JP4888657B2 - 電気自動車 - Google Patents
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Description
このような場合、自動車の分野では、ブラケットに脆弱部を形成して、パワーユニットが搭載されている側(一端側)からの衝突時、車体の一端部に加わる衝突荷重で、ブラケットを破断させて、パワーユニットの動きを抑える。
これには、2つの理由がある。その1つ目は、パワーユニットが搭載されている側(一端側)からの衝突時、単にパワーユニットを車体から離脱させただけは、バッテリユニットとの真正面からの衝突は避けきれないからである。
すなわち、電気自動車は、パワーユニットが搭載されている側(一端側)の衝突時とは異なり、パワーユニットが搭載されていない側(他端側)からの衝突時、車体の他端部に衝突荷重が入力されると、慣性により、パワーユニットがバッテリユニットに向かって強制変位させられるという挙動が生じる。
ところが、単に脆弱部を形成するだけでは、逆にパワーユニットが搭載されていない側(他端側)からの衝突時も、バッテリユニット側ブラケットは破断しやすくなる。このため、逆にパワーユニットが搭載されていない側からの衝突時において、パワーユニットがバッテリユニットに衝突しやすく、バッテリユニットに損傷を与えやすくなってしまう。
請求項4に記載の発明は、さらに簡単な構造で、パワーユニットが搭載されている側からの衝突時と、パワーユニットが搭載されていない側からの衝突時とに求められる特性をもつ反対側ブラケット脆弱部が得られるよう、反対側ブラケットは、車体前後方向に延びるアーム部材から構成し、反対側ブラケット脆弱部は、このアーム部材のパワーユニットが取り付くパワーユニット取付点と車体が取り付く取付点との間をオフセットさせてなる構成を採用した。
請求項2の発明によれば、バッテリユニット側ブラケットの側面に形成した溝形の凹部は、パワーユニットが搭載されている側からの衝突時には、破断が生じやすい、凹部の開口が拡げられる方向に曲げ応力が加わり、反対にパワーユニットが搭載されている側からの衝突時には、破断が生じにくい、開口が狭められる方向に曲げ応力が加わるから、簡単な構造で、パワーユニットが搭載されている側からの衝突時と、パワーユニットが搭載されていない側からの衝突時とにおける破断特性を得ることができる。
請求項4の発明によれば、反対側ブラケットのオフセットした部分は、パワーユニットが搭載されている側からの衝突時には、破断が生じやすい、大きな曲げモーメントが発生しやすい部分となり、反対にパワーユニットが搭載されている側からの衝突時には、破断が生じにくい、伸張する方向へ応力が発生する構造となるから、簡単な構造で、パワーユニットが搭載されている側からの衝突時と、パワーユニットが搭載されていない側からの衝突時とにおける破断特性を得ることができる。
図1は電気自動車の後側の側断面図を示していて、同図中1は車体である。車体1は、前後方向最後部に荷室2を有し、前後方向中央に客室3を有している。4は、車体1の下面に配設された一対のサイドフレーム(車体1の骨格をなす部材)を示している。
サイドフレーム4は、図2に示されるように車幅方向に並行に2本、所定の間隔で配置してあり、いずれも客室3の床の下面、この客室3の床より高い地点に形成されている荷室2の床の下面を通り、車両前後方向に延びている。図1中4aは、荷室2下を通る後部分を示している。そして、荷室2の床下に形成される車体最後部(車両前後方向一端側)の空間をパワーユニットルーム5としている。また客室3の床下のサイドフレーム4,4で囲まれた車体前後方向中央側の空間は、バッテリユニット収容室6にしてある。詳しくは、図1に示されるようにバッテリユニット収容室6は、客室3の後側に設置されたリヤシート8下から同じく前側に設置されたフロントシート9下まで連続したサイドフレーム4,4間の扁平な空間で形成してある。つまり、パワーユニットルーム5とバッテリユニット収容室6とは、車両前後方向で隣接したレイアウトとなる。
パワーユニットルーム5内には、図2に示されるようにパワーユニット16が、パワーユニット16を制御するコントロールユニット27、これらマウントするマウントフレーム30と共に収容してある。
