を採取してアルコール濃度の分析を行い、このアルコール濃度から蒸気のアルコール濃度を推定して仕込み部(A1)の加熱停止時期を決定してもよい。なお、本格焼酎の蒸留においては、留出液のアルコール濃度が10〜15%(v/v)程度に低下した時に留出液の採取を終了することが一般的である。
次いで、凝縮液貯留部(A2)内の凝縮液を加熱装置(13)で加熱して蒸留し、留出液タンク(21)に回収される留出液のアルコール濃度が予め定めた値より低くなったとき蒸留を終了する。蒸気の一部は、凝縮液貯留部(A2)内で冷却されて凝縮し、凝縮液貯留部(A2)の底部に貯留されるが、この凝縮液は、仕込み部(A1)の蒸留が終了した後に、蒸留してもよく、仕込み部(A1)の蒸留と共に蒸留してもよい。同時に蒸留すれば、蒸留時間を短縮することができる。なお、凝縮液貯留部(A2)の加熱を行う際には、仕込み部(A1)内の残留液の沸騰を押さえるために、冷却管(10)などを使用して仕込み部(A1)内の残留液の沸騰を押さえることが好ましい。沸騰によるフルフラールの蒸発を防止するためである。
本発明の非バブリング型蒸留方法は、仕込み部(A1)と凝縮液貯留部(A2)とが、上下に配置する装置でも実施することができる。例えば、図3に、仕込み部(A1)と凝縮液貯留部(A2)とを上下に配設した蒸留装置(100)を示す。図3の装置によれば、仕込み部(A1)と凝縮液貯留部(A2)とが上下に配置されるため、凝縮液貯留部(A2)の面積を広く確保することができ、凝縮液を冷却部(B)から還流装置を経て凝縮液貯留部(A2)する際に、還流装置を配設する自由度が向上する。この蒸留装置(100)の仕込み部(A1)に仕込み液(3)を張り込んで加熱すると、仕込み部(A1)で発生した蒸気は蒸気通路(6)を通って上昇し、蒸気通路(6)の上部を覆う蓋部(8)の側方を通ってストレートに凝縮液貯留部(A2)の空間部に入ってさらに上昇し、蒸気の大半はそのままわたり(16)へ流れる。仕込み部(A1)での加熱停止条件などは、図1の装置の場合と同様である。
本発明の方法では、仕込み部(A1)で発生する蒸気の凝縮を抑えると、仕込み部(A1)での加熱時間が短縮され、更にフルフラールの発生量が減少する。例えば、仕込み部(A1)の外周を断熱材で被覆するなどして仕込み部(A1)と連通部(C)、蓋部(31)を外部と十分に断熱し、仕込み部(A1)内の温度を均一に保ち、蒸留操作を行うことが好ましい。なお、仕込み部(A1)での加熱を停止して残留液を冷却すると、仕込み部(A1)内が減圧となり、凝縮液貯留部(A2)から仕込み部(A1)へ向かう気流が発生する。しかしながら、蒸気通路(6)の上端に設けられた蓋部(8)の逆流防止機構によって、凝縮液の仕込み部(A1)への混入を防止することができる。
本発明の非バブリング型蒸留方法において、凝縮液の還流を行うこともできる。例えば、図3に示す装置を使用する場合には、蒸留操作開始直後に還流により凝縮液貯留部(A2)の液量を予め定めた量、例えば仕込み液容積の10%まで貯留した後に、冷却部(B)の凝縮液を留出タンク(21)で回収してもよい。これによって、留出液成分の安定化を図ることができる。
