JP4892392B2 - 低光沢容器 - Google Patents

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Description

本発明は、低光沢容器に関し、詳しくは、熱成形において得られる深絞り容器において、成形性がよく、耐傷付き性および低光沢性に優れた低光沢容器に関する。
ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂は、各種容器の原料として好んで用いられている。これらの容器の製法には、熱可塑性樹脂をシート状に押出成形した後、再加熱して、真空成形、真空圧空成形等の熱成形方法を用いて二次加工することによって成形する方法が多く採用されている。この様な熱成形方法は、生産性が高く、多層化等も容易なことから、大量生産向きの成形方法として広く普及している。
熱可塑性樹脂の中でも、プロピレン系重合体は、耐熱性、剛性、耐衝撃性、あるいは、衛生面に優れており、食品等の容器材として優れた材料であることから、特に、高い耐熱性で電子レンジでのレンジアップ容器や高温充填が必要な容器等に使用範囲が広がってきている。
一方、近年では、容器の高級感を高めるために透明性や光沢に特徴のある容器が求められており、高透明や低光沢については材料や成形方法等、種々の方法で改良が行われてきている。
低光沢な容器を得る方法について、MFR比の規定されたポリプロピレンと高密度ポリエチレンをブレンドする方法(例えば、特許文献1参照。)、エチレン−プロピレンブロック共重合体と高密度ポリエチレンのブレンド比を規定する方法(例えば、特許文献2参照)、MFRが規定されたポリプロピレンホモポリマーと高密度ポリエチレンを一定の比率でブレンドする方法(例えば、特許文献3参照。)等が開示されている。
しかし、これらは、ブロー成形品に関する発明であり、ブロー成形によって得られる容器に対しては、低光沢やフロスト感を与えることができるが、圧空成形容器や真空圧空容器のように熱成形法により得られる容器に対しては、充分な性能を与えることのできる組成物とは言えなかった。
シートからの熱成形容器の場合、最初にシートを成形する時に溶融樹脂を光沢の高いロールやスリーブで挟み込み成形するため、シートの光沢が高くなる。一方、絞り比の大きい容器を得るために固相熱成形(シートの融点以下の温度で圧空成形や真空圧空成形)を行なうと、シートの光沢を保持したまま成形を行うことになるため、低光沢の容器を得るのが非常に困難となる。また、ロール表面に加工等を施し低光沢のシートを得る方法を採用しても、融点以下の温度で容器成形を行うと光沢の高い容器となってしまう。
特開平3−197541号公報 特開平4−86260号公報 特開平10−315358号公報
本発明は、前述した従来の技術の問題点に鑑み、シートからの固相熱成形による、成形性、耐傷付き性がよく高級感のある低光沢容器を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため種々の研究を重ねた結果、先の特許文献などにおける先行技術に代表される従来の技術状況のなかで、ポリプロピレン系容器において要望と重要性が高いといえる上記の発明の課題の解決をはかるために、先行技術を参酌しつつ、原材料や成形条件について種々の検討と考察を行った結果、固相熱成形において、特定のプロピレン系ブロック共重合体とエチレン系重合体を含有するプロピレン系樹脂組成物からなるシートを用いることで低光沢容器が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、少なくとも外表層が以下の条件(i)〜(iii)を満たすプロピレン系ブロック共重合体(A)50〜90重量%と、メルトフローレート(MFR;2.16kg 190℃)が0.1〜15g/10分および密度が0.950g/cm以上のエチレン系重合体(B)50〜10重量%とを含有する樹脂組成物から成形されるシートを熱成形してなる深さ/口径の比が1.0倍以上、グロス値が10%以下の低光沢容器が提供される。
(i)第1工程でプロピレン単独重合体成分(A1)を40〜90重量%、第2工程でエチレンを35〜100重量%含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を60〜10重量%逐次重合することで得られたエチレン含量が10重量%を超えること
(ii)メルトフローレート(MFR;2.16kg 230℃)が0.5〜5g/10分の範囲にあること
(iii)プロピレン系ブロック共重合体(A)のMFR(A)と第1工程で得られるプロピレン単独重合体成分(A1)のMFR(A1)の比MFR(A)/MFR(A1)が3.0以上であること
また、本発明の第2の発明によれば、少なくとも外表層が以下の条件(i)〜(iii)を満たすプロピレン系ブロック共重合体(A)50〜90重量%と、メルトフローレート(MFR;2.16kg 190℃)が0.1〜5g/10分および密度が0.950g/cm 以上のエチレン系重合体(B)50〜10重量%とを含有する樹脂組成物から成形されるシートをプラグアシスト圧空成形することによって得られる深さ/口径の比が1.15倍以上、グロス値が5%以下の低光沢容器が提供される。
(i)第1工程でプロピレン単独重合体成分(A1)を40〜90重量%、第2工程でエチレンを35〜75重量%含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を60〜10重量%逐次重合することで得られたエチレン含量が10重量%を超えること
(ii)メルトフローレート(MFR;2.16kg 230℃)が0.5〜3.0g/10分の範囲にあること
(iii)プロピレン系ブロック共重合体(A)のMFR(A)と第1工程で得られるプロピレン単独重合体成分(A1)のMFR(A1)の比MFR(A)/MFR(A1)が3.0以上であること
本発明によれば、深絞りの熱成形容器においても、成形性、耐傷付き性および低光沢性に優れた低光沢容器を得ることができる。
本発明の低光沢容器は、プロピレン系ブロック共重合体(A)と、エチレン系重合体(B)とを含有する樹脂組成物をシート状に成形し、該シートを用いて熱成形することにより得られる。本発明の低光沢容器について、以下に詳細に説明する。
1.樹脂組成物の構成成分
(1)プロピレン系ブロック共重合体(A)
本発明に用いるプロピレン系ブロック共重合体(A)は、プロピレン単独重合体成分(A1)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)から構成されるプロピレンエチレンブロック共重合体であり、次の特性を有している。
(i)メルトフローレート(MFR)
本発明に用いるプロピレン系ブロック共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は、0.5〜5g/10分、好ましくは0.5〜3g/10分、より好ましくは1.0〜2g/10分である。MFRが5g/10分を超えると、ドローダウン性が悪化し、シート成形が困難になる。MFRが0.5g/10分未満では重合活性が低下し、コストが高くなってしまうと共にシート成形時の押出性が低下し生産性が低下する。
ここで、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイトI(MVR)の試験方法」に準拠し、試験条件M:230℃、2.16kg荷重で測定される値である。
ポリマーのMFRを調整するには、例えば、重合温度、触媒量、分子量調節剤としての水素の供給量などを適宜調節する方法、あるいは重合終了後に過酸化物の添加により調整する方法がある。
(ii)(A1)と(A2)の構成比
プロピレン単独重合成分(A1)の割合は、40〜90重量%であり、好ましくは45〜85重量%である。(A1)の割合が40重量%未満では容器の耐傷つき性が悪化し、90重量%を超えると光沢が高くなる。プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)の割合は、60〜10重量%であり、好ましくは55〜15重量%である。(A2)の割合が60重量%を超えると容器の耐傷つき性が悪化し、10重量%未満では光沢が高くなる。
(iii)(A2)のエチレン含量
