JP4870294B2 - 板状水酸アパタイト粒子の製造方法 - Google Patents

板状水酸アパタイト粒子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、板状水酸アパタイト粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水酸アパタイトは、一般に、結晶系が六方晶系に属し、c軸方向に生長した結晶面(以下、この結晶面をa面という)と、a軸およびb軸方向に生長した結晶面(以下、この結晶面をc面という)とをもつ。a面は正に帯電し、c面は負に帯電している。この電荷の異なる2つの結晶面をもつため、水酸アパタイトは、酸性基あるいは塩基性基を持つ化合物を吸着保持することができる。このような吸着特性を有するアパタイト粒子は、タンパク質などの生理活性物質の吸着材(例えば、クロマトグラフィ用充填材)に利用されている。
【0003】
近年、水酸アパタイト粒子の結晶面を選択的に配向させて、その吸着特性に選択性を付与する試みがなされている。例えば、本発明者は、均一沈殿法により、a面配向した繊維状水酸アパタイト粒子を合成し、その繊維状水酸アパタイト粒子が塩基性タンパク質(リゾチーム)よりも酸性タンパク質(アルブミン、ポリ−L−グルタミン酸)をより多く吸着することを明らかにしている(日本セラミックス協会第1回生体関連セラミックス討論会講演要旨集(1997)11頁を参照)。
【0004】
また、c面配向した板状水酸アパタイト粒子の研究も進められている。
例えば、特開平6−206713号公報には、非晶質リン酸カルシウムの水性スラリに、アルコールを加えて、水熱処理する板状水酸アパタイト粒子の製造方法が提案されている。この公報の実施例によれば、この方法により得られる板状水酸アパタイト粒子は、大きさが50nm又は100nmである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、アミノ酸共存下でリン酸カルシウム粒子を、水酸アパタイト粒子に転化し、次いでその水酸アパタイト粒子をa軸およびb軸方向に生長させることにより、代表的なサイズが、c面の長さで約0.2〜10μmの範囲にあり、a面の長さで約10〜50nmの範囲にあるような比較的大きな板状の水酸アパタイト粒子を得ることができること見出した。
【0006】
本発明の目的は、比較的大きな板状水酸アパタイト粒子を工業的に容易に製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、表面がアミノ酸処理された非晶質リン酸カルシウム粒子を、カルシウムイオンとリン酸イオンとをモル比で1:1.3〜1:2.0の範囲にて含む、アルカリ性のアミノ酸水溶液中にて加熱して、水酸アパタイト粒子に転化し、次いで該水酸アパタイト粒子をa軸およびb軸方向に生長させることを特徴とする板状水酸アパタイト粒子の製造方法にある。なお、本発明において、アミノ酸は、アミノ基とカルボン酸基とが同一の炭素原子に結合しているアミノ酸(α−アミノ酸)を意味する。
【0008】
本発明の製造方法の好ましい態様は次の通りである。
)アミノ酸水溶液がさらに尿素を含み、水溶液を加熱することにより、尿素を加水分解させて、水溶液をアルカリ性に調整する。
)上記()において、アミノ酸水溶液を加熱する前に、ウレアーゼを添加する。
【0010】
本発明の製造方法により、比較的大きな粒子径を有する板状水酸アパタイト粒子が得られる理由については必ずしも明確ではないが、水酸アパタイトを構成するリン酸カルシウムクラスターは、水酸アパタイトと類似した構造であり、その負に帯電したc面とアミノ酸のアミノ基が相互作用してc軸方向の結晶成長速度が遅くなるためと考えられる。また、アミノ酸のカルボキシル基は、カルシウムイオンとキレート化して、リン酸カルシウムクラスターのa面と相互作用しにくくなるため、c軸方向への特異的な結晶成長が起こらなかったものと思われる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において原料として用いるリン酸カルシウム(ACP)粒子は非晶質であることが好ましく、その表面がアミノ酸で処理されていることが特に好ましい。非晶質リン酸カルシウム粒子のアミノ酸表面処理は、例えば、非晶質リン酸カルシウム粒子をアミノ酸水溶液に分散させてリン酸カルシウムスラリとし、これを0〜10℃の温度で1〜3日間静置することにより行うことができる(以下、リン酸カルシウム粒子の表面処理に用いるアミノ酸水溶液をACP粒子表面処理用アミノ酸水溶液という)。
