本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、二重床の床配線システムにおいて、フロアパネルを基礎床の上方の高い位置に配置する必要がなく、配線路がほぼ密閉されると共に配線路の位置が容易に分かり、配線を変更したりする作業を容易に行うことが可能となるものであって、これらのことを既存の床配線システムの支持部材及びフロアパネルを用いて新たに製作する部材を最小限に抑えつつ達成することのできる床配線システムを提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために請求項1に係る発明にあっては、基礎床F上に高さ調整可能な支持部材1を立設すると共に該支持部材1に平面視略正方形状をしたフロアパネル2の角部22aを載置して主体が構成される床配線システムにおいて、上方に開口して内部に配線50が収容される長さがフロアパネル2の一辺の長さと同じで幅がフロアパネル2の一辺の長さよりも短い収容体3と、該収容体3の上方への開口を隠蔽して上面40がフロアパネル2の上面2aと略面一となる形状がフロアパネル2と異なるカバー4とを支持部材1間に架設することで隣り合うフロアパネル2間に配線路5を形成して成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、既存の支持部材1とフロアパネル2とからなる床配線システムを用いて、前記既存の支持部材1とフロアパネル2とを変更することなく新たに収容体3とカバー4とを製作するだけで、後述する作用効果即ち、フロアパネル2を基礎床Fの上方の高い位置に配置する必要がなく、配線路5がほぼ密閉されると共に配線路5の位置が容易に分かり、配線50を変更したりする作業を容易に行うことが可能となるものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、フロアパネル2の基礎床Fからの高さ位置が最下限となるように前記フロアパネル2を支持する支持部材1の高さ調整を行った状態で、前記支持部材1に架設される収容体3の下面30が隙間Sを介して基礎床Fの上方に位置するように形成して成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、基礎床Fの不陸を吸収することが可能となる。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、カバー4を支持部材1の上端部13aに架設すると共に、収容体3を支持部材1の前記カバー4が架設される部分よりも下方に架設して成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、カバー4を配線路5の天蓋と床面の一部として兼用することができて、カバー4を取り外すだけで配線路5内の配線50を変更することが可能となる。
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、フロアパネル2のフランジ部22が支持部材1の上端部13aに載置されると共にフロアパネル2のパネル本体21の角部21aを逃がす凹部18を支持部材1に形成したものにおいて、前記支持部材1の凹部18の底面18aに収容体3を載置して成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、既存のフロアパネル2と支持部材1とをそのまま用いて収容体3とカバー4とを配設することが可能となる。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の発明において、支持部材1の上端部13aに該支持部材1に載置されるフロアパネル2及びカバー4の上面2a,40が略面一となるような段差部61を設けて成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、支持部材1に載置されるフロアパネル2及びカバー4の上面2a,40が略面一となって床面を形成することができる。
また、請求項6の発明は、請求項5の発明において、支持部材1の上端部13aに上記段差部61を形成した緩衝材6を設けて成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、フロアパネル2及びカバー4が支持部材1に当接することによる振動や摩耗の発生を抑えると共に、緩衝材6の取り替えを容易に行うことができる。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6の発明において、カバー4の周縁部に部分的に切欠部42を設けて成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、カバー4を取り外す際に切欠部42に工具を挿入してカバー4を取り外すことが可能となって取り外し易くなる。
