JP4889223B2 - 酸化アルミニウム質焼結体とこれを用いた半導体製造装置用部材並びに液晶製造装置用部材 - Google Patents

酸化アルミニウム質焼結体とこれを用いた半導体製造装置用部材並びに液晶製造装置用部材 Download PDF

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Description

本発明は酸化アルミニウム質焼結体とこれを用いた半導体製造装置用部材、液晶製造装置用部材に関する。
現在、酸化アルミニウム質焼結体は電子部品や産業機械用部品に幅広く使用されている。これらに用いられる酸化アルミニウム質焼結体には、優れた電気特性、機械特性、耐薬品性、および耐プラズマ性が要求されることから、一般的にはNaOの含有量が0.1%以下のローソーダ酸化アルミニウムが用いられている。ここで用いるローソーダ酸化アルミニウムの製造工程においては、酸化アルミニウムの前駆体である水酸化アルミニウムを仮焼する際に、酸化珪素粒子や塩化アルミニウムを添加して、水酸化アルミニウム中に含まれているNaOを吸着あるいは反応させて除去する方法が一般的である。
半導体製造装置用部材に使用される酸化アルミニウム質焼結体については特許文献1には、不純物含有量が極めて低減された高純度酸化アルミニウム質焼結体の製造方法が記載されている。すなわち酸化アルミニウム質焼結体中のアルカリ金属酸化物を50ppm以下、且つ酸化マグネシウム含有量を100ppmとし、さらに製造工程中からのアルカリ金属の混入を抑制、制御することで、不純物が少なく酸化アルミニウムの異常粒成長を抑制でき、耐プラズマ性にすぐれた酸化アルミニウム質焼結体を得ることができるというものである。
また特許文献2にはマイクロ波の吸収が少なくクラックの発生が防止でき生産性に優れる半導体製造装置用部材が記載されている。すなわち酸化アルミニウムが99.9%以上、シリカが100ppm未満、アルカリ金属酸化物が50ppm以下の酸化アルミニウム質焼結体で比重が9.6以上、平均粒子径が10μm以上、誘電正接が8×10−4以下であることで耐プラズマ性に優れマイクロ波によるクラック発生を防止できるというものである。
特開平6−157132号公報 特開平5−217946号公報
近年、産業機械用部品、とりわけ半導体製造装置用部材や液晶製造装置用部材においては、デバイスの大型化に伴い、装置に使用される部品も大型化の一途を辿っており、それらに使用される酸化アルミニウム質焼結体も例外ではない。
特に、大型化した酸化アルミニウム質焼結体を製造する際に問題となるのは成形と焼成である。大型で肉厚の厚い酸化アルミニウム質焼結体を得るため、成形体を焼成しようとした場合、焼結過程において成形体内部と表面近傍に温度分布が生じることにより、表面近傍が先に焼結が進みやすくなる。このため、表面近傍と内部で異なった焼結状態になることが多い。すなわち、焼結が均一に進まないことが原因となり表面近傍が先に緻密な焼結体となり、内部は結晶が十分に粒成長せずボイドが多い焼結体となる。このような現象を解決するために、特許文献1に示すような製造方法や、焼結が進行する温度域での焼成温度上昇を極端に遅くするなどの工夫がなされているが、現実には十分な効果が得られておらず生産性も悪い。
特許文献1に示された製造方法により得られた酸化アルミニウム質焼結体は、製造工程中からのアルカリ金属の混入を抑制、制御しているものの、通常用いられる酸化アルミニウム粉末は、バイヤー法で得られた酸化アルミニウムをローソーダ酸化アルミニウムとするための脱ソーダ工程においてリンを含有する物質が使用されるため、得られたローソーダ酸化アルミニウム中にもリンを含有していることが一般的であった。このリンの含有量は0.0025重量%を超えるものとなり、特に大型化した酸化アルミニウム質焼結体では均一な粒成長を阻害するという問題があった。
同様に、特許文献2に示された酸化アルミニウム質焼結体も同様に、比重が9.6以上、平均粒子径が10μm以上、誘電正接が8×10−4以下の特性を得られるものの、特許文献1と同様に、原料となるローソーダ酸化アルミニウム中に含有するリンによる粒成長阻害についての知見は示されていない。
従って、従来の酸化アルミニウム質焼結体では、上記のように表面近傍と内部との焼結状態が異なることに起因して、表面近傍の密度と内部の密度との差が大きくなり、得られた酸化アルミニウム質焼結体の誘電正接の値が大きなものとなり、これらの酸化アルミニウム質焼結体を半導体製造装置用部材に用いると、マイクロ波の透過性が悪くなることから酸化アルミニウム質焼結体が発熱しクラックを発生させ半導体製造装置用部材としての寿命が短くなるという課題があった。
