JP4889970B2 - 高リン血症用製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、高リン血症を予防及び改善するための製剤に関するものである。
腎臓の機能が落ちてくると、副甲状腺ホルモンの分泌促進によりリンの再吸収が抑制される結果、腎臓からのリンの***が悪くなり、血液中のリンの値が高くなる。健常者における血清リン濃度の標準値は、一般的に4mg/dL〜6mg/dL程度である。腎炎、腎不全などの腎臓病患者においては、血清リン濃度の値が6mg/dLを超え、いわゆる「高リン血症」となっている。通常、血清リン濃度が7mg/dLを越えると、死亡のリスクが高まる。よって、このような患者は、体内のリンを体外に排出するために、頻繁に人工透析を受ける必要がある。また、腎臓病などの症状がないとしても、現代人の多くは潜在的に高リン血症などの種々の病気を抱えていると考えられる。よって、日ごろから高リン血症の予防をすることも大切である。
腎炎、腎不全などの腎臓病の予防、治療においては、血液中のリンを体外に排出する薬剤を毎日服用する薬物療法を実施する必要がある。従来におけるこの種の薬剤としては、例えば、炭酸カルシウムや酢酸カルシウム等といったリン吸着剤が知られている。しかし、これらの薬剤は、服用量が多くなると高カルシウム血症などの副作用を引き起こすといった欠点がある。そのため、塩酸セベラマー(非吸収性ポリカチオン製ポリマー、商品名)などのカルシウムを含まないリン吸着剤も従来使用されてきた。ただし、塩酸セベラマーは、腸内で膨張するため、便秘や腹部の張りなどの副作用を引き起こす。それゆえ、使用に際しては注意が必要である。
このように、体内リン排出効果が確実で副作用の少ない薬剤は、現段階では存在していないと言わざるを得ない。そのため、もっと安全性が高くて気軽に摂取可能な新しい製剤の開発が望まれており、具体的には食品素材などに注目が集まっている。
そして、食品素材に由来する成分を含み、体内リン排出効果が期待できる製剤としては、例えば、紅藻類の水抽出物または熱水抽出物を有効成分とするリン吸収阻害剤(例えば、特許文献1参照)や、キサントオリゴ糖及び/またはそれらの塩から選ばれた少なくとも1種を有効成分として含有する血中リン濃度低下剤(例えば、特許文献2参照)などが従来提案されている。なお、紅藻類の水抽出物または熱水抽出物とは、具体的にはフノラン、カラギーナン、ポルフィラン、寒天等を指す。
特開2001−2581号公報 特開2000−344802号公報
しかしながら、これらの製剤には以下の欠点がある。
1)紅藻類由来の成分を含むリン吸収阻害剤は、大腸内での水及びミネラル分(例えば、カルシウム、鉄、ナトリウム、マグネシウム等)の吸収を悪化させてしまう。従って、この製剤を服用し続けると、その副作用として下痢や脱水症を引き起こす。また、リンばかりでなく、生体にとって必要なミネラル分であるカルシウムや鉄も排出されてしまうので、その副作用としてミネラル欠乏症を引き起こす可能性がある。
さらに、このリン吸収阻害剤の有効成分である紅藻類の水抽出物または熱水抽出物は、数万以上の平均分子量を有するため、粘性が高くて水に対する溶解性も小さい。従って、飲食品や飼料などにおける添加物としての応用には、制約を受けやすい。
2)キトサンオリゴ糖に代表されるオリゴ糖類を含有する血中リン濃度低下剤については、大腸内での水及びミネラル分の吸収悪化に関する報告例は未だない。それゆえ、この製剤を服用し続けたとしても、ミネラル欠乏症を引き起こす可能性は小さいと考えられる。ただし、オリゴ糖類は平均分子量が比較的小さく数百程度であるため、体質によっては、服用(過剰摂取)による副作用として下痢や脱水症を引き起こす可能性がある。
また、具体的な報告例があるわけではないが、オリゴ糖類を含有する血中リン濃度低下剤の場合、服用後1〜2週間経過すると体内リン排出効果が低下する傾向がある。従って、効果を長期にわたって持続させるためには、徐々に服用量を増やす必要があり、この場合には過剰摂取による副作用の弊害が起こりやすくなる。
しかも、比較的低分子のオリゴ糖類は、特有の甘味を有するので、飲食品等の種類によっては添加物としての使用に適さない場合がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた体内リン排出効果を長期にわたって期待できる一方で、ミネラル欠乏症、下痢、便秘等の副作用を引き起こす可能性が小さく、しかも食品等への応用に適した高リン血症用製剤を提供することにある
本願発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、食物素材の一種であるガラクトマンナンに辿り着き、特にそれをそのまま利用するのではなくある程度分解したうえで利用することを想到した。その結果、平均分子量が所定範囲内であるガラクトマンナンの分解物には、「生体にとって有用なミネラル分の排出を伴うことなく、体内のリンを選択的に排出する効果があり、しかもその効果には持続性がある」、ということを新規に知見した。そこで、本願発明者はこの知見をさらに発展させて以下の本発明を完成させるに至った。ちなみに、ガラクトマンナンの分解物にはこれまでにも種々の生理機能(血清コレステロール上昇抑制作用、血糖値の上昇抑制作用、消化管通過時間の短縮作用など)があることが報告されている。しかし、持続的かつ優れた体内リン排出効果があること等についての報告例は未だなかった。
