JP4882155B2 - 水性インク組成物及びそれを用いたインクジェット記録用インク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性インク、捺染剤、カラーフィルター、バブルジェット等のサーマル方式やピエゾ方式等の水性インクジェットプリンター用に有用な水性インク組成物、及びインクジェット記録用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、非接触記録であり、しかも小型記録機器から超大型機器まで広い適用範囲を持ち、さらにカラー化が比較的容易で、高品位の印刷が得られ、印刷時の騒音も少ないためOA用から産業用にまで広い範囲で用いられている。
しかし、インクジェット記録方式に用いられるインクは、安全性、臭気等の面から水溶性樹脂を主体とする水性インクが用いられており、ジェットインクに用いられる樹脂及び着色剤等のインク各成分は、相互に反応することは無く、単に水を含む溶剤の蒸発に伴って被印刷面で硬化し、印刷被膜を形成するものであった。このため従来のジェットインクによって形成した印刷被膜は、一般に耐溶剤性が悪く、印刷後、溶剤洗浄等の何らかの溶剤を使用する表面処理が必要な印刷物に使用できないという欠点があった。
【0003】
これらの欠点を改善する方法として、水性インクのバインダー樹脂に熱硬化性樹脂を用い、印字後に印字物を加熱処理させることにより耐溶剤性を改良することが試みられ、既に幾多の検討がなされている。
例えば、特開平6−116523号公報では、アミノプラスト樹脂及びグリセリンを含む熱硬化型ジェット印刷インクが、特開平7−188596号公報では熱硬化性樹脂を20〜30重量%含有し、分散剤として脂肪族アミンを含有する熱硬化性樹脂が、特開平9−143407号公報には熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする布帛記録用水性顔料分散インクジェット用記録液が提案されている。
【0004】
しかしながら、これらのインクは、使用しているメラミン樹脂などの熱硬化性樹脂が水や水性溶媒に対する顔料分散性に劣るため、顔料を水性媒体中に分散させるために、界面活性剤などの分散剤を使用して粉末顔料を分散する方法が行われている。しかし、その分散状態は、たとえ顔料分散剤を併用しても、特に有機顔料においては不十分なレベルにあったため、高画質の印字物を形成するのに不可欠な微分散されたインクを作成するのは困難であった。また調製したインクの分散安定性が不十分であるため、沈降した顔料粒子によるノズル詰まりなどの弊害をもたらす等の欠点があった。さらに水溶性の分散剤が印字物に残存するため耐水性に劣る問題点もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、上記したように水や水性溶媒に対する顔料分散性および保存安定性が良好で、耐熱性、耐溶剤性に優れた印字物が得られるインクジェット記録用熱硬化型水性インク組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、分散樹脂として、塩基で中和されたカルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基を有する水溶性アミノ樹脂を用いることにより、分散剤を含有することなく顔料分散性に優れた、熱硬化型水性インク組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、
【0007】
(1)(a)着色剤、(b)塩基で中和されたカルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基を有するアミノ樹脂、及び(c)水を含有する水性インク組成物を提供する。
【0008】
また、本発明は、(2)上記(1)の水性インク組成物を用いたインクジェット記録用インク、その印字方法、及びその印字物を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の水性インク組成物は、(a)着色剤、(b)塩基で中和されたカルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基を有するアミノ樹脂、及び(c)水を含有する。
本発明において、(b)塩基で中和されたカルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基を有するアミノ樹脂は、一般に、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、グアナミン系化合物等のアミノ化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド化合物とを、縮合させることで得ることができる。また、該縮合生成物を、エーテル化用アルコールを用いてエーテル化せしめることによっても得ることができる。
【0010】
本発明において用いられるアミノ化合物としては、特に限定はないが、例えば、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、シクロヘキサンカルボグアナミン、フタログアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、2−、3−又は4−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)安息香酸、2−、3−又は4−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−フェノール等が挙げられる。中でも、メラミン、ベンゾグアナミン、又は(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)安息香酸が、保存安定性や耐熱性の面から特に好ましい。