本発明の酸化アルミニウム質焼結体は、含有量が99重量%以上の酸化アルミニウムと、酸化マグネシウム、酸化カルシウムおよび酸化珪素から選ばれる少なくとも1種類とを含有してなる酸化アルミニウム質焼結体であって、リンを含み、該酸化アルミニウム質焼結体100重量部に対して、リンを0.0025重量部以下含有していることを特徴とする。
また、焼結体内部の密度差が0.05g/cm以下であることを特徴とする。
さらに、誘電正接が10×10−4以下であることを特徴とする。
またさらに、上記酸化アルミニウムの含有量が99.2重量%以上であることを特徴とする。
さらにまた、上記酸化マグネシウムが0.05重量%以上であり、結晶粒径が10μm以下であることを特徴とする。
また、本発明の酸化アルミニウム質焼結体からなることを特徴とする半導体製造装置用部材である。
また、本発明の酸化アルミニウム質焼結体からなることを特徴とする液晶製造装置用部材である。
本発明によれば、含有量が99重量%以上の酸化アルミニウムと、酸化マグネシウム、酸化カルシウムおよび酸化珪素から選ばれる少なくとも1種類とを含有してなる酸化アルミニウム質焼結体であって、リンを含み、該酸化アルミニウム質焼結体100重量部に対して、リンを0.0025重量部以下含有していることから、表面近傍の密度と内部の密度との差が小さい均一な組織の酸化アルミニウム質焼結体を得ることができる。
また、焼結体内部の密度差が0.05g/cm以下であることから、酸化アルミニウム質焼結体の誘電正接の値が小さくなりマイクロ波の透過性が良くなることで酸化アルミニウム質焼結体の発熱によるクラック発生を抑制することができ、半導体製造装置用部材としての寿命の劣化を抑えることが可能となる。
さらに、誘電正接が10×10−4以下であることからマイクロ波の透過性をより良好に制御することができ、酸化アルミニウム質焼結体の発熱によるクラック発生を良好に抑えることができる。
またさらに、酸化アルミニウムの含有量が99.2重量%以上であることから、耐プラズマ性や耐薬品性に良好な酸化アルミニウム質焼結体を得ることができる。
またさらに、上記酸化マグネシウムの含有量が0.05重量%以上であり、平均結晶粒径が10μm以下であることから、ボイドの少ない緻密質な焼結体が得られ機械的強度を高く保つことができるとともに、ボイドによる誘電正接の低下を防ぎ、酸化アルミニウム質焼結体の発熱によるクラック発生を良好に抑えることができる。
また、本発明の酸化アルミニウム質焼結体を用いた半導体製造装置用部材は、耐プラズマ性や耐薬品性に優れ耐久性やエッチングなどのプラズマ処理速度の安定性に優れた性能を得ることができる。
また、本発明の酸化アルミニウム質焼結体を用いた液晶製造装置用部材は、耐プラズマ性や耐薬品性に優れ耐久性やエッチングなどのプラズマ処理速度の安定性に優れた性能を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細を説明する。
本発明者は、大型化した酸化アルミニウム質焼結体の焼結過程において、酸化アルミニウム質焼結体中に含まれるリンの存在が大きく影響していることを突き止めた。すなわち、リンの存在が均一な焼結の促進を阻害し、焼結過程において焼結体内部に多くのボイドを残してしまう。また、表面近傍の平均結晶粒径と焼結体内部の平均結晶粒径に差が生じるというものである。
本発明の酸化アルミニウム質焼結体は、酸化アルミニウムを99重量%以上含有し、さらに酸化マグネシウム、酸化カルシウムおよび酸化珪素から選ばれる少なくとも1種類以上を含有する。この酸化アルミニウム質焼結体は、リンを含み、該焼結体100重量部に対して、リンを0.0025重量部以下の割合で含有することを特徴とするものである。
リンの含有量が0.0025重量部下とすることにより、酸化アルミニウムの均一な焼結を阻害する働きは見られない。この現象はリンが強い焼結助剤として働き、焼結過程において熱がかかりやすい焼結体表面近傍の焼結を促進するため、表面近傍だけが早い段階で緻密化が進行し内部にボイドが取り残されることが原因していると考えられる。一方、リンの含有量が0.0025重量部を超えると、均一な焼結を阻害し、内部にボイドが多く存在する焼結体が得られ、1個の焼結体の表面近傍と内部との密度差が大きくなる。
