JP4884781B2 - 空気調和装置用キャビネット及びこれを用いた空気調和装置 - Google Patents
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特許文献1に記載の空気調和機の室内機は、遠心ファン及びファンモータからなる給送装置(給送気装置)と、この給送装置を包囲してその送風路中に配設される熱交換器と、給送装置及び熱交換器とを収納するキャビネットとを備えている。
キャビネットは、給送装置が下面に取り付けられる天板と、この天板の四方を囲む側板とを有する箱形状をなしている。
また、天板の強度が十分でないと、キャビネットの運搬時や天井への設置時に加わる負荷によって、天板に好ましくない塑性変形が生じてしまう可能性がある。
このため、特許文献1に記載の空気調和機の室内機では、天板の強度を向上させるために、天板の給送装置取り付け部の周囲に、多重環状または多重渦巻状のリブを設けたり、多重環状または多重渦巻状のリブに加えてさらに三本以上の偏放射リブを設けている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、重量を増加させずに天板の変形を抑制することができる空気調和装置用キャビネット及びこれを用いた空気調和装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、内部に吸送気装置及び熱交換器が収納される空気調和装置用キャビネットであって、前記吸送気装置が下面側に取り付けられる天板と、該天板の周縁部から下方に向けて延びて前記天板の下方の空間を取り囲む側板とを有し、前記天板には、前記吸送気装置が取り付けられる取付部近傍から前記周縁部に向けて複数の補強リブが形成されており、前記各補強リブは、前記取付部側から前記周縁部側に向うにつれてその幅が漸次拡大されているとともに、前記取付部側の端部が互いに接続されることにより該取付部の周囲を全周にわたり該補強リブで取り囲んだ構成とされている空気調和装置用キャビネットを提供する。
これにより、取付部近傍に荷重が加わった場合にも、その荷重が、端部が互いに接続されることにより取付部の全周にわたり設けられている補強リブを介して周縁部にも分散させられて、天板全体で荷重が受けられるので、荷重を受けることによる天板の変形量が低減される。
そこで、上記のように周縁部側に向うにつれて幅が拡大される各補強リブを、取付部を中心として放射状に形成してもよい。
この場合には、補強リブの縁部が、取付部を中心とした放射状に配置されることになる。すなわち、天板において荷重による変形が生じやすい方向に沿って、曲げ強度の高い補強リブの縁部が設けられることになるので、天板の変形量が低減される。
そこで、天板に対して、各補強リブを取付部周りに不等ピッチで配置してもよい。この場合には、補強リブの配置が周期的でないので、キャビネットの共振による騒音の発生を抑制することができる。
そこで、天板に対して、吸送気装置のファンを構成する羽根の枚数の整数倍と約数とのうちのいずれとも異なる数の補強リブを設けてもよい。この場合には、キャビネットがNZ音と共振しにくくなり、キャビネットの共振による騒音の発生を抑制することができる。
このように構成される空気調和装置では、キャビネットとして変形しにくいキャビネットを用いているので、キャビネットの変形に由来する騒音が生じにくい。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について、図1から図6を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る空気調和装置1は、天井に設けられた開口部内に埋め込まれる室内機2と、室外に設置される室外機(図示せず)とを有している。これら室内機2と室外機とは、図示しない冷媒回路を介して接続されており、この冷媒回路を介して室内機2と室外機との間で熱のやり取りが行われるようになっている。
キャビネット11内には、化粧パネルの空気取入口から室内空気を取り込んで空気吹出口から再び室内に送出する吸送気装置12と、吸送気装置12がキャビネット11内に取り込んだ室内空気と冷媒回路内の冷媒との間で熱交換を行う熱交換器13とが設けられている。
遠心ファン17は、ファンモータ16の駆動軸に略同軸にして取り付けられる多翼のファン本体17aと、ファン本体17aを囲むように設けられてファン本体17aの周囲に室内空気を案内する流路を形成するハウジング17bとを有しており、ファン本体17aがファンモータ16によって回転駆動されることで、ファン本体17aの下方から化粧パネルの空気取入口を通じて室内空気を吸い込むとともに、この室内空気をファン本体17aの径方向外側(すなわちキャビネット11の周縁部側)に向けて送出して、化粧パネルの空気吹出口を通じて室内に吹出する構成とされている。
熱交換器13は、吸気装置12の周囲を取り囲むようにドレンパン19上に配置されており、吸気装置12によってファン本体17aの径方向外側に向けて送出された室内空気と冷媒回路内の冷媒との間で熱交換を行うものである。
天板21は、プレス加工等によって一枚の金属板を立体的に成形したものであって、本実施形態では、天板21は、840mm角の略正方形状に形成された、板厚0.8mmの鋼板製の金属板によって構成されている。
図1及び図2に示すように、天板21の中央部には、吸送気装置12が取り付けられる取付部21aが設けられている。本実施形態では、取付部21aは、天板21下方に向けて凸となる円形の***部によって構成されており、これら取付部21aは、天板21の中心と同軸となる同一円周上に、三つの取付部21aが略等間隔配置されている。
本実施形態では、各補強リブ23は、縁部23aが天板21から傾斜状態にして立ち上がる傾斜部とされており、縁部23aに囲まれる領域が天板21と略平行な平面部とされている。すなわち、補強リブ23は、延在方向に直交する断面形状が、略台形をなしている。
