JP4877664B2 - 血栓症の予防または改善のための健康食品及び血栓症の予防または治療用医薬組成物 - Google Patents

血栓症の予防または改善のための健康食品及び血栓症の予防または治療用医薬組成物 Download PDF

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Description

本発明は、血栓症の予防または改善のための健康食品及び血栓症の予防または治療用医薬組成物に関する。
近年、シイタケ(Lentinus edodes)の薬理作用が注目されており、例えば、特開2000−159683号には、シイタケの肝機能障害治療作用が開示されており、また特開2003−155249号には、シイタケのIgA産生促進作用が開示されている。
特開2000−159683号 特開2003−155249号
しかしながら、これまでシイタケの薬理活性成分として注目されていたのは、主に多糖類等の水溶性成分であり、シイタケの多糖類以外の薬理活性成分、例えば有機溶媒抽出成分または有機溶媒と水との混合物による抽出成分、特に精油成分の薬理作用については報告されていない。また、シイタケの成分の血小板凝集抑制作用についても報告されていない。
本発明者らは、シイタケの成分のうち、有機溶媒抽出成分または有機溶媒と水との混合物による抽出成分、特に一定時間酵素反応を進行させた後に有機溶媒に抽出される成分が血小板凝集抑制作用を有することを見出し、本発明を完成させた。該成分には、次式I、II、III、IV、V及び/またはVI:
Figure 0004877664
で表される化合物等が含まれる。本発明の発明者らは、これらの化合物のうち、特に上記式Iで表される1,2,3,5,6−ペンタチエパン(以下、レンチオニンと記す)が高い血小板凝集抑制作用を有することを見出した。
レンチオニンは、シイタケの香気成分として知られており、前駆物質であるレンチニン酸のγ−グルタミル基がγ―グルタミルトランスフェラーゼの作用により脱離してデスグルタミルレンチニン酸が生じ、これにC−Sリアーゼが作用することによりスルフェン酸またはチオスルフィネートが生じ、さらにチオスルフィネートの非酵素的開裂により生成する含イオウフラグメントが縮重合を繰り返すことにより生成する。なお、この時、レンチオニン以外に、上記式II〜VIで表される含イオウ化合物も生成される。
従って、本発明はシイタケの有機溶媒抽出成分もしくは有機溶媒と水との混合物による抽出成分(以下、場合により「本発明のシイタケの抽出物」または単に「シイタケの抽出物」と記す)、シイタケの有機溶媒可溶成分である上記式I、II、III、IV、V及び/またはVIの化合物またはその誘導体(以下、場合により「本発明のシイタケの活性成分」または単に「シイタケの活性成分」と記す)を含有する血栓症の予防または改善のための健康食品または血栓症の予防または治療用医薬組成物に関する。
第1に、本発明は、下記の健康食品に関する。
(1)シイタケの有機溶媒または有機溶媒と水との混合物による抽出物を有効成分として含有する血栓症の予防または改善のための健康食品。
(2)前記抽出物がシイタケの子実体の有機溶媒または有機溶媒と水との混合物による抽出物である(1)記載の健康食品。
(3)前記抽出物がシイタケの子実体の有機溶媒による抽出物である(1)記載の健康食品。
(4)前記抽出物が、シイタケ、好ましくはシイタケの子実体を破砕した後、3〜70℃の温度で1分間以上放置した後に、抽出されたものである(1)〜(3)のいずれかに記載の健康食品。
(5)次式I、II、III、IV、V及び/またはVIで表される化合物またはその誘導体を有効成分として含有する血栓症の予防または改善のための健康食品。
Figure 0004877664
(6)前記誘導体が、次式VII、VIII、IX、X、XI及び/またはXIIで表される化合物である(5)記載の健康食品。
Figure 0004877664
(式中、R〜R13は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、未置換または置換された炭素原子数1〜20のアルキル基、未置換または置換された炭素原子数1〜20のアルケニル基、未置換または置換された1〜20のアルコキシ基、未置換または置換された炭素原子数6から20のアリール基、未置換または置換された炭素原子数7から20のアルキルアリール基を表す)
(7)前記誘導体が、上記式VIIで表される化合物である(6)記載の健康食品。
(8)上記式I、II、III、IV、V及び/またはVIで表される化合物を有効成分として含有する(5)記載の健康食品。
(9)上記式Iで表される化合物を有効成分として含有する(5)記載の健康食品。
また、本発明は、下記の医薬組成物に関する。
