JP4877021B2 - 熱転写受像シートの製造方法、および、熱転写受像シート形成用塗工液 - Google Patents

熱転写受像シートの製造方法、および、熱転写受像シート形成用塗工液 Download PDF

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Description

本発明は、昇華型熱転写方式による印画に用いられる熱転写受像シートの製造方法、および、これに用いられる熱転写受像シート形成用塗工液に関するものである。
従来、熱転写を利用した画像の形成方法として、記録材としての熱拡散型染料(昇華型染料)をプラスチックフィルム等の基材シート上に担持させた熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の別の基材シート上に受容層を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせてフルカラー画像を形成する熱拡散型転写方式(昇華型熱転写方式)が知られている。この方法は、熱拡散型染料を色材として用いるためドット単位で濃度、階調を自由に調節でき、原稿通りのフルカラー画像を受像シート上に鮮明に表現することができることから、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用されている。なお、その画像は、銀塩写真に匹敵する高品質なものであると評価されている。
上記熱転写受像シートを作製する方法としては、これまで、グラビアコート等により、基材シート上に多孔質層や受容層を順次形成する方法が用いられてきた。しかしながら、この方法は各層を順次形成する方法であるため、工程数が多くなるといった問題があった。そのため、より少ない工程数で熱転写受像シートを作製するため、同時に複数の層を形成する方法等が注目を浴びている。
例えば、特許文献1においては、基材上に、断熱層や受容層等の複数の層を同時重層塗布することにより形成した熱転写受像シートが開示されている。具体的には、同時重層塗布の塗布方式としてスライドコート法を用いて、熱転写受像シートを得たことが記載されている(実施例:熱転写受像シート5の作製)。また、特許文献2においては、水性中間層と水性受容層を同時塗布することを特徴とする熱転写受像シートの製造方法が開示されており(請求項1)、さらに、特許文献3においては、水溶性樹脂を最表層に有するインクジェット記録媒体が開示されており(請求項1)、インク受容層用塗布液と塩基性溶液とを同時塗布することについて記載されている。
このように、複数の層を同時に形成することにより、熱転写受像シートを製造する方法は、製造効率や製造コスト等において非常に有利な面がある。しかしながら、その一方で各層を混合させることなく均一に形成することが困難であるという問題点があった。例えば、スライドコート法においては、各層を構成する塗工液を上下に重ねた状態のまま基材シート上に塗布する必要があるが、各塗工液の粘度や表面張力が適当でないと、各塗工液間で混ざりやはじきが発生してしまい、各層の膜厚を均一に保つことができないという問題があった。
特開2006−88691公報 特開平6−171240号公報 特開2006−103040公報
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、基材シート上に多孔質層を含む複数の層を、互いに混合することなく、同時に形成することが可能な熱転写受像シートの製造方法を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、中空粒子および冷却ゲル化剤を含む水系の多孔質層形成用塗工液を用い、基材シート上に多孔質層を含む複数の層を同時に塗布する、同時多層塗布工程と、上記同時多層塗布工程において、基材シート上に形成された複数の層からなる塗膜(以下、単に「多層塗膜」と称する場合がある。)を強制冷却する冷却処理工程とを有する熱転写受像シートの製造方法であって、上記多孔質層形成用塗工液の粘度が、40℃において5mPa・s〜300mPa・sの範囲内であり、かつ、20℃において0.5Pa・s〜15Pa・sの範囲内であることを特徴とする、熱転写受像シートの製造方法を提供する。
本発明によれば上記多孔質層形成用塗工液の粘度が40℃において5mPa・s〜300mPa・sの範囲内であることにより、上記同時多層塗布工程において上記多孔質層形成用塗工液をムラ無く均一に、基材シート上に塗工することができる。
また、上記多孔質層形成用塗工液の粘度が20℃において0.5Pa・s〜15Pa・sの範囲内であることにより、上記冷却処理工程において上記多孔質層と、当該多孔質層に隣接する他の層とが混合することを防止できる。
このようなことから、本発明によれば多孔質層を含む複数の層を、互いに混合することなく、同時に形成することができる。
本発明においては、上記同時多層塗布工程が、受容層形成用樹脂および冷却ゲル化剤を含む水系の受容層形成用塗工液を用い、上記基材シート上に、上記多孔質層と、上記多孔質層上に配置される受容層とを同時に塗布するものであってもよい。上記同時多層塗布工程が受容層も同時に形成するものであることにより、より少ない工程で熱転写受像シートを製造することができるからである。
また、本発明においては上記冷却ゲル化剤がゼラチンであることが好ましい。ゼラチンは冷却されることにより三重へリックス構造を一部回復してゲル化する性質を有することから、上記冷却ゲル化剤としてこのようなゼラチンを用いることにより、上記多孔質層形成用塗工液等に所定の粘度特性を付与することが容易になるからである。
また本発明は、冷却ゲル化剤と、水系溶媒とを含有し、粘度が、40℃において1mPa・s〜300mPa・sの範囲であり、かつ、20℃において0.01Pa・s〜15Pa・sの範囲内であることを特徴とする熱転写受像シート形成用塗工液を提供する。
本発明によれば、冷却ゲル化剤を含有し、かつ、粘度が上記範囲内であることにより、高温においては比較的低粘性を示し、かつ、低温においては比較的高粘性を示すことから、例えば、上記本発明の熱転写受像シートの製造方法のような、同時多層塗布工程と、冷却ゲル化工程とを有する熱転写受像シートの製造方法を用いることにより、基材シート上に複数の層を互いに混合することなく同時に形成することが可能になる。このため、本発明の熱転写受像シート形成用塗工液によれば高効率で熱転写受像シートを形成することができる。
本発明の熱転写受像シートの製造方法は、基材シート上に多孔質層を含む複数の層を、互いに混合することなく、同時に形成することができることから、効率良く熱転写受像シートを製造することができるという効果を奏する。
本発明は熱転写受像シートの製造方法、および、熱転写受像シート形成用塗工液に関するものである。
以下、本発明の熱転写受像シートの製造方法、および、熱転写受像シート形成用塗工液について順に説明する。
A.熱転写受像シートの製造方法
まず、本発明の熱転写受像シートの製造方法について説明する。本発明の熱転写受像シートの製造方法は、中空粒子および冷却ゲル化剤を含む水系の多孔質層形成用塗工液を用い、基材シート上に多孔質層を含む複数の層を同時に塗布する同時多層塗布工程と、上記同時多層塗布工程において基材シート上に形成された多層塗膜を強制冷却する冷却処理工程とを有するものであって、上記多孔質層形成用塗工液の粘度が、40℃において5mPa・s〜300mPa・sの範囲内であり、かつ、20℃において0.5Pa・s〜15Pa・sの範囲内であることを特徴とするものである。
