JP4897259B2 - 送電鉄塔の防食塗装方法 - Google Patents

送電鉄塔の防食塗装方法

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Description

本発明は、送電鉄塔を構成する鋼材の防食塗装方法に関する。
送電鉄塔は、風雨に晒され錆の発生しやすい苛酷な環境に設置されることが多いため、これを構成する鋼材には溶融亜鉛メッキ鋼材などが用いられるが、時間経過に伴い鋼材の防錆処理面に錆が発現してくる。そのため、所定の期間経過後に送電鉄塔を構成する鋼材の表面に防食塗装が施される。しかし、その後の時間経過により、上塗り塗膜の劣化によるチョーキングや表面のワレが生じ、さらには鋼材表面で発現した錆が当該塗膜表面に浮き出たり、塗膜内への水分の浸透により鋼材との界面で亜鉛が溶出し、塗膜の剥離や浮きなどが生じる。また、上記の錆や表面のワレに至らない場合でも、塗膜表面の色相の変化(色あせ)による美観の低下、環境調和の欠如、航空色のような機能色の低下などが生じた場合、強く塗り替えが要請されることがある。従って、このような事情のもと、所定の塗装周期ごと定期的に防食塗装(塗り替え塗装)を繰り返す必要がある。この塗り替え塗装は、経済性を考慮すると、発錆寸前に行うのが好ましい。
この現場での防食塗装作業は、作業中の感電事故などを防止するため、防食塗装を施そ
うとする送電鉄塔が支持する架空送電線を停電して行わなければならない。この送電線の停電は、通常、当該送電線路の供給電力を他の送電線路に振り分けることにより行われる。しかし、上記他の送電線路でトラブルが発生した場合、電力の供給支障が生じ、その結果需要地が停電する可能性がある。このリスクを極力低減するために、送電線路を長時間停電させることができないという事情がある。従って、この防食塗装作業は短時間で完了させる必要があり、通常、作業期間は1日以内とされている。
防食塗装は、長期防食性を確保するために、通常、下塗りおよび上塗り、または下塗り、中塗りおよび上塗りのように重ね塗りによって行われる。上記のような限られた時間で塗料を重ね塗りして防食塗装を行うためには、塗料に優れた速乾性が必要とされる。このような速乾性の要求を満たす塗料の種類は限られており、従来、変性ビニル樹脂系塗料や油性ペイントなどが用いられてきた。例えば、変性ビニル樹脂系塗料は、下塗りおよび上塗りの双方に使用されており、アルミニウムペイントやアクリル変性アルキッド樹脂系塗料では、あらかじめ素地に速乾性ジンククロメートプライマーなどが塗布され、該プライマーが乾燥した後の塗膜面にアルミニウムペイントやアルキッド樹脂系塗料が上塗りされるのが一般的であった。しかし、上記の変性ビニル樹脂系塗料や油性ペイントは、長期防食性や耐候性については十分とはいえず、比較的短時間で防食塗装(塗り替え)工事を行う必要があった。しかも、送電停止時間に制約があることから、毎回の塗り替え工事において同種の防食塗料を重ね塗りする方法をとらざるを得ず、結果として塗り替え周期の長期化を図ることができないという問題があった。
一方、塗膜の長期防食性や耐候性に優れた塗料としては、エポキシ樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料などが挙げられる。ウレタン樹脂系塗料やフッ素樹脂系塗料は、通常、中塗り用や上塗り用として使用され、そのためにエポキシ樹脂系塗料を用いて下塗りを行い、当該塗料の塗膜を形成しておく必要がある。しかし、エポキシ樹脂系塗料は、上記のような利点はあるものの、乾燥性に難点がある。例えば、気温20℃の環境下で塗装を行った場合、当該塗膜面に重ね塗りが可能となるまでのインタバルは、通常18時間程度を要し、さらに気温の低下する冬場などではこのインタバルがさらに長期化する。したがって、このエポキシ樹脂系塗料を送電鉄塔鋼材の下塗りに使用しようとすると、必然的に送電停止時間を長くせざるを得ず、作業員の待機時間も長くなるという問題とともに、これらの塗料を使用するのが困難であるという問題もあった。
