JP4875037B2 - 磁気メモリ、その再生方法、および書き込み方法 - Google Patents

磁気メモリ、その再生方法、および書き込み方法 Download PDF

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Description

本発明は、多値化可能な磁気メモリ、その再生方法、および書き込み方法に関する。
近年、電子のスピン自由度を利用したスピンエレクトロニクスデバイスの研究開発が盛んに行われている。例えば、ハードディスクドライブでは、磁気ヘッドからの磁場により記録媒体の磁化状態を制御し、磁気ランダムアクセスメモリでは、2本の書き込み線からの合成磁場により磁気抵抗効果素子の磁化状態を制御する。このような磁場による磁化状態の制御方法に関しては、古い歴史があり、現在では、既に確立された技術となっている。
一方、昨今のナノテクノロジーの進歩により、記録媒体の記録単位および磁気抵抗効果素子の微細化が進行し、これらの磁化状態の制御もナノスケールで局所的に行なう必要性が出てきた。
しかし、磁場は、空間に広がる性質を持つため、局所化が難しい。このため、書き込み対象以外の記録単位および磁気抵抗効果素子に磁場の影響が及んで誤書き込みを起こす、いわゆる「クロストーク」の問題が発生する。そして、磁場の局所化を図るために磁場の発生源を小さくすると、磁化反転に必要な大きさの磁場が得られない。
そこで、「クロストーク」を起こすことなく磁化反転が可能な「電流直接駆動型磁化反転方法」が注目されている(例えば、非特許文献1参照)。これは、磁気抵抗効果素子に書き込み電流としてのスピン注入電流を流し、磁気抵抗効果素子内に発生するスピン偏極された電子を用いて磁化反転を実行する技術である。具体的には、スピン偏極された電子の角運動量が、磁気抵抗効果素子における磁気記録層となる磁性層内の電子に伝達されることにより磁気記録層の磁化が反転する。
このような電流直接駆動による磁化反転技術(スピン注入磁化反転技術)を用いれば、磁化状態をナノスケールで局所的に制御し易く、かつ微細化に応じてスピン注入電流の値も小さくできるため、高記録密度のハードディスクや、磁気ランダムアクセスメモリなどのスピンエレクトロニクスデバイスの実現に向けての手助けとなる。
このスピン注入磁化反転技術においては、電流密度を低減させる方法として、磁気参照層の上下に非磁性層を介在させて互いに逆方向に固定された磁化を有する磁性層(ピン層)で挟んだ磁気記録素子が提案されている。さらに、この互いに逆方向のピン層の磁化の向きを膜面垂直方向に配置した構造や、互いに磁化方向が逆を向いた上下ピン層を得るには、保磁力を変えた膜を用いることや反強磁性膜との接続が開示されている。
しかし、この技術にも問題がある。それは、磁化反転に必要とされるスピン注入電流の電流密度Jcが1×10A/cm以上の大きな値になることである。このような大きな値になると、磁気抵抗効果素子内で発生する熱の影響で、素子特性が劣化するなどの信頼性の問題が発生する。
この対策として、例えば、磁気抵抗効果素子を構成する磁性材料の飽和磁化Msの値を小さくするなど、いくつかの提案がなされている(例えば、特許文献1、2参照)。しかし、飽和磁化Msを小さくすると、ピン層からのバイアス磁界下におけるフリー層の磁化状態の熱揺らぎ耐性が劣化するという問題がある。これは面内記録における高密度化での問題点と同じアナロジーからわかるように、ピン層の磁化とフリー層の磁化が同じ方向を向いている場合は、フリー層は自らの磁化をアシストする方向にピン層から磁界を受けるので安定であるが、逆方向を向いている場合は、不安定化する方向にピン層から磁界を受けるため、より熱揺らぎ耐性のあるフリー層の設計が必要となる。
一方、ハードディスクやMRAMにおいてその容量を決めるのは基本的にビットサイズやセルサイズである。その大きさを小さくすると熱揺らぎの問題が発生するため、多値記録に期待が高まっている。例えば、特許文献3では3層の磁気参照層のそれぞれの間に合計2層の磁気記録層を挿入した構造が開示されている。これは電流のみを用いて記録再生する技術である。
さらに、再生時に磁界を加えることで多値情報を読み取る技術が公開されている(特許文献4)。それによると、2枚の面内型磁気記録層の間に、磁化が面内型のフリー層を挿入し、外部磁界を印加させてそのフリー層の磁化を回転させることで、そのピン層との相対角度(平行または反平行)を読み取るものである。この構造の場合、面内に磁化が向いているので外部磁界を印加しようとすると、上述した書き込み線を用いる必要があり、場所選択性に問題がある。このため約64Mビット以上のMRAMへの適用は困難と言われている。また、記録方法に関しては未開示である。
F. J. Albert, et al., Appl. Phy. Lett. 77, 3809 (2000) 特開2005−93488号公報 特開2004−193595号公報 特開2004−193595公報 特開2004−356642号公報
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであって、多値記録が可能でかつ熱的安定性の良い磁気メモリ、その書き込み方法、および再生方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様による磁気メモリは、第1強磁性層と、前記第1強磁性層上に形成される第1非磁性層と、前記第1非磁性層上に形成される第2強磁性層と、前記第2強磁性層上に形成される第2非磁性層と、前記第2非磁性層上に形成される第3強磁性層と、を有するメモリセルを備え、前記第1および第3強磁性層はそれぞれ膜面に略垂直な磁化容易軸を有し、前記第2強磁性層は前記第1および第3強磁性層に比べて保磁力が小さくかつ磁化容易軸が膜面に垂直な方向に対して0度より大きく90度以下の角度をなして傾いていることを特徴とする。
また、本発明の第2の態様による磁気メモリの再生方法は、第1の態様による磁気メモリの再生方法であって、前記第1強磁性層から前記第2強磁性層へ電子を流入させることで前記第2強磁性層の磁化の向きを変化させるステップと、前記第2強磁性層と前記第3強磁性層との相対的な磁化の向きによる抵抗を測定することにより、前記第1強磁性層の磁化の向きを検知するステップと、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の第3の態様による磁気メモリの再生方法は、第1の態様による磁気メモリにおいて、前記メモリセルの第3強磁性層側から電気的に接続されるとともに前記メモリセルに対して相対運動が可能でかつ自身の磁化の方向を変えることの可能な磁性プローブを更に有し、前記第2強磁性層の磁化は、前記磁性プローブの磁化の方向に応じて膜面に略垂直な方向に向くように制御される磁気メモリの再生方法であって、前記磁性プローブの磁化の方向を調整することによって前記第2強磁性層の磁化を膜面に略垂直な方向に向けさせるステップと、前記磁性プローブを用いて前記第1強磁性層と前記第3強磁性層間に電流を流すことにより、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間の電気抵抗と、前記第2強磁性層と前記第3強磁性層との間の電気抵抗との和を読みとるステップと、を備えていること
