JP4897581B2 - 親水化磁性体内包粒子の製造方法、親水化磁性体内包粒子及び免疫測定用粒子 - Google Patents

親水化磁性体内包粒子の製造方法、親水化磁性体内包粒子及び免疫測定用粒子 Download PDF

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Description

本発明は、クロマト展開性に優れ、高感度な免疫測定を行うことが可能な親水化磁性体内包粒子の製造方法、親水化磁性体内包粒子及び免疫測定用粒子に関する。
測定試料中に含有される被検物質を検出する方法としては、例えば、抗原−抗体反応を利用した酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、ラテックス凝集法、免疫クロマト法等の、生物学的反応を利用した種々の方法が提案されている。なかでも、簡便かつ迅速であることから、免疫クロマト法が多用されるようになってきている。
免疫クロマト法では、通常、少なくとも2種類の抗体を利用したサンドイッチ法が採用されている。即ち、金属コロイドや着色粒子を支持体として、アイソトープ、酵素、蛍光物質等で標識された抗体を含む試薬と測定試料とを反応させ、測定試料中に含まれる抗原と標識抗体とを結合し、これをもう一つの抗体が固定化されたクロマト担体に流すことにより、クロマト担体中に抗原を捕捉し、捕捉された抗原を標識をもとに分析するというものである。
このような免疫クロマト法等に供するための支持体として、磁性体内包粒子が注目されている。磁性体内包粒子は、以前からラジオイムノアッセイ等において磁性により効率よく簡便にB/F分離を行うための支持体としての利用が提案されていたが、磁性体内包粒子の磁性量を標識とすることにより、他の標識物質で標識せずに分析を行うことができる等の利点があるとされる(特許文献1〜3)。
しかしながら、実際に磁性体内包粒子を免疫クロマト法に用いると、磁性体内包粒子がクロマト担体中に滞留してしまったり、展開させる側のクロマト先端部位付近に不均一に残留してしまったりする等、金属コロイドや着色粒子に比べてクロマト展開性が大きく劣るという問題があった。
また、免疫測定用粒子として使用する際に、測定試料中の抗原又は抗体が非特異吸着を生じる恐れがあり、これを防止するためには、ブロッキング剤によるブロッキング処理を施さなければならないという問題があった。
更に、免疫測定用粒子として使用する際に、磁性体内包粒子と抗原又は抗体とを物理的に吸着させる方法では、経時的な安定性に欠け、吸着させた抗原又は抗体が脱離したりするという問題があった。
こうした問題を解決するために、疎水性モノマーからなる磁性体内包粒子表面を親水性モノマーで被覆することによって、コア・シェル型粒子を形成する方法が考えられる。しかしながら、このような方法では、重合方法が煩雑になるため、工業的に好ましくないという問題があった。
特開平6−148189号公報 特開平7−225233号公報 特表2001−524675号公報
本発明は、上記現状に鑑み、クロマト展開性に優れ、高感度な免疫測定を行うことが可能な親水化磁性体内包粒子の製造方法、親水化磁性体内包粒子及び免疫測定用粒子を提供することを目的とする。
本発明は、有機高分子物質と前記有機高分子物質中に1〜30nmの分散径で分散した磁性体とからなる平均粒子径50〜500nmの磁性体内包粒子を、濃度が20ppm以上のオゾン水を用いて親水化処理する工程を有する免疫クロマト法用の親水化磁性体内包粒子の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、磁性体内包粒子を所定の濃度のオゾン水を用いて処理することによって、極めて均一に親水化することができ、親水化して得られた親水化磁性体内包粒子を、例えば、免疫クロマト法に用いると、測定対象物質等の非特異吸着を抑制し、高いクロマト展開性が発揮できることを見出し、本発明を完成するに至った。
これは、オゾン水処理により、有機高分子物質表面の疎水性構造部分が酸化されたり、ベンゼン環や未反応の二重結合がオゾンと反応したりすることにより、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基等の親水性基が生成するためと考えられる。
上記磁性体内包粒子は、有機高分子物質と前記有機高分子物質中に分散した磁性体とからなる。
上記有機高分子物質は、上記磁性体内包粒子のマトリックスとしての役割を有する。
