JP4890680B2 - 金属缶用ラベルが装着された金属缶 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属缶に加熱接着される金属缶用ラベル及びその金属缶用ラベルを装着した金属缶、特にラベルを装着した金属缶に絞り加工やレトルト処理などを施しても剥がれにくい金属缶用ラベル及びその金属缶用ラベルを装着した金属缶に関する。
【0002】
【従来の技術】
清涼飲料、ビール等の飲料を充填する飲料缶やガスを充填するスプレー缶などの金属缶には、缶胴部、缶底部及び缶蓋部から構成される3ピース缶と、缶底部及び缶胴部が一体成形された缶本体と缶蓋部とから構成される2ピース缶とがある。そして、近年、缶本体の首部分にネックイン加工を施すことによって複数の段部を形成したものが多く利用されるようになってきている。
【0003】
このような2ピース缶や3ピース缶等の金属缶においては、商品名、製造業者名、デザイン、その他の外観装飾は、缶本体の胴部外周面に直接印刷されることによって施されるのが一般的である。しかし、印刷面となる金属缶(2ピース缶)の胴部外周面は、通常、円筒状に湾曲しているため、一般的なフィルム印刷に比べて印刷性が悪く、綺麗な仕上げ状態を得るのが困難である。特に、精密な工程が必要となる写真印刷等の多色印刷を行う場合には問題が多く、胴部外表面に直接印刷することで金属缶に優れた外観装飾を施そうとしても限界があった。
【0004】
このため、金属缶の胴部にシュリンクラベルを装着することで装飾性を高めることが試されたが、ネックイン加工部等においては、シュリンクラベルの収縮が不均一となり、シュリンクラベルの上端部や下端部にゆがみが生じたり、破れが生じてシュリンクラベルが金属缶から剥がれるといった問題があった。また、シュリンクラベルは金属缶の胴部表面に接着されていないので、シュリンクラベルが巻締め部にまで至る場合には、非接着状態のシュリンクラベルの存在によって巻締め強度が弱くなるといった不都合がある。
【0005】
そこで、優れた外観装飾を施すことができる金属缶用ラベルとして、図10に示すような、透明ラベル基材22上に印刷層(又は金属蒸着層)23と熱硬化性樹脂からなる接着層24とを順次積層した接着性ラベル21が検討されている。図11は、このような接着性ラベル21を金属缶の缶胴部に装着した後ネックイン加工を加えた状態の缶本体10の上部を示す断面図である。上記接着性ラベル21によれば、金属缶の缶胴部の表面に加熱接着により確実に固定できるので、巻締め部にまで至るようにしても巻締め強度を低下させることがない。しかし、前記のように缶胴部のネック部にきびしい絞り加工(ネックイン加工)が加えられると、該ネックイン処理部10cにおいて、貼り付けたラベル21にストレスがかかり、図11に示されるように、ラベル上端が剥がれるという問題が生じる。この剥がれは、通常、層間密着強度の不足により、印刷層(又は金属蒸着層)23と接着層24との界面で起きる(印刷層(又は金属蒸着層)23と透明ラベル基材22との界面で起きる場合もある)。また、ラベル21を装着した金属缶に温水処理やレトルト処理を施した場合にも、ラベル端面から水分が侵入して、ラベル剥がれが生じるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、優れた外観装飾を施すことができるとともに、金属缶の胴部外表面に確実に固定でき、しかも金属缶にきびしい絞り加工を加えたり温水又はレトルト処理を施しても剥がれにくい金属缶用ラベル、及びこのような金属缶用ラベルが装着された金属缶を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ラベル端部に印刷層や金属蒸着層の無いクリアな部分を設けると、ラベルを装着した金属缶にきびしい絞り加工を加えたりレトルト処理を施しても容易にはラベルが剥がれないことを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、缶胴部の上部に絞り加工が施されている、金属缶用ラベルが装着された金属缶であって、前記金属缶用ラベルは、耐熱性を有する透明ラベル基材と、熱硬化性樹脂からなる接着層と、前記透明ラベル基材と接着層との間に設けられた印刷層及び金属蒸着層から選択された少なくとも1つの層とで構成されているとともに、前記透明ラベル基材と接着層とが前記印刷層及び金属蒸着層の何れをも介することなく積層されたクリア部が、ラベルの上端部、下端部、左端部及び右端部から選択された少なくとも1つの端部に設けられ、他の部位では前記透明ラベル基材と接着層が印刷層及び金属蒸着層から選択された少なくとも1つの層を介して積層されており、且つラベルの端部のうち少なくとも上端部にクリア部が所定の幅で前記上端部の全長に亘って設けられているものであって、当該金属缶用ラベルが、前記クリア部が設けられた上端部を上にして、前記缶胴部の上部の絞り加工が施されている部位を含む缶胴部周面に加熱接着により積層されている、金属缶用ラベルが装着された金属缶を提供する。
【0009】
