JP4894332B2 - 磁気共鳴画像用造影剤 - Google Patents

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Description

本発明は磁気共鳴画像(以下MRIと略記)用造影剤に関する。
近年、臨床画像診断の進歩は著しく、X線CT(コンピュター断層撮影)、超音波画像診断、MRI診断、シンチグラフィー等、様々な画像診断法が全身のほぼ全ての分野で用いられている。更に、これらの画像診断法に適した各種造影剤が開発され、それらの有用性が報告されている。特にMRI診断法は、放射線診断分野のみならず医学界全体から著しい注目を集めている新しい診断法である。MRI用の造影剤は、他の造影剤と比較した場合、組織中の濃度分解能が優れており、X線被曝がなく高い安全性が認められており、病変の指摘、正常および病的部位の解剖学的および機能的イメージの把握に臨床上有用であることが指摘されている。しかしながら、その検出能についてはまだ十分とはいいがたく、一部の疾病や部位に限定されており、より高機能な造影剤の開発が期待されている。とりわけ、1)低濃度(低投与量)で、2)腫瘍等の標的細胞を高感度で検出し、3)毒性が無く、かつ4)速やかに体内から***されうるMRI用造影剤が望まれている。特にコントラストに優れ、且つ正常組織等の造影の必要のない部位では造影せず腫瘍や特定臓器のみで造影させることを可能とするMRI用造影剤の開発が待たれている。
また、磁性ナノ粒子はそのままでは、血液中では凝集性があり、かつ静脈内投与における毒性が極めて強いため、医療用として生体に使用することができなかった。
そのため、磁性ナノ粒子をデキストランまたはデキストラン誘導体で被覆したMRI用造影剤が知られている。例えばアドバンスド・マグネテックス社製の「AMI−25」などの磁性ナノ粒子造影剤は、超常磁性の効果を発揮するもので、デキストランで被覆することで毒性が低減することが知られている。
しかしながら、従来のデキストラン系磁性ナノ粒子造影剤は、体内循環系(血管系)に長く滞留することができず、肝あるいは牌に急速に取り込まれる、また、低血圧ショック、アレルギー反応などの副作用もある。例えば、点滴にて静脈内投与し、1時間後に肝のMRI撮影を行う場合、その間に血圧低下、ショック、脈動低下などが起こることが確認され、場合によっては死に至ることもある。また、従来の造影剤は、単に磁性ナノ粒子をデキストランで被覆しただけであるため、酸化鉄とデキストランとの結合が弱く、そのため血液中で解離しやすく、加熱滅菌時における安定性や経時安定性も悪かった。(例えば、特許文献1)。
国際公開第95/31220号パンフレット
標的である腫瘍細胞等の異常細胞近辺でのみ造影能を発現させ、結果的に腫瘍等の異常細胞の検出感度を著しく向上させる特長をもつとともに、長期分散安定性、低毒性であるMRI用造影剤を提供する。
本発明者らは上記のようなMRI用造影剤を得るべく鋭意検討した結果、MRI用造影剤の組成を、カチオン性の保護剤で被覆された磁性ナノ粒子と、アニオン性ポリマーとすることで、異常細胞などの低pHに応答して磁性ナノ粒子が集合する性質を見出し、上記課題を解決できると考え、本発明に到達した。
すなわち本発明は、磁性ナノ粒子(P)の表面がカチオン性の官能基(a)を有する保護剤(A)で被覆されてなる磁性ナノ粒子複合体(C)が、アニオン性ポリマー(B)を含有する水性分散媒(S)中に、分散されてなる磁気共鳴画像用造影剤であって、前記磁性ナノ粒子(P)と前記保護剤(A)が共有結合で結合されてなり、前記磁性ナノ粒子(P)が鉄属元素酸化物(p)であり、前記カチオン性の官能基(a)がアルキルアンモニウム基、ジアルキルアンモニウム基、トリアルキルアンモニウム基、テトラアルキルアンモニウム基、ピリジニウム基、イミダゾリニウム基、イミダゾリウム基及びグアニジウム基からなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオン性の官能基であり、前記アニオン性ポリマー(B)がアクリル酸、メタクリル酸、アルギン酸、アスパラギン酸及び/又はグルタミン酸から誘導されるアニオン性ポリマー並びにカルボキシメチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種の、カルボキシル基を含有するアニオン性ポリマーであることを特徴とする磁気共鳴画像用造影剤、及びその製造方法である。
本発明のMRI用造影剤は、標的である腫瘍細胞等の異常細胞近辺でのみ造影能を発現させ、結果的に腫瘍等の異常細胞の検出感度を著しく向上させる特長をもつとともに、長期分散安定性に優れ、低毒性である。