請求項1に記載の発明は、ガラクトマンナンの分解物を有効成分とする製剤であって、前記分解物は、グアー種子に含まれる粘質多糖を部分的に加水分解して得られるものであって、マンノース直鎖の鎖長が30単位〜200単位の範囲内に80%以上分布するように限定分解されたグアーガム分解物であり、前記グアーガム分解物は、中性糖により構成され、平均分子量が10000〜30000であり、硫黄の含有量が0重量%〜5重量%であり、10%水溶液の粘度が、ブルックフィールド粘度計を用いて25℃,30rpmで測定したとき、5mPa・s〜20mPa・sであり、血中のリンを選択的にかつ持続的に排出することが可能であることを特徴とする高リン血症用製剤をその要旨とする。
従って、本発明の高リン血症用製剤によると、優れた体内リン排出効果を長期にわたって期待できるため、その摂取によって高リン血症を予防及び治療することが可能となる。また、ミネラル欠乏症、下痢、便秘等の副作用を引き起こす可能性が小さいので、安全性が高くて気軽に摂取可能な製剤とすることができる。しかも、平均分子量が所定範囲内であるガラクトマンナンの分解物は、無味、無臭、無色、低粘性、水に対して易溶という、いくつかの好ましい特性を有している。よって、このような分解物を有効成分として含有する本発明の製剤は、オリゴ糖類や紅藻類由来の成分を有効成分とする従来の製剤と比べて制約が少なく、食品等へ応用できる範囲が広い。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記分解物は、その構成単位内に酸性基を含まないことをその要旨とする。
なお、本発明のガラクトマンナンの分解物が、リンのみを選択的に排出させる一方で、生体にとって有用なカルシウム、マグネシウム、鉄等のミネラル分を体内に吸収させるメカニズムについては、現在のところ不明である。しかし、本願発明者はこのメカニズムについて以下のように推測している。即ち、ガラクトマンナンの分解物は、腸内細菌に非常に資化されやすいと考えられ、これにより種々の短鎖脂肪酸、具体的には酢酸、乳酸、プロピオン酸が大量に産生される。その結果、カルシウム、マグネシウム、鉄等が可溶化し、体内に吸収されていくと考えられる。
また、上記メカニズムに関しては、さらに以下のように推測される。例えば、従来技術として示した紅藻類の水抽出物または熱水抽出物、具体的にいうとフノラン、カラギーナン、ポルフィラン、寒天等は、それらの分子構造中に硫酸基などの酸性基を多く有している。従って、当該抽出物はマイナスに荷電しており、そのためプラスに帯電したミネラルイオンと結合してそれを体外に排出してしまうと考えられる。その点、ガラクトマンナンの分解物は基本的にガラクトース及びマンノースにより構成されるが、これらの糖はいずれも酸性基を有しない「中性糖」である。従って、当該分解物は無帯電であって、ミネラルイオンと結合せず、有用なミネラル分を体外に排出することがないと考えられる。
また、ガラクトマンナンの分解物における有用ミネラル分吸収促進効果は、従来の他のものと比較して優れていると言えるが、これについては当該分解物が腸内細菌に非常に資化されやすいという点に関係があり、具体的には以下のように推測される。例えば、オリゴ糖類は腸内の特定の細菌(主として腸内細菌の2割を占めるビフィズス菌)には資化されるが、他の有用細菌には資化されない。ちなみに、ビフィズス菌が生成する短鎖脂肪酸は乳酸であるが、乳酸はミネラル分を可溶化する能力はあまり大きくない。しかし、腸内には多種多様の細菌が存在し、なかにはビフィズス菌よりももっと効率よく短鎖脂肪酸を生成するものが存在する。その点、ガラクトマンナンの分解物は、腸内における多くの有用細菌に資化される。よって、トータルでみると非常に効率よく短鎖脂肪酸を生成させることができ、これが有用なミネラル分の吸収を促進させる要因となっていると考えられる。また、このことは間接的に体内リン選択的排出能(力価)の向上にも寄与していると考えられる。
従って、請求項1乃至に記載の発明によると、優れた体内リン排出効果を長期にわたって期待できる一方で、ミネラル欠乏症、下痢、便秘等の副作用を引き起こす可能性が小さく、しかも食品等への応用に適した高リン血症用製剤を提供することができる
以下、本発明を具体化した一実施形態の高リン血症用製剤、並びにそれを含有する飲食品及び飼料を詳細に説明する。
上記のごとく本発明の高リン血症用製剤は、ガラクトマンナンの分解物を有効成分とする。ガラクトマンナンとは、人の消化酵素で消化されない難消化性の粘質多糖類のことを指す。ガラクトマンナンは、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム等といった豆類に多く含まれる成分としてよく知られている。従って、ガラクトマンナンの分解物としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム及びタラガムのうちから選択される少なくとも1つの分解物が好適である。これらの分解物は、具体的には、これら豆類の種子(即ちグアー種子、ローカストビーン種子、タラビーン種子)に含まれる粘質多糖を部分的に加水分解することで得られる。なお、加水分解物は未精製の液体状であり、これをそのまま使用してもよいが、精製した液体とすることがよい。精製後に乾燥して固体状にしてもよい。これらの分解物は、ほとんど無味・無臭で、しかも、水によく溶解して無色透明かつ低粘度の溶液となる。よって、飲食品や飼料に添加して使用しやすい性状を有している。
粘質多糖の加水分解方法については、特に限定されず、例えば、酵素による方法や、酸による方法等がある。ただし、酸による方法では、糖鎖がランダムに分解されるので、単糖類、二糖類等といった低分子のものが多く生成される可能性があり、所望とする平均分子量の分解物を効率よく得ることができない。これに対して、酵素による方法であれば、ある程度決まった位置で糖鎖が切断されることから、所望とする平均分子量の分解物を効率よく得やすくなる。従って、酵素による分解のほうが好ましい。
