JP4877768B2 - 積層体及びそれを用いた包装用袋 - Google Patents

積層体及びそれを用いた包装用袋 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエチレン樹脂組成物を用いた積層体及びそれを用いた包装用袋に関する。詳しくは、ダイロール方式等の自動充填機での液体や粘体用の包装材料のシール層として用いたときに、低温から高温まで幅広い温度範囲で高速液体充填を可能とする積層体及びそれを用いた包装用袋に関する。
従来より、液体及び粘体、並びに不溶物質として繊維、粉体等の固形状のものを含んだ液体、粘体等の包装には、基材上に必要に応じて種々の中間層を積層させ、さらにその上にシーラント層を積層させて得られる積層フィルムが使用されている。このような積層フィルムには、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、紙、アルミニウム箔等からなる表面基材層上に、シーラント層を設け、このシーラント層のヒートシール性を利用する包装用フィルムが知られている。
このシーラント層に使用される樹脂として、例えば、特定の物性を有するエチレン・C4-10α−オレフィンのランダム共重合体と高圧法低密度ポリエチレン(以下、HPLDと略称することがある)とのブレンド組成物が提案されている(特許文献1参照)。上記ランダム共重合体として、具体的には、Mg−Ti触媒で製造されたエチレン・4−メチル−1−ペンテンランダム共重合体が提案されているが、横シール部の発泡開始温度が低い欠点がある。
また、特定の温度上昇溶離分別(以下、TREFと略称することがある)特性を示すエチレン・C3-18α−オレフィン共重合体とHPLDとのブレンド組成物が提案されている(特許文献2参照)。上記共重合体として具体的には、メタロセン触媒で製造された線状低密度ポリエチレン(エチレン・1−ヘキセン共重合体など)が提案されているが、内容物の充填時にシール部に該内容物が夾雑物としてシールされるため、ヒートシーラー部から受ける圧力と熱によって、シール部分で基材と中間層の剥離に基づく樹脂だまり(シーラント層および中間層部分がコブ状に盛り上った状態)生成によるシール不良が発生し、一方シーラーの圧力と温度を下げると、シーラント層の低温ヒートシール性およびホットタック性不足によるシール不良が発生し、シール強度の低下、耐圧強度の低下、異物介在による液漏れ等が発生し易く、その結果充填速度を高くすることができなかった。
また、特定の物性を有するエチレン・C4-10α−オレフィンのランダム共重合体とHPLDとのブレンド組成物が提案されている(特許文献3参照)。上記ランダム共重合体として具体的には、メタロセン触媒で製造された線状低密度ポリエチレン(エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体など)が提案されているが、上記参考文献2の場合と同様に、低温ヒートシール性およびホットタック性不足によるシール不良が発生しやすい欠点がある。ヒートシール性が不良である原因として、HPLDと混合されるべき線状低密度ポリエチレンが一種のみ使用されており、溶媒に対する溶解特性の異なる成分の分布が狭いことが挙げられる。
かかる問題点に鑑み、基材層に内層・中間層・外層からなる特定の3層構造フィルムを共押出した貼合用共押出多層フィルムが提案されている(特許文献4参照)。しかしこの積層フィルムは耐衝撃性に優れるとの利点を持つが、液体充填機で充填できないといった問題がある。参考文献4には内層にチーグラー系触媒を用いて製造された線状低密度ポリエチレンを配合する処方が示されているが、該線状低密度ポリエチレン中に高結晶性成分が相当量存在していることが、問題発生の原因と考えられる。
また、基材層に、線状低密度ポリエチレンとHPLDのブレンドからなる特定物性の中間層を設け、その外側に通常のシーラント層を設けた3層構造フィルムが提案されている(特許文献5参照)。しかしながら、この方法による積層フィルムは製袋品で高い破袋強度を有する利点を持つが、液体充填包装機での充填適性に劣るといった問題がある。前記同様に、溶媒に対する溶解特性の異なる成分の分布が狭いことが問題発生の原因と考えられる。
また、特定の熱的物性を有するエチレン・C3-10α−オレフィンのランダム共重合体を中間層及びシーラント層とし、かつ厚みを特定した3層構造の包装用積層体が提案されている(特許文献6参照)。このシーラント層として、該ランダム共重合体にHPLDを0〜70重量%配合してよい旨記載されているが、具体的な事例は示されていない。この積層フィルムは一定の条件下での高速液体充填適性が得られるという利点を持つが、幅広いシール温度での高速液体充填適性は得られないといった問題がある。前記同様に、溶媒に対する溶解特性の異なる成分の分布が狭いことが問題発生の原因と考えられる。
したがって、種々の内容物、基材の違いなどに対応させるために、充填装置の設定条件を調整する必要があるが、従来のものでは個々の包材での許容範囲が狭く、都度充填条件を探索する必要がある等の煩雑さが生じる問題は解決できていない。
特公平 2− 4425号公報 特開平 7− 26079号公報 特開平 8−269270号公報 特開平10−323948号公報 特開平11− 10809号公報 特開平11−254614号公報
本発明の目的は、前述の問題点に鑑み、液体、粘体の包装材料の中間層とシール層に特定のポリエチレン系樹脂組成物を組み合わせて用いた場合に、シール強度に優れ、かつ、低温から高温まで幅広い温度範囲で高速充填を可能とするポリエチレン系の樹脂組成物の組み合わせを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の組成及び物性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレンからなる樹脂組成物は押出ラミネート加工等により液体、粘体包装材料の中間層、及びシール層として用いた時に、上記の課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明の要旨とするところは、基材上に、樹脂組成物Aからなる層及び樹脂組成物Bからなる層がこの順序に積層されてなり、該樹脂組成物A、Bが各々下記物性を満たすことを特徴とする積層体に存する。
樹脂組成物A:エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体と、高圧法低密度ポリエチレン(HPLD)とからなり、下記(A1)〜(A3)を満足するポリエチレン樹脂組成物。
(A1)オルトジクロロベンゼンを溶媒とする温度昇温溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、下記(Ai)〜(Aiv)を満たす。
(Ai)ピークの数が3以上
(Aii)ピーク温度の最大値(Tha)が85〜100℃
(Aiii)ピーク温度の最小値(Tla)が30〜65℃
(Aiv)溶出温度が0〜(Tla+6)℃の溶出物量(Sla)と溶出温度が(Tha−6)〜120℃の溶出物量(Sha)との合計量が全溶出物量(Sta)の15〜40重量%
(A2)密度が0.90〜0.93g/cm3
(A3)メルトフローレート(MFR)が0.1〜1000g/10分
樹脂組成物B:エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体と、HPLDとからなり、下記(B1)〜(B3)を満足するポリエチレン樹脂組成物。
(B1)オルトジクロロベンゼンを溶媒とするTREFによって得られる溶出曲線において、下記(Bi)〜(Biv)を満たす。
(Bi)溶出温度が40℃以下の溶出物(S1b)の割合が45〜65重量%
(Bii)溶出温度が40〜60℃の溶出物(S2b)の割合が10〜30重量%
(Biii)溶出温度が60〜80℃の溶出物(S3b)の割合が10〜35重量%
(Biv)溶出温度が80℃以上の溶出物(S4b)の割合が0〜2%重量
(B2)密度が0.88〜0.92g/cm3
(B3)メルトフローレート(MFR)が1〜100g/10分
また、本発明の他の要旨は、樹脂組成物Aにおいて、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体として、密度0.87〜0.90g/cm3のもの5〜20重量%、密度0.90超〜0.92g/cm3のもの40〜70重量%、密度0.92超〜0.94のもの5〜10重量%、及びHPLDとして、密度0.91〜0.93g/cm3のもの10〜40重量%からなることを特徴とする前記の積層体に存する。
また、本発明の他の要旨は、樹脂組成物Bにおいて、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体として、密度0.86〜0.89g/cm3のもの35〜70重量%、密度0.89超〜0.91g/cm3のもの5〜35重量%、及びHPLDとして、密度0.915〜0.925g/cm3のもの10〜40重量%からなることを特徴とする前記の積層体に存する。
また、本発明の他の要旨は、樹脂組成物Aの密度が、樹脂組成物Bの密度より大であることを特徴とする前記の積層体に存する。
また、本発明の他の要旨は、前記の積層体を樹脂組成物Bからなる層を内側にして折りたたみ、該層をヒートシールしてなる包装用袋に存する。
また、本発明の他の要旨は、前記の包装用袋に液体或いは粘体内容物を充填した袋に存する。
また、本発明の他の要旨は、ダイロール式の液体自動充填包装機を用いて、前記の包装用袋に温度が10〜70℃の液体或いは粘体内容物を充填した袋に存する。