【0012】
上記ACP粒子表面処理用アミノ酸水溶液のアミノ酸濃度は、通常は5〜3000ミリモル・dm-3の範囲にあり、好ましいのは50〜300ミリモル・dm-3の範囲にある。アミノ酸は、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、および塩基性アミノ酸の各種アミノ酸を用いることができる。これらの中で好ましいのは酸性アミノ酸(例:アスパラギン酸、グルタミン酸)および塩基性アミノ酸(例:アルギニン、リシン、ヒスチジン)であり、特に好ましいのは酸性アミノ酸である。
【0013】
ACP粒子表面処理用アミノ酸水溶液は、さらに緩衝剤を含み、かつそのpHが5.0〜7.0の範囲に調整されていることが好ましい。緩衝剤には、リン酸緩衝溶液(PBS)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)などの公知の緩衝剤を用いることができる。緩衝剤の濃度は、通常は1〜100ミリモル・dm-3の範囲にあり、好ましいのは5〜50ミリモル・dm-3の範囲にある。
【0014】
上記リン酸カルシウムスラリ中の非晶質リン酸カルシウム粒子は、通常は0.1〜10質量%の範囲にあり、好ましいのは0.5〜2質量%の範囲にある。
【0015】
本発明においては、リン酸カルシウム粒子を、アミノ酸水溶液中にて加熱して、水酸アパタイト(HAp)粒子に転化し、次いで該水酸アパタイト粒子をa軸、およびb軸方向に生長させる(以下、ここで用いるアミノ酸水溶液をHAp粒子転化用アミノ酸水溶液という)。
【0016】
HAp粒子転化用アミノ酸水溶液中のリン酸カルシウム粒子は、通常は0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましいのは0.05〜1質量%の範囲にある。
【0017】
HAp粒子転化用アミノ酸水溶液のアミノ酸濃度は、通常は5〜3000ミリモル・dm-3の範囲にあり、好ましいのは50〜100ミリモル・dm-3の範囲にある。アミノ酸は、前記のACP粒子表面処理用アミノ酸水溶液と同様に、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、および塩基性アミノ酸の各種アミノ酸を用いることができる。これらの中で好ましいのは酸性アミノ酸(例:アスパラギン酸、グルタミン酸)および塩基性アミノ酸(例:アルギニン、リシン、ヒスチジン)であり、特に好ましいのは酸性アミノ酸である。HAp粒子転化用アミノ酸水溶液のアミノ酸と、前記のACP粒子表面処理用アミノ酸水溶液のアミノ酸とは、必ずしも同じである必要はないが、同じであることが好ましい。
【0018】
HAp粒子転化用アミノ酸水溶液は、さらに緩衝剤を含み、かつそのpHが4.0〜7.0の範囲に調整されていることが好ましい。緩衝剤には、リン酸緩衝溶液(PBS)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)などの公知の緩衝剤を用いることができる。緩衝剤の濃度は、通常は1〜100ミリモル・dm-3の範囲にあり、好ましいのは5〜50ミリモル・dm-3の範囲にある。
【0019】
但し、HAp粒子転化用アミノ酸水溶液は、加熱時においてpHが7.5〜12の範囲のアルカリ性に維持されていることが好ましい。HAp粒子転化用アミノ酸水溶液をアルカリ性に調整する方法としては、アンモニア水などのアルカリ性水溶液を加える方法、尿素を添加し、これを加水分解させる方法などの公知のpH調整法を採用することができるが、後者の尿素を用いる方法が好ましい。この場合、加熱前に、ウレアーゼを添加して尿素を加水分解し、HAp粒子転化用アミノ酸水溶液をアルカリ性に調整しておくことがより好ましい。
【0020】
上記尿素の濃度は、通常は10〜1000ミリモル・dm-3の範囲にあり、好ましいのは50〜200ミリモル・dm-3の範囲にある。ウレアーゼの添加量は、HAp粒子転化用アミノ酸水溶液中の尿素を24時間以内にすべて加水分解するのに必要な量の1〜10倍に相当する量にあることが好ましい。
【0021】
HAp粒子転化用アミノ酸水溶液は、さらにカルシウムイオンとリン酸イオンとを含むことが好ましい。カルシウムイオンとリン酸イオンのモル比(Ca2+/PO4 3-比)は、通常は1:1.3〜1:2.0の範囲にあり、好ましいのは1:1.5〜1:1.8の範囲にある。