を特徴とする。
また、本発明の第4の態様による磁気メモリの書き込み方法は、第1の態様による磁気メモリにおいて、前記第3強磁性層に電気的に接続されるとともに前記第3強磁性層に対して相対運動が可能でかつ自身の磁化の方向を変えることの可能な磁性プローブを更に有し、前記第2強磁性層の磁化は、前記磁性プローブの磁化の方向に応じて膜面に略垂直な方向に向くように制御される磁気メモリの書き込み方法であって、前記磁性プローブの磁化の向きを調整することにより、前記第2強磁性層の磁化を膜面に略垂直方向に向かせるステップと、前記第2強磁性層から前記第1強磁性層もしくは前記第3強磁性層に向けて電子を流すことにより、電子が流入した前記第1強磁性層もしくは前記第3強磁性層の磁化の向きを前記第2強磁性層の磁化と同じ向きとなるように変化させるステップと、を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、多値記録が可能でかつ熱的安定性の良い磁気メモリ、その書き込み方法、および再生方法を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態による磁気メモリを説明する。本実施形態による磁気メモリは、マトリクス状に配列された複数のメモリセルを有している。本実施形態に係るメモリセルの基本構成を図1(a)、1(b)に示す。このメモリセル1は、強磁性層を有する第1磁気記録層2、第1バリア層4、強磁性層を有する磁気参照層6、第2バリア層8、および、強磁性層を有する第2磁気記録層10がこの順序で積層された積層構造を有している。磁気記録層2、10は情報を蓄える記録する層であり、磁気参照層6は磁気記録層2、10に情報を記録再生するための参照層である。
第1および第2磁気記録層2、10の磁化容易軸方向(磁気記録層2、10においては外部磁界がないとき磁化は膜面垂直を向く)を膜面に垂直となる方向にすることで磁化配向方向を膜面垂直にする。ここで、膜面とは、第1または第2磁気記録層2、10を「膜」と捉えたときの膜の表面を意味する。従って、膜面に垂直となる方向とは、第1磁気記録層2、非磁性の第1バリア層4、磁気参照層6、非磁性の第2バリア層8、および第2磁気記録層10を積層する方向となる。このような第1および第2磁気記録層2、10は、一軸磁気異方性定数Kが例えば1×10erg/cc以上の値を有する垂直磁化材料が用いられ、一般に垂直磁化膜とも称される。すなわち、第1および第2磁気記録層2、10は、外部からの磁界がないときは、磁化の向きは膜面に略垂直となっている。垂直磁化膜は、外部磁界がないとき磁化の向きが膜面に略平行となる面内磁化膜よりも、微細化し易く、磁化反転のためのスピン注入電流の電流も小さく省電力である。
これに対し、磁気参照層6は、第1および第2磁気記録層2、10に比べて、保持力が小さいように構成されている。すなわち、磁気参照層6は一軸磁気異方性定数Kもしくは結晶異方性定数Kが例えば1×10erg/cc以下であり、磁化容易軸方向が単独では膜面垂直に対して0度より大きく90度以下の角度で傾く材料が選択される。
第1および第2磁気記録層2、10の磁化容易軸方向を膜面に垂直となる方向にするためには、磁気記録層を構成する磁性材料の飽和磁化M(emu/cc)と異方性磁界Han(Oe)との関係を、Han>12.57Msに設定すればよい。なお、異方性磁界Hanは、膜面垂直方向の磁気異方性Kを用いて、Han=2K/Mで与えられる。
このように構成されたメモリセル1においては、第1および第2磁気記録層2、10の磁化が平行(同じ向き)のときは、磁気参照層6の磁化は、図1(a)に示すように、第1および第2磁気記録層2、10の磁化と同じ向きになる。これに対して、図1(b)に示すように、第1および第2磁気記録層2、10の磁化が反平行(逆の向き)のときは、磁気参照層6の磁化は膜面に略平行となる。
また、本実施形態に係るメモリセルの一具体例を図2に示す。この具体例のメモリセル1は、第1磁気記録層2、第1磁性挿入層12、第1バリア層4、第2磁性挿入層14、磁気参照層6、第3磁性挿入層16、第2バリア層8、第4磁性挿入層18、および第2磁気記録層10がこの順序で積層された積層構造を有している。すなわち、図1(a)、1(b)に示すメモリセル1の第1バリア層4を挟むように、第1および第2磁性挿入層12、14が設けられ、第2バリア層8を挟むように、第3および第4磁性挿入層16、18が設けられた構成となっている。なお、第1乃至第4磁性挿入層を全て設ける必要はなく、例えば、第1および第2磁気記録層2、10に接する第1および第4磁性挿入層12、18だけを設けてもよい。
このメモリセル1の積層構造は、軟磁性下地層20上に形成された金属下地層22上に設けられる。そして、例えば、磁気記録層2にはFePt(5nm)、第1磁性挿入層12にはFe−Co合金(1.5nm)、第1バリア層4にはMgO(1.5nm)、第2磁性挿入層14にはFe−Co合金(1.5nm)、磁気参照層6にはNiFe(10nm)、第3磁性挿入層16にはFe−Co合金(1.5nm)、第2バリア層8にはMgO(2.5nm)、第4磁性挿入層18にはFe−Co合金(1.5nm)、第2磁気記録層10にはFePt(15nm)が用いられる。第2磁気記録層10上にキャップ層19としてRu(3nm)が形成される。なお、括弧内の数字は層厚を示す。これらの層が積層された積層構造は直径が20nmの円柱に加工されている。この円柱をメモリセル1と呼ぶ。メモリセル1の下には金属下地層22としてTa層(1nm)、その下に軟磁性下地層20としてNi−Fe合金層(50nm)が形成されている。
本実施形態の磁気メモリにおいては、金属下地層22を共通としてそれに接して複数のセル1が近くに形成されており、例えば10nm離れたところに別のセル1が形成された構成となっている。すなわち、本実施形態の磁気メモリにおいては、金属下地層22を共通としてメモリセル1がマトリクス状に配列された構成となっている。
また、本実施形態の磁気メモリにおいては、図3に示すように、マトリクス状に配列されたメモリセル1の上を磁性プローブ30が走行する。磁性プローブ30は、例えばSPMプローブのような構造をしており、磁性プローブ30に接続された励磁コイル32に通電することで磁性プローブ30を励磁することができる。磁性プローブ30は、例えばFe−Co−Ni系の金属磁性体(飽和磁化量が1.5T)で形成され、メモリセル1に最も近い部分(先端)の径、すなわち先端径が30nmに加工されている。そして、先端の表面は、メモリセル1との間の潤滑を良くするために、硬質導電性カーボン膜がコーティングされていても良い。