本発明のMRI用造影剤は、腫瘍細胞などの低pH(6未満)に応答して凝集することで、腫瘍細胞などに磁性ナノ粒子が滞留し、MRI造影能が局部的に増強されるようになる。このメカニズムは以下の通りである。
つまり、正常細胞のpH(6〜8)の領域では、磁性ナノ粒子(P)が保護剤(A)により、水性分散媒(S)中で安定に分散させられており、磁性ナノ粒子複合体(C)とアニオン性ポリマー(B)は静電的相互作用をしているが、アニオン性ポリマー(B)のアニオン性の官能基同士の反発のため、(B)の会合体は形成されていない。これに対して腫瘍細胞近辺での低pHの領域では磁性ナノ粒子複合体(C)とアニオン性ポリマー(B)の静電相互作用だけでなく、(B)の電離していない官能基が増えるため、アニオン性ポリマー(B)同士の会合体が形成される。この結果、腫瘍細胞などの低pHの領域でのみ(B)同士の会合体が形成される。
(B)同士の会合体は、複数個の(C)を取り込み、(C)と(B)との凝集体(X)が形成される。凝集体(X)の形成により、腫瘍細胞近辺では正常細胞近辺と比較して、(X)のサイズが大きく滞留するようになる。このようにして腫瘍細胞近辺では相対的に磁性ナノ粒子(P)の濃度が高くなり、選択的に造影能が増強されようになる。
また、この凝集体(X)の形成は可逆的であり、pHが正常細胞のpH6以上になると凝集体(X)は分解し、もとの複合体(C)とアニオン性ポリマー(B)に戻る。
このように本発明のMRI用造影剤は、腫瘍等、異常な細胞の出現に伴う生体環境の変化を反映したMRI造影能のon−offスイッチングが可能な造影剤である。
本発明における磁性ナノ粒子(P)は、鉄族又はマンガン族元素を必須成分とする金属又は合金類又は鉄族元素酸化物(p)を含有するナノサイズの粒子からなる。
(p)としては、具体的には、Fe,Co,Niの金属類、又はFePt、CoPt、FePd、MnAl、FePtM、CoPtM、FePdM、MnAlMからなる群から選択される合金類(化学式中、Mは金属元素を表し、MとしてはLi、Mg、Al、Si、P、S、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、I、Au、Tl、Bi、Po、Atが含まれる。)又は、酸化鉄Fe23を含有する金属酸化物があげられる。これらの中でも酸化鉄Fe23を含有する金属酸化物が好ましい。金属酸化物としては、例えば一般式: (NO)m・Fe23(式中、Nは2価の金属原子を表し、mは0≦m≦1の数である。)で表されるフェライトがあげられ、2価の金属原子Nとしては、例えばマグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、ストロンチウム、バリウム等があげられる。とくにNが2価の鉄である場合の磁性酸化鉄(例えばマグネタイトFe3O4、γ-Fe2O3など)は本発明において好適に使用される。なお、磁性ナノ粒子(P)は(p)の他に結晶水を含んでいてもよい。
磁性ナノ粒子(P)の体積平均粒径は3〜100nmであることが好ましく、4〜50nmがより好ましく、5〜20nmがさらに好ましい。(P)の体積平均粒径が3nm以上であると、熱に対する磁性の揺らぎを小さく押さえることができ、また100nm以下であると、長期の分散安定性がより向上する。体積平均粒径の測定は、透過型電子顕微鏡での観察を行い、100個の粒子の粒径を測定した結果から計算により算出した。(P)の形状としては、特に制限はなく、真球状、紡錘状、板状、針状、等が挙げられる。これらのなかで真球状が好ましい。
磁性ナノ粒子(P)が金属または合金類の場合は、粒子表面に官能基を有しないため、保護剤(A)と磁性ナノ粒子(P)の結合は共有結合ではなく、静電的相互作用、ファンデアワールス力による物理吸着となる。
磁性ナノ粒子(P)が酸化鉄を含有する場合は、酸化鉄は表面に水酸基を持っていることから、様々な保護剤(A)と共有結合を形成することができるため、保護剤(A)による分散安定効果が大きい。酸化鉄の等電位点はpH=5.7〜6.9であり、これより高いpH領域では粒子表面に水酸基が存在する。この水酸基と保護剤(A)の官能基とが共有結合を形成することにより、保護剤が酸化鉄ナノ粒子表面を被覆するため、分散安定性が酸化鉄以外のナノ粒子と比較して向上する。
本発明のMRI用造影剤の製造方法としては、好ましくは(1)水性溶媒中で塩化鉄と塩基から得られる酸化鉄磁性ナノ粒子(P1)、保護剤(A)、及びアニオン性ポリマー(B)を水性溶媒中で混合することを特徴とする製造方法、(2)水性溶媒中で金属塩、保護剤(A)及び還元剤から得られる金属磁性ナノ粒子複合体(C1)、及びアニオン性ポリマー(B)を水性溶媒中で混合することを特徴とする製造方法が挙げられる。上記水性溶媒とは、水、または水と水溶性溶剤(例えば、エタノール、アセトン等)の混合物である。