本発明では、凝縮液貯留部(A2)に溜まる凝縮液の液量を制御することで留出液の組成を調整できることが判明した(実施例参照)。すなわち、非バブリング型蒸留方法によれば、仕込み部(A1)から上昇してきた蒸気の大半は凝縮液貯留部(A2)内を素通りして冷却部(B)に流入するので、従来の単式蒸留装置に近いタイプの蒸留酒を製造することができる。一方、仕込み部(A1)及び/または凝縮液貯留部(A2)の加熱時間を長くして蒸発量を増やすと留出液の味を濃厚にすることができる。また、還流液量を少なくして留出液の香味を濃厚にすることができる。逆に、仕込み部(A1)及び/または凝縮液貯留部(A2)の加熱時間を短くして蒸発量を減らすと留出液の味を淡麗にすることができ、還流液量を大きくすると香味を淡麗にすることができる。例えば、仕込み部(A1)のアルコール濃度が、蒸留の進行により予め定めた値、例えば1.0%(v/v)に低下するまで留出液を全量還流して凝縮液貯留部(A2)に凝縮液を溜め、その後仕込み部(A1)の蒸留を停止して凝縮液貯留部(A2)の蒸留を行えば、凝縮液の全量を蒸留したことになり、酸度の低い、淡麗な蒸留酒が得られる。このように、本発明の蒸留方法によれば、フルフラールの生成量を低減するのみならず、従来の風味のものから、酸度が低く、軽快な酒質の蒸留酒まで選択して製造することができる。
上記した蒸留方法は、常圧蒸留装置のみでなく、減圧蒸留装置にも利用できる。
(2)バブリング型蒸留方法
仕込み部(A1)からの蒸気を、凝縮液貯留部(A2)にバブリングしながら導入する蒸留方法を「バブリング型蒸留方法」と称する。
留出液タンク(21)に回収される留出液の組成は、凝縮液貯留部(A2)内の凝縮液の液量に依存して変化し、また、凝縮液貯留部(A2)内の凝縮液の組成の変化によっても変化する。凝縮液貯留部(A2)の凝縮液に蒸気を導入すると、凝縮液の組成を調整することができる。この蒸留方法を図2を用いて説明する。
図2の装置は、仕込み部(A1)と凝縮液貯留部(A2)とが上下に配置され、連通部(C)として機能する蒸気通路(6)の上部には、釣鐘型蓋部(7)が載置され、かつ冷却部(B)の凝縮液を凝縮液貯留部(A2)に還流する還流装置が配設され、仕込み部(A1)にはスチーム注入器(12)が配備されている。
該蒸留装置(100)によるバブリング型蒸留方法は、回分式で行われる。仕込み部(A1)を加熱すると発生した蒸気が蒸気通路(6)を通って上昇し、釣鐘型蓋部(7)によって釣鐘型蓋部(7)の側方から凝縮液貯留部(A2)の底部に蒸気が吹き込まれ、凝縮液となる。凝縮液が所定量存在すれば、その後導入される蒸気は、凝縮液に吹き込まれ、凝縮液との間で熱交換され、蒸気中の高沸点成分の凝縮、凝縮液中の低沸点成分の蒸発が行われる。本発明では、上記熱交換や蒸気成分の凝縮液中への導入を効果的に行うため、還流装置によって凝縮液の一部を凝縮液貯留部(A2)に還流して凝縮液量を調整する。また、仕込み部(A1)の加熱停止後は、スチーム注入器(12)からスチームを供給し、釣鐘型蓋部(7)の側方から凝縮液貯留部(A2)の底部にスチームを吹き込む。仕込み部(A1)での加熱停止条件などは、非バブリング型蒸留方法と同様である。
バブリング型蒸留方法では、蒸留開始時に冷却部(B)の凝縮液を凝縮液貯留部(A2)に還流し、一定量の凝縮液を凝縮液貯留部(A2)に溜めるが、凝縮液貯留部(A2)内の蒸気の凝縮によっても凝縮液貯留部(A2)の凝縮液量が徐々に増加する。しかしながら、凝縮液のフルフラール濃度は低く、凝縮液の加熱蒸留に時間を要しても、フルフラールは新たに生成しないので、フルフラールの留出液への移行を低減することができる。なお、予め凝縮液貯留部(A2)に一定量の水、目的留出物の一部などを入れて蒸留操作を開始すれば、還流液を貯留するための時間を短縮することができる。
上記したバブリング型蒸留方法によれば、通常の蒸留塔の1段に相当する精留効果があるため、よりアルコール濃度の高い留出液が得られる。