前記金属缶において、前記金属缶用ラベルが、ラベルの端部のうち、上端部に加えて、さらに、左端部若しくは右端部、又は左端部及び右端部に、前記クリア部が、それぞれ所定の幅で設けられている金属缶用ラベルであってもよい。また、ラベルの上端部側のクリア部が缶胴部上端部と缶蓋との巻締め部により隠蔽された状態で、金属缶用ラベルが缶胴部周面に装着されていてもよい。前記金属缶は、さらに、オーバーコート層が、前記金属缶用ラベル全面を覆うように積層されていてもよい。この場合、オーバーコート層の上端部若しくは下端部、又は上端部及び下端部が、金属缶用ラベルを介することなく、缶胴部の開放端部に積層されて、装着されていてもよい。
【0010】
なお、本明細書では、上記の発明のほか、金属缶に加熱接着される金属缶用ラベルであって、耐熱性を有する透明ラベル基材と、熱硬化性樹脂からなる接着層と、前記透明ラベル基材と接着層との間に設けられた印刷層及び金属蒸着層から選択された少なくとも1つの層とで構成されているとともに、前記透明ラベル基材と接着層とが前記印刷層及び金属蒸着層の何れをも介することなく積層されたクリア部が、ラベルの上端部と、左端部及び/又は右端部とに、それぞれ所定の幅で設けられている金属缶用ラベルについても説明する。
【0011】
なお、本発明において、缶胴部の「開放端部」とは、缶胴部において、金属缶用ラベルが被覆されていない部分のことを意味している。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面において、同一の部材や部分には同一の符号が付されている。
【0013】
図1は本発明の金属缶用ラベルの一例を示す概略断面図である。この金属缶用ラベル1は、缶コーヒーや缶ビール等の飲料缶やスプレー缶などの金属缶を構成する缶本体の胴部(缶胴部)に加熱接着する外装用ラベルであり、缶本体に加熱接着する際の加熱温度ではほとんど収縮することのない(缶本体との接着により外観上は実質的に収縮しない)耐熱性合成樹脂フィルムによって形成された透明ラベル基材2と、接着層4と、前記ラベル基材2と接着層4との間に設けられた印刷層3とで構成されている。そして、ラベル1の端部には、前記ラベル基材2と接着層4とが印刷層3を介することなく直接積層されたクリア部aが所定の幅で設けられている。
【0014】
図2は、図1により示される金属缶用ラベル1の全体を示す概略図である。図2の例では、クリア部aとしては、ラベル1の上端部b1、左端部b3に、それぞれ、上端クリア部a1、左端クリア部a3が設けられている。本発明では、クリア部aは、ラベル1の上端部b1、下端部b2、左端部b3および右端部b4から選択された少なくとも1つの端部に設けることができる。クリア部aとしては、少なくとも上端部b1に設けられていることが好ましい。従って、本発明では、クリア部aは、上端部b1及び下端部b2に設けられていてもよい。また、上端部b1と、左端部b3及び/又は右端部b4とに設けられていてもよく、さらにまた、上端部b1と、下端部b2と、左端部b3及び/又は右端部b4とに設けられていてもよい。なお、下端部b2に設けられているクリア部を下端クリア部a2と称し、右端部b4に設けられているクリア部を右端クリア部a4と称する場合がある。
【0015】
上端部b1(特に、上端部b1及び下端部b2)にクリア部(a1,a2)を設けることにより、ラベル基材2と接着層4との密着強度が高くなり、ラベルを装着した金属缶にきびしい絞り加工を加えたりレトルト処理を施しても、ラベルが剥がれ難くなる。すなわち、しぼり追従性が優れている。
【0016】
また、左端部b3及び/又は右端部b4にクリア部(a3,a4)を設けることにより、ラベル1の左右の端部(b3,b4)を重ね合わせて、ラベル1を金属缶に装着しても、該重ね合わせ部における段差を低減することができる。もちろん、重ね合わせ部においても、上下端部に設けられたクリア部(a1,a2)と同様に、ラベル基材2と接着層4との密着強度が高まっている。また、重ね合わせ部において、ストレスが低減されており、さらに、しぼり追従性も向上している。なお、左右端部のうちいずれか一方の端部のみにクリア部を設ける場合、クリア部が設けられた方の端部を、重ね合わせる際には、上側にすること(すなわち、終端部にすること)が最適である。左右端部を重ね合わせる際には、クリア部が設けられている方の端部を終端部にすることにより、ラベルの密着強度をより一層高めることができ、しぼり追従性がより一層高まる。
【0017】
しかも、ラベル1に印刷層が設けられていても、左端部b3及び右端部b4のうち少なくとも一方の端部に、重ね合わせ部と同一又はほぼ同一の幅で、クリア部を設けることにより、左右端部の印刷層が重なり合って、色が濃くなることを防止又は極力少なくすることができる。すなわち、重ね合わせ部が、いわゆる「二重印刷」状態になることを回避することができる。そのため、重ね合わせ部において、画像(文字や図形などの画像)に濃度差による非連続性を生じさせず、金属缶の缶胴部周面の全周にわたって連続している画像とすることができる。
【0018】
前記ラベル基材2としては、缶本体の胴部に加熱接着する際の熱に耐え得る耐熱性を備えた透明な合成樹脂フィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムやポリエステル系樹脂を積層したフィルムなどを使用できる。前記フィルムは無延伸フィルム、一軸若しくは二軸延伸フィルムの何れであってもよいが、延伸フィルム、特に二軸延伸フィルムを用いる場合が多い。ラベル基材2としては、特に寸法安定性に優れた二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムで形成されているのが好ましい。ラベル基材2の厚みは、基材としての強度や耐熱性、ラベルとしたときの貼付作業性や外観等を損なわない範囲で適宜選択できるが、一般には5〜50μm程度、好ましくは9〜25μm程度である。