酵素分解法に用いられる酵素は、マンノース直鎖を加水分解するものであれば、市販のものでも、天然物由来のものでもよく、特に限定されるものではない。なお、使用に好適な酵素としては、例えば、アスペルギルス属菌やリゾープス属菌等の糸状菌由来のβ−ガラクトマンナナーゼを挙げることができる。
本発明の高リン血症用製剤に使用されるガラクトマンナン分解物は、10%水溶液とした状態での粘度が、ブルックフィールド粘度計を用いて25℃,30rpmで測定したとき、5mPa・s〜20mPa・sであることが好ましい。この粘度を5mPa・s未満にしようとすると、平均分子量を好適範囲内に設定することが困難になる場合がある。また、20mPa・sを超えると、粘性が高くなるため大量に摂取し辛くなるおそれがあり、さらに水に対する溶解性も小さくなりやすい。
また、本発明においてガラクトマンナンの分解物の平均分子量は、10000以上かつ30000以下である必要がある。この条件を満たす分解物には、体内リンの選択的に排出する効果が認められ、しかもその効果は優れていて持続性があるからである。平均分子量が10000未満の場合、体内のリンを排出する効果が弱くなってしまう。一方、平均分子量が30000を越える場合、体内のリンを排出する効果が弱くなるばかりでなく、分解物の粘性が高くなることで大量に摂取し辛くなるおそれがある。また、水に対する溶解性も小さくなりやすい。以上のことから、ガラクトマンナンの分解物の平均分子量は、13000以上かつ27000以下がより好ましく、15000以上かつ25000以下がさらに好ましい。
平均分子量の測定方法は、特に限定されないが、高速液体クロマトグラフ法を用いて分子量分布を測定する方法等によれば、分子量分布を比較的簡単にかつ正確に求めることができる。具体例を挙げると、分解物を水に溶解し、803D型(東ソー株式会社製)の高速液体クロマトグラフィーを用い、水を移動相にしてG3000PW(東ソー株式会社製)のカラムにてゲル濾過を行い、示差屈折計にて検出するという測定方法が、好適である。
なお、本発明におけるガラクトマンナンの分解物は、酵素の反応時間または酸分解の反応時間を変えることにより、10000〜30000の範囲内において任意の平均分子量にすることができる。
ガラクトマンナンの分解物の好ましい鎖長は種類により異なり、特に限定されないが、例えば、グアーガム分解物ではマンノース直鎖の鎖長の範囲が好ましくは30単位〜200単位、より好ましくは30単位〜100単位の範囲内に80%以上分布していることがよい。このような条件を満たす分解物は、体内リン選択的排出効果及びその効果の程度・持続性が高いと考えられるからである。
グアーガム分解物の鎖長とは、本分解物の主鎖であるマンノースの結合している数を指す。それらの測定法は特に限定されないが、基本的に上記の「平均分子量の測定方法」と同様の方法を採用することができる。例えば、高速液体クロマトグラフ法を用いた測定方法等によれば、本分解物の鎖長を比較的簡単にかつ正確に求めることができる。
ガラクトマンナンの分解物は、主として中性糖を構成糖とすることが好ましく、具体的にはガラクトース及びマンノースのみを構成糖とすることがよい。その理由は上述したとおりである。例えば、当該分解物における中性糖の含有量は95重量%以上であることがよく、特には100重量%であることが最もよい。中性糖の含有量が高いほど力価が向上しうるからである。また、当該分解物における硫黄分の含有量は極力少ないことがよく、例えば5重量%以下が好ましく、さらには0重量%がより好ましい。硫黄分の含有量が多くなると、粘度が好適範囲を超えやすくなり、また水に対する溶解性も低下しやすくなるからである。
本発明の高リン血症用製剤は、飲食品、飼料、医薬部外品、医薬品等に幅広く応用できるが、特に人が手軽に摂食できる飲食品に応用することが好ましい。
本発明における飲食品とは、溶液、懸濁物、粉末、固体成形物等、経口摂取可能な形態であればよく、特に限定するものではない。飲食物の具体例としては、例えば、即席麺、レトルト食品、缶詰、電子レンジ食品、即席スープ・みそ汁類、フリーズドライ食品等の即席食品類、清涼飲料、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、栄養飲料、アルコール飲料等の飲料類、パン、パスタ、麺、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等の小麦粉製品、飴、キャラメル、チューイングガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、デザート菓子等の菓子類、ソース、トマト加工調味料、風味調味料、調理ミックス、たれ類、ドレッシング類、つゆ類、カレー・シチューの素等の調味料、加工油脂、バター、マーガリン、マヨネーズ等の油脂類、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、アイスクリーム類、クリーム類等の乳製品、冷凍食品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品等の水産加工品、畜肉ハム・ソーセージ等の畜産加工品、農産缶詰、ジャム・マーマレード類、漬け物、煮豆、シリアル等の農産加工品、栄養食品、錠剤、カプセル等を挙げることができる。
本発明の高リン血症用製剤の飲食品としての摂取量は、予防及び改善を目的とする病気の状態、病人の体重、年齢、体質、体調等によって調整されるべきであるが、一般に1日あたり高リン血症用製剤として0.05g〜20g、好ましくは0.1g〜5gの範囲で適宜設定することができる。上記飲食物は、病気の状態や飲食品の形態によって、1日1ないし数回にわけて摂取することができる。
本発明において、高リン血症用製剤またはそれを含有する飲食品等に加工する際に、各種栄養成分を強化することができる。