また、エポキシ樹脂系塗料は、通常、使用に際して混合して塗装に用いる2液型であり、一般に塗料の可使時間が短く、これらの混合比が変わったり、硬化促進剤を用いることにより、更に可使時間が短くなる可能性がある。したがって、塗料使用量が増加し、塗装コストおよび輸送費が増大するといった問題があった。さらに、エポキシ樹脂系塗料は、キシレン、トルエンなどの芳香族系のほか、メチルイソブチルケトン(MIBK)などケトン系、ブタノールなどのアルコール系、酢酸ブチルなどのエステル系、カルビトールなどのエーテル系などの官能基を有し溶解力の大きい有機溶剤を含有するため、ビニル樹脂系やアルミニウム系の旧塗膜への付着性に難点がある。
特開2001−40280号公報
本発明は、かかる事情に鑑み、約12時間で少なくとも2回の重ね塗りを行う防食塗装作業を完了させ、しかも長期防食性や耐候性に優れた塗膜を得ることができ、その結果防食塗装の周期を長くすることができる防食塗装方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的のもと、鋭意検討を重ねた結果、エポキシ樹脂系塗料と比較しても同等程度の長期防食性や耐候性を有する特定の湿気硬化型樹脂塗料が、従来のビニル樹脂系塗料やアルミニウムペイントなどの塗膜にも付着可能であるとの知見を得、本発明を完成した。
上記目的は、本発明によれば、鋼材塗装面の素地調整を行い、この素地調整面に、環境温度条件に応じて半硬化乾燥時間を約4時間以内に調整した湿気硬化型樹脂塗料を下塗りした後、当該半硬化乾燥状態に達したところで該下塗り塗膜面に防食塗料を重ね塗りすることを特徴とする送電鉄塔の防食塗装方法によって達成される。
上記鋼材塗装面は、変性ビニル樹脂系塗料またはアルミニウムペイント塗膜面であり、これらの旧塗膜面に本発明の防食塗装方法をより好適に使用できる。
本発明によれば、送電鉄塔の防食塗装において、その下塗り用塗料として速乾性を有する特定の湿気硬化型樹脂塗料をさらに環境温度条件に応じて半硬化乾燥時間を約4時間以内に調整して塗装することとしたので、短時間のうちに硬化した下塗り塗膜面に更に中塗り塗装や上塗り塗装が可能となる。これにより、ロス時間を低減でき、塗装コストの低減が図れる。また、中塗り塗料や上塗り塗料にも長期防食性や耐候性に優れた塗料を使用でき、このような優れた性能を備えた塗膜を積層できるので、防食塗装の周期を長くすることができる。その結果、長期的スパンで見た場合、塗り替え塗装工事に係る材料などの輸送コストや送電停止回数の低減が図られる。
本発明の防食塗装方法は、発錆により劣化した鋼材の防食塗装面に素地調整を行い、当該素地調整面に湿気硬化型樹脂塗料による下塗り塗膜を形成した後、その上に少なくとも1回防食塗料を用いて重ね塗り塗装を行うものである。以下、本発明の防食塗装方法についてより詳細に説明する。
送電鉄塔を構成する鋼材としては、通常、炭素鋼などの表面に防錆処理を施した山形鋼などが使用されるが、本発明においては鋼材の種類や形状について特に限定されない。例えば、鋼材の種類としては、炭素鋼、各種合金鋼、ステンレス鋼などが挙げられ、形状としては、丸鋼、山形鋼、平形鋼、みぞ形鋼、I形鋼、H形鋼などのほか、鋼管などが挙げられる。
上記鋼材は、その表面に防食塗装がすでに施されていてもよく、上記のように防錆処理が施されたものであってもよいが、本発明においては、前者の防食塗装がすでに少なくとも1回施された鋼材を対象とする。送電鉄塔の場合、この防食塗装は、通常、ビニル樹脂系塗料や油性ペイントが複数回重ね塗りされたものである。