また、請求項8の発明は、請求項7の発明において、カバー4の周縁部を部分的に下方に折り曲げて折曲部43を形成すると共に、カバー4の上面40の折曲部43が形成されて切欠された部分を上記切欠部42として成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、カバー4を本体に対して直角に折り曲げてリブ効果により強度を向上しつつ、折り曲げた部分に生じる切欠を工具が挿入可能な切欠部42とすることができる。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8の発明において、収容体3の内面に載置される載置部71と、該載置部71から連設される隔壁部72とで構成されて配線路5を仕切るセパレータ7aを設けて成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、簡単な構成のセパレータ7aにて配線路5を容易に仕切ることができる。
また、請求項10の発明は、請求項9の発明において、隔壁部72の上端部73にカバー4の下面との接触の際に緩衝する緩衝材74を配設して成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、セパレータ7aを収容体3とカバー4とで確実に固定することが可能となる。
また、請求項11の発明は、請求項9又は10の発明において、セパレータ7に嵌合部(77)を設けると共に、収容体3に前記嵌合部が嵌合する被嵌合部(37)を設けて成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、セパレータ7を収容体3に簡単な構成で確実に固定することが可能となる。
また、請求項12の発明は、請求項3乃至11のいずれかの発明において、隣り合うフロアパネル2間に配設される収容体3及びカバー4を、その収容体3及びカバー4の四個の角部が該収容体3及びカバー4に隣接するフロアパネル2の角部22aが載置される四個の支持部材1にそれぞれ載置される直線部用の収容体3a及びカバー4aとして成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、既存の支持部材1とフロアパネル2とをそのまま用いて直線部用の収容体3a及びカバー4aを形成することができる。
また、請求項13の発明は、請求項1乃至12のいずれかの発明において、収容体3aに配線を側方に引出し可能とする打抜部34を設けて成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、配線路5内の配線50を収容体3aから引出すことが可能となる。
また、請求項14の発明は、請求項1乃至11のいずれかの発明において、さらに配線路5の交差部5bに配置される収容体3及びカバー4を、その四個の角部が交差部5bの四隅に位置する四個のフロアパネル2の角部22aが載置される支持部材1にそれぞれ載置される交差部用の収容体3b及びカバー4bとして設けて成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、既存の支持部材1とフロアパネル2とをそのまま用いて交差部用の収容体3b及びカバー4bを形成することができる。
また、請求項15の発明は、請求項14の発明において、セパレータ7bを収容体3とカバー4との間を上下に仕切るように支持部材1間に略平行に架設して成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、配線路5内のセパレータ7にて仕切られているそれぞれの配線50が交差部5bにおいて互いに干渉するのを避けることができる。
また、請求項16の発明は、請求項15の発明において、セパレータ7bを支持部材1に形成されたフロアパネル2のパネル本体21の角部21aを逃がす凹部18の底面18aに収容体3bの鍔部32bを介して載置して成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、交差部用のセパレータ7bが取り付けられる取付部を設けたりすることなく既存の支持部材1をそのまま用いて交差部用のセパレータ7bを配設することができる。
また、請求項17の発明は、請求項15又は16の発明において、セパレータ7bの周縁部に側方斜め下方に伸びる湾曲部76を設けて成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、交差部用のセパレータ7bの上側に配設される配線50が該交差部用のセパレータ7bの湾曲部76を介して側方斜め下方に伸びることとなって、配線50がセパレータ7bのエッジにて損傷するのを防止することができる。
また、請求項18の発明は、請求項14乃至17のいずれかの発明において、直線部用の収容体3a及びカバー4aと交差部用の収容体3b及びカバー4bとを適宜配して配線路5を形成して成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、配線路5の直線部5aと交差部5bとをそれぞれ直線部用の収容体3a及びカバー4aと交差部用の収容体3b及びカバー4bとでほぼ密閉するように形成することができる。