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)中のエチレン含量は、35〜100重量%であり、好ましくは35〜75重量%である。エチレン含量が35重量%未満では、得られる容器の光沢が高くなる。
(iv)(A)のエチレン含量
プロピレン系ブロック共重合体(A)のエチレン含量は、10重量%を超え、好ましくは12〜25重量%である。エチレン含量が10重量%以下では容器の光沢が高くなる。
ここで、エチレン含量E(A2)、及び各成分量W(A1)とW(A2)の特定は以下の方法で測定する値である。
成分(A1)と(A2)の成分量および成分(A2)のエチレン含量E(A2)、重合時の物質収支(マテリアルバランス)によって特定することも可能であるが、より正確にこれらを特定するためには、以下の分析(分別法)を用いることが望ましい。
(ア)温度昇温溶離分別(TREF)による各成分量W(A1)とW(A2)の特定
プロピレン−エチレンランダム共重合体の結晶性分布を温度昇温溶離分別法(TREF)により評価する手法は、当業者によく知られているものであり、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
G.Glockner,J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Polym.Symp.;45,1−24(1990)
L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)
J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polymer;36,8,1639−1654(1995)
本発明におけるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)は、成分(A1)と(A2)各々の結晶性に大きな違いがあることから両者の中間的な成分は極めて少なく、双方をTREFにより精度良く分別することが可能である。
TREF溶出曲線(温度に対する溶出量のプロット)において、成分(A1)と(A2)は結晶性や組成の違いにより各々T(A1)とT(A2)にその溶出ピークを示し、その差は十分大きいため、中間の温度T(A3)(={T(A1)+T(A2)}/2)においてほぼ分離が可能である。
また、TREF測定温度の下限は、本測定に用いる装置では−15℃であるが、成分(A2)の結晶性が非常に低いあるいは非晶性成分の場合には本測定方法において、測定温度範囲内にピークを示さない場合がある。(このとき測定温度下限(すなわち−15℃)において溶媒に溶解した成分(A2)の濃度は検出される。)
このとき、T(A2)は、測定温度下限以下に存在するものと考えられるが、その値を測定することができないため、このような場合にはT(A2)を測定温度下限である−15℃と定義する。
ここで、T(A3)までに溶出する成分の積算量をW(A2)wt%、T(A3)以上で溶出する部分の積算量をW(A1)wt%と定義すると、W(A2)は結晶性が低いあるいは非晶性の成分(A2)の量とほとんど対応しており、T(A3)以上で溶出する成分の積算量W(A1)は結晶性が高いプロピレン単独重合成分(A1)の量とほぼ対応している。
(イ)TREF測定方法
本発明においては、具体的には以下のように測定を行う。
試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後に8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒である−15℃のo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)を1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
(ウ)成分(A2)のエチレン含量E(A2)の特定
(ウ−1)成分(A1)と(A2)の分離
先のTREF測定により求めたT(A3)を基に、分取型分別装置を用い昇温カラム分別法により、T(A3)における可溶成分の成分(A2)と、T(A3)における不溶成分の成分(A1)とに分別し、NMRにより各成分のエチレン含量を求める。
昇温カラム分別法とは、例えば、Macromolecukes 21 314−319(1988)に開示されたような測定方法をいう。具体的には、本発明において以下の方法を用いる。
(ウ−2)分別条件
直径50mm、高さ500mmの円筒状カラムにガラスビーズ担体(80〜100メッシュ)を充填し、140℃に保持する。次に、140℃で溶解したサンプルのo−ジクロロベンゼン溶液(10mg/mL)200mLを前記カラムに導入する。その後、該カラムの温度を0℃まで10℃/時間の降温速度で冷却する。0℃で1時間保持後、10℃/時間の昇温速度でカラム温度をT(A3)まで加熱し、1時間保持する。なお、一連の操作を通じてのカラムの温度制御精度は±1℃とする。
次いで、カラム温度をT(A3)に保持したまま、T(A3)のo−ジクロロベンゼンを20mL/分の流速で800mL流すことにより、カラム内に存在するT(A3)で可溶な成分を溶出させ回収する。
ついで、10℃/分の昇温速度で当該カラム温度を140℃まで上げ、140℃で1時間静置後、140℃の溶媒のo−ジクロロベンゼンを20mL/分の流速で800mL流すことにより、T(A3)で不溶な成分を溶出させ回収する。
分別によって得られたポリマーを含む溶液は、エバポレーターを用いて20mLまで濃縮された後、5倍量のメタノール中に析出される。析出ポリマーを濾過して回収後、真空乾燥器により一晩乾燥する。
(ウ−3)13C−NMRによるエチレン含量の測定
上記分別により得られた成分(A2)のエチレン含有量は、プロトン完全デカップリング法により以下の条件に従って測定した、13C−NMRスペクトルを解析することにより求める。
機種:日本電子(株)製 GSX−400又は同等の装置
(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
溶媒:o−ジクロロベンゼン/重ベンゼン=4/1(体積比)
濃度:100mg/ml
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えばMacromolecules 17 1950 (1984)などを参考に行えばよい。上記条件により測定されたスペクトルの帰属は表1の通りである。表中Sααなどの記号はCarmanら(Macromolecules 10 536 (1977))の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
Figure 0004892392
以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中にはPPP、PPE、EPE、PEP、PEE、及びEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules 15 1150 (1982)などに記されているように、これらトリアッドの濃度とスペクトルのピーク強度とは、以下の(1)〜(6)の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ) ・・・(1)
[PPE]=k×I(Tβδ) ・・・(2)
[EPE]=k×I(Tδδ) ・・・(3)
[PEP]=k×I(Sββ) ・・・(4)
[PEE]=k×I(Sβδ) ・・・(5)
[EEE]=k×{I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4}・・・(6)
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば[PPP]は全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。
したがって、[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1 ・・・(7)
である。また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えばI(Tββ)はTββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記(1)〜(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