液体、粘体の包装材料のヒートシール層に用いた場合に低温から高温まで幅広い温度範囲で高速充填を可能とする樹脂組成物が提供される。従って、押出ラミネート加工によって有用な包装用フィルムを製造でき、それを用いた包装材料はシール強度や耐圧強度に優れる。
本発明の積層体は、基材上に、樹脂組成物Aからなる層及び樹脂組成物Bからなる層がこの順序に積層されてなる積層体であって、その特徴部分は、樹脂組成物A,Bの組成にある。先ず、樹脂組成物Aを構成する各成分及びその特徴を説明し、基材や積層方法については後述する。
樹脂組成物Aは、エチレン・α−オレフィン共重合体とHPLDとからなるポリエチレン系樹脂組成物であり、特性(A1)(A2)(A3)を有する。特に(A1)で定義されるTREF特性が本発明の大きな特徴である。
(エチレン・α−オレフィン共重合体)
エチレンとα−オレフィンとのランダム共重合体であり、コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数4〜8の1−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等が特に好ましい。
コモノマーとして用いられる上記α−オレフィンは1種類に限られず、ターポリマーのように2種類以上用いた多元系共重合体も好ましい。具体例としては、エチレン・プロピレン・1−ブテン3元共重合体、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン3元共重合体等が挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンから誘導される構成単位を主成分とするものが好ましく、エチレン含有量が50〜99重量%、より好ましくは60〜99重量%、さらに好ましくは70〜99重量%の範囲から選択される。従って、α−オレフィン含有量は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%の範囲から選択される。なお、エチレン含有量は、下記に示す13C−NMRスペクトル分析によって決定されるものである。
オルトジクロロベンゼンに溶解した試料(濃度:300mg/2mL)の、ヘキサメチルジシロキサンを標準物質として、温度120℃、周波数100MHz、スペクトル幅20000Hz、パルス繰り返し時間10秒、フリップ角40度の条件で測定。
(エチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法)
本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、例えば、メタロセン触媒を用いる重合により容易に製造することができる。メタロセン触媒とは、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。
(i)メタロセン化合物は、例えば、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭59−23011号、特開昭60−35006号、特開昭60−35007号、特開昭60−35008号、特開昭60−35009号、特開昭61−130314号、特開平3−163088号公報等、EP公開420,436、米国特許5,055,438、国際公開WO91/04257、国際公開WO92/07123等に開示されている。
更に具体的には、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。上記において、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物の混合物を使用することもできる。
メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては無機または有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混合物が挙げられる。
(ii)本発明において用いられる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素化合物、酸化ランタンなどのランタノイド塩、酸化スズ等が挙げられる。
(iii)有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハライド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキルアルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具体的には、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm2以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法等が挙げられる。好ましい製造法としては高圧バルク重合法が挙げられる。
係るエチレン系共重合体は、メタロセン系ポリエチレンとして市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品としては、デュポンダウ社製「アフィニティー」、日本ポリエチレン社製「カーネル」「ハーモレックス」等が挙げられる。エチレン系共重合体は、1種又は2種以上混合して使用することができる。特に後記するように、密度又はMFRを異にする2種以上のエチレン・α−オレフィン共重合体を併用することにより、ポリエチレン樹脂組成物の特性を制御する態様は好ましい。メタロセン触媒によるエチレン系共重合体は結晶性分布が狭いので種々の共重合体をブレンドすることによりTREF特性の制御がより容易になるからである。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒を使用して製造することが好ましいが、チタン、ハロゲンを含むいわゆるチーグラー触媒を用いて製造することもできる。メタロセン触媒とチーグラー触媒を混合使用することもできる。エチレン・α−オレフィン共重合体のQ値としては、3.0以下、特に2.5以下のものが好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量としては、50000〜80000、特に55000〜75000程度が望ましい。重量平均分子量がこれより小さいと材料強度が低下してヒートシール性が悪化する。また重量平均分子量がこれより大きいと押出ラミネート加工時の押出負荷や高速加工性が悪化する。
(高圧法低密度ポリエチレン:HPLD)
本発明の樹脂組成物Aを構成するもう一つの成分はHPLDである。詳しくは、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンとも呼称される。HPLDは溶融弾性が高く、特に押出ラミネート加工時のネックインの改良に多く用いられる。本発明におけるHPLDの物性としては特に規定されないが、MFRが0.2〜80g/10分、特に0.5〜50g/10分、密度が0.900〜0.935g/cm3、特に0.91〜0.93g/cm3のものが好ましい。
市販品としては、日本ポリエチレン社製LC604(密度0.918g/cm3、MFR8g/10分)、日本ポリエチレン社製LC600A(密度0.919g/cm3、MFR7g/10分)、日本ポリエチレン社製LC520(密度0.924g/cm3、MFR3.5g/10分)、住友化学工業社製L705(密度0.919g/cm3、MFR7g/10分)等が利用できる。
(樹脂組成物Aの物性)
本発明の樹脂組成物Aが具備すべき不可欠な物性は、下記の(A1)〜(A3)である。以下、これについて順次説明する。
(A1)温度上昇溶離分別(TREF)特性
(A2)密度特性
(A3)メルトフローレート(MFR)特性
(A1)温度上昇溶離分別(TREF)特性
樹脂組成物Aは、オルトジクロロベンゼンを溶媒とするTREFによって得られる溶出曲線から導き出される特定の結晶性分布を有することが必要である。温度上昇溶離分別(TREF:Temperature Rising Elution Fraction)とは、一度高温でポリマーを完全に溶解させた後に冷却し、不活性担体表面に薄いポリマー層を生成させ、次いで温度を連続又は段階的に昇温して、溶出した成分(ポリマー)を回収し、その濃度を連続的に検出して、その溶出成分の量と溶出温度とを求める方法である。その溶出分率(全溶出量に対する割合)と溶出温度によって描かれるグラフが溶出曲線であり、これによりポリマーの組成分布(結晶性の分布)を測定することができるものである。
本発明で特徴とするところは、樹脂組成物Aについては下記の(Ai)〜(Aiv)の4点である。
(Ai)ピークの数が3以上
(Aii)ピーク温度の最大値(Tha)が85〜100℃
(Aiii)ピーク温度の最小値(Tla)が30〜65℃
(Aiv)溶出温度が0〜(Tla+6)℃の溶出物量(Sla)と溶出温度が(Tha−6)〜120℃の溶出物量(Sha)との合計量が全溶出物量(Sta)の15〜40重量%
<TREFの測定方法>
次にTREF測定の具体的な方法について説明する。カラム温度の降下速度は、試料に含まれる結晶性成分の各温度における結晶化に必要な速度に、また、カラム温度の上昇速度は、各温度における溶出成分の溶解が完了し得る速度に調整する必要があり、このようなカラム温度の冷却速度及び昇温速度は、予備実験をして決定する。測定条件は次の通り。
装置:ダイヤインスツルメンツ社製CFC−T102L
GPCカラム:昭和電工社製AD−806MS(3本を直列に接続)
溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
サンプル濃度:3mg/mL