上記有機高分子物質としては、スチレン系モノマーに由来するセグメントを有する共重合体、すなわち、ポリスチレン系樹脂であることが好ましい。スチレン系モノマーに由来するセグメントを有することにより、上記磁性体内包粒子の水系媒体中における分散性が向上することに加え、後述するようにオゾン水を用いて親水化処理をした場合に、上記磁性体内包粒子の表面にカルボキシル基を生成することができる。
上記スチレン系モノマーとしては特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等、又は、二官能性のジビニルベンゼン等が挙げられる。これらのスチレン系モノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記スチレン系モノマーに由来するセグメントの含有量の好ましい下限は60重量%である。60重量%未満であると、得られる上記磁性体内包粒子の水系媒体中での分散性が劣ることがある。
上記有機高分子物質は、スチレン系モノマーに由来するセグメントのほかに、反応性官能基を含有するビニルモノマーに由来するセグメントを有していてもよい。反応性官能基を含有するビニルモノマーに由来するセグメントを有することにより、該反応性官能基を介して抗原や抗体を容易に結合することができる。
上記反応性官能基を含有するビニルモノマーの反応性官能基としては、抗原や抗体等を共有結合により結合可能なものであれば特に限定されず、例えば、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、トリエチルアンモニウム基、ジメチルアミノ基、スルホン酸基等が挙げられる。このような反応性官能基を含有するビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、グリシジル(メタ)アクリレート、トリエチルアンモニウム(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの反応性官能基を含有するビニルモノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記共重合体は、その他のビニルモノマーに由来するセグメントを有していてもよい。
その他のビニルモノマーとしては特に限定されず、例えば、塩化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体等が挙げられる。これら単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記共重合体は、架橋性モノマーに由来するセグメントを有していてもよく、これらのセグメントにより架橋が施されていてもよい。
上記架橋性モノマーとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体等が挙げられる。これら架橋性単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記磁性体は、上記有機高分子物質中に分散されている。
上記磁性体としては特に限定されないが、残留磁気がない超常磁性を有するものが好適である。残留磁気があると自己凝集しやすくなり、クロマト展開性が劣ることがある。
上記超常磁性を有する磁性体としては特に限定されず、例えば、四三酸化鉄(Fe)、γ−重三二酸化鉄(γ−Fe)等の各種フェライト類;鉄、マンガン、コバルト等の金属又はこれらの合金等が挙げられる。なかでもフェライト類が好適であり、なかでも四三酸化鉄(Fe)が好適である。
このような磁性体としては、Fe2+とFe3+を1:2の割合で含む混合液を塩基性の溶液に滴下することでFeが得られる共沈反応法により調製したもの等を用いることができる。また、フェリコロイドHC−50(タイホー工業社製)、HX―20(シグマハイケミカル社製)等の市販品も用いることができる。
上記有機高分子物質中における磁性体の分散径の好ましい下限は1nm、好ましい上限は30nmである。1nm未満であると、磁性体の製造自体が困難であることに加え、磁性体の磁性応答特性が減少し、標識として用いたときの感度が低下することがある。30nmを超えると、残留磁気を生じやすくなり、自己凝集しやすくなることに加え、磁性体が磁性体内包粒子の表面に露出しやすくなることがある。より好ましい下限は5nm、より好ましい上限は20nmである。
上記磁性体内包粒子中における磁性体の含有量の好ましい下限は50重量%、好ましい上限は80重量%である。50重量%未満であると、磁性量が低く、極微量の測定対象成分を分析する際に検出が困難となることがある。80重量%を超えると、自己凝集しやすくなったり、磁性体内包粒子全体の重量が大きくなり過ぎたりしてクロマト展開性が劣ることがある。より好ましい下限は60重量%、より好ましい上限は70重量%である。