このような本発明の熱転写受像シートの製造方法について図を参照しながら説明する。図1は、本発明の熱転写受像シートの製造方法の一例を示す概略図である。図1に例示するように、本発明の熱転写受像シートの製造方法は、基材シート1を用い(図1(a))、上記基材シート1上に、中空粒子および冷却ゲル化剤を含む多孔質層形成用塗工液および、受容層形成用樹脂および冷却ゲル化剤を含む受容層形成用塗工液を同時に塗布することにより、上記基材シート1上に多孔質層21と受容層22とがこの順で積層された多層塗膜2を形成する同時多層塗布工程と(図1(b))、上記多層塗膜2を強制冷却する冷却処理工程と(図1(c))、を有するものであり、上記基材シート1上に多孔質層21と受容層22とからなる多層塗膜2が形成された構成を有する熱転写受像シート10を製造するものである(図1(d))。
このような例において、本発明の熱転写受像シートの製造方法は、上記同時多層塗布工程(図1(b))に用いられる上記多孔質層形成用塗工液の粘度が40℃において5mPa・s〜300mPa・sの範囲内であり、かつ、20℃において0.5Pa・s〜15Pa・sの範囲内であることを特徴とするものである。
本発明によれば上記多孔質層形成用塗工液の粘度が40℃において5mPa・s〜300mPa・sの範囲内であることにより、上記同時多層塗布工程において上記多孔質層形成用塗工液をムラ無く均一に、基材シート上に塗工することができる。
また、上記多孔質層形成用塗工液の粘度が20℃において0.5Pa・s〜15Pa・sの範囲内であることにより、上記冷却処理工程において上記多孔質層と、当該多孔質層に隣接する他の層とが混合することを防止できる。
このようなことから、本発明によれば多孔質層を含む複数の層を、互いに混合することなく、同時に形成することができる。
本発明の熱転写受像シートの製造方法は、少なくとも同時多層塗布工程と、冷却処理工程と、を有するものであり、必要に応じて任意の他の工程が用いられてもよいものである。
以下、本発明に用いられる各工程について詳細に説明する。
1.同時多層塗布工程
まず、本発明に用いられる同時多層塗布工程について説明する。本工程は、中空粒子および冷却ゲル化剤を含む水系の多孔質層形成用塗工液を用い、基材シート上に多孔質層を含む複数の層を同時に塗布する工程である。
以下、このような同時多層塗布工程について詳細に説明する。
(1)多孔質層形成用塗工液
まず、本工程に用いられる多孔質層形成用塗工液について説明する。本工程に用いられる多孔質層形成用塗工液は、少なくとも中空粒子および冷却ゲル化剤を含み、これらが水系溶媒に分散・溶解されたものである。また、本工程に用いられる多孔質層形成用塗工液は粘度が、40℃において5mPa・s〜300mPa・sの範囲内であり、かつ、20℃において0.5Pa・s〜15Pa・sの範囲内であることを特徴とするものである。
本工程に用いられる多孔質層形成用塗工液の粘度を上記範囲内に規定するのは、次のような理由に基づくものである。すなわち、40℃における粘度が上記範囲外であると、本工程において基材シート上に上記多孔質層形成用塗工液を塗布する際に、スジやムラなどが生じてしまい、塗工品質が損なわれてしまうが、上記範囲内であることにより均一に塗工することが可能になるからである。ここで、上記多孔質層形成用塗工液の40℃における粘度としては、上記範囲内であれば特に限定されるものではないが、なかでも1mPa・s〜50mPa・sの範囲であることが好ましく、特に5mPa・s〜40mPa・sの範囲内であることが好ましい。
また、20℃における粘度が上記範囲外であると、後述する冷却処理工程において本工程において形成される多孔質層の粘度が不十分となり、当該多孔質層に隣接する他の層とが混合してしまうが、上記範囲内であればそのような問題がないからである。ここで、上記多孔質層形成用塗工液の20℃における粘度としては、上記範囲内であれば特に限定されるものではないが、なかでも0.5Pa・s〜10Pa・sの範囲であることが好ましく、特に1Pa・s〜7Pa・sの範囲内であることが好ましい。
なお、上記粘度は、例えばエー・アンド・ディ社製 音叉型振動式粘度計 SV−10を用いて測定することができる。
本工程に用いられる多孔質層形成用塗工液の粘度は、多孔質層形成用塗工液の組成を任意に調整することにより上記範囲内に調整することができるが、本発明においては多孔質層形成用塗工液に含まれる冷却ゲル化剤の種類および含有量等を変更することにより、容易に調整することができる。
本工程に用いられる冷却ゲル化剤としては、冷却されることによりゲル化する性質を有するものであり、上記多孔質層形成用塗工液に上述した粘度特性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。
このような冷却ゲル化剤としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ペクチン等を挙げることができる。
ここで、上記ゼラチンは三重へリックス構造を有するコラーゲンを変性させることによって得られるペプチド鎖からなるものであり、冷却されることにより部分的に上記三重へリックス構造を回復し、回復された三重へリックス構造を起点として三次元ネットワークを形成することにより、冷却ゲル化特性を示すものである。
上記ポリビニルアルコールは、通常、Naと併用され、Naとの間で水素結合を形成することにより、当該水素結合を起点として三次元ネットワークを形成することによって、冷却ゲル化特性を示すものである。
上記κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、および、ι−カラギーナンは、紅藻類海藻から抽出される分子量100000〜500000程度のガラクトース、3,6−アンヒドロガラクトースを主成分とする天然高分子化合物である。分子内に半エステル型の硫酸基を有することを特徴とするものであり、通常、ローカストビーンガムや、炭酸塩等の増粘剤と併用されることにより、冷却ゲル化特性を示すものである。
上記ペクチンは、植物の細胞壁を構成する天然多糖類であり、イオン性の化合物と併用されることにより、冷却ゲル化特性を示すものである。
本工程においては、上記冷却ゲル化剤のいずれであっても好適に用いることができる。また、本工程においては、1種類の冷却ゲル化剤のみを用いてもよく、あるいは、2種類以上の冷却ゲル化剤を用いてもよい。なかでも本工程においては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、κ−カラギーナン、または、ペクチンを用いることが好ましく、特にゼラチンを用いることが好ましい。ゼラチンは上述したような機構により冷却ゲル化特性を示すものであることから、冷却ゲル化特性を発現させるために他の化合物を併用する必要が無いからである。また、工業的にも広く用いられている材料であることから、入手容易性の面において有利であり、本発明への適用が容易だからである。
上記多孔質層形成用塗工液に含まれる冷却ゲル化剤の量としては、冷却ゲル化剤の種類に応じて、上記多孔質層形成用塗工液に所定の粘度特性を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程おいては、50質量%以下であることが好ましく、特に5質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましく、さらに5質量%〜35質量%の範囲内であることが好ましい。