(10)シイタケの有機溶媒または有機溶媒と水との混合物による抽出物を有効成分として含有する血栓症の予防または治療用医薬組成物。
(11)前記抽出物がシイタケの子実体の有機溶媒または有機溶媒と水との混合物による抽出物である(10)記載の医薬組成物。
(12)前記抽出物がシイタケの子実体の有機溶媒による抽出物である(10)記載の医薬組成物。
(13)前記抽出物が、シイタケ、好ましくはシイタケの子実体を破砕した後、3〜70℃の温度で1分間以上放置した後に、抽出されたものである(10)〜(12)のいずれかに記載の医薬組成物。
(14)上記式I、II、III、IV、V及び/またはVIで表される化合物またはその誘導体を有効成分として含有する血栓症の予防または治療用医薬組成物。
(15)前記誘導体が、上記式VII、VIII、IX、X、XI及び/またはXIIで表される化合物である(14)記載の医薬組成物。
(式中、R〜R13は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、未置換または置換された炭素原子数1〜20のアルキル基、未置換または置換された炭素原子数1〜20のアルケニル基、未置換または置換された1〜20のアルコキシ基、未置換または置換された炭素原子数6から20のアリール基、未置換または置換された炭素原子数7から20のアルキルアリール基を表す)
(16)前記誘導体が、上記式VIIで表される化合物である(15)記載の医薬組成物。
(17)上記式I、II、III、IV、V及び/またはVIで表される化合物を有効成分として含有する(14)記載の医薬組成物。
(18)上記式Iで表される化合物を有効成分として含有する(14)記載の医薬組成物。
本発明は、また、下記に示す血栓症の予防または治療方法にも関する。
(19)シイタケの有機溶媒または有機溶媒と水との混合物による抽出物を投与することを含む血栓症の予防または治療方法。
(20)上記式Iで表される化合物を投与することを含む血栓症の予防または治療方法。
(21)上記式Iで表される化合物を他の抗血小板薬と共に投与することを含む血栓症の予防または治療方法。

本発明により、血栓症の予防または改善に有効な健康食品および血栓症の予防または治療用医薬組成物が提供される。本発明の健康食品及び医薬品組成物は、シクロオキシゲナーゼ阻害とは異なる作用機序で血小板凝集抑制効果を奏するものと考えられる。本発明のシイタケの活性成分、特にレンチオニンは、血小板内の情報伝達物質による血小板凝集カスケードには関与せず、血小板の接着や放出反応などの形態変化、もしくはそれに伴うタンパク質のリン酸化を抑制することにより血小板凝集を抑制すると考えられる。従って、他の抗血栓症剤と共に用いた場合に、異なる作用機序の効果により血栓症をより有効に予防または治療することができる。
本発明のシイタケ抽出物のGC-MS分析の結果を示す図である。 レンチオニンの血小板凝集抑制作用を示すグラフである。 レンチオニンの血小板凝集抑制作用を示すグラフである。 本発明のシイタケ抽出物の血小板凝集抑制作用を示すグラフである。 本発明のシイタケ抽出物の血小板凝集抑制作用を示すグラフである。 レンチオニンの血小板凝集抑制作用を示すグラフである。 血小板凝集の作用機序を示す図である。 レンチオニン、1,2−ジチエパン、1,2−ジチアンの血小板凝集抑制作用を示すグラフである。 レンチオニン、1,2−ジチエパン、1,2−ジチアンの血小板凝集抑制作用を示すグラフである。
本発明の健康食品または医薬品組成物において、原料となるシイタケは生のシイタケでも乾燥したシイタケでも良い。乾燥シイタケは、例えば天日乾燥または乾燥炉等による機械乾燥により製造されたものである。またシイタケは子実体及び菌糸体のいずれを用いてもよいが、好ましくは子実体を用いる。
抽出溶媒は、有機溶媒または有機溶媒と水との混合物、好ましくは有機溶媒である。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、n−もしくはイソプロパノール、n−、イソ、第二もしくは第三ブタノール、n−、イソ、第二もしくは第三ペンタノール、n−、イソ、第二もしくは第三ヘキサノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素またはこれらの混合物が挙げられ、好ましくはジエチルエーテルであるが、これらに限定されない。
抽出温度は、好ましくは70℃以下、より好ましくは40℃以下、例えば5〜30℃である。(70℃より高い温度で長時間加熱すると、抽出すべき成分が分解する場合があるからである。)