さらに、補強リブ23は、取付部21a側の端部が互いに接続されていて、これにより、取付部21aの周囲が全周にわたって補強リブ23によって取り囲まれている。
また、補強リブ23の設置数は、吸送気装置12を構成する遠心ファン17の羽根(翼)の枚数の整数倍と約数とのうちのいずれとも異なる数とされている。本実施形態では、補強リブ23は9本設けられている。
これにより、取付部21a近傍に荷重が加わった場合にも、この荷重が、補強リブ23を介して天板21の周縁部にも分散させられて、天板21全体で荷重が受けられるので、荷重を受けることによる天板21の変形量が低減される。
本実施形態では、上記のように、周縁部側に向うにつれて幅が拡大される各補強リブ23が、取付部21aを中心として放射状に形成されている。
これにより、補強リブ23の縁部が、取付部21aを中心とした放射状に配置されることになる。すなわち、天板21において荷重による変形が生じやすい方向に沿って、曲げ強度の高い補強リブ23の縁部23aが設けられることになるので、天板21の変形量が低減される。
本実施形態では、天板21に対して、吸送気装置12の遠心ファン17を構成する羽根の枚数の整数倍と約数とのうちのいずれとも異なる数の補強リブ23を設けているので、キャビネット11がNZ音と共振しにくくなり、キャビネット11の共振による騒音の発生を抑制することができる。
ここで、比較例として、図3に示す形状のキャビネットCを用意し、このキャビネットCについても、天板21の各部の変形量を求めた。
このキャビネットCでは、等幅の補強リブLが、取付部21aから天板21の各コーナーに向けて放射状に設けられているとともに、縦方向及び横方向にもそれぞれ複数本設けられている。
図4から分かるように、比較例のキャビネットCでは、等高線の密度が高く、天板21が大きく変形していることが分かる。そして、比較例のキャビネットCでは、天板21において最も下方に位置している取付部21a近傍部分は、天板21の周縁部から2.1mmも下方に変位している。
そして、この実施例のキャビネット11では、天板21において最も下方に位置している取付部21a近傍部分は、天板21の周縁部から、0.9mmしか下方に変位していない。このことから分かるように、本実施形態に示すキャビネット11では、天板の板厚を増加させずに、天板21の変形を抑制することができる。
次に、本発明の第二実施形態について、図7を用いて説明する。
本実施形態に示す空気調和装置51は、第一実施形態で示した空気調和装置1において、室内機2のキャビネット11の代わりに、キャビネット61を用いたものである。
キャビネット61は、第一実施形態に示すキャビネット11において、補強リブ23が、取付部21aを中心とした放射状ではなく、取付部21aを中心として吸送気装置12の遠心ファン17が発生させる気流(図中に二点差線で示す流れ)の旋回方向と同一方向に渦を巻く渦巻形状に形成されたものである。
このように構成される空気調和装置51によれば、吸送気装置12が発生させる気流が補強リブ23によって乱されにくくなるので、気流の乱れによる騒音が発生しにくくなる。
また、上記各実施形態では、補強リブ23を、縁部23aが天板21から傾斜状態にして立ち上がる傾斜面をなしており、縁部23aに囲まれる領域が天板21と略平行な平面とされた例を示したが、これに限られることなく、図11に示すように、少なくともいずれかの補強リブ23を、延在方向の断面視において複数の屈曲部23bを有する複雑形状に形成してもよい。なお、図11では、補強リブ23の平面部に凹部23cが形成されることによって複数の屈曲部23bが形成されている例を示している。
このように補強リブ23を複雑形状に形成することで、補強リブ23の断面二次モーメントがさらに大きくなるので、天板21の強度が向上し、天板21の変形量が低減される。
この場合には、図12に示すキャビネット71のように、天板21には、各吸気装置12に対応する取付部21aと、各取付部21aからそれぞれ周縁部に向けて延びる補強リブ23とが設けられる。
11,61,71 キャビネット
12 吸送気装置
13 熱交換器
17 遠心ファン
21 天板
21a 取付部
22 側板
23 補強リブ
23b 屈曲部
23c 凹部
Claims (6)
- 内部に吸送気装置及び熱交換器が収納される空気調和装置用キャビネットであって、
前記吸送気装置が下面側に取り付けられる天板と、
該天板の周縁部から下方に向けて延びて前記天板の下方の空間を取り囲む側板とを有し、
前記天板には、前記吸送気装置が取り付けられる取付部近傍から前記周縁部に向けて複数の補強リブが形成されており、
前記各補強リブは、前記取付部側から前記周縁部側に向うにつれてその幅が漸次拡大されているとともに、前記取付部側の端部が互いに接続されることにより該取付部の周囲を全周にわたり該補強リブで取り囲んだ構成とされている空気調和装置用キャビネット。 - 前記各補強リブが、前記取付部を中心とする放射状に形成されている請求項1記載の空気調和装置用キャビネット。
- 前記各補強リブが、前記取付部を中心として、前記吸送気装置が発生させる気流の旋回方向と同一方向に渦を巻く渦巻形状に形成されている請求項1記載の空気調和装置用キャビネット。
- 前記複数の補強リブが、前記取付部周りに不等ピッチで配置されている請求項1から3のいずれかに記載の空気調和装置用キャビネット。
- 前記吸送気装置が、複数枚の羽根を有するファンを備えており、
前記天板には、前記ファンを構成する羽根の枚数の整数倍と約数とのうちのいずれとも異なる数の前記補強リブが設けられている請求項1から4のいずれかに記載の空気調和装置用キャビネット。 - 天井に埋め込まれるキャビネットと、該キャビネット内に設けられる吸送気装置及び熱交換器とを有し、
前記キャビネットが、請求項1から5のいずれかに記載の空気調和装置用キャビネットとされている空気調和装置。
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