上記多孔質層形成用塗工液に用いられる中空粒子としては、所望の断熱性およびクッション性を有する多孔質層を得ることができるものであれば特に限定されるものではない。したがって、本工程に用いられる中空粒子は発泡粒子であってもよく、あるいは、非発泡粒子であってもよい。また、上記発泡粒子は、独立発泡粒子であってもよく、あるいは、連続発泡粒子であってもよい。
さらに、本工程に用いられる中空粒子は、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラス等から構成される無機系中空粒子あるいは多孔質粒子であってもよい。また、上記中空粒子は、架橋中空粒子であってもよい。
上記中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン−アクリル樹脂等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
上記中空粒子の平均粒径としては、例えば0.1μm〜15μmの範囲内、なかでも0.1μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。平均粒径が小さすぎると、中空粒子の使用量が増えコストが高くなり、平均粒径が大きすぎると、平滑な多孔質層を形成することが困難になるからである。
上記多孔質層形成用塗工液に含まれる中空粒子の固形分濃度としては、所望の断熱性およびクッション性を有する多孔質層を得ることができる範囲内であれば特に限定されるものではないが、例えば20質量%〜90質量%の範囲内、なかでも40質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましい。含有量が少なすぎると、多孔質層における空隙が少なくなり、充分な断熱性およびクッション性が得られない場合があり、含有量が多すぎると接着性が劣る場合や、表面の平滑性が損なわれる場合があるからである。
本工程に用いられる多孔質層形成用塗工液は、上記冷却ゲル化剤および中空粒子が水系溶媒に分散・溶解されたものであるが、本工程に用いられる「水系溶媒」とは、水を主成分とする溶媒をいう。水系溶媒における水の割合は、通常50質量%以上であり、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。本工程に用いられる上記水以外の溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等を挙げることができる。
本工程に用いられる多孔質層形成用塗工液には、上記中空粒子および冷却ゲル化剤以外の他の添加剤が含まれていてもよい。このような他の添加剤としては、多孔質層形成用バインダー、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、および、分散剤等を挙げることができる。
上記多孔質層形成用バインダーとしては、通常、水系樹脂が用いられる。このような水系樹脂としては、例えば、アクリル系ウレタン樹脂等のポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオイキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、特開平7−195826号公報及び同7−9757号公報に記載のポリアルキレノキサイド系共重合ポリマー、水溶性ポリビニルブチラール、あるいは、特開昭62−245260号公報に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独重合体や共重合体等を挙げることができる。また、上記樹脂の2種類以上を組み合わせて用いても良い。
(2)基材シート
次に、本工程に用いられる基材シートについて説明する。本工程に用いられる基材シートは、本工程おいて形成される多層塗膜を支持する機能を有するものである。
本工程に用いられる基材シートとしては、本発明の熱転写受像シートの製造方法により得られる熱転写受像シートを用いて画像を形成する際の印画温度等に応じて、所望の耐熱性を備えるものであれば特に限定されるものではない。このような基材シートの具体的としては、レジンコート紙、樹脂製フィルム基材、および紙製基材等を挙げることができる。なかでも本工程においては、レジンコート紙を用いることが好ましい。
レジンコート紙は、通常、基紙の両面に基材樹脂層を積層してなるものである。上記基紙を構成する原紙としては、例えば、天然パルプ、合成パルプ、それらの混合物から抄紙されるパルプ紙等を挙げることができ、なかでも木材パルプを主成分とする紙を用いることが好ましい。また、上記原紙は、必要に応じて後述するカレンダー処理等の従来公知の処理を施したものであっても良い。
上記基紙は、厚みが10μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、50μm〜300μmの範囲内であることがより好ましい。
また、上記基紙は、公知の方法によって作製することができるが、原紙に対してカレンダー処理することによって作製されたものが好ましい。原紙にカレンダー処理をした基紙を用いると、平滑度を向上することができ、得られる熱転写受像シートの光沢感を高めることができるからである。
上記基材樹脂層を形成するための樹脂としては、ネックインが小さく、ドローダウン性が良好な樹脂であることが好ましく、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アイオノマー樹脂、ナイロン、ポリウレタン等を挙げることができ、耐水性、強度、光沢等に優れたフィルムが得られる点で、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
上記ポリオレフィン樹脂としては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等を挙げることができ、中でも高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、特にポリプロピレンが好ましい。
上記基材樹脂層は、上記樹脂を1種もしくは2種以上混合して得られるフィルムまたはシートであっても良いし、上記樹脂に加え、顔料、充填剤等を加えて成膜したフィルムまたはシートであっても良い。また、上記樹脂は、改質剤等の添加剤を配合し、接着性を向上させたものであっても良い。上記改質剤としては、例えば、タフマー(三井化学社製)等のオレフィン系コポリマー等を挙げることができる。
上記レジンコート紙は、例えばドライラミネーション、ウェットラミネーション、エクストリュージョン等の公知の積層方法により作製することができる。上記各層は、層間密着力を向上させることを目的として、その表面に適宜プライマー処理やコロナ放電処理を施すことができる。
上記レジンコート紙の厚みは、全体で、例えば10μm〜1000μmの範囲内、中でも50μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。
一方、本工程に用いられる樹脂製フィルム基材としては、例えば、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等からなるフィルムを挙げることができる。なかでも本工程においては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン樹脂からなるフィルムを好適に用いることができる。