【0019】
前記印刷層3は、ラベル基材2の表面のうちクリア部aを除いた部分に、着色顔料を含有したインキを用いグラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等の公知の印刷技術を利用して文字や模様等を形成したものであり、特に、ウレタン系樹脂成分を含む1液又は2液硬化型インキ等の耐熱性に富むインキを用いてグラビア印刷するのが望ましい。印刷層3の厚みは、例えば1〜8μm、好ましくは2〜5μm程度である。
【0020】
前記接着層4は熱硬化性樹脂で構成されている。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノプラスト樹脂、熱硬化型ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂等の単体または混合物(例えば、エポキシフェノール樹脂やポリエステル・イソシアネート系樹脂等)などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、密着性、加工性などの点で、エポキシ樹脂、熱硬化型ポリエステル系樹脂が好ましく、特に貼り付け作業性の点から熱硬化型ポリエステル系樹脂が好ましい。接着層4は、このような熱硬化型の樹脂組成物を主成分とした溶液を、グラビアコーティング等の慣用のコーティング手法を用いて、乾燥被膜が例えば0.5〜20μmになるように、印刷層3(クリア部aではラベル基材2)の上にコーティングすることにより形成できる。
【0021】
また、接着剤として酸化チタンを含有した白色系接着剤を使用することにより、デザインの隠蔽性を高めることができる。またこの場合、酸化チタンを含有することにより接着層表面にできた凹凸が、応力を緩和するとともに、加熱時(接着剤の硬化時)にフィルム−接着層間の気泡を分散することから、缶表面に皺ができるのを防止することができる。本発明において、クリア部aは、透明でなくてもよく、例えば、前記白色接着剤を使用した時には、クリア部aは白色半透明となる。
【0022】
クリア部aの幅は、剥離防止の点からは広い方が好ましいが、製品の外観装飾性の点からは、缶の地肌が見えないようにできるだけ狭い方がよい。特に、上端クリア部a1としては、缶胴部上端と缶蓋との巻締め部により隠蔽可能な幅であるのが好ましい。このような点を勘案すると、クリア部aの幅(ラベル1の上端からの距離)は、好ましくは3mm以内(例えば、0.2〜3mm)、さらに好ましくは0.5〜2.8mm程度、特に好ましくは1〜2.8mm程度である。
【0023】
下端クリア部a2としては、上端クリア部a1と同様に、クリア部aの幅(ラベル1の下端からの距離)は、好ましくは3mm以内(例えば、0.2〜3mm)、さらに好ましくは0.5〜2.8mm程度、特に好ましくは1〜2.8mm程度である。
【0024】
また、左端クリア部a3、右端クリア部a4としては、重ね合わせ部の幅と同等な幅であるのが好ましい。このような点を勘案すると、クリア部(a3,a4)の幅(ラベル1の左端又は右端からの距離)は、好ましくは5mm以内(例えば、0.1〜5mm)、さらに好ましくは0.2〜3.5mm程度、特に好ましくは0.5〜1.5mm程度である。
【0025】
図3は本発明の金属缶用ラベルの他の例を示す概略断面図である。この金属缶用ラベル11は、透明ラベル基材2と、このラベル基材2の片面に順次積層された印刷層3、アンカーコート層5、金属蒸着層6及び接着層4とから構成されている。そして、ラベル11の端部には、ラベル基材2と接着層4とが、印刷層3及び金属蒸着層6の何れをも介することなく直接積層されたクリア部aが所定の幅で設けられている。
【0026】
図3では、クリア部aとしては、図2と同様の端部、すなわち、上端部b1及び左端部b3に設けられている。これらのクリア部(a1,a3)は、前記図2のクリア部(a1,a3)と同様である。
【0027】
また、ラベル基材2、印刷層3及び接着層4については前記と同様である。なお、この例では、印刷層3は前記クリア部a以外の箇所において、全面又は部分的に形成されていてもよい。
【0028】
前記アンカーコート層5は、非硬化型樹脂、熱硬化型樹脂及び紫外線硬化型樹脂などの何れで構成してもよい。アンカーコート層5を熱硬化型樹脂で構成する場合には、例えば、熱硬化型のイソシアネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂又はこれらの混合物を含む樹脂組成物をグラビアコーター等の慣用の塗布手段又は印刷手段を用いて前記印刷層3上に塗布又は印刷し、熱により硬化させることにより該層5を形成できる。また、アンカーコート層5を紫外線硬化型樹脂で構成する場合には、オリゴマー(光重合性プレポリマー)、光重合開始剤、及び、必要に応じて、モノマー(光重合性希釈剤)、増感剤、非反応性樹脂、充填剤、その他の添加剤を含む紫外線硬化性組成物を、グラビアコーター等の慣用の塗布手段又は印刷手段を用いて前記印刷層3の上に塗布又は印刷し、乾燥させた後、紫外線を照射して硬化させることにより該層5を形成できる。