また、酸化アルミニウム質焼結体中の酸化アルミニウムの含有量が99重量%以上の高純度酸化アルミニウム質焼結体に特定され、これは焼結過程が固相反応が主体とたるため極微量の不純物の影響を受けやすくなる。とりわけリンの存在は酸化アルミニウムの焼結過程に及ぼす影響が大きく、ボイドや焼結体内部と外部の密度差となってあらわれやすい。一方、酸化アルミニウムの含有量が99重量%未満になると液相焼結が主体となってくるため、リンを始めとする不純物が焼結過程に及ぼす影響は少ない。したがって焼結過程を阻害する因子とはなりにくい。
また、酸化アルミニウム以外の残部を構成する副成分は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化珪素のうち少なくとも1種類以上を有することにより、量産性も考慮した焼結温度での焼成が可能となる。これらを含有しない場合、1700℃を超える焼成温度が必要となり、現実的でない。
また、これら副成分の含有量は、酸化物換算で0.8重量%〜0.05重量%の範囲であり、副成分が0.8重量%を超えると耐プラズマ性や耐薬品性が低下し半導体製造装置部材、液晶製造装置用部材としては好ましくない。副成分が0.05重量%よりも少ない場合は酸化アルミニウム質焼結体の焼結過程において十分な焼結助剤とならず、緻密な焼結体を得ることが困難となる。
特に好ましいリンの含有量は、0.0020重量部以下であり、さらには0.0015重量部以下である。これは、0.0020重量部以下であると、酸化アルミニウム質焼結体の表面近傍と内部の密度差をより均一にすることが可能であり、0.0015重量部以下であると特に酸化アルミニウム純度が99.5%以上と高くなった場合に密度差を均一に保つことにより有効に作用するためである。
このリンの含有量は、ICP発光分光分析によって測定するものであり、酸化アルミニウム質焼結体中のリンの含有量を0.0025重量部以下とするためには、詳細を後述するように使用する原材料中のリンの含有量の合計を0.0025重量部以下に抑えるとともに工程中からの混入にも気をつける必要がある。特に主成分である酸化アルミニウム粉末中のリンの含有量を抑えることは重要であり、酸化アルミニウム粉末中のリンの含有量は0.0025重量部以下にする。
さらに、本発明の酸化アルミニウム質焼結体は、焼結体内部の密度差が0.05g/cm以下であることが望ましい。
これにより誘電正接の値が小さくなり、マイクロ波の透過性が良くなることで酸化アルミニウム質焼結体の発熱によるクラック発生を抑制することができ、半導体、液晶製造装置用部材としての寿命の劣化を抑えることが可能となる。これは、リンの含有量を0.0025重量%以下とすることで、焼成時に表面近傍と内部とが均一な粒成長となり内部に残留するボイドを低減できることにより、上記密度差を小さくすることができるためである。
一方、密度差が0.05g/cmを超えると、内部にボイドが多い状態となり誘電正接の値が大きくなり、発熱によりクラックが生じやすく、半導体、液晶製造装置用部材として用いた際に耐食性の低下により寿命が低下するという問題を生じる恐れがある。
また、表面の密度が3.90g/cm以上であることが好ましく、これにより表
面近傍の気孔を少なくし、例えば、焼結体表面にプラズマが照射された場合においては、焼結体の粒界に存在する空隙部分を抑制でき耐プラズマ性を向上させることができる。
ここで、表面近傍の密度と内部の密度の差とは、図1に示すように焼結体の表面部近傍から切り出した試料の密度と、焼結体内部から切り出した試料の密度との差のことである。また、本発明は、特に肉厚が20mm以上であるような厚肉の酸化アルミニウム質焼結体の場合に有効である。ここで、密度とは、見掛密度のことをいい、その測定方法はアルキメデス法である。
さらに、本発明の酸化アルミニウム質焼結体は、その誘電正接の値が10×10−4以下であることが望ましい。
これにより、マイクロ波の透過性をより良好に制御することができ、クラックの発生を良好に抑えることができ。一方、10×10−4を超えると、マイクロ波の吸収が生じ発熱によるクラックが生じやすく、半導体・液晶製造装置用部材として用いた際に発熱による透過率の低下、場合によっては部材のクラックや破損という問題を生じる恐れがある。
ここで、本発明における誘電正接は、周波数1MHz時の値をブリッジ回路法にて測定したものである。
ここで、本発明における誘電正接は、高周波領域(10〜1000MHz)における酸化アルミニウム質焼結体の誘電正接を高周波電流電圧法で測定したときの値が10×10−4以下で、かつマイクロ波領域(1〜5GHz)における酸化アルミニウム質焼結体の誘電正接を空洞共振器法で測定した値の時も10×10−4以下であることをいう。