上記樹脂製フィルム基材の厚みとしては、例えば20μm〜100μmの範囲内、中でも、25μm〜60μmの範囲内、特に30μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
本工程に用いられる紙製基材としては、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、または、サイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、セルロース繊維紙等を挙げることができる。
上記紙製基材の厚みとしては、例えば80μm〜200μmの範囲内、中でも100μm〜180μmの範囲内、特に120μm〜160μmの範囲内であることが好ましい。
(3)同時多層塗布方法
次に、上記多孔質層形成用塗工液を用い、上記基材シート上に多孔質層と、多孔質層を含む複数の層を同時に塗布する方法について説明する。
本工程において上記基材シート上に、多孔質層を含む複数の層を同時に塗布する方法としては、各層が交じり合うことなく、均一な厚みで塗布することができる方法であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、通常、各層を形成する塗工液を上下に重ねた状態のままスライドさせて塗布するスライドコート法が用いられる。
ここで、スライドコート法とは、例えば、図2に示すように、熱転写受像シートの各層を構成する複数の塗工液11〜13を上下に重ねた状態のまま、バックロール14に巻きつけた基材シート15に塗布する方法である。塗工品質の観点から見ると、スライドコート法は、膜厚均一性に優れ、回転部がないため塗工液の飛散による品質不良が発生しにくく、摩擦部がないため塗布部での原反切れの発生によるロスが発生しにくいという利点を有する。また、塗工液のハンドリング性の観点から見ると、スライドコート法は、塗工液の濃度、粘度、組成が変化しにくく、反応性が高く経時的に変化する塗工液を用いることができ、さらに塗工液を使い切ることができることから無駄が生じにくく、また、高固形分塗工液を用いることができるため、溶媒使用量を削減することができるという利点を有する。
本工程において、上記基材シート上に多孔質層を含む複数の層を同時に塗布する実施態様としては、少なくとも上記多孔質層と、上記多孔質層に隣接する他の層とを同時に塗布する実施態様であれば特に限定されるものではない。このような実施態様としては、上記多孔質層と、上記多孔質層上に配置され、染料染着性を備える受容層とを同時に塗布する実施態様(第1実施態様)と、上記多孔質層と、上記受容層以外の他の層とを同時に塗布する実施態様(第2実施態様)とを挙げることができる。
上記第1実施態様としては、上記多孔質層と上記受容層とを同時に塗布する態様であれば特に限定されるものではない。このような態様としては、例えば、基材シート上に上記多孔質層と、上記多孔質層上に配置される上記受容層とを同時に塗布する態様、基材シート上に、上記基材シートとの密着性を向上させる下引き層と、上記下引き層上に配置される上記多孔質層と、上記多孔質層上に配置される上記受容層とを同時に塗布する態様、および、基材シート上に上記下引き層と、上記下引き層上に配置される多孔質層と、上記多孔質層上に配置され、上記受容層を形成するために設けられるプライマー層と、上記プライマー層上に配置される上記受容層とを同時に塗布する態様を例示することができる。
一方、上記第2実施態様としては、上記基材シート上に、上記基材シートとの密着性を向上させる下引き層と、上記下引き層上に配置される多孔質層とを同時に塗布する態様、上記下引き層と、上記下引き層上に配置される多孔質層と、上記多孔質層上に配置され、受容層を形成するために設けられるプライマー層とを同時に塗布する態様を例示することができる。
本工程においては、上記第1実施態様および上記第2実施態様のいずれであっても好適に用いることができるが、なかでも上記第1実施態様、すなわち、上記多孔質層と、上記多孔質層上に配置され、染料染着性を備える受容層とを同時に塗布する実施態様が好ましい。熱転写受像シートは上記受容層を備えることにより、熱転写受像シートとしての機能を発現できるものになるところ、上記第1実施態様によれば1工程で上記受容層を含む多層を同時に塗布することができるため、より高い製造効率で熱転写受像シートを製造することができるからである。また、本工程においては、上記第1実施態様のなかでも、基材シート上に上記下引き層と、上記下引き層上に配置される多孔質層と、上記多孔質層上に配置されるプライマー層と、上記プライマー層上に配置される上記受容層とを同時に塗布する態様を用いることが好ましい。このような態様によれば各層の密着性に優れ、印画感度に優れた熱転写受像シートを得ることができるからである。
以下、このような態様に用いられる、上記受容層、上記下引き層および上記プライマー層を形成するために用いられる受容層形成用塗工液、下引き層形成用塗工液、および、プライマー層形成用塗工液等について順に説明する。
a)受容層形成用塗工液
まず、上記受容層形成用塗工液について説明する。上記受容層形成用塗工液としては、染料染着性に優れた受容層を形成できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、上記受容層形成用塗工液として受容層形成用樹脂と冷却ゲル化剤とが水系溶媒に分散・溶解されたものを用いられることが好ましい。このような組成の受容層形成用塗工液が用いられることにより、上記多孔質層形成用塗工液と同時に塗布した際に、両塗工液が混合してしまうことを効果的に防止することができるからである。
上記受容層形成用樹脂としては、染料染着性を有し、かつ、水系溶媒に溶解・分散できるものであれば特に限定されるものではない。このような受容層形成用樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、または、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。本工程においては、これらの受容層形成用樹脂のいずれであっても好適に用いることができる。また、本工程においては、上記受容層形成用樹脂を1種のみを用いてもよく、単量体組成、平均分子量等が異なる2種以上を用いてもよい。なかでも本工程においてはポリビニル系樹脂を用いることが好ましい。
本工程に好適に用いられる上記ポリビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体、エチレン/塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体等を挙げることができる。
上記塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体は、塩化ビニルと酢酸ビニルとからなる共重合体であれば特に限定されず、塩化ビニルおよび酢酸ビニルに加えてこれら必須単量体と共重合可能な単量体を少量重合したものであってもよいが、塩化ビニル/酢酸ビニル2元共重合体であることが好ましい。
上記塩化ビニル/アクリル化合物共重合体は、塩化ビニルとアクリル化合物とからなる共重合体であれば特に限定されず、塩化ビニルおよびアクリル化合物に加えてこれら必須単量体と共重合可能な単量体をも少量共重合したものであってもよいが、塩化ビニル/アクリル化合物2元共重合体であることが好ましい。
なお、本明細書において、「アクリル化合物」とは、(メタ)アクリル酸および/またはそのアルキルエステルを意味する。