注入量:0.4mL
結晶化速度:1℃/分
溶媒流速:1mL/分
溶出温度:
0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85,88,91,94,97,100,102,120,140の各温度(℃)
<TREFのデータ解析>
TREF測定によって求められる微分溶出曲線の一例を[図1]に示す。横軸は溶出温度(℃)、縦軸は相対微分質量を表す。[図1]中、Tpaは最大ピーク温度(℃)、Tlaはピーク温度の最小値(℃)、Thaはピーク温度の最大値(℃)、Sla(低温側ハッチング部分)は溶出温度が0〜(Tla+6)℃の溶出物量、Sha(高温側ハッチング部分)は溶出温度が(Tha−6)〜120℃の溶出物量を表す。[図1]は後記実施例1で得られた樹脂組成物AのTREF溶出曲線を示し、全体としてピークの数は3であり、Tpa=65℃、Tla=34℃、Tha=89℃の例である。
TREF測定によって得られた各溶出温度における溶出成分のクロマトグラムは、装置付属のデータ処理プログラムにより処理され、総和が100%となるように規格化された溶出量(クロマトグラムの面積に比例)が求められる。さらに、溶出温度に対する積分溶出曲線が計算される。この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が求められる。
以下、TREF溶出曲線に関する特性(Ai)〜(Avii)を順次説明する。
(Ai)ピークの数は3以上である。
見かけ上、結晶性の異なる3以上のポリエチレン系樹脂のブレンドであることを意味する。ここでピークとは断続するデータポイントをスムージングして結んで得られる微分溶出曲線において極大を示すものをいう。又、極大であるかどうかの判断は、断続するデータポイントにおいて、ある温度(Tn)とその温度の時の溶出量(Fn)に対し、下記式で得られるdF/dT値を結んだ曲線が正から負へゼロ値を通るときに極大値をとるものとする。この時dF/dT値は測定の精度を勘案して溶出温度20℃以上の部分について計算を行った。
dF/dT=(Fn+1−Fn)/(Tn+1−Tn
なお、スムージングは最小二乗法による。ピークの数が3のときは相対的に、低結晶物、中結晶物、高結晶物のブレンドの挙動をとり、ヒートシールの際には低結晶物は低温シール効能の作用をし、中結晶物は適性温度範囲の最適バランス効能の作用をし、高結晶物は発泡抑制の作用をすることで、広い温度範囲で安定したシール特性を発現する。ピークの数が2以下のときは、低/中/高のいずれかの成分が少ないことを意味し、シール可能な温度範囲が狭くなったり、特定のシール温度でシール強度が弱くなる問題が生じる。
(Aii) ピーク温度の最大値(Tha)が85〜100℃である。
Thaは好ましくは85〜95℃、より好ましくは88〜95℃である。Thaが85℃未満では低温度から発泡が発生するし、一方、100℃以上では低温での充填適性が得られず良好な耐圧強度が得られない。ピーク温度はコモノマーの種類や量によって制御することができ、一般的にはコモノマーの含有量を3〜6重量%に調整したエチレン・α−オレフィン共重合体をブレンド又は重合ブレンドするとよい。
(Aiii) ピーク温度の最低値(Tla)が30〜65℃である。
Tlaは好ましくは30〜50℃、より好ましくは30〜40℃である。Tlaが30℃未満では低温度領域から発泡が発生し易く、65℃以上では低温度から充填出来ない。ピーク温度はコモノマーの種類や量によって制御することができ、一般的にはコモノマーの含有量を15〜25重量%に調整したポリエチレン系樹脂をブレンド又は重合ブレンドするとよい。
(Aiv) 溶出温度が0〜(Tla+6)℃の溶出物量(Sla)と、溶出温度が(Tha−6)〜120℃の溶出物量(Sha)との合計量が全溶出物量(Sta)の15〜40重量%。
即ち、溶出温度が0℃から(Tla+6)℃までの間の溶出物量(Sla:以下、低温側溶出物量ということがある)と、溶出温度が(Tha−6)℃から120℃までの間の溶出物量(Sha:以下、高温側溶出物量ということがある)との合計量が、全溶出物量(Sta)に対して、15〜40重量%、好ましくは15〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%である。15重量%未満では充填適性の最適温度幅が狭く、40重量%を超えると良好な耐圧強度が得られない。かかる範囲にあることで、(Tla+6)〜(Tha−6)の温度範囲で溶出する成分が過大にならず、適量存在することになり、シール温度幅を広く保つのに役立っている。
(Av) その他、本発明の樹脂組成物AはSla/Sta≧7重量%、かつ、Sha/Sta≧5重量%であることが好ましい。
低温側溶出物量(Sla)は、全溶出物量(Sta)の7重量%以上が好ましく、より好ましくは10重量%以上である。Slaが7重量%未満であると、低温度側での充填適性に不具合が生じる場合がある。一方、高温側溶出物量(Sha)は全溶出物量の5重量%以上が好ましく、より好ましくは6重量%以上である。Shaが5重量%未満であると、高温度側での充填適性、発泡が起き外観不良の不具合が生じる場合がある。
高温側溶出物であるShaは主に、密度が0.925〜0.940g/cm3の高密度側成分で構成されるものであり、かかる成分(エチレン・α−オレフィン共重合体から選択される)の量の増減によりShaを変化させることができる。
低温側溶出物であるSlaは主に、密度が0.880〜0.890g/cm3の低密度側成分で構成されるものであり、かかる成分(エチレン・α−オレフィン共重合体から選択される)の量の増減によりSlaを変化させることができる。
(Avi)更に、Tha−Tla=30〜60℃であることが好ましい。
ピーク温度の最大値(Tha)とピーク温度の最小値(Tla)との差が30〜55℃、好ましくは40〜55℃、より好ましくは45〜55℃である事が好ましい。30℃未満では充填適性の最適温度幅が狭く、55℃を超えると良好な耐圧強度が得られないおそれがある。
(Avii) (Sla−Sha)/Sta=−14〜14重量%であることが好ましい。
溶出温度が0〜(Tla+6)℃の溶出物(Sla)と、溶出温度が(Tha−6)〜120℃の溶出物(Sha)との差は小さい方が良い。具体的には、全溶出物(Sta)に対する割合として、−14〜14重量%の狭い範囲になるように制御するのが良い。好ましくは−10〜10重量%、より好ましくは−7〜7重量%である。典型的には高温側溶出物(Sha)と低温側溶出物(Sla)はほぼ同量の態様が好ましい。−14重量%未満では充填適性の最適温度幅が狭く、14重量%を超えると良好な耐圧強度が得られないおそれがある。
尚、TREFのデータはおおむね加成性が成り立つので、本発明のポリエチレン樹脂組成物を数種の共重合体の混合により製造する場合は、個々の共重合体や高圧法低密度ポリエチレンのTREFデータに基づいて所望のTREFパターンとなる混合比を予測したうえで、混合成分の割合を微増減させることもできる。
(A2)密度特性
樹脂組成物Aの第2番目の特性は密度特性である。即ち、エチレン・α−オレフィン共重合体とHPLDからなる樹脂組成物の密度は0.90〜0.93g/cm3であることが必要である。樹脂組成物Aの密度は、好ましくは0.905〜0.925g/cm3、より好ましくは0.905〜0.92g/cm3である。密度が上記範囲より高いと低温ヒートシール性に劣る。密度が上記範囲より低いと高温でシールした際に発泡しやすいので好ましくない。更に、本発明においては、樹脂組成物Aの密度が樹脂組成物Bの密度より大であることが好ましい。同じか、逆の場合には充分な液体充填適性が得られ難い。この場合の密度差としては、好ましくは0.01g/cm3以上、更に好ましくは0.01〜0.03g/cm3程度である。なお、密度の測定はJIS−K6922−2:1997付属書(23℃)に準拠して行った。
(A3)メルトフローレート(MFR)特性
樹脂組成物Aの第3番目の特性はMFR特性である。即ち、エチレン・α−オレフィン共重合体とHPLDからなる樹脂組成物のMFRは0.1〜1000g/10分、好ましくは0.5〜100g/10分、より好ましくは4〜20g/10分である。MFRが上記範囲より低いと樹脂を溶融押出する際の押出負荷が高くなり、また成形時フィルム表面の肌荒れが発生するので好ましくない。MFRが上記範囲を超えるとヒートシール時のホットタック性が低下したり、包装材料とした際の強度が下がるので好ましくない。なお、MFRの測定はJIS−K6922−2:1997付属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して行った。本発明においては、樹脂組成物AのMFRと樹脂組成物BのMFRの大小関係は重要ではない。
(A4)スウェル比(SR)特性
樹脂組成物Aは、そのスウェル比(SR)が好ましくは1.5以上、より好ましくは1.55以上である。SRが上記範囲では押出ラミネート加工時のネックインが大きくなりにくく、加工が容易となるので好ましい。SRの上限は特にないが、2.1未満程度が好ましい。SRが2.1を越えると高速での加工性が悪化することがある。なお、SRの測定条件は下記の通りである。
装置:タカラ工業社製メルトインデクサー
ノズル:L=8/D=2.095mm
温度:240℃
押出量:3g/分(73秒-1に相当)
径測定:押出ストランドをノズル下1cmのところでエタノールに受け、冷却し、径をノギスで測定する。測定径とノズル径(2.095mm)との比からSRを算出する。
