JP4880138B2 - スズメッキ浴、スズメッキ方法及び当該メッキ浴を用いてスズメッキを施した電子部品 - Google Patents

スズメッキ浴、スズメッキ方法及び当該メッキ浴を用いてスズメッキを施した電子部品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はpH領域を4〜6とする中性スズメッキ浴、スズメッキ方法、並びに当該メッキ浴を用いて電気メッキを施した電子部品に関し、メッキ外観とハンダ濡れ性に優れたスズ皮膜を形成できるものを提供する。
【0002】
【発明の背景】
スズメッキは、ハンダ付け性向上用皮膜、エッチングレジスト用皮膜などとして、弱電工業並びに電子工業部品などに広く利用されている。
従来のスズメッキでは、ホウフッ化物浴、硫酸浴、有機スルホン酸浴などが常用されてきたが、これらはpHが1.0以下の強酸性浴であるため、例えば、セラミックス、鉛ガラス、プラスチック等の絶縁部品が電気メッキ物と一体になって組み込まれた電子部品にこれら強酸性のスズメッキ浴を適用すると、絶縁部品に侵食、変形、変質などの悪影響を及ぼす問題がある。
この問題を克服するものとして、pHを中性に近付けたスズメッキ浴が開発されているが、スズイオンは酸性では安定であるのに対して、中性付近では白色沈澱が生じ易いため、中性スズ浴にはグルコン酸、クエン酸、酒石酸などの錯化剤を含有させて、このようなスズ酸塩の白色沈澱の発生を防止する必要がある。
【0003】
【従来の技術】
中性のスズメッキ浴としては、下記のものなどがある。
(1)特開平10−298793号公報(従来技術1)
スズ陽極からの金属の溶解効率を向上し、メッキ作業時のメッキ浴の金属濃度を実質的に一定に維持することを目的として、▲1▼グリシン、アラニン、アスパラギン酸などのアミノカルボン酸類、或はさらに、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸などを組み合わせた錯化剤と、▲2▼ベタイン型両性界面活性剤(同公報の化学式b)、ポリオキシエチレンアルキルアミン(同化学式a)などの界面活性剤とを含有し、pHを4〜8とした中性スズメッキ浴が開示されている。
また、この中性スズメッキ浴には、上記特定の界面活性剤とは別に、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ジアルキルジメチルアンモニウムなどのカチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などを配合しても良いことが開示されている(同公報の段落23)。
【0004】
(2)特開平9−272995号公報(従来技術2)
被メッキ物のセラミックス部分を侵食することがなく、且つ、本来メッキされるべき部分にのみスズメッキを施すことを目的として、▲1▼ポリオキシモノカルボン酸、ポリカルボン酸、アミノカルボン酸、ラクトン化合物などの錯化剤と、
▲2▼(CH2CH(OH)CH2−N+−(CH3)2・Cl-n(nは30〜50の整数)などの一般式で表される特定の4級化アミンポリマー、或は、(CH2CH(OH)CH2−A+・Cl-n(Aはイミダゾリン環、nは2〜10の整数)などの一般式で表される特定の4級化イミダゾール誘導体とを含有し、pHを7〜14とする非酸性スズメッキ浴が開示されている。
【0005】
(3)特開平10−245694号公報(従来技術3)
電子部品を侵食することがなく、絶縁体部への金属析出を起こさないことなどを目的として、▲1▼クエン酸、グルコン酸、ピロリン酸などの錯化剤と、▲2▼ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリエタノールアンモニウムブロマイド等の脂肪族アルキル型(同公報の化学式A)、或は、ラウリルジメチルベタイン、セチルジメチルベタイン等のカルボキシベタイン型(同化学式B)などの特定の4級アンモニウム塩とを含有し、pHを3〜10とするスズメッキ浴が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術1〜3の中性スズメッキ浴は、錯化剤の含有によってスズイオンの浴中での安定化や被メッキ物の侵食防止などを改善できるが、その反面、浴から得られた電着皮膜は、均質な銀白色乃至白色の皮膜外観を得るのが容易でないとともに、ハンダ濡れ性も満足できるレベルではなく、電子部品の実装などの信頼性は不充分である。
本発明は、中性スズメッキ浴から得られる電着皮膜について、皮膜外観とハンダ濡れ性を同時に向上することを技術的課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術1や従来技術3に開示された脂肪族アルキル型(前記化学式A)やカルボキシベタイン型(前記化学式Bや化学式b)の4級アンモニウム塩、或は、ポリオキシエチレンアルキルアミン(前記化学式a)などを出発点として、様々な種類の4級アンモニウム塩を含有する中性スズメッキ浴を鋭意研究した結果、4級アンモニウム塩をアルキルピリジニウム塩、ジアルキルモルホリニウム塩、ピリジニウムスルホベタイン、アラルキルアンモニウム塩などに特定化し、pH領域を4〜6に調整すると、スズメッキ浴から得られる電着皮膜の外観とハンダ濡れ性を共に顕著に改善できることを見い出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明1は、(A)可溶性第一スズ塩、
(B)オキシカルボン酸、ポリカルボン酸、モノカルボン酸、或はこれらの塩から選ばれた錯化剤の少なくとも一種、
(C)下記の(a)〜(h)の化合物よりなる群から選ばれた4級アンモニウム塩の少なくとも一種を含有し、
(a)一般式(a)で表されるアルキルピリジニウム塩
【化9】
Figure 0004880138