【0022】
カルシウムイオンの供給源としては、硝酸カルシウム、塩酸カルシウムなどのカルシウム塩を挙げることができる。HAp粒子転化用アミノ酸水溶液のカルシウムイオン濃度は、0.6〜70ミリモル・dm-3の範囲にあることが好ましく3〜30ミリモル・dm-3の範囲にあることがより好ましい。
【0023】
リン酸イオンの供給源としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素カルシウムなどのリン酸塩を挙げることができる。HAp粒子転化用アミノ酸水溶液のリン酸イオン濃度は、0.2〜30ミリモル・dm-3の範囲にあることが好ましく、2〜20ミリモル・dm-3の範囲にあることがより好ましい。
【0024】
HAp粒子転化用アミノ酸水溶液の加熱は、水蒸気圧下(以下、水蒸気下で加熱することを水熱処理という)もしくは大気圧下(以下、大気圧下で加熱すること単に熱処理という)にて行なうことが好ましい。水熱処理の場合は、110〜200℃、特に110〜150℃の温度にて、1〜10時間、特に1〜5時間加熱することが好ましい。熱処理の場合、30〜100℃、特に35〜90℃の温度にて、1〜10日間、特に3〜10日間加熱することが好ましい。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
【0026】
[実施例1]
(1)非晶質リン酸カルシウム粒子の製造
0.75モル・dm-3の硝酸カルシウム[Ca(NO32・4H2O]水溶液(液温:4℃、pH:10)50.0cm3に、0.25モル・dm-3のリン酸二水素アンモニウム[(NH42HPO4]水溶液(液温:4℃、pH:10)87.7cm3を加え、氷冷下で1分間撹拌して反応生成物を得た。なお、硝酸カルシウム水溶液、およびリン酸二水素アンモニウム水溶液のpHの調整にはアンモニア水を用いた。生成物を吸引ろ過し、pHが10のアンモニア水で2回、蒸留水で3回洗浄した。洗浄後の生成物を液体窒素を用いて凍結させ、凍結乾燥機(ES−2030形日立フリーズドライヤー、日立サイエンスシステムズ社製)にて乾燥した。
この生成物は、X線回折分析及び赤外線(IR)スペクトルにより、非晶質リン酸カルシウム粒子であることが確認された。また、生成物の粒子形態を走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡により観察したところ、粒径約100nmの微粒子であることが確認された。さらに、ICP分析装置による組成分析の結果、そのカルシウムとリンとの比(Ca/P)は1.48であった。
【0027】
(2)板状水酸アパタイト粒子の製造
上記のようして得た非晶質リン酸カルシウム粒子を、下記の組成のACP粒子表面処理用アミノ酸水溶液(pH:6.5)に、非晶質リン酸カルシウム粒子が1質量%となるように分散して、リン酸カルシウムスラリを調製し、これを4℃で1日静置した。なお、ACP粒子表面処理用アミノ酸水溶液のpHの調整には水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
【0028】
Figure 0004870294
【0029】
続いて、遠心分離により非晶質リン酸カルシウム粒子をACP粒子表面処理用アミノ酸水溶液から分離した。アミノ酸処理後の非晶質リン酸カルシウム粒子の表面電位を電気泳動光散乱法により測定したところ、処理前と比較して表面電位が低くなっており、表面にグルタミン酸が付着していることが確認された。
【0030】
上記アミノ酸処理された非晶質リン酸カルシウム粒子を、下記の組成のHAp粒子転化用アミノ酸水溶液(pH:6.0)に、非晶質リン酸カルシウム粒子が0.1質量%となるように分散してスラリとした。なお、HAp粒子転化用アミノ酸水溶液のpHの調整には水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
【0031】
Figure 0004870294
【0032】
次いで、HAp粒子転化用アミノ酸水溶液10cm3に対して、濃度0.1質量%のウレアーゼを0.60cm3加えた後、120℃で3時間水熱処理した。なお、水熱処理時のHAp粒子転化用アミノ酸水溶液のpHは8〜9の範囲にあった。
処理後のスラリをろ過し、固形物を精製水で洗浄した後、さらにアセトンで洗浄し、室温にて放置し乾燥した。
【0033】