上記磁性体内包粒子は、平均粒子径の下限が50nm、上限が500nmである。50nm未満であると、媒体中に懸濁させたときの分散安定性が悪くなって自己凝集しやすくなり、500nmを超えると、クロマト担体の孔を通過しにくくなり、クロマト展開性が劣る。好ましい下限は100nm、好ましい上限は400nmである。
上記磁性体内包粒子は、粒子径のCV値が50%未満であることが好ましい。50%以上であると、粒子径の大きい粒子がクロマト担体の孔を通過しにくくなり、クロマト担体中に残存することがある。
上記磁性体内包粒子は、上記有機高分子物質を構成する炭素元素と上記磁性体を構成する金属元素との構成比率の絶対偏差の好ましい上限が0.3である。
なお、本明細書において絶対偏差とは、上記有機高分子物質を構成する炭素元素と、磁性体を構成する金属元素の同期発光を測定し、粒子毎の炭素元素と金属元素との混在比率のバラツキから算出したその測定データの分散状態を示す偏差値であって、磁性体内包粒子の磁性体含有量のバラツキを示すパラメータである。上記絶対偏差の数値が小さいほど磁性体含有量のバラツキが小さく、即ち磁性体内包粒子の均一性が高く、大きいほど磁性体含有量のバラツキが大きい、即ち磁性体内包粒子の均一性が低いことを示す。
上記絶対偏差が0.3を超えると、免疫測定法に利用した場合に、測定再現性や定量性が低くなり測定精度が悪化することがあり、得られる測定データの信頼性が低くなる。より好ましい上限は0.27、更に好ましい上限は0.25、特に好ましい上限は0.20である。
上記磁性体内包粒子は、平均粒子径が50〜500nmであり、上記磁性体は、分散径が1〜30nmであることが好ましい。
このような平均粒子径等を有することによって、自己凝集を抑制することができ、上記磁性体内包粒子を支持体として、抗原や抗体等を結合又は吸着させた免疫測定用粒子は、通常孔径が5〜20μmであるクロマト担体中を容易に展開(移動)することができる。更に、クロマト担体に非特異的に吸着することもないことから、クロマト展開性にも極めて優れる。従って、上記磁性体内包粒子を用いてなる免疫測定用粒子を用いれば、磁性体内包粒子の磁性量を標識として分析を行う免疫測定法、特に免疫クロマト法を好適に行うことができる。
上記磁性体内包粒子を製造する方法としては特に限定されず、例えば、懸濁重合法、マイクロサスペンジョン重合法、ミニエマルジョン重合法、分散重合法等を応用した方法が挙げられる。なかでも、粒子径の小さな粒子を容易に製造することができることから、ミニエマルジョン重合法を応用した方法が好適である。
具体的には、例えば、特開2006−292721号公報に開示されているように、有機溶媒中に磁性体を分散させた磁性体分散液と、モノマー、重合開始剤、及び、共界面活性剤を含有するモノマー溶液とを混合してモノマー混合液を調製する工程1、前記モノマー混合液を、界面活性剤を溶解させた水系媒体に滴下し、微分散させることにより、不均一なモノマー液滴が形成したミニエマルジョン溶液を調製する工程2、前記モノマー液滴を重合させ、磁性体内包粒子分散液を調製する工程3、及び、前記磁性体内包粒子分散液から、磁気分離法により磁性体含有率が50〜80重量%の粒子を分画し、回収する工程4を有する磁性体内包粒子の製造方法が挙げられる。
本発明の親水化磁性体内包粒子の製造方法は、上記磁性体内包粒子を、濃度が20ppm以上のオゾン水を用いて親水化処理する工程を有する。
本明細書において、上記オゾン水とは、オゾンガスが水に溶解してなるものをいう。
一般に、親水化処理を行うためには、オゾンガスを用いることも考えられるが、オゾンガスを用いる場合には、磁性体内包粒子を均一に親水化処理することが非常に難しいという問題がある。これに対して、オゾン水を用いれば、オゾン水中に磁性体内包粒子を分散させるだけで、簡便かつ均一に親水化処理を施すことができる。
上記磁性体内包粒子が上記オゾン水中で溶存オゾンと接触すると、オゾンが有する強力な酸化作用によって、上記磁性体内包粒子の疎水性の構造部分が酸化されることによって、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基等の親水性基が生成する。
また、オゾンは、二重結合との反応性が高いことが知られている。オゾンが二重結合と反応すると、中間体であるオゾナイドが形成され、その後、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基等の親水性基が生成する。例えば、上記有機高分子物質として、ポリスチレン系樹脂を用いた場合には、構造中のベンゼン環や未反応の二重結合が溶存オゾンと反応することによって、容易にカルボキシル基が生成すると考えられる。