樹脂組成物Aの特性(A1)〜(A3)が所定の範囲に収まるように制御するために、原料となるエチレン・α−オレフィン共重合体の種類、性質、配合量などを適宜に選択する。例えば、本発明の樹脂組成物Aを得るには、結晶性およびその分布を制御することが肝要である。結晶性の制御は、α−オレフィンの共重合量で行い、結晶性分布の制御は、触媒の活性点の均一度で行うのが一般的である。しかしながら、本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体は、単一の触媒で単段で重合して得ることは困難である。異なる結晶性(分布)を与える二種以上の触媒をブレンドして重合する方法、異なる結晶性(分布)を与える二以上の重合条件(共重合量、温度など)で多段重合する方法、各成分をブレンドする方法、およびこれらの組み合わせによる方法が好ましい。
次に、樹脂組成物Bを構成する各成分及びその特徴を説明する。
樹脂組成物Bは、樹脂組成物Aと同様にエチレン・α−オレフィン共重合体とHPLDとからなるポリエチレン系樹脂組成物であり、特定の物性(B1)(B2)(B3)を有する。特に(B1)で定義されるTREF特性が本発明の重要な特徴である。
樹脂組成物Bを構成するエチレン・α−オレフィン共重合体は、基本的には樹脂組成物Aで使用されるものと同一である。多少の相違点を述べれば、密度がいくらか小さいものが好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒を使用して製造することが好ましいが、チタン、ハロゲンを含むいわゆるチーグラー触媒を用いて製造することもできる。この場合には、たとえエチレンとα−オレフィンとの共重合体であっても、後記するTREF特性中、S4b(溶出温度が80℃以上の溶出物であり、エチレン含有量が100重量%に近い高結晶性成分)が副生し易い。チーグラー触媒を用いて製造したエチレン・α−オレフィン共重合体中のS4b含有量が所定値を外れるような場合には、分取によってS4b成分を除去すればよい。物性の異なるエチレン・α−オレフィン共重合体を併用する場合、その手法は、共重合体同士のブレンドでもよく、多段重合でもよい。メタロセン触媒とチーグラー触媒を混合使用することもできる。エチレン・α−オレフィン共重合体のQ値としては、3.0以下、特に2.5以下のものが好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量としては、50000〜80000、特に55000〜75000程度が望ましい。重量平均分子量がこれより小さいと材料強度が低下してヒートシール性が悪化する。また重量平均分子量がこれより大きいと押出ラミネート加工時の押出負荷や高速加工性が悪化する。
樹脂組成物Bを構成するHPLDは、樹脂組成物Aで使用されるものから選ぶことができる。
次に、樹脂組成物Bが有する特性(B1)〜(B3)について説明する。このうち(B1)はTREF特性に関するもので、更にその技術内容を細分すると(Bi)〜(Biv)となる。
(Bi)溶出温度が40℃以下の溶出物(S1b)の割合が45〜65重量%である。
溶出物(S1b)は、低い結晶領域の成分である。本発明においては低温シール性を左右する因子となる。S1bは、樹脂組成物B中の含有量として、45〜65重量%、好ましくは50〜65重量%、より好ましくは55〜60重量%である。S1bが上記範囲より高いとべたつきが生じたり、滑り性が悪化したり、また高温シール領域での結晶化が遅く、発泡が生じ易い。また、S1bが上記範囲より低いと低温でのシール性が劣る。S1bは、エチレン・α−オレフィン共重合体において、エチレン含量が80〜60重量%程度の成分によって構成されるものであり、かかる成分の増減によりS1bを変化させることができる。
(Bii)溶出温度が40〜60℃の溶出物(S2b)の割合が10〜30重量%である。
溶出物(S2b)は、S1bに比べて相対的に結晶性が高い成分となる。S2bの存在により、ヒートシール時の結晶化速度が速くなり、その結果シール外観がきれいになる。S2bは、樹脂組成物B中の含有量として、10〜30重量%、好ましくは15〜30重量%、より好ましくは20〜30重量%である。但しS2bが上記範囲より高いと低温シール性が悪化する。また、S2bが上記範囲より低いとシール後退が生じ、包装製品の外観が損なわれたり、高温で発泡が生じ、外観を損なう。S2bは、エチレン・α−オレフィン共重合体において、エチレン含量が80〜90重量%程度の成分によって構成されるものであり、かかる成分の増減によりS2bを変化させることができる。
(Biii)溶出温度が60〜80℃の溶出物(S3b)の割合が10〜35重量%である。
溶出物(S3b)は、S1b、S2bに比べて更に結晶性の高い成分である。本発明においては耐熱性、押出ラミネート加工性を左右する因子となる。S3bは、樹脂組成物B中の含有量として、10〜35重量%、好ましくは15〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%である。但し、S3bが上記範囲より高いと低温シール性が悪化し、上記範囲より低いと押出ラミネート加工時のネックインが悪化し、加工が困難になる。S3bはHPLDの溶出温度がこの領域であるため、かかる成分の増減によりS3bを変化させることができる。
(Biv)溶出温度が80℃以上の溶出物(S4b)の割合が0〜2重量%である。
溶出物(S4b)は、上記S3b(高圧法低密度ポリエチレンに対応する溶出物)よりも更に結晶性の高い成分である。本発明においては耐熱性、低温シール性阻害性を左右する因子となる。S4bは、樹脂組成物B中の含有量として、0〜2重量%、好ましくは0〜1重量%、より好ましくは0重量%である。即ち、S4bは実質的に存在しないことが最も好ましい。S4bが上記範囲より高いと低温シール性が悪化するので好ましくない。S4bは、エチレン・α−オレフィン共重合体において、エチレン含量が95〜100重量%程度の成分によって構成されるものであり、かかる成分の増減によりS4bを変化させることができる。
TREF測定によって求められる溶出曲線の一例を[図2]に示す。横軸は溶出温度(℃)、縦軸は相対微分質量を表す。[図2]において、実線は、実施例1で得られた樹脂組成物Bに係る微分溶出曲線を、また破線は積分溶出曲線である。32℃及び66℃付近に二山の溶出量ピークを有しており、溶媒に対する溶解特性の異なる成分の分布が広いことが了解される。その上に、溶出温度が80℃を超える領域における溶出成分が極めて少ないことが特徴である。また、[図2]は後記実施例1で得られた樹脂組成物BのTREF溶出曲線を示し、40℃、60℃、80℃における積分値を読むことにより、各溶出物の割合が計算できる。ここでは40℃の積分値は63%、60℃の積分値は76.1%、80℃の積分値は99.4%であるので、上記S1b=63%、S2b=13.1%、S3b=23.3%、S4b=0.6%の例である。
(Bv)このほか、S1b成分の重量平均分子量(Mwb1)は好ましくは50000〜
70000であり、より好ましくは55000〜65000である。またS2b成分の重量平均分子量(Mwb2)は好ましくは60000〜80000であり、より好ましくは65000〜75000ある。またS3b成分の重量平均分子量(Mwb3)は好ましくは150000〜220000であり、より好ましくは170000〜210000である。またS4bは、その重量平均分子量について特に制約されない。ここで上記S2bの重量平均分子量(Mwb2)とS1の重量平均分子量(Mwb1)の比(Mw2/Mw1)bが1〜2であることが好ましく、より好ましくは1〜1.5である。(Mw2/Mw1)bが上記範囲より高いと低温シール時にシール後退が生じやすく、(Mw2/Mw1)bが上記範囲より低いと高温シール時に発泡が生じやすいので好ましくない。なお、平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によったが、詳細は後記する。
尚、TREFのデータはおおむね加成性が成り立つので、本発明のポリエチレン樹脂組成物を数種の共重合体の混合により製造する場合は、個々の共重合体や高圧法低密度ポリエチレンのTREFデータに基づいて所望のTREFパターンとなる混合比を予測したうえで、混合成分の割合を微増減させることもできる。
(B2)密度特性
樹脂組成物Bの密度(JIS−K 6922:1997付属書(23℃))は0.88〜0.94g/cm3、特に0.88〜0.91g/cm3であることが好ましい。密度が上記範囲より高いと低温ヒートシール性に劣る。密度が上記範囲より低いと高温でシールした際に発泡しやすいので好ましくない。先にも述べたように、樹脂組成物Bの密度は樹脂組成物Aの密度との比較においては、小さいことが好ましい。密度差としては、好ましくは0.01g/cm3以上、更に好ましくは0.01〜0.03g/cm3である。
(B3)メルトフローレート(MFR)特性
樹脂組成物Bの190℃におけるMFR(JIS−K 6922:1997付属書(190℃、21.18N))は1〜100g/10分、好ましくは2〜50g/10分、より好ましくは4〜20g/10分である。MFRが上記範囲より低いと樹脂を溶融押出する際の押出負荷が高くなり、また成形時フィルム表面の肌荒れが発生するので好ましくない。MFRが上記範囲を超えるとヒートシール時のホットタック性が低下したり、包装材料とした際の強度が下がるので好ましくない。
(B4)スウェル比(SR)特性
樹脂組成物Bは、そのスウェル比(SR)が好ましくは1.5以上、より好ましくは1.55以上である。SRが上記範囲未満では押出ラミネート加工時のネックインが大きくなりにくく、加工が容易となるので好ましくない。SRの上限は特にないが、2.1未満程度が好ましい。SRが2.1を越えると高速での加工性が悪化するおそれがある。なお、SRの測定条件は前記と同様である。