図4に、メモリセル1および磁性プローブ30の電流経路を示す。磁性プローブ30は各メモリセル1のキャップ層19とコンタクトして記録および再生するための通電を行う機能およびそのメモリセル1の磁気参照層6の磁化方向を変化させる機能を有している。磁性プローブ30には直流電圧が印加され、メモリセル1と、各メモリセル1が共通電極にしている金属下地層22および軟磁性下地層20間で通電することができる。すなわち磁性プローブ30から供給された電流はメモリセル1のキャップ層19からメモリセル1を通り金属下地層22/軟磁性下地層20からなるアース電極に流入する。もしくは電源電圧の設定により磁性プローブ30を負電位としてその逆の経路をとってもよい。磁性プローブ30にはコイル32が捲かれ、このコイル32の通電する方向を変えることで磁性プローブ30の磁化方向Mを上向きもしくは下向きにすることができる。図4には示していないが、図5に示すように、磁性プローブ30はその上面(メモリセル1と反対側の面)に、例えば膜厚が100nmのNiFeからなるリターンヨーク36を設けられており、磁性プローブ30の先端から出た磁束はメモリセル1を通り、軟磁性下地層20を通ってリターンヨーク36へ戻る磁路を形成する。そのため、メモリセル1に集中して強い磁界を供給することができる。
磁気参照層6の磁化状態に関する、第1および第2磁気記録層2、10に対する依存性は以下のように考えることができる.磁気参照層6自身の試料振動型磁力計(VSM (Vibrating Sample Magnetometer))により測定される、膜面に垂直方向のM−Hカーブは図6に示すようになる。垂直異方性は有するが,磁気参照層6自身だけでは無磁界において飽和磁化Mを現さず,Mapの位置にバイアスされる。図7に示すように、第2磁気記録層10(磁化Mp2)と、第1磁気記録層2(磁化Mp1)が反平行の場合、第2磁気記録層10から磁気参照層6に流入される磁界(Hp2)と、第1磁気記録層2から磁気参照層6に流入される磁界(Hp1)とがキャンセルし合い,バイアスが係らない状態となるので、図6に示すM−Hカーブ上でMapの位置にバイアス点は来る。
一方、図8に示すように、第2磁気記録層10(磁化Mp2)と、第1磁気記録層2(磁化Mp1)が平行の場合、磁気記録層6からのそれぞれの磁界Hp2、Hp1が強め合い、Hp1とHp2との合計Hにより図6に示すM点にバイアスされる。図9は磁気記録層と磁気参照層とのM−Hカーブの比較を示す図であり、磁気参照層が飽和しても、磁気記録層は磁化反転が起こらない構成となっている。
記録方法
次に、本実施形態の磁気メモリのメモリセル1に記録する方法を説明する。
まず、磁気参照層6の磁化を上向きに記録する方法を説明する。あるメモリセル1のキャップ層19の上面に接触した磁性プローブ30のコイル32に通電し、磁性プローブ30の磁化Mを、記録したい方向(この場合は、磁気参照層6の磁化を上向きに記録したいので上方向)に向ける。それにより、異方性エネルギーの小さな磁気参照層6の磁化のみが上方向を向く。これは、磁性プローブ30の飽和磁化量および図示していない軟磁性下地層との距離、第1および第2磁気記録層2、10の保磁力にて制御することができる。
(1)第1磁気記録層2の磁化の反転
第1磁気記録層の磁化を上向き→下向きに変化
図10(a)を参照して第1磁気記録層2の磁化を上向きから下向きへ反転させる例を説明する。磁性体プローブ30の磁化Mの方向を下向きにして、電子が磁気参照層6から記録したい磁気記録層に流入する方向(この場合は、磁気参照層6から第1磁気記録層2に向けて電子が流れるように)に通電を行う。磁性体プローブ30の磁化Mの方向を下向きにすることで磁気参照層6の磁化方向は下方向を向く。さらに電子を磁気参照層6から第1磁気記録層2に流す(電流を磁気参照層6から磁性プローブ30に流す)ことで、磁気参照層6から第1磁気記録層2へは下向きのスピンが流入し、スピントランスファー効果により第1磁気記録層2の磁化は下向きのトルクを受ける。さらに、第1磁気記録層2の磁化は、磁性プローブ30および磁気参照層6からの磁界によるアシストを受けるため低電流で早く回ることができる。図10(a)中、記号STは磁気参照層6からくる電子により磁気記録層2にかかるスピントランスファートルク、記号Hは磁気参照層6および磁性プローブ30により磁気記録層2にかかる磁界トルクを示す。また、記号「+」は向けたい方向にアシストする状況、記号「−」は逆に不安定な方向に作用する状況を示している。図10(a)においては、第1磁気記録層2にとってはスピントランスファートルクSTも磁界による磁界トルクHもアシスト(すなわち記録しやすい方向)状況であることを示している。また、磁界印加が行われ続けているため磁気参照層6の磁化が第1磁気記録層2から反射される上向きスピンの電子で回転しない。
ところで、磁気参照層6と同じ方向を向いている第2磁気記録層10においては、スピントランスファートルクSTは「−」、磁界トルクHは「+」となる。磁気参照層6で反射した上向きスピン電子(図中矢印A)は第2磁気記録層10の磁化方向を上向き反転させるトルクを発生させる(ST−)。しかし、第2磁気記録層10の磁化を、磁気参照層6の磁化に対して平行から反平行にするための電流は、第1磁気記録層2の磁化を磁気参照層6に対して平行に反転させる場合(すなわち記録行為)に比べて通常1.5倍〜2倍程度大きい。さらに、第2磁気記録層10の磁化が回らないように磁性プローブ30からのアシストが加わっているため(H+)、第2磁気記録層10の磁化は下向きに安定な状態であり、この状態で第1磁気記録層2に記録することができる。図10(a)では、第2磁気記録層10は磁気参照層6と同じ方向を向いている状態である。
一方、図10(b)に示すように、第2磁気記録層10が上向きの場合、磁性体プローブ30からの磁界トルクは第2磁気記録層10を不安定にさせる方向に作用する(H+)。しかし、磁気参照層6で反射される上向きのスピンによるトルクは第2磁気記録層10の磁化方向を上向きで安定化させる方向に働く(ST+)。したがって、書き込みたい第1磁気記録層2には常にスピントランスファートルクSTおよび磁界トルクHは記録しやすい方向に寄与する(ST+、H+)のに対して、書き込みを行いたくない第2磁気記録層10はスピントランスファートルクSTおよび磁界Hは、+/−もしくは−/+で少なくとも一方は安定化する方向に働く。したがって、両方のトルクがアシストし合う第1磁気記録層2のほうが、より記録しやすい状態にあることがわかる。これを図11に示すM−Hカーブを用いて説明する。磁気参照層6を垂直方向に磁化させる磁界Hを加え、さらに第1磁気記録層にはスピントランスファートルクSTが+で寄与するため、合計磁界(換算)が第1磁気記録層2の保磁力を超え、これにより第1磁気記録層2の磁化が反転する。一方、第2磁気記録層10に関しては、印加磁界Hから「ST−」分だけ戻ることになるため安定状態となり、反転することはない。