得られた固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、長さ方向に沿った面(c面)の長さが約1.5〜2.5μmの範囲にあり、厚さ方向に沿った面(a面)の長さが約10〜50nmの範囲にある板状粒子が確認された。また、上記固形物は、X線回折分析及びIRスペクトルにより炭酸含有水酸アパタイトの単一相であることが確認された。以上のことから、上記板状粒子は、非晶質リン酸カルシウム粒子から転化した水酸アパタイトが、a軸およびb軸方向に生長したものであることが確認された。
【0034】
[実施例2]
前記実施例1(2)において、ACP粒子表面処理用アミノ酸水溶液とHAp粒子転化用アミノ酸水溶液を、下記の組成のACP粒子表面処理用アミノ酸水溶液(pH:6.5)とHAp粒子転化用アミノ酸水溶液(pH:6.0)に変えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、ACP粒子表面処理用アミノ酸水溶液、およびHAp粒子転化用アミノ酸水溶液のpHの調整には水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
【0035】
Figure 0004870294
【0036】
Figure 0004870294
【0037】
得られた固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、長さ方向に沿った面(c面)の長さが約1.0〜2.0μmの範囲にあり、厚さ方向に沿った面(a面)の長さが約10〜50nmの範囲にある板状粒子が確認された。また、上記固形物は、X線回折分析及びIRスペクトルにより炭酸含有水酸アパタイトの単一相であることが確認された。以上のことから、上記板状粒子は、非晶質リン酸カルシウム粒子から転化した水酸アパタイトが、a軸およびb軸方向に生長したものであることが確認された。
【0038】
なお、アミノ酸処理後の非晶質リン酸カルシウム粒子の表面電位を電気泳動光散乱法により測定したところ、処理前と比較して表面電位が高くなっており、表面にリシンが付着していることが確認された。
【0039】
[比較例1]
前記実施例1(2)において、ACP粒子表面処理用アミノ酸水溶液をHEPES水溶液(濃度:20ミリモル・dm-3、pH:6.5)に変え、HAp粒子転化用アミノ酸水溶液を、下記の組成のHAp粒子転化用水溶液(pH:6.0)に変えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、HEPES水溶液、およびHAp粒子転化用水溶液のpHの調整には水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
【0040】
Figure 0004870294
【0041】
得られた固形物の形態を走査型電子顕微鏡で観察したところ、粒状であった。なお、上記生成物は、X線回折分析及びIRスペクトルにより炭酸含有水酸アパタイトの単一相であることが確認された。
【0042】
なお、HEPES水溶液処理後の非晶質リン酸カルシウムの表面電位を測定したところ、表面電位に変化がないことが確認された。
【0043】
[実施例3]
前記実施例1において、HAp粒子転化用アミノ酸水溶液を水熱処理する代わりに、50℃で7日間熱処理した以外は、前記実施例1と同様の操作を行って、固形物を得た。
得られた固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、長さ方向に沿った面(c面)の長さが約0.5〜1.5μmの範囲にあり、厚さ方向に沿った面(a面)の長さが約10〜50nmの範囲にある板状粒子が確認された。また、上記固形物は、X線回折分析及びIRスペクトルにより炭酸含有水酸アパタイトの単一相であることが確認された。以上のことから、上記板状粒子は、非晶質リン酸カルシウム粒子から転化した水酸アパタイトが、a軸およびb軸方向に生長したものであることが確認された。
【0044】
[実施例4]
前記実施例1において、HAp粒子転化用アミノ酸水溶液を水熱処理する代わりに、37℃で7日間熱処理した以外は、前記実施例1と同様の操作を行って、固形物を得た。
得られた固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、長さ方向に沿った面(c面)の長さが約0.3〜1.5μmの範囲にあり、厚さ方向に沿った面(a面)の長さが約10〜50nmの範囲にあることが確認された。また、上記固形物は、X線回折分析及びIRスペクトルにより炭酸含有水酸アパタイトの単一相であることが確認された。以上のことから、上記板状粒子は、非晶質リン酸カルシウム粒子から転化した水酸アパタイトが、a軸およびb軸方向に生長したものであることが確認された。