なお、バブリング型蒸留方法によれば、蒸留開始時の凝縮液貯留部(A2)の凝縮液の液量が多いほど留出液のアルコール濃度が低くなるが、前記した非バブリング型蒸留方法では、凝縮液貯留部(A2)に溜まった液だけが後から蒸留されるため、凝縮液貯留部(A2)液量が多いほど留出液タンクに回収される蒸留酒などの留出液の香味が淡麗となる。本発明では、このように、バブリング型蒸留方法と非バブリング型蒸留方法との二つの方法によって、風味の異なる蒸留酒を製造することができる。
(3)棚段部付き蒸留方法
本発明の第三は、前記凝縮液貯留部に、精留機能を備えた棚段または充填物が配される蒸留装置を使用し、前記仕込み部の仕込み液を加熱し、加熱により発生した仕込み部の蒸気のアルコール濃度、または仕込み液のアルコール濃度が所定値以下となった場合に前記仕込み部の加熱を停止し、次いで、前記凝縮液貯留部の前記凝縮液を加熱し、発生した蒸気を前記冷却部に導入して留出液を得ることを特徴とする蒸留方法である。この方法は、前記したバブリング型蒸留方法に、更に棚段部が加味されたものである。
この蒸留方法に好適な蒸留装置を図4に示す。図4の装置は、仕込み部(A1)と凝縮液貯留部(A2)とが上下に配置され、仕込み部(A1)と凝縮液貯留部(A2)とは蒸気通路(6)で連通し、更に凝縮液貯留部(A2)の上部に棚段または充填物を配設した棚段部(A3)とが配置されている。なお、前記棚段部(A3)は、凝縮液貯留部(A2)と連通し、かつ前記冷却部(B)で生じた凝縮液の一部または全部を凝縮液貯留部に還流する還流装置が配設されている。また、仕込み部(A1)からの蒸気を凝縮液貯留部(A2)に導入するための蒸気通路(6)が配置され、その上部は釣鐘型蓋部(7)で覆われている。なお、仕込み部(A1)には、スチーム注入器(12)が配備されている。
本発明の蒸留方法では、まず、仕込み部(A1)に仕込み液(3)を張り込んで加熱し、得られる蒸気を蒸気通路(6)の上部にある釣鐘型蓋部(7)を介して凝縮液貯留部(A2)に導入し、次いで凝縮液貯留部(A2)を経て棚段部(A3)に導入し、凝縮液貯留部(A2)および棚段部(A3)で発生し、流下する凝縮液を凝縮液貯留部(A2)に溜める。この際、還流装置により冷却部(B)で生じた凝縮液の一部または全部棚段部(A3)に還流する。蒸留の進行により仕込み部(A1)で発生する蒸気のアルコール濃度または仕込み部(A1)のアルコール濃度が、予め定めた値、例えば、1.0%(v/v)以下となったとき、仕込み部(A1)の加熱を停止し、直ちに仕込み部(A1)内の残存液を冷却管(10)で冷却して沸騰を押さえ、以後は仕込み部(A1)上部に設けたスチーム注入器(12)によりスチームを注入し、還流装置により還流を行いながら蒸留し、凝縮液の一部はバルブ(19)を開いて留出液タンク(21)へ留出させる。留出液タンク(21)に回収される留出液のアルコール濃度が予め定めた値より低くなったとき蒸留を終了する。
すなわち、仕込み部(A1)からの蒸気は全量凝縮液貯留部(A2)に導入し凝縮液として貯留し、仕込み部(A1)の蒸留が終わってから凝縮液貯留部(A2)の凝縮液を蒸留する。仕込み部(A1)の加熱を停止するとフルフラールは発生せず、従って、凝縮液貯留部(A2)および精留部(A3)フルフラール量は増加しないから、精留部(A3)を介して精製すれば、フルフラールを効率的に分離することができる。
上記蒸留方法によると、仕込み部(A1)で凝縮を極力小さくして短時間で蒸留し、その留出液を上部の精留部で精留するため、仕込み部(A1)におけるフルフラールの生成量が減少し、フルフラールの留出量を減少させることができる。
なお、本発明の蒸留方法において、予め定めたアルコール量は、蒸留条件や目的とする蒸留物の風味などに応じて、適宜選択することができる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