第1磁気記録層の磁化を下向き→上向きに変化
第1磁気記録層2の磁化を下向きから上向きに反転する場合を図12(a)、12(b)を参照して説明する。磁性プローブ30の向きを上向きにして磁気参照層6の磁化を上向きにし、電子を書き換えたい層に磁気参照層6から流入させる。この場合は、磁気参照層6から第1磁気記録層2に流入させることによって達成できる。第2磁気記録層10に対するスピントランスファートルクSTおよび磁界トルクHの影響は、第2磁気記録層10の磁化が磁性プローブ30の磁化Mと逆向きである図12(a)に示す場合は、図10(b)に示す場合に相当し、同じ向きである図12(b)の場合は、図10(a)に示す場合に相当する。したがって、第1磁気記録層2の磁化を下向きから上向きに反転する場合も、第1磁気記録層2の磁化を上向きから下向きに反転する場合と同様に、安定に第1磁気記録層2のみを記録することができる。
(2)第2磁気記録層10の磁化の反転
第2磁気記録層10の磁化を反転させる場合を、図13(a)、13(b)を参照して説明する。電子が磁気参照層6から記録したい第2磁気記録層10に流入する方向に通電を行う。図10(a)、10(b)、図12(a)、12(b)に示したように第1磁気記録層2を記録する時と同様の作用が第2磁気記録層10に働く。図13(a)は第1磁気記録層2の磁化が上向きで磁気参照層6の磁化と同じ方向の場合を示し、図13(b)は第1磁気記録層2の磁化が下向きで磁気参照層6の磁化と逆方向の場合を示している。第2磁気記録層10に関しては、スピントランスファートルクSTが「+」、磁界トルクHが「+」であり、安定に低電流でかつ早く磁化回転を起こす(記録される)。第1磁気記録層2は、図13(a)に示す場合においては、スピントランスファートルクSTが「−」で、磁界トルクHが「+」であり、図13(b)に示す場合では、スピントランスファートルクSTが「+」で、かつ磁界トルクHが「−」であるので、2つのトルクのうち一方のトルクで不安定になるのを、もう一方トルクでキャンセルする状態となっている。したがって、第2磁気記録層10を上向きおよび下向き(図示せず)に記録する場合も、第2磁気記録層10にはスピントランスファーSTおよび磁界トルクHがアシストで加わり、さらにスピントランスファーSTは反平行→平行への記録であるので、低電流で記録することができる。この記録したい方向に磁気参照層6を向けるのは常に反平行→平行へのスピントランスファー作用を及ぼすことになる。そのため、スピントランスファーで記録を行う、磁気参照層が1層で磁気記録層が1層で構成される一般的なMRAMのように反平行→平行(電流小)、平行→反平行(電流大)の動作にくらべて小電流密度なメモリセルの省電力化設計ができる。そのため、バリア層を厚くして大出力化を図ってS/Nを向上させることが可能となる。
このように3層の磁性層、すなわち一層の磁気参照層6を用いて第1および第2磁気記録層2、10に個別に記録を行うことができる。これらの記録方法を組み合わせることにより第1および第2磁気記録層2、10の磁化の向きが、上上、上下、下上、下下の4通りの多値記録ができることになる。例えば、第1磁気記録層2もしくは第2磁気記録層10の一方の磁化の向きを磁気参照層6の磁化の向きとなるように変化させた後、磁性プローブ30の磁化の向きを調整して磁気参照層6の磁化の向きを反転するとともに電子の流す向きを逆向きにして第1および第2磁気記録層2、10のうちのもう一方の磁化の向きを反転させるようにすれば、上上、上下、下上、下下の4通りの多値記録ができることになる。
本実施形態の磁気メモリにおいては、SPMプローブ(走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)のような磁界供給手段30を示したが、磁性プローブ30は主磁極に通電手段を施した通常のHDD用記録ヘッドを用いることもできる。市販のHDDヘッドを用いる場合は、主磁極にDC電流を供給できるようにし、記録コイルに電流を流して主磁極の磁化方向を制御し、DC電流を磁極先端からセルに流すことで第1実施形態の多値記録を行うことができる。なお、記録コイル主磁極の突出量を通電電流で熱的にコントロールできるヘッドができれば望ましい。また、更に、例えば文献(例えば、K. Ise, S. Takahashi, K. Yamakawa, and N. Honda, “New Shielded Single-Pole Head with Planar Structure,”IEEE Trans. Magn., 42, 2422-2424, (2006).)に記載された平面型ヘッドであるプラナーヘッドを走行させても良い。プラナーヘッドは平面内に多くの主磁極すなわち磁性プローブを形成できるためマルチプローブで記録することが可能となる。
本実施形態の磁気メモリは、通常のHDDにおけるメディアへの記録や、ビットパターンド・メディア(BPM)構造に比べて隣のビットに書き込む、いわゆるサイドイレーズ(サイドフリンジング)耐性には圧倒的に優れる。その理由は、記録が磁界のアシストを用いたスピンカレントによる記録であるためである。ある一定以上の電流密度が流れたメモリセルのみに記録が行われるため、主磁極用シールドをつける必要がなくなり、このため、磁束の放出効率が良くなり、コイル電流の低減による省電力化を図ることができる。また、図3の磁性プローブ30に記載されるように、電流供給は磁性プローブ先端とメモリセルとの接触部分からなされるのに対して、磁界はさらに台形の側壁部分からも広範囲に放出されて隣接するメモリセルにも印加される。このように広範囲に磁界が分布する磁性プローブ形状は、単位電流あたりの磁界強度が大きく取れるため省エネルギーの観点でメリットがある。しかし、記録は電流が流れているメモリセルのみになされるので記録分解能が低下することはない。また、主磁極の先端サイズは、理想的にはセル平面面積と同じであるが大きくとも良い。例えばバリア層4、8を金属系の材料を用いて、CPP−GMR(Current Perpendicular Plane-Giant Magneto-Resistance)構造にした場合、メモリセルの抵抗を小さく設計できるので多くの抵抗は磁性プローブとメモリセルとの接触抵抗になる。その場合、接触面積に比例した電流がメモリセルには流れるため、磁性プローブ30の平面形状が図14に示すように複数のメモリセル1に跨って電流を供給するような構造を取ったとしても、最も重なった部分にのみ記録を行うことができる。そのため、磁性プローブ30の製造プロセスが容易となり安価にシステムを構成することができる。
通常状態