強化できる栄養成分としては、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ナイアシン(ニコチン酸)、パントテン酸、葉酸等のビタミン類、リジン、スレオニン、トリプトファン等の必須アミノ酸類や、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅等のミネラル類、及び、例えば、α−リノレン酸、EPA、DHA、月見草油、オクタコサノール、カゼインホスホペプチド(CPP)、カゼインカルシウムペプチド(CCP)、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維、オリゴ糖等の人の健康に寄与する物質類、その他の食品や食品添加物として認可されている有用物質の1種または2種以上が使用できる。
本発明における飼料とは、ヒト以外の生物に摂食させるための食べ物のことをいい、その形態については特に限定されない。飼料を適用しうる生物としては特に限定されないが、例えば、養殖動物やペット動物などが挙げられる。養殖動物としては、例えば、ウマ、ウシ、ブラ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ラマなどの家畜や、マウス、ラット、モルモット、ウサギなどの実験動物や、ニワトリ、アヒル、七面鳥、ダチョウなどの家禽などがある。ペット動物としては、例えば、イヌ、ネコなどがある。
また、本発明の高リン血症用製剤入りの飲食品等は、高リン血症患者に対して単独で使用されてもよいが、リン低下効果のある治療薬と併用されてもよい。治療材との併用によれば、両者の相乗効果によって高い体内リン排出効果が期待できるばかりでなく、治療薬で問題になる薬の副作用を改善することもできる。
以下、本発明の実施形態をより具体化したいくつかの実施例を用いて詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[実施例1]グアーガム分解物を含有する高リン血症用製剤及び飲料の調製1
水9000gにグアーガム粉末1000gを添加し、さらにこれに酵素であるアスペルギルス属菌由来のガラクトマンナナーゼ2gを添加し、よく混合した。この混合物を、24時間,40℃〜45℃に保って、酵素を反応させた。反応後、90℃,15分間加熱して酵素を失活させた。これを濾過分離して不溶物を除去し、得られた透明な溶液を減圧濃縮(固形分20重量%)した後、その濃縮液を噴霧乾燥した。その結果、本発明の高リン血症用製剤である無味、無臭のグアーガム分解物粉末(P1)600gを得た。
次に、この粉末P1を水に溶解させて、無色透明の10%水溶液を作製した。この水溶液の粘度を、ブルックフィールド粘度計を用いて25℃,30rpmの条件で測定した結果、16mPa・sであった。即ち、この水溶液は、ほとんど無味、無臭、無色、かつ低粘度なため、食品に適用しやすい性状を有していた。
また、移動相として水を用いるとともに、カラムとしてG3000PWX(東ソー株式会社製)を用いて、803D型高速液体クロマトグラフィーでゲルろ過を行い、示差屈折計にて検出することによりマンノースの鎖長(即ちマンノースの結合数)の測定を行った。その結果、グアーガム分解物の糖鎖のマンノースの鎖長は30単位〜200単位の範囲内に90%が包含されていた。また、上記グアーガム分解物の平均分子量は約20000であった。このとき糖鎖単位の標準として、アミロースEx−1(18単位,生化学工業株式会社製),アミロースEx−3(100単位,生化学工業株式会社製),デキストランT40(250単位,ファルマシア社製)を用いた。
なお、このグアーガム分解物粉末(P1)は、中性糖のみにより構成(つまりガラクトースとマンノースとにより構成)されていて、中性糖の含有量が約100重量%である。また、その構成単位内に酸性基を全く含んでおらず、硫黄分も全く含んでいない。
次に、得られたグアーガム分解物粉末(P1)400gに、アップルフレーバー4gと水とを加え、全容4リットルとした。この液体を滅菌済50mL容の褐色ビンに50mLずつ充填し、アルミキャップで密封した。その後、120℃で30分間滅菌し、本発明の高リン血症用製剤入り飲料(A1)80本を得た。
[実施例2]グアーガム分解物を含有する高リン血症用製剤及び飲料の調製2
酵素を作用させる時間を48時間に設定することを除き、基本的に実施例1の手法に従って、本発明の高リン血症用製剤であるほとんど無味、無臭のグアーガム分解物粉末(P2)580gを得た。この粉末P2の10%水溶液を作製し、その粘度を実施例1と同じ手法で測定した結果、3mPa・sであった。この水溶液も、ほとんど無味、無臭、無色、かつ低粘度なため、飲食品に適用しやすい性状を有していた。
また、実施例1と同じ手法で測定した結果、グアーガム分解物の糖鎖のマンノースの鎖長は30単位〜200単位の範囲内に55%が包含されていた。計算の結果、上記グアーガム分解物の平均分子量は約13000であった。なお、このグアーガム分解物粉末(P2)も、中性糖のみにより構成(つまりガラクトースとマンノースとにより構成)されていて、中性糖の含有量が約100重量%である。また、その構成単位内に酸性基を全く含んでおらず、硫黄分も全く含んでいない。
次に、得られたグアーガム分解物粉末(P2)400gに、アップルフレーバー4gと水とを加え、全容4リットルとした。この液体を滅菌済50mL容の褐色ビンに50mLずつ充填し、アルミキャップで密封した。その後、120℃で30分間滅菌し、本発明の高リン血症用製剤入り飲料(A2)80本を得た。
[実施例3]グアーガム分解物を含有する高リン血症用製剤及び飲料の調製3