(分子量の測定)
樹脂組成物Bの各成分の分子量の測定はクロス分別クロマトグラフ(CFC)で行った。CFCは、結晶性分別を行う昇温溶離分別(TREF)部と分子量分別を行うゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)部とから成る。このCFCを用いた分析は次のようにして行われる。まずポリマーサンプルを0.5mg/mLのBHT(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシトルエン)を含むオルトジクロロベンゼン(ODCB)に140℃で完全に溶解した後、この溶液を装置のサンプルループを経て140℃に保持されたTREFカラム(不活性ガラスビーズ担体が充填されたカラム)に注入し、所定の第1溶出温度まで徐々に冷却しポリマーサンプルを結晶化させる。所定の温度で30分保持した後、ODCBをTREFカラムに通液することにより、溶出成分がGPC部に注入されて分子量分別が行われ、赤外検出器によりクロマトグラムが得られる。その間TREF部では次の溶出温度に昇温され、第1溶出温度のクロマトグラムが得られた後、第2溶出温度での溶出成分がGPC部に注入される。以下同様の操作を繰り返すことにより、各溶出温度での溶出成分のクロマトグラムが得られる。測定条件の詳細は下記の通りである。
装置:ダイヤインスツルメンツ社製CFC−T102L
GPCカラム:昭和電工社製AD−806MS(3本を直列に接続)
溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
サンプル濃度:3mg/mL
注入量:0.4mL
結晶化速度:1℃/分
溶媒流速:1mL/分
GPC測定時間:34分
GPC測定後安定時間:5分
溶出温度:
0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85,88,91,94,97,100,102,120,140の各温度
赤外検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器
測定波長:3.42μm
(データの解析方法)
TREF測定によって得られた各溶出温度における溶出成分のクロマトグラムは、装置付属のデータ処理プログラムにより処理され、総和が100%となるように規格化された溶出量(クロマトグラムの面積に比例)が求められる。さらに、溶出温度に対する積分溶出曲線が計算される。この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が求められる。
また、各クロマトグラムから、次の手順により分子量分布が求められる。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.4mL注入して較正曲線を作成する。
較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量(M)への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式
[η]=K×Mα
において、K及びαとして以下の数値を用いる。
K=3.92×10-4、α=0.733
なお、第1溶出温度でのクロマトグラムでは、溶媒に添加したBHTによるピークと溶出成分の低分子量側とが重なる場合があるが、その際は[図17]のようにベースラインを引き分子量分布を求める区間を定める。
以上、本発明の樹脂組成物A,Bについて、それを構成する成分及びその特性を説明した。以下、樹脂組成物A,Bに共通する技術的事項について補足する。
(ポリエチレン樹脂組成物の製法)
本発明の樹脂組成物A,Bは、共にポリエチレン樹脂組成物であって、前記したエチレン・C3-20α−オレフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレンからなるものである。樹脂組成物Aについては好ましくは、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体50〜95重量%、より好ましくは40〜90重量%、高圧法低密度ポリエチレン5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%を配合することにより製造できる。樹脂組成物Bについては好ましくはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体60〜95重量%、より好ましくは65〜90重量%、高圧法低密度ポリエチレン5〜40重量%、より好ましくは10〜35重量%を配合することにより製造できる。樹脂組成物A、Bにはそれぞれ、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、結晶造核剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、スリップ剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤等を含んでいてもよい。
密度を異にするメタロセン系エチレン系共重合体を2種併用する場合、樹脂組成物Aについては、例えば、密度0.87〜0.90g/cm3の共重合体を5〜20重量%、密度0.90〜0.92g/cm3の共重合体40〜70重量%、密度0.92〜0.94g/cm3の共重合体5〜10重量%とし、これに密度0.91〜0.93g/cm3高圧法低密度ポリエチレンを10〜40重量%配合する態様は好ましい。樹脂組成物Bについては、例えば、密度0.86〜0.89g/cm3の共重合体を35〜70重量%、密度0.89〜0.91g/cm3の共重合体を5〜35重量%とし、これに密度0.91〜0.93g/cm3の高圧法低密度ポリエチレンを5〜40重量%配合する態様は好ましい。
樹脂組成物A、Bは一般的には重合により得られた1種又は2種以上のエチレン・α−オレフィン共重合体と、HPLDを溶融混練することで得られる。単純なブレンドによっても性能が得られる場合もあるが、溶融混練することで、安定した性能が得やすく、またフィルムに加工する際にきれいな外観が得やすい。更に上記配合剤等を配合する場合は、溶融混練する方が配合剤の分散が容易である。
本発明においては、得られた樹脂組成物Aの密度が樹脂組成物Bの密度より大きいことが好ましい。両樹脂組成物の密度がこの関係にあることにより、液体充填包装を行った際に、低温から高温まできれいな外観と良好な耐圧強度を得ることができる。同等、又は逆に樹脂組成物Aの密度が樹脂組成物Bの密度よりも小さい場合は、低温充填が難しくなったり、又は高温で発泡しやすくなることがある。
溶融混練には、従来公知のあらゆる方法を用いることが出来るが、通常、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、一軸又は二軸の混練押出機にて実施することができる。これらの中でも一軸又は二軸の混練押出機により混合或いは溶融混練を行なうことが好ましい。一般的な混練の温度は150〜220℃程度であるが、樹脂組成物の熱劣化を防止するために窒素シールを行いながら混練することも可能である。また、混練機は上述したものを二種以上を組み合わせることもできる。
(積層フィルムの製造)
本発明のポリエチレン樹脂組成物を基材上に積層することで包装用のフィルムとすることができる。詳しくは、基材の一方の側に本発明の樹脂組成物Aからなる層(中間層)、樹脂組成物Bからなる層(シーラント層)をこの順序に積層し、樹脂組成物Bからなる層をヒートシール層として積層した包装材料である。
積層体を構成する基材層としては、紙、アルミニウム箔、セロファン、織布、不織布、高分子重合体のフィルム、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1等のオレフィン重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等のビニル共重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン7、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート等のフィルムを挙げることができる。更に上記フィルム1種類単独でも、2種類以上の複合使用でも良く、また、基材の種類によっては延伸加工を行ったものでも良い。特に一軸、又は二軸延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリエチエンテレフタレートフィルム、延伸ポリスチレンフィルムなども用いられる。更に、上記基材上にポリ塩化ビニリデンやポリビニルアルコールなどをコーティングしたものや、アルミ、アルミナやシリカ、又はアルミナ及びシリカの混合物を蒸着した基材を用いてもよい。
金属箔は、特に限定しないが、厚さ5〜40μmのアルミニウム箔、錫箔、鉛箔、亜鉛メッキした薄層鋼板、電気分解法によりイオン化金属を薄膜にしたもの、アイアンフォイル等が用いられる。また、金属蒸着フィルムについても、特に限定しないが、蒸着金属としてはアルミニウムや亜鉛が、また厚みは0.01〜0.2μmが、通常好ましく用いられる。蒸着の方法も特に限定されず、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等周知の方法が用いられる。さらに、セラミック蒸着フィルムにおいて、蒸着されるセラミックとしては、例えば、一般式SiOx(0.5≦x≦2)で表されるケイ素酸化物のほか、ガラス、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化錫等の金属酸化物、蛍石、フッ化セレン等の金属フッ化物が挙げられる。金属酸化物には、微量の金属や、他の金属酸化物、金属水酸化物が含まれていてもよい。蒸着は、フィルムの少なくとも片面に、上記の種々の蒸着方法を適用することによっても行うことができる。蒸着フィルムの厚さは、通常、12〜40μm程度である。また、被蒸着フィルムとしては、特に制限はなく、延伸ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルム等の透明フィルムが挙げられる。