【0029】
アンカーコート層5を熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂で構成すると、金属缶用ラベル11を金属缶に加熱接着する際や、コーヒー缶などにおけるレトルト処理(加熱熱水処理)時などにおいて、熱によってアンカーコート層5が軟化しない。そのため、アンカーコート層5の軟化に伴って金属蒸着層6がラベル基材2に対して位置ずれを起こしたり歪みが生じて金属光沢が失われるといった不都合は発生しない。
【0030】
アンカーコート層5の厚みは、金属蒸着層6との密着性や金属光沢の輝度等を損なわない範囲で適宜設定できるが、一般には0.3〜3μm程度である。
【0031】
前記金属蒸着層6は、アルミニウムを真空蒸着などの慣用の蒸着法により300〜1000オングストロームの厚さに形成したものであり、ラベル基材2の外面から見えるように、透明着色インキ層を介して形成することもできる。なお、蒸着する母材としては、アルミニウム以外にクロム、銀、銅、スズ等の金属を採用することができる。
【0032】
本発明の金属缶用ラベルのクリア部では、透明ラベル基材と接着層とが印刷層及び金属蒸着層の何れをも介することなく積層されていればよく、必ずしも両層が直接積層されていなくてもよい。例えば、透明ラベル基材と接着層との間に、実質的に顔料を含有しないアンカーコート層やプライマーコート層などの薄膜層が介在していてもよい。
【0033】
上記のように構成された金属缶用ラベル1が装着された金属缶は、以下のようにして製造できる。なお、図4は素地のままの缶本体の一例を示す一部切欠断面図、図5は図1に示す金属缶用ラベルが装着された状態の缶本体を示す側面図、図6はさらにネックイン加工が施された状態の缶本体を示す側面図、図7は図6の缶本体の上部(A部)を示す断面図、図8は図6の缶本体に缶蓋が取り付けられた金属缶を示す側面図、図9は図8の金属缶の上部(B部)を示す断面図である。これらの図(図4〜9)において、Yはオーバーコート層である。
【0034】
先ず、図4に示すように、表面処理アルミニウム板を深絞りしごき加工成形することにより缶底部10aと筒状の缶胴部10bとが一体成形された缶本体10を、例えば80〜180℃程度に加熱し、該缶本体10の缶胴部10bの外周面に、図5に示すように、上端クリア部a1を上にし且つ内側に接着層4が位置する状態で前記金属缶用ラベル1を巻き付け、圧着して接着させ、さらに、オーバーコート剤を塗布して、硬化処理を行い、必要に応じて加熱により接着層4の硬化を行うことにより、缶胴部10bの外周面に、金属缶用ラベル1、オーバーコート層Yを、順次積層して、缶本体10に装着することができる。
【0035】
この際、金属缶用ラベル1の上端は缶胴部10bの上端と一致させてもよいが、ラベラーでの貼り付け位置にバラツキがあり、ラベルが缶上端よりはみ出ると缶蓋の巻締めに支障が生じることがあるため、金属缶用ラベル1の上端が缶胴部10bの上端より0.1〜3.0mm程度(好ましくは0.2〜2mm程度)下方に位置するように接着させるのが好ましい。
【0036】
また、金属缶用ラベル1の下端は缶胴部10bの下端と一致させてもよいが、ラベラーでの貼り付け位置にバラツキがあり、ラベルが缶下端よりはみ出ると、製品の外観を損なうことがあるため、金属缶用ラベル1の下端が缶胴部10bの下端より0.1〜1.0mm程度(好ましくは0.2〜0.8mm程度)上方に位置するように接着させるのが好ましい。
【0037】
また、このとき、金属缶用ラベル1の巻き始端部に、巻き終端部を数ミリの範囲で重ね合わせた2重巻き部分(重ね合わせ部)Xを形成し、確実に缶本体10の胴部10bの全周面が金属缶用ラベル1で覆われるようにする。なお、金属缶用ラベル1の左端部及び右端部のうち少なくともいずれか一方にクリア部が設けられている場合、重ね合わせ部Xでは、クリア部が設けられている方の端部が上側になっていることが好ましい。すなわち、左右端部のうちクリア部となっていない端部を巻き始端部にし、クリア部となっている端部を終端部として、これらの端部を重ね合わせて、重ね合わせ部Xを形成することが好ましい。
【0038】
オーバーコート層Yは、オーバーコート剤を金属缶用ラベル1の全面を覆うように、塗布して、硬化処理を行うことにより形成されている。この塗布に際しては、金属缶用ラベル1の上端や下端が、缶胴部10bの上端や下端と一致している場合(すなわち、缶胴部10bが、その上端部側や下端部側に開放端部を有していない場合)などでは、オーバーコート層Yは、オーバーコート剤を金属缶用ラベル1の全面を少なくとも覆うように塗布されている。このように、オーバーコート層Yにより、金属缶用ラベル1の全面を被覆することにより、金属缶用ラベル1を一層剥がれ難くすることができる。
【0039】