また、本発明の酸化アルミニウム質焼結体は、酸化アルミニウムの含有量が99.2重量%以上であることが好ましい。
これにより耐プラズマ性や耐薬品性においては、酸化アルミニウム含有量がより高いほうが好適に用いられるためであるが、酸化アルミニウム純度が高くなるほど微量不純物の焼結過程への影響は増大し、リンが均一な粒成長を阻害しやすくなる。より好適には酸化アルミニウムの含有量は99.5重量%以上である。
また、本発明の酸化アルミニウム質焼結体は、酸化マグネシウムを0.05重量%以上の範囲で含有するとともに、平均結晶粒径が10μm以下であることが好適である。すなわち、酸化マグネシウムは粒成長を抑制する効果があるため、ボイドの少ない緻密質な焼結体が得られ機械的強度を高く保つことができる。また、ボイドによる誘電正接の低下を防ぎ、酸化アルミニウム質焼結体の発熱によるクラック発生を良好に抑えることができる。
従って、酸化マグネシウムは、酸化アルミニウムの焼結過程において、酸化アルミニウム以外の副成分として少量でも含有することが好ましい。また、酸化マグネシウムの含有量が0.5重量%を超えると耐薬品性や耐プラズマ性に悪影響を及ぼすため、その上限は0.5重量%以下であることがより好ましい。同時に、酸化アルミニウム質焼結体の平均結晶粒径を10μm以下とすることで、高い機械的強度を得ることができる。またリンの含有量が0.0025重量部を越えた場合は、表面近傍の粒成長が促進されやすく平均結晶粒径が大きくなってしまう傾向にある。一方、10μmを超えると、耐磨耗特性や耐薬品性が低下し半導体製造装置用部材、液晶製造装置用部材あるいは一般産業機械用部材として好ましくない。より好適には8μm以下とする。
次に、本発明の酸化アルミニウム質焼結体の製造方法を説明する。
先ず、リンの含有量の少ない酸化アルミニウム粉末と酸化アルミニウム以外の副成分の混合粉砕は一般的にはボールミルあるいは高速攪拌型ミルを使用する。
通常酸化アルミニウム粉末中において、リンは0.003〜0.005重量部含有されている。これはバイヤー法で得られた酸化アルミニウムをローソーダ酸化アルミニウムとするための脱ソーダ工程にて混入することが一般的である。脱ソーダのために用いられる添加剤に含まれるリンの量を制限することによって、得られるローソーダ酸化アルミニウムに含まれるリンの含有量を制御できる。本発明では、上述のように得られる酸化アルミニウム質焼結体中のリンの含有量を0.0025重量部以下とするために、上記酸化アルミニウム粉末中のリンの含有量を予め0.0025重量部以下に調整しておくことが望ましい。
なお、得られる酸化アルミニウム質焼結体の酸化アルミニウムの含有量を99.2重量%以上とするには焼結助剤として酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化珪素のうち少なくとも1種類以上を添加すればよい。
また、酸化マグネシウムを0.05重量%以上の範囲で含有させるためには、他の2成分を調整する。
混合粉砕には、水を溶媒とし酸化アルミニウム質焼結体あるいはジルコニア質焼結体からなるボールを用いて湿式粉砕を行い所定の粒度分布に調整する。得られたスラリーには用途に応じてPVAやアクリル樹脂などの有機バインダーを添加した後、噴霧乾燥して乾燥造粒にて成形用のセラミック顆粒とする。
次いで、こうして得られた顆粒をプレス成形等により、所定の形状に成形し、さらに必要に応じて所定の形状に加工する。これは乾式プレス成形を用いた製法であるが、スリップキャスティングなどの湿式成形法により所定の形状を得ても良い。
最後に、得られた成形体を1500℃〜1700℃の温度で焼成して本発明の酸化アルミニウム質焼結体を得ることができる。
なお、得られた酸化アルミニウム質焼結体の平均結晶粒径を10μm以下とするためには、焼結助剤として酸化マグネシウムを0.05重量%以上の範囲で含有させ、適正な焼成温度にて焼結すればよい。
このようにして得られた本発明の酸化アルミニウム質焼結体は、産業機械用部品として用いられ、とりわけ半導体製造装置や液晶製造装置に用いられる大型で、厚みのある部材として特に好適に用いることができる。本発明における半導体製造装置用部材とは半導体の製造工程で使用するための部材のことであり、例えばノズル、シャワーヘッド、内壁、断熱材、プラズマトラップ、ドーム、サセプタ、ステージ、チャック、クランプリング、フォーカスリング、マイクロ波導入窓および配管等を言う。また液晶製造装置用部材とは液晶の製造工程で使用するための部材のことであり、例えばインシュレーターやフレームなどを言う。