(1)の製造方法について説明する。
まず、磁性ナノ粒子のみからなる水性ゾルを調製する。この水性ゾルの調製法は、アルカリ共沈法やイオン交換樹脂法などを例示することができる。アルカリ共沈法では、例えば塩化鉄(III)と塩化鉄(II)とをモル比で1:3〜2:1程度の比率で含む約0.1〜2モルの水溶液と、NaOH,KOH,NH4OH等の塩基とをpHが約7〜12になるように混合し、必要に応じて加熱熟成し、酸化鉄磁性ナノ粒子(P1)を得る。精製が必要な場合は、生成した酸化鉄磁性ナノ粒子(P1)を分離、水洗した後、水性溶媒に再分散する。酸化鉄磁性ナノ粒子(P1)、保護剤(A)、及びアニオン性ポリマー(B)を水性溶媒中で混合することにより、MRI用造影剤を得る。
好ましくは、水性溶媒に再分散した酸化鉄磁性ナノ粒子(P1)に保護剤(A)を加え、場合により保護剤(A)と酸化鉄表面との反応を行うことで、保護剤に被覆された酸化鉄磁性ナノ粒子を得る。この水性ゾルは、必要に応じて透析、限外ろ過、遠心分離などにより精製または濃縮してもよい。ついで、これと水性溶媒に溶解したアニオン性ポリマー(B)の溶液を混合し、必要に応じてpHを調節し、MRI用造影剤を得る。
(2)の製造方法について説明する。
金属塩、例えば酢酸鉄、白金アセチルアセトナートなどの金属塩の水溶液に保護剤(A)をあらかじめ溶解させておき、これに水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を投入して、金属イオンを還元することにより、場合により保護剤(A)と金属粒子表面との反応を行うことで、保護剤(A)に被覆された金属磁性ナノ粒子複合体(C1)を得る。合金の場合は溶解させておく金属イオン種を複数にすることにより合金ナノ粒子を得ることができる。酸化鉄の場合と同様に必要に応じて透析、限外ろ過、遠心分離などにより精製または濃縮してもよい。金属磁性ナノ粒子複合体(C1)、及びアニオン性ポリマー(B)を水性溶媒中で混合することにより、MRI用造影剤を得る。好ましくは、金属磁性ナノ粒子複合体(C1)と水性溶媒に溶解したアニオン性ポリマー(B)の溶液を混合し、pHを調節し、MRI用造影剤を得る。
磁性ナノ粒子(P)表面への保護剤(A)の被覆は、静電的相互作用などの分子間相互作用を利用するもの、保護剤(A)の磁性ナノ粒子(P)表面への共有結合を利用するものなどがあげられるが、粒子の保護力の観点から保護剤の粒子表面への共有結合しているものがより好ましい。保護剤(A)は一般に知られた界面活性剤などを使用することができるが、前述の観点から磁性ナノ粒子表面の官能基と反応により共有結合を形成する官能基を分子内に1つ以上含有しているものが望ましい。例えば酸化鉄ナノ粒子(P)の表面と反応する官能基としてエポキシ基、アミノ基、スルホン基、スルホニル基、ホスホリル基、アルコキシシラン基、カルボキシル基、イソシアネート基などが好ましい。ただしアミノ基、カルボキシル基などのように、磁性ナノ粒子が酸化鉄の場合反応により共有結合を形成するが、磁性ナノ粒子がFePtなどの合金の場合は吸着により被覆するような、両方の性質を持つものも含まれる。保護剤(A)の分子量は、好ましくは50〜100万、さらに好ましくは100〜10万、より好ましくは500〜1万である。
保護剤(A)としては、磁性ナノ粒子(P)の表面と共有結合を形成しない保護剤(A1)と共有結合を形成する保護剤(A2)が挙げられる。
磁性ナノ粒子(P)表面への保護剤(A1)の被覆は、物理的吸着、または共有結合を除く化学的吸着を利用するものである。被覆を行うには磁性ナノ粒子(P)と保護剤(A1)をこれらを所定比で混合し、通常は常温で、場合により加熱を行いながら攪拌する。磁性ナノ粒子(P)と保護剤(A)との割合は重量比で好ましくは1:0.01〜1:6、さらに好ましくは1:0.1〜1:1である。
磁性ナノ粒子(P)表面への保護剤(A2)の被覆は、通常これらを所定比で混合し、加熱することにより行われる。磁性ナノ粒子(P)と保護剤(A)との割合は重量比で好ましくは1:0.01〜1:6、さらに好ましくは1:0.1〜1:1である。反応は、室温ないし120℃の温度で10分〜10時間行えばよく、通常は約1時間程度加熱還流すれば十分である。反応液中の磁性ナノ粒子複合体(C)の濃度は、通常、金属として0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲であるのが適当である。
