JP4892821B2 - エパルレスタット製造法 - Google Patents
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本発明者らは上記の問題点を解決すべく鋭意検討を行なった結果、α―メチルシンナムアルデヒドと3−カルボキシメチルロダニンを三級アミン存在下に縮合せしめ、三級アミンとの塩として晶析せしめることで上記目的が達成できることを見出した。また三級アミンを用いない系で縮合せしめた後、中和・晶析して得られるエパルレスタットを三級アミンとの塩として晶析することでも上記目的が達成されることを見出した。すなわち本発明は以下の手段により達成される。
(1)
式IIで表されるα−メチルシンナムアルデヒドと式IIIで表される3−カルボキシメチルロダニンを縮合させ、エパルレスタットの三級アミン塩として結晶を析出させることを特徴とする式Iで表されるエパルレスタット製造法。
前記式IIで表されるα−メチルシンナムアルデヒドと前記式IIIで表される3−カルボキシメチルロダニンを、三級アミン存在下にて縮合させ、三級アミン塩として結晶を析出させることを特徴とする、式Iで表されるエパルレスタット製造法。
(3)
前記三級アミン塩の懸濁液に酸を加えることを特徴とする(1)または(2)に記載のエパルレスタット製造法。
(4)
アルコール類を溶媒とすることを特徴とする(1)〜(3)いずれか1項に記載のエパルレスタット製造法。
(5)
1〜4の炭素数をもつアルコール類を溶媒とすることを特徴とする(4)に記載のエパルレスタット製造法。
(6)
三級アミンがトリエチルアミンであることを特徴とする(1)〜(5)いずれか1項に記載のエパルレスタット製造法。
(7)
前記式IIで表されるα―メチルシンナムアルデヒドと前記式IIIで表される3−カルボキシメチルロダニンを縮合させた後、三級アミンを混合し得られることを特徴とするエパルレスタットの三級アミン塩。
(8)
前記三級アミンがトリエチルアミンであることを特徴とする(7)に記載のエパルレスタットの三級アミン塩。
(9)
(7)または(8)に記載のエパルレスタットの三級アミン塩の懸濁液または溶液中に酸を加えることを特徴とするエパルレスタット製造法。
これにより、一旦生成した三級アミン塩は、酸で処理し中和することで、前記2Z−異性体の含有量が少ない高純度のエパルレスタットが得られる。
従って、前記式IIで表されるα−メチルシンナムアルデヒドと式IIIで表される3−カルボキシメチルロダニンを無機塩基を用いて反応させ、後に、トリエチルアミンのような三級アミンと反応させて塩を形成させ、エパルレスタットの三級アミン塩の結晶として析出せしめ、これを懸濁させた或いは溶解させた液中で酸と接触させて中和し、エパルレスタットを得てもよい。
また、より工程を短縮するために、三級アミンを縮合塩基として用いて、この存在下において、例えばアルコール中で縮合し、エパルレスタットの三級アミン塩を得て、これを酸で処理してエパルレスタットを得ても良い。
反応温度は0〜160℃、好ましくは10〜140℃、さらに好ましくは20〜120℃である。反応時間は溶媒量、三級アミン量、温度などの反応条件によって変わるが通常は1〜30時間、特に1〜6時間である。縮合反応はTLCにて追跡し、原料の残留量に変化が無くなるまで行なう。
また、反応の進行状況および実施例における異性体比率は、下記条件にて液体クロマトグラフィー分析を行い測定した。
装置:LC−2000Plus series(日本分光株式会社)
カラム:L−COLUMN ODS
移動層:アセトニトリル/リン酸塩緩衝液pH6.8=35/65
検出波長:280nm
50mL反応容器に3−カルボキシメチルロダニン1.5g、α―メチルシンナムアルデヒド0.95g、酢酸11mL、酢酸ソーダ0.75gを加え14時間還流した。水11mLを加え1時間攪拌し得られた結晶を濾取し乾燥した。1.62gのエパルレスタット粗製物を得た。収率65%、異性体比率16.0:84.0(2Z−異性体:エパルレスタット)