実施例1(バブリング型)
(1) 図2に示す蒸留装置を使用した。仕込み部(A1)は円筒状で、容量2,000mlのガラス製セパラブルフラスコ、凝縮液貯留部(A2)は円筒状で容量1,400mlのガラス製であり、内径15mm、外径35mm、高さ85mmの蒸気通路(6)が1つ設けられ、前記蒸気通路(6)の上部に、下端にガラス製フロート(9)が設けられた深さ100mm、半径50mmのアルミ製釣鐘型蓋部(7)が被覆されている。また、仕込み部(A1)の外部には、図示しない加熱ジャケットが設けられている。
(2) 仕込み部(A1)に発酵の終了したもろみ500ml(黒糖焼酎もろみ、アルコール16.2%(v/v)、酸度6.1)を入れ加熱ジャケットにより外部から緩やかに加熱し、もろみ温度が70℃に達した後、加熱装置(11)からスチームを吹き込んでもろみ温度を99℃まで加熱した。凝縮液貯留部(A2)に凝縮液が50ml溜まるまで、コック20を開、コック19を閉とし、凝縮液出口から凝縮液を凝縮液貯留部(A2)に還流し、その後、コック19を開として、留出液タンク(21)に留出液を採取した。留出液は12.5mlずつ分割採取した。また、仕込み部(A1)のもろみを5mlづつ採取してそのアルコール濃度を測定した。
仕込み部(A1)のもろみのアルコール濃度が0.7%(v/v)となったとき(仕込み原料の17.5%が留出)、仕込み部(A1)への加熱装置(11)からのスチーム吹き込みを停止し、以後はスチーム注入器(12)より5g/minでスチームを吹き込んで凝縮液貯留部(A2)の凝縮液をバブリングしながら蒸留した。
対照として図5に示す円筒状、容量2,000mlのガラス製セパラブルフラスコを使用し、仕込み部に上記と同一のもろみを500ml入れ、図示しない加熱ジャケットにより穏やかに加熱し、もろも温度を70℃に加熱した後、加熱装置(11)からスチームを吹き込んでもろみ温度を99℃に加熱および蒸留し、留出液タンク(21)から留出液を12.5mlづつ分割採取した。
(3) 実施例(バブリング型)および対照において、留出液のアルコール濃度が10.0%(v/v)を下回る最初の区分まで分取した。バブリング型における当該画分は、区分1〜10(アルコール分83.0〜9.5%(v/v))であり対照は、区分1〜13(アルコール分77.0〜9.55%(v/v))であった。
バブリング型の区分1〜10、および対照の区分1〜13を一定量づつ混合して「混合試料」とした。また、前記混合試料のアルコール濃度を蒸留水で25%(v/v)に調整し、アルコール濃度調整試料とした。
(4) 前記混合試料についてアルコール濃度を測定した。また、アルコール濃度調整試料について、酸度、275nm紫外部吸収、フルフラール濃度を測定した。
i)アルコール
アルコールはアルコメイト(理研計器AL−2型)で測定した。
i)酸度
検体5mlにフェノールフタレイン指示薬を1〜2滴加え、N/100水酸化ナトリウム溶液で滴定し、その滴定数に2を乗じた値を酸度とした。
ii)フルフラール
新たに蒸留したアニリン9.0を氷酢酸5.7mlと混和し、混合液3mlにエチルアルコールを加えて100mlとし、アニリン酢酸溶液とした。また、新たに蒸留したフルフラール1gを100mlのエチルアルコールに溶かし、この1mlを50%(v/v)アルコール100mlに溶かした。この液は、フルフラールの含量0.1mg/mlであるから、適宜水で薄めて5ml中に0.01〜0.2mgのフルフラールを含むフルフラール標準溶液系列を作った。