【0011】
また、本発明において用いられるアルデヒド化合物としては、特に限定はないが、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、グリオキザール、グリオキシル酸、スクシンセミアルデヒド、2−、3−又は4−ヒドロキシベンズアルデヒド;トリオキサン、パラホルムアルデヒドのようなホルムアルデヒド縮合体;ホルムアルデヒド水溶液のような水溶液;メチルヘミホルマール、n−ブチルヘミホルマール又はイソブチルヘミホルマール等が挙げられる。中でも、ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、スクシンセミアルデヒド、又は4−ヒドロキシベンズアルデヒドが耐熱性の面から特に好ましい。また、これらは、単独使用でも2種以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0012】
本発明は、アミノ樹脂が、カルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基を有することを特徴とするので、カルボキシル基やフェノール性水酸基を持たないアミノ樹脂用原料アミノ化合物が、例えば、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、シクロヘキサンカルボグアナミン、フタログアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン等であるときは、用いるアルデヒド化合物が少なくともカルボキシル基又はフェノール性水酸基を有することが必須であり、この時のアルデヒド化合物としては、グリオキシル酸、スクシンセミアルデヒド、2−、3−又は4−ヒドロキシベンズアルデヒド等が好ましい。
【0013】
一方、アミノ樹脂用原料アミノ化合物が2−、3−又は4−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)安息香酸や2−、3−又は4−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−フェノールのようにカルボキシル基やフェノール性水酸基を有する場合は、用いるアルデヒド化合物に特に限定はなく、上記例示の化合物を用いることができる。
【0014】
また、本発明のアミノ樹脂は単一のアミノ化合物と単一のアルデヒド化合物との縮合で得られるもののみならず、各種混合して縮合、製造し、用いることもできる。この場合、アミノ化合物又はアルデヒド化合物の少なくとも1種が少なくとも1つのカルボキシル基又はフェノール性水酸基を含有しておれば良い。例えば、ベンゾグアナミンと4−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)安息香酸を所望の比率にて混合し、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドとグリオキシル酸の所望比の混合物と縮合することもできる。このように原料のアミノ化合物及び/又はアルデヒド化合物を複数使用することで、得られるアミノ樹脂の酸価を調整し、水に対する溶解性を制御することができる。
【0015】
本発明において用いられるエーテル化用アルコールは、主として、原料であるアミノ化合物と、アルデヒド化合物とからの縮合反応生成物を安定化せしめるために有用である。これらは特に限定はないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、メチルイソブチルカルビノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、n−オクタノール、sec−オクタノール、2−エチルヘキシルアルコール又はアリルアルコール等のような、炭素数1〜8なる種々のアルコール類;
【0016】
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル又はジプロピレングリコールモノメチルエーテルの如き、各種のエーテルアルコール類;
【0017】
あるいはケトブタノール、ジアセトンアルコール又はアセトイン等のような、種々のケトンアルコール等が挙げられる。これらは、単独使用でも2種以上の併用でもよいことは、勿論である。中でも、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールが、反応性、コストならびに得られるアミノ樹脂の架橋性等の面から、特に好ましい。
【0018】
本発明において用いられる、(b)アミノ樹脂を得るには、例えば、特開平9−143169号公報、特開平8−176249号公報、特開平9−208821号公報、特開平10−140015号公報等に記載の製造方法に従い、アミノ化合物1.0モルに対し、アルデヒド化合物が1.5〜8モルとなるような割合で、しかも、エーテル化用アルコールが3〜20モルとなるような割合で反応せしめればよい。また、この時、公知慣用の溶剤を用いることができる。