このような鋼材塗装面について、塗装面の浮き錆や塗膜の劣化した部分と活膜部分(塗膜の劣化していない部分)とに分けて素地調整を行う。素地調整は、旧塗膜上に新たに施工される防食塗膜との付着性を向上させることを目的とするものである。
旧塗膜の劣化部分については、上記浮き錆や旧塗膜の劣化の程度などに応じて、例えばケレン処理やブラスト処理などの公知の方法を適宜用い、塗装面の浮き錆や劣化した旧塗膜などを除去する。ケレン処理は、ウエス、電動ディスクサンダー、ワイヤーブラシ、スクレーパー、サンドペーパーなどを使用し、上記の錆部分や劣化した塗膜を除去する方法であり、ブラスト処理は、さらに発錆などが著しい場合に、小粒径の吹き付け(研磨)材を圧縮空気で吹き付けることで塗装面の錆や劣化した塗膜を除去する方法である。
また、活膜部分については、当該部分にこびりついた塵芥、油分や塩分などをワイヤブラシ、スクレーパー、サンドペーパーなどで目粗しした後、ウエスなどを用いて除去する。塵芥などが強固に活膜面に付着している場合には、電動ディスクサンダーなどを用いて目粗ししてもよい。
このように鋼材の旧塗装面に素地調整を施した後、湿気硬化型樹脂塗料を用いて下塗りを行う。この湿気硬化型樹脂塗料としては、ポリウレタン樹脂系、エポキシ樹脂−ケチミン硬化系、アルキルシリケート樹脂系、アルキルアルコキシシラン樹脂系などが挙げられる。本発明においては、これらのうち湿気硬化型ポリウレタン樹脂塗料を用いるのが好ましく、更に1液型のものを使用するのがより好ましい。これらの湿気硬化型樹脂塗料は、公知の種々の製法によって製造されたものが好適に使用できる。
上記の1液型湿気硬化型ポリウレタン(MCU)樹脂塗料は、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてすべての水酸基をウレタン結合させて得られるイソシアネート基(−NCO基)を残留させた樹脂を主剤として含む。ポリイソシアネートは3官能基以上で、架橋間の重量平均分子量が500〜1500(Mw)であることが好ましい。この樹脂にイソシアネートとの反応性がなく、含水性および吸湿性のない体質顔料や着色顔料を添加して、上記塗料が製造される。上記体質顔料としては、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ状酸化鉄などが挙げられる。また、着色顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、カーボンブラック、フタロシアニンブルーなどが挙げられる。これらの顔料は、上記樹脂に単独で配合してもよく、2種以上を組み合わせて配合することもできる。このような1液型湿気硬化型ポリウレタン(MCU)樹脂塗料としては、例えば、パイネ#8010S(商品名、中電工業社製)やVグラン(商品名、大日本塗料社製)などが挙げられる。
上記湿気硬化型ポリウレタン樹脂系塗料の硬化反応は、当該塗料中に主剤として含まれる湿気硬化型ポリウレタン樹脂の開環重合反応を利用したものであり、湿気などの環境中の水分と反応して硬化する。その硬化反応は、次のように概説できる。上記樹脂は、末端に反応基としてイソシアネート基を有しており、この反応基が空気中の湿気や素地調整面上の水分と反応してカルバミン酸が生成される。このカルバミン酸は非常に活性が強く分解してアミンと二酸化炭素が生成される。生成されたアミンは、周囲に存在する湿気硬化型ポリウレタン樹脂のイソシアネート基と反応し、ウレア結合によって3次元の網目構造を有する強靭な硬化物(塗膜)が生成される。この硬化反応機構を以下に示す。
Figure 0004897259