エチレン含有量のモル%から重量%への換算は以下の式を用いて行う。
エチレン含有量(重量%)=(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−X/100)}×100 ここでXはモル%表示でのエチレン含有量である。
また、ブロック共重合体全体のエチレン含量E(W)は、上記より測定された成分(A2)のエチレン含量E(A2)及びTREFより算出される各成分の重量比率W(A1)とW(A2)wt%から以下の式により算出される。
E(W)=E(A2)×W(A2)/100 (wt%)
(v)(A)のMFRと成分(A1)のMFR比
プロピレン系ブロック共重合体(A)のMFR(A)とプロピレン単独重合体のMFR(A1)の比MFR(A)/MFR(A1)は、3.0以上であり、好ましくは3.3以上である。MFR(A)/MFR(A1)が3.0未満ではプロピレン単独重合成分(A1)とプロピレン−エチレンランダム共重合成分(A2)の流動性の差が小さくなり、容器成形時に両成分が同じように延伸されるため、得られる容器の光沢が高くなる。
なお、MFR(A1)は後述の逐次重合における第1工程に供給される水素量で調整できる。MFR(A)は第1工程で得られるプロピレン単独重合成分(A1)と第2工程で得られるエチレン重合体成分もしくはプロピレン−エチレンランダム共重合成分(A2)のそれぞれのMFRおよび生産割合で決定するものであることから、第1工程および第2工程に供給する水素量を調整することで調整できる。また、成分(A1)のMFRは第1工程の重合が終了したパウダーを抜き出して測定することができる。
本発明に用いるプロピレン系ブロック共重合体(A)は、従来公知であるマグネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与体を必須成分とするいわゆるチーグラーナッタ触媒、あるいはメタロセン触媒等を用いて、第1工程でプロピレン単独重合体成分(A1)を重合し、第2工程でプロピレン−エチレンランダム共重合体を重合する、逐次重合方法で製造する。
重合方法としては、スラリー法、バルク法、溶液法、気相法等の汎用プロセスが適用できる。これらの重合方法には、単独反応器で連続して逐次重合を行う方法や複数の反応器を用いて逐次重合を行う方法が例示でき、また、これらの重合方法は、複数組み合わせて用いることもできる。なかでも、効率よくプロピレン系ブロック共重合体(A)が生産可能であることから、複数の気相反応器を用いた重合方法が好適である。
プロピレン系ブロック共重合体(A)は、上述の特性を満足するように、第1工程でプロピレン単独重合成分(A1)が重合され、第2工程でプロピレン−エチレンランダム共重合成分(A2)が重合される。
なお、プロピレン系ブロック共重合体(A)は、前記特性を満足する限り一種類もしくは二種類以上の混合物として用いて良い。
本発明においては、プロピレン系ブロック共重合体(A)としては、市販品を用いることができ、例えば、日本ポリプロ(株)製ノバテックPP、ニューコン等が例示できる。
(2)エチレン系重合体(B)
本発明に用いるエチレン系重合体(B)としては、エチレンの単独ホモ重合体、エチレンとα−オレフィンとのランダム共重合体等が挙げられ、一種類でも二種類以上の混合物としても用いることができる。
該共重合体に用いられるα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等が挙げられ、このα−オレフィンは一種類でなく、二種類以上の多元系共重合体でもよい。これら(共)重合体の中では、密度の高いエチレンの単独ホモ重合体が好ましい。
本発明に用いるエチレン系重合体(B)は、次の物性を有している。
(i)MFR
本発明に用いるエチレン系重合体(B)のMFRは、0.1〜15g/10分、好ましくは0.1〜10g/10分、さらに好ましくは0.1〜5g/10分、特に好ましくは0.1〜1g/10分である。MFRが15g/10分を超えると、光沢が高くなり、MFRが0.1g/10分未満ではシートにブツが発生し、外観が悪化する。
ここで、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠し、試験条件D:190℃、2.16kg荷重で測定される値である。
(ii)密度
本発明に用いるエチレン系重合体(B)の密度は、0.950g/cm以上である。密度が0.950g/cm未満では、満足し得る低光沢な容器が得られない。
ここで、密度は、JIS K7112「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」に準拠し、A法(水中置換法)で測定される値である。
本発明に用いるエチレン系重合体(B)は、従来公知であるチーグラー型触媒、クロム触媒、メタロセン触媒等を用いて、公知の方法により製造することができる。
本発明に用いるエチレン系重合体(B)の重合方法としては、スラリー法、バルク法、溶液法、気相法等の汎用プロセスが適用できる。これらの重合方法には、単独反応器だけでなく複数用いることができ、重合方法も複数組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、エチレン系重合体(B)として、市販品を用いることができ、例えば、日本ポリエチレン(株)製ノバテックPE等が例示できる。
(3)成分(A)と成分(B)の組成割合
本発明に用いる樹脂組成物は、プロピレン系ブロック共重合体(A)50〜90重量%、好ましくは60〜80重量%、エチレン系重合体(B)50〜10重量%、好ましくは40〜20重量%とからなる。プロピレン系ブロック共重合体(A)が90重量%を超えると満足し得る低光沢な容器が得られなくなり、50重量%未満では耐傷付き性が悪化する。
(4)その他の成分
本発明に用いる樹脂組成物は、前記プロピレン系ブロック共重合体(A)およびエチレン系重合体(B)の他に、付加的成分(任意成分)を本発明の効果を著しく損なわない範囲で配合することもできる。この付加的成分としては、通常のポリオレフィン樹脂用配合剤として使用される核剤、フェノール系酸化防止剤、燐系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤、分散剤、無機顔料、有機顔料、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、及び、本発明に使用する以外の樹脂、エチレン・プロピレン系ゴム、エチレン・ブテン系ゴム、エチレン・ヘキセン系ゴム、エチレン・オクテン系ゴム等を挙げることができる。
前記酸化防止剤のフェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸などを挙げることができる。
燐系酸化防止剤の具体例としては、トリス(ミックスド、モノ及びジノニルフェニルホスファイト)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4´−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトなどを挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジ−ステアリル−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリル−チオ−プロピオネート)などを挙げることができる。
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト、ミズカラック(水沢化学(株)製)などを挙げることができる。
ヒンダードアミン系の安定剤の具体例としては、琥珀酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]などを挙げることができる。