特に、図5で示されるように、缶胴部10bが、その上端部側や下端部側に開放端部10xを有している場合、すなわち、金属缶用ラベル1の上端や下端が、缶胴部10bの上端や下端より内側にある場合、オーバーコート剤を、缶胴部10bの開放端部にも塗布して、金属缶用ラベル1の全面を覆うように塗布することが好ましい。このように、金属缶用ラベル1の全面とともに、缶胴部10bの開放端部もオーバーコート層により被覆することにより、金属缶用ラベル1がより一層剥がれ難くなる。なお、オーバーコート層Yを開放端部10xに設ける場合、開放端部10x全面に設ける必要は必ずしもない。すなわち、オーバーコート層Yは、開放端部10xにおいて、金属缶用ラベル1の上端や下端に近接する部分に少なくとも設けることができる。本発明では、オーバーコート層Yとしては、開放端部10x全面に設けることが好ましい。また、オーバーコート層Yは、缶フランジ部先端10eにも設けることが好ましい。
【0040】
オーバーコート剤としては、特に制限されず、公知のオーバーコート剤を用いることができる。具体的には、オーバーコート剤としては、例えば、熱硬化型の透明樹脂系ニス(バーニッシュ)、紫外線硬化性樹脂組成物、電子線硬化性樹脂組成物などが挙げられる。オーバーコート剤としては、特に、熱硬化型の透明樹脂系ニスが好適である。このような熱硬化型の透明樹脂系ニスにおいて用いられる熱硬化性樹脂組成物としては、例えば、アクリル系熱硬化性樹脂、アミノ系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂、エステル系熱硬化性樹脂などが挙げられる。本発明では、アクリル系樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂組成物や、紫外線硬化性樹脂を主成分とする紫外線硬化性樹脂組成物を好適に用いることができる。このようなオーバーコート剤(熱硬化型の透明樹脂系ニスなど)は、水性であってもよく、溶剤系(有機溶剤系)であってもよい。
【0041】
なお、塗布したオーバーコート剤の硬化処理としては、例えば、オーバーコート剤がバーニッシュの場合、100〜220℃又はそれ以上の温度の熱風等で数秒〜数十分間加熱する焼き付け硬化処理方法を採用することができる。この焼き付け硬化処理では、オーバーコート剤を硬化させてオーバーコート層Yを形成することができるとともに、接着層4を完全に硬化させることができる。
【0042】
また、オーバーコート剤が紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂の場合、紫外線や電子線の照射により、硬化処理を行うことができる。この場合、さらに、100〜220℃又はそれ以上の温度の熱風等で数秒〜数十分間加熱して、接着層4を完全に硬化させることができる。
【0043】
次に、図6及び図7に示すように、金属缶用ラベル1が缶胴部10bに加熱接着されるとともに、オーバーコート層Yが硬化により形成された後の缶胴部10bの上部にネックイン加工を施し、径が1段ないし複数段に絞られたネックイン処理部10cを形成する。
【0044】
このようにしてネックイン加工が施された缶本体10は、清涼飲料等の内容物を製造する工場に出荷され、そこで内容物を缶本体10に充填した後に、図8及び図9に示すように、別に作成された缶蓋12を、ネックイン処理部10cの端部に巻締め処理によって強固に一体化して、密閉状態の金属缶20が構成される。缶蓋12には、通常プルタブ等の飲み口形成用の加工(図示せず)が施されている。
【0045】
金属缶用ラベル11が装着された金属缶も同様にして製造することができる。
【0046】
以上のようにして形成された金属缶20は、印刷層3(及び/又は金属蒸着層6)を備えた金属缶用ラベル1(又は11)と、オーバーコート層Y(バーニッシュによる層など)とを缶本体10の外周面に装着した後にネックイン加工を行うようにしたため、湾曲した缶本体10の表面に直接印刷する従来の金属缶より精密で綺麗な外観装飾を簡単に施すことができる。
【0047】
また、金属缶用ラベル1(又は11)は缶本体10の表面に完全に接着されているので、缶本体10の地肌が見えないように、金属缶用ラベル1を巻締め部10dにまで至るようにした場合でも、巻締め強度が低下することなく、外観装飾に優れた密封性の良好な金属缶20が得られる。
【0048】
そして、特に、ラベル1(又は11)の端部(上端部b1、下端部b2、左端部b3、右端部b4など)にラベル基材2と接着層4とが印刷層3及び金属蒸着層6を介することなく積層されたクリア部a(上端クリア部a1、下端クリア部a2、左端クリア部a3、右端クリア部a4など)が設けられているので、該クリア部aではラベル基材2と接着層4とが強力に接着する。そのため、ラベル1(又は11)が装着された缶本体10にきびしい絞り加工が加えられても、ラベル1(又は11)は極めて剥がれにくい。また、ラベル1(又は11)を装着した金属缶に温水処理やレトルト処理を施しても、ラベル端面から水分が侵入しないため、ラベル1(又は11)は容易には剥離しない。
【0049】
なお、前記クリア部aには印刷層3や金属蒸着層6が無いため、例えば、上端クリア部a1や下端クリア部a2が設けられている場合、缶胴部10の上端部や下端部側では、缶の地肌が見えることになるが、その貼り付け位置の調整や、クリア部の幅を調整することにより、外観性の低下を抑制又は防止することができる。例えば、上端クリア部a1では、その貼り付け位置を調整することで、缶胴部10bの上端部と缶蓋12との巻締め部10dにより隠蔽できるので、外観装飾を損なうことがない。
【0050】