抽出方法は、有機溶媒または水と有機溶媒との混合物中での冷浸、温浸、還流冷却下での加熱等であり得る。抽出は、連続式で行ってもバッチ式で行ってもよく、例えば常温から溶媒の沸点の範囲の温度で、加圧、常圧または減圧下で行う。抽出時間は、抽出方法、抽出溶媒等に応じて、適宜決定し得る。例えば、5〜30℃での抽出の場合、1分間〜24時間、好ましくは15分間〜30分間である。
抽出に先立って、シイタケの破砕、恒温処理等の前処理を行うのが好ましい。これは、シイタケに含まれるレンチニン酸から出発してレンチオニン等の含イオウ化合物を生成する酵素反応を効率良く進行させるためである。
破砕は、例えばpH3〜12の緩衝液中、ホモジネーター等の機器を用いて破砕することにより行われる。
恒温処理は、例えば約3〜70℃、好ましくは15〜50℃、より好ましくは25〜40℃の温度に、1分間〜24時間、好ましくは 10分間〜12時間、より好ましくは30分間〜3時間維持することにより行われる。
本発明の健康食品または医薬組成物に使用される抽出物は、有機溶媒による抽出操作後、濾過、乾燥、分画などの処理を行うことによりさらに精製されたものであってもよい。濾過、乾燥、分画は当業者に周知の常法により行うことができる。
また、本発明の健康食品または医薬品組成物に使用される抽出物は、抽出、所望により精製した後、濃縮または乾固、または凍結乾燥し、所望によりさらに滅菌操作を行ったものであってもよい。濃縮または乾固は、常圧または減圧下、好ましくは150℃以下、より好ましくは30℃以下の温度で行う。150℃を超えると抽出すべき成分が分解する場合があるからである。
ただし、本発明の健康食品及び医薬品組成物は、上記の抽出・精製方法により得られた抽出物を含有するものに限定されず、レンチオニンを初めとするシイタケの精油成分を含むものであればよい。
本発明の健康食品または医薬品組成物は、上記式I〜VIで表される化合物を有効成分として含有するものであってもよい。これらの化合物は、抽出物中の成分として含有されていてもよく、また合成により得られた化合物であってもよい。
上記式Iで表される化合物(レンチオニン)は、例えばJournal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: Organic and Bio-Organic Cemistry (1972-1999), (3), 509-514; 1990に記載の方法により合成することができる。
該方法は、ジヨードメタンと二硫化二ナトリウムNaを水:ジクロロメタンの二層混合物中、室温で反応させることからなる。
具体的には、下記の方法により合成される。水(100cm)中の二硫化二ナトリウム(2.8g、25.5mmol)の溶液を、メチレンクロライド(100cm)中のジヨードメタン(6.81g,25.5mmol)の溶液に添加する。二層混合物を室温で5日間激しく撹拌する。淡黄色の水層が無色になる。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥する。クロマトグラフィにかけると、まず二ヨウ化メタンが溶出され、次に、1,2,3,5,6-ペンタチエパン(融点61℃)が約18%の収率で得られる。
また、レンチオニンは、例えばTetrahedron Vol.41, No.22, pp.5145 - 5158に記載の方法により製造することができる。
該方法は、金属ハロゲン化物と金属テトラチオペルカーボネートを反応させることからなる。
具体的には、下記の方法により合成される。
エタノール40ml中のナトリウムテトラチオペルカーボネート(0.10mol)をエーテルで処理して結晶形の塩を沈殿させた。エタノール100ml中のヨウ化メチレンを27.3g(0.10mol)を攪拌しながら添加し、全ての沈殿が溶解したら、水750mlを添加する。エーテル層を分離し、水で3回洗浄し、塩化カルシウムで乾燥し、溶媒を留去すると、黄色油状物質13.7gが得られる。シリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製し、さらに得られた粗生成物をアセトンに溶解し、−25℃で沈殿させることにより、レンチオニン(融点58〜61℃)が25%の収率で得られる。
上記式IIで表される化合物は、例えばPhosphorus and Sulfur and the Related Elements,15(1), 27-32; 1983, Phosphorus and Sulfur and the Related Elements, 8(2), 157-9; 1980等に記載の方法により合成することができる。
また、本発明の健康食品または医薬品組成物は、上記式I、II、III、IV、V及び/またはVIで表される化合物の誘導体を有効成分として含有するものであってもよい。そのような誘導体は、例えば上記式VII、VIII、IX、X、XI及び/またはXIIで表される化合物である。