核剤の具体例としては、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸ナトリウム、タルク、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール系化合物、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸アルミニウム、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸と炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸リチウム塩混合物(旭電化(株)製 商品名NA21)などを挙げることができる。
滑剤の具体例としては、飽和脂肪酸モノアマイドとして、ラウリン酸アマイド、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイド等が挙げられる。
また、不飽和脂肪酸モノアマイドとして、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、リシノール酸アマイド等が挙げられる。
置換アマイドの具体例としては、N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−オレイルオレイン酸アマイド、N−ステアリルオレイン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、N−ステアリルエルカ酸アマイド、N−オレイルパルチミン酸アマイド等が挙げられる。
飽和脂肪酸ビスアマイドとして、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスイソステアリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アマイド、N,N’−ジステアリルセパシン酸アマイド等が挙げられる。
不飽和脂肪酸ビスアマイドとして、エチレンビスオレイン酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アマイド、N,N’−ジオレイルセパシン酸アマイド等が挙げられる。
芳香族系ビスアマイドとして、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アマイド等が挙げられる。
2.樹脂組成物の製造
本発明に用いる樹脂組成物は、前記プロピレン系ブロック共重合体(A)、エチレン系重合体(B)および必要に応じて付加的成分を公知の方法により配合して製造することができる。
配合方法の具体例としては、重合されたプロピレン系ブロック共重合体パウダーもしくは/およびエチレン系重合体パウダーを、それぞれ単独に、またはこれらの混合物パウダーに、直接付加的成分を予備混合して溶融混練混合する方法、また予め付加的成分を高濃度にしたマスターバッチをブレンドする方法等で配合物を得ることができる。上記混合或いは溶融混練に用いられる混合機或いは混練機としては、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ブラベンダープラストグラフ、ロール、一軸スクリュー押出造粒機、二軸スクリュー押出造粒機等を挙げることができる。また、溶融混練温度は一般に100〜300℃で行われる。
3.シート
本発明に用いられるシートは、前述の樹脂組成物を用いて、公知の成形方法、例えば、押出成形法、カレンダー成形法、圧縮成形法等により製造することができる。
中でも押出成形法が好ましく、具体的にはTダイ法、インフレーション法等を用いた押出法が挙げられる。
得られたシートは、ポリッシング法、エアーナイフ法、金属鏡面ベルト法、等の公知の方法で冷却固化される。
本発明に用いられるシートは、単層に限らず多層シートであってもよい。
多層シ−トの場合は、プロピレン系ブロック共重合体(A)、エチレン系重合体(B)および必要に応じて配合される付加的成分からなる低光沢層(プロピレン系複合樹脂層)を表層に用いた構成が挙げられ、具体的にはプロピレン系複合樹脂層/主層の2種2層構成やプロピレン系複合樹脂層/再生層/主層の3種3層構成等が好適な層構成として挙げられる。
また、ガスバリア性を付加すべくガスバリアー樹脂層を配した積層シ−トも挙げることができる。層構成として、例えば、プロピレン系複合樹脂層/主層/接着樹脂層/ガスバリアー樹脂層/接着樹脂層/主層の4種6層構成やプロピレン系複合樹脂層/主層/再生層/接着樹脂層/ガスバリアー樹脂層/接着樹脂層/再生層/主層の5種7層構成が好適な層構成として挙げられる。
多層シートの場合、各層を積層する方法は、前記した各層を形成する樹脂材料を溶融状態で積層する方法が層間接着性の点で好ましい。一般的には、各材料をそれぞれの押出機で溶融混練した後にダイス内で積層するマルチマニホールド方式や、ダイスに流入させる前に積層するフィードブロック方式(コンバイニングアダプター方式)等が好ましい。
4.容器
(1)容器の成形法
上記で得られたシートは、熱成形によりカップ等の各種容器に賦形される。熱成形は、一般に、プラスチックシートを加熱軟化して所望の型に押し当て、型と材料の間隙にある空気を排除し大気圧により型に密着させて成形する真空成形、及び、大気圧以上の圧縮エアーか、あるいは真空を併用して成形する圧空成形等が用いられ、方法としては、真空あるいは圧空を用い、必要により、更にプラグを併せて用いて金型形状に成形する方法(ストレート法、ドレープ法、エアスリップ法、スナップバック法、プラグアシスト法、プラグアシストリバースドロー成形法、マッチモールド成形法など)があり、また、固相プレス成形、スタンピング成形が挙げられる。これらの熱成形法の組み合わせ等による成形法であれば特に限定されないが、本発明の低光沢容器は、深さ/口径(形状が複雑な場合は、中心点を通る最大径)の比が1.0倍以上、好ましくは1.15倍以上、さらに好ましくは1.25倍以上の深絞り低光沢容器であるため、シートが非溶融状態であることが必須となり、プラグアシスト圧空成形が好適である。熱成形温度や真空度、圧空の圧力または成形速度等の各種条件は、プラグ形状や金型形状または原料シートの性質等により適宜設定される。
(2)容器の物性
本発明の低光沢容器は、グロス値10%以下、好ましくは8%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは4%以下の容器である。グロス値が10%を超えると低光沢感に欠けるため、容器の高級感がなくなり商品価値が低下する。
ここで、グロス値は、JIS K7105「プラスチックの光学的特性試験方法」に準拠して測定する値である。
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例で用いた評価方法及び樹脂は以下の通りである。
1.評価方法
(1)メルトフローレート(MFR)
(i)ポリプロピレン
JIS K7210(ISO 1133)「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法の試験条件Mに従い、以下の条件で測定した。
試験温度:230℃
公称荷重:2.16kg
ダイ形状:直径2.095mm、長さ8.00mm
(ii)ポリエチレン
JIS K7210(ISO 1133)「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法の試験条件Dに従い、以下の条件で測定した。
試験温度:190℃
公称荷重:2.16kg
ダイ形状:直径2.095mm、長さ8.00mm
(2)各成分のエチレン含量及び各成分割合
上述の方法で測定した。
(3)容器のグロス値
容器の光沢を、以下の条件により評価した。
規格番号:JIS K7105「プラスチックの光学的特性試験方法」
測定機:スガ試験機製デジタル変角光沢性計 UGV−5K
試験片厚み:200μm
試験片の作成方法: 容器から50×50mmの試験片を切り出し
状態の調節:成形後に室温23℃ 、湿度50%に調節された恒温室内に24時間放置
試験片の数:3
評価項目:60度鏡面光沢度
(4)容器の成形性
容器の成型性を以下の条件により評価した。
○:問題なく成型可能
その他:目視確認での不良原因を表に記載
(5)容器の傷つき性
容器の傷つき性を以下の条件により評価した。
容器同士を擦り合わせた後を目視判断し、下記の基準で判定した。
○:傷が殆ど認められない。
△:やや傷付き状態が判る。
×:傷が目立つ。
2.使用樹脂
(1)プロピレン系ブロック共重合体(A)