特に、本発明では、金属缶用ラベル1は、オーバーコート層Yにより、全面が被覆されているので、従来の缶表面への直接印刷層にオーバーコート層が施された缶と同様に滑り性が優れ、且つ傷が付き難くなっている。特に、オーバーコート層Yが、金属缶用ラベル1を越えて、さらに金属缶の缶胴部10bの開放端部にも被覆している場合、金属缶用ラベル1は、その端部が露出しておらず、完全にオーバーコート層Yにより被覆されているので、より一層、剥がれ難くなっている。
【0051】
なお、上述した実施形態では、表面処理金属板によって形成された2ピースアルミニウム缶について説明したが、通常のDI缶やスチール缶の他、種々の材質の缶についても適用できることはいうまでもない。すなわち、本発明では、金属缶の材質には、特に制限されない。また、金属缶の形状又は構造も、特に制限されず、2ピース缶であってもよく、モノブロック缶や、3ピース缶などの3ピース以上による缶であってもよい。
【0052】
また、金属缶としては、表面処理金属板(表面処理アルミニウム板など)によって形成されたものを用いることが好ましい。金属缶が表面処理されていると、金属缶用ラベルとの密着性を高めることができ、より高い密着性で金属缶用ラベルを金属缶の缶胴部周面に装着することができる。このような表面処理方法としては、例えば、ジルコニウム、チタン又はこれらのいずれかを含む化合物と、ホスフェート及びフッ化物とを含有する酸性処理液(pH:約1.0〜4.0程度)を用いて、ジルコニウム及び/又はチタンのリン酸塩を主成分とする化成被膜層(被覆量:3〜15mg/m2)を形成させる方法(ジルコニウム表面処理方法、チタン表面処理方法など)の他、クロム酸クロメート化成処理方法又はリン酸クロメート化成処理方法などが挙げられる。本発明では、表面処理方法としては、金属缶用ラベル(フィルム)に対する密着性の点から、前記ジルコニウムのリン酸塩を主成分とする化成被膜層を形成する方法(ジルコニウム表面処理方法)が好ましい。
【0053】
本発明は、特に飲料缶やスプレー缶に好適である。
【0054】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
【0055】
(実施例1)
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、該フィルムの上端から2mmの幅の部分(クリア部)を除き、3〜4μmの厚さでグラビア印刷を行い、文字やデザインを形成した。次いで、この印刷層の上(前記クリア部では、PETフィルムの上)に、ポリエステル系の熱硬化型接着剤を1.8g/m2の膜厚で塗工して接着層を形成することにより、上端部にクリア部を有する金属缶用ラベルを作製した。
【0056】
缶底部と缶胴部とが一体成形されたジルコニウム表面処理が施されたスチール製金属缶の缶本体を130℃以上の温度に加熱し、その胴部を上記で得られた上端部にクリア部を有する金属缶用ラベルの接着層面に、金属缶用ラベルの上端部が缶胴部の上端部より0.5mm程度下方の位置となり、金属缶用ラベルの下端部が缶胴部の下端部より0.5mm程度上方の位置となるようにして、圧着させて、ラベルを貼り付けた。また、このとき、前記金属缶用ラベルの右端部が巻き始端部とし、左端部が終端部として、左端部が上側になるようにした。ラベル貼付後、オーバーコート剤として、アクリル系樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂組成物を、金属缶用ラベル全面と、スチール製金属缶の缶胴部の上下方向における開放端部の全面及び缶フランジ部先端の部分とに、塗布した。オーバーコート剤の塗布後、缶の温度が210℃で1分間保持できるように加熱し、オーバーコート剤を硬化させるとともに、接着層を硬化させて、上端部にクリア部を有する金属缶用ラベル、オーバーコート層が、この順で、金属缶の缶胴部に積層され、装着された金属缶(スチール製金属缶)を作製した。
【0057】
その後、該スチール製金属缶の缶本体の上部にネックイン加工を施したが、ラベルに皺が生じたり、ラベルの上端部が剥がれることはなかった。また、このネックイン加工を施したスチール製金属缶の缶本体を130℃の水蒸気に30分間曝したところ、ラベルの上端部、下端部、重ね合わせ部の終端部(左端部)が剥がれることはなく、強固に缶表面に接着していた。
【0058】
(実施例2)
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、該フィルムの上端から2mmの幅、および左端から2mmの幅の部分(クリア部)を除き、3〜4μmの厚さでグラビア印刷を行い、文字やデザインを形成した。次いで、この印刷層の上(前記クリア部では、PETフィルムの上)に、ポリエステル系の熱硬化型接着剤を1.8g/m2の膜厚で塗工して接着層を形成することにより、上端部及び左端部にクリア部を有する金属缶用ラベルを作製した。
【0059】