被覆後、限外ろ過などの公知の手段を用いて、未反応の多糖類や低分子化合物を分離する精製操作を行い、所定の純度および濃度を有する水性ゾルを得る。これに、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトンなどの溶媒を添加し、磁性ナノ粒子複合体(C)を優先的に沈澱析出させ、これを分離し、ついで折出物を水に再溶解し、流水透析し、必要に応じて減圧濃縮し、上記複合体(C)の水性ゾルを得る。ついで、必要に応じて、遠心分離、ろ過、pH調整などを行ってもよい。
磁性ナノ粒子複合体(C)の体積平均粒径は好ましくは、4〜110nmであり、さらに好ましくは5〜55nmである。磁気共鳴画像用造影剤中に含まれる、磁性ナノ粒子複合体の体積平均粒径は磁性ナノ粒子複合体(C)の体積平均粒径と同じである。
磁性ナノ粒子(P)の表面と結合する保護剤(A)は前述のような官能基を持つ分子が望ましいが、なかでもアルコキシシラン基をもつ分子は、水中での反応が容易に進行する、1分子当たりの酸化鉄表面との結合サイト数が多いなどの観点からより好ましい。アルコキシシラン基との反応で、酸化鉄表面と保護剤との間にFe−O−Si結合が形成され、この結合が水中でも比較的安定であるからである。
保護剤(A)は、磁性ナノ粒子(P)の表面との結合部位とともに、媒体中への分散性を向上させるため、保護剤の排除体積効果による影響だけでなく、静電反発の大きい官能基(a)を分子内に持っていることが望ましい。具体的には官能基(a)はアルキルアンモニウム基、ジアルキルアンモニウム基、トリアルキルアンモニウム基、テトラアルキルアンモニウム基、ピリジニウム基、イミダゾリニウム基、イミダゾリウム基、グアニジウム基などを例示することができる。特にイミダゾリウムは代表的な有機系の強塩基であるイミダゾールの塩であり、イミダゾリウム基は水への溶解性も高く、イミダゾリウム基を分子内に導入した保護剤は磁性ナノ粒子の分散性を高められる。またMRI用造影剤として、消化器官などの極度な低pH部位を除く生体内で考えられる広い範囲のpHでの分散安定性がよいことから、イミダゾリウム基が特に好ましい。
イミダゾリウム基は下記一般式(I)により表される構造であり、一般式(I)において、Rは炭素数1〜15のアルキル基またはエーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が15以下のアルキル基を表わし、Qは炭素数1〜4のアルキル基または水素原子を表わし、Sは前述の磁性ナノ粒子表面へ結合する部位に直接、またはアルキル鎖、ポリエーテル鎖などのスペーサーを介して結合する部位である。
Rの炭素数1〜15のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。Qの炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。エーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が15以下のアルキル基としては、例えば−(CH2)n−(OCH2CH2)mOH(nは4以下の整数、mは7以下の整数)で示される基が挙げられる。
Figure 0004894332
磁性ナノ粒子(P)の表面と共有結合を形成しない保護剤(A1)と共有結合を形成する保護剤(A2)の具体例としては以下のものが挙げられる。
(A1)の具体例としては、カルボキシル基含有イミダゾリウム塩化合物(1−メチル−3−カルボキシヘキシルイミダゾリウムクロライド等)、カルボキシル基含有ピリジニウム塩化合物(N−カルボキシヘキシルピリジニウムクロライド等)、カルボキシル基含有4級アンモニウム塩化合物(N−カルボキシプロピル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムクロライド等)、カルボキシル基含有3級アンモニウム塩化合物(N−カルボキシプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムクロライド等)、カルボキシル基含有2級アンモニウム塩化合物(N−カルボキシプロピル−N−エチルアンモニウムクロライド等)、アミノ基含有イミダゾリウム塩化合物(1−メチル−3−アミノヘキシルイミダゾリウムクロライド等)、アミノ基含有ピリジニウム塩化合物(N−アミノヘキシルピリジニウムクロライド等)、アミノ基含有4級アンモニウム塩化合物(N−アミノプロピル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムクロライド等)、アミノ基含