プロピレン系ブロック共重合体(A)として、製造例1〜11で得られた(PP−1)〜(PP−11)を用いた。(PP−1)〜(PP−11)の特性を表2に示す。
(製造例1)
(i)Ti系固体触媒Aの製造
n−ヘキサン6リットル、ジエチルアルミニウムモノクロリド(DEAC)5.0モル、ジイソアミルエーテル12.0モルを25℃で5分間で混合し、5分間同温度で反応させて反応液(I)(ジイソアミルエーテル/DEACのモル比2.4)を得た。窒素置換された反応器に4塩化チタン40モルを入れ35℃に加熱し、これに上記反応液(I)の全量を180分間で滴下した後、同温度に30分間保ち、75℃に昇温して更に1時間反応させ、室温まで冷却し上澄液を除き、n−ヘキサン30リットルを加えてデカンテーションで除く操作を4回繰り返して、固体生成物(II)1.9kgを得た。この(II)の全量をn−ヘキサン30リットル中に懸濁させた状態で20℃でジイソアミルエーテル1.6kgと4塩化チタン3.5kgを室温にて約5分間で加え、60℃で1時間反応させた。反応終了後、室温(20℃)まで冷却し、上澄液をデカンテーションによって除いた後、30リットルのn−ヘキサンを加え15分間撹拌し、静置して上澄液を除く操作を5回繰り返した後、減圧下で乾燥させ、Ti系固体触媒(A)を得た。
(ii)重合
内容積400リットルの攪拌機付きステンレス鋼製オートクレーブを室温下、プロピレンガスで充分に置換し、重合溶媒として脱水及び脱酸素したn−ヘプタン120リットルを入れた。次に温度65℃の条件下、ジエチルアルミニウムクロライド86g、水素17リットル(標準状態換算)、および前記触媒Aを18gを加えた。
オートクレーブを内温70℃に昇温した後、プロピレンを20.3kg/時、水素を19.3L/時の速度で供給し、重合を開始した。190分後プロピレン、水素の導入を停止。圧力は重合開始時0.34kg/cmG、プロピレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で5.1kg/cmGまで上昇した。その後、器内の圧力が2.0kg/cmGまで低下するまで残重合を行った後、未反応ガスを0.5kg/cmまで放出した。この間、重合温度は70±1℃の範囲に維持した(第1段重合工程)。
次いで、オートクレーブを内温65℃にした後、プロピレンを1.62kg/時、エチレンを6.46kg/時の速度で供給し、2段重合を開始した。78分後プロピレン、エチレンの導入を停止。圧力は、プロピレン、エチレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で0.7kg/cmGまで上昇した。その後、器内の未反応ガスを0.3kg/cmまで放出。この間、重合温度は65±1℃の範囲に維持した(第2段重合工程)。
得られたスラリーは、次の攪拌機付き槽に移送し、ブタノールを5リットル加え、70℃で3時間処理し、更に次の攪拌機付き槽に移送、水酸化ナトリウム100gを溶解した純水100リットルを加え、1時間処理した後、水層を静置後分離、触媒残渣を除去した。スラリーは遠心分離機で処理し、ヘプタンを除去、80℃の乾燥機で3時間処理しヘプタンを完全に除去、59.4kgのプロピレン系共重合体(PP−1)を得た。
(iii)造粒
前記プロピレン系重合体(PP−1)100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤として、ペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバスペシャルティケミカルズ(株)社製;イルガノックス1010)を0.05重量部、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフエニル)フオスフアイト(チバスペシャルティケミカルズ(株)社製;イルガフォス168)を0.1重量部、中和剤として、ハイドロタルサイト(協和化学工業(株)社製;DHT−4A)を0.05重量部添加しスーパーミキサーで窒素シール後、3分間混合した。その後、スクリュー系40mmDの単軸押出機を用いホッパーを窒素シールしながら230℃で溶融混練し造粒(ペレット化)した。このペレット空気循環型乾燥機に入れ80℃、2hr乾燥した。
(製造例2)
製造例1の第1段重合工程において、水素を32.4L/時の速度で供給した以外は、製造例1に準じて行い、59.2kgのプロピレン系共重合体(PP−2)を得た。その後、製造例1と同様に造粒した。
(製造例3)
内容積400リットルの攪拌機付きステンレス鋼製オートクレーブを室温下、プロピレンガスで充分に置換し、重合溶媒として脱水及び脱酸素したn−ヘプタン120リットルを入れた。次に温度65℃の条件下、ジエチルアルミニウムクロライド86g、水素17リットル(標準状態換算)、および前記触媒Aを17gを加えた。
オートクレーブを内温70℃に昇温した後、プロピレンを19.9kg/時、水素を29.9L/時の速度で供給し、重合を開始した。190分後プロピレン、水素の導入を停止。圧力は重合開始時0.30kg/cmG、プロピレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で5.0kg/cmGまで上昇した。その後、器内の圧力が2.0kg/cmGまで低下するまで残重合を行った後、未反応ガスを0.4kg/cmまで放出した。この間、重合温度は70±1℃の範囲に維持した(第1段重合工程)。
次いで、オートクレーブを内温65℃にした後、エチレンのみを6.46kg/時の速度で供給し、2段重合を開始した。108分後プロピレン、エチレンの導入を停止。圧力は、プロピレン、エチレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で0.4kg/cmGまで上昇した。この間、重合温度は65±1℃の範囲に維持した(第2段重合工程)。
得られたスラリーは、次の攪拌機付き槽に移送し、ブタノールを5リットル加え、70℃で3時間処理し、更に次の攪拌機付き槽に移送、水酸化ナトリウム100gを溶解した純水100リットルを加え、1時間処理した後、水層を静置後分離、触媒残渣を除去した。スラリーは遠心分離機で処理し、ヘプタンを除去、80℃の乾燥機で3時間処理しヘプタンを完全に除去、62.6kgのプロピレン系共重合体(PP−3)を得た。
その後、製造例1と同様に造粒した。
(製造例4)
(i)Ti系固体触媒Bの製造
窒素置換した内容積50リットルの撹拌機付槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン20リットルを導入し、次いで、塩化マグネシウム10モルとテトラブトキシチタン20モルとを導入して95℃で2時間反応させた後、温度を40℃に下げ、メチルヒドロポリシロキサン(粘度20センチストークス)12リットルを導入して更に3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
引き続いて、前記撹拌機付槽を用いて該槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン5リットルを導入し、次いで、上記で合成した固体成分をマグネシウム原子換算で3モル導入した。ついで、n−ヘプタン2.5リットルに、四塩化珪素5モルを混合して30℃、30分間かけて導入して、温度を70℃に上げ、3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
さらに、引き続いて、前記撹拌機付槽を用いて該槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン2.5リットルを導入し、フタル酸クロライド0.3モルを混合して90℃、30分間で導入し、95℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いで、室温下四塩化チタン2リットルを追加し、100℃に昇温した後2時間反応した。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩化珪素0.6リットル、n−ヘプタン8リットルを導入し90℃で1時間反応し、n−ヘプタンで十分洗浄し、固体成分を得た。この固体成分中にはチタンが1.30重量%含まれていた。