これは上記で単離精製された、または上記で合成された上記式I、II、III、IV、V及び/またはVIの化合物に、常法により置換基を導入することにより、製造しうる。
本発明のシイタケの抽出物またはシイタケの活性成分は、高活性及び低毒性なので医療に安全に用いることができる。
(健康食品)
本発明の「健康食品」は、上記本発明のシイタケの抽出物またはシイタケの活性成分を有効成分とするエキス剤(軟エキス剤、乾燥エキス剤)、カプセル剤、顆粒剤、散剤、錠剤、液剤、浸剤、煎剤、トローチ剤、流エキス剤、チンキ剤等の形態であってもよい。これらは当該分野で知られている方法により製剤化することができる。これらの製剤の形態の健康食品は、下記で医薬組成物について列挙した補助剤を含有することができる。本発明のシイタケの抽出物またはシイタケの活性成分の配合量は、剤形により異なる。また、一日あたりの有効成分服用量は、有機溶媒抽出成分の凍結乾燥重量として、例えば1〜15g、好ましくは2〜5g、化合物もしくはその誘導体の場合、例えば0.1〜1.5g、好ましくは0.2〜0.5gとなる量である。
また、本発明の健康食品は、一般加工食品等の食品に、本発明のシイタケの活性成分を添加した食品、いわゆる機能性食品であってもよい。そのような食品としては、例えば、上記本発明の活性成分を添加した飴、ガム、ゼリー、ビスケット、クッキー、煎餅、パン、麺、魚肉・畜肉練製品、茶、清涼飲料、コーヒー飲料、乳飲料、乳清飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト、アイスクリーム、プリン等が挙げられる。さらに、本発明の健康食品は、前記シイタケ及び所望によりその他の材料を飲用アルコールに漬けた健康酒をも含む。
そのような機能性食品である場合は、各々の食品原料に上記本発明のシイタケの抽出物またはシイタケの活性成分の所要量を添加すること以外は、その加工食品の通常の製造方法により製造することができる。この場合、本発明のシイタケの抽出物またはシイタケの活性成分の配合量は、添加する食品により異なるが、例えばシイタケの有機溶媒抽出成分の凍結乾燥重量として、例えば0.001〜10重量%、好ましくは0.1〜1重量%である。また、化合物もしくはその誘導体として配合する場合は、例えば0.0001〜10重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%である。
(医薬組成物)
本発明の「医薬組成物」は、有効成分として、上記本発明のシイタケの活性成分を含む。剤形は特に限定されないが、例えばエキス剤(軟エキス剤、乾燥エキス剤)、カプセル剤、顆粒剤、溶液、乳濁液、懸濁液、散剤、錠剤、液剤、浸剤、煎剤、トローチ剤、流エキス剤、チンキ剤、点眼剤、点鼻液、軟膏、クリーム、ローション剤、注射剤、座薬等であり得る。本発明の医薬組成物へのシイタケの抽出物またはその活性成分の配合量は剤形により異なる。また、一日あたりの有効成分投与量は、有機溶媒抽出成分の凍結乾燥重量として、例えば1〜15g、好ましくは2〜5gである。また、化合物もしくはその誘導体として配合する場合は、例えば0.1〜1.5g、好ましくは0.2〜0.5gである。
これらの製剤は、常法に従って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤、希釈剤などの医薬の製剤技術分野において通常使用し得る既知の補助剤を用いて製剤化される。
本発明のシイタケの活性成分を含有する医薬用組成物は、通常、常法に従って調製され、目的に適する形態で製剤化される。医薬品組成物は、本発明のシイタケの活性成分と、医薬の製剤技術分野で使用し得るとして知られている補助剤を含有し得る。
固形の製剤は、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、糖衣錠等であり、有効成分としての本発明の化合物と、希釈剤(例えば乳糖、デキストロース、ショ糖、セルロース、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉等)、滑沢剤(例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール等)、結合剤(例えば澱粉類、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等)、離散剤(例えば澱粉、アルギン酸、アルギン酸塩等)、飽和剤、着色料、甘味料、湿潤剤(例えばレシチン、ポリソルベート、硫酸ラウリル塩等)等を含有することができる。これらは、既知の方法例えば混合、粒状化、錠剤化、糖衣化等の方法により製剤化することができる。
液状の製剤は、例えばシロップ、溶液、乳濁液及び懸濁液の形態とすることができる。