有3級アンモニウム塩化合物(N−アミノプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムクロライド等)、アミノ基含有2級アンモニウム塩化合物(N−アミノプロピル−N−エチルアンモニウムクロライド等)、チオール基含有イミダゾリウム塩化合物(1−メチル−3−メルカプトヘキシルイミダゾリウムクロライド等)、チオール基含有ピリジニウム塩化合物(N−メルカプトヘキシルピリジニウムクロライド等)、チオール基含有4級アンモニウム塩化合物(N−メルカプトプロピル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムクロライド等)、チオール基含有3級アンモニウム塩化合物(N−メルカプトプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムクロライド等)、チオール基含有2級アンモニウム塩化合物(N−メルカプトプロピル−N−エチルアンモニウムクロライド等)などが挙げられる。
(A2)の具体例としては、アルコキシシラン基含有イミダゾリウム塩(1−メチル−3−トリメトキシシランヘキシルイミダゾリウムクロライド等)、アルコキシシラン基含有ピリジニウム塩化合物(N−トリメトキシシランヘキシルピリジニウムクロライド等)、アルコキシシラン基含有4級アンモニウム塩化合物(N−トリメトキシシラン−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムクロライド等)、アルコキシシラン基含有3級アンモニウム塩化合物(N−トリメトキシシランプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムクロライド等)、アルコキシシラン基含有2級アンモニウム塩化合物(N−トリメトキシシランプロピル−N−エチルアンモニウムクロライド等)、エポキシ基含有イミダゾリウム塩化合物(1−メチル−3−ヘキシルオキサイドイミダゾリウムクロライド等)、エポキシ基含有ピリジニウム塩化合物(N−ヘキシルオキサイドピリジニウムクロライド等)、エポキシ基含有3級アンモニウム塩化合物(N−ヘキシルオキサイド−N,N−ジエチルアンモニウムクロライド等)、エポキシ基含有4級アンモニウム塩化合物(N−ヘキシルオキサイド−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムクロライド等)、アミノ基含有2級アンモニウム塩化合物(N−アミノプロピル−N−エチルアンモニウムクロライド等)、イソシアネート基含有イミダゾリウム塩化合物、イソシアネート基含有ピリジニウム塩化合物、イソシアネート基含有4級アンモニウム塩化合物、イソシアネート基含有3級アンモニウム塩化合物、イソシアネート基含有2級アンモニウム塩化合物などが挙げられる。
以上保護剤(A1),(A2)について具体的に例示したが、磁性ナノ粒子と反応させる前に塩であるものだけではなく、磁性ナノ粒子(P)と複合体(C)を形成させた後、塩にして例示したような分子になるものも含まれる。つまり塩基性分子の状態で磁性ナノ粒子(P)と複合体(C)を形成させた後、酸性分子により中和させた塩の状態が、先に例示したような化合物であるものも含まれる。
本発明のMRI用造影剤は、磁性ナノ粒子(P)の表面をカチオン性の官能基(a)を持つ保護剤(A)で被覆された磁性ナノ粒子複合体(C)と、アニオン性ポリマー(B)を含むことにより、正常細胞が示すpHの環境においては、磁性ナノ粒子複合体(C)はアニオン性ポリマー(B)と複合体を形成せず、磁性ナノ粒子複合体(C)の形態のまま媒体中に安定に分散する。一方、腫瘍細胞などの異常細胞が示すpHの環境においては、磁性ナノ粒子複合体(C)が、アニオン性ポリマー(B)と凝集体(X)を形成する。この凝集体(X)はpHが正常細胞に戻ると、再度、(X)を形成する前の、磁性ナノ粒子複合体(C)とアニオン性ポリマー(B)に解離する。その結果として、サイズの影響から正常細胞近辺において、磁性ナノ粒子複合体(C)は血流中をスムーズに流れ、逆に異常細胞近辺においては、凝集体(X)を形成するため、サイズの影響から滞留し、磁性ナノ粒子(P)の相対的な濃度が上昇することになる。したがってこのような状態でMRI測定を行うと、異常細胞近辺のコントラストが明確になり、腫瘍の判断が可能になる。またMRI測定後には磁性ナノ粒子複合体(C)は異常細胞近辺でアニオン性ポリマー(B)と凝集体(X)を形成した後、pHが正常領域になれば速やかに解離するため、磁性ナノ粒子(P)は速やかに体内に排出される