次に、窒素置換した前記撹拌機付槽にn−ヘプタン8リットル、上記で得た固体成分を400gと、t−ブチル−メチル−ジメトキシシラン0.27モル、ビニルトリメチルシラン0.27モルを導入し、30℃で1時間接触させた。次いで15℃に冷却し、n−ヘプタンに希釈したトリエチルアルミニウム1.5モルを15℃条件下30分かけて導入、導入後30℃に昇温し2時間反応させ、反応液を取り出し、n−ヘプタンで洗浄して固体触媒成分(B)390gを得た。
得られたTi系固体触媒B中には、チタンが1.22重量%含まれていた。
更に、n−ヘプタンを6リットル、n−ヘプタンに希釈したトリイソブチルアルミニウム1モルを15℃条件下30分かけて導入し、次いでプロピレンを20℃を越えないように制御しつつ約0.4kg/時間で1時間導入して予備重合した。その結果、固体1g当たり0.9gのプロピレンが重合したポリプロピレン含有のTi系固体触媒Bが得られた。
(ii)重合
内容積230リットルの流動床式反応器を2個連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。まず第1反応器で、重合温度60℃、プロピレン分圧20kg/cm、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.020となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/時で、Ti系固体触媒Bをポリマー重合速度が12kg/時になるように供給した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体)は、反応器内のパウダー保有量を40kgとなるように連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に移送した(第1段重合工程)。
重合温度80℃で、圧力20kg/cmになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で0.49となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.0001となるように連続的に供給すると共に、活性水素化合物としてエチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して2.1倍モルになるように供給した。第2反応器で重合したパウダーは、反応器内のパウダー保有量を50kgとなるように連続的にベッセルに抜き出し、水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン系共重合体(PP−4)を得た(第2段重合工程)。
(iii)造粒
製造例1と同様に造粒した。
(製造例5)
内容積400リットルの攪拌機付きステンレス鋼製オートクレーブを室温下、プロピレンガスで充分に置換し、重合溶媒として脱水及び脱酸素したn−ヘプタン120リットルを入れた。次に温度65℃の条件下、ジエチルアルミニウムクロライド86g、水素12リットル(標準状態換算)、および前記触媒Aを18gを加えた。
オートクレーブを内温70℃に昇温した後、プロピレンを20.3kg/時、水素を12.2L/時の速度で供給し、重合を開始した。190分後プロピレン、水素の導入を停止。圧力は重合開始時0.30kg/cmG、プロピレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で4.9kg/cmGまで上昇した。その後、器内の圧力が0.5kg/cmGまで低下するまで残重合を行った。この間、重合温度は70±1℃の範囲に維持した(第1段重合工程)。
次いで、オートクレーブを内温65℃にした後、プロピレンを1.62kg/時、エチレンを6.46kg/時の速度で供給し、2段重合を開始した。78分後プロピレン、エチレンの導入を停止。圧力は、プロピレン、エチレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で0.8kg/cmGまで上昇した。その後、器内の未反応ガスを0.3kg/cmまで放出。この間、重合温度は65±1℃の範囲に維持した(第2段重合工程)。
得られたスラリーは、次の攪拌機付き槽に移送し、ブタノールを5リットル加え、70℃で3時間処理し、更に次の攪拌機付き槽に移送、水酸化ナトリウム100gを溶解した純水100リットルを加え、1時間処理した後、水層を静置後分離、触媒残渣を除去した。スラリーは遠心分離機で処理し、ヘプタンを除去、80℃の乾燥機で3時間処理しヘプタンを完全に除去、60.1kgのプロピレン系共重合体(PP−5)を得た。
その後、製造例1と同様に造粒した。
(製造例6)
内容積230リットルの流動床式反応器からなる連続反応装置を用いて重合を行った。反応器内を、重合温度85℃、プロピレン分圧22kg/cm、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.0021となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/時で、Ti系固体触媒Bをポリマー重合速度が20kg/時になるように供給した。反応器で重合したパウダーは、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的にベッセルに抜き出し、水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン系重合体(PP−6)を得た。
その後、製造例1と同様に造粒した。
(製造例7)
内容積400リットルの攪拌機付きステンレス鋼製オートクレーブを室温下、プロピレンガスで充分に置換し、重合溶媒として脱水及び脱酸素したn−ヘプタン120リットルを入れた。次に温度65℃の条件下、ジエチルアルミニウムクロライド86g、プロピオン酸10.5ミリリットル、水素33リットル(標準状態換算)、および前記触媒Aを20gを加えた。
オートクレーブを内温70℃に昇温した後、プロピレンを18.9kg/時、水素を58.5L/時の速度で供給し、重合を開始した。200分後プロピレン、水素の導入を停止。圧力は重合開始時0.31kg/cmG、プロピレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で5.1kg/cmGまで上昇した。その後、器内の圧力が2.0kg/cmGまで低下するまで残重合を行った後、未反応ガスを0.5kg/cmまで放出した。この間、重合温度は70±1℃の範囲に維持した(第1段重合工程)。
次いで、オートクレーブを内温65℃にした後、プロピレンを1.62kg/時、エチレンを6.46kg/時の速度で供給し、2段重合を開始した。84分後プロピレン、エチレンの導入を停止。圧力は、プロピレン、エチレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で1.2kg/cmGまで上昇した。この間、重合温度は65±1℃の範囲に維持した(第2段重合工程)。
得られたスラリーは、次の攪拌機付き槽に移送し、ブタノールを5リットル加え、70℃で3時間処理し、更に次の攪拌機付き槽に移送、水酸化ナトリウム100gを溶解した純水100リットルを加え、1時間処理した後、水層を静置後分離、触媒残渣を除去した。スラリーは遠心分離機で処理し、ヘプタンを除去、80℃の乾燥機で3時間処理しヘプタンを完全に除去、61.2kgのプロピレン系共重合体(PP−7)を得た。
その後、製造例1と同様に造粒した。
(製造例8)
製造例1の1段重合において、水素を6.1L/時の速度で供給した以外は、製造例1に準じて行い、60.3kgのプロピレン系共重合体(PP−8)を得た。
その後、製造例1と同様に造粒した。
(製造例9)
内容積230リットルの流動床式反応器を2個連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。まず第1反応器で、重合温度55℃、プロピレン分圧18kg/cm、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.022となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/時で、Ti系固体触媒Bをポリマー重合速度が10kg/時になるように供給した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体)は、反応器内のパウダー保有量を35kgとなるように連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に移送した(第1段重合工程)。