フルフラール標準溶液5mlをとりアニリン酢酸溶液15mlを加え、よく振り混ぜて18℃に1時間放置後、505nmで吸光度を測定して検量線を作成し、同様に検体5mlをとりアニリン酢酸溶液15mlを加え、よく振り混ぜて18℃に1時間放置後、505nmで吸光度を測定し、検量線からフルフラールの濃度を求め、その数値を20倍して検体100ml中のフルフラール量(mg)とした。
iii)275nm紫外部吸収
フルフラール濃度は275nmにおける紫外部吸収と相関するため、試料をメンブラランフィルター(ミリポア0.45μm)でろ過した後、10mmセルを用いて分光光度計(日立U−2001型)により275nmにおける紫外部吸収測定した。
(5) 結果
(i) アルコールの濃度
仕込み部(A1)の仕込み液及び分割採取した留出液のアルコール濃度を図6に示す。留出液のアルコール濃度は対照と比較し高めに推移し、仕込み部(A1)への加熱装置(11)からのスチーム吹込み停止後にアルコール濃度は急激に低下した。
(ii) 紫外部吸収(275nm)
図7に示すように、蒸留開始からスチーム停止時までは、バブリング型および対照とは、紫外部吸収(275nm)が略同じように推移した。しかし、バブリング型では、仕込み部(A1)で加熱装置(11)からのスチーム供給を停止した後、留出液8区分から留出液中の紫外部吸収(275nm)が急激に減少したが、対照では急激に増加した。
(iii) 留出液の酸度
酸度の測定結果を図8に示す。バブリング型における留出液の酸度は最初から対照より低く推移し、仕込み部(A1)での加熱装置(11)からのスチームの吹き込みを停止した後、さらに酸度は低下した。
(iv) 採取試料の組成
バブリング型および対照における混合試料のアルコール濃度、酸度、フルフラール、紫外部吸収(275nm)の測定結果を表1に示す。
バブリング型のアルコール濃度調整試料は、対照よりアルコール濃度が13.6ポイントと大幅に高く、アルコール回収率は対照と比較し3ポイント低かった。フルフラール及び紫外部吸収(275nm)は、バブリング型は対照と比較し大幅に低く、また酸度もバブリング型が対照に比べ大幅に低かった。以上より、バブリング型の蒸留方法は、従来の単式蒸留機と比較しフルフラール及び酸度の減少に効果的であった。
Figure 0004898358
実施例2(非バブリング型)
(1) 図3に示す蒸留装置を使用した。仕込み部(A1)は円筒状で、容量2,000mlのガラス製セパラブルフラスコ、凝縮液貯留部(A2)は円筒状で容量1,400mlのガラス製であり、内径15mm、外径33mm、高さ85mmの蒸気通路(6)が1つ設けられ、前記蒸気通路(6)の上部に、ガラス製の浅い蓋部(8)が被覆されている。実施例1と同様に、仕込み部(A1)の外部には、図示しない加熱ジャケットが設けられている。
(2) 仕込み部(A1)に発酵の終了したもろみ400ml(黒糖焼酎もろみ、アルコール16.3%(v/v)、酸度6.6)を入れ加熱ジャケットで外部から緩やかに加熱し、もろみ温度が70℃に達した後、加熱装置(11)からスチームを吹き込んでもろみ温度を99℃まで加熱および蒸留し、留出液タンク(21)から留出液を10mlずつ分割採取した。実施例1と同様に、留出液量が仕込み原料の17.5%(区分7)となるまで仕込み部(A1)へ加熱装置(11)からスチーム吹き込みを行った後停止し、それ以後は凝縮液貯留部(A2)の凝縮液(5)に加熱装置(14)からスチームを吹き込んで蒸留した。
対照として図5に示す円筒状、容量2,000mlのガラス製セパラブルフラスコを使用し、仕込み部に上記と同一のもろみを400ml入れ、図示しない加熱ジャケットにより穏やかに加熱し、もろも温度を70℃に加熱した後、加熱装置(11)からスチームを吹き込んでもろみ温度を99℃まで加熱および蒸留し、留出液タンク(21)から留出液を10mlづつ分割採取した。