本実施形態の磁気メモリにおいて、図3に示すように、磁性プローブ30がメモリセル1の上面に来ていないメモリセルにおける磁気参照層6の磁化方向は一様ではないことがわかる。例えば、第2磁気記録層10の磁化が上(下)向きで、第1磁気記録層2の磁化が下(上)向きのメモリセル1a(メモリセル1d)では、磁気参照層6の磁化は略面内を向く。一方、第2磁気記録層10の磁化が上(下)向きで、第1磁気記録層2の磁化の向きも上(下)向きのメモリセル1c(メモリセル1b)では、磁気参照層6の磁化は略面垂直を向く。これは、本実施形態では、磁性プローブ30からの影響を受けないときは、図15(a)、15(b)に示すような垂直磁化が互いに向き合う磁性層を作らないように設計されている。図15(a)に示すような非磁性層202を挟んで磁性層201と、磁性層203が積層された積層構造、または図15(b)に示すような磁性層201、非磁性層202、磁性層203、非磁性層204、および磁性層205が積層された積層構造の場合は、非磁性層202を挟んで磁性層201、磁性層203の磁化が対向することになる。この場合、お互いにそれぞれの磁性層からバイアス磁界を加えあうため、熱的安定性を保つためにはさらに大きな磁気異方性をそれぞれの磁性層に付与することが必要となり、プロセス設計が複雑となってコスト上昇につながる。そのため、本実施形態においは、第1および第2磁気記録層2、10との間に、バリア層4、8を介して磁気参照層6を挟み、第1および第2磁気記録層2、10の磁化が互いに向き合う時には、第1および第2磁気記録層2、10の磁化と、磁気参照層6の磁化が対向しないように、磁気参照層6が設計されている。
一方、第1および第2磁気記録層2、10の磁化が同方向を向いている時には、同じ方向を向いて磁気的にカップリングするほうが実効的な磁化体積が増加するので熱的安定性が向上する。そのため、第1および第2磁気記録層2、10の磁化が同方向の時には磁気参照層6の磁化は略垂直方向を向きやすいように設計されている。そのためには、磁気参照層6の膜厚が厚く飽和磁化量が小さいことが望ましい。例えば、メモリセルのサイズが直径20nm、膜厚が約7nmであって、膜厚/直径の比が1/3の場合、反磁界係数が1/2程度となる。そのため、磁気参照層6の飽和磁化量を1Tとし、約1/2の5kOeの磁界を加えると、磁気参照層6の磁化が垂直方向を向くようになる。FePt層から約1kOe〜2kOeのバイアス磁界が第1および第2磁気記録層2、10から加わるとすれば、本来の垂直磁気異方性に加えて磁気参照層6の磁化は略垂直方向を向くようになる。ただし、完全に垂直方向を向かなくとも、第1および第2磁気記録層2、10のエッジに出る磁荷による影響を実質的に減らすことはできるため効果はある。図15(a)、15(b)に示すような近接した対向する磁化状態を作らなければ大きな効果を発揮できる。このため、第1および第2磁気記録層2、10の磁化が対向する状態のときに、仮に磁気参照層6の磁化が面内方向を向いていても第1および第2磁気記録層2、10間の距離は磁気参照層6の膜厚を厚くする分だけ増えるので、大きな効果を発揮する。一般に、膜厚方向への反磁界係数をdとして、磁気参照層6の飽和磁化量をMsとすると、磁気参照層6の膜面に垂直方向の一軸磁気異方性定数Kもしくは結晶磁気異方性定数Kが、下記の(1)式
(1/2)dMs > K ・・・ (1)
を満たせば、磁気参照層6は磁化方向が膜面垂直からずれて効果を発揮する。
再生方法
次に、再生方法について図16(a1)乃至図16(d2)を参照して説明する。図16(a1)、図16(b1)、図16(c1)、図16(d1)は、第1および第2磁気記録層2、10における磁化状態の4つの組み合わせを示す図であり、図16(a2)、図16(b2)、図16(c2)、図16(d2)は、図16(a1)、図16(b1)、図16(c1)、図16(d1)に示す場合のそれぞれの抵抗値を示す図である。
図16(a1)には第2磁気記録層10の磁化が下向き、第1磁気記録層2の磁化は上向きの磁化状態が記載されている。磁性プローブ30のコイル32に通電され、上向きさらに下方向の磁化Mが磁性プローブ30に励磁される。それに応じて磁界が磁気参照層6に加えられ、磁気参照層6の磁化は上さらに下を向く。したがって、磁性プローブ30からメモリセル1を通り、アースとなる共通の磁性下地層との間の抵抗値は、磁気参照層6の磁化が上向きの時は、第2磁気記録層10の磁化とは反平行状態となり、第1磁気記録層2の磁化とは平行状態となり、その合成抵抗となる。図16(a2)に示すように、第1磁気記録層2と磁気参照層6の磁化の向きが反平行でかつ第2磁気記録層10と磁気記録層6の磁化の向きが平行の場合のメモリセル1の抵抗をR1、第1磁気記録層2と磁気参照層6の磁化の向きが平行でかつ第2磁気記録層10と磁気記録層6の磁化の向きが反平行の場合のメモリセル1の抵抗をR2、第1磁気記録層2と磁気参照層6の磁化の向きが平行でかつ第2磁気記録層10と磁気記録層6の磁化の向きが平行の場合のメモリセル1の抵抗をR0とすると、図16(a2)に示すように、磁気参照層6の磁化が上向きの時は抵抗値R2、下向きの時は抵抗値R1となる。なお、図16(a2)における矢印は磁気参照層6の磁化の向きを示している。したがって、磁性プローブ30から加えられる磁界を上下に変化することにより、反平行の場合における2つのバリア層4、8の抵抗の組み合わせが判別できることになる。この際、電流は臨界記録電流値(磁気参照層6もしくは第1および第2磁気記録層の磁化の向きが変化しない電流値)よりも小さければ、図示のように磁性プローブ30から磁性下地層に向かう方向に流しても、その逆方向に流しても良い。
さらに、図16(b1)、図16(c1)、図16(d1)には、第2磁気記録層10および第1磁気記録層2の磁化の組み合わせが、(下向き、下向き)、(上向き、上向き)、(上向き、下向き)となる磁化状態の場合を示し、図16(b2)、図16(c2)、図16(d2)には、図16(b1)、図16(c1)、図16(d1)に示す場合において、磁気参照層6の磁化が上向きおよび下向きの場合の抵抗値を示している。なお、図16(b1)、図16(c1)、図16(d1)においては、磁性プローブ30は省略されている。また、図16(b2)。図16(c2)、図16(d2)における矢印は磁気参照層6の磁化の向きを示している。
図16(b2)に示す場合は、磁気参照層6の磁化が上向きの場合、第1および第2磁気記録層2、10の磁化に対して磁気参照層6の磁化は反平行状態となるので、メモリセル1の抵抗値は、R1+R2となる。一方、磁気参照層6の磁化が下向きの場合には、第1および第2磁気記録層2、10の磁化に対して磁気参照層6の磁化は平行となるので、メモリセル1の抵抗値は、R0となる。
図16(c2)に示す場合は、図16(b2)に示す場合と逆状態であり、磁気参照層6の磁化の向きが上向きの場合はメモリセル1の抵抗値はR0となり、下向きの場合は、メモリセル1の抵抗値はR1+R2となる。
図16(d2)に示す場合は、図16(a2)に示す場合と逆状態が現れる。磁気参照層6の磁化の向きが上向きの場合はメモリセル1の抵抗値はR1となり、下向きの場合は、メモリセル1の抵抗値はR2となる。
以上説明したように、磁気参照層6に上下の磁界を磁性プローブ30から加え、その場合の抵抗値を読むことで4通りの磁気記録層2、10の磁化方向の組み合わせが読みとれることとなる。