このうち電動モータ17の車体後側へ突き出る支持プレート部17xには、図3および図4に示されるように、車体取付用ブッシュ20を先端に有するアーム状のリヤブラケット21(本願の反対側ブラケットに相当)が突設されている。具体的には、図3および図4に示されるように車体取付用ブッシュ20は、リヤブラケット21の先端に形成された円形の枠部20bと、同枠部20b内に圧入された筒形のブッシュ部材20aとを組み合わせて構成される。そして、リヤブラケット21の基端部をボルトナット22で支持プレート部17xに締結して、先端の車体取付用ブッシュ20を車体後側へ突出させている。
マウントフレーム30は、車体1の一部をなす部材で、図2および図3に示されるように車体1の後側へ並行に延びる一対の側フレーム部31と該側フレーム部31の各後端部をつなぐ端フレーム部32とを有した略U形をなしている。このうち一対の側フレーム部31は、電動モータ17端や減速機18端を通過して車体1の前後方向に延び、端フレーム部32は、パワーユニット16の後方を通過して車幅方向に延びている。このマウントフレーム30が、図2および図3に示されるように側フレーム部31端に設けたフロント取付座34や端フレーム部32に設けたリヤ取付座35を介して、パワーユニットルーム5の骨格となる、各リヤ部分4a,4a(サイドフレーム)の下部やリヤ部分4a,4a間に形成されたクロスメンバ部36の下部などにボルトナット37で締結してある。
この工夫には、フロントブラケット23に、図2、図3および図5に示されるようにパワーユニット16が搭載された側の衝突時と、パワーユニット16が搭載されていない側の衝突時とで、それぞれ違う破断特性をもつフロントブラケット脆弱部48(本願のバッテリユニット側ブラケット脆弱部に相当)を設け、リヤブラケット21にも、図2、図3および図4に示されるようにパワーユニット16が搭載されていない側の衝突時とで、それぞれ違う破断特性をもつリヤブラケット脆弱部56(本願の反対側ブラケット脆弱部に相当)を設けた構造が用いられている。
こうしたフロントブラケット脆弱部48やリヤブラケット脆弱部56により、パワーユニット16が搭載されている側からの衝突やパワーユニット16が搭載されていない側の衝突に対して、バッテリユニット10が損傷されにくくしている。
今、例えば停止している電気自動車の後端部に対し、同電気自動車の後方から他の車両が衝突したとする(パワーユニット16が搭載されている側からの衝突:後突)。
この後突時、電気自動車は、図1中の矢印に示されるようにパワーユニット16が搭載されている側(一端部)から所定以上の衝撃荷重P1が入力される。衝撃荷重P1は、衝突箇所に近いリヤ側のマウントブラケット41やサイドフレーム4の後端へ入力される。
ここで、リヤブラケット21やフロントブラケット23には、脆弱部として、凹部49やオフセット部57がある。このとき、オフセット部57は、車体1の後部から入力される衝撃荷重に対しては最も破断しやすい設定となっている。
これにより、パワーユニット16は、車体後側の支持を失い、車体前側の支持だけとなる。すると、図11に示されるようにパワーユニット16の後側が、パワーユニット16の自重により、前側を支点に下がる。これで、パワーユニット16は、後側が低くなる斜めの姿勢となる。
このため、サイドフレーム4(マウントフレーム30)の強制変位で、フロントブラケット23が変位してワッシャ51と突き当たり、パワーユニット取付用ブッシュ24のたわみが制限され、衝撃荷重P1が凹部49に効率よく伝達され、図13に示されるように応力が凹部49に集中して、同部分を、開口を拡げる方向へ変形させる。この開口を拡げる方向の曲げ変形は、破断が生じやすいから、ブラケット部分23aは、即座に、同部から破断を起こす。これにより、図12に示されるようにフロントブラケット23は、中間部分と左右両側とに3分割される。
このとき、図14に示されるように車体取付用ブッシュ26に残っているブラケット部23bは、全長が短く、パワーユニット16の支持から解放されて自由に動ける状態となっているから、例えば図14中の二点鎖線で示されるようにバッテリユニット10の上面を乗り上げたり、あるいは図示はしないがバッテリユニット10の脇へ逃げたりするなどする。これにより、破断したブラケット部分23bやブラケット部分23bの先端の鋭利な破断部23cは、バッテリユニット10との衝突が避けられる。
このときの挙動を説明すると、図15(a)に示されるように自由に動ける状態になった車体取付用ブッシュ26が、サイドフレーム4の強制変位により、バッテリユニット10の端部へ接近すると、図15(b)に示されるように枠部26bの下側部分(ボルト挿通位置から下側)に有る突出部54が、バッテリユニット10の端部の上段部分に当たる。すると、車体取付用ブッシュ26は、バッテリユニット10で押されて傾く(前傾)。