(上式(a)中、R1はC1〜C24アルキルであり、R2はC1〜C24アルキル、アリール、アラルキルである;XはC1〜C5アルキルスルホネート、ハロゲン、アセテート、サルフェート、パークロレート、ハイドロジエンサルフェート、ヒドロキサイド、芳香族スルホネート、ホスフェート、テトラフルオロボレートである。)
(b)一般式(b)で表される1,2−ジアルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩
【化10】
Figure 0004880138
(上式(b)中、R1はC1〜C24アルキル、アリール、アラルキルであり、R2はC1〜C24アルキルである;XはC1〜C5アルキルスルホネート、ハロゲン、アセテート、サルフェート、パークロレート、ハイドロジエンサルフェート、ヒドロキサイド、芳香族スルホネート、ホスフェート、テトラフルオロボレートである。)
(c)一般式(c)で表されるN,N−ジアルキルモルホリニウム塩
【化11】
Figure 0004880138
(上式(c)中、R1、R2はC1〜C24アルキルである;XはC1〜C5アルキルスルホネート、ハロゲン、アセテート、サルフェート、パークロレート、ハイドロジエンサルフェート、ヒドロキサイド、芳香族スルホネート、ホスフェート、テトラフルオロボレートである。)
(d)一般式(d)で表されるN,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン
【化12】
Figure 0004880138
(上式(d)中、R1、R2、R3はC1〜C24アルキルである;nは1〜6の整数である。)
(e)一般式(e)で表されるアリールアルキルアンモニウム塩又はアラルキルアンモニウム塩
【化13】
Figure 0004880138
(上式(e)中、R1〜R4のうちの少なくとも一つが置換或は無置換のアリール又はアラルキルであり、R1〜R4の少なくとも一つがC1〜C24アルキルである;XはC1〜C5アルキルスルホネート、ハロゲン、アセテート、サルフェート、パークロレート、ハイドロジエンサルフェート、ヒドロキサイド、芳香族スルホネート、ホスフェート、テトラフルオロボレートである。)
(f)一般式(f)で表されるピリジニウムスルホベタイン
【化14】
Figure 0004880138
(上式(f)中、R1はC1〜C24アルキル、アリール、アラルキルである;nは1〜6の整数である。)
(g)一般式(g)で表されるアルキルイソキノリニウム塩
【化15】
Figure 0004880138
(上式(g)中、R1はC1〜C24アルキルである;XはC1〜C5アルキルスルホネート、ハロゲン、アセテート、サルフェート、パークロレート、ハイドロジエンサルフェート、ヒドロキサイド、芳香族スルホネート、ホスフェート、テトラフルオロボレートである。)
(h)一般式(h)で表されるポリオキシエチレンアルキルアンモニウム塩
【化16】
Figure 0004880138
(上式(h)中、R1、R2はC1〜C24アルキルである;AOはオキシエチレン、オキシプロピレンであり、オキシエチレンとオキシプロピレンの一方のみで連鎖を構成しても良いし、両者が混在しても良く、2個のAO連鎖は互いに同じでも異なっても良い;m、nは各々1〜18の整数である;XはC1〜C5アルキルスルホネート、ハロゲン、アセテート、サルフェート、パークロレート、ハイドロジエンサルフェート、ヒドロキサイド、芳香族スルホネート、ホスフェート、テトラフルオロボレートである。)
ペーハーが4〜6であることを特徴とするスズメッキ浴である。
【0009】
本発明2は、上記本発明1において、オキシカルボン酸、ポリカルボン酸又はモノカルボン酸が、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、グルコヘプトラクトン、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アスコルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、ジグリコール酸であることを特徴とするスズメッキ浴である。
【0010】
本発明3は、上記本発明1又は2において、4級アンモニウム塩(C)が、C1〜C5アルキルスルホネート塩であることを特徴とするスズメッキ浴である。
【0011】
本発明4、上記本発明1〜3のいずれかのスズメッキ浴に被メッキ物を浸漬して、被メッキ物に電気メッキを施すことを特徴とするスズメッキ方法である。
【0012】
本発明5は、上記本発明1〜3のいずれかのメッキ浴を用いてスズの電着皮膜を形成した、プリント基板、半導体集積回路、抵抗、可変抵抗、コンデンサ、フィルタ、インダクタ、サーミスタ、水晶振動子、スイッチ、リード線より選ばれた電子部品である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、第一に、可溶性第一スズ塩と錯化剤と特定の4級アンモニウム塩とを含有したpH2〜9の中性スズメッキ浴であり、第二に、当該メッキ浴に被メッキ物を浸漬し、被メッキ物に電気メッキを施すスズメッキ方法であり、第三に、当該メッキ浴を用いてスズの電着皮膜を形成したプリント基板、半導体集積回路などの電子部品である。
【0014】
上記可溶性第一スズ塩は基本的に水中でSn2+を発生させる有機又は無機のスズ塩であり、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−プロパノールスルホン酸、スルホコハク酸、p−フェノールスルホン酸などの有機スルホン酸の第一スズ塩を初め、ホウフッ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第一スズ、塩化第一スズなどが挙げられる。