【0019】
アミノ樹脂用原料であるアミノ化合物及び/又はアルデヒド化合物を2種以上併用する場合、その割合に特に制限はないが、酸価が低すぎると、水及び水性媒体に対する溶解性が低下し着色剤の水性媒体に対する分散安定性が劣る傾向にあり、また熱硬化時のカルボキシル基又はフェノール性水酸基による触媒作用が低下するし、一方、酸価が高すぎると硬化後の耐水性に劣る。従って、該アミノ樹脂の酸価として20〜250mgKOH/gの範囲となるように組成を調整することが好ましい。
【0020】
また、当該(b)アミノ樹脂を調製するためには、公知慣用の種々の製造方法を利用し採用することが出来る。即ち、例えば、
(1)エーテル化用アルコールにアルデヒド化合物を加えた溶液に対し、アミノ化合物を加え、必要に応じて酸性触媒の存在下、50〜140℃なる温度にて、20分間〜7時間反応せしめ、縮合反応ならびにエーテル化反応を同時に行なうというような方法や、
【0021】
(2)アルデヒド化合物とアミノ化合物とを加えた溶液に対し、pH8〜10なる範囲内でメチロール化を行い、次にエーテル化用アルコールの存在下で、pH2〜6なる範囲内でアルキルエーテル化を行うというような方法や、
【0022】
(3)エーテル化用アルコールにアルデヒド化合物を加えた溶液に、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、シクロヘキサンカルボグアナミン、フタログアナミン、ステログアナミン及びスピログアナミンよりなる群から選ばれる、少なくとも1種のアミノ化合物を加え、縮合反応及びエーテル化反応の途中で、(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)安息香酸及び/又は(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−フェノールを加える方法や、
【0023】
(4)エーテル化用アルコールに、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、グリオキザール、グリオキシル酸、スクシンセミアルデヒド及び2−、3−又は4−ヒドロキシベンズアルデヒドよりなる群から選ばれる、少なくとも1種のアルデヒド化合物を加え、次いで尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、シクロヘキサンカルボグアナミン、フタログアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)安息香酸、及び(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−フェノールよりなる群から選ばれる、少なくとも1種のアミノ化合物を加え、縮合反応及びエーテル化反応を行う方法、等が挙げられる。
【0024】
本発明の(b)アミノ樹脂は、熱硬化性バインダー樹脂として使用できるが、更にアクリル等の重合体を共存させることができる。これはアミノ樹脂と同様に中和により水溶性樹脂となる樹脂であることが望ましく、カルボキシル基を含有することが好ましい。これらの重合体は公知慣用の重合体が使用でき、一般に、共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合して用いることができる。あエチレン性不飽和単量体としては、公知慣用のエチレン性不飽和単量体を使用することができる。
【0025】
本発明においては、アミノ樹脂を塩基により中和することによって水溶性アミノ樹脂になる。すなわち、当該(b)アミノ樹脂中に導入されたカルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基を、樹脂の構造、組成等によって異なるが、概ね、樹脂中に含まれる酸基のすくなくとも80%以上(当量)の塩基で完全中和又は部分中和して、水又は水と水可溶性溶媒との混合物に溶解又は分散化する。
【0026】
中和に用いられる塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの如きアルカリ金属の水酸化物や有機アミンが利用できる。上記有機アミンとして特に制限はないが、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン又はトリエチルアミン等の、アルキルアミン類;N−メチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジエチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミン等の、ヒドロキシルアミン類;エチレンジアミン又はジエチレントリアミン等の、多価アミン類等が挙げられる。これらは、単独使用でも2種以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0027】
本発明の水性インク組成物中におけるアミノ樹脂の使用割合は、インクの全量に対して0.1〜30重量%の範囲が好ましく、1〜20重量%の範囲が特に好ましい。樹脂の使用割合が1重量%未満では顔料の分散安定性が乏しく、架橋の効果が得られない等の問題が生じ、30重量%を越えると、インクの吐出性安定性が低下するので好ましくない。
【0028】
次に、本発明の水性インク組成物は、上記の(b)アミノ樹脂と共に、染料や顔料等の(a)着色剤を含有する。着色剤としては、耐熱性、耐光性の面から顔料が好適に用いられる。