【0045】
[実施例5]
前記実施例2において、HAp粒子転化用アミノ酸水溶液を水熱処理する代わりに、50℃で7日間熱処理した以外は、前記実施例2と同様の操作を行って、固形物を得た。
得られた固形物の粒子形状を走査型電子顕微鏡で観察したところ、長さ方向に沿った面(c面)の長さが約0.5〜1.3μmの範囲にあり、厚さ方向に沿った面(a面)の長さが約10〜50nmの範囲にある板状粒子が確認された。また、上記固形物は、X線回折分析及びIRスペクトルにより炭酸含有水酸アパタイトの単一相であることが確認された。以上のことから、上記板状粒子は、非晶質リン酸カルシウム粒子から転化した水酸アパタイトが、a軸およびb軸方向に生長したものであることが確認された。
【0046】
[実施例6]
前記実施例2において、HAp粒子転化用アミノ酸水溶液を水熱処理する代わりに、37℃で7日間熱処理した以外は、前記実施例2と同様の操作を行って、固形物を得た。
得られた固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、長さ方向に沿った面(c面)の長さが約0.3〜1.3μmの範囲にあり、厚さ方向に沿った面(a面)の長さが約10〜50nmの範囲にある板状粒子が確認された。また、上記固形物は、X線回折分析及びIRスペクトルにより炭酸含有水酸アパタイトの単一相であることが確認された。以上のことから、上記板状粒子は、非晶質リン酸カルシウム粒子から転化した水酸アパタイトが、a軸およびb軸方向に生長したものであることが確認された。
【0047】
[実施例7]
前記実施例1(1)にて製造した非晶質リン酸カルシウム粒子を、下記の組成のHAp粒子転化用アミノ酸水溶液(pH:5.1)に、非晶質リン酸カルシウム粒子が0.1質量%となるように分散してスラリとした。
【0048】
Figure 0004870294
【0049】
次いで、HAp粒子転化用アミノ酸水溶液10cm3に対して、濃度0.1質量%のウレアーゼを0.60cm3加えた後、50℃で7日間熱処理した。熱処理時のHAp粒子転化用アミノ酸水溶液のpHは8〜9の範囲にあった。
【0050】
処理後のスラリをろ過し、固形物を精製水で洗浄した後、さらにアセトンで洗浄し、室温にて放置し乾燥した。
【0051】
得られた固形物の粒子形状を走査型電子顕微鏡で観察したところ、長さ方向に沿った面(c面)の長さが約1.0〜3.0μmの範囲にあり、厚さ方向に沿った面(a面)の長さが約10〜50nmの範囲にある板状粒子が確認された。また、上記固形物は、X線回折分析及びIRスペクトルにより炭酸含有水酸アパタイトの単一相であることが確認された。以上のことから、上記板状粒子は、非晶質リン酸カルシウム粒子から転化した水酸アパタイトが、a軸およびb軸方向に生長したものであることが確認された。
【0052】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、比較的大きな板状水酸アパタイト粒子を工業的に容易に製造することができる。すなわち本発明の方法によれば、a軸およびb軸方向に選択的に生長した板状水酸アパタイト粒子を工業的に容易に製造することができる。本発明の方法により得られる板状水酸アパタイト粒子は、負の電荷に帯電したc面に配向しているので、塩基性基をもつ化合物(例:タンパク質)に対する吸着性が高い。

Claims (3)

  1. 表面がアミノ酸処理された非晶質リン酸カルシウム粒子を、カルシウムイオンとリン酸イオンとをモル比で1:1.3〜1:2.0の範囲にて含む、アルカリ性のアミノ酸水溶液中にて加熱して、水酸アパタイト粒子に転化し、次いで該水酸アパタイト粒子をa軸およびb軸方向に生長させることを特徴とする板状水酸アパタイト粒子の製造方法。
  2. アミノ酸水溶液がさらに尿素を含み、該水溶液を加熱することにより、該尿素を加水分解させて、該水溶液をアルカリ性に調整することを特徴とする請求項1に記載の板状水酸アパタイト粒子の製造方法。
  3. 該水溶液を加熱する前に、ウレアーゼを添加することを特徴とする請求項2に記載の板状水酸アパタイト粒子の製造方法。
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