次に、本実施形態の磁気メモリにおいて、再生時のスピードアップを図る方法について、図17(a1)乃至図17(d2)を参照して説明する。図17(a1)、図17(b1)、図17(c1)、図17(d1)は、第1および第2磁気記録層2、10における磁化状態の4つの組み合わせを示す図であり、図17(a2)、図17(b2)、図17(c2)、図17(d2)は、図17(a1)、図17(b1)、図17(c1)、図17(d1)に示す場合のそれぞれの抵抗値を示す図である。本方法は、再生時のスピードアップを図るために、磁性プローバー30には上向きの磁化Mしか励磁しない方法である。
第1および第2磁気記録層2、10の磁化の方向が異なる向き場合、すなわち図17(a1)、図17(d1)に示す場合では、磁気参照層6の磁化は膜面に略平行な方向を向く。しかし、第1および第2磁気記録層2、10の磁化の方向が同じ方向の場合、図17(b1)、図17(c1)の場合では、磁気参照層6の磁化は膜面に垂直な方向から少し傾いた方向に向く。図17(a2)、図17(b2)、図17(c2)、図17(d2)に示すように、ある時刻t1までは磁性プローブ30を励磁せず、時刻t1において励磁を開始した例である。なお、図17(a2)、図17(b2)、図17(c2)、図17(d2)に示す矢印は、磁気参照層6の磁化の向きを示している。
図16(a2)、図16(b2)、図16(c2)、図16(d2)においては、10ns以上なスタティックな状態を示しており、図17(a2)、図17(b2)、図17(c2)、図17(d2)においては、磁気参照層6の磁化が反転する過渡的な状態(〜1ns)を示しているため抵抗に勾配が付与されている。時刻t1を境に、磁性プローブ30に励磁が開始されると、図17(a2)に示す場合では、磁気参照層6の磁化が横向き(膜面に略平行)であるため、抵抗R1と抵抗R2の中間的な抵抗から抵抗R2に向かって増加する。抵抗R1,R2の中間状態は、第1および第2磁気記録層2、10の磁化が反平行状態であることを示し、磁気参照層6に磁性プローブ30から上向きの磁界の印加を開始して抵抗が増加し抵抗値R2になるのは、第2磁気記録層10と磁気参照層6が反平行状態に向かうと言うことを示している。一方、同じ中間状態から、上向きの磁界の印加で抵抗値が減少し抵抗値R1になるのは、第1磁気記録層2の磁化が下向きであることを示す。すなわち、初期の抵抗値がわかり、その後、増加に転じるか(図17(a2)に示す場合)、減少に転じるか(図17(d2))で、第1および第2磁気記録層2、10の磁化状態がわかることになる。
同様に、初期状態が抵抗値R1と抵抗値R0の中間であるというのは、第1および第2磁気記録層2、10の磁化が同じ方向であることを示し(図17(b1)、図17(b2)、図17(c1)、図17(c2))、磁性プローブ30の励磁後、抵抗値R1+R2に向かって上昇するのは図17(b1)、図17(b2)に示す場合であり、抵抗値R0に向かって減少するのは図17(d1)、図17(d2)に示す場合となる。この場合も初期状態とその後の抵抗変化方向がわかれば、第1および第2磁気記録層2、10の磁化状態がわかることとなる。このようにすることで、図16(a1)乃至図16(d2)に示すような、スタティックな状態を用いた再生にくらべて、概略一桁早い再生が可能となる。
磁化の向きが膜面に平行である公知例(特開2004−356642号公報)において磁界の局所的な印加を行うことは、サイズが20nm程度ではもはや困難である。さらに、磁化の向きが膜面に平行の場合は、磁気参照層に実効的に大きな異方性を膜面内のある方向に付与することはほとんど不可能であるので、磁気参照層の磁化が垂直方向からある程度ずれることを利用する図17(a1)乃至図17(d2)に示すような再生方法を実行することは不可能に近い。
本実施形態において、第1および第2磁気記録層2、10が同じ情報(磁化の向き)を有するとき、例えば、(上向き、上向き)、(下向き、下向き)の場合は、弱い磁気異方性を有する磁気参照層6は、磁化が第1および第2磁気記録層2、10の磁化と同じ方向を概略向くように設計されている。このため、第1および第2磁気記録層2、10および磁気参照層6は一連の長い磁石と同じとなり、熱による不安定性が減少する。一方、第1および第2磁気記録層2、10の磁化が逆方向を向いているとき、例えば、(上向き、下向き)、(下向き、上向き)の場合は、磁気参照層6は横方向(膜面に略平行な方向)を向き、第1および第2磁気記録層2、10からの磁束を逃すように働く、もしくは第1記録層および第2記録層の表面磁化間距離を磁気参照層分広げることでお互いのバイアス磁界をへらすことができる。そのため、第1および第2磁気記録層2、10の磁化が逆方向に向いていても熱による不安定性が減少する。その結果、熱的に安定した磁気メモリが提供することができる。
また、磁界を加えながら第1および第2磁気記録層2、10の情報の記録および再生を行うことが可能となるため、多値化を図ることができ、より大容量の磁気メモリを提供することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、多値記録が可能となる磁気メモリを得ることができる。また、無通電時には磁気参照層6の磁化は膜面垂直からずれて第1および第2磁気記録層2、10と反平行状態を作らないので熱的安定性に優れることとなる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による磁気メモリを図18(a1)乃至図18(d2)を参照して説明する。
本実施形態の磁気メモリは、第1実施形態の磁気メモリにおいて、磁性プローブ30を削除した構成となっている。第1実施形態と同様に、メモリセル1は第1磁気記録層2、第1バリア層4、磁気参照層6、第2バリア層8、および第2磁気記録層10がこの順序で積層された積層構造を有している。なお、図2に示すように、第1および第2バリア層の4、8の上下に磁性挿入層12、14、16、18が設けられていても良い。メモリセル1の上下には電極(図示しない)が配置され、メモリセルに電流を供給することができる。電流の向きは上向き、下向きの両方流すことができる。
第1磁気記録層2にはFePt(5nm)、磁性挿入層12にはFe−Co合金(1.5nm)、第1バリア層4にはMgO(1.5nm)、磁性挿入層14にはFe−Co合金(1.5nm)、磁気参照層6にはTbFeCo(5nm)、磁性挿入層16にはFe−Co合金(1.5nm)、第2バリア層8にはアルミナ(2.5nm)、磁性挿入層18にはFe−Co合金(1.5nm)、第2磁気記録層10にはFePt(15nm)が用いられている。さらに上部にキャップ層19としてRu(3nm)が形成され、これら積層膜は30nm直径の円柱に加工されている。