アニオン性ポリマー(B)としては、カルボキシル基を有するポリマーが好ましく、例えばアニオン性セルロース誘導体、アクリル酸から誘導されるアニオン性ポリマー、メタクリル酸から誘導されるアニオン性ポリマー、アルギン酸から誘導されるアニオン性ポリマー、アスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸から誘導されるアニオン性ポリマー、およびそれらの混合物が挙げられる。特にMRI用造影剤という用途から、可能なかぎり毒性の低いものが望まれる。
(B)の分子量としては、重量平均分子量が4000〜20万が好ましく、1万〜10万がより好ましい。重量平均分子量が4000以上であると、複数の磁性ナノ粒子間でのネットワークが生成し有意な大きさの複合体(X)を形成することがでるので好ましい。また20万以下であると複合体(X)の体積が好適となる。
アニオン性ポリマー(B)のアニオンとしては、pHに応答して磁性ナノ粒子の集合の核として機能するためには、pHに応じてプロトンの解離が中性付近で有意に変化するものが望ましい。この観点からカルボン酸が好適であり、カルボキシメチルセルロースや、アクリル酸、メタクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸から誘導されるカルボキシル基を含有するアニオン性ポリマーが特に好ましい。また複数の磁性ナノ粒子と複合体を形成するためには、結合サイトが2つ以上である必要があるため、カルボキシル基は分子内に少なくとも2つ以上含まれることが好ましい。
アニオン性ポリマー(B)としては前述のようなものがあげられるが、中でも多糖類または多糖類をカルボン酸変性したものは毒性も少なく、MRI用造影剤としてはより望ましい。例えばカルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸などのアニオン性多糖類、またはセルロース、アミロペクチン、アミロース、グリコーゲン、キチン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、ヒアルロン酸、ペクチン、キシログルカンなどのカルボン酸変性物があげられる。これら変性物はその原料となる多糖類の水酸基、アミノ基などの官能基すべて、又はその一部と、分子内にカルボン酸を1つ以上有し、かつ多糖類の官能基と反応により共有結合を形成可能な官能基を少なくとも1つ有する分子との反応により得られる。
水性分散媒(S)としては、水のみ、または水に微量のエタノールを添加したものが挙げられる。この水系分散媒には、pH調整、防腐を目的とした添加物を溶解させておくことができる。例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、塩化カルシウム、酢酸アンモニム、硫酸マグネシウム、トリス塩酸バッファー、トリス酢酸バッファー、HEPESバッファー、MOPSバッファー、リン酸バッファー、酢酸ナトリウムバッファー、クエン酸ナトリウムバッファー、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチルなどが例示される。
本発明の磁気共鳴画像用造影剤(D)において、造影剤(D)の重量に基づいて、磁性ナノ粒子複合体(C)の含有量(重量%)は好ましくは0.01〜30%、さらに好ましくは0.1〜20%、アニオン性ポリマー(B)の含有量は好ましくは0.01〜30%、さらに好ましくは0.1〜20%、水性分散媒(S)の含有量は保管時の分散安定性の観点から好ましくは40%以上であり、生体への投与量が多くならないという観点から99.98%以下であり、さらに好ましくは50〜90%である。また造影剤(D)のpHは6.5〜8.0であることが好ましく、7.0〜7.5がさらに好ましい。この範囲であれば、保存時に凝集体(X)を形成せず、また生体への毒性がほとんどない。
また本発明のMRI用造影剤には、必要に応じて、常法により医薬上許容される任意の添加成分と混合し、任意の形態の造影剤とすることができるが、好ましくは生理学的に許容できる水性溶剤に溶解させ、溶液形態の造影剤とする。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本趣旨の主旨を逸脱しないかぎり、本発明は実施例に限定されるものではない。尚、以下における実施例3は参考例である。
(磁性ナノ粒子(P)の体積平均粒径の測定方法)
磁性ナノ粒子(P)の測定は透過型電子顕微鏡(日立製作所、H−7100)で観察を行い100個の粒子の粒径を測定した結果から計算により算出した。測定サンプルはコロジオン膜処理した銅メッシュ上に、磁性ナノ粒子(P)を含有する分散液をスポイトで一滴垂らし、そのまま風乾することで調整した。