懸濁液及び乳濁液は、担体として、例えば天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を含有することができる。
筋肉内注射用懸濁液又は溶液は、薬理学的に許容され得る担体として、例えば滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール類、例えばプロピレングリコール、及び必要に応じて適量のリドカイン塩酸塩を含有することができる。静脈注射もしくは注入用溶液は、担体として例えば滅菌水を含有することができるが、好ましくは滅菌等張食塩水溶液の形である。
本発明の健康食品及び医薬組成物は、血小板凝集に起因する疾病、例えば脳梗塞・心筋梗塞の予防、改善または治療に使用されるものである。
なお、本発明は、上記で説明した本発明のシイタケの抽出成分またはシイタケの活性成分を、所望により他の抗血小板薬と共に投与することを含む血栓症の予防または治療方法にも関する。
他の抗血小板薬の例としては、塩酸チクロピジン、シロスタゾール、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム、塩酸サルポグレラート、アスピリン・ダイアルミネート配合剤、アスピリン等が挙げられ、上記本発明の医薬組成物をこれらの抗血小板薬の一種類または二種類以上と組み合わせて投与することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。しかしながら、これらは本発明を限定するものではない。
実施例1:シイタケ抽出液の調製
生シイタケの子実体300gに500mlの0.2MTris−HCl緩衝液(pH3.0、5.0、7.0または9.0)を添加し、ホモジナイザー(マツバラ製)で3分間ホモジナイズした。その後、37℃で30分間インキュベートした。
これに、セライト50gを添加し、濾過した。濾液と残渣を各150mlのメチレンクロライドで5回抽出し、合わせた抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過した。濾液を濃縮し、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーを通すことにより脂質を除去した。
得られた油状物質をGC-MSで分析した。pH3.0、5.0、7.0及び9.0でインキュベートした場合に得られる成分を各々下記の表1に示す。
Figure 0004877664
実施例2:シイタケ抽出液の調製
生シイタケの子実体300gに500mlの0.2MTris−HCl緩衝液(pH7.0)を添加し、ホモジナイザー(マツバラ製)で3分間ホモジナイズした。その後、37℃で30分間インキュベートした。
これに、セライト50gを添加し、濾過した。濾液をL−N蒸留装置(田中理化硝子製作所製)を用い、常圧下、100℃で蒸留した。得られた留分に、メチレンクロライド80mlを添加した。有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、濾液を濃縮した。
実施例3:シイタケ抽出液の調製
37℃で30分間のインキュベートを行わないこと以外は、実施例2と同様の方法によりシイタケ抽出液を調製した。
Figure 0004877664
実施例4:シイタケ抽出液の調製
乾燥シイタケの子実体50gを、900mlの0.2MTris−HCl緩衝液(pH9.0)中に、4℃で30分間浸漬した後、 ホモジナイザー(マツバラ製)で3分間ホモジナイズし、その後、37℃で3時間インキュベートした。
これに、セライト50gを添加し、濾過した。濾液と残渣を各150mlのメチレンクロライドで5回抽出し、合わせた抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過した。濾液を濃縮し、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーを通すことにより脂質を除去した。
得られた油状物質をGC-MSで分析した。チャートを図1に示す。得られた成分を上記の表1に示す。
試験例
以下の試験例において下記の試薬及び器具を用いた。
Dulbecco’sPBS(−)溶液:日水製薬株式会社製のDulbecco’sPBS(−)9.6gを蒸留水に溶解して全量を1000mlとなるように溶解したものを使用した。
器具:測定に用いたガラス製品(キュベット等)及び金属製器具(ステアリングロッド等)は、血小板異物接触刺激によって起こる吸着、凝固を防止するために、全てシリコン(SIGMACOTE、シグマアルドリッチジャパン製)によりシリコンコーティング処理を施したものを使用した。