磁気参照層6の一軸磁気異方性定数Kは1×10erg/cm以下に設計され、無通電状態では磁化は斜め方向を向いている。また、スピントランスファー効果は第1磁気記録層2と磁気参照層6との間で大きな作用があるように設計されており、このため、第1バリア層4がMgO(1.5nm)、第2バリア層8がアルミナ(2.5nm)となっている。スピントランスファー効果による磁気参照層6の磁化反転はある臨界電流以上において、磁気参照層6から第1磁気記録層2に電子が流れることにより、磁気参照層6の磁化は、第1磁気記録層2の磁化と反平行となる。逆に第1磁気記録層2から磁気参照層6に電子が流れることにより、磁気参照層6の磁化は第1磁気記録層の磁化と平行となる。
次に、本実施形態の磁気メモリの再生方法を図18(a1)乃至図18(d2)を参照して説明する。
図18(a1)は、第1および第2磁気記録層2、10および磁気参照層6の磁化方向と電子の流れを示す図であり、図18(a2)は、そのときの抵抗値の変化を示す図である。第2磁気記録層10の磁化が上向き、第1磁気記録層2の磁化が下向きの磁化情報を有している。これに図示していない上下電極から電子を供給し、第1磁気記録層2から第2磁気記録層に向かって電子を流す。磁気参照層6の磁化は無通電もしくは臨界電流値以下では横方向を向いている。時刻t1にて通電が開始されると、第1磁気記録層2の情報が磁気参照層6にスピントランスファー効果でコピーされて、磁気参照層6の磁化が下を向く。このとき、磁気参照層6の磁化は、第1磁気記録層の磁化と平行であり、第2磁気記録層10の磁化と反平行となるので、メモリセル1の抵抗は、R2になる。
図18(b1)は、第1および第2磁気記録層2、10の磁化が反平行状態で、かつ磁気参照層6から第1磁気記録層2に電子が流れる状態を示している。図18(b1)に示すように、電子を上述したように流すことで、横方向(膜面に略平行な方向)を向いていた磁気参照層6の磁化が第1磁気記録層2とのスピントランスファー効果で上方向を向き、第1磁気記録層2との間で磁化が反平行状態となることを示している。図18(b2)は臨界電流値を流し始めたとき、時刻t1から抵抗値が抵抗値R1に近づいていくことを示している。この抵抗値R1は、磁気参照層6の磁化が第1磁気記録層2の磁化とは反平行状態でかつ第2磁気記録層10の磁化とは平行状態であるときの、メモリセル1の抵抗値を示している。なお、第2磁気記録層10の磁化が下向きで、第1磁気記録層2の磁化が上向きの場合も図18(b2)と同じ特性を有する。
図18(c1)は、第1および第2磁気記録層2、10の磁化がそれぞれ下向きの状態である場合を示す。膜面垂直からずれた方向にある磁気参照層6の磁化は、磁気参照層6から第1磁気記録層2に電子が流れるように通電することにより、スピントランスファー効果で上を向き、第1および第2磁気記録層2、10の磁化と反平行状態となることを示している。その場合、図18(c2)に示すように、メモリセル1の抵抗は、抵抗値R0と抵抗値R1との間の値からR1+R2の状態に変化する。
その逆が図18(d1)、図18(d2)に示した状態で、第1および第2磁気記録層2、10の磁化は上を向き、膜面垂直からずれた磁気参照層6の磁化は、第1磁気記録層2から磁気参照層6に電子を流すことにより上方向を向き、第1および第2磁気記録層2、10の磁化と平行状態となり、メモリセル1の抵抗は抵抗値R0となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、多値記録されたメモリセルの磁化状態を電流の向きだけで読み取ることができ、更に無通電時には磁気参照層6の磁化は膜面垂直からずれて第1および第2磁気記録層2、10と反平行状態を作らないので熱的安定性に優れることとなる。
次に、以上説明した第1および第2実施形態における磁気参照層および磁気記録層の材料について説明する。
磁気参照層および磁気記録層は、例えば、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Mn(マンガン)、Cr(クロム)のグループから選択される1つ以上の元素を含む磁性金属により構成する。
磁気記録層については、Fe、Co、Ni、Mn、Crのグループから選択される1つ以上の元素と、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Ir(イリジウム)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)のグループから選択される1つ以上の元素との組み合わせによる合金にすると、磁気記録層の一軸磁気異方性定数Kが1×10erg/cc程度と大きくなり、垂直磁気記録に適したものとなる。一軸磁気異方性定数Kの値については、磁気記録層を構成する磁性材料の組成や、熱処理による結晶規則性などによっても調整できる。
磁気参照層は、例えば、TbFeCo、GdFeCoなどの希土類−遷移金属のアモルファス合金や、Co/Ptの積層構造などにより構成してもよい。
なお、磁気記録層および磁気参照層を構成する磁性材料は、連続的な磁性体、又は非磁性体内に磁性体からなる微粒子がマトリクス状に析出した複合構造とすることができる。
一方、磁性挿入層は、例えば、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)のうちの1つ、またはFe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Mn(マンガン)、Cr(クロム)のグループから選択される1つの元素を含む合金から構成される。また、磁性挿入層は、CoNbZr、FeTaC、CoTaZr、FeAlSi、FeB、CoFeBなどの軟磁性材料、CoMnSiなどのホイスラー合金、CrO、Fe、La1−xSrMnOなどのハーフメタルの酸化物又は窒化物、磁性半導体としてもよい。
次に、非磁性のバリア層について説明する。低抵抗材料と高抵抗材料の2通りについて説明する。
非磁性のバリア層には,読み出し時にTMR(tunnel magneto resistive)効果により大きな再生信号出力を得るためのトンネルバリア層としての絶縁材料を用いることができる。具体的には、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Zn(亜鉛)、Zr(ジルコニウム)、Ta(タンタル)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Si(シリコン)、Mg(マグネシウム)、Fe(鉄)のグループから選択される少なくとも1つの元素を含む酸化物、窒化物、又は弗化物により非磁性バリア層を構成することができる。特に、非磁性のバリア層は、Al3−x(0<x<3、アルミナ)、MgO(酸化マグネシウム)、SiO2−x(0<x<2)、Si−O−N、Ta−O、Al−Zr−O、ZnOx、TiO、または大きなエネルギーギャップを有するIII−V族化合物半導体(GaAlAs等)から構成するのが好ましい。