(磁気共鳴画像用造影剤の体積平均粒径の測定方法)
磁気共鳴画像用造影剤の粒子測定は動的光散乱粒径測定装置(堀場製作所、LB−550)を用いて、各実施例の磁気共鳴画像用造影剤を測定セルに注入し、測定を行った。
(酸化鉄ナノ粒子の製造方法)
541mgの塩化鉄(III)六水和物および397mgの塩化鉄(II)4水和物を150mlのイオン交換水に溶解させた。これを窒素気流下40℃に温調し、25%のアンモニア水16mlを加え、30分間反応させた。得られた黒色沈殿を磁気的に分別し、水を用いて数回洗浄することにより酸化鉄ナノ粒子(P−1)を得た。体積平均粒径は8.5nmであった。
(FePtナノ粒子の製造方法)
2雰囲気下で以下の操作を行った。
2PtCl6の6水和物を93mg、FeCl2の4水和物を59.7mg、保護剤(A−2)0.2gを蒸留水:エタノール=1:1の溶液100mlに溶解した後、100℃で5時間還流した。次にFeSO4の7水和物の12μmol/ml水溶液を10ml加えた。その後0.07gのNaBH4を50mlの蒸留水に溶解したものを添加した。これによりFePtナノ粒子複合体(C−3)を得た。体積平均粒径は3.9nmであった。
(保護剤(A−1)の製造方法)
2雰囲気下で以下の操作を行った。
1−メチルイミダゾールを60.4mmolと3−クロロプロピルトリメトキシシランを54.9mmolを混合し、90℃で72時間反応させた。酢酸エチルで数回洗浄した後、酢酸エチルを減圧で除去し、53.1mmolの1−メチル−3−トリメトキシシランプロピルイミダゾリウムクロライド(A−1)を得た。
(保護剤(A−2)の製造方法)
ボルハルト・ショアー 現代有機化学 p816の方法に準じて、ドデカン二酸より、10−ブロモデカン酸を合成し、精製する。合成した10−ブロモデカン酸を50mmolと1−メチルイミダゾール40mmolを混合し、90℃で72時間反応させた。酢酸エチルで数回洗浄した後、酢酸エチルを減圧で除去し、37mmolの1−メチル−3−カルボキシデシルイミダゾリウムブロマイド(A−2)を得た。
(保護剤(A−3)の製造方法)
3−アミノプロピルトリメトキシシラン (ワコーケミカル品)を、そのまま使用した。
実施例1
作製した酸化鉄ナノ粒子(P−1)300mgを水/エタノール=1/1の混合溶媒150mlに超音波をかけて分散させ、下記分子式(II)で示される保護剤(A−1)200mgを加え80℃で10時間反応させることにより表面を(II)の分子で被覆された磁性ナノ粒子複合体(C−1)を得た。この分散液にテトラヒドロフランを加えることで、磁性ナノ粒子複合体を沈殿させ、これをイオン交換水で数回洗浄した後、イオン交換水50mlに分散させることで0.7%の磁性ナノ粒子複合体が分散した分散液を得た。これに重量平均分子量25000のポリアクリル酸を8重量%の濃度で溶解させた水溶液を175ml添加することで、磁性ナノ粒子は凝集した。この時のpHは2.5であった。これに水酸化ナトリウムを添加していくと、生じた沈殿は溶解し始め、pH6.0で目視で溶解したことを確認し、さらにpHが7.0になるまで水酸化ナトリウムを添加してMRI用造影剤を調製した。
Figure 0004894332
実施例2
保護剤として(A−1)200mgの代わりに下記分子式(III)で示される保護剤(A−2)200mgを使用し、室温で保護剤(A−2)と酸化鉄ナノ粒子(P−1)との混合を行った。それ以外は、実施例1と同様にしてMRI用造影剤を得た。
Figure 0004894332
実施例3
磁性ナノ粒子複合体(C−3)の分散液を、アドバンテック社製のウルトラフィルターユニット USY−1.5−2.0を用いて、残留イオンを濾過で除き、得られた(C−3)に水を添加して更に濾過を行うといった工程を5回行い、最後に磁性ナノ粒子複合体(C−3)の濃度が0.7%となるようにイオン交換水を加えた。これに重量平均分子量25000のポリアクリル酸を8質量%の濃度で溶解させた水溶液を、ポリアクリル酸の重量が磁性ナノ粒子複合体(C−3)の重量に対して80倍の量になる量を添加することで、磁性ナノ粒子は凝集した。この時のpHは2.5であった。これに水酸化ナトリウムを添加していくと、生じた沈殿は溶解し始め、pH6.0で目視で溶解したことを確認し、さらにpHが7.0になるまで水酸化ナトリウムを添加してMRI用造影剤を調製した。
実施例4
実施例1において、添加するポリアクリル酸8重量%の水溶液175mlの代わりに、カルボキシメチルセルロース(第一工業製薬、セロゲンBS−H)8重量%の水溶液175mlを用いる以外は、実施例1と同様の方法で、MRI用造影剤を得た。