試験例1:レンチオニンのアラキドン酸による血小板凝集に対する抑制作用
レンチオニン(小川香料株式会社製)を、酸化防止剤としてL−アスコルビン酸パルミテートを50ppm含むエタノールに溶解し、終濃度が各々3.16×10−4、1.0×10−4、3.16×10−5、1.0×10−5、3.16×10−6、1.0×10−6、3.16×10−7、1.0×10−7となるように希釈することにより、レンチオニン希釈液を調製した。
アラキドン酸(シグマアルドリッチジャパン製)100mgを2.76mlの0.5NのNaOHに溶解し、エッペンドルフチューブに50μlずつ分注し、窒素ガスを添加後、−80℃で冷凍保存し、使用時にPBS緩衝液中でPRP中の濃度が1.5mMとなるように希釈したものを、凝集惹起物質溶液として使用した。
2週間以上服薬していない健康な成人(21〜23才)より、真空採血管を用いて血液9容量部に対し、3.8%クエン酸ナトリウム1容量部となるように採血した。
得られたクエン酸化血液を1500rpmで10分間遠心分離を行い、上層を多血小板血漿(platelet rich plasma、以下、PRPと記す)として用いた。下層をさらに3000rpmで15分間遠心分離し、その上層を乏血小板血漿(platelet poor plasma、以下PPPと記す)として用いた。
キュベットに上記で調製したPPPを300μl、他のキュベットに上記で調製したPRP300μlを分注した。これをaggregometer(NKK HEMA TRACER 1 MODEL PAT−4A,SSR ENGINEERING社)にセットし、1000rpmでスターラーを回転させて37℃でインキュベートした。
透過度は、記録計(CHROMATOPAC C−R4A、島津製作所製)により記録した。まず、PPPを入れたキュベットをセットして記録計の透過度を40000に合わせ、次にPRPを入れたキュベットをセットして記録計の透過度を0に合わせることにより、SPAN調整を行った。このSPAN調整は測定のたびに行った。
次に、上記のPRPを入れたキュベットをセットし、記録計を始動させた後、上記で調製した各濃度のレンチオニン希釈液2μlを添加し、3分後に上記で調製した凝集惹起物質溶液を18μl添加して凝集曲線の変化を10分間記録した。
対照として、レンチオニン希釈液の代わりに希釈溶媒のみを添加して、上記と同様の方法によりPRPの透過度を測定した。
血小板凝集抑制率は、下記のように求めた。
血小板凝集に伴うPRPの透過率(T%)の変化を血小板の凝集率(Agg%)の変化とみなし、その最大値を最大凝集率(Agg.max%)とした。試料を添加しないPRPおよび試料を添加したPRPについて求めた最大凝集率(それぞれT、T’とする)を求め、この値から下記式により抑制率を計算した。
抑制率(%)=(1−T’/T)×100
結果を図2のグラフに示す。グラフ中、試料の濃度は横軸に、該濃度における抑制率は縦軸に示されている。このグラフから、凝集を50%阻害する濃度(M)、即ちIC50値を求めたところ、1.62×10−4Mであった。
試験例2:レンチオニンのU−46619による血小板凝集に対する抑制作用
凝集惹起物質溶液として、上記アラキドン酸溶液の代わりに、1mgのU−46619(U−46619 1mg/酢酸メチル100μl,フナコシ株式会社製))をエタノール185μlで希釈することにより10mMのU−46619溶液として−20℃で冷凍保存したものを、使用時にPBS緩衝液でPRP中の終濃度が1μMとなるように希釈した溶液を用いること以外は、上記試験例1と同じ方法により、レンチオニンの血小板凝集に対する抑制作用を調べた。
結果を図3のグラフに示す。グラフ中、試料の濃度は横軸に、該濃度における抑制率は縦軸に示されている。このグラフから、IC50値を求めたところ、1.97×10−4Mであった。
血小板凝集抑制作用を有する化合物として、アスピリンが知られているが、アスピリンの血小板凝集抑制作用は、シクロオキシゲナーゼ阻害によるものであり、これにより強力な血小板凝集作用を有するトロンボキサンA2の産生を阻止する一方、同様の機序で産生される血小板凝集抑制作用を有するプロスタサイクリンの産生をも阻止してしまう。しかしながら、本試験例により、トロンボキサンA2の類縁化合物であるU−46619を惹起物質として使用したところ(トロンボキサンA2は不安定な化合物であるため)、この場合も血小板凝集抑制作用を示した。これにより、レンチオニンの血小板凝集抑制作用は、シクロオキシゲナーゼ阻害とは異なる作用機序によるものと考えられる。従って、本発明により、上記アスピリンを血小板凝集抑制剤として使用する場合の問題点を解決することが可能であると考えられる。
試験例3:シイタケ有機溶媒抽出物のアラキドン酸による血小板凝集に対する抑制作用