上記可溶性第一スズ塩は単用又は併用でき、そのメッキ浴に対する含有量は金属換算で0.5〜300g/L、好ましくは10〜120g/Lである。
【0015】
本発明のスズメッキ浴はpH4〜6の中性浴であるため、上記錯化剤は、このpH領域でSn2+を安定化させ、もって白色沈殿が生じたり、浴が分解するのを防止する目的で使用される。
当該錯化剤は、オキシカルボン酸、ポリカルボン酸、モノカルボン酸などであり、具体的には、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、グルコヘプトラクトン、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アスコルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、ジグリコール酸、或はこれらの塩などが挙げられる。好ましくは、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、グルコヘプトラクトン、或はこれらの塩などである。
また、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジオキシビス(エチルアミン)−N,N,N′,N′−テトラ酢酸、グリシン類、ニトリロトリメチルホスホン酸、或はこれらの塩なども錯化剤として有効である。
上記錯化剤は単用又は併用でき、そのメッキ浴に対する含有量は0.05〜5mol/L、好ましくは0.1〜2mol/Lである。
【0016】
本発明のスズメッキ浴は基本的に有機酸浴、無機酸浴、或はそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などをベースとした浴であり、上記有機酸としては有機スルホン酸、脂肪族カルボン酸などが挙げられ、無機酸としては、硫酸、塩酸、ホウフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、スルファミン酸などが挙げられる。この中では、スズの溶解性、排水処理の容易性などの見地から有機スルホン酸又はその塩が好ましい。有機スルホン塩としては、有機スルホン酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、ペンタエチレンテトラミン塩などが使用できる。
但し、本発明は中性メッキ浴であるため、上記有機酸又は無機酸などを浴ベースとする場合、後述するように、pH調整剤として各種の塩基を浴に添加して、pHを2〜9の範囲に適正に調整することはいうまでもない。
上記酸又はその塩は単用又は併用でき、その含有量は0.1〜10mol/L、好ましくは0.5〜5mol/Lである。
【0017】
上記有機スルホン酸は、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸、スルホコハク酸、芳香族スルホン酸などであり、アルカンスルホン酸としては、化学式Cn2n+1SO3H(例えば、n=1〜11)で示されるものが使用でき、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1―プロパンスルホン酸、2―プロパンスルホン酸、1―ブタンスルホン酸、2―ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸などが挙げられる。
【0018】
上記アルカノールスルホン酸としては、化学式
m2m+1-CH(OH)-Cp2p-SO3H(例えば、m=0〜6、p=1〜5)
で示されるものが使用でき、具体的には、2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸(2−プロパノールスルホン酸)、2―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシペンタン―1―スルホン酸などの外、1―ヒドロキシプロパン―2―スルホン酸、3―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、4―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシヘキサン―1―スルホン酸などが挙げられる。
【0019】
上記芳香族スルホン酸は、基本的にベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸などであり、具体的には、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、スルホサリチル酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、ジフェニルアミン−4−スルホン酸などが挙げられる。
上記有機スルホン酸では、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−プロパノールスルホン酸、イセチオン酸などが好ましい。
【0020】
本発明は、電着皮膜の外観とハンダ濡れ性の向上を目的として、中性スズ浴に上記(a)〜(h)の特定の4級アンモニウム塩を含有させることを特徴とする。
これらの4級アンモニウム塩のうち、アルキルピリジニウム塩(a)、1,2−ジアルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩(b)、N,N−ジアルキルモルホリニウム塩(c)、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン(d)、ピリジニウムスルホベタイン(f)、アルキルイソキノリニウム塩(g)、或は、ポリオキシエチレンアルキルアンモニウム塩(h)のうち、N原子に結合する置換基はC1〜C24アルキル、アリール、或はアラルキルであり、それ以外の芳香環に結合する置換基はC1〜C24アルキルである。置換基がアルキル基の場合、結合する位置に拘わらず、C1〜C18アルキルが好ましい。