また、請求項19の発明は、請求項18の発明において、支持部材1に載置され交差部用の収容体3bと直線部用の収容体3aとの間に形成される隙間を閉塞する隙間閉塞部材8を設けるものであって、直線部用の収容体3aは、上方に開口する略コ字状をした本体部31aと、この本体部31aの両側壁の上端から外側方に連設される鍔部32aとを備えてなり、交差部用の収容体3bは、直線部用の収容体3aの本体部31a及び鍔部32aと同様の断面形状の本体部31b及び鍔部32bを備えると共に直線部用の収容体3aの本体部31aの幅とほぼ同じ長さだけ本体部31bの両側の側壁と鍔部32bとを除去して接続口を形成してなり、該接続口と接続される直線部用の収容体3aの接続端部が交差部用の収容体3bの本体部31bの側壁と隙間をあけて配置され、隙間閉塞部材8は、前記隙間を閉塞すべく直線部用の収容体3aの本体部31及び鍔部32とほぼ同じ断面形状を有する閉塞部材本体81と閉塞部材鍔部82とを備えて成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、火災の際に配線路5への火炎の侵入を阻止して防火性能を向上させることができる。
また、請求項20の発明は、請求項1乃至19の発明において、収容体3の端部に該収容体3の端部開口を塞ぐエンドカバーEを取り付けて成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、収容体3の端部開口を閉塞することができる。
本発明にあっては、既存のフロアパネルと支持部材とからなる床配線システムを用いて、前記既存の支持部材とフロアパネルとを変更することなく新たに収容体とカバーとを製作するだけで、フロアパネルを基礎床の上方の高い位置に配置する必要がなく、配線路がほぼ密閉されると共に配線路の位置が容易に分かり、配線を変更したりする作業を容易に行うことが可能となる。
以下、本発明の一実施形態について添付図面に基づいて説明する。
床配線システムは、図3に示すように、建物の床スラブのような基礎床Fの上に支持部材1を立設し、この支持部材1にフロアパネル2を載置して床面F′を形成して二重床が構成されるもので、まず主要部となる支持部材1とフロアパネル2とについて図1乃至図4に基づいて説明する。
フロアパネル2は、平面視略正方形状の板状をしたもので、上面2aの外周縁部がパネル本体21から外側方に突出するフランジ部22となっている。本実施形態では、トップ板Tとボトム板Bとで外殻が構成される。
トップ板Tは、平面視正方形状をした金属製の板で、上面がフロアパネル2の上面2aとなって床面を形成するものである。ボトム板Bは、上方に開口する箱状部と、箱状部の上開口の端縁から外側方に向けて連設される上鍔部とからなり、平面視形状(即ち上鍔部の平面視における外郭形状)がトップ板Tと同じ正方形状となるように形成してある。
トップ板Tとボトム板Bは、平面視において外郭が重なるようにボトム板Bの上鍔部の上面とトップ板Tの下面とを溶接等によって固定して外殻を構成し、この内部にモルタル等の充填材23を充填してある。これにより、ボトム板Bの箱状部とトップ板Tとで囲まれて内部に充填材23が充填されたパネル本体21と、ボトム板Bの上鍔部とこれに溶着されるトップ板Tとで前記パネル本体21の上端部から外側方に突出するフランジ部22とが形成される。そして、このフランジ部22が支持部材1に載置される。
支持部材1は、台座部11と支柱部12とパネル支持部13とで構成される。台座部11は、平面視略正方形状をした金属板からなる。台座部11には、四隅に固着具(図示せず)が挿通される貫通孔14がそれぞれ形成してあり、台座部11を基礎床F上に載置した状態で貫通孔14に上方より固着具を挿通して基礎床Fに螺着して、台座部11を基礎床Fに固定するものであるる。台座部11の中央部からは、上方に向けて支柱部12が突設される。
支柱部12は、フロアパネル2を基礎床Fより上方に浮いた状態で支持するもので、本実施形態では丸棒の外表面に雄ねじ15を形成してボルト状に形成してあり、勿論ボルトからなるものであってもよい。この支柱部12は、溶接等によって台座部11と一体的に形成してある。そして、支柱部12の上端部には、後述するパネル支持部13を高さ調整自在に支持するための支持部16が設けてある。本実施形態では、支持部16は支柱部12の雄ねじ15に螺合するナットからなり、支柱部12の任意の高さに螺合した支持部16にパネル支持部13を載置することでパネル支持部13が高さ調整自在に支持される。
パネル支持部13は、上端面(上端部13a)がフロアパネル2のフランジ部22が載置されるパネル載置部17となると共に、下端面13bが上記支柱部12の支持部16の上面に載置されるもので、平面視略正方形状の大略角柱状をした本体部に後述する凹部18を凹設して主体が構成される。