【0029】
本発明で用いられる染料としては、公知慣用のものが使用でき、例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編、昭和45年刊)、「色材工学ハンドブック」(色材協会編、朝倉書店、1989年刊)、「工業用色素の技術と市場」(シーエムシー、1983年刊)、「化学便覧応用化学編」(日本化学会編、丸善書店、1986年刊)に記載されているものが挙げられる。より具体的には、アゾ染料、金属鎖塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、インジゴ染料、キノリン染料、ニトロ系染料、キサンテン系染料、チアジン系染料、アジン染料、オキサジン染料、スクワリリウム色素等の染料が挙げられる。
【0030】
本発明で用いられる顔料としては、市販の顔料、及び、カラーインデックス便覧「最新顔料便覧日本顔料技術協会編、1977年刊」、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インク技術」(CMC出版、1984年刊)等に記載されている顔料が利用できる。
【0031】
例えば、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム、カーボンブラック等の無機顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジスアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリン顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン顔料、ペリノン系顔料、トリフエニルメタン系顔料、チオインジゴ顔料、ジケトピロロピロール系顔料等の有機顔料等が挙げられる。これらを単独又は混合して用いることができる。これらの顔料の中ではアントラキノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、ジオキサジン系顔料、カーボンブラックが特に好ましい。
【0032】
これらの具体例をカラーインデックス(C.I)ナンバーで以下に示すが、これら例示の化合物のみに限定されないことは勿論である。
赤色顔料;C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド217、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド223、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド227、C.I.ピグメントレッド228、C.I.ピグメントレッド240、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド48:1等;
【0033】
緑色顔料;C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36等;
【0034】
青色顔料;C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー64等;
【0035】
バイオレット顔料;C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット30、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット40、C.I.ピグメントバイオレット50等;
【0036】
黄色顔料;C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー86、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー125、C.I.ピグメントイエロー137、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー148、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー185等;
【0037】
黒色顔料;C.I.ピグメントブラック7等;である。
これらの(a)着色剤は、それぞれ単独でも、また2つ以上の色材を併用して用いることもできる。
【0038】
また本発明における水性インク組成物中の着色剤使用量は、インクの全重量に基づいて0.5〜50重量%の範囲が好ましく、0.5〜30重量%の範囲が特に好ましい。着色剤が0.5%未満では着色が不十分であり、50%以上ではインクの粘度が高くなるため分散安定性が不良となり好ましくない。
【0039】
本発明の水性インク組成物は溶媒として水を用いるが、水の他、適宜水溶性有機溶剤を使用しても構わない。水溶性有機溶剤は、次に述べる乾燥防止剤や浸透剤としても使用される。
【0040】
乾燥防止剤は,インクジェット記録用水性インク組成物においては,インクジェットの噴射ノズル口でのインクの乾燥を防止する効果を与えるものである。通常水の沸点以上の沸点を有する水溶性有機溶剤が使用される。
【0041】
このような乾燥防止剤としては,特に限定されるものではなく,従来知られているエチレングリコール,ジエチレングリコール,ポリエチレングリコール,グリセリン等の多価アルコール類,N−メチル−2−ピロリドン,2−ピロリドン等のピロリドン類,アミド類,ジメチルスルホオキサイド,イミダゾリジノン等が使用可能である。