一方、車体1から離脱したパワーユニット16は、図16(a)に示されるようにバッテリユニット側(前側)が高く、その反対側(後側側)が低いという、バッテリユニット10を乗り上げやすい後傾姿勢のまま、バッテリユニット10へ向う。
これにより、パワーユニット16が搭載されている側の衝突時は、パワーユニット16とバッテリユニット10とが衝突するのが抑えられる。また破断したブラケット部分23bや、同ブラケット部分23bの先端に生ずる鋭利な破断部23cや、車体取付用ブッシュ26と、バッテリユニット10とが衝突するのも抑えられる。
この前突時の挙動を説明する。このときには電気自動車は、図17中の矢印に示されるようにパワーユニット16が搭載されていない側(他端部)から所定から所定以上の衝撃荷重P2が入力される。
ここで、リヤブラケット21やフロントブラケット23には、脆弱部として、凹部49やオフセット部57があるが、凹部49は、車体1の前部から入力される衝撃荷重に対し
破断しにくい向きが設定してあり、オフセット部57は、同凹部49よりも、さらに破断しにくい引っ張り方向での破断が設定してある。
これにより、パワーユニット16が搭載されていない側の衝突時は、パワーユニット16とバッテリユニット10との衝突が抑えられる。
10 バッテリユニット
16 パワーユニット
20 車体取付用ブッシュ(反対側ブラケットの車体が取り付く取付点)
21 リヤブラケット(反対側ブラケット)
23 フロントブラケット(バッテリユニット側ブラケット)
24 パワーユニット取付用ブッシュ(パワーユニットが取り付く取付点)
26 車体取付用ブッシュ(車体が取り付く取付点)
48 フロントブラケット脆弱部(バッテリユニット側ブラケット脆弱部)
49 凹部
56 リヤブラケット脆弱部(反対側ブラケット脆弱部)
57 オフセット部
S 取付点(反対側ブラケットのパワーユニットに取り付く取付点)
Claims (4)
- 車両を駆動する機器で構成されるパワーユニットと、
前記パワーユニットを車両前後方向一端側に搭載する車体と、
前記パワーユニットと隣接して前記車体の前後方向中央側に搭載された、車両の電力源となるバッテリユニットと、
前記パワーユニットのバッテリユニット側の端部を前記車体に支持するバッテリユニット側ブラケットと、
前記パワーユニットのバッテリユニットとは反対側の端部を前記車体に支持する反対側ブラケットと
を備え、
前記バッテリユニット側ブラケットは、前記車両前後方向一端側の衝突時または車両前後方向他端側の衝突時に所定以上の衝撃荷重が加わると破断するバッテリユニット側ブラケット脆弱部を有し、
前記反対側ブラケットは、前記車両前後方向一端側の衝突時または車両前後方向他端側の衝突時に所定以上の衝撃荷重が加わると破断する反対側ブラケット脆弱部を有し、
前記バッテリユニット側ブラケット脆弱部は、車両前後方向一端側の衝突時の前記車体の一端部から入力される衝撃荷重が、前記車両前後方向他端側の衝突時の前記車体の他端部から入力される衝撃荷重より小さい衝撃荷重で破断するように形成され、
前記反対側ブラケット脆弱部は、前記車両前後方向一端側の衝突時の前記バッテリユニット側ブラケット脆弱部が破断するよりも早い段階で破断し、前記車両前後方向他端側の衝突時の前記バッテリユニット側ブラケット脆弱部が破断する衝撃荷重より大きい荷重で破断するように形成してある
ことを特徴とする電気自動車。 - 前記バッテリユニット側ブラケットは、車幅方向に延びるアーム部材から構成され、
前記バッテリユニット側ブラケット脆弱部は、前記アーム部材のパワーユニット側に向く側面に、上下方向に延びる凹部を形成してなることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車。 - 前記バッテリユニット側ブラケット脆弱部は、前記アーム部材の前記パワーユニットが取り付くパワーユニット取付点と前記車体が取り付く取付点との間に形成されることを特徴とする請求項2に記載の電気自動車。
- 前記反対側ブラケットは、車体前後方向に延びるアーム部材から構成され、
前記反対側ブラケット脆弱部は、前記アーム部材の前記パワーユニットが取り付くパワーユニット取付点と前記車体が取り付く取付点との間をオフセットさせてなる
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の電気自動車。
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