パネル支持部13の下端面13bの中央部には、上記支柱部12の上端部が挿入可能な挿入開口(図示せず)が設けてあると共に、下端面13bの前記挿入開口の周辺部が上記支柱部12の支持部16の上面に載置される載置面となる。上記支柱部12の支持部16よりも上方に突出する部分は、このパネル支持部13の挿入開口に挿入されて逃がされ、これにより支柱部12の任意の高さに螺合した支持部16の上面がパネル支持部13の下端面13bに当接することとなり、パネル支持部13の高さが任意に調整自在となる。なお、パネル支持部13の高さの最下限は、支柱部12の上端部がパネル支持部13の挿入開口内の上端に当接した状態での高さとなる。
パネル支持部13には、本実施形態では、上端部13aのパネル載置部17に四個のフロアパネル2のフランジ部22が載置される。ここで、パネル支持部13の上端部13aのパネル載置部17及びパネル支持部13に形成される凹部18について説明する。パネル支持部13は、平面視略正方形状をしたものであるが、その対向する二対の両端辺の中間線Lにて平面視四等分に区画され、その一区画17aに一個ずつフロアパネル2のフランジ部22の角部22aが載置される(図3参照)。パネル載置部17に載置されるフランジ部22は、隣接するフランジ部22同士がほぼ当接するように殆ど隙間なく載置され、それぞれの角部22aの尖先はパネル載置部17の中央部cに位置するが、この状態においてそれぞれのフロアパネル2のパネル本体21の角部21aを逃がすための凹部18がパネル支持部13に形成してある。
凹部18は、平面視でパネル支持部13の角部から正方形状に凹設されて二側方及び上方に開口するもので、これによりパネル支持部13の上端部13aのパネル載置部17は平面視略十字状となる。このような凹部18を設けることにより、パネル支持部13のパネル載置部17にフロアパネル2のフランジ部22が載置された際、図に示すようにパネル本体21の角部21aが凹部18に収容されてパネル支持部13と干渉するのを避けることができる。なお、本実施形態では、パネル載置部17に後述する緩衝材6を設けてこの緩衝材6にフロアパネル2のフランジ部22を載置している。
また、パネル本体21の凹部18に収容される部分に上下に貫通する貫通孔24が形成してあると共に、この貫通孔24と平面視で重なるように凹部18の底面18aに固着孔19が螺設してあり、フランジ部22がパネル載置部17に載置されてパネル本体21が凹部18に収容された状態でコーナーロックねじ9を貫通孔24に上方から挿通して固着孔19に螺着することで、フロアパネル2を支持部材1に固定することができる。
上述したフロアパネル2と支持部材1にあっては、基礎床Fの上に支持部材1を立設してこの支持部材1にフロアパネル2を載置することで、二重床を形成して床面下に配線50を施すもので、このような床配線システムは公知であるが、本発明においてはこの既存の支持部材1とフロアパネル2とを用いて上述したような課題を解決したもので、以下に詳述する。
本発明においては、配線50はフロアパネル2の下方(即ち平面視においてフロアパネル2と同位置における下方)に配置されるものではなく、隣り合うフロアパネル2間に配設された配線路5に配置される。配線路5は、配線50が収容される収容体3と、隣り合うフロアパネル2間の隙間を閉塞するカバー4とで形成される。また配線路5は、フロアパネル2間に位置する直線部5aと、直交する配線路5の交差部5bとからなり、このそれぞれに直線部用の収容体3a及びカバー4aと、交差部用の収容体3b及びカバー4bとを設けるもので、まず直線部用の収容体3a及びカバー4aについて説明する。
直線部用の収容体3aは、図5に示すように、平面視における長さがフロアパネル2の一辺の長さと同じで幅がフロアパネル2の一辺の長さよりも短いもので、その長手方向視において上方に開口する略コ字状をした本体部31aと、この本体部31aの両側壁の上端から外側方に連設される鍔部32aと、鍔部32aから上方に連設される連設上片33とからなる。
本体部31aは、内部に配線50が配設されるもので、更に本実施形態では、本体部31aの側壁に内部の配線50を側方に引出し可能とする打抜部34がノックアウト部として設けてある。これにより、配線路5内の配線50を直線部用の収容体3aから引出すことが可能となる。鍔部32aは、それぞれ上述したパネル支持部13の凹部18の底面18aに載置されるもので、これにより直線部用の収容体3aは両側の鍔部32aが支持部材1に架設されて支持部材1間に配線路5が形成される。鍔部32aが支持部材1に架設された状態において、本体部31aの下面30と基礎床Fとの間に隙間S(少なくとも15mm)が形成されるようにしてある。即ち、パネル支持部13が高さ調整されて最下限に位置する場合であっても、鍔部32aをパネル支持部13の凹部18に載置した際に本体部31が基礎床Fに当接することがなく、基礎床Fの不陸を吸収することが可能となる。