上記アクリル化合物としては、例えば、アクリル酸;アクリル酸カルシウム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸アルミニウム等のアクリル酸塩;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等のメタクリル酸エステル等を挙げることができる。
上記エチレン/塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体およびエチレン/酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体(以下、各共重合体を総称して、「エチレン/塩化ビニル系共重合体」といもいう。)は、少なくとも、エチレン、塩化ビニルおよびアクリル酸エステルの3種、または、エチレン、酢酸ビニルおよび塩化ビニルの3種の単量体を重合して得られる共重合体であれば特に限定されず、これらの3種の単量体以外に少量の微量単量体を共重合したものであっても良いが、エチレン/塩化ビニル/アクリル酸エステル3元共重合体またはエチレン/酢酸ビニル/塩化ビニル3元共重合体であることが好ましい。
上記エチレン/酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体は、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)と塩化ビニルとの共重合体であっても良く、該EVA/塩化ビニル共重合体としては、EVAに塩化ビニルをグラフト共重合したものであっても良い。EVAは、該共重合体における酢酸ビニル単位の全部または一部が鹸化されたものをも含む。
本工程において、上記エチレン/塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体を構成する「アクリル酸エステル」は、アクリル酸エステルに加え、メタクリル酸エステルをも含む概念である。上記アクリル酸エステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等を挙げることができ、上記メタクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸−1,3−ブチレン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等を挙げることができる。
上記受容層形成用樹脂は、ガラス転移温度が20℃以上であるものが好ましく、30℃以上であるものがより好ましく、40℃以上であるものがさらに好ましい。また、上記受容層形成用樹脂はガラス転移温度が100℃以下であるものが好ましい。本工程において、上記範囲内のガラス転移温度を有する受容層形成用樹脂を受容層として有する場合、特に耐熱性に優れた熱転写受像シートを得ることができる。
上記受容層形成用塗工液に用いられる冷却ゲル化剤としては、上記受容層形成用塗工液に所望の粘度特性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。このような冷却ゲル化剤としては、上記多孔質層形成用塗工液に用いられるものと同様のものを用いることができる。
また、上記受容層形成用塗工液に用いられる水系溶媒についても、上記多孔質層形成用塗工液に用いられるものと、同様のものを用いることができる。
上記受容層形成用塗工液中に含まれる冷却ゲル化剤の含有量としては、上記受容層形成用塗工液に所望の粘度特性を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、受容層形成用塗工液の固形分重量換算で50質量%以下であることが好ましく、特に5質量%〜35質量%の範囲内であることが好ましく、さらに5質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。冷却ゲル化剤の含有量が上記範囲よりも少ないと、例えば、本工程において上記多孔質層と上記受容層とが基材シート上に塗布された際に、両層が混合してしまうおそれがあるからである。また、上記範囲よりも多いと、例えば、本工程において上記受容層形成用塗工液を上記基材シート上に塗布する際に、スジやムラなどが生じやすくなる場合があるからである。
上記受容層形成用樹脂および上記冷却ゲル化剤以外に、上記受容層形成用塗工液に添加することができる添加剤としては、例えば離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料、帯電防止剤、可塑剤、熱溶融性物質、および界面活性剤等を挙げることができる。
上記離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系化合物等、公知のものが挙げられるが、特に、シリコーンオイルが好ましい。
上記シリコーンオイルとしては、エポキシ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、ビニル変性シリコーンオイル、ハイドロジェン変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイルが好ましい。上記離型剤は、上述の受容層形成用樹脂100質量部に対して、0.5質量部〜30質量部の範囲内となるように添加することが好ましい。
なお、上記離型剤としてはこれらのシリコーンオイルがエマルジョン化されたものを用いてもよい。
受容層形成用塗工液の固形分濃度としては、例えば10質量%〜50質量%の範囲内、なかでも10質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましい。固形分濃度が低すぎると、溶媒の大半が無駄になる可能性があり、固形分濃度が高すぎると、塗工液の保存安定性が低下し、粘度が上昇する可能性があるからである。
上記受容層形成用塗工液の粘度としては、本工程において基材シート上に同時に塗布される他の塗工液と混合しない程度であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、40℃において、1mPa・s〜40mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に5mPa・s〜30mPa・sの範囲内であることが好ましく、さらに7mPa・s〜25mPa・sの範囲内であることが好ましい。
b)下引き層形成用塗工液
次に、上記下引き層形成用塗工液について説明する。本工程に用いられる下引き層形成用塗工液は、基材シートに接するように塗工され、基材シートと他の層との密着性を向上させるために設けられる下引き層を形成するために用いられるものである。下引き層を設けることにより、本発明により製造される熱転写受像シートを基材シートと多孔質層との密着性に優れたものにできる。
本工程に用いられる下引き層形成用塗工液としては、基材シートとの密着性を所望の程度に向上できる下引き層を形成できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、通常、下引き層形成用樹脂と、冷却ゲル化剤とが水系溶媒に分散・溶解されたものを用いることが好ましい。このような組成の下引き層形成用塗工液を用いることにより、上記下引き層形成用塗工液と同時に塗布される他の塗工液と混合してしまうことを効果的に防止することができるからである。
上記下引き層形成用樹脂としては、基材シートと多孔質層との密着性を向上させることができ、かつ、水系溶媒に溶解・分散できるものであれば特に限定されるものではないが、通常、水系樹脂が用いられる。上記水系樹脂としては、上記多孔質層形成用塗工液に用いられるものと同様のものを用いることができる。