また、(e)のアリールアルキルアンモニウム塩又はアラルキルアンモニウム塩では、R1〜R4のうちの少なくとも一つが置換或は無置換のアリール又はアラルキルであり、且つ、少なくとも一つがC1〜C18アルキルである。芳香環に結合する置換基としては、C1〜C3アルキル、ハロゲン、CF3、C1〜C6アルコキシなどである。
上記アルキルピリジニウム塩(a)としては、ラウリルピリジニウムクロライド、オクチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムメタンスルホネート、オレイルピリジニウムサルフェートなどが好ましい。
上記1,2−ジアルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩(b)としては、2−ノニル−1−メチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムクロライド、2−ラウリル−1−メチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムクロライド、2−オレイル−1−エチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムメタンスルホネートなどが好ましい。
上記N,N−ジアルキルモルホリニウム塩(c)としては、N,N−ジメチルモルホリニウムクロライド、N,N−ジエチルモルホリニウムアセテートなどが好ましい。
上記N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン(d)としては、N,N−ジメチル−N−ステアリル−N−(3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、N,N−ジメチル−N−ミリスチル−N−(3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、N,N−ジブチル−N−ラウリル−N−(4−スルホブチル)アンモニウムベタインなどが好ましい。
上記(e)のアリールアルキルアンモニウム塩としては、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリ−n−ブチルアンモニウム−p−トルエンスルホネートなどが好ましい。
同じく上記(e)のアラルキルアンモニウム塩としては、R1〜R4の一つが置換又は無置換のベンジル基であり、残り3つがC1〜C18アルキルであるトリアルキルベンジルアンモニウム塩が好ましく、具体的には、ベンジルジメチルラウリルアンモニウムクロライド、ベンジルセチルジメチルアンモニウムメチルスルホネート、ベンジルジメチルデシルアンモニウム塩、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム塩、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム塩、ベンジルジエチルオクチルアンモニウム塩、(トリフルオロメチル)フェニルメチルジメチルドデシルアンモニウム塩、ベンジルエチルメチルオクタデシルアンモニウム塩、モノクロロフェニルメチルジメチルヘキサデシルアンモニウム塩、ベンジルジエチルデシルアンモニウム塩などが挙げられる。
上記ピリジニウムスルホベタイン(f)としては、1−(3−スルホプロピル)−ピリジニウムベタイン、4−ベンジル−1−(3−スルホプロピル)−ピリジニウムベタイン、2−メチル−1−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−ピリジニウムベタインなどが好ましい。
上記アルキルイソキノリニウム塩(g)としては、ラウリルイソキノリニウムクロライド、メチルイソキノリニウムクロライド、ブチルイソキノリニウムパークロレイトなどが好ましい。
上記ポリオキシエチレンアルキルアンモニウム塩(h)としては、オレイルメチルジ(ポリエトキシレート)アンモニウムクロライド、ラウリルメチルジ(ポリエトキシレート)アンモニウムクロライド、ジラウリルジ(ポリエトキシレート)アンモニウムメタンスルホネートなどが好ましい。
【0021】
また、上記(a)〜(h)の各4級アンモニウム塩のアニオン部分Xは、C1〜C5アルキルスルホネート、ハロゲン、アセテート、サルフェート、パークロレート、ハイドロジエンサルフェート、ヒドロキサイド、芳香族スルホネート、ホスフェート、テトラフルオロボレートなどであるが、本発明2に示すように、特に設備の金属腐食を有効に抑制できる見地から、C1〜C5アルキルスルホネートが好ましい。
【0022】
一方、本発明の中性スズメッキ浴には上記成分以外に、目的に応じて公知の界面活性剤、光沢剤、半光沢剤、pH調整剤、導電性塩、防腐剤、酸化防止剤、消泡剤などの各種添加剤を混合できることはいうまでもない。
上記界面活性剤には通常のノニオン系、アニオン系、両性、或はカチオン系などの各種界面活性剤が挙げられ、メッキ皮膜の外観、緻密性、平滑性、密着性、均一電着性などの改善に一層寄与する。
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、モノ〜トリアルキルアミン塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、トリメチルアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシルリン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。