また、鍔部32aには、支持部材1の凹部18に載置された際に凹部18の固着孔19と連通するように挿通孔35が形成してあり、コーナーロックねじ9が挿通可能となっている。
鍔部32aの上記支持部材1の凹部18の底面18aに載置されない部分の先端からは、上方に向けて連設上片33が連設してある。この連設上片33は、上端部がカバー4の下面に当接又は近接する略逆L字状をしたもので、これにより収容体3(3a)とカバー4(4a)とからなる配線路5がほぼ密閉するようになっている。
直線部用の収容体3aは、角部(即ち鍔部32の長手方向の両端部)をそれぞれ支持部材1の凹部18の底面18aに載置して支持部材1間に架設するもので、本実施形態では、隣接する両側のフロアパネル2の該直線部用の収容体3a側の二角部22aが載置される支持部材1にそれぞれ角部を載置し、合計四個の支持部材1にて一個の直線部用の収容体3aが架設される。
直線部用のカバー4aは、図6に示すように、長さが収容体3と同じ長さ(即ちフロアパネル2の一辺の長さ)で、幅が、架設される両側の支持部材1の中心部間の距離(即ち該直線部用のカバー4aと幅方向に隣接する両フロアパネル2間の距離)とほぼ同じ長さの板状に形成してある。
直線部用のカバー4a(及び後述する交差部用のカバー4b)の周縁部には、部分的に切欠部42を設けてあり、カバー4a,4bを取り外す際に切欠部42に工具等を挿入してカバー4a,4bを起こすことができて取り外し易くなっている。更に、本実施形態では、カバー4a,4bの周縁部を部分的に下方に折り曲げて折曲部43を形成し、この折曲部43が形成されて切欠が生じた部分を切欠部42(本実施形態では隙間幅0.5〜1.0mm)としてある。これにより、カバー4a,4bを本体に対して直角に折り曲げてリブ効果により強度を向上しつつ、折り曲げた部分に生じる切欠を工具が挿入可能な切欠部42にでき、カバー4a,4bの取り外しに必要な工具を特に用意する必要がなく、カバー4a,4bの取り外しに要するのはコーナーロックねじ9を外すドライバー一種類で済む。また、カバー4a,4bの周縁部に指が挿入可能な指挿入用の切欠部44が形成してあり、より一層カバー4の取り外しが容易となる。
また、この直線部用のカバー4aにおいては、図7に示すように、折曲部43の下端部を更に内側に折り曲げてリブ部45としてもよく、これによって、直線部用のカバー4aの上面踏付時の変形量を減少させて、歩行時の安定感を向上させることができる。
この直線部用のカバー4aは、直線部用の収容体3aが架設される支持部材1と同じ支持部材1の上端部13aのパネル載置部17に載置される。本実施形態では、フロアパネル2と同様に、パネル載置部17に緩衝材6を設けてこの緩衝材6に直線部用のカバー4a(及び交差部用のカバー4b)を載置し、フロアパネル2及びカバー4a,4bが支持部材1に当接することによる振動や摩耗の発生を抑えるものである。更に本実施形態では、直線部用のカバー4a(及び交差部用のカバー4b)はフロアパネル2のフランジ部22の厚みよりも厚く形成してあり、フランジ部22が載置される緩衝材6の厚みをカバー4a,4bが載置される緩衝材6の厚みよりも厚く形成し、フランジ部22が載置された緩衝材6とフランジ部22とを合わせた厚みと、カバー4a,4bが載置された緩衝材6とカバー4a,4bとを合わせた厚みが同じになるように形成してある。これにより、支持部材1のパネル載置部17に緩衝材6を介して載置されたフロアパネル2とカバー4a,4bのそれぞれの上面2a,40がパネル載置部17から同じ高さとなる。
本実施形態では、平面視における形状がパネル載置部17と同じ平面視略十字状をした緩衝材6をパネル載置部17に載置してある。緩衝材6は、図11に示すように、パネル載置部17の四個の区画17a分を一体に形成してあり、各区画17aに対応する部分60を上述した所定の厚みになるように段差61を形成してある。このように緩衝材6を一体に形成することで、緩衝材6の取り替えを容易に行うことができる。図11(a)に直線部用のカバー4a二個とフロアパネル2二個が載置される支柱部12材のパネル載置部17に載置する緩衝材6を、図11(b)に直線部用のカバー4a二個と交差部用のカバー4b一個及びフロアパネル2一個が載置される支持部材1のパネル載置部17に載置する緩衝材6を示す。
また、直線部用のカバー4aの角部の上記支持部材1の凹部18の固着孔19に対応する位置にコーナーロックねじ9が挿通される貫通孔35が形成してあり、フロアパネル2と同様にコーナーロックねじ9にて支持部材1に固定することができる。
次に、交差部用の収容体3b及びカバー4bについて説明する。
交差部用の収容体3bは、図8に示すように、平面視において一辺の長さが直線部用の収容体3aの幅とほぼ同じ長さの略正方形状をしたもので、配線が収容される本体部31bと、本体部31bの側壁の上端から外側方に連設される鍔部32bとからなり、四方から直線部用の収容体3aの端部が接続される。本実施形態では、直線部用の収容体3aの本体部31a及び鍔部32aと同様の断面形状の本体部31b及び鍔部32bをその長手方向の長さが交差部用の収容体3bの長さとなるように形成し、その長手方向の中央部において、直線部用の収容体3aの本体部31aの幅とほぼ同じ長さだけ本体部31bの両側の側壁と鍔部32bとを除去して接続口を形成したような形状となっている。