液体や粘体の包装材料としては二軸延伸ナイロンフィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、又はそれら基材上にシリカやアルミナを蒸着したもの、更にこれらを積層したものが多く用いられている。
基材の表面に本発明における樹脂組成物を積層する方法は、特に制限されず公知の方法に従って実施することができる。例えば、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、押出法、サンドイッチラミネート法、共押出法等がある。ドライラミネーション等に使用するヒートシール層用フィルムは、上記エチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂を用いてカレンダー法、空冷インフレーション法、水冷インフレーション法、Tダイ成形法など任意の方法で製造することができる。また、押出法の場合は、押出ラミネート法、ドライラミネート法、サンドイッチラミネート法、共押出法(接着層を設けない共押出、接着層を設ける共押出、接着樹脂を配合する共押出等を含む)等の方法がある。本発明の樹脂組成物からなる積層フィルムで液体、粘体の包装材料を作る方法としては、タンデム押出ラミネート法が多く用いられている。これは押出ラミネート法にて基材上に1層目として中間層を、更に2層目としてシーラント層というように2種類の樹脂層を逐次積層する方法であり、生産性と品質の面で好適である。
中間層およびシーラント層は、本発明のポリエチレン樹脂組成物を別々に、あるいは同時に溶融押出して成形されるが、その成形温度は150〜320℃であり、この範用では、基材と中間層、およぴ、中間層とシーラント層との接着性、加工性、臭気等の点からも好ましい。また基材に中間層を溶融押出成形する際には、基材の押出成形される面にアンカーコート処理を行い、かつ上記成形温度範囲においてオゾン処理を行うことが接着性の点から好ましい。アンカーコート処理は、ポリウレタン、イソシアネート化合物、ウレタンポリマー、またはそれらの混合物および反応生成物、ポリエステルまたはポリオールとイソシアネート化合物との混合物および反応生成物、またはそれらの溶液等の公知のアンカーコート剤、接着剤等を基材表面に塗布することによりなされる。
本発明の積層体において、基本(最低)構成は、基材層、樹脂組成物Aからなる中間層及び樹脂組成物Bからなるシーラント層の各層がそれぞれ1層、合計3層構成が不可欠である。ここにおいて、基材層、中間層及びシーラント層の各層は単層でもよいが、場合によっては前記各層を複数の層で構成することができる。例えば、ポリエステルフィルムとセラミック蒸着ポリエステルフィルムをドライラミした2層フィルムを基材層として使用することができる。2層フィルムから成る基材層に、中間層1層及びシーラント層1層を積層する場合は合計4層の積層体となる。又、例えば、ポリエステルフィルムとアルミ箔をドライラミし、更にアルミ箔面にポリエステルフィルムをドライラミをした合計3層フィルムを基材層として使用する場合は5層構成となる。中間層及びシーラント層は、通常単層(1層のみ)で使用される。
オゾン処理は、エアーギャップ内で、ノズルまたはスリット状の吹出口からオゾンを含有させた気体(空気等)を、中間層の基材接着面またはこれと積層される基材面に向けるか、両者の圧着部に向けて吹き付けることによって行われる。なお、100m/分以上の速度で押出ラミネートする場合は、上記両者の圧着部に向けて吹き付けることが好ましい。オゾンを含有させた気体中のオゾンの濃度は、1g/m3以上好ましく、さらに好ましくは3g/m3以上である。また、吹き付ける量は、接着層の幅に対して0.03リットル/分/cm以上が好ましく、さらに好ましくは0.1リットル/分/cm以上である。
ラミネート速度は、生産性の点から一般的には100〜150m/分である。また、公知の押出ラミネーターのエアーギヤップは、通常100〜150mmが一般的である。本発明の積層体は、成形後ただちにエージング処理をすることが接着性の点から好ましい。エージングは、積層体成形後12時間以内に、温度23〜45℃、好ましくは35〜45℃で、湿度0〜50%の雰囲気下に、12〜24時間静置することで行われる。
このようにして得られる積層体は、基材層の肉厚は10〜40μm、中間層の肉厚は10〜30μm、シーラント層の肉厚は5〜80μmであることが一般的である。
積層フィルム全体の厚み及び各層の厚み並びに厚み比については特に制限はなく、内容物や用途等に応じて適宜決定すればよいが、具体的には、積層フィルム全体の厚みは40〜120μm、基材層の厚みは10〜40μm、中間層の厚みは10〜40μm程度、シーラント層の厚みは8〜80μm程度が好ましい。
(包装用袋の製造)
このようにして得られる本発明の積層フィルムは、種々の包装材、例えば食品包装材、医療用包装材、エンジンオイルなどの工業材料包装材等として用いることができる。特に、液体、繊維、粉体等の固形状の不溶物を含む液体、粘体等の流体を内容物として収容するための包装材として好適に用いられる。
(液体、粘体など内容物の充填方法)
ダイロール方式の液体、粘体の連続充填機は、大まかには繰り出し部、半切部、縦シールロール、充填ノズル、横シールロール、冷却ロール、カット部、排出部から構成されており、特に半折部からカット部までは垂直方向に上から半折部、縦シールロール、と並んでいる。半折り操作は積層体の樹脂組成物Bからなる層を内側にして行う必要がある。充填物は、液体或いは粘体内容物であって、別のタンクに調整され、必要に応じて加熱された後にポンプにて充填ノズルまで移送される。充填物の温度は内容物の種類、性質、殺菌の必要性などにより異なるが、通常10〜95℃で行われる。場合によっては、半切部から縦シールロールまでの部分で半折部を余熱するためのヒーターが備え付けられる事がある。
縦シールロールは手前と奥に並んだ2本のロールからなり、一般的には充填速度と同じ早さで回転しながらフィルムの一カ所をシールするが、例えばケチャップとマスタードの様に、2種類の内容物を充填する場合は2カ所のシールが出来るように交換される。横シールロールは手前と奥に並んだ2本のロールからなり、一般的には一つのロール上に4ヶ所のシールヘッドがあり、設定された横シールピッチに合う様に可変回転し、シールヘッドが合わさる形でシールを行う。横冷却ロールは横シールロールの真下にあり、加熱はされないが、動き方は横シールロールと同じである。縦ロール、横ロールともに必要に応じて網目模様であったり、模様無しであったりする。カット部は横冷却ロールの真下にあり、回転する刃物で横シール部分の中央部分を半分に切断する。場合によっては切断せずに、ミシン目を入れる事もある。また場合によっては縦シールロールの上にしごきロール又はしごきガイドがあり、液面の調整を行う。
充填の手順は、ロール巻きのフィルムを繰り出し、ダイロール上部でシール面が合わさる様にガイド板にて半折し、まず縦シールロールにて連続的に縦シールを行い、フィルムを筒状とする。続いて横シールロールにて横シールを行い、更に横冷却ロールにて横シール面の冷却を行う。横シールの直上には内容物の充填ノズルがあり、ここから内容物を連続又は間欠で下方向へ吹き出す構造となっている。従って実際には充填物が存在する箇所で横シールが行われることとなる。いわゆる夾雑シールである。一袋当たりの充填量は縦シールの速度と、横シールピッチ、充填速度で決まり、充満率はしごき板等による液面の調整で決まる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において使用したエチレン・α−オレフィン共重合体は、以下に示す方法で製造した。
樹脂組成物Aで使用したエチレン・α−オレフィン共重合体の物性値を[表1(1)]に、樹脂組成物Bで使用したものを[表1(2)]に、また、エチレン・α−オレフィン共重合体と混合して使用したHPLDの物性値を[表1(3)]に示した。
(1)エチレン・α−オレフィン共重合体の製造
(1−1)PE−A1及びPE−A3の重合用触媒の調製:
電磁誘導攪拌機を備えた触媒調製装置に、窒素下で精製したトルエン1000ml、テトラエトキシジルコニウム(Zr(OEt)4)22g及びインデン75g及びメチルブチルシクロペンタジエン88gを加え、90℃に保持しながらトリプロピルアルミニウム100gを100分かけて滴下し、その後、同温度で2時間反応させた。40℃に冷却した後、メチルアルモキサンのトルエン溶液(濃度2.5mmol/ml)を3200ml添加し2時間攪拌した。次にあらかじめ450℃で5時間焼成処理したシリカ(グレース社製、#952、表面積300m2/g)2000gを加え、室温で1時間攪拌の後、40℃で窒素ブロー及び減圧乾燥を行い、流動性の良い固体触媒を得た。
(1−2)PE−A2、PE−B1〜PE−B4の重合用触媒の調製:
触媒の調製は、特表平7−508545号公報に記載された方法で実施した。即ち、錯体ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル2.0ミリモルに、トリペンタフルオロフェニルホウ素を上記錯体に対して等倍モル加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調製した。