上記オゾン水は、濃度(溶存オゾンガス濃度)の下限が20ppmである。20ppm未満であると、親水化処理に時間がかかったり、充分な親水化処理を施せず、測定対象物質等の非特異吸着を充分に抑制することができなかったりすることがある。好ましい下限は、50ppmである。
上記オゾン水の濃度は、高い程好ましいが、ある程度以上の高濃度とするには技術的に困難となるため、現実的には、好ましい上限が200ppm、より好ましい上限が150ppmである。将来的に利用可能になれば、より高濃度のオゾン水を用いることが好ましい。
上記オゾン水を調整する方法としては特に限定されず、例えば、特開2001−330969号公報に記載されているように、原料水とオゾンガスとを、気体のみ通し液体の透過を阻止するオゾンガス透過膜を介して接触させる方法等が挙げられる。このような方法を用いることによって、濃度が20ppm以上であるような高濃度オゾン水を簡易に調製することができる。
本発明の親水化磁性体内包粒子の製造方法によって、有機高分子物質と前記有機高分子物質中に分散した磁性体とからなり、表面が親水化された親水化磁性体内包粒子を製造することができる。こうして得られた親水化磁性体内包粒子は、免疫クロマト法に用いた場合に、測定対象物質等の非特異吸着を抑制し、高いクロマト展開性を発揮することができる。
このような有機高分子物質と前記有機高分子物質中に分散した磁性体とからなり、表面を濃度が20ppm以上のオゾン水を用いて親水化処理された親水化磁性体内包粒子もまた、本発明の一つである。
本発明の親水化磁性体内包粒子の表面に形成されたカルボキシル基等の親水性基に、抗原又は抗体を共有結合により固定化させることによって免疫測定用粒子を製造することができる。こうして得られた免疫測定用粒子は、極微量の親水化磁性体内包粒子であっても磁性量の検出が可能であり、高感度な免疫測定を行うことができる。
このような本発明の親水化磁性体内包粒子と、該磁性体内包粒子の表面に共有結合により固定化した抗原又は抗体とからなる免疫測定用粒子もまた、本発明の一つである。
本発明の免疫測定用粒子を製造する方法としては特に限定されず、例えば、本発明の親水化磁性体内包粒子の表面に形成されたカルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基等の親水性基と、抗原又は抗体とを、従来公知の方法によって共有結合により固定化させる方法が挙げられる。
具体的には、例えば、縮合剤として水溶性カルボジイミド(WSC)を用いることによって、本発明の親水化磁性体内包粒子の表面に形成されたカルボキシル基等の親水性基と、抗原又は抗体とを共有結合により固定化する方法が挙げられる。この方法によれば、本発明の免疫測定用粒子を容易に製造することができる。
本発明によれば、所定の濃度のオゾン水を用いることによって、磁性体内包粒子表面を親水化処理するのと同時に、磁性体内包粒子表面にカルボキシル基等の抗体結合用の親水性基を生成させることができる。そのため、クロマト展開性に優れ、高感度な免疫測定を行うことが可能な親水化磁性体内包粒子の製造方法、親水化磁性体内包粒子及び免疫測定用粒子を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)磁性体内包粒子の作製
磁性流体「フェリコロイドHC50(タイホー工業社製)」10.0g(磁性体5g含有)をインキュベーター中で80℃にて12時間乾燥し、濃縮された磁性流体7.0gを得た。得られた磁性流体にヘキサン3gを加えて、一晩放置し、磁性体を分散させて磁性体分散液を得た。
得られた磁性体分散液の全量に対して、スチレン10g、ヘキサデカン0.8g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.05gを加え、スターラーを用いて氷冷下で混合してモノマー混合液を得た。
次いで、水100gにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8gを溶解させた水溶液を、得られたモノマー混合液を加え、出力200Wのプローブ型の超音波ホモジナイザー(Sonifier model250、Branson社製)を用いて、氷冷下、出力目盛り5(70W)で2分間処理して、磁性体を含むモノマー混合液の液滴が水中に分散したミニエマルジョン溶液を調製した。
得られたミニエマルジョン溶液を窒素雰囲気下、80℃で、24時間重合することにより、磁性体内包粒子分散液を得た。