鍔部32bは、交差部用の収容体3bの四角部にのみ位置し、それぞれ上述したパネル支持部13の凹部18の底面18aに載置されるもので、前記交差部の四角部に位置する四個のフロアパネル2の角部22aが載置される支持部材1にそれぞれ角部が載置され、合計四個の支持部材1にて一個の交差部用の収容体3bが架設される。そして、交差部用の収容体3bと直線部用の収容体3aは支持部材1間に架設された状態において、交差部用の本体部31bの側壁の接続口36と、直線部用の収容体3aの本体部31aの側壁の長手方向端部とが当接又は近接して側壁がほぼ連続するとともに、本体部31a,31bの底面が連続している。
交差部用のカバー4bは、図9に示すように、平面視正方形状の板状をしたもので、その一辺の長さは直線部用の収容体3aの幅と同じ長さに形成してある。この交差部用のカバー4bも直線部用のカバー4aと同様に支持部材1の上端部13aのパネル載置部17に緩衝材6を介して載置される。なお、交差部用の収容体3b及びカバー4bの説明において、直線部用の収容体3a及びカバー4bと同様の部分については図中に同符号を付して説明は省略している。この交差部用のカバー4bにおいても、図10に示すように、折曲部43の下端部を更に内側に折り曲げてリブ部45としてもよく、これによって、交差部用のカバー4bの上面踏付時の変形量を減少させて、歩行時の安定感を向上させることができる。
このような収容体3及びカバー4を設けるには、まず、フロアパネル2と配線路5のレイアウト(配置)を決定し、このレイアウトに基づいて基礎床Fに支持部材1を立設する。なお、通常は配線路5の幅方向の両側にはともにフロアパネル2が隣接するように配置して、配線路5が並設するようなレイアウトにすることはなく、また、フロアパネル2はフロアパネル2同士が隣接するように配置しても勿論よいものである。本実施形態では、図3に示すように一個のフロアパネル2と一本の配線路5とを交互に配置したレイアウトとしてあり、このように予め多くの配線路5を設けておくことで、後でレイアウトの変更をしなくても所望の配線を施すことが可能となる。そして、立設した支持部材1にフロアパネル2と収容体3及びカバー4とを上述したように載置、架設していくものである。
配線50を変更する際は、配線50が収容される配線路5のカバー4を取り外して配線50を取り出したり、配線50を収容する配線路5のカバー4を取り外して配線50を収容体3内に収容し、再びカバー4を取り付けて配線路5を閉塞するものである。
また、支持部材1と収容体3とを導通してアースをとる場合には、図20、図21に示すように、支持部材1の凹部18の底面に形成したアースねじ孔10を形成するとともに収容体3の鍔部32の前記アースねじ孔10に対応する部分に挿通孔39を形成し、収容体3の鍔部32を支持部材1の凹部18の底面に載置して挿通孔39とアースねじ孔10とが連通した状態で上方から金属等からなり導電性を有するアースねじ91を挿通してアースねじ孔10に螺着することで、導通を図る。なお、鍔部32が載置される凹部18の底面にゴム等の不導体からなる緩衝材を載置しておく場合には、この緩衝材の前記アースねじ孔10(及び挿通孔39)に対応する位置に貫通孔を形成してアースねじ91が貫通可能となるようにする。これにより、支持部材1と収容体3とをアースねじ91を介して導通してアースを確実に行えるとともに、支持部材1と収容体3とをアースねじ91にて強固に固定することもできるものである。
以上のような床配線システムにあっては、配線路5をフロアパネル2間に配設したことで、従来のフロアパネル2の下方にダクト部材からなる配線路5を配設するもののようにフロアパネル2と配線路5とが上下に位置することとなってフロアパネル2を基礎床Fの上方の高い位置に敷設する必要が生じたりすることがなく、床面F′の基礎床Fからの高さを低くすることができる。また、配線路5はカバー4の下側に位置し、カバー4はフロアパネル2と形状が異なって床面F′を見た際にカバー4の位置が一見して分かるため、配線路5の位置も一見して分かって配線路5の位置が分からずに取り外す必要のないフロアパネル2まで取り外してしまうのを防止し、作業の際に手間がかからない。また、配線路5は収容体3及びカバー4、支持部材1とでほぼ密閉された状態となるため、火災の際に配線路5に火炎が入り込むのを阻止して防火することができる。