酵素を作用させる時間を12時間に設定することを除き、基本的に実施例1の手法に従って、本発明の高リン血症用製剤であるほとんど無味、無臭のグアーガム分解物粉末(P3)610gを得た。この粉末P3の10%水溶液を作製し、その粘度を実施例1と同じ手法で測定した結果、35mPa・sであった。この水溶液も、ほとんど無味、無臭、無色、かつ低粘度なため、飲食品に適用しやすい性状を有していた。
また、実施例1と同じ手法で測定した結果、グアーガム分解物の糖鎖のマンノースの鎖長は30単位〜200単位の範囲内に60%が包含されていた。計算の結果、上記グアーガム分解物の平均分子量は約27000であった。なお、このグアーガム分解物粉末(P3)も、中性糖のみにより構成(つまりガラクトースとマンノースとにより構成)されていて、中性糖の含有量が約100重量%である。また、その構成単位内に酸性基を全く含んでおらず、硫黄分も全く含んでいない。
次に、得られたグアーガム分解物粉末(P3)400gに、アップルフレーバー4gと水とを加え、全容4リットルとした。この液体を滅菌済50mL容の褐色ビンに50mLずつ充填し、アルミキャップで密封した。その後、120℃で30分間滅菌し、本発明の高リン血症用製剤入り飲料(A3)80本を得た。
[実施例4]タラビーンガム分解物を含有する高リン血症用製剤及び飲料の調製
グアーガム粉末に代えて同量のタラビーンガム粉末を用い、それ以外の事項については基本的に実施例1の手法に従った。その結果、本発明の高リン血症用製剤であるほとんど無味、無臭のタラビーンガム分解物粉末(Q)550gを得た。この粉末(Q)の10%水溶液を作製し、その粘度を実施例1と同じ手法で測定した結果、17mPa・sであった。この水溶液も、ほとんど無味、無臭、無色、かつ低粘度なため、飲食品に適用しやすい性状を有していた。
また、実施例1と同じ手法で測定した結果、タラビーンガム分解物の糖鎖のマンノースの鎖長は30単位〜200単位の範囲内に85%が包含されていた。計算の結果、上記タラビーンガム分解物の平均分子量は約23000であった。なお、このタラビーンガム分解物粉末(Q)も、中性糖のみにより構成(つまりガラクトースとマンノースとにより構成)されていて、中性糖の含有量が約100重量%である。また、その構成単位内に酸性基を全く含んでおらず、硫黄分も全く含んでいない。
次に、得られたタラビーンガム分解物粉末(Q)400gに、アップルフレーバー4gと水とを加え、全容4リットルとした。この液体を滅菌済50mL容の褐色ビンに50mLずつ充填し、アルミキャップで密封した。その後、120℃で30分間滅菌し、本発明の高リン血症用製剤入り飲料(B)80本を得た。
[実施例5]ローカストビーンガム分解物を含有する高リン血症用製剤及び飲料の調製
グアーガム粉末に代えて同量のローカストビーンガム粉末を用い、それ以外の事項については基本的に実施例1の手法に従った。その結果、本発明の高リン血症用製剤であるほとんど無味、無臭のローカストビーンガム分解物粉末(R)540gを得た。この粉末(R)の10%水溶液を作製し、その粘度を実施例1と同じ手法で測定した結果、115mPa・sであった。この水溶液も、ほとんど無味、無臭、無色、かつ低粘度なため、飲食品に適用しやすい性状を有していた。
また、実施例1と同じ手法で測定した結果、ローカストビーンガム分解物の糖鎖のマンノースの鎖長は30単位〜200単位の範囲内に90%が包含されていた。計算の結果、上記ローカストビーンガム分解物の平均分子量は約17000であった。なお、このローカストビーンガム分解物粉末(R)も、中性糖のみにより構成(つまりガラクトースとマンノースとにより構成)されていて、中性糖の含有量が約100重量%である。また、その構成単位内に酸性基を全く含んでおらず、硫黄分も全く含んでいない。
次に、得られたローカストビーンガム分解物粉末(R)400gに、アップルフレーバー4gと水とを加え、全容4リットルとした。この液体を滅菌済50mL容の褐色ビンに50mLずつ充填し、アルミキャップで密封した。その後、120℃で30分間滅菌し、本発明の高リン血症用製剤入り飲料(C)80本を得た。
[比較例1]グアーガム分解物を含有する高リン血症用製剤及び飲料の調製4
酵素を作用させる時間を60時間に設定することを除き、基本的に実施例1の手法に従って、高リン血症用製剤であるほとんど無味、無臭のグアーガム分解物粉末(P4)580gを得た。この粉末P4の10%水溶液を作製し、その粘度を実施例1と同じ手法で測定した結果、5mPa・s未満であった。この水溶液も、ほとんど無味、無臭、無色、かつ低粘度なため、飲食品に適用しやすい性状を有していた。
また、実施例1と同じ手法で測定した結果、グアーガム分解物の糖鎖のマンノースの鎖長は30単位〜200単位の範囲内に20%が包含されていた。計算の結果、上記グアーガム分解物の平均分子量は約8000であり、本発明の好適範囲を下回っていた。
次に、得られたグアーガム分解物粉末(P4)400gに、アップルフレーバー4gと水とを加え、全容4リットルとした。この液体を滅菌済50mL容の褐色ビンに50mLずつ充填し、アルミキャップで密封した。その後、120℃で30分間滅菌し、高リン血症用製剤入り飲料(A4)80本を得た。
[比較例2]グアーガム分解物を含有する高リン血症用製剤及び飲料の調製5
酵素を作用させる時間を8時間に設定することを除き、基本的に実施例1の手法に従って、本発明の高リン血症用製剤であるほとんど無味、無臭のグアーガム分解物粉末(P5)590gを得た。この粉末P5の10%水溶液を作製し、その粘度を実施例1と同じ手法で測定した結果、70mPa・sであった。この水溶液は、ほとんど無味、無臭、無色である一方で、他のものと比べて粘度が高くなっていた。そのため、飲食品への適用容易性という観点からすると、他のものよりも劣っていた。