次いで、得られた磁性体内包粒子分散液のうち、ネオジム磁石を用いて1分間で磁石に引き寄せられる磁性体含有率が高い分画を、磁性体内包粒子として分取した。
得られた磁性体内包粒子について、動的光散乱光度計(Photal PAR−IIIS、大塚電子社製)を用いて動的光散乱法により粒子径を測定したところ、平均粒子径は263nmであった。また、得られた磁性体内包粒子を水で希釈し、金属メッシュで支持したコロジオン膜上に沈着固定した後、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、磁性体の分散径を測定したところ、10〜25nmであった。更に、TG−DTA分析により磁性体内包粒子中の磁性体含有量を測定したところ67重量%であった。
(2)親水化磁性体内包粒子の作製(磁性体内包粒子のオゾン水処理)
得られた磁性体内包粒子10gにpH9.5の水酸化カリウム水溶液100mLを加え、15000RPMにて20分間遠心分離後、上清を除去し、分散液に存在する界面活性剤を除去した。続いて、得られた磁性体内包粒子に、純水100mLを添加し、超音波で再分散後、15000RPMにて20分間遠心分離し、上清を除去した。この遠心洗浄操作を3回繰り返した。続いて、溶存オゾンガス濃度100ppmのオゾン水300mLに浸漬し、30分間攪拌した。攪拌終了後、15000RPMにて20分間遠心分離し、上清を除去した。この操作を2回繰り返し、親水化処理を施し、粒子表面にカルボキシル基を有する親水化磁性体内包粒子を得た。
なお、オゾン水は、内径15cm×長さ20cmの円柱形を有する外套内に、パーフルオロアルコキシ樹脂からなる内径0.5mm×厚さ0.04mm×長さ350cmの中空管状のオゾンガス透過膜400本収容されたオゾン溶解モジュールを含むオゾン水製造システム(積水化学工業社製)を用いて調製した。
(3)免疫測定用粒子の作製
オゾン水で親水化処理した親水化磁性体内包粒子10.0mgに0.02Mリン酸緩衝液を625μL、予め調製した2%濃度の水溶性カルボジイミド溶液(リン酸緩衝液)625μL添加し、37℃恒温槽中で1.5時間撹拌した。反応溶液は、15000PRMにて20分間遠心分離し、上清を除去した。その後、0.02Mリン酸緩衝液1.2mLを添加し、超音波で再分散し、15000PRMにて20分間遠心分離し、上清を除去した。この操作を3回繰り返し、未反応の水溶性カルボジイミドを除去した。
続いて、得られた沈渣に、0.1Mホウ酸バッファー1.2mLを添加し、抗α−hCGモノクローナル抗体200μg加え、37℃恒温槽中で一晩攪拌した。翌日、反応溶液に30mMグリシン溶液(ホウ酸バッファー)50μLを添加し、37℃恒温槽中で30分間攪拌した。その後、15000RPMにて20分間遠心分離を行い、未反応の抗α−hCGモノクローナル抗体を除去した。なお、粒子への抗α−hCGモノクローナル抗体結合量は、上清の蛋白濃度測定から仕込みの70%であることを確認した。
(比較例1)
実施例1と同様の方法により得られた磁性体内包粒子について、15ppmのオゾン水を用いて親水化処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法により、免疫測定用粒子を得た。
なお、粒子への抗α−hCGモノクローナル抗体結合量は、上清の蛋白濃度測定から仕込みの6%であることを確認した。
(比較例2)
(1)磁性体内包粒子の作製
実施例1と同様の方法により、磁性体内包粒子を作製した。
(2)免疫測定用粒子の作製
得られた磁性体内包粒子5.0mgにpH9.5の水酸化カリウム水溶液1mLを加え、15000RPMにて20分間遠心分離後、上清を除去し、分散液に存在する界面活性剤を除去した。続いて、得られた磁性体内包粒子に、0.02Mリン酸バッファー1.0mLを添加し、超音波で再分散後、15000RPMにて20分間遠心分離し、上清を除去した。この遠心洗浄操作を3回繰り返した。
続いて、得られた磁性体内包粒子に、0.02Mリン酸バッファー1.0mLを添加し、抗α−hCGモノクローナル抗体100μg加え、37℃恒温槽中で2時間攪拌した。その後、15000RPMにて20分間遠心分離を行い、未反応の抗α−hCGモノクローナル抗体を除去した。なお、粒子への抗α−hCGモノクローナル抗体結合量は、上清の蛋白濃度測定から仕込みの72%であることを確認した。