【0023】
上記光沢剤、或は半光沢剤としては、ベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、2,4,6−トリクロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、フルフラール、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、3−アセナフトアルデヒド、ベンジリデンアセトン、ピリジデンアセトン、フルフリリデンアセトン、シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、サリチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、グルタルアルデヒド、パラアルデヒド、バニリンなどの各種アルデヒド、トリアジン、イミダゾール、インドール、キノリン、2−ビニルピリジン、アニリン、フェナントロリン、ネオクプロイン、ピコリン酸、チオ尿素類、N―(3―ヒドロキシブチリデン)―p―スルファニル酸、N―ブチリデンスルファニル酸、N―シンナモイリデンスルファニル酸、2,4―ジアミノ―6―(2′―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―エチル―4―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―ウンデシルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、サリチル酸フェニル、或は、ベンゾチアゾール、2―メチルベンゾチアゾール、2―アミノベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メトキシベンゾチアゾール、2―メチル―5―クロロベンゾチアゾール、2―ヒドロキシベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メチルベンゾチアゾール、2―クロロベンゾチアゾール、2,5―ジメチルベンゾチアゾール、5―ヒドロキシ―2―メチルベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール類などが挙げられる。
【0024】
本発明のスズメッキ浴はpHを4〜6程度に調整する必要があるが、上記pH調整剤はこのために必要に応じて添加される。具体的には、塩酸、硫酸等の各種の酸、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の各種の塩基などが挙げられるが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸類、ホウ酸類、リン酸類、シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸類、乳酸、酒石酸などのオキシカルボン酸類、モノ、ジ又はトリアルキルアミン、モノ、ジ又はトリアルキロールアミンなどのアミン類なども有効である。前述したように、本発明のメッキ浴のベースに酸を使用した場合には、上記塩基をpH調整剤として使用することになる。
上記導電性塩としては、硫酸、塩酸、リン酸、スルファミン酸、スルホン酸などのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩などが挙げられるが、上記pH調整剤で共用できる場合もある。
上記酸化防止剤は、浴中のSn2+の酸化防止を目的とし含有され、アスコルビン酸又はその塩、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、フロログルシン、クレゾールスルホン酸又はその塩、フェノールスルホン酸又はその塩、カテコールスルホン酸又はその塩、ハイドロキノンスルホン酸又はその塩、ヒドラジンなどが挙げられる。但し、中性浴でも有効に作用する見地から、アスコルビン酸又はその塩などが好ましい。
上記防腐剤としては、ホウ酸、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、塩化ベンザルコニウム、フェノール、フェノールポリエトキシレート、チモール、レゾルシン、イソプロピルアミン、グアヤコールなどが挙げられる。
上記消泡剤としては、プルロニック界面活性剤、高級脂肪族アルコール、アセチレンアルコール及びそれらのポリアルコキシレートなどが挙げられる。
【0025】
本発明の中性スズメッキ浴での上記各種添加剤の含有濃度は、バレルメッキ、ラックメッキ、高速連続メッキ、ラックレスメッキなどに対応して任意に調整・選択できる。
本発明の中性スズ浴を用いた電気メッキの条件としては、浴温は0℃以上、好ましくは10〜50℃程度であり、陰極電流密度は0.001〜30A/dm2、好ましくは0.01〜10A/dm2である。
【0026】
本発明3は、上記本発明1又は2の中性スズメッキ浴に被メッキ物を浸漬して、被メッキ物に電気メッキを施すスズメッキ方法である。
また、本発明4は、上記本発明1又は2の中性メッキ浴を用いて、スズの電着皮膜を形成した物品であり、具体的には、プリント回路板、半導体集積回路(TABのフィルムキャリア、BGA基板などを含む)、抵抗、可変抵抗、コンデンサ、フィルタ、インダクタ、サーミスタ、水晶振動子、スイッチ、コネクタ、リード線、フープ材等の電子部品などであって、上記本発明3の被メッキ物にはこれらの電子部品が好適なのである。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、特定の4級アンモニウム塩を錯化剤と共に含有する中性スズメッキ浴なので、浴から得られる電着皮膜の外観とハンダ濡れ性を共に良好に改善でき、中でも、アルキルピリジニウム塩、ピリジニウムスルホベタイン、アリール又はアラルキルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩などの4級アンモニウム塩は、より顕著な有効性を示す。