試料として、上記レンチオニン溶液の代わりに、実施例4で調製したシイタケの有機溶媒抽出物を使用したこと以外は、上記試験例1と同じ方法により、アラキドン酸による血小板凝集に対する抑制作用を調べた。
結果を図4のグラフに示す。グラフ中、試料の濃度は横軸に、該濃度における抑制率は縦軸に示されている。このグラフから、凝集を50%阻害する濃度(M)、即ちIC50値を求めたところ、201.3μg/mlであった。
これにより、シイタケの有機溶媒抽出物が高い血小板凝集抑制作用を有することが明らかである。
試験例4:シイタケ有機溶媒抽出物のU−46619による血小板凝集に対する抑制作用
試料として、上記レンチオニン溶液の代わりに、実施例4で調製したシイタケの有機溶媒抽出物を使用したこと以外は、上記試験例2と同じ方法により、U−46619による血小板凝集に対する抑制作用を調べた。
結果を図5のグラフに示す。グラフ中、試料の濃度は横軸に、該濃度における抑制率は縦軸に示されている。このグラフから、凝集を50%阻害する濃度(M)、即ちIC50値を求めたところ、549.4μg/mlであった。
これにより、シイタケの有機溶媒抽出物が高い血小板凝集抑制作用を有することが明らかである。
試験例5:
A23187、ホルボール12−ミリステート13−アセテート(以下、PMAと記す)、血小板活性化因子(以下PAFと記す)、ADPを各々惹起物質として用いた場合のレンチオニンによる血小板凝集抑制作用を調べた。
レンチオニンの希釈液としては、試験例1で調製したレンチオニン希釈液を用いた。
各惹起物質の溶液は、下記のように調製した。
A23187:和光純薬工業株式会社製のA23187をDMSOに溶解し、終濃度12.5mMのA23187溶液として冷蔵保存した。使用時にはPBS緩衝液でPRP中の終濃度が50μMとなるように希釈した。
PMA:フナコシ株式会社製のPMAをエタノールで溶解し、終濃度90μMのPMA溶液として冷蔵保存した。使用時には4%エタノール含有PBS緩衝液でPRP中の終濃度が5μMとなるように希釈した。
PAF:フナコシ株式会社製のPAF10mgをクロロホルムに溶解し、1mMのPAF溶液として−20℃で冷凍保存した。使用時には使用量をエッペンドルフチューブに分注し、クロロホルムを窒素ガスで除去した後、0.25%BSAを含有するPBS緩衝液を添加し、超音波処理を行い、PRP中の終濃度が1μMとなるように希釈した。
ADP:和光純薬工業株式会社製のADPを、PBS緩衝液でPRP中の終濃度が10μMとなるように希釈した。
2週間以上服薬していない健康な成人(21〜25才)より、真空採血管を用いて血液9容量部に対し、3.8%クエン酸ナトリウム1容量部となるように採血した。
血液は冷却により自然凝集が起こりやすいため、以下の操作は室温下で行った。採血で得られたクエン酸化血液を1500rpmで10分間遠心分離を行い、上層を多血小板血漿(platelet rich plasma、以下、PRPと記す)として用いた。下層をさらに3000rpmで15分間遠心分離し、その上層を乏血小板血漿(platelet poor plasma、以下PPPと記す)として用いた。血小板は採血後3時間程で血小板機能の低下が見られるため、採血後3時間以内に使用した。
血小板凝集能測定
PRPに血小板凝集惹起物質を加えて撹拌すると、血小板は急速に凝集塊を作り、血小板凝集塊が生じるに従ってPRPの透過度は高くなる。血小板凝集能の測定は、この現象を利用して行った。
血小板凝集能は、aggregometer(NKK HEMA TRACER 1 MODEL PAT−4A,SSR ENGINEERING社)を用いて測定した。キュベットは37℃でインキュベートし、スターラーの回転速度は、1000rpmになるようにセットした。
透過度は、記録計(CHROMATOPAC C−R4A、島津製作所製)により記録した。まず、キュベットにステアリングロッドを入れたものを用意し、一方のキュベットにはPPPを300μl入れ、他方のキュベットにはPRPを300μl分注した。次に、PPPを入れたキュベットをセットして記録計の透過度を40000に合わせ、次にPRPを入れたキュベットをセットして記録計の透過度を0に合わせることにより、SPAN調整を行った。このSPAN調整は測定のたびに行った。
次に、上記のPRPを入れたキュベットをセットし、記録計を始動させた後、上記で調製した各濃度のレンチオニン希釈液2μlを添加し、3分後に上記で調製した凝集惹起物質溶液を18μl添加して凝集曲線の変化を10分間記録した。
対照として、レンチオニン希釈液の代わりに希釈溶媒のみを添加したものを用いた。
血小板凝集抑制率は、試験例1と同じ方法により求めた。
結果を図6のグラフに示す。