得られた磁性体内包粒子を100mMリン酸緩衝液(pH6.5)1mLに懸濁させ、再度遠心分離を行った。その後、磁性体内包粒子を、牛血清アルブミンが1%(w/v)濃度になるように調整した100mMリン酸緩衝液(pH6.5)1mLに懸濁させ、37℃恒温槽で1時間撹拌し、ブロッキング処理を行った。次いで、15000RPMにて20分間遠心分離を行い、牛血清アルブミン及びグリセロールを各々1%(w/v)、アジ化ナトリウムを0.01%(w/v)濃度になるように調整した100mMリン酸緩衝液(pH7.5)1mLに分散させ、免疫測定用粒子を得た。
(評価)
実施例1及び比較例1、2で得られた免疫測定用粒子について、以下の方法により性能評価を行った。
ニトロセルロースメンブレン(SRHF P70、日本ミリポア社製)を幅20cm×長さ6cmに裁断し、その長さ方向上端より2cmの部位(反応部位)に、抗β−hCGモノクローナル抗体を2.0mg/mLの濃度になるようにトリス塩酸緩衝液(10mmol/L、pH7.4)に溶解した溶液を幅0.7mmの直線状に塗布した。その後、37℃で2時間乾燥した後、牛血清アルブミン(和光純薬社製)を1重量%の濃度になるようにリン酸緩衝液(100mmol/L、pH7.5)に溶解した溶液に1時間浸漬し、ブロッキング処理を行った。更にその後、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.1重量%の濃度になるようにリン酸緩衝液(100mmol/L、pH7.5)に溶解した溶液にて洗浄後、シリカゲルデシケーター内で室温下にて乾燥し、抗β−hCGモノクローナル抗体を固定化した試験片を得た。
得られた試験片を幅5mmに裁断し、長さ方向上端に幅5mm×長さ20mmの吸水パッド(AP22、日本ミリポア社製)を、下端に幅5mm×長さ15mmのコンジュゲートパッド(グラスファイバー、日本ミリポア社製)を重ね、透明なテープで固定して試験片とした。
試験液として、牛血清アルブミン1%(w/v)、Triton−X 0.03%(v/v)、及び、hCG濃度が0mIU/mL、10mIU/mL、50mIU/mL、100mIU/mLとなるような生理食塩水を調整した。
次いで、各試験液200μLに免疫測定用粒子10μgを添加、混合した後、作製した試験片のコンジュゲートパッドに100μLをそれぞれ滴下した。
滴下20分後、市販のGMRセンサ(差動磁界センサ、NVE社製)を用いて、試験片の反応部位の磁性量(mV)を測定した。
測定結果を表1に示した。
Figure 0004897581
表1より、実施例1で作製した免疫測定用粒子では、試験片への免疫測定用粒子の残留がなく、かつ、披検物質が存在しない場合(0mIU/mL)の検出値がゼロであることから、クロマト展開性が優れていることが確認された。また、低濃度のhCGが検出可能であり、かつ、検出された磁性量はhCG濃度に依存していることが確認された。これにより、実施例で得られた親水化磁性体内包粒子は免疫測定用粒子として有用であることが判った。
一方、比較例1、2で作製した免疫測定用粒子では、試験片への残留が認められ、また、披検物質が存在しない場合(0mIU/mL)にも、磁性量が検出されていることから、抗体固定化部への非特異吸着が認められ、実施例の場合に比べ、検出感度が低い結果となった。
本発明によれば、クロマト展開性に優れ、高感度な免疫測定を行うことが可能な親水化磁性体内包粒子の製造方法、親水化磁性体内包粒子及び免疫測定用粒子を提供することができる。

Claims (5)

  1. 有機高分子物質と前記有機高分子物質中に1〜30nmの分散径で分散した磁性体とからなる平均粒子径50〜500nmの磁性体内包粒子を、濃度が20ppm以上のオゾン水を用いて親水化処理する工程を有することを特徴とする免疫クロマト法用の親水化磁性体内包粒子の製造方法。
  2. 有機高分子物質は、ポリスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の免疫クロマト法用の親水化磁性体内包粒子の製造方法。
  3. 平均粒子径50〜500nmであり、有機高分子物質と前記有機高分子物質中に1〜30nmの分散径で分散した磁性体とからなり、表面を濃度が20ppm以上のオゾン水を用いて親水化処理されたものであることを特徴する免疫クロマト法用の親水化磁性体内包粒子。
  4. 有機高分子物質は、ポリスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項3記載の免疫クロマト法用の親水化磁性体内包粒子。
  5. 請求項3又は4記載の免疫クロマト法用の親水化磁性体内包粒子と、前記親水化磁性体内包粒子の表面に共有結合により固定化した抗原又は抗体とからなることを特徴とする免疫クロマト法用粒子。
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