ちなみに、前記従来技術1又は3で開示された脂肪族アルキル型の4級アンモニウム塩、トリアルキルカルボキシベタイン、或はポリオキシエチレンアルキルアミンは化学構造的に本発明の4級アンモニウム塩に比較的類似しているが、後述の試験例からも判るように、本発明の特定の4級アンモニウム塩は、これらの類似化合物を中性メッキ浴に含有させた場合に対して、浴から得られるスズ皮膜の外観とハンダ濡れ性を改善できる点で、顕著な優位性を具備している。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の中性スズメッキ浴の実施例、実施例の各中性メッキ浴から得られたスズの電着皮膜の外観及びハンダ濡れ性の試験例を順次説明する。
尚、本発明は下記の実施例及び試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0029】
下記の実施例1〜10のうち、実施例は4級アンモニウム塩(a)の使用例、実施例は4級アンモニウム塩(b)の使用例、実施例は4級アンモニウム塩(c)の使用例、実施例と実施例は4級アンモニウム塩(d)の使用例、実施例8と9と10は4級アンモニウム塩(e)の使用例、実施例は4級アンモニウム塩(f)の使用例、実施例は4級アンモニウム塩(g)の使用例、実施例10は4級アンモニウム塩(h)の使用例である。実施例10は本発明の4級アンモニウム塩の併用例であり、その他の実施例は単用例である。
また、比較例1〜4はpH4〜6の中性スズメッキ浴であり、これらのうち、比較例1は本発明の4級アンモニウム塩を含有しないブランク例、比較例2は本発明の4級アンモニウム塩に代えて従来技術3の化学式Aに記載の脂肪族アルキル型の4級アンモニウム塩を含有させた例、比較例3は同様に従来技術1の化学式b又は従来技術3の化学式Bに記載のトリアルキルカルボキシベタインを含有させた例、比較例4は同様に従来技術1の化学式aに記載のポリオキシエチレンアルキルアミンを含有させた例である。
尚、参考例1〜6はpH4〜6から外れる領域で、本発明の4級アンモニウム塩を使用した例である。
【0030】
Figure 0004880138
【0031】
Figure 0004880138
【0032】
参考例1
下記の組成で中性スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 60g/L
メタンスルホン酸 80g/L
クエン酸ナトリウム 250g/L
シュウ酸アンモニウム 10g/L
2−ノニル−1−メチル−1−ヒドロキシエチル
−イミダゾリニウムクロライド 3g/L
水酸化カリウムでpH2.0に調整
【0033】
実施例3
下記の組成で中性スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 45g/L
硫酸 80g/L
グルコノラクトン 250g/L
酢酸アンモニウム 5g/L
N,N−ジメチル−N−ステアリル−N
−(3−スルホプロピル)−アンモニウムベタイン 6g/L
水酸化ナトリウムでpH5.4に調整
【0034】
実施例4
下記の組成で中性スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 25g/L
硫酸 50g/L
グルコヘプトン酸ナトリウム 180g/L
グリコール酸 20g/L
1−(3−スルホプロピル)−ピリジニウムベタイン 4g/L
水酸化ナトリウムでpH4.4に調整
【0035】
参考例2
下記の組成で中性スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 10g/L
2−プロパノールスルホン酸 40g/L
グルコン酸ナトリウム 100g/L
クエン酸ナトリウム 100g/L
オクチルピリジニウムクロライド 0.1g/L
水酸化ナトリウムでpH6.5に調整
【0036】
実施例5
下記の組成で中性スズメッキ浴を建浴した。
2−プロパノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 15g/L
メタンスルホン酸 40g/L
グルコン酸ナトリウム 190g/L
シュウ酸 10g/L
N,N−ジメチルモルホリニウムクロライド 10g/L
ナフトールポリエトキシレート(EO20モル) 1g/L
アンモニア水でpH4.0に調整
【0037】
参考例3
下記の組成で中性スズメッキ浴を建浴した。
イセチオン酸第一スズ(Sn2+として) 25g/L
イセチオン酸 70g/L
グルコン酸カリウム 180g/L
酢酸カリウム 10g/L
1−ヒドロキシー8−ナフタレンスルホン酸カリウム 0.4g/L
オレイルメチルジ(ポリエトキシレート)
−アンモニウムクロライド(EO合計2モル) 0.01g/L
水酸化カリウムでpH7.5に調整
【0038】
実施例6
下記の組成で中性スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 35g/L
メタンスルホン酸 80g/L
グルコン酸アンモニウム 250g/L
N,N−ジメチル−N−ミリスチル−N
−(3−スルホプロピル)−アンモニウムベタイン 8g/L
アンモニア水でpH4.8に調整
【0039】
実施例7
下記の組成で中性スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 15g/L
硫酸 60g/L
グルコン酸ナトリウム 180g/L