(3) 分割採取した試料のアルコール濃度が10.0%(v/v)を下回る最初の区分まで分取した。非バブリング型における当該画分は、区分1〜12(アルコール分80.00〜8.45%(v/v))であり対照は、区分1〜13(アルコール分79.50〜10.00%(v/v))であった。
非バブリング型の区分1〜12、および対照の区分1〜13を一定量づつ混合して「混合試料」とした。また、前記混合試料のアルコール濃度を蒸留水で25%(v/v)に調整し、アルコール濃度調整試料とした。この試料について、実施例1と同様に分析を行った。
(4) 結果
(i) アルコールの濃度
アルコールの濃度の推移を図9に示す。非バブリング型の蒸留初期(区分1〜4)のアルコール濃度は、対照とほぼ同様に推移したが、区分5〜7は対照よりアルコール濃度が低下した。また、加熱装置(11)からのスチーム吹き込みの停止後、凝縮液貯留部(A2)の凝縮液の蒸留を開始した直後のアルコール濃度は対照より12.5ポイント高くなった。
(ii) 紫外部吸収(275nm)
図10に示すように、非バブリング型では、加熱装置(11)からのスチーム吹き込みの停止後、留出液の紫外部吸収(275nm)は急激に減少した。
(iii) 留出液の酸度
酸度の測定結果を図11に示した。非バブリング型では、加熱装置(11)からのスチーム吹き込みの停止後、対照と比較し酸度も急激に減少した。なお、図8と図11とを比較すると、バブリング型は非バブリング型と異なり最初から凝縮液を蒸留するため、非バブリング型よりも酸度が低くなっている。
(iv) 採取試料の組成
非バブリング型および対照における混合試料のアルコール濃度、酸度、フルフラール、紫外部吸収(275nm)の測定結果を表2に示す。
非バブリング型のアルコール濃度調整試料は、フルフラール濃度、紫外部吸収(275nm)及び酸度は対照に比べ大幅に低かった。一方、アルコール回収率及び混合試料のアルコール濃度には大きな差はなかった。以上のことから、非バブリング型の蒸留方法は、フルフラール及び酸度の減少に効果的であった。
Figure 0004898358
本発明の原理を示す回分蒸留装置を示す図である。 本発明の実施形態を示すバブリング型回分蒸留装置を示す図である。 本発明の実施形態を示す非バブリング型回分蒸留装置を示す図である。 本発明の実施形態を示す棚段を配設した蒸留装置を示す図である。 従来の本格焼酎製造用単式蒸留装置を示す図である。 実施例1における仕込み部(A1)液及び分割採取した留出液のアルコールの濃度を示す図である。 実施例1における分割採取した留出液の紫外部吸収(275nm)を示す図である。 実施例1における分割採取した留出液の酸度を示す図である。 実施例2における分割採取した留出液のアルコール濃度を示す図である。 実施例2における分割採取した留出液の紫外部吸収(275nm)を示す図である。 実施例2における分割採取した留出液の酸度を示す図である。 蒸気導入機構の態様を示す図である。 本発明の実施形態を示すバブリング型回分蒸留装置の一例を示す図である。 本発明の実施形態を示すバブリング型回分蒸留装置の一例を示す図である。
符号の説明
A・・・蒸留部、
A1・・・仕込み部、
A2・・・凝縮液貯留部、
A3・・・棚段部、
B・・・冷却部、
C・・・連通部、
3・・・仕込み液、
5・・・凝縮液、
6・・・蒸気通路、
7・・・蓋部(釣鐘型)、
8・・・蓋部(浅型)、
9・・・フロート、
10・・・冷却管、
11、13・・・加熱装置、