上記下引き層形成用塗工液に用いられる冷却ゲル化剤としては、上記下引き層形成用塗工液に所望の粘度特性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。このような冷却ゲル化剤としては、上記多孔質層形成用塗工液に用いられるものと同様のものを用いることができる。
また、上記下引き層形成用塗工液に用いられる水系溶媒についても、上記多孔質層形成用塗工液に用いられるものと、同様のものを用いることができる。
上記下引き層形成用塗工液中に含まれる下引き層形成用樹脂と、冷却ゲル化剤との比率としては、上記下引き層形成用塗工液に所望の粘度特性を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、冷却ゲル化剤が、下引き層形成用塗工液の固形分重量換算で50質量%以下であることが好ましく、特に5質量%〜35質量%の範囲内であることが好ましく、さらに5質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。冷却ゲル化剤の含有比が上記範囲よりも少ないと、例えば、本工程において上記下引き層形成用塗工液が基材シート上に塗布された際に、他の塗工液と混合してしまうおそれがあるからである。また、上記範囲よりも多いと、例えば、本工程において上記下引き層形成用塗工液を上記基材シート上に塗布する際に、スジやムラなどが生じやすくなる場合があるからである。
上記下引き層形成用樹脂および上記冷却ゲル化剤以外に、上記下引き層形成用塗工液に添加することができる添加剤としては、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ材、分散剤等を挙げることができる。上記硬化剤は、例えば、下引き層形成用樹脂として、活性水素を有する熱可塑性樹脂を用いた場合等に特に有効である。
また、上記下引き層形成用塗工液には、中空粒子を含有させることもできる。上記下引き層形成用塗工液中に中空粒子を含有させる場合、その固形分濃度は20質量%〜90質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも40質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましい。なお、上記下引き層形成用塗工液に用いられる中空粒子については、上述した多孔質層形成用塗工液に用いられるものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本工程において、下引き層形成用塗工液の固形分濃度としては、例えば1質量%〜50質量%の範囲内、なかでも2質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましい。固形分濃度が低すぎると、溶媒の大半の無駄になる可能性があり、固形分濃度が高すぎると、塗工液の保存安定性が低下し、粘度が上昇する可能性があるからである。
上記下引き層形成用塗工液の粘度としては、本工程において基材シート上に同時に塗布される他の塗工液と混合しない程度であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、40℃において1mPa・s〜40mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に5mPa・s〜30mPa・sの範囲内であることが好ましく、さらに7mPa・s〜25mPa・sの範囲内であることが好ましい。
c)プライマー層形成用塗工液
次に、上記プライマー層形成用塗工液について説明する。上記プライマー層形成用塗工液は、受容層を形成するために設けられるプライマー層を形成するために用いられるものである。このような、プライマー層が設けられることにより、例えば受容層の平滑性を向上させたり、受容層との密着性を向上させたりすることができるという利点がある。
本工程に用いられるプライマー層形成用塗工液としては、所定の性質を備えるプライマー層を形成できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、プライマー層形成用樹脂と、冷却ゲル化剤とが、水系溶媒に分散・溶解されたものを用いることが好ましい。このような組成のプライマー層形成用塗工液を用いることにより、上記プライマー層形成用塗工液と同時に塗布される他の塗工液とが混合してしまうことを効果的に防止することができるからである。
上記プライマー層形成用樹脂としては、水系溶媒に溶解・分散できるものであれば特に限定されるものではないが、通常、水系溶媒に溶解、分散する水系樹脂が用いられる。上記水系樹脂については、上記多孔質層形成用塗工液に用いられるものと同様のものを用いることができるが、特に、プライマー層形成用樹脂としては、アクリル系ウレタン樹脂またはポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
プライマー層形成用塗工液に添加することができる添加剤、およびプライマー層形成用塗工液に用いられる水系溶媒については、上記多孔質層形成用塗工液に用いられるものと同様のものを用いることができる。
上記プライマー層形成用塗工液に用いられる冷却ゲル化剤としては、上記プライマー層形成用塗工液に所望の粘度特性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。このような冷却ゲル化剤としては、上記多孔質層形成用塗工液に用いられるものと同様のものを用いることができる。
上記プライマー層形成用塗工液中に含まれるプライマー層形成用樹脂と、冷却ゲル化剤との比率としては、上記プライマー層形成用塗工液に所望の粘度特性を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、冷却ゲル化剤が、プライマー層形成用塗工液の固形分重量換算で50質量%以下であることが好ましく、特に5質量%〜35質量%の範囲内であることが好ましく、さらに5質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。冷却ゲル化剤の含有比が上記範囲よりも少ないと、例えば、本工程において上記プライマー層形成用塗工液が基材シート上に塗布された際に、他の塗工液と混合してしまうおそれがあるからである。また、上記範囲よりも多いと、例えば、本工程において上記プライマー層形成用塗工液を上記基材シート上に塗布する際に、スジやムラなどが生じやすくなる場合があるからである。
本発明において、プライマー層形成用塗工液の固形分濃度としては、例えば10質量%〜50質量%の範囲内、中でも10質量%〜25質量%の範囲内であることが好ましい。固形分濃度が低すぎると、溶媒の大半の無駄になる可能性があり、固形分濃度が高すぎると、塗工液の保存安定性が低下し、粘度が上昇する可能性があるからである。
d)その他
本工程において、上記基材シート上に、上記下引き層形成用塗工液、多孔質層形成用塗工液、プライマー層形成用塗工液、および、受容層形成用塗工液を同時に塗布する態様を用いる場合、これらの塗工液が塗布時に互いに混合しないように、通常、隣接する塗工液間の表面張力の差が一定の範囲内となるように調整される。
2.冷却処理工程
次に、本発明に用いられる冷却処理工程について説明する。本工程は、上記同時多層塗布工程において、基材シート上に形成された多層塗膜を強制冷却する工程である。