以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
ローソーダ酸化アルミニウム粉末対して、副成分として水酸化マグネシウム、炭酸カルシウムおよび酸化ケイ素の少なくとも一種とリンを添加し、高速分散型ミルで水中に分散、スラリー化した後、噴霧乾燥してセラミック粉末を得た。このセラミック粉末を直径60mm×厚さ60mmの成形体に1000kg/cmで加圧成形し、1650℃で2時間加熱して酸化アルミニウム質焼結体を得た。
こうして得られた焼結体の内部と表面近傍部の密度の比較を行うために、図1のように内部と表面近傍部からそれぞれ1辺10mmの立方体を切り出し、焼結密度の測定を行った。
また、得られた酸化アルミニウム質焼結体の表面をラップ加工により鏡面とし、RIE(Reactive Ion Etching)装置にセットしてClガス雰囲気でプラズマ中に2時間曝し、その前後の重量の減少量から1分当たりのエッチングレートを算出し、基準試料として用意した酸化アルミニウム質焼結体(酸化アルミニウム含有量99重量%)のエッチングレートを1としたときの相対比較値として求め、この相対比較値が1未満である試料を優れたものとした。
なお、焼結体中の酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよびリンの含有量は、ICP発光分光分析にて求めた。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0004889223
表1より、試料No.1は、リンの含有量が0.0025重量部を超え、焼結体の表面近傍の密度と内部の密度差は0.020g/cmとなりほとんど差が出なかった。これは、試料1は、酸化アルミニウム含有率が99重量%以下であるため、液相焼結が主体となってくるため、リンが焼結過程に及ぼす影響が少なくなったと考えられる。ただし、試料1のエッチングレートにおいては、1Å/min以上となり、耐プラズマ性は優れた特性を示さなかった。
試料No.2〜6、8〜10においては、試料No.7と比較すると、焼結体の表面近傍の密度と内部の密度差は、いずれも0.05g/cm以下であり、エッチングレートも1Å/min以下と優れた特性を有している。特に、リンの含有量が0.0020重量部以下であると表面近傍と内部との密度差は0.035g/cm以下であり、リンの含有量が少ない場合は焼結過程における粒成長を阻害せず、均一な焼結体をえることができているのがわかる。
(実施例2)
次に、実施例1と同じ酸化アルミニウム粉末に対して、副成分として水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、および酸化珪素を少なくとも一種とリンを添加し、実施例1と同様にして酸化アルミニウム質焼結体を得た。
次いで、実施例1と同様に焼結体の表面近傍の密度と内部の密度、エッチングレートを測定し、さらに誘電正接を測定した。
以上の結果を表2に示す。
Figure 0004889223
表2より、試料No.11、12はリンの含有量が0.0025重量部以下であるが、表面近傍と内部との密度差が0.05g/cmとなり均一な焼結体が得られているとともに、誘電正接の値も10×10−4以下となり良好な結果を得ている。エッチングレートにおいてもÅ/min以下と優れた特性を有している。一方、試料No.13はリンの含有量を0.0030重量部としたものである。これは表面近傍と内部との密度差が0.066g/cmと大きくなるとともに、誘電正接の値も10×10−4以上となった。エッチングレートにおいても1.78Å/minと悪い結果となった。試料No.16、19は、それぞれ酸化アルミニウム含有量を99.20重量%、99.60重量%としたものに、リンの含有量を0.0025重量部を超えた試料である。いずれもリンの含有量が0.0025重量部の試料と比較すると誘電正接が10×10−4以上となり、エッチングレートも1Å/min以上と悪い結果となった。また試料No.20は、リンの含有量を0.0014重量部と、より低く抑えたもので、表面近傍と内部との密度差、誘電正接、エッチングレートとも優れた特性を得ている。酸化アルミニウム純度が高くなるにつれ、リンの含有量が焼結に及ぼす影響が大きいことを示している。