この湿気硬化型樹脂塗料は、半硬化乾燥時間にて20℃環境下で4時間、指触乾燥時間で2時間程度のものを好適に使用できる。この乾燥時間は、上記温度よりも低温になれば長期化し、高温になれば、短くなる傾向を示すのが一般的である。例えば−5℃といった極低温の環境下で、この乾燥時間を短縮させたい場合には、所定の硬化促進剤を使用することもできる。この硬化促進剤としては、トリエチレンジアミン10重量部と上記高沸点有機溶剤90重量部との混合液などが挙げられ、その添加量は塗料全量に対して約1〜3重量%とするのがよい。
また、この塗料には、消泡剤溶液を添加することもできるs。このような消泡剤溶液としてはシリコン系消泡剤などが挙げられる。具体的には、シリコンYSA6402(商品名、東芝シリコン社製)やシリコンKF69(商品名、信越化学社製)などが好適に使用できる。これらは、通常、後述の高沸点有機溶剤などで100倍に希釈して塗料組成物中に添加される。
この湿気硬化型樹脂塗料は、そのまま塗装に供してもよく、希釈して粘度調整を行った上で塗装に供してもよい。後者の場合、希釈剤としては炭化水素系有機溶剤を好適に使用できる。このうち芳香族炭化水素系有機溶剤が好ましく、さらに高沸点のものがより好ましい。ここで、「高沸点」芳香族炭化水素系有機溶剤とは、蒸留範囲が160〜180℃であり、重質の芳香族化合物を95容量%以上含有し、日本塗料工業会規格JPIA−4に相当するものをいうものとする。このような高沸点芳香族炭化水素系溶剤としては、ソルベッソ100級スワゾール1000(商品名、丸善石油化学社製)、日石ハイゾール100(商品名、新日本石油化学社製)、イプゾール100(商品名、出光興産社製)などが挙げられる。上記溶剤の添加量は、目標とする粘度にもよるが、希釈後の塗料の全量に対して、5〜30重量%程度に設定できる。
この塗料の素地調整面への塗布に当たっては、公知の塗装方法を用いることができる。このような公知の塗装方法としては、エアレススプレー塗装、刷毛塗り塗装、ローラー塗装などが挙げられる。その標準塗布量は、通常、エアレススプレー塗装の場合、0.19kg/m程度とされ、刷毛塗り塗装の場合、0.15kg/m程度とされる。また、塗膜厚は、その乾燥塗膜厚にて、20〜80μm、好ましくは30〜70μm、より好ましくは40〜60μmとなるようにするのがよい。この塗膜厚は、厚ければ厚いほど塗膜の耐久性が向上するが、上記範囲未満では、塗膜の耐久性に問題があり、上記範囲を超えた場合、塗膜の乾燥時間が長くなり、好ましくない。特に、エアレススプレー塗装の場合、80μm以上の塗膜厚をえることができるが、ウレタン反応によるガスの発生により塗膜表面にピンホールが生じ、塗膜外観が劣ることになり、好ましくない。
環境中の温度の影響が少なく、特に秋口から冬場に行われることが多い送電鉄塔の防食塗装作業では、この湿気硬化型ポリウレタン樹脂系塗料を好適に使用できる。また、このように1液型の塗料を使用することで、2液型塗料の場合のような混合比により可使時間が制限されることがない。また、この塗料は、塗り下地選択性が小さく、どのような下地にも塗装が可能であるという利点がある。
上記湿気硬化型樹脂塗料の塗膜が半硬化乾燥状態になった後、この塗膜面に少なくとも1回防食塗料を塗装する。この防食塗料としては、公知の中塗り塗料および上塗り塗料を使用でき、従って上記塗膜面にはさらに1回もしくは2回、またはそれ以上防食塗料を重ね塗りできるが、好ましくは上記塗膜面に直接(すなわち1回)耐候性上塗り塗料を用いるのがよい。耐候性上塗り塗料としては、フッ素樹脂系塗料、塩化ゴム系上塗り塗料、ポリウレタン樹脂系上塗り塗料、アクリル系上塗り塗料、シリコンアルキッド系上塗り塗料、シリコンアクリル系上塗り塗料などが挙げられ、これらの群から適宜選択して塗装に使用できる。