ここで、本工程における「強制冷却」とは、冷却手段を用いて上記多層塗膜を冷却することを意味するものである。
本工程において上記多層塗膜を冷却する方法としては、上記多層塗膜を所望の温度に冷却できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、冷却された基材シート上に、上記多層塗膜を塗布する方法、上記基材シートを搬送するロールの表面を冷却し、基材シートを介して上記多層塗膜を冷却する方法、上記多層塗膜に冷風を吹き付ける方法、上記多層塗膜が形成された基材シートを所望の温度以下の室温に調整された冷却ゾーンを通過させる方法等を挙げることができる。なかでも本工程においては冷却された基材シート上に、上記多層塗膜を塗布する方法を用いることが好ましい。このような方法によれば上記基材シート上に上記多層塗膜が塗布された直後に、当該多層塗膜を強制冷却することができるため、上記多層塗膜を構成する複数の層が混合することを防止できるからである。
本工程において、上記多層塗膜を強制冷却する温度としては、上記多層塗膜を構成する各層の粘度を、各層が互いに混合しない程度に向上させることができる範囲であれば特に限定されるものではない。また、本工程における強制冷却温度は、上述した冷却ゲル化剤の種類にも依存するものである。なかでも本工程においては、冷却温度は0℃〜30℃の範囲であることが好ましく、特に0℃〜25℃の範囲内であることが好ましく、さらに3℃〜20℃の範囲内であることが好ましい。
3.その他の工程
本発明の熱転写受像シートの製造方法は、少なくとも上記同時多層塗布工程と、上記冷却処理工程とを有するものであるが、必要に応じて上記以外の他の工程を有するものであってもよい。本発明に用いられる上記他の工程としては、例えば、上記冷却処理工程後に上記多層塗膜中に含有される溶媒を乾燥する乾燥工程を挙げることができる。また、上記同時多層塗布工程において、受容層を同時に塗布しない実施態様を用いた場合は、上記冷却処理工程後に、上記多孔質層上に受容層を形成する受容層形成工程を用いることができる。
B.熱転写受像シート形成用塗工液
次に、本発明の熱転写受像シート形成用塗工液について説明する。本発明の熱転写受像シート形成用塗工液は、冷却ゲル化剤と、水系溶媒とを含有し、粘度が40℃において1mPa・s〜300mPa・sの範囲であり、かつ、20℃において0.01Pa・s〜15Pa・sの範囲内であることを特徴とするものである。
本発明によれば、冷却ゲル化剤を含有し、かつ、粘度が上記範囲内であることにより、高温においては比較的低粘性を示し、かつ、低温においては比較的高粘性を示すことから、例えば、上記本発明の熱転写受像シートの製造方法のような、同時多層塗布工程と、冷却ゲル化工程とを有する熱転写受像シートの製造方法に用いることにより、基材シート上に複数の層を、互いに混合することなく、同時に形成することが可能になる。このため、本発明の熱転写受像シート形成用塗工液によれば高効率で熱転写受像シートを形成することができる。
本発明の熱転写受像シート形成用塗工液は、少なくとも冷却ゲル化剤と、水系溶媒とが用いられたものであり、必要に応じて任意の他の成分が用いられてもよいものである。
以下、本発明に用いられる各構成について順に説明する。
1.冷却ゲル化剤
まず、本発明に用いられる冷却ゲル化剤について説明する。本発明に用いられる冷却ゲル化剤は、本発明の熱転写受像シート形成用塗工液に本発明で規定する粘度特性を付与する機能を有するものである。
本発明に用いられる冷却ゲル化剤としては、本発明の熱転写受像シート形成用塗工液に本発明で規定する粘度特性を付与する機能を有するものであれば特に限定されるものではない。このような冷却ゲル化剤としては、上記「A.熱転写受像シートの製造方法」の項において説明したものと同様のものを用いることができる。なかでも本発明おいては、上記冷却ゲル化剤としてゼラチン、ポリビニルアルコール、κ−カラギーナン、または、ペクチンを用いることが好ましく、特にゼラチン用いることが好ましい。ゼラチンは上述したような機構により冷却ゲル化特性を示すことから、冷却ゲル化特性を発現させるために他の化合物を併用する必要が無いからである。また、工業的にも広く用いられている材料であることから、入手容易性の面において有利であり、本発明への適用が容易だからである。
なお、本発明においては、1種類の冷却ゲル化剤のみを用いてもよく、あるいは、2種類以上の冷却ゲル化剤を用いてもよい。
本発明の熱転写受像シート形成用塗工液に含まれる冷却ゲル化剤の量としては、冷却ゲル化剤の種類に応じて、本発明の熱転写受像シート形成用塗工液に所定の粘度特性を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程おいては、熱転写受像シート形成用塗工液の固形分重量換算で50質量%以下であることが好ましく、特に5質量%〜35質量%の範囲内であることが好ましく、さらに5質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
2.水系溶媒
次に、本発明に用いられる水系溶媒について説明する。本発明に用いられる水系溶媒とは、水を主成分とする溶媒をいう。水系溶媒における水の割合は、通常、50質量%以上であり、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。本工程に用いられる上記水以外の溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等を用いることができる。
3.熱転写受像シート形成用塗工液
本発明の熱転写受像シート形成用塗工液は、粘度が40℃において1mPa・s〜300mPa・sの範囲であり、かつ、20℃において0.01Pa・s〜15Pa・sの範囲内であることを特徴とするものである。本発明において粘度を上記範囲内に規定するのは、次のような理由に基づくものである。すなわち、40℃における粘度が上記範囲外であると、本発明の熱転写受像シート形成用塗工液を基材シート上に塗工する際に、スジやムラなどが生じてしまい、塗工品質が損なわれてしまうが、上記範囲内であることにより均一に塗工することが可能になるからである。ここで、40℃における粘度としては、上記範囲内であれば特に限定されるものではないが、なかでも1mPa・s〜50mPa・sの範囲であることが好ましく、特に5mPa・s〜40mPa・sの範囲内であることが好ましい。
また、20℃における粘度が上記範囲外であると、例えば、本発明の熱転写受像シート形成用を、上記本発明の熱転写受像シートの製造方法のような同時多層塗布工程および冷却処理工程を有する熱転写受像シートの製造方法に用いた場合に、冷却処理工程において塗工液の粘度が不十分となり、複数塗工液が混合してしまうが、上記範囲内であることにより、そのような問題がないからである。ここで、20℃における粘度としては、上記範囲内であれば特に限定されるものではないが、なかでも0.5Pa・s〜15Pa・sの範囲であることが好ましく、特に1Pa・s〜10Pa・sの範囲内であることが好ましい。
なお、上記粘度は、例えばエー・アンド・ディ社製 音叉型振動式粘度計 SV−10を用いて測定することができる。