(1−3)重合
<PE−A1>
1−ヘキセン/エチレンのモル比を0.027、水素/エチレンのモル比を7.5×10-4、窒素濃度を30mol%とし、全圧を0.8MPa、温度を75℃に準備された、気相連続重合装置(内容積100L、流動床直径10cm、流動床種ポリマ−(分散剤)1.5kg)にトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.01mmol/ml)を25ml/hで供給し。ガス組成と温度を一定に保ちながら、1時間当たりの生産量が約300gとなるように固体触媒を間欠的に供給して重合を行った。活性は410g/(g触媒・MPa・h)であり、得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−A1)の物性を測定したところ、1−ヘキセン含有量11重量%、MFR15g/10分、密度0.911g/cm3、TREF溶出曲線は、ピークを3つ有し(60℃、65℃、86℃)、最高ピークの温度(Tp)は65℃、Q値2.2であった。
<PE−A2>
内容積1.5リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器を反応器内の圧力を130MPaに保ち、エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が73重量%となるように40kg/時の割合で連続的に供給した。また、重合温度が127℃を維持するように触媒供給量を調整した。1時間あたりのポリマー生産量は約2.1kgであった。反応終了後、得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−A2)の物性を測定したところ、1−ヘキセン含有量24重量%、MFR3.5g/10分、密度0.880g/cm3、TREF溶出曲線の最高ピークの温度(Tp)は32℃、Q値2.0であった。
<PE−A3>
1−ヘキセン/エチレンのモル比を0.009、水素/エチレンのモル比を3.5×10-4、窒素濃度を30mol%とし、全圧を0.8MPa、温度を80℃に準備された、気相連続重合装置(内容積100L、流動床直径10cm、流動床種ポリマ−(分散剤)1.5kg)にトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.01mmol/ml)を25ml/hで供給し。ガス組成と温度を一定に保ちながら、1時間当たりの生産量が約300gとなるように固体触媒を間欠的に供給して重合を行った。活性は270g/(g触媒・MPa・h)であり、得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−A3)の物性を測定したところ、1−ヘキセン含有量2重量%、MFR4g/10分、密度0.935g/cm3、TREF溶出曲線の最高ピークの温度(Tp)は90℃、Q値2.0であった。
<PE−B1>
エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が74重量%となるように、また、重合温度が137℃を維持するように触媒供給量を調整した以外は、PE−A1と同様に実施した。1時間あたりのポリマー生産量は約3.4kgであった。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−B1)の物性を測定したところ、1−ヘキセン含有量25重量%、MFR10g/10分、密度0.880g/cm3、TREF溶出曲線の最高ピークの温度(Tp)は32℃、Q値2.3であった。
<PE−B2>
エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が60重量%となるように、また、重合温度が147℃を維持するように触媒供給量を調整した以外は、PE−1と同様に実施した。1時間あたりのポリマー生産量は約2.4kgであった。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−B2)は、1−ヘキセン含有量14重量%、MFR4g/10分、密度0.900g/cm3、TREF溶出曲線の最高ピークの温度(Tp)は59℃、Q値2.3であった。
<PE−B3>
エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が64重量%となるように、また、重合温度が160℃を維持するように触媒供給量を調整した以外は、PE−1と同様に実施した。1時間あたりのポリマー生産量は約3.6kgであった。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−B3)は、1−ヘキセン含有量15重量%、MFR17g/10分、密度0.900g/cm3、TREF溶出曲線の最高ピークの温度(Tp)は47℃、Q値2.3であった。
<PE−B4>
市販のエチレン・1−ヘキセン共重合体(日本ポリエチレン社製ハーモレクスNC585A、メタロセン触媒使用)を使用した。 PE−4は1−ヘキセン含有量5.2重量%、MFR6g/10分、密度0.930g/cm3、Q値2.6であった。PE−4のTREF溶出曲線は、83℃のメインピークと90℃のサブピークを有する二山の形状であった。
<PE−B5>
市販のエチレン・1−オクテン共重合体(デュポンダウエラストマー社製エンゲージEG8200、メタロセン触媒使用)を使用した。PE−B5は、1−オクテン含有量24.8重量%、MFR5g/10分、密度0.870g/cm3、Q値2.4であった。PE−B5のTREF溶出曲線は28℃に単一ピークを有する比較的シャープな形状であった。
(2)HPLDの調達
[表1(3)]に示す市販品を利用した。
以下の実施例及び比較例におけるフィルムの評価方法は次の通りである。
(1)押出ラミネート加工による包装用フィルムの作成
口径90mmφの押出機に装着したTダイスから押し出される樹脂の温度が300℃になるように設定した押出しラミネート装置を用い、冷却ロール表面温度25℃、ダイス幅600mm、ダイリップ開度0.7mmで引き取り加工速度が100m/分の場合に被覆厚みが25μmになるように押出量を調整して溶融押出した。一方、幅500mm、厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ社製、エンブレムONM)を基材層として、その上に、イソシアネート系アンカーコート剤(日本曹達社製、チタボンドT120溶液)をボウズロールにて塗工しながら、またラミネート部にてオゾン吹きつけを行いながら中間層材料として本発明による樹脂組成物Aを引き取り速度100m/分、被覆厚み25μmで押出しラミネート加工を行った。さらにこの中間層の上に同じ押出ラミネート装置を用い、シーラント層として本発明による樹脂組成物Bを押出樹脂温度280℃、引き取り速度100m/分、被覆厚み25μmで押出ラミネート加工を行い、積層を行った。加工後の積層フィルムを45℃のオーブン内にて24時間のエージングを行い、その後幅130mmにスリットすることで評価用の包装フィルムを得た。
(2)押出ラミネート加工性評価
上記の押出ラミネート加工時に、ダイスの幅と得られた製品の幅の差をネックインとし、加工性の尺度とした。ネックインが小さいほど加工性が優れる。
(3)液体充填適性の評価
液体自動充填包装機(日本精機社製、ダンガンTYPE−III)を用いて、次の条件で液
体を充填し、充填速度、袋の耐圧強度、外観を評価した。
[充填条件]
シール温度:(縦ロール)185℃、(横)145〜185℃
シール圧力:(縦ロール)左140kPa、右70kPa、(横ロール)左430kPa、右380kPa
包装形態:三方シール
袋寸法:幅75mm×縦100mmピッチ
充填物:水 30℃
充填量:約30cc
充填速度:20m/分
[充填適性の判定基準]
種々の温度で充填を行い、得られた小袋のシール面の外観を目視にて観察した。シール部分が抜けたり、後退したり、発泡したりしたものを程度に応じて、○、△、×の3段階にて評価した。外観は低温から高温まで○であることが望ましい。また、耐圧テスター(小松製作所社製)にて充填後の袋に100kgの荷重を3分間掛け、耐圧試験を行い、破袋、又は洩れの有無を評価した。耐圧試験は各50袋について評価を行い、50個中、破袋や洩れが全く無い場合を○、1個洩れた場合を△、2個以上洩れた場合を×とした。耐圧評価はできるだけ低温領域から○であることが望ましい。
[実施例1]
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体として、表1(1)に記載の、PE−A1を50重量%、PE−A2を10重量%、PE−A3を10重量%、高圧法低密度ポリエチレンとして、HPLD−1を30重量%を用い、ブレンダーにて良くブレンドし、溶融押出してペレットとし、樹脂組成物Aを得た。また、表1(2)に記載の、PE−B1を65重量%、PE−B2を10重量%、PE−B4を1重量%、及びHPLD−1を24重量%を用いた。これらの樹脂100部に対して、脂肪族アミド系スリップ剤0.05部をブレンダーにて良くブレンドし、溶融押出してペレットとし、樹脂組成物Bを得た。得られた樹脂組成物A,Bの物性を表2に示す。次に押出ラミネート加工とこれに続く後処理により、評価用の包装用フィルムを得、押出ラミネート加工時のネックインを評価した。更に液体充填装置による充填評価を行い、シール部外観と耐圧強度を評価した。これらの結果を表4に示す。
[実施例2]