重合温度80℃で、圧力20kg/cmになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で3.0となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.40となるように連続的に供給すると共に、活性水素化合物としてエチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して1.4倍モルになるように供給した。第2反応器で重合したパウダーは、反応器内のパウダー保有量を50kgとなるように連続的にベッセルに抜き出し、水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン系共重合体(PP−9)を得た(第2段重合工程)。
その後、製造例1と同様に造粒した。
(製造例10)
内容積230リットルの流動床式反応器を2個連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。まず第1反応器で、重合温度85℃、プロピレン分圧22kg/cm、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.0022となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/時で、Ti系固体触媒Bをポリマー重合速度が20kg/時になるように供給した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体)は、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に移送した(第1段重合工程)。
重合温度80℃で、圧力20kg/cmになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で0.30となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.0005となるように連続的に供給すると共に、活性水素化合物としてエチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して2.2倍モルになるように供給した。第2反応器で重合したパウダーは、反応器内のパウダー保有量を40kgとなるように連続的にベッセルに抜き出し、水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン系共重合体(PP−10)を得た(第2段重合工程)。
その後、製造例1と同様に造粒した。
(製造例11)
内容積400リットルの攪拌機付きステンレス鋼製オートクレーブを室温下、プロピレンガスで充分に置換し、重合溶媒として脱水及び脱酸素したn−ヘプタン120リットルを入れた。次に温度65℃の条件下、ジエチルアルミニウムクロライド86g、水素8.3リットル(標準状態換算)、および前記触媒Aを18gを加えた。
オートクレーブを内温70℃に昇温した後、プロピレンを18.4kg/時、水素を6.08L/時の速度で供給し、重合を開始した。230分後プロピレン、水素の導入を停止。圧力は重合開始時0.23kg/cmG、プロピレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で4.6kg/cmGまで上昇した。その後、器内の圧力が2.0kg/cmGまで低下するまで残重合を行った後、未反応ガスを0.3kg/cmまで放出した。この間、重合温度は70±1℃の範囲に維持した(第1段重合工程)。
次いで、オートクレーブを内温65℃にした後、プロピレンを1.04kg/時、エチレンを4.15kg/時の速度で供給し、2段重合を開始した。53分後プロピレン、エチレンの導入を停止。圧力は、プロピレン、エチレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で0.6kg/cmGまで上昇した。この間、重合温度は65±1℃の範囲に維持した(第2段重合工程)。
得られたスラリーは、次の攪拌機付き槽に移送し、ブタノールを5リットル加え、70℃で3時間処理し、更に次の攪拌機付き槽に移送、水酸化ナトリウム100gを溶解した純水100リットルを加え、1時間処理した後、水層を静置後分離、触媒残渣を除去した。スラリーは遠心分離機で処理し、ヘプタンを除去、80℃の乾燥機で3時間処理しヘプタンを完全に除去、62.0kgのプロピレン系共重合体(PP−11)を得た。
その後、製造例1と同様に造粒した。
Figure 0004892392
(2)エチレン系重合体(B)
エチレン系重合体として、下記の(PE−1)〜(PE−5)を用いた。
(PE−1):日本ポリエチレン社製HB439R(MFR=0.7g/10min、密度=0.960g/cm
(PE−2):日本ポリエチレン社製HJ580(MFR=12g/10min、密度=0.960g/cm
(PE−3):日本ポリエチレン社製HJ490(MFR=20g/10min、密度=0.958g/cm
(PE−4):日本ポリエチレン社製HB233R(MFR=0.3g/10min、密度=0.946g/cm
(PE−5):日本ポリエチレン社製HF313(MFR=0.05g/10min、密度=0.950g/cm
(実施例1)
プロピレン系ブロック共重合体(A)として、製造例1で得られた(PP−1)を用い、エチレン系重合体(B)として、(PE−1)を使用した。
ペレット状のプロピレン系ブロック共重合体(PP−1)8kgとエチレン系重合体(PE−1)2kgをタンブラーミキサーで5min混合し、得られた混合物を、口径40mmφの押出機から、樹脂温度240℃、幅400mmのシート状に溶融押し出しした。次いで、溶融シートをポリシング法の冷却ロール(ロール温度:上50℃、中80℃、下50℃)に導いて冷却固化し、厚みが1.0mm、幅350mmのシートを作製した。
次に、得られたシートを圧空成形機RDM50K(イーリッヒ社製)に、絞り比1.26(深さ:120mm、口径:95mmφ)の容器成形用金型を設置し低光沢容器を成形した。成形性は良好で、得られた容器はグロス値が4%、耐傷付き性も良好であった。本発明の構成を有する熱成形容器は、低光沢性に優れた深絞り容器であることが解る。結果を表3に示す。
(実施例2)
実施例1のプロピレン系ブロック共重合体(PP−1)とエチレン系重合体(PE−1)のブレンド比を変えた以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表3に示す。本発明の構成を有する熱成形容器は、低光沢性に優れた深絞り容器であることが解る。
(実施例3)
製造例2のプロピレン系ブロック共重合体(PP−2)を用いた以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表3に示す。本発明の構成を有する熱成形容器は、低光沢性に優れた深絞り容器であることが解る。
(実施例4)
製造例3のプロピレン系ブロック共重合体(PP−3)を用いた以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表3に示す。本発明の構成を有する熱成形容器は、低光沢性に優れた深絞り容器であることが解る。
(実施例5)
製造例4のプロピレン系ブロック共重合体(PP−4)を用いた以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表3に示す。本発明の構成を有する熱成形容器は、低光沢性に優れた深絞り容器であることが解る。
(実施例6)
実施例1のエチレン系重合体(PE−1)の代わりに(PE−2)を使用した以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表3に示す。本発明の構成を有する熱成形容器は、低光沢性に優れた深絞り容器であることが解る。
(実施例7)