本発明の熱転写受像シート形成用塗工液は、上記冷却ゲル化剤および上記水系溶媒以外の他の成分を混合することにより、熱転写受像シートを構成する任意の機能層を形成する塗工液として用いることができる。例えば、上記他の成分として、中空粒子を用いることにより、断熱性を備える多孔質層を形成することが可能な多孔質層形成用塗工液として用いることができる。ここで、本発明に用いられる上記中空粒子およびその添加量等については、上記「A.熱転写受像シートの製造方法」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本発明の熱転写受像シート形成用塗工液は、上記他の成分として受容層形成用樹脂を用いることにより、染料染着性を備える受容層を形成することが可能な受容層形成用塗工液として用いることができる。ここで、本発明に用いられる上記受容層形成用樹脂およびその添加量等については、上記「A.熱転写受像シートの製造方法」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
さらに、本発明の熱転写受像シート形成用塗工液は、上記他の成分としてプライマー層形成用樹脂を用いることにより、多孔質層上に受容層を形成するために設けられるプライマー層形成用塗工液として用いることができる。ここで、本発明に用いられる上記プライマー層形成用樹脂およびその添加量等については、上記「A.熱転写受像シートの製造方法」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
さらにまた、本発明の熱転写受像シート形成用塗工液は、上記他の成分として下引き層形成用樹脂を用いることにより、基材シートとの接着性を向上させるために設けられる下引き層形成用塗工液として用いることができる。ここで、本発明に用いられる上記下引き層形成用樹脂およびその添加量等については、上記「A.熱転写受像シートの製造方法」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
(多孔質層形成用塗工液の調整)
以下の表1に示す組成の多孔質層形成用塗工液1〜4を調整した。
Figure 0004877021
(受容層形成用塗工液の調整)
以下の表2に示す受容層形成用塗工液1〜4を調整した。
Figure 0004877021
上記多孔質層形成用塗工液および受容層形成用塗工液の粘度を、エー・アンド・ディ社製 音叉型振動式粘度計 SV−10を用いて測定した。その結果を表3に示す。
Figure 0004877021
1.実施例1
基材シートとしてレジンコート紙を用意し、多孔質層形成用塗工液1および受容層形成用塗工液1が、上記基材シート上にこの順で積層されるように、スライド塗布機により同時重層塗布した。その後、7.2℃に調整した冷却ゾーンにおいて60秒強制冷却した後、さらに50℃において5分乾燥することによって、熱転写受像シートを作製した。
同時重層塗布の際に、塗工液間の混ざりやはじきは発生せず、各層の膜厚が均一な熱転写受像シートが得られた。
2.実施例2
多孔質層形成用塗工液1に替えて、多孔質層形成用塗工液3を用いたこと以外は実施例1と同様に同時重層塗布した。同時重層塗布の際に、塗工液間の混ざりやはじきは発生せず、各層の膜厚が均一な熱転写受像シートが得られた。
3.実施例3
多孔質層形成用塗工液1に替えて、多孔質層形成用塗工液2を用いたこと以外は実施例1と同様に同時重層塗布した。同時重層塗布の際に、塗工液間の混ざりやはじきは発生せず、各層の膜厚が均一な熱転写受像シートが得られた。
4.実施例4
受容層形成用塗工液1に替えて、受容層形成用塗工液2を用いたこと以外は、実施例3と同様に同時重層塗布した。同時重層塗布の際に、塗工液間の混ざりやはじきは発生せず、各層の膜厚が均一な熱転写受像シートが得られた。
5.実施例5
受容層形成用塗工液1に替えて、受容層形成用塗工液3を用いたこと以外は、実施例3と同様に同時重層塗布した。同時重層塗布の際に、塗工液間の混ざりやはじきは発生せず、各層の膜厚が均一な熱転写受像シートが得られた。
6.比較例
受容層形成用塗工液4および多孔質層形成用塗工液4を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により熱転写受像シートを作製した。その結果、各層が混合し、熱転写受像シートを得ることができなかった。
(印画物の評価)
以下の方法により、実施例1〜5において作製した熱転写受像シートの印画特性を評価した。
(1)印画物の作製
実施例で得られた熱転写受像シートを用意し、熱転写シート(キャノン社製、Cp720用)を用いて、イエロー、マゼンタ、シアンの順番に階調パターンを印画後、保護層を転写し、印画物を得た。次に、もう一枚の熱転写受像シートを用意し、イエロー、マゼンダ、シアンの各色をこの順で転写してブラック画像を形成し、保護層を転写し、印画物を得た。印画条件を下記に示す。
(印画条件)
発熱体平均抵抗値;5285(Ω)
主走査方向印字密度;300dpi
副走査方向印字密度;300dpi
印加電圧;22(V)
1ライン周期;2(msec./line)
印字開始温度;27(℃)
印加パルス(階調制御方法);1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を90%に固定し、ライン周期当たりのパルス数を0から255個を18ステップに分割した。これにより、18段階に異なるエネルギーを与えることができる。
(2)染料染着性の評価
上記印画物について、Bk色濃度を測定した。測定には分光測定器(グレタグマクベス社製、Spectrolino)を用いた。その結果を表3に示した。
本発明の熱転写受像シートの製造方法の一例を示す工程図である。 スライドコート法を説明する説明図である。
符号の説明
1,15 … 基材シート
2 … 多層塗膜
10 … 熱転写受像シート
11,12,13 … 塗工液
14 … バックロール
21 … 多孔質層
22 … 受容層

Claims (3)

  1. 中空粒子および冷却ゲル化剤を含む水系の多孔質層形成用塗工液を用い、基材シート上に多孔質層を含む複数の層を同時に塗布する、同時多層塗布工程と、
    前記同時多層塗布工程において、基材シート上に形成された複数の層からなる塗膜を強制冷却する、冷却処理工程と、を有する熱転写受像シートの製造方法であって、
    前記同時多層塗布工程が、受容層形成用塗工液を用い、前記基材シート上に、前記多孔質層と、前記多孔質層上に配置される受容層とをこの順で同時に塗布するものであり、
    前記多孔質層形成用塗工液の粘度が、40℃において23.22mPa・s〜29.17mPa・sの範囲内であり、かつ、20℃において3900mPa・s〜4040mPa・sの範囲内であり、
    前記受容層形成用塗工液の粘度が、40℃において10.88mPa・s〜19.57mPa・sの範囲内であり、かつ、20℃において4.060Pa・s〜4.500Pa・sの範囲内であり、
    前記同時多層塗布工程が、前記複数の層を30℃〜50℃の範囲内で塗布するものであり、
    前記冷却処理工程が、前記塗膜を0℃〜30℃の範囲内となるように強制冷却するものであり、
    前記粘度が音叉型振動式粘度計により測定されたものであることを特徴とする、熱転写受像シートの製造方法。
  2. 前記受容層形成用塗工液が、受容層形成用樹脂および冷却ゲル化剤を含む水系の受容層形成用塗工液であることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写受像シートの製造方法。
  3. 前記冷却ゲル化剤がゼラチンであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の熱転写受像シートの製造方法。
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