1H−NMR(アセトン−d 6):2.3(3H,s),4.9(2H,s),7.3−7.6(7H,m)
50mL反応容器に3−カルボキシメチルロダニン1.50g、α―メチルシンナムアルデヒド1.14g、トリエチルアミン0.93g、アセトニトリル11mLを加え4時間還流した。室温に戻し水11mL、35%塩酸1.0gを順次加え1時間攪拌後得られた結晶を濾取し乾燥した。1.62gのエパルレスタットを得た。収率65%、異性体比率0.4:99.6(2Z−異性体:エパルレスタット)
核磁気共鳴分光法のスペクトルは比較例1で得たエパルレスタットと同様であった。
50mL反応容器に3−カルボキシメチルロダニン1.50g、α―メチルシンナムアルデヒド1.14g、トリエチルアミン0.93g、メタノール11mLを加え6時間還流した。室温に戻し水11mL、35%塩酸1.0gをを順次加え1時間攪拌後得られた結晶を濾取し乾燥した。2.02gのエパルレスタットを得た。収率81%、異性体比率0.1:99.9(2Z−異性体:エパルレスタット)
核磁気共鳴分光法のスペクトルは比較例1で得たエパルレスタットと同様であった。
50mL反応容器に3−カルボキシメチルロダニン1.50g、α―メチルシンナムアルデヒド1.14g、トリエチルアミン0.93g、エタノール11mLを加え4時間還流した。室温に戻し水11mL、35%塩酸1.0gを順次加え1時間攪拌後得られた結晶を濾取し乾燥した。1.89gのエパルレスタットを得た。収率76%、異性体比率0.2:99.8(2Z−異性体:エパルレスタット)
核磁気共鳴分光法のスペクトルは比較例1で得たエパルレスタットと同様であった。
50mL反応容器に3−カルボキシメチルロダニン1.50g、α―メチルシンナムアルデヒド1.14g、トリエチルアミン0.93g、イソプロパノール11mLを加え3時間還流した。室温に戻し水11mL、35%塩酸1.0gを順次加え1時間攪拌後得られた結晶を濾取し乾燥した。1.86gのエパルレスタットを得た。収率75%、異性体比率0.3:99.7(2Z−異性体:エパルレスタット)
核磁気共鳴分光法のスペクトルは比較例1で得たエパルレスタットと同様であった。
50mL反応容器に3−カルボキシメチルロダニン1.50g、α―メチルシンナムアルデヒド1.14g、トリエチルアミン0.93g、テトラヒドロフラン11mLを加え5時間還流した室温に戻し。水11mL、35%塩酸1.0gをを順次加え1時間攪拌後得られた結晶を濾取し乾燥した。1.69gのエパルレスタットを得た。収率68%、異性体比率0.3:99.7(2Z−異性体:エパルレスタット)
核磁気共鳴分光法のスペクトルは比較例1で得たエパルレスタットと同様であった。
50mL反応容器に3−カルボキシメチルロダニン1.50g、α―メチルシンナムアルデヒド1.14g、N−メチルモルホリン0.93g、メタノール11mLを加え6時間還流した。室温に戻し水11mL、35%塩酸1.0gを順次加え1時間攪拌後得られた結晶を濾取し乾燥した。1.69gのエパルレスタットを得た。収率68%、異性体比率0.3:99.7(2Z−異性体:エパルレスタット)
核磁気共鳴分光法のスペクトルは比較例1で得たエパルレスタットと同様であった。
50mL反応容器に3−カルボキシメチルロダニン1.50g、α―メチルシンナムアルデヒド1.14g、ジイソプロピルエチルアミン1.19g、メタノール11mLを加え6時間還流した。室温に戻し水11mL、35%塩酸1.0gを順次加え1時間攪拌後得られた結晶を濾取し乾燥した。1.74gのエパルレスタットを得た。収率70%、異性体比率0.7:99.3(2Z−異性体:エパルレスタット)
核磁気共鳴分光法のスペクトルは比較例1で得たエパルレスタットと同様であった。
50mL反応容器に3−カルボキシメチルロダニン1.50g、α―メチルシンナムアルデヒド1.14g、ピリジン0.73g、メタノール11mLを加え6時間還流した。室温に戻し水11mL、35%塩酸1.0gを順次加え1時間攪拌後得られた結晶を濾取し乾燥した。1.74gのエパルレスタットを得た。収率70%、異性体比率0.6:99.4(2Z−異性体:エパルレスタット)