尚、本発明の防食塗装方法は、上記送電鉄塔に対してのみならず、例えば橋梁や海洋構造物等の鉄骨構造物に対しても実施できるとともに、製造直後の亜鉛処理鋼材表面に直接実施できることはいうまでもない。
以下、実施例及び比較例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。なお、下記の例中、「部」は特に断りのない限り重量基準である。また、使用した塗料は下記のとおりであり、各種物性の評価方法についても下記の評価方法に従った。
[使用した塗料]
以下に示す下塗り塗料および上塗り塗料を試験に供した。
(1)湿気硬化型ポリウレタン樹脂系塗料
Figure 0004897259
(2)変性ビニル樹脂系塗料
Figure 0004897259
(2)速乾性ジンククロメートプライマー
Figure 0004897259
(3)アクリルアルキッド樹脂系塗料
Figure 0004897259

(4)アルミニウムペイント
JIS K5492相当品
(5)塩化ゴム系上塗り塗料
JIS K5639「上塗り塗料」相当品
(6)ポリウレタン樹脂系上塗り塗料
JIS K5657「上塗り塗料」相当品
(7)フッ素樹脂系上塗り塗料
JIS K5659「上塗り塗料」相当品
(8)変性エポキシ樹脂系塗料
Figure 0004897259

[評価方法]
(1)膜厚測定
膜厚計(型式SME−2、電磁誘導式、サンコウ電子研究所製)を用いて塗膜の膜厚を測定した。
(2)塗装作業性
JIS K 5600 1−1。刷毛塗りK 5600 1−5に準拠。
(3)低温性
−5℃、相対湿度50%の環境下で下塗り塗料を刷毛塗りしてから、所定の時間で上塗りが可能か否かで評価した。
○:下塗り塗装後、8時間以内で上塗りが可能である
△:やや塗りにくいが、8時間以内で上塗りが可能である
×:8時間を越えて放置しても、上塗りを行えない
(4)高湿下
常温(23℃)、相対湿度99%の環境下で塗装した場合に、塗膜に異常が生じるか否かで評価した。
○:塗膜に変化が見られず、乾燥が良好である。
△:つや引け(つやがなくなり、白っぽく見える)が認められる程度で、乾燥は良好である。
×:塗膜の白化が認められ、成膜性が認められない。
(5)乾燥性
常温(23℃)環境下で、所定の時間内に上塗りが可能な否かで評価した。
○:乾燥が早く、4時間以内で上塗りが可能である
△:乾燥はやや劣るが、4時間以内で上塗りが可能である
×:乾燥が遅く、1日で上塗りできない
(6)付着性
塗膜面に2液型エポキシ樹脂系接着剤(TE2220(商品名)、東レファインケミカル社製)を持ちいて治具を接着して固定し、所定の時間放置した後、接着性試験機ADHESION TESTER(ELECOMETER社製)を用いて付着性の評価を行った。
(7)促進耐候性
JIS K5600−7−7(キセノンランプ法)に従い、キセノンランプ光を1000時間照射し、塗膜照射面の耐候性を塗膜の外観および塗膜の付着性によって評価した。
塗膜の外観は、目視にて判定した。
○:ワレ、剥離、膨れなどの塗膜異常が認められず、光沢の低下および錆の発生が少な

△:外観の変化は少ないが、光沢の変化が認められる
×:ワレ、剥離、膨れが多く、錆の発生が認められる
また、塗膜の付着性は、その付着状態を観察することで以下のように判定した。
○:層間剥離が認められず、付着状態が良好である
△:部分的に層間剥離が認められる
×:全面に層間剥離が認められる
(8)塩水噴霧性
JIS K5600−7−1に準拠し、1000時間塩水を噴霧した後、塗膜塩水噴霧面の耐塩水噴霧性を塗膜の外観および塗膜の付着性によって評価した。評価基準は、上記(7)と同様である。
(9)耐湿性