【0042】
乾燥防止剤の使用量は,種類によって異なるが,通常水100重量部に対して1〜150重量部の範囲から適宜選択され,グリセリン及びそれに他の乾燥防止剤を併用したものを使用する場合には10〜50重量部が好適である。
【0043】
また浸透剤は、ジェット噴射して付着した水性インク組成物の被印刷媒体への浸透をより良好とするために使用される。具体的には,エタノール,イソプロピルアルコール等の低級アルコール,ジエチレングリコール−N−ブチルエーテル等のグリコールエーテル,プロピレングリコール誘導体等の水溶性有機溶媒、などがあげられる。
【0044】
本発明の水性インク組成物には表面張力等のインク特性を調整するために、界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の添加量が多すぎると、印字物の滲みをもたらすため、添加量はインクの全重量に対し、1重量%以下であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録用水性インクに添加することができる界面活性剤としては、特に限定されず、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、などがあげられ、これらの中でも、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が特に好ましい。
【0045】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等があげられ、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩、などがあげられる。
【0046】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルアルカノールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、などがあげられ、これらの中でも、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマーが好ましい。
【0047】
その他の界面活性剤として、ポリシロキサンオキシエチレン付加物の如きシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルの如きフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸、ラムノリピド、リゾレシチンの如きバイオサーファクタント、などを使用することもできる。
これらの界面活性剤は、単独で用いることもでき、また、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0048】
本発明のインク組成物は、例えば、以下のいずれかの製造方法にしたがって、調製することで、インクジェット記録用インキとして好適に用いることができる。
(1)水、(場合によっては適宜水溶性有機溶媒を加えても良い)、アミノ樹脂及び樹脂の中和に必要な塩基を含有する水性溶液中に、着色剤を添加した後、各種の撹拌、分散装置を用いることによって、着色剤を被分散物とする水性分散体を調製し、乾燥防止剤や浸透剤を添加してインク組成物を調製する方法。
【0049】
(2)予め着色剤とアミノ樹脂を2本ロール、ミキサー等で予備混練を行ってから、得られた混練物を、水及び樹脂を中和するのに必要な塩基を含む水性溶液中に添加し、撹拌、分散装置を用いて水性分散体を調製した後、乾燥防止剤や浸透剤を添加してインク組成物を調製する方法。
【0050】
(3)メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン(THF)の如き、水と相溶性を有する有機溶剤にアミノ樹脂を溶解させた溶液に、着色剤を添加した後、撹拌・分散装置を用いて着色剤と樹脂の分散体を調製し、該樹脂分散液に樹脂を中和するのに必要な塩基を溶解させた水性溶液を添加し、転相乳化させることにより水性分散体を調製する方法。
【0051】
撹拌、分散装置としては、例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、ナノマイザー、などがあげられる。これらの撹拌、分散装置は、単独で用いることもでき、また、2種類以上装置を組み合わせても良い。
【0052】
本発明のインクジェット記録用インキを記録媒体に印字する方法は、公知慣用のインクジェット手法を用いることができる。インクジェット方式としては、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いた熱ジェット方式、または圧電素子を用いたピエゾジェット方式等が使用可能である。
【0053】
本発明の水性インク組成物を用いたインクジェット記録用インキは、通常の手法で好適に用いられるが、本発明で用いるアミノ樹脂は熱硬化性であり、上記インクジェット方式で印字した印字物を加熱硬化処理することにより、更に耐溶剤性・耐水性に優れた印字物を得ることができる。
【0054】
印字物の熱硬化に用いられる熱線源としては、ホットプレート、電気オーブン、赤外線加熱炉など、公知慣用の熱線源を使用することができる。加熱温度としては100〜200℃の範囲が推奨される。100℃以下では熱硬化が不充分なため、耐溶剤性及び耐水性に劣り、200℃以上では、架橋反応が過剰にすすみ、架橋密度が高くなりすぎるため印字物の定着強度が低下したり、また記録媒体が紙や布帛の場合には媒体の変質が生じるため好ましくない。