また、カバー4を支持部材1の上端部13aのパネル載置部17に架設し、収容体3を支持部材1のパネル載置部17よりも下方(即ち本実施形態では支持部材1の凹部18の底面18a)に架設するようにしたことで、例えば、収容体3をカバー4と同じく支持部材1の上端部13aに載置するようにした場合、パネル載置部17に収容体3とカバー4とが重なるように載置されることとなって、フロアパネル2の上面2aとカバー4の上面40とを面一にしようとした際に収容体3とカバー4の前記上端部13aへの載置部分を薄くせざるを得ず、収容体3とカバー4の強度を確保するための手段を新たに講じる必要が生じるところを、本実施形態では収容体3とカバー4とを異なる部分にそれぞれ個別に載置することができて、特に収容体3とカバー4の強度を特に確保する必要がない等、取り合いから生じる不都合を低減することができる。また、カバー4を配線路5の天蓋と床面の一部とを兼用することができて、配線を変更する際に従来のフロアパネル2の下方にダクト部材からなる配線路5を配設するもののようにフロアパネル2を取り外して更にダクト部材の蓋を取り外したりする必要がなく、カバー4を取り外すだけで配線路5内の配線を変更することができる。
そして更に、既存の床パネルと支持部材1とからなる床配線システムにおいて、カバー4を支持部材1のフロアパネル2を載置するためのパネル載置部17に載置すると共に、収容体3を支持部材1の凹部18の底面18aに載置して配線路5を形成してあり、配線路5を形成するための収容体3とカバー4とを新たに製作するだけで、既存の支持部材1とフロアパネル2とに何ら変更を加えることなく上述した様々な作用効果が得られ、現場のニーズや状況に応じたシステム変更(配線路5のレイアウトの変更、配線路5の無い既設システムへの追加、配線路5のある既設システムからの省略、配線路5のない既設システムへの配線路5の部分的な配置、等)が可能となり、配線路5の有無にかかわらず、基本構成部材(即ち支持部材1とフロアパネル2)を共用できて効率化が図られる。
上述した床配線システムにおいては、配線路5内を仕切るセパレータ7を設けてもよい。セパレータ7には、直線部用の収容体3aと交差部用の収容体3bとにそれぞれ配設される直線部用のセパレータ7aと交差部用のセパレータ7bとがある。
直線部用のセパレータ7aは、図12に示すように載置部71と隔壁部72とからなる側面視略L字状をしたものである。載置部71は、直線部用の収容体3aの本体部31の底面18aに載置される板状をしたもので、長手方向の長さは前記直線部用の収容体3aの長手方向の長さとほぼ同じで、幅方向の長さは収容体3の本体部31の底面18aの幅方向の略半分の長さに形成してある。この載置部71は、幅方向の一端部が収容体3の本体部31の内壁面に当接した状態で収容体3の本体部31の底面に載置され、この時に収容体3の本体部31の幅方向中央部に位置する他端部から隔壁部72が立設される。
隔壁部72は、上端部がカバー4の下面近傍に位置する板状をしたもので、長さは載置部71と同じ長さとなっている。本実施形態では上端部を横方向に折り曲げて緩衝材74の載置部73を形成してあり、図1等に示すように、載置部73に緩衝材74を載置してカバー4の下面で緩衝材74を押圧する状態で配設され、配線路5を左右に仕切るものである。このような簡単な構成のセパレータ7aにて配線路5を容易に仕切ることができ、また、緩衝材74を設けてカバー4と収容体3とでセパレータ7を挟着するようにしたことで、セパレータ7が配線路5内で倒れたりしないように確実に固定することができると共に、カバー4aの撓みを軽減することも可能となる。
また直線部用のセパレータ7aは、直線部用の収容体3aに対して嵌合により取り付けるようにしてもよい。これは図13に示すように、直線部用のセパレータ7aの載置部71の長手方向の端部の一部(又は全部)を下方に折り曲げて嵌合部としての爪部77を形成するとともに、直線部用の収容体3aの前記爪部77に対応する部分に該爪部77が挿通する被嵌合部としてのスリット37を形成してある。そして、図14(a)に示すように直線部用のセパレータ7aの載置部71を直線部用の収容体3aの底面に載置しての爪部77をスリット37に挿通嵌合することで、簡単な構成でセパレータ7aを直線部用の収容体3aに確実に固定することができる。またこの時さらに、図14(b)に示すように、スリット37に挿通した爪部77の先端をペンチ等の工具で折り曲げてこの爪部77がスリット37から抜けるのを防止してもよい。なお、このスリット37の長さは爪部77の長さよりも長く形成してあって、爪部77をスリット37内の任意の位置に嵌合でき、セパレータ7aを直線部用の収容体3aの巾方向の一定範囲内でずらして配置することができる。また、スリット37を収容体3aのほぼ全巾に亘って形成することで、爪部77をスリット37の全巾内の任意の位置に嵌合できることとなる。