2−ペンチル−1−ブチル−1−ヒドロキシエチル
−イミダゾリニウムクロライド 1.5g/L
水酸化ナトリウムでpH5.0に調整
【0040】
実施例8
下記の組成で中性スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 15g/L
メタンスルホン酸 40g/L
グルコン酸ナトリウム 200g/L
ベンジルジメチルラウリルアンモニウムクロライド 1.0g/L
アンモニア水でpH4.5に調整
【0041】
参考例4
下記の組成で中性スズメッキ浴を建浴した。
2−プロパノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 25g/L
メタンスルホン酸 60g/L
クエン酸アンモニウム 220g/L
ギ酸アンモニウム 6g/L
4−ベンジル−1−(3−スルホプロピル)
−ピリジニウムベタイン 0.03g/L
ポリオキシプロピレングリコール
−モノブチルエーテル(PO25モル) 0.01g/L
アンモニア水でpH8.0に調整
【0042】
参考例5
下記の組成で中性スズメッキ浴を建浴した。
2−プロパノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 25g/L
2−プロパノールスルホン酸 60g/L
グルコン酸アンモニウム 220g/L
マロン酸 10g/L
酢酸ナトリウム 20g/L
メチルイソキノリニウムクロライド 0.01g/L
アンモニア水でpH7.5に調整
【0043】
参考例6
下記の組成で中性スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 25g/L
メタンスルホン酸 40g/L
クエン酸 250g/L
酒石酸ナトリウムカリウム 60g/L
N,N−ジエチルモルホリニウムアセテート 5g/L
水酸化カリウムでpH9.0に調整
【0044】
実施例9
下記の組成で中性スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 15g/L
メタンスルホン酸 40g/L
グルコン酸ナトリウム 200g/L
ベンジルセチルジメチルアンモニウム
−メチルスルホネート 0.5g/L
水酸化カリウムでpH4.5に調整
【0045】
実施例10
下記の組成で中性スズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 1g/L
2−プロパノール酸 30g/L
グルコン酸アンモニウム 120g/L
コハク酸 10g/L
ラウリルメチルジ(ポリエトキシレート)
−アンモニウムクロライド(EO合計15モル) 1g/L
フェニルトリメチルアンモニウムクロライド 1g/L
アンモニア水でpH4.0に調整
【0046】
Figure 0004880138
【0047】
Figure 0004880138
【0048】
Figure 0004880138
【0049】
Figure 0004880138
【0050】
《スズメッキ皮膜の外観評価試験例》
そこで、25mm×25mmの銅板を試験板として、上記実施例1〜10、比較例1〜4及び参考例1〜6の各中性スズメッキ浴にこの試験板を浸漬し、下記の条件により電気メッキを行って、得られたスズ皮膜の外観を主に色調に基づいて目視評価した。
電気メッキ条件は次の通りである。
(1)浴温25℃
(2)陰極電流密度とメッキ時間
(イ)0.1A/dm2で120分
(ロ)0.5A/dm2で60分
(ハ)1.0A/dm2で12分
また、上記皮膜外観の評価基準は次の通りである。
◎:色調は均質な銀白色を呈した。
○:色調は均質な白色を呈した。
△:色調は灰色であった。
×:全体が黒色を帯びていたか、或は灰色の色調に黒ムラが散在していた。
図1〜図2の各右から2欄目はその試験結果を示す。
【0051】
《スズメッキ皮膜のハンダ濡れ性試験例》
前記実施例1〜10、比較例1〜4及び参考例1〜6の各中性スズメッキ浴を用いてスズメッキ皮膜を形成した試験板を、235℃のスズ−鉛共晶ハンダバスに深さ10mm、3秒の条件で浸漬し、メッキ皮膜上の濡れ面積を目視観察した。
ハンダ濡れ性の評価基準は次の通りである。
◎:95%以上の濡れを示した。
○:90〜95%の濡れを示した。
△:60〜90%の濡れを示した。
×:濡れは60%未満であった。
図1〜図2の各最右欄はその試験結果を示す。
【0052】
《皮膜外観とハンダ濡れ性の総合評価》
図1〜図2に示すように、本発明の4級アンモニウム塩を含まない比較例1では、皮膜外観及びハンダ濡れ性の評価は×であるのに対して、実施例1〜10から得られた各スズ皮膜では、3つのメッキ条件を問わず、皮膜外観及びハンダ濡れ性は共に○以上の評価に大きく改善していた。特に、実施例1〜2、実施例、実施例7〜9では、電流密度の大小を問わず全て◎の評価であったことから、本発明の4級アンモニウム塩のうちでも、(a)、(e)、(f)或は(g)などの4級塩は、中性スズ浴から得られる皮膜の外観とハンダ濡れ性を向上する点で有効性がより高いことが判明した。
一方、冒述の従来技術1又は3の脂肪族アルキル型の4級アンモニウム塩、トリアルキルカルボキシベタイン、或はポリオキシエチレンアルキルアミンは化学構造的に本発明の4級アンモニウム塩に比較的類似しているが、これらの類似の化合物を含有させた比較例2〜4では、皮膜外観とハンダ濡れ性の評価は△以下であることから、中性メッキ浴から得られたスズ皮膜の外観とハンダ濡れ性を改善する点で、本発明の特定の4級アンモニウム塩の顕著な優位性が明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1〜7及び参考例1〜3の各中性スズメッキ浴を用いて電気メッキを行った際の電流密度とメッキ時間、並びにメッキ浴から得られたスズの皮膜外観とハンダ濡れ性の試験結果を示す図表である。