また、実施例1と同じ手法で測定した結果、グアーガム分解物の糖鎖のマンノースの鎖長は30単位〜200単位の範囲内に40%が包含されていた。計算の結果、上記グアーガム分解物の平均分子量は約33000であり、本発明の好適範囲を上回っていた。
次に、得られたグアーガム分解物粉末(P5)400gに、アップルフレーバー4gと水とを加え、全容4リットルとした。この液体を滅菌済50mL容の褐色ビンに50mLずつ充填し、アルミキャップで密封した。その後、120℃で30分間滅菌し、高リン血症用製剤入り飲料(A5)80本を得た。
[比較例3]キトサンオリゴ糖を含有する高リン血症用製剤及び飲料の調製
カニ殻由来のキトサン400gに、12N塩酸1600mLを加え、70℃湯浴中で2時間攪拌させ、水1600mLを加えて反応を終了させた。これを濾過して不溶物を除き、濾過液2800mLを得た。その後、塩酸を溜去させながら濾過液を減圧濃縮し、得られた濃縮液にメタノール1200mLを加え、さらにアセトン3600mLを加えることにより、結晶状の沈殿物を析出させた。この沈殿物を回収し、真空乾燥して、キトサンオリゴ糖粉末(S)480gを得た。
この粉末(S)の10%水溶液を作製し、その粘度を実施例1と同じ手法で測定した結果、1mPa・s未満であった。この水溶液は、ほとんど無色、無臭であるが甘味を有していた。また、このキトサンオリゴ糖の平均分子量は約500であり、本発明の好適範囲を大きく下回っていた。
次に、得られたキトサンオリゴ糖粉末(S)400gに、アップルフレーバー4gと水とを加え、全容4リットルとした。この液体を滅菌済50mL容の褐色ビンに50mLずつ充填し、アルミキャップで密封した。その後、120℃で30分間滅菌し、高リン血症用製剤入り飲料(D)80本を得た。
[比較例4]フノラン抽出物を含有する高リン血症用製剤及び飲料の調製
乾燥フノリ40gを水4000mLに2時間浸漬後、裁断した。これを90℃,1時間保持して抽出を行った。その後、抽出した溶液を室温まで冷却し、15000Gで10分間の遠心分離により不溶物を除去し、上澄み液を得た。これを透析チューブに入れてイオン交換水で透析した後、再度15000Gで10分間の遠心分離を行って、不溶物を除いた。そして、上澄み液を凍結乾燥して、フノリ抽出物粉末(T)20gを得た。
この粉末(T)の10%水溶液を作製し、その粘度を実施例1と同じ手法で測定した結果、約200mPa・sであった。この水溶液は、ほとんど無色、無臭である一方、かなり粘度が高かった。そのため、飲食品へ適用しにくいものとなっていた。また、このフノリ抽出物の平均分子量は約50000であり、本発明の好適範囲を大きく上回っていた。
次に、得られたフノリ抽出物粉末(T)に、アップルフレーバー4gと水とを加え、全容4リットルとした。この液体を滅菌済50mL容の褐色ビンに50mLずつ充填し、アルミキャップで密封した。その後、120℃で30分間滅菌し、高リン血症用製剤入り飲料(D)80本を得た。
[試験例1]変異原性試験
ここでは、本発明の高リン血症用製剤の安全性を確認することを目的として、微生物を利用した復帰突然変異試験を実施した。
詳細には、サルモネラ菌を用いる復帰突然変異試験[矢作多貴江:蛋白質・核酸・酵素,(1975)20,p.1178-1189 ]に従い、プレインキュベーション法を用いて、代謝活性化によらない場合(S9Mix無添加)及び代謝活性化による場合(S9Mix添加)の両方について行った。即ち、滅菌した試験管に実施例1のグアーガム分解物粉末(P)(5000,1000,500,100,50μg/mL),陽性対照物質(2−aminoanthracene,1μg/mL),または注射用蒸留水を0.1mL,Na−リン酸緩衝液(溶媒対照)またはS9mix 0.5mL,菌懸濁液(Salmonella typhimurium TA100またはTAを含む)0.1mLの順に加え、37℃,20分間振とうした。これに、45℃に保温したトップアガー2mLを加えて混合してから、混合液を最小グルコース寒天平板培地上にひろげ、プレートを転倒して37℃で48時間培養した。培養終了後、復帰変異により出現したコロニー数を計測した。その結果、グアーガム分解物粉末(P)を添加したプレートの復帰変異コロニー数は、S9Mix無添加及び添加の場合とも、いずれの菌株でも溶媒対照に比べ2倍以上の値は示さず、また濃度に依存した増加も認められなかった。
従って、以上の結果から本発明の高リン血症用製剤の安全性を確認することができた。
[試験例2]反復投与毒性試験
ここでは、本発明の高リン血症用製剤の安全性を別の観点から確認することを目的として、哺乳類を用いた反復投与毒性試験を実施した。
薬発第313号(昭和57年3月31日付、GLP基準)「医薬品の安全性試験の実施に関する基準について」及びその改正基準に従って、実施例1で得られたグアーガム分解物粉末(P)(500mg/kg,2500mg/kg)を、Sprangue−Dawley系の雌雄ラットに1日1回、28日間毎日経口投与した。その結果、グアーガム分解物粉末(P)の各投与群で雌雄とも死亡発現はなく、また一般状態の変化も認められなかった。また、体重、摂餌量、尿検査(潜血,蛋白,糖,ケトン体,ウロビリノーゲン,ビリルビン,pH)、眼科的検査(眼底検査)、血液学的検査(白血球,赤血球,ヘモグロビン量,ヘマトクリット値,血小板数)、血液生化学的検査(GOT,GPT,アルカリフォスファターゼ,総コレステロール,トリグリセライド,総蛋白質,尿素窒素,クレアチニン,総ビリルビン,ブドウ糖,カルシウム,鉄)、剖検及び臓器重量に関しては、グアーガム分解物投与による影響は認められなかった。
従って、以上の結果からも本発明の高リン血症用製剤の安全性を確認することができた。
[試験例3]高リン血症の改善効果の検証1
ここでは、高リン血症用製剤を単独で使用した場合における症状の改善効果を検証した。