14・・・副加熱装置
12・・・スチーム注入器、
15・・・還流液出口、
16・・・わたり、
17・・・外気導入用管、
19、20、25・・・バルブ、
21・・・留出液タンク、
49、50、51・・・棚段、
52、53、54・・・ダウンカマ、
60、63・・・弁型蓋部、
61・・・バネ、
100・・・蒸留装置。

Claims (9)

  1. 蒸留部と、前記蒸留部で発生した蒸気を冷却するための冷却部とを有する蒸留装置であって、
    前記蒸留部は、蒸留部の内部を隔壁で仕切って形成された仕込み液の仕込み部と、前記仕込み部以外の部分であって前記冷却部と連通する凝縮液貯留部とからなり、
    前記仕込み部の上端には、前記仕込み液の加熱により発生する蒸気を凝縮液貯留部に導入する連通部が形成され、
    前記凝縮液貯留部は、前記蒸気が導入されおよび凝縮されてなる凝縮液を貯留するものであり、
    かつ前記連通部の上端部は、前記凝縮液貯留部内の蒸気および/または凝縮液を前記仕込み部に逆流させない逆流防止機構が配設されることを特徴とする、蒸留装置。
  2. 前記逆流防止機構は、逆流防止弁または、前記連通部の上端部に載置された釣鐘型蓋部である、請求項1記載の蒸留装置。
  3. 前記蒸留部には、前記仕込み部で発生した蒸気を前記凝縮液貯留部に導入する蒸気導入機構が設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の蒸留装置。
  4. 前記仕込み部には、仕込み液を加熱する加熱装置が設けられ、前記凝縮液貯留部には、前記凝縮液を加熱する加熱装置が設けられ、かつ前記蒸留部から留出した蒸気を前記冷却部に導入して生じた凝縮液の一部または全部を前記凝縮液貯留部に還流する還流装置が配設されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の蒸留装置。
  5. 前記凝縮液貯留部には、精留機能を備えた棚段または充填物が配されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の蒸留装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の蒸留装置を用いた蒸留方法であって、
    前記仕込み部の仕込み液を加熱して発生した蒸気を前記逆流防止機構を経て前記凝縮液貯留部に導入する工程と、
    前記凝縮液貯留部の蒸気を前記冷却部に導入し、前記冷却部を冷却して生じた凝縮液の一部または全部を前記凝縮液貯留部に還流し、かつ前記凝縮液の残部を留出液として得る工程と、
    前記凝縮液貯留部で発生および貯留する蒸気の凝縮液を加熱し、発生した蒸気を前記冷却部に導入して留出液を得る工程とを含む、蒸留方法。
  7. 前記仕込み液は、前記仕込み部容量の67%以下である、請求項6記載の蒸留方法。
  8. 前記仕込み部の仕込み液の加熱が、前記仕込み部の下部に配置された蒸気導入機構によってスチームを導入して行うものである、請求項6または7記載の蒸留方法。
  9. 前記仕込み部の仕込み液を加熱し、加熱により発生した仕込み部の蒸気のアルコール濃度、または仕込み液のアルコール濃度が所定値以下となった場合に前記仕込み部の加熱を停止し、次いで、前記凝縮液貯留部の前記凝縮液を加熱し、発生した蒸気を前記冷却部に導入して留出液を得ることを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の蒸留方法。
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