図6より明らかなように、細胞内のCaイオン濃度を上昇させることで血小板凝集を引き起こすA23187、プロテインキナーゼCを活性化させることで血小板凝集を引き起こすPMA、血小板活性化物質であるPAF,血小板凝集に伴い血小板中の濃染顆粒より放出され、他の血小板に作用を及ぼすADPのいずれの惹起物質によって引き起こされる血小板凝集に対しても、レンチオニンは抑制効果を示した。各惹起物質の作用機序を図7にまとめる。これにより明らかなように、レンチオニンは、血小板内の情報伝達物質による血小板凝集カスケードには関与せず、血小板の接着や放出反応などの形態変化、もしくはそれに伴うタンパク質のリン酸化を抑制していると考えられる。
試験例6:
レンチオニンの血小板凝集抑制作用が、構造のどの部分に起因しているのかを検討するため、レンチオニンと構造の類似した環状イオウ化合物を合成し、それぞれの血小板凝集抑制作用を測定することで、構造活性相関を調べた。
まず、レンチオニンのジスルフィド構造と環状構造に着目し、ジスルフィド構造を有する環状硫黄化合物である1,2−ジチエパン、1,2−ジチアンを合成し、レンチオニンの作用と比較した。
1,2−ジチエパンの合成
4.02mol(547.84g)の1,5−ペンタンジチオールを5mlのジクロロメタンに溶解し、2.5mlの純水で水和したシリカゲル5gを加えたジクロロメタン25mlの中に加え、撹拌しながら3.5mlのジクロロメタンに溶解した臭素4.06mmol(208.97mg)を滴下した。滴下終了後、10分間撹拌し、濾紙で濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:ジクロロメタン:ヘキサン=1:2)を行い、1,2−ジチエパンを得た。
1,2−ジチアンの合成
4.02mol(491.45mg)の1,4−ブタンジチオールを5mlのジクロロメタンに溶解し、2.5mlの純水で水和したシリカゲル5gを加えたジクロロメタン25mlの中に加え、撹拌しながら3.5mlのジクロロメタンに溶解した臭素4.06mmol(208.97mg)を滴下した。滴下終了後、10分間撹拌し、濾紙で濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:ジクロロメタン:ヘキサン=1:2)を行い、1,2−ジチアンを得た。
上記で合成した1,2−ジチエパン、1,2−ジチアンをレンチオニンの希釈液と同じ希釈率で希釈し、試験例1と同様の方法でアラキドン酸による血小板凝集の抑制作用を調べ、試験例1と同様の方法によりIC50値を求めた。結果を図8に示す。図より明らかなように、レンチオニンのIC50は、1,2−ジチエパン、1,2−ジチアンのIC50より低く、レンチオニンの血小板凝集抑制作用が、1,2−ジチエパン、1,2−ジチアンの凝集抑制作用より高いことがわかる。
試験例7:
アラキドン酸凝集を100%抑制する濃度におけるレンチオニン、1,2−ジチエパン、1,2−ジチアンの種々の惹起物質に対する血小板凝集抑制作用を、試験例5と同様の方法により調べた。結果を図9のグラフに示す。グラフより明らかなように、レンチオニンはいずれの惹起物質による血小板凝集も抑制するが、1,2−ジチエパン、1,2−ジチアンは、アラキドン酸以外の惹起物質による血小板凝集の抑制作用が低く、特にA23817やPMAに対する抑制作用はほとんどなかった。このことからレンチオニンの血小板凝集抑制は、ジスルフィド構造のみにあるのではないことがわかった。
本発明により、血栓症の予防または改善に有効な健康食品および血栓症の予防または治療用医薬組成物が提供される。

Claims (7)

  1. シイタケの有機溶媒による抽出物を有効成分として含有する血栓症の予防または治療用医薬組成物。
  2. 抽出成分としてレンチオニンを含有するシイタケの有機溶媒による抽出物を有効成分として含有する血栓症の予防または治療用医薬組成物。
  3. 前記有機溶媒がメチレンクロライドまたはエタノールであることを特徴とする請求項1または2記載の血栓症の予防または治療用医薬組成物。
  4. 前記有機溶媒がメチレンクロライドであることを特徴とする請求項1または2記載の血栓症の予防または治療用医薬組成物。
  5. 前記抽出物がシイタケの子実体の抽出物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  6. 前記抽出物が、シイタケを破砕した後、3〜70℃の温度で1分間以上放置した後に、抽出されたものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  7. レンチオニンを有効成分として含有する血栓症の予防または治療用医薬組成物。
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