週2回6時間の透析を受けている慢性透析患者40名(そのうち34名が便秘あり)に、本発明の高リン血症用製剤入り飲料(A1)を1日1本投与した。そして、服用前、服用1ヶ月後及び2ヶ月後の各時点において、血清中のリン、カルシウム及び鉄の濃度を測定するとともに、副作用の有無及び便秘の改善についてアンケート調査を行った。測定結果及び所見を表1に示す。また、上記の慢性透析患者40名に飲料(A2)、(A3)、(D)及び(E)をそれぞれ投与して同様の測定及びアンケート調査を行った。それらの測定結果及び所見を表2,3,4,5に示す。なお、前記副作用とは、ミネラル欠乏症、腹部の張り、下痢、脱水症などのことを指す。
Figure 0004889970
表1に示されるように、飲料(A1)の服用後において、血清中のリン濃度の値のみが明らかに低下し、カルシウム濃度及び鉄濃度の値については有意な変動はなかった。また、服用後2ヶ月の時点でもリン濃度が低い値に維持され、体内リン排出効果に持続性があることが認められた。加えて、特に副作用は認められず、便秘の改善が認められた。
Figure 0004889970
表2に示されるように、飲料(A2)の服用後において、血清中のリン濃度の値のみが低下傾向を示し、カルシウム濃度及び鉄濃度の値については有意な変動はなかった。なお、リン濃度低下の度合いは飲料(A1)の服用時のほうが顕著であり、力価において飲料(A1)のほうが優れていた。また、服用後2ヶ月の時点でもリン濃度が低い値に維持され、体内リン排出効果に持続性があることが認められた。加えて、特に副作用は認められず、便秘の改善が認められた。
Figure 0004889970
表3に示されるように、飲料(A3)の服用後において、血清中のリン濃度の値のみが低下傾向を示し、カルシウム濃度及び鉄濃度の値については有意な変動はなかった。なお、リン濃度低下の度合いは飲料(A1)の服用時のほうが顕著であり、力価において飲料(A1)のほうが優れていた。また、服用後2ヶ月の時点でもリン濃度が低い値に維持され、体内リン排出効果に持続性があることが認められた。加えて、特に副作用は認められず、便秘の改善が認められた。
Figure 0004889970
表4に示されるように、飲料(D)の服用後において、カルシウム濃度及び鉄濃度の値については有意な変動はなかった。唯一、血清中のリン濃度の値のみが低下する傾向を示したが、その低下度合いは本発明の飲料(A1),(A2)及び(A3)よりも小さかった。また、一部の者に便秘改善効果が認められた一方で、下痢ぎみになった者もいた。このような副作用が誘発されたのは、飲料(D)に比較的低分子のオリゴ糖が含まれていることに起因すると考えられた。
Figure 0004889970
表5に示されるように、飲料(E)の服用後において、血清中のリン濃度の値が低下する傾向を示した。しかし、有用な成分であるカルシウム及び鉄の濃度の値が有意に低下することがわかった。また、特に顕著な副作用は誘発されなかったが、便秘改善効果についても認められなかった。
[試験例4]高リン血症の改善効果の検証2
ここでは、高リン血症のリン低下効果のある治療薬と高リン血症用製剤とを併用した場合における症状の改善効果を検証した。
週2回6時間の透析を受けている慢性透析患者40名(そのうち34名が便秘あり)に、本発明の高リン血症用製剤入り飲料(A1)を1日1本投与した。これとは別に、塩酸セベラマーを有効成分とする治療薬(商品名:レナジェル,中外製薬株式会社製)を、食前に1gずつ3回投与した。そして、服用前、服用1ヶ月後及び2ヶ月後の各時点において、血清中のリン、カルシウム及び鉄の濃度を測定するとともに、副作用の有無及び便秘の改善についてアンケート調査を行った。測定結果及び所見を表6に示す。
Figure 0004889970
表6に示されるように、リン低下効果のある治療薬と併用した場合でも、リンの低下効果を妨げることは無く、血清中のリン値だけを低下させ、カルシウム,鉄濃度には有意な変動はなかった。また治療薬で問題になる薬の副作用も改善されていた。
[実施例6]グアーガム分解物を含有する高リン血症用製剤入り食品1
実施例1で得られた粉末(P1),5g、乳糖30g、DHA含有粉末油脂(サンコートDY−5;太陽化学株式会社製)12g、ショ糖脂肪酸エステル4g、ヨーグルト香料4gを混合した。そして、この混合物をロータリー式打錠機で加圧成形し、1錠が300mgの本発明の高リン血症用製剤入り食品(錠菓)を得た。
[実施例7]グアーガム分解物を含有する高リン血症用製剤入り食品2
実施例1で得られた粉末(P1),4g、市販のケーキミックス粉200gを容器に入れた後、バター35gを入れ、木杓子で混ぜ合わせた。それに溶き卵25gを加えて、なめらかな生地になるまで良く練った。小麦粉を振った台の上に生地を取り出し、さらに小麦粉を振って麺棒で5mmの厚さに伸ばし、丸型で抜き、それを170℃のオーブンで10分間焼いて、1個約5gの本発明の高リン血症用製剤入りクッキーを得た。
[実施例8]グアーガム分解物を含有する高リン血症用製剤入り飼料
実施例1で得られた粉末(P1),5重量部に対し、とうもろこし40.0重量部、マイロ28.0重量部、大豆油かす11.0重量部、ふすま6.0重量部、魚粉5.0重量部、動物性油脂2.0重量部、ビタミン・ミネラル類3.0重量部を配合して、本発明の高リン血症用製剤入り豚繁殖用飼料20kgを調製した。
[総括]
従って、上記の試験結果から以下のことが言える。
・本発明の高リン血症用製剤は、平均分子量が所定範囲内であって中性糖からなるグアーガム分解物をその有効成分として含有している。そのため、優れた体内リン排出効果を長期にわたって期待でき、例えば、透析患者、腎不全患者、高リン血症患者等における高リン血症を改善することができる。