次に、交差部用のセパレータ7bについて説明する。交差部用のセパレータ7bは、図15に示すように平面視略正方形状の板状をしたもので、その四角部が交差部用の収容体3bの鍔部32bを介して支持部材1のパネル支持部13の凹部18の底面18aに載置される。また、支持部材1のパネル支持部13の凹部18の固着孔19に対応する位置にコーナーロックねじ9が挿通可能な貫通孔75が形成してある。また、セパレータ7の上記パネル支持部13の凹部18に載置されない周縁部には、側方斜め下方にRを帯びて下方に凹となる湾曲部76が連設してあり、交差部用のセパレータ7bの上側に配設される配線50が該交差部用のセパレータ7bの湾曲部76を介して側方斜め下方に伸びることとなって、配線50がセパレータ7bのエッジにて損傷するのを防止することができる。この交差部用のセパレータ7bを略水平となるように支持部材1間に架設することで配線路5の交差部5bを上下に仕切ることができる。セパレータ7は、仕切られた配線路5内の配線50を変更したりする作業の作業性を向上すべく上下ではなく左右に仕切るのが好ましいため、直線部5aにおいては左右に仕切るようにしてあるが、交差部5bにおいては上下に仕切ってそれぞれの配線50の干渉を避けるものである。また、この交差部用のセパレータ7bを支持部材1のパネル支持部13の凹部18の底面18aに載置するようにしたことで、交差部用のセパレータ7bの取付部等を設けることなく既存の支持部材1をそのまま用いて交差部用のセパレータ7bを設けることができる。
また交差部用のセパレータ7bは、交差部用の収容体3bに対して嵌合により取り付けるようにしてもよい。これは図16に示すように、略平面視略正方形状をした水平板状の隔壁部72の対向する辺から載置部71を連設してある。載置部71は、隔壁部72の略下方(本例では下方程やや外側に傾斜する方向)に連設される連設片71aと、連設片71aの下端から外側に略水平に連設されて交差部用の収容体3bの底面に載置される載置片71bとからなる。また、隔壁部72には、載置部71を連設していない対向する辺から上方に上方連設部78を設けるとともに、対向する上方連設部78間にこれに平行に二つの仕切部79が連設してあり、隔壁部72によって仕切られる上側の部分を更に仕切ることができる。
そして、一対の載置部71の載置片71bの先端部の一部(又は全部)を下方に折り曲げて嵌合部としての爪部77を形成するとともに、交差部用の収容体3bの前記爪部77に対応する部分に該爪部77が挿通する被嵌合部としてのスリット37を形成してある。但し、交差部用の収容体3bに対応する部分とは、交差部用のセパレータ7bの向きを90°回転させた場合でも対応可能なように交差部用の収容体3bの略平面視略正方形状をした隔壁部72の四辺にそれぞれ形成してある。そして、図14(a)に示すように交差部用のセパレータ7bの載置部71を交差部用の収容体3bの底面に載置して爪部77をスリット37に挿通嵌合することで、簡単な構成で交差部用のセパレータ7bを交差部用の収容体3bに確実に固定することができる。またこの時さらに、図14(b)に示すように、スリット37に挿通した爪部77の先端をペンチ等の工具で折り曲げてこの爪部77がスリット37から抜けるのを防止してもよい。
また、収容体3の端部に該収容体3の端部開口を塞ぐエンドカバーEを取り付けてもよい。エンドカバーEは、図17乃至図19に示すように、該収容体3の底面に載置される水平片とこの水平片から上方に連設される垂直片とからなる略L字状をしたもので、水平片から下方に爪部E1を突設してあって、この爪部E1を収容体3に形成したスリット37に嵌合することで、収容体3に取り付けられる。このものにあっては、図17に示すように、直線部用の収容体3aの端部のスリット37にエンドカバーEを取り付けたり、図18に示すように交差部用の収容体3bに一つのエンドカバーEを取り付けてT字状の配線路を形成したり、あるいは図19に示すように一つの交差部用の収容体3bの隣接する二つのスリット37にエンドカバーEを取り付けてL字状の配線路を形成してもよい。これにより、収容体3に形成したセパレータ7取り付け用のスリット37を兼用してエンドカバーEを取り付けることが可能となり、簡単な構成で収容体3の端部開口を閉塞することができる。
また、本実施形態では、配線路5をほぼ密閉した状態とするため、隙間閉塞部材8を設けてある。本実施形態では、隙間閉塞部材8は図22に示すように、交差部用の収容体3bと直線部用の収容体3aとの間に形成される隙間を閉塞するものである。交差部用の収容体3bの本体部31bの側壁は、交差する配線路5のうちの一方の直線部用の収容体3aの本体部31aの側壁に沿って配置され、他方の直線部用の収容体3aの本体部31aの側壁の部分に隙間が生じるものであるが、この隙間を隙間閉塞部材8にて閉塞するものである。この隙間閉塞部材8は、直線部用の収容体3aの本体部31及び鍔部32とほぼ同じ断面形状を有する閉塞部材本体81と閉塞部材鍔部82とからなる。閉塞部材鍔部82は支持部材1のパネル支持部13の凹部18の底面18aに載置され、前記凹部18の底面18aの固着孔19に対応する位置にコーナーロックねじ9が挿通される貫通孔又は開口が形成してあり、支持部材1からの脱落が防止される。このようにすることで、配線路5をほぼ密閉することができ、火災の際に火炎の侵入を阻止して防火性能を向上させることができる。