缶底部と缶胴部とが一体成形されたジルコニウム表面処理が施されたスチール製金属缶の缶本体を130℃以上の温度に加熱し、その胴部を上記で得られた上端部及び左端部にクリア部を有する金属缶用ラベルの接着層面に、金属缶用ラベルの上端部が缶胴部の上端部より0.5mm程度下方の位置となり、金属缶用ラベルの下端部が缶胴部の下端部より0.5mm程度上方の位置となるようにして、圧着させて、ラベルを貼り付けた。また、このとき、前記金属缶用ラベルの右端部が巻き始端部とし、クリア部を有する左端部が終端部として、左端部のクリア部が上側になるようにした。ラベル貼付後、オーバーコート剤として、アクリル系樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂組成物を、金属缶用ラベル全面と、スチール製金属缶の缶胴部の上下方向における開放端部の全面及び缶フランジ部先端の部分とに、塗布した。オーバーコート剤の塗布後、缶の温度が210℃で1分間保持できるように加熱し、オーバーコート剤を硬化させるとともに、接着層を硬化させて、上端部及び左端部にクリア部を有する金属缶用ラベル、オーバーコート層が、この順で、金属缶の缶胴部に積層され、装着された金属缶(スチール製金属缶)を作製した。
【0060】
その後、該スチール製金属缶の缶本体の上部にネックイン加工を施したが、ラベルに皺が生じたり、ラベルの上端部が剥がれることはなかった。また、このネックイン加工を施したスチール製金属缶の缶本体を130℃の水蒸気に30分間曝したところ、ラベルの上端部、下端部、重ね合わせ部の終端部(左端部)が剥がれることはなく、強固に缶表面に接着していた。
【0061】
(実施例3)
スチール製金属缶に代えて、ジルコニウム表面処理が施されたアルミニウム製金属缶を用いること以外は、実施例2と同様にして、上端部及び左端部にクリア部を有する金属缶用ラベル、オーバーコート層が、この順で、アルミニウム製金属缶の缶胴部に積層され、装着された金属缶(アルミニウム製金属缶)を作製した。その後、該アルミニウム製金属缶の缶本体の上部に、ネックイン加工を施したが、ラベルに皺が生じたり、ラベルの上端部が剥がれることはなかった。また、このネックイン加工を施したアルミニウム製金属缶の缶本体を130℃の水蒸気に30分間曝したところ、ラベルの上端部、下端部、重ね合わせ部の終端部(左端部)が剥がれることはなく、強固に缶表面に接着していた。
【0062】
(実施例4)
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、該フィルムの上端から2mmの幅、下端から2mmの幅、および左端から2mmの幅の部分(クリア部)を除き、3〜4μmの厚さでグラビア印刷を行い、文字やデザインを形成した。次いで、この印刷層の上(前記クリア部では、PETフィルムの上)に、ポリエステル系の熱硬化型接着剤を1.8g/m2の膜厚で塗工して接着層を形成することにより、上端部、下端部及び左端部にクリア部を有する金属缶用ラベルを作製した。
【0063】
缶底部と缶胴部とが一体成形されたジルコニウム表面処理が施されたアルミニウム製金属缶の缶本体を130℃以上の温度に加熱し、その胴部を上記で得られた上端部、下端部及び左端部にクリア部を有する金属缶用ラベルの接着層面に、金属缶用ラベルの上端部が缶胴部の上端部より0.5mm程度下方の位置となり、金属缶用ラベルの下端部が缶胴部の下端部より0.5mm程度上方の位置となるようにして、圧着させて、ラベルを貼り付けた。また、このとき、前記金属缶用ラベルの右端部が巻き始端部とし、クリア部を有する左端部が終端部として、左端部のクリア部が上側になるようにした。ラベル貼付後、オーバーコート剤として、アクリル系樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂組成物を、金属缶用ラベル全面と、アルミニウム製金属缶の缶胴部の上下方向における開放端部の全面及び缶フランジ部先端の部分とに、塗布した。オーバーコート剤の塗布後、缶の温度が210℃で1分間保持できるように加熱し、オーバーコート剤を硬化させるとともに、接着層を硬化させて、上端部、下端部及び左端部にクリア部を有する金属缶用ラベル、オーバーコート層が、この順で、金属缶の缶胴部に積層され、装着された金属缶(アルミニウム製金属缶)を作製した。
【0064】
その後、該アルミニウム製金属缶の缶本体の上部にネックイン加工を施したが、ラベルに皺が生じたり、ラベルの上端部が剥がれることはなかった。また、このネックイン加工を施したアルミニウム製金属缶の缶本体を130℃の水蒸気に30分間曝したところ、ラベルの上端部、下端部、重ね合わせ部の終端部(左端部)が剥がれることはなく、強固に缶表面に接着していた。
【0065】
(実施例5)
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、該フィルムの上端から2mmの幅、および左端から2mmの幅の部分(クリア部)を除き、3〜4μmの厚さでグラビア印刷を行い、文字やデザインを形成した。次いで、この印刷層の上(前記クリア部では、PETフィルムの上)に、ポリエステル系の熱硬化型接着剤を1.8g/m2の膜厚で塗工して接着層を形成することにより、上端部及び左端部にクリア部を有する金属缶用ラベルを作製した。
【0066】
缶底部と缶胴部とが一体成形されたジルコニウム表面処理が施されたスチール製金属缶の缶本体を130℃以上の温度に加熱し、その胴部を上記で得られた上端部及び左端部にクリア部を有する金属缶用ラベルの接着層面に、金属缶用ラベルの上端部が缶胴部の上端部より0.5mm程度下方の位置となり、金属缶用ラベルの下端部が缶胴部の下端部より0.5mm程度上方の位置となるようにして、圧着させて、ラベルを貼り付けた。また、このとき、金属缶用ラベルの右端部が巻き始端部とし、クリア部を有する左端部が終端部として、左端部のクリア部が上側になるようにした。ラベル貼付後、缶の温度が210℃で1分間保持できるように加熱して、接着層を硬化させて、金属缶用ラベルが金属缶の缶胴部に積層され、装着された金属缶(スチール製金属缶)を作製した。