【0055】
なお、本発明で用いられる記録媒体は、特に限定されるものではなく、コピー用紙、ボンド紙等の普通紙やインクジェット記録用に特別に調整されたコート紙、光沢紙、OHPフィルムや布帛等が好適に使用される。
また、熱硬化処理する印字物に用いる記録媒体としては、前記加熱硬化条件で変形もしくは変質しないものであれば特に制限する必要はないが、特に適しているものを挙げると、セラミックス、金属、ガラス、プラスチックス等がある。なお、これら被印刷物は、予め、プライマー塗布等の表面処理を施したものであってもよい。
【0056】
【実施例】
次に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、以下において、部及び%は特に断りのない限り、すべて重量基準であるものとする。作成した印字物についての性能試験は以下の方法を用いた。
【0057】
<性能試験及び評価基準>
《保存安定性》
インクジェット記録用インクを40℃で30日保存した際の粘度を測定し、初期粘度に対する変化率が10%未満のものを○、10%以上のものを×とした。なお粘度測定はトキメック社製E型粘度計を用いて行った。
【0058】
《インクジェット記録方法》
ピエゾジェット方式のインクジェット記録装置を用いて印字を行った。
【0059】
《硬化条件》
熱硬化条件:インクジェット法によりパターンを形成し、次いで110℃で10分乾燥した後、150℃のオーブン中で20分硬化させた。
【0060】
《印字物評価》
耐溶剤性:アルミ板上にベタ画像を印字し、硬化させた印字物を、ラビングテスター[太平理化工業(株)]を用い、25℃の条件下、100g荷重にてアセトンでラビングし、下地のアルミ板に達するまでのラビング回数を評価した。この時のラビング回数が25回未満のものを×、25以上100回未満を○、100回以上を◎とした。
吐出性:線幅1mmの細線を描画し、線の乱れの状況により吐出性の評価を行った。線幅1.1mm未満を良好とした。
画像濃度:ベタ印字物をマクベス反射濃度計「RD918」(マクベス(Macbeth)社製)を用いて測定した。
【0061】
<実施例1>
(カルボキシル基を有するアミノ樹脂水溶液(A−1)の合成)
撹拌装置、温度計、還流管及び窒素導入管を備えた容量500mLの四つ口フラスコに、2−(4、6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)安息香酸111.45g、ベンゾグアナミン1.87g、40%ホルムアルデヒド水溶液150.0g及びn−ブタノール36.2gを仕込み、80℃で30分間加熱した。次いで、還流管をデカンターに代えて、減圧下で水とブタノールを共沸させながら4時間かけて水を除去することによって、樹脂固形分の酸価(試料1g中に存在する酸分を規定の方法に基き、中和するのに要した水酸化カリウムのミリグラム数)が94.2mgKOH/gのカルボキシル基を有するアミノ樹脂(A−1)を得た。ポリスチレン換算の数平均分子量;Mnが2150、分散度;Mw/Mnが3.13であった。
これをメチルエチルケトン(以後MEKと略記する)で希釈して、アミノ樹脂(A−1)を固形分として40%含むMEK溶液を得た。このMEK溶液100部に、水酸化ナトリウム3.07部及び水120部からなる水溶液を撹拌しながら徐々に加えた。水酸化ナトリウム水溶液を全量加えた後、減圧下でメチルエチルケトンを留去し、最終的に固形分22%の中和アミノ樹脂水溶液を得た。
【0062】
(黒色の水性分散体の調製)
上記水溶液(A−1)を用いて、以下の組成で仕込みを行った後、ペイントコンディショナーを用いて分散処理を行い、黒色の水性分散体を得た。
アミノ樹脂(A−1) 5部
カーボンブラック(三菱化学社製#960) 10部
ジエチレングリコール 20部
水(アミノ樹脂水溶液中の水を含む) 35部
ジルコニアビーズ(1.25mm径) 400部
時間 4時間
【0063】
(黒色の水性インク組成物(B−1)の調製)
分散処理を行った黒色の水性分散体からビーズを除去した後の水性分散体に、中和アミノ樹脂水溶液、水溶性有機溶剤及び水を加えて、アミノ樹脂(A−1)10%、カーボンブラック(三菱化学社製#960)10%、ジエチレングリコール10%、グリセリン5%、ポリオキシプロピレングリセリンエーテル(三洋化成社製サンニックスGP−600)5%、及び水60%の組成からなるインクジェット記録用水性インク組成物(B−1)を調製し、性能試験の項目に従って評価を行った。
【0064】
<実施例2>
(青色の水性分散体の調製)
水溶液(A−1)を用いて、以下の組成で仕込みを行った後、ペイントコンディショナーを用いて分散処理を行い、青色の水性分散体を得た。
アミノ樹脂(A1) 5部
CIピグメントブルー15−3
(大日本インキ化学工業社製FASTGEN BLUE TGR)10部
ジエチレングリコール 20部
水 30部
ジルコニアビーズ(1.25mm径) 400部
時間 4時間
【0065】
(青色の水性インク組成物(B−2)の調製)
分散処理を行った青色の水性分散体からビーズを除去した後の水性分散体に、中和アミノ樹脂水溶液、水溶性有機溶剤及び水を加えて、アミノ樹脂(A−1)10%、CIピグメントブルー15−3を10%、ジエチレングリコール10%、グリセリン5%、ポリオキシプロピレングリセリンエーテル(三洋化成社製サンニックスGP−600)5%、水60%の組成からなるインクジェット記録用水性インク組成物(B−2)を調製し、性能試験の項目に従って評価を行った。