・また、変異原性試験及び反復投与毒性試験の結果からみても明らかなように、グアーガム分解物を含有する本発明の高リン血症用製剤は、安全性が極めて高いと言える。しかも、ミネラル欠乏症、下痢、便秘等の副作用を引き起こす可能性が小さいので、気軽にかつある程度大量に摂取することができる。
・グアーガムは古くから食品の増粘剤、安定剤として使用されてきた実績のある食物素材であるため、安全性が高いばかりでなく、大量に供給可能である。
・グアーガム分解物は、ほとんど無味、無臭、無色、低粘性、水に対して易溶という、いくつかの好ましい特性を有している。よって、これを有効成分として含有する本発明の高リン血症用製剤は、オリゴ糖類や紅藻類由来の成分を有効成分とする従来の製剤と比べて制約が少なく、食品等へ応用できる範囲が広い。
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)グアーガム、タラビーンガム及びローカストビーンガムのうちから選択される少なくとも1つの分解物を有効成分とする製剤であって、前記分解物は、中性糖により構成され、平均分子量が10000〜30000であることを特徴とする高リン血症用製剤。
(2)ガラクトマンナンの酵素分解物を有効成分とする製剤であって、前記分解物は、中性糖により構成され、平均分子量が10000〜30000であることを特徴とする高リン血症用製剤。
(3)ガラクトマンナンの分解物を有効成分とする製剤であって、前記分解物は、中性糖のみにより構成され、平均分子量が10000〜30000であることを特徴とする高リン血症用製剤。
(4)ガラクトマンナンの分解物を有効成分とする製剤であって、前記分解物は、中性糖により構成され、平均分子量が13000〜27000であることを特徴とする高リン血症用製剤。
(5)ガラクトマンナンの分解物を有効成分とする製剤であって、前記分解物は、中性糖により構成され、平均分子量が10000〜30000であり、その構成単位内に酸性基を含まないことを特徴とする高リン血症用製剤。
(6)ガラクトマンナンの分解物を有効成分とする製剤であって、前記分解物は、中性糖により構成され、平均分子量が10000〜30000であり、その構成単位内に酸性基及び硫黄を含まないことを特徴とする高リン血症用製剤。
(7)グアー種子に含まれる粘質多糖を部分的に加水分解して得られたグアーガム分解物を有効成分とする製剤であって、前記分解物は、中性糖のみにより構成され、平均分子量が10000〜30000であることを特徴とする高リン血症用製剤。
(8)ローカストビーン種子に含まれる粘質多糖を部分的に加水分解して得られたローカストビーンガム分解物を有効成分とする製剤であって、前記分解物は、中性糖により構成され、平均分子量が10000〜30000であることを特徴とする高リン血症用製剤。
(9)タラビーン種子に含まれる粘質多糖を部分的に加水分解して得られたタラビーンガム分解物を有効成分とする製剤であって、前記分解物は、中性糖により構成され、平均分子量が10000〜30000であることを特徴とする高リン血症用製剤。
(10)ガラクトマンナンの分解物を有効成分とする製剤であって、中性糖の含有量が95重量%〜100重量%であり、前記分解物の平均分子量が10000〜30000であることを特徴とする高リン血症用製剤。
(11)ガラクトマンナンの分解物を有効成分とする製剤であって、中性糖の含有量が95重量%〜100重量%であり、硫黄の含有量が0重量%〜5重量%であり、前記分解物の平均分子量が10000〜30000であることを特徴とする高リン血症用製剤。
(12)上記(1)乃至(11)のいずれか1項に記載の高リン血症用製剤を含有することを特徴とする飲食品。
(13)上記(1)乃至(11)のいずれか1項に記載の高リン血症用製剤を含有することを特徴とする飼料。
(14)ガラクトマンナンの分解物を有効成分とする製剤であって、前記分解物は、中性糖により構成され、平均分子量が10000〜30000である高リン血症用製剤を用いることにより、血中のリンを排出してその濃度を低い値に維持することを特徴とする血中リン排出方法。
(15)ガラクトマンナンの分解物を有効成分とする製剤であって、前記分解物は、中性糖により構成され、平均分子量が10000〜30000である高リン血症用製剤を生物に摂取させることにより、血中のリンを排出してその濃度を低い値に維持することを特徴とする血中リン排出方法。
(16)ガラクトマンナンの分解物を有効成分とする製剤であって、前記分解物は、中性糖により構成され、平均分子量が10000〜30000である高リン血症用製剤を生物に経口摂取させることにより、血中のリンを排出してその濃度を低い値に維持することを特徴とする血中リン排出方法。
(17)上記(15)または(16)において、前記生物はヒトを除く生物であることを特徴とする血中リン排出方法。

Claims (2)

  1. ガラクトマンナンの分解物を有効成分とする製剤であって、
    前記分解物は、グアー種子に含まれる粘質多糖を部分的に加水分解して得られるものであって、マンノース直鎖の鎖長が30単位〜200単位の範囲内に80%以上分布するように限定分解されたグアーガム分解物であり、
    前記グアーガム分解物は、中性糖により構成され、平均分子量が10000〜30000であり、硫黄の含有量が0重量%〜5重量%であり、10%水溶液の粘度が、ブルックフィールド粘度計を用いて25℃,30rpmで測定したとき、5mPa・s〜20mPa・sであり、
    血中のリンを選択的にかつ持続的に排出することが可能である
    ことを特徴とする高リン血症用製剤。
  2. 前記分解物は、その構成単位内に酸性基を含まないことを特徴とする請求項1に記載の高リン血症用製剤。
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