(実施例3)
次に、実施例1および2と同様にして酸化アルミニウム質焼結体を得た。得られた焼結体を用いて、焼結体の表面近傍の密度と内部の密度、エッチングレート、および4点曲げ強度、および平均結晶粒径の測定を行った。
ここで、平均結晶粒径は、画像解析(ルーゼックス)にて測定した。
以上の結果を表3に示す。
Figure 0004889223
表3より、試料No.27、28は、焼結体中の酸化マグネシウムの含有量を0.05重量%以上とし、残部をカルシアとシリカとし、酸化アルミニウム純度を99.00重量%としたものである。表面近傍と内部との密度差は0.05g/cm以下となり均一な焼結体が得られている。エッチングレートにおいてもÅ/min以下と優れた特性を有している。さらに平均粒子径は10μm以下となり4点曲げ強度も350MPa以上と、構造部材用の酸化アルミニウム質焼結体としては十分な性能を有していることがわかる。一方、試料No.26は酸化マグネシウムの含有量を0として残部をカルシアとシリカとし、酸化アルミニウム純度を99.00重量%としたものである。表面近傍と内部との密度差は0.05g/cmとなり均一な焼結体が得られているが、平均粒子径は10μm以上となり4点曲げ強度も295MPaと弱い結果となった。誘電正接の値も10×10−4以下となり良好な結果を得ている。エッチングレートにおいても1Å/min以下を超え、適正な特性は得られなかった。
試料No.30、31、33、34、36、37は、いずれも酸化マグネシウムを0.05重量%以上含有し、それぞれ酸化アルミニウム純度を99.20重量%、99.60重量%、99.75重量%となるように残部をカルシアとシリカの組成としたものである。いずれの試料も、表面近傍と内部との密度差は0.05g/cm以下となり均一な焼結体が得られているとともに、エッチングレートにおいてもÅ/min以下と優れた特性を有している。さらに平均粒子径は10μm以下となり4点曲げ強度も350MPa以上と、構造部材用の酸化アルミニウム質焼結体としては十分な性能を有していることがわかる。一方、試料No.29、32,35は酸化マグネシウムを含有せずに酸化アルミニウム純度を99.20重量%、99.60重量%、99.75重量%となるように残部をカルシアとシリカの組成としたものである。平均粒子径は10μmも超え4点曲げ強度も350MPa以下と、適正な特性を得られなかった。
本発明は、半導体製造装置用部材、液晶製造装置用部材、あるいはその他の産業機械用部材として、例えば粉砕機用部材、ポンプ用部材、摺動部材などに有効に利用できる。
本発明の酸化アルミニウム質焼結体における表面近傍部の密度と内部の密度を説明するための図である。

Claims (8)

  1. 含有量が99重量%以上の酸化アルミニウムと、酸化マグネシウム、酸化カルシウムおよび酸化珪素から選ばれる少なくとも1種類とを含有してなる酸化アルミニウム質焼結体であって、リンを含み、該酸化アルミニウム質焼結体100重量部に対して、リンを0.0025重量部以下含有していることを特徴とする酸化アルミニウム質焼結体。
  2. 焼結体内部の密度差が0.05g/cm以下であることを特徴とする請求項1記載の酸化アルミニウム質焼結体。
  3. 誘電正接が10×10−4以下であることを特徴とする請求項1または2記載の酸化アルミニウム質焼結体。
  4. 上記酸化アルミニウムの含有量が99.2重量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化アルミニウム質焼結体。
  5. 上記酸化マグネシウムを0.05重量%以上含有するとともに、平均結晶粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酸化アルミニウム質焼結体。
  6. 面の密度が3.90g/cm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の酸化アルミニウム質焼結体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の酸化アルミニウム質焼結体からなることを特徴とする半導体製造装置用部材。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の酸化アルミニウム質焼結体からなることを特徴とする液晶製造装置用部材。
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