実施例5
実施例1において、保護剤(A−1)200mgの代わりに下記一般式(IV)の保護剤(A−3)200mgを使用した以外は、実施例1と同様にしてMRI用造影剤を得た。
Figure 0004894332
実施例1〜5のMRI用造影剤について、磁性ナノ粒子複合体(C)のpH7における体積平均粒径を測定した。またpHに応答して凝集体(X)を形成することを確認するために、0.1規定の塩酸でpHを5.0に調製した溶液中での粒径を測定した。また40℃で1ヶ月間放置し、測定前に軽く振り混ぜた後、体積平均粒径を測定した。結果を表1に示した。
比較例1
市販のMRI用肝臓造影剤「フェリデックス」(田辺製薬株式会社)を用いて、実施例と同様の物性を確認した。
Figure 0004894332
各実施例、比較例のサンプルをICRマウス(7〜10週齢)に静脈注射し毒性の評価を行った。マウスの体重1g当たり2μlの量の各サンプルを、尻尾の静脈より投与し、直後、24時間後の両方で異常が全く見られないものを毒性なし(表1中で○と表記)と判定した。
上表の結果から本発明のMRI用造影剤は、経時での分散安定性に優れ、かつ溶液のpHに応答して、複合体を形成することから、生体内に投与した際にpHの低い腫瘍細胞、異常細胞中に滞留することで、MRI測定を行った場合にその部分を増強して造影することができる。一方、比較例のフェリデックスはpHが低くなっても粒径は変化しておらず、MRI測定を行った際に、pHの違いから腫瘍細胞、異常細胞を検出することは困難であると考えられる。
またこれらのMRI用造影剤の毒性が低いことが、マウスへの静脈注射による毒性試験からもわかる。比較例に示した従来品フェリデックスは分散安定性では本発明品と同様に優れているが、経時での安定性が悪い。
またフェリデックスは粒径が大きいため、尿中***率が悪いという問題もあるが、本発明のMRI用造影剤は粒径はいずれも10nm以下であり***率は高いと考えられる。
本発明のMRI用造影剤は、標的である腫瘍細胞等の異常細胞近辺でのみ造影能を発現させ、結果的に腫瘍等の異常細胞の検出感度を著しく向上させる特長をもつとともに、長期分散安定性に優れ、低毒性である造影剤として有用である。

Claims (8)

  1. 磁性ナノ粒子(P)の表面がカチオン性の官能基(a)を有する保護剤(A)で被覆されてなる磁性ナノ粒子複合体(C)が、アニオン性ポリマー(B)を含有する水性分散媒(S)中に、分散されてなる磁気共鳴画像用造影剤であって、前記磁性ナノ粒子(P)と前記保護剤(A)が共有結合で結合されてなり、前記磁性ナノ粒子(P)が鉄属元素酸化物(p)であり、前記カチオン性の官能基(a)がアルキルアンモニウム基、ジアルキルアンモニウム基、トリアルキルアンモニウム基、テトラアルキルアンモニウム基、ピリジニウム基、イミダゾリニウム基、イミダゾリウム基及びグアニジウム基からなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオン性の官能基であり、前記アニオン性ポリマー(B)がアクリル酸、メタクリル酸、アルギン酸、アスパラギン酸及び/又はグルタミン酸から誘導されるアニオン性ポリマー並びにカルボキシメチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種の、カルボキシル基を含有するアニオン性ポリマーであることを特徴とする磁気共鳴画像用造影剤。
  2. 磁性ナノ粒子(P)の体積平均粒径が3〜100nmである請求項1に記載の造影剤。
  3. 磁性ナノ粒子(P)が酸化鉄を含有する粒子である請求項1又は2に記載の造影剤。
  4. 磁性ナノ粒子(P)と保護剤(A)がFe−O−Si結合で結合されてなる請求項に記載の造影剤。
  5. 保護剤(A)のカチオン性の官能基(a)がイミダゾリウムカチオンである請求項1〜のいずれか1項に記載の造影剤。
  6. アニオン性ポリマー(B)が分子内に少なくとも2つ以上のカルボキシル基を有する請求項1〜のいずれか1項に記載の造影剤。
  7. アニオン性ポリマー(B)が多糖類のカルボン酸変性物である請求項に記載の造影剤。
  8. 水性溶媒中で塩化鉄と塩基から得られる酸化鉄磁性ナノ粒子(P1)、保護剤(A)、及びアニオン性ポリマー(B)を水性溶媒中で混合することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の磁気共鳴画像用造影剤の製造方法。
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