核磁気共鳴分光法のスペクトルは比較例1で得たエパルレスタットと同様であった。
50mL反応容器に3−カルボキシメチルロダニン1.50g、α―メチルシンナムアルデヒド1.14g、ピリジン0.73g、ブタノール11mLを加え6時間還流した。室温に戻し水11mL、35%塩酸1.0gを順次加え1時間攪拌後得られた結晶を濾取し乾燥した。1.82gのエパルレスタットを得た。収率73%、異性体比率0.6:99.4(2Z−異性体:エパルレスタット)
核磁気共鳴分光法のスペクトルは比較例1で得たエパルレスタットと同様であった。
500mL反応容器に3−カルボキシメチルロダニン19.7g、α―メチルシンナムアルデヒド15.0g、トリエチルアミン10.4g、メタノール60mLを加え6時間還流した。水150mLを加え室温にて一夜攪拌し、析出した結晶を濾過しケーキを水で洗浄した。結晶を送風乾燥してエパルレスタットのトリエチルアミン塩36.1gを得た。収率83.9%、異性体比率0.1:99.9(2Z−異性体:エパルレスタット)
1H−NMR(ジメチルスルホキシド−d 6)δ(ppm):1.2(9H,t),2.3(3H,s),3.0(6H,q),4.5(2H,s),7.4−7.7(7H,m)
10mL反応容器に異性体比率4.9:95.1(2Z−異性体:エパルレスタット)のエパルレスタット粗製物1.0g、トリエチルアミン0.3g、メタノール2mLを加え還流した後、濃縮しエパルレスタットのトリエチルアミン塩1.2gを得た。異性体比率0.9:99.1(2Z−異性体:エパルレスタット)
核磁気共鳴分光法のスペクトルは実施例10で得たエパルレスタットのトリエチルアミン塩と同様であった。
三級アミン塩を生成させることで、三級アミン塩結晶中の2Z−異性体は、わずかな含有量に抑えられるという効果が示された。
Claims (11)
- 前記式IIで表されるα−メチルシンナムアルデヒドと前記式IIIで表される3−カルボキシメチルロダニンを、三級アミン存在下にて縮合させ、三級アミン塩として結晶を析出させることを特徴とする、式Iで表されるエパルレスタット製造法。
- 前記三級アミン塩の懸濁液に酸を加えることを特徴とする請求項1または2に記載のエパルレスタット製造法。
- アルコール類を溶媒とすることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のエパルレスタット製造法。
- 1〜4の炭素数をもつアルコール類を溶媒とすることを特徴とする請求項4に記載のエパルレスタット製造法。
- 三級アミンがトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンまたはそれらの混合塩基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエパルレスタット製造法。
- 三級アミンがトリエチルアミンであることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載のエパルレスタット製造法。
- 前記式IIで表されるα―メチルシンナムアルデヒドと前記式IIIで表される3−カルボキシメチルロダニンを縮合させた後、三級アミンを混合することにより得られることを特徴とするエパルレスタットの三級アミン塩。
- 前記三級アミンがトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンまたはそれらの混合塩基であることを特徴とする請求項8に記載のエパルレスタットの三級アミン塩。
- 前記三級アミンがトリエチルアミンであることを特徴とする請求項8に記載のエパルレスタットの三級アミン塩。
- 請求項8〜10のいずれか1項に記載のエパルレスタットの三級アミン塩の懸濁液または溶液中に酸を加えることを特徴とするエパルレスタット製造法。
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