実施例1の成型用金型を絞り比1.05(深さ:100mm、口径:95mmφ)に変えた以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表3に示す。本発明の構成を有する熱成形容器は、低光沢性に優れた深絞り容器であることが解る。
(実施例8)
実施例1の成型用金型を絞り比1.42(深さ:135mm、口径:95mmφ)に変えた以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表3に示す。本発明の構成を有する熱成形容器は、低光沢性に優れた深絞り容器であることが解る。
参考例1
製造例5のプロピレン系ブロック共重合体(PP−5)を用いた以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表3に示す。参考例1は、プロピレン系ブロック共重合体(A)のMFR(A)と第1工程で得られるプロピレン単独重合体成分(A1)のMFR(A1)の比MFR(A)/MFR(A1)が本発明の範囲を超えているため、熱成形容器の低光沢性に劣るものであった。
(比較例1)
実施例1のプロピレン系ブロック共重合体(PP−1)のみを使用した以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表4に示す。比較例1は、エチレン重合体の配合比率が本発明の範囲以下のため、熱成形容器の低光沢性に劣るものであった。
(比較例2)
実施例1のプロピレン系ブロック共重合体(PP−1)とエチレン系重合体(PE−1)のブレンド比を変えた以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表4に示す。比較例2は、エチレン重合体の配合比率が本発明の範囲を超えているため、熱成形容器の低光沢性に劣るものであった。
(比較例3)
製造例6のプロピレン系重合体(PP−6)を用いた以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表4に示す。比較例3は、プロピレン系ブロック共重合体の組成が本発明の範囲を超えているため、熱成形容器の低光沢性に劣るものであった。
(比較例4)
製造例7のプロピレン系ブロック共重合体(PP−7)を用いた以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表4に示す。比較例4は、プロピレン系ブロック共重合体のMFRが本発明の範囲を超えているため、熱成形容器の低光沢性に劣るものであった。
(比較例5)
製造例8のプロピレン系ブロック共重合体(PP−8)を用いた以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表4に示す。比較例5は、プロピレン系ブロック共重合体のMFRが本発明の範囲を超えているため、熱成形容器のコーナー形状が甘く成形性に劣るものであった。
(比較例6)
製造例9のプロピレン系ブロック共重合体(PP−9)を用いた以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表4に示す。比較例6は、プロピレン系ブロック共重合体のプロピレン単独重合体(A1)の比率が本発明の範囲を超えているため耐傷付き性に劣るものであった。
(比較例7)
製造例10のプロピレン系ブロック共重合体(PP−10)を用いた以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表4に示す。比較例7は、プロピレン系ブロック共重合体中のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)のエチレン含量E(A2)が本発明の範囲を超えているため熱成形容器の低光沢性に劣るものであった。
(比較例8)
製造例11のプロピレン系ブロック共重合体(PP−11)を用いた以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表4に示す。比較例8は、プロピレン系ブロック共重合体中のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)の重合割合が本発明の範囲を超えているため熱成形容器の低光沢性に劣るものであった。
(比較例9)
実施例1の(PE−1)に変えて(PE−3)を用いた以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表4に示す。比較例9は、エチレン系重合体のMFRが本発明の範囲を超えているため、熱成形容器の低光沢性に劣るものであった。
(比較例10)
実施例1の(PE−1)に変えて(PE−4)を用いた以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表4に示す。比較例10は、エチレン重合体の密度が本発明の範囲以下のため、熱成形容器の低光沢性に劣るものであった。
(比較例11)
実施例1の(PE−1)変え(PE−5)を使用した以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表4に示す。比較例11は、エチレン重合体の密度が本発明の範囲以下のため、熱成形容器にブツが発生し、成形性に劣るものであった。
(比較例12)
実施例1の成型用金型を絞り比0.68(深さ:65mm、口径:95mmφ)に変えた以外は実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表4に示す。比較例12は、容器の絞り比が本発明の範囲以下のため、熱成形容器の低光沢性に劣るものであった。
Figure 0004892392
Figure 0004892392
本発明の低光沢容器は、深絞りの熱成形容器においても、成形性、耐傷付き性および低光沢性に優れたものである。そのため、高級感が要求されるプレミアム商品において、特に有用なものである。

Claims (2)

  1. 少なくとも外表層が以下の条件(i)〜(iii)を満たすプロピレン系ブロック共重合体(A)50〜90重量%と、メルトフローレート(MFR;2.16kg 190℃)が0.1〜15g/10分および密度が0.950g/cm以上のエチレン系重合体(B)50〜10重量%とを含有する樹脂組成物から成形されるシートを熱成形してなる深さ/口径の比が1.0倍以上、グロス値が10%以下の低光沢容器。
    (i)第1工程でプロピレン単独重合体成分(A1)を40〜90重量%、第2工程でエチレンを35〜100重量%含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を60〜10重量%逐次重合することで得られたエチレン含量が10重量%を超えること
    (ii)メルトフローレート(MFR;2.16kg 230℃)が0.5〜5g/10分の範囲にあること
    (iii)プロピレン系ブロック共重合体(A)のMFR(A)と第1工程で得られるプロピレン単独重合体成分(A1)のMFR(A1)の比MFR(A)/MFR(A1)が3.0以上であること
  2. 少なくとも外表層が以下の条件(i)〜(iii)を満たすプロピレン系ブロック共重合体(A)50〜90重量%と、メルトフローレート(MFR;2.16kg 190℃)が0.1〜5g/10分および密度が0.950g/cm 以上のエチレン系重合体(B)50〜10重量%とを含有する樹脂組成物から成形されるシートをプラグアシスト圧空成形することによって得られる深さ/口径の比が1.15倍以上、グロス値が5%以下の低光沢容器。
    (i)第1工程でプロピレン単独重合体成分(A1)を40〜90重量%、第2工程でエチレンを35〜75重量%含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を60〜10重量%逐次重合することで得られたエチレン含量が10重量%を超えること
    (ii)メルトフローレート(MFR;2.16kg 230℃)が0.5〜3.0g/10分の範囲にあること
    (iii)プロピレン系ブロック共重合体(A)のMFR(A)と第1工程で得られるプロピレン単独重合体成分(A1)のMFR(A1)の比MFR(A)/MFR(A1)が3.0以上であること
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