JIS K5600−7−2(連続結露法)に準拠し、500時間稼動させた後、上記(7)と同様の方法で塗膜供試面の耐湿性を塗膜の外観および塗膜の付着性で評価した。評価基準は、上記(7)と同様である。
[旧塗膜の調製方法]
溶融亜鉛メッキ鋼板に表6「旧塗膜」欄に記載の塗装を施した。同表において、「変性ビニル樹脂系」とは、下塗り、上塗りとも変性ビニル樹脂系塗料(いずれも塗膜厚30μm)を塗布したものであり、「アルミニウム系」とは、下塗りとして速乾性ジンククロメープライマー(塗膜厚25μm)を塗布した上で、上塗りとしてアルミニウムペイント(塗膜厚15μm)を塗布したものである。また、「アクリルアルキッド樹脂系」とは、下塗りとして速乾性ジンククロメープライマー(塗膜厚25μm)を塗布した上で、上塗りとしてアクリル変性アルキッド樹脂系塗料(塗膜厚30μm)を塗布したものであり、「溶融亜鉛メッキ」とは、溶融亜鉛メッキ鋼板をそのまま用いたものである。
上記のようにして得られた鋼板上の塗膜に対してキセノンランプの照射下に2000時間放置し、塗膜表面を劣化させた後、さらに屋外に1年間暴露する。暴露後の塗膜を実暴露5年間とみなし、旧塗膜として試験に供した。なお、キセノンランプによる耐候性試験は、JIS K5600−7−7に準拠した。
実施例1
変性ビニル樹脂系の旧塗膜が形成された溶融亜鉛メッキ鋼板の該旧塗膜面に素地調整を行い、表面を清浄にした後、下塗りとして湿気硬化型ポリウレタン樹脂系塗料を塗膜厚50μmとなるように塗付し、半硬化乾燥状態に至ったところで上塗りとして塩化ゴム系上塗り塗料を塗膜厚30μmとなるように塗付して試験体を得た。
実施例2
アルミニウム系の旧塗膜が形成された溶融亜鉛メッキ鋼板の該旧塗膜面に素地調整を行い、表面を清浄にした後、下塗りとして湿気硬化型ポリウレタン樹脂系塗料を塗膜厚50μmとなるように塗付し、半硬化乾燥状態に至ったところで上塗りとして塩化ゴム系上塗り塗料を塗膜厚30μmとなるように塗付して試験体を得た。
実施例3
アクリルアルキッド樹脂系の旧塗膜が形成された溶融亜鉛メッキ鋼板の該旧塗膜面に素地調整を行い、表面を清浄にした後、下塗りとして湿気硬化型ポリウレタン樹脂系塗料を塗膜厚50μmとなるように塗付し、半硬化乾燥状態に至ったところで上塗りとして塩化ゴム系上塗り塗料を塗膜厚30μmとなるように塗付して試験体を得た。
参考例1〜3
溶融亜鉛メッキ鋼板の表面に直接、実施例1〜3の下塗りおよび上塗りを同様の塗膜厚になるように塗布してそれぞれの試験体を得た。
比較例1〜3
従来の塗り替え塗装方法と同様、変性ビニル樹脂系、アルミニウム系およびアクリルアルキッド樹脂系の各旧塗膜面に、
(1)下塗り、上塗りとも同種の変性ビニル樹脂系塗料(塗膜厚はいずれも30μm)
(2)下塗り速乾性ジンククロメープライマー(塗膜厚25μm)、上塗りアルミニウムペイント(塗膜厚15μm)
(3)下塗り速乾性ジンククロメープライマー(塗膜厚25μm)、上塗りアクリル変性アルキッド樹脂系塗料(塗膜厚30μm)
をそれぞれ塗り重ね、比較例1〜3の試験体を得た。
比較例4〜6
比較例1〜3において、それぞれの旧塗膜の上に塗装される下塗り塗料を変性エポキシ樹脂系塗料に変更するとともに、上塗り塗料をそれぞれ塩化ゴム系、ウレタン系およびフッ素系に変更して、比較例4〜6の試験体を得た。これらの下塗り塗料および上塗り塗料の塗膜厚は、いずれも30μmとした。
これらの評価結果を表1に示す。
Figure 0004897259
表6から明らかなとおり、実施例1〜3の塗り替え塗料の塗膜は、塗装作業性、塗膜性能ともに優れることが示された。