【0066】
<実施例3>
(赤色の水性分散体の調製)
水溶液(A−1)を用いて、以下の組成で仕込みを行った後、ペイントコンディショナーを用いて分散処理を行い、赤色の水性分散体を得た。
アミノ樹脂(A1) 3部
CIピグメントレッド202(大日本インキ化学工業社製
FASTGEN SUPPER MAGENTA RTS) 10部
ジエチレングリコール 20部
水 25部
ジルコニアビーズ(1.25mm径) 400部
時間 4時間
【0067】
(赤色の水性インク組成物(B−3)の調製)
分散処理を行った赤色の水性分散体からビーズを除去した後の水性分散体に、中和アミノ樹脂水溶液、水溶性有機溶剤及び水を加えて、アミノ樹脂(A−1)10%、CIピグメントレッド202を10%、ジエチレングリコール10%、グリセリン5%、ポリオキシプロピレングリセリンエーテル(三洋化成社製サンニックスGP−600)を5%、水60%の組成からなるインクジェット記録用水性インク組成物(B−3)を調製し、性能試験の項目に従って評価を行った。
【0068】
<実施例4>
(黄色の水性分散体の調製)
水溶液(A−1)を用いて、以下の組成で仕込みを行った後、ペイントコンディショナーを用いて分散処理を行い、黄色の水性分散体を得た。
アミノ樹脂(A1) 4部
CIピグメントイエロー128(チバ スペシャリティ ケミカルズ社製
IRGAPHOR YELLOW 8G-CF) 10部
ジエチレングリコール 20部
水 25部
ジルコニアビーズ(1.25mm径) 400部
時間 4時間
【0069】
(黄色の水性インク組成物(B−4)の調製)
分散処理を行った黄色の水性分散体からビーズを除去した後の水性分散体に、中和アミノ樹脂水溶液、水溶性有機溶剤及び水を加えて、アミノ樹脂(A−1)10%、CIピグメントイエロー128を10%、ジエチレングリコール10%、グリセリン5%、ポリオキシプロピレングリセリンエーテル(三洋化成社製サンニックスGP−600)5%、水60%の組成からなるインクジェット記録用水性インク組成物(B−4)を調製し、性能試験の項目に従って評価を行った。
【0070】
<比較例1>
(水性分散体の調製)
水溶性アミノ樹脂(三和ケミカル製 ニカラックMW−30)を分散樹脂とし、分散剤(花王製 エマルゲン420)を併用し以下の組成で仕込みを行った後、ペイントコンディショナーを用いて分散処理を行い、水性分散体を得た。
水溶性アミノ樹脂(ニカラックMW−30) 10部
分散剤(花王製 エマルゲン420) 0.5部
カーボンブラック(三菱化学社製#960 10部
ジエチレングリコール 20部
水 35部
ジルコニアビーズ(1.25mm径) 400部
時間 4時間
【0071】
(黒色の水性インク組成物(R−1)の調製)
分散処理を行った黒色の上記水性分散体からビーズを除去した後の水性分散体に、中和アミノ樹脂水溶液、水溶性有機溶剤及び水を加えて、ニカラックMw−30を10%、分散剤0.5%、カーボンブラック(三菱化学社製#960)10%、ジエチレングリコール10%、グリセリン5%、ポリオキシプロピレングリセリンエーテル(三洋化成社製サンニックスGP−600)を5%、水59.5%の組成からなるインクジェット記録用水性インク組成物(R−1)を調製し、性能試験の項目に従って評価を行った。
【0072】
<比較例2>
(水性分散体の調製)
水溶性アミノ樹脂(三和ケミカル製 ニカラックMW−30)を分散樹脂とし、以下の組成で仕込みを行った後、ペイントコンディショナーを用いて分散処理を行い、水性分散体を得た。
水溶性アミノ樹脂(ニカラックMW−30) 10部
カーボンブラック(三菱化学社製#960 10部
ジエチレングリコール 20部
水 35部
ジルコニアビーズ(1.25mm径) 400部
時間 4時間
【0073】
(黒色の水性インク組成物(R−2)の調製)
分散処理を行った黒色の上記水性分散体からビーズを除去した後の水性分散体に、中和アミノ樹脂水溶液、水溶性有機溶剤及び水を加えて、ニカラックMw−30を10%、カーボンブラック(三菱化学社製#960)10%、ジエチレングリコール10%、グリセリン5%、ポリオキシプロピレングリセリンエーテル(三洋化成社製サンニックスGP−600)を5%、水60%の組成からなるインクジェット記録用水性インク組成物(R−2)を調製し、性能試験の項目に従って評価を行った。
【0074】
<比較例3>
(アニオン性アクリル樹脂の合成)
MEK100部を窒素雰囲気下、80℃に保ちながら、スチレン50部、メタクリル酸メチル27部、アクリル酸10部、メタクリル酸13部及び重合触媒(和光純薬工業社製の「V−59」)5部からなる混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度でさらに24時間反応を続けた。なお、反応の途中において、原料の消費状況を確認しながら、適時、重合触媒を追加した。このようにして、アニオン性アクリル樹脂(A−2)を固形分として53%含むMEK溶液を得た。得られたアニオン性アクリル樹脂の重合平均分子量は11,000、酸価140mgKOH/gであった。このMEK溶液100部に、水酸化ナトリウム5.53部及び水120部からなる水溶液を撹拌しながら徐々に加えた。水酸化ナトリウム水溶液を全量加えた後、減圧下でメチルエチルケトンを留去し、最終的に固形分22%の中和アミノ樹脂水溶液を得た。