また、非磁性のバリア層に関しては、絶縁体に設けられたピンホール内に磁性材料が挿入されたナノコンタクトMR(magneto resistive)材料や、絶縁体に設けられたピンホール内にCuが挿入されたCPP(current-perpendicular-to-plane)−CPP−MR材料などから構成することにより、大きな再生信号出力を得ることができる。
非磁のバリア層がトンネルバリア層の場合、その厚さは、0.2nm〜2.0nmの範囲内の値とするのが大きな再生信号出力を得るに当たって好ましい。同様に、非磁性のバリア層がナノコンタクトMR材料の場合、その厚さは、0.4nm〜40nmの範囲内の値とするのが大きな再生信号出力を得るに当たって好ましい。
本発明の一実施形態に係るメモリセルの基本構成を示す斜視図。 本発明の一実施形態に係るメモリセルの一具体例を示す断面図。 第1実施形態による磁気メモリを示す斜視図。 第1実施形態に係るメモリセルの電流経路を説明する図。 第1実施形態に係るメモリセルの磁気回路を説明する図。 第1実施形態に係るメモリセルのM−H曲線を示す図。 第1実施形態に係るメモリセルの磁化を説明する図。 第1実施形態に係るメモリセルの磁化を説明する図。 第1実施形態において、磁気参照層と磁気記録層とのM−H曲線を示す図。 第1実施形態に係るメモリセルの記録方法を説明する図。 第1実施形態に係るメモリセルの記録方法が安定であることを説明する図。 第1実施形態に係るメモリセルの記録方法を説明する図。 第1実施形態に係るメモリセルの記録方法を説明する図。 磁性プローブのサイズとメモリセルのサイズとの関係を示す図。 磁性層の磁化の向きは対向する状態のときの問題を説明する図。 第1実施形態に係るメモリセルの再生方法の一例を説明する図。 第1実施形態に係るメモリセルの再生方法の他の例を説明する図。 第2実施形態に係るメモリセルの再生方法の一例を説明する図。
符号の説明
1 メモリセル
2 第1磁気記録層
4 第1バリア層
6 磁気参照層
8 第2バリア層
10 第2磁気記録層
12 磁性挿入層
14 磁性挿入層
16 磁性挿入層
18 磁性挿入層
19 キャップ層
20 軟磁性下地層
22 金属下地層
30 磁性プローブ
32 励磁コイル

Claims (8)

  1. 第1強磁性層と、
    前記第1強磁性層上に形成される第1非磁性層と、
    前記第1非磁性層上に形成される第2強磁性層と、
    前記第2強磁性層上に形成される第2非磁性層と、
    前記第2非磁性層上に形成される第3強磁性層と、
    を有するメモリセルと、
    前記メモリセルに対して前記第3強磁性層側から電気的に接続されるとともに前記メモリセルに対して相対運動が可能でかつ自身の磁化の方向を変えることの可能な磁性プローブと、
    を備え、
    前記第1および第3強磁性層はそれぞれ膜面に垂直な磁化容易軸を有し、
    前記第2強磁性層は前記第1および第3強磁性層に比べて保磁力が小さくかつ磁化容易軸が膜面に垂直な方向に対して0度より大きく90度以下の角度をなして傾いており、
    前記第2強磁性層の磁化は、前記磁性プローブから印加される磁界により膜面に垂直でかつ前記磁性プローブの磁化の方向に応じた方向に向くように制御されることを特徴とする磁気メモリ。
  2. 前記第1および第3強磁性層の磁化が互いに逆向きのときは、前記第2強磁性層は磁化が膜面に平行な方向を向き、
    前記第1および第3強磁性層の磁化が同じ向きのときは、前記第2強磁性層は磁化が膜面に垂直な方向を向くことを特徴とする請求項1記載の磁気メモリ。
  3. 第1強磁性層と、前記第1強磁性層上に形成される第1非磁性層と、前記第1非磁性層上に形成される第2強磁性層と、前記第2強磁性層上に形成される第2非磁性層と、前記第2非磁性層上に形成される第3強磁性層と、を有するメモリセルを備え、前記第1および第3強磁性層はそれぞれ膜面に垂直な磁化容易軸を有し、前記第2強磁性層は前記第1および第3強磁性層に比べて保磁力が小さくかつ磁化容易軸が膜面に垂直な方向に対して0度より大きく90度以下の角度をなして傾いている磁気メモリの再生方法であって、
    前記第1強磁性層から前記第2強磁性層へ電子を流入させることで前記第2強磁性層の磁化の向きを変化させるステップと、
    前記第2強磁性層と前記第3強磁性層との相対的な磁化の向きによる抵抗を測定することにより、前記第1強磁性層の磁化の向きを検知するステップと、
    を備えたことを特徴とする磁気メモリの再生方法。
  4. 前記第1および第3強磁性層の磁化が互いに逆向きのときは、前記第2強磁性層は磁化が膜面に平行な方向を向き、
    前記第1および第3強磁性層の磁化が同じ向きのときは、前記第2強磁性層は磁化が膜面に垂直な方向を向くことを特徴とする請求項3記載の磁気メモリの再生方法。
  5. 請求項1または2記載の磁気メモリの再生方法であって、
    前記磁性プローブの磁化の方向を調整することによって前記第2強磁性層の磁化を膜面に垂直な方向に向けさせるステップと、
    前記磁性プローブを用いて前記第1強磁性層と前記第3強磁性層間に電流を流すことにより、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間の電気抵抗と、前記第2強磁性層と前記第3強磁性層との間の電気抵抗との和を読みとるステップと、
    を備えていることを特徴とする磁気メモリの再生方法。
  6. 膜面に垂直な前記第2強磁性層の磁化の向きを、前記磁性プローブの磁化を調整することにより、反転させるステップと、
    前記第2強磁性層の磁化の反転前後における前記第1および第3強磁性層の相対的な磁化の方向を読み取るステップと、
    を備えていることを特徴とする請求項5記載の磁気メモリの再生方法。
  7. 請求項1または2記載の磁気メモリの書き込み方法であって、
    前記磁性プローブの磁化の向きを調整することにより、前記第2強磁性層の磁化を膜面に垂直方向に向かせるステップと、
    前記磁性プローブからの磁界が印加された状態で前記第2強磁性層を介して前記第1強磁性層と前記第3強磁性層との間で電子を流すことにより、前記第1強磁性層および前記第3強磁性層のうち、前記第2強磁性層を通って電子が流入した方の強磁性層の磁化の向きを前記第2強磁性層の磁化と同じ向きとなるように変化させるステップと、
    を備えていることを特徴とする磁気メモリの書き込み方法。
  8. 前記第1強磁性層もしくは前記第3強磁性層の一方の磁化の向きを前記第2強磁性層の磁化の向きとなるように変化させた後、前記磁性プローブの磁化の向きを調整して前記第2強磁性層の磁化の向きを反転するとともに前記磁性プローブからの磁界が印加された状態で電子の流す向きを逆向きにして前記第1および第3強磁性層のうちのもう一方の磁化の向きを反転させるステップを更に備えていることを特徴とする請求項記載の磁気メモリの書き込み方法。
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