これに対し、比較例1〜3の場合、塗装作業性(低温性および高湿下)および塗膜性能の外観は概ね劣り、下塗りとしてジンククロメートプライマーを用いた場合、塗膜性能、特に付着性も劣ることが示された。また、比較例4〜6の場合、塗膜性能は概ね良好であるが、塗装作業性(乾燥性)に劣り、塗装作業に長時間を要することが示された。
上記の結果を踏まえ、実際に防食塗装作業に要する時間および塗膜状態を調べるために、すでに変性ビニル樹脂系塗料による防食塗装が施されてから7年を経過した送電鉄塔について、その鋼材塗装面全面に以下のように素地調整を行った後、実施例4、5、および比較例7に示す防食塗装を行った。
実施例4
塵芥、油脂などによる汚れをウエス、マジクロン(登録商標、三共理化学社製)などを用いて除去し、素地調整を行った。その素地調整面に、下塗りとして上記表1に示す組成の湿気硬化型ポリウレタン樹脂系塗料を膜厚が50μmとなるように刷毛塗りを行い、4時間乾燥させた。その後、上塗りとしてポリウレタン樹脂系上塗り塗料を所定の希釈率にて希釈したものを膜厚が30μmとなるように刷毛塗りを行った。その結果、塗装後の塗膜状態は良好であり、送電停止時間12時間で塗り替え塗装を完了することができた。
実施例5
前回の防食塗装から7年経過した同様の送電鉄塔について、冬季に防食塗装を施した。この防食塗装に際しては、下塗り塗料である湿気硬化型ポリウレタン樹脂系塗料100重量部に対して、硬化促進剤を2部添加した以外は、実施例1と同様の方法とした。
その結果、実施例4と同様の結果が得られた。
比較例7
同様に7年経過した送電鉄塔について、その鋼材塗装面に上記表5に示す変性エポキシ樹脂系塗料を塗膜厚が30μmとなるように刷毛塗りを行い、下塗りを行った。その後、ポリウレタン樹脂系上塗り塗料を刷毛塗りできるようになるまでの乾燥時間として18時間を要した。その結果、塗り替え塗装工事は2日間におよび、送電停止時間として2日を要した。
また、実施例4および5から明らかなように、実際に送電鉄塔の鋼材塗装面に本発明の防食塗装方法を使用した場合、下塗りおよび上塗りの2回塗りの作業を12時間で完了させることができたのに対して、比較例7では塗装作業が2日に及び、停電時間は2日を要した。これらの結果からも、本発明の防食塗装方法を使用することで、短時間での重ね塗りが可能となることが明らかである。
本発明の防食塗装方法は、上記のとおり、時間的な制約によって従来塗り替え周期を長くすることができなかった送電鉄塔の塗り替え工事に好適である。

Claims (6)

  1. 鋼材塗装面の素地調整を行い、この素地調整面に、半硬化乾燥時間を環境温度条件に応じて約4時間以内に調整した湿気硬化型樹脂塗料を下塗りした後、当該半硬化乾燥状態に達したところで該下塗り塗膜面に防食塗料を重ね塗りすることを特徴とする送電鉄塔の防食塗装方法。
  2. 前記湿気硬化型樹脂塗料は、ポリウレタン樹脂系である請求項1に記載の防食塗装方法。
  3. 前記湿気硬化型樹脂塗料は、1液型塗料である請求項1または2に記載の防食塗装方法。
  4. 前記防食塗料は、耐候性上塗り塗料である請求項1〜3のいずれか1項に記載の防食塗装方法。
  5. 前記耐候性上塗り塗料は、ポリウレタン樹脂系上塗り塗料、フッ素樹脂系上塗り塗料、塩化ゴム系上塗り塗料、アクリル系上塗り塗料、シリコンアルキッド系上塗り塗料またはシリコンアクリル系上塗り塗料である請求項4に記載の送電鉄塔の防食塗装方法。
  6. 前記鋼材塗装面は、変性ビニル樹脂系塗料またはアルミニウムペイント塗膜の表面である請求項1〜5のいずれか1項に記載の防食塗装方法。
JP2005253083A 2005-09-01 2005-09-01 送電鉄塔の防食塗装方法 Active JP4897259B2 (ja)

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