【0075】
(黒色の水性分散体の調製)
上記水溶液を用いて、以下の組成で仕込みを行った後、ペイントコンディショナーを用いて分散処理を行い、黒色の水性分散体を得た。
アクリル樹脂(A−2) 5部
カーボンブラック(三菱化学社製#960) 10部
ジエチレングリコール 20部
水(アミノ樹脂水溶液中の水を含む) 35部
ジルコニアビーズ(1.25mm径) 400部
時間 4時間
【0076】
(黒色の水性インク組成物(R−3)の調製)
分散処理を行った黒色の水性分散体からビーズを除去した後の水性分散体に、中和アミノ樹脂水溶液、水溶性有機溶剤及び水を加えて、アクリル樹脂(A−2)10%、カーボンブラック(三菱化学社製#960)10%、ジエチレングリコール10%、グリセリン5%、ポリオキシプロピレングリセリンエーテル(三洋化成社製サンニックスGP−600)を5%、水60%の組成からなるインクジェット記録用水性インク組成物(R−3)を調製し、性能試験の項目に従って評価を行った。
以上の評価結果を表1にまとめて示した。
【0077】
【表1】
【0078】
表1に示した結果から、アミノ樹脂(A−1)を分散樹脂に用いたインクは、黒(ブラック)、青(シアン)、赤(マゼンタ)、黄(イエロー)の各色インキにおいて、インキ粒径が小さく、保存安定性は良好である。また、該インキのインクジェット印字における吐出性は良好であり、加熱後のインクジェット印字物の画像濃度は高く、耐溶剤性も良好であることが明らかである。
これに対し比較例1,2に示すように水溶性アミノ樹脂を分散樹脂に用いたインキでは、分散剤を用いないと顔料粒径が小さくできず、さらに分散剤を用いると粒径は小さくなるが、印刷時の吐出性が不良であるため画像濃度が不足する。
また、比較例3に示すように分散樹脂がアクリル樹脂のインキでは耐溶剤性が不足していることが明らかである。
<比較例4>
【0079】
(黒色の水性分散体の調製)
水溶液(A−1)を用いて、以下の組成で仕込みを行った後、ペイントコンディショナーを用いて分散処理を行い、黒色の水性分散体を得た。
アミノ樹脂(A−1) 5部
分散剤(花王製 エマルゲン420) 0.5部
カーボンブラック(三菱化学社製#960) 10部
ジエチレングリコール 20部
水(アミノ樹脂水溶液中の水を含む) 35部
ジルコニアビーズ(1.25mm径) 400部
時間 4時間
【0080】
(黒色の水性インク組成物(R−4)の調製)
分散処理を行った黒色の水性分散体からビーズを除去した後の水性分散体に、中和アミノ樹脂水溶液、水溶性有機溶剤及び水を加えて、アミノ樹脂(A−1)10%、分散剤0.5%、カーボンブラック(三菱化学社製#960)10%、ジエチレングリコール10%、グリセリン5%、ポリオキシプロピレングリセリンエーテル(三洋化成社製サンニックスGP−600)を5%、水59.5%の組成からなるインクジェット記録用水性インク組成物(R−4)を調製し、実施例1のインク組成物(B−1)と共に、性能試験及び耐水性試験を行った。耐水性は、印字物を60℃の温水に一月放置して、画像濃度の低下を評価した。低下が5%以内であれば良好、それよりも大きければ不良であるとした。この結果、インキ性能はB−1と同等の結果であったが、耐水性が不良であった。このことから、アミノ樹脂A−1を用いた場合でも、分散剤を併用すると、印字物の耐水性が不良となることが明らかである。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、分散樹脂として、塩基で中和されたカルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基を有するアミノ樹脂を用いることで、分散剤を含有することなく顔料分散性に優れた、熱硬化型水性インク組成物が得られる。
また、このインク組成物からは、インクジェット法で印字し熱硬化することにより耐溶剤性に優れた印字物が得られる。
Claims (4)
- (a)着色剤、(b)(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)安息香酸と、ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、スクシンセミアルデヒド、及びヒドロキシベンズアルデヒドから成る群から選ばれる少なくとも一つのアルデヒド化合物とを縮合してなり、塩基で中和されたカルボキシル基を有するアミノ樹脂、及び(c)水を含有するインクジェット記録用インク。
- 請求項1に記載のインクジェット記録用インクを記録媒体に印字した後、熱硬化することを特徴とするインクジェット印字方法。
- 請求項2に記載のインクジェット印刷方法を用いた印字物。
- 請求項1に記載のインクジェット記録用インクの製造方法であって、前記(b)(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)安息香酸と、ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、スクシンセミアルデヒド、及びヒドロキシベンズアルデヒドから成る群から選ばれる少なくとも一つのアルデヒド化合物とを縮合してなり、塩基で中和されたカルボキシル基を有するアミノ樹脂を、前記(a)着色剤の分散樹脂として使用することを特徴とするインクジェット記録用インクの製造方法。
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