PE−B1を45重量%、PE−B2を30重量%、HPLD−1を25重量%、脂肪族アミド系スリップ剤0.05部を用い、樹脂組成物Bを得た。それ以外は実施例1と同様にして評価した。樹脂組成物A,Bの物性を表2に、評価結果を表4に示す。
[実施例3]
PE−B1を60重量%、PE−B2を30重量%、HPLD−1を10重量%、脂肪族アミド系スリップ剤0.05部を用い、樹脂組成物Bを得た。それ以外は実施例1と同様にして評価した。樹脂組成物A,Bの物性を表2に、評価結果を表4に示す。
[実施例4]
PE−A1を60重量%、PE−A2を5重量%、PE−A3を5重量%、HPLD−1を30重量%を用い、樹脂組成物Aを得た。また、PE−B1の代わりに、PE−5を用い、それ以外は実施例2と同様にして評価した。樹脂組成物A,Bの物性を表2に、評価結果を表4に示す。
[実施例5]
PE−B1を57重量%、PE−B2を28重量%、HPLD−1を15重量%、脂肪族アミド系スリップ剤0.05部を用い、樹脂組成物Bを得た。それ以外は実施例4と同様にして評価した。樹脂組成物A,Bの物性を表2に、評価結果を表4に示す。
[比較例1]
PE−A1を70重量%、HPLD−1を30重量%を用い、樹脂組成物Aを得た。それ以外は実施例1と同様にして評価した。樹脂組成物A,Bの物性を表3に、評価結果を表4に示す。
[比較例2]
PE−A1を70重量%、HPLD−1を30重量%を用い、樹脂組成物Aを得た。それ以外は実施例2と同様にして評価した。樹脂組成物A,Bの物性を表3に、評価結果を表4に示す。
[比較例3]
PE−A1を10重量%、PE−A2を30重量%、PE−A3を30重量%、HPLD−1を30重量%を用い、樹脂組成物Aを得た。また、PE−B1を50重量%、PE−B2を25重量%、PE−B4を5重量%、HPLD−1を20重量%を用い、樹脂組成物Bを得た。それ以外は実施例1と同様にして評価した。樹脂組成物A,Bの物性を表3に、評価結果を表4に示す。
[比較例4]
PE−A1を10重量%、PE−A2を30重量%、PE−A3を30重量%、HPLD−1を30重量%を用い、樹脂組成物Aを得た。また、PE−B1を70重量%、PE−B3を20重量%、PE−B4を5重量%、HPLD−1を5重量%を用い、樹脂組成物Bを得た。それ以外は実施例1と同様にして評価した。樹脂組成物A,Bの物性を表3に、評価結果を表4に示す。[図11]は、比較例4で得られた樹脂組成物Bに係る溶出曲線である。31℃付近に極めて大きな溶出量ピークを有している他、46℃及び66℃付近に小さな溶出量ピークを有し、かつ溶出温度が80℃を超える領域における溶出成分もかなり存在することが特徴である。
[比較例5]
PE−A1を10重量%、PE−A2を30重量%、PE−A3を30重量%、HPLD−1を30重量%を用い、樹脂組成物Aを得た。また、PE−B1を60重量%、HPLD−1を40重量%を用い、樹脂組成物Bを得た。それ以外は実施例1と同様にして評価した。樹脂組成物A,Bの物性を表3に、評価結果を表4に示す。
[比較例6]
PE−A1を10重量%、PE−A2を30重量%、PE−A3を30重量%、HPLD−1を30重量%を用い、樹脂組成物Aを得た。また、PE−B1を30重量%、PE−B2を40重量%、HPLD−1を30重量%を用い、樹脂組成物Bを得た。それ以外は実施例1と同様にして評価した。樹脂組成物A,Bの物性を表3に、評価結果を表4に示す。
[比較例7]
樹脂組成物BとしてPE−B1〜PE−B5のいずれも使用することなく、代わりに、ヒートシール層用原料樹脂組成物として市販されているモアテック0818D(出光石油化学製、チーグラーLLDPE、密度0.908g/cm3、MFR8g/10分)を単独で用いた。それ以外は実施例1と同様にして評価した。樹脂組成物A,Bの物性を表3に、評価結果を表4に示す。
[比較例8]
樹脂組成物BとしてPE−B1〜PE−B5のいずれも使用することなく、代わりに、ヒートシール層用原料樹脂組成物として市販されているアフィニティPT1450(ダウ・ケミカル製、メタロセンLLDPE、密度0.905g/cm3、MFR8g/10分)を単独で用いた。それ以外は実施例1と同様にして評価した。樹脂組成物A,Bの物性を表3に、評価結果を表4に示す。
[比較例9]・
PE−B2を30重量%使用する代わりにモアテック0818Dを30重量%を用いて樹脂組成物Bを得る以外は実施例1と同様にして評価した。樹脂組成物A,Bの物性を表3に、評価結果を表4に示す。
樹脂組成物A(実施例1〜3、比較例7,8)の溶出曲線である。 樹脂組成物B(実施例1、比較例1)の溶出曲線である。 樹脂組成物B(実施例2、比較例2)の溶出曲線である。 樹脂組成物B(実施例3)の溶出曲線である。 樹脂組成物A(実施例4、比較例9)の溶出曲線である。 樹脂組成物B(実施例4)の溶出曲線である。 樹脂組成物B(実施例5)の溶出曲線である。 樹脂組成物A(比較例1)の溶出曲線である。 樹脂組成物A(比較例3)の溶出曲線である。 樹脂組成物B(比較例3)の溶出曲線である。 樹脂組成物B(比較例4)の溶出曲線である。 樹脂組成物B(比較例5)の溶出曲線である。 樹脂組成物B(比較例6)の溶出曲線である。 樹脂組成物B(比較例7)の溶出曲線である。 樹脂組成物B(比較例8)の溶出曲線である。 樹脂組成物B(比較例9)の溶出曲線である。 クロス分別クロマトグラフ(CFC)のベースライン図である。

Claims (7)

  1. 基材上に、樹脂組成物Aからなる層及び樹脂組成物Bからなる層がこの順序に積層されてなり、該樹脂組成物A、Bが各々下記物性を満たすことを特徴とする積層体。
    樹脂組成物A:エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体50〜95重量%と、高圧法低密度ポリエチレン(HPLD)5〜50重量%とからなるポリエチレン樹脂組成物であって、該エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体は複数の共重合体から構成され、かつ、下記(A1)〜(A3)を満足するポリエチレン樹脂組成物。
    (A1)オルトジクロロベンゼンを溶媒とする温度昇温溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、下記(Ai)〜(Aiv)を満たす。
    (Ai)ピークの数が3以上
    (Aii)ピーク温度の最大値(Tha)が85〜100℃
    (Aiii)ピーク温度の最小値(Tla)が30〜65℃
    (Aiv)溶出温度が0〜(Tla+6)℃の溶出物量(Sla)と溶出温度が(Tha−6)〜120℃の溶出物量(Sha)との合計量が全溶出物量(Sta)の15〜40重量%
    (A2)密度が0.90〜0.93g/cm3
    (A3)メルトフローレート(MFR)が0.1〜1000g/10分
    樹脂組成物B:エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体60〜95重量%と、HPLD5〜40重量%とからなるポリエチレン樹脂組成物であって、該エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体は複数の共重合体から構成され、かつ、下記(B1)〜(B3)を満足するポリエチレン樹脂組成物。
    (B1)オルトジクロロベンゼンを溶媒とするTREFによって得られる溶出曲線において、下記(Bi)〜(Biv)を満たす。
    (Bi)溶出温度が40℃以下の溶出物(S1b)の割合が45〜65重量%
    (Bii)溶出温度が40〜60℃の溶出物(S2b)の割合が10〜30重量%
    (Biii)溶出温度が60〜80℃の溶出物(S3b)の割合が10〜35重量%
    (Biv)溶出温度が80℃以上の溶出物(S4b)の割合が0〜2%重量
    (B2)密度が0.88〜0.92g/cm3
    (B3)メルトフローレート(MFR)が1〜100g/10分
  2. 樹脂組成物Aにおいて、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体として、密度0.87〜0.90g/cm3の共重合体5〜20重量%、密度0.90超〜0.92g/cm3の共重合体40〜70重量%、密度0.92超〜0.94の共重合体5〜10重量%、及びHPLDとして、密度0.91〜0.93g/cm3のもの10〜40重量%からなることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 樹脂組成物Bにおいて、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体として、密度0.86〜0.89g/cm3の共重合体35〜70重量%、密度0.89超〜0.91g/cm3の共重合体5〜35重量%、及びHPLDとして、密度0.915〜0.925g/cm3のもの10〜40重量%からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 樹脂組成物Aの密度が、樹脂組成物Bの密度より大であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体を樹脂組成物Bからなる層を内側にして折りたたみ、該層をヒートシールしてなる包装用袋。
  6. 請求項5記載の包装用袋に液体或いは粘体内容物を充填した袋。
  7. ダイロール式の液体自動充填包装機を用いて、請求項5に記載の包装用袋に温度が10〜95℃の液体或いは粘体内容物を充填した袋。
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