【0067】
その後、該スチール製金属缶の缶本体の上部にネックイン加工を施したが、ラベルに皺が生じたり、ラベルの上端部が剥がれることはなかった。また、このネックイン加工を施したスチール製金属缶の缶本体を130℃の水蒸気に30分間曝したところ、ラベルの上端部、下端部、重ね合わせ部の終端部(左端部)が剥がれることはなく、強固に缶表面に接着していた。
【0068】
(実施例6)
スチール製金属缶に代えて、ジルコニウム表面処理が施されたアルミニウム製金属缶を用いること以外は、実施例5と同様にして、上端部及び左端部にクリア部を有する金属缶用ラベルが、アルミニウム製金属缶の缶胴部に積層され、装着された金属缶(アルミニウム製金属缶)を作製した。その後、該アルミニウム製金属缶の缶本体の上部に、ネックイン加工を施したが、ラベルに皺が生じたり、ラベルの上端部が剥がれることはなかった。また、このネックイン加工を施したアルミニウム製金属缶の缶本体を130℃の水蒸気に30分間曝したところ、ラベルの上端部、下端部、重ね合わせ部の終端部(左端部)が剥がれることはなく、強固に缶表面に接着していた。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、ラベルの端部に透明ラベル基材と接着層とが印刷層や金属蒸着層を介することなく積層したクリア部が設けられているので、透明ラベル基材と接着層とが強固に接着され、ラベル装着後に金属缶に対してネックイン加工を行ったり、温水又はレトルト処理を施しても、ラベルが剥がれることがない。特に、このラベルを金属缶に圧着後、さらに、オーバーコート層を積層した金属缶では、より一層、ラベルが剥がれ難くなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属缶用ラベルの一例を示す断面図である。
【図2】図1により示される金属缶用ラベル1の全体を示す概略図である。
【図3】本発明の金属缶用ラベルの他の例を示す断面図である。
【図4】素地のままの缶本体を示す一部切欠断面図である。
【図5】図1に示す金属缶用ラベルが装着された状態の缶本体を示す側面図である。
【図6】さらにネックイン加工が施された状態の缶本体を示す側面図である。
【図7】図5の缶本体の上部(A部)を示す断面図である。
【図8】図5の缶本体に缶蓋が取り付けられた金属缶を示す側面図である。
【図9】図7の金属缶の上部(B部)を示す断面図である。
【図10】従来の金属缶用ラベルを示す断面図である。
【図11】従来の金属缶用ラベルが装着され且つネックイン加工が施された状態の缶本体の上部を示す断面図である。
【符号の説明】
1,11 金属缶用ラベル
2 ラベル基材
3 印刷層
4 接着層
5 アンカーコート層
6 金属蒸着層
10 缶本体
10a 缶底部
10b 缶胴部
10c ネックイン処理部
10d 巻締め部
10e 缶フランジ部先端
12 缶蓋
20 金属缶
21 従来の金属缶用ラベル
a クリア部
X 重ね合わせ部
Y オーバーコート層
Claims (5)
- 缶胴部の上部に絞り加工が施されている、金属缶用ラベルが装着された金属缶であって、前記金属缶用ラベルは、耐熱性を有する透明ラベル基材と、熱硬化性樹脂からなる接着層と、前記透明ラベル基材と接着層との間に設けられた印刷層及び金属蒸着層から選択された少なくとも1つの層とで構成されているとともに、前記透明ラベル基材と接着層とが前記印刷層及び金属蒸着層の何れをも介することなく積層されたクリア部が、ラベルの上端部、下端部、左端部及び右端部から選択された少なくとも1つの端部に設けられ、他の部位では前記透明ラベル基材と接着層が印刷層及び金属蒸着層から選択された少なくとも1つの層を介して積層されており、且つラベルの端部のうち少なくとも上端部にクリア部が所定の幅で前記上端部の全長に亘って設けられているものであって、当該金属缶用ラベルが、前記クリア部が設けられた上端部を上にして、前記缶胴部の上部の絞り加工が施されている部位を含む缶胴部周面に加熱接着により積層されている、金属缶用ラベルが装着された金属缶。
- 前記金属缶用ラベルが、ラベルの端部のうち、上端部に加えて、さらに、左端部若しくは右端部、又は左端部及び右端部に、前記クリア部が、それぞれ所定の幅で設けられている金属缶用ラベルである請求項1記載の金属缶用ラベルが装着された金属缶。
- ラベルの上端部側のクリア部が缶胴部上端部と缶蓋との巻締め部により隠蔽された状態で、金属缶用ラベルが缶胴部周面に装着されている請求項1又は2に記載の金属缶用ラベルが装着された金属缶。
- さらに、オーバーコート層が、前記金属缶用ラベル全面を覆うように積層されている請求項1〜3の何れかの項に記載の金属缶用ラベルが装着された金属缶。
- オーバーコート層の上端部若しくは下端部、又は上端部及び下端部が、金属缶用ラベルを介することなく、缶胴部の開放端部に積層されて、装着されている請求項4記載の金属缶用ラベルが装着された金属缶。
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