【図2】 実施例8〜10、比較例1〜4及び参考例4〜6の各中性スズメッキ浴に関する数値と結果を示す図1相当の図表である。

Claims (5)

  1. (A)可溶性第一スズ塩
    (B)オキシカルボン酸、ポリカルボン酸、モノカルボン酸、或はこれらの塩から選ばれた錯化剤の少なくとも一種、
    (C)下記の(a)〜(h)の化合物よりなる群から選ばれた4級アンモニウム塩の少なくとも一種を含有し、
    (a)一般式(a)で表されるアルキルピリジニウム塩
    Figure 0004880138
    (上式(a)中、R1はC1〜C24アルキルであり、R2はC1〜C24アルキル、アリール、アラルキルである;XはC1〜C5アルキルスルホネート、ハロゲン、アセテート、サルフェート、パークロレート、ハイドロジエンサルフェート、ヒドロキサイド、芳香族スルホネート、ホスフェート、テトラフルオロボレートである。)
    (b)一般式(b)で表される1,2−ジアルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩
    Figure 0004880138
    (上式(b)中、R1はC1〜C24アルキル、アリール、アラルキルであり、R2はC1〜C24アルキルである;XはC1〜C5アルキルスルホネート、ハロゲン、アセテート、サルフェート、パークロレート、ハイドロジエンサルフェート、ヒドロキサイド、芳香族スルホネート、ホスフェート、テトラフルオロボレートである。)
    (c)一般式(c)で表されるN,N−ジアルキルモルホリニウム塩
    Figure 0004880138
    (上式(c)中、R1、R2はC1〜C24アルキルである;XはC1〜C5アルキルスルホネート、ハロゲン、アセテート、サルフェート、パークロレート、ハイドロジエンサルフェート、ヒドロキサイド、芳香族スルホネート、ホスフェート、テトラフルオロボレートである。)
    (d)一般式(d)で表されるN,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン
    Figure 0004880138
    (上式(d)中、R1、R2、R3はC1〜C24アルキルである;nは1〜6の整数である。)
    (e)一般式(e)で表されるアリールアルキルアンモニウム塩又はアラルキルアンモニウム塩
    Figure 0004880138
    (上式(e)中、R1〜R4のうちの少なくとも一つが置換或は無置換のアリール又はアラルキルであり、R1〜R4の少なくとも一つがC1〜C24アルキルである;XはC1〜C5アルキルスルホネート、ハロゲン、アセテート、サルフェート、パークロレート、ハイドロジエンサルフェート、ヒドロキサイド、芳香族スルホネート、ホスフェート、テトラフルオロボレートである。)
    (f)一般式(f)で表されるピリジニウムスルホベタイン
    Figure 0004880138
    (上式(f)中、R1はC1〜C24アルキル、アリール、アラルキルである;nは1〜6の整数である。)
    (g)一般式(g)で表されるアルキルイソキノリニウム塩
    Figure 0004880138
    (上式(g)中、R1はC1〜C24アルキルである;XはC1〜C5アルキルスルホネート、ハロゲン、アセテート、サルフェート、パークロレート、ハイドロジエンサルフェート、ヒドロキサイド、芳香族スルホネート、ホスフェート、テトラフルオロボレートである。)
    (h)一般式(h)で表されるポリオキシエチレンアルキルアンモニウム塩
    Figure 0004880138
    (上式(h)中、R1、R2はC1〜C24アルキルである;AOはオキシエチレン、オキシプロピレンであり、オキシエチレンとオキシプロピレンの一方のみで連鎖を構成しても良いし、両者が混在しても良く、2個のAO連鎖は互いに同じでも異なっても良い;m、nは各々1〜18の整数である;XはC1〜C5アルキルスルホネート、ハロゲン、アセテート、サルフェート、パークロレート、ハイドロジエンサルフェート、ヒドロキサイド、芳香族スルホネート、ホスフェート、テトラフルオロボレートである。)
    ペーハーが4〜6であることを特徴とするスズメッキ浴。
  2. オキシカルボン酸、ポリカルボン酸又はモノカルボン酸が、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、グルコヘプトラクトン、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アスコルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、ジグリコール酸であることを特徴とする請求項1に記載のスズメッキ浴。
  3. 4級アンモニウム塩(C)が、C1〜C5アルキルスルホネート塩であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスズメッキ浴。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のスズメッキ浴に被メッキ物を浸漬して、被メッキ物に電気メッキを施すことを特徴とするスズメッキ方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のメッキ浴を用いてスズの電着皮膜を形成した、プリント基板、半導体集積回路、抵抗、可変抵抗、コンデンサ、フィルタ、インダクタ、サーミスタ、水晶振動子、スイッチ、リード線より選ばれた電子部品。
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